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PC関連スレ

2057とはずがたり:2017/02/06(月) 19:41:13
[11] 背筋を凍らせたプロジェクトYamhill

乾坤一擲のAMD Opteron

AMDに24年間勤めていていつも疑問に思っていたことは、"この会社にはバックアッププランと言うものはないのだろうか?"、という事であった。昨今では株主に対する企業価値のアピールの重要な項目のうちに"当社はサステーナブルな成長を目指します"、と言うものがある。"サステーナブル=維持可能な"、というのは簡単に言ってしまえば、"成長し続ける自信があるのでしょうね?それなら今の戦略がダメだったらどういうプランで生き残るのかちゃんと説明してください"、という株主の質問に答えるものである。

一般的に企業のサステナビリティは、キャッシュフロー、保有現金、債務、運転資金、果敢な投資の継続などというそれぞれが背反する項目の適正なバランス、市場の変化に柔軟に対応するための組織の構築、などで説明されるようであるが、当時のAMDのCEOジェリー・サンダースの答えは呆気にとられるようなシンプルなものであった。

1.AMDは将来の成長を担保するために赤字の時でも売り上げの25%を研究開発に投資します。
2.今の戦略は間違っていません、故にバックアッププランなどはありません。目標に向かって驀進するのみです。

こんなことをあけっぴろげに言っていたサンダースの度量には凄いものがあるが、古き良き時代のシリコンバレーの新興企業は皆そうだったのであろう。事実、バックアッププランなどを用意する余裕などなかったのが現実である。こんなかっこいい啖呵をきっていたサンダースであるが、実際には赤字続きの時には寅さん映画に出てくるタコ社長よろしく常に金策に走り回っていた(AMDはジャンクボンドの王様と言われていた時期もある)。

そして、シリーズのK5の話で述べたように戦略的プランに重大な欠陥が見つかった時(とは註:吉川氏のコラムは投下し損ねてるみたいだが>>269参照)にはすかさず次のプランの策定に自ら乗り出さなければならない。こんなことを思い出していたら、私のAMDのTシャツコレクションの中に面白いスローガンを見つけた。背中に大きく"There is no plan B !!"と書いてある。プランBというのはバックアッププランという意味だ。

その意味では、AMDが満を持してリリースしたすべてのインテル対抗製品には実際にバックアッププランは存在せず、常に一発勝負にかけていたのだ。K8コアで全く経験のなかったサーバー市場に打って出たOpteronもAMDにとってはまさに乾坤一擲の製品だったのだ。

インテルのバックアッププラン

AMDがOpteronでサーバー市場に攻め込んでいたころ、インテルの64ビットコンピューター戦略IA64とそのメインCPU製品Itaniumは明らかに大きな問題を抱えていた。

1.既存の32ビット・x86のアーキテクチャとの互換性を断ち切って無敵の高性能64ビットコンピューティングを標榜したインテルのIA64であるが、肝心のメインCPUの仕上がりがよくなく、延期に次ぐ延期の繰り返し。IA64はインテルとHPの独占志向が見え見えで、なかなか他のサーバーメーカーへの普及が進まない。
2.UNIX/LinuxがデフォルトOSである高性能サーバー市場の中に割って入ろうとしていたマイクロソフトは、インテルのIA64が一向に市場拡大できないことで苛立ってきていた。

AMDがOpteronを発表して、SUNが強力にOpteronベースのサーバーを拡販していた頃であったと思うが、私はAMD社内である噂を聞いた。その噂とは"インテルがどこか秘密の研究所でAMD64そっくりのCPUを開発していて、その開発コードネームはYamhill(ヤムヒル)という"、ということだった。調べてみると、Yamhillというのはインテルの工場があるオレゴンあたりを流れる川の名前であった。インテルはCPUの開発コードネームを川の名前にするのが伝統である(ItaniumのコードネームはMerced)のでこの噂はいよいよ現実味を帯びてきた。

噂はさらに続く。"インテル社内では数々のプロジェクトが並行して動いている。64ビットコンピューティングについては社内で意見が分かれていた。32ビットx86との互換性を取りながら64ビットの拡張命令を実装する方式(これがAMDがとった方法である)を主張するグループと、ハード・ソフトの過去資産への互換性を断ち切り全く新しいアーキテクチャでぶっちぎりのソリューションを打ち立てようとするIA64を主張するグループである。両者が激論をした結果、後者で行くというトップの決定が下って今まで開発予算がつけられてきたが、度重なる遅延、AMD Opteronの登場、マイクロソフトからの圧力でとうとう幹部連中も方向転換を迫られている。x86の拡張命令で64ビットをサポートしようとした開発グループは、それまで人数も絞られ残されたエンジニアで細々と開発を継続してきていたが、ここに来てまたお座敷がかかったと…"。


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