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邪気眼少女の攻略法。

1心愛:2012/09/16(日) 13:17:20 HOST:proxy10069.docomo.ne.jp



こんにちは、または初めまして。
心愛(ここあ)と申します。

拙くて見るに耐えない駄文ですが精一杯頑張りますので、よろしくお願いします。
感想等戴ければ泣いて喜びます。
ですが、ここあは非常に小心者です。一つの批判にもガクブルしてしまうと思われます。
なので、厳しい御言葉はできるだけオブラートに包んで戴けると嬉しいです(>_<)

また、ここあが不要と判断した書き込みは、誠に勝手ながら反応しないことがあります。申し訳ありません。

話の内容としてはゆるゆるな日常系ラブコメを目指しています。
キャラクターについては、後から少しずつ紹介していきたいと思います。




【心愛(元 月波)の過去作品】



『紫の乙女と幸福の歌』

『紫の乙女と愛の花束』



【関連作品】



『紫の歌×鈴扇霊』(上記作品のピーチとのコラボ)

『パープルストリーム・ファンタジア 幸運の紫水晶と56人の聖闘士』(同じく彗斗さんとのコラボ)

371心愛:2013/04/05(金) 15:55:33 HOST:proxy10025.docomo.ne.jp
>>ピーチ

大丈夫だよ、あれだけの小説書ける頭があるんだから!
自信を持てー!

372心愛:2013/04/05(金) 15:55:56 HOST:proxy10026.docomo.ne.jp


『進路アンケート』





「将来就きたい職業……ねぇ」



進路指導部から出された提出必須のアンケート。
第一志望大学、平日休日の勉強時間なんかの中に、そんな欄を見つけた俺はシャーペン片手に唸った。


どうしよう、分からん。



「なんて書いた? これ」



「闇の女王」



「美羽に訊いた俺が馬鹿だったよ」



担任からの呼び出しは確実だ。



「なんだとっ」



「……え、えーと、姫宮は?」



後ろを振り返って、紙の該当箇所を見せてもらう。
丸っこい字で書かれていたのは―――



「看護師?」



「うん。家が医療系だから、なんとなく」



この笑顔で看病されたらどんな病気でも一瞬で治りそうだ。
癒し効果ってことで姫宮セラピーとか新しく始めてもいいんじゃなかろうか。



「小さいときはお花屋さんかケーキ屋さんになりたかったんだけどね」



乙女か。


と思っていたら、その隣の柚木園がびくっと反応していた。



「……柚木園?」



「えっ? い、いや、まさか! 子供の頃とはいえ、私がそんな夢見るわけがないでしょっ?」



……こいつも乙女か。


「まいちゃんかわいー」と姫宮が嬉しそうに微笑んでいる。お前もな。



「なるほどなるほど。あとひとつはもちろんお嫁さ―――」



「な、な、なんで知っ……じゃない! 違う! ぜんっぜん違うからそんな目で見るのやめてよヒナ!」



まさかの正解。
なんか柚木園が可愛いんですがどうしましょう。


耳まで赤く染めて涙目になってしまった柚木園。
可愛いけどさすがに可哀想なので、罪滅ぼしに彼女のペースに戻してあげようと俺は口を開く。



「ホストとかヒモとか向いてそうだよね。性別隠せるならだけど」



「うん、是非ともやりたい。女の子を幸せにできる仕事がいいなぁ………でも、ね」



ひも? と首を傾げている姫宮を見て、柚木園はふっと微笑んで。



「それはあきらめるしかないか」



「ん。それがいいと思う」



「具体的な職業っていうと、私も迷ってるんだよね。未定って書いとこうかな」



「じゃあ素直に『お嫁さん』って書けばいーじゃん! 心配しなくても姫宮ちゃんが貰ってくれ―――あふんっ」



ゴスッ。
登場と同時に殴り飛ばされた春山が床に転がった。
この間僅かに二秒。

柚木園は拳を握りながら、ビキビキに引き攣った笑顔を作る。



「少し頭、冷やそうか」



「ど、どうどう」



そして名前が挙がった当の姫宮はというと、真っ赤になってもじもじしながら。



「あ、あのね? 男は18歳からしか結婚できないし、そういうのは大学を卒業してから考えることで、ね……?」



「もうやだこのクラス!」



あまりの羞恥に耐えきれなくなったらしい柚木園が耳を押さえて喚く。いやあ、青春だね。



「で……春山は? やりたい仕事」



床でハァハァしている変態は、満面の笑みで親指を突き出して。



「犬」



「え、えと、春山くん? だ、大丈夫……?」



「夕紀、それは頭がってこと? それとも顔? 人格?」



「全部だろうな」



「せめて一つに限定しろよっ?」



春山には特に遠慮がなく冷たい柚木園と美羽。
悦ばせるだけで逆効果なのに。



「やだなぁ、いくら俺でも自分が霊長目ヒト科だってことくらいわきまえてるから! 下僕と書いてイヌと読む方だって!」



「分かってるよ! 分かってるから引いてるんだろ!?」



高校生が将来の夢に動物を希望していたら色々問題だ。
叶うとしたらそれは来世の話だろう。



「そー言うヒナはどうなんだよ」



「えー……」



ほとんどなんの参考にもならなかった自由な回答たちを思い出し、



「……今のところは公務員にしておくよ。堅実に」



「地味だな」



「ツッコミようがないねー」



「高校生のうちくらい、こういうとこでボケといてもいいんじゃない?」



「空気読もうぜー、ヒナ」



「お前ら全員公務員の皆様に謝れ!」



一番まともなのになんで非難されなくちゃならんのっ?

373にゃにゃですが:2013/04/05(金) 16:53:43 HOST:zaq31fa522f.zaq.ne.jp
↑お前のスレつまらん
ゴチャゴチャぬかすな

>>1
毎度毎度糞スレ御苦労様

374ピーチ:2013/04/05(金) 21:00:17 HOST:EM114-51-47-243.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

何でだろうヒナさんがもの凄く哀れに見える!

あたしも小さい頃は花屋とかケーキ屋とかそこらへんの人が書いてたのを真似してた気がする←

確かに公務員の方々に悪いね、それはw

375心愛:2013/04/11(木) 22:42:10 HOST:proxyag115.docomo.ne.jp
>>ピーチ

ヒナは哀れなポジションだからねw

花屋ケーキ屋は小さい女の子の夢だよね!
男と男装少女の夢としてはアレだけどね!


ここあは昔は歌手になりたいとか言ってた気がする(つд`) …なんでやねん←

376ピーチ:2013/04/12(金) 05:48:54 HOST:EM114-51-151-123.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

いや哀れすぎるでしょいくら何でも!?

うーん、ちょっと男の子はなー…←

あたしなんか色んな仕事掛け持つ、とか言ってたからね!←

377心愛:2013/04/12(金) 19:09:07 HOST:proxy10029.docomo.ne.jp
>>ピーチ

掛け持ちか!
それだけ聞けばデキる女っぽい(`・ω・´)



さてさて、旅行編スタートだよ!

378心愛:2013/04/12(金) 19:09:50 HOST:proxy10029.docomo.ne.jp


『温泉旅行』





「そろそろ修学旅行のシーズンだねー」



くてーっと机に突っ伏した姫宮がこちらを見上げてくる。
そのほわほわした笑顔に、同じくほわほわした気分になりながら。



「高校生で一番のイベントだよなー」



「高二の人が羨ましいよねー」



ほわほわーっと微笑みあった後―――二人して声を揃える。



「「なんでうちはないんだろ……」」



そう。俺たちの学校、南高に修学旅行はない。
分かってたことだけど……学校生活が楽しくなってきた今、それを思い起こすとちょっと悔しいというか虚しいというか。



「まあまあ。勉強合宿とかないだけ感謝しようよ」



柚木園がさらりと大人の発言。
姫宮は唇を尖らせる。



「でもやりたかったなぁ……。みんなでお泊まりって楽しいよね」



「うん、特に夕紀はそういうの好きそう」



姫宮は「好きだよー」とにっこりし、



「中学のときは旅館に泊まったんだ。でもみんなでお風呂だーって楽しみにしてたのに、僕が行ったときには誰もいなくて……残念だったな」



「そりゃ良かった」



「えっ? なんで!?」



いくらこいつとそこそこ仲がいい俺だって、姫宮が男湯に入ってきたら動揺しない自信はない。



「旅館っていいよね。私はホテルだったよ」



「わ、なんか豪華な感じだー」



柚木園の話ににこにこした姫宮が、次いで俺に話を振ってくる。



「で、ヒナはなんかいい思い出とかないの?」



「……俺の、修学旅行の思い出かー……」



俺はふっと微笑み、目を霞ませて遠くを見る。


修学旅行。修学旅行ね……。



「憂鬱すぎる班決め……人数合わせで無理矢理放り込まれた俺+仲良し三人組……みんなが盛り上がってる中寝たふりをした新幹線……」



「ひ、ヒナ?」



「悪夢の自由行動……きゃっきゃしている三人の後ろを数歩離れてついていく俺……特に行きたくもない寺巡り……『みんなで写真撮ろーぜ! ……あ、日永君いたんだ! 撮ってくんね?』……っつーか班で俺だけ名字呼び……」



「ひ、ヒナ! 戻ってきてーっ! こっちの世界に戻ってきてぇー!」



必死になった姫宮にガクガク肩を揺らされるも、俺はぼーっとしたまま思い出話を吐き続ける。



「『すげ、お前あいつと話せんの? マジ勇気あるわー』『だって一回話したことあるもん、この前の罰ゲームで』『え、名前なんだっけ?』……はっ!」



覚醒した。



「ちくしょう、いい思い出なんかあるかよバカーッ!」



「ごめんねヒナ! 僕が悪かったよ!」



「その思い出は胸の奥にそっと封印しておいて!」



力いっぱい叫ぶ俺をとりなす二人。


うぐ……べ、別に自分の話でうっかり傷ついてなんかないんだからね!



「美羽は? どうだった?」



話題転換のつもりなのだろう、今までだんまりをきめこんでいた美羽に、柚木園がさり気なく話し掛ける。

それに。
俯いた美羽は、きゅっと軽く拳を握った。




「……行ってない」




なかった、でもなく。


暗い声でぽつりと紡がれたその一言は何故か、ずっしりと重くて。



「え、えーと、……」



何かしらの事情を察知した俺と柚木園が瞬時にアイコンタクトを交わし、間を保たせようと口を開いた、その矢先に。




「やり直そうよ!」




姫宮が元気よく声を上げた。


はい? と目を丸くする俺たちに、姫宮は満面の笑みで提案してくる。




「京都とか奈良とかまでは行けないけど、このメンバーでお泊まりしてみない? ちゃんと旅館取ってさ!」




「お、おお……! すげえ、なんかリア充ぽい……!」



とてもまともかつ素晴らしい案に感動する俺に続き、柚木園もにこりと笑う。



「ただの旅行だけど修学旅行気分で、ってことか……。私はもちろん賛成だけど、どう? 美羽」



急速に展開する話に、驚いたように赤い瞳を見開いていた美羽が、数秒遅れてこくんと頷いた。



「あ、……あの……そういうことなら、美空も一緒でいいか? あいつなら、宿泊する場所も上手く話をつけてくれると思う」



「そうなの? もちろん大歓迎だよっ」



任せてくれ、と言う美羽は、やっぱり少なからず嬉しそうだった。

379ピーチ:2013/04/13(土) 19:16:45 HOST:EM114-51-187-34.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

今はそんな世間知らずなこと言えるわけないけどね!←

ヒナさーん! 戻ってきてぇー!

哀しいよそれ無茶苦茶哀しいよ!

380心愛:2013/04/14(日) 19:59:55 HOST:proxyag059.docomo.ne.jp






「一ノ瀬、さん……ですよね。お世話になります」



「こちらこそ。姫宮様と柚木園様でよろしいですか? 美羽様から常々お話は伺っております」



「一ノ瀬! 余計なことを言うんじゃない!」



広々としたリムジンの車内。
連休を利用して、俺たちは予定通りに旅館へと向かっていた。


グレーのボタンダウンシャツにジャケット、細身のデニムというラフな装いの昴さんが運転席から涼しげな微笑みを向けてくる。

高校生だけでは不安だと考えた美羽たちのお父さんが、保護者兼運転手として彼を任命したらしい。
昴さんに好感を持っている俺としては嬉しい誤算だ。



「美羽ちゃんは照れ屋さんだからねー。でもあんまりつれないことばっかり言ってると、女の子の友達できないぞ?」



昴さんの隣の助手席で、水色のミニワンピース、ブラウンカラーのブーツ姿の美空先輩が振り向いて「圭くんはいいけどねー」とにやにや笑う。

案の定、後部座席の美羽はすぐに噛みついた。




「誰が照れ屋だっ! それにそんなもの、苺花だけで十分でっ―――………………あ」




……あれ、そういや美羽が柚木園のことをちゃんと呼んだのって初めてじゃね?



「……み、美羽〜〜〜っ!」



「ち、違う! こ、これはっ、……ぁ、わ、だ、抱きつくな! 抱きしめるな! く、くるし……っ」



口を片手で覆う美空先輩がこらえきれず「くふふ」とほくそ笑んでいるのが見える。
……まさか、今のって先輩の誘導……?


いや、それより。



「……俺、負けてない?」




幸い俺の呟きは、賑やかな後ろの二人や、早くも俺の隣ですぅすぅ寝息を立て始めた姫宮(昨日楽しみで眠れなかったとか可愛いことを言っていた)には聞かれることはなかったようだ。


それにしても男女混合で旅行とか、勝ち組ぽいよなーとか考えて、一人でテンションを上げてみる。

だって年頃の、しかも気心が知れた仲間と旅行だ。否が応でもわくわくしてしまう。



「ふ、ふ……っ、そんな攻撃、ぼくの物理障壁にかかればなんてこと……っ」



「あーもう美羽は可愛いなー! 膝に乗せたくなってくるよ……ぎゅーっ」



「すっかりキャラが変わっているぞっ? いつもの王子キャラはどこへ行ったんだ!? そう簡単に捨ててい……ひゃわっ」



「ん、あれ? 旅館ってもっとあっちの方じゃなかったっけ?」



「いえ、合っているはずですよ。……お嬢様はドジでいらっしゃる上に、極度の方向音痴なのですから……」



「なにそれひどーい! バカにしないでよ、今日は朝から三回しか転んでないんだから!」



……ちょっとだけ、メンバーが強烈すぎるような気もするけども!


これに『男三人で一緒にお風呂だとッ!? しかもお泊まり、ちょっ、きゃっほぉ――――うッッ!!』と奇声を上げていた彩を追加したらどんなに恐ろしいことになっていただろう。想像したくもない。



「―――圭様、あと10分ほどで着きますよ」



「え、マジっすか! 意外とそこまで遠くないんですね」



窓の外の景色を眺めることしばらく、昴さんがミラー越しに薄く微笑んできた。
多分姫宮が寝てしまって話し相手がいない俺を気遣ってくれたんだろう。昴さん優しすぎる。



「そうそう。結構いいとこだから期待してて大丈夫だよ」



「……っていうか先輩、そこそこ人気の旅館を無料で完全貸切とか、どんな荒業使ったんですか?」



そう。美羽の言った通り、急な話にもかかわらず、美空先輩はあっという間に最高の条件で手配を済ませてしまったのだ。
そんな上手い話、裏があるようにしか思えないんだけど……。



「え、別荘のが良かった?」



「べっ……!?」



「今から行くとこって、特別観光地ってわけでもないからね。でも別荘は夏の方がいいなー。せっかく海あるんだし」



ぽんぽん飛び出すとんでもないセレブ発言に間いた口が塞がらない。



「あ! そういえばこの辺に新しいホテル出来たんだよね。そこもあたし顔利くんだけど、今からでも無理やりねじ込―――」



「旅館サイコーッ!」



ケータイを探しだした先輩の台詞を遮り、俺はぐっと拳を握る。
なんか良く分かんないけどこれはやばい、と俺の本能と止まることのない冷や汗が告げていた。

381心愛:2013/04/14(日) 20:07:34 HOST:proxyag059.docomo.ne.jp
>>ピーチ

夕紀の中学の修学旅行でお風呂に誰もいなかったのは、どこかの会員の皆さんの仕業なんだぜ……?
悲しかったぶん、ヒナには今回ちゃんと楽しんでもらおう! うん!


そして始まりました旅行編、今回名前も登場してない某クラスメイトがいるような気もしますがここは気にしない方向で!

美空は無敵だよ! ドジさえなければ!

382ピーチ:2013/04/15(月) 05:14:54 HOST:EM114-51-25-234.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

まさかの会員さんの仕業か! それは可哀そうに!

苺花ちゃん王子キャラはどこ行ったの!?

……あ、ドジさえしなければ無敵、ね…←

皆様方がそれぞれにキャラ濃いようで! 昴さん除いて!

383名無しさん:2013/04/15(月) 12:29:44 HOST:zaq31fa522e.zaq.ne.jp
        【気合いと合気道】
単刀直入に言いますが、
貴方、武術やりませんか?気合いと根性に自信ありますか?
もしあれば合気道をどうぞ

合気を行う際、気合い入れましょう。
気合い入れて!やぁ!!

格ゲーをご存じの方は
一度、藤堂香澄および風間飛鳥という人物を想像してみて下さい。
彼女らをイメージし合気技を行うとより効果的です

384名無しさん:2013/04/15(月) 12:32:07 HOST:zaq31fa522e.zaq.ne.jp
時々ガラの悪そうなおっさんが
来ますが気にしないで下さい。
悪そうな・・ですよ。
こんな事言っちゃヤバイかな・・・

まあとにかく関西で一緒にやりましょう。
私、関西です。

385名無しさん:2013/04/15(月) 12:36:44 HOST:zaq31fa522e.zaq.ne.jp


以前、門下生1人、救急車で運ばれました。
稽古がハード過ぎたのかな〜?
技くらい過ぎてダウンし病院直行!
私も気をつけます。

それにしても合気のコーチむちゃくちゃです
加減を知らないから困る。
ちょっとヤリ過ぎてしまうのがたまに傷ですね

ある意味空手コーチより凄まじいです。
一緒にやりましょう。
ただし保険はかけておきましょう。

怪我した時とかに役立ちます。

386心愛:2013/04/16(火) 21:31:39 HOST:proxy10047.docomo.ne.jp
>>ピーチ

どんな荒業〜のくだりで、美空がサラッと流したのも隠れポイントなんだぜ!
何かと世渡り上手なとこも書けたらなーと……ドジもしっかりやらせつつ←


みんなキャラ濃すぎて早くも大惨事の予感だね!
ヒナと昴に頑張ってもらうしかないね!

387ピーチ:2013/04/17(水) 05:12:00 HOST:EM114-51-166-96.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

気付きましたよ怖いよ美空先輩! 無理矢理ねじ込むってどーなんですかね!?

世渡り上手すぎじゃないですか美空先輩……?

うん、確かに彩ちゃんは入ってなくてよかったかも←

キャラ濃いのはいいことだよ! 薄くて忘れられる存在よりずっといいよ!

…とか何とかいいながら自分がそうだったり←

388名無しさん:2013/04/17(水) 11:18:25 HOST:zaq31fa5058.zaq.ne.jp
またクソスレか?
誰も見てねーよカス
いい加減にしろ

それより白人女性の話しないか?

389心愛:2013/04/18(木) 21:26:46 HOST:proxy10048.docomo.ne.jp
>>ピーチ

ありがとう気づいてくれたか!
多分ホテルの重役とかにも知り合いがいるんだと思うよw
美空の世渡り上手な令嬢ぶりは…早く本格的に書きたいなぁ←


や、キャラ濃すぎですよね…w

390心愛:2013/04/18(木) 21:27:27 HOST:proxy10047.docomo.ne.jp







「夕紀、ほら」



「んゅ?」



起きたばかりでまだぽーっとした姫宮は寝ぼけ眼で首を傾げた後、柚木園が差し出した手にぽんっと自分のそれを乗せた。



「あはは、違うって」



貸して、と姫宮の持っていた荷物を笑顔で掠め取り、自分のものと共に両手にぶら下げてさっさと歩き出す柚木園。

ジャガード柄のカーディガンにカーゴパンツの後ろ姿は文句なしにカッコ良く、さすがはすべての女の子を愛するフェミニストといった風格だ。……実際の性別はともあれ。



「うん? ……え、えっ? 待ってまいちゃん! むしろそれ僕の役割だよ!」



凛々しすぎる彼女を、やっとのことで我に返った彼氏が慌てて追いかけていく。



「なにやってんだよあいつら……」



「確かに、女性に持たせるわけにはいきませんね。私も声を掛けてきます」



「いやいやっ、これ以上荷物増やしてどうするんですか! 美羽のぶんくらい手伝いますよ!?」



自分のものに加えて美羽と美空先輩、三人分の大型バッグを抱えて運転席から出てくる昴さん。
成人男性にしては細いし非力そうに見えるのに、表情には割と余裕がある。



「美羽のとか特に重そうだし……」



「仕方がないだろう。闇の装束はその機能性に見合った重量があるんだ」



「自分で持てないものを持ってくるなよ!」



「ありがとうございます。ですがこれも私の仕事ですので、お気になさらず」



にこりと微笑む昴さん。大人だ……。



一行を先導する美空先輩に続いて、駐車場を出て目的の建物へ。

小綺麗で洒落た感じのエントランス前に辿り着くと、外に出てわざわざ待機していたらしい女将さんが深々と頭を下げてくる。



「ようこそいらっしゃいました。結野様ですね? 常々お話は伺っております」



「はい。無理を言って申し訳ありませんでしたー」



にこやかに挨拶する先輩だけど、な、なんか……怖い。
無言の圧力みたいなものが、華奢な身体からゆらゆら立ち上ってるようなイメージだ。



「え、と……美羽たちのお父さんって、確かアパレル会社の社長さんなんですよね? 旅館となんか関係あるとは思えないんですけど……」



何かしらの権力を行使したんだろうけど、それってなんの?


俺の隣で声量を落としながら、昴さんが微苦笑。



「旦那様の御兄弟や親戚の方もそれぞれ大規模な会社を営まれていますので、その関係でしょう。とにかくお嬢様は人脈が広いですから」



「へ、へー……」



……なんかもう、財閥?








*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・**・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・**・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・**・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・*






女将さんの案内について館内を歩いても、他の客と全然すれ違うことはなかった。



「本当に貸切なんですね……」



「うん。でも一人一部屋ってのも寂しいからねー、これくらいでちょうどいいでしょ?」



今回俺たちが使うのは女部屋がひとつに、姫宮と俺で一室。
それから、さすがに高校生のガキと同じ部屋というのは昴さんに悪いだろうということで、もう一部屋確保してある。



「これでタダって……。なんか申し訳なくなってくるんですけど」



「えー、だって少しでもお得な方がいいじゃない?」



「良心の呵責みたいなのないんですか先輩」



「んー、特にないかなー」



「マジすか……」



「例外はあるけどね」



美空先輩は悪戯っぽく漆黒の瞳を輝かせて。



「こういう特別扱いじゃなくて、なんて言うか……ちゃんと純粋な、一人のお客さんとして楽しみたいかな、ってとこは、あたしにもあるよ」



「? 旅館の話ですか?」



「そうそう。すっごく可愛くて頑張りやの若おかみさんがいるんだけどね、もうほんと可愛いの!」



「二回言いましたね」



まるで美羽のことを話すときみたいに、美空先輩は楽しそうだった。
よっぽどその子のことが気に入っている……のかもしれない。



「そこもまた誘うから!」



「まだここ来たばっかりなのに、気が早いですよ」



そう笑い返しながら。
もう次の、みんなで遊ぶ予定を話せるなんて、なんとなく―――いいなぁ、なんて思った。

391ピーチ:2013/04/20(土) 23:11:20 HOST:EM49-252-202-34.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

何でだろう夕紀ちゃんがすごくかわいく見える!

そして苺花ちゃんはどこまでも王子様だね!

……世渡り上手過ぎないですかね、美空先輩?

ありがとうございます彩織を出してくれてありがとうございます!

392心愛:2013/04/22(月) 22:45:19 HOST:proxyag073.docomo.ne.jp
>>ピーチ

お手w
苺花は、これからちゃんと女の子してもらうんで今のうちに王子させといた!

美空はドジ属性抜いたらただの天才だからね! ただの天才だったらつまんないし(ぉい

彩織ちゃん、これくらいしか出せなくてごめんねー!

393心愛:2013/04/22(月) 22:48:36 HOST:proxyag070.docomo.ne.jp





姫宮と二人だけで贅沢に使わせてもらう予定の、定員七名の和室。

襖で仕切られた川沿いの部屋は眺めも良く、窓を開けると風情のある緑の木々が見える。



「なんか落ちつくねー」



姫宮と二人でまったりしながら、水のせせらぎに耳を澄ませる。
なんかもう何もかも忘れてぼーっとしてたいような……。



「何かお手伝いすることはありませんか? 何でもお申し付けください」



「え、ええ……っ?」



が、全然落ちつけてない人が一名。

知的な風貌の美青年に真摯な眼差しを向けられ、年配の仲居さんが顔を赤くする。



「ちょ、昴さん!」



「はい?」



不思議そうに振り返る彼。

いや、はい? じゃなくて。



「せっかくなんだからゆっくりしましょうよ。お客さんに手伝うなんて言われたら困っちゃいますって」



「そ、そうですか? 申し訳ありません」



心なしかほっとした様子の仲居さんが出ていった後、昴さんはまたそわそわし出す。

進んで荷物の整理を手伝ってくれた彼を、どうせなら一緒にくつろごうと引き留めたはいいけど、どうやら結野家の優秀な執事さんは働いていないと気が済まないようで。



「緑茶です。よろしかったらどうぞ」



「あ、ども……」



漆塗りのテーブルに、コトリと置かれる湯呑み。
い、いつの間に淹れたんだろう……。



「少し早いですが、お布団を敷いておきました」



「えっ!? ちょっと待っ、ええっ!?」



驚いてバッと見れば、一瞬で畳の上にキッチリ綺麗に並ぶ二枚の布団が出現していた。
早業なんてレベルじゃない。



「浴衣はこちらになります。着付けが上手くいかないようであれば―――」



「ストーップ! 昴さんストーップ!」



止まる気配のない昴さんに、たまらずストップをかける。



「少しは休みましょう、ね!? お客さんじゃなくなってますよ!?」



「す、すみません。落ち着かなくて」



しゅん、とすっかり恐縮してしまう昴さん。

姫宮はというと、彼の業績を見ては「すごーい」と目をキラキラさせて感嘆のため息をついていた。



「ですが、実は備品の手入れに少々納得がいかない箇所がありまして……。それも兼ねてやはり先程の方に掃除用具をお借りし―――」



「よっし早速お風呂行きましょうか! 露天風呂がいいらしいですよ!」



「おふろおふろー!」



「け、圭様っ!? 姫宮様!?」



失礼を承知の上で、俺たちは昴さんをずるずると引っ張って部屋を出た。







゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚






着替えやタオルを持って、ラウンジや卓球場、売店やなんかを横目に、まっすぐに大浴場へ。


……しかしあれだよね。創作では、こういう旅館のお風呂って、だいたい混浴だったりするよね。
男女交替の時間が決められてて、それに気づかず入ってきちゃったヒロインと二人きりで鉢合わせ、とかね。

お約束だよね……!



「……って、普通に男女別かよ……」



「うん? ヒナ、なんか言った?」



「いや別に」



……と思いきや、まさかの健全ルートだった。
別にいいけどさ。


そんなことを話しながら、男湯、と書かれた青い暖簾をくぐる。



「わー、脱衣所まで広いねー」



「そうだな……………ってちょっと待てぇ――――いッッ!」



わ、忘れてたぁああああああ!!??



「どしたの?」



シャツに手を掛けながら、きょとん、と首を傾げる美少女(ただし性別は♂)。



「どしたのじゃない! とにかく脱ぐなここ男湯!」



「うん、だから脱がないと入れないよね?」



「いーやーあー! この年で犯罪者にはなりたくないぃぃぃー!」



頭を抱える俺。



「何事も平常心ですよ、圭様」



言って、昴さんが涼やかな笑顔を向けてくる。



「お嬢様が次々と巻き起こす奇想天外なトラブルに比べれば、容姿が女性の男性の裸体を見るくらい、なんてことはありません」



「ま、眩しい……! その悟りきった微笑みが眩しい……!」



「今容姿が女性って言いませんでした!?」



昴さんの言葉には、何故か無駄に説得力があった。

394ピーチ:2013/04/23(火) 04:38:10 HOST:EM114-51-23-101.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

いや犬じゃないからね人だからね!

いや王子すぎるだろあの人!

美空先輩凄いよね! ドジさえ抜けば完全無欠!←

こんなに出してくれてありがとうー!

395心愛:2013/04/24(水) 19:00:30 HOST:proxyag117.docomo.ne.jp






木漏れ日が差し込む、広々とした露天風呂。
不透明な湯の中でゆったりと手足を伸ばす。
岩肌に腕をつき、ほっと一息。



「ふー……」



「ヒーナー? なんで向こうばっかり見てるのさー」



「ひぎゃぁあああ―――――ッッッ!?」



視界に白いものが映り込み、俺は唐突に絶叫を上げてずざざっと湯の中で後ずさる。



「来るな寄るな近づくなぁあああっ…………あ?」



「だから何なのっ」



俺が逃げた方向に先回りして、ぷんすかしている姫宮の肩が目に入る。

予想通り白くなめらかな肌やほっそりした腕をしているものの、その骨格は明らかに少女でなく少年のもので。



「……ひ、姫宮がちゃんと男、だと……? なにこれ夢? 白昼夢?」



「ヒナは僕をどんな目で見てたの!?」



ぷくーっと膨れる顔はやっぱり可愛らしいけど、こうしてちゃんと見れば女子と間違われることはまずないだろう。
まさに“可愛い男の子”って感じだ。



「……いーなー。筋肉うらやましい……」



ぽけっとしてしまう俺をよそに、本人は不満そうに自分の腕を眺めていた。



「隣、いいですか?」



「あ、どうぞどうぞ」



失礼します、と穏やかに微笑み、昴さんも俺の横に腰を下ろす。
ギリシア彫刻のように優美なシルエット、薄いながらも立体的に陰影のついた筋肉のラインが美しい。



「たまには、こうやってゆっくりするのもいいですね」



「そうですよ。仕事なんか忘れて―――」



と、突然仕切りの向こうから、聞き覚えのある元気な声が響く。




『美羽ちゃんこっちこっちー! おいでー』



『聞こえているから騒ぐな! そして走るな滑ったらどうする!』




男サイドに立ち込める沈黙。



「……女湯って……このすぐ向こうだったり……」



「……そのようですね」



こちらとあちらを隔てるのは薄い仕切り一枚。
賑やかな会話が思いっきり丸聞こえだった。



『おっ、意外とあるじゃん! 王子ってば着やせするタイプ?』



『きゃ、い、いきなり何するんですかっ』



『身体検査ー! ……んん? 待って王子、もしかしてあたしより腰細くない?』



『……この世は不条理だ……』



『そんなのどうでもいいです、それより美羽がすっかり黄昏ちゃってますよ!』



『やだもー美羽ちゃんだって可愛いよ! つるぺただって需要あるよ!』



『うるさいこっちに来るな! 目の暴力だ!』




「…………」



気まずげに視線を泳がせる昴さん、なんとなく正座の俺、体育館座りの姫宮が一様に赤面。
なんか水温が上昇したような気が。



「……認めるよ姫宮……! お前は男だ!」



「ヒナ! やっと分かってくれたんだね!」



小声のまま握手を交わす俺たち二人。
この恥ずかしさ、いたたまれなさは男同士でしか分かるまい。




『私の癒しは美羽だよ……っ。あー、落ち着く……』



『苺花も抱きつくんじゃないっ! 背中に当たっ……、て……、……………ひっく』



『……えっ、もしかして泣いてる!? 泣いてるのっ?』



『うわぁぁぁあああああん!』




ざっばあ! と派手な水飛沫が立つ音、濡れた床を駆け去る小さな音が立て続けに聞こえてきて。




『み、美羽ちゃんっ!? 追いかけなきゃ……王子、あたし先に上がるね!』



『は、はあ……って先輩、危険ですから走らないでくださいよ!』



『大丈夫だいじょっぷぎゃっ!?』



『ほんとに期待を裏切りませんね!?』




そして最後に、びったぁん! というお馴染みの音。



「え、と……心配だし、ゆいのんたちの様子見てくるよ」



「……そ、そか。じゃあ頼むわ」



「……では、私からもお願いします」



それぞれの想い人が起こした残念すぎる一連の出来事に、俺と昴さんは現実逃避の道を選んだ。

396ピーチ:2013/04/25(木) 03:40:30 HOST:EM114-51-8-105.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

男湯だけだとこんな思いしなくていいかもなのにね!

ほんと女子って元気だよねー…←

397たっくん:2013/04/25(木) 13:32:22 HOST:zaq31fa48ea.zaq.ne.jp
今2チャンネルのほうで歌ってきました。
やっぱり人間としてやるべきことはちゃんとやらないと
私は常識を守りたいです。

やっぱり人間としての常識ですからね
コミュニケーションというのは大切ですからね
皆もちゃんしなきゃ駄目だよ

398たっくん:2013/04/25(木) 13:32:57 HOST:zaq31fa48ea.zaq.ne.jp
また別のサイトでも歌ってきます。
アホのピーチ♪(笑)
アホのアーバン♪

399たっくん:2013/04/25(木) 13:33:17 HOST:49.250.72.234
人間としての常識ですからねこういうのは
皆もちゃんとしなさいよ

400:2013/04/25(木) 14:50:50 HOST:ntnara044190.nara.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
実は、1ケ月くらい前にヤバイことがあったんです。
学校のテストで赤点だった私は、K君と二人で居残りをさせられました。
K君は、運動神経抜群で、しかもルックスもよくて私の友達のなかにも
K君が好きな人はたくさんいます。もちろん私もその一人です。
なので、私は正直うれしくてたまりませんでした。
先生は、私たちに「そのプリントやったら帰っていいから、気をつけて帰れよ。」
とだけ言ってどこかへ行ってしまいました。
私は20分くらいでプリントを終わらせました。
でも、K君はまだ終わってません。
だからと言って待っていてもしかたがないので、私は
「あの・・・えっと・・・わ、私・・・もぅ終わったから・・・先・・・行くね・・・。」
と、顔を真っ赤にしながら言いました。
すると、K君は意外なことを言い返してきました。
「5分だけ待ってくんない? ・・・あ、いや・・・なんでもない・・・。」
私は、びくっりしました。
でも、少し考えてから
「いいよ。 でも、待ってどうするの?」
と聞き返しました。
K君は
「暗いし、一緒に帰った方がいいかなぁって思って・・・。」
と言いました。
私は、うれしくなりました。
そして、5分くらいたって
「はぁ〜あ!!やっと終わったよ。よし!!じゃぁ、いこうぜ!!」
というK君の声につられて私たちは教室を出ました。
私の家とK君の家は、歩きで5分くらいの近さです。
そして、K君の家のほうが学校の近くにあります。
歩いて行くと、K君の家が近ずいてきました。
そこで、私は、K君から「目を閉じろ」と言われました。
なんの抵抗もなく目を閉じた私をK君がゆうどうしてくれます。
私は、K君の手と声をたよりにゆっくりと足を進めます。
しばらく歩くと、いきなりソファーのようなものの上に押し倒されました。
私は、あわてて目をあけるとそこはなんとベットの上でした。
そしてK君が裸で私の服を脱がせます。
おっと!!
これ以上は恥ずかしいので、この文をコピーしてこの掲示板と他の掲示板に1つずつ
はって下さい。
すると、『        』にアドレスが出て、が青くなってクリックできます。
そして、30分ぐらいの動画が見られます。内容は、胸をもんだり・・・・
前、似たようなのなのやったけどできなかった

401心愛:2013/05/02(木) 23:23:51 HOST:proxyag053.docomo.ne.jp
>>ピーチ

たぶん同じ状況で、相手が他人の女子だったら「うぜえ…」って考えると思うよここあ←
自キャラの美人さんたちだから騒いでても仕方ない!


温泉ネタは一回書いてみたかったw

402心愛:2013/05/02(木) 23:24:21 HOST:proxyag053.docomo.ne.jp






その後、静かになった露天風呂を出て大浴場に行ってみたりと一通りぶらついてから、そろそろ上がると昴さんに声をかける。



「せっかく来たんですから、昴さんはもう少しいたらどうですか? たまには美空先輩のお守りから解放されてゆっくりしてもバチは当たらないと思いますよ」



「……では、お言葉に甘えて」



あ、お守りってとこ否定しないのね……。


そんなこんなでさっさと着替えて脱衣所を後にすると、女湯の暖簾から出てきた柚木園と鉢合わせした。



「あれ、ヒナ」



水分を含んだ髪の間から覗く折れそうに細い首筋、しっとり透明なつやのある肌が妙に艶めかしい。

さっきの会話を聞いてしまった後だからか浴衣姿の柚木園が女っぽく見えて直視できず、微妙に視線を逸らしながら小さく片手を上げて。



「偶然じゃん。美羽たちの後?」



「そうそう。二人ともすぐに出ちゃったからね、一人で満喫してきた」



うん知ってる。と言いたい衝動をぐっと抑える。



「これから暇なら、こっちの部屋来たら?」



「え、女部屋に?」



「異性の部屋に遊びに来てわいわいやる、っていうの、修学旅行の醍醐味じゃない? 見回りの先生に見つからないように隠れたりして」



「先生誰だよ」



役割的に昴さんが一番近いような気がするけど。



「まぁ、私は女の子の部屋にいても何も言われないから今まで関係なかったけどね。こればかりは自分の性別に感謝するよ」



「あそう……」



そんなくだらないことを話ながら、柚木園に付いて広々とした廊下を歩く。
やがて一つの襖にたどり着き、



「美羽、先輩? ただいまで、……す?」



部屋の中を覗き込んだ柚木園、そして俺が、揃ってフリーズした。


くてっとテーブルに突っ伏して、赤い顔でふにゃふにゃ言っている美羽。彼女を見ながら端正な顔を気まずげに引き攣らせている美空先輩。


そして。



部屋の中に仄かに漂う―――アルコール臭。



「「お酒は二十歳からッ!?」」



動転のあまり、二人して変なツッコミをしてしまった。



「ちょ、何やってるんすか先輩!?」



「わ、わざとじゃないの!」



ぴょこんっとツインテールを跳ねさせながら、しどろもどろに言い訳タイムに入る美空先輩。手にはジュースの(いや、そう見えるだけの)缶。



「あの、ね……? みんなで飲もうと思って勝手に家から持ってきてたジュースを開けたら、それがお酒だったみたいで……」



「ドジにも程がありますよっ!?」



分かりにくいとこでドジられるのも困るもんだね! 学習した!

今日のドジが少なかった、っていうのはこのための伏線だったのか!?



「だ、だってお風呂上がりに冷たいもの飲むと美味しいじゃない? ……ってことで、美羽ちゃんもだけど、ついて来てくれた姫にもあげちゃった」



「をい」



しかも被害拡大させてやがった!


唖然とする俺と柚木園に向けて「……え、えへ?」と小さく舌を出してこつんっと頭を叩いてみせる。悔しいけど可愛い。



「んー……なんかあたしまでやばいかも。だんだん暑くなってきた」



「だ、大丈夫ですか?」



「大丈夫……だとは思うんだけど。外行って涼んでくるから、その間美羽ちゃんよろしくね」



「はああ!?」



アルコールに強いのか特別酔っているようには見えなかったけど、美空先輩がひらひら手を振って出て行ってしまう。


残されたのは絶賛潰れ中の美羽と俺ら二人。
ど、どうすれば……。


しばし無言でアイコンタクト会議をした後、柚木園がそろそろと手を伸ばし、美羽の肩を遠慮がちに叩く。



「みーうー」



「……うー……?」



意識はあるようだ。

美羽はとろん、とした熱っぽい瞳で柚木園を映すとふらふらしながら近寄り、彼女にぼふっと抱きついて顔をうずめ………………………え?



「か、か、かわいいいいいい」



口に片手を当てキラキラその表情を輝かせる柚木園。
うにゅーっとかなんとか言いながら頬擦りしている美羽。


……なんだこれ。



立ち尽くす俺はアルコールの恐ろしさに戦慄を隠せない。酒の威力すげえ。

403ピーチ:2013/05/03(金) 16:00:07 HOST:EM114-51-9-68.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

あたしも一緒だ仲いい人以外は!←

美人さんだから許されるw

ていうか美空先輩!? いくら何でもアルコールは!

404黒ネコ:2013/05/05(日) 09:18:56 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 どうも、黒ネコです^^
 いや、なんかもう「知ってますよ、貴方のこと」って思われてもイイほど皆さんの小説に顔出してます←
 今回は、心愛さんの作品に顔を出させて頂きました ̄▽ ̄

 文も読み易いし、学生の淡い恋話が楽しく読めました(笑)
 っあ、それと、400スレ達成おめでとうございます^^
 これからも、お体に沿わない程度に頑張って下さい
 応援していますっ!

405心愛:2013/05/07(火) 22:26:13 HOST:proxy10054.docomo.ne.jp
>>ピーチ

ドジィ……
うん、いくら美人でもアルコール間違えちゃいけないね!
お酒は二十歳からっ!



>>黒ネコさん

またまたこんにちは(*^-^)ノ
恋愛というか基本アホしかやってませんけどね!
頑張って完結までこぎつけたいものです←

406ピーチ:2013/05/09(木) 04:40:55 HOST:EM114-51-29-243.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

ちょっとくらいのドジなら可愛さとか引き出せるけどこれはちょっと←

どれだけの美人でもちょっとね……

でもあたしも間違えそうになったことあるような(こら

407心愛:2013/05/10(金) 22:07:24 HOST:proxy10047.docomo.ne.jp
>>ピーチ

やっぱり転ぶくらいに留めておかないとねw


割と見た目的に普通の炭酸飲料に近いやつあるよね(`・ω・´)
美空はただの不注意と運の悪さだろうがな!

408心愛:2013/05/10(金) 22:07:52 HOST:proxy10047.docomo.ne.jp






「……お前、彼氏はどうしたよ」



それでも必死に平静を装いつつ半眼で聞けば、柚木園がやっとこっちの世界に戻ってきてくれた。



「わ、私としたことが、つい美羽の可愛さに負けて色々忘れてしまった……!」



「安心しろ、お前いつもそんな感じだから」



全然『私としたことが』になってないと思う。



「み、見てくる!」



言い残して柚木園が廊下へ消え、あれ? と思ったときには既に、個室に美羽と二人だけになっていて。


しまった俺のバカ! 何やってんだよおい!
この状態の美羽と二人きりとか―――完璧に嫌な予感しかしない!



「んー……」



「み、美羽さん……? 眠いなら寝てていいんだよ……?」



俺が恐る恐る声を掛けても、むにゃむにゃ言いながらしきりに寝ぼけ眼をこすっている美羽。
……ダメだ、言葉が通じない。



「まだ早いけどそこに布団敷いてあるし―――って昴さんいつの間にこっちまで!? 仕事モードやべぇ!」



「う?」



きょとん、と一人全力で叫びまくる俺を見上げた後、ふるふると首を振る。



「え、えーと……寝ないってこと?」



熱っぽく潤む瞳は星の瞬く久遠の黒。
風呂上がりだからかアルコールの所為なのか、ほんのり染まった頬。
こくんと頷いた拍子に、濡れ羽色をした髪がふわりと広がり、甘い香りが鼻先を淡くくすぐった。


そんな場合じゃないってことは分かっているのに、勝手に心臓が早鐘を打つ。



「……そもそも美羽は炭酸飲めないし飲食物に対する警戒心も強いから、これだってほんのちょっと舐めたくらいのはず。だとしたら身体に害はないだろうし、だいたいこういうパターンの話ってヒロインが酔っぱらってるのは最初のうちだけで、一晩たったら綺麗さっぱり何も覚えてないってのが大抵ってことを考えるとここはやっぱり一回完全に寝てもらって―――」



「うー……?」



煩悩を抹消するためにひたすらぶつぶつ早口で喋りながら顎に手を当てる俺を、美羽は不思議そうにじっと見つめている。

くそ、いつもの中ニ病要素はどこに行った! これじゃまるっきり別人じゃないか!



「美羽ー? や、やっぱりあっちに」



「う―――」



「いや『う』じゃなくてねっ?」



思わず頭を抱える。
いつものヴァンパイアバージョンの方がずっと扱いやすいんだけど何これ! 普通の男子高校生には荷が重いよ!



「ひなー……」



「ふへっ!?」



今度は、ぎゅっと細い腕を回して正面から腰に抱きついてきた。


……え、え、えええッ!?



「ちょ、ちょちょちょちょぉッ!? 待っ、は、離れ」



「や」



ご満悦なようで、ピュアっ子版美羽さんはにこにこしながらきっぱり拒否。
くっ、これは可愛い―――じゃない! しっかりしろ俺!



「……美羽、よーく聞けよ? 何故か幼児化してるみたいだけど、俺たちは子供って年じゃない。高校生の男女がこういうことするのは色々問題があるわけ。分かった?」



頑張って言い聞かせるけれど、美羽は頬を膨らませてぷいっとそっぽを向く。
拗ねたようなその仕草がいつもの彼女のものと一瞬だけ重なって、顔が急激に熱くなる。



「っ、いい加減に、」



「や―――!」



このままではまずいと半ば無理矢理引き剥がし、じたばたしている美羽に語気を強めて言い放つ。



「俺、自分の部屋帰るから。この部屋で大人しくしてて!」



「………」



それを聞いた途端に、美羽がぴたりと固まった。
ショックを受けたように、大きな瞳が見開かれ―――




「えっ」




「……ごめんなさい」




みるみるうちに、じんわりと涙が溜まっていく。


な、なんで!? どうして!?




「もう、わがまま言わないから、……ひとりにしないで……っ」




力なくしゃくりあげながら、拙い謝罪の言葉を繰り返す。




「きらわれて、ひとりになるのは、……やだ、よ……!」




「………」



ガツンと頭を思いきり殴られたような衝撃を受けて、俺は黙り込んだ。

409ピーチ:2013/05/11(土) 12:09:25 HOST:EM114-51-32-43.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

転ぶのもどうかと思うけどなー…←

あるある! だって匂いは果物のお酒なんてよくあるもん!

ヒナさん、墓穴掘っちゃったねw(おい

410心愛:2013/05/24(金) 15:05:03 HOST:proxyag022.docomo.ne.jp
>>ピーチ

死にかけてるものの、ここあ再び参上(・∀・)
なんかもうほんと久々な感じがする!


見た目も香りも分かりにくいお酒は危険だよね!

あ、ちなみに次ので一応一段落で、今度は番外編で苺花と昴視点をちょろっとお届け予定←

411心愛:2013/05/24(金) 15:05:40 HOST:proxyag022.docomo.ne.jp






もしかして、今喋っているのは、弱い部分の美羽……?


強気に振る舞いながら、本当はいつも、こんなことを思っていたのか?


“ミウ”と、美羽。


綺麗で強くて、なのに酷く傷つきやすくて、怖いくらいに純粋な、心。



「わ、悪かったよ……」



小さな頭に手を乗せ、あやすように優しく叩く。



「置いてかない。置いてかないから……約束する」



「……ほん、と?」



一拍遅れ、濡れた瞳が上げられる。



「一緒にいてくれる?」



「う、うん」



それを聞くや、美羽はぱああっと顔を明るく輝かせた。



「約束ね!」



うわあ……。

くらっときた。
至近距離で見るには刺激が強すぎる笑顔だった。
姫宮のみたいに純粋で可愛らしい好意の滲み出るその表情は、不慣れな身にとってはたまらない。



「………! ………っ!」



「ヒナ?」



「やー何でもないっ!」



あははと空笑いしながら、美羽をくっつけたまま廊下に出る。
「どこ行くの?」と不思議がる彼女に適当に返し、見覚えのある一つの部屋の前に辿り着き、




「―――……柚木園ヘルプッ!!」




スパーンッ! と全力で襖を開け放った。


胸を張って言おう、俺はもう限界だ! これ以上この状態を続けたら俺の中にお住まいの理性さんが家出してしまう!
でも一応女同士だし、柚木園なら何とかしてくれるさきっと!


という少々情けない考えの末に目的の人物を探しに来た俺はすぐに彼女の姿を見つけた、けど。



「………ぅえ?」



変な声出た。


視界に入ったのは―――あ、と焦ったようにこちらに視線をくれる柚木園、そして彼女の赤い顔の両側に腕をつき、布団の上に押し倒す形で覆い被さっている姫宮。

二人の体勢は、えーと、アレだ。十中八九、旅行先で人目を忍んで今にも致そうとしているカップルのそれで。


つー、と背中に汗が伝う。



「……面目しだいも御座いませぬ。どうぞごゆるりと」



「キャラ変わってる!?」



きょとんとしている美羽の背中をそっと押し、退場しようとしたところで必死な声に止められた。



「ま、待って待って! 助けてよ!」



「……は? 助……?」



良く見れば、柚木園は姫宮の下でじたばたともがいている。
あれ? 合意の上じゃないの?



「ヒナってば!」



「あ、あーうん」



我に返った俺は美羽に裾を引っ張られてコケそうになりながらも、二人に近づいていって姫宮を引き剥がす。


意外と簡単に離れてくれた姫宮は、ふにゃ、とそのまま崩れ落ちた。
その頬は熱に浮かされたようにほんのり色づいている。



「姫宮……?」



「やっぱり酔ってるみたい。私を見た途端にくっついてきてさ……」



恥ずかしそうに浴衣の乱れを直しながら、柚木園。

明らかにくっついてきたとかそういうレベルの話じゃなさそうだけど、あんまり触れられたいことでもないだろうし深入りはしないことにする。



「それは大変だったな……。正直びびったよ」



「私も……。夕紀が酔うと怖いってことが良く分かった」



「やっぱ未成年が飲んじゃいけないってのは道理なんだなー」



二人でしみじみと頷き合う。
……いや、そんなことしてる場合じゃないのは分かってるけどね。



「んー……まいちゃん、どこー……?」



「ちょっとなにこの馬鹿力! 痛い痛い痛いっ」



「ひ、ヒナ!? 大丈夫っ?」



「うー……やーだー! ヒナといるー!」



「美羽も落ち着いて!」




「……み、皆様……? 一体何を……」




「「あ」」



どうやら部屋の前を通りがかったらしい。
荷物を手に持ったまま入口に立ち尽くす昴さんの、戸惑いの視線が痛かった。

412ピーチ:2013/05/24(金) 22:44:09 HOST:EM1-114-1-127.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

久しぶりー! 寂しかったよー!←

だよねお酒は要注意だね!

ちょっと待てヒナさんたちー!

みんな可愛すぎるけどそれとこれとは話が別だー!←

413心愛:2013/06/06(木) 19:52:32 HOST:proxyag074.docomo.ne.jp
>>ピーチ

で、大変なことになった後すぐに後日談という鬼進行w

明らかに変なところは優しい心で見なかったことにしてくれ!(ぇ

414心愛:2013/06/06(木) 19:53:18 HOST:proxyag073.docomo.ne.jp






「それにしても僕、あのときいつから寝てたんだろ……?」



連休明けの教室で、姫宮が不思議そうに首を捻った。



「朝気づいたら布団に寝てたし、それまでのことって全然覚えてないんだよね。おかしいなぁ」



「そ、それはよかった……」



「まいちゃん? なんで目を逸らすの?」



昨日からなんか変だよ? と柚木園の顔を覗き込もうとして、ばっと全力で避けられている姫宮。
……察してやれ。



「実は、ぼくも記憶が曖昧なんだ」



「うん、その方が幸せだと思う」



世の中には知らない方がいいことだってたくさんあるよね。

美羽は不満げにむむむと唸った後、



「はっ! ぼくの力を畏れる何者かによって消されたのかもしれない!」



「ねぇよ」



「くっ、人間界だからといって油断した……! ヒナ、主の危機だ! 眷属として今すぐ旅館の関係者に電話して、洗いざらい調査を―――」



「しねぇよ」



やっぱり俺の予感通りだったらしく、朝起きた美羽も姫宮も、あの夜のことは綺麗さっぱり忘れてぴんぴんしていた。

良くも悪くも美羽は今日も通常運転で、あの頼りなげな様子の面影もない。
うーん……俺の気にしすぎ、かな。



「あ。そういやお詫びも兼ねて、美空先輩がまた企画するってさ。おすすめの旅館らしいよ」



「ほんと? それは楽しみ……ってお詫び?」



……しまった!
この件については大事にしても面倒だから、天然ピュアっ子たる姫宮と超箱入り娘の美羽だったら「え、あの缶? 普通にジュースだろ。それより急に寝ちゃったけど多分疲れが出たんだな、もう大丈夫?」とか言って騙し通せるだろうって残りのメンバーで(っていうか美空先輩が)隠すことを決めたのに……!


柚木園が黙って顔を引き攣らせている。
い、今からでもごまかさないと!



「おいおいヒナー、何の話してんだよー! 旅館が何だって?」



「いっ?」



と、誰かがバシッと後ろから肩を叩いてきた。
振り返れば、にまにま笑っている春山のツラ。……なんか、妙に久しぶりに見た気がする。


俺が困ってるのを見て声掛けたとか……いやまさか、こいつはそんなキャラじゃないよな。
でも一瞬そう考えてしまうくらいには、偶然では済まないくらいにいいタイミングだった。



「よう。随分と楽しそうだな、ヒナ」



「その話、詳しく聞かせてくれるか?」



「まさか俺らを差し置いて、男女で仲良くお泊まりなんて素敵青春イベントを体験してきた……なんてことは、ないよなぁ」



「絞殺刺殺射殺銃殺毒殺圧殺殴殺撲殺惨殺轢殺扼殺」



「久々の展開!」



悪ノリしたクラスメイト男子に素早く拉致され、俺は教室の隅に追い詰められる。



「ちょ、待てよ! なんで俺だけ!?」



「柚木園は女だし、結野さんも別にいい。姫宮は………なんか違う」



「なんか違うってどういう意味!?」



……確かに、女子に縁のない男が嫉妬をぶつける相手には、姫宮はちょっと……。

いやむしろ、



「結野だけでなく姫にまで手を出すとは……許すまじ!」



「なんで!? なんで僕が入るの!?」



……やっぱり、羨ましがられる理由に入ってるよね。

これで美空先輩の名前も出そうものなら本気で殺されそうだ。



「いーなー。俺も誘ってくれればよかったのにー」



「冗談は存在だけにしておけ」



「俺の存在って冗談だったの!?」



この空気を作り出した張本人である春山はといえば、いつの間にか美羽に絡んでいた。



「ひでーよ結野ちゃん……俺のことキライ?」



「君の霊魂が天に召された暁には死神とダンスを踊ってやってもいい」



「どや顔でふられた! しかも結構言ってること酷くね!?」



台詞だけ聞けば春山の方がまともに思えるけど、これで物凄く嬉しそうな顔をしているのだから手に負えない。これだからドMは……。

415ピーチ:2013/06/07(金) 03:55:03 HOST:em114-51-132-176.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

まさかの鬼進行w

いや絶対変なところないから! 読んでてやべぇやっぱ神だこの人とかは思ったけど!←

……ヒナさんも夕紀ちゃんもある意味立場似てたね、今回(え

416たっくん:2013/06/07(金) 11:44:14 HOST:zaq31fa529e.zaq.ne.jp
昼飯の時間・・

腹をすかせたピーチは母親が朝早く作ってくれたお弁当を開けます。
すると・・何と祖父(おじいちゃん)の入れ歯が入っているではありませんか。

昨夜ポリデントにつけてあったおじいちゃんの入れ歯を
ご飯の上にのせ口に入れた・・すると
案外うまかった

417心愛:2013/06/07(金) 19:09:01 HOST:proxyag084.docomo.ne.jp






「美羽と夕紀にちょっかい出さないでくれる……?」



「おー柚木園! やっぱいいねその目! ゾクゾクする!」



「夕紀、この生命体の行動パターンに黙るって選択肢はないのかな」



「うん、賑やかで面白いよね!」



「ふふん、そうだろー。なんと言っても俺、通知表に6年連続で『落ち着きがありません』って書かれた男だからな!」



ツッコミ不在のカオス。
次々と飛んでくる質問をスルーしながらこっそり傍観していた俺は、耐えきれずにぼそりと呟く。



「……俺、春山ほどバカな奴見たことないかも」



「よせよ照れるぜ」



「褒めてねぇ!」



眩しいシャイニングスマイルで、ぐっと親指を立てられた。顔だけ見ればワイルド系のイケメンなのが非常にムカつく。




「―――日永圭はこのクラスかっ!」




「誰っ!?」



さらに突然ドアをぶち壊しそうな勢いで開け放ち、屈強そうな男子生徒がぞろぞろ入ってきた。
ずらりと並ぶいかつい顔は、学校の中で見たことあるような気もするけど……?



「貴様、姫と温泉旅行に行ったそうだな?」



「え、どこから情報を!?」



「そんなもの、この教室の天井裏に潜んだ会員からの連絡を得れば容易なこと」



「おまわりさーん!」



この学校忍者までいんの!?



「同じクラスだというだけでも許し難いのに、一日でも姫と寝食共にするなど言語道断!」



「ファンクラブに加入していない男が姫の半径二メートル以内に近づくな!」



「そ、それは席順の都合上無理が……って、え? ファンクラブ?」



『いかにも! 我々は非公式の姫ファンクラブ―――正式名称《我らが天使にして希望の光・姫宮夕紀を草葉の陰から愛で、戦い、全力で守護する会》である!』



「助けてぇぇぇえええええ!」



「? ヒナ、どうしたんだろ?」



「……関わらない方が良さそうだね」



「何を言う、主を庇うのが眷属だろう。自分の危機は自分で何とかしろ」



「この卑怯もだぎゃ―――――!」



巻き込まれたら面倒そうと悟るや、すぐに俺を解放して退散するクラスメイトたち。薄情極まりない。
あと姫宮、お前の耳はどうなってるんだ。



「大切なクラスメイトが一方的な体罰を受けるなんて、見過ごすことはできない……! 先輩方さぁカモンっ! その怒りを俺に全力でぶつけてくださいっ!」



「自分の欲望全開じゃねーかちくしょー!」



南高11組は、今日も平和です。

418心愛:2013/06/07(金) 19:10:26 HOST:proxyag083.docomo.ne.jp
>>ピーチ

いやいや、違和感ありまくりでごめんw


可哀想ポジ←

419ピーチ:2013/06/09(日) 08:27:33 HOST:em49-252-253-153.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

いや無茶苦茶うまいんですけど! むしろ違和感ないんですけど!

ヒナさん哀れだ……! そして春山くんはどうなんだろう…←

420心愛:2013/06/19(水) 20:52:43 HOST:proxyag014.docomo.ne.jp
>>ピーチ

番外編で、春山もアホなだけじゃないんだなーってわかってもらえたら幸いだ!
…アホだけどね!


そろそろ最終話なムードに突入するかもしれないw
それまでの息抜きってことでいつものバカ極まりない話をどぞ(`・ω・´)

421心愛:2013/06/19(水) 20:53:03 HOST:proxyag014.docomo.ne.jp


『現代社会』




昼休み明けの最初の授業。
すーすーと可愛らしい寝息を立てて、姫宮が居眠りしていた。
無理もない、特に眠くなる時間帯に加えてこの先生の声は生徒をまどろみに誘うことで有名だ。暖房入れてるからあったかいし。
現代社会はほぼ全員受験に使わない科目というのもあり、みんな最初から先生の話そっちのけでそれぞれ自習に励んでいる。これでまったく気づかず喋り続けられる先生も凄いけど。


俺は開いた国語の問題集の上にシャーペンを転がし、姫宮を揺すり起こそうと手を伸ばしかけて、



『(バカ、起こすな!)』



いくつものアイコンタクトによって阻まれた。


せっかく気持ち良さそうに寝てるのに、無理矢理起こしたら可哀想だってことだろうか。

……何だかんだで、いいクラスだよな。
でも今珍しく次のテストのポイントとか言ってるし、これは聞いておいた方が自分のためにな―――



『(寝顔鑑賞会が中止になっちまうだろ!?)』



訂正。つくづく最低なクラスだ。



『(おいこらヒナ! ふざけんな!)』



『(俺らの安らぎタイムをどうしてくれる!)』



『(まあ落ち着け。ここにとある組織から買収した姫宮の限定ブロマイドとポスターがある。これをじっくり鑑賞して心を休めるんだ)』



『言い値で買おう』



最後、複数の男子が一斉に思いっきり声に出して取引を成立させていたけど先生も気づかないしいちいちツッコむのも面倒になってきたので、俺は姫宮の肩を揺すって目を覚まさせる。



「うーん……? ハンバーグでいいんですか……?」



「どんな寝ぼけ方だよ」



ふにゃふにゃ言いながら目をこする姫宮。



「うにゅー……あれぇ、ヒナがいるー」



「そりゃいるだろ教室なんだから。ほらメモれ、田中結構大事なこと言ってるぞ」



「ふぁーい……?」



うとうとしながらも、その指先は器用にも教科書に付箋を張り出したので大丈夫だろうと判断し、前に向き直る。

重点的に出題する問題集の範囲なんかを一通り把握した後、俺は姫宮の他にももう一人、心ここにあらず状態の男を見つけた。
春山だ。
なんか一時期の柚木園みたいに、何も耳に入らないような様子でぽけーっと虚空を見つめている。

もう先生は社会情勢がうんたらとかいうどうでもいい話に移ってしまっていたから聞く必要はないけど、なんとなく気になった俺は春山の金髪にぺしっとチョップを叩き込んだ。
え、遠慮? そんなものこいつ相手に必要ないし。



「っ…………うおっ!?」



春山は攻撃自体にはほぼ無反応だったのに、何故か俺を見てから大げさにのけぞった。



「な、なんだヒナか! ちょ、びっくりさせんなよー、心臓から口が飛び出るかと思った!」



「それは是非とも見てみたいな」



正しくは口から心臓ね。


呆れる俺をちらっと見、春山は安心したように息をつく。



「……いくら似てないように見えても、兄妹ってやっぱ似るんだな……。あぶね、一瞬間違えそうになったわ」



「は? なんか言った?」



「いや何も?」



へらっと笑ってごまかす春山。……釈然としない。
こいつのこういうとらえどころのなさとか、たまに彩と似たようなものを感じることがある。



「寝不足? 永眠はしっかり取った方がいいぞ?」




「ヒナの珍しい優しさが痛い! でもそれが快感!」



「黙れ変態!」



ちなみに、ここまでの会話は全て小声でお送りしています。

422心愛:2013/06/19(水) 20:54:02 HOST:proxyag037.docomo.ne.jp






「えー、ではこのへんで、抜き打ちの小テストを行います。全員教科書類を机にしまっ―――」




―――教室に衝撃走る。



「春山、行ってこい」



「なんか俺の扱い犬っぽくね?」



「それはそうかもな。人権ないから」



「え、俺には日本国憲法適用されないの?」



それでもこちらは慣れたもので、嬉しそうに軽口を叩く春山が勢い良く挙手。



「はいはいはい先生質問!」



「春山君? これからテストですからまた後に」



「どうしても今知りたいんです! 八十三ページの自由記述の問題なんですけどー」



渋る先生を強引に押し切り、時間稼ぎを開始する。
質問に対する回答が終わっても、息をつく間もなくすぐさまそれっぽい口上をぺらぺらと並べ立てて、また違う問題の解説に移らせていた。

……あいつ案外頭いいよな。


でも、授業終了まであと30分。
それより春山のネタが底を尽きる方が早いだろう。


春山GJ、と親指を立て、俺たちは早急な対策を考えるべくアイコンタクト会議を行う。
誰か他にこの状況を打開してくれる人は、いや、それは無理だとしてもせめて、新しい質問ができるくらい授業に真面目に取り組んでいて春山の助けになるような人は―――



「美羽!」



「黙れ。ぼくは今、天狼(シリウス)を召喚する魔法陣を描くのに忙しい」



「ダメだ使えねえ!」



熱心にノートになんか書いてると思ったら!



「じゃあ、ゆ―――」



「………」



こういうときに役に立ちそうな優等生たる柚木園は、本格的に集中モードに移行していた。
参考書に没頭してしまっていて、ちょっとやそっとの声ではとても気づかせることができそうにない。



『(………やるか?)』



こうなったら仕方ない、なんとしてでも絞り出して、一人ずつ質問責めにするしか―――



「うん? ヒナ、どうしたの?」



不思議そうに首を傾げている姫宮が目に入る。



「あ、そういえばまだテスト始まらないねー」



「姫宮、先生に質問できる!?」



がしっと肩を掴みそうな勢いで迫れば、紅茶色の瞳をぱちくりさせて。



「え、質問? 今?」



「そう!」



「質問、質問……今日の朝ごはんは? とか聞けばいいんだよね?」



「いいわけあるか! 飯から離れろ!」



まだ現実と夢を混同してるの!?



「もっとちゃんとした、時間稼げるようなやつだよ!」



趣旨を理解しているのかいないのか、姫宮は「分かった!」と満面の笑顔を見せ、大きく手を挙げた。
……心配だ。物凄く心配だ。



「えー、春山くん、もういいですか? では、姫宮」



「先生の、1日のスケジュールを教えてください!」



『天然――――っっっ!』



確かに回答に想定される時間は長くなったよ! でもそういう問題じゃない!
ガックリする俺たちを見て、姫宮は「え? え?」としきりに首を捻っていた。


くっ、姫宮に任せたのが失敗だった! バカな質問をするなって怒られる可能性も―――



「私の平日の過ごし方ですか? そうですねぇ」



『…………え?』



先生は白いチョークで黒板にぐるりと円を書き、それに起床時刻やら通勤時刻やらを付け足し始めた。


……………マジで?



「あ! 僕と夕ご飯の時間一緒だ!」



天然と天然が絡むとこういうことになるのか……。


授業終了のチャイムまで残り五分。
現代社会が天然ばかりになったら、世界は平和になるかもしれない、と思った。

423たっくん:2013/06/20(木) 12:02:25 HOST:zaq31fa4b08.zaq.ne.jp
お前らのくだらんスレなんざ見る気にならんから

424たっくん:2013/06/20(木) 12:09:35 HOST:zaq31fa4b08.zaq.ne.jp
アホピーチと豚ピーチスレ・・

ご利用下さい。

425ピーチ:2013/06/22(土) 09:49:31 HOST:em114-51-154-201.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

まさかの人権なし!? え、ちょっと待ってそれで喜ぶ春山君もどうかと思いますけど!

それと夕紀ちゃんの天然さが可愛い! あと先生の天然は笑える!

……毎回毎回思うけど、ここにゃんってやっぱ天才だよね…←

426心愛:2013/06/24(月) 16:09:55 HOST:proxyag109.docomo.ne.jp
>>ピーチ

それが春山だから仕方ないw


夕紀の天然は書いてて割と楽しいです←

現代社会の先生のボケはここあの実体験!
男子が授業を妨害するためにスケジュール聞いたら、本気で黒板に書き出したというw
あの人の授業は楽だったな…(遠い目)


凡才以下ですが何か?

427ピーチ:2013/06/25(火) 06:52:41 HOST:em114-51-24-71.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

彩ちゃんと居たときの印象が消えつつあるよ!?

天然は誰がどう書いても楽しいよねーw

まさかの実体験来た! え、それってどうなの!?(おい

うちの学校の社会担当の先生にそれ言おうものなら授業長引くよきっと…

じゅーぶんすぎるくらてんさいです!

428たっくん:2013/06/25(火) 12:13:16 HOST:zaq31fa50e8.zaq.ne.jp
   [ピーチさんがお亡くなりになられたら]

ピーチさんが死んであの世へ旅立ちました。
本人はおそらく自分が天国へ行けない・・。きっと地獄だろう・・?と思ってらっしゃる。
しかし!しかしですね・・どうか御安心下さい。

もしピーチさんが地獄へ落とされそうになったら
私が閻魔大王様に頼んで差し上げましょう。
『閻魔様・・お願いします!どうかピーチさんを許してやって下さい。
ああ見えても根はいい奴なんです。お願いします!天国へ行かせてやって下さい』と

そうなる日を祈っております。

429心愛:2013/06/27(木) 21:16:46 HOST:proxyag081.docomo.ne.jp
>>ピーチ

そう思わせるのも春山の実力さ…!(多分)



次から長めの最終話になります(`・ω・´)
急にちょっとだけシリアス風味入るけどごめんね!


あとテストなんでまた更新率落ちると思います←

430心愛:2013/06/27(木) 21:17:09 HOST:proxyag082.docomo.ne.jp


『かくして、少年と少女は微笑みを交わす』




.:*・゚★.。.:*・゚★.。.:*・゚.:*・゚★.。.:*・゚★.。.:*・゚







教室に入ると、クラスメイトは一瞬だけこちらを見てくるも、すぐに何もなかったかのように視線を逸らした。
自分の椅子に座れば、遠くから悪意のある囁きがいくつも聞こえてきた。



―――“僕”は、軽いいじめに遭っていた。



でも、いじめといっても上履きや道具箱を隠されたりする程度の軽いもので、どちらかといえばシカトされている、の方が近かったのかもしれない。
クラスメイトたちにとって僕は意味のないものだったていう、ただそれだけで。

でも、クラスの中心となっている男女のグループと自分しかいないときだけは、面と向かって酷い言葉を投げつけられることもあった。
近寄るな。ウザい。学校になんか来なければいいのに。


幼さゆえの残酷さ。
多数で一人を叩くことで優越感に浸るという、一種の遊びを覚えたばかりの彼らは言い返されないのをいいことにして、僕を玩具同然に扱った。
彼らの表情に本物の嫌悪感はなく、全員がにやにやと楽しそうな笑みを浮かべているのが、その証拠だった。



授業が終わり、クラスメイトたちが帰り支度を始める。
重苦しいため息をつき、僕はランドセルを背負った。
また絡まれる前に一秒でも早く教室を出てしまいたくて、爪先を出口へと向けた―――そのとき、だった。




『それでさぁ―――……うわっ』




誰かが遊び半分に振り回していたらしい箒(ほうき)が飛んできて、一瞬、激しい衝撃に目の前が赤く染まった。
とっさに瞼を閉じた顔からは眼鏡が滑り落ち、がしゃん、と床で音を立てる。



『あ……』



どうやらわざとではなかったらしい。
少しぼやけた視界で探れば、賑やかな例のグループの中でも一際目立つ、人気者の少年だった。
さすがにまずいと思ったのだろう。いつも僕を馬鹿にして笑っているそいつが、ばつの悪そうな顔をしている。

ごめん、の形に唇が動きかけるも、直前で耐えるようにぐっと引き結ぶ。
それはそうだ、こんなところで嫌われている僕に謝ったりしたら、自分の面子がなくなってしまう。



『……っ』



そう理解した瞬間、言葉にしようもない悲しみ、苦しさ、孤独感がガラスの破片のように、胸を突き刺した。

もう、限界だった。

壊れた眼鏡をひっつかみ、無理やりポケットにねじ込む。何も言わずにクラスメイトたちに背を向け、その場を逃げ出した。
チャイムが鳴るなか学校を飛び出し、ひたすら走る。


やがて行き着いたのは、普段から良く来る古びた公園。
ふらふらと引き寄せられるように中に入り、ブランコに腰掛けた。鎖を握る。
差し込む光、鮮やかな夕焼けの色に染まった遊具。静かで美しい、僕にとっての安らぎの場所。



そこで、僕が出会ったのは―――







.:*・゚★.。.:*・゚★.。.:*・゚.:*・゚★.。.:*・゚★.。.:*・゚







「っ―――!」



自室のベッドの上で、俺はがばっと跳ね起きた。
しばらく状況を整理できずに呆然としてから、くしゃりと前髪を書き上げる。



「夢、か……」



背中にぐっしょりと汗をかいていて、不快な感覚に思わず顔をしかめ―――ギィ、という小さな音が聞こえてそちらを見やった。
ドアが開き、ひょこっ、と色素の薄い猫っ毛が覗く。



「あれ、お兄ちゃん起きてたの? おはよ!」



「……ノックくらいしろ」



俺がまだ寝ていたら起こそうと思ったらしい。
勝手に俺の部屋に侵入してきた彩は「ごめんごめん」と全く反省していない声色で謝ったが、俺の顔を見た途端におふざけの表情を消した。



「……どしたの?」



「あー、いや……ちょっと嫌な夢見ただけ」



「へー。せっかくのクリスマスの朝に変な夢見るとか、お兄ちゃんもついてないねぇ」



へらりとしたいつもの笑みを浮かべ。



「じゃあそんなお兄ちゃんのためにー、この彩ちゃんが特別にカルペスの原液を持ってきてあげよう! 疲れたときには甘いものだからね、ちゃんと全部飲むんだぞっ?」



「原液である意味はどこに!?」



大げさに爆笑しながら階下へ向かう速めの足音。
少し遅れて、俺はふっと笑う。



「……分かりやすい気遣いしてんじゃねぇよ、バカ」

431ピーチ:2013/06/28(金) 06:41:31 HOST:em114-51-13-90.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

春山君どっか違った実力の持ち主だよね!?←

やっぱ彩ちゃん優しいよね! 彩ちゃんみたいな妹欲しい!

てかクラスメイトありえねーわ普通謝るだろ好き嫌いのまえに((

432心愛:2013/07/04(木) 07:56:47 HOST:proxy10003.docomo.ne.jp
>>ピーチ

春山だから仕方ないw

彩みたいな妹いても大変だと思うよ…?


次の次から、シリアスモードスタートかな!

433心愛:2013/07/04(木) 07:57:09 HOST:proxy10004.docomo.ne.jp






―――忘れかけていた、いや、無意識のうちに忘れようと封じ込めていた記憶。


別に大したことじゃない。こんな体験よりもっと、ずっと酷い目に遭っている人だってたくさんいるはずだ。
ただ、子供の鋭敏な感性を以てすれば、どんな些細なことでも小さな傷にはなってしまうわけで。



何だかんだあって彩と朝食を摂りながら、俺は鋭い妹に気取られない程度にぼんやりと考えていた。


でもあの一件がなかったら、美羽―――“ミウ”と出逢えなかったんだから、あいつらには感謝すべきなのかもしれない。



先に食器を片付け、さっさと身支度を済ませてコートを羽織る。



「じゃ、俺これから出掛けるから」



「あ、美羽さんとデートなんでしょ? お兄ちゃんのくせにやるぅー」



「このメールを見てもそう言えるか?」



「ごめんなさい」



昨日の夜届いた呼び出しメールを見せると彩が素直に謝罪した。……内容は想像にお任せする。






☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆゜:*:゜☆






「この世界に生を受けて数万年……。ついに、この刻が訪れた……」



「あー、遅いってことか。一応時間前なんだけどね」



人工的な光を浴びて、サラサラ零れる艶やかな黒髪。
ふんわり柔らかそうなカシミヤのカーディガン、適度な長さのスカートに膝上まであるロングブーツを合わせ、ポンポンつきの白いマフラーを巻いている。
清楚さと幼さ、甘さとが絶妙に入り混じった文句なしの美少女は、先ほどから周囲の視線を集めまくっていた。二つの意味で。



「ふん、別に責めている訳ではない。眷属にも事情があることは承知している。だが今宵こそ、忌まわしき聖夜の光を穢す血誓の宴を―――」



「クリスマスにわざわざ呼び出して悪いな、ってこと?」



そろそろ俺も翻訳業が板についてきたよね。
あとまだ夜じゃないから。周りめっちゃ明るいから。



横を通り過ぎるカップルの方々が皆、『あぁ、電波か……』という可哀想なものを見る目をこちらに向けている。
そりゃあ俺だって、俺を見つけた途端に芝居がかった仕草で手を広げて大仰な台詞で語り出したから何かと思ったけども。



「クリスマスとかいっても基本家にいるから、俺には関係ないようなものだし。……で? 用ってなに」



「む」



呼びつけておいて、用件を告げていなかったことを思い出したらしい。
少しだけ気まずそうに俯く美羽。



「……どうせヒナは暇を持て余しているだろうから、毎年恒例の予定に付き合ってもらおうかと思っただけだ」



「予定? 美羽の?」



美羽さん、ここで本日何度目かのどや顔。



「ああ。なにしろぼくには、リア充共が目の前を通り過ぎるたびに『……ちっ』と舌打ちしつつ横目でガンを飛ばすという重要な任務があるからな」



「どんだけ悲しいクリスマスだよ!」



あまりの器の小ささに涙が出た。
こいつ、本当に俺の初恋の人だよね?



「名づけてリア充狩り、という」



「物騒なネーミングだけど全然狩れてねぇしむしろ枯れてるしってか美羽にしては安直なつけ方だな!」



だからこそ字面の恐ろしさが際立つってものだ。やってることとてつもなくしょぼいのに犯罪臭がするよ。


……ほんと、どんだけ暇なんだお前―――って言いたいところだけど。


これは美羽なりの、俺を誘う下手な口実だったり……とか、自惚れてもいいのかな。
いや別に変な意味じゃなくて、単なる遊び相手としてワガママを言って気軽に連れ回すことができるくらいには、俺のことを認めてくれてるんじゃないか、なんて考えちゃうんだけど。



「……とにかく、リア充狩りはなしな。今日はどこでも付き合うから」



「……」



「放っといたらさみしがりやの誰かさんが可哀想だし?」



大人しくなっていた美羽がそれを聞くなり髪を逆立てて激昂。



「だっ誰がさみしがりやだ、誰が!」



「一言も美羽とは言ってないけどね」



「……う、ぐ」

434ピーチ:2013/07/05(金) 03:10:45 HOST:em1-114-73-103.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

弱みさえ握られなきゃ可愛い妹じゃないかー!

メール……何か美羽ちゃんらしいのはふつうに創造がつくw

435心愛:2013/07/25(木) 16:29:53 HOST:proxy10016.docomo.ne.jp
>>ピーチ

弱み握られたら最後だけどねw



ソラが無事に完結したんで、こっちに集中していきますよー!
多分次の次からシリアス展開←

436心愛:2013/07/25(木) 16:30:23 HOST:proxy10015.docomo.ne.jp





それなりに煌びやかなイルミネーションの中を二人で歩く。
男女でクリスマス、といえばなんか甘美な響きだけれどもそんな雰囲気もへったくれもなく、まあつまり、いつもの俺たちだ。


邪気眼要素が絡まなければ基本言葉少なな美羽に、クリスマスといえば、と俺が話題を投げかける。



「サンタさん捕まえようとしたんだっけ」



「……よく覚えているな」



そりゃ覚えてるよ。

そんな衝撃的な話を忘れるわけがないし、何より、初めて美羽がちょっとでも心を開いて、俺に話してくれたことだし。



「そもそもなんでそんなことを? 好奇心旺盛だったにしても凄いよな」



「別に、大したことじゃない。プレゼントに違和感を感じるようになって、こうなったら自分でサンタクロースの正体を暴いてやろうと思ったんだ。……美空に聞いてもはぐらかして教えてくれなかったしな」



確かに、美空先輩ならサンタさんは親なのかと訊かれても、妹の夢を壊さないように上手く誤魔化してしまいそうだ。



「プレゼントって?」



「ドールハウスやアクセサリー、それに玩具のティーセットとか」



「……普通じゃね?」



いや、もちろん女の子の好みは知らないけどさ。
昔の彩だったら喜びそうなものばっかりなんだけどな。



「……ぼくが毎年、探検セットや双眼鏡、雪女などばかりを頼んでいたにもかかわらずだぞ」



「今じゃ考えられない健全ぶり! あと雪女ってなに!」



小学生男子にも勝るやんちゃぶり、っていうか雪女の存在が気になりすぎる。本当にもらったらどうするつもりだったんだよ。

そんなある意味純粋無垢な女の子が、今はこの惨状か……。



「う、うるさい! ……あの黒歴史と言うべき子供時代を思い返すと、ぼくも頭が痛いが」



「今も黒歴史絶賛更新中だと思うけど」



「何か言ったか、ヒナ」



「何でもないです」



ぎろりと睨まれ、あんまり怖くないけど一応口を噤む。



「あー、まあ確かに、頼んでたものと違って怪しみ始めるってのはあるよな。でも女の子らしい趣味のものあげたかったんだろ、良い親御さんじゃん」



「それもそうなんだが、」



言い、美羽が遠い目をする。



「……ぼくが調査を決行したその前の年のプレゼントは、ゴールドのクレジットカードだったんだ」



「……わーお」



そりゃあ美羽も怪しむわ。どんだけ夢のないチョイスだよサンタさん……ってツッコむ箇所はそこじゃないな。

結野家の金銭感覚はどうなってるんだ、おい。








゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚







その後は、美羽に寒い外を歩かせるのもどうかと思ったので、デパートなんかを中心に適当にぶらついた。
さも当たり前のように猫カフェに向かおうとする美羽を「また今度な?」と宥めたり、何か買うでもなく雑談しながら駅前の店内を歩いたり。

とりあえず出ようかと出口に向かったそのとき、俺のスマホに彩から電話がかかってきた。



「では、ぼくは向こうの雑貨店に行っている」



別に大した話じゃないだろうから気を遣ってくれる必要はないと言えばないんだけど、せっかくの申し出だ。



「ごめん」



有り難く乗らせてもらうことにして、外に出てから一旦美羽と別れる。

で、彩の話の内容は、やっぱり全然大したことなかった。
現在に至るまでの状況やら今いる場所やらを根掘り葉掘り訊かれ、
『はあ!? なにそれ完全にデートじゃん! お兄ちゃんなんか買ってあげなよ、ポイントアップのチャンスだよ!』とかなんとか。
怖いくらいいつも通りの妹をあしらいつつ、さっさと通話を切った。

液晶の時計を見て、説明している間に結構時間がたってしまっていたことに愕然とする。どんだけ丁寧に話してたの俺。



「っと、美羽は……」



指定された店に向かおうとして、その途中に小さな人だかりができていることに気づいた。
数人の、柄の悪そうな男の中に美羽の姿を見つけ、サッと血の気が引く。



「な……」



美羽は、そのうちの一人と話しているようだった。

たちの悪いナンパか、不良に絡まれているのかと思った……けど、どうもそんな感じじゃない。


嫌な予感がする。

437たっくん:2013/07/25(木) 18:48:43 HOST:zaq31fa59cb.zaq.ne.jp
アホピーチ

438たっくん:2013/07/25(木) 18:49:01 HOST:zaq31fa59cb.zaq.ne.jp
ピーチは頭が悪いです

439ピーチ:2013/07/25(木) 19:00:18 HOST:em1-114-139-120.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

ヒナさん美羽ちゃん久しぶりぃー!←

サンタさんからのプレゼントにクレジットカードはないよね!

……さも当たり前なのね、ネコカフェ

何か美羽ちゃんが話してる人が何となくだけど想像できちゃうのはなぜ!?

440心愛:2013/07/26(金) 16:47:34 HOST:proxyag114.docomo.ne.jp
>>ピーチ


え、想像できちゃう!?

さすがピーチ!



シリアスシーン一回分で終わらせるはずだったのに長くなりそう(つд`)

441心愛:2013/07/26(金) 16:47:59 HOST:proxyag114.docomo.ne.jp






「―――そっか、南高か。結野、頭良かったもんな」




「美羽!」



はっきりと発音し、さりげなく男たち数人を押しのけ割って入る。



「ごめん、待たせて」



言いながら、あれ? と思った。
大きく着崩したシャツやがっしりした体格からもうちょっと大人かと思ってたけど、顔つきを見るとまだ若い。もしかしたら、全員俺と同じくらいかもしれない。



「ひ、ヒナ……」



それより俺が驚いたのは、美羽と向き合う位置に立って、俺を見て目を丸くしている男だった。


清潔感があって爽やかで、いかにも感じの良い好青年といった風貌。
すらりと背が高く、なかなかの二枚目だ。
美形ではないけど、造作を例えるなら昴さんに最も近い。

この集団の中にこんなイケメンがいたとは、今になるまで全然気づかなかった。



「……知り合い?」



そっと尋ねれば、美羽はこくりと頷いた。
顔色が悪く、声も硬い。



「……中学のときの同級生だ」



人見知りで他人との接触を嫌うところがあるけど、美羽がここまで露骨に苦手意識を出すのを見るのは初めてだ。
やはり、彼女にとって彼らとの再会は歓迎すべきものではないらしい。


なんとかしてここから美羽を連れ出そうと愛想笑いを浮かべつつタイミングを窺っていると、件の男が口を開いた。



「結野、その人彼氏?」



俺をじっくり眺めてから、笑う。


こんな日に二人で出掛けてて、しかも自然に名前呼びしてたら誤解されるのも仕方ない。


けどこいつは今、『結野美羽が連れている男』を見て笑ったんだ。


少し遅れて、徐々に不快感が込み上げてくる。



「……違うけど」



「ふーん?」



興味を失ったように、そいつはすぐに俺から視線を外す。

そして美羽に向き直ると、むかつくくらい爽やかに、にこりと笑った。




「じゃあさ、やっぱり俺と付き合わない? 結野」




「ふざけるな」



面白そうににやにやする周りの男たちや、衝撃的な発言に唖然とする俺と対照的に、間髪入れずそれを一蹴する美羽。
その瞳に曇りはなく、文字通り、こいつがふざけてこんなことを言っていると解釈しているようだった。



「つまらない冗談はよせ。……そんなにぼくが嫌いか、愛川(あいかわ)」



顔を上げ、相手をきつく睨む。



「まさか、本気だよ。今は本気で、付き合ってもいいかなーって思ってる」



愛川とか言うらしい男は、にこやかにそんなことを言ってのけた。



「だって、結野すっごい変わったし。服も普通に可愛いし、一瞬結野先輩かと思った」



「だよなー」と男たちが頷き合う。
当初の毒々しい雰囲気が少し薄れ、美羽が大分親しみやすくなったことを言ってるんだろうけど。

どうも、その言い方が引っかかる。



「やっぱり中身は一緒だけど、そのくらいなら目瞑れるしね」



「……ぼくの容姿が気に入ったのなら、美空にしたらどうだ」



じり、と美羽が一歩下がった。
見せかけの怒りより、内心の怯えが色濃く出る動作。



弱った獲物を追い詰め、傷口を抉り取るように。
残酷な笑みを口元にはりつけ、愛川は決定的な一言を投下した。




「いいじゃん。だってさ、俺のこと好きだったんでしょ?」




……え?
彼の言葉がまったく理解できず、思考が一旦ふつりと途切れた。




「―――――!」




カッと白い頬が熱に染まる。

屈辱か、羞恥か。
スカートの横で握りしめた拳を震わせ、



「……違う」



「嘘。結野、すげえ分かりやすかったもん。みんなだって知ってるよな?」



「違う!」



痛ましい悲鳴。
愛川は一瞬機械のような無表情になるも、すぐに笑顔を取り戻した。



「……あー。もしかしてさ、まだあのこと気にしてんの? 許してよ、わざとじゃなかったんだって」



「あ……あのことって、何すか」



見ていられなくなって口を挟んだ。
愛川はやっと俺の方を見ると、わざとらしく、困ったように苦笑する。



「うーん……でも、結野を傷つけるかもしれないから」



……何をいけしゃあしゃあと。

けれど美羽は実際に、これから告げられる真実に心底恐怖しているように黙り込み、青ざめていた。

442ピーチ:2013/07/26(金) 22:41:51 HOST:em114-51-65-67.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

何となくだったけどいやーな予感してた……まさか当たるとは…←

つか新キャラさんに悪いけど愛川くんムカつく!

美羽ちゃん傷付ける気ならさっさとお家帰りなさ((

443心愛:2013/07/27(土) 14:18:48 HOST:proxy10019.docomo.ne.jp
>>ピーチ

当たっちゃったw


うん、愛川は思いっきり嫌ってくれていいよ! この時点ではそういう役割ですから!(・∀・)

ただ愛川の心情も事件の内容も分かりにくいと思うんで、後から救済措置とりますw

444心愛:2013/07/27(土) 14:19:06 HOST:proxy10020.docomo.ne.jp






「―――おかしい、って言ったんだよ」




……なん、だって?



「中学になってもこんな口調で、自分の作ったキャラに酔ってて。おかしいじゃん、どう考えても。だから、教えてあげたんだよ」



「……」



「さすがにみんなの前で言っちゃったのは、悪いと思ってるけどさ」



笑みを絶やさない愛川の最後の台詞に、男たちが一斉に反応した。



「あれはカワイソーだったよな」



「『俺のことホントに好きなら、そういうの全部やめなよ。そしたら付き合ってやる』……だっけ?」



「ちょ、誰だよそれ。そこまで酷くないって」



「でも大して変わんねーだろ」



「え、マジで? そんなこと言ってたんかお前」



「そーそ、それもみんな揃った教室で。やばくね?」



「やべーわ。愛川マジやべーわ」



「あんまり言うと帰るぞ。今日の主役いなくなってもいいわけ?」



「ふざけんな、お前いなかったら女釣れねーだろ!」



げらげらと笑いあう彼ら。


俺は言葉を失った。
まさか美羽が、そんな目に遭っていたなんて。
俺が体験したものの比ではない。


次いで、心無い言葉を放った男が美羽本人を目の前にしても笑っていられるその無神経さに、ふつふつと怒りが沸いてくる。



「でも、俺は本当のことを言っただけだしね。世の中そんなに甘くないよ。ずっとソレやってたら、こんな風に損することくらい、結野だって分かってるだろ?」



「……」



悔しげに俯く美羽に追い討ちをかけるように、



「……へえ。やっぱり、そんなにショックだったんだ、あれ」



「……黙れ」



「登校拒否になっちゃうくらい?」



「黙れと言っている!」



鋭く相手を睨みつけ、声を張る美羽。


否定することができない自分の弱さに、焼けるような悔しさを、嫌悪を、感じている。
肉に食い込むような激痛が、俺の胸にも突き刺さってくる。



―――ああ、そうか。

すとん、と何かが胸に落ちる。


美羽は本当に、こいつのことが好きだったんだろう。
だから、こんなに傷ついた顔をしているのだろう。


きっかけは分からないけど、確かに見た目は格好良いし、クラスの中心にいて注目を集めるリーダーみたいなタイプだ。
何かの弾みで好感を持ってしまっても仕方ないだろう。



それに対して、憤りはしない。

けれど、何より問題なのは。



「……正直、顔ならタイプなんだよね」



愛川が追撃を放つ。



「もう、すぐにやめろとは言わない。少しずつ、分かり合っていけばいいと思うんだ―――って話。……あぁ、俺のことなんてもう好きじゃないか」



お前は何様なんだ。
どうして、そうやって笑っていられるんだよ。



―――美羽は、好きになった奴に、恋をした奴に、裏切られた。


自分の好きなものを、自分そのものを貶され、詰られた。
ずたぼろに傷つけられて、この美羽が、学校に行けなくなるくらい思い詰めて。



「……ははっ、何その顔。結局、偉そうなの口だけじゃん。あのときだって尻尾巻いて逃げたしさぁ」




―――『美羽ちゃんはまた、自分が傷つくことになる道に進もうとしてる』




美空先輩が、喫茶店で俺に言った言葉。
今なら、その意味が分かる。


美羽が愛川から酷い仕打ちを受けたのは、美羽が中二病だったから。
美空先輩は美羽の身に起こったことを勿論知っていて、もう二度とこんな経験をさせないように、妹を正しい方に導こうとしたんだ。




『あたしは美羽ちゃんに、誰かを好きになれるようになってもらいたいの!』




『このままじゃ、美羽ちゃんは誰も―――圭くんのことだって、好きになれないんだよ!?』




恋に臆病になってしまった美羽は、人との関わり合い方が分からない、と叫んだ。




『特定の誰かに必要以上に入れ込んで、そいつが取り返しがつかないくらい、大きな存在になってしまってから……いつか嫌われて、置いて行かれるのが怖いんだよ……っ』




憎んでいない、憎めない。
間違っているのは自分だから。
どうしようもなく、暴力的なまでの“正”を、突きつけられて。

445ピーチ:2013/07/27(土) 16:51:36 HOST:em114-51-141-181.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

まさかの当たるし! これだけは当たって欲しくなかったし!

よしヒナさん今すぐ愛川くんをぶん殴ろう!←

いやなに、美羽ちゃんを傷付けるんだから問題ないさ!((大あり

446心愛:2013/07/27(土) 18:22:02 HOST:proxyag036.docomo.ne.jp
>>ピーチ

…ここあはピーチが恐ろしくて仕方ないよ…!(ガクブル


さあ期待に答えろ主人公!

447心愛:2013/07/27(土) 18:23:12 HOST:proxyag035.docomo.ne.jp







『ひとりにしないで……っ』




『きらわれて、ひとりになるのは、……やだ、よ……!』




旅館で見せた、弱り切った素顔。
俺に嫌われ、置き去りにされることに対して怯えて、震えていた。




「―――……何度も言わせるな」




はっとして見れば、美羽が顔を上げていた。

躊躇から、決意へ。

力強い視線で、愛川をまっすぐに見据える。



「以前はどうであれ、ぼくは、君のことなど何とも思っていない」



足を踏ん張って、気丈に言い放つ。

誇り高い吸血姫がこれ以上情けない姿を晒してたまるかと、上を向く。



……そう。

あんな絶望を味わったのに、なのに美羽は、またゴスロリを着て、カラコンをつけて、きっと中学のときよりずっと痛々しくカッコつけて、入学式に臨んだ。

美空先輩の心配をはねのけて、時間をかけてだろうけど、それでも自分の足で、立ち上がったんだ。

“理想”への意志を、想いを、さらに強く固め直して。




『君は―――強いよ』




……なんだよそれ。
お前こそ、どんだけ、……どんだけ強いんだよ。

不器用な、ただの弱い女の子のはずなのに。
なんでこんなに、バカみたいにまっすぐなんだよ。




「正直に言って不愉快だ。ぼくの事情に口出しをしないでもらおうか」



不愉快だ、だって。
真似をして耳障りな笑い声を立てる彼らに一瞥をくれ、美羽が俺を見上げる。




「行こう、ヒナ。時間の無駄だ」




冷たい声は、必死に震えを隠してる。


……分かるよ。この数ヶ月間、ずっと傍にいたんだから。



俺の手を取り、引っ張る。
ひゅう、と男たちが口笛を吹くのを、はっきりと無視して長い髪を翻す。



……ぞっとするほど美しくて、そして強い。
でも本当は弱くて脆い、ガラス細工のような女の子。




「……ごめん」




俺は。
そんな美羽が、好きだから。



「ごめん、美羽」



小さな手をそっと振り解いた。
安心させるように、精一杯の笑顔を作る。



「ほんとごめん。先、帰っててよ。用事できたから」



「……ヒナ?」



黒い瞳に広がる困惑。
主を困らせるとか眷属失格だよなぁ、とかぼんやりと思った。




「俺、……どうしようもないバカだからさ」




マジで、美羽よりずっとバカだわ俺。器小さい、バカ。


だから、


だから、ちょっと……我慢、できないかも。



美羽をその場に残し、無言で一歩を踏み出す。
何かを察した男たちが笑うのをやめ、不穏に目をギラつかせる。


美羽が小さく息を呑む音が聞こえた気がした、その瞬間。



通行人の悲鳴が上がる。



派手な衝突音がし、床に叩きつけられた愛川が、顔を押さえて呻いた。



―――拳が、痛い。




「……何も知らないくせに」




本当の美羽を、見抜けなかったくせに。


美羽の心を追い詰めて、傷つけて、弄んだくせに。



お前が。



お前、ごときが。






「お前が美羽を―――語ってんじゃねーよ」

448たっくん:2013/07/27(土) 20:13:14 HOST:zaq31fa4ab4.zaq.ne.jp
またクソスレか・・?
いい加減にしろよ

449ピーチ:2013/07/27(土) 21:40:44 HOST:em49-252-182-76.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

恐ろしくないよただの平凡以下の人間だよっ!?←

ヒナさん強い! 美羽ちゃんのためならさらに強くなれるよね!

450心愛:2013/07/28(日) 09:25:58 HOST:proxy10016.docomo.ne.jp
>>ピーチ


怒ったガラ悪い人たちからのフルボッコルートまっしぐらですけどね!

ヒロインのために無力な主人公が立ち上がるっていいよねw
ヒナの一番の見せ場かもしれなかった←

451ピーチ:2013/07/29(月) 13:43:47 HOST:em1-115-85-149.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

フルボッコルートでも何でも美羽ちゃんのためにやり抜きそうだよね!

ヒナさん無力じゃないよ! 大丈夫だよー!?

うちの彩織に比べればなんてことないさ!←

452心愛:2013/07/29(月) 17:46:33 HOST:proxyag020.docomo.ne.jp





……あーあ。


不思議と、頭は笑えるくらい冷静だった。

喧嘩どころか、今まで本気で怒ったことすらない俺が、まさか人を殴る日が来るとは。


周りを取り囲むのは血気盛んそうな憤怒の形相の男たち。
で、対する俺は腕力も体力も中の上。こりゃ病院送り決定だな。
ああ、カッコ悪い。



「……っにしてくれてンだよ!」



「調子くれてんじゃねぇよ!」



友人をやられて激昂した一人に胸ぐらを掴まれ、頬を殴られた。血の味が滲む。



「ヒナっ!」



後方から聞こえる美羽の声に泣きが混じる。



「やっ……やだ! やだあ……っ!」



バカ、来んな。
近づこうとする小走りの足音に焦り、振り向こうとして。
無防備になった俺へと、拳が迫る。




「―――させねぇよ?」




金色が視界を遮った。
パアンッ、と小気味よい音。




「一対五って、ヒキョーじゃね? やるからにはタイマンが基本っしょ」




「は……春山?」



口元にうっすら笑みを浮かべる男。
その軽薄そうな話し方は、間違いなくお調子者のクラスメイトのものだった。




「俺、自分から殴んのってあんまり好きじゃないんだこどね。気ィ変わったわ」




突き出された腕が風を切る。




「あっは。俺のダチと遊んでくれたサービス料、みたいな?」




上背もあるし、いかにも喧嘩慣れしていそうな風体。
男たちが警戒して後ずさる。


四人まとめて相手をする気らしい春山を唖然として見ているうちに、あと一人足りないことに気づいて血の気が引く。



「美羽っ―――?」



後ろを見ると、瞳に涙を溜める美羽を、誰かが背中に庇っていた。




「―――女の子を泣かせるなんて」




中性的で、良く通る美声。




「最低だね、君」




くす。
朱色の唇から、艶を含んだ吐息が零れる。




「このお礼は高くつくよ?」




細くすらりとしたシルエット。
お綺麗な顔で笑うそいつ。




「柚木園! おま、なんで……っ」




「話は後で、ね!」



言いながら、鮮やかな蹴りを放つ。
そういえばコレで春山をぶっ飛ばしてたよな、とかそんなことはどうでもいい。


主力の春山をサポートする形で柚木園が応戦。
が、そのどちらとも無意味な攻撃はせず、突っ込んでくる相手を最小限の動きでいなすような感じだった。


喧嘩売るだけ売って、何もできずに突っ立っている俺よりよほど逞しくて……頼りになる。



……ん?



待て、愛川は?




「いやっ―――」




美羽の小さな悲鳴。
いつの間に混戦を抜け、近づいたのか。愛川は美羽のすぐ目の前にいた。


しかし、怯える彼女に向かって勢い良く伸ばされた愛川の手を、美羽の後ろから突然現れた影が弾く。




「……ゆいのんに触らないで」




ぱしっ。

大きな瞳を怒りに染める、姫宮だ。
美羽が呆然と呟く。



「……夕紀」



それを聞いて我に返ったように、愛川が笑顔を作った。



「……どうしたの? ここは危ないよ。早く逃げた方が―――」



「バカに―――しないでよっ!」



明らかに姫宮を女の子扱いする愛川を睨み、威勢良く啖呵を切る。



「言われるまでもないよっ。ゆいのん、こっちっ」



心配そうに双眸を揺らす美羽がこちらを見るも、腕を引っ張られて。
愛川を振り切り、姫宮について走り出した。


それを、愛川は追いかけるでもなく黙って見送って。




「……根本、佐藤。みんなも……もういいよ」




その弱々しい声は不思議と全員の耳まで届き、男たちが動きを止める。



「通報されたらどうするんだよ」



「で、でも、こいつらが」



「こっちが退けばいい話だろ?」



「はあ!? お前、やられっぱなしでいいってのかよ!」



騒ぐ声を無視し、周りのギャラリーにちらりと視線をやる。



「ほら、見られてる。警察が来るのも時間の問題だ」



うっと言葉に詰まる彼ら。
あちらもさすがに警察沙汰は御免だろう。


俺を一発殴り返してもいいってのに。
静かに凪ぐ双眸の、何かに耐えるような淋しげな色に誰かの影が重なって、消えた。

453心愛:2013/07/29(月) 17:53:42 HOST:proxyag019.docomo.ne.jp
>>ピーチ

…やっぱり頼りになるのは仲間だよね!(大汗)
春山が不良スタイルなのも苺花が男勝りなのも、もとはと言えばこのときに使いたかったからなのですw

でも大丈夫、ヒナも最後にはちゃんと決めてくれるはずさ! 多分!



そ、そんな感じで、次から早速番外編に移って愛川編やります!
このまま完結しても気持ち悪いかなーということで、悪役の救済を先にもってきちゃうよ←
オスヴァルトとかユーリエ、ジルとかと同じで、悪い奴では…ないんだ…!

454ピーチ:2013/07/29(月) 19:55:02 HOST:em114-51-149-36.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

春山くんかっこいい! 苺花ちゃん凛々しい! そして夕紀ちゃんが!


……愛川くんっていいひとなの←こら

ねぇどうしよう色々思いながらも春山くんがかっこいいっていうのが一番大きいんですが!((

455心愛:2013/08/01(木) 18:36:49 HOST:proxy10014.docomo.ne.jp
>>ピーチ

ありがとうごぜえます!

こういうアホっぽいけど頭よくて実はいい人、みたいなキャラが慌てたり照れたり(彩相手とかね)かっこよく決めてくれたりするの大好きなんです!
ちょっとでもかっこよく見えたならよかったよ!

男装の麗人が敵を華麗に撃退! みたいな苺花はここあの趣味ですすみません←
夕紀も天然ほんわかにしては頑張ったよ! ちゃんと怒れたよ!


このシーンはずっと書きたかったから嬉しいなーw
仲間大事!

456心愛:2013/08/01(木) 18:37:18 HOST:proxy10014.docomo.ne.jp






『ごめんなさい尾(つ)けてました』



「この暇人どもめッ!?」



所変わって人目のつかない建物の隙間スペースにて、俺は事情聴取を行っていた。



「だってクリスマスに、ゆいのんとヒナが二人でお出かけだよ? 気にならない方がおかしいよ」



「まったく尾行の動機として成り立たないことはとりあえず置いといて、そもそも何でそのこと知ってんの!?」



「あー、俺が彩ちゃんから情報仕入れたんだよ。そんで柚木園と姫宮ちゃん誘ったの。さっきヒナと結野ちゃん見つけたのも、場所を電話で教えてもらって」



「彩ァ―――っっ!」



あのガキ、さっきの電話であれこれ聞き出したのは春山たちに伝えるためだったのかよ!



「つーか何で彩が春山と連絡取り合ってんの!?」



「い、色々あって?」



俺は額に手を当て、はーっと白い息を吐き出す。
彩がなんで春山と連携するようになったのかとか、柚木園と姫宮も誘われたからってほいほい乗るなよとか、言いたいことはたくさんあったけど。



「まあ全部……結果的には助かったから、いいけどさ」



釈然としないけど、こいつらがいなかったら今頃俺はどうなっていたか分からない。
素直に感謝するにはちょっと引っかかりがありすぎるけれども。



「春山は意外とケンカ強かったし、姫宮も姫宮なりに頑張ってたし、柚木園も登場とか完全に王子だったし」



「え、意外!?」



「えへへぇ。僕頑張ったよ!」



「私は別に、大したことはしてないよ。さすがに力では敵わないし怪我をさせるわけにもいかないから、ほとんど足払いとかで流してただけ」



確かに、春山と柚木園に傷一つないのはもちろん、相手にも怪我はなさそうだった。派手なケンカ、っていうよりは軽い取っ組み合いみたいなものだったのかもしれない。

いや、それより。



「意外ってなんだよヒナぁー! 俺そこそこ強いんだぜ、不良なめんなよ!」



「黙れドM」



……あれだけキレてたのに、手加減できるってどんだけよこいつ。



「っつーか、なんでせっかくこんな日なのに、他人事に首突っ込むんだよお前らは」



「もともと、僕とまいちゃんは一緒に遊びに行くつもりだったからちょうどよかったよ。ね?」



「ちょっ、夕紀! なんでそれ言っちゃうの!?」



「……ん? あれ、ヒナと結野ちゃん、姫宮ちゃんと柚木園ってことはもしかして……俺、ぼっち?」



「もしかしなくてもぼっちだろ」



「うわぁんヒナがひどぉい! 春山寂しい! 結野ちゃん慰めて!」



誰もがなかなか話に入れることができずにいた美羽に、果敢にも春山が突っ込んでいく。
こういうときの春山のテンションというか、気配りは絶妙だ。



「……気色悪い声を出すな。その状況を楽しんでいるくせに何を言う」



「結野ちゃんも冷たいー! でもそこに痺れる憧れるぅ!」



「うぜぇ」



いつものやり取りに、ふっと小さく笑ってみせる美羽。
それでも中二病発言が飛び出さないのだから、相当堪(こた)えているのは誰の目にも明らかで。



「それじゃこれからも暇な俺たちは、二人の予定を全力で邪魔するとしますかね!」



「おいやめろ」



三人は美羽が心配なのだろう、話が一段落ついても離れようとしなかった。
春山の言う通りというか何というか、俺たちはあてもなく、店から店を巡り歩いた。

女の子をナンパしようとする春山を柚木園がシバいたり、柚木園に渡すつもりだったらしい紙袋を春山に指摘されて、赤くなってしまった姫宮をからかったり。


いつも以上に賑やかだったけど―――その間誰も、ついさっき別れたばかりの愛川たちに関することや、美羽の事情に踏み入るようなことは、一言も口にしなかった。



「じゃーなヒナ! 結野ちゃんのことちゃんと送ってやれよ!」



「……分かってるっつの!」



別れ際、春山のさりげない台詞に隠されたメッセージにそう返して三人を見送ると、隣の美羽に話しかける。



「あのさ、美羽。これから時間、ある?」



反応して顔を上げた美羽を見て、俺は安心させるようににこりと笑った。




「行きたいとこ、あるんだ。最後に、俺のワガママにもつきあってよ」

457ピーチ:2013/08/01(木) 20:47:41 HOST:em114-51-47-231.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

かっこいいんだよ春山くんケンカも強いし!

苺花ちゃんも凄いよね、結構派手にできそうなのに←

……というよりあたしは最初の台詞にびっくりしたぞ!

ごめんなさいが最初だったから何事かと思った!((

458心愛:2013/08/02(金) 20:40:23 HOST:proxyag011.docomo.ne.jp
>>ピーチ


ごめんなさいから始まるというw

春山と苺花は戦闘要員!


次からやっと…! ってとこだけどまた長くなりそうだうわあああああ(TOT)

459心愛:2013/08/02(金) 20:41:59 HOST:proxyag012.docomo.ne.jp





「……ここは……」



美羽がぽつりと呟く。

赤い光の乱舞の中、艶を帯びる黒い髪がふわりと広がった。

それだけで胸が詰まり、目頭が熱くなる。


……あのときと同じ、光景。



「ぼくが引っ越す前、良く来た公園じゃないか。奇遇だな、ヒナも知っていたのか」



「……まあ、ね」



しばらく黙って、懐かしそうに目を細め、美羽はブランコや木々、夕焼け空を眺めていた。


そして、俺が口を開くよりも先に。



「ヒナ」



俺を呼ぶと、くるりと振り返って。



「ぼくは今まで、眷属という名の鎖で、君を縛りつけていた」



……何を、言い出すんだ。
美羽が切ない微笑みを浮かべ、言葉を失う俺を見る。



「君は優しすぎるから。嫌がることもせずに、ぼくの理不尽な要求を何でも聞き入れてくれたな」



鮮やかな光を浴びる美羽は、幻想的で、儚くて。



「ぼくは恐れていたんだ。試していた、と言ってもいいかもしれない。……いつ、君がぼくを見放して、嫌うようになるのかと」



眷属の義務だとか主の命令だとか、上から目線で今まであれこれ言いつけていた理由が分かり、絶句した。

美羽は俺を疑っていたのか。
本当にこいつを信用してもいいのか、と。



「でも君は、決してぼくを軽蔑することはなかった。……ぼくのすべてを丸ごと受け入れてくれたのは、君が初めてだったんだ」



美羽は不自然なほどに明るく、にこりと笑う。



「とても、嬉しかった。……でも、もう、無理をしてくれなくていい」



さらりと零れ落ちた髪を指で払い、



「ぼくがいなかったら、君はもっと自由にこの世界を羽ばたける。ぼくと違って、君にはその素質がある」



これは……罪悪感からの言葉、なのか?
愛川と再会したことで、俺への信頼が揺らいでる。


俺が……無理をしている、だって?




「これ以上、自分の欲で君を縛りつけたくない。……契約を解消しよう、ヒナ」




結野美羽という少女を形成する輪郭が儚く霞み、弱々しく曖昧な線へと変質していく。
それはまるで、暗闇に人知れずひっそりと咲く花のように。




「―――ふざけんじゃねぇよっ!」




その瞬間俺を襲ったのは、愛川と対面したときよりも激しく純粋な、怒りだった。
けれどあまりの剣幕に驚いて目を丸くする美羽を見て、すっとすぐに頭が冷える。



「……あ、ごめん。驚かせるつもりじゃなくて……」



「あ、ああ……」



美羽相手にも大きい態度をとれない自分が、ちょっと情けなくなる。

でも。



ここで言わなきゃ、男じゃない。



俺は、覚悟を決めた。




「美羽。これから俺がする話は、簡単に信じられないかもしれないけど……ちょっと黙って、しっかり聞いてて」



「……なんだ、急に」



話の流れを断とうとする俺の台詞に、美羽が怪訝な顔になる。
俺はゆっくり深呼吸して気持ちを落ち着けると、ようやく、告げた。




「俺、ここで……美羽と、逢ったんだ」




「……は……?」



ぽかんとした表情。
それはそうだろう、こんなことを急に言われたって戸惑うだけだ。




「昔……小学生の頃の話だよ。一人で悩んでたときに、俺は美羽に逢って、すごく助けられたんだ」




感情が抜け落ちた瞳を見つめ、俺は身体中がじんわりと汗ばむのを感じながら、さらに言葉を紡ぐ。




「“理想”を探してる、って笑った美羽に、俺はあの日、かけがえのない大切なものをもらった」




“理想”を追いかける少女のまっすぐさ、まばゆいまでのひたむきさ。
それが俺を勇気づけて、ここまで支えてくれたんだ。



「キモいって思ってくれて構わない。小学校でも中学校でも、ずっと美羽を探してた。だから偶然一緒の高校になって、死にそうなくらい嬉しかった」



「……、っ」



「美羽がいるっていうから保健室にまで押しかけたけど、結局本当のことは言えなかった。それでも、どうしても美羽との繋がりが欲しくて、口実みたいに眷属の話を」



「ま……待て! 」



急に止められ、俺は口を噤む。

460ピーチ:2013/08/03(土) 16:17:41 HOST:em49-252-217-74.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

暇人どもめもちょっと笑っちゃったことは言わないw

昔の公園だー! ヒナさんと美羽ちゃんが出会った場所だー!

うわどーしよヒナさんが本気で怒鳴ったの初めて見た!←おい

461名無しさん:2013/08/03(土) 16:46:17 HOST:zaq31fa482b.zaq.ne.jp
またクソスレかい? 心愛さんよwww
あんたのスレ見る度にヘドが出るぜww

462京都出身:2013/08/03(土) 16:47:05 HOST:zaq31fa482b.zaq.ne.jp
貴方そんな事言っちゃいけませんよ
可哀想じゃないですか〜

463七紙:2013/08/03(土) 16:47:45 HOST:zaq31fa482b.zaq.ne.jp
メガビという以上、仕方ないですな〜

俺は静岡に住んでいますよ〜
京都からだと結構遠いっすね〜

464名無しさん:2013/08/03(土) 16:48:26 HOST:zaq31fa482b.zaq.ne.jp
おいっww
それさっき聞いたぞww

465七紙:2013/08/03(土) 16:49:02 HOST:zaq31fa482b.zaq.ne.jp
そうだっけ?

466京都出身:2013/08/03(土) 16:54:45 HOST:zaq31fa482b.zaq.ne.jp
七紙さん
ネオジオの話どうなったんですか?

467七紙:2013/08/03(土) 16:55:48 HOST:zaq31fa482b.zaq.ne.jp
ネオジオと思い出したけど・・・
昔ドリフターズに荒井ちゅうって人いたの知ってる?

468京都出身:2013/08/03(土) 16:56:58 HOST:zaq31fa482b.zaq.ne.jp
荒井さん知ってますよ(笑)
志村けんさんの前にいた人でしょう?
いや〜懐かしいですね〜

469京都出身:2013/08/03(土) 16:57:36 HOST:zaq31fa482b.zaq.ne.jp
そういえばアライチュウで思い出しましたけど・・
ピカチュウさんはどうしてるんでしょうね〜?

470七紙:2013/08/03(土) 16:59:50 HOST:zaq31fa482b.zaq.ne.jp
今年、劇場最新作公開されるんでしょう?
ミューツー再びとか・・

ちょっと質問していい?
荒井ちゅうとピカチュウどう繋がりがあるのよ?


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