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70竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/01/21(土) 15:57:57 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp

(……馬鹿な……。……有り得ない……!)
 黒曜闇夜は目の前の現象に、ただただ目を大きく見開くだけだった。
 何故なら、徹底的に追い詰め、相手を覚醒状態から元の姿に戻したというのに、血を吸った様子も無い状態から、いきなり覚醒状態へと赤宮真冬が変化したからだ。
 覚醒型の『ヴァンパイア』は、血を吸い、その吸った血を炎へと変える。白波涙や、黒曜闇夜のような常時戦闘型とは違い、覚醒型は時間制限というデメリットの分、常時戦闘型より戦闘能力が高い。
 真冬は、驚いている黒曜を見つめ、ただ一言呟くように言う。
「―――行くぞ」
 瞬間、真冬は黒曜の懐へと一気に距離を詰める。
「ッ!?」
 真冬の迫る拳を黒曜は拳を、鎌で受け止め、押し返すように拳を弾き返す。
 真冬は僅かに体勢を崩しかけるが、すぐに立て直し、鋭い蹴りを黒曜の腹に叩き込む。
「ぐっ……?」
 黒曜はそのまま後方に三メートル程飛ばされ、後者にぶつかって動きを止める。
 そこへ、上空に飛び上がった真冬の拳が再び襲い掛かる。
 ガッ!!という音が鳴り、真冬の拳と黒曜の鎌がぶつかり合う。
 黒曜が押し返すように真冬を後方へと飛ばす。飛ばされた真冬は地面に着地するとすぐに、地面を蹴り黒曜へと攻撃をしかける。
 黒曜は鎌を上に振り上げ、真冬が迫るのを見計らい振り下ろす。
 が、真冬は鎌を蹴り上げて、黒曜の身体に大きな隙を作る。
(しまった……!)
 そして、黒曜のがら空きの腹に真冬の鋭い拳が突き刺さる。
 さらに真冬は畳み掛けるように、黒曜の顎を拳で強く打ち上げる。
 黒曜の身体が宙で舞い、仰向けになって地面に落ちる。
 黒曜もまだ戦えるようで、必死に身体を起こそうと腕に力を込めている。
「……すげぇ」
 二人の戦いを見ていた霧澤は、ただ一言だけを漏らした。
 そこで霧澤は、ふと真冬の違和感に気がついた。
 再び覚醒状態に戻ってから、真冬は一度も炎を纏っていない。
(……おかしい。赤宮は今まで戦う時は炎を纏っていたはず……なのに、何で今は纏っていないんだ……?)
「……零化(ぜろか)……」
 立ち上がった黒曜は、口の端から垂れる血を手の甲で拭いながら呟く。
 まるで、霧澤の心の疑問を答えるように。
「……零化は吸った血を空にして初めて、使える技だぞ……」
 黒曜は息を切らしながら、言葉を紡ぐ。
「……吸った血を空にし、覚醒状態を強制的に引き出す……」
 だが、と黒曜は一度言葉を区切る。
「零化の覚醒状態は、覚醒した時の爆発的な戦闘能力を得る代わりに、炎は使用できないんだぞ。つまり、覚醒型は常時戦闘型より戦闘能力が高いが、炎が使えなければほぼ互角」
 それを何を意味しているか。
 覚醒状態で炎が使えるのならば、真冬が優勢に立てるが、炎が使えなければ真冬と黒曜の戦闘能力はほぼ同等となってしまい、大きなダメージを受けている真冬が劣勢だということだ。
 それに、炎を纏った攻撃がくれば、生身の真冬が受けるのはあまりにも危険すぎる。
「お姉様。この勝負、私の勝ちですよ」


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