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――DEBT――
1
:
暮野
:2012/10/26(金) 22:56:25 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
世界の神々が集いし、丑三つ時の『天神界』。
そこの中央にある、裁選所で、一人の青年に百を超える神々が、一つの決断を下した。
――『永久無縁地下牢獄隔離』――
2
:
暮野
:2012/10/26(金) 23:03:37 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
どうもでございます! 暮野『くれの』でございます!
難しい&長い説明は、省きたいので一言!
アラシだけはやめてください! コメント大×10、歓迎です!!
3
:
暮野
:2012/10/27(土) 09:27:23 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
――第一話―― 『殺意』
地上の地面から遥か上空の雲の上。そこには、天神界が広がっている。
天神界。それは地上で一生を遂げた人々がもう一度生命をやり直す場所。別名、輪廻の世界。
天神界は大きく2つの地区に分けられる。一つが輪廻の過程でもう一度人生をやり直す者たちの暮らす『輪膳―りんぜん―』。そして、輪廻の輪より外れた者たちが暮らす『扇龍―せんりゅう―』。
輪廻の輪から外れた。と、いうことは、一度地上で死に、それからずっと、天神界で暮らしているものの事だ。
―――――
ある日の朝型。天神界の扇龍で一人の少年はボヤいていた。
「――なーんか、こうもやる事ないと、暇だな〜?」
扇龍の中心にある塔の上。朱く短い髪をカキカキとかきながら、輪廻の輪から外れた男、吉森 隆牙―よしもり りゅうが―は、同じく、輪廻の輪から外れた、少年。御神 宗賢―みかみ しゅうけん―に愚痴をこぼす。
隆牙はシマの入った長袖の服を着てその上からフード付きの黒い半袖の服という現代の若者風ファッションの服を着ている。それに比べ、宗賢は全くサイズのあっていないブカブカのスーツを着ている。
「…言っておくが、お前に仕事が回らないのは、報告もなしに勝手に地上に降りて好き放題してきたからだ。自己責任だろう…」
顔の形一つ変えない宗賢。宗賢はタダでさえ冷静で、白髪という女子の心を掴み取る髪を持っている。其のせいか、宗賢の周りには寝ても覚めても女子が群れ上がっている。
「イーじゃねーかぁ!輪廻の輪にも何の異常もねぇんだからよ!やることなくちゃ、会社に勤める意味ねぇだろぉ?」
「ここを地上の建造物と一緒にするな、カス…!」
少しの怒りを込めながら、怒鳴る宗賢に対し「ベ――」と言わんばかりに隆牙は舌を出す。
「貴様〜〜………!?」
ギリギリと拳を鳴らしながら今にも怒鳴りかけた、宗賢が一つのものに目を奪われた。
4
:
暮野
:2012/10/27(土) 10:13:02 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
第一話 其の弐
宗賢と隆牙は塔の上から降り、宗賢の目に入ったものの正体を確かめに、塔の隣にある裁選所―さいせんしょ―へと足を運んだ。
そこには世界の神々が集まり、皆で対話を交わす場所。普通、そこは神々と輪廻から外れた者以外は立ち入ってはならない場所なのだが、先ほど、宗賢の目には、確かに見えた。輪廻から外れた者でも、神でもない、青年がここ、裁選所に入っていくのを。しかし、青年の周りには強化護衛人が四人も着き、手を後ろで枷でしめていた。
――――
「――一体、あいつは何者なんだよ。あんなにご丁寧に警備されやがって。重罪人か?」
まだ、百を超える神々が集まっておらず、空席の多い決定所の真ん中に青年は立たされた。それを壁にもたれながら拝見する宗賢と隆牙。
「だが逆になぜ重罪人がこんなところに立たされる?何かあるとしか思えんが…」
「……それには私が答えよう…」
宗賢が溢れるように放った言葉に、高い男の声が返ってきた。
「神風様…!!」
宗賢と隆牙は声を揃える。揃った声に苦笑しながらも、青い髪をした風の神、神風は口を開いた。
5
:
暮野
:2012/10/27(土) 13:46:58 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
第一話 其の参
「――あの青年の名は、釘城 幸栄―くぎしろ こうえい―。……吉森くんの言う通り、重罪人だよ…」
神風は足の膝まである黒い髪をした幸栄の後ろ姿を厳しい目付きで見つめる。いつも優しく笑っている風神がここまで厳しい目付きをするのは珍しいことだ
「重罪人って何したんですか…?!」
隆牙は身を乗り出して神風に問う。神風は目を閉じ、ゴホンと咳き込むともう一度話し始めた。
「彼は…たった一人で、ここに乗り込んできたんだよ……」
隆牙は、「はッ…?」とスットンキョな声を漏らし、宗賢はただ驚いたような顔をするばかりだった。
――――
神風の話では、今から数十年ほど前。幸栄は一人で扇龍に乗り込み、輪廻から外れたもの数名と、神数名を殺めたという。
最終的に、なんとか幸栄を捉えたものの、神でも、輪廻の輪を外れたものでもない、光栄に乾せられた刑罰は『永久無縁地下牢獄隔離』。つまり、一生牢獄で暮らすということだ。
「――…ちょっと待ってくださいよ。そんな刑罰が下されたんなら、あいつは少しぐらいジジィになってるんじゃないんすか?」
隆牙の言葉に、神風は「いや、それは…」とまた何か話し始めた。
「…地下の牢獄。つまり中央塔の禁断無時監獄だ。あそこは外から時間経過を遮る結界が貼ってあるからな。腹も空かんし、髪も伸びん。ましてや老いること無い…」
そう説明したのは神風ではなく宗賢。
「ハハハッ…。流石、『情報部隊』の御神くんだな」
「そうそう、流石『情報部隊』の御神くんデスネェ〜。『攻撃部隊』の俺とは全然違いますねー…」
「それ以上口を開いて、言葉を履いてみろ。頭だけ出して生き埋めにするぞ」
「さぁせんした……」
『情報舞台』や『攻撃部隊』。それは、扇龍に置かれている輪廻を外れたものたちに分担された使命だ。
「………っお、そろそろ皆集まったようだな…。それじゃあ…」
風神はそれだけ言い残すとスタスタと歩いて、一つの空席に座った。
6
:
暮野
:2012/10/27(土) 15:49:58 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
第一話 其の四
『―――久方振りだなぁ。釘城幸栄……。どうだ、60年振りの日の光は…?ん?』
壱と書かれた椅子に座る太陽の神、光神―こうがみ―。
左目を黒い眼帯で隠し、金色の長い神を一つ結びにしている光神は不敵に笑ってみせる。そんな光神をギロリと睨む幸栄。
「……正確には59年だよ。…あと、あまり腹をこじらせる様な事言わないでもらいたいよ。この状態で笑うのは、骨が折れてしまうよ……」
幸栄の第一声に光神は口角を元に戻す。
「………もともと僕は日の光なんか浴びたことはないし、興味も無いよぅ。…と言うかそんなことを言うために僕をわざわざ、居心地のいい牢獄から出したわけじゃないだろう?……単刀直入に言ってくれたまえよ。太陽の神様?」
光神は百を超える神々の中で最強と労れる人物だ。その光神にタメ口に等しい言語に喋る幸栄。
「……なんじゃありゃ。太陽の神様何かに喧嘩売ってんのか…?」
隆牙は聞こえるか聞こえないかの小さな声で呟く。それと同時に、隣にいた宗賢もゴクリと唾を飲み込む。
(……釘城…幸栄……。あの者は一体、何者なんだ…)
腕組をしながら考え込む宗賢。
『…そうだな。この際、単刀直入に言わせてもらう…釘城幸栄……』
光神と幸栄の顔が真面目なものへと変わる。
皆、二人の顔を見比べ光神の次の言葉を待つ。
『所木 風間―ところぎ かざま―は、何を企んでいる……』
7
:
暮野
:2012/10/27(土) 22:00:04 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
第一話 其の五
「――――って、ことがありました!」
「んなこと報告すんな…!!」
あれから数時間後。隆牙は、宗賢と別れ一人攻撃部隊の隊舎にある「隊長室」へと足を運んでいた。
隊長室には、灰色の髪をした少々小さめの少年が足のつかない椅子に座り、机に面と向かっていた。
攻撃部隊一隊長を任されている少年、不和 五月―ふわ いつき―は、若くして攻撃部隊という一つの隊を束ね上げた「天才」である。
「なんでっすかァ〜?変わったことは直一報告しろっつったの隊長じゃないっすかぁ〜?」
「んな、こと俺にはとうに報告が入ってんだよ!!くだらんことで隊長室に来るな!!!」
隆牙は五月にそう怒鳴られると、「ナーンダ…」と言いながら隊長室を後にしていった。
そして隊長室に残された五月は机の上に置いてある隆牙の書いた始末書の山を見て、一つ大きなため息をつくと、背後にある窓から蒼い空を見上げ考えた。
(………釘城幸栄とは……一体何者なんだ?)
眉間に皺を寄せ考える五月に、誰も答えてはくれなかった。
8
:
暮野
:2012/10/27(土) 22:25:51 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
第一話 其の六
「……………」
扇龍の中心にある塔。その名も、中心塔の最上階。シンと静まり返ったその一室に、地面に座り込む幸栄の姿があった。
出入口には、外にも中にも二人の強化護衛がついている。
幸栄は息の詰まるようなそこで、天井から床まである縦長の窓から外を眺めていた。まだ、明るい外は何の音もしない。ただ単に中央塔の最上階には下の音が聞こえないだけかもしれないということだろうが…。
「……所木…かっ…」
まさに滑稽、と言いたそうな口元をする幸栄。
「笑えるよ、太陽の神、光神よぅ。…まさか忘れた訳じゃないんだろう?…僕が……」
幸栄は目にかかった髪を耳に引っ掛けるとクスッと笑ってみせた。
「君たち神々と、輪廻から外れたものを、いつか必ず殺すと言ったことを……」
細い目をもっと細くした幸栄を、太陽の眩しい明かりが包み込んだ――――……。
―続く―
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