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Loveletter
382
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/03(火) 21:34:02 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 充実? side梨花
「よう梨花ー! 久し振りだなっ」
「うわ、俊太サン」
「ただいまー」と疲れた様子で部屋にスクールバックを放り投げリビングへ向かうと、そこにはにこりと満面の(いやらしい)笑みを浮かべた俊太サンがいた。
あたしは思わず「うわ」という声を漏らしたが、その隣のお姉ちゃんに目を遣ると何だか久し振りに見た気がして表情が緩む。
「お姉ちゃんも久し振りな感じするねー」
「ね、梨花がバテバテで帰ってきちゃうしあたしも帰るの結構遅いから」
「もしかしてお姉ちゃん、夜遊び?」
「なんでそうなるのっ!!」
――楽しい。
気持ちが和んでいくのが自分でもわかった。
思わず微笑んでいると、お姉ちゃんの隣の俊太サンが自慢気に言ってきた。
「俺のカノジョだかんな」
「うわ何コイツうざい」
落ち込みやがった、俊太サンめ。
そんなんで同情求めようっつったって無駄だし。ていうか可哀想でもないし。
「……被害妄想っていうの?」
「多分……」
お姉ちゃんにポツリと聞いたら、お姉ちゃんは苦笑しながらも頷いた。聞こえたのか、更にうざくなる俊太サン。
「百花あぁ……」
「俊太サンってそういうキャラだったっけ?」
「いやまあ、その……」
まあ、興味ないけど。
あたしはいい加減お腹がすいていたので、キッチンでなにやら料理しているお母さんの元へ行った。
「お腹へった。なんか手伝うよ」
「あら、いいの? じゃあこれ運んでくれない?」
「はーい……ってあれ、一個多くない?」
「あ、これ? 俊太くんのよ」
ありえねえええええぇええええぇええっ!
え、なにこのうざったい状況でお腹すいて死にそうだってのにコイツの顔眺めながら食べなきゃいけないの?
マジ無理!!
怒ったわけではないけど、それに不快感を抱いたあたしは部屋にいってスクールバックを持ってきてからお母さんたちに言った。
「あたし友達の家行ってくる!」
「あれ? 翔くんじゃないの?」
「〜〜っ! そこはどうでもいい!」
怒鳴り声をあげたあと、バタンと乱暴に家のドアを閉めて暗い道を歩いた。
×
ぴーんぽーん
可愛らしい音色が聴こえたが、そんなことどうでもよかった。
お腹がすきすぎて死にそうだ。
「はーい、ってあれ? 梨花じゃん」
「ごめんめぐ……いれて……あ、できれば翔と花も呼んで……」
女子三人+翔っていう組み合わせが基本になってしまったあたしたちだが、ガールズトークしたいときも翔はオマケでついてくる。
そうそう、チョコ買ったときについてくるシールとか、ジュース買ったときにキャップ部分にくっついてくるストラップや磁石みたいなモノ。
扱いは荒いけど、それでも翔自身嫌がってないみたいだし。
「あ、ご飯大盛り二杯で」
「多いな!」
普段はあたしがツッコミだけど、あたしのお腹が限界に近いときはあたしがボケに回ることもある。
ていうか今現にそうだし。お腹ヤバイ!
×
「ふうー、ごちっす」
あたしのお腹も満たされたところで、あとから来た花が申し訳なさそうにめぐに言った。
「ごめんね、わたしまでご馳走になっちゃって」
「いやいやー、花は良い子だからいいのっ! それに比べて梨花は……」
「良い子と梨花を比べるのは可笑しいと思いまーす」
めぐがブツブツとふざけるようにあたしのことを言い始めたから、あたしもふざけ返してやった。
でもたしかに、花はいいこだ。ついでに翔は大人しい、なぜだ。
「梨花も頑張れば良い子になれるよ」
「あーあーきこえなーい」
「おい!」
あ、ちょっと眠いかも。
空腹が満たされたら眠くなるってちっちゃい子みたいだけど……
おやすみ――
‐
俊太サン登場にテンション上がって俊太サンのキャラがわからなくなった(´・ω・`)
まあ、安定のおかしい系でいこうと思います←
それと梨花ボケめぐツッコミっていうめずらしい感じ!
梨花のボケは意外と好きですw
めぐのツッコミもキレがあって良いと思う←
ちょっとふざけてさーせんw
では次回もお楽しみに。みにみに(・ω・)
383
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/03(火) 21:50:57 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 大切な時間 side梨花
「ささ、じゃあお邪魔なアタシらはいきましょー」
「そうだね! 翔、上手くやりなよー」
――めぐの声が聞こえた。
もやもやしてたその声が段々とハッキリ聞こえてきて、やがてその言葉を理解すると顔が赤くなったのがわかる。
「いやちょっと! めぐも花もここにいればいいじゃん!」
「いやあ、ねえ?」
「お邪魔したら悪いしぃ?」
じゃ、邪魔なんかじゃないのに……!
最近あたしと翔の仲が上手くいってないというか、話すけど友達感覚になっちゃてる。
きっとめぐと花はそれに気づいて二人っきりにさせようとしてるんだろうけど、それは困るのだ。
あたしだってまだ心の準備もできてないし……。
そう思って覚悟を決めてから、できるだけ自然な起きるふりを演じてみせた。
「あ、おはよう梨花」
「しょ……翔?」
あれ。
なんかもうめぐと花がいないんだけど!
こういう時だけ素早いなあ、と思いながら動揺しまくって話しかけた。
「めめめめぐと花は?!」
「めぐと花ならどっかいったよ」
「そそそそっか!!」
動揺が隠せない。
どうしよう、恥ずかしい。
そんなあたしを見て、翔は悪戯っぽく微笑みながらあたしの頬に軽くキスした。
「しょ、翔?!」
「梨花、さっきの話聞いてたんでしょ」
「なんでわかったの?!」
「起きてるっぽかったから」
そんな。
あたしの演技って下手なのかも。
――いや、ただ単にめぐと花の言ってることに動揺しすぎてそれを隠せなかっただけか。
「――大丈夫だよ。俺梨花が望まなきゃ手出したりしないし」
「え、でも」
男の人って、こういうの我慢したくないんじゃないのかな。
俊太サンだって実際そうだし。
よく「百花とイチャイチャしてえー」っていうメールがくるし……全部無視してるけど。
「辛く、ないの?」
あたしが望むのを待つのが辛かったら。
あたしはあたしのせいで翔が辛い気持ちになるのが一番嫌だ。
大人の人がやるようなことは不安だしやりたくないけど、翔が辛いっていうならあたしは構わない。
「……辛い、のかな」
「じゃあ――」
「でも」
翔はあたしの言葉を遮って、優しく微笑んで言った。
「大好きで大事な梨花だから、精一杯尽くしたいんだよ。それに、俺も今はこうやって話せる時間のほうを大切にしたいし」
あたしって幸せだな。
そう、改めて感じたあたしはそっと翔の頬にキスを落とした。
翔が顔を赤くすると同時に、あたしの顔も赤くなるような気がする。
「あたしも翔といる時間、大事にしていきたいな」
――翔が、大好きだから。
‐
あまあまあまあましてんじゃねえよ!←
最近翔と梨花の仲が良くないなーって思って
とりあえずラブラブにしときました!
どうだ、これでお腹いっぱいだろ!←
384
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/07(土) 21:28:55 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 甘い一時 side梨花
「ご迷惑おかけしましたー! ごちそうさまでした!」
「はいはい、もう来んなよ梨花ちゃん」
「え、ひどいっ」
翔とあれから甘いムードをつくったはいいけれどめぐや花の期待している展開にはならなくて、でもあたしはそれでよかったんだと思っていたところ。
るんるん気分でお礼を言うが、肝心なめぐといえばこの通り――不満がありそうな表情だ。
「もうっ、せっかくこのめぐ様が時間を差し上げたというのにっ」
「あは、ごめーん」
「あはじゃねえよこの鈍感馬鹿あぁっ!!!」
「ち、ちがうよ。進展はしたもん」
「どうせ甘いほうにだろ! それ以上甘くなったら溶けるんだよ! 溶けて終わっちゃうよ?! もっとこうさあ、刺激とか苦みが欲しいんだよ! 甘いのはお腹いっぱいなんだよもう!」
めぐの言葉攻撃にやられたあたしはすみませんとちいさく縮こまって謝った。
そっか、甘くなって溶けちゃうのか。
でも、今までちょっと友達に戻った感じですこし甘さ控えめだったからちょうどよかったのかもしれない。
「あたしはしばらくお腹いっぱいだな、溶けてもいいけど」
「溶けて終わってもいいの?!」
「溶けないよ、雪じゃないもん。溶けるといっしょになるんだよ、それで固まるの。ろうそくみたいに!」
あたしたちはどちらかというと。
甘くて熱くて溶けて消えちゃう雪より甘くて熱くて溶けるけど消えずに固まるろうそくに近いのかもしれない。
「あたし、甘いのが好きだよ」
「……勝手にしろ」
どうやらめぐも納得してくれたようだ。
あたしたちの甘い関係を、もっとずっとつづけていきたい。
×
「ただいまー……ってまだ俊太サン帰ってないのかよ馬鹿!」
「え、いちゃ悪いか?」
「すんごい悪い! 今すぐ帰れ馬鹿!」
「いや、今日は百花と大人なことをする予定で」
「〜〜っ! 死ね!!!」
飛び蹴りを食らわせた。
ありえないありえない! お姉ちゃんとヤるとかマジないから!
そう思ったあたしはもう一度俊太サンを蹴ってから一言言った。
「お前帰れ! 死ね!!」
「り、梨花、安心して? あたし俊太とヤるつもりないからさ」
お姉ちゃんが宥めるように言った。
え、マジで?
「じゃあ大人なことって」
「うん、あたしたちホテルに行って一晩寝てくるねっ」
…………。
「ヤる気満々じゃん!!!」
「て、てことでバイバイ! 朝には帰ってくるからさ」
「朝帰りかよ! 夜遊びかよ!」
「お、落ち着いてよ〜……まあお母さんよろしくね!」
「はい、いってらっしゃ〜い! 子供つくっちゃだめよ〜」
「んじゃ、よろしくです」
「は〜い、俊太くんも百花のことよろしくねぇ」
あたし、お姉ちゃん、あたし、お姉ちゃん、お母さん、俊太サン、お母さんの順でしゃべった。
ちょっとヤバイ、無理。
「……お姉ちゃんはっ」
「ど、どうしたの? 梨花」
思わずお姉ちゃんの腕に抱きついてしまった。
「お姉ちゃんは、あたしのお姉ちゃんでいてくれるよね」
この言葉にどんな意味があるのか。
言ったあたしでさえもわからないけど――
あたしのお姉ちゃんじゃなくなるみたいで、こわい。
‐
ヤるとかそこらへんの用語には突っ込まないでください絶対に。←
385
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/14(土) 17:36:35 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / アタシの―― side梨花
「――――梨花」
驚かせてしまったのだろうか。
お姉ちゃんは、一単語分あけてからアタシの名前を呼んだ。
「何言ってんの、梨花は今もこれからもずっとあたしの妹じゃない」
いつからだろうか。
お姉ちゃんの彼氏である俊太サンに嫉妬し始めたのは。
アタシのお姉ちゃんなのにって、心の中でずっと思ってた。
「――心配する必要も嫉妬する必要も、本当はなかったのかもね」
「でもあたしは俊太からあたしを奪おうとしてくれる梨花が大好きだったよ。なんか、大事にしてもらってる感じで」
あ、もちろんいつもの梨花も大好きだけどね、と微笑むお姉ちゃん。
やっぱりお姉ちゃんは、アタシのお姉ちゃんだ。
「まーなんかすげえ感動モノの話になってるけどさ」
アタシとお姉ちゃんの絆が深まったところで俊太サンが入ってくる。
俊太サンも、べつに嫌なヤツってわけではないのかもしれない。
「姉妹とか兄弟とか、幼馴染とかの長い付き合いに勝る愛なんて、余程頑張んなきゃ手に入れられないってことだよな」
俊太サンにしては良いこと言うじゃん、と心の中でつぶやいたあと、アタシはドンッとお姉ちゃんを俊太サンに向かって押した。
あ、ちょっと強すぎたかもしんない。
「「――?!」」
驚くお姉ちゃんと俊太サン。
アタシの予想通り、ふたりは見事にキスした。
「ふたりの関係、認めてあげなくもないよ」
「すっげえ遠回しだな」
「なんか不満なの? 俊太サン」
「いえ、なにも」
あっそ、といいながらアタシは微笑んだ。
俊太サンには相変わらず冷たいような気もするけど、それでもちょっとは見直したし。
「ホテルでもなんでも行ってくればいいよ。ただしお姉ちゃんを泣かせたら許さないから」
「泣かせねえよ! ……多分」
まあ、ふたりが別れることは今後一切ないだろうし。
アタシも、そろそろ翔に甘えてみようかなー。
‐
姉妹愛っていいね!ってことで百花梨花ネタ。
386
:
ピーチ
:2012/07/15(日) 14:46:15 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
うわぁー!百花ちゃん&梨花ちゃんネター!!
俊太…何か久しぶりに聞いた名前が出てるw
ってゆーかさ、一つ質問してもいいでしょうか
梨花ちゃんって一時期俊太のこと狙ってたよね、何で今って嫌ってんの?
…うん、ごめんね。意味分かんないよね←答えなくてもいいよ((汗
387
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/15(日) 17:21:28 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
>ピーチ
正直ねここ俊太の存在忘れかけてたから登場させてみた←
んーとね、梨花編の小説見ればわかると思うんだけど
梨花が好きなのは俊太じゃなく百花で、俊太と付き合うことで百花がとられないか心配だったんだよ。だから俊太と百花を別れさせて、百花から俊太を放したかった的な。
すっごい無理矢理だよね、すみません←
388
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/15(日) 17:24:56 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / あわただしい一日 side未花 ※未花にかわってますよー
「あわわ、楽器が……」
「未花、持つよ」
「やややいいですよレオ先輩!」
「いやいや、楽器危ないし」
「あう……そうですか……」
「それに――」
一単語分置いて、はずかしそうにポツリ。
「未花に怪我させたくないし」
ああ、なんか朝から熱いかも。
いくら夏とはいえこれは熱すぎないか。別の意味で。
「……そ、ですか……」
顔が真っ赤になるのが自分でもわかる。
それが更にはずかしく感じちゃってさらに顔が赤くなるっていう、無限ループだ。
今日は待ちに待った県大会。
早いだろって突っ込みは置いといて、みんな一生懸命やってきたんだ。
――きっと、全国に行けるはず。
「せんぱーい、楽器搬出のときにイチャイチャしないでくださいよ」
「トラックぎゅうぎゅうだし時間も遅れてるんで、急ぎますよー」
梨花ちゃんとめぐちゃんに注意されてしまった。
しらっとしたその冷たい目に、わたしは笑いながらペコペコ謝る。
「ごめんなさいごめんなさい! すぐ移動します!!」
全国大会出場は、去年達成できなかった目標だ。
全国にいったらディズニーランドに連れてってもらえるらしいけど、わたしはそれが目的とかじゃなくて。
ただ、みんなと合奏をつづけたい。
全国にいけば、先輩と合奏できる時間も長くなるんだ。
全国にいって全国で金賞とったら――すごくうれしいし、先輩も心残りはないだろう。
わたしはそんなことを思いながら、隅に置かれていたスネアを持ち上げた。
緊張する、だけど楽しみ。
×
「急いでリハ室に移動しまーす!」
時間が遅れているままコンクール会場へ向かったら、結局すぐ楽器を出すハメになってしまった。
あわただしい一日――緊張も、どんどん高まってゆく。
リハ室にいく前にチューニングをしたのだけれど、一年生はとくに短時間でピッチをこまかく合わせられるようになった。
二年生も負けてられないとピッチ合わせを頑張ったので、聴いててとても気持ち良いのだ。
三年生は、元から自分の音程の高低をわかってるからチューニングすごいはやいし的確なんだけどね。
自由曲を一度通してみたけど、なんだか良い感じ。
県大会のレベルまで仕上げきれた感じがするし、音の調子も良い。
なによりみんなが楽しそうに吹いている。
「みんな、もう不安なんかじゃないよね」
不安な気持ちなんて、みんなでいればそんなものなくなってしまうから。
「今日は楽しんでいこう!」
『おー!!!』
‐
早めの展開←
389
:
ピーチ
:2012/07/15(日) 18:23:02 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
あーね、そーゆーいきさつかぁー←バカ。
え、まさかの作者が忘れてる感じですか…
…レオ先輩、楽器を先に言うかーっ!?
まぁ、その後で未花先輩も言ったからいいけどねw
390
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/19(木) 19:32:56 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
>ピーチ
てへぺろ☆←
レオくんは計算高いから楽器を先に言って未花を落ち込ませたんだよきっと←
391
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/19(木) 19:46:40 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 楽しいこと side未花
みんなと合奏できたこと、コンクールに出れたこと。
時には辛く苦しいこともあったけれど、それのお陰でわたしたちの絆は更に深まり、これ以上にないものになったこと。
この全てに感謝し、わたしは――わたしたちは、一生懸命、演奏した。
遠くに飛ぶ音、優雅に響く音、みんなを導いてくれたレオ先輩の、思いを込めた音。
今まで合奏したなかで一番良かったものだとわたしは感じた。
ピッチ合わせだって、学年ごとの合奏練習だって。
大変だったし、余裕がないときにやったものだからみんなのストレスだってたくさん溜まってた。
合奏するたびに増してゆく、みんなの不満。
わたしは挫けそうになったし、挫折しそうにもなったけど、これをレオ先輩は乗り越えてきたんだって思うと頑張れた。
でも、頑張っても頑張っても、みんなの不満が増してゆくだけで――
そんなとき、梨花ちゃんが一生懸命頑張ってくれたのだ。
一年生の絆が、梨花ちゃんへの信頼の厚さが。
一年生だけでなく、二年生をまとめてくれた。
わたしは大きな顔をして頑張ったよって言える立場じゃないのに。
みんなは、梨花ちゃんでなくわたしに、頑張ったねって言ってくれた。
梨花ちゃんも、わたしに笑顔を見せてくれた。
わたしはどれだけ自分勝手で、自己中心的で、我侭なんだろう。
わたしが幼いと思うのなら。
優しくしないで、鼻で笑ってほしい。
×
合奏が終わった。
有希先生を合図にわたしたちが立ち上がる。
立った瞬間、ふらりとよろめくのがわかった。
きっと、わたしだけじゃない。
精一杯気持ちを込めて、息を込めて吹いたあとは誰でも酸欠になるものだ。
でもなんか。
いきが、うまく、すえない。
どうして?
発作は治ったはずじゃ。
病院の先生も完治したって言ってたし。
とにかく舞台でそれを訴えるわけにもいかなく、わたしはよろめく身体を必死に支えながら舞台裏へ移動した。
‐
392
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/19(木) 21:19:36 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / かこきゅう side未花
ただでさえ息が上手く吸えないというのに、人で溢れてもわもわした空気の舞台裏に入ると更に酸素が減ったような気がした。
でもここで迷惑かけちゃだめだ。
わたしはできる限り何もないふりをして俯きながら、早々と舞台裏を去った。
×
吹奏楽部員がみんな入ればけっこうキツいけど、だれもいないときは流石に広く感じる第三楽屋。
みんなは楽器を片付けてから自由なので、楽器ケースを置いた個室に向かっていると思うのだがわたしはそこに入らずフルートを手に楽屋へと戻ったのだった。
(いき、すわなきゃ……。)
荒くなる息。
わたしはもっと必死に、息を吸った。
ガチャリ
第三楽屋のドアが開いた。
そこには有希先生とレオ先輩の姿があって――
わたしは呼吸のことを忘れて、心配させないために微笑んだ。
あ、ちょっと。
くるしい、かも――
「未花!!!」
「れお、せん、ぱ」
レオ先輩の必死な姿。
わたしは思わず倒れ込んでしまい、レオ先輩に支えられている状態だ。
「息吸って!」
袋を口元にあてられる。
やっと息が吸えたような気がした。
わたしはハッキリと、意識を取り戻した。
「ごめんなさい……」
「や、なんか様子おかしかったから来たんだけどさ。来てよかったよ」
「つかアタシが見落とすわけないだろ」
微笑むレオ先輩と、安心したような表情の有希先生。
「それにしても、何で今頃発作が……」
「発作じゃないと思うよ」
「精一杯演奏できて、自分が頑張ったのも認められて、多分うれしかったんだろうな」
そうだ、わたし頑張ってた。
どうしようっていっぱい悩んで、梨花ちゃんに助けてもらったんだ。
「……っ」
涙がでてきた。
「みんな未花が悩んでるのも頑張ってるのも知ってるんだから、自身持てよなー」
レオ先輩が小さな子をあやすようによしよしとわたしの頭を撫でた。
わたしも、みんなに認めてもらえるような努力ができたんだ。
わたしはゴシゴシと涙を拭き取り、レオ先輩と有希先生と、楽器ケースが置いてある個室へむかった。
‐
393
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/23(月) 09:25:38 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 努力 side未花
「あっ、未花先輩いたー!」
「ごめんね梨花ちゃん、ちょっと色々あって」
わたしが楽器ケースを置いた展示室に戻ってくるなり、梨花ちゃんはわたしを指差した。
探されてたのかな、とちょっと心配になって謝ってみる。
「や、なんか合奏のあと辛そうだったから心配で」
やっぱり、気づかれていたのか。
できるだけバレないように気をつけていたのに……
「なんでもないよ、大丈夫」
「嘘ですそんなの、本当はなんかあったんでしょ?」
「う、それは」
「……未花先輩、仲間じゃないですか。もっと頼ってくださいよ!」
梨花ちゃんが強くわたしに言った。
そのあと力なく微笑んで「アタシ頼れるような人じゃないですけど」とつぶやいていたが、そんなことない。
「実はね、なんか過呼吸みたいになっちゃって」
「発作ですか?!」
「ううん、そういうのじゃなくて、なんか嬉しいのと悲しいのが混ざりあってゴチャゴチャになっちゃって」
上手く言葉にできなかったけれど。
梨花ちゃんはぎゅっとわたしを抱きしめてくれた。
「よかった、また入院とかじゃなくて」
「ごめんね梨花ちゃん、心配かけて……みんなも、本当にごめんなさい」
わたしがみんなに謝ると、みんなは微笑みながら言った。
「何いってんの、アタシたち仲間でしょ」
「未花、いちいち謝ることないよ」
嗚呼。
わたしの周りには、こんなにもあったかくて優しい仲間がいるんだ。
×
「――高校です!」
わあああああ、と周りからわきあがる歓声に、わたしの目は覚めた。
レオ先輩がわたしに気づいて笑い始めるのがわかった。
「え、なにっ」
「全国出場決定だってよ」
本当?!
わたしはひと足遅れてみんなといっしょに喜んだ。
「それにしても寝ちまうとかさー、本当に疲れてんのな」
「す、すみませんっ……」
いや、謝るところじゃないけど、とレオ先輩が笑う。
よかった、先輩たちといれる時間が長くなって。
「全国もがんばりましょうね!」
「ん、楽しんでいこうな!」
一ヶ月後に全国大会を控えたわたしたち。
これからも練習がんばるぞ!
‐
394
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/30(月) 16:57:11 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 全国! side未花
「ちょっと混んでるけど、電車はこれ逃したらもう間に合わないんだよなあ……」
わたしがポツリとつぶやいた。
ついにやってきた全国大会の日――の五日前。
全国に行ったらディズニーランドだぜ!ということで、最初の三日はそれぞれ自由行動で東京に行くもよし、千葉に行くもよしということだそうだ。
まあ、みんな東京に家あるから隣の県への合宿とかホテルに泊まるとか別にどうでもいいんだけどさ。
とにかくホテル前に9時集合だそうから、わたしは急いでいた。
――正確に言うと、吹奏楽部の部員全員。
みんな以心伝心していたのか同じ時間の電車に乗ろうと考えていたのだ。
「うう、キツい……」
「み、未花! そんなエロいこと言わないでよ!」
「キツいって言っただけだけど?!」
「うわああぁ未花変態いぃいいぃ」
そういえば最近唯花がおかしくなったのです。
鈴先輩と絡み始めてから特におかしくなったから、きっと二人でエロいなビデオでも見たのだろう。
「あ、あっち空いてるー」
電車に乗ってしばらくすると、唯花が空いている空間をみつけてそこに移動しはじめた。
わたしもそっちのほうがいいな、と思い後ろにいたレオ先輩に声をかける。
「レオ先輩、わたしたちもいきましょうよ」
「イクとか! 未花マジエロイ!!!」
「もうっ、なんなの唯花!」
遠くから反応する唯花。
きっと他の人の迷惑になっていると思ってあわてて口を塞いだ。
わたしが移動しようとすると、突然電車がぐらりと揺れてレオ先輩に抱きしめられてしまった。
「おい未花、気をつけろよー」
「すみません……でも急に激しく揺れたから」
むー、とわたしが言い訳をしていると、唯花はまた反応した。
「激しく揺れただと?! ちょっとレオ先輩どんだけ激しくヤッてるんですか!! エロいですよ!!!」
「エロくねえよ!」
ついにはレオ先輩までもが突っ込んだ。
なんかいろいろとおかしいけど、楽しいコンクールになりそうでよかった。
‐
395
:
あんみつ
◆TJ9qoWuqvA
:2012/08/03(金) 11:56:08 HOST:p141213.doubleroute.jp
こんにちは
私もいれて下さい。
ルーナのファンタジー小説と楽しい仲間たち
っていうブログ来てね
396
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/08/04(土) 20:39:15 HOST:EM117-55-68-51.emobile.ad.jp
パソコン新しくなりました!
なのでID変わったかも。
仮にもねここなのでよろしくお願いします←
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