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VaMPiRe
182
:
竜野翔太
◆sz6.BeWto2
:2012/08/25(土) 00:04:34 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp
第21話「CALL その声はすぐ近くに」
天井を突き破って上へと打ち上げられたマモンを追い、真冬は背中に翼を生やし、茜空を抱えたまま上へと飛んでいた。
そんな中、彼女の腕の中にいる茜空が口を開く。
「……いませんね。一体どんだけ飛ばしたんですか?」
「それほど強く力を込めてはいないと思うのだが……今のは強かったのか?」
真冬は考えながらそう言う。
しかし、茜空は実際に先程の攻撃を受けたわけではないので、威力は分からない。何階か越えているので、まあそれぐらいの威力はあるのだろう、としか言葉は返せない。
茜空は真冬の背中から生える赤い炎の翼を眺めながら、
「それにしても、こんなに飛ばして大丈夫ですか? ここに来る前かなり疲弊してボロ雑巾みたいでしたけど」
「マモンと戦ってボロ雑巾みたいになってたお前には言われたくない一言だな」
真冬は嫌味のように言い返すが、茜空には効いていない。
ぶっちゃけると、真冬はマモンと奏崎がいた階の天井を突き破る前に、霧澤の血を吸っていた(勿論キスをした)ので、炎の量は最大値の状態でマモンと戦えるのだが。
彼女自身、マモンをこんなにも高く打ち上げるとは思っていなかったので、全体の一割程度を飛行に割いてしまっているだろう。
本末転倒だな、と茜空は思う。
真冬が、想像よりもマモンを高く飛ばしたのは、炎が最大値だったのも関係していると思う。
「……貴女って、意外とお馬鹿さんですよね」
「ッ!?」
いきなりの言葉に真冬は声にならない反応をした。
まさか彼女に言われるとは思っていなかった。『マモンに突っ込んでいったお前も馬鹿だろ』と言いかけたが、彼女の言葉は声には出ない。
茜空の目が『自分も馬鹿ですけど』と告げているように見えたからだ。
真冬は軽く息を吐くと、
「じゃあ馬鹿コンビ、さっさとマモンを倒すか!」
そう意気込んだ瞬間、
ゾッ!! という鈍い空気を裂く音とともに、大量の鋭利な針のような物が上から降り注いだ。
それに真冬は反応すると、僅かに舌打ちし、
「マモンか……? 茜空、もう少し私にくっつけるか!? 範囲を狭めたいのだが……」
茜空は首を傾げながらも、真冬の頼みどおり身体を真冬によりくっつける。
真冬は全身から炎を噴出し、近くにいる茜空もともに包み込んだ。攻撃ではなく防御のために。
彼女が『四星殺戮者(アサシン)』との戦いで使った『一身炎(いっしんえん)』という高度な技だ。
(……生で初めて見ました。さすがですね……)
茜空はそんな感想を抱き、真冬の腕の中に収まっていた。
針の雨が止み、一つ天井を越えるとそこにはマモンがいた。
しかし、今までの真冬たちが知るマモンの姿ではなかった。
オールバックにした緑色の髪は腰の辺りまで伸び、彼の腕や脚は人のものより細くなり、爪が獣のように鋭く尖っている。さらには口には牙までも生えていた。
中でも異彩を放つのは、彼の背中だ。
彼の背中には、針山のように無数の鋭く細い針が生えており、背中だけはハリネズミを連想させていた。
マモンは『ククッ』と笑うと、
「人間の感性じャァ、俺様マモンッつー悪魔は動物のハリネズミが象徴となッちャァいるが……俺らは『大罪の悪魔』は象徴の動物のようになることが出来る。レヴィアタンだッて、分かりにくかッたみてェだが、アイツは蛇が象徴なんだと」
つまりは、今のマモンが真の姿。今までの人の形は仮の姿というわけだ。
「随分なワイルドな見た目になったじゃないか。そっちの方がカッコいいんじゃないか?」
「ま、どっちにしろ倒しますけど」
二人の言葉を聞いたマモンが愉しそうに笑う。
愉しそうに。愉しそうに。愉しそうに。
引き裂いた笑みを浮かべながら。
「イイね。だッたらこの狂宴(きょうえん)を愉しもうぜェ!!」
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