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−神様立候補−
4
:
ムツ
:2012/12/30(日) 15:21:11 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
−神様立候補− −第二ノ部−
神社の本堂裏に現れた男女二人の人影。男女共に綺麗な顔立ちをしている。
男のほうが女の前を数歩前に出て、薄暗い本堂裏を見渡す。しかし今そこにあるのあるのは、静かに横になっているペットボトルだけ。
「……約束の場所は、確か此処だったわよね…?皆もう行っちゃったのかしら……」
女が半目閉じられた瞳で小さく呟くと、男は「どこに?」と無愛想に聞き返した。
「………二次会……?」女の凛とした声を聞いた男は小さくため息づいた。
「律が俺たちを置いて二次会なんか行くわけないだろ……。何かに巻き込まれたんじゃ」
「っお!冷ちゃんに涼介じゃぁん!!」
男の声が途中で途絶え、逆に違う男の愉快そうな声が聞こえた。女は振り返り声を主を見つめる。
「…貴方たち……何処に行ってたの…」
女が聞くと、「何処って…買出しだけど……。律に聴かなかった?つか律は?」と一人の男が両手に握られた白いビニール袋を自分の顔前まで置き、見せつけて言う。
「その律は一体何処にいるんだ……。見た限り何処にもいないが…」
男がそう言うと、手を下ろして「っは?!嘘だろ?!」と驚いたような声を出す。だが、律のいない今の現状を見せてその驚きは他の物にも伝染するように広がる。
「………探しましょう。…まだ近くにいるかもしれないわ……」
女が言うと、全員少しの戸惑いを見せながら「分かった」と賛同の言葉を発してそれぞれどこかに散らばる。なかには携帯で律に電話する者もいるが、繋がらないようで五回以上コールを聞くと即携帯を切った。
律は電話をかけたら五コール以内には必ず出るという主事がある。
男と残った女は、薄暗い本堂裏に足を止めず入り込む男の背中を静かに見つめる。
「…何処に行ったのかしら律君。……帰ったなら良いとして…。もし何か事件に巻き込まれていたら…」
「大丈夫だ…。アイツは鼻だけは良いんだ…。不味いと思ったらすぐに俺たちに知らせる…」
男…三木−涼介(みき−りょうすけ)は地面に転がったペットボトルとキャップを拾い上げて頭の中に律の顔を浮かばせる。その姿を見て、涼介の姉の女…三木−冷夏(みき−れいか)は半目の瞳を下に向けた。その瞳には、先ほどの皆んなが邪魔だと思って置いていった買い出しの白いビニール袋の中に入った屋台のものだけが入った。
5
:
ムツ
:2012/12/30(日) 16:44:58 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
−神様立候補− −第三ノ部−
律は少しだけ開かれていた目を少しづつ開いていく。真っ白だ。
首を左右に振っても目に映るのは白。これこそ白で統一された世界。白以外にあるのは、自分の着ているものだけ。黒いトレンチコートとマフラー、ズボン、灰色の服に少し焼けた自分の肌。それだけが今この世界で白を思わせないものだった。
むくりと上半身を上げれば何か見えるかと思ったが、目に見えるのはあいも変わらず白一色。何だ此処…?そう思いながら、先ほどまでのことを思い出す。
(…ん〜……。確か本堂裏にいて…。茶を飲みながら冷夏たちを待ってたら…)
そこまで思い出したが、それからの出来事を思い浮かべて思考を止めた。覚えてなかったからだ。
「…スゥ―――……」
味のない空気を胸いっぱいに吸い込む。そして
「誰かぁ――!!居ねぇのかぁ―――!!!」
叫んだ。しかしその言葉に返事を返すものは誰もいない。響くでもなく、その言葉はどこかに消えて行ってしまった。
何処なんだ此処。思いながら立ち上がる。足を立たせているその場所が地面かどうかもわからなかったが、前に歩めることだけは確かだ。
一歩一歩軽い足取りで前に進む。顔をキョロキョロさせ辺りを見るが、見えるものは何も無い。
「……一体どこなんだよ此処…」
急に不信感と恐怖心が込み上げてくる。云い年こいて泣いてたまるかという気持ちが逆に、涙を瞼に溜まらせる。冗談じゃねぇ!そう思い必死に涙が溢れる前に、目をかく。
「…………マジで此処……」うつむき足と腹に力を込める。
「何処なんだぁ――――――!!!?(怒」
叫んでも響くことすらない。逆にそれが虚しくて、無力としか思えない自分が嫌になる。
っが、今度は逆に返事があった。
《うるさいぞ、貴様ぁ〜…》
欠伸混じりのその声は聞いた限り老人のものだ。聞いた瞬間は驚いた律だったがすぐに我に返り
「っだ、誰かいるのか!?」
と叫ぶ。すると、また老人の声が返ってきた。
《なんじゃぁ〜…。貴様何者じゃぁ〜……。…なぜ儂の‘世界’に処るのじゃ…》
老人の声がそう言うと、「世界?」と律は聞き返した。
《ん?なんじゃ、もう一年開けておったんか!?何故、もうちと早く起こさんかったんじゃ!》
老人の声がそう言った瞬間、律の目の前から強い風が立ち上がる。驚いた律は咄嗟に顔の手前に腕を重ねる。腕と腕の間から目だけを覗かせ、何事かと風を見る。白い風はどんどん竜巻化していき、一層強い風が吹いたかと思うと竜巻は止まり、そこには着物を着た白髪の老人が棒状の何かを持って眠たそうに立っていた。
「――――――――――っあぁ゛?」
「…ウムッ。一〇〇年振りの実体化は流石に久しぶりじゃのぅ〜…。して、貴様は神試験の実習者かのぅ〜…?」
突然現れた老人は律を見るや否や意味の理解しがたい言葉を口にする。
「さて、それでは説明しなくてはのぉ〜。おい、貴様。そこに直れ…」
老人は持っていた棒状のものの先を律に向ける。しかし律は直るどころか、只ポカンと口を当てて老人を見ることしかできなかった。
「……さっさと直らんか小童(こわっぱ)!!」
「痛っ!!?」
律は老人が持っていた棒状のもので頭を強く叩かれた。
頭を抱えふせる律に目線を合わせるため、老人はその場に座り込む。
「ィッツゥ――…!」
「貴様、名は何と言う…?」
頭を抱える律に老人は聞く。涙目で律は老人を見上げる。「神谷……律」答えなかったら絶対また叩かれる。そう思って律は素直に答えた。
「……律…っか……」
「ジィさんは…?」体を整え、まだ頭をさすりながら聞くと「名などない…」と言っただけで答えという答えは返ってこなかった。
「さて…。良いか、律。儂が今から話すことはこれからの貴様の運命(さだめ)じゃ。故にそれを変えるかどうかはその時しか決められん…。よく聞くのじゃぞ……」
お互い正座しながら向き合い、律は少し真面目な顔で老人の話を聞いた。
老人の言った自分の運命(さだめ)というものに対して、少なからずの恐怖を感じたから…。
6
:
ピーチ
:2012/12/30(日) 17:04:01 HOST:EM114-51-44-25.pool.e-mobile.ne.jp
ムツさん>>
コメありがとーう!
律君のキャラが面白いw
おじいさん怖いね……←
7
:
ムツ
:2012/12/30(日) 17:23:28 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
−神様立候補− −第四ノ部−
〜三百六十五を一〇〇数えし其の時,
万物を統べる天への扉が開かれる,
白く美しき其の手に,優(ゆう)く重なる人の手々(しゅて),
神を代変するその時,
地上に有りし一〇八の命(みこと)が,
天に集わされる〜
――つまり
−100年を迎えたその日、
全てを操る、天の神への扉が開く、
神の手に優しく重なる人々の手、
神の代わりが現れたその時、
地上に生まれし一〇八の者が,
天に集まる−
8
:
ムツ
:2012/12/30(日) 17:27:49 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチさん》
本当にコメントしてくれて、あざぁっす!!!
なんか、オカシイところか有りませんでした?!
なんか無駄に、第一ノ部長かったでしょ…(読みづらかったよね…(T▽T)
なんか、そういうことがあったら全然イイからバンバンコメ宜しくです!!
9
:
ピーチ
:2012/12/30(日) 18:36:25 HOST:EM114-51-44-25.pool.e-mobile.ne.jp
ムツさん>>
こっちこそありがとー!
え、全然よかったけど!?
そだなー…強いて言うなら一回投稿する文章を長くした方がいいとか?←人のこと言えねーよ
10
:
ムツ
:2012/12/30(日) 19:08:17 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
−神様立候補− −第五ノ部−
馬鹿みたいだ。そんな話を信じる者がこの世界の何処にいる。
律は愕然とした。これ夢だよ。そっか、夢だ。良し頬つねろう。ギギギッ。……ヤベェ、めっちゃ痛い。っえ。ってことは何?これって…――
「現…実……」
嘘だろ…。律の頬が左上にひきつる。途端に頭がパニック状態に陥った。
「冗談だろ、オイッ!!っえ?!嘘でしょ?こんなSFみたいな話、信じられるわけないじゃんっ!!?嘘でしょ?嘘って言ってよ、おじいちゃぁん…」
「もう一度その頭叩いてやろうか?ん?」
老人の肩に置かれた律の手が、力無さ気に落ちた。
「…んな話信じられるか!俺をさっさと返せっ!!」
「……不可能じゃ…。現代に戻る方法はこの場にはない…」
この一言に律はとうとう老人に掴みかかった。っが
「‘この場’には、っな……」
老人のその言葉を聞いて、考えるのに数秒間を空けたがすぐに老人の言いたいことが理解できた。
「此処にないってことは…。違う処にはあるんだな!?そこに行けば俺は普通の世界に戻れるんだな!!?」
老人は必死に問いかけてくる律を見て、めんどくさそうに「あぁ…」と答えた。それを聞いて、この意味のわからない世界に来て初めて、律は心からの笑顔をその顔に浮かべた。
「じゃぁ、早く俺をそこに連れて行ってくれ。ジィちゃん!」
「…まぁ、それが儂の仕事ゆえ。断る理由はない。………これを持って行け…。律…」
老人は棒状のものを律に差し出した。紫の布で巻かれている為、中身までは見えない。
「これは?」不思議そうな顔で律がききかけた時、老人が行き成り立ち上がり「死ぬなよ…」と上から律を見下ろした。
律がそれを聞いた瞬間、視界がまたも白一色になり、意識がどこかに飛んでいった。
11
:
ムツ
:2012/12/30(日) 19:12:36 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ》
もうこの際呼び捨てで……
そっか、長くかぁ…
うんっ! 読みやすさとかに注意してやってみようかのぉ!!
アドバイスありがとう(=^0^=)! これからも気になったことがあったら何でも言ってね!
12
:
ピーチ
:2013/01/03(木) 12:37:34 HOST:EM114-51-137-117.pool.e-mobile.ne.jp
ムツ>>
そだねー!
でも文章自体は凄い面白いしね!
………破滅の運命を辿らないことをお祈り申し上げます←おい
13
:
ムツ
:2013/01/03(木) 13:25:06 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ》
っえ…、あの、ハイ、頑張りマース……ヾ(´▽`;)ゝ(最後のどういう意味だ…
んじゃ、チョッチ、文章長めにして頑張るわぁ〜(^0^)/
14
:
ムツ
:2013/01/03(木) 13:53:15 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
−神様立候補− −第六ノ部−
「………ん?」
眩しさのあまり目をつぶったが、目を開けてみるとそこには何も無かった。
白かった世界とは打って変わり今度は黒い世界。
しかしただの黒い世界じゃなかった。
自分の周りにはたくさんの門があったのだ。
律は驚いて門一つ一つに目を当てた。
上下左右斜め…。計八個のその門。きっと扉と言ったほうだ良いだろう。
「……何だ此処…?」
咄嗟にそう口走ると、今度はその言葉は反響して響いた。完全にあの世界とは違う場所だ。
「…………………………」
唖然とした。自分が意味の分からない世界に来たことに加えても、自分がここまで来てやっと「あぁ、これ現実だわ…」と感服したことに。
自分の双方向にある扉は開く気配はない。そもそも、こんな大きな扉から一体何が出てくるのだろうか。
そんなことを考えていると、目の前の扉が音も立てずに開いた。すると、それを合図にしたかのように他の扉も開き出した。
すべての扉が開くと、少しの間なんの音も響かずにいた。すると扉の向こうから何かの先が出てきた。
驚いて何かと律が目を細めれば、その‘何かの先’は見る見る内に姿を現した。
すべての姿を開け出したその瞬間、律は驚きと恐怖から目を見張ることしかできなかった。
扉から出てきたもの…。それは――
「……人間の…―――」
――腕……?!!
15
:
ピーチ
:2013/01/03(木) 15:39:43 HOST:nptka402.pcsitebrowser.ne.jp
ムツ〉〉
あたしにアドバイスもらうと破滅するよって意味w
よかったらあたしが書いてる短編の闇色も読んでみてねー!←
16
:
ムツ
:2013/01/03(木) 15:54:33 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ》
OKェ〜! 了解(>Д<)ゝ”
読ませていただきますっ!!
そういえば、最近思ったんだけど、ピーチってどんなジャンルの話し好き?
私は戦い系とか推理系とかホラー系とか…暗い系のヤツは兎に角好きだなぁ〜…
だが、本物のホラーは嫌いです:(;゙゚'ω゚'):……
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