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('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです
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避難所の皆様、初めまして。このスレッドは元々vipに投下していたのですが、設定ミスや誤変換を修正するために
こちらで改正版を投下させていただくことに決めました。
各まとめ様には大変ご迷惑をお掛けする事になりましたがよろしくお願いします。
また今回の東日本大震災で被災された全ての方々に、心から御見舞い申し上げます。
今回、改訂ということでまとめ様に影響があるため、早めに投下させてもらいますが
2話までの投下が終わりましたら、次話の投下はしばらく自粛させていただきます。
----俺の財布から飛び立った番いの鶴が少しでも皆様のお役に立ちますように----
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しかしドクオも、また流石。
耳に入ってきた異常な風切り音。
何か大きな物体が、風に逆らい向ってくる。
その一つの情報でドクオは、リオレウスの接近を察知し素早く木陰に隠れた。
姿を消した鼠に、リオレウスは歯噛みしながらも再び上昇する。
透かさずドクオは、再び木陰から飛び出して走りだした。
ここで隠れていれば確かにリオレウスからはやり過ごせるかもしれないが、それでは意味が無い。
('A`)「付き合ってもらうぞ、空の王。俺とお前、二人ぼっちの鬼ごっこだ」
応えるように【火竜】リオレウスも、また吠えた。
人と飛竜、極めてアンフェアな鬼ごっこの始まりだ。
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歌いましょう―――目覚めの唄―――
奏でましょう―――生命の旋律―――
きっと誰かを救うから 貴方の紡ぐ その調べ
誰かを 祈る その心
きっと 誰かを 護るから
―――歌姫 キュート=バレンタイン―――
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('A`)「ギコ、もう一度確認しておくがユクモ樹はこの先にあるんだな?」
(,,゚Д゚)「ああ、来た道にそって真っ直ぐ進めばユクモ村で一番大きなユクモ樹があるぞ」
ドクオの確認事項は、それだけだった。
今改めて考えてみれば、余りにも無茶苦茶な作戦。
いや、ギコに課せられた役割はそれ程難しい物ではない。
危険なのは、ドクオだ。
この作戦の成否はドクオの陽動にかかっていると言っても過言ではない。
そう、二人が選んだ作戦は、単純な【待ち伏せ】だった。
如何にも先時代的だと思われるかもしれないが、たかが【待ち伏せ】と侮るなかれ。
ずっと昔から今に至るまで、潰える事なく続けられてきた単純な作戦は、それだけ先人達が有用性を保証しているとも言えるのだから。
そも、モンスターとの戦闘において【待ち伏せ】というのは最もポピュラーな作戦なのだ。
しかし、それは万全の準備を成してこそ言える。
罠を張り巡らせ、幾重にも謀ってこその待ち伏せ。
ただ待機しているだけの今回は、それとは言えない。
だからこそ、全てはドクオにかかっているのだ。
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(,,゚Д゚)「……馬鹿野郎が、なにが“自己犠牲”だ。アイツもオレとかわらねーじゃねーか」
この依頼を終えたら、とりあえず一発殴ろうと、ギコは“ユクモ樹の上で”密かに思った。
一方、そんなギコの思いを知る由もなく。
ドクオは、リオレウスと絶賛鬼ごっこ中。
昨日の続きが出来ると、空の王は嬉々としてドクオを追い掛けていた。
あの時は、間一髪の所で逃がしてしまったが今日はそうはいかない。
リオレウスは、自らの全力を以て鼠を追う。
これが、王の、王足り得る資質なのだ。
今、ドクオを追う飛竜がティガレックスであれば。
きっと、既にドクオを見失ってしまっていただろう。 圧倒的な種としての格差は、必然的に慢心を生み出す。
狩るのは飛竜、獲物は人間。
その構図は、もはや飛竜にとって必然であるのだから。
しかし、永きに渡って狩人と戦ってきた【火竜】リオレウスは、消して油断しない。
常に的確に狩人の動きを見極め、確実に仕留める事の出来る一瞬を冷静に探っている。
だからこそリオレウスは気付く。
“昨日”と“今日”の違いに。
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昨日は、仕留められそうなタイミングが何度もあった。
しかし、今日はそれが見当たらないのだ。
('A`)「………」
顔色を変える事なく、昨日と同じ絶妙なタイミングで左右へと身体を振り、リオレウスのタイミングを崩すドクオ。
しかし、その速さは昨日の倍以上。
それもそう、昨日は自分よりも大きなフィレンクトを背負いながらの逃走だったのだから。
リオレウスも、昨日と動きが違うという事は理解した。
しかし、飛竜の本能ではその要因を理解するまでには及ばない。
ならば、とリオレウスは炎を練る。
昨日は忌々しい壁に阻まれたが、今回は走りながらだ。
爪は躱せても、この火球ブレスは躱せまい、と。
('A`)「……チッ」
狩人も、気が付き身体を強引にリオレウスに向けた。しかし、それは絶望的に遅い。
時速200キロ、摂氏600度以上の速度と熱で吐き出されるリオレウスの炎息は、抵抗する事自体を許さない必殺の武器。
リオレウスは、勝利を確信する。
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しかし
('A`)「俺に、炎は効かない」
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ドクオは、自らの双剣でそれを逸らした。
いや、軌道を無理矢理に捻曲げたと言うべきか。
例えるならば、脈々と流れる圧倒的な勢いを持つ水流のど真ん中に、鉄筋コンクリートをブチ込んだような。
驚くのも無理はない。
こんな事、普通の人間が出来る事ではないのだ。
いや、誤解を招かぬようにはっきりと言おう。
たとえG級の狩人であったとしても、こんな芸当出来るわけがない。
加えて、この事象はドクオに人並み外れた特殊な技能があって引き起こされた物ですらない。
しかしドクオの両目は確かに時速200キロのブレスを捉え、金銀の双剣は600度以上の火球を逸らした。
それは一重に、ドクオの持つ双剣による所だ。
ドクオの持つ金銀の双剣、【夫婦剣】コウリュウノツガイは、【雌火竜】リオレイアと【火竜】リオレウスの貴重な素材を、ふんだんに使って作られている。
それも、ただの人間では一生に一度遭遇出来るかも分からない希少種の物だ。
リオの魂とも言える“紅玉”を丁寧に時間を掛けて、剣の形に打ち直し、銀火竜と金火竜の鱗で刃と柄を作る。
その上で、刃の部分に火竜の髄を丁寧にコーティングした、ドンドルマの鍛冶職人入魂の二振り。
この双剣だからこそ、リオレウスの炎を受けても焦げ一つ付かなかった。
飛竜であるリオレウスに、人間のような感情があるのかは分からないが
もし、それを持ち得たならば
きっとこの時、リオレウスは驚愕していただろう。
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('A`)「ここまで来れば大丈夫だろう。待たせたな、リオレウス。鬼ごっこはひとまずここで終わりだ」
リオレウスは、堂々と自分を見据える狩人に異様な雰囲気を感じた。
怖気づいたのだ。
両翼を二度、三度靡かせ距離を開けた。
そして驚く事が起きる。
('A`)「!?」
空の王が頭を垂れたのだ。
偉大な物にかしづく様に。
('A`)「コイツ……俺の双剣に反応してるのか?」
ゴクリ、とドクオは息を呑んだ。今まで何年と狩りを続けてきたが、こんなリオレウスを見るのは初めてだった。
偉大な同胞を使い、作られた双剣に対し
王は、頭を下げた。
('A`)「……」
静かな時間が流れる。人間と飛竜、どちらも動く事なく互いに正面から向き合っている。
ユクモの神木に囲まれた、この小さな空間で。
一人と一頭は、ただどちらとも言葉を発する事無く、黙っていた。
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先にこの沈黙を破ったのはドクオだ。
('A`)「ドクオ・ウェイツー。ドンドルマの狩人にして“G”を戴く者だ。
御相手願おう、空の王」
動き出したのは、飛竜。
ドクオの名乗りに応えるかのように、長く、そして強く吠えた。
('A`)「……チッ」
余りに長い咆哮。普段ならばその衝撃に当てられる事無くスルリと躱すドクオだったが、ここまで長く吠えられると流石に対処の仕様がない。
先手はリオレウスが取った。
('A`)「……面倒だな」
鋭く見舞われるリオレウスの翼爪。 足の爪とは違い毒線は無いが、それでも人間を仕留めるには十分な威力を持っている。
これをドクオは、リオレウスに背を向け必死に跳び退き回避した。
体勢は最悪。
リオレウスに背を向けた状態、それに加えて跳んだ為に身動きが取れない。
新人の狩人が、突然の攻撃に対してやってしまう最悪の避け方だった。
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この方法では、地面から身体を起こす時に一瞬だけ必ず無防備になる。
その一瞬を見逃すほど、飛竜は甘くない。
起き上がりにブレスを見舞われ、跡形も無く蒸発してしまった狩人も少なくない。
その最高の好機。リオレウスも勿論認識している。
すぐさま追撃をかけるために飛び上がらず、そのまま突進する事でドクオを砕こうとする。
('A`)「……厄介な奴だ」
ドクオは地面に着地する一瞬に、片手で地面を押し返し、側転の要領でその隙を消した。
勿論、リオレウスの目論みは空回りに終わる。
加えて、このタイミングで攻守が逆転。
リオレウスの巨体が、単純に突進すれば
その反転の鈍さは、欠伸が零れる程だ。
身体が大きいというのは、大きなメリットであり 大きなデメリットになる。
透かさず、ドクオは自分を捉えられず、そのまま通り過ぎたリオレウスに向けて走りだした。
“双剣”という武器の特性上、一撃でリオレウスを倒す事は出来ない。
だからこそ、このような細かな隙を見逃してはいけないのだ。
生粋の双剣使いであるドクオは、勿論これを理解していたし
だからこそ、正確にリオレウスの脚を不規則な形で切り結んでいた。
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しかしリオレウスは全く意に介さないかのように、その場で尻尾を振り回す。
('A`)「……チッ、これだから図体のでかい奴は」
身体が大きいというのは、痛覚の鈍感さに関係する。
一般的に飛竜種に限らず、どんなモンスターでも痛みにのたうち回るなんて事はない。
蓄積した痛みが、一気に身体の底から溢れだした時に、奴らは初めて“痛み”という物を自覚する。
('A`)「………」
だから今は我慢の時。
出来る限り、リオレウスの脚を集中的に切り結んでいく。
ドクオの戦法は単純。リオレウスと距離を取り、突進を誘う。
それを躱し、奴が振り返る前に脚を狙う。
痛くも痒くもない、とばかりに尻尾を振るリオレウスだが
着実に、その脚に蓄積は溜まっていく。
この構図が、最初から最後まで終始動かなければドクオは確実に勝利するだろう。
しかし、相手にしているのは飛竜。
人間よりも圧倒的に上位。
gaohooooooooooo!!!!!!!
たった一吠え、それだけで一連の攻守は逆転してしまうのだ。
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“音”というのは、つまるところ“振動”だ。
リオレウスの雄叫びは、大気中の空気を振動させ
ドクオの三半規管を、直接刺激する。
聴覚だけでなく、人間の平行感覚を司る三半規管を、揺らされれば
いくら強靭に肉体を鍛えようと無意味。
空の王の怒りは、焼き尽くす炎となって愚者の身を焦がす。
('A`)「不味いな」
咆哮により動けなくなった一瞬。
そこに加えられた、尻尾による回転攻撃。
ドクオは間一髪でそれを避ける。
しかし、次の瞬間。
リオレウスが大きく翼を広げた。
この構えから繰り出される攻撃は、万国共通。
('A`)「!?」
“飛び上がりブレス”
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リオレウスが繰り出す多種多様の技の中で、最も凶悪な攻撃。
吠えて、ブレス。
この単純かつ明快な攻撃によって幾人もの狩人が命を落としてきた。
凄まじい衝撃と共に、ドクオが立っていた場所から5m四方が焼け焦げた。
リオレウスは、満足そうに何百度にもなる灼熱を吐いて、上機嫌に空を舞った。
殺してやった。
あの忌々しい鼠を。
王たる自分に逆らい、逃げ続けたモノを。
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しかし、なんだというのだ。あの鼠は自分の灼炎を受け間違いなく絶命しているはずだ。それなのに緊張感から開放されない。自分の本能が言っている。
まだ終わっていないと。
『王は、路肩の石を蹴っても気が付かない』
『なぁ、空の王。お前は気付いていたか?』
('A`)「まず一つ目だ」
あれは何だ?
あの忌々しい鼠は、何故焼け爛れた様子もなく悠然と立っているのだ。
それに、奴が手に持っているのは何だ。
あれは
('A`)「左右6つの尖爪。お前が地に落ちるまでに何本無事に残っているかな」
ドクオは、再び駆け出した。
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そもそもドクオは、何の考えもなく陽動を買って出た訳ではない。
リオレウスを倒すための、ピースを集める為に行っているのだ。
そして一つ目のピースは、すぐそこだった。
('A`)「ひどいな、これは」
グシャグシャに潰されたフィレンクトの荷台。
そこにある勝利の鍵。
リオレウスから翼をもぎ取る為の鍵が。
ドクオは、素早く荷車の中から“それら”を引っ掴んで再び駆け出す。
もうリオレウスとやり合うつもりはない。この先に待つ巨大なユクモの樹。そこまで付かず離れずの距離で飛竜を誘導する。
目指すは、ギコとの約束の場所。
二人の狩人に“勝利の光”が指す。
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生い茂る森、無数に林立する木々の中でも、飛びぬけて背の高いユクモ樹の上でギコは座っていた。
打ち合わせでは、ドクオがここまで誘導してくるらしい。そんな飛竜をコントロールするような事が出来るのか、とも思ったが自分は仲間を信じて待つことしか出来ない。
しかし、不安は拭えない。時間稼ぎにしては遅すぎる。自分がこの場所に辿り着くまでの陽動だったはずなのに。ドクオは一体何をしているのか。
(,,゚Д゚)「!! 来たか!!」
薙ぎ倒されていく木々。真っ直ぐこちらに向かってくる。
(,,゚Д゚)「……流石だな。宣言通り、あのリオレウスをコントロールしてやがる」
ゆっくりと心を落ち着ける。三度息を吸い、吐いた。
三年来の相棒である大剣、ジークムントを握り締める。ヘリカルに借り受けたリボンは柄と自分の手を結ぶのに使っている。
そういえば、こうやって人に頼んで狩りをするのは何時ぶりだろう。
思えば、本当の意味で人に頼った事など一度も無かった。
だからこそ手が震える。
他人の努力の成否が自らに重くのしかかる。
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(,,゚Д゚)「……」
そうか。
俺は、こんな重圧を大切な仲間にかけていたのか。
(,,-Д-)「……謝らねぇとな、帰ったら」
見据える先には飛竜、リオレウス。
その一歩先を行くドクオ。
(,,゚Д゚)「大した奴だ」
ここからが狩猟の本領。仲間との力を合わせた戦いだ。
('A`)「ギコオオォォォオオ!!!!!」
空の王から、翼をもぎ取る。
30m以上あるユクモ樹から飛び降りる。
ジークムントを携えて。
これが二つ目のピース。
空の王よりも、高みからの奇襲。
Ghyaaaaaaaaaaaaa!!!!!!
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地面に縫い付けられたリオレウス。
翼が折られたのだ。
(,,゚Д゚)「ハァハァ……」
('A`)「……ふぅ」
その飛行能力。圧倒的な制空力故に繊細過ぎる作り。その脆さ。
('A`)「良くやったな」
(,,゚Д゚)「あぁ。だが、まだ終わってない」
片翼を折られた空の王。その顔には、憤怒がありありと浮かんでいる。
自分より下等な存在に。
王たる自分の翼が奪われた。
許せない。許してはならない。
('A`)「……油断するなよ、ギコ。こいつは一筋縄ではいかない」
(,,゚Д゚)「……誰に言ってやがる。ユクモの狩人の力を見せてやるぞゴルァ!!」
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大剣というのは、人間の使ってきた武器の歴史において特異な存在である。
武器に求められる性能は、大きく分けて二つ。
【威力】と【リーチ】だ。
効率良く、多くのモンスターを狩るために、人は【威力】を求めた。
傷つかず、無傷で敵を倒すために、人は【リーチ】を求めた。
石斧や石槍から脈々と受け継がれてきた武器の系譜。
しかし、その二つを両立する事は決して出来なかった。
いや、出来なかった訳ではない。
人は【大剣】という形で、そのテーゼに答えを出したのだ。
しかし、それは人の身体には余りに大きく、普通に扱える物ではなかった。
だからこそ、大剣使いは少ない。
(#,,゚Д゚)「いくぞゴルァ!!」
彼は、数少ない大剣使いの一人。 それも一流の。
全身を使い振り回される大剣は、当たらないと分かっているドクオでさえ、迫力を感じさせる。
真っ直ぐ、リオレウスの眉間に叩き込んだ。
堪らずリオレウスは、後ろへと下がる。
ドクオの双剣では、意に介さなかったリオレウスであっても、何百キロの重量を持つ大剣であれば話は別だ。
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('A`)「――♪」
ドクオは、鼻歌でも歌うかのように余裕の表情でリオレウスの懐に潜り込んでいた。
脚と脚の間。
如何な生物でも死角となる絶対的安地。
リオレウスは、異常さに気付く。
自分が、ここまで良い様にやられた事は無かった。
飛竜として、生態系のトップに君臨していた自分を脅かす存在になど遭った事がなかったのだから。
加えて言えば、野性に生きる物が、そのような生物に出会ってしまった時点で、待ち受ける末路は等しく死、なのだから。
しかし飛竜の本能は極限まで、敵に背を向ける事を許さない。
その闘争心こそが、真の飛竜の武器なのだ。
だからリオレウスも負けない。
ブレスを三方向に分けて、吐き出す。
ドクオは、前転する事でそれを回避。
ギコは、自らの大剣でそれを封じた。
透かさず攻勢に移ろうとする。
リオレウスは、その様子を見て一度飛ぼうと翼を広げるが、風を起こすだけで身体が浮上しない。
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('A`)「地に墜ちたな、空の王」
空高く飛びすぎた物の終焉は、その高さ故に陽の光に焼かれると相場が決まっている。
ドクオは、リオレウスから距離を取った。
見極める為だ。
ギコの素養を。
(,,゚Д゚)「ゴルァァアアアアァァ!!!!」
身体全体を捻り、広範囲、高威力で繰り出される凪ぎ払い。
一分の迷いも無く、その迷いが死に繋がると正しく理解している動き。
やはり最初に推し量った通り、ギコの実力はドンドルマにいた凄腕と比べても、なんら遜色ない。
それに、先程のリオレウスの翼を奪った一撃。
あれは、そんな生易しい物ではない。
まず、問題としてリオレウスが低空飛行している状態でギコの場所を通過しようとしなければならない。
それにはリオレウスの行動をある程度支配する事が絶対だ。
そしてギコは、信じなければならない。
ドクオの事を信じ、歯痒い心を押し殺して我慢する辛さ。
それを知ったギコに、もう不安は無かった。
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洞窟の一番奥に居ても聞こえてくる飛竜の咆哮。
聞こえてくる度に、ヘリカルと身を寄せ耐えた。
川‘‘)「……おにーちゃん達、帰ってくるよね?」
(‘_L’)「……あぁ、きっと帰ってきてくれるよ」
ドクオさん達と話している時は、言わなかったが 彼らが敗れれば、それは私達親子の死に直結する。
川*‘‘)「うん!帰ってきてくれるって約束したもんねっ!!」
こんな死が目の前の状態だからこそ、分かる。
自分は、この子にずっと引け目を感じて生きていたんだな、と。
ヘリカルの本当の親を殺してしまった自分。
その罪をいつまでも忘れないように、ヘリカルを引き取った。
だからこそ、この子が自分に向ける純粋無垢な笑顔が眩しかった。
川*‘‘)「ヘリカルねっ!また皆でご飯食べたいっ!!」
忙しく動き回る自分は、きっとヘリカルに随分と悲しい思いをさせてきたのだろう。
私の仕事に付いてきたがったのも、そんな気持ちに気付いて欲しかったからだろうか。
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(‘_L’)「……ヘリカル」
名前を呼び、抱き寄せた。
川‘‘)「……なーに? おとーさん」
( ;_L; )「……寂しかったかい?」
寂しくないはずがないだろう。
それでもヘリカルに、そう尋ねてしまったのは、自分のズルさなのだろう。
否定して欲しい、と。
心の奥底で、それを願うズルさだ。
川‘‘)「ヘリカル寂しくなかったよ!」
(‘_L’)「……ヘリカル」
川‘‘)「おとーさん、お仕事の後は、ぜーたい楽しいお話してくれたし! うん、ヘリカル寂しくなかったよ!!」
涙が止め処なく溢れる。
こんな状況になるまで気付かないなんて。
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私は、ヘリカルを愛していた。
家族として。
愛していたのだ。
( ;_L; )「……愛してるよ、ヘリカル。私の可愛い娘」
先程のズルさを、掻き消すように先に言った。
自分の気持ちを。
川*‘‘)「うん! わたしもおとーさんの事、だーいすきっ!!」
暫くして、戦いも終盤へと移ってきたようだ。
頻繁に聞こえてきたリオレウスの咆哮も、たまにしか聞こえない。
しかし、かなり距離としては近づいていた。
(‘_L’)「………」
この子だけは、なんとしてでも助けたい。
そう祈るばかりだ。
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川‘‘)「くろかみ♪ なーがい髪をのばしてー♪ ほーそい手足はもやしのよう♪ 背にはふたつの刀がひとつー♪ リオの名を持つ金と銀ー♪」
その時、ヘリカルが歌いだした。楽しそうに。
(‘_L’)「その歌は?」
川*‘‘)「ヘリカルね。 おにーちゃんと約束したの! 帰ってきたらもう一回聞かせてあげるねって!」
えへへー、と笑うヘリカル。 なんの疑いもなく彼らの帰りを信じている。
(‘_L’)「……大丈夫だよ、きっと彼らは帰ってくる。ヘリカルの歌はきっと届くよ」
川*‘‘)「うん!!」
薄暗い洞窟の中、ヘリカルの奏でる拙く、それでも暖かな音色は、その中で反響し重なり合い
外の世界に漏れ出した。
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狩人たちの戦局は、緩やかに終わりへと近づいていた。しかし決定打に欠ける。
元々はは翼の一撃で怯んだリオレウスに、ギコの一撃を以って終わらせるはずだったのだ。
ドクオの使う双剣は手数が多いが致命傷には至りづらい。 加えて火を司るリオレウスとの相性も最悪だった。
だからこそ、この戦いを終わらせるのはユクモの狩人であるギコだと最初から睨んでいた。
しかしそのギコも後一撃が出ない。
細かな打撃を与えたところで、空の王の心は折れない。
('A`)「ギコ、このままじゃ埒が明かないぞ」
(,,゚Д゚)「わかってるぞゴルァ! だがこうも動かれちゃー、狙えねーぞ」
('A`)「あぁ、分かってる。一度だけチャンスが来る。恐らく、後5合も俺が切れば、奴は一瞬怯むはずだ。チャンスはそこだ」
(,,゚Д゚)「お前、なんでそんな事……あぁ。もういいぞゴルァ!!!!やってやる!!!!!」
('A`)「決めろ、ギコ」
(,,゚Д゚)「任せろ」
この戦況を長引かせる訳にはいかない。二人はあの少女と大切な約束をしたのだから。
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『くろかみ♪ なーがい髪をのばしてー♪ ほーそい手足はもやしのよう♪ 背にはふたつの刀がひとつー♪ リオの名を持つ金と銀ー♪』
ドクオが斬りかかろうとした時、それは聞こえてきた。
あの暖かな音色。純粋で、なんの悪意にも染まっていない彼女の音。
小さく、密閉された洞窟のなかを反響し、それが拡声器の代わりとなって、確かに二人の元まで届いた。
('A`)「!?」
(,,゚Д゚)「!!」
誰かを願う歌は、誰かを護る力となり
狩人たちに無限の力を与える ヘリカルの想いが歌となり二人の身体に染み込んでいく。
('A`)「……やるぞ」
(,,゚Д゚)「おう」
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ドクオの身体が、紅い風を纏った。
人が人以上の力を出すときに纏う、紅いオーラ。
【鬼人化】というのは、己の心拍数や血圧、全てを高め脳内のリミットを意図的に外して行う生者必滅の技だ。
ドクオの双剣が舞う。圧倒的な速度、圧倒的な手数。一見、球体の様にドクオの回りに金と銀の壁が出来る。
それはドクオの宣言どおり五合目だった。
リオレウスは、堪らないとばかりに身体を捩じらせた。
ギコに与えられた絶好の好機。二人で作り出した最後のチャンス。
限界まで捻り、そこで押し留める。自分のタイミングを計る。ミキミキと、ギコの身体から嫌な音が聞こえてくる。
自分の身体が壊れていくのを省みない、その最大威力の攻撃。
(#,,゚Д゚)「ゴルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!」
【抜刀全開溜め斬り】
その一撃は、周辺に聳えるユクモの巨大な木々をも揺らす程の威力。
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('A`)「……すごいな、これは」
顔の半分が拉げてしまったリオレウス。
(,,゚Д゚)「ハァハァ……」
これこそが大剣の本質。圧倒的威力にして、一撃必滅の技。
-
しかし
-
空の王、リオレウスは倒れなかった。いや、飛竜としての本能が。王としての矜持が、顔の半分を潰され、片翼を折られても倒れることを許さなかったのだ。
もうリオレウスに意識はない。ただ本能のみがリオレウスを動かしていた。
−−−−空へ
もう一度あの青い蒼穹を、自由に飛び回りたい。
('A`)「!?」
(,,゚Д゚)「……おいおい、まじかゴルァ」
リオレウスは飛んだ。折られた翼で。それでも空を飛んだ。
そこが自分の還る場所なのだから。
(,,゚Д゚)「くそがぁ! なんて奴だ!! あんな状態でまだ空に君臨するってのか!?」
余りに神々しいその姿に、ギコは一瞬見惚れるが、それでも自分達がすべきは奴を狩ることだ。
このまま逃げられれば、また一からやり直すことになってしまう。
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『狩りは、最後まで気を抜いてはいけない。上に立つなら覚えとけ』
一瞬の閃光、余りに眩くギコは我慢できずに目を押さえた。
次いで、地面に衝撃が走る。
三度落ちた空の王。
【対飛竜用 閃光玉】
ドクオが最初に用意した勝利のピース。
フィレンクトの許可を得て、拝借した光虫と素材玉を調合して作った物だ。
地に堕ちたリオレウスに止めを刺そうとドクオが近づく。
('A`)「……!! コイツ、さっきの墜落で……」
リオレウスは既に力尽きていた。
翼を捥がれ、顔を潰されてもなお、王の視線の先には空があった。
蒼い、蒼い空があった。
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リオレウスの討伐終了後、ドクオとギコの二人はヘリカルとフィレンクトを無事シルミド村へと送り届けた。
道中、モンスターの襲撃もなく、フィレンクトの傷口も開く事なく、至って安穏な道程だった。
二人きりの帰り道、ドクオとギコはゆっくりと、話をしながら帰った。
(,,゚Д゚)「しかし凄いとは聞いていたが、あそこまでとは思わなかったぞゴルァ!」
('A`)「リオレウスとの事か? 大したことはしてないぞ。結局、最後にアイツを倒したのはお前だしな」
少年のようにキラキラと目を輝かせながら尋ねるギコに、ドクオは頬を掻きながら答える。
(,,゚Д゚)「おぉ! ドンドルマにはドクオみてぇな狩人がうじゃうじゃ居るんだろ?」
('A`)「……そんなに多くはないよ。まぁ、俺より狩りが上手い奴は、両手に余るほど居たが」
やはり、ギコも自分の知らないドンドルマに興味がある。
幾人もの凄腕狩人を排出してきたドンドルマは、ギコ自身文献でしか読んだことが無いが、ドクオの実力の一端を垣間見た今、どれほどの物なのかは予想出来る。
(,,゚Д゚)「聞いた話じゃ亜種って奴らも、ゴロゴロいるんだろ?」
('A`)「……まぁ、居たな。簡単に狩れるような相手じゃないが。 それに世界地図のど真ん中にあるドンドルマは、モンスターの行き来が激しくてな。見たことのないモンスターが、突然表れる事も珍しくなかった」
(,,゚Д゚)「……うぉ、地獄みたいな所だな」
('A`)「まぁな。 だが、それだけ狩人というのは人の尊敬を集める。 ユクモの様に権力や派閥争いなんかは無かったな」
ドクオの答えに、ギコは目を見開いた。
(,,゚Д゚)「お前……知ってたのか?」
('A`)「いや、ユクモに来る前に教えられていただけだ。 確か【狩人派】と【騎士派】だったか。 俺達には、そういう経験が無いからな」
(,,゚Д゚)「確かに、ユクモ以外の者に話して楽しいような事じゃないな。 馬鹿馬鹿しい事だ、人を助けたいと思いつつも、プライドの為に一つになれない」
忌々しそうに、ギコは足下に転がっていた石を蹴った。
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(,,゚Д゚)「前まで【騎士派】の連中もそこまで大きな事はしなかったんだがな。 ロマネスクさんとベーンさんが居なくなって、随分と幅を利かせるようになってきやがった」
('A`)「………」
(,,゚Д゚)「HR6の狩人が居ないギルドに、村人を護ることなんて出来ないってな。 今は、騎士長であるフォックスさんが抑えているから大事になってないが、これから先、フォックスさんが居なくなってしまう事があれば、ただの喧嘩じゃ済まないよーな事態になりかねねぇ」
('A`)「なるほどねぇ」
ドクオが遥々ドンドルマからユクモに招かれた理由。
厳しくギルドで監視していたクルペッコの突然の出現。
フィレンクトに大量に発注された大樽爆弾G。
様々なピースが、組み合わさって一つの答えを示す。 だが、まだ全てのピースが出揃った訳ではなさそうだ。
('A`)「ギコ」
(,,゚Д゚)「なんだ?」
('A`)「見失うなよ。俺達に出来るのは狩ることだけだ。良くも悪くも、な」
(,,゚Д゚)「……おう」
-
―――それに
('A`)「ロマネスクとベーンという偉大な先人を失った今、ユクモを支えるのは、他の誰でもなくお前だ。それを絶対に忘れるな」
(,,゚Д゚)「……おう」
二人の歩く道は、暖かな夕日に照らされ 赤く、輝いていた。
次世代のユクモの大黒柱と、ドンドルマのG。
二人の出会いが、これからこの小さな世界にどれ程の光を生み出すのか。
まだ、誰もそれを知らない。
-
( ^Д^)「私はフォックス騎士長から全権を預かった代理として来ています。 私の発言は【騎士派】全ての発言であると思ってください」
/ ,' 3「………」
化かし合い、騙し合い、この空間で繰り広げられるのは、狩りとは全く無縁の、もっと薄暗く陰湿な物。
/ ,' 3「それで、【騎士派】のボンボンが何の用かいのぉ?」
( ^Д^)「嘘を吐くのも、回りくどいのも、私は好きではないので率直に言いましょう」
嘘つけぇい、と【ギルドマスター】アラマキは聞こえるように言ったが
当の本人は、気にもしないように咳を一つして続けた。
( ^Д^)「率直に言いましょう。あの積乱雲、アレはなんですか」
/ ,' 3「はて、なんの事じゃあ?」
( ^Д^)「誤魔化さないで頂きたい。あの積乱雲、あれはユクモの守り神の出現以外の何物でもないでしょう」
少し苛ついた様子で、口元に常に厭らしい笑みを浮かべた男は言った。
/ ,' 3「なんじゃ、分かっとるじゃないかー」
( ^Д^)「そんな揚げ足の取り合いをしに、ここまで来た訳ではないんですがね」
/ ,' 3「なら、さっさと要求を言わんか小僧」
ここでスカルチノフの雰囲気が変わる。
確かな怒りを、男に向けてぶつける。
しかし男の方も、全く動じない。竜人の怒気に当てられても、だ。
-
( ^Д^)「要求は一つです。【雷狼竜】ジンオウガは、我々【騎士派】が狩ります」
/ ,' 3「はてぇ、今おかしな言葉が聞こえたのぉ。騎士様の仕事は、確か姫さんを護る事ではなかったかのぉ」
( ^Д^)「………」
/ ,' 3「それが、たかだか一匹のモンスターを狩りたい、などと。一体どういう風の吹き回しじゃろぉなぁー」
騎士派が狩りに出る事は、ない。
騎士は、ただ姫の傍らで彼女を護る事だけが、その役割なのだから。
( ^Д^)「いえ、ロマネスクやベーンが健在だった時代ならばいざ知らず。 今、このギルドにはHR6が、ただの一人もいない。そんな貧弱な狩人の皆さんに、ジンオウガは荷の重い話でしょう」
/ ,' 3「ふぉふぉ、チミたちならあの化け物を狩れるとでも言うのかのぉ。こりゃけっさくじゃ」
( ^Д^)「少なくとも、貴方達よりは可能性があると思いますよ。HR6のいないギルドなんて、ただの野蛮な酒飲みの集まりですからね」
/ ,' 3「ほぉ、しかし今はドンドルマから、かのG級を預かっているんじゃが?」
( ^Д^)「……彼はユクモの狩人ではないでしょう」
/ ,' 3「まぁ、そうじゃの」
( ^Д^)「というわけで、アイツは私達が狩ります。あなた方は手出し無用でお願いします」
これはギルドマスターであるスカルチノフの責任だ。
今まで無理やりにでもHR5の狩人を昇格させてこなかった。だからこそ【騎士派】につけいられる隙を作ってしまった。
-
/ ,' 3「まぁ、待てよい」
( ^Д^)「まだ何か?」
/ ,' 3「言い忘れておったわい、ちょっと今から息子の昇級を祝って宴があるんじゃ。小僧も参加していかんか?」
ありありと、男の顔に怒りが表れる。 この竜人は、いつも突然訳の分からないことを言う。
正直言って、男はスカルチノフが苦手だった。
敬愛するフォックス騎士団長の命令でなければ、絶対に断っていただろう。
昇級というのは、以前に聞いていたベーンの息子であるブーンとかいった狩人の祝いか。
( ^Д^)「すいませんが、我々も忙しいのでね。それなら今日のところは挨拶だけして帰らせていただきます」
/ ,' 3「ふぉふぉ。そうか、挨拶してくれるか。では、紹介しようかの」
は? という疑問符が男の頭の中に湧いてきた。ただの宴ではないのか。
『おーい、騎士派の方に挨拶しろーい』
『わかったぞゴルァ!!!!』
そして二人の男が入ってくる。
一人はよく見知った顔、均整の取れた筋肉に、すらっと伸びた長身。妬ましいほどに整った顔。
もう一人は独特、陰鬱そうで、ひょろっとした男。
(,,゚Д゚)「久しぶりだな、プギャー」
('A`)「……」
-
/ ,' 3「紹介しようかのぉ、先の検定で晴れて“G”となったギコ=ストッドウッドじゃ」
プギャーの頭は混乱に陥る。今、竜人はなんと言った。Gだと。
HR6にもなっていなかったギコが伝説に唄われるG級になっただと。
(#^Д^)「なっ、何言ってやがる!!! そんな飛び級、認められるわけがないだろーが!!!!!!」
/ ,' 3「ふぉふぉ、これは正当な昇格じゃよ。本来、HR6の狩人に認められて初めて昇級できるものじゃが、今回はこの男。ドクオにそれを依頼した」
('A`)「あぁ、俺は許可したぞ。ギコには十分な素養もあり、向上心がある。いつまでも既存のHRに縛り付けていては、成長を損ねるからな」
そうか、この男が噂に聞いていたG級。ドクオ=ウェイツーか。
/ ,' 3「ふぉふぉ、それを儂が了承したのじゃ。文句あるまいに」
つくづく憎憎しいジジイだ。
(#^Д^)「だが、HR6になるにはフォックス卿の了承も必要になるはずだ!!!!!」
/ ,' 3「ふぉふぉふぉ、なにを寝ぼけたことを言うておるんじゃ。もう貰ったわい」
(#^Д^)「なに!?」
スカルチノフは、口角を吊り上げ嘲笑うかの如く言った。
/ ,' 3「祝ってくれるんじゃろ? “フォックスから全権を受けた”チミがのぉ」
(;^Д^)「!?」
-
/ ,' 3「竜人を舐めるなよ、小僧」
-
(,,゚Д゚)「じじい、本当によかったのか?」
/ ,' 3「ふぉふぉ、問題あるまい。ドンドルマのGからお墨付きまでもらっとるんじゃからのぉー」
ギコ自身、思うところはあった。事情が事情なだけにHR6には早急になりたいと思っていたが、まさか“G”になるとは思ってもみなかったのだ。
/ ,' 3「形式なんぞない、前例がないからのぉ。ドクオ、“誓いの儀”は任せたぞい」
('A`)「あぁ、俺の時も適当だったからな。さてギコ、覚悟は良いな」
(,,゚Д゚)「おう」
-
−−−−汝 人を護る盾として その身尽きるまで 命を燃やすと誓うか
『誓うぞゴルァ』
−−−−汝 和を以って 人を愛すると誓うか
『誓うぞゴルァ』
−−−−汝 この誓いも以って 自分を愛すると誓うか
『・・・・・・誓うぞゴルァ』
('A`)「その誓い、確かに聞き届けた。 今日、今より 我ドンドルマの狩人ドクオ=ウェイツーの名に於いてギコ=ストッドウッドをGへと謹んで推薦する」
/ ,' 3「了承したぞい。精進せい“Stubborn”ギコ=ストッドウッド」
('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです 4話 END
To be Continue……
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超乙!!
面白かった!
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よかったよ
ありがとう
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今日の投下はこれで終了となります。
拙い文章ですが楽しんでいただければ幸いです。
質問がありましたら、いつでもこのスレッドにて尋ねてください。
これから少し、この話のこれからの展望と自分の感想について書いていこうと思います。長くはなりませんが読み飛ばしていただいて結構です。
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乙!
ドクオの台詞がいちいち格好良くて困る
-
乙
熱いな
-
ではでは、少し自分が感じていることなどについて書いていこうと思います。
まず、この話が何話で終わるかについてです。
自分としては、今までの話自体、導入部に過ぎないという考えを持っています。
というのも、元々この話自体がジンオウガ編までで前編という構成になっているからです。
つまりまだ折り返しにも辿り着いていないわけです。物凄い不安ですが、モチベは皆さんがくれたレス等を見て維持していくつもりです。
もう少しお付き合いください。
-
どのモンスターまで狩る予定?
龍属性の解釈を自分なりに教えて
-
次にドクオが強すぎる件について。
これは本当に悩んだのです。MHFと2ndGの舞台となるドンドルマ。3rdの舞台となるユクモ村。
この二つに登場するモンスター達には誤魔化し切れない力の差があります。
それを表現するためにも、ドクオには強すぎるほどに強くなってもらいました。
実際問題MHFの武器と防具を持って3rdに乗り込めば、三日で世界の半分を手に入れられるレベルです。
-
>>422 どのモンスターまで狩るかは明かさないでおきます。
ただ、ユクモ村には存在するはずのないモンスターが登場する予定はあります。 これは、この話を書き始めた当初から考えていた事でした。
【龍属性武器】についてですが、自分としては『伝説、又は架空の武器』として扱おうと思います。
例えば、虫素材で作れる双剣で双曲剣ロワーガという武器があります。
何故虫素材から龍属性?という疑問に、自分は答える事が出来ません。
だからこそ【存在するか定かではない】という形でぼかそうと思います。
-
だからこそ、まだまだ未熟なブーンやギコに焦点を当てた話をこれからも書いていこうと考えています。
この話自体、全てドクオ視点で進めていけばなんとも淡白な話になっていたと思います。
色んなPSを持つ人がいてこそ楽しいモンハンですから、その辺りはご了承ください。
-
それでは、今日はこの辺りで。ジンオウガ編が終わった時にはもう少し話せることも増えていると思います。
独自解釈満点の、一見「これってモンハン?」と思われるようなお話ですが、お付き合い下されば幸いです。
また空白の期間、大変申し訳なく思ってました。
それでも今日、この話を読んでくれた方々。これからこの話を読んでくれる方々には最大の謝辞を遅らせていただきます。
ありがとうございました。
では、また逢いましょう。予告はしませんが書き溜め状況の報告にはまめに参ります。
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>>1乙 これはポニーテール云々
リオレウスかわいそす(´・ω・`)
もう狩れなくなっちゃうじゃないか。ただし銀レウスてめーはだめだ
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モンハンやった事ない俺でも楽しんで読める
完結まで読みたいから焦らずマイペースでやってくれい
乙でした!
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更新されてるじゃないか!!
今から読んでくる
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乙ー
これ見てレウスを100以上殺したことに罪悪感が……
だ、だってあいつ紅玉落とさないんだもん
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空の王者(笑)がちゃんと王者してる、カッコいいわ
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Gにはランクあるのかな?
しかし面白い
-
>>432 Gにランクはありません。
G級>>>>>>越えられない壁>>>>>>HR6という事だけ認識してもらえれば結構です。
ただ強ければG級になれる訳ではない、という話も後々に話の中で記述したいと思います。
メタっぽい話となりますが、ユクモのHR6はドンドルマ(MHF)でいう所のHR200前後だと解釈しています。
MHFにG級はありませんが、恐らくHRで例えるならばHR500オーバーになるかなと思います。
-
乙!
荒巻△
-
やっぱ設定資料集とかもってるのかな?
もってるなら何もってるか教えてほしい
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>>435 設定資料等は持っていません、3rdや2ndG、MHFをやってるくらいです。ある程度はゲーム内に書かれているので、それを見て妄想して無理のない程度に抑えて、という感じですね。
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おもしれえwww
この作品のファンになった
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乙! あいかわらず安心のクオリティ
そして誤字
>336
× 住みかを替えざろうを得なかった
○ 住みかを替えざるを得なかった
誤字というか誤用なのかね、こういうの。
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>>438 訂正ありがとうございます。自分はかなり大雑把な性格をしているので、このように指摘頂けると大変助かります。
今回は友人に推敲してもらっていないので。
【書き溜め】について
・5―2まで書き溜め完了
・五話が何部構成になるかは不明 ただ今回こそ短く終わらせたい しかし短いとモンスターと戦わないという事態になりかねない
一部書き終えれば、その都度投下というのも考えているのですが
全部書き終えてから伏線となる部分を書き加えていく自分のやり方では、それは困難だと理解しました。
全て書き終えるまで、気長にお待ちください。
-
無理に早くする必要はない
俺は質の良い作品を読みたいんだ
-
お疲れ様です
待った甲斐があった!そう思わせてくれるお話でした。
今後も頑張ってください!
後、一区切りついたら、アイルーや('A`)とのほのぼの番外編なんかも読みたいな
-
地の文は1行詰めてくれれば見やすい
視点が一人称に変わったのが分かりづらいし、
リオレウスの最期のような、行間があるほうが余韻が出る部分の印象も薄くなってる
こだわって一行空けてあるなら、その辺工夫してくれ。
-
>>442 ご指摘ありがとうございます。
四話の改行が、一行と二行に統一されていないのは、潰れてしまったPCのメールを別のPCに移動した際の不具合の為に元々“一行”だったのが“二行”になってしまいました。加えて、新たに書き足した部分は一行という、カオスな状態に。次回から一つのPCからの投下なので問題無いと思います。
一人称と三人称の混在については、自分としても常々苦心している事でもあります。これについては、>>1の努力次第という所で、これからの話で皆様に改善していく所を見てもらえれば、と思う所です。
又、読んで頂いた方は、分かっておられると思いますが、毎回地の文の書き方を変えているので 新しい話を読むたびに印象が変わったりする事もあるかなとも思います。
違和感に感じられる事もあるかと思いますが、何分初めての戦闘モノ故、暖かく見守っていただけると嬉しいです。
また皆さんの感想、本当にありがたく読ませて頂いております。
確実に書き溜めの活力となっていますので、その分次回の投下でお返しできるように頑張りたいと思います。
―――書き溜め状況―――
・5―3途中まで書き終わり 文量的には三話と同じくらいになりそうです
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俺は文章には不満点は無いが
風呂場でのお色気シーンはまだか?
-
>>443
行と行の間を空けないでほしいってことでしょ
こんな風に
>1と>443だと見やすさがずいぶん違う
視点が変わったところはもっと行を空けるか、文頭を下げればいいかも
-
>>445 あっ、詰めた方が良いという事でしたか。 それは少し厳しいかもしれないです。とりあえずは意識して書くという報告でいこうと思います。
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意識せんで気楽にやっていけばいいと思うよ
今のままで十分見易いし
作者に何でもかんでも要求しても、期待に応えようとして必死になって
いつもの作者のペースを崩しかねない
-
>>446
こだわりあるなら好きにしてくれていいよ
>>445
解説thx
-
書き溜めも大分進みました。後、二、三日もすれば書き終わると思います。
文量は……察してください。結局そこまでスリムにはなりませんでした。
後二、三話で新章に入れると思うので、早くそっちを書きたい気持ちで一杯です。
-
これは楽しみ
-
パンツ脱いで待ってる
(混浴的な意味で)
-
色々と試行錯誤し続けた結果の五話です。従来の表し方で言えば5―2までの投下ですが、思うところがあり、構成を一新しました。
それにより残り予定話数に大きな影響がでますが、話数が変わるだけで、話の内容には変化はありません。
-
●('A`) ドクオ=ウェイツー
人間
26歳 【称号:ドンドルマの英雄】
HR:6
所属猟団:無所属
使用武器:コウリュウノツガイ(双剣)
防具:ナルガXシリーズ
現在地:ユクモ村
●(,,゚Д゚) ギコ=ストッドウッド
人間
26歳 【称号:Stubborn】
HR:6
所属猟団:荒鷲団
使用武器:ハイジークムント(大剣)
防具:レウスSシリーズ
現在地:ユクモ村
●ζ(゚ー゚*ζ デレ=ツンデレート
人間
21歳 【称号:無し】
HR:4
所属猟団:ユクモギルド
使用武器:フロギィリボルバーⅢ(弓)
防具:マギュルSシリーズ
現在地:ユクモ村
-
●( ^ω^) ブーン=ホライゾン
人間
19歳 【称号:無し】
HR:2
所属猟団:無所属
使用武器:デッドリボルバー(鎚)
防具:アロイシリーズ
現在地:ユクモ村
●ξ゚⊿゚)ξ ツン=ツンデレート
人間
19歳 【称号:無し】
HR:2
所属猟団:無所属
使用武器:ジャギットファイア
防具:ジャギィシリーズ
現在地:???
-
●(*゚∀゚) ツー
獣人族(アイルー)
?歳 【称号:???】
使用武器:【旗本】ネコ合戦旗(剣斧)
兜:旗本ネコ【陣笠】覇
鎧:旗本ネコ【胴当て】覇
現在地:ユクモ村
-
力があれば何でも出来るんだ。
金だって、その辺りの飛竜を捕獲して好事家にでも売れば手に入る。
女だって多少強引に連れ帰っても文句を言わない。
でも結局、一番大事なモノは手に入らない。
そういう風に出来てんだよ、この世界は。
―――One Shot Killer ジョルジュ=ランドロ―――
-
見通しの良い平原。草花が咲き誇り、一歩一歩移り行く景色。
吟遊詩人によって唄われた、世界と世界の繋ぎ目。
【スペランツァ平原】
そこに二人の姿があった。
戦いとは無縁の、この世の極楽のような場所に、鎧姿のその二人組は酷く不調和だ。
(;゚∀゚)「ショボン、そろそろ変わってくれよー。もう手がボロボロだぜぃ」
(´・ω・`)「んー、まだ約束の距離まで達してないよ。もうちょっと頑張ってね」
引き締まった小柄な身体付き、荷車を押しながらヘナヘナと憔悴した声を出しているのが、ジョルジュ=ランドロ。
荷車の上で大仰に胡坐を組んで、チビチビと竹筒から酒を飲んでいる大柄の男をショボン=ライコネンという。
-
(;゚∀゚)「つーか、なんでこんな大荷物なんだよー。 重いったらありゃしねぇ」
(´・ω・`)「その質問、この旅を始めて38回目だよ。 いい加減に学習したら?」
この二人が運んでいる荷物。確かに、二人分の着替えと考えれば大きすぎる。
それでこそ、行商人のような大きさの荷物をガーグァも使わず、たった一人でここまで運んでいるのだ。
(;゚∀゚)「あーっ!! 余りの重労働に俺様の指がああぁぁああああ!!!!!」
(´・ω・`)「君の指がぶっ飛んでるのは、元々だろ」
( ゚∀゚)「……ちぇー。ちょっとくらい、構ってくれたって良いだろうによー」
見ると荷車を押す方の男には左手の薬指と小指が無かった。
傷口の縫い方は複雑。刃物で切り落としたというより、火薬で爆散したようだ。
(;゚∀゚)「こう暑いとよー、馬鹿になっちまうぜ」
(´・ω・`)「それも元々だよ」
テメェ、ショボンという怒鳴り声が響いた。
そして荷車を押していた男は、それを
(´・ω・`)「全く馬鹿力だね」
なんと持ち上げたのだ。荷車だけで百キロ、積み荷も含めれば三百キロ近いそれを。
-
(#゚∀゚)「自虐に冷静に突っ込まれんのが一番腹立つんだよ!」
この細い腕のどこにそんな力があるのか。人体の不思議である。
(´・ω・`)「……」
( ゚∀゚)「あァ? どうにか言ったらどうなんだよ」
(´・ω・`)「いや、少し驚いたんだよ」
少しどころの話では無い。この小柄な身体で自分の何倍もの大きさを持つ荷車を持ち上げたのだ。地球の物理法則に真っ向から喧嘩を売るような物である。
( ゚∀゚)「ハッ、嘘つけぃ。こんなんで驚くお前かよ」
(´・ω・`)「いや、君が自覚を持った馬鹿だという事にさ」
(#゚∀゚)「テメェ、やっぱぶっ殺す!!!!」
奇天烈奇妙な二人の旅は、まだまだ続く。
それは二つの物語。一足先にユクモに辿り着いた一人の狩人と、それを追い掛ける二人の男の物語。
('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです
第五話
-
秋雷が鳴り響くユクモ。時は夜半。もう村人の殆どは、毎年恒例となっている収穫祭に向けて床に就いている。
人の生活は火と共に有り、火は光を生む。
真っ暗になったユクモ村の中で一軒だけ、酷く異質な建物があった。
少し近づいてみると、その中から聞こえてくるのは飲めや歌えやのドンチャン騒ぎ。
中を覗いてみると、そこにいるのは全て屈強な体付きの人間だった。
一抱え程もある樽酒を持ち、字の如く浴びる様に飲む。
陽気に歌い、上機嫌に踊る男達。
それを面白そうに、一歩退いて眺めている女性陣。
そんな中、明らかに一ヶ所だけ温度の違うテーブルがあった。
ドクオだ。
('A`)「亭主、アプケロスの炙りとハコビールを頼む」
注文を受けた亭主は、何も言わずにカウンターの奥に消えた。
ドクオは注文した料理が来るまで周囲をグルリと観察したが、何かの祝いの席なのだろうか。豪華絢爛な皿が並べられたテーブルに、数十人の人間が掛けている。
-
(*-∀-)「にゃー、今日はギコの昇級祝いだニャー」
('A`)「何時の間に乗ってるんだ」
何時の間にか、頭の上に図々しく座っていたツーが答えた。
('A`)「……どこの世界でも、狩人は祭りが好きだな」
(*゚∀゚)「ただ騒ぎたいだけだニャー」
こうして見ると、普段は村人の槍としてユクモを支える狩人も、ただの飲んだくれだ。
('A`)「ところで、そこの隅で酔い潰れているのは主賓のギコ君ではないのかな?」
(*,,ーДー)「むにゃむにゃ……」
(*ー∀ー)「……なんでうちのギルドには、バカしかいないのかニャー」
雷光虫の提灯に照らされた室内。その部屋の中でも薄暗い隅に、今日の主賓であるギコ=ストッドウッドが転がされていた。
随分飲まされたようで、顔を真っ赤にして涎を垂らしながら、眠っていた。
-
( ^ω^)「ギルド待望のHR6だからだお! 皆、嬉しいんだお!」
(*゚∀゚)「おー、うちのバカ筆頭が来たニャー」
( ^ω^)「言葉の暴力って知ってますかお?」
(*ー∀ー)「心の病院にでも行ってこいニャー」
ブーンは、今でもドクオの元に鍛練に来ていた。その関係で、ブーンとツーの関係にも、少し変化があった。
( ^ω^)「ツー様、そう言えば妹様がギコさんのオトモになるらしいですお」
(*゚∀゚)「ニャー、しぃがニャー。あの子はアタシと違って出来が良いから、きっと尽くすニャー」
ドクオに懐いているツーだが、ユクモにいる他の狩人とは比較的距離を置く嫌いがあった。
しかし、ブーンとは最近よく戯れ合っている。
優秀なオトモであるツーにとって、更に優秀であるドクオの傍らは、一匹のアイルーとしてはひどく居心地の良い場所ではあるが、オトモとしては少し物足りない所がある。
その点、まだまだ伸び盛り。悪く言えば経験不足であるブーンは、可愛い弟子のような感覚である。
-
('A`)「そういえばブーン、ツンは一緒じゃないのか?」
( ^ω^)「お、今日は一緒じゃないお。最近、夜はどこかに出掛けてるみたいで、飲みに誘っても全然取り合ってくれないんだお」
ブーンは少しつまらなそうに、空けたグラスをクルクルと指でなぞった。
('A`)「こんな夜更けにか? 面倒な事じゃなければ良いんだがな」
( ^ω^)「そんな心配する事じゃないお! ユクモに、ツンデレ姉妹に手を出せる人は居ないお」
そう言われてみると、ツンは、あれだけ美人なのにブーン以外の男性と話しているのを見た事がないな、と気付く。
('A`)「それはツンの近くに、いつもブーンが居るからじゃないのか?」
フルフル、とブーンは首を振る。
( ^ω^)「……ドクオは、ユクモに来て長くないから、あの二人の恐ろしさを知らないんだお」
('A`)「ん、どういう事だ?」
どことなくブーンの表情が暗い。というか、二の腕を擦りながら震えている。
-
( ^ω^)「……ユクモはお国柄、裸に抵抗を感じる人が少ないんだお。 そりゃ毎日の様に皆で温泉に入ってるし、衝立て一枚で男女が区切られてるだけの浴場だって一杯あるんだから仕方ないんだおね」
('A`)「ふむ」
( ^ω^)「……一度、それを良い事に、ツンの裸を覗こうと衝立てを蹴り飛ばしたバカが居たんだお。 事故っぽくすれば、誰も今更何も言わないと思ったみたいだお」
('A`)「……それで、どうなった?」
( ^ω^)「……三回瞬きする間に、三十発の拡散弾が飛んで来たお」
(;'A`)「………」
ドクオは絶句した。大型飛竜の討伐によく使われる拡散弾を三十発。
冗談では済まないレベルだ。
( ^ω^)「調合分も合わせて、何の躊躇もなく撃ったんだお。流石にボクも退いたお」
-
(;'A`)「よく死人が出なかったな、それで。中型モンスターなら即死レベルだぞ」
( ・∀・)「ははは、流石にあの時ばかりは私も死ぬかと思ったがね。あっ、ブーン君。そこのツマミ、食べないなら私が貰おう」
('A`)「ん……」
何時の間にか同じテーブルに腰掛けていた男。ドクオに気取られない隠密。そして身のこなし。
只者ではない。
( ・∀・)「初めまして、ドクオ君。私はモララー、しがない鍛冶屋の倅だ。よろしく頼むよ。ブーン君、はやくツマミを寄越しなさい」
( ^ω^)「……モララーさん。ちょっと外でお話しましょうお」
(;・∀・)「やっ、やめてえぇぇええ!!摘み出すのはやめてえぇぇええ!! ツマミだけにね」
ツーは頭を抱えていた。驚いた風に見えないのは、この男、モララーにとって、このようなやり取りは日常茶飯事という事だろう。
一方、ドクオは背後の双剣に無意識のうちに手を伸ばしていた。
(*゚∀゚)(ドクオ……流石にそれは突っ込みのレベルを越えてるニャー)
-
( ・∀・)「いやいや、取り乱してしまったね。失礼した。 一度、ドクオ君と話をしてみたかっただけなんだ」
('A`)「いや、構わないが。モララー、と言ったか?」
ドクオとモララーは、落ち着ける様にテーブルからカウンターへと席を移した。
( ・∀・)「いやはや、人と話す事が少ないのでね。緊張を和ませるためだったんだが、少しやり方を間違えてしまったか。改善せねばな。 そうそう、私の事は気軽に“モララー様”もしくは“モララー閣下”で構わないよ」
('A`)「さらっと言うな。モララーも狩人なんだな。背中のソレ。見た事のない形状の武器だが、剣斧か?」
モララーの背に収められた武器。一見、そこまで大きく見えないが、よく見ると二つ折りになっている。
単純にそれの二倍の大きさと考えれば、かなりの物だ。
( ・∀・)「ご明察だ。これはユクモ発祥の武器、【剣斧】スラッシュアックスと言う。見かけによらず、重量は大剣並みでね。じゃじゃ馬だよ」
ほう、とドクオは興味深気に目を細めた。
今更双剣以外の武器を使う気はないが、やはり狩人として未知の武器という物には興味があった。
-
( ・∀・)「ふむ……君は物好きな人間だね。新開発の武器なんて、普通の人間は見向きもしないだろうに」
武器には、それぞれの長所があり短所がある。その特性を知り、理解する事が優れた使い手となる方法だ。
狩人の歴史を身近に見てきた竜人達の間で、しばしば議論される話題がある。
【古今東西、最上の狩人は誰か】
この話題自体、もう既に出尽くした感のある物であるし
その上、ここには書き切れない程の問題と矛盾を孕む議題である。
だが、その矛盾こそが議論をヒートアップさせる。
しかし結論として、毎回導き出される答えとして
【武器の扱い】については、間違いなく“過去”よりも“現在”の狩人の方が優れているという物がある。
過去の狩人達が積み重ねてきた武器との関係、それが脈々と現在まで受け継がれてきた。
ここにいるドクオ、ギコ、ブーン、その全員に確かに流れている血。
それこそが“現在の狩人”が持ち得る“過去の狩人”に勝る点である。
-
しかし、この未知数の武器。剣斧には、その経験が無い。裏付けが無い。
だからこそ狩人達は、新たな武器を忌遠する。
( ・∀・)「これはね、うちの鍛冶職人達が開発した武器なのだよ。持ってみるかい?」
('A`)「良いのか? じゃあ、少し拝借」
モララーから手にした剣斧を片手で受け取る。
('A`)「……重いな。かなりの重量だ」
( ・∀・)「それでもうちの職人達が苦労して大分軽量化したんだがね。 まぁ、その武器の特性上これ以上の小型化は望めないのだけれど」
二つ折りの状態で、この重さ。これが剣斧となり振るうとなれば、片手では厳しいだろう。
('A`)「ありがとう、なかなか興味深い武器だ。まぁ、玄人向けの武器という感じだな。少なくとも、これを充分に振るえるだけの筋力を付けるには、それなりの努力と歳月が必要のようだ。
それに、この瓶もなかなか面白い。武器特有の属性に加えて、この瓶で更に属性を付与する訳だな」
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( ・∀・)「素晴らしい!G級というのは武器に関しても深い造詣が必要なのかね?」
('A`)「そんな物は必要ない。この複雑過ぎる機構の意味を少し考えれば分かるよ」
ドクオは、ハコビールの入ったグラスを傾けた。麦芽やホップ等を発酵させて作られたそれはキレのある味が特長である。比較的アルコール度数も高くなく、狩人達の間では水代わりとしてよく飲まれる。
('A`)「それで、その武器を俺に見せにわざわざ来た訳ではないんだろ? そろそろ聞かせて貰いたいな。その理由」
( ・∀・)「ふむ……。君は少し自意識過剰な性格をしているらしい。 君に話し掛けたのは純粋な私の興味だよ。
無双と謳われるG級の狩人が、こんな間近にいるんだ。話してみたい、と思うのも無理からぬ事だろ?」
少し間を置いて、モララーは更に付け加えた。
( ・∀・)「でも、そうだね。敢えて今君が問う質問に答えるならば
『あの純朴な狩人を変えた者』に興味が湧いた、と言っておこう」
未だに床で気持ち良さそうに寝息を立てているギコ。その顔をゲシゲシと蹴りつけつつ、モララーは楽しげに答えた。
( ・∀・)「これとは幼馴染みでね。この村の誰よりも彼の事を理解していると自負している。 私も彼の心意気に関しては、思うところがあってね。ただ私自身の力では、どうする事も出来なかったのだよ」
('A`)「ほぉ……」
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( ・∀・)「あの“死にたがり”なギコ君に、いつか一発お見舞いしてやろうと画策していたのだが、いやはや先を越されてしまったよ」
('A`)「別に。俺とコイツは狩りを共にしただけだよ」
―――それだけで心の柵を取り払う、というのは凄い事だと思うのだけれどね
モララーは、楽しげに笑ってグラスに残りを一気に呷った。
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( ^ω^)「おっ、モララーさん。もう帰るんですかお?」
( ・∀・)「うむ、もう用事は済んだよ。 あぁ、そうそう。ブーン君、HR昇格おめでとう。お祝いがまだだったね、ツン嬢にも伝えておいてくれ。
私が彼女の前に現われると拡散弾の雨霰を見舞われる事になるから」
( ^ω^)「そう思うならセクハラはやめて下さいお。宥めるボクの気持ちにもなってください」
( ・∀・)「ははは、それは君にしか出来ない崇高な仕事だろう。まぁ、考えておくよ。では、失礼する」
ユクモ随一の馬鹿であるブーンに馬鹿と言われる男、モララー。
(;^ω^)「はぁ……ヒヤヒヤしたお。あの人、なにを考えてるのかちっとも分からないから不安なんだお」
('A`)「そうか? 俺と話している時は、そうは見えなかったがな」
二人で飲み直そう、とブーンがドクオのカウンターに座った時、それは起きた。
騒めき立つ酒場。
その元凶。
ζ(゚ー゚*ζ「こんばんはー」
デレの登場である。
-
ここが普段の酒場であれば、皆顔をほっくり笑顔にして彼女を暖かく迎え入れた事だろう。
しかし、ここは普段の酒場ではない。
何人かの新米狩人は、余波を恐れて我先にと店の外に逃げ出した。
ブーンが今の現状を正しく理解するまで、時間は掛からなかった。
( ・∀・)「やぁ!! これは我が麗しのデレ嬢!! ご機嫌如何かな?」
今の危機的状況を理解したブーンの顔には脂汗が滲んでいる。
( ^ω^)「……あれ?あるぇ〜〜?」
(; ゚ω゚)(まっ、まずいお! これはとんでもなく不味い事になったお!! 逃げ道は、あの入り口だけ。そこに行くにも、絶対にあの二人の前を通らなくちゃならないお!!)
いきなり震えだしたブーンに、きょとんとするドクオ。一体何を震えているというのか。
('A`)「ブーン? どうしたんだ、体調が優れないなら送るが?」
(;^ω^)「ちっ、違うんだおっ! ドクオ!今ボク達は限りなく死地にいるんだおっ!!」
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ブーンの尋常ならざる様子に一応真剣に話を聞いてみよう、とドクオは居住まいを正した。
('A`)「ふむ。それは一体どういう事だ?」
(;^ω^)「モララーさんとデレさんを合わせると……ひぃっ!!!」
ブーンが話している最中、何かが飛んできた。それは、二人の座るカウンターを軽々貫通し、恐らくこの店で最も堅いであろう鉄鋼石製の床に突き刺さり止まった。
('A`)「……貫通矢?」
( ^ω^)「あぁ、何もかも終わったお……さよならボクの人生」
カウンターの席で不思議そうにキョロキョロする男と、何もかも諦め突っ伏す男。
そしてもう一つ、その二人とは対照的に一触即発の雰囲気を出す二人が居た。
(;・∀・)「あははー、デレ嬢は相変わらず照れ屋だね」
ζ(゚、゚*ζ「………」
モララーとデレである。
デレに至っては、フロギィリボルバーを抜き取り、油断なくモララーに向け構えている。
( ・∀・)「大体だね、デレ嬢。『おっぱいを揉みしだかせて欲しい』という私の願いは、そこまで君の怒りを買う物なのかな?」
何言ってんの?コイツ、という周囲の目を気にする事無く飄々と尋ねるモララー。
デレは無言で矢をつがえた。
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