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Il record dell’incubo〜悪夢の記憶〜
69
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2011/10/23(日) 23:59:28 HOST:i121-114-185-226.s04.a001.ap.plala.or.jp
「ご名答。つっても力使うとこっちもきついんだがな」
ふわりと身に纏ったロングコートを揺らして蓮が現れた。まるで挨拶代わりです、とでも言うかのように湊は蓮に殴りかかる。しかし蓮も大人しく殴られるわけもなく、少し動いただけで避けた。真っ向から生徒会メンバーからの敵意を受けながらも、蓮は深くかぶったフードを脱ぐ。フードの下から現れたのは返り血の良く映える真っ白な肌。赤と青の二つの瞳は生徒会メンバーの誰を捉えるわけでもなく、ただただぼんやりと宙を見つめる。弧を描く唇と、何の表情も浮かんでいないガラスのような瞳のミスマッチさが不気味で、背中に悪寒が走るのを優希は感じていた。
まっすぐと蓮を睨みつけて、湊は動かない。優希は冷や汗を流しながらも蓮の様子を伺う。その後ろのソファでは羽音が苦しげに呼吸を繰り返す涼を自らの後ろに隠すように立ち、風雅は楓を守るかのように楓のすぐ傍に立つ。そんな様子を眺めて蓮ははっきりと歪んだ笑みを浮かべる。それを見てまるで噛み付くかのように湊が吼える。「なぜ自らの手で、実の妹を殺したのだ」と……。
「っふん、宣戦布告だ。初等部の連中はとっくに動き出してしまってるぜ?」
蓮が嗤う。湊はギリッと歯軋りをしてふざけるな、と呟いた。握った拳が無意識のうちに小刻みに震える。そんなことを無視して蓮は歩き始めていた。規則的な足音を立てて、廊下を歩いていく。聞こえてくるのは、罵声、爆発音、断末魔……。僅かに鼻を突く鉄の臭い。蓮の後を追おうとするも、その鉄の臭いに思わず顔をしかめて、足を止めてしまった。一週間は嗅ぐことのなかった、大嫌いな臭い。相当な量の血が流れているのだろうか、そう考えて湊は口を押さえる。吐き気、不快感。一週間程度でここまで耐性が落ちるものかとため息をついて、深く息を吐く。
優希はすっかり顔を青くして辺りを見渡す。幸い生徒会室周辺では争いは起きていなかった。血が転々と落ちではいるが、生徒会室のドアの辺りで消えているのを考えると、涼のものであろう。響き渡る罵声にどう対応すべきか、必死に考えて答えを出そうとする。何も思い浮かばない。警戒していたとはいえ、あまりにも突然すぎて頭の中が真っ白になってしまっていた。火種や悪夢なんていう言葉だけが真っ白になった頭の中に浮かんできては消えていく。
ゆっくりと蓮を追って湊は歩き出す。吐き気を必死に抑えながら、鉄の臭いのする廊下を突き進んでいく。一発でもいいから蓮を殴ってやるなんて考えて廊下を進む。後から優希がついてきているのかを確認しながら歩くためか、吐き気のせいで歩くペースが遅くなってしまっているせいか、蓮の姿は見えるか見えないかのところまで離れてしまっている。罵声や悲鳴などは大分収まったが、臭いが酷くなっているような気がして。
「……何で警戒を解いてしまっていたのでしょうか」
後悔しても遅い、そんなことをしている暇があったらさっさと闇の連中をぶん殴って、事態を収拾しなくては、そう考えても不思議と言葉が漏れていた。駄目だな自分、そんな風に考えてため息をつく。蓮の姿は大分遠くなってしまったが、道的に生徒会室に行くはずだ。優希が歩くスピードを速めたのを確認をして、湊もスピードを上げる。
……刹那、視界の端で銀が揺れた。
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