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継続:科学と疑似科学を判別する

528Ken:2025/09/20(土) 09:43:40 HOST:52.66.62.130.static.user.transix.jp
3点目です。

(3)質量のない不可量物質では波動の媒質になりえない

この説明には、振動とはどういうものか、から語らねばなりません。高校生に戻ったつもりで読んでください。

最も単純な場合で考えましょう。天井から1本のバネで重りが吊り下げられています。重力に引っ張られバネが少し伸びた位置で停止することでしょう。その位置ではバネの力が重力と釣り合っています。

重りの質量をm、重力加速度をgとすると、重りを下に引っ張る重力の強さはmgです。

一方、引っ張られない時のバネの自然な長さがあり、引っ張られることで、その自然な長さからxだけ伸びているとします。引っ張る力は同じmgでも、強いバネなら伸びる距離xは小さく、ゆるいバネならxが大きくなりますよね。そこでバネに働く力とバネの伸縮距離の比を「バネ定数」と呼び一般的にはkで表します。言い換えれば、バネ定数kのバネを距離xだけ延ばしたり縮めるための力がkxになります。

バネで吊り下げた重りが静止する位置では重力とバネの力が釣り合うから、mg = kxが成立します。なお、xの値は座標系の取り方で変わりますから、釣り合い位置の値をx = 0としましょう。xが0ならmg = kx = 0ですから、その座標系では力は働いていないことになり、ゆえに重りもその位置で静止していると見なすわけです。

この重りをさらに引っ張って、釣り合い位置から距離x(≠0)だけ動かすと、あらためてkxの力でバネが重りを引っ張ります。ただし、釣り合い位置ではないので、今回のkxはmgよりも大きく、重りを離すと、重りはバネの力で上方向の運動を始めます。そして釣り合い位置に戻るまでは力は働き続けるので、上昇速度は一定ではなく加速が続くことになります。

釣り合い位置に戻った時、上昇速度は最大値をとっています。ここで何が起きるでしょうか?

バネの力はゼロだから、もう加速は起こりません。しかし、それまで加速を続けてきた重りには勢いがついているから、その位置では停止せず上昇を続けるのです。その「勢い」ですが、速度が大きいほど勢いは強く、また速度が同じでも重りの質量が大きいほど勢いは強いのです。運動する物体があるとき、運動が速いほど、また物体の質量が大きいほど、物体の勢いを止めるのに大きな力が必要でしょう。そこで質量mと速度vをかけたmvが勢いになり、物理ではモメンタムと称します。

このモメンタムがあるから、重りは動き続け、今度は反対方向にxがゼロより大きくなり、再びバネの力が働きます。その力のせいで運動は減速しやがて止まる。そこからは釣り合い位置に向けて動き、釣り合い位置に達した時には速度を得ているから、止まらずに動き続けます。この繰り返しが振動にほかなりません。振動には質量と速度の積であるモメンタムが必要で、質量がゼロならモメンタムが得られないから、振動は起こり得ようがないのです。

天井から吊り下げたバネは単振動を続けるだけですが、バネが連続的に繋がっていれば、振動も伝わってゆく。これが波動です。質量が無ければ波動も成立しないのです。

18世紀に光波動説を唱えた人は、媒質エーテルが物体を透過するのみか、エーテルには質量が無いと言いました。無抵抗で透過する物質も質量のない物質も、あり得ないと証明することはできないから、仮定することはよいでしょう。その点では光粒子説のfitsや現代宇宙論のダーク・マターと同じです。違いは、完全透過物質であれ不可量物質であれ、いかなる波動の媒質にもなり得ない、という点にある。fitsの難点は積極的に肯定する根拠がないことだが、エーテルの難点は積極的に否定する根拠があることなのです。

エーテル理論はニュートン力学と矛盾していました。それでいて波動説を唱えた人は、ニュートン力学を修正できるとも考えなかった。エーテルが光波動の媒質になりえないことは、自分でも分かっていたのです。分かっていながら無理押ししたのが光波動説です。


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