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時と悪魔と契約と

4森間 登助 ◆t5lrTPDT2E:2012/05/26(土) 23:00:42 HOST:222-151-086-004.jp.fiberbit.net

 さらに時は過ぎて放課後となった。
 色々あって大変だったが、俺は噂なんていつか消えるさとポジティブに考えることにした。
 同時に下校途中、周りの聞こえよがしな会話を耳に入れないよう、革靴がアスファルトを叩く音に耳を済ます。
「時田君、待ちたまえ!」
 突然、後ろから妙な口調の声。
 誰のマネだよというツッコミの後、俺は振り返って後ろを見る。当然、こんな時に話し掛けてくるのは笹川だけだ。
「んだよ」
「事情は聞いたよ。気の毒だったね……」
 笹川は、制服の袖で汗を拭いながら俺に言った。
 こんなに心配されている状況が一番気の毒だ。俺はそう思ったが、流石に口に出すほど酷い奴ではない。
「もういいんだよ。恋愛のことでウジウジしてる俺がいけないんだから」
 無論本心ではない。ウジウジさせているのは周りの奴なんだ。わざわざ俺のことをからかいやがって……
「いや、ウジウジさせているのは周りの奴らさ。平常心を保とうとしている時に精神を揺さぶるなんて、本当に酷いよ」
 まるで自分のことのように笹川は言った。
 俺は笹川が親身になって考えていることに、少々驚きを感じた。アイツは意外に自信過剰なところがあり、正直自分のことしか考えない奴だと思っていたのだ。今日だって自分のことしか考えていないから、俺が変な目で見られていることに気付かなかったわけだし。
「まあ、僕は人からイケメンって言われるから、そんなことはないんだけど」
「…………ああ」
 まあ、人というものはそう簡単に変われないものだ。
 それから駅の方まで話し歩き(話題は笹川の自慢話)、俺は珍しい徒歩登校のため笹川とそこで別れた。

 家の目の前まで到着。今日は本当に色々あった。
 笹川と別れた後も楓からしょっちゅうメールが届いてきて、無視するのに逆に神経を使ってしまうと言う悲劇。俺がフラれてからと言うもの、楓が妙に調子よくなっているのに気付いた。
「クソ、一週間くらい受信拒否してやる」
 俺はいずれ楓の弱点も探ろうと心に決め、癒しを求めて家のドアを開く。今日は人間関係のアレコレが多すぎたせいか、いつもより疲れが溜っている気がした。ドアが重いや……
「やあ、こんにちは」
「…………」
 ドアを開くと、そこには人影があった。
 ロングの黒髪で瞳は燃えるように赤く、顔のパーツもポジションも完璧なまでに美少女。……なのだが、何故か頭には螺旋を巻いた角が二本に、背には蝙蝠のような翼がチラホラと見え隠れしている。見た目上、悪魔と言ったところだろうか。
 っていうか、何で俺ん家に知らない少女、それも単語の前に「美」が付く少女が居るのか? この時間は、俺しか家にいないはずだ。
 ……きっとこの人は、ハロウィーンの日を間違えているんだな。半年後だけど。
 本当に無理矢理な思考だと思ったが、冷静に考えてもまともな答えが出てこないことが一番分かっているのは、この俺自身だ。
 という訳で、悪魔コスプレの少女に第一声を発する。
「あの、ハロウィーンは半年後ですよ」
「何を言っている。そんなことは知っている」
 妥当な判断。間違って自分に選択肢を与えた己に活を入れる。
 それならこの人は、仮装パーティーの会場を間違えているんだ。賑やかで結構なことだけれど。
 本当に無理矢理な思考だと思ったが、冷静に考えてまともな答えが(以下略)
「すいません、仮装パーティーの会場はここじゃないんですけど」
「それも既知済みだ。お前は馬鹿か」
 バタン。乱暴に足で戸を閉める。
 きっと俺は帰る家を間違えたんだな。速いとこ疲労回復しなければ、これは相当疲れが溜っている証拠だ。
 本当に無理矢理な思考だと(以下略)
 俺は数歩下がって家の表札を見る。
「時田……って書いてあるよな……?」
 そう、確かに銀色のプレートには丁寧に「時田」と掘られている。読みの方も、「トキダ」ではなく「トキタ」だと言うことが、漢字の上に標記してあるアルファベットで確認できた。
 念のため、自分の名前を復唱。
「時田壱一、時田壱一、時田壱一。よし言えた!」
 いやいや、早口言葉じゃないから。目を覚ませ俺!!
 今の俺は完全に疲れているようだ。美少女の幻覚・幻聴が見えてしまうなんて……。内心、思ったよりも心に深く傷を負っているのかもしれない。
 俺は深呼吸を一つして、靴の跡が付いたドアを開く。
「おい、随分と失礼なことをしてくれるじゃないか」
 玄関にはやはり、悪魔のコスプレをした少女が腰に手を当て仁王立ちしていた。

5森間 登助 ◆t5lrTPDT2E:2012/06/03(日) 10:17:53 HOST:222-151-086-008.jp.fiberbit.net

 この美少女は実体ではない、幻覚だ。そう自分に言い聞かせ、俺はそのまま歩いて行く。
「一丁前に無視か、それともこっちに向かって喧嘩打ってるのかい?」
 悪魔のコスプレをした美少女は腕を組んで俺を睨み付ける。恐れるな、これは幻覚だ。ツンデレ大好きという俺の幻覚だ。
 幻覚・幻聴、だから透けて通れる。俺はそのまま歩き続け――――

 ――――腹部に拳が食い込んだ。

 肉と骨がぶつかり合う音が鳴り終え、ゆっくりと拳が引かれる。
 俺は意識が朦朧とし、折った膝を床へと落とした。口内に鉄の味が充満する。
「うぅ……」
 そして、うっすらと開いた目で俺は見た。
「これほどまでに馬鹿な人間は初めて見たぞ」

 悪魔の羽で飛んでいる、少女を。

 ――
 ――――
 俺は気が付いたら、自分の部屋で正座させられていた。その正面には、背中の翼を羽ばたかせて宙に浮く悪魔コスプレ……いや、少女悪魔の姿がある。
 狭い部屋の中で羽ばたきながらゴスロリ系の洋服を靡かせている様子は……例えようがない。何せゴスロリに角と蝙蝠のような翼なんだから。
 唯一共通点を付けるなら黒いと言うところだろうか。相手の瞳だけはルビーのように赤く輝いているが。
 すると、相手は急に鋭い視線。
「…………」
 正座したまま、俺、硬直。
 ここまで見せつけられたら恐怖心がボルテージマックスになるのも無理はないだろう。ああ、俺、輪廻のサイクルから外されるんだろうな……
「……まあそう恐れるな。確かに少し乱暴だったが、私も反省している」
 俺の身体が小刻みに初期微動しているのに気付いたのか、少女悪魔は謝罪した。物理的にも比喩的にも、上から目線だが。
 反省って言っても、殺される予感しかしない。ああ、死ぬんだったら天使に運ばれていきたかったよ。眠いよパトラッシュ、的な。
「で、私が誰だかはもう分かるよな?」
 少女悪魔は羽を休め、床のカーペットへと足を下ろす。
「悪魔、みたいな……?」
 俺の口からは曖昧に言葉が放たれた。わざと曖昧に言ってしまうのは、今自分がこの状況を信じたくないからだろう。だが、現実とは避けられない物である。
「そういう事だ」
 薄々は感づいていたが、まさか本当だったとは……
 俺の中の半信半疑が、否応なしに全信無疑に変換される。そして、身体の震えはついに主要動へと本性を現していた。
「お前、何か勘違いしていないか?」
 少女悪魔が、俺の震える身体を見ながら何やら呟く。
「……え?」
 疑問が優先度を増して、恐怖が一時的に俺の前から消えた。
 ポカンとしている俺をおいて、少女悪魔は言葉を続ける。
「確かに人間界では、悪魔は人の命を何かと交換するみたいな伝説があるが、冥界のルーツでは死神が担当する事だ。それに私は部署が違うから、死神にもあったことがないぞ」
 冥界に部署とかあるんかい。
 しかし、今の解説で俺の恐怖と警戒心が弱まった。やはりどこに住んでいても社会というのは存在するようだ。人間も悪魔も不思議な生き物である。無論、悪魔が実在するなんて知らなかったが。
 ……とはいえ、俺の主要動でそこまで推測できるとは。
「では、そろそろ本題に移らせて貰うが……お前、時間が戻せたらって思っただろ?」
 少女悪魔は改まった様子で俺に言う。
「…………はい」
 時間を戻したい。その感情はフラれた時以外にも存在していた。自分の不幸は人並み以上なのだ。
 しかし、悪魔なら相手の感情も読めると言うことなのだろうか、言っていることは合っていたが不気味な感じが否めなかった。
「そんなお前の願いを叶えてやろう。私の優しさに感謝し、そして崇めろ」
 いや、有り難いけど優しさが明らかに矛盾してます。全く、こんな綺麗で可愛いのに変な育ち方して……。親悪魔の顔が見てみたいな。
 しかし本当に口にしたら何されるか分からないので、土下座で礼。
 少女悪魔はそれに満足したのか、自慢気に鼻をフフンと鳴らした。
 とりあえずご機嫌は取れたようだ。俺は一安心して頭を上げる。
「じゃ、試してみろ。自分の夢が叶うかどうか」
 俺が顔を上げた先には、少女悪魔が黄金に輝く懐中時計を俺の目の前に差し出していた。

6竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/06/03(日) 11:35:48 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp
ここでは初めてのコメントとなりますね、竜野翔太です。

森間さんの新作……自分としては前作の続きを楽しみにしていたのですが、ちょこっと残念です。

さてさて、今回はバトル無しのストーリーということで期待しています。
まず普通に感想というか、主人公がかわいそうですね。
彼女にフラれ、ネタにされ……何かと恵まれないというところで同情が芽生えまs((
気になるのは、意味不明な悪魔の少女ですね。
一体彼女が何者なのか、気になります。

さて、アドバイスとしては、作中で『少女悪魔』と仮の呼称がついていますが、言葉としては『悪魔少女』の方が個人的にはすっきりするかな、と思います。
読んでて若干不自然になったので、自分的にはすっきりしなかったので、スルーして下さってもかまいません((

それでは続きも頑張ってください^^

7森間 登助 ◆t5lrTPDT2E:2012/06/03(日) 13:13:30 HOST:222-151-086-008.jp.fiberbit.net
 竜野翔太さん>>

 コメントありがとうございます!
 済みません、自分の前作は矛盾が多すぎたので、自分に活を入れ、結果こうなりました^^;

 時田君はまあ、読者に慰めて貰うキャラクターです(笑)
 結構自分が投影されているので、リアルなところが多いかと思います。いや、別に事実とかそういうアレ的な感じな((
 悪魔(♀)はキーパーソン(キーデビル?)になると思いますので、楽しみにして頂けたらと思いますw

 なるほど、自分は三人の友人に批評を貰って本書きしていますが、そこには気付きませんでした。確かに呼びにくいですね……
 スルーだなんていやいや、スムーズに読んで貰うためなら努力は惜しみませんよ。学校でも書き直します((

 はい、頑張りますので今後もよろしくです^^

8森間 登助 ◆t5lrTPDT2E:2012/06/10(日) 13:55:52 HOST:222-151-086-011.jp.fiberbit.net
 お知らせ

 この度、本作は著作権侵害を理由に中止となりました。
 何故かというと、別のサイト様で訴えられてしまいまして……というわけで、こちらの方も中止になりました。
 お恥ずかしい限りです。こちらで全く完結作品を書けないなんて……

 まあ、楽しみにしてくれた方は極小、またはいないかもしれませんが、申し訳ございません。

9名無しさん:2012/06/10(日) 17:03:19 HOST:ntfkok244208.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>6
中二病の駄作者wwwwwwwwww


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