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パープルストリーム・ファンタジア 幸運の紫水晶と56人の聖闘士

362たっくん:2013/03/19(火) 12:03:28 HOST:zaq31fa59a5.zaq.ne.jp
>>361
早く小銭出せよカス
グズグズするな

まあお前の糞スレは
俺には関係ないからな

363下平:2013/03/19(火) 13:51:18 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
たっくん、死ぬよ。

364下平:2013/03/19(火) 13:52:17 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>1に殺されてしまう(嘘)

365矢沢:2013/03/19(火) 13:53:41 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
矢沢からの助言

366矢沢:2013/03/19(火) 13:55:47 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>1さん、下平は矢沢です。

367矢沢:2013/03/19(火) 13:56:03 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
自作自演です、>>1さん。

368矢沢:2013/03/19(火) 13:56:22 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>1さん、【自慰頑張れ】

369彗斗:2013/03/19(火) 18:38:07 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十ニ乃策 機械人間(アンドロイド)と貴公子と……
「……ところでお前等はどうして俺が来ると分っていた?」
 ナルキは隣を歩くレーナの横顔を見て、思い出した様に皆に聞いた。すると皆の顔を見てレーナがクスッと小さく微笑んだ。
「きっと偶然よ。私は偶然落ちて来た場所が王宮だったし、デルトとセイラはイルゼさんをレオンさんの元に帰す為に同行していたのよ。尤もな話だけど……」
 そこで言葉を止めたレーナは、チラリと例の三人組を見て厳しい要状を作った後、こう言い添えた。
「グレイとアイツ等が来るとは思ってもみなかったわ」
 アイツ等とは一連の勘違いの発端となった∞、Ω、Σの三人である。その言葉を聞いて真っ先に口を開いたのはΩである。
「何だと! まるで俺達が邪魔者扱いみたいな言い方しやがって……!!」
「煩い。いい加減にしとかないと、幾ら頑丈なアンタの体でも瞬く間に数十個の風穴が開いちゃうよ」
 拘束されている状態で、首筋に発射寸前の風で出来ている弾丸を突き付けられては流石のΩも黙るより他無かった。そこである事を盾にΣがある事を口にした。
「……こんな手荒な真似をしている事がロイダーに知れたら……お前たちはどうなるかな? 文字通り八つ裂きになってしまうかもしれないぞ?」
「んなっ!? お前等ロイダーの奴が放った手先だったのか! と言うよりロイダー達はもう死んだ筈じゃ……!?」
 そこまで言っても信じないナルキ達を見て、やれやれ……とでも言いたそうな表情で∞は肩を竦めた。そして、説得の殺し文句を言い放つ。
「信じれないのなら論より証拠、急いで紫水晶の居る館に戻って本人に聞いてみろ。首を横には振らない筈だ」
「居るのか……本人が?」
 ナルキが∞に詰め寄った。すると悪びれる様子も無く簡単に口を開いた。
「俺達は冥界の王妃である虚空神 アテナの力を借りて蘇った。イフリートの連中も謎の技術を駆使して、絶達の偽物を作っている」
 その言葉を待ってましたとでも言う様な表情を作ってΩが口を開いた。勿論、弾丸を突き付けられたままではあるが……
「その通り! 俺達はもう一つの組織と繋がってるんだよ! アイテテテ……」
「……人造人間一家(ヒューマノイドファミリー)か……」
「フッフッ……何時から気がついていた? グレイ…いやナルキ!!」
 そのどこか不気味な笑い声が聞こえたのは、ナルキが人造人間一家の事について口走ったとほぼ同時のタイミングだった。
「――やはりお前達も絡んでたか……!!」
 苦々しげに呟いたナルキ達の前には……あの時死んだはずの本物の絶達が経っていたのだ!!

370心愛:2013/03/20(水) 10:22:57 HOST:proxy10056.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

機械人間(アンドロイド)とか、機械人形(マシンドール)と似たような記述にびびったここあですどうもですw


プロフィール載せていきますね↓






*オスヴァルト=フェル=カークランド


エインズワーズ家をも凌ぐ圧倒的な財力を持つ大富豪、カークランド伯爵家現当主。
一方的な恨みと憎しみからソフィアを強引に連れ去ったことを今では自分なりに反省している……はず。
ジルとユーリエ、見ず知らずのアイリーンを遠まわしながらも援助するというひねくれた優しさを持つ。
孤児院や病院の経営などに日々忙しくしている、最近評判を上げてきた領主様でもある。

濃青の髪に鳶色の瞳、片眼鏡(モノクル)。
身長が低めで童顔なため、実年齢より幼く見える。
高確率で相手を見下した発言をし、毒を吐く。
シュオンに負けず劣らずクールで達観した思考の持ち主だが、からかわれたりしたり無邪気な人間を相手にすると途端に子供っぽくなる。愛の花束『お子様伯爵と未来への翼』参照。
一人称は「ぼく」、ちょっとわざとらしい感じの敬語口調。



*アイリーン


オスヴァルトが領有するローエン地方、下町出身の元気な少女。
少し天然入ってる。言っちゃえば分かりやすくアホいシェーラより分かりにくい天然と思う。
姉御肌で面倒見がよく、はきはきものを言う。このへんはイルゼに近いかも?
唯一の家族だった母親を亡くし、悩んでいたもののオスヴァルトの助言(?)の結果、偶然に彼が経営する孤児院に行くことに。

夕陽色の髪、同色の瞳。イメージとしてはキャロットオレンジに近い。
一人称は「あたし」、目上の人には敬語。18歳くらい。



*レイフォード


言わずと知れた、エインズワーズ公爵家に仕える超影薄執事。
誰かと一緒の空間にいても、声を出さなければその存在すら感知されない。
が、勘がいい人、もしくは洞察力が備わっている人には普通に気づいてもらえる。
陰ながら毎日シュオンの実験による爆発の後処理をしたりシュオンに遊ばれたり個性派ばかりの使用人をまとめたりしている苦労人。

特に特徴のない茶色の髪、瞳。燕尾服着用。
最近、メイドのティルダと良い感じ。
愛称レイさん。
存在感が零だから、という悲しすぎる由来あり。
オスヴァルトと比較すると、丁寧で優しい感じの敬語口調。一人称「私」。
特に決めてないけど、イメージ的には25歳くらいかな。



分からないことありましたら何でもお訊きください!

371彗斗:2013/03/20(水) 13:22:15 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>

確かに言われてみれば似ている所があるのかも……? でもミレーユちゃんと絶や∞達は明らかにかけ離れてるし、ミレーユちゃんの様な可愛げの欠片も無いww

プロフィール見させて頂きました☆ 他の二人はともかくとして……レイさんだけ酷過ぎ……ww

372彗斗:2013/03/20(水) 16:58:33 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十三乃策 絶達の仕掛けた罠
 一歩だけゆっくりと踏み出した絶は、暗黒に限りなく近い黒色に染まった双眸をナルキ達に向けた。そして∞達を指差し、予想もしなかった事を呟いたのだ。
「一つ断っておくが俺達は戦う為だけに、お前たちの目の前に姿を現した訳じゃない」
 絶が肩手を掲げたと同時に、拘束されていた月色の少女の隣りに立っていた隼の姿が消え失せた。その直後に∞達を拘束していた魔法陣が砕け散る。
「――なっ!」
 ナルキは振り向くと同時に背負っていた剣を手に握ったがそれ以上動かす事が出来ない。何故なら……
――前に立っていた筈の絶が一瞬の隙を見て彼の後ろに立ち、片手でグル・グランドを差し押さえていたのだ。
「話の続きがある、それを聞いてから俺達を倒すなりお前たちの勝手にしろ」
 そう言った後、絶はナルキの耳元でこう言った……
「俺達はお前達を助けに来た……」
「……それは一体どういう意味だ!」
「勿論こちらには「望月 麗奈」という人質が居る。無論、お前が俺達と∞達の条件が飲めなかった場合は……」
「麗奈を殺す……とでも言いたいのか?」
「その通りだ」
 そこで会話が途絶え、距離を取った絶とナルキは暫く睨みあった……と沈黙を破る様にナルキが口を開く。
「……分った、お前達の詳しい事情は屋敷でロイダーやアテナ達から聞く事にする。まずは麗奈を解放して貰おうか」
 その言葉を聞いた絶は目線で合図すると彼等は麗奈を解放したが……解放されたと同時に麗奈自身の口から信じられない発言が飛び出した!!
「いや〜皆さんお疲れ様です! 中々良かったですよ今の演技!」
「演技……? ま、まさかお前等……最初からグルだったのか!!」
 デルトのその声を聞いて真っ先にクスリと小悪魔の様な微笑を浮かべたのは隼だ。隼に続いて、みな笑い出したのだ。
「全部アンタ達を引っ掛ける為の罠よ!」
 怒りの余り拳を固く握り、ワナワナと震えだすデルト……だが絶はそんな事を気にも留めずナルキに話しかける。
「確かに今さっきのは演技だが、助けに来た事は本当だ。アテナの所に連れて行ってくれないか? 俺達は奴にちょっとした用があるのでな」
 その言葉を聞いて、ナルキはジッと絶達の顔を見回してみた。だがこの発言に嘘は無いように思えたのか一つため息をついた後に
「はぁ…ノゾミ達にどんな言い訳をすればいいのか……まぁ良いだろう。取りあえずついてこい」

373彗斗:2013/03/22(金) 01:48:31 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十四乃策 炎煌騎士と領主様
 もうかれこれ数十時間もの間、馬車に揺られている気がする……
(元を辿れば俺自身に運がなかったと考えるべきか……)
 周りを見渡せば歩く兵士と騎馬兵のみ、これから戦争でも始めるのかというぐらいの規模である。そして、そ軍団の中に入る羽目になってしまったこの男達――スピッツとキルシアはお互いの顔を見合わせて深く深くため息をついた……
「俺達はなぜこの様な事に巻き込まれているのだろうか……」
 スピッツがやれやれ……と呆れた様な表情で呟いたのに対して、最早、全て手遅れだと言いたげな表情をしているキルシアは全てを悟った様な言い方をした。
「仕方が無い。彼の前で偶然、魔法を使わなくてはいけなかったのだから」
「さっきから何をごちゃごちゃとぬかしているのですか? 諦めが悪いのにも程がありますよ」
 突如、彼らの会話に入ってきたのは濃青の髪に鳶色の瞳で片眼鏡(モノクル)をかけた幼い印象が残る少年であった。正に彼こそが、返事すらしていないキルシアとスピッツを無理矢理軍隊に引き込み、今のように連れまわしている張本人である。
「……私達は返事すら出してもいないのにも関わらず、このような軍隊に半ば強引に引き込むとは一体どういう事ですか? 詳しい事情をお聞かせください」
 相手の気分を損ねないように敬語を使うスピッツも、その隣で頷いているキルシアにも共通する点があった。彼らを護衛するかのように7人の衛兵が置かれ周囲を見て警戒している。しかも、スピッツ達自身は騎士(ナイト)のような甲冑を着さされていた……
 問いかけられた少年は面倒臭そうな表情を作った後、こう吐き捨てた。
「答えるまでもありませんよ。貴方達を私は知っているからです」
「? それは一体どういう事ですか? 初対面である筈の貴方様と私達、なのに貴方様だけが何故、私達を知っているのですか? 詳しくお教え願います」
「それ以上は答えられません。ぼくは彼に会って見ないと気が済みませんので」
 そこで言葉を濁した少年は、だんだん気味の悪くなっていく大空を見て少し表情を曇らせた。
「それに……ぼくはあの人達に顔向け出来るようにならなくてはいけないのです」
 そこで言葉を切った彼は踵を返しスピッツ達に向き直った。
「ぼくはこれが最後のチャンスだと思っています。でも今回はぼく一人の力では、どうしようもない事だとちゃんと解っています。そこでぼくは不本意ながらも偶然、私の前に現れた君達の力を借りることにしたのです」
「……大体の理由は分かりました。そう言う事なら私達にお任せください。オスヴァルト=フェル=カークランド卿」
「回りくどいのでフルネームで呼ぶのは止めてください。後…本当に君たちは良いのですか? 命を落とすかもしれないというのに……」
 その言葉を聞いたスピッツとキルシアは顔を合わせた後、小さく笑った。
「……どうして笑っていられるのですか? 貴方達はそこまでして死にたいのですか?」
「いいえ……なら逆に聞きます。オスヴァルト様、貴方は死を恐れた事が無いと胸を張って言えますか?」
「…………」
 流石のオスヴァルトもこの問いには答えられなかった。一度ぐらいは死を覚悟したこともあった。つまり、それは――死を恐れた事があるという事だ。
「――ですよね。人間である以上は死を恐れる筈です。私達だって怖いのは当たり前ですから」
「そ…それなら何故笑ったのですか? 怖いと言っておいて笑うのはおかしいと思いますが」
「「それは……」」
 その問いをしてくる事を、二人は予期していたかの様に返答した。
「「――護るべきモノが……あり、遠くに離れても繋がっていると信じられる仲間がいるからです」」

374彗斗:2013/03/23(土) 19:28:03 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十五乃策 謎の足音と暗殺者(Ⅰ)
「やっと終わったね〜」
「あぁ、ああいうのはどうも好きになれなくてな。気が滅入ってしまうかと思った……」
「よく言うよ兄さんも」
 リョウ兄弟達が誰も居ない筈の廊下を歩き、自分達に割り当てられた部屋に帰っていた時の事だ……ふと、背後が気になりリョウが振り向いた。
「どうしたの? 何かいる?」
「……何か…な。明らかに何かが隠れてるな」
 背負った鎌に手をかけ、静かに息を殺す……だが何かがいる気配は感じない。
 気のせいか……と考え直したリョウは警戒を解き、先に進もうと踵を返したその時!!
――カタッ……
 静まり返った空間に不自然な音が響いたのだ。すぐさま恐れを抱いたリョウカがリョウの腕に掴み掛ってきた。おそらく縋りでもしたいのだろう。
「ちょ…ちょっと何!? 今さっきの音!?」
「知るか! その前に此方からけしかければ騒ぎが大きくなるだろうが!!」
 コソコソと話を交わした後、自身の腕に纏わりついているリョウカを引きはがそうとリョウカの顔に手を出した時――規則的で乾いた足音が聞こえてきた……
「……そこの角から来るけど……兄さんどうする?」
「そりゃ決まってるだろ!? 今更何を言わせる気なんだ?!」
 そういった後、悪魔よりも性質の悪そうで不気味な笑みを浮かべたリョウはこう言った。
「標的だったら抹殺だ……いいな?」
 コクリと声もあげずにうなずいた二人は兄と一緒に、一瞬にして闇に消えた……

375彗斗:2013/03/24(日) 08:43:30 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十六乃策 謎の足音と暗殺者(Ⅱ)
「……いつまで経ってもやって来ない……?」
「まさか……向こうは僕達の動向を察しているとでも?」
「一般人ならともかく私達は暗殺を生業としてるのよ? そんな事があったら引退を考えなくちゃ」
 天井にペッタリと密着した状態で、リョウ達三人がコソコソと話している。だがその時!
「! 足音だ!!」
 小さくリョウキ達に呟いた後、それぞれの武器に手をかける。……だが、現れたのは――どこからどう見ても何の変哲もない、この屋敷にいるただの執事である。
「ちょ…ちょっとどういう事!? 彼の気配は感じてたけど……彼、暗殺者か何かなのかしら?」
「ちょっと嗾けてみる価値はありそうだ。やってみるぞ!!」
「「OK!!」」
 そう言ってリョウ達は天井に張り付いたまま、三方向に散っていった……

376彗斗:2013/03/24(日) 23:09:56 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十七乃策 謎の足音と暗殺者(Ⅲ)
 誰も居ない廊下を一人で歩く人物―――何の変哲もない茶髪と、印象がはっきりと残らないような髪と同じ色の瞳。その人物が着用している燕尾服から察するに、エインズワーズ邸の執事であるようだ。だが、この三人はというと……
「暗殺者……? それともスパイ?」
「ハッキリと言うが、彼の気配の消し方は異常だな。……彼は人間じゃないのか?」
「兄さんそれはちょっと言い過ぎだって……あの人が暗殺者じゃなかったら失礼極まりないよ!」
 リョウキを除く二人は思いっ切りスパイやら暗殺者やら、挙句の果てには人間じゃないのではないか…と思っているらしい……。だがリョウ達が何を思おうと、リョウ達の下を平然と通り抜けた人物は、明らかにこの屋敷の執事であることに変わりない。
「ちょっと尾行(つ)けてみようよ! 危険かもしれないけど……」
「……一つ言う。俺達はつける以前の問題で、すでに危険な状況だぞ」
「「えっ?」」
 二人はゆっくりと周囲を見渡してみると……彼らが張り付いている周囲を除いて、黒く蠢く塊が……天井という天井に隙間なく張り付いていたのだ!!
「「「ぎゃあぁぁ!!?」」」
 たまらず三人は天井から飛び降り、一目散に逃げ出した。だがその塊は天井を這って付いて来ている……。
「な…何だアレ〜〜!?」
「間違いなく喰われる……あっ! あの人が危ない!!」
 リョウキは前方にいる気配の消し方が暗殺者と思しき、執事の格好をした人物を見た。その人物はその騒ぎに気が付き、踵を返してこちらを見た。容姿も特徴が無い為、顔にもやはり特徴がない。至って普通の顔である。
「に…逃げて! あんなのに喰われたいわけ!?」
 リョウカが逃げるように急かしているとその忠告も聞かず、執事は黒い塊の前に立ってある塊を投げた――導火線が付いた筒状のモノである。
 それを見た途端、黒い塊はこちらを襲うのを止めて、その物体に迷いなく飛びついた。
「……一体何が起こってんだ……? それとアンタ、一体何者だ?」
「私はこの屋敷の執事ですが……。それと、貴方達は確か……リョウさん、リョウキさん、リョウカさんですね?」
「そうだが……なぜ俺たちの名を……?」
 怪訝な表情を作った後、疑いの念を込めた質問を返した。すると執事はあることを聞いてきた。
「ひょっとして……貴方達も私が居た事に気が付かなかったのですか?」
「すみません……いつの事ですか? それ?」
「うわぁぁぁぁん!!」
 リョウキがその言葉を呟いた瞬間、執事は大粒の涙を撒き散らしながら何処かへと走って消えてしまった……
「……リョウキ兄ぃ? 何かあの人が傷つくようなこと言った?」
「いや……ぼくにはそんな覚えが一つもないんだよね……」
「お前等……まさかとは思うが、レイさんに対して禁句の単語を口走ったか?」
 ハッと後ろを振り向くとそこに立っていたのは蠢く黒い塊――もといシュオンのペット、鬼喰竜 イーストの集団を宥めているメテオの姿があった。
「……ひょっとして、居なかったことに気が付かなかったとかいう質問に対していつの事かって返答した事が……」
 リョウキの返答を聞いてメテオは片手を額に当てた後、呆れ果てたような口調で呟いた。
「それが禁句なんだよ……今さっきお前らが話していた奴の名前はレイフォード。とんでもなく影が薄いことで屋敷の中では特に有名なんだ。レイフォード自身もそれをかなり気にしているようでな……できれば今後はこのことは言わないようにな」
「「「はい、以後気を付けます……」」」
 三人の返事を聞いた後、メテオは三人に紙切れを渡した。
「分かればいい。お前達にだけこの注意をしてなかったしな。それと、その紙切れはお前達の部屋がどこにあるか書いてある。くれぐれも間違わないようにな?」
 それだけ言った後、メテオは屋敷の奥にイーストの集団を連れて消えていった……。

377彗斗:2013/03/25(月) 07:34:55 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十八乃策 両者激突!!
 屋敷に束の間の休息の時間が流れる……だがあるテレパシーを介した一言が彼らの休息に水を差した。
「――至急、この屋敷の大広間に集合してくれ! ……変わった客達がいる」
 その言葉を聞いてノゾミ、アスカの団体が真っ先に到着した。大広間には中央で何者かと話をしていると思われるクロス達七人の神様と、その周りを取り囲むようにシェーラを含む数人のメイドや、ヒースを含む数人のフットマン執事達が集まっていた。様子からしてかなりの大事であるようだ。
「どうしたんでしょうか……クロスさん」
「いつもみたいに、ただ暇だったから呼んでみた。みたいなノリじゃないわね……いったい何事かしら?」
 ノゾミ達に続いてサツキ、リョウ達の団体も到着した。皆、口々に何事かといきなり呼び出された訳を知ろうとしていた。
「アスカ、ノゾミ。お前たちは何か知らないか?」
「ったく……俺は今さっきまで自分の部屋に戻ろうとしてたのによ……」
 不満げに呟くリョウを他所に、更にもう一人登場した。先程、イーストの集団を宥めていたメテオだ。
「何だ? いきなり呼び出されたかと思えばこの状況か?」
 そうこうしている内に、騒ぎ出したノゾミ達の気配を察してシェーラとヒースがノゾミ達の方に駆け寄ってきた。
「えっと……明らかにノゾミさん達の知合いですって感じの人たちが……」
「来てるな。って言うか俺はあいつに見覚えあるんだけどな……」
 ヒースが指差した方向には、宵闇色の髪と瞳を持ったナギサにとっては見覚えのある人物が立っていた……。彼もヒースの視線に感付いてジッとこっちを向いている。
「なんであいつらがここに……?」
「わからねえな。どうして俺達を脅すような事をした奴がこんなところに……」
 クロス達がノゾミ達の存在に気が付いたのは、その会話の後になる。こちらにツカツカと歩み寄ってくる彼の顔は深刻そうな表情をしていた。
「――ノゾミ、アスカ。お前達なら彼らを見ればすぐわかると言っている。誰かわかるか?」
 そう言って人ごみの中央を指さした時、人だかりが無くなり、問題の人物がこちらに歩み寄ってきた……
「何で?! アンタ達が何で生きてるの!?」
「正直な所、信じられないです……あいつ等が生きていたなんて……」
 クロスの隣に立った人物達は皆、全てを見透かしたような目線をノゾミやアスカ達に送っていた。先頭に立っていたのは、闇の様に黒い髪の色をした少年と、紅と蒼の双眸を持った紅蒼の髪をした少年だった。ノゾミ達は苦々しく彼等の名を呟いた。
「――人造人間一家(ヒューマノイドファミリー)……!! アンタ達だったのね!」
「チーム「SPIRAL・ZERO(スパイラル・ゼロ)……まさか貴方達も一枚かんでたとはね……」
 その声を聞いた黒髪の少年――ヒューマノイドファミリーのリーダー、絶は敵意剥き出しのノゾミ達を見て、ある人物に話しかけた。
「……ナルキ、ノゾミ達は相変わらずだな」
「えっ!? 兄さんが連れてきたの!?」
 状況が状況だった為、そこで兄の名が出るとは思っていなかったノゾミ。一方で真っ向から対立しているアスカ達と∞は、目線だけで火花をバチバチと発する事が出来そうなほど睨み合っていた……
「よく聞かせてもらおうじゃない。なんでアンタ達が何故ここにいるのかをね!」
「色々と複雑な説明がいるからそこについては却下だ。それより何故ここにお前達がいる?」
 いつ大乱闘に発展してもおかしくないこの状況に……遅れて登場した連中がいた。
「せっかく自分の部屋に戻って良い気持ちで寝てたってのに……なんで急に呼び出しなんかするのよ……」
「……お前等、ちょっとは空気を読め」
 メテオの注意に今更になって登場した連中――天音と柊一と昇はキョトンとした顔になっていた……

378たっくん:2013/03/25(月) 10:38:22 HOST:zaq31fa52d6.zaq.ne.jp
    【宇宙の帝王フリーザおよび白人女性の身体について】

私が立てたスレッドをご利用下さい。
以前カードダススレッドというのを設立しましたが
それの続編です。ただ今回は白人女性が加わりました。
外国人女性の身体を欲すと同時に宇宙の帝王フリーザを愛してしまうというスレッドです。
フリーザだけではありません。超サイヤ人孫悟空も含まれています。
以上がスレッドの内容です。

ドラゴンボールはフリーザ戦のみです。
そして女性は白人のみです。外国人以外の話は一切しませんのでご了承下さい。
今度はエピソードスレです。皆さんが好きなエピソードを教えて下さい。
ちなみに一番好きなのはナメック星編(フリーザ戦)および人造人間編(セル戦)です。
以前お話した通りです。
最もフリーザ戦VS超サイヤ人孫悟空です。
それ以前は知りませんでした。(今現在は存じております)
放映当時、超サイヤ人孫悟空を見てドラゴンボールを知りました。
フリーザ時代がスタートなのでそれ以降は勿論知っています。
次に印象的なのはセルゲーム。



【ピッコロ大魔王編】1988年〜1989年

【サイヤ人編】1989年

【ナメック星編】1990年〜1991年

【人造人間編】1992年〜1993年

【魔人ブウ編】1994年〜1996年

【GT】1996年〜1997年



一番好きなのはフリーザ戦。次にセル編です。

379彗斗:2013/03/27(水) 09:59:32 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十九乃策 英雄と謳われし者達
 薄暗くジメジメとした場所に大量の人々が逃げ込んでいた……。そう、ここは一時的な民衆の避難場所である。
「……酷いものだな。一瞬にしてこれほどの量の人々の生活が……失われたと?」
 部屋の片隅で他人事のような口調で呟く黒髪の少年の言葉を聞いて、レモンの様な黄色の髪の少女が怒った様な口調でその少年を叱りつけた。
「何よ他人事みたいに! 今ここにいる人達の他にも死んじゃった人達だっているのよ!?」
「だが……その人間を助けられなかったことにお前は責任を感じている……違うか?」
「そ…それは……」
 少年の冷静な的を射た発言に、勢いを殺がれた少女。すると少年は、自分の肩までしかない身長の少女の頭に手を置いて、少女に優しく言い聞かせた。
「誰もお前の責任とは思っていないし、誰もお前を咎めたりしないさ。それに……」
 そこで話すのを止めて屈みこみ、俯いて聞いていた少女の顔を覗き込み、優しく笑うと少年はこう言った。
「お前が周囲の人達に優しいのは、俺達が一番よく知ってるからさ」
「…………」
 少年がそう言った後、少女は頭に置かれた手を半ば乱暴に振り解き、その場を去った……。
「サナ……お前が気が強い癖に泣き虫なのもずっと前から皆知ってるさ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 出口を抜けた先には綺麗な街並み……ではなく、この辺り全体が廃墟の様になってしまった光景が広がっていた。
「……タツミのバカ」
 この場に居る訳も無いあの黒髪の少年に向かって、あの少年にサナと呼ばれた少女は呟いた。
「サナ……また喧嘩でもしたの? 泣き顔になってるけど……」
 ハッと言われた直後にサナが振り返ると……出入口の上に腰かけている緋色の髪をした少女が心配そうに呟いた。
「……アオイ…何でここに……?」
「そりゃ決まってるでしょ? あなたの事だからどうせタツミに口喧嘩みたいなもので負けて泣き顔になって出て来るだろうと思ってたのよ」
 半分泣きべそをかいているサナに向かってアオイと呼ばれた緋色の髪の少女は、あっさりと答えた。
「……だって、タツミが他人事みたいに言うんだもん……」
「それがアイツらしさなのよ。仕方ないでしょ? サナだって分かってる癖に」
 出入口の上に腰かけたまま少女は長く細い足を組み、片目を瞑って、見透かした様な口調で言った。
「……そうだよね。確かにワサビの言うとおりだよね」
「ワサビ言うな〜〜!!」
 ワサビ……こと緋山 葵は大声で、サナこと黄城 紗奈を叱った……。だがサナは知らん顔である。
「ありがとう、ワサビ! おかげで吹っ切れた……気がするよ!!」
「何!? その考え込む様なその一瞬の仕草!?」
 どうやらアオイのツッコミに一切反応を示さなかったと言う事は、耳に入っていないようだ……。

380彗斗:2013/03/28(木) 21:02:30 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第四十乃策 強行策
 事情を一通り天音達三人に説明した後、昇が真っ先に口を開いた。
「……あいつ等から人間じゃない雰囲気が出てるが……あいつ等は一体何者だ?」
 雰囲気からしても、身に着けている物からしても、ノゾミやアスカ達とは明らかに違う事が伺える……。言い換えれば、彼等から滲み出ている雰囲気は、人間独特の雰囲気ではなかった。
「あの三人は昔、俺とアスカ達七人で倒した筈だった……言わば機械人間(アンドロイド)だ。それと隣にいる七人組の連中はノゾミやナルキが倒した人造人間一家(ヒューマノイドファミリー)と聞いていたが……まさか生きているとはな……!!」
 苦々しげに呟くメテオを他所に、クロスとノゾミ、そしてアスカやナルキを含めて何か会話をしていた。恐らく突如として現れた連中をどうするべきか検討しているのだろう……と考えていたメテオはフッと部屋の隅を見やった時――鋭い爪の生えた黒い翼が見えた気がした。
(! まさか奴等も……!!)
 追い駆けようとしたが、距離的にも今自身が置かれている状況的にも、とても追い駆けれる状況ではなかった為、断念せざる負えなかった。そこで、天音達をそのままにして、リョウ達にそっと近づきボソリと呟いた。
「リョウ、ひょっとするとこの件には……」
「何だと!? 死神が!?」
 リョウは、メテオの思惑通りの反応をした。その後、リョウはリョウキとリョウカを集め、メテオの言った事の確認をしていた。
「何だって!? 奴等は改心したんじゃなかったのか……!?」
「嘘つきもいいとこよ!! 見つけたらボコボコにしてやるわ!!」
「……一ついいか? なぜ改心した奴等が敵方に回っているかよく考えてみろ」
 メテオの一言に士気が収まった三人は一生懸命考えている……。とその時、リョウキの電球がピカリと光った。
「ひょっとして……スパイ!?」
 その言葉を待っていたのか、メテオは力強く頷くと三人にある指示を出した。
「これは極秘で行ってくれ。他の連中には気づかれると後が面倒だ。奴等も恐らく誰の委託も無く勝手に行っているのだろうし、兄貴達が奴らに関する事を何も言わない所を見ると、奴等の事は知らない様子だ」
 そこまで言った後、メテオは息を吸い残りの言葉を続けた。
「先程も言ったように、これは極秘指令だ。お前達三人は誰にも気づかれないように死神デッド、ジーク、ラルの確保を頼む!」
「「「了解!!」」」
 そう言った直後、リョウ達三人の姿が一瞬にして消えた……と同時に突然コソコソ話をしていた後ろから天音に話しかけられた。
「あら? 銀髪君達はどこに行ったの?」
「え!? あ…あぁ、ちょっと用事があるって……」
 コソコソとメテオ自身も後ずさりを始める……そこに柊一の鋭い指摘が入る。
「ひょっとして……何か隠してる?」
「ギクッ!!」
 その瞬間、身の危険を感じたメテオは自らの魔法を使い、その場から姿を消した……。
「あっ!? アイツ逃げやがったぞ!?」
「何か明らかに隠してるわね……私達も何とかして青髪君たちの行方を追うわよ!!」
 ノゾミ達に気付かれない様に静かに出口から脱出、そして屋敷の兵士達の目を何とか掻い潜り……荒廃した街へと三人はメテオ達を追って出発した……。
「ああいうのが無茶っていうんだよなァ?」
「確かにそうね……。アキさん、どうしましょうか?」
 屋敷の門の陰から街へと向かって行く三人を見ながら屋敷の警備を担当していたジル、エインズワーズ邸のメイドのユーリエ、そしてリョウの知り合いであるアキがその姿を見逃すはずがなかった……。
「まぁ、天音ちゃんの助けてもらった恩返しをしたい気持ちも分からないでもないけど……限度ってものがあるわよ……。ジル君、ユーリエちゃん。付いて来てくれるかしら?」
 アキのかけたその言葉に仕方なさげに頷くジルと、勿論とでも言いたげに頷くユーリエの様子を見て頷き、彼女達も行動を開始した……。

381彗斗:2013/03/28(木) 23:49:30 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第四十一乃策 蒼き毒の名
「……やっぱりか。サツキ達も動いてるね〜」
「そ…そんな呑気に……お前、大丈夫か?」
 ここは山の奥地、誰にも知られない場所で人知れず、二人の青年がコソコソと話をしていた。青年達の特徴と言えば、燻った碧い髪と緑味を帯びた碧い瞳を持った青年と、焦げ茶色の髪と瞳を持った青年である。発言の内容からして碧い瞳を持った青年は楽天家で焦げ茶色の瞳をした青年は心配性である事が伺える……。
 そんな時、碧(へき)色の瞳をした少年はある言葉を口にする。
「大した連中だよ。何たって僕の竜の力を応用してこの雲を創り出したんだから……」
「……技術面に関しては、俺達が劣っていると……?」
 焦げ茶の瞳を鈍く光らせた青年の言葉に、軽く頷く碧色の瞳を持った青年。コクリとうなずいた後、青年は言葉を続ける。
「僕達は傭兵種族だ。戦乱の時代に対抗する為だけにこんな力を身につけた……でも、それを逆に平気で利用してしまう所が凄いと思っただけだよ」
「本当の所は?」
 その短い問いを聞いた途端、青年は悪魔と言う表現も良い所な極悪人面でこう吐き捨てた。
「こうもあっさりと利用されたんじゃ傭兵一族の恥だよね? 本当はこの組織を完璧に潰したいぐらいだよ?」
「……シアン、お前本当にドス黒いな」
「ロイ、忘れたかい? その言葉は僕にとっては大層なほめ言葉だって!」
 この思いっ切り貶すために使われる言葉を、大層な褒め言葉だと思っている半ば壊れている彼の名はシアン=ロドロス。そしてシアンの言葉に呆れた顔をして、片手を額に当てている青年がロイ=アルカイドだ。勿論の事、二人とも同じ傭兵一族の出である。
 因みに二人は慣れ親しんでいる仲なので、フルネームで呼ぶことはまず無い。
「シアン〜!? さっきから何を物騒なこと言ってるの?!」
「本当ですよ! 何事ですか!? さっきから組織を潰すとか……」
「……ついでにこの二人にも聞こえていたようだな……クロナ、ソティ」
 このクロナ、ソティと呼ばれた二人の本名はクロナ=ベンセルとソティ=ビーギスである。流れから読める通り、この二人もシアンやロイの顔馴染みの仲間であり、従ってフルネームで呼び合う事もまず無い。
「クロナ、それにソティまで……! それじゃ役者が揃った……と言う事かな〜?」
「ん? シアン今お前なんて……?」
「ううん、何でもないよ。だけど君たちと僕がいないと出来ないことがあるんだ。それを思いついただけだよ」
 慌てて誤解を招かない様な発言をしたシアンだったが、かえって仲間たちに興味を抱かせるような発言をしてしまっていた。だが、そんなお構い無しに彼は自身の思っている事を正直に仲間たちに伝えた。
「「「なっ……何だってぇぇぇぇ!?」」」
「うん♪ そのまんまの意味だよ♪」
「おま……本当に正気か!?」
「だからさぁ……ロイ、さっきから言ってるじゃん? サツキ達をウンと困らせるにはこれしか方法がないよ。それに僕達は怪獣を駆使して奴等を足止めする役割を担っているんだよ? そこのところ分かってる?」
 言っている口調は、どこか無責任さと言うか能天気と言うか……そんなものを漂わせているが、言っている内容自体には筋が通っている様な感じがしている。その予想外の反論には流石のロイやクロナも反論が出来なかった。
「それは確かにそうだが……」
「で…でもあれを使ったら……」
「危険過ぎる賭けなんじゃ……」
 その三人の抑止を止める様に、掌を前に出したシアンは先程とは打って変わって冷徹に呟いた。
「君達が心配している点については僕も痛いほど熟知している。そこについては僕も最善を尽くす。それでいいかい?」
 いつもは能天気で何をするかわからないシアンがいつにもまして真面目に語るのを見て、その気迫に押されたのか、彼等は渋々ながらも頷いた。
「それなら覚悟はいいね? アレを開放するよ……」
 そう言った後、シアンは胸の前で飛び切り複雑な術式を組み解放した。
「解き放つ……『真・覇厳獣 ヴァン・タトナス』!!」
――その術式を開放した途端、大地が、大気が、時間が、空間が悲鳴を上げた様な風の音が聞こえた……

382彗斗:2013/03/30(土) 13:14:51 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第四十二乃策 力に勝る物
――耳を劈く様な激震が轟く!!
「っ! ハヤテ、七聖徒はここに残れ! 行くぞ皆!!」
 そのクロスの言葉にその場にいた全員が屋敷の外から荒廃した街に飛び出していく……。その様子を傍で見たハヤテは、ふとある事に気が付いた。
「……お前たちは行かなくても良いのか?」
 ハヤテが話しかけたのは……その場から動こうとしない絶や∞達であった。と、その問いかけに対して絶が冷たさの混じった発言をした。
「あいつ等の事だ。俺達が居なくてもやってくれるさ」
「ちょっ……それはどういう事よ!! 無責任過ぎない!?」
 そこまで言っていたセンを片手で制し、ハヤテは説得をしてみた。
「いいからセンは黙っていてくれ。……お前達は知らないのか? 人伝に聞いた話だが……民衆の中に、紅蒼の髪をした少年や黒い髪の少年に命を助けられた……と口にしている人達がいるんだ」
 その話を聞いた時、七聖徒は信じられないとでも言うような表情になった。だがハヤテは構わず話を続ける。
「これが指し示す意味は自分達で理解している筈だ! 俺が知る限りは絶、お前達は変わったんだと……」
 そう言った時、絶達はハヤテから目を逸らした……。それでもなお、ハヤテは話をつづけた。
「俺が聞いた話が事実なのなら、頼みがある――ノゾミを、仲間を……助けてやってくれないか」
「……俺達が誰か分かっていて、あえてそんな事を言うか?」
 ハヤテの思いがけない言葉に、絶はハヤテに聞き返した。ハヤテは、真っ直ぐ絶の目を見ている。そして静かにこう答えた。
「今この状況で、敵味方は関係無い! 大切なのは、昔の事を忘れて今の相手を信じれるかどうかなんだ!! 助けてくれ絶、∞! 少なくとも俺はお前達を信じる!! だから、お前達も俺達を信じてノゾミを……仲間を助けてくれ……!!」
 ハヤテは、心の底から懇願しているように見えた。七聖徒も、黙ってその言葉に聞き入っていた。その時、絶が踵を返し、ハヤテに向かってこう言った。
「……信じてみよう。お前達を」
「もしお前がコウだったとしても……同じこと言ったあろうな」
「行ってくれるのか!! 絶! ∞!」
「「……そこまで言われたら動くしかないんじゃないか?」」
 そう言った直後、十色の流星が空に飛び立った……。

383彗斗:2013/03/31(日) 13:03:23 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第四十三乃策 覇恐の権化
「ちょ…ちょっと何よアレ!!」
「正に規格外……どころの表現には収まらないな」
 空を飛ぶ事のできるノゾミやクロス達十四人は、荒廃しきった中心地にやって来た。そこに待っていたのは―――規格外という表現も該当しない、巨躯の怪物が街の残骸を跳ね飛ばしていた……。
「正直、これだけの人数で戦って勝てるのか?」
「それはやってみなくちゃ分からないぜ! 行けっ!! クサナギ! ベルク! アヌビス! デュラフ!」
 ギークは、先陣切って駆動人形を起動。先制攻撃を仕掛けた。そのギークの様子を見てクロスは……
「出来る限りのことをしてこの場で食い止めろ!! 『歪刀 神威』!」
 自らも持てる力を出すことに決めたようだ。クロスの持つ『歪刀 神威』と呼ばれる刀は普段、クロス自身も使う事を控えている代物だ。その能力は――刀として肉体を斬る事は勿論の事、霊体や空間、果ては時間まで切り裂いてしまうと言うとんでもない代物なのだ。
「俺達も加勢しなくては……ネクロ! 合体技だ!」
「リアス! 私達も!!」
 ジャッジとネクロ、サエリアとリアスもギークとクロスの後に続く。そして……
「ノゾミ、それとアスカ、サツキと言ったな……ここは俺達に任せて元凶を絶やしに行け。化け物自身の意思で暴れているようではなさそうだ」
 ギーク達の奮闘を見て……ロイダー達四人組も動く……その後ろ姿は嘗ての邪悪さを纏った禍々しい神々の雰囲気ではなくなっていた。
「ロイダー……! ここは任せたわよ!」
「それなら……みなさん、ここはお願いします!!」
「すまない……ここは任せた! 急げ! 時間が無いぞ!」
 三人は元凶の姿を追って荒廃した街の奥へと足早に去って行った……

384彗斗:2013/03/31(日) 22:54:51 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第四十三乃策 限界への挑戦
 正に化物……その呼び名が相応しい程の巨躯を有する怪獣。人間であるノゾミ達が使用する程度の魔法程度では……到底効き目はないだろう。そこで珍しくクロス達が重い腰を上げた……と言う事である。
 とここでノゾミ達を化物から離した張本人達は……化物を前にまちまちな反応をしていた。
「久々だよな? こんな強い奴と戦えるなんてよ!!」
「押し通る!!」
「アンタ達……私の力で生き返ってること忘れてない!?」
「アイツ等は能無しだからな……痛い目見て帰って来なければ良いが……」
 ロイダーは、アテナの言う事を聞いている様だ。だが……カイザーとスカルは、強い相手を見ると興奮する性なのか、見境無く挑みかかっている……。となると結末は一つしかなく……。
「チッ! 何て奴だ! 俺の駆動人形の攻撃が一切通ってねぇ!!」
「! スカル、前だ! よく見ろ!」
「「あ? ウゲェェェェ!!?」」
 何の前触れも無く、いきなりカイザーとスカルの元に合流したギーク。
 だが、同じ場所に三人も集まっていたら、当然の事だが攻撃も集中する訳で……。結果として、巨大な足での踏みつけ攻撃に気が付いたカイザーが、二人に注意した。が、哀れな事に反応に遅れた二人は……当然の如く巨大な足の下敷きにされてしまった―――プチッと言う哀れな音と共に……。
「馬鹿じゃないのアイツ等……」
 呆れた口調で、間抜けな事をした二人を貶すような発言をするアテナ。だがロイダーは全てを見透かしたような口調で、アテナに言った。
「確かにあいつ等は頭が足りない馬鹿だ。……だが、アイツ等には共通して言える事もある。それは……」
「こっ……この程度で……」
「くたばるような俺達じゃねーぞ……!!」
 ロイダーが続きの言葉を言おうとした途端、彼らを踏み潰した足がグラグラと不自然に激しく動き始めたのだ! その様子を驚きで目を見張るアテナを脇に、ロイダーは静かに呟いた。
「――アイツ等、ギークとスカルは……不死身だ」
「「うりゃぁぁ〜〜!!」」
 その瞬間、化物の視界が上下反転する事態になったのは、誰も予想しえなかったに違いない……。

385彗斗:2013/06/23(日) 16:38:55 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第四十四乃策 FLIGHT ON!! 〜音速飛翔!〜

「……大丈夫なのか? ノゾミ達は……。」

「大丈夫……と考えるしかないですよ。なんたって珍しくクロスやギーク、七大神とロイダー達が居るんですよ?」

 いつまで経っても心配を拭い切れていないハヤテを励ますように、センが話しかけた。他の七聖徒メンバーは既に準備は出来ていた。だが、ノゾミにもしもの事があったら……そう考えると飛び立つ準備が進まなくなるのだ。

(確かに絶たちや∞達がノゾミ達の援軍に向かったが……何か嫌な予感がする……!)

 そう考えたハヤテの脳内にある豆電球が、いきなりピカリと光る。それと同時にハヤテはどこかへと駈け出した。それを見てセンが声をかける。

「ちょ…ハヤテさん!? 何処に行くんですか!?」

「すまないちょっとシュオン達に用があるんだ。準備が出来ているのなら先に行ってくれ。」

 そう言って小さく笑って見せたハヤテは扉を開け、その先に消えて行った……。その後、センはハァ……と短くため息を吐いた後、こう言った。

「こんな状況でシュオンさん達に聞かなくちゃいけない事なんてあるんですかね……? まぁ、いいか。皆さっさと支度が出来たらそこら辺を旋回してウオーミングアップをしていくよ!!」

 この時、センは気が付くべきだった。なぜこのような時にシュオン達に聞かなくてはいけない事があるのか。そう、この言葉は嘘なのだ。それならハヤテは何処へ行ったのか……? そんな事は聞くまでもないだろう。

――彼はノゾミの元へと向かったのだ……。


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