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【怖い話】夏休み!怖い話募集!!!
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:
コロネコ
:2019/09/20(金) 23:21:46 ID:???0
次第に雨足は強くなり、会話するのも困難なほど強く打ち付ける雨音が二人を包み、眠ることもできない状況がしばらく続いていた。
古い屋根からは雨水が漏れ始め、祖母は妹を抱え込むように抱き締めて、敷いていた呉座を頭から被り滴り落ちる水滴から身を守っていた。
すると、こんな雨音の中でもハッキリわかる、異様な音が聞こえてきた。
ザーッ…
ザーッ…
ザーッ…
地面を引きずるような、波打ち際のようなそんな音が遠くから聴こえてくる。
そしてその音は徐々に近づいてきて、小屋の前でピタリと止まった。
ごくりと息をのみ、音がした方を向いて様子を伺っていると
ドンドンドン‼️
ドンドンドンドンドン‼️
引き戸を叩く音が鳴り響いた。
ぼろぼろの扉は衝撃と共に波をうち、今にも壊れてしまいそうだ。
だが祖母には何も出来るはずもなく、妹をさらにギュッと強く抱き締めて、ただ扉をじっと見つめるだけだった。
ドンドンドン‼️
ドンドンドンドンドン‼️
屋根に打ち付ける大雨と、扉を叩く轟音が重なり、もう泣き叫びたい衝動を必死で堪えていると
妹がすっと巻き付いた祖母の腕を払いのけ、扉へ向かって歩き始めた。
とっさに腕を掴もうと手を伸ばすが、スルリとかわされてしまう。
立ち上がろうとするも、足が震えて力が入らない。
どうにか這いつくばって後を追おうとしたその時
妹はすでに扉の前に立ち、そしてこちらを振り返って言った。
「#※◯&@×が呼んでる」
そう呟くと扉に手を掛けた。
釘で打ち付けてあるはずの扉が
ギギッ!と音をたて開こうとしていた。
「◯◯!◯◯!いっちゃいけん‼️」
祖母は必死で妹の名前を叫び
なんとか妹の足下までたどり着くと
妹の身体を這い上がるようにして両腕を押さえた。
そして微かに開いた扉の向こうから
おびただしいほどのいくつもの手が扉の隙間から見えた。
その手は
男性のようなゴツゴツとした手
女性のようなしなやかな手
子供や赤ちゃんのような小さな手
それぞれの手たちが隙間に向かって今にも入り込もうとしている。
祖母は力を振り絞り扉を閉めると
うわ言を呟くを妹を引きづるようにまた中央へ戻り
さらに呉座を深く被って
ただひたすら震えた身体で妹を包み込んだ。
どれだけの時間が過ぎたのか、ふと気付くと雨はだいぶ落ち着いていて、ポトポトと屋根から落ちる水滴の音だけが小屋中に響いていた。
祖母の腕の中の妹も、いつのまにか静かに寝息をたてている。
そっと覆い被さった呉座を取ると、壁の隙間からやわらかな光が差し込み、夜があけたことを知らせてくれた。
妹を起こし、しばし無言で辺りを見回す。
すると遠くからいくつかの足音が聞こえてくる。
ややあって扉が開けられると、見知った声が聞こえてきた。母だ。
二人は泣きじゃくりながら母親に抱きつき、
この長い夜を乗り切れたことを実感した。
…数年後、その場所にはいくつかの石像と石で模した骨董品が置かれ、中央には慰霊碑が建てられた。
なんでも若い世代の集落の人達が、
これ以上この風習を残すわけにはいかないと
どこからか仕入れた知識でこのような措置がとられたらしい。
この風習がなんの為に行われていたのか、
なぜ妹だけが誘い出されたのか、祖母が見たものはいったい何だったのか…今では知ることはできない。
ただその慰霊碑が建つその場所は
未だに存在する。
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