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199竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/09/22(土) 01:26:40 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

「白波が行方不明!?」
 言われたとおり屋上へとやって来た霧澤達は、朧月の発言に思わず大声で叫んでしまった。幸い屋上には他に誰もいなかったので、このことを聞かれていはいないと思う。
 彼の話によると、昨晩に出てきた悪魔を退治しに行ったっきりらしい。白波がそこら辺の弱い悪魔に負けるような『ヴァンパイア』ではないことは誰もが知っている。
 だからこそ、行方不明の原因が分かっていないのだ。
「……白波の奴、どうしたんだ?」
「相手が本気で心配するような冗談や嘘は言わないし……」
 霧澤達も白波が姿を消した理由を考え出す。が、しかしやっぱり思いつかない。
 そこで、皆で昨日白波を見たのはいつが最後か、という話を聴くことにした。
 いの一番に口を開いたのは霧澤だ。
「俺は昨日、白波が赤宮と一緒に買い物に行くって行って、赤宮を連れて行った後から見てないぜ」
 その光景に居合わせていた真冬もこくこくと頷いている。
 次に口を開いた茜空は、
「僕は彼女のことよく知らないんで。廊下ですれ違ったかもですが、帰りは会ってないかと。僕は薫さんとすぐさま帰ってゲームしてたんで」
 早速かよ、と霧澤がツッコみそうになったが、そこはぐっと堪えた。
 朧月は白波と買い物に行った真冬に意見を求めた。
「私は涙ちゃんと買い物に行って、荷物を持っててあげたりしてたから家までついて行ったよ。涙ちゃんが家に入っていくのも見たし」
「ああ。確かに涙は家には戻ってきていた」
 朧月は真冬に賛同するように言った。
 そして悪魔が現れたのは夜の一時ごろ。その辺りまで話を遡らせていた。
「俺は赤宮と妹の梨王とでゲームしてた。『いつまでやってんの!』と母さんに怒られたからそれでやめて、俺の部屋で二時くらいまでトランプやって寝たぜ」
 真冬も頷いている。
 ちなみに、朧月が真冬に何で悪魔退治に行かなかったか、と問うと『これから出た悪魔はしばらく私に任せな。暴れたくってウズウズしてんのよ!』と買い物中に言われたかららしい。なんというか、白波らしいといえばらしい。
 その時間は、と考え出す奏崎だったが、隣にいた茜空が答えを言ってしまう。
「その時間は『今日は見たいのがありませんなぁ』と言って薫さんが寝たのはいいんですが、僕を抱き枕のように扱い悪魔退治にも行けませんでした。つまり、僕も薫さんも家にいました」
 やられていることは悲惨だが、とりあえず状況は分かった。
 当然といえば当然だが、最後まで白波と一緒にいたのは朧月だ。家から出て行方不明。普段そういうことをしそうにないだけあって、余計に心配である。

「とりあえず、放課後全員で探してみようぜ。何かあったらいけないから、『ヴァンパイア』と契血者(バディー)が組んで」

 霧澤の提案に全員が納得する。
 納得してはいたのだが、奏崎が思い出したように異を唱える。
「でもさ、私達五人じゃん? 誰か一人余っちゃうんじゃ?」
 あ、と霧澤が声をもらす。
 再び彼が考え出すと、今日の自分は冴えている! といった表情で携帯電話を取り出した。
「いるじゃねぇか。頼りになりそうかつ暇そうな奴が!」
 かなり失礼な言い方だが、許してくれそうな人物だった。
 そう、霧澤夏樹の言葉であれば、彼女は何でも許しそうだ。
 彼が電話をかけた相手は他の誰でもない、

 ―――朱鷺綾芽だ。


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