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冒険姫と二人の王子様
4
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ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/04/03(日) 19:07:33 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
〜 蓮 〜
今日の冒険はとても楽しみにしていたのに……姫だって絶対行きたいはず。それを年上のお兄ちゃん的存在な幸先輩に見つかるとは……大失敗と言って良いほど最悪だ。元々幸先輩はあまり好きではなかったのだが、そんな相手に大好きな姫をとられてしまうなんて思いもしな………あれ、俺って姫が好きなの? いやいやいや、だからそれはあるはずない……ああもう、こんな時はいつも姫に相談して単純で明るい答えですっきり出来るのになあ……。今回ばかりは相談出来ねえ! ひとつ、ふたつ……深い溜息を吐けばぐるぐると回り過ぎておかしくなった頭の中を落ち着かせる為そっと目を閉じる。そんな時、俺の元に苦笑した幸先輩がやって来た。
「……姫は?」
俺は幸先輩と話したくないのか、姫にこの心配する声が届いてほしくないのか……かなり小さい声で言った。そんな態度に幸先輩はくすりと笑い、ゆったりと落ち着きのある木の椅子に腰を掛けた。それにつられて俺もゆっくりと座る。
「………姫なら寝室にいますよ。……足をかなり怪我していますが、何かあったのですか?」
……そういえば、転んだ時も幸先輩に支えられてたし………ああもう、俺知らねえよ! ……ん?
「俺……知ってるかも!」
ピコーン、と停止していた俺の頭がぐるぐるとフル回転しだす。えーと、あれは一週間くらい前だろうか……
「一緒にカナリアの森の迷い滝に行って、……確かそこで二人離れ離れになって一時間以上会えなくて……やっと見つけた時に姫が木の下で足を痛めてしゃがんでいたんだ。きっとその怪我がまだ治ってなかったんだと思………っ?!」
バシンッ!
大きな音と共に俺の頬が殴られる。気づいたころには木で出来た立派な床に座っていた。椅子の方を見ると、俺と同じ方向に倒れていた。が、ぎりぎり避けていた為頬以外、俺に怪我はない。
「お前……、ふざけるんじゃない! 姫を……俺の姫を……っ!」
幸先輩に大きな声で叫ばれる。ぼろぼろと涙が溢れ出す相手の顔を見て俺はドキドキしていた。こんなに幸先輩が感情的になるなんて……今まで怒られたこともなかったのに。
「蓮っ……?!」
……姫の声が聞こえた。きっと俺のことを心配してくれるんだろうなって期待していた。が、急に幸先輩が苦しそうにしだす。俺は焦って、その場から動けなくなってしまった。それなのに、姫は痛い方の足も気にせずに幸先輩の元へ行く。
「幸、くん……っ?! だ、だいじょーぶ?! ……蓮っ、幸くんに何かしてないよねっ? ……って、蓮も怪我してるじゃん……! 何したの? 殴り合い……?」
「なっ、違う………っ!」
姫はきっと俺を睨みつけた、ように見えた。幸先輩を心配する顔は、まるでを睨んでいるように見えて、悔しくて、苦しくて、辛くてたまらない。涙が零れそうなのを堪えて出した言葉は言い訳をしているような言葉で……こんなにも慌てて、焦っているのに身体が動かない。
「………姫っ……蓮は………き、けん…………だ……。」
………え? 俺が危険、なの? 俺は安全だし……じゃなくて、俺に近づいちゃだめって言ってるのかな……。姫は小さく首を傾げる中、俺の身体が幸先輩への怒りと姫への焦りで勝手に動いていく。勿論、幸先輩と姫の元に………。
とりあえずちょんぎり。
また書きますb
5
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/04/03(日) 20:07:55 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
〜 蓮 〜
「………れ、ん………?」
姫が俺の名前を静かに呼ぶが、その表情は何処か不安気で小さく震えるようだった。本当だったら「危なくないよ、大丈夫だよ。」って言えたはず。なのに、今の俺は怒りと焦りで言葉が出ない。感情だけあって、身体と言葉は何者かにコントロールされているみたいで気持ち悪い。のに、姫はただただ俺を怖がるだけ。
「……やだ、れん……ねえ、ちょっと………とまってよ、れん……!」
幸先輩の方へくるっと目を向けると、ぐっと強く握り締めた拳を振り上げる。それを姫が庇うように幸先輩の前にしゃがんでいる。
……もう、俺は止められない。
「れ………っ?! 痛っ………!」
本当は幸先輩を殴ろうとしていた。けれど、それを邪魔してくる姫を先に殺ってしまうとでも言うように、俺の目線が姫へ移った。相手が女の子だってことも分かってるし、姫のことだって好きだから何とか止めたかった。けれど、身体が言うことを聞かない。助けて、誰か……。
「っ……! 痛い、やめ………きゃ……っ…………。」
姫が弱々しく悲鳴を上げるが言うことを聞かない。………姫の身体にあざが出来ていたり、血が出ていたのも見えた。しばらくすると、もう姫は悲鳴を上げるほどの力は無くなり気を失っていた。息は一応している。……次は、幸先輩。………?!
バタッ!
俺の身体が床にばたりと倒れる。しばらくしてから起きてみたが、普通に身体が動くし言葉も普通に出せそう。……ただちょっと違ったのが、姫が傷だらけで倒れていること。と、
「幸先輩がいない……?!」
………何で? 慌てて周りを見回すと、一枚の紙が落ちているのが分かった。何か文章が書いてある。
蓮へ
姫を殴るなんて、最低ですね。
もう貴方に姫といる資格はない……。
が、一つ良い事を教えてあげましょう。
貴方を操っていたのは僕だ。
「何、だと……?」
操られていた俺。それを操っていた相手は幸先輩。……だったなんて。そんなとき、姫の目が覚めた。傷だらけの顔で……。
「……………れ、……っ!」
いつもどおりに明るく蓮と呼ぼうとしてくれた。けど、傷だらけの身体の痛みで何をされたか思い出したのか、震えて怯えだす。……むかつく。
「……れ、ん………やだ……やめてっ………!」
ふわっ
やめてと言い泣き出す姫をぎゅっと優しく抱き締めてやった。……というのも、俺が安全だって知ってほしかったからなんだけど。……あ、あと、好きだから……かな。あれだけ殴ったのに、俺が傍にいる資格なんてない。……とか、そんなこと思わないから。幸先輩、いや……幸と違って。
「……れん、れん………。何で私のこと、殴ったの? なのに何で今、優しいの……?」
不思議そうに、だけど安心するように質問してくる姫に俺は優しく幸からの手紙を差し出した。
「………何、これ。…………っ!」
手紙を読んだ姫はまた不安そうに俺の方を見詰めた。そんな姫の頭をそっと撫でて姫を抱き上げる。
「さ、行くぞ。手紙ちゃんと持ってね。」
「ほえっ……は、はずかしいよ!」
……歩けない癖に。それよりも、
絶対に幸を許さない。
〜 姫 〜
何故蓮が私を殴ったのか、幸くんが何で苦しそうにしてるのか、蓮の頬が何で赤いのか、全部全部分からない。私ばっかり、蓮に追い着けなくて、幸くんにまで置いてかれちゃって。走っても走っても、無理。だったけど、怯える私を蓮が抱き締めてくれて、安心した。追い着けなくてしゃがんでいる私に大丈夫?って戻ってきてくれたみたいで。幸くんには置いていかれちゃったけど、それでも好きだなって思った。何でか分からないけど。でも、蓮から見せてもらった手紙を見て、そんな幸くんへの思いが消えた。誰が書いたかなんて書いてないけど、この部屋に入ったのは幸くんと蓮と私くらいだし。蓮の字はもうちょっと真っ直ぐした字だし。幸くんは昔っから、自分でも気づいてない癖があるの。字が右に下がってて、文章は段々左に下がるっていうね。……だから、私も幸くんを許せないと思った。怒りで気持ちがいっぱいだったのに、蓮が抱き上げるなんて嬉しいことしちゃうから、ついにこって笑っちゃった。
〜 続く 〜
gdgd((
6
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/04/04(月) 19:23:30 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
〜 蓮 〜
にこにこ笑う姫の姿を見て安心した。俺が姫を傷つけたのに、怯えさせたのに……安心しちゃ、だめなのかな。幸みたいに資格とか気にしないって思ってたのに、何か自分が嫌になってきて……そんなことを考えちゃう。
「………蓮、」
姫の優しい声に俺は少しドキッとしつつも首を傾げる。名前を呼ばれることだけで嬉しいから、顔が赤くなってないかとか、気持ち悪く笑ってたりしないかとか、凄い気になる。でも今は姫に顔は見えてないから大丈夫かなあ……。
「あのね、私……蓮に殴られたこと、気にしてないよ。」
……でも、痛かったはずだし。とか、色々言い返したかったのに、言葉が詰まってしまって出ない。そんななか、姫はまた口を開き、話し出す。
「だから、傍にいる資格がないとか思わないで……ね?」
思っていたことを優しく気にしないでと言われて涙が溢れ出してきた。姫も泣いていることに気づいたのか、俺の顔を見上げて慌てだす。
「ご、ごめんね蓮! 私、何かした?! あっ、私が重いかな……腕痛いよね! ごめんね、ごめんねっ……ほん、と……ごめんな、さ……!」
「違う……姫は悪くないよ。……姫が、嬉しいこと言ってくれたから……。これ、嬉し涙ね。」
こんなに謝ってくる姫を可愛いって思ったのは内緒ね!
〜 続く 〜
短くてごめんなさry
7
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/04/05(火) 09:35:43 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
〜 蓮 〜
姫と俺でにこにこと笑いながらとりあえず俺のお屋敷へ着いた。もう傍にいる資格とか考えてないけど、一応姫を殴ってしまったのは事実だから、せめて少しでも手当てしてから返すことにしたのだ。
「きゃあっ! 姫様……どうしてこんなに怪我を?!」
俺の屋敷の家来が騒ぎ出す。姫は冒険中怪我をしたとでも嘘を吐けと言ったが、正直そんな悪いこと出来ない。まあ、この場に幸がいたら咄嗟に幸がやったと言うのだけれど。
「ごめん……、俺がやったんだ。詳しいことは後で話すよ。十七時までに家来全員集めといてくれ。」
「そんなっ…・・・違うよ、れ……?!」
むっと顔を顰めて否定する姫の口を俺の大きな手でそっと塞いで苦笑する。今は俺が酷いと思わせとけば良いんだ。集会で、幸のことをばらすから。
「だから……今、はっ………!」
ドタッ!
身体が、重……いっ……――――――…………!
〜 姫 〜
急にドタッと誰かが倒れる音がした。倒れる寸前に蓮の声がしたから、まさかとは思ってくるりと振り向くと正面に蓮の優しい表情は無く、足元の廊下に辛そうな、苦しそうな蓮の姿があるだけだった。何が何だか分からなくて、ぼろぼろと何も知らない涙が溢れ出す。こんな悲しいときに泣いちゃったら、もっともっと悲しくなっちゃうじゃん。助けて、誰か!
「い、や……! いやああああああああああああああああっっ!!!」
響く叫び声、辛そうな蓮の姿―――……私に何か出来ないのかな。何で泣き叫んでんの、私。
「ひ、姫様っ?! どうかされまし………っ!! れ、ん……さま……………?!」
暫くして蓮の家来がやってくるけれど、その人も私同様固まってしまった。やっぱり、蓮を助けられる人はいないのかな。私も動けない……頑張れば動けるんだけど、もし悪化させたらって怖くなっちゃう。
「家来の皆さん、蓮様をベッドへ運んで! 苺はお医者様に電話してきます! 姫様は蓮様のお傍にいてくださいっ!」
この声は……姫苺………?
「い、ちご……ちゃん………?」
私の恋の応援とか、いろんな相談に乗ってくれた苺ちゃん。まだまだ幼いけど、私がすっごい憧れている子。
〜 数十分後 蓮 〜
「―――……ん。」
此処はどこだろう。ふわふわで暖かくて………―――――。
「れんっ、れんっ!」
女の子の声……? ああ、これはきっと姫だ。手を握ってくれているのか、右手が凄く温かい。そろそろ起きなきゃいけないかな……。
「姫………?」
「れんーっっ!」
え、ちょ、ま……姫が抱きついてくれてる! 嬉しい、けど……俺はどうしてベッドにいるんだ? それに、こんなに心配されるようなこともしてないし……。
「蓮様は倒れてしまったんですよ!」
この子は苺ちゃん……? 何だ……俺倒れてたんだ……! じゃなくて俺倒れたの?! え、何故に? あー、でもそういえば途中だるかったなーなんて………でもそんな倒れるほどじゃねーぞ?
「蓮……お医者様が言ってたんだけどね、倒れた原因は不明なんだって………だから、今からまた新しいお医者様を探して……っ?」
「苺に任せてください!」
姫の不安そうな表情を見て俺まで不安になってくる。が、苺ちゃんの言葉に周りの家来まで驚いた。何かの冗談かと思ったが、苺ちゃんは真剣だ。
〜 続く 〜
ちょん切り★←
8
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/04/24(日) 15:59:26 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
〜 蓮 〜
苺ちゃんに何が出来るか分からない。けど、任せてみようと思い俺はゆっくり頷いた。
暫くすると、苺ちゃんがばたばたと廊下を走り俺の元に来た。俺はきょとんとしながら問う。
「どうしたの、廊下を走るなんて苺ちゃんらしくない……。」
「あっ、あのっっ! 蓮様の倒れた原因がっ、分かったんですっ!」
え、まさかの苺ちゃんに?! 目を開いていると、苺ちゃんがこそっと俺と姫だけに教えてくれた。
「そ、その……! お二人の憧れの、幸様に操られたことが原因だったんです!」
「「えええええぇぇぇえぇえぇぇっっ?!」」
〜 つづく 〜
gdgdだぜ!((
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