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PC関連スレ

2043とはずがたり:2017/02/06(月) 17:28:27

果たして、AMDが総力を結集して開発した80386互換プロセッサは、それまでのAMDの製品番号の伝統に従ってAm386として1990年11月に正式リリースされた。Intelの386の発表に遅れること5年であった。

PCメーカーであるカスタマたちは既にIntelの独占状態になっていた386市場にAMDが戻ってきたことを歓迎した。しかし、保守的なカスタマも多かった。"本当に完全互換なのか?"、"ハードは独自だが、Intelのマイクロコードを使っているそうじゃないか、AMDの製品を使ったことによって、Intelが我々を訴えたらAMDは補償してくれるのか?"などなど。

私も、AMDから買いたいのはやまやまだけど、法律問題があって踏み込めないというカスタマにAMD本社から法務部門の人間を呼んで顧客を訪問しまくった。やはり、そのころからIntelの市場独占が始まっていたのであって、Intelはその独占ゆえにますます強大になっていったのは明らかであった。

ある日本のお客に行ったとき、"君、Intel製品に完全互換と言うことは、Intelの386のバグ(不具合)も起こるということだよね、それを保証できるの?Intel製品で起こることはすべて再現してもらえる互換品でないと我々は使えない"と言われて絶句したのを憶えている。市場独占というのはそういうことなのだという実感が身に染みてわいてきたのを今でもはっきり思い出す。その後、AMDはIntel互換と言う考え方を捨てて、ソフトウェア互換という考え方に舵を切ったが、それは当然と言えば当然の帰結であった。

しかし、PC市場は成長に次ぐ成長、新たなPC・AT互換機メーカーが参入し、しのぎを削っていた時代なので、時間とともにAm386は次第に市場に受け入れられ、AMDの屋台骨を支える存在となった。

AMDはAm386の投入によって息を吹き返したが、既に次の製品の独自開発に着手していた。Intel80486互換のAm486である。トランジスタ数が120万と言うことはAm386の4倍以上である。その開発については、営業に忙しかった私にとってはAm386の時ほどドラマチックではなかったので(と言っても、設計エンジニアたちはさぞかし大変だったろうに…)、私自身はよく憶えていないが、1993年の4月にAm486が正式リリースされた。386の時にはIntelから5年遅れだったものを、4年遅れに縮めたわけである。

Am386の販売の際に経験した"本当に互換なのか"というカスタマらの反応にAMDは非常に明確な形で答えた。Am486ではCPUのパッケージにWindowsロゴをあしらったのである。これはAMDが勝手にやるわけではないので、当然Microsoftが承認したわけである。

このころから、AMDの中ではいよいよIntel互換路線を捨てるという方向性がはっきりしてきたのであると思う。それと同時に、Wintelと言われた無敵のビジネスモデルにも変化がでてきたのが読み取れる。MicrosoftにとってはPCがより売れるのがいいのであって、その中に使われるCPUはIntelでもAMDでもどちらでもよいということである。この考えはIntel側も同じであったであろう。

つまり、Intelのハードであればマイクロソフトでも、Linuxでも、そのずっと後にスマートフォンのOSとして市場を席巻するGoogleのAndroidでも何でもいいということである。時代はいよいよ次の段階に入っていった。



元々は小さなベンチャーの集まり

せっかくAMDの話を書く機会を得たので、どうせなら、AMDを育てたシリコンバレーの簡単な歴史、またそれを築き上げたレジェンドたちの話も書いておこうと思う。

この辺の話をすると、私的にはここに出てくる人物たちの名前を聞くだけである種の興奮を覚えるのだが、一般の読者にはなじみがないと思うので背景説明を記しておく。今は大企業となったけれど、当時は小さなベンチャーの集まりだったシリコンバレー企業の系譜である。

それまではサクランボなどの果物の生産地でしかなかったカリフォルニアのサンタクララ周辺が、シリコンバレーと呼ばれる世界中のハイテクの中心地となった起源は、トランジスタの発明で知られるウィリアム ショックレーが開設したショックレー半導体研究所にある(ショックレーはベル研究所でトランジスタを開発した他の2人の科学者とともにノーベル賞を受賞した)。ショックレー半導体研究所は半導体製品を開発しビジネスにする目的で設立されたが、ショックレー自身は優れた科学者であったがビジネスマンではなかったらしい。


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