[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
メール
| |
−神様立候補−
5
:
ムツ
:2012/12/30(日) 16:44:58 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
−神様立候補− −第三ノ部−
律は少しだけ開かれていた目を少しづつ開いていく。真っ白だ。
首を左右に振っても目に映るのは白。これこそ白で統一された世界。白以外にあるのは、自分の着ているものだけ。黒いトレンチコートとマフラー、ズボン、灰色の服に少し焼けた自分の肌。それだけが今この世界で白を思わせないものだった。
むくりと上半身を上げれば何か見えるかと思ったが、目に見えるのはあいも変わらず白一色。何だ此処…?そう思いながら、先ほどまでのことを思い出す。
(…ん〜……。確か本堂裏にいて…。茶を飲みながら冷夏たちを待ってたら…)
そこまで思い出したが、それからの出来事を思い浮かべて思考を止めた。覚えてなかったからだ。
「…スゥ―――……」
味のない空気を胸いっぱいに吸い込む。そして
「誰かぁ――!!居ねぇのかぁ―――!!!」
叫んだ。しかしその言葉に返事を返すものは誰もいない。響くでもなく、その言葉はどこかに消えて行ってしまった。
何処なんだ此処。思いながら立ち上がる。足を立たせているその場所が地面かどうかもわからなかったが、前に歩めることだけは確かだ。
一歩一歩軽い足取りで前に進む。顔をキョロキョロさせ辺りを見るが、見えるものは何も無い。
「……一体どこなんだよ此処…」
急に不信感と恐怖心が込み上げてくる。云い年こいて泣いてたまるかという気持ちが逆に、涙を瞼に溜まらせる。冗談じゃねぇ!そう思い必死に涙が溢れる前に、目をかく。
「…………マジで此処……」うつむき足と腹に力を込める。
「何処なんだぁ――――――!!!?(怒」
叫んでも響くことすらない。逆にそれが虚しくて、無力としか思えない自分が嫌になる。
っが、今度は逆に返事があった。
《うるさいぞ、貴様ぁ〜…》
欠伸混じりのその声は聞いた限り老人のものだ。聞いた瞬間は驚いた律だったがすぐに我に返り
「っだ、誰かいるのか!?」
と叫ぶ。すると、また老人の声が返ってきた。
《なんじゃぁ〜…。貴様何者じゃぁ〜……。…なぜ儂の‘世界’に処るのじゃ…》
老人の声がそう言うと、「世界?」と律は聞き返した。
《ん?なんじゃ、もう一年開けておったんか!?何故、もうちと早く起こさんかったんじゃ!》
老人の声がそう言った瞬間、律の目の前から強い風が立ち上がる。驚いた律は咄嗟に顔の手前に腕を重ねる。腕と腕の間から目だけを覗かせ、何事かと風を見る。白い風はどんどん竜巻化していき、一層強い風が吹いたかと思うと竜巻は止まり、そこには着物を着た白髪の老人が棒状の何かを持って眠たそうに立っていた。
「――――――――――っあぁ゛?」
「…ウムッ。一〇〇年振りの実体化は流石に久しぶりじゃのぅ〜…。して、貴様は神試験の実習者かのぅ〜…?」
突然現れた老人は律を見るや否や意味の理解しがたい言葉を口にする。
「さて、それでは説明しなくてはのぉ〜。おい、貴様。そこに直れ…」
老人は持っていた棒状のものの先を律に向ける。しかし律は直るどころか、只ポカンと口を当てて老人を見ることしかできなかった。
「……さっさと直らんか小童(こわっぱ)!!」
「痛っ!!?」
律は老人が持っていた棒状のもので頭を強く叩かれた。
頭を抱えふせる律に目線を合わせるため、老人はその場に座り込む。
「ィッツゥ――…!」
「貴様、名は何と言う…?」
頭を抱える律に老人は聞く。涙目で律は老人を見上げる。「神谷……律」答えなかったら絶対また叩かれる。そう思って律は素直に答えた。
「……律…っか……」
「ジィさんは…?」体を整え、まだ頭をさすりながら聞くと「名などない…」と言っただけで答えという答えは返ってこなかった。
「さて…。良いか、律。儂が今から話すことはこれからの貴様の運命(さだめ)じゃ。故にそれを変えるかどうかはその時しか決められん…。よく聞くのじゃぞ……」
お互い正座しながら向き合い、律は少し真面目な顔で老人の話を聞いた。
老人の言った自分の運命(さだめ)というものに対して、少なからずの恐怖を感じたから…。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板