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Noise−悪魔の創造国−
4
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久城 紗夢
◆MIKU/01mmE
:2011/06/28(火) 20:13:31 HOST:p2142-ipbf210aobadori.miyagi.ocn.ne.jp
第一章 ―― 始まりの原因
「 ったく…、人遣いの荒い先生だな…! 」
大図書館へと繋がる階段を怒りに任せながら上がっていく白河憐というこの学園の「 留学生 」。大図書館という事もあり、とても広く高さもある。大図書館とても広く高い、もしかしたらロメリア学園より大きいのかもしれない。上に行くのが面倒になる人も多く、上に行くにつれて人気が少なくなり、本に被った埃の臭いや埃が舞っているのを横目で見つつも手で払いながら上へ上へと向かっていく。息を切らす少年の手には沢山の紙の束、宿題のプリントやお知らせのプリントなど持っている。
大図書館の最上階に着くと一人の小さな少女が窓際の席に座り書物を読み進めている。少女の髪は日光に当たり艶やかに光っている。金色の髪をふわりと宙に舞わせ、少年の方を見て、誰にも読み取れない程小さく微笑んだ。
「 あら、憐。毎日ご苦労様ね。いちいち此処まで来る必要なんてないでしょうに 」
嫌味っぽく少女がそう告げれば憐は疲れ果てたかのように大きく溜息を吐く。そうだ、と思い出したかのように少女に近づいて手に持っていたプリントを渡す。
「 先生から、クリスティアーネにだって。多分宿題とかだよ 」
憐は少女をクリスティアーネ、と呼んだ。そうこの少女はクリスティアーネ。詳細は不明、苗字も不明。分かるのはこの王国生まれという事と王国の一か二の貴族であるという事。
クリスティアーネはプリントを軽く見てふんと鼻で笑い、憐にこう告げた。
「 宿題? それにしても簡単過ぎないかしら? これは…私を馬鹿にしている、と見なしても良いのかしら 」
紙の束を一枚一枚雑に捲りあげながら呟く。その紙に刷られている宿題、というのは一般の人からしたら難しい問題がずらずらと嫌になる程綴られている。
そう、クリスティアーネは知能が高く、平均知能を遥かに上回っている為授業など出なくとも勉強には困らないのだ。それを自ら理解しているクリスティアーネには大図書館で暇を潰すしかない。しかし彼女には人間関係と言うものが欠けており、どの様に人と接すれば良いのか分からない。なので、憐としかまともに話した事がないらしい。
宿題に目を通し簡単だと言いたいばかりに呆れているクリスティアーネを眺めては、
「 クリスティアーネ、キミが頭良すぎるんだよ。俺には全く分かんねぇ 」
クリスティアーネの眺める宿題を覗きながらそう言えば、クリスティアーネは” 近いわ ”そう言い相手の顔を遠ざけるようにふい、と反対方向を見てプリントを床に置き近くにあった書物を手に取り読み始める。静かに、誰も居ないかのように書物以外を見ずに忙しく(せわしく)ページを捲りながら読む。憐は今話しかけても反応は無いだろうとクリスティアーネから少し離れた場所に座り所々に置かれた書物を一冊手に取ってパラパラと捲る。しかしドイツ語やギリシャ語で書かれた本を読むのは難しい。どうやら神話や仏教、様々なものがあるらしい。
この図書館には世界各国の書物が集まっているので、文字も全て違う。なので国が違う留学生の憐には解読できない書物もあるという事だ。
5
:
久城 紗夢
◆MIKU/01mmE
:2011/06/30(木) 15:15:37 HOST:p2142-ipbf210aobadori.miyagi.ocn.ne.jp
「 キミは、…憐は不思議の国を信じるのかしら? 」
ふと、書物に目を通していたクリスティアーネが憐にそう尋ねてきた。憐は驚きクリスティアーネの方を見るが、書物から目を離す様子は無い。しかし相手が尋ねているのであれば答えるしかない、そう思い首を傾げながらこう言う
「 不思議の国……。信じないと言えば嘘になるし、信じると言えば、そこまででもない。 」
憐はあやふやに答えを出す。それも無理は無い。何故なら、ふと前触れも無く不思議の国を信じるかと聞かれ、あまりそういうものに興味のない憐には答えようが無い。が、ここで興味ないんだなどといえばクリスティアーネに申し訳ないと重い、訳の分からない答えを出した。しかし、クリスティアーネは表情一つ変えずに" そう "と言い書物を読み進める。なんだったんだ、と思うが考える程でもないので断念して静かに書物をぱらぱらと捲っていた。
そうして暫しの間が経つとカツン、カツン、とこちらへ上がってくる足音が聞こえた。
「 ……… 」
無言。上がってきたのは顔立ちの良い、警察の格好を男だった。少しつまらなそうに無表情で憐とクリスティアーネを交互に見てから、近づいて来てようやく口を開く。
「 クリスティアーネ、解決して欲しい事があるのだが 」
クリスティアーネの近くまで歩み寄った警察はそう言う。クリスティアーネは読み途中の書物に栞を挟みぱたん、と閉じると男の顔を見上げにこり、嘲笑を浮かべた。どうやらこの男とクリスティアーネは知り合いらしくお互いに目を合わせては火花を飛び散らせている。
「 クリスティアーネ、…この人誰? 」
無言で睨みあう二人を交互に見つつもクリスティアーネに尋ねてみる。クリスティアーネはふん、と鼻で笑い憐の方を向けばちらり、と男を見ては紹介するかしないか迷ってみる。憐が" 早く言えよ "そう言えばクリスティアーネはうー…と唸りながら渋々紹介をする。
「 この人はアロイス・ド・ルーチェ。見ての通り警察 」
警察の男、アロイスはクリスティアーネがそう言えば憐を見て軽く会釈をする。憐もそれにつられて会釈をした。
クリスティアーネはアロイスについてそれ以上語ろうとは一切しない。アロイスにはあまり触れたくないのだろうか、と憐は自己解釈して何も尋ねないようにした。
暫しの沈黙の後、アロイスが唐突に口を開き本題へと入る。
「 それで解決して欲しいものと言うのは―― 」
6
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久城 紗夢
◆MIKU/01mmE
:2011/07/18(月) 16:24:33 HOST:p2142-ipbf210aobadori.miyagi.ocn.ne.jp
「 は…ぁ? 」
我ながら馬鹿げた声を発したものだと、憐はふと思ったが警部もといアロイスの口から発されたものはあまりにも普通のもので、解決出来そうだと思ったがかなり迷宮入りらしい。
クリスティアーネは書物をぱらり、ぱらりと捲り読み進めながら面白い玩具を手にした子供の様に悪魔の様に笑みを浮かべながらこう告げた。
「 どれほど面白いものを持ってくるかと思えば…、全く私の退屈と暇を無くせるものはないのね。アロイスに期待したのが間違いだったわ。私の誤算ね 」
つんと言い放つとアロイスはむっ、としてクリスティアーネを睨みつける。クリスティアーネは気付いてるのか気付いていないのか無視して書物をぱらりと捲る。憐は空気が違うとでも言うかのように一人でぽつんと離れて見ている。
アロイスははぁ、と溜息を吐いて話の続きをするべく書類に目を通しながら話を続けた。
アロイスが話した事件を簡潔にまとめるとこのようなものになる。
ロメリア学園の生徒且つ理事長の娘、セシリア=レイジェースの失踪。自ら姿を消したのか、誘拐なのかは未だ不明。しかしセシリアの部屋にはこの様な置手紙があった。
「 私を探さないで下さい。探せばあなたの身に不幸が起こり命を落とす事でしょう。私を攫った<猟犬>があなたに不幸をもたらします。それを忘れないで下さい セシリア=レイジェース 」
直筆、ということもあり自ら望んだと考えられるが不可解な点が多々ある。
一つは部屋が荒れ散らかっていた事。出入り口の扉は中から閉ざされており、ここからの脱出は不可能。そして窓も中から鍵が掛かっておりこちらも不可能。隠し部屋があると疑ったものの隠し部屋は見つからなかった。
その事件は街の噂となっており、悪魔の仕業だ、と騒ぎ立てているので警察も困っているらしい。
「 …水が足りないわ。まだ天秤が満ちていない…… 」
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