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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその79
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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその78
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前スレ:提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその77
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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその76
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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその75
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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその74
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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその73
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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその72
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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその71
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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその70
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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその60
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( 中 略 )
提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその50
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( 中 略 )
提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその1
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しかし世界大戦とか馬鹿男爵とかわいがおらん間にいろいろあってんな。
最大の事件はモニカ・クルシェフスキーが皇女であった件。
驚き桃の木パチスロ機、 ハッピーラッキー猿モンキー、宇宙の平和とホールの出玉、マジカル夢夢におまかせよ!!
てな〜。
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この11年でギアスも分けわからんよーなってきたな。
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来るだけだ来て愚痴ってるだけだと何なので30分で作ったネタ一つ。
期待はしないでね。
「熱くなってまいりましたね」
「エレーナも私とともに日本へきて四年になるというのに暑さに慣れませんか」
副官のエレーナがハアハアと息を切らせながら坂道を上っている。
私も登る坂道。
マントが日よけになって少し涼しいのはエレーナには内緒です。
聞いたらモニカ様だけずるいですとか言って怒りそうですからね。
明日は皇帝陛下……あの人の前での午前試合。
副官であるエレーナとの。
そしてあの人、繁太郎さんの前での午前試合でもあるのです。
エレーナは強い。伊達に私=ラウンズの副官になる実力を備えてはいません。
ゆえに私も全力で行かなければならない。
そも騎士の戦いに手を抜いてはいけないのです。
昔この日本にもいたという侍たち。いまは士族階級となっておりますが、彼らも戦いに手を抜きません。
ですから私も戦いに手を抜かない。
ポニーテールにまとめた私の髪より汗が伝い落ちていきます。
ポニーテール私の髪は腰下まで届く長さですからしっぽの長さも必然的に長くなってしまいます。
繁太郎さんはそんな私の騎士服・マント姿にポニーテールという普段見ない髪形を見て、き、奇麗だねと、真っ赤になってお出ででした。
私も真っ赤になって「あ、ありがとうございます」と返し、少し桃色の空間を作ると、エレーナに。
「はい、お二人とも婚約者だからってすぐに桃色空間を作るのはお控えください! 私は彼氏いない歴イコール年齢なのですから!」
そうエレーナの制止が入ります。
ある意味持つものである私。持たざる者エレーナ。
ひどい言い方ですが、明日も負けるつもりはありません。
皇帝陛下……あの人と。
あの人……繁太郎さんが私の戦いを見てくださるのですから。
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なんか文章の段落あけると読みやすいといわれたけど読みやすいな。
じゃね〜(^^)/
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乙です。モニカさんと副官の午前試合か。両社引かずなんでしょうね
しかしまあ投稿されてるのに誰も無反応。みんな冷たいね
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乙です
モニカさんもラウンズですし、思えば副官いますよね。
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乙です。
モニカの副官エレーナかセレーナかという名は確か公式のはずですよ。
まだ名前しか出ておりませんが。
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投稿します。
日本国召喚差分あり。
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30艦11万人体制
皇歴2018年。我が部隊は産声を上げました。当初、僅かな期間でしたが我が部隊はカールレオン級初代グランベリー1艦320人体制という僅かなる少数精鋭部隊でした。
それが時置かずして3艦6000人体制と成り、初代ネッサローズが合流したことで規模はより大きく、対テロを念頭に置いた作戦も寄り大規模に大胆に動けるようになりました。
そして皇歴2022年我がグリンダ騎士団は大グリンダへの飛躍の年を迎えたのです。アヴァロン級2艦、カールレオン級11艦、地上部隊3万3千名。とてつもなく大きな部隊、いえ軍へと成長し。
数々のテロ組織の掃討を行えてきました。我がグリンダ騎士団が壊滅へと追い込んだテロ組織の数は、皮肉にも30組織。この30という数字は新たなるグリンダ騎士団の象徴たる数字。
本日2023年○月×日を持ちまして、グリンダ騎士団は地上部隊10万名、浮遊航空艦アヴァロン級7艦カールレオン級23艦、艦隊要員約1万名と11万名体制と成り。正式に対テロ部隊から対テロ軍集団へと昇格します。
オール・ハイル・マリーベル!!
オール・ハイル・ブリタニア!!
オール・ハイル・マリーベル!!
オール・ハイル・ブリタニア!!
「皆静かに!! マリーベル殿下のお言葉を拝聴せよ!!」
興奮冷めやらぬ兵士達は、皆それぞれに、神聖ブリタニア帝国第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニア皇女を讃えていた。1艦320名の部隊が今や30艦11万人となる軍集団へと成長したのだ。
一テロ部隊としてはあるまじき偉業。それも全てはマリーベル殿下や騎士達の功績によるもの。
とくにマリーベル殿下を筆頭に、ナイトオブナイツ――オルドリン・ジヴォン、ヨハン・シュバルツァー将軍、幹部陣のソキア・シェルパ卿、ティンク・ロックハート卿。
ラインハルト・シュタイナー卿、マリーカ・ソレイシィ卿。……マリーベル殿下直属の嘱託副官シンイチロウ・タマキ卿の力が大きい。
そのタマキ卿だが、さっきからマリーベル殿下の演説をチラッとも聴いていない。艦隊勤務の年上の女性に声を掛けて邪魔している。
別に大声で演説を邪魔しているのでは無いので、演説自体の邪魔にはなっていない。嘱託副官などと言っても一般兵と同じ扱いな訳で、割と自由が効く身だ。
その立場を利用して、艦隊勤務の年上女性に粉を掛けまくっているのだ。
まだまだテロリズムの根が絶たれたとは言い難い現状。彼の巨大組織白い翼は1億人からなるコングロマリットにして、恐るべきテロ組織でもあります。
マリーベル・メル・ブリタニア皇女を映す巨大モニター。旗艦ネッサローズに据えられている巨大モニターは、グリンダ騎士団中に中継されているのだが。
そのマリーベル皇女の目が、先ほどからぐるぐると、あっちへ動き、こっちへ動きとハエでも見るように動いているのだ。
視線の先には嘱託副官、シンイチロウ・タマキの姿。
ともあれ、テロリストの一人一人。組織の一つ一つを潰していくためには。11万人皆の一人一人の力が必要なのです。
さあ、行きましょう。新たなる戦いの地へ! そしてこの世界に平和と安定を取り戻すのです! 断じて民主共和制原理主義を広めるようなことがあってはなりません!
世界に蔓延る民主共和制原理主義テロリズムを! 鋼鉄の箒で薙ぎ払い!! 白化の芽を根絶やしにするのです!!!
グローリートゥグリンダ!!
オールハイル!! ブリタニア!!!
グローリートゥグリンダ!!
オールハイル!! ブリタニア!!!
グローリートゥグリンダ!!
オールハイル!! ブリタニア!!!
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艦隊員達が、地上部隊の兵士達が唱和する中、やはり嘱託副官のタマキ卿は女性隊員に声を掛けている。
そして最後に艦隊員に、地上部隊員に申しつけておくことがあります。
我がグリンダ騎士団では恋愛は自由です。身分の差など色々と後々の懸念事項もあるでしょうが、艦隊内での恋愛は自由です。
ただし、裏切り行為だけは決して許してはなりません。特に男性が女性を裏切るなどと言う最低行為だけは許してはなりません。
キョロキョロと目玉だけが動く美貌。美人だから麗しいだの可愛いだのと、讃えられるマリーベルは、しかしそれどころではない。
艦隊内、軍集団内に年上の女性が大勢入隊してきたのだ。あのアホの好みの女性だっているだろう。実際に演説中ずっと女性に声を掛けていた。
ココはもう一つ付け加えるべきだろうかと麗しの皇女様は考える。とにかく自由にしていては危険だ。
恋愛は自由で良いのだ。身分違いの恋愛だって許されて良いと思うのだ。彼の平民とは12階級という越えられない壁の身分差がある。
それでも自分は恋をし、彼を自分のものとし皇室へとあげるつもり。根回しは少しずつだが出来ている。
大きな問題があるとすればクララとの決着。いずれは直接対決となろう巨大な壁。
そんなことも考えずに、他の女性ばかりに粉を掛ける裏切り者を、わたくしは許すつもりはありません。
今日という今日は、誤魔化しも嘘も、抱擁も、く、く、く、口付けも、逃げる一環の手段としてなら許しません。
自由恋愛は自由恋愛として認めますが、わたくしは『あなたの』自由恋愛を認めるとは一言も申し上げておりませんので。
「うふ、ウフフフ、シン兄さまァ、マリーはこれよりシン兄さまのお側に向かいますわァ」
どうしてくれようかしら。肩をお揉みしてうっかり砕いてしまおうかしら。それとも肩を外してしまおうかしら。変なナンパなど出来ないよう。
「マリーベル殿下目がキョロキョロしてたにゃー。あれはたぶんたまきんの様子を追っかけてた感じさー」
「でしょうね。あの馬鹿。艦隊員に年上の女性が入ってくることくらい予想してたから、やらかすと思ってたけど。マリーの爪を食らうわねあれ」
「し、しかし、マリーベル殿下も自由恋愛と申しておりましたし。タマキさんって一応フリーなんでしょう?」
「レオン! フリーだったら女性の気持ちを踏みにじっても良いとおっしゃるの!」
「マリーカちん、どうどう。これの目移り癖は今に始まったことじゃ無いから」
「ぼ、僕はマリーカさん一筋です!!」
「嘘にしかきこえんにゃー」
「しかし婿殿はどうなさるおつもりなのかな? 婿殿の行動パターンは殿下がシミュレート為されておったはずだが」
「今頃マリーに捕まって半殺しにされてお部屋へお持ち帰りされてる気がするわ」
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※
「マリー、愛してるよ。マリーだけを愛してるからだから――外してる肩元に戻してくれェ!!」
さめざめと泣くアホ一人。
「ダメですわ。そうしたらまた逃げ出して女性をあさりに行かれるのでしょう? 兄さまにはわたくしがおります。わたくし以外に」
「ちみっこがいるだろ」
「……クララ・ジ・ブリタニア、ですか」
「クララ・ランフランクな。あいつは一生俺のこと甘やかすんだと。俺の面倒見るんだと」
「ダメです。兄さまには皇室へ入って頂きます。カリーヌやギネヴィアお姉様。オデュッセウスお兄様には根回しも済んでおります。他のも大貴族の何割かにも」
「……なあ、お前さあ、どんだけ俺のこと欲しいんだよ」
「あの、初夏の日からずっと兄さまを婿に迎えることだけを夢見ていました。女としての夢ですよ? 皇族としての夢は、グリンダ騎士団の創設と、テロリストの討伐」
玉城は夢を語るマリーを見ながら、ほう、とため息を吐いた。
「まグリンダ騎士団を1艦320人体制から、30艦11万人軍集団体制のレベルまで成長させたのは素直にスゲーよ。こんだけの軍事力がありゃ結構なテロ組織を潰せるだろうな」
「……しかし、本当の敵は構成員1億人の白い翼……戦力的にはまだまだ足りないのが実情です」
「白い翼は無理だろ。世界中に根を張ってるコングロマリットだぞ。南天本体や光の嚮団の次にヤベーよ。1個軍集団程度でどうにか出来る相手じゃねー、お前、死ぬぜ」
マリーベルの肩が小刻みに揺れる。
「どうしたよ」
「うふふふ、兄さまがわたくしのことを御心配してくださることが嬉しくて」
言うと。玉城の肩の関節を。ごきんごきんっ。と元に戻してあげたマリーベルは玉城に抱き着く。
「わたくしが死ぬの、悲しいですか」
「……馬鹿野郎。大人がガキを守るのは当たり前だよ」
「わたくしはもう大人です。クララももう大人です。もう、兄さまに守られるだけの存在ではありません。わたくしもクララも兄さまよりもずっと強いんですのよ」
「知ってるよただな」
言いかけてマリーベルを抱き締めた玉城。
「俺の日常の中に、お前等はもう居るんだよ」
「にい、さま」
だらんとマリーベル皇女の腕が下がる。静かな午後の一幕。以外にも二人は仲良く過ごしていた。
「つーかよォ、このタマキくん人形何個作るんだよ?」
「さあ、わたくしも幾つ作りたいのか分かりません」
部屋を埋め尽くすタマキくん人形大から小までもう二千数百体。マリーベルはいったいこれを幾つ作るつもりなのだろうと、少し怖く感じる玉城だった。
因みに玉城とマリーの部屋にはシン兄さまとマリーの愛の部屋と書かれた掛札まで掲げられていた。
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日本国召喚クロスVersion
久しぶりに日本へと帰ってきていた朝田とパーパルディア皇国皇族レミール皇女。
二人は、朝田の家、朝田の部屋でテレビを見る。
すると、そこには数日前に顔を合わせたばかりの、美貌の皇女、薄紅色の長い髪を腰の下まで伸ばし、桃色を基調としたロングスカートのドレスを着た凜々しき皇女殿下の姿があった。
「泰司……」
レミールの顔は真っ青だった。
「1億人の構成員を持つ巨大テロ組織というのは真なのか」
「ああ、こちらの星に来てからテロ組織のことがおざなりになっておりましたが、いますよ。恐らく南天が無くなって力は落ち、混乱しておりますが」
まあ御安心ください。普段は経済活動をしているだけですのでと伝えるも、レミールの顔色は優れない。
「し、しかし、我がパーパルディア皇国の総人口よりも多いテロ組織だぞ。心配では無いのか?」
「頭(南天)がいませんからだいぶと弱体化しているはずなので。本当に気にしなくても大丈夫ですよ。それよりも、ロウリア王国に請求する賠償額。これでよろしいのですか?」
資料には1兆パソと書いてある。
「うむ。北側諸国の総意がロウリア王国の滅びにある以上は、払えない額を請求して攻め込む以外に無いだろう。それか砲艦外交だな。払わざるを得ない状態にしてしまい、国ごと潰す案だ」
レミールの長い銀髪をさらりと撫でる朝田は、これを北側諸国会議に出すのかと問い質す。
「出そうと考えている。パーパルディア皇国はロウリアの残り全軍を相手にして確実に勝てる。そうマリーベル皇女にまで保証をして頂いたのだ。私も弱小国とは言え同じく皇女として立つ者。恥ずかしいところを見せられまい」
しかし。別冊宝大陸日本編を二冊並べてみる。
「私が読んでいたのは古い方だったのか。2023後期版とかいう新しい方は更に、何というか、恐ろしいな」
新大鳳型後期空母:30艦
新紀伊型強襲揚陸艦:30艦
超重型斑鳩級浮遊航空艦:10艦
重斑鳩級浮遊航空艦:350艦
斑鳩級浮遊航空艦:600艦
軽斑鳩級浮遊航空艦:700艦
小型可翔艦:1250艦
主力水上艦艇:1500艦
小型水上艦艇:520艦
通常揚陸艦その他:2550艦
極超音速ミサイル搭載の統合打撃戦闘機:18,000機
作戦機:13,000機
戦車・装甲車:123,000両
作戦車両:125,000両
第9.5世代KMF:7騎
第9世代KMF:860騎
第8.5KMF:4,700騎
第7世代KMF:13,000騎
第5世代KMF:21,000騎
第4世代KMF:22,000騎
戦闘用輸送用VTOL:9,500機
大和型戦艦:4艦
戦略潜水艦:300艦
攻撃型潜水艦:500艦
日本海・太平洋・東シナ海・南シナ海に幾つもの人工島基地や通常基地を作ると共に本土にも大量配備、千島、樺太、神坂、千琴、アリューシャン全島、各衛星国にに配備。
各F号兵器総数100,000発配備。
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「日本と言おうか、北側諸国を識って来たからこそ思うのだが、日本のこの戦力は異常では無いか? これは全文明圏を数日で制圧できる力があるぞ」
「恐らく南天に備えているのだと思います。各国の計測器では転移してくるのは友好国である中華連邦とジルクスタンとみられていますが、南天が転移してくる可能性もあります。その場合はこちらも数で対抗する以外にありませんF号を使えない以上は」
「いずれにせよブリタニアも南天もこれと似たような」
「ブリタニアはコレよりずっと多いですよ。南天も数だけならうちより多いです。うちは質で引き離してますからね」
「とんでもない国々だな。だが、これで理解できた。マリーベル殿のグリンダ騎士団が一瞬にして3倍もの増強が可能となったことも。平時にこれだけ軍拡しておっては一部隊に対する軍事力の強化も簡潔に出来よう。無論、マリーベル殿のこれまでの活躍あらばこそだが。いずれにせよパーパルディア皇国が着いていける国では無いな北側諸国は。シーランド王国についても調べたが、確かにシーランド王国だけで昨年までの愚かなパーパルディアを滅ぼすことが可能だ」
「しかし、なにも恥ずべきばかりではありませんよレミール皇女。レミール皇女もデュロという浮遊航空艦を手にし、パールネウス型戦艦という76,800tの戦艦も手に入れました。パーパルディア皇国は着々と北側諸国寄りの国へと改造されていって居るのです。今は過渡期です。現に本土の工業都市デュロも大改造が為され、近く5万、6万tクラスの戦艦の建造も自力で可能になりますし、現用兵器の整備も自力で出来るようになります」
「うむ、クーズやアルークなどにも立ち寄ったが大発展を遂げていた。皇都エストシラントは昔のまま変わらぬがな」
エストシラントは北側諸国より文化遺産として保全すべきという声が上がっており、下手に手を入れられないのだ。
「古きものが価値を持つとは。これも北側諸国の文化故か」
「主に欧州諸国が反対してまして。我が国も京都の団体を中心に、エストシラントは保全すべきだと声が上がっておりましてね。ブリタニアでもエストシラントの美しさを壊してはならないと」
「そうか。他の自治都市が次々と発展し行く最中にあって、エストシラントだけが取り残されるのは寂しく感じていたが、すでに多くの北側の観光客も入って来ておることでもあるし、今更変えられぬか」
しかし、次の北側諸国会議が大変だ。パーパルディア皇国のロウリア王国に対する今後の方針の明確化の宣言。
それと、ゲートという不思議な雲の向こう側に存在するというもう一つのブリタニア(こちらの日本・ブリタニア・AEUほど強くは無いらしい)の北側諸国加盟選挙。
そしてゲート向こうの愚かなる欧州という国への対処を決める北側諸国全体会合。欧州諸国全てが参加等、議題が山積みなのだ。
「私もこの星代表国として気合いを入れねばな」
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以上となります。
以前より申し上げているように、私はネカフェからの投稿なんですよね。
ですから使いやすいキーボードと壊れかかっているキーボードの差が激しくて……。
本日は最高のキーボードに巡り合えました。
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乙です。マリーかっこいい演説しているのに目がきょろきょろって。嘱託副官殿を探しているのでしょうが。しかしグリンダ騎士団ついに軍集団の域に達しましたか。一国の軍隊レベルですねKMF・戦車・装甲車・作戦車両に航空機はどれだけ配備されたのか。
マリーの玉城くん人形は何体に増えるのか。
日本国召喚編の方は、日本軍がとんでもないことになってるんですけど、夢幻会誰もこれを止めないのか?
パーパルディア皇国は地方自治都市の方が大発展してきて皇都エストシラントは古都の街になって居るのね。
レミールが出席する次の北側諸国会議、欧州諸国全部来るのかな。
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>>794の発言言い過ぎました。嫌な思いをした方、申し訳ありません。
とくにトゥ!ヘァ!氏には気を悪くさせてしまいすみません。
他のみんなも申し訳ありませんでした。ここに謝ります。
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乙です
グリンダ騎士団。5年でかなり巨大になりましたねw
これはもう一個軍団といっても過言ではない戦力。
玉城は大人が子供守るのは当たり前と言えるだけで、根は真っ当だとわかりますね。
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>>812
ええんやで。そんな気にしてないので。
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乙です。
グリンダ騎士団は原作と比べてはるかに巨大な対テロ軍団に成長しましたね。
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日本の浮遊航空艦2910艦になってるんだけど、南天相手だとこれでも数で負けてるって恐ろしい
原作世界に攻め込んだら海上戦力の通常戦力と合わせて世界征服できてしまうんですけど
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第一次世界大戦後にさらなる軍拡をしてたのかあ
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グリンダ騎士団、玉城がエース機であるヴィンセント・カスタム・グリンダを乗りこなしているのが凄い
スピードだけならマリーやオズに勝てるんだから。休日氏の昔に説明されていた話ではヴィンセント・カスタムはマッハ出るらしく戦闘機との格闘戦も可能だとか
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アヴァロン級7隻にカールレオン級23隻
例によって最新型でしょうが普段の艦隊運用でどう分けるのか?
アヴァロン級は巡洋艦に当たり
カールレオン級は駆逐艦に相当するんでしょう?
3艦隊くらいに分けそうですけどどういった分け方をするのか
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13万t級改空母の新大鳳型30艦と
グリンダの浮遊航空艦30艦なら戦闘力的にどれくらいの差があるかな?
と、ふと思った
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どちらも母艦的な役割が大きいですから載せてる艦載機次第でしょうね。
あとは単純に載せられる数次第かと。
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時代によって変わるからなあ。
冷戦前なら130機載せれたのが、冷戦後なら90機に減って
その代わり爆撃ソーテリーが増えたんだったか
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その日本の浮遊航空艦2910艦体制になってるんですけど
どうなってるんですかこれは
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>>818
ヴィンセント・カスタムはマッハ出るらしく戦闘機との格闘戦も可能ってFー35などの史実の第5世代ジェット戦闘機と戦闘しても勝利できそうかな。
戦闘機とも戦闘可能で地上では戦車にも勝利できヘリ以上の柔軟な機動性があるフロートユニットを装備したナイトメアとか史実世界から見たら脅威的な兵器ですよね。
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ヴィンセント・カスタムはフロートで無くエナジーウィング機ですよ
でないとマッハは出ない泣
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フロートでも、工夫しだいで、メギドソュナイドのように
エナジーウィングに追随は出来てるみたいですな
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休日世界では第5.5世代戦闘機から第6.5世代統合打撃戦闘機まで飛んでるようですからね。
6.5世代機と格闘戦が可能なのはフリーダム=フローレンスのような一部の超絶機だけなんじゃないかと。
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レミールの愛読書? 別冊宝大陸2023後半日本軍軍事力事情が半端ないですね
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これ休日氏言
短期間で戦力を異常増強できるのは、常にブリタニア・南天と競い合ってきたからという理由と、夢幻会関係の転生者のチートによるものです。
そのため日本の工業力・生産力・技術力はとてつもないことになっています。
月間空母も可能です。
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>>825
ヴィンセント・カスタムはフロートでは無くエナジーウィング機でしたか。
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第8.5号機ヴィンセント・カスタムは正確には簡易型エナジーウィング機ですね。だから刃状粒子弾は撃てないそうです
たぶん機動力も本式のエナジーウィング機には劣るのでは?
それでも音速を超える速さとかなりの機動力を誇るようなので、これを乗りこなしてる玉城の腕は相当なものですよ
ヴィンセント・カスタムはリーライナとかマリーカとかブリタニア軍教導学校トップ組が乗ってる機体ですからね
だからグリンダ騎士団のだれもが民間人でありながらヴィンセント・カスタムのGにも耐えきって乗りこなしてる玉城さんスゲーっ!!
になるんですよ
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南天もエナジーウィング機は開発導入しているだろうけど、どれくらいの規模と性能なのやら
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第一次世界大戦の地図が公開されたことによって南天が相当ヤバい国であることも分かってきましたね
中華・ジルク進行中にトルコにまで侵攻しているという事はAEU・中華連邦・ジルクスタン全部相手取って勝てる戦力・国力がある証明みたいなものですから
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ジルクスタンは占領されて中華は半分の領土が占領されている
この状況でAEUも潰そうとする
物凄い民主主義教の狂気を感じます
結果的には中東は占領されたままだし、中華とトルコは解放されたけど日本・ブリタニアも攻めきれずで終わったことを考えると、南天の持つ数的パワーは計り知れないものがあるのでしょうね
前世界に17億の狂人共が天使の仮面をかぶって潜んでいる訳ですから
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対中敵国条項があるってことは対欧敵国条項もあったのかな?
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ハニワ一号氏の新しいゲートクロスが楽しみで待機中なのです
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投稿します。
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原作とアニメと史実から推測したオリジナル設定が大分と入っております。
また二二三氏のSSを元に、自分なりの解釈を入れて書いたオリジナルです。
まあ、単なる馬鹿男爵シリーズの一つのお話というだけですけれど(汗。
ローゼンメイデンのネタばかりなので億劫かも知れませんが、しっかり馬鹿男爵のネタも詰めております。
麻生良太郎はご存じの方はご存じのムダヅモ無き改革のキャラがモデルです。
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神聖ブリタニア帝国ローゼンクロイツ伯爵家は、上位伯爵家であり、広大な領地と人口、そして軍事力を持つ恐るべき貴族の一家である。
ブリタニアの階級制度は、平民から皇帝まで、全13階級に分けられているが、厳密に言えば13階級ではない。
伯爵は伯爵でも、下位、中位、上位と大きく分けて三段階に分かれており、上位伯爵ともなれば更に階級が一つ上の下位の辺境伯とほぼ同等となる。その他、法衣貴族なども多数おり、一概にこれを以て何かとは言えないのだが。
それぞれの貴族はやはり三段階ずつに分かれていると言っても良い為、ブリタニアの階級制度はその実、厳密に言えばだが、三十段階前後存在すると言っても過言では無いのだ。
俗に呼ばれる大諸侯とは上位伯爵家からとなり、中位以下の伯爵家とはその力に大きな差が存在する。下位の貴族の最上位である子爵家と、上位の貴族である伯爵家との間に存在する絶対的なる壁。
これと同等のものが中位伯爵家と上位伯爵家以上の貴族の間には存在しており、越えられない壁となっている。
そのローゼンクロイツ伯爵家は近傍の貴族家である、シュタットフェルト辺境伯家、ソレイシィ辺境伯家、ヴェルガモン伯爵家、いずれ名だたる大貴族と同様。広大なる領地と精強な騎士団を持つ。その名はブリタニア人なら当然として北側諸国・南側諸国問わず知られている。
北ブリタニア大陸中南部に位置する ローゼンクロイツ伯爵家の詳細は。
領地面積:約145743km²
陸地面積:約144700km²。
水域面積:約1041km²
総人口:630万人
東西の幅:320㎞
南北の長さ:500㎞
最高標高:509m
平均標高:340m
最低標高:146m
領都:アイオワシティ
陸上騎士団:5万人
天空騎士団:1万2千人
水上騎士団:僅か
第5世代機:グロースター
第7世代機:ヴィンセント
となっており、数値で見てもわかる通りの、押しも押されぬ大貴族。
勘違いした田舎者 良太郎とシンクの穏やかなひととき
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そのローゼンクロイツ伯爵家は、大貴族にして大家族でもあった。
腰まで届く銀色の長い髪にルビー色の美しい瞳を持ち、黒いドレスに身を包んだ、妖しい美を持つ、長女スイギントウ。
ロールヘアーにされた緑色の髪に、緑色の瞳、黄色いドレスに身を包む次女、カナリア。
身の丈よりも長い栗色の髪を二つに分けたロールヘアー、右の瞳が赤、左の瞳が緑のオッドアイを持ち、緑色のドレスに身を包む三女、スイセイセキ。
栗色の短い髪に黒い帽子を乗せ、深い蒼色の男性用の衣服に身を包む、右の瞳が緑、左の瞳が赤のオッドアイを持つスイセイセキの双子の妹、四女、ソウセイセキ。
身の丈よりも長い金色に輝く髪を、細く黒いリボンで左右側頭部高くに結び、赤いヘッドドレスと赤いドレスをいつも着こなす、全てを見通すような深い青色の瞳を持つ五女、シンク。
肩までのセミロングの金髪を幾つかのロールヘアーに分け、薄桃色の大きなリボンを頭に結び、白桃色のドレスに身を包んだ緑の双眸を持つ六女、ヒナイチゴ。
雪のように白く美しい、膝下にまで届くウェーブヘアーに整えた、右目に白い薔薇の眼帯を付け、白いドレスに身を包んだ、金色の瞳を持つ七女、キラキショウ。
少し暗めの膝下にまで届く銀色の長い髪を持ち、左目に紫色の薔薇の眼帯を付け、紫色のドレスに身を包んだ、金色の瞳を持つ八女、バラスイショウ。
短い黒髪に黒い瞳、眼鏡を掛け、青の紳士服に身を包んだ一見日本人に見まごうかという風貌を持つ末弟、ジュン。
まるで五女シンクと生き写しのような容姿、髪の長さ、髪型を持つ、シンクと同じ赤薔薇のドレスに身を包んだ、ローゼンクロイツ伯爵夫人、アリス・ローゼンクロイツ。
そして明るい金髪に白の紳士服に身を包んだ、二十代前半の風貌を持つ美青年、当主ローゼンクロイツ伯爵。
他にもう一人、年中北側の世界中を旅している、八女バラスイショウの本当の父親で、ローゼンクロイツ伯爵とよく似た風貌を持つ、伯爵の実弟エンジュ・ローゼンクロイツ。
-
皇室ほどではなくとも、日本基準で見ると充分すぎるほどの大所帯を持つローゼンクロイツ伯爵家は、その五女が盟邦大日本帝国のある人物の元に嫁いでおり、先日、その人物の留守中に、ある事件が起きた。
ブリタニア帝国の男爵家を名乗る輩が、不敬にも夫を持つ身で有り、遙か高みにある上位伯爵家ローゼンクロイツの五女、シンクを、自らの交遊に誘ったのである。
遊びに誘っただけ? とんでもない話しだ。たかが一男爵家、それも下位か中位に位置するだろう男爵家の当主を名乗る男が、神聖ブリタニア帝国の貴族として、本来識っておかなければならないはずの、ローゼンクロイツという大諸侯の息女の名も、顔も、識らずに、自らの遊びに誘ったのだ。
当然ながらこれは不敬罪に相当する。シンク嬢が無礼討ちとすると決めたのならば即座に無礼討ちとされる対象。だが、起きた場所は大日本帝国。
家族同然の盟邦とも例えられる同盟国同士なれど、法の違いは存在する。大日本帝国には大日本帝国の法が有り、ブリタニアの貴族であっても日本に居る以上はこれに従わなければならない。
つまりシンクと言えども、日本では事件とならない、セクハラなどをされていない以上は検非違使に訴え出たところで意味も無く、無為な行為でしか無い。
これらを承知の上で彼女は誘われて遊んでみた。ブリタニアの貴族たる者、当たり前として持つノブレス・オブリージュをこの男が僅かばかりでも持つのかを、自分でも愚かに思いながらも試してみたのだ。
財産、権力、社会的地位。曲がりなりにも貴族の当主、それらを持つであろう者。平民への接し方は? 領地の運営については? 祖国に対する忠誠心は? いざとなれば領民の為、剣を振えるか?
結果として言えば、全ての面に於いて0点を下回った。この男はブリタニアの貴族として相応しくない。そしてこの男を見つめることで、己が在り方を見つめ直すという事も、意味の無い一夜の遊びに彼女はしていた。
が、この情報は漏れた。彼女が漏らしたのでは無い。この様なくだらないことを一々誰かに吹聴し噂とするような低俗な精神を彼女は持たない。高貴なる者の在り方、誇り高く生きる彼女が、こんな馬鹿との馬鹿な遊戯を口にするなど、自らをおとしめる行為だからだ。
漏れた理由は至極単純なことだった。日本には多くのブリタニア人が遊びに来ている。また、良きにしろ悪しきにしろ、ブリタニア帝国の大貴族であるローゼンクロイツの名は、クルシェフスキーやヴェルガモンといった大諸侯同様、社交界、政財界で知れ渡っている。
彼の男の誘いに応じたのはノブレス・オブリージュとは、を再確認するためだけの、くだらない時間でしか無かったが、そのくだらない時間の最中にあって、多くのブリタニア人また盟邦である日本の方々にも気付かれていたのだ。
即ち、シンク・ローゼンクロイツ様だと。最早論うまでもなく、この情報はブリタニア中、そして日本の上流階級の間で駆け巡った。曰く『一男爵家当主を名乗る輩が不敬にもシンク様を自らの遊びにお誘いした』と。
それが昨今問題になっていたロズベルト男爵家当主のフランク・ロズベルトだと分かるのも早かった。
-
※
「失敗だったかしら?」
豪奢な鏡の前の椅子。どう高く見つもっても中学生に入るか入らないかくらいの少女、否、女性が座り。女性自身の身の丈よりも長い金色の美しい髪を、少し天然パーマの入った七三分けの黒髪の壮年の男に梳かれながら、鏡に写る自分を見ていた。
丁度梳き終わったところで、彼女の頭の左側頭部高く、輝く美しい金の髪を集めながら、持っていた細く黒いリボンで髪を結う男は、女性――シンク・ローゼンクロイツ伯爵令嬢のそんな呟きに、息を吐き出しながら呆れた口調で応じた。
「失敗も何も、お前さんが嵌めた様なもんじゃねェかい……ったく、相手が誰かも知らずに誘った馬鹿男爵が不敬すぎるが、誘われてやったおめェも充分事態を悪化させてやってんだぞ? 件の馬鹿男爵様にとってのな」
宮廷の舞踏会などでは稀に組み合わせとして下級貴族と上級貴族が踊ることもある。その様にならぬよう組み合わせが為されているが、下位貴族にとっては栄誉な事であり、自分を売り込むチャンスでもあるのだ。
あの一夜の遊戯。もしもロズベルト男爵が子爵よりも上位の貴族位があるということを学んでおり、相手がシンク・ローゼンクロイツ伯爵令嬢だと気付いていた上で、『御無礼を承知で』とでも付け加え、自分の遊戯に付き合わせるのでは無く、シンク様のお供をさせてくださいませんかとでも主張していれば、まだ理解も得られたかも知れない。
「リョウタロウ、あなた、不倫を疑わないのね」
シンクは誇らしげながらも、少し不満そうに口を尖らせる。自分が何処かの男と遊びに行っていても心配してくれないのか?
「誰が疑うかよ」
左側頭部の髪を結い終えた男――大日本帝国枢木内閣外務大臣にして裏世界では魔弾の射手と呼ばれる、世界最強を謳われるスナイパー、壮年の面差しを持つ、まだまだ若々しい“青年”麻生良太郎は、シンクの右側の髪の毛を、彼女の右側頭部高くに集め、左と同じく細く黒いリボンを、集めた髪の根元に巻き付け、括り上げ、綺麗に結い上げつつ、言葉を発した。
「おめェが誰よりも高貴な女だって事ァこの俺がよーく知ってるぜ。大方心中ではつまらない男とでも考えてたんだろう? そもそもがお前さんをローゼンクロイツ伯爵令嬢と知らずに誘った木っ端貴族に罪がある。ブリタニアって絶対君主貴族制階級国家ってのはそうなってんだろ? だったら悪いのはそのロズベルトって木っ端貴族であってお前には何も落ち度はねェ」
リボンをキュッと強めに結び、しっかりと結い上げ完成したツインテール。良太郎の手で結われた髪。良太郎は指を入れて撫でおろし、しっかり整えてから二つの髪束を離した。
「さ、完成だ。どうよ? 出来栄えは」
「いつも通りの合格点よリョウタロウ」
自分を鏡に視ながら、自身の赤薔薇の色をしたヘッドドレスを彼から受け取ると、頭に付け、顎下に緑色のリボンで結びつける。
彼女は今一度鏡に写る自分の身体の角度を変えながら、身嗜みを確認すると、すっ、と椅子から立ち上がり、良太郎に手を伸ばした。
「抱っこ、してちょうだい」
「なあ、お嬢様よお。俺、ちょっと疲れてんだよ」
「フフ、なにをおかしなことを。一個戦車大隊を簡単に迷子にして、南天と深い繋がりのあったユーロユニバースの議員を、来たるべき日が来るまでにユーロを白化させないよう三人ほど迷子にしてきただけ、なのでしょう?」
このあり得ない返答に苦虫を潰す良太郎。裏の仕事の話しは妻にしていない。だが、妻シンク・ローゼンクロイツはいつも視てきたかのように言い当てる。その深い青の双眸で、こちらの瞳を見つめながら。
「依頼主はツジ卿、かしら」
「知らねェなあ」
-
ガツンッ。
瞬間、良太郎の脛に迸る激痛。
「痛っでェェ! オメェなにすんだッ!」
すっとぼける良太郎の脛がシンクの爪先に蹴られた。いつものこと、彼が気に入らない回答をしたり行動を取れば、彼女は彼の脛を蹴るのだ。
郷に入りては郷に従えの如く、シンクも日本の麻生の邸宅では靴を脱いでいる、なので家の中での脛蹴りは爪先となってしまうが、それでも充分痛い。
彼女自身の爪先にダメージが来ないよう調整しながらというところが、彼女もまたただ者ではないことを示していた。
「素直に答えないからよ。随分前の私の救出もツジ卿からの依頼だったでしょう? あなたはよくツジ卿の依頼で動いている。違って?」
なんでも言い当ててくる妻。普通の夫なら恐怖を覚えているかもしれない。
「……お前よお、なんでそんな簡単に物事当てられるんだよ」
「深淵にある情報の欠片を集めて形にしていけば答えは出るわ」
「じゃああれかよ。そんな女でも見抜けねえ男爵閣下は大物って事か」
「粗ばかりでしかない馬鹿の考えは見透かせても、理解までは出来ないわ。それもあそこまでの馬鹿となると、何をしたくて何事を行うのか。意味不明ね」
「で、ローゼンクロイツ伯爵には報告すんのか?」
※
ローゼンクロイツ伯爵への報告。重い意味を持つ。
伯爵は自身が手塩に掛けて育てた薔薇達を、無作法者に触られる事を嫌う。舞踏会に参加していた下位の男爵が、長女スイギントウに無遠慮に触れたことがあったが、後日死体で見つかっている。恐らく無礼討ちにされたのだろう。
いつも優しげな微笑みを浮かべている伯爵は、その実とても優しい。領民からも親しみを込めて『ローゼン様』と愛称で呼ばれている。貴族を愛称で呼ぶなど不敬罪で処刑物だが、伯爵は嬉しそうに『いつも我が領の発展のために頑張ってくれてありがとう』と、微笑みを以て返すのだ。
こんな話がある。あるとき、領内視察に赴いていたローゼンクロイツ伯爵の前を子供が通り、SPが気付いていなかったのか、伯爵共々転倒してしまったことがあったそうだ。雨に濡れた街頭。水たまりに落ちた二人。
ずぶ濡れになってしまった伯爵と子供。確実なる無礼討ちとされる所業、だが伯爵は『坊やお家はどこかな? 名前は? 坊やが風邪を引いてしまっては大変だ。直ぐさまお家まで送ってあげよう。すまない君、車を回してくれないかな?』SPの一人に声を掛け、子供を家まで送り届け。なんと子供を転倒させてしまったことに対する謝罪金まで支払ったという。
平民とは大切にするもの。尊きものとして守らなければならないもの。ノブレス・オブリージュの精神を持つアイオワを治める大貴族。ローゼンクロイツ伯爵。その教えは子供達や家臣にも受け継がれており、アイオワはローゼンクロイツ伯爵の邸宅でもある宮殿、薔薇の荘園を中心に発展の限りを尽くしている。
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ガツンッ。
瞬間、良太郎の脛に迸る激痛。
「痛っでェェ! オメェなにすんだッ!」
すっとぼける良太郎の脛がシンクの爪先に蹴られた。いつものこと、彼が気に入らない回答をしたり行動を取れば、彼女は彼の脛を蹴るのだ。
郷に入りては郷に従えの如く、シンクも日本の麻生の邸宅では靴を脱いでいる、なので家の中での脛蹴りは爪先となってしまうが、それでも充分痛い。
彼女自身の爪先にダメージが来ないよう調整しながらというところが、彼女もまたただ者ではないことを示していた。
「素直に答えないからよ。随分前の私の救出もツジ卿からの依頼だったでしょう? あなたはよくツジ卿の依頼で動いている。違って?」
なんでも言い当ててくる妻。普通の夫なら恐怖を覚えているかもしれない。
「……お前よお、なんでそんな簡単に物事当てられるんだよ」
「深淵にある情報の欠片を集めて形にしていけば答えは出るわ」
「じゃああれかよ。そんな女でも見抜けねえ男爵閣下は大物って事か」
「粗ばかりでしかない馬鹿の考えは見透かせても、理解までは出来ないわ。それもあそこまでの馬鹿となると、何をしたくて何事を行うのか。意味不明ね」
「で、ローゼンクロイツ伯爵には報告すんのか?」
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ローゼンクロイツ伯爵への報告。重い意味を持つ。
伯爵は自身が手塩に掛けて育てた薔薇達を、無作法者に触られる事を嫌う。舞踏会に参加していた下位の男爵が、長女スイギントウに無遠慮に触れたことがあったが、後日死体で見つかっている。恐らく無礼討ちにされたのだろう。
いつも優しげな微笑みを浮かべている伯爵は、その実とても優しい。領民からも親しみを込めて『ローゼン様』と愛称で呼ばれている。貴族を愛称で呼ぶなど不敬罪で処刑物だが、伯爵は嬉しそうに『いつも我が領の発展のために頑張ってくれてありがとう』と、微笑みを以て返すのだ。
こんな話がある。あるとき、領内視察に赴いていたローゼンクロイツ伯爵の前を子供が通り、SPが気付いていなかったのか、伯爵共々転倒してしまったことがあったそうだ。雨に濡れた街頭。水たまりに落ちた二人。
ずぶ濡れになってしまった伯爵と子供。確実なる無礼討ちとされる所業、だが伯爵は『坊やお家はどこかな? 名前は? 坊やが風邪を引いてしまっては大変だ。直ぐさまお家まで送ってあげよう。すまない君、車を回してくれないかな?』SPの一人に声を掛け、子供を家まで送り届け。なんと子供を転倒させてしまったことに対する謝罪金まで支払ったという。
平民とは大切にするもの。尊きものとして守らなければならないもの。ノブレス・オブリージュの精神を持つアイオワを治める大貴族。ローゼンクロイツ伯爵。その教えは子供達や家臣にも受け継がれており、アイオワはローゼンクロイツ伯爵の邸宅でもある宮殿、薔薇の荘園を中心に発展の限りを尽くしている。
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また別の話がある。ローゼンクロイツ伯爵の奥方。シンクと鏡合わせの様に瓜二つなアリス・ローゼンクロイツは、シンクと同じく赤薔薇に例えられるが、この赤薔薇はローゼンクロイツ伯爵にも例えられることがある。優雅なる赤薔薇と、そして鮮血の赤薔薇だ。
かつて大貴族連合という皇室を打ち倒し、新たなるブリタニアを作ろうと目論んだ、ノブレス・オブリージュの精神を忘れた愚かな貴族の集団があった。南天と繋がりを持ち、南天の支援を受け、その教えに染まり掛けていた彼らが各地で反旗の声を上げた際、アイオワ周辺の大貴族連合に参加した貴族は、悉く打ち倒されてしまったという。ナイトオブラウンズではなく、たった二人の貴族によって。それがローゼンクロイツ伯爵と、その妻アリス・ローゼンクロイツ伯爵夫人だったというのだ。
つまり、個人戦闘力が抜きん出ている事を示しており、良太郎も初めて顔合わせをしたとき『二人同時に来られると厄介だな』と、裏世界最強の男が考える程の、静謐なる波を感じたくらいに、強いことが分かっている。
ただ、その人柄は気持ちいいくらいに気持ち良かった。一点、愛する薔薇についてを除いて。
『アソウさん、いや、リョウタロウくん。君に一つだけ約束して貰いたいことがある』
『なんですかい?』
『僕の大切な小さな赤薔薇を、君以外の男がみだりに、ましてや悪意と欲望に満ちた男に触れるさせるようなことの無きように願いたい。あの子が自ら望んでいれば良いんだけれど。誇り高いあの子はその様な汚辱を受けるくらいならば相手を誅殺するだろう。適わぬならば自らで自らを枯らしてしまう。そんな誇り高い子だ。この約束を違えたとき、僕は君を討ち取りに向かう、たとえ力及ばず適わずとも。……僕の小さな赤薔薇を守ってくれるかな?』
『そんな大切な薔薇を俺みたいな死臭を漂わせている男に預けてもいいんですかい?』
『むしろ、君以外に預けようとは思わない。どうだろう。僕との約束を守り僕の小さな赤薔薇を受け取ってくれるかな?』
『Yes,My、Lord.──って言ってやりてえところだが、伯爵閣下、お前さんは俺の上司じゃねェ。だから――』
――俺が言えるのはYesまでだ。守るぜ、アンタがどうこうじゃねえ。俺の愛する赤い薔薇を、この“魔弾の射手”の名にかけて、な。
『ありがとうリョウタロウくん。それと、僕の事はローゼンと呼んで欲しい、呼び捨てでも構わないよ』
『ははッ、こらまた冗談の上手い御方だな。分かったぜローゼン。それとこちらからもよろしく頼まァ、親義父殿』
※
シンクとの結婚の裏話を思い出していた良太郎を、ふと現実へと引き戻したのもシンクだった、
「報告? するまでもなくお父様のお耳に入るわ。お父様がどうなさるかまではピースが揃わない以上分からないけれど。既にクルシェフスキー侯爵家、シュタットフェルト辺境伯家、ソレイシィ辺境伯家、ヴェルガモン伯爵家、シュタイナーコンツェルン、そしてうち、六家へ不敬を働いたロズベルト男爵家は、ブリタニアの法に照らし合わせるのなら……極刑を通り越して、族滅対象ね」
「相変わらず階級関係ではおっかねえな、おめェのところの国は。うちも階級国家と言ァ、階級国家だが、もちっと緩やかだぜ。ところで……お前、馬鹿男爵に触られてねェだろうな?」
触られていたら伯爵が何かをするまでも無い。この手で始末する。そのくらい良太郎も妻シンクを愛しているし、妻のことを伯爵から呉々も頼んだよと任されている。愛情と責任と両方があるのだ。
「フフ、その時は触られる前に私がこの手で制圧するわ。けれど、あの男、私の髪や身体に何度も触れようとしてきたわね。レディの身体に対し、無遠慮に触れようとする。それ事態が貴族の紳士としてマナー違反。もしも触れていたらステッキで喉を突き潰していたところよ」
「はあ、お前も充分怖い女だぜったく」
そう、かく言うシンクとて素人では無い。武芸全般達人の域にある。薔薇は美しく可憐で誇り高いが、全身に棘を持つ。フランク・ロズベルト如きがシンクに触れる事など、端から不可能な事なのだ。
しかし、矢継ぎ早な良太郎からの質問に、愛情を感じたシンクは、白い頬を薔薇色に染めていた。赤薔薇の名にふさわしく赤い色に。
「リョウタロウ、抱っこ」
再度の彼女からの命令。僕は従わなければならないようだと、自身に伸ばされている手の間に入り、彼女の身体を優しく静かに持ち上げ、左腕に乗せる。如何に彼女が、中学生手前ほどの小柄な体躯をしているとはいえ、人一人を左腕だけで抱えられる力を持つ良太郎は常人では無いだろう。
-
「んで、何処行くんだお嬢様?」
「まずは朝食。それから帝都の散策」
「またかよ」
「大日本帝国の帝都は広いもの。幾ら散策をしても物足りないくらいよ。同じ場所を次に通れば何かが変わり、また別の場所に行けば新しい何かの出会いがある。それはとても素晴らしいこと」
この二人は良く出かけている。一方は裏世界の人間として動くことが多く。そして同時に表では外務大臣として忙しく。一方は日本とブリタニアを行き来し、あらゆる物を視、聞きながら深淵にて紡ぐ欠片を集める。
揃って出かけることも多い仲睦まじい夫婦。それが麻生良太郎とシンク・ローゼンクロイツの在り方。
「或いは……ロズベルト男爵領を見に行くのも良いかもしれないわ。いったい領民達はどの様な暮らしをしているのか? 家臣団は領民にとりどの様な存在なのか? フランク・ロズベルトは租税をどの様に扱っているのか」
「おいおい勘弁してくれよ。ブリタニアの何処なんだよその男爵様の領地は? 大体おめェみてェな大貴族が調査することじゃねェだろうがそんなもん」
それはそうだろう。シンクの様な上位伯爵家の御令嬢が態々赴くようなことでは無い。聞くところによればロズベルト男爵家とはカンザスの何処かの10㎢の小さな領地だという。その地方の管轄の役人がいるだろう。そこら辺りの仕事だ。
シンクみたいな大貴族が行こうとすれば確実に情報が流れる。アイオワとカンザスは近い上にアイオワを治めているローゼンクロイツ家と、カンザスを収めている各諸侯にも交遊はある。
ローゼンクロイツ家の令嬢がカンザスに訪れると知られれば、まずはカンザスの最も上位の領主のところへと挨拶へ行くことと成り、その後目的を告げるとローゼンクロイツ家の御令嬢をその様な場所へ行かせるわけには参りません。となる。
当たり前だ。カンザスは中小の諸侯が集まって構成されており、最高でも下位伯爵家までしかいない。厳密には違うのだが、場所柄五大湖諸侯の一家に数えられるローゼンクロイツ。五大湖諸侯はヴェルガモンを中心に大諸侯が集中している。
その五大湖諸侯に数えられる上位伯爵家たるシンクが乗り込むのだ。自由に動こうにも『シンク様には相応しくありませんので』の連続で禄に動けやしないだろう。
「身分を偽って騎士爵か男爵かで向かえば良いのではないかしら? クロイツ男爵家とかどう? その為の身分証も作って」
-
「お前、うちの国の時代劇にでも嵌まってんじゃねえのかい?」
あれは架空の話しだ。シンクほど位の高い貴族ならば確かに可能なことだが。
「俺もついて行くことなるから騒ぎが大きくなっちまうぜ……裏の顔で行きゃあ問題ねェがな。まあそれ以前としてローゼンクロイツの子、クルシェフスキー、ヴェルガモン、シュタットフェルト、ソレイシィの子が始末をつける可能性が高ェ。お前みたいな大物の出る幕はねェかもしれんぜ」
シンクを座布団に座らせると。
「ん――」
軽く朝の口付けを交わす。直ぐに離れる唇はだが、互いの温もりを残しており、シンクの瞳に潤いを。良太郎の顔に恥ずかしさを反映させた。
硬派で不良な良太郎の柄では無いのだ。
「フフ、いつも嬉しいわ……リョウタロウ。愛情表現は夫婦として最も大切な事だもの」
誇り高き赤薔薇が素直になる貴重な瞬間だろう。本当は彼女もこの手の事柄は苦手な方なのだから。
「ま、な、夫婦、だからな。俺だってちったあそういう空気も読むぜ」
「そう、じゃあ愛の朝食は花丸ハンバーグが食べたいわ」
またシンクが無茶を言い出す。実を言うと良太郎は花丸ハンバーグを作れるが、こんな朝にいきなり言われて材料も無い。
なにより。
「お前さんよう、今年で幾つよ? 二十代後半にもなって花丸ハンバーグはねェだろ」
「甘いわね。好きな物に歳は関係ないのよ。私があなたに葉巻をやめなさいと言っても聞かないのと同じよ」
「俺のは大人の嗜好品だ。一緒にするない……ま、花丸ハンバーグじゃねェが、メシ作るから待っててくれや」
「仕方のない僕ね。まあいいわ。楽しみにしてるわ」
-
>>811二二三様
マリーはいつも大好きな兄さまが気になるので、年上美女がたくさん入団してきた現在気が気でない部分があります。
現時点での最大数は。
KMF:3000騎
戦車:700両
装甲車:1500両
作戦車両:3000両
航空機:120機
が、仮の戦力ですが、問題なしならこれで行こうかと。
当然ですが海上戦力も持っております。
まさかの強襲揚陸艦も。
玉城くん人形はマリーの愛が募るほどに増えていきます。
日本国召喚クロスの方は日本軍だけでなく、各国が対南天で超軍拡をしていた時期なのでインフレを起こしております。いずれ夢幻会が介入に入ります。
パーパルディア皇国は皇都は景観保存の方向で動きそうですので他の地方自治都市にビル街が出来ていくことになるでしょう。
次の北側諸国会議、欧州諸国全部来く方向で調整中ですね。レミールはここで対ロウリアの方針の明確化を宣言する予定です。
>>813トゥ!ヘァ!スマホ様
グリンダ騎士団は巨大化の一途をたどっています。なにせ敵が超巨大なので……。
玉城は根は真っ当ですね。普段はいい加減ですが。
>>815ハニワ一号様
グリンダ騎士団は原作とは比べ物にならない巨大な軍となってきましたが、まだまだ足りません。まだまだ成長予定です。
ハニワ一号様考案中のゲートのクロスSSは私も楽しみです、いつまでもお待ちしておりますのでハニワ一号様のペースで進めていってください。
-
以上です。
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乙です。シンク嬢が馬鹿男爵量に行くのか?! カンザスの中小諸侯が大恐慌になりそう。
ローゼンクロイツ伯爵家の御令嬢がカンザスにやってくると聞きつけた貴族たちが思い切り媚を売りに来て進めないんじゃ。
それにしても良太郎と仲いいな主人と家来な関係なのに、ここぞという時には夫婦になってる。
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乙です。
すでに壊滅したみたいですが大貴族連合は南天と繋がっていましたか。
アイオワ周辺の大貴族連合をたった二人の貴族が壊滅させるとかローゼンクロイツ伯爵夫妻はとんでもないお人ですね。
>>848
完成するのはいつになるかわかりませんが現在、ゲートのクロスSSはコツコツと作成中です。
-
見落としてました。
大貴族連合って南天と繋がっていたんですね。
これまでの話から見て良太郎くんはラウンズ超え。
ローゼンクロイツ夫妻はラウンズ級の実力がありそうですね。
-
乙です
ブリタニア版水戸黄門かな?w
ローゼンクロイツ家。大分大家族ですね。
これだけ大家族だと中央で出世している子も結構いそうですわ。
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昨日の投稿ミスが出ていたので申し訳ありませんンが投稿しなおします。
加筆版なので文章量が若干増えております。
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原作とアニメと史実から推測したオリジナル設定が大分と入っております。
また二二三氏のSSを元に、自分なりの解釈を入れて書いたオリジナルです。
まあ、単なる馬鹿男爵シリーズの一つのお話というだけですけれど(汗。
ローゼンメイデンのネタばかりなので億劫かも知れませんが、しっかり馬鹿男爵のネタも詰めております。
-
神聖ブリタニア帝国ローゼンクロイツ伯爵家は、上位伯爵家であり、広大な領地と人口、そして軍事力を持つ恐るべき貴族の一家である。
ブリタニアの階級制度は、平民から皇帝まで、全13階級に分けられているが、厳密に言えば13階級ではない。
伯爵は伯爵でも、下位、中位、上位と大きく分けて三段階に分かれており、上位伯爵ともなれば更に階級が一つ上の下位の辺境伯とほぼ同等となる。その他、法衣貴族なども多数おり、一概にこれを以て何かとは言えないのだが。
それぞれの貴族はやはり三段階ずつに分かれていると言っても良い為、ブリタニアの階級制度はその実、厳密に言えばだが、三十段階前後存在すると言っても過言では無いのだ。
俗に呼ばれる大諸侯とは上位伯爵家からとなり、中位以下の伯爵家とはその力に大きな差が存在する。下位の貴族の最上位である子爵家と、上位の貴族である伯爵家との間に存在する絶対的なる壁。
これと同等のものが中位伯爵家と上位伯爵家以上の貴族の間には存在しており、越えられない壁となっている。
そのローゼンクロイツ伯爵家は近傍の貴族家である、シュタットフェルト辺境伯家、ソレイシィ辺境伯家、ヴェルガモン伯爵家、いずれ名だたる大貴族と同様。広大なる領地と精強な騎士団を持つ。その名はブリタニア人なら当然として北側諸国・南側諸国問わず知られている。
北ブリタニア大陸中南部に位置する ローゼンクロイツ伯爵家の詳細は。
領地面積:約145743km²
陸地面積:約144700km²。
水域面積:約1041km²
総人口:630万人
東西の幅:320㎞
南北の長さ:500㎞
最高標高:509m
平均標高:340m
最低標高:146m
領都:アイオワシティ
陸上騎士団:5万人
天空騎士団:1万2千人
水上騎士団:僅か
第5世代機:グロースター
第7世代機:ヴィンセント
となっており、数値で見てもわかる通りの、押しも押されぬ大貴族。
-
勘違いした田舎者 良太郎とシンクの穏やかなひととき
そのローゼンクロイツ伯爵家は、大貴族にして大家族でもあった。
腰まで届く銀色の長い髪にルビー色の美しい瞳を持ち、黒いドレスに身を包んだ、妖しい美を持つ、長女スイギントウ。
ロールヘアーにされた緑色の髪に、緑色の瞳、黄色いドレスに身を包む次女、カナリア。
身の丈よりも長い栗色の髪を二つに分けたロールヘアー、右の瞳が赤、左の瞳が緑のオッドアイを持ち、緑色のドレスに身を包む三女、スイセイセキ。
栗色の短い髪に黒い帽子を乗せ、深い蒼色の男性用の衣服に身を包む、右の瞳が緑、左の瞳が赤のオッドアイを持つスイセイセキの双子の妹、四女、ソウセイセキ。
身の丈よりも長い金色に輝く髪を、細く黒いリボンで左右側頭部高くに結び、赤いヘッドドレスと赤いドレスをいつも着こなす、全てを見通すような深い青色の瞳を持つ五女、シンク。
肩までのセミロングの金髪を幾つかのロールヘアーに分け、薄桃色の大きなリボンを頭に結び、白桃色のドレスに身を包んだ緑の双眸を持つ六女、ヒナイチゴ。
雪のように白く美しい、膝下にまで届くウェーブヘアーに整えた、右目に白い薔薇の眼帯を付け、白いドレスに身を包んだ、金色の瞳を持つ七女、キラキショウ。
少し暗めの膝下にまで届く銀色の長い髪を持ち、左目に紫色の薔薇の眼帯を付け、紫色のドレスに身を包んだ、金色の瞳を持つ八女、バラスイショウ。
短い黒髪に黒い瞳、眼鏡を掛け、青の紳士服に身を包んだ一見日本人に見まごうかという風貌を持つ末弟、ジュン。
まるで五女シンクと生き写しのような容姿、髪の長さ、髪型を持つ、シンクと同じ赤薔薇のドレスに身を包んだ、ローゼンクロイツ伯爵夫人、アリス・ローゼンクロイツ。
そして明るい金髪に白の紳士服に身を包んだ、二十代前半の風貌を持つ美青年、当主ローゼンクロイツ伯爵。
他にもう一人、年中北側の世界中を旅している、八女バラスイショウの本当の父親で、ローゼンクロイツ伯爵とよく似た風貌を持つ、伯爵の実弟エンジュ・ローゼンクロイツ。
皇室ほどではなくとも、日本基準で見ると充分すぎるほどの大所帯を持つローゼンクロイツ伯爵家は、その五女が盟邦大日本帝国のある人物の元に嫁いでおり、先日、その人物の留守中に、ある事件が起きた。
ブリタニア帝国の男爵家を名乗る輩が、不敬にも夫を持つ身で有り、遙か高みにある上位伯爵家ローゼンクロイツの五女、シンクを、自らの交遊に誘ったのである。
遊びに誘っただけ? とんでもない話しだ。たかが一男爵家、それも下位か中位に位置するだろう男爵家の当主を名乗る男が、神聖ブリタニア帝国の貴族として、本来識っておかなければならないはずの、ローゼンクロイツという大諸侯の息女の名も、顔も、識らずに、自らの遊びに誘ったのだ。
当然ながらこれは不敬罪に相当する。シンク嬢が無礼討ちとすると決めたのならば即座に無礼討ちとされる対象。だが、起きた場所は大日本帝国。
家族同然の盟邦とも例えられる同盟国同士なれど、法の違いは存在する。大日本帝国には大日本帝国の法が有り、ブリタニアの貴族であっても日本に居る以上はこれに従わなければならない。
つまりシンクと言えども、日本では事件とならない、セクハラなどをされていない以上は検非違使に訴え出たところで意味も無く、無為な行為でしか無い。
これらを承知の上で彼女は誘われて遊んでみた。ブリタニアの貴族たる者、当たり前として持つノブレス・オブリージュをこの男が僅かばかりでも持つのかを、自分でも愚かに思いながらも試してみたのだ。
財産、権力、社会的地位。曲がりなりにも貴族の当主、それらを持つであろう者。平民への接し方は? 領地の運営については? 祖国に対する忠誠心は? いざとなれば領民の為、剣を振えるか?
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結果として言えば、全ての面に於いて0点を下回った。この男はブリタニアの貴族として相応しくない。そしてこの男を見つめることで、己が在り方を見つめ直すという事も、意味の無い一夜の遊びに彼女はしていた。
が、この情報は漏れた。彼女が漏らしたのでは無い。この様なくだらないことを一々誰かに吹聴し噂とするような低俗な精神を彼女は持たない。高貴なる者の在り方、誇り高く生きる彼女が、こんな馬鹿との馬鹿な遊戯を口にするなど、自らをおとしめる行為だからだ。
漏れた理由は至極単純なことだった。日本には多くのブリタニア人が遊びに来ている。また、良きにしろ悪しきにしろ、ブリタニア帝国の大貴族であるローゼンクロイツの名は、クルシェフスキーやヴェルガモンといった大諸侯同様、社交界、政財界で知れ渡っている。
彼の男の誘いに応じたのはノブレス・オブリージュとは、を再確認するためだけの、くだらない時間でしか無かったが、そのくだらない時間の最中にあって、多くのブリタニア人また盟邦である日本の方々にも気付かれていたのだ。
即ち、シンク・ローゼンクロイツ様だと。最早論うまでもなく、この情報はブリタニア中、そして日本の上流階級の間で駆け巡った。曰く『一男爵家当主を名乗る輩が不敬にもシンク様を自らの遊びにお誘いした』と。
それが昨今問題になっていたロズベルト男爵家当主のフランク・ロズベルトだと分かるのも早かった。
※
「失敗だったかしら?」
豪奢な鏡の前の椅子。どう高く見つもっても中学生に入るか入らないかくらいの少女、否、女性が座り。女性自身の身の丈よりも長い金色の美しい髪を、少し天然パーマの入った七三分けの黒髪の壮年の男に梳かれながら、鏡に写る自分を見ていた。
丁度梳き終わったところで、彼女の頭の左側頭部高く、輝く美しい金の髪を集めながら、持っていた細く黒いリボンで髪を結う男は、女性――シンク・ローゼンクロイツ伯爵令嬢のそんな呟きに、息を吐き出しながら呆れた口調で応じた。
「失敗も何も、お前さんが嵌めた様なもんじゃねェかい……ったく、相手が誰かも知らずに誘った馬鹿男爵が不敬すぎるが、誘われてやったおめェも充分事態を悪化させてやってんだぞ? 件の馬鹿男爵様にとってのな」
宮廷の舞踏会などでは稀に組み合わせとして下級貴族と上級貴族が踊ることもある。その様にならぬよう組み合わせが為されているが、下位貴族にとっては栄誉な事であり、自分を売り込むチャンスでもあるのだ。
あの一夜の遊戯。もしもロズベルト男爵が子爵よりも上位の貴族位があるということを学んでおり、相手がシンク・ローゼンクロイツ伯爵令嬢だと気付いていた上で、『御無礼を承知で』とでも付け加え、自分の遊戯に付き合わせるのでは無く、シンク様のお供をさせてくださいませんかとでも主張していれば、まだ理解も得られたかも知れない。
「リョウタロウ、あなた、不倫を疑わないのね」
シンクは誇らしげながらも、少し不満そうに口を尖らせる。自分が何処かの男と遊びに行っていても心配してくれないのか?
「誰が疑うかよ」
左側頭部の髪を結い終えた男――大日本帝国枢木内閣外務大臣にして裏世界では魔弾の射手と呼ばれる、世界最強を謳われるスナイパー、壮年の面差しを持つ、まだまだ若々しい“青年”麻生良太郎は、シンクの右側の髪の毛を、彼女の右側頭部高くに集め、左と同じく細く黒いリボンを、集めた髪の根元に巻き付け、括り上げ、綺麗に結い上げつつ、言葉を発した。
「おめェが誰よりも高貴な女だって事ァこの俺がよーく知ってるぜ。大方心中ではつまらない男とでも考えてたんだろう? そもそもがお前さんをローゼンクロイツ伯爵令嬢と知らずに誘った木っ端貴族に罪がある。ブリタニアって絶対君主貴族制階級国家ってのはそうなってんだろ? だったら悪いのはそのロズベルトって木っ端貴族であってお前には何も落ち度はねェ」
リボンをキュッと強めに結び、しっかりと結い上げ完成したツインテール。良太郎の手で結われた髪。良太郎は指を入れて撫でおろし、しっかり整えてから二つの髪束を離した。
「さ、完成だ。どうよ? 出来栄えは」
「いつも通りの合格点よリョウタロウ」
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自分を鏡に視ながら、自身の赤薔薇の色をしたヘッドドレスを彼から受け取ると、頭に付け、顎下に緑色のリボンで結びつける。
彼女は今一度鏡に写る自分の身体の角度を変えながら、身嗜みを確認すると、すっ、と椅子から立ち上がり、良太郎に手を伸ばした。
「抱っこ、してちょうだい」
「なあ、お嬢様よお。俺、ちょっと疲れてんだよ」
「フフ、なにをおかしなことを。一個戦車大隊を簡単に迷子にして、南天と深い繋がりのあったユーロユニバースの議員を、来たるべき日が来るまでにユーロを白化させないよう三人ほど迷子にしてきただけ、なのでしょう?」
このあり得ない返答に苦虫を潰す良太郎。裏の仕事の話しは妻にしていない。だが、妻シンク・ローゼンクロイツはいつも視てきたかのように言い当てる。その深い青の双眸で、こちらの瞳を見つめながら。
「依頼主はツジ卿、かしら」
「知らねェなあ」
ガツンッ。
瞬間、良太郎の脛に迸る激痛。
「痛っでェェ! オメェなにすんだッ!」
すっとぼける良太郎の脛がシンクの爪先に蹴られた。いつものこと、彼が気に入らない回答をしたり行動を取れば、彼女は彼の脛を蹴るのだ。
郷に入りては郷に従えの如く、シンクも日本の麻生の邸宅では靴を脱いでいる、なので家の中での脛蹴りは爪先となってしまうが、それでも充分痛い。
彼女自身の爪先にダメージが来ないよう調整しながらというところが、彼女もまたただ者ではないことを示していた。
「素直に答えないからよ。随分前の私の救出もツジ卿からの依頼だったでしょう? あなたはよくツジ卿の依頼で動いている。違って?」
なんでも言い当ててくる妻。普通の夫なら恐怖を覚えているかもしれない。
「……お前よお、なんでそんな簡単に物事当てられるんだよ」
「深淵にある情報の欠片を集めて形にしていけば答えは出るわ」
「じゃああれかよ。そんな女でも見抜けねえ男爵閣下は大物って事か」
「粗ばかりでしかない馬鹿の考えは見透かせても、理解までは出来ないわ。それもあそこまでの馬鹿となると、何をしたくて何事を行うのか。意味不明ね」
「で、ローゼンクロイツ伯爵には報告すんのか?」
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※
ローゼンクロイツ伯爵への報告。重い意味を持つ。
伯爵は自身が手塩に掛けて育てた薔薇達を、無作法者に触られる事を嫌う。舞踏会に参加していた下位の男爵が、長女スイギントウに無遠慮に触れたことがあったが、後日死体で見つかっている。恐らく無礼討ちにされたのだろう。
いつも優しげな微笑みを浮かべている伯爵は、その実とても優しい。領民からも親しみを込めて『ローゼン様』と愛称で呼ばれている。貴族を愛称で呼ぶなど不敬罪で処刑物だが、伯爵は嬉しそうに『いつも我が領の発展のために頑張ってくれてありがとう』と、微笑みを以て返すのだ。
こんな話がある。あるとき、領内視察に赴いていたローゼンクロイツ伯爵の前を子供が通り、SPが気付いていなかったのか、伯爵共々転倒してしまったことがあったそうだ。雨に濡れた街頭。水たまりに落ちた二人。
ずぶ濡れになってしまった伯爵と子供。確実なる無礼討ちとされる所業、だが伯爵は『坊やお家はどこかな? 名前は? 坊やが風邪を引いてしまっては大変だ。直ぐさまお家まで送ってあげよう。すまない君、車を回してくれないかな?』SPの一人に声を掛け、子供を家まで送り届け。なんと子供を転倒させてしまったことに対する謝罪金まで支払ったという。
平民とは大切にするもの。尊きものとして守らなければならないもの。ノブレス・オブリージュの精神を持つアイオワを治める大貴族。ローゼンクロイツ伯爵。その教えは子供達や家臣にも受け継がれており、アイオワはローゼンクロイツ伯爵の邸宅でもある宮殿、薔薇の荘園を中心に発展の限りを尽くしている。
また別の話がある。ローゼンクロイツ伯爵の奥方。シンクと鏡合わせの様に瓜二つなアリス・ローゼンクロイツは、シンクと同じく赤薔薇に例えられるが、この赤薔薇はローゼンクロイツ伯爵にも例えられることがある。優雅なる赤薔薇と、そして鮮血の赤薔薇だ。
かつて大貴族連合という皇室を打ち倒し、新たなるブリタニアを作ろうと目論んだ、ノブレス・オブリージュの精神を忘れた愚かな貴族の集団があった。南天と繋がりを持ち、南天の支援を受け、その教えに染まり掛けていた彼らが各地で反旗の声を上げた際、アイオワ周辺の大貴族連合に参加した貴族は、悉く打ち倒されてしまったという。ナイトオブラウンズではなく、たった二人の貴族によって。それがローゼンクロイツ伯爵と、その妻アリス・ローゼンクロイツ伯爵夫人だったというのだ。
この勲功により元々ローゼンクロイツ家はかなり大きな貴族としてアイオワに領地を構えていたが、アイオワ全土を所領として与えられている。皇帝シャルル・ジ・ブリタニアからは空席のナイトオブラウンズとして仕えぬかというお言葉を賜ったが、私どもには守るべき領民、そして子供達がおります、どうかこのお話はと辞退させて戴いたという話しだ。その変わりとしてシャルルが大貴族連合に参加した愚かな貴族達の所領を全て、ローゼンクロイツ領に併呑させ、同時に伯爵位としての区分を上位に引き上げたのだという。
つまり、ラウンズとして召し抱えられようとしていたほどに個人戦闘力が抜きん出ている事を示しており、良太郎も初めて顔合わせをしたとき『二人同時に来られると厄介だな』と、裏世界最強の男が考える程の、静謐なる波を感じたくらいに、強いことが分かっている。
ただ、その人柄は気持ちいいくらいに気持ち良かった。一点、愛する薔薇についてを除いて。
『アソウさん、いや、リョウタロウくん。君に一つだけ約束して貰いたいことがある』
『なんですかい?』
『僕の大切な小さな赤薔薇を、君以外の男がみだりに、ましてや悪意と欲望に満ちた男に触れるさせるようなことの無きように願いたい。あの子が自ら望んでいれば良いんだけれど。誇り高いあの子はその様な汚辱を受けるくらいならば相手を誅殺するだろう。適わぬならば自らで自らを枯らしてしまう。そんな誇り高い子だ。この約束を違えたとき、僕は君を討ち取りに向かう、たとえ力及ばず適わずとも。……僕の小さな赤薔薇を守ってくれるかな?』
『そんな大切な薔薇を俺みたいな死臭を漂わせている男に預けてもいいんですかい?』
『むしろ、君以外に預けようとは思わない。どうだろう。僕との約束を守り僕の小さな赤薔薇を受け取ってくれるかな?』
『Yes,My、Lord.──って言ってやりてえところだが、伯爵閣下、お前さんは俺の上司じゃねェ。あんたも知っての通り、俺の直属の上司は辻のおじき、ああ失礼。大日本帝国財務相辻政信閣下だ。俺に取ってYes,My、Lord.ってのは辻閣下にしか言えない言葉……だから――』
――俺が言えるのはYesまでだ。守るぜ、アンタがどうこうじゃねえ。俺の愛する赤い薔薇を、この“魔弾の射手”の名にかけて、な。
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『ありがとうリョウタロウくん。それと、僕の事はローゼンと呼んで欲しい、呼び捨てでも構わないよ』
『ははッ、こらまた冗談の上手い御方だな。分かったぜローゼン。それとこちらからもよろしく頼まァ、親義父殿』
※
シンクとの結婚の裏話を思い出していた良太郎を、ふと現実へと引き戻したのもシンクだった、
「報告? するまでもなくお父様のお耳に入るわ。お父様がどうなさるかまではピースが揃わない以上分からないけれど。既にクルシェフスキー侯爵家、シュタットフェルト辺境伯家、ソレイシィ辺境伯家、ヴェルガモン伯爵家、シュタイナーコンツェルン、そしてうち、六家へ不敬を働いたロズベルト男爵家は、ブリタニアの法に照らし合わせるのなら……極刑を通り越して、族滅対象ね」
「相変わらず階級関係ではおっかねえな、おめェのところの国は。うちも階級国家と言ァ、階級国家だが、もちっと緩やかだぜ。ところで……お前、馬鹿男爵に触られてねェだろうな?」
触られていたら伯爵が何かをするまでも無い。この手で始末する。そのくらい良太郎も妻シンクを愛しているし、妻のことを伯爵から呉々も頼んだよと任されている。愛情と責任と両方があるのだ。
「フフ、その時は触られる前に私がこの手で制圧するわ。けれど、あの男、私の髪や身体に何度も触れようとしてきたわね。レディの身体に対し、無遠慮に触れようとする。それ事態が貴族の紳士としてマナー違反。もしも触れていたらステッキで喉を突き潰していたところよ」
「はあ、お前も充分怖い女だぜったく」
そう、かく言うシンクとて素人では無い。武芸全般達人の域にある。薔薇は美しく可憐で誇り高いが、全身に棘を持つ。フランク・ロズベルト如きがシンクに触れる事など、端から不可能な事なのだ。
しかし、矢継ぎ早な良太郎からの質問に、愛情を感じたシンクは、白い頬を薔薇色に染めていた。赤薔薇の名にふさわしく赤い色に。
「リョウタロウ、抱っこ」
再度の彼女からの命令。僕は従わなければならないようだと、自身に伸ばされている手の間に入り、彼女の身体を優しく静かに持ち上げ、左腕に乗せる。如何に彼女が、中学生手前ほどの小柄な体躯をしているとはいえ、人一人を左腕だけで軽々と抱え続けられる力を持つ良太郎は常人では無いだろう。
「んで、何処行くんだお嬢様? どこまででもお供致しますぜ」
「じゃあまずは朝食。それから帝都の散策」
「なんだまた帝都の探検またかよ」
「大日本帝国の帝都は広いもの。幾ら散策をしても物足りないくらいよ。同じ場所を次に通れば何かが変わり、また別の場所に行けば新しい何かの出会いがある。それはとても素晴らしいこと」
この二人は良く出かけている。一方は裏世界の人間として動くことが多く。そして同時に表では外務大臣として忙しく。一方は日本とブリタニアを行き来し、あらゆる物を視、聞きながら深淵にて紡ぐ欠片を集める。
揃って出かけることも多い仲睦まじい夫婦。それが麻生良太郎とシンク・ローゼンクロイツの在り方。
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「或いは……ロズベルト男爵領を見に行くのも良いかもしれないわ。いったい領民達はどの様な暮らしをしているのか? 家臣団は領民にとりどの様な存在なのか? フランク・ロズベルトは租税をどの様に扱っているのか」
「おいおい勘弁してくれよ。ブリタニアの何処なんだよその男爵様の領地は? 大体おめェみてェな大貴族が調査することじゃねェだろうがそんなもん」
それはそうだろう。シンクの様な上位伯爵家の御令嬢が態々赴くようなことでは無い。聞くところによればロズベルト男爵家とはカンザスの何処かの10㎢の小さな領地だという。その地方の管轄の役人がいるだろう。そこら辺りの仕事だ。
シンクみたいな大貴族が行こうとすれば確実に情報が流れる。アイオワとカンザスは近い上にアイオワを治めているローゼンクロイツ家と、カンザスを収めている各諸侯にも交遊はある。
ローゼンクロイツ家の令嬢がカンザスに訪れると知られれば、まずはカンザスの最も上位の領主のところへと挨拶へ行くことと成り、その後目的を告げるとローゼンクロイツ家の御令嬢をその様な場所へ行かせるわけには参りません。となる。
当たり前だ。カンザスは中小の諸侯が集まって構成されており、最高でも下位伯爵家までしかいない。厳密には違うのだが、場所柄五大湖諸侯の一家に数えられるローゼンクロイツ。五大湖諸侯はヴェルガモンを中心に大諸侯が集中している。
その五大湖諸侯に数えられる上位伯爵家たるシンクが乗り込むのだ。自由に動こうにも『シンク様には相応しくありませんので』の連続で禄に動けやしないだろう。
「身分を偽って騎士爵か男爵かで向かえば良いのではないかしら? クロイツ男爵家とかどう? その為の身分証も作って」
「お前、うちの国の時代劇にでも嵌まってんじゃねえのかい?」
あれは架空の話しだ。シンクほど位の高い貴族ならば確かに可能なことだが。
「俺もついて行くことなるから騒ぎが大きくなっちまうぜ……裏の顔で行きゃあ問題ねェがな。まあそれ以前としてローゼンクロイツの子、クルシェフスキー、ヴェルガモン、シュタットフェルト、ソレイシィの子が始末をつける可能性が高ェ。お前みたいな大物の出る幕はねェかもしれんぜ」
シンクを座布団に座らせると。
「ん――」
軽く朝の口付けを交わす。直ぐに離れる唇はだが、互いの温もりを残しており、シンクの瞳に潤いを。良太郎の顔に恥ずかしさを反映させた。
硬派で不良な良太郎の柄では無いのだ。
「フフ、いつも嬉しいわ……リョウタロウ。愛情表現は夫婦として最も大切な事だもの」
誇り高き赤薔薇が素直になる貴重な瞬間だろう。本当は彼女もこの手の事柄は苦手な方なのだから。
「ま、な、夫婦、だからな。俺だってちったあそういう空気も読むぜ」
「そう、じゃあ愛の朝食は花丸ハンバーグが食べたいわ」
またシンクが無茶を言い出す。実を言うと良太郎は花丸ハンバーグを作れるが、こんな朝にいきなり言われて材料も無い。
なにより。
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「お前さんよう、今年で幾つよ? 二十代後半にもなって花丸ハンバーグはねェだろ」
「甘いわね。好きな物に歳は関係ないのよ。私があなたに葉巻をやめなさいと言っても聞かないのと同じよ」
「俺のは大人の嗜好品だ。一緒にするない……ま、花丸ハンバーグじゃねェが、メシ作るから待っててくれや」
麻生家の食卓は良太郎とシンクが揃って在宅中の時は大凡が良太郎の領分となる。
僕が主人の食事を作る。変な有り様だが、これが良太郎の家の有り様だった。
「仕方のない僕ね。まあいいわ。楽しみにしてるわ」
「はいよ、楽しみにお待ちくださいませ、お嬢様」
(ロズベルト男爵よう。うちの嫁さんに手を出したって事の意味分かってんのか? アイオワ全土と周辺の中小貴族を敵に回したって事なんだぜェ)
ヴェルガモン伯爵、ソレイシィ辺境伯、シュタットフェルト辺境伯、ローゼンクロイツ伯爵、五大湖大諸侯だけでこれだけの数に上る。ヴェルガモンに手を出した時点で五大湖経済圏と中小貴族。そして各諸侯の子の貴族。
(これに西海岸諸侯盟主クルシェフスキー侯爵家。西海岸諸侯が全部敵に回ってる状態だ。それに、裏で生きてる分裏の噂も手には入るが、あのナイトオブトゥエルブのモニカ・クルシェフスキー卿ってのは確かシャルル陛下の――っと、いけねえいけねえ、滅多なこたァ考えるもんじゃねえな……いずれにせよお前さんの一族の命、そう長くねェぞ?)
物騒なことを考えながら、朝だから重たくない物にしておくかと料理を作っていく、彼はテキパキと動きながら、あー葉巻吸いてえとか呟く。
大日本帝国枢木内閣外務大臣、麻生良太郎。裏の世界で魔弾の射手の二つ名を持つ彼への命令権は、枢木ゲンブには無い。
彼への絶対的命令権を有するのは夢幻会重鎮、辻政信で有り、辻政信こそが直属の上司。辻の依頼により潰してきたテロ組織や南天と関係する武装組織の数は相当数に上ろう。
そんな超人的強さを持つ彼だが、家ではこの小さな、子供のような体躯の美しい妻こそが彼の直属の上司なのであった。
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>>851:ハニワ一号様
大貴族連合のバックには南天が居りました。
現在も当時の生き残りの貴族がブリタニア中に我関せずで散りながら暗躍しております。
アイオワ周辺には中小の貴族が居て大貴族連合に参加していく中ローゼンクロイツ夫妻は討伐を決意し。殲滅しました。
夫妻の実力はラウンズ級で奥さんのアリスの方が強いです。
>>852二二三様
繋がってました。
良太郎は銃を持たせればラウンズを超えます。
>>853トゥ!ヘァ!スマホ様
>水戸黄門
あながち間違いでもないですねw。
ローゼンクロイツ家はローゼンメイデンの姉妹たちやお父様ことローゼンをモデルにしておりますので必然的に大家族になる訳ですね。
中央で出世している子も当然いますね。
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では、引き続きもう一話投稿します。
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お父さんの色んな想いです。
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「モニカ・クルシェフスキー卿への侮辱のみならず、リーライナ・ヴェルガモン卿への侮辱」
「これに続きシンク・ローゼンクロイツ伯爵令嬢、カレン・シュタットフェルト辺境伯令嬢、ナオト・シュタットフェルト辺境伯令息、マリーカ・ソレイシィ辺境伯令嬢。シュタイナー家のレオンハルト・シュタイナー令息への非礼。諸侯はどう思われる」
「どうもなにも、我がブリタニアの法に照らし合わせれば極刑は愚か、族滅対象ですぞ!」
「仮に法の執行をせずとも西海岸諸侯の盟主クルシェフスキー侯爵閣下、五大湖経済圏の中核を治めるヴェルガモン伯爵閣下、その他にもローゼンクロイツ伯爵閣下に、シュタットフェルト辺境伯閣下、ソレイシィ辺境伯閣下、シュタイナーコンツェルン。これだけの大貴族と有力貴族を敵に回しておるのだ。傘下の子の貴族、各諸侯の周辺を固める中小貴族が黙っておるまい」
無礼討ちだ。公開処刑にしろ。たかが田舎の貴族が。所領はカンザスの端の端と聞いたぞ?
誰か知っておるかね? 知らない。
「こ、皇帝陛下、改めてご沙汰を願います。この様なことが許されてはなりませんぞ!」
「そうです。たかが田舎の男爵家風情が、これだけの大諸侯に対し非礼を働いて沙汰無しとは、誰もが納得いたしま――」
申しつけたはずだ。この一件については当事者間のみの解決とすると。当事者が良いと許すのならば、儂が特に何かを言うでも無いこと――。
「へ、陛下しかしそれでは」
「くどい。もう詮議は終わりだ。ロズベルト男爵家についての沙汰は、非礼を受けた各諸侯へ一任する」
ある親の思い
詮議が終わり。シャルル・ジ・ブリタニア皇帝は大広間を後にする。
自分に付いてくる護衛。どこにでも着いてきて自身の身を守る護衛に、シャルルは冷たく言い放った。
「今日は良い」
「は?」
「今日は良いと言った」
「しかしそれでは陛下の御身を御守りする者が。いまはラウンズの方々もそれぞれの任務についておられ、我々まで離れては陛下の身辺に隙が生じてしまいます。彼の空白の三十分事件のこともありますし」
護衛は必至で留めてくる、一人になってはならない。一人にしてはいけないと。誠に良き家臣を自分は持ったものだ。恵まれた生活環境に居るものだと思う。
「かまわぬ。空白の三十分は謎に満ちた事件。あれがもう一度起きるならば、我が身の周りに全てのラウンズが揃っていたとしても、無為な事よ。誰にも対処のできない超常現象に立ち向かう術など無い故にな」
シャルルはそれだけ言い置き、護衛を下がらせながら、自身の居室へと続く長い廊下を歩いていた。
「96,97」
数を数えながら歩む一歩が重い。
「98,99」
それでも進まなければ、居室には辿り着けないのだ。居室は直ぐそこだ。
「101……」
だが、シャルルの脚はそこで止まる。
-
「101」
同じ数字を繰り返しながら。
反芻する。96,97,98,99,……101。
そうだ。数字が一つ無い。本来あるべき場所に一つの数字が無いのだ。そう、100がないのだ。100だけが、空白地帯のように存在しないのだ。
「北側諸国に根回しを、盟邦大日本帝国皇室・華族・政財界に全てを打ち明け、我が国の我が子等、親族、諸侯に全てを、いや、あの件を伏せ、無かったことにして打ち明け」
意味不明。シャルルは幽鬼の様に立ち尽くし、何度も何度も繰り返し同じ事を口走る。
「あの子を、あの子を、あの子を」
100に据えるべきあの子を迎え入れたい。西海岸諸侯の盟主とも一度二人だけで話がしたい。
ともあれ軽率な事はできぬ。いきなりの発表などしてしまえば間違いなく混乱が起きるし、何よりもあの子が傷つき泣いてしまうだろう。それだけは避けねば。慎重に、慎重に。
シーランド国王は受け入れてくれる。
アルガルヴェ連合帝国は祝福してくれるだろうか?
ギアナ公国は? ペルー王国は? エクアドルは? アラウカニア=パタゴニアの第二王女アリシアは友達になってくれるか?
インドネシアは? ティモールは? パプアニューギニアは? フィリピンは? インドシナは? ナウルは? クウェートは?
何れ建国される欧州諸王国の連合体は?
そして、我が盟邦大日本帝国は、あの子を受け入れ祝福してくれるだろうか。あの優しい子を。優しく、強く、勇敢で、全ての民に正義は必要。騎士は強くあらねばならない。全ての民を守る為にと本気で考え実行している、心優しいあの子をみんなは受け入れてくれるだろうか?
迎えるのならば、発表をするのならば万全の準備を以て。北側諸国への根回しは必ず行わなければならぬ。真っ先に大日本帝国の友人達と上帝陛下、御帝、華族諸諸侯へ。政財界へ。
そこから北側の同盟各国首脳へと個別協議を以て広めていき、南天に漏れる事無きよう、配慮に配慮を重ね。いや、重ねすぎるに越したことは無い。ユーロユニバースを叩き潰し、欧州にハイランド大公・ヒトラー大公が皇帝・宰相として帰還し、新たなる国が発足。北側諸国が団結するのを待って。
しかし、それでは儂が待てぬ。あの子を、あの優しき子を、この腕で抱き締めたい。抱き締めてその名を呼びたい。あの子の母より与えられたその名を呼んでやりたい。
だが、どうなのだろうか? あの子は本心ではあの子の母を殺した儂を憎んでいるのでは無いだろうか。名と正体を明かし仇討ちを……。
もしもあの子の本心がそうであるならば、儂はあの子の剣でこの身を貫かれたいと思う。そして、最後に一度で良い。あの子の名を呼びあの子を抱き締め、その腕の中で死んでいきたい。
そして、もし、あの子が受け入れてくれるのならば。しっかりと根回しを行い、世界に混乱が起こらぬよう、あの子の出自を知られぬよう、情報管理を徹底して、この宮殿へ迎え入れよう。
-
だが、あの子はアイツの元へと行きたがるに違いない。この四年、あの子とアイツの様子を見てきたが、アイツはどうか相変わらずその心も記憶も読めぬが、あの子はアイツを意識している。
あの子を迎え入れるということは、アイツも迎え入れるということ。アイツはそれを良しとしてくれるだろうか? アイツは自由人だ。縛られることを嫌っているくせにしかし何かに縛られながら生きている。
それがなにかは儂には分からぬ。だが、あの子の優しさはそれをすら解き放つのでは無いのだろうか? 如何なる苦しみや罪業を抱えていようとも、あの優しき子は必ず全てを受け入れる。
もし、アイツが何かに苦しんでいるというのならば、あの子に打ち明けてあげて欲しい。きっとあの子はそれを共有したいと申し出るだろう、あの子はその優しさで苦しみから解放してくれるかも知れない。
舐めるなよ。あの子の優しさを。儂は四年身近であの子を視てきたから分かるが、あの子は他のラウンズが多少は持つ傲慢や優越感、自分自身への過信を持たない子だ。ただ民の安寧と世界の平和を望んでいる。正義とは、全ての者に平等に降り注がれるべき物。あれほどの高潔にして強き信念を儂は知らぬ。
儂などより余程皇帝に向いておるよ。なあ、儂は息子娘、子供達をこの手より手放すのは嫌いだ。南天かどうかは分からぬが邪悪なる魔神がこの世界に潜んでいることを知る儂は、子供達をこの手の内より手放すことに恐怖を感じている。我が手に離れたその先で、子供達が狙われるのではないかと心配でならぬからだ。
なあ、貴様、貴様はあの子を守ってくれるか? 貴様より強いあの子をそれでも貴様は、お前は守ってくれるだろうか? 本当ならば我が手の内より離すこと怖くて適わぬが。儂は幼き頃よりの友であるお前にならば、あの子を託すことが出来る。あの子を託す相手としてお前以外にいないのだ。
「……ふ、ふふふふ、ふははははは。考えても詮無き事よ。全てはあの子と語らい、あの子の意思を確認し、北側諸国全土へ根回しを図ってからの話し……100が埋まるとき、儂は何を思うのだろうか?」
やがて、居室の前に着く。扉を開け、中へ入ると、先に用意されていた赤ワインがあった。
給士も誰も居ない居室。部屋の中央に置かれた丸いテーブルの上のワインをグラスに注ぐ。
トクトクトク
グラスに入っていく血のように赤いワイン。事実儂には血に見える。南天に与していた愚かな大貴族連合の血に。
注ぎ終えたグラスを手に取る。
窓の外を見つめる。見える範囲で離宮が沢山ある。遠くに見える離宮、近くに見える離宮、ここにはない離宮。
あの子にも離宮は必要だろうか。そんな物はいらないと言われてしまいそうだ。
-
ピキッ
何かにひびが入る音がする。
ピキッ、パキッ。
それは直ぐ近く。手の内だった。それを気にせず外を眺める。窓に映る自分の顔。
眉は大きくつり上がり、目はカッと見開かれ、歯は剥き出しの鬼の顔。
誰も居なくて、人を下がらせておいて正解だった。
バキィィィィッッッ!!!
大きな破砕音を立てて砕け散ったのは、右手に持つワイングラス。中身はぶちまけられ、赤いワインと共に、赤い血が滴り落ちる。
「娘を侮辱されて怒らぬ親などおらぬわァァァァァッッッ!!!」
テーブルの上に置かれたワイン瓶を力の限り払いのけ、壁へと叩き付けた。
「ふぅぅぅぅーーッッ、ふぅぅぅぅーーッッ!!」
どこぞの木っ端貴族が我が娘を愚弄した。この場にいたのならば絞め殺していただろう。
他の諸侯達も同じに違いない。皆無礼討ちに走っていないところが不思議なくらいだ。
自家の暗部でも送り込んで始末するかと考えていたが、当事者が許しているのならばと自制している。だが多くの子の貴族達が動き出しているのは確認済みだ。当たり前だ。主君の令息・令嬢に非礼を働かれて黙っている子の貴族などおらぬわ。
もしもあの子が正式に皇室に戻り第100皇女となっていたのならば、儂はためらうこと無く族滅の布告を出していただろう。無論、優しいあの子は儂を諫めるだろうが。それでも収まりが付かぬ。
温情措置としても当主は出頭させ、儂の目の前でセップクを命じていた。
クルシェフスキー侯爵は男爵家先代とは会わぬ選択を下したという、ヴェルガモン伯爵は子の貴族に始末を任せたとも。自らの手で始末するには汚らわしいという判断であろうか?
当主は日本に逃れたまま帰還命令を無視し続け、儂もラウンズに勧誘したことがあるローゼンクロイツ伯爵の五女に非礼を働き。
シュタットフェルト辺境伯息女・令息へと非礼を働き。ソレイシィ辺境伯息女への非礼。我が娘マリーベルが指揮を執るグリンダ騎士団の創設メンバー、シュタイナーコンツェルンの令息にも非礼を働いた。
「法に則ればッッ族滅対象だわァァァ!!」
ああ、いかん、感情がコントロールできん。殺してやりたいが、誰がどこの貴族が無礼討ちにするかで子同士で協議でもしておるのか?
儂自身が当事者に任せると布告を出した以上は儂は動けぬ、ああ、衝動が止められぬ。優しいあの子を侮辱した屑をこの手で……!一騎打ちで討ち果たしてやっても構わぬぞッ!
……。いっそのこと、ランペルージの警備部門を動かすか? ランペルージグループ社長でもある儂の命令一つで動かせる。警備部門といいつつ軍隊だからな。だが、その場合会長の兄さんの了承も得なければならん。兄さんは怒りに任せた行動は慎むようにと仰りそうだ。
冷静になれシャルル・ジ・ブリタニア。まず最初にすべきことを考えよ。すでに当主は無礼討ちの対象。ブリタニアに帰国した瞬間何処かの貴族家に捕縛されるだろう。その前に領地運営の実態だ。どう考えてもまともな領地運営ができているとは考えにくい。
カンザスのどの辺りだったか。田舎過ぎて分からぬな。我がブリタニアは国土も広ければ領地貴族も多い。カンザスだけでも中小かなりの数の領地貴族がいる。
むしろクルシェフスキー侯爵やヴェルガモン伯爵、ローゼンクロイツ伯爵といった大貴族は少ないからな。調べるのが大変だわ。調べたところで公に儂は手を出さぬと公言してしまっておるからな。
だが、儂は許さぬ。あの子が許しても儂は許さぬ。
-
ぴりりり。
「むッ」
携帯が鳴った。こんないらだっているときに誰だろうか。
「はい、シャルル・ランペルージです」
『どうも皇帝陛下。クルシェフスキーです』
「これはこれはクルシェフスキー卿。ご機嫌よろしくない日々が続いておるようだがどうした」
クルシェフスキー侯爵だった。あの子に厳しい教育を課してきたため敬遠されていたというが、仕方の無いことなのだ。侯爵はいずれあの子が皇宮へと上がることを前提とした教育をしてきていたからだ。
『こちらにロズベルト男爵家の先代が参りました』
「窺っておる。なんでも卿に会って謝罪したいと抜かしておったとか聞いておったが。一男爵家が侯爵と会えること自体が本来ならあり得ぬと言うに、余程切羽詰まっておる様子だな」
『陛下はご承知ですかな? ローゼンクロイツ伯爵令嬢や、シュタットフェルト辺境伯令嬢方への不敬のお話は』
「うむ耳にしておる。日本で次々と上位貴族への不敬を働いておるそうだな。ローゼンクロイツ伯爵夫妻とはちょっとした知己でな。何ゆえに処断為されないのかと詰問された。余程腹に据えかねておるのだろう。公の場で、処断は当人達に委ねると発言してしまっているため動けないと返したら。では勝手にやらせていただきましょうと申しておった」
『なるほど。……陛下、私の個人的友人としてシャルルに言いたいことが』
「申してみよ」
『私はロズベルトをこの手で絞め殺してやりたいのだよシャルル。許せるか? 我が義娘をペンドラゴンの大通りで騎士侯風情がと男爵風情に侮辱されたのだぞ! 一報を聞いた私の怒りが分かるかシャルルよ! 私は君が当人同士に委ねるという沙汰を下したことにも納得いってはおらんのだ。何故その様な沙汰を下した?!』
「絶対的階級社会の我が国では、上位階級の者は、下位の者への大きな優越件がある。ナイトオブラウンズは第11階位。ヴェルガモンにしてもそうだ限りなく第7階位に近い第6階位の伯爵。これらが男爵家を許すと発言してしまっておる。沙汰の下しようがなかったのだ。本来ならば不敬罪で処刑なのだがな。二人にそのつもりがあればその場で無礼討ちであった。だが“不幸にも”二人は許した。その後に続いた諸侯令嬢・令息への不敬もそれぞれの者がその場で処断していない故にこちらから動きが取れない、と、いうことだジャン」
『そうか……、御無礼、平にお許し願いたい』
「かまわぬ“同じ子”を持つ親だからな。儂もいま暴れておったよ」
『そうですな。もしお時間がお有りでしたらランペルージとしてポートランドへ来ませんか?』
「今からか?」
『ええ、飛行機で来ればそんなに時間は掛かりません。本来ならこちらが窺うべきなのですが書類の山がね』
「……分かった。窺おう。なに、皇宮を抜け出すのは得意なのだ」
『ではお待ちしております。飲みながら話しましょう』
「うむ」
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以上です。
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乙です
シャルル切れた!
というより今回の件で切れてない関係者の方が少ないですねw
休日世界のシャルルはブリタニアでも友人が多いようで何よりです。
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乙です。
知らないとは幸せのよ
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乙〜。
ローゼンとは懐かしい。
ばらし〜ちゃんが養女ということはジュン君とかと結ばれる?!
良太郎は辻さんの依頼で色々動いてんのね。
シンク譲との結婚生活はなんのかんのと楽しそう。
あとどうも良太郎もモニカさんの正体知ってるっぽい感じやね〜。
二個目。
シャルルブチ切れとるやんw
冷静にモニカさんのことを考えてあげてるんやなーっと思ったらブチ切れ。
これ公的には当事者でって皇帝として発言したからどうしようもなくなってるんかな?
クルシェフスキー侯爵も怒ってるしバカ男爵どうなるんかね。
ハニワ氏〜。
わいもハニワ氏の小説楽しみにしてるんよ〜。
ゆっくりでいいから気追わず体に気を付けて仕上げていってね。
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シンク譲の両親のローゼンクロイツ夫妻ってラウンズに勧誘されとったんやね。
道理で大貴族連合相手の立ち回りとか強いわけやわ。
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乙です。
誰でも馬鹿男爵の件には切れますからね。
ぶっちゃけ最初に馬鹿男爵の侮辱に対してモニカが許さずにブリタニアの法に従って厳しく処罰していればね・・・。
その後の馬鹿男爵の不敬行為を聞くたびに許した事を大後悔してそうだねモニカは。
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クルシェフスキー侯爵ってシャルルとタメ口聞けるんだな。
すげえ。
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ではさらば(´・ω・`)
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乙です。麻生さんは辻さんの直属の部下だったのか。通りで辻のおじきって変わった呼び方してるわけだ
同時にシンク嬢の忠実な執事って感じですね
馬鹿男爵にはみんな怒ってますね。これ、悪い意味で一男爵が動かした貴族の人数ではブリタニアの歴史上最大じゃないですか?
ハニワ一号氏の予想通りシャルルもクルシェフスキー侯爵も絶対に許さないということが今回当人たち同士の口から出ましたし
更にローゼンクロイツ伯爵夫妻もシャルルを詰問しているし。皇帝を詰問というより、友人として詰問したのでしょうが
ヴェルガモン伯爵も子に始末させる方針らしいことが分かってきたし、すごいことになってきましたね
休日ギアスでシャルルが怒声上げるの初めて見た
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あと、ハニワ一号氏に謝罪します。休日シャルルはかなり慎重にモニカの事を考えているはずだというハニワ一号氏の仰る通りのようです
あんな稚拙なSSを書いてしまい申し訳ありませんでした……反省です
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投稿します。
馬鹿男爵シリーズばかりで申し訳ないですが。
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カンザス州シャイアン郡 セントフランシス市
人口5万人ほどのシャイアン郡、郡の中心であるセントフランシス市には2万人近くが集まっており、中核市は大いににぎわっているが、端へ端へと行くほどに寒村も目立っている。一極集中。良きにしろ悪しきにしろそれが起きてしまっているのであった。
そんなセントフランシス市に、日本から降り立た二人組の姿があった。一人は見かけ壮年の男。黒髪黒目の純日本人。ブリタニアには日本系ブリタニア人も多い為に、一概に外見だけを見て日本人とは言えないし、男のブリタニア語のイントネーションも純ブリタニア人と何ら変わらない為、判断がしづらかった。
もう一人は地に着くほどの長い金色のツインテールの少女。金髪に青目。ブリタニア語の発音もそのままのそれであり、間違いなく純ブリタニア人だろうと思われる。上品さを感じられるところからしてどこかの貴族様の可能性も高く、男はこの少女の従者かもしれない。
だが、それにしては男の従者の方がため口なので、見ている方としては判別しづらいのだ。
「マジで来やがったよこのバカ……」
「言ったでしょう。実態を知るには現地調査が一番だって」
そんな二人は、どこか遠方へと赴くようであった。
ここからローンリッジ近くにあるロズベルト男爵領まで移動するという。
ゴーストタウンとセントフランシスからは視られているが、実際には1,500人ほどの人口が有り、街もある。農家と商家が主な産業だが、先代当主の頃は活気づいてが、当代になっては悪い噂しか聞かず、次第に人の流れも止まっていったという。
そして、余りにも田舎過ぎて誰もその実態を詳しくは掴んでいないのだが、一説には彼の悪名高き大貴族連合に所属していたという話もあり、南天との繋がりを噂されている地域だ。
「そんな偽の男爵家家紋まで作って、俺の折角の休暇まで潰して、何するかと思えば、こんなくだらねえことに付き合わせやがって」
「くだらなくないわよ。地方の腐敗は近隣をも腐敗させ、やがて中央に辿り着くもの。うちの領はカンザスと近いわ。腐敗貴族がカンザスで蔓延れば損をするのはうちの領。対処をして置くに越したことは無くてよ?」
小柄で美しい赤薔薇の乙女。長い金色のツインテールを風に靡かせ、水底深い蒼い瞳で真面目に訴えられれば、七三分けに少し癖の入った黒髪の男、良太郎もぐうの根も出ない。惚れた女がそうしたいというのだ。シンク・ローゼンクロイツの暇つぶしに彼は付き合わされていたが、付き合うのが従者の務めだとも心得ていた。
-
◇
神聖ブリタニア帝国は全土が発展している。地方都市も、地方の中央都市もくまなく。何せ競争相手があの技術の超大国日本なのだ。後れを取るわけにはいかない。僅かな遅れがずっと続いている半歩差を、一歩差に広めてしまい、気が付くと二歩目へ踏み出していることだろう。
そんなことにならないため、北はアラスカから、南はコロンビアまで、くまなく発展を続けているのだ。しかし、ごく稀にだが見落としがある。それがロズベルト男爵領などの地方の中央政府にすら目の届かない田舎の田舎だったりする。
「アホだろおめェ、おめェみてェな大貴族がこんなど田舎まで個人視察とか。正体ばれたらどーすんだ」
ぼそぼそっと呟く良太郎に。ロズベルト男爵領まで荷物を届けに行くというおじさんのトラックに、乗っけて貰っていた良太郎のその呟きにおじさんが反応した。
「あ? お客さんなんだって?」
「ああ、なんでもありやせんぜ」
このトラックの運転手。気のせいでも何でも無く、良太郎自身の膝の上に載せているシンクに先ほどより反応している。
下卑た視線を感じるのだ。シンクが我慢して居るからなにもするつもりはないが、本当ならその顔面に拳をたたき込んでやりてェところだった。
「それにしてもお客さんもいい性奴隷連れてるねえ。蒼い瞳、長い金色の髪、小柄で締まりが良さそうで……へっへっへ、毎日お楽しみかな?」
良太郎はその言葉にぶち切れそうになったが、シンクが黙って良太郎の手を押さえる。今此処で暴れるなという合図だ。
「おい、大概にしとけよ。この御方はクロイツ男爵家当主。クロイツ男爵様だぞ」
「はっはっは、冗談が上手いねえ。こんな子供が貴族家の、ましてや大貴族たる男爵家の当主な訳」
シンクが懐中時計を見せる。金メッキの懐中時計だが、確かに男爵家の家紋が入っているのだ。
トラックの運転手は慌てて車を止めて外に出ると、日本式の土下座をして平伏した。ブリタニア帝国と日本の付き合いは長く、最低でも五百年以上と言われている。イギリステューダー朝以前からの友。
それ程長くの交流があれば、日本式の最低の礼、ドゲザも伝わり一般化するというものだ。現に貴族すらドゲザをすることがある。セップクの文化も伝わっている。
「は、ははーッ、も、申し訳御座いませんまさか男爵様だとは思いも寄らなかったもので御座いましてッ」
「思いも寄らなければあの様な下卑た応対をレディに対して為さってもよろしいのかしらね」
「い、いえ、そのような、ことは、」
「私がその気なら、あなたこの場で無礼討ちよ?」
冷たい瞳を向け、冷たい口調でシンクが言うと。
「ひいッッ! ど、どうか、どうか、それだけはご勘弁をッッ、どうかッ、どうかッ」
「あなた、普段から女性の奴隷でも運んでいるのかしら? 我が神聖ブリタニア帝国では奴隷は禁止されている筈……どうなの?」
「い、え、そのようなことは、ご、ございません、家名に誓って、」
目が泳いでいる。黒だ。奴隷商人か何か。男爵専属の。それも普段からの常習者で、かどわかしや女性の売買など、闇の職業にも大きく絡んでいる。
そう受け取ったシンクはだが、無礼は一度だけ許しますとその場での罪は許した。
「案内なさい。ロズベルト男爵領へ」
「ははーッ」
ベレッタが火を噴かなくて良かったな。ぽんとトラック運転手の肩を叩き再び乗り込む良太郎も、そのまま乗り込むと、トラックは静かに発車した。
-
勘違いした田舎者 実態
やがて着いた男爵領。
トラックの運転手と別れ、逃げるように走り去っていくトラックを視ながら。確実なる不正の証を街の入り口に見つけたシンク。
「お、おいおいこれってよォ、あれだよなあ蒼天双翼光環旗の変色版だよな? ちょっといじり込んだら蒼天双翼光環旗になるぜ」
シンクの視線の先を見る良太郎は、その堂々とした旗の掲げ方に驚く。知識の無い者は誰も知らないだろうが、貴族階級にある者ならば大抵の者が知っている。それは。
蒼天双翼光環旗――南天条約機構の旗だ。
シンクは吹き来る風に、足下まで届く、長い長い金色に輝くツインテールを靡かせながら呟いた。
「確実ね。先代はそうでは無かったのでしょうけれど、当代当主は南天と繋がっているか、大貴族連合の傘下貴族の一人。南天と繋がるという事はブリタニアの国法に照らし合わせると大逆罪よ」
処刑の対象だ。一連の不敬行為が無くとも。一族郎党族滅対象となる。
「入ってみましょう」
「入るのかよ。この写真を撮って見せれば分かるだろ。こんなもんの偽造をする馬鹿はいねェんだし、義父さんと義母さんはシャルル皇帝陛下の友達なんだろ? 一発だろうが」
「私は領民の様子が見たいの。こんなものを、大逆罪になるものを平気で掲げているような領地の領民たちが、まともな生活を出来ているとはとても思えないもの」
「はー、正義感の強いこって。わーったよ、わかりました。従者は黙ってお付き合いを致しますよお嬢様ァ」
「ふふ、いい子ね」
「俺のがずっと年上なんだけどなあ」
「主人と従者に年の差なんて関係ないわ。黙ってついてきなさい」
※
シンクと良太郎が通りを通ると。そこには人っ子一人歩いていなかった。皆家に引きこもっているのか。外に出るなという命令でも通達されているのか。まるで人が居ない。中央市で聞いたゴーストタウンだというのもうなずける静けさだった。
そんな中、平伏しながらも何やら抵抗している街人の姿があった。偶然にしてはできすぎていたが、丁度良い。様子を見ようと、シンクと良太郎は物陰にはいる。
三人の男が一人の男性を取り囲んでいたのだ。
「貴様ッ、離せッ」
「お、お待ちください徴税官様! これはこの半年で溜めた街の運営資金で御座いますッ! 本来なら街の運営資金は男爵様が用意されるべきものッ、しかし男爵様はッッ!!」
「貴様ッ、ロズベルト男爵様にもの申すというのかッ! お前達が無事暮らしていけるのもロズベルト男爵様の思し召しだというにそれをッ!」
徴税官が剣を振り上げる。目標は当然逆らってきた町役人。このままでは彼の首がはねられてしまう。当然これを黙って見ているシンクでは無かった。彼女は普段とても冷静なのだが、二親のどちらに似たのかとにかく無駄に正義感が強く、こういう場面を見て黙って居られるような女性では無かったのだ。
「お、おいおいおい、割って入ったら面倒なことに……あちゃー」
良太郎は素早く走って行く小柄な赤い薔薇の、靡く二束の金髪の束を見遣りながら、頭を抱えた。
休暇中の面倒事は御免被りたいのだが、妻があの様子では致し方ない。ベレッタを懐から出して彼も歩いて行く。
別に焦ってなど居ない。のんびり歩いても片が付く、俺のそんじょそこらでお目にかかれない程に強いのだから、正直自分が助太刀をする方が野暮って物だが。
「夫婦、だからなあ」
嫁を助けるのは夫としての務め。助けられる瞬間があるのかは別としてだ。
-
キィンッ!
徴税官の剣が受け止められる、一本の黄土色のステッキに。
「な、なんだッ?!」
突然の横やりにひるむ徴税官。とても徴税官には見えない、ただの荒くれものと言ったところ。まるで大昔のブリタニア大陸開拓時代の様だ。
「私の前で血なまぐさいことはやめてくださる? それとあなた、血の臭いが鼻につくわ。一体何人の無実の人を殺してきたのかしら?」
鼻につくのは血の匂い。一人二人ではない。何十人と殺してきているそれも自らの手で直接。
「な、なんだあお嬢ちゃんよォ。ここはお嬢ちゃんの出る幕じゃあねえぜ。おうちでママのおっぱいでもしゃぶってな」
その言葉にムッとしたシンクは跳躍し飛び上がると、徴税官の内の一人の喉をステッキの先で突き、そのまま地面に勢いを付けて突き倒していた。無論、相手の喉は潰れ死んでいる。即死だ。
「お生憎様、私は大人よ」
死体となった徴税官に吐き捨てるシンク。
「て、テメエッッ」
ここに来てようやく彼女がただ者では無い事に気が付いた徴税官達だが、時既に遅し。
プシュ、プシュ。
空気の抜けるような音がして、残りの二人のこめかみに穴が空き、血を吹きながら崩れ落ちていった。
「屑の血も赤いのね」
自分の命が助かったことよりも、秒で徴税官達を皆殺しにしてしまったシンクと良太郎を前に、ポカーンと立ち尽くしていた街人は、瞬間ハッとなりその場に跪く。
「あ、危ないところをお助けくださり何とお礼を申してよいやらッ、」
「気にしなくて良いわ。うっとうしい蚊が飛んでいたら叩き潰すでしょう?」
「か、蚊?!」
あの屈強な徴税官を蚊呼ばわりするシンク。事実一瞬だった。
もう一人、後から現れた男の方を見ると。
「あ〜っ、俺ゃ、ローゼっと、クロイツ男爵家当主、シンク・クロイツ男爵様の従者で、麻生ジュンタロウってもんでさあ」
男爵家当主という言葉が、シーンとした街中に迸ると、そこらかしらから住人達が顔を覗かせた。
ロズベルト男爵ではない、他家の、恐らくロズベルト家とはまったく関係の無い男爵家の当主様だと言うことで。
ゴーストタウンではない。やはり人が居るのだ。
「シンクよお、この街は闇があるな」
「そうね」
-
そんな、二人に、ある女性が前に出て跪き。
「男爵様ッ! 訴えたきことが!!」
必死の形相の女性だが、他の男性に止められた。
「や、やめろッ! 貴族様への直訴は死罪だぞッ!!」
これは国法にある。平民の貴族への直訴は死罪。訴えたきことあらば裁判所を通すように。ブリタニアにも裁判所はあるのだから。だがその裁判所の裁判官が貴族サイドの賄賂を受け取っている事もある。地方の裁判所になれば顕著だ。大貴族が治めていない地方などにはその傾向もあり、それを取り締まるための役人もいる。平民とは大切にするべき存在。この考えは、大貴族になればなるほど強い。
その大貴族を手本として、中小貴族は自らの所領を治めていく。だがロズベルト男爵家の様に、好き勝手に出来る立地にあり、小さすぎる貴族にはこのノブレス・オブリージュの精神を理解できない者もいるのだ。あまりにも酷い時にはプルートーンなどの暗部が動いて処理を行うも、それにしてもロズベルト男爵家は田舎過ぎ、また小さすぎたが故に、不正を見逃してしまったのだ。
「構わないわ。私は今旅の最中。直訴の一つや二つ、話を聞く程度でいいのならば聞いてあげましょう」
※
これによると、先代から当代へと代替わりをしたロズベルト男爵家は、当主フランク・ロズベルトが暴政の限りを尽くしているという。
作物の献上量を増やし、重税を課し、集めた租税は交遊費と勢のために使い、また自ら集めた家臣団にお金を配り、元は農民だった新しい家臣団は、お金の魔力に取り付かれ、次第に欲のままに動き出すようになり、先代からの家臣団を閑職に追い遣ってやりたい方題しているという。
カンザスの田舎の田舎という立地条件。僅か10㎢に1500の人口という山間の小さな所領と言うことで、中央政府からも見つからず、手付かずの状態。
おまけにカンザスは大諸侯が居ないために、見張る者がおらず、誰にも気付かれないまま何年にもわたって圧政が続いている状況とか。
命を懸けて直訴を試みた者は殺され、不敬を働いた者は無礼討ちにされ、誰もなにも言えない状態にされているこのような山間部の僅かな平野に訪れる貴族様もおらず、また裁判所へ訴え出ると言うことは直訴であるとされ死罪に。
「酷いわね」
「屑の見本市だな。家臣団の不正は今の他には?」
「はい、見目の良い女を見繕い、邸に連れ去ってはその……」
シンクを窺って言いづらそうにしている。シンクは小柄だが見目麗しい女性だ。彼女もその対象となってしまうだけに口に出すことが不敬となると口ごもる、だがその反応だけで充分だ。
「申し訳ないわ。これは私たち貴族の失態、ノブレス・オブリージュの精神を忘れた愚かな貴族を放置してきていた私たちの。……ロズベルト家の邸は何処にあるの?」
「はッ、山間部の最も高い場所に……まさか、男爵様お一人でお向かいになるのですか?!」
「俺もいるぜ?」
「し、しかし、たったお二人で、三人倒してもまだ87人もの荒くれ騎士達がお屋敷にいるのですよ!?」
「御心配ありがとう。でもたった87人で私と私の家来を討ち取ることは不可能な事よ」
「俺たち二人が揃っていれば歩兵千人から持ってこなけりゃ話にならねえぜ」
-
※
話し合いが終わり、外に出たところで、空に影が差した。
「おおう、こりゃとんでもねえ増援まで来ちまったじゃねえか。お前、情報漏らしたのか?」
「私はなにもしていないわ」
空に浮かぶは。
全長:240m
全幅:80m
全高:45m
速力:巡航速度1,100㎞
:最高速度2,500㎞
実用上昇限度:38,000m
兵装:ハドロン重砲4門
:単装リニア砲9門
:大型リニア砲2門
:32連装ミサイル発射機2基
:スラッシュハーケン4基
動力:フレイヤ炉
航続距離:∞
特殊武装:ブレイズルミナス(強化発展型)
空飛ぶ鉄の船、浮遊航空艦アヴァロン型 アヴァロン。アヴァロン型1番艦にして他のアヴァロン級の基本型でもある。この艦は開発は古いが現在も尚強化中の最新型状態を保つ艦なのだ。
そして、神聖ブリタニア帝国宰相シュナイゼル・エル・ブリタニアの御座艦もである。本来ならば。
-
艦が大きく街中には降りられないので、街の外の平たい場所に着艦するアヴァロンからは、シュナイゼルではなく予想外の人物が降りてきた。
太陽に照らされた月の明かりのような輝く色をした短い金髪に、蒼穹のような蒼い瞳。全身を青の騎士服で身を包んだ一見年若い男性ながら口ひげを生やし、その実五十代中盤に差し掛かっている“青年”。
「どうすんだおう、とんでもない大物が出てきちまったぞ?」
その名をジャン。
ジャン・クロード・クルシェフスキー。人口1200万人、滞在人口2000万人を抱え陸海空から成る十数万人の大騎士団を持つ、クルシェフスキー侯爵領領主にして、神聖ブリタニア帝国西海岸諸侯盟主その人である。
顔を知らない人もいるだろう。いや、顔を知らない人の方が多いだろう。その名前は知っていても。それくらいに平民や下級貴族が合える機会のない超の付く大貴族だった。
「やあ、お久しですなあ麻生リョウタロウ外務大臣閣下」
集まっていたロズベルト領の領民達が。
『西海岸諸侯の盟主様にッ! だ、大臣閣下ぁぁッ!!』
驚きの声を上げている。何故西海岸諸侯の盟主を田舎の田舎のロズベルト男爵家の領民が知っているか?
当たり前である。1500人も居れば一人くらいは知っていて。学のある者もいるのだから。
ただし、名前しか知らない。顔はお写真でしか見たことが無い者ばかりで、唯々その場に平伏するのみである。どのようなお方なのか? 人もそのお顔を。そんな不敬者はこの場に一人として居なかった。
そして、大臣閣下と呼ばれたその麻生良太郎の名は、およそ全員が知っていた。最友にして家族的同盟国である大日本帝国現外務大臣閣下の名前だ。顔は知らずとも皆名前は知っていた。
「私だけじゃないですよ」
艦から二人目の人物が降りてくる。今度は唯々美しい女性であった。
身の丈よりも長い、輝く美しい金色の髪を、頭の両側側頭部高くに黒く細いリボンで結い上げた、赤いヘッドドレスを付け、赤いドレスを着た、緑色の透き通った双眸を持つ、中学生に行くか行かないかの小柄な女性。
瞳の色が違うだけでシンクとは瓜二つのその女性に、ロズベルト男爵領の人々は不敬にも、何度も何度も見比べている。それほどにシンク嬢と全く同じ女性──その名をアリス・ローゼンクロイツ。シンクの母親にして八人の子を産んだ女性でもある。大貴族連合の一角を皆殺しにした鮮血の薔薇の二つ名を持つ片割れ。
良太郎の義母でも有り苦手なのだ。
「お、お母様ッ!」
鮮血のローゼンクロイツの名はロズベルト家の領民とて知っている。アイオワを治める大貴族のローゼンクロイツ伯爵夫人である事も。つまり、その御方をお母様とお呼びしたシンク様は男爵などではなく。
『ローゼンクロイツ伯爵令嬢様ぁッ?!』
アリスは駆け寄ってくるシンクを抱き締めるが。
「同じ格好した双子だな」
呟いた良太郎の目の前を鋭いフルーレが通り過ぎていく、そのフルーレを利用して葉巻の先端を切り落とし、マッチで火を付け不貞不貞しく吸い始めた彼に、アリスは。
「若いという意味ですか? それとも小さいという意味ですか? 意味によって変わりますよリョウタロウさん」
良太郎はその質問に煙を吐き出しながら。
「もちろん、お若いという意味ですよ御義母様」
と、答えた。答えを間違えようものなら、今ここで‟鮮血の薔薇”と‟魔弾の射手”の一騎打ちが始まってしまうところだ。
「ならよろしいのです」
にっこり答えるアリス
-
そんなやり取りをしていると。
「どうして皆様、そんな我先にと参られますのまったく」
腰下まで届く長い金色の髪を靡かせた、エメラルドグリーンの美しい双眸を持つ大きな胸、くびれた腰、すらりと伸びた手足を余り着ない騎士服に身を包んだ見目麗しい絶世の美女。
「ヴェ、ヴェルガモン伯爵令嬢だ、俺、遠目にお目にかかった事がある」
ある青年がその美しさに、その時の事を思いだす。これを聞いた皆流行りざわめく。大諸侯のオンパレードだ。
リーライナ・ヴェルガモン伯爵令嬢が降りてくる。
「ヴェルガモン伯爵令嬢が居るってーことは」
良太郎が葉巻を吸いこみながら。彼女と共に降りてくる人物を見遣り、にやりと口角を釣り上げた。
「アヴァロンの乗り心地もなかなかだな」
丸坊主の頭、黒い軍服に身を包んだ他の者達とは明らかに異質な覇気を発する壮年の男性、ヴェルガモン伯爵令嬢が腕を組んで話さないその男、良太郎の上司の一人。
「山本の旦那。お久しぶりです」
「麻生くんか、どうだね先行していたというか、君たちが調べようとしていたこの領の実態は」
「あらゆる点で真っ黒でさァ、とくに厄介なのは蒼天双翼光環旗らしき旗が街の入り口に掲げられていたことです」
「……南天と繋がっているか、大貴族連合の生き残りの可能性が高い、というわけか」
「他には碌でもない暴政をやらかしてます。シンクと俺が介入しなけりゃ見せしめに一人死んでいましたよ」
そんな話をしている中、最後に降りてきた人物がいた。
大柄で力強そうな体躯。頭の両側で幾つものロールヘアーにして纏められた白髪の厳めしい顔つきをした壮麗の男。
「こッ――」
誰かが叫び掛けたが男は、しーっ、と指を立てて口許に当てた。
「この閑散とした様子。上空からも見えたが街中に死体が転がっていた。麻生大臣閣下とシンク・ローゼンクロイツ伯爵令嬢がやったものではないな?」
「恐れながら」
「ああ、いつも通りで、跪かなくて良い。シンク嬢の美しい髪を汚してしまっては儂がローゼンの奴めに怒られる。そこなアリスめに刺し殺されるやも知れぬ」
「うふふ、そうね。いくらシャルルでも私の可愛い小さな薔薇を穢したなら、私はあなたを殺すかも知れないわ。たとえ我が友マリアンヌと戦う事となったとしても」
「ふははは、命拾いしたわ。それに儂も美しい赤薔薇を穢すことなど出来ぬ。そこのスナイパーに討ち取られてしまう故にな」
シャルルの冗談に肩をすくめる良太郎。実際にやるかもしれんなとは考えている。
シンクの髪は長すぎるため、跪くと地面に付いてしまうのだ。それで髪が汚れてしまうことを皆嫌っているのである。
「それでは立ったままでしつれいします。私たちが始末致しましたのは三人だけでございます。それ以外の遺体は見掛けておりません」
「では、やはりロズベルト家の見せしめか」
シャルルが悼むように言うと。
皆それぞれが、街に向かって黙祷を捧げる。
「だがそれも今日を限りで終わりとしよう。奴が戻らぬと言うのならば、奴の戻る場所をなくす。情報に寄れば孫娘が一人軟禁状態に置かれておるとも聞くが、これは救出。腐っている87名の家臣団は捕縛もしくは無礼討ち。それ以外にも腐敗した何者かがいれば一網打尽に、それと蒼天双翼光環旗が掲げられて居る以上は何らかの形で南天と繋がりがあるも知れぬ。場合によっては大逆罪となろう。乗り込むのは儂とジャン、アリス、リョウタロウ、シンク、リーライナの六名、五十六は街で待機願いたい。場合によってはアヴァロンの指揮は貴殿に一任する」
「任された」
と、山本。
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何故皆が直接向かうのか? アヴァロンの騎士を使わないのか? それはこれが皆の個人的復讐であるからだ。その復讐に無関係な者の命を懸けさせようなどと最初から考えていない。
「一人13人ほどだが、いけるか?」
「シャルルよ舐めるな。このクルシェフスキー、かつて血の紋章事件でそれ以上を相手取ったぞ」
「甘いわね。大貴族連合を始末していたときから比べるとぬるすぎるわ」
「陛下、いえシャルル・ランペルージさん。わたくしも伊達に軍の嚮導学校をトップで卒業してはおりませんわ」
「舐めてんのか。これでも“魔弾の射手”と呼ばれてる男だぜ。二個戦車大隊を一人で片付けたことがあらあ」
「私も13人程度に遅れを取るほど弱くはなくってよ」
シャルルは大剣を。クルシェフスキーは長剣を。アリスはフルーレを。リーライナは剣を。良太郎は二丁拳銃を。シンクはステッキを。
それぞれの得物を持った6人は攻略すべき場所を確認。
「堕とすべき目標はロズベルト男爵邸ッ! 各々行くぞッッ!!」
6人は瞬速の速さで街の中に消えていった。
この話の流れの中、集まっていた街人の中には気絶している者も見られた。
こ、皇帝陛下が。く、クルシェフスキー侯爵閣下。ヴェルガモン……伯爵、御令嬢。ろ、ローゼンクロイツ伯爵夫人。だ、大日本帝国、アソウ大臣。ローゼンクロイツ伯爵令嬢……。
や、ヤマモトイソロク、元提督。
死屍累々となっている広場を見つめて自分の名前が呼ばれたとき、「随分古い経歴を御存じだな」と思う山本は。
「ヤマモト元帥閣下! アヴァロンの指揮をお願い致しますッ!」
という声に、一人アヴァロンへと乗り込んでいくのであった。
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以上です。
>>873トゥ!ヘァ!様
温厚なシャルルも切れます。
馬鹿男爵は娘モニカを公衆の面前で罵倒しましたから。
みんな怒ってますよ。法を犯して無罪放免状態で不敬罪を繰り返しておりますから。
意外に友人多いですよ♪
>>874
幸せだったに変わるでしょうね……。
>>875:202様
ジュン君とばらし〜ちゃんは婚約者同士です。
姉弟ですが知はつながっておりませんので。
良太郎は辻さんからの指令でいろいろ動いてますよ。
シンクと知り合ったのもその過程でですから。
二人の結婚生活はシンクがわがまま言って良太郎がそれを聞いてが基本ですが、本当は愛し合っております。
モニカさんの正体は知ってます。
モニカのことを真剣に考えればこそ、こんかいの一連の馬鹿男爵の流れには腹を立てております。
クルシェフスキー侯爵の怒りも爆発しました。
>>876
ローゼンクロイツ伯爵夫妻は強いですよ実力はラウンズレベルです。
>>877ハニワ一号様
ええ、とにかくひどいですから。
モニカは優しいでしょう? だから許してしまったのです。一度だけならと。本来無礼討ちにすべきなのですが。
間違いなく後悔しています。自身が処罰していればここまでの大問題にはならなかったと……。
>>878
種明かしをするとこの二人は親友なのですよ。
>>880二二三様
良太郎は辻さんの直属の部下です。色々暗い仕事を頼まれています。必要ですからねそういうのも。
シンクにとっては優しくて優秀で、ちょっと棘のある優秀な執事にして愛する夫です。
馬鹿男爵が個人で悪い意味で動かした貴族の人数は相当数ですね。どこでも話題に上っていますから。
シャルルとクルシェフスキー侯爵が許すと思いますか? 公衆の面前で娘を罵倒されているんですよ?
当然ローゼンクロイツ伯爵夫妻も怒ります、因みに夫妻とシャルルは友達です。
ヴェルガモン伯爵もとうとう動き出します。事ここに至って堪忍袋の緒が切れました。
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トゥ!ヘァ!男爵はこの領地統轄できるかな?
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シンクと良太郎の世直し旅になるかと思ったら……
凄い面子が出てきたーwww。草生える
クルシェフスキー侯爵初登場。外見は口ひげ生やした青年なのか。そして血の紋章事件でシャルルと共に戦った戦友だったとは
シンクのお母様のアリスはフルーレの使い手か。そしてシンクそっくりで双子同然の容姿。大貴族連合を片付けてきた鮮血の薔薇の二つ名持ちでこちらもシャルルの友達
ご存知、山本さんとリーライナも登場。戦いに行くのはリーライナだけどいつもどこでもラブラブですね
世直しリーダーシャルル。まさかの皇帝陛下の登場に失神した人も。まず黙とうから始めるのが休日のみんならしい
いざ魔王城へか
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シンクと良太郎だけの方が良かった気もする。
二人だけでも余裕だし。
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乙です。
予想通りですが馬鹿男爵の領地は多数のアウト案件ばっかりで真っ黒だらけですね・・・。
そして皇帝、高位貴族たちによる豪華メンバーによる男爵領の世直しw
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