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冒険姫と二人の王子様
5
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/04/03(日) 20:07:55 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
〜 蓮 〜
「………れ、ん………?」
姫が俺の名前を静かに呼ぶが、その表情は何処か不安気で小さく震えるようだった。本当だったら「危なくないよ、大丈夫だよ。」って言えたはず。なのに、今の俺は怒りと焦りで言葉が出ない。感情だけあって、身体と言葉は何者かにコントロールされているみたいで気持ち悪い。のに、姫はただただ俺を怖がるだけ。
「……やだ、れん……ねえ、ちょっと………とまってよ、れん……!」
幸先輩の方へくるっと目を向けると、ぐっと強く握り締めた拳を振り上げる。それを姫が庇うように幸先輩の前にしゃがんでいる。
……もう、俺は止められない。
「れ………っ?! 痛っ………!」
本当は幸先輩を殴ろうとしていた。けれど、それを邪魔してくる姫を先に殺ってしまうとでも言うように、俺の目線が姫へ移った。相手が女の子だってことも分かってるし、姫のことだって好きだから何とか止めたかった。けれど、身体が言うことを聞かない。助けて、誰か……。
「っ……! 痛い、やめ………きゃ……っ…………。」
姫が弱々しく悲鳴を上げるが言うことを聞かない。………姫の身体にあざが出来ていたり、血が出ていたのも見えた。しばらくすると、もう姫は悲鳴を上げるほどの力は無くなり気を失っていた。息は一応している。……次は、幸先輩。………?!
バタッ!
俺の身体が床にばたりと倒れる。しばらくしてから起きてみたが、普通に身体が動くし言葉も普通に出せそう。……ただちょっと違ったのが、姫が傷だらけで倒れていること。と、
「幸先輩がいない……?!」
………何で? 慌てて周りを見回すと、一枚の紙が落ちているのが分かった。何か文章が書いてある。
蓮へ
姫を殴るなんて、最低ですね。
もう貴方に姫といる資格はない……。
が、一つ良い事を教えてあげましょう。
貴方を操っていたのは僕だ。
「何、だと……?」
操られていた俺。それを操っていた相手は幸先輩。……だったなんて。そんなとき、姫の目が覚めた。傷だらけの顔で……。
「……………れ、……っ!」
いつもどおりに明るく蓮と呼ぼうとしてくれた。けど、傷だらけの身体の痛みで何をされたか思い出したのか、震えて怯えだす。……むかつく。
「……れ、ん………やだ……やめてっ………!」
ふわっ
やめてと言い泣き出す姫をぎゅっと優しく抱き締めてやった。……というのも、俺が安全だって知ってほしかったからなんだけど。……あ、あと、好きだから……かな。あれだけ殴ったのに、俺が傍にいる資格なんてない。……とか、そんなこと思わないから。幸先輩、いや……幸と違って。
「……れん、れん………。何で私のこと、殴ったの? なのに何で今、優しいの……?」
不思議そうに、だけど安心するように質問してくる姫に俺は優しく幸からの手紙を差し出した。
「………何、これ。…………っ!」
手紙を読んだ姫はまた不安そうに俺の方を見詰めた。そんな姫の頭をそっと撫でて姫を抱き上げる。
「さ、行くぞ。手紙ちゃんと持ってね。」
「ほえっ……は、はずかしいよ!」
……歩けない癖に。それよりも、
絶対に幸を許さない。
〜 姫 〜
何故蓮が私を殴ったのか、幸くんが何で苦しそうにしてるのか、蓮の頬が何で赤いのか、全部全部分からない。私ばっかり、蓮に追い着けなくて、幸くんにまで置いてかれちゃって。走っても走っても、無理。だったけど、怯える私を蓮が抱き締めてくれて、安心した。追い着けなくてしゃがんでいる私に大丈夫?って戻ってきてくれたみたいで。幸くんには置いていかれちゃったけど、それでも好きだなって思った。何でか分からないけど。でも、蓮から見せてもらった手紙を見て、そんな幸くんへの思いが消えた。誰が書いたかなんて書いてないけど、この部屋に入ったのは幸くんと蓮と私くらいだし。蓮の字はもうちょっと真っ直ぐした字だし。幸くんは昔っから、自分でも気づいてない癖があるの。字が右に下がってて、文章は段々左に下がるっていうね。……だから、私も幸くんを許せないと思った。怒りで気持ちがいっぱいだったのに、蓮が抱き上げるなんて嬉しいことしちゃうから、ついにこって笑っちゃった。
〜 続く 〜
gdgd((
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