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【怖い話】夏休み!怖い話募集!!!

164ジョーが死んだときの話 2:2019/09/18(水) 18:55:21 ID:cSAksYwA0
ジョーが死んで2ヶ月ほど経ったある日、母は妙な夢を見た。
夢は一階の店舗へと続く階段のシーンからはじまり、階段を降りきると、カリカリキーキーと何か引っ掻く音と猫の鳴き声が聞こえてくる。
夢の中では昼だった。明るい日差しが入ってきているガラス戸の方を見ると、元気な姿のジョーが一心不乱に戸をひっかいている。
母が寄っていくと、開けてくれといわんばかりにニャーンニャーンと悲しげな声を出した。
戸を開けてやろうと鍵に手を伸ばしたところで、なぜか「家に入れてはいけない」と強く感じたそうだ。
ジョーが戻ってきた嬉しさで心がいっぱいなのに、何か不安な緊張のような、焦りのようなものが急に広がってきたそうだ。
母は、「もし家に入れてしまったらいつまでもジョーがこの世に留まってしまって天国に行けなくなる」と思い、ジョーに向かって、お前は事故で死んでいること、もう悲しむのをやめるから未練を残さず成仏してほしいということ、それから今までの感謝を伝えた。
そして振り向かないように二階への階段を上がりきったところで目か覚めたらしい。

起きてすぐに祖父母や兄弟にそれを伝えると、ジョーが最後のお別れを言いに来たんだろう、よかったねといった意見だった。
母もその意見に概ね賛同していたが、意に反して翌日も同じ夢を見た。

夢の流れは一緒で、一階へ降りる階段のシーンからはじまり、ジョーの姿を見つける。
そして母もまた前日と同じような言葉をかけて二階へ上がって目が覚める。
祖父母に伝えると、死んでることに気づいてないのかなぁ、夢枕に立つときはだいたい3日だから明日も見るかもしれないねぇという半ば他人事のような返事だったそうだ。
同じ夢を2日続けて見た不気味さはあったものの、ジョーが家族の誰でもなく自分を頼ってきているという妙な誇らしさからかあまり恐ろしさは感じなかったらしい。 

案の定3日目も夢にジョーが現れた。
階段を降りきり、ジョーに同じような言葉をかける。
まだ子供だった母は祖父母の言葉を真に受けて、3日目だからジョーに会えるのは最後だろうと思い、いつもよりも長い感謝の言葉を伝えたそうだ。
夜に布団に潜り込んで来てあたたかかったこと、膝にのって来たときにやわらかくて感動したこと、ジョーといっしょに過ごせていかに幸福だったかを泣きながら伝えた。
ジョーは話をしている間も戸を開けようと一生懸命で、その姿が少しおかしくて笑ってしまったそうだ。
最後にじゃあねと声をかけて、階段を2、3段登ったところで急に別れるのが悲しくなって、ちらっとガラス戸の方を見遣った。

そこにいたのはジョーではなく、凄い形相の女だった。伸びた黒いボサボサの髪、暗い花柄のスモックのような半袖のワンピース、顔や手足に煤のような汚れがついた裸足の若い女が、手足をめちゃくちゃにばたつかせながら、ガラス戸を叩いていた。ぐるぐると顔の表情を変えながらも怒っているのが伝わる。目をいっぱいに見開いて、時おり髪をぐじゃぐじゃに引き抜きながら何か叫んでいた。
母はあまりの恐ろしさに氷水を浴びせられたようになって固まってしまい、まじまじと見つめてしまったそうだ。
渾身の力で戸を叩いているはずなのに、不思議と叩いている音も振動もなく、叫び声も聞こえなかった。
しばらく固まっていると女がガラス戸に体当たりを始めた。
何度も何度もぶつかるが、音も振動もなくガラス戸もびくともしない。
母はなんとか体を動かして階段を登り始めた。
音がすれば女の存在に気づいたことがばれると思いそろそろと慎重に登った。登りきれば目が覚めると信じていた。
最後の一段をやっと登りきったとき、背後からドオオオオオオォンと大きな音がした。
そこで目が覚めた。


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