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【バビロンの蔵】武具解析スレ 第2倉庫【剣の丘】
217
:
僕はね、名無しさんなんだ
:2008/01/10(木) 12:38:23
「ああ、あいにく性別など関係ない身だからな。
だがそれがどうした。目が見えないから兄にモノを投げない? は、笑わせないでくれよホズ。
盲目など機転で補える。だからこのヤドリギの枝をだな、そこのバルドルにでも食らわせてしまえ」
「――――――――」
瞬間。
弛緩していた空気が一変した。
――――大気が凍り付く。
不死身のバルドルに対して、神々はバルドルに武器を投げ掛ける事で彼の偉大さを改めて身に感じ、
一層の敬意を払おうという宴の趣向、それに参加したいというホズの気持ちが鎌首を起こしていく。
放たれるやる気は今までの比ではない。
その、呼吸さえ困難な緊迫の中、
「機転を利かせろと言ったな、ロキ」
戦場の鴉をも払う声で、盲目の神は言い放った。
「事実だ、ホズ。無敵の兄にモノを投げつけられないような兄弟愛なら、そんなもん捨てちまえ」
「――――よく言った。ならば、貴様が俺の目になれ」
大きく後退するホズ。
槍を突き出す、どころの間合いではない。
一瞬にして離された距離は百メートル以上。
ホズはこの広間の入り口まで跳び退き、そこで、獣のように大地に四肢をつく。
「――――――――」
ロキの五感が凍る。
恐怖か、畏怖か。
そのどちらであれ、彼は即座に理解した。
ホズの後退の意味。
彼が打ち出すであろう次の投擲が、文字通り、兄の胸を借りる、のであるという事を。
「――――この槍の能力はまったく知らないが、ロキ」
地面に四肢をついたホズの腰があがる。
その姿は、号砲を待つスプリンターのようだった。
「――――――――」
ロキに答える余裕などない。
盲目の神は両手に持った神槍を構え、最速で神槍に魔力を注ぎ込む。
だが間に合うか。
ホズのあの姿勢。
彼の神槍が予言を成就するのなら、誘導する覚悟は生半可な物では済まされまい――――
「―――行くぞ。この一撃、(宴の)余興として受け取るがいい……!」
盲目の弾丸が走る。
残像さえ遙か、ホズは突風となってバルドルへ疾駆する。
両者の距離は百メートル。
それほどの助走を以ってホズは神槍を突き出すのではない。
その姿が沈む。
五十メートルもの距離を一息で走り抜けた神は、あろうことか、そのまま大きく跳躍した。
宙に舞う体。
大きく振りかぶった腕には“ロキが何も能力を知らせず彼に渡した”ヤドリギの槍。
ぎしり、と空間が軋みをあげる。
―――伝説に曰く。
バルドルはある日、自分の死を予言する夢を見た。それを聞いた母フリッグは、
世のあらゆる物質に対して、息子バルドルを傷付けぬようにと言う契約を交わさせる。
しかし全てに対してその契約を取り付けたつもりでいたフリッグだが、
誓いを果たさせるには若すぎる、アスガルドの端に生える若いヤドリギにだけには、
その誓いを立てさせなかった。
つまり、それは。
「――――不死滅す(ミストル)」
紡がれる言葉に必殺の槍が呼応する。
盲目の神は弓を引き絞るように上体を反らし
「完殺の槍(テイン)――――!!!!!」
怒号と共に、その一撃を叩き下ろした――――
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