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「部室」板/4

25トキ:2013/01/13(日) 16:30:35 ID:gZBAM4iY
続いて、同書のエピローグから引用をします。

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人が人として他人とともに生きている以上、紛争の発生は避けられません。ひとりひとりの人間
が、その好み、性格、能力、希望、目標等々に違いがあり、そのひとりひとりが集まって社会をつ
くつている以上、そこに紛争が起こることは必然です。

 しかし、紛争は嫌なことです。紛争の当事者になると、心身ともに疲れ果てます。心は痛く、深
く傷つきます。ひどいときには生活の根底が崩れることがあるし、もう生きていけないと思うとこ
ろまで追いつめられることもあります。だから、できることなら避けたいと思うのは人情です。

 それでは紛争から逃げ出してしまいますか。

 ちょっと待って下さい。逃げ出す前に、紛争と自分をよく見て下さい。
 そういう場面で冷静に紛争と自分を見つめることは難しいことですが、よくよく見ていると、紛
争から逃げ出すのはもったいないことだとわかります。なぜならば、紛争には何か大切な意味があ
るからです。

自分が全く身に覚えがなくても、自分の心の奥底に眠っている傷やしこりが相手を刺激し、誘い
出している紛争があります。そのことに気づき、相手と和解すると、同時に自分の傷が癒え、しこ
りも融けて消え、蘇ったような気持ちになります。これは、相手と和解すると同時に自分と和解す
るケースです。

 また、社会の形骸化や矛盾や誤りを修正するために避けられない紛争もあります。こういう紛争
は、社会にとってむしろ有益なものですが、当事者は苦しみます。もし水俣病の患者が立ち上がら
ずに泣き寝入りをしていたならば、多くの公害事件は闇に葬られていたかも知れません。しかし水
俣病患者も和解するようになりました。これは、相手と和解すると同時に、社会と和解するケース
と言えるでしょう。こうした、社会に大きな影響を及ぼした事件では、当事者双方の歩み寄りと同
時に、救済制度が整うなど社会的な環境が和解にとって重要な要素となるのです。

 相手と和解をすると同時に、自分と和解し、社会とも和解をする。これが理想の和解です。そ
して、そのような和解ができたとき、人は見違えるような人間に変身します。紛争は、そのような
変身を迫る絶好のチャンスだったのです。

 これが紛争から逃げ出すのはもったいないと言った理由です。

 二〇世紀は、多くの紛争や戦争に明け暮れた百年でした。それだけでも人々は深い傷を背負って
しまいました。・そのほかにも、紛争の原因となるものは山ほどあります。そしてその紛争や、紛争
の原因を積み残したまま、次の世紀を迎えようとしています。

 二一世紀を前にして、新しい世紀をどのように迎えるかということが盛んに論じられています。
しかし二一世紀を論ずるということは、タイム・スパンのとり方としては短すぎるのではないでし
ょうか。二二世紀を視野に入れておかなければ、人類の未来はないことになってしまいます。
 二二世紀を自信を持って視野に入れるためには、人が、相手と和解し、自分と和解し、社会と和
解する技術と能力を持つことが必要です。 ′

 そのような技術と能力を持った人は、人間そのものが違っているはずです。つまり変身を遂げて
いるからです。そして、そのような人が集まってつくる社会も、今とは違うものになっているでしょう。

 もとより、人間と、人間がつくる社会は複雑です。和解だけですべてが解決するわけではないで
しょう。

 しかし、変身を遂げた人々は、必ずその先を展望し、その先に進むことができるはずです。逆に
言えば、紛争が起こったときに和解をする技術も能力もない人たちに、どのような幸せを約束でき
るでしょうか。そういう人たちがつくつている社会に何を期待できるでしょうか。

 それに、「和解」 の技術と能力を身につけることは、その気になれば今すぐできることです。こ
の本を読んで下さった人は、すでにあらかた身についています。嘘だと思ったら、今すぐ実践して
みて下さい。

同書 p212より


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