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邪気眼少女の攻略法。

422心愛:2013/06/19(水) 20:54:02 HOST:proxyag037.docomo.ne.jp






「えー、ではこのへんで、抜き打ちの小テストを行います。全員教科書類を机にしまっ―――」




―――教室に衝撃走る。



「春山、行ってこい」



「なんか俺の扱い犬っぽくね?」



「それはそうかもな。人権ないから」



「え、俺には日本国憲法適用されないの?」



それでもこちらは慣れたもので、嬉しそうに軽口を叩く春山が勢い良く挙手。



「はいはいはい先生質問!」



「春山君? これからテストですからまた後に」



「どうしても今知りたいんです! 八十三ページの自由記述の問題なんですけどー」



渋る先生を強引に押し切り、時間稼ぎを開始する。
質問に対する回答が終わっても、息をつく間もなくすぐさまそれっぽい口上をぺらぺらと並べ立てて、また違う問題の解説に移らせていた。

……あいつ案外頭いいよな。


でも、授業終了まであと30分。
それより春山のネタが底を尽きる方が早いだろう。


春山GJ、と親指を立て、俺たちは早急な対策を考えるべくアイコンタクト会議を行う。
誰か他にこの状況を打開してくれる人は、いや、それは無理だとしてもせめて、新しい質問ができるくらい授業に真面目に取り組んでいて春山の助けになるような人は―――



「美羽!」



「黙れ。ぼくは今、天狼(シリウス)を召喚する魔法陣を描くのに忙しい」



「ダメだ使えねえ!」



熱心にノートになんか書いてると思ったら!



「じゃあ、ゆ―――」



「………」



こういうときに役に立ちそうな優等生たる柚木園は、本格的に集中モードに移行していた。
参考書に没頭してしまっていて、ちょっとやそっとの声ではとても気づかせることができそうにない。



『(………やるか?)』



こうなったら仕方ない、なんとしてでも絞り出して、一人ずつ質問責めにするしか―――



「うん? ヒナ、どうしたの?」



不思議そうに首を傾げている姫宮が目に入る。



「あ、そういえばまだテスト始まらないねー」



「姫宮、先生に質問できる!?」



がしっと肩を掴みそうな勢いで迫れば、紅茶色の瞳をぱちくりさせて。



「え、質問? 今?」



「そう!」



「質問、質問……今日の朝ごはんは? とか聞けばいいんだよね?」



「いいわけあるか! 飯から離れろ!」



まだ現実と夢を混同してるの!?



「もっとちゃんとした、時間稼げるようなやつだよ!」



趣旨を理解しているのかいないのか、姫宮は「分かった!」と満面の笑顔を見せ、大きく手を挙げた。
……心配だ。物凄く心配だ。



「えー、春山くん、もういいですか? では、姫宮」



「先生の、1日のスケジュールを教えてください!」



『天然――――っっっ!』



確かに回答に想定される時間は長くなったよ! でもそういう問題じゃない!
ガックリする俺たちを見て、姫宮は「え? え?」としきりに首を捻っていた。


くっ、姫宮に任せたのが失敗だった! バカな質問をするなって怒られる可能性も―――



「私の平日の過ごし方ですか? そうですねぇ」



『…………え?』



先生は白いチョークで黒板にぐるりと円を書き、それに起床時刻やら通勤時刻やらを付け足し始めた。


……………マジで?



「あ! 僕と夕ご飯の時間一緒だ!」



天然と天然が絡むとこういうことになるのか……。


授業終了のチャイムまで残り五分。
現代社会が天然ばかりになったら、世界は平和になるかもしれない、と思った。


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