[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
【資料】神秘主義の系譜【探索】
44
:
名無しさん
:2013/07/20(土) 05:59:27
>>43
[象徴的入社儀礼と階級制度] エジプト,イラン,ユダヤなどの先進文明において蓄積され,グノーシス主義を通じて後代に媒介される,この完全知を探求する教義は,とりわけさまざまの秘密結社の入社儀礼に象徴化された。たとえばフリーメーソンの入社式で新加入者の体験する〈ヒラムの伝説〉は,伝説上の結社の創始者ヒラムが3人の職人によって暗殺され,埋葬を経て再発掘されたという伝説を模して行われる。こうした始祖の死と再生の象徴劇を反覆しながら,新加入者は,彼自身が世俗的な人格としては死に(または殺され),結社という第二の世界のなかで聖なる人格として再生するという入社式の儀礼を同時に体験する。
入社式はこのように秘密結社体験の核心を形づくっているが,これと並んで重要なのが大多数の秘密結社にみられる複雑な階級制度である。入社式から始めて,成員は次々に新たな秘儀伝授を通過しながら,より高位の階級へと昇りつめ,最後の完全な知に到達しなければならない。同時に入社式と階級制度は社会集団の力学としても必須のものである。ジンメルによれば,秘密結社の本質は〈自律〉であるが,この自律は一般社会の秩序を離れて無秩序に向かうそれであり,周囲の社会からの離脱は成員の間に根なし草的感情を,〈つまり固定した生活感情と規則的な支柱との欠如をもたらしやすい〉。これを補うために結社内部に強力な規則と煩瑣な儀礼の細目が持ち込まれるのである。
[不可視の達人] 秘密結社のなかで最高の知に達したと信じられている達人たちは,しばしば奇妙な言動を示した。薔薇十字団員であったとも伝えられるサン・ジェルマン伯は,ネロ帝やピラトと語り合ったことがあると主張し,また死後にも諸方に姿を現したと信じられている。生と死の境界を自在に越えるこの秘法のエピソードが,たとえ荒唐無稽な誇張の産物であろうと,目の前に現存する人格についていえば,これは,〈そこにいながら,そこにいない〉という存在と不在の同時的共存をいっているのに等しい。それは,ジンメルが貴族的な秘密性について語っている言葉と一致する。〈真に高貴な者の外観は,たとえ彼が隠すことなく自己を示そうとも,多数者がどうしても彼を理解せず,いわば彼を“まったく見ない”〉(《社会学》第5章〈秘密と秘密結社〉)のである。最初に隠されたもの(秘密)をことごとく取り戻した者にとっては,秘密と公開との間の境界はもはやないのである。
種村 季弘
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板