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「付き合ってあげますよ、あなたの茶番劇に」

4セッション:2012/03/31(土) 13:41:23 HOST:wb005proxy02.ezweb.ne.jp


「そ、そんなつもりじゃ……」
「どんなに先輩が自分の行動を正当化しようとも、そこに「想い」があるかぎり、最低な行為なんですよ」


 私が反論しようとする言葉を遮るように彼がさらに追い詰める。


「自分で告白する勇気がないくせに、良い人ぶって。傷つくのは先輩じゃなく、二人ですよ」
「……っ!」


 パシンと乾いた音が響く。
 気がつくと、左頬に手を当てている彼の姿があった。自分が彼を叩いたのだと自覚した途端、右手がジンジンと痛み始める。


「暴力に走るということは図星ですか」


 それでも彼は引かない。まるで私を責めるように真っ直ぐに見つめた。
 そしてそのまま私の横を通りすぎ、屋上の扉を開けてから振り向かずに一言呟いて去っていった。


「でも、一番の馬鹿は僕ですけどね……」


 その言葉の意味を、この時の私には分からなかった。

5セッション:2012/03/31(土) 19:32:29 HOST:wb005proxy03.ezweb.ne.jp
 彼はきっと私の想いを知っている。そして誰が誰を想っているかも知っているんだ。
 でなければ、あんな言い方ができるわけない。


――でも、なぜ知ってるんだろう……。





「さくちゃん!どうだった?」


 教室に戻ってきた私に、友達の陽菜が期待を膨らませた瞳で駆け寄ってきた。その横には幼なじみの雅也がいる。雅也がどこか複雑そうな顔をしていたのを私は気づいていた。


「うん、ちゃんと伝えたよ。でも返事は貰えなかった」


 返事をもらうどころかお叱りを受けたことなんか絶対言えない。


「そっかぁ。でもまだチャンスはあるわけだよね!断られてないもん!」


 いいなぁ、陽菜のこのプラス思考。羨ましい。


「ま、頑張れよ。柏原」
「うん、ありがとう雅也くん!」


 雅也の言葉に嬉しそうにする陽菜。彼女は雅也の気持ちを知らない。雅也がどんなに陽菜を想っているのか、私は嫌というほど知っている。

6セッション:2012/04/01(日) 12:57:32 HOST:wb005proxy08.ezweb.ne.jp
 私は幼なじみの雅也に想いを寄せている。けれど告白するつもりはない。だって結果が目に見えてるから。


『先輩は悲劇のヒロインを浸りたいんですか?』


 屋上で問われた言葉が脳裏を過る。


『それとも、「あわよくば」と思ってるんですか?』


 違う。そんなつもりじゃなかった。
 でも、彼が私に突きつけたのは本当のことで。それを私は認めたくなかった。
 面と向かって私にそんなことを言った人は初めてだ。


 一年の芦田冬真。陽菜の想い人。陽菜は彼があんな人間だということを知っているんだろうか。私個人的にはオススメできないのだけど。


「さくちゃん?」
「桜?」
「え?あ、なんでもない!」


 考え事をしていた私を心配そうに顔を覗かせる陽菜と、同じく心配そうにしている雅也に慌てて答えた。


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