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ジャンル問わず不思議体験を教えてください
501
:
不思議な名無し
:2020/06/24(水) 19:51:31 ID:4jmW2ybQ0
>>500
の続きです。
何度目かのドレスを燃やされたせいで、私は心身ともに疲労を感じながら、ぼーっとお針子の皆さんに自分の体を採寸して貰ってる間、ずっと「ちまちまドレスを燃やしても、結局、遣う金額なんてたかが知れてるわ。いっそ、建物を建てたら彼らの望み通りの財政になるのに」って思っていたの。
それに、陰湿な宮殿の人間関係に嫌気がさしていた事もあって、私にとっては限られた人しかいない離れや別荘で過ごす事が夢になっていたわ。
当時の財政状況を考えたら、とんでもない考えだったし、私も提案したところで各貴族に反対されて実現しないだろうと高を括って、プチ・アモー(田舎風の建物)を建てて欲しいとお願いしてみたの。
そうしたら財政会議の後に侍女がやってきて、私の案が通過したと言うから、慌てて、そんな筈がない!今のフランスに、そんな余裕はどこにもないはずよ!と思って再度、彼女に確認して貰ったら本当にプチ・アモーの建設が決定していたわ。
私が恐らくこの辺りの貴族達は、建設に反対するだろうと思っていたのに、そうはならなかった。
私が考えていた以上に、フランス貴族の借金病は蔓延していたの。買収された、とも言えるけれど。
決定したからには、造られてゆくプチ・アモーを見て毎日虚しさを感じていたわ。
だって建設が始まってから、ドレスはただの一度も燃やされなかったの。可笑しいでしょう?
私が彼らにとって、都合よく財政にとどめを刺したから、きっとご褒美に燃やさずにおいてくれたんだと思うわ。
だから、プチ・アモーでの生活はなるべく簡素な服で過ごすよう心がけたの。
プチ・アモーでの私の生活を田舎暮らしのごっこ遊びだなんて言われてたけど、私がドレスを一着きる度に、一着燃やされていたような状態だったから、もう服を燃やされなくてもいいように、捨てられなくてもいいように。少しでも財政を圧迫しなくてもいいように、私なりに必死だったわ。
完成したプチ・アモーに全く喜びを感じないまま、できたからには使うしかなくて、とりあえず使い始めたの。
プチ・アモーの庭には鶏がそれなりにいて、ここでは産みたての卵を手に入れる事ができたわ。
その卵を使って作られたオムレツを初めて食べた瞬間、気づいたら私自身がびっくりするくらい、泣いていたの。
プチ・アモーには意地悪なお毒味係は勿論いなくて。お皿の上には、お料理が誰かの意地悪の形をして乗っておらず。
その上、お皿の隅から隅まで乗ってるお料理を全部、私が食べても良かったの!
もう、本当にこの事実が嬉しくて嬉しくて。今、思い出しても馬鹿みたいに泣けてしょうがないし、滝のように涙が出てくるわ。
このプチ・アモーを維持するために、国庫のお金が使われてるんだから、私は宮殿に戻るべきだと勿論、頭では解っていたし日々の生活で、この事が頭から離れることはついぞ無かった。
それでも私は、どうしてもプチ・アモーを離れる事ができなかったの。心がどうしても動かなくて。まるでその場所に根が生えたみたいに、動く事ができなかったわ。あんまり明るい気持ちで生活していた訳では、なかったのだけれど。
それでも、もう宮殿には戻りたくない気持ちが、とてもとても強かったの。
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