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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその79

1休日:2023/04/25(火) 18:49:05 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp



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2休日:2023/04/25(火) 18:49:49 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

Wiki誘導
Wiki  ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1447.html

休日世界
まとめ ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2170.html
KMF ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1447.html
EU分岐 ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2113.html
太平洋戦争 ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2157.html
AEU 予定

原作in
まとめ ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2120.html

ブリタニアin
まとめ ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2108.html

ユーロブリタニアin
まとめ ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2107.html

亡国in
まとめ ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2491.html

ユーラシア条約機構in
まとめ ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2377.html

憂鬱ギアス(ぽち様の作品)
ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2560.html

嶋田シャルルin
htp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2543.html

分裂EUルート
ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2892.html

ユーフェミア覚醒ルート
ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2893.html

日本大陸×ギアス クロス
ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2894.html

ユフィルートしげちー(トーゴー様の作品)
まとめ ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2546.html
オリキャラ ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2314.html

3休日:2023/04/25(火) 19:28:44 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

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4休日:2023/04/25(火) 19:29:26 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


Wiki誘導
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KMF ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1447.html
EU分岐 ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2113.html
太平洋戦争 ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2157.html
AEU 予定

原作in
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ブリタニアin
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ユーロブリタニアin
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亡国in
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ユーラシア条約機構in
まとめ ttp://www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2377.html

憂鬱ギアス(ぽち様の作品)
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嶋田シャルルin
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分裂EUルート
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ユーフェミア覚醒ルート
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日本大陸×ギアス クロス
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5トゥ!ヘァ!:2023/04/25(火) 19:40:10 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
改めて立て乙です。

>>3-4が本来の正しい方でよろしいですかね?

6休日:2023/04/25(火) 20:04:42 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
そうです。
申し訳ありません。
あやまってばかりで。

7トゥ!ヘァ!:2023/04/25(火) 20:05:37 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>6
いえ。気づけて修正できたのなら問題ないかと。
きちんと解決しているということですから。

8ham ◆sneo5SWWRw:2023/04/26(水) 17:38:48 HOST:sp1-75-0-132.msc.spmode.ne.jp
立て乙です

9休日:2023/04/27(木) 00:12:20 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
ham様お久しぶりですこんばんは。
いま少し復活気味です。
精神状態に左右されるのでいつまでいられるかわからない不安はありますが。

投稿します

10休日:2023/04/27(木) 00:13:20 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp



 その日のブルーアイの日記より


 観戦武官としての任務。北側諸国、ひいては大日本帝国とそれら国々の強力により、パーパルディア皇国は国力・軍事力共に一年と少し以前と比較して。

 比べものにならないほどに成らないほど強化されたという噂が、この大東洋諸国圏で流れている。パーパルディア皇国の力を見極めんが為。

 という使命も、私には合った。しかしなんということだろうか、私は確かに戦いをこの目で見た。

 だが、それは戦場の上空20,000mという途方も無い場所からだったのだ。浮遊航空艦。伝説の魔帝が保有していたと伝承で残る空飛ぶ戦艦の上から私は、スクリーン。画面。と呼ばれる動く絵を通して戦いを見た。

 だが引き換え、パーパルディア皇国の海軍艦隊司令は恐らくだが、海戦そのものを直接は見ていない。私たちが見たのは3㎞以上離れた場所からによる砲撃。

 続き高速で飛び回るセントウキという鉄竜による一方的なワイバーン狩り。

 そして最後に信じられない物を視た。パーパルディア皇国軍の3㎞離れた軍艦が、水平線の向こうより現れた更に巨大な軍艦と入れ替わるように、等間隔で並ぶと。

 見たことも無い巨大な砲。1基につき3門が2基搭載されており、1隻6門4隻で24門の砲口がロウリア艦隊6,000余隻に向けられたかと思うと。青白い電気を帯電させながら一斉砲撃。

 海を割り裂き、小島を粉砕し、ロウリア艦隊を消し飛ばしてしまったのだ。辻閣下に確認すると、その砲の飛距離もとてつもなく、実に300㎞にも及ぶという。

 終わった時、粉々になったロウリア王国軍の船の残骸だけが海を漂っていただけだ。

 見ていたから分かる、人知を越えた超砲撃。パーパルディア皇国は砲艦を処分したと言うが、あんなものが(戦艦)があれば砲艦なんて必要ない。

 ただでさえ鋼鉄の巨大艦を40隻以上保有し、ロウリアのワイバーンを全滅させた鉄竜は2,000騎を超えているのだ。今のパーパルディア皇国ならばやるつもりさえあれば第三文明圏全土を征服できるだろう。

 特に辻卿の話しによればパーパルディア皇国の巨大艦。パールネウス型は燃料・エネルギーが無限で、あの砲撃を何発でも撃てるらしい。反則なんて言葉では言い表せない。あの威力ならば陸地をも割り裂くだろう。

 北側諸国も恐ろしい力をパーパルディア皇国に与えた物だ。第三文明圏の守りの要にするという話しだが、どちらにしろあの戦力では足りない相手も居るだろう。とてもいそうに思えないがこの世に絶対は無いからだ。結局は我々も出張ることがあるかも知れないですねえ。

 そんな辻卿の言葉が私には恐ろしく聞こえた。そんな巨大な敵がこの先現れるかも知れないという可能性についてまで見据えている、北側諸国の在り方に。

 結果的にだが、ロウリア王国はワイバーン800騎、軍船6,000余隻を粉砕され、パーパルディア皇国の損害は0。無線という魔信のように遠くの者と話せる機械によれば、アルカオン提督の言として。重巡洋艦フィシャヌスの塗装が鏃を受けた分ちょっと剥げたということらしかった。

 駆逐艦と呼ばれるこれもまた大きな船が、波間に浮かぶ多数のロウリア人を救助する作業を行っていたようだが、確かに以前までのパーパルディア皇国とは変わったようだとの確信を得た。

 以前のパーパルディア皇国ならそのまま殺していただろうし、無視してさっさと帰投していただろう。救助という行為は近年の彼らが初めて行った行為かもしれない。

 しかしいくらパーパルディア皇国の船――巡洋艦、戦艦が大きくてもたったの8隻で、しかも1回の戦いで、ごく短時間でのこの完全勝利は、前代未聞である。

 第二列強ムーや列強一位の神聖ミリシアル帝国でさえ無理では無かろうか。

 祖国の危機が遠のいたことは真に喜ばしく、私は今喜ぶべきであるが、パーパルディア皇国にこれだけの力を簡単に与えてしまえる北側諸国の軍事力の常識を覆すだろう圧倒的強さに、恐怖を感じずにはいられない。

 政府への報告書も頭を痛める。誰も信じないような報告書を政府に上げる必要があり、胃に穴が空きそうだ。一年前、北側諸国の使節を乗せたという巨大船を臨検したピーマの船長も、あるいは北側諸国の第二位の超大国日本を訪れたという使節団の面々も、同じ苦しみを味わったに違いない。

 北側諸国は敵に回してはいけない。この一年何度となく聞かされ、実感してきたが、今回の戦を見て改めて感じた。列強とかそんな常識で図れない超大国で構成された国々が友好国であるということに、私は改めて安堵する。

11休日:2023/04/27(木) 00:14:04 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 パーパルディア皇国南方防衛海軍 旗艦パールネウスにて


 パーパルディア皇国の観戦武官ヴァルハル

 パーパルディア皇国の観戦武官ヴァルハルは、甲板に上がり呆然としていた。

 この戦艦クーズからは遠目にだがあちらさんの様子とその瞬間が運良く見れた。

 突如前方に展開していた重巡洋艦部隊が道を分けるように左右へと大きく後退を始め、クーズ含む、旗艦パールネウス、アルーク、カースの4隻が、先の重巡洋艦部隊の位置と直列するような位置へと等間隔に並んだのだ。

 ここから砲撃するつもりか。他の艦を見ればここからの砲撃でも余裕を持って当てられることは分かっているが、相手は6,000隻を超えて余る大艦隊。如何に巨砲とは言え数隻纏めて吹き飛ばしていたくらいでは、あの艦隊は何れここへと辿り着く。

 この艦に備えられた全砲を撃ちまくれば、木造船相手に負けないだろうが、時間は掛かるだろう。そう考えている時だった。クーズの前甲板に備え付けられた2基6門の巨砲が旋回を始め、水平真っ直ぐに向けられたのだ。

 甲板からは退避を言い渡されていたために、図々しくも艦橋に逃げ込んだがそこは観戦武官の肩書きを上手く使った。何をするのだろう。普通に水平砲撃を始めるのか?

 そう思ったとき。艦首が青白く光り始め。バチバチと雷のような帯電音を鳴らし始めた。左右を見てみると他の艦も同様に青白く光り始めていた。何が起きるのだろうか? 瞬間だった。


 ドッ――!


 青白い光が解き放たれ耳をつんざく雷の音が聞こえたのだ。

 あたりは一瞬青白い雷の光に包まれていたかのように見えたが、正直何が起きたのか良く分からない。

 前方を見ると海が裂き割れ、海に穴をうがつような24の線が直進し、ロウリア艦隊のいた場所を突き抜けていた。

 舞い上がる海の水のしぶきが視界を隠す。あれだけの砲撃だ。しぶきもあがろう。海を割るほどの砲撃が発射されるなんて誰にも想像が付かない。

 アルカオン提督を見ると、額に汗しつつも冷静だった。つまりこうなるだろうことを予め予期していたのだ。

 船の揺れが収まりしぶきが消えた頃、前方を見遣ると。ロウリア艦隊は消えていた。

 嘘だろう?! 海を埋め尽くすほどの、6,000余隻の艦隊がたった24門の巨砲の一斉射撃を受けて消し飛んだのだ。

 ワイバーンについてもそうだったが、ここまで一方的になるとは考えても見なかった。北側は『結果の見えている勝負に武官を送り込むほど暇じゃ無いんです。何なら変わります? 書類仕事』と、観戦武官を送ってこなかったが、これを知っていたら武官を送る必要は無い。

 青い顔をしているアルカオン提督に今のは何ですか、と、問い質すと。

『レールガン、超電磁砲とかいうものがこの主砲の真骨頂らしい。口径は46㎝、弾速は7,200㎞、射程は300㎞だそうだ。はは、そんな物を24門斉射すれば海も割れるよ』

 カラカラと乾いた笑いを上げながら倒れそうになっていた。

 ああ、そうか、ようやくわかった。この一年戦列艦を処分して行っている意味が。こんな鋼鉄の艦隊があれば、戦列艦1,000隻など物の役にも立たないだろう。

 砲撃は鋼に跳ね返され、それ以前に砲撃の届かない場所から、こんな馬鹿みたいな砲撃の波状攻撃を食らえば、戦列艦隊1,000隻なんて一時間保たない。

 船速も30ノットを平気で超えている。全艦がだ。北側諸国とくに大日本帝国はこれを“おもちゃ”といってパーパルディア皇国にプレゼントしてくれたそうだ。

 無償供与、北側諸国総意の元で。つまり北側諸国はこれくらいのものはいつでも作れるし、いつでも使い潰せる、子供のおもちゃとみているのだ。

 私にはそれが何よりも恐ろしかった。

12休日:2023/04/27(木) 00:14:41 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp




 砲艦外交じゃなくてそれぞれ感じたこと





 ロウリア王国 王都防衛騎士団 総司令部


 敵主力艦隊発見の報を受け、その攻撃に飛び立ったのだろう800騎の。彼らの悲鳴とともに魔信が途絶して3時間が経過した。

 司令部に重苦しい沈黙が流れる。

 合流の報告も無く、帰投時間になっても1騎たりとも帰ってこない竜騎士たち。司令部は焦燥に包まれていた。

「何故帰ってこないのだ?」

 顔を青くするパタジンの問いに、答える者はいない。

(まさか……全滅……そんな馬鹿な!? 800騎だぞッ!? 800騎の大軍だぞ!?)

 信じられなかった。それが全滅するだなどと。だが現実に帰ってきた騎は1騎たりともいないのだ。

 1,000騎用意したからまだ200騎あるでは済まされない。

 800騎で無理だったものが200騎でどうにかなるものか。

 ロデニウス大陸の歴史において、ワイバーンは最強の生物である。しかし貴重な種なので、数がなかなか揃えられない。

 ロウリア王国の当初保有していた500騎というのは、ロデニウス大陸統一を前提に、昨年までパーパルディア皇国から軍事援助を得て、6年かけてようやく達した大部隊。

 一年と少し前、そのパーパルディア皇国から軍事援助が途絶えた後は、国庫の全てを投入し、無理に無理を重ねて倍の1,000騎にまで奇跡的に増やせたのだ。

 この圧倒的な戦力で、武装解除したパーパルディア皇国を蹂躙するはずであった。

 海軍の支援として飛び立った800騎は、歴史に残る大戦果を挙げて帰ってくるはずだった。

 しかし、現実にはそうではなかった。

 考えたくない。考えたくないが、全滅したのだろう。

 パーパルディア皇国軍がまさかの大艦隊を繰り出していたのだとしても、普通に考えて800騎のワイバーンを全滅できるとは考えられない。まさかパーパルディア皇国は伝説の神竜バハムートでも使役しているのだろうか?

 ロウリア王になんと報告したらいいのか。

「残り全騎の竜騎士に通達、以後本陣の防備に入れ」

13休日:2023/04/27(木) 00:15:38 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 戦場上空10,000m パーパルディア皇国浮遊航空艦デュロ


「な、なん、なのだ、あれ、は?」

 私は私の身体を支えてくれている泰司に聞いていた。

「レミール皇女、以前お話致しました、あれが現時点でのパーパルディア皇国最強兵器、18インチ超電磁砲です」

 泰司は先ほどから私の背中をドレス越しにポンポンと叩いたり、髪を梳いてくれては、私のことを落ち着かせようとしてくれている。泰司の行為も、好意も両方嬉しいものだが。

 興奮を通り越して恐怖の域にまで達した感情のざわめきは、中々に収まらない。昨夜、泰司と『レミール皇女ッ!』『泰司……!』名を呼び合い、時を忘れて愛し合った悦びの気持ちが吹き飛んでしまった。

「あれが、我が皇国の18インチ、レール、ガン……」

 辻卿よりお伺いしていた。おもちゃには隠し武器。これがロマンでしてね。まあこの子たちの場合(パールネウス型4隻)隠れてはおりませんが。

 辻卿の仰っていた隠れてもいない隠し武器とはコレのことだったのか。

 ふと泰司が私の身体を抱き寄せる。倒れないようにと支えてくれるだけでは危ないと思ったのか。身体がふらふらしているのが自分でも分かる。

 あの瞬間が目に映る。デュロのメインスクリーン、艦橋正面の大きな窓に映る映像の中にアップにされた戦場が映し出され。始まりから終わりまでを見ていた。

 それはまるで以前見た、日中戦争や日欧戦の焼き増しにも見えた。規模は彼の両戦争よりも遙かに小さいが、圧倒的戦力差という意味では同じ。

 始まりは警告。我が皇国領海内への領海侵犯についての警告だ。あの時点でロウリア軍が引き返すなら皇国はなにもしない。しかし、ロウリア軍は引き返さずに進軍を続け、皇国を侵略した。

 平和主義には成り、侵略戦争を止めた皇国だが、だが敵であるならば別だ。それなりの対応を取らせて貰う。

 私は今、政治には携わっていない。駐日パーパルディア皇国大使という肩書きを持ちながらも、一外交官として泰司と共に世界を飛び回っている。

 今は第三文明圏と大東洋諸国圏、そして北側諸国の存在する大東洋圏を飛び回っているが、何れは第一、第二文明圏や、南方世界にまで足を運ぶこともあろう。

 ともあれ、警告から始まった戦争は。重巡洋艦フィシャヌスがロウリア軍の攻撃を受けた瞬間、開戦となった。

 まずパール型重巡洋艦が距離3㎞から砲撃を始め、ロウリア軍の木造船を次々に破砕していった。しかし数が数。6,000余隻という膨大な数の前を葬ろうにも時間が掛かり、皇国の領海内に入った船が狼藉を働かぬとも限らぬ。

 そして船では分が悪いと考えたのか、ロウリア軍はワイバーンを800騎と大軍で仕掛けてきた。これに皇国軍はゼロ式艦上戦闘機52型と、精鋭の震電改で応じた。

 その様を見続けていたがまるでトカゲ狩りだった。遠方よりのロケット弾攻撃から始まり、爆散していくトカゲの群れ数十匹。次々に飛び込んでくる皇国軍のロケット弾にロウリア軍の竜騎士隊は数を減らしていった。

14休日:2023/04/27(木) 00:16:27 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 続いて震電改が飛び込んできて、30㎜機関砲という信じられない高速大口径の銃を乱射していき200、300、500、700、とトカゲ狩りをしていく。圧巻だった。まるで勝負になっていない。最後に残った一匹までもを狩り尽くすと、ゼロ戦隊と震電隊は航空母艦ヴェロニア型のもとに帰投していったのだろう。

 北の彼方に消えていった。そして重巡洋艦フィシャヌス型が並んでおった海域に、より巨大で堅牢な艦船が4隻、姿を見せた。満載排水量76,800tの巨大艦。我がパーパルディア皇国最大の戦艦パールネウス型。

 日本より戴いたものだから自慢は出来ぬが、いまやパーパルディア皇国の誇りでもある。戦争が始まる前、パーパルディア皇国領の自治都市クーズに住まうハキとイキアが、皇都エストシラントを訪れており。

 私が帰国中だと知るや外務省に乗り込んできて。

『レミールよォ、ロウリアと戦争するんだろ? あの戦艦クーズに俺とイキアを乗艦させてくれ! 皇族権限ってやつでさ!』

『し、しかし戦争だぞ? 遊びでは無いのだ。ハキもイキアも死ぬかもしれぬぞ?! 私は友となったお前達を喪いたくは無い!』

『おおッ、狂犬と呼ばれたレミール皇女様がずいぶんと弱気じゃないか! 安心しろよクーズは絶対沈まねえ! あんな巨大な戦艦がたかがロウリアの木造艦隊なんかに負けてたまるかッ!』

『し、しかし……』

『頼むよレミール。皇族で友達はお前しかいないんだよ』

 そうして無理矢理皇族権限を使わされ乗艦を許可してしまった戦艦クーズも。その4隻の中に含まれていた。

 4隻は等間隔に横並び一線。1艦ずつの距離は500m〜1㎞といったところ。

 その1艦1艦の巨大な砲、前部2基6門がゆっくりと前方を向き、ロウリア艦隊と対峙する。

 訪れる僅かな静寂。静まりかえるエストシラント沖の海域。始まりと終わりは同時だった。

 戦艦パールネウス、戦艦クーズ、戦艦カース、戦艦アルーク。4隻の戦艦の前部の巨砲に、青白い光が集まり、帯電を始めた。あれは電気だという。電気文明の発展した北側諸国では珍しくも無い現象。

 私も日々普通に生活をする中、あの青白い光に触れたことがある。あの時は手が痛かった。スタンガンだ。防犯グッズの。泰司の家に暴漢対策用に設置されている。私と二人暮らしになった頃から設置したのだ。

 そのスタンガンの電気は青白いほど熱が高い。つまりあの4隻の砲口が青白いと言うことは高熱を意味し。あの砲の中は今、超高熱となっていることだろう。甲板員も皆艦内に避難している。

 誰も居ない甲板で、青白い光だけが巨大に膨れ上がっていき。

 そして、次の瞬間、それは24つという数の分だけ一斉に解き放たれた。


 ズドォォォォォォッ――


 轟音とともに撃ち出された24本の光の帯が、海を割り、小島を粉砕し、ロウリア軍6,000余隻に襲いかかったのだ。

 その様はまるで大嵐に吹き飛ばされる小舟のように、24本の光の帯は一瞬にして全ての艦船を薙ぎ払っていった。

 戦友と友に戦いに出た。家族に帰ると告げて出征に出た。出世して給金を増やしてと野望を抱いて戦いに臨んだ。

 そんな全てが一瞬にして、ゴミのように処分されたのだ。

 24本の超電磁砲の軌跡は300㎞の間をひたすら海を削り割って消えていった。

 なまじ、浮遊航空艦からの映像だから、戦場カメラマンの映像のようによく見えた。音もしっかりと拾って。

「た、泰司、もう一度聞く。辻卿のお言葉、あれはおもちゃというお言葉は本当なのだな?」

 私を抱き締めてくれている泰司。黒を基調としたドレス故にわかりにくいが、私のドレスの中は正直恐怖に汗ばんでいる。映像では色々と見てきたこの一年と少し。

 だが、直接見るのはコレが初めて。故に私は怖かった。

「ええ、間違いありません。辻閣下の仰ったとおり、あれはおもちゃです。我が国や神聖ブリタニア帝国、AEU他、一部の大国にとっては」

15休日:2023/04/27(木) 00:17:27 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 これを聞いた恐怖に、私は泰司にしがみついた。

「た、泰司っ! 私を、私を抱き締めていてくれっ!」

「れ、レミール皇女、如何なされたのですかっ!?」

「い、いいから抱き締めて、泰司」

 艦橋でこの様に抱き締め合うのは不謹慎であると知りながら。それをせずにはいられなかった。

 私は未だ北側諸国の真の恐ろしさを知らない小娘だったのだ。


 この戦争が終わった後、しばらくの休暇を戴いていて良かった。日本に駐日大使として派遣されてからこの一年。なぜか辻卿より大量の書類が送られてきて、処理するよう要請されるが。

 なぜパーパルディア皇国大使館なのだろうと思い聞いてみると、『貴国がこれまで迷惑を掛けてきた国々の苦情の書類です』とのこと。

 これはセレミア皇帝も同じように第三文明圏の国々から苦情の書類の処理が来ているとか、私が担当しているのは大東洋諸国圏のもの。

 確かに私は、私たちパーパルディア皇国は迷惑ばかり侵略ばかりの日々だった。そのツケとしては安いものでしょうという辻卿の言に、私は何も言えなかった。

 その書類仕事もようやく終わる目処が付いてきた。どれだけ迷惑ばかり掛けてきたのだろうか我が皇国は。

 他にも書類の中には新しい国家と国交を結んだことに対するものも含まれており、家にまで持ち帰って泰司に手伝って貰いながら書類仕事をしたのも懐かしい。

 とくに恐ろしくも楽しかったのが北側諸国とのやり取りを行った書類関係だろうか。平和主義ながら怒らせれば世界を滅ぼす力を発揮する国々との。

 まだ一年なのだな。一年、学んだつもりが、まだまだケツの青い小娘だったのだと、今日思い知らされた。


 ぷちゅん


 泰司に抱き締められて安心していたところ、メインスクリーンの映像が付いた。映っていたのはいま話題に出していた辻卿だった。

「つ、つつつつ、辻卿!」

「か、閣下っ、こ、これはそのっ、レミール皇女が戦場の気配に恐怖なされておりましたので抱き締めて差し上げていただいていたのでございまして、けして不埒なことをしていた訳では――」

『ああ、ああ、構いませんよ。アレを。あのおもちゃの威力を初めて見たらこの惑星の人なら皆、レミール皇女殿下のようになります。デュロのオペレーターはまだパーパルディア人ではありませんから平然としているだけで。ま、下の艦隊でも一部の方は喜んだりしているかも知れませんが』

 辻卿は深い瞳に笑顔を浮かべて私と泰司を見ていた。

16休日:2023/04/27(木) 00:18:44 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「つ、辻卿はどちらに?」

『あなたがたの浮遊航空艦デュロの上空10,000mです。どうですレミール皇女殿下。これが本物の戦争です。映像で見るのと現場で味わう空気とではまったく違うでしょう? 強かろう弱かろう関係なく、一切合切を呑み込む。この度はパーパルディア皇国が圧倒的に強かった。それだけの話しです。個人の事情も、野心も、生活も、全て奪い消し去る。その上で生き残った者はその命の分だけしっかりと生きていく。ま、説教じみたことを言いましたが大勝利おめでとうございます』

 ロウリアもこれだけ喪えばもう何も出来ないだろう。まだ何かしようとするならばただの馬鹿です。まあ馬鹿ほど行動的なので何をするか分かりませんが、パーパルディア皇国にはもう侵攻できないでしょう。そういう辻卿。

『場合によってはパーパルディア皇国からロウリア王国にやってみます? 砲艦外交』

 私はぶんぶんと首を振って否定した。私の首の動きに合わせて波打つ私自身の長い膝下へと流れる銀色の髪を、私を抱き締めてくれている泰司が逐一撫でて綺麗にしてくれているが、私は、我が国はそんな思い上がりをたった一年と少しで持つほど愚かではないつもりだ。

 北側諸国にオブザーバーとして参加させて頂いて良く分かった。パーパルディア皇国など所詮は井の中の蛙、超弱小国なのだと。150年前の大日本帝国と戦っても大敗を喫するほどの弱小国家なのだと。北側諸国とともにであれば参加させて頂きたいものだが。

『その艦、軽斑鳩級デュロですが、もし良ければレミール皇女と朝田さんの長距離移動専用に為さっては如何です? この惑星は非常に広いですからね』

 思わぬ提案が飛び出した。辻卿が言うには。私も学んだが、この世界は惑星という星で、北側諸国がいたという地球という惑星と比較して非常に大きく、赤道直径が100,000㎞を超えるという。移動手段の限られる文明圏同士の行き来が難しかろうとのこと。

 この為、フレイヤ炉と呼ばれる永久機関を搭載した浮遊航空艦デュロで行き来すれば時間短縮にも繋がり、移動手段としては良いのではという話しだった。

「よ、よろしいのでしょうか辻卿。このデュロは日本の――」

『パーパルディア皇国に差し上げたものですのでご自由にお使いください。使い道に関してとやかく言いませんよ。分解して壊したらしりませんが。居住性もよろしいでしょう。是非お仕事用にでもお使いください。ブレイズルミナスも搭載されております。単装リニア砲も搭載されております。序でを言うと、無頼やグラスゴー最初期型12騎から14騎は搭載できますので紛争にも使えます。安全面もそこそこ高いので使い勝手もいいですよ。ただ呉々も皇帝陛下のご許可は戴くように。まあくれるでしょうが』

 こ、これ、本当にKMFを搭載できるのか?! 辻卿のお言葉、日本で読んだ図鑑やネット情報からも知っていたが。

 あの強力な人型装甲騎を10騎以上搭載できるなんて。山岳地帯や都市部、砂漠地帯などで大きな力を発揮するKMF。

 私も乗ってみたいと思っていたし、……だが、軍の了解を取らねば。

『レミール皇女殿下に14騎追加で無頼と14機追加でVTOLを差し上げますので余計な事を考えなくてもよろしいですよ。どうせ乗りかかった船ですから。ただし力を得るということは時に責任も伴うとだけは覚えて置いてください。あとオペレーターや乗組員の人はパーパルディア人から選別して訓練して置いてください。いつまでも日本のオペレーターや乗組員を貸し出せませんので』

「う、うむ、確かに辻卿の仰るとおりだな。デュロの乗組員は日本の方々の訓練を受け次第、順次我がパーパルディア皇国皇民の中より選抜させて頂く」

17休日:2023/04/27(木) 00:19:17 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 あっさりと裁可くださる辻卿。日本にとってはKMFとはいえ最初期型の無頼ならば辻卿の個人裁量で動かせてしまえるものなのか。それとも、辻卿とあの方々の権力が強大に過ぎるのか。

 うーむしかし確かに人員はパーパルディア皇国人から選ばねばならぬ。ならばハキとイキアに相談をしてみるか。クーズの都市民はいまやる気に満ちていると聞くからな。

 ふふ、ハキとイキアなら自らが喜んで乗り込みそうだ。クーズの都市民からオペレーターも乗組員も全員まかなえそうな気もするが、どうだろうか。

 だが、ハキとイキアが戦艦クーズの方に乗りたいと言い出した場合はどうしようか。気心の知れた友人が他にもいないわけではないが。

 いっそ、カイオスでも連れてきてやろうか?

「泰司」

 私は未だ抱き合ったままの姿勢でいる泰司に声を掛けた。思えば辻卿とのやり取りも泰司と抱き合ったまま行っているのだ。様にならぬな。

「如何しました?」

「泰司はKMFには乗れるのだろうか」

「まあ操縦程度は出来ますよ。伊達に外交官をやってません。危険な任務の時には無頼改を軍からお借りして任務に向かいますので」

「そうか……泰司が、私の騎士になってくれたら……」

「なんです?」

「あ、ああ、いやなんでもない! 忘れてくれ気の迷いだ」

 そこで辻卿が割って入る。

『レミール皇女殿下と朝田さんは同僚の外交官にして恋人同士。騎士の選定にも向いているかと愚行致しますけれどね』

「つ、辻卿?!」

「辻閣下っ?!」

 にっこりと笑う辻卿に、いきなり何を言い出すのだこの御方はと、私と泰司は大慌てでその場をやり過ごすのだった。

18休日:2023/04/27(木) 00:20:22 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 軽斑鳩級浮遊航空艦 デュロ

 使用国:パーパルディア皇国

 全長:191m

 時速巡航:450㎞

 最高速度:1000㎞

 ブースター装着時:マッハ2〜3

 乗員:230名

 充足時:340名

 フレイヤ炉搭載

 航続距離:∞

 兵装:単装砲(リニア砲)5門

   :ミサイル発射機2基搭載

   :スラッシュハーケン(近接用武装)

   :ブレイズルミナス

19休日:2023/04/27(木) 00:23:09 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
あらためまして昔の呼び方でham氏お久しぶりです。
長らくお暇をいただいておりましたが最近ちょこちょこ小ネタを投稿中です。

20トゥ!ヘァ!スマホ:2023/04/27(木) 00:38:00 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

ロウリア艦隊が片付いたので、次はロウリア陸軍とロウリア本国でしょうかね。

陸軍同士がぶつかるよりも、航空隊による爆撃が先かな?

21二二三:2023/04/27(木) 01:59:32 HOST:KD106154151015.au-net.ne.jp
乙です。予想通り皆さん驚愕してますね。原作と違ってアルカオン提督もヴァルハルも良い立ち位置で
震電隊と言い原作で死んだ名あり人物、名ありの艦船が活躍しまくってるな。各国の観戦武官は報告が大変そう
レミールとハキとイキアが友達になってるのすごくいい。ハキがレミールに皇族権限使わせてまで戦艦クーズに乗り込んでるのも
ロウリア海軍と空軍はこれで消滅ですな。パタジンがアホじゃなければ残り200騎のワイバーンでどうにかなる相手だとは思わないだろうし。この後どうするんだろう

22二二三:2023/04/27(木) 02:04:40 HOST:KD106154151015.au-net.ne.jp
航空隊による攻撃が先ならパーパルディアには2,000機からの戦闘機があるからロウリアが耕されますね
ムーと交渉してアルタラスの飛行場借りるのかな。ヴェロニア型空母なら4隻で500機は載せられると思いますが

23二二三:2023/04/27(木) 02:17:55 HOST:KD106154151015.au-net.ne.jp
VTOLの航続距離的にパーパルディア本土から500騎のナイトメアの輸送は無理
浮遊航空艦では14騎だから三隻で42騎。戦車揚陸艦が四隻で一隻当たり戦車30両くらいだったかな140両
ただし兵士も載せないと駄目だから戦車だけってわけには行かない
他にパール型重巡洋艦とパールネウス型戦艦で海からロウリア王都を艦砲射撃

ベタなパターンとしてセレミア皇帝が平和主義者だからここで条件付き降伏勧告を送る

24ハニワ一号:2023/04/27(木) 06:55:17 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
乙です。
当然と言えば当然ですが北側諸国の支援を受けたパーパルディア軍圧倒的ですね。

25名無しさん:2023/04/27(木) 07:12:03 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp

原作よりも酷いかもしれん。
恨むなら原作者だな。

26二二三:2023/04/27(木) 08:44:09 HOST:KD106154151210.au-net.ne.jp
そういや原作だと1400隻撃沈で撤退させたんだっけか。こちらの世界は1400隻どころか6000隻全艦撃沈、ワイバーン800騎撃墜。ロウリアほっといても財政破綻か内戦になりそう

27二二三:2023/04/27(木) 08:46:35 HOST:KD106154151210.au-net.ne.jp
夢幻会は良くも悪くも敵と判定した相手には容赦がないからなあ

28二二三:2023/04/27(木) 18:21:19 HOST:KD106154151146.au-net.ne.jp
質問、自分の連投書き込み、ひょっとしなくても鬱陶しいですか?

29アイサガP:2023/04/27(木) 18:31:02 HOST:125-8-153-75.rev.home.ne.jp
それは何とも…

ロススト最新話、相変わらずおもしろい
オズベースに色々組んでるから、どう動くのか本当に分からねえ

そして貯めたサクラダイトとストーリークリア報酬全部足してやったオズガチャ30連にて
無事ロケットの欠片約1600個ゲットしました(遠い目)

30トゥ!ヘァ!スマホ:2023/04/27(木) 18:43:21 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
多分誰も気にしてないとは思いますが…


>>29

私は取り敢えず貯めてたジュエルで天井近くまで回してオルドリン二人出ました。

あと二重連で天井になるので今回のミッションとアナザーストーリーの方進めて天井してオルフェウスの方も確保しようと思います。

31休日:2023/04/28(金) 01:45:33 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
投稿します。
CP:玉城×マリーベル有

32休日:2023/04/28(金) 01:46:24 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


「終わらない。終わらないっ。終わらないッ! アーツ! 書類仕事が終わりません!!」

 パーパルディア皇国皇都エストシラントはパラディス城の奥に住まう皇帝。慈愛の皇帝にして絶対皇帝の異名を持つセレミアは、山積みになった書類と一人ひたすら戦っていた。

 書類内容はひたすらに、謝れ、謝罪しろ、パーパルディア皇国皇帝としての謝罪を。という要求であった。

「これも全てはルディアスのお馬鹿の所為です。なにが余は蛮族を纏め上げ第三文明圏を統一し、中央世界を征服するですか! どこまで勘違いした馬鹿なのです!」

 あの頃のパーパルディア皇国は精強な竜騎士団に加え、800〜1,000隻の魔導戦列艦を保有していた。確かにあれだけの戦力があれば第三文明圏までは征服できたかも知れない。

 第三文明圏にアレを超える戦力を保持している国は無い。第三文明圏第二位の大国であろうリーム王国ですら。

 だが、中央世界は不可能だ。あの男は勉学で中央世界を学ばなかったのだろうか。煌煌と光り輝くルーンポリスの夜。眠らない魔都。あれを見ただけでも、我が国程度が到底適うような国では無いという国力差があることに気が付く。

 天の浮舟、魔導艦隊、なにを、何処を取っても昨年までのパーパルディア皇国がどうこう出来るような相手ではなかった。

 我が国にとって唯一最大の失策があるとすれば、あんな馬鹿を皇帝に推挙してしまったことだろう。おかげで拡大に次ぐ拡大戦争で、戦費により国庫は圧迫され。

 その事も知らない外務局のレミール姉様を初めとした、あの男に心酔していた当時の皇族達は散在に次ぐ散財をしていた。

 無論声を上げれば処刑という、典型的独裁手法をとっていたあの男に誰も逆らえ無くされてしまっていたからだが。

 いずれにせよ、その頃にはもう全てが遅かったのです。領土の租借約500年?! 魔鉱鉱山を寄こせ?! 王女を奴隷に差し出せ?! ただの強盗じゃないですか!

 あの頃、大日本帝国と、北側諸国が外圧を掛けてくださらねば、この国は早晩腐り果てて、地図の上から消えていたことでしょう。

 大きな出来事として名前を出すのも嫌なあの男と、レミール姉様を引き離せたことでしょうか。

 レミール姉様もあの男に心酔し、各地で酷い政策を行ってきましたが、日本の朝田外交官と触れ合ったことで徐々に正気に戻っていきました。

 いえ、日本と触れ合い正気に戻ったのは軍最高司令官のアルデ、外務局のカイオス、エルト、リウス。外務監査室の皇族達。非常に多岐にわたります。

 位の高い者から低い者まで、皆正気に戻っていき、自分が一体何をしてきたのかを見つめ直すようになっていきました。

 アルタラス大使カストの様な、もう完全に壊れて引き返せないところまで行ってしまっている者もおりましたが、概ねルディアスの洗脳は解けた感じです。

 そしてあの北側諸国の大艦隊が国交開設交渉に迫り来た日。あの男は全てをレミール姉様に押し付けて逃げたのです。

 誰しもが恐怖を抱き。いつ怒りに触れ国ごと消滅させられるかも分からない状況下で、自分一人、自分に心酔する僅かな手勢とともに逃げ出す。もはや皇帝失格です。

 誰もが気付いた頃、北側諸国とパーパルディア皇国の会談が始まりました。

 北側諸国全てとなると多すぎるということで、北側よりの代表者。

 大日本帝国:辻政信代表。

 神聖ブリタニア帝国:シュナイゼル・エル・ブリタニア代表。

 AEU:アドルフ・ヒトラー代表。

 と、お三方が参られ。ルディアスに心酔し畜生の如き悪行を働いてきた責任の意思もあったのでしょう、パーパルディア皇国の代表には皇族から外務局監査官としてレミール姉様が臨みました。

 この会談、盗み見したり盗聴したりとやりたい放題でしたが、北側諸国の方々は気付いていてお気になさらなかったことが印象に残っております。

 ヒトラー代表など『もっとオープンにやらんかね』と、こちらを挑発、いえ、お誘いくださるような発言をし。ユーモラスさをアピール。ヒトラー代表が実はAEU共同代表にして宰相閣下だと識ったときには、あわやまんじゅうを喉に詰めて窒息しそうになりました。

 シュナイゼル・エル・ブリタニア代表も実は神聖ブリタニア帝国の№3で宰相の地位に就くお偉い御方で、我が国の調度品などをご所望だったことをよく覚えております。

 パラディス城の上空に数百騎の鉄のゴーレムが飛び交い、50隻を超える空飛ぶ戦艦が太陽を隠し、海には信じられない巨砲を持つ軍艦や(艦種名は戦艦と伺いました名を大和・ペンドラゴン・グロイスドイッチェラント)他にも巨大な竜母(空母と伺い)

 揚陸艦を遙かに巨大にしたキイ型強襲揚陸艦。巡洋艦という艦種の艦、駆逐艦という艦種の艦。いずれも巨大な鋼鉄の艦隊が何百隻とエストシラントの海を覆い尽くしていたのです。

33ハニワ一号:2023/04/28(金) 01:46:39 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
ついにギアジェネが終了しましたね・・・。

>>30
うちはオルフェウスが来ましたね。

34休日:2023/04/28(金) 01:47:13 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 勝てるかどうこうの話しではありません。絶対は無いと仰いますが、あれこそ絶対に勝てない艦隊だったのでしょう。レミール姉様がルディアスに心酔したままお三方に非礼を働いていれば。

 パーパルディア皇国は一時間以内に滅亡させられていたでしょう。全ての外国の人間をこの会談に際し帰国させよというレミール姉様の指示は見事に的を射たものでした。外国にこのことが漏れてはいけない。

 ルディアスの洗脳が解けた証明でしょう。その北側諸国の代表の中で一人、紳士的な壮年男性が居りました。

 丸眼鏡を掛けた特徴的な男性。大日本帝国の辻代表です。彼はパーパルディア皇国に多く求めず、国交開設だけを求めて居られました。

 ただレミール姉様をジッと見つめる瞳は、まるで行ってきた罪業でも見つめているかのように止み色に輝き。

 ふと気が付くと、扉越しにこちらを見つめる瞳が深い深い闇を思わせていて、恐怖を感じさせました。心の水底までを見抜かれているような。

 あなたの考えは分かりますよと耳元で聞こえた気がしました。

 話は進み、この国の皇帝が国交開設に反対して逃げたというお話を伺ったヒトラー代表は『潰すかね』と小さく、冗談でも無い本気の言葉を発し場は張り詰めました。

 もちろん張り詰めたのはパーパルディア皇国だけで、他のお三方は平然としておられましたが。潰すの意味はどちらだろうか。ルディアスを潰すのか? パーパルディア皇国を潰すのか? その両方か。

 姉様にお伺いしたお話では、北側諸国はその気ならパーパルディア皇国を滅ぼすのに五分も要らないという。それだけの力を彼の国々はお持ちだと。

 そして潰すか? の意味はルディアスを潰すという意味で、当時の私は安心したことを覚えている。仮にも血の繋がったルディアスを殺すことに私には最早躊躇いが無かった。

 あの男はこの国の病巣だ。取り除かなければより多くの者が苦しむことになる。平民の命をなんとも思っていない、属領民のことなどゴミとしか見ていない。

 人間とは、皇族と貴族だけ。そんな選民思想に縛られたあの男はもうこの国に必要ない。

『我々なら100年ほど前の骨董兵器ならば貴国、いやレミール皇女殿下になら貸与できよう。どうかねお二方』

 ヒトラー代表が大きな声で宣告した。辻代表、シュナイゼル代表に聞こえるように。そしてレミール姉様に聞こえるように。

 彼ら基準の100年前。私たち基準の遙かなる未来兵器を、レミール派に無償供与しようという話しだ。もちろんルディアスを始末しろという遠回しな命令。

 でも、姉様は自分が旗頭となって次代皇帝となるより、別の者を選別してその者に次代皇帝の座を任せたいという。

 自分は広い世界を見てみたいのだという。では――

 誰だろう?

 私だった。

 計ったなレミールっっ!!

 私は別に皇帝になどなりたくない。皇族ということでただでさえ忙しい政務に忙殺されるというのに、皇帝とは。

 結局私は担ぎ上げられてしまった。なりたくなくてもならなければならないときもあるのだということでしょう。

 もしも、ここで逃げ出したりしたらヒトラー代表の仰った。

『 臆病・能なし・現実を見る勇気も無し、三拍子揃って居っては見放されもするか。私としてはその様な無能は直ぐにでも処分するがね』

 これに当てはまってしまう。私はルディアスのように臆病でも能なしでも、現実を見る勇気の無い人間でも無い。あんな男と一緒にされるなど不快極まりない!

 そうして北側曰く骨董品。私たちからは当然のこと、神聖ミリシアル帝国から見ても充分な未来品の兵器を山のように与えられ。更には無頼改というナイトメアという鋼鉄のゴーレムの力も借りて、私はルディアス派を討ち取っていった。

 最早容赦も慈悲も無い。選別の時は終わったのだから。そうして私は暴力革命という非情手段を以て、パーパルディア皇国皇帝へと戴冠した。

35休日:2023/04/28(金) 01:47:52 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp





 砲艦外交する?しない?




 レミール姉様は北側諸国の第二位の超大国『技術の日本』へ大使として赴任された。ずっとエストシラントはパラディス城と私邸を行ったり来たりで世界を知らなかったあの人は。

 自分の目で広い世界を見てみたいという思いから旅立っていったのだ。そこには大日本帝国の外交官、朝田泰司さんと一緒に居たいといった私的な想いもあるようだけど、私はそれを許した。

 旅立つ前、彼女は属領統治領や植民地だった自治都市に自らの足で謝罪行脚をして回った。これまで行ってきたこと。これから行う予定だったこと全てをつまびらかにして。

 殴られ、蹴られ、殺され掛けたこともあったらしい。それでも殺したいなら殺して欲しいと自らを投げ出す姉様の姿に、『あんたを殺しても親父やお袋は帰ってこねえ』そう、似たようなことを各地で言われ続けたらしい。

 最高責任者。それを指示していたルディアスを公開処刑にしたことも大きかった。最高責任者の『たしゅけで、だじゅげで』という醜く哀れな姿を国民皆に見えるようにと北側諸国が携帯テレビという物を配ってくれたのだ。

 恐怖の独裁者の正体は実は哀れで汚い汚物その物だった。最後の瞬間になっても民に謝罪をする事が出来なかった。断頭台の刃は降り、哀れな男の首が飛んだ瞬間こそが、真の意味でパーパルディア皇国が生まれ変わった時なのだろうと思う。

 そんな謝罪行脚の中、姉様と友達になってくれた人達もいたらしい。現パーパルディア皇国自治都市のハキさんとイキアさんという方。

 明日への希望も無い中を生きてきた彼らは、ある日突然解放された。よりにもよって自分たちを苦しめてきた人間の一人であるレミール姉様に。

 最初はそれは罵声を浴びせられたという。でも彼らは姉様を殴ったりせず、殺したりもせず、ただその謝り続ける。皇族なのに土下座をし続け、顔を土に突け続ける女をみていたらしい。


『もういい!!』

 ハキさんがいった。

『レミール皇女だったな。あんたが心から謝罪してること充分伝わってきた。その美人な顔に付いてる青たんや蹴り跡。それも他の自治都市で貰ってきたもんだろ。でもあんたを殺そうとした奴はいなかった。みんな分かってんだよ。本気で殺してくれって言ってることも。本気で謝罪してることも。だからぁっ!全部水に流してやるっ!』

 イキアさんが続いた。

『なんかあんたルディアスが任命してた屑な官僚や大使なんかを率先して逮捕しては死罪を言い渡してるそうじゃないか。やることもやって、殺されることを覚悟してここまで足を運んで謝罪する。見上げた根性だよ。俺は許せないけど、とりあえず怒りはもう封印するよ』

 クーズ自治都市ではそうやってレミール姉様の謝罪は受け入れられたようです。

 他の地でも命をかけた謝罪は受け入れられていって、地方から発展させていくと約束すると。私の了解も無く勝手な約束まで取り付けて。

 まあ、私も地方から発展させるつもりでした。パーパルディア皇国を今のまま、今の国土と領土のまま国を維持しようとすれば、それは地方からの発展に掛かっています。

36休日:2023/04/28(金) 01:48:43 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 そうしてがむしゃらに戦い続けたこの一年と少し。パーパルディア皇国は大きく発展を遂げました。

 北側諸国からの多大なる支援によって、地方には多くのビルディングやモールなどが建ち、活気に溢れ。

 エストシラントには古都のイメージを求めて北側諸国から大勢の観光客が訪れるようになりました。

 姉様と朝田さんも上手くいっ、行き過ぎているようで、少し不味いです。辻卿曰く。

『朝田さんとレミール皇女殿下の間には一年後にはお子さんがお生まれになっているでしょう』

 大日本帝国の元宰相にして影の支配者と噂されている嶋田卿には。

『気が付いたら妊娠しているので。二人同時に。朝田さんとレミール皇女は子供出来るのは早いと思いますよ。ですからやるべきことがあるのならお早く』

 とご忠告を受けました。

 嶋田卿は神聖ブリタニア帝国第三皇女ユーフェミア・リ・ブリタニア皇女と、ブリタニア皇帝の護衛である12人の剣のお一人、ナイトオブトゥエルブ――モニカ・クルシェフスキー卿を妻に持つという方で、大日本帝国では本来認められていないとのこと。

 ただし、嶋田卿は神聖ブリタニア帝国へ婿入りした御方でもあるので法的な面はクリアされているとか。過去の功績や、ブリタニア皇帝シャルル陛下との関係も大きいらしいですね。

 そんな嶋田卿は、今でも度々辻卿に日本へと呼び出されては書類仕事をさせられているらしいです。少し親近感を覚えます。

 レミール姉様と朝田さんの関係を識る方々の証言を洗い直しても、レミール姉様が朝田さんの子を妊娠するのは早晩のうち、子供が出来るのは早いと見られている。

 だからこそこちらも早く動かなければならないのです。仮にもパーパルディア皇国の皇族であるレミール姉様と平民の朝田さんがご結婚されるのですから。

 当然ですが朝田さんがレミール姉様に婿入りする形となります。パーパルディア皇国皇族が嫁入りはあり得ませんので。

 これからパーパルディア皇国の皇室典範や法をいじり、皇族のまま平民を婿に取りまたは嫁に貰う方法を現在模索中です。

 これは恐れ多くも北側諸国第一位の超大国『力のブリタニア』こと、神聖ブリタニア帝国を参考にさせて頂いております。

 現皇帝シャルル・ジ・ブリタニア陛下は100人以上の女性を娶っている凄い方なのですが、その中に数名、元平民の方がいらっしゃいます。大きな功績を立てた方。シャルル陛下に見初められた方。

 ケースはまちまちですが、平民が皇族と、ましてや皇帝陛下と婚姻関係に至るのはパーパルディア皇国の歴史上では無かったこと。

 このシャルル陛下の例を参考に、朝田さんにはレミール姉様に婿入りして頂こうと考えております。

 こちらの提案はすでに辻卿にもお伝えさせて頂き、意見をお伺いした結果、パーパルディア側の法律が許せば構わないのではないでしょうか。とのお言葉を賜っておりますので。

「はぁ、しかし書類仕事が終わりませんね」

 しかし、パーパルディア皇国の皇帝として。迷惑を掛けてきた国へは賠償も行わなければ成りません。

 アルタラス、フェンへの賠償は終わりましたがまだまだ。リームには賠償しませんよ? あの国はどちらかといえば我が国が勝手に武装解除したと思い込み、攻め込んでこようと考えている国の一つです。

 リームとの国境には60式戦車と近代装備(北側曰く100年前の骨董品)歩兵と、KMF無頼(最初期型)で構成された機甲部隊を配置しておりますので、来るならばいつでも来なさい。

 新生パーパルディア皇国の力を見せてご覧に入れましょう。この間のロウリア軍の領海侵犯の時のように。

 あれも私はノートPCで北側諸国の中継を見ておりましたが物凄かったです。我が国の重巡洋艦が被害を受けたそうですが、塗装が剥げただけという、どう言えば良いのかコメントに困る被害は受けましたが死者0。

 我が方側はゼロ式艦上戦闘機、震電改の活躍。止めにパールネウス型4隻による46㎝超電磁砲24門の一斉射をお見舞いし、敵軍を文字通り消し飛ばしました。

 最終的にロウリア王国軍は、800騎の竜騎士団、6,000余隻の艦船全滅で、死者は推計で100,000人超えだとか。恐ろしい人数です。

 まだ彼の国の本土には陸軍がありますが、海を渡ってくる手段が無い以上は、これ以上の皇国への侵略は無いと見て良いでしょう。

 問題は落としどころでしょうか。突発的とは言え、宣戦布告も無しとは言え、我が皇国は戦争を仕掛けられました。

 これで何もせずに終わらせるのは私が良くても、国民が納得しないでしょう。旧植民地今の自治都市の方々も今や自分はパーパルディア皇国民であるという帰属意識をお持ちです。

 ここで甘い対応をしてしまっては内外に対して示しが付きません。

37休日:2023/04/28(金) 01:49:52 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「……」

 パールネウス型4隻が圧倒的力を持っていることがこの戦争で内外に大きく知れ渡りました。

 クワ・トイネ公国、ムー国の観戦武官が見ておりましたからね。ムー国の大使であらせられるムーゲ様からは私への面会の要請がひっきりなしだとか。

 大方アレを何処で作っていたのか。製造方法は。あの砲は何というのかとお聞きになりたいのでしょうが、北側諸国とムー国が接触を持っていない現時点で私の判断で動くのは憚られます。

 辻卿や、御方々、大日本帝国上帝陛下はお許しくださるでしょう。

 ブリタニアのシュナイゼル殿下や、シャルル陛下もお許しくださるでしょう。

 AEUのヴェランス皇帝陛下も……しかし同じくしてAEU最高指導者のヒトラー宰相閣下はどうでしょうか? あの御方はとても気性の激しい御方だと聞き及んでおります。実際にルディアスを殺せと最初に申されたのはあの方です。

 他の方、朝田さんにお聞きしたところ、ヒトラー宰相閣下は民族浄化でも為さる御方だと……。

 そんな御方の許可無くムーゲ様に艦内を案内するのは。

 そこまで考えたところで私は引っかかりを覚えました。北側諸国の首脳方はあの戦艦パールネウスを何と仰っていたか?

 そうです“おもちゃ”です。

 おもちゃなのです北側諸国の方々にとっては。あの強力な46㎝超電磁砲でさえおもちゃなのです。確か一度来なさいとヒトラー宰相閣下にAEU帝都ドイツはベルリンへとお誘いを受けているのですが。

 今は書類仕事が一杯で失礼ながらご招待をお受けすることも出来ない有様。そのドイツで。

『我が自慢のグロイスドイッチェラントを案内して差し上げよう』

 と、そう上機嫌で仰っていた。

 諸元表だけをお聞きしましたがとんでもないものです。初めて国交開設交渉に訪れたとき彼らが海に浮かべていた超巨大艦。

 その一つがグロイスドイッチェラントなのでしょう。

38休日:2023/04/28(金) 01:50:47 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 戦艦グロイスドイッチェラント級

 

 一番艦:グロイスドイッチェラント

 

 二番艦:グリードリッヒデアグローゼ。

 

 三番艦:ウルリヒ・フォン・フッテン

 

 四番艦:ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン

 

 基準排水量:123,000t

 

 常備排水量:132,000t

 

 満載排水量:142,500t

 

   :AEU新型フレイヤ炉搭載

 

 全長:347.0m

 

 全幅:52.0m

 

 速力:34.9ノット

 

 主砲:56.0cm三連装超電磁砲3基9門

 

   :15cm55口径砲連装6基12門

 

   :10.5cm65口径高角砲連装8基16門

 

   :37mm自動機関砲16門

 

   :20mmCIWS12基

 

   :全長6.02m533㎜誘導魚雷発射管(水中)を艦首両舷各3門計6門装備(最大射程は205㎞)

 

   :艦載機:VTOL6機

39休日:2023/04/28(金) 01:51:45 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 はっきり申し上げてこんな艦と比べられたらパールネウス型なんて駆逐艦と同じ、いえ、それ以下。話になりません。

 ですが、北側諸国ではこれくらい普通だそうです。特に超大国と呼ばれる国々にとっては。ブリタニアのペンドラゴン型は150,000t強。

 大日本帝国の大和型に至っては160,000tに達するそうで砲は60㎝三連装砲3基9門だそうです。他の国も80,000t級の戦艦を保有している国があると言います。

 その戦艦(超大国三国の戦艦を除く)を撃沈してしまう駆逐艦や、巡洋艦。戦闘機、KMFなどもあるそうで、まさに魑魅魍魎の世界。

 ともあれ、そんな国々の技術のずっと昔の、それもムー国では解析不可能な技術くらい見せても。

 いいえ、しかし辻卿やシュナイゼル殿下、ヒトラー閣下はレミール派でありセレミア派であるから100年前の技術を渡したと仰ってお出ででした。

 そんな技術を軽々しく開示するなど私には……。


 ともかく話を戻して。パールネウス型の力は神聖ミリシアル帝国や南方世界、現場に居なかった中小国にはしられておりませんがムー国を通してやがて知れ渡るかも知れません。

 ならば我が国もやってみましょうか? 砲艦外交。どうしましょうか。普通に攻め込んで敵軍を潰し、無条件降伏を迫るのもありなのですが。

 それをやるとまた血が流れてしまいます。どうするべきか、悩みどころですね。

40休日:2023/04/28(金) 01:52:31 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp



 ※※※




 
「ねえ、兄さま?」

 腰下まで届く長い薄紅色の髪をした美女が、ベッドの上でささやきかける

「……」

 が、ささやきかけられた仏頂面をした、茶髪を威勢良く逆立てた男は答えない。

「シン兄さまったら」

 薄紅色の長い髪の美女がもう一度ささやきかけると、男はもぞっと動いて口を開いた。

「あのよー。お前いい加減にしてくれよな。今日は未遂で済んだから良いけど、ネッサローズに乗せられてから何回俺のこと襲おうとしたと思ってんだよ。一回はまじで襲われたし。お前皇女様なんだろ? お姫様なんだろ? どういう教育受けてんの? 親の面が見てーって、親の面はテレビでも写真でも見てるわ」

「うふふふ、シン兄さま。女は愛している男性にはとことんまで愛情を注ぐ物なのですわ」

「似たようなことクララも言ってたな」

「クララ……」

 クララの名を聞きぞわりと闇の気配を出す美女、こと、神聖ブリタニア帝国第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニア。

 彼女に取ってその名、クララ、ことクララ・ランフランクは永遠にわかり合えないライバル同士。恐らくだが威勢良く髪を逆立てた男。こと、玉城真一郎のファーストキスはクララに奪われている。

 だからマリーベルは我慢が出来なかった。愛しい愛しい、心が壊れてしまいそうなほどに狂おしく愛おしい玉城真一郎を自分だけのモノにしてしまいたいと。

 そして先日実行した。このネッサローズで。散った花は大輪の薔薇。薔薇と言えばローゼンクロイツ家のシンク嬢を思い浮かべる者も居ようが。

 同じくらいにマリーベルを思い浮かべる者も多く、彼女という薔薇が、薔薇の側から襲ったのだからこれはもう多くの男が泣いた。

 マリーベル皇女のような美女が何故にあの様なニートの能なしをと悪し様に彼を罵る声で一杯なのだ。

 マリーベルはその様な者を目の前にすると無礼討ち寸前にまで痛めつけてしまう。それをナイトオブナイツことオルドリン・ジヴォンが止めるのだが。

「私、なんであんなアホが関係していることに態々首つっこんじゃってんのよ〜ッ! もう〜ッ! アホ〜ッ!! タマキのアホ〜ッ!! マリーも落ち着いて落ち着いてッッ!!」

 と、それほどに、どこかの誰かが玉城の悪口を言うだけでキレるくらいに、玉城真一郎を好きで、恋して、愛してる。

 マリーベルの最大の宿敵がどこから入り込むか分からないと、地上へと降りるときなどには特に注意をしている。

 なにせマリーベルはズルをした。玉城の身柄を一時預かりその才能を活かさせて頂くというバイト的な名目でV.V.に訴え了承を貰い、クララの元から玉城を引き離したのだから。

 その上で、ファーストキスがクララなら、兄さまの初めてはわたくしのものと玉城を奪った。

「クララのこと、兄さまはどうお思いですの?」

「そりゃま、可愛い女の子だと思ってるぜ。あそこまで可愛い子はそうそういねェだろ」

 ちくッ。胸が痛くなるマリーベル。クララのことを可愛いとはっきりと言った。愛する男性に他の女性が可愛いと言われることの辛さ。兄さまはお分かりなのでしょうか。

 だが、同時に言った。玉城はいつもの調子で軽く。

「マリーも可愛いぞ?」

「……へ?」

41休日:2023/04/28(金) 01:53:58 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「薄紅色の艶やかな長い髪はキレーだし、整った目鼻立ちも最高だし。深い、海の色みたいなディープブルーっつーのか? そんな色の瞳も綺麗だしよ。胸も大きいケツも女らしい身長だって俺に近いくらいある。クララには無い可愛さが、お前にはあるんだよ」

 クララにはクララの。マリーにはマリーの可愛さがある。

「だから、そんなに焦んな。ここ来てよ〜く知ったが、お前ら俺みてーなアホのこと本気で好きなんだろ? 俺は二人とも好きだがまだ妹分的な好きだ。俺に女として好きにさせて見ろよ。愛させてみろよ。俺みたいなやつで良けりゃ、そんときを待ってる。だーかーらーねー? 無理矢理はやめよーな?」

 マリーベルの長い髪を優しく撫で梳く玉城。髪の中にて指を入れて優しく、優しく、髪に指を絡ませながら梳いていく。

「う、ああッ。にい、さまぁぁっ」

 ディープブルーの瞳からポロポロと涙をこぼすマリーベル。自分は何をしていたのか? 同意も無しにあの様な行為に及んで兄さまにご迷惑をお掛けした挙げ句、勝手に自分のものにしようとしていた。

 兄さまをお慕いしているのは彼女も同じなのに。その上で兄さまに甘えてしまって、慰められて。

「いいんだぜ別に。男ならお前みてェ良い女に抱かれたら男冥利に尽きらァ。気持ち良かったし、ああマリーベル・メル・ブリタニアって女はこんなにも俺の事が好きなんだなってことが良く伝わってきた。あんがとな。俺みてーななーんにもねーアホを好きでいてくれて」

 だからクララとも正々堂々やってくれ。

 結果がどうなったって俺が二人を好きなのは変わらねーから。


 ぷちゅん


 マリーベルの居室のモニターが付く。

 相手は副旗艦グランベリー。ナイトオブナイツのオルドリン・ジヴォンから。

 さっと布団に隠れる玉城。見られたら偉いことだ。

『マリー、ちょっといい。シュバルツァー将軍がさっき受け取ったんだけどグリンダ騎士団13艦全艦に待機命令が出たわ』

「ん、ぐす、たいき、めいれい?」

『どうしたのマリー』

「な、なんでもありません。それより待機命令とは?」

『ええ、なんでも北側諸国同盟に新しくオブザーバー加盟した小国、パーパルディア皇国がもしも砲艦外交の選択を取るならば、グリンダ騎士団にサポートにあたって欲しいと』

 マリーベルの瞳が鋭くなる。

「そのようなくだらないことの為に我が栄光あるグリンダ騎士団を?」

 あらたに加盟したオブザーバーとはいっても、国の体制が禄に機能をしていなかった屑のような国家だ、正確には一年と少し前までは、だが。

 最近ようやくマシになったといえど、その為にシュナイゼルお兄様やヒトラー閣下、嶋田卿がおもちゃを与えたと聞いた。それで充分だろうと。

『インパクトが欲しいみたいなの、あとはグリンダ騎士団のKMFかしら。グリンダ騎士団13艦の浮遊航空艦に約200騎のKMF、ロウリア軍も戦う気も失せるでしょ?』

 確かにそうだろう。未開の文明に近いロウリア王国が相手ならば、グリンダ騎士団だけで制圧できる。

「くだらないッ! そんなことの為にわたくしの騎士達を戦場に送るですって。ああいえ、戦場とも言えない蛮族の地でしたわね」

 なんでもエルフやドワーフ、獣人を差別している野蛮人共らしい。

 ブリタニアはクワ・トイネ公国ともクイラ王国ともそれなりによくやってきている手前、ロウリアの蛮人共が攻め込んできたならばグリンダ騎士団が制圧してみようかとも考えていた。

 だが今回の話しは元野蛮人の小国と、現野蛮人の戦い。そんなくだらない戦いのために自分たちが手を貸すのは気が引けた。

 まあパーパルディア皇国が今頑張って変わっていこうとしている努力は認める。うん、少し言い過ぎた。だがロウリアは駄目だ。言ってることやってることが蛮族にしか見えない。

42休日:2023/04/28(金) 01:54:47 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

『まあでも、上からの命令だし、しかたがないわよ』

「はああ〜ッ、自分を強いと勘違いしていたところを正して、おもちゃまでくれてやって、まだ足りないなんて。長年E.U.と戦い続けて文句一つ言わなかったシーランドのヴェーツ国王陛下の爪の垢でも呑まさせて差し上げたいところですわ」

『まあまあ、要請があったわけじゃないからそこまで辛く当たらなくても。パーパルディア皇国だって自分たちなりにこれまでを反省し、変わろうと頑張ってるんだから』

「ええ、そこは認めますわ。一度パーパルディア皇国のセレミア皇帝やレミール皇女とお会いしたことがあるけれど、確かに変わろうと自分磨きを頑張っているわね」

『努力をしている分は認めてあげなくちゃね。ん? それよりタマキのアホはなにしてんの?』

 いきなりの玉城の話題である。マリーベルの布団の中に隠れていると知られたら大変だ。オルドリンの性格だ。ハイグレイルでネッサローズに突っ込んでくるだろう。

「え? あ、に、兄さまはいまネッサローズ艦内をランニング中ですわ。少しは体力付けないとって。やる気いっぱいで」

 やる気なんか無い。だらだらしているだけだ。

『そうなんだ。んー、あいつがやる気出してるときっていっつも調子くれて失敗してるイメージしか浮かばな』

 これはいけない。長話をしているとボロが出る。そうそうに話しを切り上げなくては。

 マリーベルは急いで回線を切りに掛かった。

「と、とにかく待機命令承りましたわ。ありがとうございます」

『う、うん、じゃあね』

 ぷちゅん

「ふううう〜」

 一息吐いたところ。マリーベルの布団がもそもそ動いて玉城が這い出てきた。

「お前、ケツで押さえんなよ! 息できなくて苦しいだろうがッ!」

 ラッキースケベなくせに文句を言う贅沢な奴、その名を玉城真一郎という。

「ご、ごめんなさい」

 しゅんとするマリーベル。彼女は玉城に怒られると悲しくてすぐに弱気になるのだ。泣いてしまうときもある。

「あ〜もう、わーったよ! 今日は一緒に寝てやるよ! でも変な事すんなよ? お前前科持ちなんだから」

「……」

「どしたよ」

「兄さま!」

 玉城に抱き着き、頬擦りをしまくるマリーベル。

「兄さま兄さま兄さま兄さまシン兄さまぁぁぁぁ愛しておりますわぁぁぁぁぁ!!!」

「お、おいおいおいおい、お前なあ……ま、いっか」

 自分にしがみついて頬擦り攻勢をしてくるマリーベルを玉城は、なでこなでこと撫でてやる。

 可愛い嬢ちゃんはもう大人。13艦の浮遊航空艦隊の艦隊司令で総騎士団長様。はあ、俺ももう現実見て衆院選諦めるかなあ……。

43休日:2023/04/28(金) 01:56:56 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
パーパルディア・ロウリア戦争。
砲艦外交か?
戦争継続か?
素直に講和か?
どういきましょう。

44二二三:2023/04/28(金) 09:26:54 HOST:KD106146095145.au-net.ne.jp
乙です。オリキャラ皇帝苦労してますな。なまじ力を手に入れた分苦労増えた?
マリーベルもグリンダ騎士団を便利屋扱いされて切れて玉城に甘えてるし
砲艦外交で講話かな

45トゥ!ヘァ!スマホ:2023/04/28(金) 10:05:08 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

まあ国家運営と書類仕事は切っても切れない間柄ですからね。
仕事が多いのは国が発展している証拠でしょうから。

46ハニワ一号:2023/04/28(金) 10:48:08 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
乙です。
休日さんが投下しているのに気づかず割り込み投下してしまいすみませんです。
そして玉城もげろwww

47二二三:2023/04/28(金) 12:42:52 HOST:KD106154146082.au-net.ne.jp
マリーベルなんのかんの言ってパーパルディアの新皇帝とレミールの努力については認めてるのね
グリンダ騎士団いつのまに浮遊航空艦艇13隻にまで増えたんだ? ここまで膨れ上がったら対テロ即応軍集団かな?

玉城が無駄にかっこいいw

48二二三:2023/04/28(金) 12:54:51 HOST:KD106154146082.au-net.ne.jp
しかしこの感じだと休日世界の大型艦と浮遊航空艦は大体がフレイヤ炉を搭載してそうね
レミールが使用してる旧型艦にまでフレイヤ炉搭載されてるし
まああれは一から建艦したらしいからある意味新造艦でもあるけど
考えたらパーパルディアの艦艇や戦闘機って全部新造なんですよね

49休日:2023/04/28(金) 17:48:28 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
投稿します。
このお話は日本ツエーブリタニアツエー南天ツエーがしたかっただけなのもあり続けられるかわかりません。
ヒトラーとリッベントロップが語り合ってるだけです。
続きのご希望があれば考えてみようというくらいのものなので気軽にお読みください。

50休日:2023/04/28(金) 17:49:19 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ここはAEU帝都ドイツは帝都ベルリン。AEUとは王政復古した国家の国家連合の通称である。フランス王国、スペイン王国、ポルトガル王国、イタリア王国、マグレブ王国、帝政ロシア。

 オーストリア=ハンガリー帝国、国土は小さくなったがオスマントルコ、スウェーデン王国、ノルウェー王国、フィンランドも独立しフィンランド王国を建国。その他にもスイスなど中小沢山ある。

 そして中核であるドイツ帝国。人はこのドイツの帝都をグロスベルリンと呼ぶ者もいる。そのくらいに芸術性に溢れながらも幾何学模様を描く超巨大都市なのだ。

 無論、ヨーロッパという地に於いての話しで有り、極東、いまは極西に行けばグレータートーキョーが有り、東へ行けばペンドラゴンがある。

 彼の二大都市を前にしてはグロスベルリンも負けてしまう。いいとこ大阪やニューヨークと良い勝負になるくらいか。それでも十二分に過ぎる巨大都市なのだが。

 世界五指に入る。これは中々出来ることでは無い。ヒトラーとヴェランスは欧州開放後各国の荒廃した都市を日ブの力を借りて僅か数年で立て直した。最早奇跡である。

 近年ではヨーロッパの奇跡とも呼ばれており、これを成し遂げたヒトラーとヴェランスを讃え『ジークハイル』『ハイルヒトラー』『ハイルヴェランス』と叫ぶ者もいる。

 そのグロスベルリンの首相官邸、宰相官邸で刈り上げに七三分け。目つきの鋭いちょびひげの男が、いらだたしげに執務机をトントンと人差し指で叩いていた。

「リッベントロップくん、あの件は。ゲート向こうのE.U.を解放する件はどうなっとるのかね」

 ちょびひげの男、アドルフ・ヒトラーAEU初代宰相は怒りで机に手を叩きつけんばかりの勢いで、AEU外務大臣を務める少しばかりいかめしい顔をした男に問う。

「は、宰相閣下。その、日本外相リョウタロウ・アソウ。ああそう言えばこちらの世界では言葉が……その、麻生良太郎外務大臣と外相級会談を行ったのですがまず」

 AEUがF号兵器を満載した戦略潜水艦を我が国、とくに聖域たる神根島に向けて派遣しようとした行為は、我が国に対する明確なる敵対的行為で有り侵略行動である。

 これについてまず公式なる謝罪を要求する。

「これについては宰相閣下が不在だった為、ヴェランス皇帝陛下御自らが公式に謝罪を致しました」

「ヴェランスが謝罪をしただと?! なぜあいつがッ、我が友が謝罪をせねばならんのだッッ!!」

「宰相閣下の不用意な戦略潜水艦発進の号令が原因かと愚行致しますが……」

 ヒトラーの顔色を窺いながら、リッベントロップは言葉を発す。この男。ヒトラーは激情家タイプで怒りだしたら止まらないところがある。

 転生してから磨きが掛かったようだと思わないでもない。とくに大切な親友であるヴェランスが絡むと感情的になりやすい。

 それだけ気心の知れた仲だということで、旧ナチスの幹部達は好意的に捉えていたが。それにヴェランス皇帝陛下。こちらも出来た御仁である。

 ヒトラーの怒りを静めたり、国際会議の場でも攻めるところは攻める。あの大日本帝国や神聖ブリタニア帝国が相手であっても一歩も引かないときがあるほど豪胆な人物で。

 北側諸国会議で両国より最良の条件を引き出したりすることもあるくらいだ。流石はヒトラー閣下のご親友。出来る男であった。

「むううう……だが、最も手っ取り早くやる方法は、フレイヤを空中で爆発させ、この力を以て、現E.U.の全面降伏を計る。この手が一番犠牲も少なく早い手なのだ」

 こうしている間にも、愚かな為政者は向こうのE.U.を腐らせて行っている。

51休日:2023/04/28(金) 17:51:39 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「確か今の代表は」

「ジーン・スマイラスという男です。こちらでも同じ男はおりましたが我々の攻勢の前に降伏。いまはパリで一政治家をしているそうですが」

「使える男なのか?」

「失敗するタイプですな。おそらく平行世界のブリタニアという敵がいなくなったことで、彼の男の権勢が盤石に近い物になった」

 引っかかりを覚える言い方に、ヒトラーは近い物? と、問い返した。

「はい。近い物です。向こうの世界にも当然我らと同じくしてユーロ・ブリタニアは存在し。ブリタニアが戦争を止めようともユーロ・ブリタニアには無関係。彼らは父祖の地の奪還を目指しているのですから。ただ」

「勢いは落ちる。ということか? 向こうの世界のブリタニアからの援助の先細りが考えられるからな。戦地復興をブリタニアはやらねば成らん。あの夢に夢を見ていたという向こうの世界のユーフェミア殿下の目指す道であるエリアの自治国化や整備にも金や人員、時間は掛かる。戦争のみに力を入れている訳にはいかんと」

「はい。なので我々には二つの選択肢が御座います。我々が変わって向こうの世界のユーロ・ブリタニアを支援するか。日本に申し立てて通常戦力を差し向け一気に」

 ユーロユニバースを潰してしまうか。

 出来るか出来ないか。可能か不可能か。で、言えば出来るし可能だ。

 フレイヤなど持ち出さずとも通常戦力だけで彼方の世界の型落ち兵器を相手に戦うなど、蚊を潰すのと同じくらいに簡単。

 少し古い戦力表だがその時の戦力でも。

 

 皇歴2019年

 

 欧州貴族連盟軍ユーロ・ブリタニア

 最高司令官:オーガスタ・ヘンリ・ハイランド大公(ユーロ・ブリタニア宗主ヴェランス大公)

 最高指導者:アドルフ・ヒトラー(ユーロ・ブリタニアでありヴェランスと共同代表)

 次席指導者:ベニート・アミルカレ・アンドレーア・ムッソリーニ(ヴェランス、ヒトラー、両共同指導者に次ぐ席次)




 志願制

 陸海空三軍

 総兵力:4,570,000名(予備役含む)

 

 作戦機:7,900機(第五世代戦闘攻撃機5,100機)

 

 VTOL:4,600機

 浮遊航空艦艇:31隻

 KMF:8,500騎+予備役機5,300騎(スメラギ製・ブリタニア製混成第5第7世代。第4世代予備役機。)

 G-1ベース:30両

 戦車:14,000両(第3〜4世代)

 装甲戦闘車両:29,000両

 自走砲・野戦砲:21,000門

 航空母艦:10隻

 主力水上艦艇:220隻

 揚陸艦艇:400隻

 潜水艦:90隻

 他補給艦・支援艦・ミサイル艇・哨戒艇・掃海艦艇等:280隻

 各種兵員輸送車等作戦車両多数

52休日:2023/04/28(金) 17:53:30 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 3年前の時点でこれだった。今ならば兵力だけで通常招集で6,000,000〜8,000,000、限界で10,000,000。根こそぎならそれ以上動員可能であるし、事実第二次シベリア戦争では6,000,000の兵を以て盗人清国を叩き潰し、清国その物と高麗を踏み潰してきた極東の巨人大日本帝国とシベリアの地で握手をした。

 この戦力表の戦力や兵器もまた古く、南天の北進政策の顕在化が切っ掛けとなり、ここ5年ほどの間で異常進化を遂げてきたこちらの世界の兵器は、第8.5世代エナジーウィング機のKMFなら当たり前に量産されている。

 我が国にも第9世代機は既にある。第六世代統合打撃戦闘機も出そろいつつある。艦船など、日ブには及ばんが向こうの世界のブリタニア関係者からの情報で得た向こうのE.U.など勝負にならない格差がある。



 皇歴2023(中央歴1640) AEU軍


 最高司令官:オーガスタ・ヘンリ・ハイランド皇帝

 最高指導者:アドルフ・ヒトラー宰相

 次席指導者:ベニート・アミルカレ・アンドレーア・ムッソリーニ(イタリア王国国王)



 志願制

 

 陸海空三軍

 総兵力:6,500,000名(予備役4,700,000)

 作戦機:10,500機(第五世代戦闘攻撃機5,100機、第六世代統合打撃戦闘機2,000機、その他作戦機約3,000機)

 VTOL:6,700機

 浮遊航空艦艇:205隻

 KMF:13,300騎+予備役機7,200騎(スメラギ製・ブリタニア製・AEU製混成。第5第7世代。第8.5世代、第9世代少数騎。第4世代予備役機)

 G-1ベース:122両

 戦車:18,000両(第3〜4世代)

 装甲戦闘車両:39,000両

 自走砲・野戦砲:26,000門

 航空母艦:15隻

 主力水上艦艇:320隻

 揚陸艦艇:500隻

 潜水艦:125隻

 他補給艦・支援艦・ミサイル艇・哨戒艇・掃海艦艇等:380隻

 各種兵員輸送車等作戦車両多数

53休日:2023/04/28(金) 17:54:23 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 日本とブリタニアの二大巨人と、自分自身の力とを合わせて増大に増大したAEU軍。とにかく恐ろしいほどに増産スピードが速かった。

 これには南天が本格的に動き出したことと、南天の加速度的な軍備拡大が関係していた。この目で見てきたが恐るべき軍拡の3年だった。それが出来てしまう日本・ブリタニア・南天を心底恐ろしく感じたが。南天はたった2年で空母を8隻就役させ、まだ増産中。

 日本は2年半で同数の130,000t級空母と戦艦信濃、戦艦尾張を就役させて見せた。これに追随してブリタニアが空母10隻、明らかに大和タイプを意識したであろうペンドラゴン型を4隻同時就役させて見せた。

 更に日本・ブリタニアは片手間でユーロ・ブリタニア軍ことAEU軍にまで軍拡の波をもたらし、AEUの戦力が一気に増えていった。この時ほど大日本帝国、神聖ブリタニア帝国、南天条約機構を恐ろしいと感じた事は無かった。なにせやつらにとってはそれで八割の力なのだから……。

 元より同世代の兵器でさえこちらの世界の兵器の方が強いのだ。こちらの第5世代騎は向こうの第7世代騎に相当し、こちらの第7世代は向こうのラウンズ騎に相当する。こちらの9世代機などもはや向こうで相当する騎が無い。

 これだけの軍があれば通常戦力だけでも欧州を取れるだろう。欧州から始まり、アフリカ、シベリアと。

「リッベントロップくん。ヴェランスは?」

「まだ日本にご滞在中です」

「ふむ。向こうの世界のブリタニアの姫君と皇子殿は?」

「同じく日本にご滞在中です」

「ふ〜む」

 どうするか。ゲートの向こうは出る場所が神根島近海。現在は向こうの世界のブリタニアの領土だ。無論向こうのブリタニア軍など質と数で蹴散らせば良いだけ。

 だが、穏健に事が運び、向こうとも平和裏という名の砲艦外交の下に接触した物を、態々荒立てて余計な戦争をする必要も無い。

 要は今のジーン・スマイラスとかいう者が実権を握る欧州を解放し、向こうの欧州の地でも王政復古をさせ、これにより生じる副次的利益が得られれば良いのだ。

「スマイラスは紛い物かね?」

「こちらのスマイラス議員であれば箸にも棒にもかからない男と行った印象ですが、向こうのスマイラスは、情報が正しければ紛い物です。まあ向こうのユーフェミア殿下とシュナイゼル殿下に聞き取りをしていないのでなんとも」

「そうか……」

 やはり我慢がならんな。無能が支配する欧州が向こうの世界に存在しているというのは。そんなものが存在し続けるくらいならばいっそ消し飛ばしてしまった方が。

 いや、いかんな。それで謹慎処分を食らったのであった。ベルヒスガーデンの空気はとても美味しかったが。たまには都会を離れてみるのも良いものだ。

「確か日本人も向こうの世界の欧州では植民地人扱いされておると聞いたが、日本はどういう態度なのかね」

 にやっと笑うリッベントロップ。

「現時点では枢木内閣発表として――誠に遺憾と」

54休日:2023/04/28(金) 17:55:04 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 これを聞いたヒトラーも笑う。

 遺憾という言葉には日本政府の発表として幾つかの段階がある。

 大きく分けるなら。

 遺憾である。

 誠に遺憾である。

 そして極めて遺憾である。

 この極めて遺憾まで行くと、日本人は戦闘民族状態と成り、一気に戦争状態へと突入していくのだ。そしてこの世界で極めて遺憾まで行ったのは過去4回。歴史の記録で残っている限りでは。

 日中戦争、日欧戦争、日ブ太平洋戦争、そして今は平時に戻ったがつい1年と少しまでの南天との北南世界大戦寸前までいった小競り合い。この時の日本の超大軍拡と最終戦争移行体制は物凄かった。

 同様のことはブリタニアでも起きていたが、第二次シベリア戦争もその一環として数えられているらしく。第二次シベリア戦争それ自体が日ブ対南天の代理戦争に数えられるほどのものだったのだ。

 過去を振り返るならば、日中戦争では中華連邦は海軍をまるごと消し飛ばされた。日欧戦争では腐れ欧州の陸軍が消滅の憂き目に遭った。日ブ太平洋戦争では両国が消滅する寸前までいった。

 極めて遺憾とはそれほどに恐ろしい意味を持つのだ。一度戦闘民族化した日本人はこと戦闘分野では止まらなくなる。それが現時点で誠に遺憾。

「ふ、ふふふ、誠に遺憾か。日本人共も腹に据えかねておるようだな。では当然こちらの世界のブリタニアも怒っているわけとなるわけか。あの二国は家族的な繋がりがあるからな。83,4年ほど前に大喧嘩しているが。当時の記録を見たこともあるが両国共に化け物共だよ」

「それを言うと我が国も当時日本と戦っていたわけで」

「はっはっは、我々もまた化け物か。丁度良いのでは無いかね? 化け物が三匹揃っているのだ。また三勢力合同でE.U.を解放するというのも」

「しかしながら腐り果てた人心を改善させるのも難しいかと」

「そこは父祖の地奪還を目指す向こうのユーロ・ブリタニアがやるべきことではないのかね。少なくとも我々は成し遂げたぞ」

「それはヒトラー閣下とヴェランス皇帝陛下、お二人の人心掌握術の相乗効果のたまものかと」

 そこでヒトラーは下を向く。何の変哲も無い執務机には欧州の地図が貼り付けられていた。自分たちの巨大な領土の地図が。

 南は中央アフリカ以北。西はマグレブ、ポルトガル。北はロシア・フィンランドの北極圏。東は極東シベリアまで。

「そうか、向こうには私はおらんのか」

 そうなるとこの地図の全てを回収するのは。

「ですが良い情報もあります」

「なにかね」

「向こうのユーロ・ブリタニアは極東から攻め入ったようなのですが」

 すでにバルカン半島に達しています。

 その言葉に宰相の目はギラついた。

「向こうの世界のお姫様と皇子様、それと嶋田前首相、シュナイゼル宰相と会談を開きたい。場合によっては北側諸国会議も開催したい。当然私が出席する」

55休日:2023/04/28(金) 18:07:45 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
続きをかける自信がないので次はまた日本国召喚のお話や、ゲート交流のお話に戻るかもしれません。

>>44二二三様
新皇帝は苦労中です。レミールも苦労はしてるんですけど朝田さんがおりますからね。
マリーベルは玉城さえいればなにも要りません。

>>45トゥ!ヘァ!スマホ様
パーパルディアがどんどん発展していっている証明ですね。北側諸国パワーです。

>>46ハニワ一号様
いえ、お気になさらず。
玉城は地上に降りたらマリーベルとクララに挟まれることになります(;'∀')

>>47
何話か前に増加してましたよ。
マリーベルも新皇帝とレミールのことは認めてますね。

>>48
大型艦艇と浮遊航空艦には概ねフレイヤ炉が搭載されています。
パーパルディアの兵器は新品です型は古いですが。

56トゥ!ヘァ!スマホ:2023/04/28(金) 18:39:36 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

日ブに劣るともAEUも大国。
原作?世界の国々のくらいは一捻りですわな。

57ハニワ一号:2023/04/28(金) 20:23:43 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
乙です。
ヒトラーは何を思いついたのやら。
AEUが原作ユーロ・ブリタニアを支援や義勇軍を派遣したりするのかな。

58二二三:2023/04/28(金) 22:27:56 HOST:KD106154147254.au-net.ne.jp
ヒトラーとヴェランスの友人関係が好きですね
幼なじみらしいから案外、嶋田さんとジ家兄弟みたいな出会いだったのかなと

59二二三:2023/04/29(土) 20:19:08 HOST:KD106154147096.au-net.ne.jp
支援SS投下。



 戦列艦どうしようか


 パーパルディア皇国にはつい一年と少し前まで1000隻前後の魔導戦列艦があった。

 大東洋諸国圏の国々からすれば恐ろしい数だ。

 だが、北側諸国という列強の基準でなど計ることのできない絶大な力を持つ国々の援助を受け、強大で精強なパーパルディア皇国皇軍へと生まれ変わった。

 地竜は1000両もの戦車と500機ものKMFへ。ワイバーンロード、ワイバーンオーバーロードは2100機もの戦闘機に。そして魔導戦列艦隊は40数隻の鋼鉄の巨大艦隊へ。

 40数隻と侮るなかれ。この40数隻の艦隊には以前の皇国が保有していた1000隻の戦列艦は勝てないのだ。金属の壁に阻まれ、超長射程の射撃の前に、ミサイルや機関砲の前に。

 そして46㎝超電磁砲の前にはゴミ同然。体当たりしたところで鋼鉄の船体はびくともしない。超フィシャヌス級の150門の大砲を戦艦や巡洋艦、駆逐艦、コルベットにさえ当てたところで効かない。

 あるいはコルベットなら船体をへこませることくらいなら可能かも知れないが、彼の艦の速度を捉えることは不可能だろう。

 この鋼鉄の艦隊を前にしては、戦列艦など2000隻3000隻あっても全部沈められておしまいだ。とくにあの戦艦パールネウス級の圧倒的な攻撃力。あの前では戦列艦などゴミだゴミ。主砲の風圧だけでばらばらになるだろう。

 地竜の攻撃なども戦車には効かず、戦車の主砲を受けて地竜の方が爆砕される。下限でも600㎞前後の速度を出し、速い機種なら900㎞を超える鉄の戦闘機にワイバーンオーバーロードでさえ追いつけず、瞬く間に撃墜される。空中を制止するVTOLという兵器も500以上戴いた。

 これらの強力な兵器群が北側諸国曰くおもちゃだというのだから、彼の国々はどれ程の力を持っているのだろう。

 そういえば、3隻のみだが空飛ぶ戦艦まで無償で譲り受けてしまった。

 こんな常識を覆すようなことがあっていいのだろうか。

 皇国皇族であらせられるレミール皇女殿下は日本へ大使として、また外交官として赴任し、日本という国に触れ、日本のやんごとなき方々に仰られたそうな。

「常識とは掃いて捨てるもの」

 私もそろそろ見識を改めなければならないのかも知れない。

 皇国皇軍は以前の10倍以上は確実に強力になった。

 今であれば神聖ミリシアル帝国にさえ立ち向かえることができるだろう。

 ……別に何も揉めていないのでそんな事はしないが、無意味に等しいとは言え列強第一位と互角か、下手をすればそれより強い現在にわくわく感は隠せない。

 今私はとても嬉しく、毎日が楽しい。我が精強なる鋼鉄の艦隊を目にすることが毎日の楽しみだ。

60二二三:2023/04/29(土) 20:19:52 HOST:KD106154147096.au-net.ne.jp


 そんな私だが、一つだけ悩みもあった。

 大東洋諸国から苦情と共に勿体ないという声が上がっているのだ。

 魔導戦列艦の処分についてだ。

 なにせ1000隻。これまでに800隻と少しは処分してきた。海上でコルベットのシウスという超高速リニア主砲や、駆逐艦の砲、巡洋艦の砲、戦艦の副砲などでボンボン撃沈処分している。

 その木っ端となった木片のゴミが海流に乗って一部の大東洋諸国の浜辺に辿り着いて、ゴミ拾いで迷惑が掛かっているというのである。

 あと

「貴国では無用の長物かも知れないが我らから見れば喉から手が出るくらい欲しい物だということを忘れ取りゃせんかね」

 などと、小言を貰った。

 軍事司令官のアルデは一人考えた。隠して処分していっている戦列艦はもう100とちょっとしかない。

 これならば処分しても意味が無いのでは無いか? いっそのこと下取りをして貰ったほうが多少は金になる。

 下取りだから本当に安い金で良い。幸いにも我が皇国はいま大好景気。高度経済成長に突入している。すべて北側諸国と関係を持ってからだ。

 古都を見たいということでエストシラントにも観光客が溢れ、物が飛ぶように売れていっている。

 地方都市、下属領の現自治都市の開発にも北側諸国の手が入り、本格的な都市化が進んでいっているという。

 その中での旧時代の遺物である戦列艦だ。10隻かそこらは北側諸国最大の国家である神聖ブリタニア帝国の貴族や皇族の方がコレクションにと購入されたが。

 他も全部売却してしまえば一気に片付くではないか。

 幸いにも皇国の周りには海に面した国が多い。真正面のアルタラス王国やその隣のシオス王国、フェン王国など受注先はそれなりにある。

「うーむ、しかしレミール様がおられる頃なら即断即決も可能であったろうが。新皇帝陛下のセレミア様は書類仕事に忙殺されておられるからなあ」

 ここで一つ案件を増やしてまた仕事を増やすのかとどやされたらどうしようかと思うアルデは悩む。

 もう、使い物にならないといってもそこはそれ。他国からしたら最新鋭軍艦。どうも北側諸国は必要以上に軍事力をばらまくつもりは無いのか。

 今のところ大きく軍事的な援助をしてくれたのは列強たる我が国だけ。

 セレミア陛下やレミール様が仰るには、パーパルディア皇国は地理的に第三文明圏と大東洋諸国、そして大東洋への入り口にあたる。

 この地点を強化し、防衛用地点とするのは理に適っており、北側諸国の意図はそこにこそあるのではないかというものだった。

「まあどーせ北側諸国が本気になれば敵になる国などいなかろうが。北側諸国が元いた惑星でも緊張状態が続いていたらしいから、しばらくまったりとなされたいのかもしれん」

61二二三:2023/04/29(土) 20:20:23 HOST:KD106154147096.au-net.ne.jp


 朝のチキンラーメンをすすりながら私はノートPCを操作する。チキンラーメンは美味い。器に入れてお湯を注ぎ、3分経ったら食べられる。卵やネギを入れると尚美味しい。

 以前は高級品だった卵も北側諸国と貿易を始めてから庶民でも買える値段にまで下がった。こんな恩恵の声があちらこちらから聞こえてくる。

 おかげでこうして朝食のチキンラーメンにもぽこんと卵を入れられるというわけだ。

 初めての頃。すすって食べるという姿勢に実にはしたなく感じたものだが、これも文化の違いと食べてみたら嵌まった。他にも塩ラーメン、味噌ラーメン、醤油ラーメン、豚骨ラーメンと色々種類があるが。

 私はこのシンプルなチキンラーメンが大好きなのだ。

 日本住まいのレミール皇女もラーメン食に嵌ったりしているのだろうか? あの方の場合嵌ればとことん行くタイプだからな。日本びいきの日本通になっているかもしれん。

 そういえばここ皇都エストシラントではカップラーメンなる物が逸り始めているらしいな。今度探索に行かねば。

 そうして私は健康食として朝食はこれとサンドイッチを食べているのだ。

 私もこの一年、ノートPCとあんさいくろぺでぃあで学んだのだ。頭も非常にさえわたり良くなったと実感している。

 北側が打ち上げた人工の星、衛星は100基を優に超えているらしく、ノートPCや携帯テレビなどの端末さえ持っていればよほど奥深い山の中や、海のど真ん中でも無い限りアンテナを立てている地域ではいんたあねっとが楽しめる。

 私も夜遅くまでいんたあねっとの鹿金やら怖い番組やらを見て楽しんでいるのだ。そしてあんさいくろぺでぃあで勉強をするこれで頭が鍛えられていっている。

「ふふふ、皇国皇軍も最強になったが私の学力も最強になったのだ」

 そんなことより下取りの件をどうするか。正直このまま的当てをしていても意味が無い。皇国海軍も充分に練度が磨かれた。

 もったいない、か。一度皇帝陛下に奏上してみるか。書類仕事の邪魔ですとかって蹴り出されそうだけど。

62二二三:2023/04/29(土) 20:21:35 HOST:KD106154147096.au-net.ne.jp
終わり。
アルデが朝から悩んでるだけという話でした。

63トゥ!ヘァ!:2023/04/30(日) 00:31:59 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

この調子でパーパルディアにもラーメンを広めていくのだ…

列強の戦列艦ともなれば欲しがる国はいくらでも出てきますよね。
地元の周辺国からすれば十分戦力になりますし。

64ハニワ一号:2023/04/30(日) 10:58:15 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
乙です。
パーパルディアにとって不用となった戦列艦でも北側諸国の軍事支援を受けていない国々からすればとても欲しい戦力でしょうしね。

65二二三:2023/04/30(日) 11:10:23 HOST:KD106155013006.au-net.ne.jp
やはりアルデの話じゃ誰も反応せんな
>>63
パーパルディアでラーメンが広まったらラーメン大好きなあの人も旅行に来るかも
レイフォルを単艦で滅ぼせる戦艦よりまだ強力な戦艦を四隻も手に入れてしまったから、もう戦列艦に需要は無いんだけど周辺国は違いますからね
高値で売りつけるなら売れないだろけど下取り程度なら購入する国多いでしょうね。標的艦処分した分は仕方ない

66ハニワ一号:2023/04/30(日) 11:14:31 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
藤堂のアナザーを読みましたが千葉と朝比奈の会話から7年前のブリタニアの日本本土侵攻では当時の日本政府と日本軍はカレンと同じくらいの年頃の少年少女を徴兵していたみたいですね・・・。
そして多数の少年少女たちが命を落としたみたいですね。
最初は徹底抗戦を唱えていたのに急に降伏すると方針を変えて地方で戦っていた部隊ははしごを外された形になって孤立してブリタニアになぶりものにされた模様。
そりゃ千葉と朝比奈はこの経験から上層部やゼロに不信感を持つのも残当になるわ。

それにしても何で日本政府は徹底抗戦から急に降伏となったんでしょうねスザクくん。
なお、徹底抗戦を唱えていた日本のトップのはずのゲンブは日本をブリタニアに売り渡す事を画策していたという知られてはならない糞な事実・・・。

67二二三:2023/04/30(日) 11:32:25 HOST:KD106155013006.au-net.ne.jp
>>64
休日氏のSSの中でも明確に保有戦列艦0とは書かれてないから書いてみましたけど
千隻もあったら全部処分するには時間かかるし氏のSSでも八百隻処分済みとなってるからまだ二百隻はあるんじゃないかと思いました
なら売っちゃおうぜとアルデくんは考えたんですねアルタラス、シオス、フェン、クワトイネ、クイラ、下取り先は幾らでもある

ゲンブはただのクズですからな。そのクズはスザクくんにザクっと

68二二三:2023/04/30(日) 11:33:58 HOST:KD106155013006.au-net.ne.jp
しかし新スレになってさらに人が減ったような気がするんだけどどうなんだろ
ロムってるだけなんかな

69二二三:2023/04/30(日) 12:01:01 HOST:KD106155013006.au-net.ne.jp
どこで見たか忘れたけど南天って15万t級の超巨大戦艦持ってたんだな
名前は出てきてないが天使の名前か?怪物系の名前か?
南天は空母が天使の名前、階級が天使、KMFが怪物系、戦艦は何だろう

70休日:2023/04/30(日) 18:23:14 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

>>56トゥ!ヘァ!スマホ様
AEUでも原作の国相手なら勝てますね。

>>57:ハニワ一号様
ヒトラーとしてはAEU軍派遣して原作ユーロ・ブリタニアと挟み撃ちに持っていくか。
支援して休日側の兵器を供与したりといろいろ考えてますね。

>>58:二二三様
大人になってからの友人って得難いですからね。
私の場合、本音で話し合える友人はネットの中にいないですし現実にもいないです。

>>62
思えばもったいないことしてますからねえ。
パーパルディアの戦列艦なら大東洋諸国に広く売れますよ。

>>67
残り200艦は保有してますので下取りには出せます。

>>68
ロムってる人もいるらしいですよ。
だから反応がなくても見られてることはあるようです。

>>69
南天は150,000t級戦艦保有してますよ。4〜8艦ほど。
名前はまだ決めてませんが天使系の代わりに悪魔系でいくかもです。

71休日:2023/04/30(日) 18:23:58 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
投稿します。
オリキャラが出ております。

72休日:2023/04/30(日) 18:24:37 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 E.U.ユーロピア共和国連合大統領。


 皇歴2019年某月


 国防四十人委員会。

 革命暦元年の発足当初、その呼称で呼ばれていた委員会は、今や委員数二百名〜三百名にまで膨れ上がっていた。

 その二百名以上でありながら国防四十人委員会という名の委員会は、蜂の巣を突いた騒ぎになっていた。

「どういうことだ! 南天は動かずと誰が言ったんだ!!」

「我々は南天ではない! 南天の動きなど分かるはずもなかろうが!」

 通称南天――南側諸国。正式名称を南天条約機構。

 盟主国合衆国オセアニアを筆頭に。

 マダガスカル自治州。

 合衆国東アフリカ。

 イエメン民主共和国。

 旧大洋州連合。

 ニューギニア民主共和国。

 イラク社会主義共和国。

 カメルーン民主共和国。

 民主主義中央アフリカ。

 民主主義ガボン。

 コンゴ原理主義共和国。

 ルワンダ民主共和国。

 ブルンジ民主共和国。

 アンゴラ原始民主制共和国。

 民主原理性ザンビア。

 ジンバブエ民主共和国。

 原理主義人民ナミビア国。

 ボツワナ原理主義人民共和国。

 南アフリカ原理主義人民共和国。

 レソト原理性共和国。

 エスワティニ原理性共和国。

 総計二十一ヶ国地域が加盟する国家連合体であり、集団安全保障機構でもあり、集団攻勢機構体でもあった。

73休日:2023/04/30(日) 18:25:15 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp





 ある日の国防四十人委員会





 中央アフリカより南はここ50年の間に侵食され、民主共和制原理主義が根付き、ユーロユニバースから切り離された地域。

 より正確を期すれば2010年前後までは名義上・便宜上はユーロユニバースの土地であった。これを自然に奪われたのがここ数年の期間だ。それも南天条約機構の動員無しに。

 それほど地方地域。アフリカ南部などにユーロユニバースは見限られていたのである。

 そして宗教的浸透についてが何よりも大きな遠因となっていただろう。原始民主制の亜種とも言える、唯一神を戴き神の下に選ばれた代行議員候補の中より、国会議員等を選ぶシステム。

 選別は神が行うが、時の代行議長や、代行統、総代行主などが行っても良いとされている。神の手は何処までも届き。神は全てを視ている、が。同時に全てに対して干渉するわけでは無い。

 故に平常時は自由な暮らし、安全な暮らし、豊かなる暮らしが約束されている。世界中に根を張る民主共和制原理主義組織の総本山“白い翼”と、唯一神をあがめ、古代遺跡を探索する十二億の信徒達で構成された“光の嚮団”が集めてくる潤沢なる資金。

 同時に合衆国オセアニアを中核として発展に発展を重ねてきた強大なる国力が、老いも若きも、男も女も、子供も赤子も、人種も関係無く、全てに“豊かさ”という名の恩恵をもたらし、唯一神への信仰へと変えてきた。

 だからこそ彼らは戦時には武器を取り、神の闘争、聖戦、全天に美しき世界を実現するために。世界の浄化を始めるのだ。

 それは、新参であるアフリカ勢でも変わらない。彼らの根底には100年以上の昔より発展し行く、東アフリカとオセアニア自治州への憧れがあったからだ。

 神のため、唯一神のため、全天に美しき世界の実現の為に。彼らは時として妄信的なる戦闘民族へと変わる。国家の壁など無い。人種の壁など無い。民主共和制原理主義の下一つの統一体となり、進軍するのである。

 時に笑顔の仮面を張り付けて、時に無機質なる深層を表出させて。


 そして時は現代。皇歴2019年の中頃。神の啓示が舞い降りた。曰く中東を教化せよ。白く染め上げよと。それは南天の傘下に収まっているイラクのユスフ書記長の下にも降りた。

 ユスフ書記長は共産主義者であって、民主共和制原理主義者ではない。しかし、自ら望み南天条約機構に加盟した。オブザーバー加盟ではあったが、加盟した以上は南天の庇護の下には入れるわけである。

 覇権主義者でもある彼は、大日本帝国・神聖ブリタニア帝国を中核とする北側諸国同盟には参画できない。北側諸国同盟とは非侵略が基本であるからだ。

 自然、世界最大の覇権主義国であるオセアニアの下へと付くこととなり、中東で猛威を振るい、中東戦争ではサウジアラビア王国北部とヨルダン王国東部を占領することに成功した。

 この時、南天は特に動かず、イラクも南天に働きかけずだった。己が欲しくば己で動け。南天側の無言の回答であったのだ。無論、南天からの援護はあった。彼らはイエメンに兵を集める気配を見せたのだ。

 これだけ。たったそれだけでサウジアラビア王国は動けなくなってしまった。南部にも兵を割かずに居られなくなり、北部の戦力は目に見えて減った。これをユスフ書記長は突き、サウジアラビア北部を手にしたのだ。

 イラクにも降りた此度の啓示。当然オブザーバー参加の彼らは無視しても特に何も無い。だが同時に何も得られない。これ以上の領土の拡大が望めない。ジェネラルは言った『欲しければ動け』。

 ユスフは動きイラクは巨大化を果たしたのだが。

 ここで再び時計の針を戻す。

74休日:2023/04/30(日) 18:25:49 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 ※


「皆さん静粛にっ!!」

 欧州は行政府に充たる、国防四十人委員会のとりまとめ役である議長が会場のざわめきと混乱を鎮める。このままでは話し合いも出来ない。

「だが、南天は既にイエメンに10,000,000を超える兵を集結させているそうじゃ無いか。おかげでイエメンでは物が飛ぶように売れて超好景気だとか。諜報員、ああいや、連絡員から情報が入っている」

 諜報員では無い、連絡員だ。これは南天側より許可を貰って入らせているからである。なんでも好きなだけ調べていけば良い。南天側のメッセージだ。

「10,000,000どころの話しじゃない。まだまだ増える様子だ。中東戦争の時イエメンに集めたお遊びの5,000,000じゃない。一ヶ月単位で3,000,000前後と跳ね上がるように増えていっている。我が国では絶対に不可能なことだ」

「それに兵器の増産数。噂では航空母艦の8隻同時起工を始め船体はできあがりつつあり、他の護衛艦艇や戦艦まで着工を始めてまだ軍事力を増やそうとしておる。南天だけではない。南天に合わせるように日本もブリタニアも大軍拡いや超軍拡を始めおった。我らや他の国では到底ついて行けん」

 事実、現在南天は2〜3年内の30個空母戦闘群体制を目指しており、ほぼこれを完遂しつつある。この南天の大軍拡に対抗して、北側諸国の中核国である大日本帝国と神聖ブリタニア帝国も大軍拡を始めている。

 連絡員の報告書を見ていたある議員は南天のことを指して呟いた。

「ば、化け物だっ……、こんなのと対抗することなど……ッ」

 これを耳にした隣の議員は呟いた議員を叱責する。

「馬鹿なことを言うな! 我がユーロユニバースは最初から南天と事を構えるつもりなど無い! 滅多なことを言うんじゃない!」

 そうだ。滅多なことを言うべきでは無い。総数で1,700,000,000を数える南天の信徒は既に欧州にも根を張っている。噂の段階でしかない世界的企業、鉛筆からロケットまでを合い言葉にする企業ホワイトブラザーズは、南天の傘下だと言われている。

 白い翼のフロント企業だとも。

 誰もが怖いのだ南天のことが。表面上ユーロユニバースと南天はイーブンの関係だが実際は違う。国際社会でも言われている。E.U.は南天の小間使いと。事実だから文句も言えない。誰が抗うことかなおうか、彼の強大なる国家連合に。

「……」

「……」

 皆、一様に口をつぐむ中、手を挙げた人物がいる。

「げ、ゲルツェン大統領」

 短い白髪に鋭い蒼い瞳をした痩せ型の男が立ち上がる。

 ユーリー・イワノヴィッチ・ゲルツェン。ロシア州の首相にして、E.U.ユーロピア共和国連合のトップに君臨する三大統領の一人であった。

「皆さん何を恐れているのです?」

 あたりを睥睨し彼は告げた。

「南天は我々の秘密の友好国ではありませんか。確かに南天には中央アフリカ以南を奪われました。しかし、あの地域には既に100年も前から種が植えられていたのです。今の話しではありません。我々の前の前のその前の世代の話し。我々がどうこうと話しても意味が無いではありませんか。それに一度教化された地域は余程のことが無ければ元には戻らないのは皆様も御存じの筈です。結局南天が動く先は何処に対してであるか? そこが大事なのではありませんか?」

 薄ら笑いを浮かべながらゲルツェンは続けた。

「一応念のため、我がE.U.ユーロピア共和国連合には南天条約機構と戦えるような力はありません。南天条約機構は白いカーテンの向こう側に隠されているためほぼ情報が伝わってきません。漏れ聞こえてくる情報や、連絡員などの情報では、通常戦力で50,000,000。最大戦力80,000,000の兵を持ち、絶大な生産力、重工業力、国力、経済力を持つということです。彼の国家連合『数の南天』と事を構えることができるのは、技術の超大国大日本帝国、力の超大国神聖ブリタニア帝国の二国のみ。他には存在しません。仮に我が国と中華連邦が手を組み戦いを挑んだとしても、死兵と呼ばれる兵と質の高い兵器の波に押しつぶされておしまいです。それと、連絡員の話しでは純正のKMFらしき物の存在も確認されており、これで南天のKMF保有論も確実となりました。序でと言っては何ですが浮遊航空艦と80,000t以上の戦艦の存在も確認済みです。ですが、恐らくこれらも相手が日本やブリタニアでは無いから一線二線級下の代物でしょう」

 ざわざわ、KMFまで、ざわ、80,000,000とは……あり得ない、ざわざわ。

「静粛に静粛に!!」

 場が静まるのを待ち、余裕の笑みを浮かべるゲルツェンは続けた。

75休日:2023/04/30(日) 18:26:37 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「斯様に恐ろしき国家的組織ですが、敵対しなければ何もしては来ません。むしろイラクのように傘下に入ってしまえば何もされませんよ」

「ば、馬鹿なっ!! ゲルツェン大統領閣下は祖先が築き上げてきたこの民主主義の牙城を売り渡そうというのですか!!」

 一人の議員が噛みつくが、ゲルツェンは一瞬目を閉じただけでやれやれという仕草を見せた。

「民主主義の牙城ぉ〜? 失敗作でしょう。大衆迎合主義、政治的無責任主義ィ、そしてェッ!無関心主義ィィッッ――!」

 そこまで行って。

 バンッッ

 大きく机を叩いた。

「一体何の三本柱なのだねェェッ?! 腐敗を無視しッ、地方を苦しめッ、中央だけが富めば良いッ、自分たちだけが栄えれば良いッ、ノブレス・オブリージュをゆくブリタニアの正反対ではないかねッッ!! 王族を皆殺しにしッ、貴族共を処刑しッ、彼らを追い出しッ、ナポレオンまで処刑して創り上げたユートピアがこれかねッ?! こんな腐れた国が民主主義の理想郷なのかね?! ええ?どうなんだね諸君ッッ!!」

 誰もがぐうの音も出ない。皆が目をそらす。政治腐敗、金権政治の恩恵は誰しもが受けていたからだ。この場にいるほとんどが。

「そして……、私の了承も無く極東から兵まで引き抜いた。中央を守る為に。ユーロ・ブリタニアの攻勢から深奥だけを守らんが為に。ならば、いっそォ、我が国も南天条約機構に加盟してしまえば良いではないかッ。彼らは来る者は拒まず。イラクのように立ち回れば教化も回避できるだろう。どうだね諸君ッ?」

 冷たい目で、自身から目をそらす議員達を眺めながら、ゲルツェンが再び口を開き掛けたとき。

「異議あり」

 一人の男が異議を申し立てた。ゲルツェンと似た風貌ながら少し髪を伸ばした白髪に赤い目の男だ。名をグレゴリー・ミハイロヴィッチ・ラスプーチン。ロシア州の副首相を務める男。

「ほう、君がこの私に楯突こうというのかね? 同志ラスプーチン」

「楯突くつもりは無い同志ゲルツェン。私はあなたの考え方に間違いがあると言った」

「ふむ、ならば君は極東から兵を引き上げる指示を出したこの屑共をどう思うかね?」

 屑共とはっきりと言い切るゲルツェン。彼の権勢は国防四十人委員会、欧州三大統領の中で最も強く、時にこの種の暴言も許されるのだ。屑と言われて誰も何も言わないことこそ、その証明。

「それについては私も思うところはあり許せない気持ちで一杯だ。だが、それとこれとはまた別だ。私は、いや、私も彼ら民主共和制原理主義者とは幾度も会い、幾度も会話をしたよ。皆無機質な瞳をしていた。笑っていても泣いていても、悔しがっていても、怒っていても、その瞳の奥底は常に無機質で冷たいのだ、今のあなたのようにな同志ゲルツェン」

「……」

「私は、私は偉大なる祖国ロシアの子供達にあの様な無機質な瞳になって欲しくない。させたくないのだ。ただそれだけだ。その為に必要ならば。私はE.U.ユーロピア共和国連合とユーロ・ブリタニアの融合もまた一つの選択肢だと考えている」

「……ラスプーチン、君は体ユーロ・ブリタニア融和派だったのかね」

「特に派閥にはこだわりは無い。ただ、私は貧困に喘ぐ子供達に未来を与えたいと考えている。それだけだ」

 お二人ともそこまでにしてください。と、議長が告げると、ゲルツェンは冷たい無機質な瞳のままに席に着いた。

 ラスプーチンはただ愁いを帯びた瞳のままに席に着いた。

「議題の趣旨から外れましたが、南天の目指すところは」

「決まっているじゃないか。イエメンに兵を集めているということは――」

 中東だよ。

 そして。


 あるいは、その先へ。


 南天条約機構軍の中東侵攻は始まりに過ぎず、ジルクスタン、中華連邦への侵攻までもを示唆して、この日の議会は閉幕した。

76休日:2023/04/30(日) 18:30:54 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
ユーリー・イワノヴィッチ・ゲルツェン=こちらは歴史上の人物をモデルとしております。
グレゴリー・ミハイロヴィッチ・ラスプーチン=こちらはあるゲーム・アニメの人物をモデルとしておりますが某KGB長官もモデルにしております。

77トゥ!ヘァ!スマホ:2023/04/30(日) 19:34:44 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

イエメンに南天が戦力を集めていた、イラクがサウジ北部を奪った時期はまだEUも残っていた感じですか。

78二二三:2023/04/30(日) 20:14:06 HOST:KD106155013154.au-net.ne.jp
通常のルート、モニカルート、ユフィルートでは欧州解放戦争は2024〜2026年の間くらいじゃなかったですかねよく覚えてませんが確かブリタニア東海岸からいきなり本土を狙って行く形ですから、オーバーロード作戦と同じ感じでしょう
で、可能なら日本を通じて極東からも攻め込む形

79二二三:2023/04/30(日) 20:17:32 HOST:KD106155013154.au-net.ne.jp
確かアキトが2020年代後半には夜明けが訪れるってサングラスの宰相ことマグレブの王族に言ってますから
よく覚えてるのは何回も読み返してきてるからっす

80トゥ!ヘァ!:2023/04/30(日) 20:27:27 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
となると時系列変わってなければ結構先になるわけですね >>対EU戦

81二二三:2023/04/30(日) 20:30:51 HOST:KD106155013154.au-net.ne.jp
この描写見てるとEUが割れる可能性もありますね

異世界編はだいぶ早い時期にヒトラーとヴェランスが動いてEUを奪取してるっぽいですからね

82二二三:2023/04/30(日) 20:35:00 HOST:KD106155013154.au-net.ne.jp
南天に合流しようとする派閥と民主主義を守るんだの派閥と王侯貴族と合流しようとする派閥の3派閥くらいに

83トゥ!ヘァ!:2023/04/30(日) 20:35:27 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
EU内の三人いるトップのうち一人が南天派で、もう一人がユーブリ融和派みたいですしね。

84二二三:2023/04/30(日) 20:40:14 HOST:KD106155013154.au-net.ne.jp
まず南天に合流しようとする派閥については真っ先に潰す必要があるかと
なにせ一度南天の庇護下に入ると南天条約機構が動き出しますから危険すぎ
民主主義を守るんだの勢力はスマイラスみたいなのが音頭とって自滅していくでしょう

85トゥ!ヘァ!:2023/04/30(日) 20:46:58 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
AEUに統一されたのを見るに多分どうにかして排除には成功したんでしょうな。

86二二三:2023/04/30(日) 20:51:18 HOST:KD106155013154.au-net.ne.jp
排除した連中と民主主義を守るんだの勢力は南天勢力圏に逃げ込んだのでしょうね昔あったSSのように

87二二三:2023/04/30(日) 20:53:51 HOST:KD106155013154.au-net.ne.jp
あの頃はまだ南アフリカは南側って設定が明かされてなかったから中央アフリカ以南か東アフリカか中東に逃げ込んだのでしょう

88二二三:2023/04/30(日) 21:15:41 HOST:KD106155013154.au-net.ne.jp
>>70
ROMってる人ってなにがおもしろいんでしょう。書き込みに参加した方が意見交換やらこんなSS見てみたいなといった要望もできて、そちらのほうがずっと楽しいのに
過去にトラブったのかなあ…

89二二三:2023/05/01(月) 06:53:41 HOST:KD106155011099.au-net.ne.jp
南天15万t級戦艦下手したら8隻保有してるのかヤバいな
排水量からしたら口径54〜56センチの超電磁砲搭載してるんだろうし流石は数の南天

90名無しさん:2023/05/01(月) 09:43:23 HOST:KD106146091068.au-net.ne.jp
夏休みとか人増えるけど、連休は人減るね

91ハニワ一号:2023/05/01(月) 14:18:05 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
乙です。
休日ギアスのEUの内幕ですか。
3人のEUのトップが意思統一されず分かれているぽいですしEUが分裂とかしそうですな。

92休日:2023/05/01(月) 15:03:14 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
>>77トゥ!ヘァ!スマホ様
普通に残ってますね。
通常2020年代中頃までは残ってます。
それ以降はるーとによってまちまちです。
一番早く消えるルートは異世界ルートかもです。

>>91ハニワ一号様
結局のところユーロユニバースはバラバラです。一部急進派は南天との合流しようと画策しております。
ネタバレになりますが、国名はSS内で出しかけて引っ込めましたがノイエユーロピア・国家評議会議長兼国家代行統はゲルツェンです。
旧来の民主主義派もいるしユーロ・ブリタニア合流派もいます。
空中分解するのが早いか、一部が南天に呑まれるか、ヒトラーとヴェランス率いるユーロ・ブリタニアが平定するのが早いか、大きく分けて三つのパターンですね。

南天は150,000t級戦艦を最大8艦保有していると考えてください。

R18に触れないよう表現する甘い話ってこう書くっぽい感じですね。

注意CP:朝田さん×レミール
こちらが受け付けない場合は流し読みかタイトル下からの後半のみお読みください。

93休日:2023/05/01(月) 15:04:30 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「んん……っあ、ふ……うう……」

 熱く深く蕩ける愛。どこまでも深く、海よりも深く、それは果てどの無い心地良きひととき。

「んっ……、あっ……たい、じっ、あんんっ……わた、し、ッ」

 終わらなくていい。終わらないでほしい。そう思えるこの愛しき一瞬。

「レミール皇女……、愛しております……レミール皇女……」

 男──朝田泰司は愛を謳い。無駄な肉の付いていない肉体を以て、そして何よりもその純粋なる心を以て彼女を愛し。

 その終わりのあってほしくない時を先導しつつ、終わりへと向かいゆく。

「んん──っ!!」

 女──パーパルディア皇国皇族レミールは、朝田泰司の純愛を受け。

 最後の時と与り知りつつ、刻の終わりを静かに受け入れる。

「くっ――!!」

 そう最後まで二人は共にあり共に、その果てへと至るのだ。これが終わりと知りながらも。

 ああ、だが、幾度目となろうか? 幾度目の終わりなのか? いや、これまでが続きであったのに対しての今の終局だ。

 長い夜も半分ほどが過ぎた。パーパルディア時刻──皇都エストシラントを基準に合わせられた時計の時刻は夜の2時。草木も眠る丑三つ時。

 本当に、本当に長く愛を奏で合わせていたが、時とともにこの秘めやかなひとときを終わり。互いの心と体にしっかりと互いを刻み合わせつ、二人は静かに身体を離す。

 お互いを抱き合ったまま身体だけは離れた状態。このまま眠るのだ。いつものこと。そう、いつもの……。

 ベッドに散らばる長い銀の髪。放射状に散らばる髪は。

「ふううう、」

 息を吐く朝田。その身体にも、そのレミールの膝下まで流れる銀色の髪が、纏わり付いている。

「疲れた、のかっ……、泰司……」

「いいえ、レミール皇女を愛する行為に、疲れなど在りません……しかし、まあ、少し一息ついただけです」

 愛する行為に疲れなど無い。時が許すのならばもっともっと、何度だって彼女を愛したいさと朝田は思う。

 どこまでも蕩け合い、溶け合って、一つになり続けて果てるんだ。愛し合っているのだから求め合わずにはいられないだろう。

「これで……、お終い、なのにか?」

 これでおしまいなのに一息吐くというのが何だかおかしくて、レミールは小首をかしげる。色気ある大人の女性。二十代後半と三十ほどの朝田自身よりも若干年下のレミールのそんなス型がとても愛おしく、可愛らしい。

「何事にも終わりはあるものです。まあ、私個人の意見としては、レミール皇女との愛しい時間に終わりなど在って欲しくはないのですが」

 明日、仕事が無ければ、このまま彼女と更なる深みへ潜り込むだろう。どこまでも、いつまでも。

 朝田は自身の身体に纏わり付いている美しい銀糸を指でなぞる。月明かりに輝いて更に美しい。

「私もだ、泰司……私も終わりたくないぞ……だが、明日を考えるのならば、終わらねばならぬのだな。切なきものだ」

 かつては巻き髪にしていたレミールの髪。今は真っ直ぐに伸ばされているのはそちらの方が綺麗だという朝田の言葉と、現代日本の公館で巻き髪をしている女性は少ないんじゃないかなあ、という、彼の個人的アドバイスによるもの。

 統計を取っていないので分からないのだがそのアドバイスを受け、レミールはロールヘアーから直毛に変えたのだ。そうしたらそうしたで今度は髪が膝下にまで届いてしまい、長すぎて手入れに困ったものだが、朝田がお手伝いしますと朝出かけるときにセットの手伝いをするようになったのである。

 レミールはもちろん嫌がっていない。快く受け入れている。ある人が言った。レミールよりもまだ長い髪の、身の丈よりも長い髪の持ち主である神聖ブリタニア帝国のローゼンクロイツ伯爵家の五女、シンクは。

『女が髪を触らせるのは、それだけその相手を信頼し、愛していることの証明』

 そう告げ、彼女の手を取る、大日本帝国枢木内閣外務大臣、麻生良太郎に他には見せない微笑みを見せていた。

 レミールは朝田泰司という男を心から愛している。だからこそ、彼に自身の髪に触れて貰い、髪の手入れを手伝って貰うのだ。件の伯爵家の五女が仰るように。

 その銀色に輝く美しい髪はいま、汗に濡れていた。愛の時間の長さと幾度もの愛の時を過ごした証、濡れた銀糸はぺったりと朝田の肌に張り付いている。

 だが、気持ち悪くは無い。とても良い感触で、とても香しい匂いがして、ずっとこのままにしていても良いくらいだと彼は思う。

94休日:2023/05/01(月) 15:05:43 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp




 砲艦外交以前に蕩け合う





 いつまでもこのまま静かな二人だけの時をレミールと過ごしたいと思う朝田は、彼女の唇に優しい口付けを贈った。

「ん――」

 軽く優しい口付けながらも、熱いベーゼでもある想いを込めたもの。受け取ったレミールの心が良く分かる。伊達にそれなりの時を彼女と過ごしてきたわけじゃない。

 1年と少しの間ともにいて、ともに暮らし、お互いを好き合うようになったのはいつ頃からだろうか。

 意識していたが言い出せなかった。どちらもが。それはこの艦での部屋割りにも直結することで。

 ここは旧型浮遊航空艦デュロの艦内。朝田とレミールが相談し、艦内の日本人乗組員とも話し合って決めた二人の部屋だ。

 朝田と、レミール。別々の部屋の方が本来ならば正当だろう。

 なにせ二人は共に外交官という身で、国は違えど同僚ではあるが、朝田は日本人の平民。

 一方のレミールはパーパルディア皇国の皇族。

 前述の意こそがこれ、身分の差というものが横たわっている。

 如何にパーパルディア皇国が北側諸国の中では“超”の付く弱小国家であっても、小国シーランド王国以下の弱小国家であってもそこはそれ。北側諸国という緩やかにして強固なる国家連合は加盟国間で大きな差別をしない。

 一部かつてのパーパルディア皇国の所業を知っている国からは少々蔑視的に見られることはあっても、自分たちもまた歴史上に於いてその様な行為を一度たりともしたことが無かった訳では無いと、自国を見つめ直し、パーパルディア皇国は北側諸国に受け入れられた。

 と言いつつ、まだオブザーバー加盟の段階で有り、議決権は無い。本来ならば。

 だが、パーパルディア皇国には特別に一票が与えられている。理由としては、この惑星の現在北側が積極的に交流を持とうとして行っている第三文明圏の大国だからだ。

 良くも悪くも顔役として、また防波堤としても使えるとのことで大きな大きな一票という票を与えられたのだ。ゆえにパーパルディア皇国の責任は重大。

 以前のような覇権主義は破棄し、地域の平和と発展のために北側諸国と協力していかなければならないのだ。

 パーパルディア皇国を武力で押さえつけた上で、平和的に議決権を与える鞭と飴の使い分け。一つの罠とも言えよう。これ以上の拡大は出来なくなってしまったわけだから。

95休日:2023/05/01(月) 15:06:20 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 無論、そのような拡大主義者・覇権主義者なる愚者を次代皇帝や重役に選んでいたならば、パーパルディア皇国と最も近い北側諸国である大日本帝国とシーランド王国によって地域に害成す国として滅ぼされていただろう。

 とにもかくにも、朝田泰司は平民でレミールはパーパルディア皇国皇族であるという身分差があり、本来同室はあり得てはならないのだ。

 だが、日本人乗組員に『朝田さんとレミール皇女には今後の日パの未来のこともありますので』と、押し込められるように同室にされた。

 これには私的に二人の仲を応援してあげようという意味と平行して政治的意味が隠れている。

 それは日本の外務省の職員無役の平民がパーパルディア皇国という、この惑星の、この文明圏での大国の皇族と結婚し子を成すことで得られる発言権だ。

 この地域だけでも充分に広い上に、パーパルディア皇国自体も70,000,000人と小粒ながら第三文明圏では秀でた人口数を誇り、そこには市場もある。これを外務省の無役の平民と彼の国の皇女が結婚することでまるごと手に入れようという、政略結婚的な外交戦略なのだ。

 最も、本人たちが好き合っていることが条件としてあった。夢幻会も日本政府も鬼じゃ無い。なによりも上帝陛下と御帝がそれを良しとはしないだろう。つまり現代になって本気で政略結婚などさせようとは誰も考えていない。だからこの二人なのだ。朝田泰司とレミール皇女は恋人同士。ならば丁度良いじゃないか乗っかってしまえという寸法だった。

 無論政略的婚姻について例外も存在する。神聖ブリタニア帝国第一皇子にして皇太子──オデュッセウス・ウ・ブリタニアと、大日本帝国皇女──皇神楽耶の婚約は政略的に進められた。こちらもまあ、交流を重ねてていくうちに本人たちが恋人関係になったので、結果良しと言う形だが。

 大日本帝国と神聖ブリタニア帝国は元をたどれば超古代文明国として同じ国へと行きつく。対南天対策のこともあり、将来的な二国二制度の連合国家化を目指している節が端々に見られるのだ。

 あるべきものが、あるべきところへと帰る。ただそれだけのことだとして。それはともかく朝田泰司とレミールについてだ。二人の婚姻とレミールが朝田の子を産むことについて。

 これにはパーパルディア皇国側の法律なども当然として関係してくるが、パーパルディア皇国新皇帝はこの二人を例外として皇族と平民ながら婚姻を認めるというお触れを出す予定だった。法をいじれるならそれまでに法の方をいじってしまおうとも考えていた。

 パーパルディア皇国としても日本人を皇室に迎え、列強など遙かに超える超大国大日本帝国の臣民の血を皇族に入れることで、日本との国際関係を盤石なものとしたいという意思がある。

 もちろん肝心の日本人側が平民では知れていると考える貴族や皇族も居ようが、『パーパルディア皇国の皇室には日本人がいるんだってね』この言葉の意味の大きさは、後々になって大きく影響を及ぼしてくると新皇帝は見ていた。

 おかしな話しだが、本来は皇族が相手国の皇族の子を産んで貰うことには意義があるが、この場合、パーパルディア皇国皇族であるレミール皇女に、日本の平民朝田泰司の子を産んで貰わなければならないという、不可思議な状況になっていた。

 いずれにせよ日本にとってはこの状況使えたら良いな程度だが、パーパルディア皇国側からしてみれば絶対に掴まなければならないチャンスなのだ。

 本当に、本当に、幸いとしか言えないのは二人が恋人同士で好き合っており、すでに身体の関係も持っていること。皇族を抱いたのだからもう後戻りは出来ない状況が仕上がっていること。

 別に二人の身辺を探っていたわけではない。二人にもプライベートがあるのだ。

96休日:2023/05/01(月) 15:07:15 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 だが、ご近所さん的な会話はすごいもので、二人の住む朝田泰司のマンションでも普通に恋人同士と見られる行動を取っているところを見られている。

 街角のカメラにも写っている。

 パーパルディア皇国大使館内でも普通に話題になっている。

 つまりもう普通にまで落とし込まれてしまうくらい、色んな場所で見聞きされていたわけだ。

 積み上げられた既成事実の数々。知らぬは本人ばかりなり。

 そういうことで朝田とレミールの部屋は同室で良い。今更だろうと乗り組み員に決められたのだ。


 ※


「皇国まであと7時間ほどか」

「この星広いですからね」

 朝田とレミールは抱き合ったままシーツを被り、眠りに入ろうとしていた。

 窓の外には星が流れていく。月も出ていて月明かりが綺麗だ。

「地球は小さかったのか?」

 レミールが問う。地球という見知らぬ星について。

「小さくは無いですけどこの惑星に比べると。この惑星は直径が地球の2.5倍。表面積に於いては6.3倍もある巨大な物でして。既に衛星は100基以上打ち上げており宙からの探索は済んでいるのですが」

「地上の探索はまだまだという訳か」

「ええ、大東洋の更に向こうや、ムー大陸の逆側にも陸地は有り、国や集落もあるでしょう」

「私たち外交官の出番というわけだな」

「そうなります」

 流れていく星空を見つめながらレミールが呟く。

「北側諸国は地球では常に緊張状態に置かれていたのか? その、軍備が凄すぎてな。別冊宝大陸2023年度各国軍事力表という本を読んだのだが。日本はあの鳳凰級・大鳳級巨大空母を100,000t〜130,000t超え空母を24隻、ブリタニアに至っては100,000超えの空母を36隻保有しているそうではないか。AEUでも100,000級の空母を15隻。他の国も強力な戦力を保有しておる。地球は戦争前夜だったのか?」

 戦艦大和型は160,000tそんなものを日本は4隻まだ増産中だったとも言われる。ブリタニアもペンドラゴン型を4隻保有。AEUもグロイスドイッチェラント型を4隻。他の国もやはり戦艦空母を多数。

 戦闘機や戦車・KMFに浮遊航空艦、通常艦艇も尋常な数では無い。日本の計画中のまで合わせた大型浮遊航空艦の数は500隻を超えている小型可翔艦まで合わせれば1,000隻を余裕で超えている。その性能も旧式と最新式で雲泥の差がある。KMFも北側諸国全てを合わせれば100,000騎近くあるのでは無いだろうか。

「常――とは言いませんが、ここ5年ほどの間は。正確にはここ10年になるのでしょうか。我々北側諸国と対立していた国々のことはレミール皇女ももう御存じでしょう」

97休日:2023/05/01(月) 15:08:23 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「南天条約機構だな」

「はい。その南天が大軍拡を始めたばかりか、北半球への侵略を始めたのです」

「北半球への侵略? しかし北半球全てが北側諸国に加盟していたわけでも無かろう。色分けされた地図も見たがアジアという地域がすっぽりと抜けておった。あとはE.U.という地域が」

 そうだ。北側諸国とは現在でこそそのE.U.、もとい元E.U.、現在のAEUも入っているがいずれにせよ中東からアジアは抜けていた。

「ええ、その抜けていた地域への侵略を始めたのです。南天に抗せるのは日本・ブリタニアだけ。これは世界の常識でしてね。実際に生産力・軍事力・経済力・GDPで見ても南天は日本・ブリタニアの次にくるのですよ。総兵力では世界一位でしてね“死兵”といって、神に命を捧げるための戦闘マシーンが80,000,000もいるのです」

「……ぞっとするな」

 死を恐れぬ80,000,000の兵が最新式の兵器で身を固めて攻めてくるのだ。地獄の蓋が開いたとしか思えない。

「その南天が2〜3年で30個空母戦闘群体勢を創り上げまして、まだ増産に入っているのを見て。これは本格的な北半球への侵略を始めようとしていると自体を重く見た北側諸国は大軍拡に入ったのです。そして立て続けに起きた第二次シベリア戦争、日本による高麗・清国侵攻、南天の中華・ジルクスタン同時侵攻、日本・ブリタニアの中華出兵とジルクスタンでの日・ブ・南激突。これにより荒廃した中華連邦とジルクスタンの復興。南天側も中東まで引きそこを停戦ラインとして緊張状態が続いていた中」

「我々の惑星への北側諸国大転移が起きた」

「そういうことです」

 レミールは思い出す。自宅、つまり朝田の家の自分の部屋に置いてある別冊宝大陸2023の内容を。

 北南世界大戦が起きれば世界は10回以上滅びるという一説を。

「泰司……」

「なんです?」

「我々の世界にも恐怖の国としておとぎ話に語られる古の魔法帝国の話があるが、その魔法帝国と南天条約機構ではどちらが危険か?」

 少し溜めを置く朝田。彼ももう一年と少しの間この世界に身を置いている。この大きな惑星に。

 古の魔法帝国のことも調べた。どれ程の物かというものも分析した。各国の演算装置が割り出した答えの中にはこの古の魔法帝国の復活についても触れられており。

 復活したらまず多種族と友好関係を築き、平和的に発展を目指すかと問い掛け、NOという返事が出た場合、F号兵器で大陸ごと消し飛ばす算段が立てられていた。

 そして、もしも南天諸国が転移してきたら? 彼らの行動を見て慎重に事を運ぶ算段が立てられている。南天を刺激するのは危険すぎるからだ。

「まず種族的危険度で言えば魔法帝国です。全ての種族を奴隷にしていたという点を鑑みても。ですが、同時に思想的危険度で言えば南天が上です。南天には教化か浄化の二択しか無いのです。唯一神を崇め奉るか?それとも浄化=死刑か」

「魔法帝国並みに危険では無いか!!」

「ええ、まあある意味ではそうかも知れません。そして、軍事的危険度で言えば―――南天条約機構の方が圧倒的に危険です。彼らはこの巨大な惑星でも5回以上は滅ぼせる力を持っております。最低ラインで」

 北側のF号兵器は日本ブリタニアでそれぞれ100,000発はある。現時点ならばAEUも1,000発は保有しているだろう。

「まず日本のF号兵器は半径300㎞、最大で350㎞の範囲を消滅させられます、ブリタニアは半径300㎞。AEUは半径200㎞――南天の物は半径200㎞」

「な、なんだ、出力は日本よりも低――」

「但し、保有数は推定50,000発です」

「……ッッ!!」

 レミールは言葉を失う。たった50〜100で大陸まるごと消滅させてしまう兵器を50,000発も持った狂信者の国。

 死をもいとわず向かってくる80,000,000の死兵。多種多様な北側諸国と同等の兵器群。そして世界を滅ぼすF号兵器。

「南天は魔法帝国を滅ぼすのに1,000分1の力で滅ぼせるわけだな……」

 震えるレミールを少し強めに抱き締めた朝田は優しく話す。

「想定の話ですから意味はありません。演算装置の結果でも転移してくるのは取り残されている中華連邦とジルクスタンです。南天ではありません。魔法帝国は話の通じない相手ならば大陸ごと消し飛ばします。空間ごと消滅させるF号兵器にはシールドの類いも役に立ちませんからね」

 いぜれにせよ、全ては事が起こってからでないと手の打ちようがない。万全の準備はするが。

 願わくば南天条約機構がこの惑星に転移してこないことを祈る。朝田とレミール、思うことは同じであった。

98休日:2023/05/01(月) 15:17:31 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
ちょうど異星大転移が起きた時、大軍拡競争中だったために日本とブリタニアと南天の軍事力が天元突破して伸びている時でした。
その中で異星大転移が起きたので日本とブリタニアの軍事力はとんでもないことになっております。

超巨大艦だけを見積もると日ブだけで100,000超の航空母艦60艦。
150,000t超の戦艦12艦ですね。
浮遊航空艦も重斑鳩級、重ログレス級多数です。斑鳩級ではありません重斑鳩級です。ログレス級ではありません重ログレス級です。

当然南天もこれに対抗しておりました。

99トゥ!ヘァ!:2023/05/01(月) 15:59:59 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

南側との睨み合いの最中に日召世界に転移してきたわけですか。

話の通じない南天のいない世界にこれたと思えば割と幸運だったのでしょうかね…

100二二三:2023/05/01(月) 18:36:39 HOST:KD106155011178.au-net.ne.jp
乙です。やっぱり甘いの上手いなあ引っ掛からない様にでも甘く、このさじ加減が難しいんですよね……自分もTL小説を読み込まねば
しかしヤバいわ日・ブ・南。バケモンだ。この短期間に全体戦力100数十%増しになってるんじゃ
>150,000t超の戦艦12艦ですね
てことは日本が4隻だからブリタニア8隻?本編の4隻は書き間違いかな?
10万t以上の空母60隻って頭おかしい
浮遊航空艦は重斑鳩級と重ログレス級のようですが数が知りたい

101二二三:2023/05/01(月) 18:43:19 HOST:KD106155011178.au-net.ne.jp
しかしAEUもさり気なくF号兵器1000発ほど持ってるんだ
余裕で原作ダモクレス越えしてる。ヒトラーが使うの惜しまないわけだ

102名無しさん:2023/05/01(月) 18:48:59 HOST:KD106155009012.au-net.ne.jp
>日本、ブリタニア、南天はそれぞれ違いますが、本気を出した場合アメリカ7〜十数個分ですね。
こんな休日氏の一文が
つまり通常時はアメリカ2〜3個分、本気モードになるとこうなるのね

103休日:2023/05/01(月) 20:58:35 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
>>99トゥ!ヘァ!様
ラヴァーナル帝国なら余裕で倒せてしまいますからね(..;)

>>100二二三様
TL小説も気をつけてくださいよ? 中にはR18さくひんもありますので。
戦艦12隻の部分修正しました。まあ色々とおかしいことになっております。

>>101
AEUも原作超えしてますからね色んな面で。

>>102
平常時はアメリカの3個分くらいですね日本で。
南天で2.5個分くらいです。技術力は平常時でも日本はチートですが。
ブリタニアで5個分くらいです。
ですが本気になると南天でアメリカ8〜
日本でアメリカ10〜
ブリタニアでアメリカの十数倍〜
くらいだと思われます。

加筆修正分の投稿です。

104休日:2023/05/01(月) 21:00:11 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


「んん……っあ、ふ……うう……」

 熱く深く蕩ける愛。どこまでも深く、海よりも深く、それは果てどの無い心地良きひととき。終わる必要性も感じない、永遠にこのまま蕩け合っていたいと思う。

「んっ……、あっ……たい、じっ、あんんっ……わた、し、ッ」

 終わらなくていい。終わらないでほしい。そう思えるこの愛しき一瞬。一瞬だから愛おしいのか? 終わりがあるから愛おしさが募るのか? その答えは永遠に分からない。

「レミール皇女……、愛しております……レミール皇女……」

 男──朝田泰司は愛を謳い。無駄な肉の付いていない肉体を以て、そして何よりもその純粋なる心を以て彼女を愛し。

 その終わりのあってほしくない時を先導しつつ、終わりへと向かいゆく。

 レミールという女をただ愛し、愛するが故に愛し合い。

「たい、じッ、愛、してッああ――んん──っ!!」

 女──パーパルディア皇国皇族レミールは、朝田泰司の純愛を受け。

 最後の時と与り知りつつ、刻の終わりを静かに受け入れる。

「くっ――!!」

 そう最後まで二人は共にあり共に、その果てへと至るのだ。これが終わりと知りながらも。

 ああ、だが、幾度目となろうか? 幾度目の終わりなのか? いや、これまでが続きであったのに対しての今の終局だ。終局。なんて嫌な言葉か。

 俺はレミール皇女と、私は泰司と。時を忘れてもっともっと愛を紡ぎたいと願うのに。終局という言葉その物は好きだ。レミール皇女と泰司と共に終局を迎える瞬間が心地良く愛おしいから。

 だが、最後の瞬間の終局は切ない。募る想いがはち切れそうになる。

 長い夜も半分ほどが過ぎた。パーパルディア時刻──皇都エストシラントを基準に合わせられた時計の時刻は夜の2時。草木も眠る丑三つ時。

 本当に、本当に長く愛を奏で合わせていたが、時とともにこの秘めやかなひとときを終わり。互いの心と体にしっかりと互いを刻み合わせつ、二人は静かに身体を離す。

 お互いを抱き合ったまま身体だけは離れた状態。このまま眠るのだ。いつものこと。そう、いつもの……。

 ベッドに散らばる長い銀の髪。放射状に散らばる髪は。

「ふううう、」

 息を吐く朝田。その身体にも、そのレミールの膝下まで流れる銀色の髪が、纏わり付いている。

「疲れた、のかっ……、泰司……」

「いいえ、レミール皇女を愛する行為に、疲れなど在りません……しかし、まあ、少し一息ついただけです」

105休日:2023/05/01(月) 21:00:46 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 愛する行為に疲れなど無い。時が許すのならばもっともっと、何度だって彼女を愛したいさと朝田は思う。

 どこまでも蕩け合い、溶け合って、一つになり続けて果てるんだ。愛し合っているのだから求め合わずにはいられないだろう。

「これで……、お終い、なのにか?」

 これでおしまいなのに一息吐くというのが何だかおかしくて、レミールは小首をかしげる。色気ある大人の女性。二十代後半と三十ほどの朝田自身よりも若干年下のレミールのそんな姿がとても愛おしく、可愛らしい。

「何事にも終わりはあるものです。まあ、私個人の意見としては、レミール皇女との愛しい時間に終わりなど在って欲しくはないのですが。もし可能であるのならば一日中だって貴女と愛し合っていたいですよレミール皇女」

 明日、仕事が無ければ、このまま彼女と更なる深みへ潜り込むだろう。どこまでも、いつまでも。そうなれば止まらない。終わらない。そんなことは彼女自身が一番よく知っている。

 朝田は自身の身体に纏わり付いている美しい銀糸を指でなぞる。月明かりに輝いて更に美しい。

「私もだ、泰司……私も終わりたくないぞ……だが、明日を考えるのならば、終わらねばならぬのだな。切なきものよな」

 かつては巻き髪にしていたレミールの髪。今は真っ直ぐに伸ばされているのはそちらの方が綺麗だという朝田の言葉と、現代日本の公館で巻き髪をしている女性は少ないんじゃないかなあ、という、彼の個人的アドバイスによるもの。

 統計を取っていないので分からないのだがそのアドバイスを受け、レミールはロールヘアーから直毛に変えたのだ。そうしたらそうしたで今度は髪が膝下にまで届いてしまい、長すぎて手入れに困ったものだが、朝田がお手伝いしますと朝出かけるときにセットの手伝いをするようになったのである。

 レミールはもちろん嫌がっていない。快く受け入れている。ある人が言った。レミールよりもまだ長い髪の、身の丈よりも長い髪の持ち主である神聖ブリタニア帝国のローゼンクロイツ伯爵家の五女、シンクは。

『女が髪を触らせるのは、それだけその相手を信頼し、愛していることの証明』

 そう告げ、彼女の手を取る、大日本帝国枢木内閣外務大臣、麻生良太郎に他には見せない微笑みを見せていた。

 レミールは朝田泰司という男を心から愛している。だからこそ、彼に自身の髪に触れて貰い、髪の手入れを手伝って貰うのだ。件の伯爵家の五女が仰るように。

 その銀色に輝く美しい髪はいま、汗に濡れていた。いつも頭に戴いている金のサークレットは外され、棚の上に置かれていた。レミールと朝田はいつも静かなに、そして長く時間を掛けて深く愛し合うことを基本としている。

 時間を掛けてじっくりと愛を交わしたいのだ。そのさなかに置いてレミールの美しくも長い銀髪は乱れる。乱れた髪は吹き出す汗によって彼女の肌に張り付くが、朝田の肌にも張り付く。それだけ長いから。

 そしてそれは、愛の時間の長さと幾度もの愛の時を過ごした証、濡れた銀糸はぺったりと朝田の肌に張り付いている。

 だが、気持ち悪くは無い。とても良い感触で、とても香しい匂いがして、ずっとこのままにしていても良いくらいだと彼は思う。

106休日:2023/05/01(月) 21:04:46 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp



 砲艦外交以前に蕩け合う





 いつまでもこのまま静かな二人だけの時をレミールと過ごしたいと思う朝田は、彼女の唇に優しい口付けを贈った。

「ん――」

 軽く優しい口付けながらも、熱いベーゼでもある想いを込めたもの。少し啄み合う唇、口付けを受け取ってくれるレミールの心が良く分かる。伊達にそれなりの時を彼女と過ごしてきたわけじゃない。

 1年と少しの間ともにいて、ともに暮らし、お互いを好き合うようになったのはいつ頃からだろうか。

 意識していたが言い出せなかった。どちらもが。それはこの艦での部屋割りにも直結することで。

 ここは浮遊航空艦デュロの艦内。型は古いが立派な空飛ぶ戦艦。全長191mと大きな艦内部屋は幾つもあるが、朝田とレミールが相談し、艦内の日本人乗組員とも話し合って決めた二人の部屋だ。

 朝田と、レミール。別々の部屋の方が本来ならば正当だろう。

 なにせ二人は共に外交官という身で、国は違えど同僚ではあるが、朝田は日本人の平民。

 一方のレミールはパーパルディア皇国の皇族。

 前述の意こそがこれ、身分の差というものが横たわっている。

 如何にパーパルディア皇国が北側諸国の中では“超”の付く弱小国家であっても、小国シーランド王国以下の弱小国家であってもそこはそれ。北側諸国という緩やかにして強固なる国家連合は加盟国間で大きな差別をしない。

 一部かつてのパーパルディア皇国の所業を知っている国からは少々蔑視的に見られることはあっても、自分たちもまた歴史上に於いてその様な行為を一度たりともしたことが無かった訳では無いと、自国を見つめ直し、パーパルディア皇国は北側諸国に受け入れられた。

 と言いつつ、まだオブザーバー加盟の段階で有り、議決権は無い。本来ならば。

 だが、パーパルディア皇国には特別に一票が与えられている。理由としては、この惑星の現在北側が積極的に交流を持とうとして行っている第三文明圏の大国だからだ。

 良くも悪くも顔役として、また防波堤としても使えるとのことで大きな大きな一票という票を与えられたのだ。ゆえにパーパルディア皇国の責任は重大。

 以前のような覇権主義は破棄し、地域の平和と発展のために北側諸国と協力していかなければならないのだ。

 パーパルディア皇国を砲艦外交という名の武力で押さえつけた上で、平和的に議決権を与える鞭と飴の使い分け。一つの罠とも言えよう。皇国のこれ以上の拡大は出来なくなってしまったわけだから。

 無論、そのような拡大主義者・覇権主義者なる愚者を次代皇帝や重役に選んでいたならば、パーパルディア皇国と最も近い北側諸国である大日本帝国とシーランド王国によって地域に害成す国として滅ぼされていただろう。

 とにもかくにも、朝田泰司は平民でレミールはパーパルディア皇国皇族・皇女であるという身分差があり、本来同室はあり得てはならないのだ。

 だが、日本人乗組員に『朝田さんとレミール皇女には今後の日パの未来のこともありますので』と、押し込められるように同室にされた。

 これには私的に二人の仲を応援してあげようという意味と平行して政治的意味が隠れている。

 それは日本の外務省の無役職員の平民がパーパルディア皇国という、この惑星の、この文明圏での大国の皇族と結婚し子を成すことで得られる大きな発言権だ。

107休日:2023/05/01(月) 21:05:28 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 この地域だけでも充分に広い上に、パーパルディア皇国自体も70,000,000人と小粒ながら第三文明圏では秀でた人口数を誇り、そこには市場もある。これを外務省の無役の平民と彼の国の皇女が結婚することでまるごと手に入れようという、北側というより日本の政略結婚的な外交戦略なのだ。

 最も、本人たちが好き合っていることが条件としてあった。夢幻会も日本政府も鬼じゃ無い。なによりも上帝陛下と御帝がそれを良しとはしないだろう。つまり現代になって本気で政略結婚などさせようとは誰も考えていない。だからこの二人なのだ。朝田泰司とレミール皇女は恋人同士。ならば丁度良いじゃないか乗っかってしまえという寸法だった。

 無論政略的婚姻について例外も存在する。神聖ブリタニア帝国第一皇子にして皇太子──オデュッセウス・ウ・ブリタニアと、大日本帝国皇女──皇神楽耶の婚約は政略的に進められた。こちらもまあ、交流を重ねてていくうちに本人たちが恋人関係になったので、結果良しと言う形だが。

 大日本帝国と神聖ブリタニア帝国は元をたどれば超古代文明国として同じ国へと行きつく。対南天対策のこともあり、将来的な二国二制度の連合国家化を目指している節が端々に見られるのだ。

 あるべきものが、あるべきところへと帰る。ただそれだけのことだとして。それはともかく朝田泰司とレミールについてだ。二人の婚姻とレミールが朝田の子を産むことについて。

 これにはパーパルディア皇国側の法律なども当然として関係してくるが、パーパルディア皇国新皇帝はこの二人を例外として皇族と平民ながら婚姻を認めるというお触れを出す予定だった。法をいじれるならそれまでに法の方をいじってしまおうとも考えていた。

 パーパルディア皇国としても日本人を皇室に迎え、列強など遙かに超える超大国大日本帝国の臣民の血を皇族に入れることで、日本との国際関係を盤石なものとしたいという意思がある。

 もちろん肝心の日本人側が平民では知れていると考える皇族や貴族も居ようが『パーパルディア皇国の皇室には日本人がいるんだってね』この言葉の意味の大きさは、後々になって大きく影響を及ぼしてくると新皇帝は見ていた。

 特にレミール皇女が朝田泰司の子を産むことはそれ自体がパーパルディア皇国に大きな恩恵もたらすのだ。『パーパルディア皇国の皇室には日本人の子が居る』これは日本の臣民との絆を考えた上で、とても無視できない経済効果と日本との関係強化を生み出すのだ。

 おかしな話しだが、本来は皇族が相手国の皇族の子を産んで貰うことには意義があるが、この場合、パーパルディア皇国皇族であるレミール皇女に、日本の平民・朝田泰司の子を産んで貰わなければならないという、不可思議な状況になっていた。

 いずれにせよ日本にとってはこの状況使えたら良いな程度だが、パーパルディア皇国側からしてみれば絶対に掴まなければならないチャンスなのだ。

 本当に、本当に、幸いとしか言えないのは二人が恋人同士で好き合っており、すでに身体の関係も持っていること。皇族を抱いたのだからもう後戻りは出来ない状況が仕上がっていること。

 別に二人の身辺を探っていたわけではない。二人にもプライベートがあるのだ。

 だが、ご近所さん的な会話はすごいもので、二人の住む朝田泰司のマンションでも普通に恋人同士と見られる行動を取っているところを見られている。

 街角のカメラにも写っている。

 パーパルディア皇国大使館内でも普通に話題になっている。

『レミール皇女と朝田さんははっきりと子供が欲しいですね。そ、そうだな』

 そんな会話をしておりましたという諜報部の話しも上がってきている。

 つまりもう恋人関係にして子作りを考えているくらいに、それが二人の普通という枠にまで落とし込まれてしまうくらい、色んな場所で見聞きされていたわけだ。

 積み上げられた既成事実の数々。知らぬは本人ばかりなり。

 そういうことで朝田とレミールの部屋は同室で良い。今更だろうと乗り組み員に決められたのだ。

108休日:2023/05/01(月) 21:06:42 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 ※


「皇国まであと7時間ほどか」

「この星広いですからね」

 朝田とレミールは抱き合ったままシーツを被り、眠りに入ろうとしていた。

 窓の外には星が流れていく。月も出ていて月明かりが綺麗だ。

「地球は小さかったのか?」

 レミールが問う。地球という見知らぬ星について。

「小さくは無いですけどこの惑星に比べると。この惑星は直径が地球の2.5倍。表面積に於いては6.3倍もある巨大な物でして。既に衛星は100基以上打ち上げており宙からの探索は済んでいるのですが」

「地上の探索はまだまだという訳か」

「ええ、大東洋の更に向こうや、ムー大陸の逆側にも陸地は有り、国や集落もあるでしょう」

「私たち外交官の出番というわけだな」

「そうなります」

 流れていく星空を見つめながらレミールが呟く。

「北側諸国は地球では常に緊張状態に置かれていたのか? その、軍備が凄すぎてな。別冊宝大陸2023年度各国軍事力表という本を読んだのだが。日本はあの鳳凰級・大鳳級巨大空母を100,000t〜130,000t超え空母を24隻、ブリタニアに至っては100,000超えの空母を36隻保有しているそうではないか。AEUでも100,000t級の空母を15隻。他の国も強力な戦力を保有しておる。地球は戦争前夜だったのか?」

 戦艦大和型は160,000tそんなものを日本は4隻まだ増産中だったとも言われる。ブリタニアもペンドラゴン型を8隻保有。AEUもグロイスドイッチェラント型を4隻。他の国もやはり戦艦・空母を多数。

 戦闘機や戦車・KMFに浮遊航空艦、通常艦艇も尋常な数では無い。日本の計画中のまで合わせた大型浮遊航空艦の数は500隻を超えている。小型可翔艦まで合わせれば1,000隻を余裕で超えている。その性能も旧式と最新式で雲泥の差があり、世代更新が恐ろしく早い。KMFも北側諸国全てを合わせれば100,000騎近くあるのではないだろうか。

「常――とは言いませんが、ここ5年ほどの間は。正確にはここ10年になるのでしょうか。我々北側諸国と対立していた国々のことはレミール皇女ももう御存じでしょう」

「南側諸国――南天条約機構だな」

「はい。その南天が大軍拡を始めたばかりか、北半球への侵略を始めたのです」

「北半球への侵略? しかし北半球全てが北側諸国に加盟していたわけでも無かろう。色分けされた地図も見たがアジアという地域がすっぽりと抜けておった。あとはE.U.という地域が」

 そうだ。北側諸国とは現在でこそそのE.U.、もとい元E.U.、現在のAEUも入っているが、いずれにせよ中東からアジアは抜けていた。

「ええ、その抜けていた地域への侵略を始めたのです。南天に抗せるのは日本・ブリタニアだけ。これは世界の常識でしてね。実際に生産力・軍事力・経済力・GDPで見ても南天は日本・ブリタニアの次にくるのですよ。総兵力では世界一位でしてね“死兵”といって、神に命を捧げるための戦闘マシーンが80,000,000もいるのです」

「……ぞっとするな」

 死を恐れぬ80,000,000の兵が最新式の兵器で身を固めて攻めてくるのだ。地獄の蓋が開いたとしか思えない。

「その南天が2〜3年で30個空母戦闘群体勢を創り上げまして、まだ増産に入っているのを見て。これは本格的な北半球への侵略を始めようとしていると事態を重く見た北側諸国は大軍拡に入ったのです。そして立て続けに起きた第二次シベリア戦争、日本による高麗・清国侵攻、南天の中華・ジルクスタン同時侵攻、日本・ブリタニアの中華出兵とジルクスタンでの日・ブ・南激突。これにより荒廃した中華連邦とジルクスタンの復興。南天側も中東まで引きそこを停戦ラインとして緊張状態が続いていた中」

「我々の惑星への北側諸国大転移が起きた」

「そういうことです」

 レミールは思い出す。自宅、つまり朝田の家の自分の部屋に置いてある別冊宝大陸2023の内容を。

 北南世界大戦が起きれば世界は10回以上滅びるという一説を。

109休日:2023/05/01(月) 21:07:14 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「泰司……」

「なんです?」

「我々の世界にも恐怖の国としておとぎ話に語られる古の魔法帝国の話があるが、その魔法帝国と南天条約機構ではどちらが危険か?」

 少し溜めを置く朝田。彼ももう一年と少しの間この世界に身を置いている。この大きな惑星に。

 古の魔法帝国のことも調べた。どれ程の物かというものも分析した。各国の演算装置が割り出した答えの中にはこの古の魔法帝国の復活についても触れられており。

 復活したらまず多種族と友好関係を築き、平和的に発展を目指すかと問い掛け、NOという返事が出た場合、F号兵器で大陸ごと消し飛ばす算段が立てられていた。

 そして、もしも南天諸国が転移してきたら? 彼らの行動を見て慎重に事を運ぶ算段が立てられている。南天を刺激するのは危険すぎるからだ。

「まず種族的危険度で言えば魔法帝国です。全ての種族を奴隷にしていたという点を鑑みても。ですが、同時に思想的危険度で言えば南天が上です。南天には教化か浄化の二択しか無いのです。唯一神を崇め奉るか?それとも浄化=死刑か」

「魔法帝国並みに危険では無いか!!」

「ええ、まあある意味ではそうかも知れません。そして、軍事的危険度で言えば―――南天条約機構の方が圧倒的に危険です。彼らはこの巨大な惑星でも5回以上は滅ぼせる力を持っております。最低ラインで」

 北側のF号兵器は日本ブリタニアでそれぞれ100,000発はある。現時点ならばAEUも1,000発は保有しているだろう。

「まず日本のF号兵器は半径300㎞、最大出力で350㎞の範囲を消滅させられます、ブリタニアは半径300㎞。AEUは半径200㎞――南天の物は半径200㎞」

「な、なんだ、出力は日本よりも低――」

「但し、保有数は推定50,000発です」

「……ッッ!!」

「分かりますか? 直径400㎞の円形範囲を消滅させられる兵器が50,000発です。この巨大な星でさえ滅ぼして余りある力なのです」

 レミールは言葉を失う。たった50〜100で大陸まるごと消滅させてしまう兵器を50,000発も持った狂信者の国。

 死をもいとわず向かってくる80,000,000の死兵。多種多様な北側諸国と同等の兵器群。そして世界を滅ぼすF号兵器。

「南天は魔法帝国を滅ぼすのに1,000分1の力で滅ぼせるわけだな……」

 震えるレミールを少し強めに抱き締めた朝田は優しく話す。

「想定の話ですから意味はありません。演算装置の結果でも転移してくるのは取り残されている中華連邦とジルクスタンです。南天ではありません。魔法帝国は話の通じない相手ならば大陸ごと消し飛ばします。空間ごと消滅させるF号兵器にはシールドの類いも役に立ちませんからね」

 いずれにせよ、全ては事が起こってからでないと手の打ちようがない。万全の準備はするが。

 願わくば南天条約機構がこの惑星に転移してこないことを祈る。朝田とレミール、思うことは同じであった。

110休日:2023/05/01(月) 21:08:00 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
何度も失礼します。

111トゥ!ヘァ!:2023/05/01(月) 21:25:19 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
加筆修正乙です

112二二三:2023/05/01(月) 22:40:06 HOST:KD106155009194.au-net.ne.jp
修正乙です。ヤバいやっぱりブリタニアの15万t級戦艦8隻だった。大和型16万t級を意識したけど届かずだったのな。その分数で補うと
まあ南天のことで非常事態なのもあるから平時みたいに競い合いしてる場合でもないか
北南世界大戦一歩手前まで行ってたんだから
朝田さんとレミールは原作と違って甘い甘い。このままパーパルディア皇国皇室に日本人ハーフの子供が生まれるだろねえ
しかしレミールの言うように魔法帝国の次に南天がやってくるか。魔法帝国の代わりに南天がやってきたら地獄だな

113ハニワ一号:2023/05/02(火) 10:21:28 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
休日さん乙です。
北側諸国が転移した後の南天はどうしているんでしょうね・・・。
転移した北側諸国を追っかけるために転移やゲートの研究をしてそう。

114ハニワ一号:2023/05/02(火) 10:31:55 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
藤堂のアナザーを見るとやっぱルルーシュに必要だったのは黒の騎士団(特に藤堂派の千葉や朝比奈)と信頼と信用を深めるための交流イベの場を定期的に設けるべきだったよなと思ってしまう。
それに年長者として上手く仲裁できる仙波、卜部が戦死してしまったのはとても痛かったと実感するわ。

115二二三:2023/05/02(火) 17:05:20 HOST:KD106155009084.au-net.ne.jp
原作フレイヤの威力って半径100キロ程度らしいです
休日の南天のフレイヤでもう原作超えてます…

116トゥ!ヘァ!:2023/05/02(火) 18:28:56 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
本来半径100㎞もあれば複数の町簡単に消せるレベルですからねぇ。

東京を中心点とすれば東京都全土と埼玉、千葉、神奈川の大半を飲み込めますし。

117ハニワ一号:2023/05/02(火) 18:58:40 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
原作フレイヤの威力でも普通の核兵器よりも被害が酷いんだよな・・・。
普通の核兵器であれば核シェルターなどに避難すれば助かりますがフレイヤだと効果範囲内を丸ごと消滅ですからね・・・。
核兵器と違って放射能は発生しないため核兵器と違って放射能を気にせず使えるというのが色々な意味でヤバいですね。

118名無しさん:2023/05/02(火) 19:35:53 HOST:pl35058.ag1001.nttpc.ne.jp
有事には首脳や軍上層部の航空機からの指揮指向が現実世界よりもさらに顕著でしょうね
ICBMよりSLBMの比重がさらに高まりそう

119アイサガP:2023/05/02(火) 22:26:04 HOST:125-8-153-75.rev.home.ne.jp
ロスストのアンケート企画
このキャラ専用のKMFを作ろう
1位マリマヤ+ガウェイン
2位マリマヤ+ランスロット・エアキャヴァルリー
3位スザク+ガウェイン

一位に成ったらゲーム実装だそうな

120トゥ!ヘァ!:2023/05/02(火) 22:40:55 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
実装する際には配布にしてほしいですのぉ。

ガウェインがもう一機欲しい。

121休日:2023/05/02(火) 22:55:37 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
投稿します11年前のSSのリメイク物ですみません。

122休日:2023/05/02(火) 22:56:30 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 一サラリーマン神崎博之――嶋田繁太郎は億の人間と動植物を殺し、繁太郎としては御国のためと納得しつつ、博之としては悔恨を残す。

 それもそのはず。ただの平凡な一サラリーマンがたとえ表で中層で、深層でさえ納得し、そのGOサインを出したとしても。

 深層心理では苦しんでいた。誰も気付かず、本人さえも気付かず。時の終わりと共に消えゆくだけの感情だとしても、苦しみは確かにあったのだ。

 そうして時を終えた彼。幸せなる老衰だった。優しく暖かい死の瞬間、黄金色と鮮やかな草原の色を視た気がした。死を前にした幻視だろうか?

 先に行った仲間達が待っているというのに、自身はまだ生にしがみつこうというのか。この穏やかなる死を前にして。

 ああ、もしも生まれ変われるならば、今度こそ穏やかな世界で、穏やかなる日常を願いながら、命の灯火の尽きた嶋田繁太郎。享年○○才。

 人類史上最も多くの命を奪ったただ一人の男は、己自身もまた生涯を閉じた。それは、それはとても穏やかなる眠りであったという。



 ※※※



 ――タロウ。


 ん? 誰だ。


 ――ゲタロウ


 俺は静かに眠ったはずなのに、また呼び起こすのは誰?


 “僕”を呼び起こすのは誰。


 ――シゲタロウってばッ!!


 うわッ!?


 耳がキーンとする。


 がばっとその場に起きる。起きる? あれ、俺、神崎博之――嶋田繁太郎は、死んだはずなのに? 起きる?

123休日:2023/05/02(火) 22:57:22 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


「うえッ、うええええん、おぎだおぎだよ兄さんンンッ!」

「分かってる分かってる。分かったから泣かないで。シャルル」

 シャルル。シャルルくん。シャルル・ジ・ブリタニアくん。―――ッ痛い!!!

 頭の中に物凄い記憶量が流れ込んでくる。シャルルくん。V.V.くん。嶋田繁太郎。嶋田命周。前の嶋田繁太郎。夢幻会。衝号。……神崎ひ、ろ、ゆき。

 頭が壊れそうなくらいの記憶の流入。三人の記憶が入り交じっている。カンザキと、嶋田と、……嶋田繁太郎くんの。

 前の時には無かった物凄い激痛が頭を襲い。立っていられなくなってその場に尻餅をついた。

「し、しげ、シゲタロウまた死んじゃったよぉぉッ!!」

「馬鹿ッ! 死んでない! シャルルは右側持ち上げて、僕は左腕を抱え上げるから!」

「う゛うん」

 ぐいっと持ち上げられる身体。小さな体躯だ。幼い、幼い、俺の身体……。

 一度記憶が其処で途切れた。


 ※※※


 次に気が付いたとき。そこは荘厳な部屋の豪奢なベッドの上だった。

 部屋には女中さん? メイドさんらしき人が居て。僕が目を覚ましたの知ると。

「シゲタロウ様!!」

 叫んで部屋の外へと出ていった。

 おい、怪我人を一人にするなよ。

 それにしてもふと気が付いたけれど、一人称が“僕”になっている。なんで僕なんだ。俺だろうに。俺の筈なのに僕の方がしっくりくる。

 頭が痛いズキズキする。でも、さっきみたいに気絶するほどじゃない。

 流れ込んでくる記憶。僕はどうも貴族らしい。正確には華族。古くから続く家系で、辺地にだけど両地も持っている。っていうか僕んとこの両地、カムチャッカ州まるごとなんだけど。何考えてんの大日本帝国政府。

 史実で言うところのペトロパブロスク-カムチャツキーが入ってるんですけど。けど寒い領地だなあ台風が来ないことと夏がほぼ無い事は救いだけど……っていうかその前にまた嶋田繁太郎かぁ。

 どんどん記憶が流れ込んでくる。リーマン時代の博之の記憶から……億人殺した衝号の記憶まで……。どんどん流れ込んできて、現世に行き着く。

 アメリカ大陸に存在する広い広い国家。南“ブリタニア”大陸の一部までを領土とする強大なる国家“力のブリタニア”。書いて字の如く力、圧倒的な国力を誇るこの世界に存在する三つの超大国的国家勢力の一つ。順位は第一位。

 そして、僕は日本人。外交官も務める嶋田命周華族伯爵正確には上位伯爵の息子。嶋田繁太郎。実家はカムチャツカ州に領地を持つも東京。いや、大東京。おかしなくらいに発展した、耐震ブロック構造に600m700mの強化耐震設計ビルが林立する巨大都市。

 家系は神官系で、何十年か前の日本・ブリタニア太平洋戦争で多大な功績を挙げたことから陞爵し上位伯爵となったらしい。さらにカムチャツカ州を領地として拝領したとか。カムチャツカ州の発展もおかしい。カムチャツキーのビル、300m400mざらにあるんだけど。人口も10,000,000人て。

 嶋田領軍って独自の軍も持ってて50,000人ほどの兵力がある。陸海空三軍揃い踏み。どうなってるんだ。

 450年前の足利幕府では義輝の政権を支え、義輝も長生きして足利政権はそのまま大政奉還するまで450年もの長期軍事政権として北へ南へ領土を広げていった。台湾もこの頃だし、内南洋、外南洋もこの頃。

 樺太・千島列島・カムチャツカ・チュクチ、アリューシャン列島全島もこの頃に領土に編入している。120,30年前には日中戦争が起きていて日本が中華連邦とか言う国の海軍をまるごと潰し、海南島を正式領土としてぶんどった。

 50年前には日欧戦争が起きて現在の領土で一応の日欧戦争の戦後講和交渉という名の一方的要求の中では、サハ以東を日本に割譲する案をユーロユニバース側が提案してきたが『その地は本来の持ち主の元へ何れ帰る』といった予言めいた言葉を残し、日本は割譲を固辞。多額の賠償金と軍備制限に留めている。ただし国境線は画定させ二度とこちらへ来ないように、『次ぎ来たら国ごと潰す』と宣言、4発戦略爆撃機連山を20,000機用意していることを公表した。

124休日:2023/05/02(火) 22:58:05 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 いやおかしいだろ、複葉機しか無い欧州相手に何で4発の連山を20,000機も用意してるんだよ! なんで複葉機相手に単葉機やら中戦車やら持ち出しちゃってんの?! ユーロユニバースに勝ち目ねーじゃん! 反則だろ!

 50年前でこれだから日本の異常さもまた分かろうという物、いつしか日本は『技術の日本』と呼ばれ、超大国へと駆け上がっていた。なおサハ以東は日本に協力的で第二次日欧戦争の際には日本側に付くことを秘密協定に盛り込んでおり、土地はいくらでもある状態だった。

 日ブ太平洋戦争も完全におかしい。ジェット戦闘機橘花が普通に戦争開始当初に出てるんですけど? ブリタニアはプロペラ機よ? 80,000t空母? 80,000t戦艦? 頭おかしいの? ブリタニアもジェット出してくるし60,000t、40,000tクラスの空母両国で何隻つくっとるの? 一年間の戦争で。馬鹿じゃねーのか? で、なにブリタニア全土攻撃作戦85,000機の富嶽で? ブリタニア側も似たような作戦を立ててるしヤバいよコイツら。

 そして150年ほど前から南半球では大国合衆国オセアニアが動き出し、インド洋の島々を次々と併呑。マダガスカルを併合し、東アフリカまで併合していった。近年では事実定中央アフリカ以南のアフリカもオセアニアの領域、イラク社会主義共和国もまたオセアニアの。

 日ブ太平洋戦争の際には東南アジアの一部メラネシア全域、クック諸島、ポリネシアの大半を構成する大洋州連合に侵攻これを併合。南天条約機構を形成し、日本・ブリタニア率いる北側諸国同盟との間で対立関係を生み出し、第三の超大国的存在へと駆け上がった。

 日ブの歴史、南天の歴史は長い。遡れば超古代文明まで行き着き。超古代文明次代に三つに割れた。日ブは元さやに戻ろうとするも、南天は何者かが操っているようで独自路線を突っ走っている。

 僕が産まれる前には三国ともとても危険な兵器を生み出し――まてよ? 何でそんな機密まで知ってるんだ? 大気圏内爆発実験は幾度も行っているから知っててもおかしくないけど、いつ作られたなんてどうして……。伯爵家の息子である“僕”が識ったのか。

 そこまで考えたときだった。


 カチャ


 ドアノブを回して入って来たのは四人の子供。と、一人の大人――嶋田命周。外交官も務めている父だった。

「まったくだらしない。殿下方の遊び相手を務めるのがお前に課せられた役目だというのに、そのお前が貧血で倒れてどうする! 日本男児として恥ずかしくないのか!」

 僕に飛ぶ父の一喝。この瞬間、大日本帝国の父親らしいなという感想が頭を過ぎった。父は僕を怒るとこれから皇帝陛下とお話があると言って部屋を出て行った。

「シゲタロウ、大丈夫……?」

 大人しそうなおどおどとした、薄い栗色髪の挑発の少年が僕を心配する。

「大丈夫ですよシャルルくん……軽い貧血だから」

 シャルル・ジ・ブリタニア皇子。この国、神聖ブリタニア帝国の皇位継承者だ。そしてもう一人。

「君は周りの心配を考えてくれ。身体の調子が悪いって言うなら僕らに言ってくれれば大人を呼びに行くんだから」

 淡い金髪に気の強そうな表情。シャルルくんとまったく同じ顔をしているのに、まるで違う人物に映るその表情も僕の知る人物のもの。

「うん、気をつけるねV.V.くん」

 V.V.くん。シャルルくんの実兄で双子の兄だ。V.V.というのは僕らが付けた渾名で、以後彼は自身をV.V.と呼んでいる。

 シャルルくんとV.V.くん、二人は僕の幼なじみで、僕は二人の遊び相手。付き合いは長い。昔殴り合いをしたこともある。皇子様を殴る、そんなとんでもないことを僕はやらかしたんだなあとしみじみ思い出していると。

「どうやら大丈夫のようですね」

 もう二人居た僕と同じ年代の子供達の内の一人が話しかけてきた。

「なんでも脳震盪のような“記憶障害”のような倒れかたをなされたとか。本当に大丈夫なのですか?」

125休日:2023/05/02(火) 22:58:52 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 丸い、丸い、戦前の人がしていたような、丸い眼鏡。これは、そう、博之としての記憶。戦後を知っている俺だけの記憶。僕でも、私でも無い、俺の。

 待てよ。丸眼鏡。丸い眼鏡。見たことがあるぞ。平穏に生きよう、この人生では平穏に生きれる、そう思っていたのにこの子があの人だったら。僕の平穏は総崩れになる可能性が。

「大丈夫だよマサノブ。本人も体調良さそうだし。無理をさせたら駄目だけどね」

 ぎゃあああ〜〜〜〜〜ッ! ま、マサノブ〜〜〜〜〜〜ッ! い、いやまて、田中マサノブの可能性もある。佐藤マサノブの可能性だってある。

 そうだ。きっとマサノブ違いだ。書類を持ってくるあの魔王じゃ無い。やめろ、やめてくれッ。

「ああ、万が一お記憶に障害があっては成りませんのでご確認を。僕の名前は辻、辻政信です。嶋田お坊ちゃまのご友人の一人です。きちんと覚えてお出ででしょうか?」

 ……終わった。

「嶋田繁太郎様。夢幻の如くこの世に産まれ来た者達で。また集まりましょうか」

 確定だ“あの”辻さんだ……ははは、この世界でも。この人生でも僕は、俺は夢幻会なのか。

「ああ、外には護衛の村中さんもおりますのであとでごあいさつでも、ねえ山本くん」

「すまん嶋田。そういうことだ。今世でもよろしく頼む」

 坊主頭の少年。どこかで見たな〜と思ってたら子供の頃の山本だったのか。あ、はは。村中さんもいるって話しだし、僕は最初からターゲッティングされていたのかなあ。

 そう言えば山本って何気に伯爵家なんだなあ。辻さんも華族っぽいし、貴族の大安売りだな。

「ねえ、シゲタロウも、イソロクも、マサノブも何の話をしてるんだい?」

 V.V.さんが紫色の瞳を僕らに向けてくる。何が何だか分からないと言った感じだ。そりゃ分からんよな。前世前々世からの転生者なんですとか言っても頭おかしい奴と思われるだけだ。

「シゲタロウたち……何の話し? 秘密の話し? 僕ら聴いちゃ行けない?」

 静かな感じでシャルルくんもこちらを窺う。気になるのだろう。

 そんな二人に。マサノブくん、否、辻さんはまさかよもやの暴露をした。

「お二人には特別にお教えしましょう。嘘の嫌いなお二人には特別に。私と繁太郎くん、嶋田さんと、こちらの五十六くん、山本さん。そして扉前で警護をしている村中くん、村中さんは転生者なんです。ふふ、コードもギアスも知っておりますよ」

 今度はV.V.くんとシャルルくんが固まる側だった。コードと、ギアス。秘密の力が知られている?

「どういう、ことだ」

 絞り出すような、刺すような疑いの色を混ぜ込んだ声音がV.V.くんの口から迸る。

「識っているということですよ」

 トントンと指先で頭を叩きこの世界と、この世界の未来を。ですから場合によっては。物騒なことを言いかけて辻さんは止めた。その続きは場合によっては此処であなた方を始末しておしまいにするだろう。

 僕は、俺はこの世界のことを何も知らないから余計な口出しは出来ないけど、たぶん辻さんは全部識ってる。

「ただ、色々と大きく違うんですよね。日本もそうですし、南天なんて存在も無かった。ブリタニアが強大なことは変わりありませんが、領土が若干小さい分、100年以上国内開発に力を注ぎまくった結果史実のブリタニアよりも圧倒的に強大になるとか誤算で、あなたがたの御両親もご健在で先行きが見えない。ただし先行する技術によって日本は魔法が使えますが」

 V.V.くん、あ、お兄さんだからさんだった。V.V.さんはいぶかしげな表情を崩さないまま。

「話しの意図が見えない。結局君たちは何者で、何が目的で、僕とシャルルをどうしようというの?」

 シャルルくんを後ろにかばいながら辻さんを睨み付ける。辻さんと目と目を合わせて睨み付けられるだけでもV.V.さんの強さを感じられる。

「私と嶋田さん、山本さん、村中さんは、異邦人です。異邦人であればこの世界は夢幻の如くなり、そしてこの世界の住人であるあなた方から見ても私たちの存在は夢か幻のような存在……」

126休日:2023/05/02(火) 22:59:38 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「夢幻なる……」

「存在……」

 ジ家の双子皇子に遂に告げた秘密の名を。

「夢幻会、それが我々の名です。日本の転生者にして日本のまあご大層ですが導き手。メンバーには伏見宮様もいらっしゃいますよ?」

「ふ、フシミノミヤ殿下が?!」

 驚くV.V.さん。驚きは終わらない。200年以上前から倉崎にもスメラギにも手は入っている。転生者は500年前から存在しており、文献に依れば足利義輝も転生者であったとか。

 コード保持者もいれば、ギアスユーザーもいる。特殊技能者もいれば自己研鑽者も多く居る。そんな大きな組織で有り、国家ぐるみの組織である。

 全ては日本の未来のために。これを合い言葉に皆が皆それぞれで動いてきた。

「信じがたいでしょう。嘘みたいに聞こえるでしょう。しかし、これは全て真実であり、お二人には信じて頂くしかありません」

「……」

 暫し見つめ合う瞳。逸れない目。本当に豪胆だと思う。あの細く小さな身体であんなにも豪胆であらねばならないなんて。宮廷闘争もほとんど無いと言うに。弟を、そして俺なんかを守る為に。日本のためと断じ、億を殺した俺なんかを……。

「シゲタロウも、そうなんだね」

 優しい問い掛け。弟シャルルさんと同じような優しい。

「はい、僕……俺も、もう百何十年と生きて日本の未来のために戦ってきました」

「そうか……、僕らの識らない日本でかい?」

「ええ、違う、世界の」

 一度押し黙るV.V.さん。シャルルさんは所在なさげに此方へ彼方へ目を動かしている。

 そしてV.V.さんは口を開いた。

「信じるよマサノブ。但し! ただし、僕が信じるのはシゲタロウがそうだと言うからだ。シゲタロウは僕らに嘘を吐かない。僕らもシゲタロウに嘘を吐かない。僕ら三人は何があっても嘘を吐かないと誓い合った仲だ。だからシゲタロウの肯定する夢幻を、僕も肯定する」

 そこまで言い切るとV.V.さんは辻さんに手を差し出した。

「よろしく頼む」

「よろしいのですか?夢幻会は日本の――」

「ブリタニア支部があってもいいんじゃないか? 日本とブリタニアは背を預け合う家族じゃないか。それに、この世界にも君たちや僕らの敵となる存在がいる」

 窓の外を見遣るV.V.さん。方角は南方。

「僕とシャルルも、是非とも君たちの組織に入れて欲しい。日本とブリタニアの未来のために」

 一国制度、正確には日本との二国制度は終わりにしよう。僕らの代で多国間同盟を作ろう。

127休日:2023/05/02(火) 23:00:18 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp





 博之と円卓の騎士






「そうして出来上がったのが北側諸国会議および北側諸国同盟。北南冷戦は1950年代から始まりましたが、北側諸国同盟の発足と共に本格的な冷戦構造が出来上がりました。南側は北側を攻められず北側も同じ。代理戦争は何度も起きましたし、南ブリタニアやニューギニアではオセアニアが直接出張ってきましたがはじき返せました。無論この平和もいつまで続くか分かりません。南側が野心を捨てない限り」

 茶色のスーツ姿の辻は呟きながらお酒を一杯飲む。

 その隣には表地が黒、裏地が紫色の高級そうなマントを着た白と金と青の色がちりばめられた司祭服姿の、年の頃10歳くらいの少年がおちょこに日本酒をつぐ。

「南側が野心を捨てるもんか。何度呼びかけてもオセアニア本体は開国すらしない。その上でアフリカ方面から北半球への浸食を始めようとしている。掴めている情報は?」

 少年がお酒を飲むが誰も何も言わない。少年の長い長い身長と同じくらいの髪が、着いた席の後ろでビロードの様に垂れ下がっている。実は彼が10つどころか63歳のおじさんだとこの店の店員も客も識っているからくちをださないのだ。

 それにおじさん同士の語りなど聞いても仕方が無いと誰も耳を貸していない。

「考えてみればさあ」

「はい。なんでしょうV.V.さん」

「いやね、こういう話しって会合でするべきじゃないの?」

 日本酒で酔いが回り赤くなった顔で指摘する少年姿のおじさん、日本に住んで10年と少し、日本国籍を取った元ブリタニア人の皇族、ジ家のV.V.はそう言って徳利の注ぎ口を小さな指で、チンと弾く。

「よろしいんですよV.V.殿下。どうせこの場には夢幻会のメンバーしかおりません」

 パタンと閉められるふすま。客の目も遮られる。

「これはッ、伏見宮博恭王殿下っ。お出ででしたか」

「あーあー、やめてください。同じ皇族同士では御座いませんか」

「いえ、私は既に皇籍奉還した身ですので一応は一般人」

 かしこまるV.V.にそれでもと食い下がる伏見宮殿下に根負けしたV.V.は。

「それじゃこれまでのままで行かせていただくよ。で、南天の情報は君たちの方が早いだろう。僕も嚮団側から調べているけどとんと出て来ない。ちょっと出てきた分は後で話すけど胸くそ悪いよ? まあ、僕も夢幻会の一員だし、会合のメンバーではあるけれどうちの身内のことも色々あって出席率悪いからね」

 謝るV.V.に立場が立場だから仕方が無いと諭す他のメンバー。実際V.V.はブリタニア皇室の外で色々と動いているのだ。普段は邸でアホの相手をしたり、娘の相手をしたり、弟から預かっている子供達の様子をみていたり。あと緑茶ばかり飲んでいるが。5,000円もするお茶を飲んでいると聞いてアホが呑み散らかしていったときは怒った。ハイパー・ジークフリードで奴の息の根を止めてやろうと思った。

 山本が実際の処はどうなのだと聞く。彼は彼で現在ヴェルガモン家のことで色々あり会合に出られないことが多い。ヴェルガモン家の婿に入ることが決定しているために。

「まあ、とりあえずわかっている範囲はこれくらいだ。荒削りなのは許して欲しい。正直白いカーテンの向こう側はほとんど見えなくてな。精々が現在の加盟国くらいしか調査できんのだ」

128休日:2023/05/02(火) 23:01:15 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 南天条約機構軍


 集団安全保障機構

 集団攻勢機構体

 通称南天――南側諸国。正式名称を南天条約機構。

 加盟国。

 

 合衆国オセアニア:皇歴2019年

 政体:特定思想に基づく民主共和制原理主義

 首都:エリュシオン

 陸海空三軍

 総兵力:1,820,000+予備役 (徴兵制で事実上の国民皆兵制度)

 陸地面積:8,614,526km2(マダガスカル自治州含む)

 総人口:334,000,000

 領土

 オーストラリア+周辺島嶼

 ニュージーランド

 フィジー

 ソロモン

 トンガ

 ツバル

 バヌアツ

 サモア

 米嶺サモア

 クック諸島

 南ポリネシア(史実フランス領ポリネシア+ヘンダーソン島・ピトケアン島)

 モーリシャス

 セーシェル

 チャゴス諸島

 コモロ

 イースター島

 サライゴメス島


 合衆国オセアニア・マダガスカル自治州

 政体:民主共和制原理主義

 州都 メリナシティ

 陸海空三軍

 総兵力:420,000+予備役

 総人口:52,417,000

 旧メリナ王国だったオセアニアのアフリカ方面の拠点。

 現在は自治政府が独自に行政を動かしている。


 オセアニアの人口変遷は少々無茶ですが、大昔から存在した国家と言う事で、徐々に徐々に増加していき、日本・ブリタニア・中華と同じく近代に入ってから爆発的に増加。

 現実と違いサクラダイトを除く殆どの資源を自国で賄っている。サクラダイトは採れるも日本やブリタニアのように豊穣ではない。

 更なる生存権の拡大を図りアフリカ・東南アジア・南ブリタニアを欲したが、東南アジアは日本に、南ブリタニアはブリタニアによって阻まれる。

 現在世界を舞台に暗躍しつつ、他の列強の隙を窺っている。

129休日:2023/05/02(火) 23:02:11 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 旧大洋州連合

 政体:民主共和制原理主義

 首都:オセアニアの直轄地

 陸海空三軍

 総兵力:適正年齢の成人

 陸地面積:ほぼ海

 総人口:100,000〜200,000

 領土:南太平洋・赤道太平世の一部

 日ブ太平洋戦争の際に中立政策をとったことでオセアニアに侵攻され併合された、元中立国家。

 現在は民主共和制原理主義となっている。



 合衆国東アフリカ

 政体:民主共和制原理主義

 首都:ダルエスサラーム

 陸海空三軍

 総兵力:886,000+予備役 (徴兵制)

 陸地面積:2,165,394km2

 総人口:142,576,800人

 領土

 タンザニア

 ケニア

 ソマリア

 一応独立国家の体を成しているがオセアニアの属国でしかない。

 タンザニア州西部にはE.U.側植民地と跨る形でサクラダイト鉱山がある。





 イエメン民主共和国

 政体:民主共和制原理主義

 首都:アデン

 陸海空三軍

 総兵力:125,000

 陸地面積:527,970km2

 総人口:25,690,000人

 領土

 イエメン

 東アフリカの属国。宗主国はオセアニア。

 共産イラクとの窓口?

130休日:2023/05/02(火) 23:02:52 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ニューギニア民主共和国(南ニューギニア)

 政体:民主共和制原理主義

 首都:ポートモレスビー

 陸海空三軍

 総兵力:186,000+予備役(パプアニューギニアと睨み合い劣勢な為、人口比率に対して兵力が多い)

 陸地面積:350,934km2

 総人口:4,406,600

 領土

 ニューギニア島南部と周辺島嶼

 かつてニューギニア戦争の舞台となったニューギニア島南部に築かれたオセアニアの傀儡国家。

 パプアニューギニアと国境沿いでの睨み合いが続いている。



 イラク社会主義共和国。

 政体:共産主義

 首都:バグダッド

 陸海空三軍

 総兵力:1,000,000

 陸地面積:102.8万㎢(中東戦争後の併合地域含む)

 総人口:66,000,000(中東戦争後の併合地域含む)

 領土:イラク・サウジアラビア北部・ヨルダン西部。

 
 カメルーン民主共和国。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:ヤウンデ

 陸海空三軍

 総兵力:40,000

 陸地面積:47.6万㎢

 総人口:33,500,000

 領土:カメルーン




 民主主義中央アフリカ。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:バンギ

 陸空二軍

 総兵力:25,000

 陸地面積:62.3万㎢

 総人口:5,590,000

 領土:中央アフリカ

131休日:2023/05/02(火) 23:03:27 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 民主主義ガボン。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:リーブルビル

 陸海空三軍

 総兵力:120,000

 陸地面積:26.8万㎢

 総人口:4,400,000

 領土:ガボン



 コンゴ原理主義共和国。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:キンシャサ

 陸海空三軍

 総兵力:620,000

 陸地面積:268.7万㎢

 総人口:92,500,000

 領土:コンゴ



 ルワンダ民主共和国。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:キガリ

 陸空二軍

 総兵力:120,000

 陸地面積:2.6万㎢

 総人口:18,130,000

 領土:ルワンダ




 ブルンジ民主共和国。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:ブジュンブラ

 陸空二軍

 総兵力:100,000

 陸地面積:2.8万㎢

 総人口:18,760,000

 領土:ブルンジ

132休日:2023/05/02(火) 23:04:18 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 アンゴラ原始民主制共和国。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:ルアンダ

 陸海空三軍

 総兵力:312,000

 陸地面積:124.7万㎢

 総人口:43,260,000

 領土:アンゴラ




 民主原理性ザンビア。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:ルサカ

 陸空二軍

 総兵力:348,000

 陸地面積:75.3万㎢

 総人口:33,280,000

 領土:ザンビア




 ジンバブエ民主共和国。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:ハラレ

 陸空二軍

 総兵力:175,000

 陸地面積:39.1万㎢

 総人口:25,400,000

 領土:ジンバブエ




 原理主義人民ナミビア国。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:ウィントフック

 陸空二軍

 総兵力:172,000

 陸地面積:82.4万㎢

 総人口:25,700,000

 領土:ナミビア

133休日:2023/05/02(火) 23:04:51 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ボツワナ原理主義人民共和国。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:ハボローネ

 陸空二軍

 総兵力:112,000

 陸地面積:58.2万㎢

 総人口:15,600,000

 領土:ボツワナ






 南アフリカ原理主義人民共和国。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:プレトリア

 陸海空三軍

 総兵力:1,580,000

 陸地面積:122.1万㎢

 総人口:112,000,000

 領土:南アフリカ





 レソト原理性共和国。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:マセル

 陸空二軍

 総兵力:65,000

 陸地面積:3.0万㎢

 総人口:3,200,000

 領土:レソト




 エスワティニ原理性共和国。

 政体:民主共和制原理主義

 首都:ムババーネ

 陸空二軍

 総兵力:80,000

 陸地面積:1.7万㎢

 総人口:1,700,000

 領土:エスワティニ


 総計二十一ヶ国地域が加盟。

134休日:2023/05/02(火) 23:05:32 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「加盟国が一気に増えたね」

 V.V.が言う。その通りで、かつての六ヶ国地域から、イラクがオブザーバー加盟して七ヶ国地域へ。

 そして近年遂に中央アフリカ以南が動き出し、自らの意思で神に帰依するのだとして中央アフリカ以南全アフリカが加盟し、二十一ヶ国地域にまで膨れ上がった。

「南天はまだまだ膨れ上がりますよきっと。次は中東を狙いその次は」

「ジルクスタン。中華連邦かい? 全て遺跡のあるところばかりじゃ無いか。きっとトルコの遺跡も掠め取っていくだろうね。ユーロユニバースは南天には逆らえないから。情けない国だ。仮にも列強で有りながら相手国の顔色を窺いながらペコペコペコペコと。ちょっとは列強の意地でも見せて見ろってんだッ!」

「V.V.さん悪酔いしてますよ」

「V.V.殿、酒は飲んでも呑まれるな。ほどほどに」

 伏見宮王がやんわり注意すると。

「まあね、自覚はあるよ、ただ情勢は悪い方向に向かって動いてる。僕の掴んだ情報では、空母戦闘群を8個群一気に増やすらしいんだよ南天が、そして通常戦力50,000,000、最大戦力80,000,000の死兵と呼ばれる正規軍を持ち、世界中に南天の神の信徒が南天の支配エリアまで含めると1,700,000,000いるらしい」

「じゅう、なッ」

 倉崎翁が声を詰まらせた。

「正規軍の内訳で判明してるのは戦車などの戦闘車両200,000両。戦闘機などの航空機20,000機以上。主力水上艦艇が千数百隻だ。これが現時点」

「戦車200,000両だと?! KMFも合わせたらどんなことに?! それに戦闘機など20,000機以上とは?!」

「なッ、それは本当の?」

「本当の情報さ。情報を得てきた嚮団のその諜報員はその場で爆発して死んだって話しだった。良くやったとだけお悔やみの言葉と、ご遺族に見舞金として生涯分の賃金と退職金を渡したって。息子さんは立派に任務を成し遂げましたとね。僕がいたら直接謝罪したかった。僕が殺したようなもんだ」

 V.V.の悲しみに重い口を開く伏見宮王。

「我が子が殺されたも同然だな。日本とブリタニアは家族故に。だが貴重な情報だ。空母だけでは無いだろう護衛艦艇や潜水艦、浮遊航空艦にKMF、奴ら一気に大軍拡を始めるぞ」

 伏見宮王の言葉を受けこちらは猛烈な怒りを見せるV.V.。

「だったらこちらも軍拡で対抗してやろうじゃないかくそったれの南天め!」

 辻は一人静かにおちょこを傾けるが、その闇よりも尚深い闇を湛えた瞳は南天からの挑戦状に、敢えて乗ろうという判断を下した目つきであった。

「倉崎・スメラギ・ランペルージの各重工業部門に一斉注文ですねえ。南天には誰に喧嘩を売っているのか一度知らしめる必要があります。それで我々の身が危険に陥ろうとも」

 分かっている。確実に狂信者は襲い来るだろう。昼に夜に夕暮れ時に。まるですれ違うようにあるいは超々射程からの狙撃。ギアスを使った方法など幾らでも考えられる。

 正攻法以外もあり得る。ギアスを掛けた人間に一般人を装わせて刃物でドンだ。

「僕は大丈夫だけれど、君たちは充分気をつけてね」

 V.V.はコード持ちだから不死身。頭を撃ち抜かれても心臓を刺されても死なないと安心するように伝えるが。これを辻は否定した。

「V.V.さんも大丈夫ではありませんよ。F号兵器の的にされないとも、それ以外の手段に出ないとも考えられます」

「例のニュージーランド北島付近の群発地震のこと? 僕には信じられないけどF号兵器以外でF号兵器に匹敵する強力な爆弾って具体的にはどんな物なの?」

 ここで富永が割って入ってくる。

135休日:2023/05/02(火) 23:06:19 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「まあV.V.殿下。俺的に言うとこの手が疼く兵器さ」

 一連の流れを見ていた阿部が変わって説明する。

「V.V.殿下。単純に説明致しますと、中心核とその周辺を超高熱で焼き尽くし、周囲十㎞二十㎞。巨大な物なら50㎞は熱戦で服飛ばしてしまう爆弾ですよ。厄介なのはその後に人体に有害な猛烈な毒。放射能をまき散らすことでしてね。暫くその地を死の土地に変えてしまう。そんな爆弾です。この世界では原子配列が違うのか作れず。その代わりにF号兵器というクリーンな大量破壊兵器が出来たのですが」

「君たちも作ろうとしてたのか?」

「正確には太平洋戦争の戦中世代ですね。それだけの科学力はありましたので」

 それが完成してたらブリタニアは灰になってたろうねと引き気味に笑うV.V.に、伏見宮があんなもの使わずともブリタニア全土爆撃計画とその準備もしていたので、どちみちブリタニアは灰になってましたよ。もちろん貴国よりの報復爆撃で日本も。

 日本もブリタニアも灰になって金もなくなって国家崩壊していたでしょう。喜んでいたのはオセアニアだけ。私はね時々思うんですよ、客船沈没事故が両国の険悪化の遠因だった、あれ、オセアニアの仕掛けた罠だったのでは無いか、とね。

 伏見宮の陰謀論に場が静かになる。確かにあり得た。よく考えたらあったねそれ。ありえたかもしれませんねえ。考えられぬでは無いな。

 嶋田、V.V.、辻、山本、言い出しっぺの伏見宮、あの富永まで陰謀論って言うか確実論じゃねえか。と言っている。倉崎翁は場の空気が悪くなるのを感じて。

「まあ、今回は南天の情報の一部もつまびらかにできたことだ。ここらでお開きにしよう。次はきちんとした会合で」

136休日:2023/05/02(火) 23:07:29 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ※




 前世での激動の時代に比べ、結局そう変わらない時代。時も世界も変わりながらも、人はやはり変わらないということか。

 しかし、時折感じるこの悪意は何なのだろうか。言いも知れない憎悪を何処かから感じるのだ。自分に向けられているのだろうか。

 そう考えたこともあった。だが、それがどうも違うようだと気が付いたのは、富永やV.V.と一緒に呑んでいたとき。

 悪意、憎悪は二人に対しても向けられていたのだ。どこからむけられる気配なのか? 気配察知能力などという物に長けていない嶋田には何処から来る物か分からなかった。

 そんな不気味ながらも平穏な日々、嶋田は後進の指導を終え、漸くのことで政界を引退はした物の。結局裏方として、政治の実権を握るハメになってしまっていた。

 人生150年が下限年齢。平均200歳前後まで生きるのが普通である現代社会でいつまでも、60歳定年制はおかしいと定年を100歳に引き上げるべきだという声も上がっている。

 枢木政権という人形を使った人形師による世界相手の劇場。手を変え品を変え場所を変え。繰り返される演出には、山本も、辻も、杉山も、倉崎翁も、阿部も、近衛も、富永も、伏見宮王も、V.V.もみんな関わっている。

 正確にはV.V.だけは日本の政治家ではないので、会合でも夢幻会ブリタニア代表として出席していた。この人形劇はある意味では100歳定年に対する答えの一つかも知れなかった。60過ぎたら裏から操れば良いんだよという。

 最も夢幻会の仲でも現役復帰を果たしている者複数。村中孝次など普通に現役バリバリで定年が来ようが関係なく日本の為にと働く気満々だしだし、山本も奥さんに成る予定のリーライナ・ヴェルガモン卿というまさかのブリタニアの大貴族と、第8.5号機エナジーウィング機で二人乗りして、騎から降りたとき、丁度近くを飛行中だった斑鳩級浮遊航空艦『庵戸』に緊急着艦させてもらってえおったらしい。

 何をやっているのだろうか?

 そんなある日のこと。彼は行き付けの飲み屋で一人の酔っぱらいの話を聞いていた。

「なぜだっ! なぜなのだァァぁぁっ!!」

「ああもう、他のお客さんの迷惑になりますからもう少し静かにしてくださいっ、正体がばれますって」

 一息に大ジョッキを煽り、ビールを一気飲みした身体のごつい初老に見えてまだ中年前。人生150年が下限寿命にして200年を超える長寿の種族となった日本人とブリタニア人。

 今年63歳の青年は大声で叫ぶ。これでもう三回目だ。

 周囲の客が一斉に振り向くが「またあの人か」と、何事もなかったようにそれぞれの談笑に戻っていく。

 世界的に有名な彼の男も、この店の常連達にとってはさほど気にならなくなっていた。表向きの名としてランペルージの名があるからだ。

 まさかそのランペルージグループの社長がこの人だとも誰も思わないので更に安心。ランペルージ姓だってそれほど珍しい姓でもないしね。

 この男、それくらいこの店を訪れているのだ。それに一応申し訳程度に変装もしていた。

 静かにしろと注意する俺自身も有名人ではあった、周りに其処と無くSPが溶け込んでいる。この男の周りにも当然としてSPは付いている。が政界を引退して暫く経っているし、男の強烈な存在の前には霞んでしまっているので、助かっていると言えば助かっていた。

「こ、これが、これが叫ばずに居られる物かっっ! あやつは遙々日本にまで会いに来た儂に向かって鬱陶しいと言いおったのだぞっっ!!」

「それはまあ堪えるとは思いますけど、日ブの距離ならブースター付けた最新型の高速浮遊航空艦ならそれほど時間も」

137休日:2023/05/02(火) 23:08:29 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「あやつは、ルルーシュはそんな子ではなかった。昔は“大好きなお父さん”という作文を書くような、父思いの優しい子だったのだ……それがっ、それがなぜこうなったのだァァぁぁ」

 日本ではまず見ない、豪奢な白髪を幾つものロール状に巻いた髪型の男の名は、シャルル・ジ・ブリタニア。

 何を隠そう、神聖ブリタニア帝国第98代皇帝その人である。

 とても家族思いな彼は、数居る子ども達の中でも、日本に留学中のアッシュフォード高等部三年間もなく卒業の第11皇子ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと、その妹アッシュフォード学園中等部三年間もなく卒業ナナリー・ヴィ・ブリタニア皇女を殊の外溺愛している。

 それは子煩悩を通り越して鬱陶しいほどに。

 ルルーシュ皇子が日本行きを決めたのもそれが原因と言っていい。とにかくウザイ父親から距離を置きたかったのだ。本人が盟邦日本で勉学に励んでみたいと言っていたから、それも嘘では無かろうが。

 ルルーシュ皇子とナナリー皇女は初来日のに挫折感を味わったのだという。ビルにしろタワーにしろ、日本は世界一ばかりで溢れていたからだ。ペンドラゴンこそが世界一だと考えていた二人にとって、東京は余程にショックだったらしい。

 まあ1,000m超えのビルとか、2,000m超えのタワーとか、700,800,900mが当たり前の高層ビル建築の町並みとか見たら、そりゃぶっ倒れるわ。

 当然そんな、息子、娘を心配してお忍びで様子を見に来たりするシャルルだが、そのたびに邪険にされてはショックを受けて、友人である嶋田と、日本に赴任中のラウンズの一人を連れてやけ酒を飲むという、これも致し方なしな、お決まりのパターンになっていた。

(ああ、もうこんな時間か……、それじゃそろそろ来るな……)

 息子に冷たくされて悲しむシャルルを慰めていた嶋田がそう思って時計を見ていると、それを待っていたかのように簡素な作りの店の扉がガラッと開いた。

 噂をすればというか、毎度のことなので大体この時間と分かってしまう辺り、この個性の強い皇帝陛下との付き合いも長いのだなと思う、幼なじみだもんな。もう半世紀は付き合ってきてるんだよなあ。

「シャルル、迎えにきたよ」

 そう言って店に入ってきたのは、足首まで届くほどの長さの薄い金髪と、表が黒で内側が紫のマントを着用し白を基調とした司祭服を着た、10歳前後に見える少年。

「こんばんはV.V.さん」

「こんばんは繁太郎。いつも弟に付き合ってもらって悪いね」

「いやまあ、友達ですからね」

 この子どもにしか見えないV.V.さんは、シャルルさんの双子の兄であり、これでも御年63になる歴とした大人だ。

 幼い頃に不老不死となっているため肉体が年を取らないらしく、いつまでも経っても見た目が変わらないという不思議な人である。

138休日:2023/05/02(火) 23:09:07 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 当然、俺はこのV.V.さんとも幼なじみで、昔は良くブリタニアのジ家の離宮でよく遊んだ。うちの領地にも良く来てくれたけど。

『夏は涼しいけど、冬は猛烈に寒いよね繁太郎の領地』

 まあね、そりゃカムチャツカですから。日本名神坂。嶋田家の領地で領地面積は170,800㎢で、人口は10,000,000とちょっと。出稼ぎの人口とか合わせたら15,000,000〜16,000,000にはなるんじゃないかな? 大きすぎだろ我が領地。

 で、そんなV.V.さん、彼は現在ルルーシュ皇子の後見人もしていたりする。

 甥っ子から日本留学の相談と後見を頼まれた際、承諾したらしい。伯父様、もう日本で10年以上住んでるベテランで、日本人ですから日本のことなら伯父様ですよルルーシュ皇子殿下。

「まったく、いい加減子離れしないと、その内家族の縁切られちゃうよ?」

「オール・ハイルぅぅぅぅゥ、ルルーシュぅぅぅぅぅぅゥ」

 既に半分寝ているような状態のシャルルには兄の言葉が聞こえていない。

「ルルーシュ皇子、そんなに嫌がってるんですか?」

「本人は大切にされてるからこそ構ってくるんだって分かってるみたいだけど、18にもなってやることなすこと口出しされたら嫌にもなると思うよ。いつだったかな。三者面談のとき『伯父上、明日の三者面談なのですが、伯父上が来て頂けませんか』って僕に頼んできたからね。僕も伯父であの子の後見人だし、可愛い甥っ子の頼みでもあるから行ってきたけど、本来シャルルかマリアンヌが行くべき物なのに」

 どれだけ嫌われてるんだブリタニア皇帝よ。

「それは……シャルルさんがそのこと聞いたら……」

「ショックで引き籠もっちゃったりするかも」

「は、はは……」

(ブリタニアの皇帝が親子喧嘩で引き籠もりになんてなったら、マスコミにとって格好の餌だろうな……シリアスには南天が食いつきそうなネタだ。どちらにせよ碌なものじゃないな)

「それじゃ僕はシャルル連れてこのままホテルに向かうよ。家に連れて帰ってもいいけどルルーシュが嫌がりそうだからね」

「わかりました。それじゃ私は彼女を連れて帰ります」

「うん。その娘にもよろしく言って置いて。それじゃ君も気を付けて帰りなよ」

「ええ、V.V.さんもお気を付けて」

139休日:2023/05/02(火) 23:09:48 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ※


「さてと、こちらも帰りますか」

 シャルルさんとV.V.さんを見送った俺は席を立つと自分の隣に座っていた人物を見る。

 年の頃なら二十歳前、正確には19歳。2019年の5月3日に二十歳を迎える。

 表の生地が黄緑色、裏地が紫色のマントを着た、腰の下まである真っ直ぐな長い金色の艶やかな髪が美しい少女。いや、もう女性と呼ぶべきだろう。

 日本に赴任中のブリタニア駐在武官で、現在宿舎として俺の家に同居中である。

 ブリタニア皇帝シャルル専属の騎士ナイトオブラウンズの末席、ナイトオブトゥエルブ。

 そのブリタニア最強の騎士の称号を持つ彼女の名は、モニカ・クルシェフスキー

 西海岸諸侯の盟主とも呼ばれる名高きクルシェフスキー侯爵家の娘でもある。

 正義は等しく平等に。騎士は常に強くあらねば成りません、平等なる正義を降り注がせるためにも。人種によって差別をするユーロユニバースを私は好きではありません。

 南天は、良く分かりません。南天は、平等なのでしょうか。

 平民も貧民も、貴族も皇族も関係ない、全てに等しき正義を。

 いつも真っ直ぐ純粋で。正義を貫き戦う純潔の騎士。術らしい生き方だと思う。美しい生き方だと思う。億を超える人間を殺してきた俺には眩しすぎるよ君の在り方は。

「ふふ、しかし、君も大変だなぁモニカさん」

 19歳と年齢的には日本の法律ではアウト。碌に酒も飲めない彼女だが、しかし、皇帝陛下に付き合えと言われれば飲むしかない。

 それもまた皇帝に忠誠を誓う騎士の務めである。

「よっこらせっと」

 すっかり酔いが回って、泥酔状態で眠っているモニカさんを背負う、俺。

 身体の前に流して赤いリボンで束ねられた彼女の長い髪の房が、俺の肩を跨いで流れ落ちる。

 頬や、首筋を、さらさらと擽る髪から香る甘い芳香は、酔っていても分かるほどに、いい匂いがした。

「ん……」

「ん? 起こしてしまったかな?」

 俺の首筋から肩に顔を埋める格好のモニカさんは、歩く振動で目を覚ましてしまったようだ。

「ん、んう……? ……嶋田……さん……?」

「ああ、ああ、そのまま寝てていいよ。かなり酔いが回ってるんだから無理に起きなくてもいい」

「あの……陛下は?」

「お兄さんが連れて帰ったよ、君にもよろしくってさ」

「そう、ですか、皇兄、殿下が……。その、いつも……すみません」

「別に大した事じゃないさ。19歳でお酒飲めない君に飲ましてるんだから、大人としてこれくらいはさせて貰わないとね」

 来年にはモニカさんも成人だがね。おじさん最後の孝行ってところかな。

「……嶋田さんは……優しい方、ですね……」

 俺は優しくないよ。君のように気高く美しい女性じゃない。どれだけの人間を殺してきたか。君が識ればその剣で立ち向かう前に、おぞましさで逃げ出してしまうだろう。

「どうしたんだね急に」

「いえ……なんでも……ありません……」

140休日:2023/05/02(火) 23:10:32 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ※

 私が日本へと赴任した際、シャルル陛下の友人として紹介された一人の男性、嶋田繁太郎さん。

 現在ブリタニアの最友好国であり、親族と呼べるほどに親しい関係を築く、大日本帝国を率いていた人物。

 今はもう引退して隠居生活を送る彼。人生200年時代なのに60で引退とはどうしてと気になり聞いてみると、65歳から年金が貰えるからねえ今の社会システムでは。

 それにおじさんが後進に道を譲らなかったら後が育ってくれない。就職したいときには再就職するさ。当時16歳の私の頭をぽんぽんと撫でててくれるその姿は、とても優しかった。

 私の周りには厳しい人しか居ない。

 帝国最強の騎士ナイトオブラウンズ。ナイトオブトゥエルブとして誰もが強さを求めてくる。

 名家であり、有力貴族であるクルシェフスキー家の一人娘として、将来は当主となることを求められる立場に在る私には、家族ですら厳しい。

 それは私が最強の騎士の一人であり、貴族である以上仕方のないことなのだろう。

 すべての人に年齢も性別も階級差も人種も関係ない、すべての人に等しき正義が降り注がれて欲しい。その思いで剣を持つ私には、甘えは許されないのでしょう。

 そんな私にとって、彼は、初めて出会った甘えさせてくれる人。

 彼は、貴族や騎士としてではなく、一人の少女として私を見て接してくれる。

 甘えだとも、ただの理想でしか無いとも揶揄される私の夢を、素晴らしい、素敵な夢だ。きっと叶えられるよモニカさんならきっと、そう応援してくださる。

 それが、私には嬉しかった。

 嶋田さんは、嶋田繁太郎さんは、甘えの許されない私が唯一甘えられて、年相応の顔を見せられる人なのだ。

 背負われている私は、ぎゅっと彼にしがみつき、その首筋に顔を埋めて匂いを嗅ぐ。

(嶋田さんの匂い)

 還暦を迎える男性の匂い。

 嫌がる人の方が多いだろうと聞く、その優しい匂いが、私は大好きだった。

141休日:2023/05/02(火) 23:11:37 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ※


「おやじ臭でもしてるかな?」

 それとも、吐き気をもよおしそうなほどのおぞましい血の匂いでもしてるかな。

 ナイトオブトゥエルブ、最強の騎士故に。血の臭いには敏感だろう。粘り着いた人の憎悪には。

「……いいえ、いい匂い……です」

 でも、彼女は。16歳の頃から俺が預かっている女性は。これを否定する、ただ、いい匂いだと。

 ふと、油断すると、涙が零れそうだった。俺の手はこんな純粋な騎士に触れて良い物じゃ無い。

 どれだけの血をこの手は吸い上げてきたのだろうか。この手で聖人の様な在り方の彼女に触れるとき、いつも自分で自分が許せなくなるんだ。

 でも、それを表に出すことは出来ない出しては成らない。V.V.さんを除いた仲間達と共に、永遠に背負っていかなければならない罪業なのだから。

「そ、そうか……君の髪も、その、いい匂いがするね……」

 俺の肩口から身体に沿って流れ落ちている、赤いリボンの巻き付けられたモニカさんの長い金色の髪の房が、右に左に揺れていた。

 俺に匂いを付けようとするかのように、俺の服の上を撫でて揺れる、束ねられた金糸。

 そこから漂う香りに鼻腔を擽られながら、俺は年甲斐もなく高鳴ってしまう鼓動を抑える。


 最初は丁寧ながらも硬い物腰だったモニカさん。

 貴族としての、騎士としての自分を全面に出し、事務的な遣り取りとしか思えない雰囲気で接してきていた。

 しかし、それは日を追うごとに少しずつ変化していき、最近になって漸く年相応の顔や反応を示すようになった。

 同居人としてその方が接しやすいし、なにより嬉しい。

 目に見える形で親しくなり、仲良く慣れたのだから。

 だが同時にこれは少々行き過ぎでは? と思うことも多々見られるようになったのだ。

 今のような状況の時に身体を匂ってきたり、休日などに二人で歩いていると腕を絡めて、更には身体を押しつけてきたり。

 それに基本的には穏やかで物腰丁寧な彼女は最近不機嫌になることが多くなったように感じられた。

(怒らせるようなことはしていないのになぁ)

 その都度そんなことを考える彼だったが、そこにはある共通点があった。

 それは彼が女性と会っているときである。

 付き合いの上での関係であり、特別な関係を持つ相手はいないものの、相手の年齢素性に関係なく、とにかく機嫌が悪くなるのだ。

 飲み会などで夢幻会の仲間達に相談したことはあったが

142休日:2023/05/02(火) 23:12:27 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

『死ねっ! 氏ねじゃなくて死ねぇっ!!』

 と、罵倒されたり。

『せいぜい夜道には気を付けることですね』

 などとよく分からないことを言われたりとまるで意味をなさなかった。

「寒くないかい?」

「マントを着ているので大丈夫です……。それに……こうすると」

 モニカさんは無理に身体を押し付けてきてマントを広げると、俺の身体の前に掛かるくらいにまで覆い被らさせてしまった。

「……ッ!!」

 彼女の頬が俺の左頬に擦り付けられ、彼女の長い金色の横髪もまた俺の頬を強く擦る……ふわああ、あ、甘い匂い……頬の温もりと、髪の感触が、気持ちいい……うう、いい……普通に、気持ちいい。

 それに、俺の身体を覆う黄緑色のマント。モニカさんの匂いの染み付いたマントがまた香しい匂い――って、俺変態か! い、いかん。本当に全身が気持ち良すぎて。

「あの、このまま少し、強く、引っ付いていてもよろしいでしょうか?」

「ん?」

「嶋田さんのお身体……とても、温かいですから……」

 ああ、そうだよな。人肌は確かに暖かいよな。その美女が相手だからってわけじゃないぞ。蒼い瞳マリンブルー?それともスカイブルー?蒼い蒼い澄んだ瞳。

 宵闇の中のでもきらめき輝く、艶めかしく美しい金色の長い髪は臀部を隠し、その下へと伸びる真っ直ぐな髪。

 整った、整いすぎた目鼻立ちに、シミの一つ無い抜けるような白い肌。容姿が美しいだけじゃ無く、その掲げる理想と精神までもが美しい。

 たぶん、こんな美女、二目とお目にかかれないのだろうな、と、思う。それは、確かに思う素直な気持ちだ。

「ははっ、ちょっと照れるなこんな美女の着ているマントをお裾分けなんちゃってしてもらってさ、こんな美女とこんなに近づけるだなんて」

「び、美女じゃ無いですっ! わ、私なんて普通ですっ!」

 本気で言ってるんだろうなこの子、嘘付けないからなあ。そういう奥ゆかしいところもまた一つ、君の美しいところなんだよモニカさん。

「君が美しくないのならば世界の七割は美しくないよ。モニカさんはもう少し自分の美しさに気付いた方が良い」

「……もでしょうか?」

「え?」

「嶋田さんも、私のこと、美しいと思ってくれているのでしょうか?」

「え?あ? え?」

 ああ、いや、それは。

「美しいに決まってるでしょう」

 あ、声に出ちまった。

「モニカさんの身体も温かいし、モニカさんは美しいし、モニカさんのマントも暖かいし良い匂い。い、いや〜、今夜は人生最良の日かなぁ〜」

 俺の真横、頬にくっついているモニカさんの頬が、少し暖かくなったように感じた。

「でも、本当に暖かいよ。マントとモニカさんの身体と、ほっぺた」

「は、恥ずかしい、ですね。で、でも、心の中がほわほわします、これは何でしょう。暖かくて切なくて、胸の奥がきゅっと締まる感じ。でも、悪くない感覚なのです」

「も、モニカさん、それ俺もだ……なんだろうねこの切ない気持ち」

 軽口を言い合いながら家路を急ぐ。

 師走の風は冷たいが、二人の心はほっこりと温かい物に満たされていた。

143休日:2023/05/02(火) 23:21:20 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
>>112二二三様
間違い修正しました。
ブリタニアは戦艦8艦です。
朝田さんとレミールはこのまま結婚して子供を作るでしょう。
朝田さんはパーパルディア皇室入りしますが勤め先は日本の害実生のままです。レミールも同じなので結局二人は東京住まいかと。

>>113ハニワ一号様
南天にとって遺跡は必須ですからね。
追いかけようと躍起になっていることでしょう。

144二二三:2023/05/03(水) 00:40:11 HOST:KD106154151164.au-net.ne.jp
乙です。ジ家兄弟との交流の場面からに切り替わってますね子供の頃のVVがかっこいいだけに、おじさんになったVVが酔いどれ親父に見えてもったいない
弟くんも。兄弟揃って酔いどれてるまあVVの酔いどれは部下を殺された怒りからだから分からないでもないけど
嶋田さんとモニカさんの恋物語、なんかすごく懐かしく感じたらもう11年になるんですねぇ。きっちり加筆修正されていて甘い度が増していていい。ただ昔のにはなかったこの手は血に濡れているの一文が切なさを呼びます
嶋田さん、モニカさんはきっと受け入れてくれますよ

問題はリメイク作品は更新停止の入り口と言われるくらいに難しいんですよね…

145トゥ!ヘァ!:2023/05/03(水) 01:14:33 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

シャルル、VV兄弟も夢幻会入りしていたのですね。

南天勢は改めて見てもやはり大勢力ですねぇ(汗
これに対抗する軍拡しなきゃいけないのだから日ブも大変ですわ。

146二二三:2023/05/03(水) 01:24:23 HOST:KD106154151164.au-net.ne.jp
これ各国の正規軍リストですよね
これが、南天の招集がかかったら死兵の正規軍が最大8000万
今回のリストで8000万招集が可能な人口があることもわかりましたし、これが大軍拡始めてるならVVや辻さんの言うように北側に喧嘩を売ることがどういうことかを知らしめないと
これもVVが言ってたのかな?トルコの遺跡を掠め取ってジルクと中華連邦に侵攻することについて触れてますけどVVも流石夢幻会入りするだけありますね。中東侵攻の前から当ててる

147二二三:2023/05/03(水) 01:40:48 HOST:KD106154151164.au-net.ne.jp
人口だけ計算したけど南天勢の人口これ

10億5831万400

148二二三:2023/05/03(水) 01:50:31 HOST:KD106154151164.au-net.ne.jp
南天総面積がこれ現在
2185万9824㎢

中東のみ込むからまだ増える
現時点でソ連並みの国土

149二二三:2023/05/03(水) 01:53:01 HOST:KD106154151164.au-net.ne.jp
下手したらジルクスタンと中華連邦呑み込んで、清も高麗も呑み込まれたら悪夢

150名無しさん:2023/05/03(水) 15:27:54 HOST:KD106154150250.au-net.ne.jp
嶋田さん領地持ちの華族になってる
カムチャッカって何か名物あるのかな
温泉とか

151休日:2023/05/03(水) 21:50:28 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
>>144二二三様
もう11年になるんですそりゃ私もおじさんになりますw
嶋田さんとモニカさんは変わらず幸せになりますよきっと。
リメイクは更新停止の入り口これはよく聞きますね。
そうならないように頑張れたらいいのですが私も年ですからね。

>>145トゥ!ヘァ!様
ジ家兄弟も夢幻会入りしました。
当初は兄さんだけだったのですが、弟くんにも多くの仲間がいたほうがいいかと思いまして。

全南天勢を数値化して出したのはこれが初めてかと。
アフリカ勢まで全部出したのは。

152名無しさん:2023/05/03(水) 22:29:47 HOST:KD106154146049.au-net.ne.jp
年取るのは仕方ないですよ
当時このスレにいた高校生ももうアラサーですから

モニカさんのお誕生日きちんとお祝いされましたか皆さん

153トゥ!ヘァ!:2023/05/03(水) 22:43:47 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
キャラの誕生日にもガチャチケットもらえるからありがたいことですわ。

154名無しさん:2023/05/03(水) 22:49:18 HOST:KD106154146049.au-net.ne.jp
GWになってから人減った脳
それとも元々減ってたかな?

155ハニワ一号:2023/05/04(木) 09:40:38 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
休日さん乙です。
嶋田さんが領地持ちの華族でカムチャツカ州という広大な土地を領地としているとは。
しかも人口は約1千万人でしかも300m400mのビルがざらにあるとかこれ史実の東京以上に発展しているのでは。
そしてシャルルとVVは夢幻会と転生者の存在という日本最大の秘密を知っているのか。
休日日本の足利幕府が450年も続いたって事は南北朝時代が転生者の活躍によって足利側の圧倒的勝利によって短期で終結して安定した強力な幕府を築くことに成功して戦国時代につながる応仁の乱も起きなかったんでしょうね。

156名無しさん:2023/05/04(木) 09:52:49 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
乙です。
長くなりもした

157名無しさん:2023/05/04(木) 11:09:13 HOST:101-142-42-75f1.wky1.eonet.ne.jp
新田義貞を足利方に引き入れる事に成功したのかな?北畠顕家の奥州勢をかなり早くに撃滅できたのか?

コードギアス世界の日本でも大正迄皇室存続してたらしいけど消滅して共和政型大日本帝国見たいな国家に成ったらしいけど明治維新が長引くか頓挫して皇室が弱体化してしまったのか?

158休日:2023/05/05(金) 00:21:15 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
>>155ハニワ一号様
嶋田さん辺地ですが領地持ちの華族となりました。
カムチャツカ州は170,000㎢ほどの土地とのどかな自然が……広がってません。思い切り都会です。もちろん自然もいっぱいですけどね。
嶋田家がこの土地に奉ぜられたのは一応太平洋戦争がきっかけとなってますが、それまでにも歴史を操って日本に利する行動をとり続けていたからですね。
なお足利幕府は大政奉還まで続いております。
>>157
一応この世界線では足利幕府は大政奉還まで続きましたね。

159名無しさん:2023/05/05(金) 03:41:26 HOST:KD106154150059.au-net.ne.jp
パーパルディア・ロウリア戦争はロウリアを徹底的にやるべきなんかね
海軍と空軍潰してあのアデムも戦死したわけだからもう大人しくしてるような

160トゥ!ヘァ!:2023/05/05(金) 07:06:36 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
見せしめもかねているので首都の制圧まではやるべきじゃないでしょうか。

あとはあそこの大陸に火遊びしそうな国を残しておくのは面倒ですからね。

161名無しさん:2023/05/05(金) 19:43:04 HOST:101-142-42-75f1.wky1.eonet.ne.jp
蓮夜世界見たいな戦国乱世無かったのか休日世界は?

162休日:2023/05/05(金) 20:17:07 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
 風邪ひきなのでとても書けず……超短編です

 日本国召喚からCP:朝田さん×レミール

163休日:2023/05/05(金) 20:17:47 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


「しかし早いな。我がデュロは。昨日戦地に居たかと思えばもうすぐエストシラントだ」

 戦地からそれほど離れていないとはいえ、そこはこの巨大な惑星、分類スーパーアースの表面距離を考えるのなら、かなりの距離となろう。

 なにせ表面積がかるく地球の6倍以上となる巨大惑星なのだ。地球の常識で考える方がおかしくなってしまう。

 しかし、それはこの星の住人にとっても例外ではないようで、パーパルディア皇国皇族レミール皇女は、浮遊航空艦デュロの早さに驚いていた。

 だが、朝田からしてみれば。とろい。眠たくなるほどにとろい。おかげで一昼夜を明かし、レミールと行く度も愛し合えたほどにとろかった。

「レミール皇女、貴女はまだお勉強が足りていない御様子ですね。辻閣下の座上だった斑鳩級浮遊航空艦‟亭子”と比較してご覧に入れましょうか?」

「な、なんだ泰司いきなり急に。驚くではないか」

 スペックの比較表を見せられるレミール。まず「……」となり、最後は呆然としていた。

「よ、良いのか泰司。このような軍事機密を友好国とは言え他国の皇女に漏らす等、後で何か仕置きでもあるのではないのか?!」

 突然の諸元表の閲覧に第一に身を案じたのは朝田の事。どれだけ朝田を愛しているかの証明でもある。

 朝田はそのレミールの気持ちに嬉しくなる。彼女は、レミール皇女はスペックに驚く以上に自分のことを心配し、身を案じてくれた。

 泰司っと感極まって朝田に抱き着くレミール皇女。ここはブリッジ他の艦橋要員もいる。

 恋人のいない男などはそれだけで、部屋でやってろよと口に出して言う程だ。

 格下の国とは言え仮にもパーパルディア皇国皇族レミール皇女に向かってである。昔のレミール皇女なら銃殺刑だっただろう。

 まあ、それ以前に大日本帝国の臣民に手など出せよう筈も無いが。

「レミール皇女大丈夫ですよ。これは皇女が良くお読みの別冊宝大陸の詳細版の本です。つまり誰でも観れるんです、子供でも」

 そういってレミールの膝下にまで届く長い銀色の美しく艶やかな髪を、優しく優しく撫でて安心させる朝田。

 さり気なくレミールの腰に手を回し自分の方へと引っ張りながら、体同士でくっつき、抱き合う格好となって居る。

 レミールはパーパルディア皇国皇族。朝田は日本の一平民。身分の差が違い過ぎる二人がこうして甘い合えるのも、特例として二人の婚姻が認められているから。

 本来ならば言葉を交わすことも不可能な二人。あの日、北側諸国の折衝としてパーパルディア皇国を朝田が訪れなければ生まれなかっただろう縁。

 その縁をこよなく大切にし、レミール皇女と朝田は朝からのブリッジに関わらず、「んっ、ちゅ」キスをし愛し合うのだ。

 ブリッジ員は総出で思った。「そんなに愛し合いたければテメーラの部屋あるんだから部屋いけや部屋」と。

164休日:2023/05/05(金) 20:18:28 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 
 砲艦外交の前に諸元表の違いを見てください





 軽斑鳩級浮遊航空艦 デュロ

 使用国:パーパルディア皇国

 全長:191m

 時速巡航:450㎞

 最高速度:1000㎞

 ブースター装着時:マッハ2〜3

 乗員:230名

 充足時:340名

 フレイヤ炉搭載

 航続距離:∞

 兵装:単装砲(リニア砲)5門

   :ミサイル発射機2基搭載

   :スラッシュハーケン(近接用武装)

   :ブレイズルミナス




 斑鳩級浮遊航空艦亭子(休日版)

 全長:236m

 全幅:72m

 全高:36m

 速力:巡航速度1,200㎞

   :最高速度2,800㎞

 実用上昇限度:42,000m

 兵装:ハドロン重砲4門

   :単装リニア砲7門

   :大型リニア砲2門

   :32連装ミサイル発射機3基

   :スラッシュハーケン4基

 動力:フレイヤ炉

 航続距離:∞

 特殊武装:ブレイズルミナス(強化発展型)

165休日:2023/05/05(金) 20:19:09 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 「ん──……」

 銀色の糸、口付けの証である唾液がレミールと朝田の間を繋いでいる。

「この、兵装のハドロン重砲というのは荷電粒子砲であったな。通常のハドロン砲と重砲ではどのくらい異なる?」

「赤ん坊と大人くらい威力が違いますね。ブレイズルミナスの強化型も。デュロの薄い膜とは違い、角度にもよりますが同じハドロン砲でも防ぎます余裕で」

「恐ろしいな。この速力にしてもそうだ。この巨体でマッハ2.5、実用上昇限度42,000mなど想像もつかぬ」

「42,000mまで上昇すれば惑星が丸くなっていることが分かりますよ」

 そういえばこの世界は丸いのであったと思いだすレミール。とても信じられぬが幾つもの衛星写真、地球の歴史なる本を見。惑星について学びようやく理解した。

 その丸くなっている場所まで上昇することが出来る。とても魅惑的な話だ。

「ま、真か……、うむ、私も見て観たいが、このデュロでは」

 デュロの実用上昇限度はそこまで高くない20,000m行けるかどうかの瀬戸際だ。だが、それを朝田は解決した

「ブースターを付ければ高度30,000m行けますよスピードも無駄に早くなりマッハ2にはなりますが、このデュロでも成層圏の高くまでいけます。そこまで上がればこの星が丸くなっていることが目で見えます」

 これを聞いてレミールの中にワクワクとした冒険心が生まれた。彼女は男ではなく女、それも見目麗しいパーパルディア皇国皇女なのだ。だが、一人の人間でもある。行ってみたことの無い。まだ見ぬ景色という物に、人間は道にあこがれるのだ。

 この仕事が終われば密かにいってみようと思うレミール。デュロは自分預かりの艦。多少は自由に使っても良いのではないかと。日本の艦なら増幅器無しでも行けるという未知なる異空間。

 その異空間で泰司と二人寄り添い、愛を交わし合いたい。愛し、愛され、泰司をこの身に受けたい。素敵なる空間での愛し合いはきっといつもと異なる何かを私と泰司にもたらすはず。

 泰司はきっと了解してくれるだろう。使用に使うのは反対とも言いながら、ならば任務で使っても良い。ムー大陸などに飛来する機会があれば増幅器を使う事もあろう。

 そのとき、私と泰司は、星を見下ろし、丸い星を眺めながらの、むつみ合いに興じるのだ。それはさぞかし。心に刻まれん。ああ、新しい愛の一ページ、泰司、レミールは泰司を愛しているのだ。

166休日:2023/05/05(金) 20:23:09 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
この前の話にねちょねちょな話をのせているのですが。
きやく的にぎりぎりっぽかったので、ハメのほうに載せました。
ハメで受けたリクエストも同様です。
それじゃしつれいします。

167トゥ!ヘァ!:2023/05/05(金) 20:38:25 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

軽イカルガ級も早いですが、通常の斑鳩級はもっと早いですねw
軽斑鳩級の倍以上とは。

168二二三:2023/05/05(金) 20:49:19 HOST:KD106154146164.au-net.ne.jp
乙です。やっぱり技術力が原作を遥かに超えとる。原作はカールレオン級のグランベリーにブースターつけて高度30,000マッハ2だったのに。
それより大きい船体の通常状態でブースター状態のグランベリーを余裕で超えてくるんだから。

169二二三:2023/05/05(金) 20:50:23 HOST:KD106154146164.au-net.ne.jp
とゆうことはレミールの座乗艦デュロは原作グランベリー並み?

170名無しさん:2023/05/05(金) 21:57:13 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
乙です。
なかなか巨艦ですなあ
でも、小さいという。

171二二三:2023/05/06(土) 17:35:38 HOST:KD106155012099.au-net.ne.jp
軽斑鳩級がカールレオン級と同等と言うなら」これくらいの大きさで妥当っすよ
原作アヴァロンで全長200m原作カールレオンで全長190m

だから辻さんの乗ってきた斑鳩級が如何に巨大か

172休日:2023/05/06(土) 19:00:11 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
風邪がひどくて大変です。のどが痛くて痛くて。

軽斑鳩級にも旧モデルと最新モデルがありますね。
そして日本の浮遊航空艦は軽斑鳩→斑鳩級→重斑鳩級→超重斑鳩級。となっております。
超重型モデルはブリタニアも必死に開発中ですかね?うろ覚えですが。

173休日:2023/05/06(土) 19:05:44 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
超重型モデルは全長300mを優に超えてきますので、母艦としても戦闘艦としてもかなり有用ですね。

174トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/06(土) 19:40:21 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>172
お大事に(汗) 
ゆっくり養生してください。

超重斑鳩級…これまたでかいのが来ましたなぁ。
殆どない移動要塞ですわ。

175二二三:2023/05/06(土) 20:20:15 HOST:KD106155012099.au-net.ne.jp
性能的にはグランベリーを超えてるデュロが型落ちの旧型
フレイヤ炉も搭載普通にグランベリー超えてますがな

その上で超重斑鳩型て……
ブリタニアや南天が時々いう日本が進みすぎてるって確かですな

超重型って何隻保有してるんだろう

あ、休日氏風邪にはお気を付けて、養生してください
最近連続更新されてた疲れも溜まってるはずなので
たまには書かない日を儲けるのも良いですよ

176二二三:2023/05/06(土) 20:39:49 HOST:KD106155012099.au-net.ne.jp
超重型も宮の名前を付けるとしたら、平安、平城、伊勢、明治宮殿、藤原京、京都、

177名無しさん:2023/05/06(土) 21:14:28 HOST:KD106155012099.au-net.ne.jp
天空要塞ダモクレスが作れるんだから超重浮遊航空艦も理論上作れる
問題は配備数10隻配備でダモクレス超える

178トゥ!ヘァ!:2023/05/06(土) 22:48:43 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
ダモクレス一つ配備するよりは超重艦複数用意した方が運用幅も広いでしょうからな。

179ハニワ一号:2023/05/07(日) 09:46:46 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
遅まきながら休日さん乙です。
体をお大事にしてゆっくりと休んで風邪を治す事を優先してください。

180名無しさん:2023/05/07(日) 12:08:20 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
乙です。
ゆっくり自愛ください

181二二三:2023/05/07(日) 16:11:53 HOST:KD106155013018.au-net.ne.jp
超重型斑鳩級、32連装F号ミサイル発射機とか搭載しているのかな

182名無しさん:2023/05/07(日) 23:36:42 HOST:KD106155013092.au-net.ne.jp
スレが盛り上がらない理由を教えよう
誰もネタ投稿しないから
ネタがない、人がいなくなるを繰り返してる
昔はいっぱい投稿してた人がいたけどいまは実質休日氏一人だけ
これじゃ盛り上がるわけない

183二二三:2023/05/08(月) 00:27:42 HOST:KD106155010097.au-net.ne.jp
なんで誰も書かなくなってんだろ自分は書く気無くすことがあったから別として、影響さん、フライルーさん、237さん、トゥヘアさん、トーゴーさん、202さん、ハニワさんは最近書いてるか。他大勢の名無しさん
9〜10年くらい前はあんなに盛り上がって書いてたのに。あれかみんなおっさんおばさん化して興味なくしていったのか?
そういう意味では42歳だったか?で頑張ってる休日氏凄いわ。自分も別口でギアス書いてるけどお手本にせねばな。自分のがブクマも読者数も上なのは秘密って、休日氏も知ってるけど

184二二三:2023/05/08(月) 00:38:09 HOST:KD106155010097.au-net.ne.jp
作家帝都の休日さま(コ)
作家二二三さま(コ)
作家202さま(コ)
作家影響を受ける人さま(コ)
作家237さま(コ)
作家トゥ!ヘァ!さま(コ)
ぽちさま(コ)
作家トーゴーさま(コ)
フライルーさん

ここの作家さんほとんど書かなくなった。
というか見なくなった。

185トゥ!ヘァ!:2023/05/08(月) 00:48:42 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
私は現在他のスレで投下するネタを練っているので、余りこちらに顔出せてない感じですね。
あと単純にリアルが忙しくて筆取れない…

ぽちさんは今でも雑談スレで偶に見かけまね。

186名無しさん:2023/05/08(月) 11:05:23 HOST:KD106146078253.au-net.ne.jp
休日世界のグレートブリテンってギネヴィア皇女が嫁いでブリタニア領になるんだったよね

187名無しさん:2023/05/08(月) 11:11:29 HOST:KD106146078253.au-net.ne.jp
現在アイスランドまでがブリタニア領で続いてグレートブリテンとアイルランドがブリタニア領になる
ヨーロッパ全土とシベリア全土、アフリカ中央部から北側がAEU領土にになる
あとは場合によりけり日本が清国と高麗を併合する

188名無しさん:2023/05/08(月) 12:24:37 HOST:KD106146076088.au-net.ne.jp
欧州解放戦争半年〜2年;ユーロブリタニアVSユーロピア共和国連合
第二次シベリア戦争1ヶ月〜3ヶ月:AEUVS大清連邦・高麗共和国
高麗戦争1日:大日本帝国VS高麗
大清戦争1日:大日本帝国VS大清連邦
ジルクスタン中華連邦戦争:大日本帝国・神聖ブリタニア帝国VS南天条約機構

189ハニワ一号:2023/05/09(火) 10:35:06 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
自分は休日ギアスとゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えりのクロスネタや休日ギアスと史実日本ゲートネタとかのギアスネタを考えてますが執筆してSSを完成させる時間がね・・・。

190二二三:2023/05/09(火) 11:30:07 HOST:KD106154150124.au-net.ne.jp
おお!ぜひとも読みたいです!まあ無理なさらずゆっくりと

191二二三:2023/05/09(火) 11:33:02 HOST:KD106154150124.au-net.ne.jp
ゲートなら積乱雲式か扉式かで送れる戦力にかなりの幅が出てきますね

192ハニワ一号:2023/05/09(火) 15:21:22 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
>>191
休日ギアスとゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えりのクロスネタだと特地には原作ゲート日本につながるゲートと休日ギアス日本につながるゲートの2つが存在していますね。
でゲートの大きさは両方とも原作のゲートと同じ大きさですね。

193二二三:2023/05/09(火) 17:11:26 HOST:KD106154151059.au-net.ne.jp
ということは門、扉式ですよね。ゲートはアニメしか知らないのですが門扉式の場合はKMFは普通に遅れる。
戦車装甲車も普通に遅れる、トラックその他兵員輸送車も普通に遅れる
問題は浮遊航空艦ですね小型可翔艦ならいけるでしょうが
航空艦のサイズ最低全長190mはどうやってもそのままじゃ無理なんで倉崎・スメラギ・ランペルージの技術者にバラシてもらうしかないです

194二二三:2023/05/09(火) 17:14:20 HOST:KD106154151059.au-net.ne.jp
史実ゲートなら第二次ですか? ミッドウェイ海戦に殴り込んで神風吹かすのもアリですね

195二二三:2023/05/09(火) 17:22:51 HOST:KD106154151059.au-net.ne.jp
いつかの海軍甲事件のいっくんこと山本長官を助けたエピソードと絡めてもいい(*´ω`*)

196ハニワ一号:2023/05/09(火) 19:00:54 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
>>193
ゲートSeason2だと海自が潜水艦やミサイル艇を特地に持ち込んでいるみたいですね。
まあ浮遊航空艦など大型のものは分解して特地に持ち込むことになるでしょうね。
特地の各種勢力や住民たちに向けてのわかりやすい示威行動としてリヴァイアサンや大竜胆などの陸上戦艦を見て休日日本も試作で開発した休日日本の陸上戦艦(出すとしたら名前は轟天号で特徴としてドリルを備えている)か中華連邦から買い取った大竜胆とかの陸上戦艦をバラシて特地に持っていて活躍させることを考えてますね。
突然ゲートが閉じられるなど不測の事態に備えて、孤立した特地の休日ギアス日本軍が自給自足で生活・活動できる各種生産・整備・備蓄・工業施設を備えた租界みたいな都市型の巨大基地が特地に建設される事を予定していますので特地で大型の浮遊航空艦や陸上戦艦、航空機など持ち込むことが大変な大型の兵器などを生産・建造することもできますね。

>>194
史実ゲートの方は史実現代日本とゲートが開きますね。

197二二三:2023/05/09(火) 19:44:08 HOST:KD106154151252.au-net.ne.jp
season2持ってますけど潜水艦にミサイル艇持ち込んでますね
浮遊航空艦の分解といばロイドさんと倉崎の最新技術開発部の室長の出番でしょう
超重斑鳩級は流石に無理かな?デカすぎて

>リヴァイアサンや大竜胆などの陸上戦艦を見て休日日本も試作で開発した休日日本の陸上戦艦。出すとしたら名前は轟天号。轟天号名前が良いですよね
>中華連邦から買い取った大竜胆とかの陸上戦艦をバラシて──すぐ隣に南天が迫ってきている中で大竜胆を売却するあります? それともジルクと共に北側諸国条約に加盟済み?

現代ゲート開いたらロシア北チョン南チョン大朝鮮フルボッコにしないと

198ハニワ一号:2023/05/09(火) 20:36:40 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
>>197
いや、中華連邦とジルクは北側諸国に加盟していませんね。
南天の中東へ侵攻する前の設定なので中華連邦は休日日本が大竜胆の代わりとなる兵器を中華連邦に売却するのと引き換えに中華連邦は大竜胆を休日日本に売却する余裕があると思います。
特地に陸上戦艦を登場させたいので陸上戦艦の調達先として中華連邦の大竜胆を挙げましたが特地で活躍させる陸上戦艦は休日日本の陸上戦艦にした方が良さそうかな。
なお、特地にはゲートが一つしかなく補給など受け入れ態勢の問題から休日日本軍が主力ですが唯一ブリタニアからはナイトオブラウンズ含む少数精鋭の部隊が派遣されています。

199二二三:2023/05/09(火) 20:49:01 HOST:KD106154151252.au-net.ne.jp
でも陸上戦艦と言えば竜胆か大竜胆。まだ南天の中東侵攻が起きていないならのどかですし売却してくれるかと思います。

200名無しさん:2023/05/10(水) 04:15:19 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 それは皇歴2020年某月。南天の超巨大テロ組織、世界中に100,000,000人の構成員が存在するという“白い翼”の躍動と、南天本体の北進の兆候が見られることから、一計を案じた神聖ブリタニア帝国第98代皇帝、シャルル・ジ・ブリタニアは。

 対テロ遊撃部隊であるグリンダ騎士団を現行の4艦6000人体制から、13艦30,000人体制へと大幅増員をすることに決めた。

 その規模は地上部隊と浮遊航空艦部隊。別途に用意したKMFヴィンセント・グリンダ部隊などと併せれば、総数にして36,000〜37,000。実に3個師団に上る大部隊だった。

 しかし、南天勢が本格的に動き出した今、この規模でさえまだ足りない。充分に大グリンダ騎士団と呼び始めても良い頃のこの規模でさえ。

 100,000,000人のテロ組織、その傘下に無数の犯罪組織や、シンジケートを抱える白い翼に対しては微々たる物でしか無く、白い翼が動き出せば現在のグリンダ騎士団など。

 それに白い翼など問題ではない。もしも南天正規軍――南天条約機構軍とグリンダ騎士団がぶつかれば……グリンダは容赦の無い死兵の津波に呑み込まれてしまう。

 そう考え、悩みに悩み、更なるグリンダ騎士団の戦力拡大をシャルルが考えている頃。

 ※

「ダ〜メ〜っ!駄目ったら駄目〜っっ!!」

 ゴシック調の黒い服を着た美少女が叫ぶ

「兄さまはわたくしが連れて参りますの〜っっ!!」

 桃色を基調とした衣服の美女が叫ぶ。

 大日本帝国はV.V.邸で二人の少女。正確には美少女と美女が争っていた。一人の男を挟んで。

「や、ヤメロてめ〜ら、まじでふくちぎれっちまう〜っ」

 そして紫の服に身体にフィットしたGパンの威勢良く髪を逆立てた不良風の男が叫ぶ。

「そのときはわたくしがコーディネートして差し上げますわ。いつでも仰ってくださいマシな」

 にっこり笑顔なのは服を引っ張っている一人。薄紅色の腰下まで届く長い髪。どこまでも深いディープブルーを思わせる美しい瞳。胸は大きく、背はそれなりに高い。背中に羽を収納した桃色を基調としたロングスカートのドレス。神聖ブリタニア帝国第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニア・こと、マリーベル・ランペルージその人であった。

「いらないことしなくてもいいんだよ! お兄ちゃんの世話はこのクララが万事任されてるんだから!」

 こちらも勝手なことを言っている、桜色の綺麗な瞳に、同じ色の膝下にまで届く長い髪。胸は小ぶりながら年相応に女性らしい身体になりつつある少女。2019年度で17歳、2020年度で18歳。お前の成長はここまでと男に言われてムキーっと激高すること数知れず。その正体はギアス嚮団という秘密結社のナンバーワン暗殺者。クララ・ランフランク。もう一つの名をクララ・ジ・ブリタニア。ブリタニア帝国皇兄殿下の実の娘でもあるのだ。

「テメーらまず俺の意見を聞けェェェ俺は政治家になってだなあ」

「ああもうそれ聞き飽きたから」

201休日:2023/05/10(水) 04:16:14 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「兄さま、不可能とは、夢想以上に適わない事なのですよ」

 否定に入る美少女と美女。クララは美少女、マリーベルは美女だ。町を歩いていれば必ず声を掛けられるくらいの美少女と美女。その先の選択肢次第で声を掛けた者の命運は変わってしまうほどの危険人物だが。

 二人は共に個人戦闘力が恐ろしく高い。クララは暗殺術に長け、更にギアスという超能力のような力をその綺麗な桜色の両目に宿している。この力自体も非常に危険で『目視した人間の名前を叫ぶことで対象の肉体の自由を奪い、意のままに操るもの』が、今では能力が向上し『目視した対象を意のままに操る力』へとパワーアップしている。

 マリーベルは軍の嚮導学校などのシミュレーターで最高点を出す実力者。本人も数多くの戦闘を経験しており、南ブリタニア大陸に巣くう民主共和制原理主義組織ペンタゴンの№2の首級はオルドリン・ジヴォンがあげたが、その他の中級幹部の多くを殺害したのはマリーベルである。

 そのマリーベルもギアスを持っている。その力は『相手の自我を奪い殺戮人形にする絶対服従のギアス』これを進化させ両目にギアスを顕現できるようになった今『自由に掛け解きを可能とし相手の自我を残したまま絶対服従のギアスを掛けることも可能』となっており彼女自身の成長の証でもある。

 そんな強く、聡明で頭も回る二人が言い争う中心点にいるのが、ニートの三流校卒のアホだとは神様でも思うまい。

 事の始まりは、お兄ちゃん・兄さまこと玉城真一郎の借金返済について。これをV.V.邸でいきなりマリーベルがぶち上げたこと。

 ナイトオブナイツことオルドリン・ジヴォンは、流石のマリーベルに対しても『マリー一言言わせてばっかじゃないの』と言われるほどの、ずさん且つアホらしく実現したらしたで頭痛くなることこの上ない計画だったのだ。

「伯父様。兄さまの借金は返せる見込みは?」

 すると畳の上にざあっと広がるほど長い、踵まで届く髪を持つ、見掛け10歳中身65歳の伯父さんは言った。

「僕の所で8.5号機のデヴァイサーやってもらってるからね。上手くいけば3年かな」

 あれだけやって3年かよテメー舐めてんなよ糞ジジーとぶーたれるアホは放っておく。

202休日:2023/05/10(水) 04:17:20 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 そこでクララが手を上げる。

「お兄ちゃん、クララからも三桁台の借金してるよね」

 これを聞いたルルーシュが。

「な、ナナリー、人の良さにつけ込まれてかしてないだろうな」

 と、慌てるも。

「玉城さんの為になりませんので無心はされましたがかしてません」

 クララよりも更に年下のナナリーにまで無心していたのだ。もう人として終わっている。

「そういえば私の所にも来たな金の無心に」

 コーネリアがぼそっと呟くと。

「玉城貴様ァァァァァ!!」

 ギルフォードが剣を抜きかけたので、コーネリアが止めた。

「まあ、待てギルフォード。アホのすることに一々付き合っていてはこちらまでアホになる。コイツの受験のために私が一体何度勉強を教え何度落ちたか。私の教え方が悪かったのかと自問自答したが分かったのだコイツがアホすぎるのだと。次の受験頼られたら教えてやるが落ちてもそれは私の所為ではない」

 もうコーネリアは呆れている。コーネリア・ランペルージ、またの名を駐日ブリタニア大使コーネリア・リ・ブリタニア。彼女も弟妹たちの騒動に片足を突っ込んでいたが、静観の構えを取って居た。とにかくアホに関わると碌な事にならない。

 ギルフォードにも伝え「御意」と下がるギルフォードを見て息をついた。

 結局の所この騒動の発端は玉城の借金とそれを返す方法の論議なのだ。このまま伯父のところでバイトをしながらゆっくりと返していくか。マリーベルの騎士団に仮入団し多くの給金を貰い一気に返すか。

 これに猛反対しているのがクララなのだ。借金なんかクララのポケットマネーで全額返済してあげるよと。印鑑付きの口座番号の預金通帳をもう要らない季節になってきたコタツにバンッと押し付けたのが原因。

「一、十、百、千、万、十万、百万、一千万、一億、じじじじ十億、……クララ様、なんすかこれなんすかこれッッ!?」

 アホは興奮状態でクララを見て。

「クララの預金。だから前から言ってるじゃん。クララはシークレットエージェントだからそのくらいは稼いでるって」

 ここで、クララが本当に正体をバラした。

 ヒュッ

 シュキッ

 一瞬で姿を消すと、大好きなお兄ちゃんの首元に細いナイフを当てていたのだ。

「お兄ちゃんみたいな不良さんなら半日で1,000人は殺せるよ。裏技使ったらもっと行けるけれどね。このナイフもそれくらいじゃ刃こぼれしない丈夫なものだから」

 溢れ出す冷気、殺意、玉城が始めて感じ取るクララの本当の姿。彼女は玉城の後ろで更に両目に鳥を羽ばたかせている。

 それを――

 じィン

 同じくナイフの音。刃と刃が鍔迫り合いをした音だ。今度ナイフを取り出したるは桃色のロングドレスの女性マリーベル・ランペルージ。

「兄さまへの狼藉は許しません」

 クララは冷静に応じる。

「狼藉? あの通帳を見せた時点で本当の“私”を見せなきゃお兄ちゃんも信用しないでしょう」

 玉城は始めて聞いた気がするクララがクララと言わず私と自分の事を呼称したのを。これが本当のクララ、なのか?

 それに、そのクララのナイフを簡単に受け止めたマリーの剣、短剣っていうのか。アレで簡単にクララのナイフを押し止めた。俺の首元に当てられていたナイフを。

「ふーん……困ったなあ。これもう誤魔化しがきかないよ。真一郎、キミ日常を歩いていたいんだよね? だったら今日のことすっぱり忘れて僕らと完全に縁を切るか。とことんまで深淵を覗くかのどちらかしかないんだけど? どうする」

「はわわわ〜ッ」

「あ、逃げた」

 玉城は逃げた。怖くて逃げたんじゃ無い。現実に追いつかなくなって、追いつけなくなって、一端頭を整理するために逃げたのだ。これでも全部投げ出して逃げるような無責任な男では断じてない。

 V.V.ファミリーとは一体何なのだろうか? クララの持っていたあの十億なんてデタラメな大金は何なのだろうか。クララから感じた身の毛もよだつ死んだと感じさせられたあの殺意は。そのクララの殺意を真正面から受け止めて平然としていたマリーベルは。

 考え考え考え抜いて、それでも出ない答えに現実が追いついてくるのでは無いかという恐怖に苛まれながらに逃げ続けていたために、前方を歩いた人への視認が遅れてしまいぶつかってしまったのだ。

 どんッ

 人にぶつかった。考え事をしていては気付かなかった。

「っとごめん、わりィ」

 別に恐怖に駆られて逃げたわけでは無いので普通の対応が出来た。が、相手が不味かった。

「なんだガキか。わりいなお嬢ちゃん」

 その対応も不味かった。

 その少女は持っていたステッキを瞬間にしてくるりと逆さに持ち替えると、玉城の脚を引っかけ。

「うぎゃッ」

 喉を突いたのだ。

203休日:2023/05/10(水) 04:18:20 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「っててて、てめいきなりなにしやがッッッ……!!」

「それはこちらの台詞だわ。歩いていたところをいきなりぶつかってきて“わりィ”“ガキ”などと無礼な。これでも私は今年で27よ」

 薔薇が咲いたような真っ赤なドレス。欧米紳士が持つようなステッキを持つ、赤いヘッドドレスに細く黒いリボンで結い上げられた身の丈よりも長いだろう美しい金色に輝くロングツインテールが風に靡いている。

 こんな時じゃなかったら見とれていただろうビスクドールのように美しい女性は、透き通った蒼い瞳で不躾な男を見下ろすと年齢を告げた。

「と、年上ェェェ!! ちんまい年上なら他に知り合いにもいるがまさか2人も居るとは思わなかったぜ」

「下郎、名を名乗りなさい」

 命令である。強制では無く確かに命令である。何故なら玉城の喉を突いているステッキの力は寸分も緩められていない上に、女性の潤みを帯びた蒼い瞳は冷ややかにこちらへと向けられたままなのだから。

「た、玉城、玉城真一郎……」

 逆らってはいけない。第六感が告げている。この女もヤヴァイ類いの女だと。

「タマキ……貴方がシンイチロウ・タマキ?」

「え、あ、あ、ああ、ブリタニア風に直すのならな」

「……ふーん、とても相応しく見えないわ」

「な、なんの」

「皇女殿下のご婚約者としてよ」

 ハアっ?! どっから出できやがんのよ皇女殿下の婚約者って。つーか皇女殿下って誰よ? 神楽耶皇女殿下?俺一回もあったことねーし、神楽耶皇女殿下にはもブリタニアのオデュッセウス第一皇子殿下とご婚約が。

 アホはアホなりに勉強してきた知識がそれなりに役立った瞬間でもあった。アホでもやれば出来るのだ。ただそれを受験で生かせないだけなのだ。

 そんなことを考えていると――

「シンク様! こちらでしたか! あれほどお一人に成られては成りませんと申しつけておりましたのに」

 様ァァ?! やっぱこいつもどこかのお嬢様かよ。瞬間、黒服の一人がこちらを見棘馬手振り向いた威圧感が半端ない。そこらの不良やヤクザがチビって逃げ出しそうなほど。

 かく言う玉城も逃げ出したくて仕方が無かった。逃げても良いなら。でも俺の喉元に突きつけられたステッキが逃がしてくれないんだよ。

「む、貴様ローゼンクロイツ家第五女、シンク・ローゼンクロイツ伯爵ご令嬢に対し御無礼を働いてはいまいな」

 は、は、伯爵令嬢?! 貴族? ブリタニアの貴族しかもローゼンクロイツ伯爵家っつったら上から数えた方が早い上位伯爵家じゃねえかよッ! そのご令嬢が何でこんなとこに!?

 無駄知識。ある意味で有用知識を覚えている玉城。やはりこれを受験に活かせないのが彼の彼たるゆえんだろうか。通称アホの玉城は今でも健在なのである。

 一夜漬けで詰め込んだ社会や歴史の知識が、よもやこの様な場所で出て来ようとは誰も思うまい。彼は。
 
 ヴェルガモン家、シュタットフェルト家。ヴァインベルグ家、ソレイシィ家、クルシェフスキー家、アッシュフォード家、名だたるブリタニアの名家を知っている。社会勉強したからだ。

 それも当のローゼンクロイツ伯爵家縁の者とこんな街中で邂逅しようだなんてまさか思いもしない。社交界では薔薇乙女と呼ばれている第五女。ローゼンシスターズはそれぞれが優雅な薔薇に例えられることが多い。

 中でも赤いバラ、第五女は日本へ輿入れした令嬢で有名だ。輿入れと言っても籍はローゼンクロイツ家のままだが。嫁いだ先がまた凄い先の名外相、吉田茂の孫で、現外務大臣麻生良太郎のところなのだ。

 名家は名家と結ばれるというがやはり本当なのだろうと馬鹿なりの頭で解釈した。

「無礼は働かれていないわ。少し世間話をしていたところよ、そうでしょ?」

「ははは、はい、シンク様とは、お世間話を」

 モノホンの貴族となんか話したことねーから話し方わかんねーよ。どう話せば良いんだよ。

204休日:2023/05/10(水) 04:19:29 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp





 馬鹿と薔薇と皇女と魔弾






「……」

「……」

「何か話しなさい」

「な、何かと申しましてもですね。私に話題をお振られ戴きましても、なんともお答えにお難しいと思う仕上げますか」

「文法が滅茶苦茶だわ。もう無理をして丁寧な言葉遣いを使おうとしなくてもいいから普通に話しなさい普通に」

「じゃあ、普通に話すわ、つーかSPの人いきなり無礼なとか無礼討ちにして来たりしねえェ?」

「一度注意してあるから大丈夫よ。それよりあなたあんなに急いでどうしたの? 前から歩いてくる人間も見えないくらいに走り回って」

 そりゃあんたの背が小せえからという命知らずな事は言わない。相手は天下のローゼンクロイツ伯爵家の御令嬢なのだ。自分の首なんてポーンと跳ね飛ばせる相手なのだ。

「いやまあ掻い摘んで言うとだなあ」

 十億の預金通帳を出されてビビッて。豹変した幼馴染にナイフを首筋にあてられた。瞬間これまた豹変した幼馴染に短剣でそのナイフを止められた。

 それで現実を生きるか、非現実を生きるかさあどうするかと迫られて、逃げた。という事だった。

 通りのベンチに座っている二人、少し遠くにはアホみたいに高い900m1,000mのビルが建っているのが見える。シンクにはSPが赤い日傘をさしている。季節は春を過ぎようとしていたが丁度良い小春日和。ここまで聞いたシンクは一言。

「情けない男ね」

「んだとぉッ!」

「ようはあなたはあなたが怖くて逃げたのではない。得体のしれない周りが怖くて逃げたのでもない。物事についていけなくなって逃げた。違うかしら?」

 自分が怖いわけがない20と6年生きてきて自分が怖いと思ったことは無かった。じゃあクララが怖かったか? 確かに首筋にナイフを充てられたし、殺気とか呼ばれるのをバンバン飛ばされた。だが別に俺は幼馴染のあいつがいきなり自分の事を切りつけてくるとも思ってないし、あんなの悪戯の延長線とも言えた。じゃあ、それを懐から取り出した短剣で以て冷ややかな目線で止めたマリーが怖いかと言われれば、はっきりと言える怖くないと。

 マリーは俺を助けようとして咄嗟にああいう行動に出たのであって、あっちが素のマリーってんならそれはそれでいいんじゃないかなとも思う。

 結局のところ最終的にあいつらは何なんだ?いったい何様でどこの誰なんだ? おっさんは言った。

『キミ日常を歩いていたいんだよね? だったら今日のことすっぱり忘れて僕らと完全に縁を切るか。とことんまで深淵を覗くかのどちらかしかないんだけど? どうする』

 すっぱり忘れてってのは縁を切るってことだ。縁を切ってこの東京で一から出発して一から始めるってことだ……何もかもなかった事にして。

 おっさんに家賃滞納で物を差し押さえられたことも。おっさん家でゴロゴロしてたらルルーシュに蹴っ飛ばされたことも。

 ナナちゃんに作りすぎのクッキー余りものを頂いて美味しかったことも。ジェレミアをからかってみたら生真面目なあいつは本気でどぶ川に飛び込んだことも。

 そこのことで奥さんのヴィレッタに折檻を食らった事も。おっさんの居室でゴロゴロしてたらやっぱりおっさんに蹴飛ばされたことも。

 ネリーに勉強を教えられたことも、教えられたのに受験落ちまくって怒られまくった事も、おっさんに、クララに三桁の借金してギャンブル三昧でアウトだったことも。

 高校卒業してからホント、あいつらとは色々あったぜ、それを全部無しにする? ……ねえよ。みんなとの思い出を無しにして一からやり直すだぁ? そんなもんはなぁ、一なんて言わねえんだよ無しゼロだ。

 おれはみんなとの嫌な事もあったし、楽しい事もあったし、ツレえこともあったし、のんびりしたこともあった。そんな毎日が大好きなんだよ。

「なあ、貴族様」

「シンクで良いわ」

「シンク様……やっぱり俺、みんなのところへ帰るわ。そんで謝る。急に逃げ出して御免、訳わかんなくなって逃げた。だから俺はこれからもみんなと一緒にいてェって伝えに戻るぜ──」

「そう、でも、その必要はなさそうよ」

「は?そりゃどういう」


 きゃきゃきゃあああああ右右イイ──

 思いっきり右に切ってるぜい! オズのケツがデカいからァァァ──

 だ、誰のケツがデカいですってェェェ──

 ふ、二人共はしたないですわこのような公衆の面前──!!

 ソキアさんのスーパーテクにケチ付けるからさァァァァ──

 うわああああああッッッ、ソキアお姉ちゃん前見て前ッッッ

 のわわわわわわわわわわ───!!」

205休日:2023/05/10(水) 04:20:58 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp



「良太郎」

「わーってるい」

 名前を呼ばれて気が付いた。俺の直ぐとおなりにくわえたばこのダンディなおっさんが立ってたことに。SPじゃない。それどころか当のSP自身が驚いてる。

 勉強してるときに読んだことがあるこれがあれかよ。気配遮断ってやつかよ。まじで使えるやついるんだな。

「簡単な遊びだ」

 服の内側をわずかに見せたかと思うと‟プシュッ”と空気が抜けた音がして、俺たちの目の前で二人乗りのマウンテンバイクはバラバラに空中分解するように解体されちまうと、乗ってた四人。

 運転手ソキア、その後ろにオルドリン、ちょうど真ん中にマリーベル、最後にちっこいのクララがそれぞれ空中で放り出されて。すげえなと思ったのが誰も誰かの助けを必要せずに空中で身を翻しその場に上手く着地した事。

 やっぱ思ったとおりこいつらただ者じゃねえわ。普通ありえねえだろ、ぶっ壊れて空中分解した自転車から落ちて、普通に着地するとか。

「ったく、ソキアがこっちからたまきんの匂いがするって言うから従ったら偉い目に合ったじゃ無い。さっきの何かチカッひかって光って自転車がばらけなくちゃ人混みに突っ込んでたわよ」

 やっぱり隣のおっさん何かし――げええええええ?!

「あ、あ、あ、あ、あんあん、た、麻生、良太――」

「散々俺のワイフと語らっててくれたみてェだな兄ちゃん。本来なら死刑もんだが、おめえェさん死刑にしちまうと俺があのブリタニアの嬢ちゃん共とやり合うことになっちまう。負けやしねえが二人相手はちと時間を食うからなァ」

「わ、ワイフって」

「赤いドレスの金髪ツインテールだよ」

「はあああああァァァ?! 麻生大臣の奥さんってあんなちっこかったのかよ」

「本人の前では絶対に言うなよ気にしてるから殺されっちまうぞ。身体は小柄だがあれでもそれなりに戦闘能力は高い。見かけで判断してたら痛い目みるぜ。と、俺っちも挨拶しとかねえとな」

 コツ、コツ、コツ、自転車が無くなったから返るときあーだーこーだと良いあっていた四人の元へと足音が近づいてくる。ヒールの足音。周りには黒い衣服で身を固めたSPの姿。

 マリーの回るにも見掛けるし、オズの周りにも見掛ける。時々うっとうしいとさえ感じる彼らの職務は、対象人物を守ること。

 気配そのままに現れたのは、身の丈よりも長い金色の艶やかな美しい髪を、頭の側頭部高くに細く黒いリボンで丁寧に結い上げられ地に着かない様にと毛先が少し浮いている。

 水晶のように透き通った蒼い瞳は心の奥までも見透かしてくるような不可思議な色と潤いを湛えている。そして赤、ヘッドドレスは赤、衣服も赤、スカートも赤で靴も赤、赤いドレスを纏った少女。薔薇の妖精のように美しかった。

 その赤い少女はドレスを摘まむとこちら側へと挨拶をしてきた。

「まず始めに非礼のほどをお許しください」

 丁寧に赤い少女が言うと。

「よい、差し許す」

 マリーベルが返す。

「神聖ブリタニア帝国第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニア殿下、マリーベル殿下の筆頭騎士オルドリン・ジヴォン様、ギアス嚮団筆頭暗殺者にしてブリタニア皇兄殿下ご息女クララ・ジ・ブリタニアさま。グリンダ騎士団騎士ソキア・シェルパ様。で、間違い御座いませんね?」

 マリーベル殿下、ジヴォン卿とはいつぞやの舞踏会以来ですね。と、赤い少女が言うと。

「シンク・ローゼンクロイツ卿ではありませんか!! お久しぶりです私はちっとも踊れませんでしたが」

 少し恥ずかしげにたははとオルドリンが話すと、シンクはそれを否定するでもなく。

「踊りというのも剣の道と同じです。一や二、十や二十、百と二百と修練を重ねていくことで上手くなっていくもの。今覚え始めて今上手く成られては私たちの立つ瀬が御座いません」

「た、確かに」

「マリーベル殿下もご立派に成られましたね。昨日私と同じくらいかと思えばもう追い抜かされて」

「シンク様はそのいつまでも変わらないお若く、小柄なお姿こそが、大輪の赤い薔薇という美しさを表わしてお出でだと思うのです」

「勿体ないお言葉を痛み入ります」

 そこへ、煙草をくゆらせながらあたまをガリガリ搔いて居心地悪そうに入って来た人物一人。凡そ華やかなるご婦人達の間に入ってくるべきではない無粋な男。片手には玉城の襟首をひっ噛んでいる。

「ああー、いいですかいご婦人方」

「良太郎なにも遠慮することは無いわ」

「俺が遠慮すんだよ。ああ、おりゃシンク見てえな貴族じゃねえ.貴族的作法についちゃ勘弁してくれ。麻生良太郎。大日本帝国枢木内閣外務大臣をやらせて貰ってる」

206休日:2023/05/10(水) 04:22:08 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 えええええええええええええ?!


 知っている者知らない者。それぞれの叫び声がこだました。

 麻生良太郎。裏の世界では知らない者はいない世界最強を冠するスナイパー。有名処の伝説では1m内でのビリヤードを(弾丸討ち)をこなし、スコープ無しでの1㎞の超々射程ピンホールショットを簡単にこなし、跳弾を利用した敵兵団の全滅をもやってのけたことがあるという。本来の得物であるライフルでは戦闘機さえも撃墜している怪物だ。

 狙った敵は外さない、意思ある弾丸を放つという意味で魔弾の射手と付けられた二つ名は、子供の頃のあだ名だったりもして恥ずかしくもあった。

「魔弾の、射手……」

 マリーベルの額から頬に掛けて一筋の雫が落ちる。もしも敵であったのならばこの場の何人かの命は覚悟しなければならない。

 だが――

「おいおい姫さん騎士さん方、そう殺気立つない。言ったろーが。枢木内閣外務大臣ってよ。ついでに言わせて貰うとその肩書きもつかうつもりはねーよ。嫁の付き合いでのんびり散歩してただけ出しよ」

「麻生大臣のお嫁さんて……」

「そのちんまいのだ」


 ええええええええええええええ?!


「ありゃ、オズしらなかったのかにゃ〜? 社交界じゃ有名だぜい?!」

「だ、だって、二人でいるのあんまり見たことないから」

「おらそういう華やかなところは苦手でね…………でだ、言うことあんじゃねーのか小僧」

 小僧こと玉城に振られた話題。いつかは来ると思っていたが遂に来たかと緊張が走る。

 すぅー、はぁー。

「マリー、マリーベル・メル・ブリタニア皇女殿下。か、数々の御無礼、平に謝る。申し訳なかった」

「そのような、こと」

 マリーは玉城兄さまの口よりその様な言葉を聞きたくなかった。いつも馬鹿にしていてくれても良い。でも明るいほと小馬鹿にする態度で接して欲しかった。

 まるで今の様な臣従関係のような……そんなのは何よりも、嫌だった。

「クララ、クララ・ジ・ブリタニア皇兄女殿下。これまで犯してきた数々の御無礼と非礼。お詫びしてもお詫びし尽くせねえ。本当になんて言ったら良いか……」

 何を言われているのか分からなかったクララ、さま? お兄ちゃんがクララ殿下ってそういったの? やだ やだよ そんなのやだよ。どうしてお兄ちゃん。クララそんな風に呼ばれたくない!

 いつものお兄ちゃんに戻ってよ!!!

「この馬鹿ッッッ!!!」

 良太郎が玉城を殴る。

「女に謝罪して女泣かせるとかお前は屑の世界チャンピョンか。ちげーだろお前が言いてえのはそれじゃねーだろ」


 キミ日常を歩いていたいんだよね? だったら今日のことすっぱり忘れて僕らと完全に縁を切るか。とことんまで深淵を覗くかのどちらかしかないんだけど? どうする


「マリー…………、クララ……、オルドリン、ソキア……、今更なんて虫のいい話だ、人に言われてなんて最悪だよな。けどよ、このいい加減な男が玉城真一郎なんだよ。こんないい加減男で良かったら、これまで通り、お前等の傍にいさせてほしい!!」

 ぽろぽろと大粒の涙が出てくる、いちのまにかマリーが俺を真正面から抱き締めて泣いている。ああ、いつもの俺ならエロいことの一つや二つ思い浮かべているはずなのに感情が死んでる見てえにエロいことを考えられない。

 クララが脇に抱き着いている。いつまでたってもちんまいなあとかの皮肉がまるで出て来ない。今は言えるクララを一人の女として視られる。普通にいい女だこんないい女を袖にしていたなんて屑だよただ、マリーとどっちがって言われると甲乙付けがたい。

 ここにネリーを加えるとネリーに軍配が上がってしまうう〜ん困った。とりあえずはさ、これでいいんだよな。

207休日:2023/05/10(水) 04:23:11 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 ※※※


「ま、なにはどうあれ、世は全て事も無し……。が、続けば良いんだけど、あんだけ獲物が居りゃな」

 燻らせている煙草の火を消すと、街を循環中のお掃除ロボットの近くに放る良太郎。

 放ると同時に見えない速度で一発発砲カメラで捉えられていない。

「また一人、迷子になってしまったのね。迷子になった子はもう二度と返ってこない」

「進んで迷子になりたいやつの気は知れんよ――全天に美しき世界の実現の為に。だそうだ」

「一体何人迷子になるのかしら」

「さあな」

 コツ、コツ、シンクは静かに歩み寄ると、小首をかしげ両腕を掲げ上げた。地面に付きそうな長い金色のツインテールが大きく揺れる。

「良太郎。抱っこ、してちょうだい」

 夫の名を呼びシンクは手を伸ばす。

 夫たる良太郎はそんなシンクを左胸へ持たれ掛けさせながら、左手に座らせるように彼女の定位置へと就かせてあげる。

「これでいいか?」

「ええ。さあ、早く参りましょう。本日の帝都探索はまだ半分も終わっていないわ」

「はいはい」

「はいは一回」

「へいへいへいへいへいえぱしぃッいでェ」

 シンクが長い髪を鞭代わりにして良太郎の頬をバシッと叩いたのだ。

「髪の毛を鞭代わりに使うなよいてーんだぞそれ」

「僕の癖にご主人様に口答えするからよ。僕は僕らしくご主人様のいう事を訊いていたり位の」

「分かりましたよお嬢様」

 そういいつつ春風の中二人は静かな靴付けを交わした。

 二人の仲の良さの証でもある。

208休日:2023/05/10(水) 04:38:27 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 ※


「ええええええ――――ッッッお兄ちゃんをグリンダ騎士団に入団させるぅぅ!! ぱ、パパ本気で言ってるの!!」

「ああ、至って本気。まず空の上にいれば下手に賭博には手を出せない。ネットって言う手段があるけどどうとでも出来る。それにグリンダで本気で働いたら借金の完済も可能。いいことずくめじゃないか」

 冗談じゃない、グリンダにはあの女がいる。

「クララにとっても兄さまからの借金を完済する良い機会、だと思うのですが。如何でしょう」

「3年くらいの間だしその間にも日本とかに降りたりするんだろ?」

「ええ、もちろんですわ♪」

「でもってオルドリンはハイグレイルは扱えるけれども、俺様みてーにゃ8.5号機以上のエナジーウィング機は扱えねーと。いやーまいっちまうぜ。ナイトオブナイツよりも戦闘力が上の新人とかって」

 現在グリンダ騎士団にエナジーウィング機乗りこなせられるものは居ない。玉城が入って始めて乗りこなせる者が見つかるのである。

 レオンなどは目を輝かせて玉城に話を聞きに行っている。

「玉城さん! エナジーウィング機を操るコツみたいなのいるんですか!」

「まあ練習だな地道に練習あるのみよ」

「練習。してれな僕もいつか玉城さんのようにエナジーウィング機を」

 ソキアは少し離れた場所でティンクとお菓子を頬張りながら玉城を見ていた。

「ああいうキャラうちらの中にはいなかったからさー。案外基調だよねー。8.5世代機を手足のように乗りこなせるのも凄いけどさー。ところで玉城隊員!!」

「んだーにゃーにゃーのねーちゃん」

「誰がにゃーにゃーのねーちゃんかソキア先輩とよびんしゃい!」

「わーった、ソキアなにー」

「生意気な奴めー。まあいい、缶ジュース買ってこーい」

 二本分200円放り渡した。なんで俺がと言う玉城だが悲しいかな肉体労働者の一番下っ端は缶ジュースを買いに行かされる係なのだ。


 こうして決定した玉城真一郎のグリンダ騎士団の入団


 勝ち誇るマリーベルはクララと擦れ違いざまに耳にした。

「空の上でお兄ちゃんに何かしたら殺すから」

 マリーベルも一瞬素の表情に戻ると。

「受けて立ちますわ」


「たーまーきーッッ!!だーれがあんたなんかより弱いですって!!」

 騒動を訊いていたオルドリンが切れて玉城の尻を蹴り上げた。


「うぼあァァァ!!!」


 どこーんとへこんだスペースに見事クリーンヒットする玉城は謎の断末魔を残して気絶。

 勝誇ったオルドリンはそのままマリーベルとの模擬戦に直行させられるのであった。


 ※

209休日:2023/05/10(水) 04:39:48 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 大空へと上がっていくネッサローズ以下3艦。ただし、ここにブリタニア皇帝が危惧に危惧を重ねた結果更にも9艦と地上部隊の増強、ネッサローズ、グランベリーのアヴァロン級化改造を受けグリンダ騎士団は


 ネッサローズ
 (アヴァロン級)
 グランベリー
 (アヴァロン級)

 その他最新型カールレオン級11艦

 地上部隊30,000名

 グリンダ騎士団専用地上基地有り=浮遊航空艦発着スポット付き

 3個師団編成可能

 とまで大成長を遂げる。

 
 アヴァロン級遊航空艦ネッサローズ(休日版)

 全長:246m

 全幅:102m

 全高:38m

 速力:巡航速度1,050㎞

   :最高速度2,500㎞

 実用上昇限度:36,000m

 兵装:ハドロン重砲4門

   :単装リニア砲9門

   :大型リニア砲2門

   :32連装ミサイル発射機2基

   :スラッシュハーケン4基

 動力:フレイヤ炉

 航続距離:∞

 特殊武装:ブレイズルミナス(強化発展型)




 アヴァロン級浮遊航空艦グランベリー(休日版)

 全長:234m

 全幅:74m

 全高:38m

 速力:巡航速度1,100㎞

   :最高速度2,700㎞

 実用上昇限度:38,000m

 兵装:ハドロン重砲4門

   :単装リニア砲9門

   :大型リニア砲2門

   :32連装ミサイル発射機2基

   :スラッシュハーケン4基

 動力:フレイヤ炉

 航続距離:∞

 特殊武装:ブレイズルミナス(強化発展型)

210休日:2023/05/10(水) 04:54:17 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。休日版のアヴァロン級は夢幻会の影響を受けて原作よりかなり強力です。


 アヴァロン級浮遊航空艦(休日版)

 全長:238m

 全幅:74m

 全高:38m

 速力:巡航速度1,150㎞

   :最高速度2,750㎞

 実用上昇限度:40,000m

 兵装:ハドロン重砲4門

   :単装リニア砲9門

   :大型リニア砲2門

   :32連装ミサイル発射機2基

   :スラッシュハーケン4基

 動力:フレイヤ炉

 航続距離:∞

 特殊武装:ブレイズルミナス(強化発展型)


 兵装は斑鳩級に対抗心を燃やしているため斑鳩級とだいぶ似通っております。

 実用上昇限度についてはやった日本を超えたと思ったら42,000であさっり抜き返されてます。

 当然ですが日本が建造した超重斑鳩級に対抗して超重ログレス級も企画されてます。

211ハニワ一号:2023/05/10(水) 09:50:31 HOST:119-171-117-53.rev.home.ne.jp
乙です。
とうとう借金持ちのダメ人間の玉城も借金返済のためにグリンダ騎士団という名のマグロ漁船に放り込まれましたかw

212名無しさん:2023/05/10(水) 09:54:00 HOST:sp49-98-60-13.mse.spmode.ne.jp
でも、生き残るんだろうなあ。撃墜されても
なんならフレイヤとかにぶつかっても

213トゥ!ヘァ!:2023/05/10(水) 10:58:34 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です
4艦6000人体制から、13艦30,000人体制とは思い切った増量ですね。
これでも足りないのも確かですが(汗

3年間パイロットすれば返せる…玉城結構高給取りですなぁ。
そして原作の何が何でも絶対生きて帰る悪運を考えるとテストパイロットとして最適なのがw

214名無しさん:2023/05/10(水) 12:56:21 HOST:58x158x54x18.ap58.ftth.ucom.ne.jp
マッコイ「よっタマキ。どうだい200発入りマガジン50ブリタニアドル(約六千円)で売るぜ」

215トゥ!ヘァ!:2023/05/10(水) 13:27:57 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
当てにならない弾薬がざっと50ほどありそう…ってこれだとボトムズか(汗

216名無しさん:2023/05/10(水) 14:06:03 HOST:sp49-98-60-13.mse.spmode.ne.jp
あ、笛のVV玉城の続きでてら

217二二三:2023/05/10(水) 16:51:41 HOST:KD106154147082.au-net.ne.jp
アヴァロン級を開発した当時の科学者たちぜったい日本超えしようと必死になってたんだ
それが直後に同級で引き離されることになるとはむごいな

218トゥ!ヘァ!:2023/05/10(水) 18:04:28 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
技術の日本は伊達じゃないってことなんでしょうね

219休日:2023/05/10(水) 20:39:44 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
>>211
可愛い女の子のボコボコにしごかれるマグロ漁船です。
>>212
運のいい男ですからね。どんな場面でも生き返ってきそうな。
>>213トゥ!ヘァ!様
本当は20艦体制くらいやろうかとも思いましたが流石に止めました。
南天や白い翼の数を考えると全然足りてないのですけれど。

220休日:2023/05/10(水) 20:44:13 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp



 超重型斑鳩級浮遊航空艦(現在10番艦まで保有)

 全長:374m

 最大幅:165m

 全高:105.5m

 巡航速度:1,000㎞

 最大速度:2,200㎞

 ブースター装着時マッハ4〜5

 乗員:1,550名

 倉崎・スメラギ共同開発大型フレイヤ炉:1機搭載

 航続距離:∞

 兵装:連装リニア砲24基

   :単装リニア砲36基

   :CIWSバルカンファランクス機関砲8基

   :ハドロン重砲8門

   :32連装ミサイル発射機8基

   :艦首ハドロン超重砲2門(2個1で発射に30秒程度の充電が必要・九州くらいの島ならば一撃で消し飛ばす・指定分類は大量破壊兵器に指定され時の総理など幾人かの許可を経て使用を許される)

   :スラッシュハーケン12基

   :超強化型ブレイズルミナス(ハドロン重砲をはじき返す)

 KMF搭載能力:120騎 VTOL:120機

 備考:現在大日本帝国だけが保有する超大型浮遊航空艦。艦体全面には100の銃砲塔や武装を持ち敵を寄せ付けない空飛ぶ要塞といった風体を持つ。
 大型フレイヤ炉から潤沢なエネルギーを得ることでエネルギー切れを起こすことも無く、大量のKMFを戦場に運ぶ事を可能とする。

221休日:2023/05/10(水) 20:45:12 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

>>189ハニワ一号様
ハニワ一号様の新しいゲートクロスSS楽しみにしております!
どのようなお話になるのか期待してますね。


私は最近打ち間違えや変換ミスが多くて困っております。

222トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/10(水) 21:17:08 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>220 乙です

超級のハドロン砲ヤバくないですかね(汗)

チャージ必要とはいえ九州が吹き飛ぶって…

223休日:2023/05/10(水) 21:29:27 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
イメージとしては未来少年コナンの超磁力兵器こと大口径地上破壊用レーザー砲です。

224トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/10(水) 21:34:00 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
30秒ごとに九州が消えるとなると戦略兵器通り越して超兵器の類ですね(汗)

迎撃できない分フレイヤよりヤバいかも?

225名無しさん:2023/05/10(水) 21:57:04 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
そういや、今週の土曜日は一周年になるのか。ロススト
モニカのイベントや配布されるんかな?

226名無しさん:2023/05/10(水) 22:05:31 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
違ったわ。5月17日やったわ。めんごめんご
その上で

【1stアニバーサリー生配信決定】
5/17(水)20:00〜 ロスストのリリース1周年を記念した生配信が決定!
ゲストに #FLOW さん
C.C.役 #ゆかな さん
女性主人公役 #大橋彩香 さん
をゲストに最新のゲーム情報などを公開!
是非ご視聴ください!

ttps://www.youtube.com/watch?v=6gEbqLlBxD4

が、予定されてるとか

227休日:2023/05/10(水) 22:07:57 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
>>224
ギガントは世界を滅ぼしましたが結局使い方次第だと思いますけどね。

228トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/10(水) 22:10:58 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
一周年かぁ…

またごっそり新キャラ来るかな?


>>227 
使うかどうか決めるのは人間ですものね。

229名無しさん:2023/05/10(水) 22:17:39 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
オズとか、アキトとかありますもんね。

オズつながりで、幼女戦記もコラボしてほしいところ

230トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/10(水) 22:38:12 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
半年記念のは主人公実装と配布でしたっけね。

今回はブリタニアに潜入しているときに乗ってる機体が来てくれると嬉しいですね。

231二二三:2023/05/10(水) 22:44:50 HOST:KD106154146097.au-net.ne.jp
パーパルディアVSロウリア徹底的にロウリアを潰す方がいい?
ロウリアに慈悲を与えて講和?
もうこれで充分すぎるにゃで優しい手を差し伸べる

あくまで休日氏のクロスだけどみなさんどうね?

232トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/10(水) 22:52:04 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
潰して新しい国作るとかでいいんじゃないでしょうかね。

あそこに野心ある国が残っていても邪魔なだけですし。

233二二三:2023/05/10(水) 23:28:24 HOST:KD106154146044.au-net.ne.jp
誰に聞いても潰せって容赦なさすぎ
ロウリアは裸の王様がお風呂入ってるんだぞ!

234トゥ!ヘァ!:2023/05/10(水) 23:41:24 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
だって立地上存在が邪魔すぎて…

ロデニウス大陸が割と日本本土のすぐ近くですから。

235名無しさん:2023/05/10(水) 23:49:17 HOST:sp49-98-62-170.mse.spmode.ne.jp
まあ、弱肉強食ですわな。

236二二三:2023/05/11(木) 00:00:38 HOST:KD106154146044.au-net.ne.jp
ロウリアの大王ってなんで裸でばかり出てくるんだろ
需要あるんかな

237二二三:2023/05/11(木) 00:20:23 HOST:KD106154146044.au-net.ne.jp
シーランドって
巡洋艦6
駆逐艦16
ももっとたのか
攻撃型フレイヤ潜水艦あたりももってそ

238トゥ!ヘァ!:2023/05/11(木) 00:21:22 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
シーランドの規模考えると結構な数ですわな。

239二二三:2023/05/11(木) 00:29:47 HOST:KD106154146044.au-net.ne.jp
軍事区画て別途にあったかな
これだけの軍艦停泊やら点検やらしようと思ったらかなり広い空間が必要

240トゥ!ヘァ!:2023/05/11(木) 00:31:01 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
多分改めて増設したんだと思われますね。

追加の人員も必要になるでしょうし。

241二二三:2023/05/11(木) 00:40:05 HOST:KD106154146044.au-net.ne.jp
>>240
ですです。巡洋艦6駆逐艦16結構広い軍事区画が必要になりますよ
しかしシーランドもなんでまたこんな中規模艦隊を整備してるんだ?
まさか空母戦闘群1個くらいほしいとか?

242トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/11(木) 00:55:29 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
規模に関しては対EUの頃の名残では?

つい最近まで最前線でしたし。

243二二三:2023/05/11(木) 01:04:48 HOST:KD106155013190.au-net.ne.jp
EU戦で使ってたのがそのまま残った感じかあ
折角の戦力だからこのまま使うでしょうけど、まあ海上防衛かな

244二二三:2023/05/11(木) 01:10:28 HOST:KD106155013190.au-net.ne.jp
この新ネッサローズと新グランベリー部スターつけたたマッハ5〜6.5くらいかな、実用上昇限度5万m超くらいで

245二二三:2023/05/11(木) 01:16:37 HOST:KD106155013190.au-net.ne.jp
ブースター付けたらね

246ハニワ一号:2023/05/11(木) 10:14:38 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
>>221
ありがとうございます。
リアルの都合や自分の執筆速度などもあり完成できるのはしばらく先になりそうですができるだけ早くギアススレの皆様に届けられるように頑張ってみます。

247名無しさん:2023/05/12(金) 02:29:04 HOST:KD106155008237.au-net.ne.jp
あかんシーランド軍がとんでもないことになってる

 シーランド軍2020空軍、主力水上艦艇

 

 

 アヴァロン級浮遊航空艦:1艦

 カールレオン級浮遊航空艦:3艦

 巡洋艦:6艦

 駆逐艦:16艦

 第9世代KMF:8騎

 第8.5世代KMF68騎

248名無しさん:2023/05/12(金) 02:40:08 HOST:KD106155008237.au-net.ne.jp
なんでもヴェーツ国王のユーロユニバース解放戦争の時、空で戦う友軍に何日かにもなれなかった悔しさが子強力な戦力を求めたきっかけらしい。
我々には未だ巨大な敵がいるじゃないか南天がって南天と言う巨大すぎる敵と戦う覚悟も見せている。

249名無しさん:2023/05/12(金) 02:47:54 HOST:KD106155008237.au-net.ne.jp
誤字、何もしてやれなかった悔しさ

250休日:2023/05/12(金) 22:03:07 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
ハニワ氏ゲートクロス休日クロス日召クロスSS続き。
漫画でレミールの別荘地を見て思いつきました。

251休日:2023/05/12(金) 22:08:03 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 別荘地




「エストシラント上空1,000mに到着です。艦長以下が致しましょうか」

「……」

 ぼーっとしている。いつ見ても空から見たエストシラントは美しい。

「泰司よ」

「はい」

「空より見たエストシラント荘厳で美しいと思わぬか? 北側諸国がこの町に手を入れることを反対する理由、分からぬでも無い」

「私も美しいと思います。現代ではもう見られない荘厳なる都市風景・景観。これは次代。次次代へと残していくべき宝でしょう」

 この美しい街を東京のような耐震ブロック生の巨大都市に作り替えてしまう。それも一つの魅力であり美しさだが。

 この荘厳さを消してしまうには余りに惜しい。北側諸国の内更に西側諸国と呼ばれる国々が特に反対しているとか。

 古都の良さを知る大日本帝国も反対に回っているらしい。くだらぬことかも知れぬが、近く西側全諸国を入れたエストシラントの保全決議が成されるそうだ。

 ポルトガル王国、イタリア王国、エチオピア王国、スペイン王国、フランス王国、スイス、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク大公国、ドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー二重帝国、マグレブ王国、エジプト王国、チュニジア王国、モナコ公国。

 ロシア帝国、スウェーデン王国、ノルウェー王国、フィンランド王国、ギリシャ王国、モンテネグロ王国、セルビア王国、オスマントルコ。

 まだあるだろう。とてつもない数の規模だ。北側諸国とは単純に16ヶ国地域と考えていたが、その実数はまるで違う。

 あくまでAEUは代表国を北側諸国会議に送っているだけなのだ。その実態が見え始めてきた北側諸国とは、世界一つに匹敵する存在。

 その北側全加盟諸国によるエストシラントの保全会議。極小国に過ぎぬ我がパーパルディア皇国の首都を彼らは本気で保全すべきと考え。

 反面、クーズや、カース、アルーニや工業都市デュロについては発展を促していく措置を執る。

 信じられないが一年から二年内で我が国で本格的な近代軍艦を作り整備できるようにするという見込みを立てているという。

 浮遊航空艦やKMFも整備施設は我が国内に作るのと言うのだ。下に恐ろしき北側諸国、とみに大日本帝国、神聖ブリタニア帝国、AEUの技術力生産力・工業力に国力よ。

 我が国が500年経とうと斯様な国を作るには至るまい。

「艦長っ! 如何しますかっ!」

 今上げた全ての国、一国一国が、我々基準での列強を遙かに超えておる。この国々は天災によりこの星に飛ばされてきたと言うが、この星の在り方を変える良き切っ掛けとなるやも知れぬな。この私が変われたように。

「艦長っ! どうするんですっ!」

252休日:2023/05/12(金) 22:11:10 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 オペレーターががなり立てる中、私の耳にそばだててくる泰司。

「レミール皇女」

「なんだ」

「ずっと呼ばれてますよ」

「へ?」

「艦長これからどうするんです、指示通り艦長の別荘地付近上空に辿り着きましたが」

「艦長、あっ、私だ」

『レミール皇女あんたあほかーっっ』

 全員がずっこけた。艦長が艦長職を忘れてどうするんだよ。敵と戦闘中だったら大事だ。

 レミールは髪を搔きながら方々に謝り、メインモニターに映し出された高度を見る。

 高度1,000mそうだな。このまま降下を。

「いいんですかい? この下皇女殿下の別荘じゃなかったか?」

「かまわぬ。この近くで広い場所と言えば我が別荘地を置いて他に無い。私有地故にムー国のムーゲ大使や報道記者が押しかけてくることも無いからな」

 皇都エストシラントの郊外 レミールの別荘地に浮遊航空艦デュロの巨体が降りていく。

 軽斑鳩級はカールレオン級と並んで、浮遊航空艦の中では最も小さなサイズとは言え全長にして191m。

 別荘地の建物に横付けにして降り立つとそれなりに迫力がある。

 発着艦ポートでもない場所に降りた所為で、レミールの別荘の正面の牧草が全て暴風で吹き飛んでしまった。

「わ、私の別荘が……ま、丸はげに……」

「レミール皇女艦長がここに降りろって指示したんですぜ」

 見事レミールの別荘前は、草木も飛んだ何も無いスポットが出来上がった。

「なるほど、ミステリーサークルはこうやって出来上がるのか」

 興味深げにこの現象を観察するもの。

「はげ上がっちまったなー」

「なー」

 ただ事実だけを指摘するもの。

「泰司、私はどうしたら。そなたを愛しておるのだ。泰司、泰司っ」

 朝田にすがりながらひしっと愛おしく抱き着くレミール。愛する彼なら何とかしてくれると思ったのだ。

「し、しかし、こればかりはなんとも」

 朝田も彼女を抱きしめ、優しく愛おしく銀色の滑らかな長い髪を撫で、背中へと撫で下ろしていく。しかし同時に汗を流す朝田。愛があろうが出来ない物はある。牧草は後で植え直そう。それこそゆっくりと二人で植えなおせば……。ただ……自分もレミール皇女も外交官。外交官にそんな暇はないかもしれない。レミール皇女も使用人は雇っている、最悪お手数をかけることになるが、使用人の方に。

 これを提案すると。

「そ、そうよな。使用人にも仕事は必要。使用人に頼むのも一考よな。また私たちが休みの日ならば夫婦で野良作業というのもまた良きものよ、」

 こうして納得してくれたが、私もレミール皇女も野良作業の経験は無いから、近所の方に指導して貰うことになりそうだ。


 そしてレミールの別荘地の外には、パーパルディア皇国とロウリア王国の現在の戦況の説明。

 そしてその空飛ぶ船は何なのかという好奇心に満ちた記者達が待ち受けていた

253トゥ!ヘァ!:2023/05/12(金) 22:57:47 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

上手くやればパーパルディアは観光立国になれるかもしれませんね。

そう考えると戦列艦乗船ツアーとかあれば面白いかも?

254二二三:2023/05/12(金) 23:29:13 HOST:KD106146115055.au-net.ne.jp
レミールは何隻残すつもりなんだろ
アルデやエルト、カイオス、リウスと話し合って決めるんだろうけど200隻あるんでしょ?

255二二三:2023/05/12(金) 23:32:04 HOST:KD106146115055.au-net.ne.jp
あとレミールさん全部話すのかねこの一年少しの間北側諸国からの援助を受けていたと

256トゥ!ヘァ!:2023/05/12(金) 23:36:13 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
現政権のメンバーにはもちろん伝えるんじゃないでしょうかね。
出ないと正しい認識の下で政権運営できませんし。

257二二三:2023/05/12(金) 23:38:02 HOST:KD106146115055.au-net.ne.jp
でもそうすると北側諸国とはなにかといっためんどくっさい説明が必要になってくるしなあミリシアル帝国なんかプライドズタズタ。第八帝国なんか局地戦ではパーパルディアにも勝てないで物理的にズタズタ

258トゥ!ヘァ!:2023/05/12(金) 23:46:06 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
他所の日召国家に説明するって意味でしたか。

それなら多分北側諸国と足並み揃えて説明しいくんじゃないでしょうかね。
そっちの方が説明手っ取り早いですし。

259二二三:2023/05/12(金) 23:49:44 HOST:KD106146079188.au-net.ne.jp
>>256
ムーにはマイラスとラッサンて優秀な技術武官がいるからいいとして、まずこの二人に戦艦パールネウス級や重巡洋艦、震電改、ゼロ戦、メッサーシュミット、マスタング見せて。浮遊航空艦デュロと、ナイトメアをお披露目したあとレミールが

「これらはすべておもちゃです」って、重大発表するとか

260トゥ!ヘァ!:2023/05/12(金) 23:50:32 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
国内に関してはまあそんな感じの説明しながら、順次高官を日本に派遣してみてきてもらうようにするんじゃないでしょうかね。

説明されるより実際に見た方が納得するでしょうし。

261二二三:2023/05/12(金) 23:54:16 HOST:KD106146079188.au-net.ne.jp
>>258
確かに北側諸国が一緒にいたら説明もしやすいですもんね

262トゥ!ヘァ!:2023/05/12(金) 23:57:46 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>261
図らずもムーも存在知ってしまっているので、かの国も巻き込めば説得力も増すでしょうし。

何なら外交官を北側まで連れてきて現地見てもらってもいいですしね。

263二二三:2023/05/13(土) 00:03:38 HOST:KD106146079188.au-net.ne.jp
しかし今回のレミールのミスみたいに浮遊航空艦の垂直離着陸で芝生が吹き飛ぶものかな?

264ハニワ一号:2023/05/13(土) 00:42:21 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
乙です。
エストシラントは世界遺産的な扱いになって北側諸国から観光客が来そうですね。

265名無しさん:2023/05/13(土) 01:47:30 HOST:KD106154147215.au-net.ne.jp
エストシラントの街並みは美しいって原作でも漫画版でも出てますもんね。パラディス城自体も個別で世界遺産になりそうですよ。凄い荘厳で美しいですから。

しかし北側諸国の過去最多投票になりそうですね。AEUが全部ばらけて得票するから
ここでヒトラーがこの得票を利用して何かしそう今なら欧州表も入るし。

266名無しさん:2023/05/13(土) 02:01:17 HOST:KD106154147215.au-net.ne.jp
ロウリアとの戦争状況どう説明するんだろう
戦闘機でちょっと小突いて24門の超電磁砲で全部吹き飛ばしたって誰が信じるんだ
残りは陸軍と海軍少々、ワイバーン少々

267名無しさん:2023/05/13(土) 16:56:47 HOST:KD106154146214.au-net.ne.jp
遅レスですが>>161その蓮夜たちと共に戦ったり支援したのが当時の夢幻会なり転生者のはずだよ
ブリタニアの内戦で日本に逃れてきたクレア・リ・ブリタニアを助けたのも夢幻会や蓮夜
ちなみに蓮夜の時代は皇歴1860年代の物語らしい

268休日:2023/05/13(土) 18:31:23 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
過去の加筆修正分投稿します。
玉城がひっつかまるお話です。
麻生さんと真紅ちゃんにロマンスが増えてる程度です。

269休日:2023/05/13(土) 18:32:55 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 それは皇歴2020年某月。南天の超巨大テロ組織、世界中に100,000,000人の構成員が存在するという“白い翼”の躍動と、南天本体の北進の兆候が見られることから、一計を案じた神聖ブリタニア帝国第98代皇帝、シャルル・ジ・ブリタニアは。

 対テロ遊撃部隊であるグリンダ騎士団を現行の4艦6000人体制から、13艦30,000人体制へと大幅増員をすることに決めた。

 その規模は地上部隊と浮遊航空艦部隊。別途に用意したKMFヴィンセント・グリンダ部隊などと併せれば、総数にして36,000〜37,000。実に3個師団に上る大部隊だった。

 しかし、南天勢が本格的に動き出した今、この規模でさえまだ足りない。充分に大グリンダ騎士団と呼び始めても良い頃のこの規模でさえ。

 100,000,000人のテロ組織、その傘下に無数の犯罪組織や、シンジケートを抱える白い翼に対しては微々たる物でしか無く、白い翼が動き出せば現在のグリンダ騎士団など。

 それに白い翼など問題ではない。もしも南天正規軍――南天条約機構軍とグリンダ騎士団がぶつかれば……グリンダは容赦の無い死兵の津波に呑み込まれてしまう。

 そう考え、悩みに悩み、更なるグリンダ騎士団の戦力拡大をシャルルが考えている頃。

 ※

「ダ〜メ〜っ!駄目ったら駄目〜っっ!!」

 ゴシック調の黒い服を着た美少女が叫ぶ

「兄さまはわたくしが連れて参りますの〜っっ!!」

 桃色を基調とした衣服の美女が叫ぶ。

 大日本帝国はV.V.邸で二人の少女。正確には美少女と美女が争っていた。一人の男を挟んで。

「や、ヤメロてめ〜ら、まじでふくちぎれっちまう〜っ」

 そして紫の服に身体にフィットしたGパンの威勢良く髪を逆立てた不良風の男が叫ぶ。

「そのときはわたくしがコーディネートして差し上げますわ。いつでも仰ってくださいマシな」

 にっこり笑顔なのは服を引っ張っている一人。薄紅色の腰下まで届く長い髪。どこまでも深いディープブルーを思わせる美しい瞳。胸は大きく、背はそれなりに高い。背中に羽を収納した桃色を基調としたロングスカートのドレス。神聖ブリタニア帝国第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニア・こと、マリーベル・ランペルージその人であった。

「いらないことしなくてもいいんだよ! お兄ちゃんの世話はこのクララが万事任されてるんだから!」

 こちらも勝手なことを言っている、桜色の綺麗な瞳に、同じ色の膝下にまで届く長い髪。胸は小ぶりながら年相応に女性らしい身体になりつつある少女。2019年度で17歳、2020年度で18歳。お前の成長はここまでと男に言われてムキーっと激高すること数知れず。その正体はギアス嚮団という秘密結社のナンバーワン暗殺者。クララ・ランフランク。もう一つの名をクララ・ジ・ブリタニア。ブリタニア帝国皇兄殿下の実の娘でもあるのだ。

「テメーらまず俺の意見を聞けェェェ俺は政治家になってだなあ」

「ああもうそれ聞き飽きたから」

「兄さま、不可能とは、夢想以上に適わない事なのですよ」

 否定に入る美少女と美女。クララは美少女、マリーベルは美女だ。町を歩いていれば必ず声を掛けられるくらいの美少女と美女。その先の選択肢次第で声を掛けた者の命運は変わってしまうほどの危険人物だが。

 二人は共に個人戦闘力が恐ろしく高い。クララは暗殺術に長け、更にギアスという超能力のような力をその綺麗な桜色の両目に宿している。この力自体も非常に危険で『目視した人間の名前を叫ぶことで対象の肉体の自由を奪い、意のままに操るもの』が、今では能力が向上し『目視した対象を意のままに操る力』へとパワーアップしている。

 マリーベルは軍の嚮導学校などのシミュレーターで最高点を出す実力者。本人も数多くの戦闘を経験しており、南ブリタニア大陸に巣くう民主共和制原理主義組織ペンタゴンの№2の首級はオルドリン・ジヴォンがあげたが、その他の中級幹部の多くを殺害したのはマリーベルである。

 そのマリーベルもギアスを持っている。その力は『相手の自我を奪い殺戮人形にする絶対服従のギアス』これを進化させ両目にギアスを顕現できるようになった今『自由に掛け解きを可能とし相手の自我を残したまま絶対服従のギアスを掛けることも可能』となっており彼女自身の成長の証でもある。

 そんな強く、聡明で頭も回る二人が言い争う中心点にいるのが、ニートの三流校卒のアホだとは神様でも思うまい。

270休日:2023/05/13(土) 18:33:47 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 事の始まりは、お兄ちゃん・兄さまこと玉城真一郎の借金返済について。これをV.V.邸でいきなりマリーベルがぶち上げたこと。

 ナイトオブナイツことオルドリン・ジヴォンは、流石のマリーベルに対しても『マリー一言言わせてばっかじゃないの』と言われるほどの、ずさん且つアホらしく実現したらしたで頭痛くなることこの上ない計画だったのだ。

「伯父様。兄さまの借金は返せる見込みは?」

 すると畳の上にざあっと広がるほど長い、踵まで届く髪を持つ、見掛け10歳中身65歳の伯父さんは言った。

「僕の所で8.5号機のデヴァイサーやってもらってるからね。上手くいけば3年かな」

 あれだけやって3年かよテメー舐めてんなよ糞ジジーとぶーたれるアホは放っておく。

 そこでクララが手を上げる。

「お兄ちゃん、クララからも三桁台の借金してるよね」

 これを聞いたルルーシュが。

「な、ナナリー、人の良さにつけ込まれてかしてないだろうな」

 と、慌てるも。

「玉城さんの為になりませんので無心はされましたがかしてません」

 クララよりも更に年下のナナリーにまで無心していたのだ。もう人として終わっている。

「そういえば私の所にも来たな金の無心に」

 コーネリアがぼそっと呟くと。

「玉城貴様ァァァァァ!!」

 ギルフォードが剣を抜きかけたので、コーネリアが止めた。

「まあ、待てギルフォード。アホのすることに一々付き合っていてはこちらまでアホになる。コイツの受験のために私が一体何度勉強を教え何度落ちたか。私の教え方が悪かったのかと自問自答したが分かったのだコイツがアホすぎるのだと。次の受験頼られたら教えてやるが落ちてもそれは私の所為ではない」

 もうコーネリアは呆れている。コーネリア・ランペルージ、またの名を駐日ブリタニア大使コーネリア・リ・ブリタニア。彼女も弟妹たちの騒動に片足を突っ込んでいたが、静観の構えを取って居た。とにかくアホに関わると碌な事にならない。

 ギルフォードにも伝え「御意」と下がるギルフォードを見て息をついた。

 結局の所この騒動の発端は玉城の借金とそれを返す方法の論議なのだ。このまま伯父のところでバイトをしながらゆっくりと返していくか。マリーベルの騎士団に仮入団し多くの給金を貰い一気に返すか。

 これに猛反対しているのがクララなのだ。借金なんかクララのポケットマネーで全額返済してあげるよと。印鑑付きの口座番号の預金通帳をもう要らない季節になってきたコタツにバンッと押し付けたのが原因。

「一、十、百、千、万、十万、百万、一千万、一億、じじじじ十億、……クララ様、なんすかこれなんすかこれッッ!?」

 アホは興奮状態でクララを見て。

「クララの預金。だから前から言ってるじゃん。クララはシークレットエージェントだからそのくらいは稼いでるって」

 ここで、クララが本当に正体をバラした。

 ヒュッ

 シュキッ

 一瞬で姿を消すと、大好きなお兄ちゃんの首元に細いナイフを当てていたのだ。

「お兄ちゃんみたいな不良さんなら半日で1,000人は殺せるよ。裏技使ったらもっと行けるけれどね。このナイフもそれくらいじゃ刃こぼれしない丈夫なものだから」

 溢れ出す冷気、殺意、玉城が始めて感じ取るクララの本当の姿。彼女は玉城の後ろで更に両目に鳥を羽ばたかせている。

 それを――

 じィン

 同じくナイフの音。刃と刃が鍔迫り合いをした音だ。今度ナイフを取り出したるは桃色のロングドレスの女性マリーベル・ランペルージ。

「兄さまへの狼藉は許しません」

 クララは冷静に応じる。

「狼藉? あの通帳を見せた時点で本当の“私”を見せなきゃお兄ちゃんも信用しないでしょう」

271休日:2023/05/13(土) 18:36:52 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 玉城は始めて聞いた気がするクララがクララと言わず私と自分の事を呼称したのを。これが本当のクララ、なのか?

 それに、そのクララのナイフを簡単に受け止めたマリーの剣、短剣っていうのか。アレで簡単にクララのナイフを押し止めた。俺の首元に当てられていたナイフを。

「ふーん……困ったなあ。これもう誤魔化しがきかないよ。真一郎、キミ日常を歩いていたいんだよね? だったら今日のことすっぱり忘れて僕らと完全に縁を切るか。とことんまで深淵を覗くかのどちらかしかないんだけど? どうする」

「はわわわ〜ッ」

「あ、逃げた」


 ※


 玉城は逃げた。怖くて逃げたんじゃ無い。現実に追いつかなくなって、追いつけなくなって、一端頭を整理するために逃げたのだ。これでも全部投げ出して逃げるような無責任な男では断じてない。

 V.V.ファミリーとは一体何なのだろうか? クララの持っていたあの十億なんてデタラメな大金は何なのだろうか。クララから感じた身の毛もよだつ死んだと感じさせられたあの殺意は。そのクララの殺意を真正面から受け止めて平然としていたマリーベルは。

 考え考え考え抜いて、それでも出ない答えに現実が追いついてくるのでは無いかという恐怖に苛まれながらに逃げ続けていたために、前方を歩いた人への視認が遅れてしまいぶつかってしまったのだ。

 どんッ

 人にぶつかった。考え事をしていては気付かなかった。

「っとごめん、わりィ」

 別に恐怖に駆られて逃げたわけでは無いので普通の対応が出来た。が、相手が不味かった。

「なんだガキか。わりいなお嬢ちゃん」

 その対応も不味かった。

 その少女は持っていたステッキを瞬間にしてくるりと逆さに持ち替えると、玉城の脚を引っかけ。

「うぎゃッ」

 喉を突いたのだ。

「っててて、てめいきなりなにしやがッッッ……!!」

「それはこちらの台詞だわ。歩いていたところをいきなりぶつかってきて“わりィ”“ガキ”などと無礼な。これでも私は今年で27よ」

 薔薇が咲いたような真っ赤なドレス。欧米紳士が持つようなステッキを持つ、赤いヘッドドレスに細く黒いリボンで結い上げられた身の丈よりも長いだろう美しい金色に輝くロングツインテールが風に靡いている。

 こんな時じゃなかったら見とれていただろうビスクドールのように美しい女性は、透き通った蒼い瞳で不躾な男を見下ろすと年齢を告げた。

「と、年上ェェェ!! ちんまい年上なら他に知り合いにもいるがまさか2人も居るとは思わなかったぜ」

「下郎、名を名乗りなさい」

272休日:2023/05/13(土) 18:37:32 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 命令である。強制では無く確かに命令である。何故なら玉城の喉を突いているステッキの力は寸分も緩められていない上に、女性の潤みを帯びた蒼い瞳は冷ややかにこちらへと向けられたままなのだから。

「た、玉城、玉城真一郎……」

 逆らってはいけない。第六感が告げている。この女もヤヴァイ類いの女だと。

「タマキ……貴方がシンイチロウ・タマキ?」

「え、あ、あ、ああ、ブリタニア風に直すのならな」

「……ふーん、とても相応しく見えないわ」

「な、なんの」

「皇女殿下のご婚約者としてよ」

 ハアっ?! どっから出できやがんのよ皇女殿下の婚約者って。つーか皇女殿下って誰よ? 神楽耶皇女殿下?俺一回もあったことねーし、神楽耶皇女殿下にはもブリタニアのオデュッセウス第一皇子殿下とご婚約が。

 アホはアホなりに勉強してきた知識がそれなりに役立った瞬間でもあった。アホでもやれば出来るのだ。ただそれを受験で生かせないだけなのだ。

 そんなことを考えていると――

「シンク様! こちらでしたか! あれほどお一人に成られては成りませんと申しつけておりましたのに」

 様ァァ?! やっぱこいつもどこかのお嬢様かよ。瞬間、黒服の一人がこちらを見棘馬手振り向いた威圧感が半端ない。そこらの不良やヤクザがチビって逃げ出しそうなほど。

 かく言う玉城も逃げ出したくて仕方が無かった。逃げても良いなら。でも俺の喉元に突きつけられたステッキが逃がしてくれないんだよ。

「む、貴様ローゼンクロイツ家第五女、シンク・ローゼンクロイツ伯爵ご令嬢に対し御無礼を働いてはいまいな」

 は、は、伯爵令嬢?! 貴族? ブリタニアの貴族しかもローゼンクロイツ伯爵家っつったら上から数えた方が早い上位伯爵家じゃねえかよッ! そのご令嬢が何でこんなとこに!?

 無駄知識。ある意味で有用知識を覚えている玉城。やはりこれを受験に活かせないのが彼の彼たるゆえんだろうか。通称アホの玉城は今でも健在なのである。

 一夜漬けで詰め込んだ社会や歴史の知識が、よもやこの様な場所で出て来ようとは誰も思うまい。彼は。
 
 ヴェルガモン家、シュタットフェルト家。ヴァインベルグ家、ソレイシィ家、クルシェフスキー家、アッシュフォード家、名だたるブリタニアの名家を知っている。社会勉強したからだ。

 それも当のローゼンクロイツ伯爵家縁の者とこんな街中で邂逅しようだなんてまさか思いもしない。社交界では薔薇乙女と呼ばれている第五女。ローゼンシスターズはそれぞれが優雅な薔薇に例えられることが多い。

 中でも赤いバラ、第五女は日本へ輿入れした令嬢で有名だ。輿入れと言っても籍はローゼンクロイツ家のままだが。嫁いだ先がまた凄い先の名外相、吉田茂の孫で、現外務大臣麻生良太郎のところなのだ。

 名家は名家と結ばれるというがやはり本当なのだろうと馬鹿なりの頭で解釈した。

「無礼は働かれていないわ。少し世間話をしていたところよ、そうでしょ?」

「ははは、はい、シンク様とは、お世間話を」

 モノホンの貴族となんか話したことねーから話し方わかんねーよ。どう話せば良いんだよ。

273休日:2023/05/13(土) 18:38:34 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 馬鹿と薔薇と皇女と魔弾






「……」

「……」

「何か話しなさい」

「な、何かと申しましてもですね。私に話題をお振られ戴きましても、なんともお答えにお難しいと思う仕上げますか」

「文法が滅茶苦茶だわ。もう無理をして丁寧な言葉遣いを使おうとしなくてもいいから普通に話しなさい普通に」

「じゃあ、普通に話すわ、つーかSPの人いきなり無礼なとか無礼討ちにして来たりしねえェ?」

「一度注意してあるから大丈夫よ。それよりあなたあんなに急いでどうしたの? 前から歩いてくる人間も見えないくらいに走り回って」

 そりゃあんたの背が小せえからという命知らずな事は言わない。相手は天下のローゼンクロイツ伯爵家の御令嬢なのだ。自分の首なんてポーンと跳ね飛ばせる相手なのだ。

「いやまあ掻い摘んで言うとだなあ」

 十億の預金通帳を出されてビビッて。豹変した幼馴染にナイフを首筋にあてられた。瞬間これまた豹変した幼馴染に短剣でそのナイフを止められた。

 それで現実を生きるか、非現実を生きるかさあどうするかと迫られて、逃げた。という事だった。

 通りのベンチに座っている二人、少し遠くにはアホみたいに高い900m1,000mのビルが建っているのが見える。シンクにはSPが赤い日傘をさしている。季節は春を過ぎようとしていたが丁度良い小春日和。ここまで聞いたシンクは一言。

「情けない男ね」

「んだとぉッ!」

「ようはあなたはあなたが怖くて逃げたのではない。得体のしれない周りが怖くて逃げたのでもない。物事についていけなくなって逃げた。違うかしら?」

 自分が怖いわけがない20と6年生きてきて自分が怖いと思ったことは無かった。じゃあクララが怖かったか? 確かに首筋にナイフを充てられたし、殺気とか呼ばれるのをバンバン飛ばされた。だが別に俺は幼馴染のあいつがいきなり自分の事を切りつけてくるとも思ってないし、あんなの悪戯の延長線とも言えた。じゃあ、それを懐から取り出した短剣で以て冷ややかな目線で止めたマリーが怖いかと言われれば、はっきりと言える怖くないと。

 マリーは俺を助けようとして咄嗟にああいう行動に出たのであって、あっちが素のマリーってんならそれはそれでいいんじゃないかなとも思う。

 結局のところ最終的にあいつらは何なんだ?いったい何様でどこの誰なんだ? おっさんは言った。

『キミ日常を歩いていたいんだよね? だったら今日のことすっぱり忘れて僕らと完全に縁を切るか。とことんまで深淵を覗くかのどちらかしかないんだけど? どうする』

 すっぱり忘れてってのは縁を切るってことだ。縁を切ってこの東京で一から出発して一から始めるってことだ……何もかもなかった事にして。

 おっさんに家賃滞納で物を差し押さえられたことも。おっさん家でゴロゴロしてたらルルーシュに蹴っ飛ばされたことも。

 ナナちゃんに作りすぎのクッキー余りものを頂いて美味しかったことも。ジェレミアをからかってみたら生真面目なあいつは本気でどぶ川に飛び込んだことも。

 そこのことで奥さんのヴィレッタに折檻を食らった事も。おっさんの居室でゴロゴロしてたらやっぱりおっさんに蹴飛ばされたことも。

 ネリーに勉強を教えられたことも、教えられたのに受験落ちまくって怒られまくった事も、おっさんに、クララに三桁の借金してギャンブル三昧でアウトだったことも。

 高校卒業してからホント、あいつらとは色々あったぜ、それを全部無しにする? ……ねえよ。みんなとの思い出を無しにして一からやり直すだぁ? そんなもんはなぁ、一なんて言わねえんだよ無しゼロだ。

 おれはみんなとの嫌な事もあったし、楽しい事もあったし、ツレえこともあったし、のんびりしたこともあった。そんな毎日が大好きなんだよ。

「なあ、貴族様」

「シンクで良いわ」

「シンク様……やっぱり俺、みんなのところへ帰るわ。そんで謝る。急に逃げ出して御免、訳わかんなくなって逃げた。だから俺はこれからもみんなと一緒にいてェって伝えに戻るぜ──」

「そう、でも、その必要はなさそうよ」

「は?そりゃどういう」

274休日:2023/05/13(土) 18:40:30 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 きゃきゃきゃあああああ右右イイ──

 思いっきり右に切ってるぜい! オズのケツがデカいからァァァ──

 だ、誰のケツがデカいですってェェェ──

 ふ、二人共はしたないですわこのような公衆の面前──!!

 ソキアさんのスーパーテクにケチ付けるからさァァァァ──

 うわああああああッッッ、ソキアお姉ちゃん前見て前ッッッ

 のわわわわわわわわわわ───!!」



「良太郎」

「わーってるい」

 名前を呼ばれて気が付いた。俺の直ぐとおなりにくわえたばこのダンディなおっさんが立ってたことに。SPじゃない。それどころか当のSP自身が驚いてる。

 勉強してるときに読んだことがあるこれがあれかよ。気配遮断ってやつかよ。まじで使えるやついるんだな。

「簡単な遊びだ」

 服の内側をわずかに見せたかと思うと‟プシュッ”と空気が抜けた音がして、俺たちの目の前で二人乗りのマウンテンバイクはバラバラに空中分解するように解体されちまうと、乗ってた四人。

 運転手ソキア、その後ろにオルドリン、ちょうど真ん中にマリーベル、最後にちっこいのクララがそれぞれ空中で放り出されて。すげえなと思ったのが誰も誰かの助けを必要せずに空中で身を翻しその場に上手く着地した事。

 やっぱ思ったとおりこいつらただ者じゃねえわ。普通ありえねえだろ、ぶっ壊れて空中分解した自転車から落ちて、普通に着地するとか。

「ったく、ソキアがこっちからたまきんの匂いがするって言うから従ったら偉い目に合ったじゃ無い。さっきの何かチカッひかって光って自転車がばらけなくちゃ人混みに突っ込んでたわよ」

 やっぱり隣のおっさん何かし――げええええええ?!

275休日:2023/05/13(土) 18:41:16 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「あ、あ、あ、あ、あんあん、た、麻生、良太――」

「散々俺のワイフと語らっててくれたみてェだな兄ちゃん。本来なら死刑もんだが、おめえェさん死刑にしちまうと俺があのブリタニアの嬢ちゃん共とやり合うことになっちまう。負けやしねえが二人相手はちと時間を食うからなァ」

「わ、ワイフって」

「赤いドレスの金髪ツインテールだよ」

「はあああああァァァ?! 麻生大臣の奥さんってあんなちっこかったのかよ」

「本人の前では絶対に言うなよ気にしてるから殺されっちまうぞ。身体は小柄だがあれでもそれなりに戦闘能力は高い。見かけで判断してたら痛い目みるぜ。と、俺っちも挨拶しとかねえとな」

 コツ、コツ、コツ、自転車が無くなったから返るときあーだーこーだと良いあっていた四人の元へと足音が近づいてくる。ヒールの足音。周りには黒い衣服で身を固めたSPの姿。

 マリーの回るにも見掛けるし、オズの周りにも見掛ける。時々うっとうしいとさえ感じる彼らの職務は、対象人物を守ること。

 気配そのままに現れたのは、身の丈よりも長い金色の艶やかな美しい髪を、頭の側頭部高くに細く黒いリボンで丁寧に結い上げられ地に着かない様にと毛先が少し浮いている。

 水晶のように透き通った蒼い瞳は心の奥までも見透かしてくるような不可思議な色と潤いを湛えている。そして赤、ヘッドドレスは赤、衣服も赤、スカートも赤で靴も赤、赤いドレスを纏った少女。薔薇の妖精のように美しかった。

 その赤い少女はドレスを摘まむとこちら側へと挨拶をしてきた。

「まず始めに非礼のほどをお許しください」

 丁寧に赤い少女が言うと。

「よい、差し許す」

 マリーベルが返す。

「神聖ブリタニア帝国第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニア殿下、マリーベル殿下の筆頭騎士オルドリン・ジヴォン様、ギアス嚮団筆頭暗殺者にしてブリタニア皇兄殿下ご息女クララ・ジ・ブリタニアさま。グリンダ騎士団騎士ソキア・シェルパ様。で、間違い御座いませんね?」

 マリーベル殿下、ジヴォン卿とはいつぞやの舞踏会以来ですね。と、赤い少女が言うと。

「シンク・ローゼンクロイツ卿ではありませんか!! お久しぶりです私はちっとも踊れませんでしたが」

 少し恥ずかしげにたははとオルドリンが話すと、シンクはそれを否定するでもなく。

「踊りというのも剣の道と同じです。一や二、十や二十、百と二百と修練を重ねていくことで上手くなっていくもの。今覚え始めて今上手く成られては私たちの立つ瀬が御座いません」

「た、確かに」

「マリーベル殿下もご立派に成られましたね。昨日私と同じくらいかと思えばもう追い抜かされて」

「シンク様はそのいつまでも変わらないお若く、小柄なお姿こそが、大輪の赤い薔薇という美しさを表わしてお出でだと思うのです」

「勿体ないお言葉を痛み入ります」

 そこへ、煙草をくゆらせながらあたまをガリガリ搔いて居心地悪そうに入って来た人物一人。凡そ華やかなるご婦人達の間に入ってくるべきではない無粋な男。片手には玉城の襟首をひっ噛んでいる。

「ああー、いいですかいご婦人方」

「良太郎なにも遠慮することは無いわ」

「俺が遠慮すんだよ。ああ、おりゃシンク見てえな貴族じゃねえ.貴族的作法についちゃ勘弁してくれ。麻生良太郎。大日本帝国枢木内閣外務大臣をやらせて貰ってる」


 えええええええええええええ?!

276休日:2023/05/13(土) 18:44:16 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 知っている者知らない者。それぞれの叫び声がこだました。

 麻生良太郎。裏の世界では知らない者はいない世界最強を冠するスナイパー。有名処の伝説では1m内でのビリヤードを(弾丸討ち)をこなし、スコープ無しでの1㎞の超々射程ピンホールショットを簡単にこなし、跳弾を利用した敵兵団の全滅をもやってのけたことがあるという。本来の得物であるライフルでは戦闘機さえも撃墜している怪物だ。

 狙った敵は外さない、意思ある弾丸を放つという意味で魔弾の射手と付けられた二つ名は、子供の頃のあだ名だったりもして恥ずかしくもあった。

「魔弾の、射手……」

 マリーベルの額から頬に掛けて一筋の雫が落ちる。もしも敵であったのならばこの場の何人かの命は覚悟しなければならない。

 だが――

「おいおい姫さん騎士さん方、そう殺気立つない。言ったろーが。枢木内閣外務大臣ってよ。ついでに言わせて貰うとその肩書きもつかうつもりはねーよ。嫁の付き合いでのんびり散歩してただけ出しよ」

「麻生大臣のお嫁さんて……」

「そのちんまいのだ。シンク・ローゼンクロイツ。ローゼンクロイツ伯爵家第五女でマイワイフだよ」


 ええええええええええええええ?!


「ありゃ、オズしらなかったのかにゃ〜? 社交界じゃ有名だぜい?!」

「だ、だって、二人でいるのあんまり見たことないから」

「おらそういう華やかなところは苦手でね…………でだ、言うことあんじゃねーのか小僧」

 小僧こと玉城に振られた話題。いつかは来ると思っていたが遂に来たかと緊張が走る。

 すぅー、はぁー。

「マリー、マリーベル・メル・ブリタニア皇女殿下。か、数々の御無礼、平に謝る。申し訳なかった」

「そのような、こと」

 マリーは玉城兄さまの口よりその様な言葉を聞きたくなかった。いつも馬鹿にしていてくれても良い。でも明るいほと小馬鹿にする態度で接して欲しかった。

 まるで今の様な臣従関係のような……そんなのは何よりも、嫌だった。

「クララ、クララ・ジ・ブリタニア皇兄女殿下。これまで犯してきた数々の御無礼と非礼。お詫びしてもお詫びし尽くせねえ。本当になんて言ったら良いか……」

 何を言われているのか分からなかったクララ、さま? お兄ちゃんがクララ殿下ってそういったの? やだ やだよ そんなのやだよ。どうしてお兄ちゃん。クララそんな風に呼ばれたくない!

 いつものお兄ちゃんに戻ってよ!!!

「この馬鹿ッッッ!!!」

 良太郎が玉城を殴る。

「女に謝罪して女泣かせるとかお前は屑の世界チャンピョンか。ちげーだろお前が言いてえのはそれじゃねーだろ」

277休日:2023/05/13(土) 18:45:40 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 キミ日常を歩いていたいんだよね? だったら今日のことすっぱり忘れて僕らと完全に縁を切るか。とことんまで深淵を覗くかのどちらかしかないんだけど? どうする


「マリー…………、クララ……、オルドリン、ソキア……、今更なんて虫のいい話だ、人に言われてなんて最悪だよな。けどよ、このいい加減な男が玉城真一郎なんだよ。こんないい加減男で良かったら、これまで通り、お前等の傍にいさせてほしい!!」

 ぽろぽろと大粒の涙が出てくる、いちのまにかマリーが俺を真正面から抱き締めて泣いている。ああ、いつもの俺ならエロいことの一つや二つ思い浮かべているはずなのに感情が死んでる見てえにエロいことを考えられない。

 クララが脇に抱き着いている。いつまでたってもちんまいなあとかの皮肉がまるで出て来ない。今は言えるクララを一人の女として視られる。普通にいい女だこんないい女を袖にしていたなんて屑だよただ、マリーとどっちがって言われると甲乙付けがたい。

 ここにネリーを加えるとネリーに軍配が上がってしまうう〜ん困った。とりあえずはさ、これでいいんだよな。


 ※※※


「ま、なにはどうあれ、世は全て事も無し……。が、続けば良いんだけど、あんだけ獲物が居りゃな」

 燻らせている煙草の火を消すと、街を循環中のお掃除ロボットの近くに放る良太郎。

 放ると同時に見えない速度で一発発砲カメラで捉えられていない。ドサッと路地で倒れる誰かの音がする。

「また一人、迷子になってしまったのね。迷子になった子はもう二度と返ってこない」

「進んで迷子になりたいやつの気は知れんよ――全天に美しき世界の実現の為に。だそうだ」

「一体何人迷子になるのかしら」

「さあな」

 コツ、コツ、シンクは静かに歩み寄ると、小首をかしげ両腕を掲げ上げた。地面に付きそうな長い金色のツインテールが大きく揺れる。

「良太郎。抱っこ、してちょうだい」

 夫の名を呼びシンクは手を伸ばす。

 夫たる良太郎はそんなシンクを左胸へ持たれ掛けさせながら、左手に座らせるように彼女の定位置へと就かせてあげる。

「これでいいか?」

「ええ。さあ、早く参りましょう。本日の帝都探索はまだ半分も終わっていないわ」

「はいはい」

「はいは一回」

「へいへいへいへいへいえぱしぃッいでェ」

 シンクが長い髪を鞭代わりにして良太郎の頬をバシッと叩いたのだ。

「髪の毛を鞭代わりに使うなよいてーんだぞそれ」

「僕の癖にご主人様に口答えするからよ。僕は僕らしくご主人様のいう事を訊いていたらいいの」

「分かりましたよお嬢様」

 そういいつつ春風の中二人は静かな口付けを交わした。

「ん──んん‥‥」

 熱く、静かに交わされた口付けは、唇を離すと銀の糸を唇の間に伸ばす。

「美味しいわ。甘酸っぱくて。そう、リンゴの様」

「キスの例えをリンゴで表現する。お嬢様の考えは従者にはとんと分かねぇよ」

 風の中を舞う長い金色に輝くツインテールが、良太郎の頬をかすめ彼の型に跨り、良太郎がその髪の香りをかぐ。

「相変わらず綺麗で、いい匂いだな」

「あなたがいつも心を込めて綺麗にお手入れをしてくださるからよ、それにいい香水使ってるもの」

「香水がじゃねーよ……シンクの髪だからいい匂いがするんだよ」

「ッッ!……バカ、ね」

 宗教画の一画をそのまま現実に持ち出して来たかの様子を醸し出すこの二人にタイトルを付けるとしたら『従者と主人の禁断の愛のリンゴ』

 二人の仲の良さの証でもあった。

278休日:2023/05/13(土) 18:46:43 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 ※


「ええええええ――――ッッッお兄ちゃんをグリンダ騎士団に入団させるぅぅ!! ぱ、パパ本気で言ってるの!!」

「ああ、至って本気。まず空の上にいれば下手に賭博には手を出せない。ネットって言う手段があるけどどうとでも出来る。それにグリンダで本気で働いたら借金の完済も可能。いいことずくめじゃないか」

 冗談じゃない、グリンダにはあの女がいる。

「クララにとっても兄さまからの借金を完済する良い機会、だと思うのですが。如何でしょう」

「3年くらいの間だしその間にも日本とかに降りたりするんだろ?」

「ええ、もちろんですわ♪」

「でもってオルドリンはハイグレイルは扱えるけれども、俺様みてーにゃ8.5号機以上のエナジーウィング機は扱えねーと。いやーまいっちまうぜ。ナイトオブナイツよりも戦闘力が上の新人とかって」

 現在グリンダ騎士団にエナジーウィング機乗りこなせられるものは居ない。玉城が入って始めて乗りこなせる者が見つかるのである。

 レオンなどは目を輝かせて玉城に話を聞きに行っている。

「玉城さん! エナジーウィング機を操るコツみたいなのいるんですか!」

「まあ練習だな地道に練習あるのみよ」

「練習。してれな僕もいつか玉城さんのようにエナジーウィング機を」

 ソキアは少し離れた場所でティンクとお菓子を頬張りながら玉城を見ていた。

「ああいうキャラうちらの中にはいなかったからさー。案外基調だよねー。8.5世代機を手足のように乗りこなせるのも凄いけどさー。ところで玉城隊員!!」

「んだーにゃーにゃーのねーちゃん」

「誰がにゃーにゃーのねーちゃんかソキア先輩とよびんしゃい!」

「わーった、ソキアなにー」

「生意気な奴めー。まあいい、缶ジュース買ってこーい」

 二本分200円放り渡した。なんで俺がと言う玉城だが悲しいかな肉体労働者の一番下っ端は缶ジュースを買いに行かされる係なのだ。


 こうして決定した玉城真一郎のグリンダ騎士団の入団


 勝ち誇るマリーベルはクララと擦れ違いざまに耳にした。

「空の上でお兄ちゃんに何かしたら殺すから」

 マリーベルも一瞬素の表情に戻ると。

「受けて立ちますわ」


「たーまーきーッッ!!だーれがあんたなんかより弱いですって!!」

 騒動を訊いていたオルドリンが切れて玉城の尻を蹴り上げた。


「うぼあァァァ!!!」


 どこーんとへこんだスペースに見事クリーンヒットする玉城は謎の断末魔を残して気絶。

 勝誇ったオルドリンはそのままマリーベルとの模擬戦に直行させられるのであった。


 ※


 大空へと上がっていくネッサローズ以下3艦。ただし、ここにブリタニア皇帝が危惧に危惧を重ねた結果更にも9艦と地上部隊の増強、ネッサローズ、グランベリーのアヴァロン級化改造を受けグリンダ騎士団は


 ネッサローズ
 (アヴァロン級)
 グランベリー
 (アヴァロン級)

 その他最新型カールレオン級11艦

 地上部隊30,000名

 専用基地有り

 3個師団編成可能

 とまで大成長を遂げる。

279休日:2023/05/13(土) 18:48:10 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。

誤字脱字変換ミスが多くて困ります。
全部自分責任ですが。

280休日:2023/05/13(土) 18:52:55 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
早速見つけた誤字訂正。
年のせいかな。

風の中を舞う長い金色に輝くツインテールが、良太郎の頬をかすめ彼の肩に跨り、良太郎がその髪の香りをかぐ。

281休日:2023/05/13(土) 19:21:17 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
上手くかけているか自信はありませんがハーメルン様のユーザー様、ラキカノ様への逆リクエスト作品です。

CP:玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア

 :レオンハルト・シュタイナー×マリーカ・ソレイシィ

282休日:2023/05/13(土) 19:23:28 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 その日、レオンハルトは非番でグランベリー艦内を歩いていた。とくにどこへとなり寄る用事も無く散歩のような物。ハドロン砲の電子制御室に顔を出したり。

 日本製最新式のKMFシミュレーターを見たり。婚約者である辺境伯令嬢マリーカの部屋を訪ねるのに緊張したりと、充実した午前を過ごして。

 丁度午後になる頃にグランベリーからネッサローズへ渡る予定なのだ。

 KMFで渡る都合上、特に地上へ降りたり、橋渡しのような危険なことをする必要は無い。

 現在高度は4,000m。それほど高くない高度とは言え危ない高度だ。万一にも生身で渡ろうとすれば、風に吹き飛ばされて、お空の星となってしまう可能性とてあった。

 まあそのように抜けている騎士やオペレーター、乗組員は我がグリンダ騎士団にも、このグランベリーの乗組員にも居ないのだが。

 そこまで考えてレオンハルトは「あっ」と思った。若干初めての騎士団への仮入団で第8.5号機KMFヴィンセント・グリンダ・カスタム。エナジーウィング機を手足のように、身体で表現するように乗りこなした、憧れの人の事を。

 憧れというのはおかしいか。出逢ってまだそれ程時間も経っていない。羨望の眼差しで見ていたという方が正しい。エナジーウィング機はすでに量産体制が整って久しい。

 ヴィンセント・グリンダ・カスタムだけじゃない。普通のヴィンセント・カスタムもそう、なにより8.5号機なんてでたらめな機種を開発した日本にはもう10,000騎単位での量産計画が上がっているらしい。

 神聖ブリタニア帝国にとって兄弟のような国、家族その物の国、大日本帝国はでも、そのブリタニアの半歩前を歩き続けて先へ行くことも並び立つことも許さないのだ。

 第9世代機だってもう数百の単位で量産が始まっている。史上最強の騎士モニカ・クルシェフスキー専用機第9.5世代KMFフリーダム・フローレンスを開発したのも日本の倉崎重工先進技術開発室。KMFの進化を先導する日本が存在する限り、この恐竜的進化がとまることはないだろう。

 おかげで戦闘機、統合打撃戦闘機、浮遊航空艦、軌道衛星等と言った、空の守りにKMFが新たに加わったことは、デヴァイサーとして誇らしいし、KMF開発の会社を持つ貴族としても誇らしい。

 それでも日本に後半歩常に追いつけないのは悔しいけれど。そこはそれ、日本とブリタニアの役割分担だ。

 日本はその圧倒的なる技術力で。ブリタニアはその圧倒的なる生産力で。お互いを補い合えば良い。

 で、エナジーウィング機、話しは件のヴィンセント・グリンダ・カスタムを手足のように操れる人に戻る。

 グリンダ騎士団に抜けている人は居ない。上述通り。でも浮遊航空艦13艦、地上部隊33,000名のグリンダ騎士団の総団長、神聖ブリタニア帝国第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニア皇女殿下の嘱託副官なんて、意味不明な役職に就かされている、日本人のデヴァイサー。玉城真一郎さん。

283休日:2023/05/13(土) 19:25:06 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 彼は抜けている。間違いなく抜けている。随一抜けている。たぶん単純な戦闘能力では、信じられないけれどKMF戦に限って、玉城さんは、我がグリンダ騎士団最高位の騎士、ナイトオブナイツ・筆頭騎士オルドリン・ジヴォンに匹敵する。

 模擬戦での被撃墜率はオズが256なのに対して、玉城さんは254。ほぼ互角だ。

 これは信じられないことだった。あり得ては成らないことだった。民間人の玉城さんが筆頭騎士と互角なのだ。実戦では違っていたけれど、生還率100%。彼と共に居た騎士も彼に救われ生還率100%。

 ここまで行くともう彼は神に守られているとしか言えない。彼曰く『昔から悪運だけはアホみてーに強かったからよお』悪運が強い、で済ませられない。

 こうなると引けなくなったオズが日本の開発した新型シミュレーターで、玉城さんと戦うんだけど、この悪運が強いときの玉城さんは無敵状態で、オズが全戦全敗して空っぽになっているときに、オズの対面で。

『キャーッ! 流石は私のシン兄さまですわ〜ッ!!』




 玉城真一郎は一本抜けている




 なんてマリーベル殿下が玉城さんに抱き着くものだから、オズの膝蹴りが玉城さんに飛んで、調子に乗っている玉城さんは吹っ飛ばされるわけで。

 これをまたマリーベル皇女が介抱するものだから僕やソキア、トトさん、マリーカさんで宥めて止めること数知れず。

 ともあれ、玉城さんは凄い人である。マリーベル皇女自らが自身の副官として認め、いや見初められるだけのことはある。

 シュバルツァー将軍も『この男にならば姫様を任せる事が出来る』と、自分も挑んで負けた将軍も仰っていた。そんな玉城さんだけど、僕も凄い人だと思う玉城さんだけど。とにかく抜けている。

 遅刻の常習者、だったのはネッサローズに移る前。彼がネッサローズに拉致――連れて行かれてからは、遅刻しなくなったという。マリーベル殿下が何かしたのだろうか。

 読み書き勉強が圧倒的に遅い、というか出来ない。ソキアからは「アホのたまきん」と呼ばれる始末だ。ブリタニアの第二母国語である日本語は幼少期には誰でも喋れ、読み書きも出来るようになる。

 日本でもそう、日本の第二母国語であるブリタニア語は幼少期に習いマスターする、それを玉城さんは初等部三年生になるまで話せなかったという。

 酒を飲んでねげ……。昼間から飲酒状態で出勤。廊下で寝転がって寝ている。エロ本雑誌をこっそり読んでいるつもりでも艦内上空から丸見えでマリーベル皇女に見とがめられて折檻。年上の女性を観るとナンパ。後でマリーベル皇女に折檻されているという噂だ。

 マリーベル殿下はグリンダ騎士団最強の騎士でもある。僕ら主要騎士が全員で挑んでも負けてしまうほどの圧倒的な強さを誇っている。

 そんなマリーベル様からでさえ競技KMFリーグで賭け事をして全財産を喪った彼は、勝ってしまったのだ。一対一の勝負でである。

 ぺたんと座り込むマリーベル殿下に。

『ガキが調子くれってからこういうことになンだよ。ちったァ分かったかよ。マリーベル・メル・ブリタニア。おめえ自身の弱さが』

 物凄い暴言だったけど、誰も何も言えなかったんだ。マリーベル殿下に勝ったということは玉城さんがグリンダ騎士団最強という証を手に入れたわけだから。

 ソキアは

『たまきんすげェェェマリーベル様を単騎で墜とせる奴なんていねェんだぜいッッ?!』

 と驚き。

 トトさんは物静かにだけどその強さに目を剥いて、地上の誰かと連絡を取っていた。

 なんか「このままでは本当に殿下の婿に……ララ……どうするの」って肝心の所は聞き取れなかったけど、殿下と玉城さんのことについてらしい。地上の友達か何か?

 ティンクは。

『あり得ない事があり得てしまう。玉城卿は我々よりずっと高みにいると言うことか。自分自身精進せねばな』

 冷静に分析。

 マリーカさんは

『凄い……嚮導学校にも行っていないのにKGFシミュレーターに乗った殿下を、……た、玉城さん凄いッ、凄いですッ!』

 マリーカさんの言葉にちょっとムッとした僕は、だけど。

『凄いッ。凄いですよ玉城卿ッ。まさかマリーベル殿下を、エルファバのシミュレーション騎に乗ったマリーベル殿下を単騎で討ち取るだなんてッ。誰にも不可能な事ですッ!!』

 あの時は真面目に尊敬した。絶対に不可能な事をやらかしたのだから。

284休日:2023/05/13(土) 19:29:28 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
 シュバルツァー将軍なんて

『真一郎殿に儂の教えることは無い』

 なんて涙を流していた。

 いや、皇室に入るにしては行儀見習いと言いますか。普段の態度が最悪なんですけど。

『ままッ、まーまーまー、みなのしゅう、俺がちっとばかし本気出せばガキの一人くれェよゆーよゆー』

 マリーベル殿下をガキって言うところがまた凄い。そんな皇族侮辱罪的なことを言う人間は約37,000人居るグリンダ騎士団の中には一人だって居ない。

 それどころかブリタニア中探したって居ないだろうに彼は平然と口にするのだから。アホというのもまんざら嘘ではなさそうだ。

 で、オルドリンは。

『おらァァァァ!!』

 気合い一線、鋭い蹴りの一撃を玉城さんのお尻に直撃させていた。

『ぶッ、ぶべらァァァッッ!!』

 艦内の壁に吹き飛び激突した玉城さんは動かなくなった。

『私のマリーになんてことすんのよこのくそ玉城があああッッ!!』

 そういえばもうみんな玉城さんの名前の呼び名が日本名で慣れたな。無意識的にマリーベル殿下のご婚約者だからっていうのが働いていたのかも。


 ※


 そんな凄くも抜けている玉城さんの事で、御前から午後、ネッサローズへと渡ろうとしていたときに聞いてしまった。

「この間さー、ソレイシィ卿に土下座してたんよ土下座。俺には君しかいないッ、頼むッ君しかいないんだーッてたまきんが」

 な、何だってッ?! 玉城さんがマリーカさんに土下座ァッ?! し、しか、も、君しかいないィィィッ?!

「彼、そういう方ですよ。私は友人から伺って存じております。いの一番、ここで終わりだというタイミングで本性を現すそうです」

 ほ、本性?! 本性ってぐへへへマリーカ俺の物になれとかってなんとかってことかァッ!!!

 それならば許さないッ、許さないぞ玉城真一郎ッ、適わぬまでもマリーカさんをッッ――と、そこまで激高する寸前だったところ。

「でもさー、日本円で100万も借りて返せんのー?」

 え? そういうことじゃない? え? まてよ? 金? 僕の大切なマリーカさんにお金を借りた?

 お、落ち着けレオンハルト。お金を借りるくらい良くある事。それが大金であっても。でも、僕に一言の相談も無く?

「1万ブリタニアポンドくらいだったっけ? ソレイシィ卿に拝み倒して借りてたんだぜい!」

「それ、返ってきませんよ。地上の、日本の東京にいるお父様のところに姉妹が住んでるんですけど、1円も返ってきたことが無いとか……。それと今回の例の騒動で姉妹が大泣きしてしまって、父が猛烈にお怒りだとか。玉城さん、地上に戻ったらただでは済みませんよ。姉妹も立ち直ったのか殺すか折檻かとぶつぶつ呟いているそうで。あ、私の姉妹暗殺者なんです」

「にこッって笑って言ってるけど、トト、それ偉い情報だよ。誰かに知られでもしたら」

 えと、暗殺者?トトさんのご姉妹が? いや、ここはまあ聞かなかったことにしよう。

 それより玉城さんが問題だ。マリーカさんにお金を返さないつもりで借りたのか?! それがホントなら許せない!! 丁度ネッサローズに行く時間だ。問い詰めてみよう。

285休日:2023/05/13(土) 19:30:29 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ※


「返さないつもりでマリーカさんにお金を借りたんですってね玉城さん」

 僕はグランベリーからネッサローズに着艦していた。場所は甲板。目的は金を返さない男への取り立てだ。

「いや、返すって、今度の競技KMFで倍にするつもりだから」

「なあッ?! ま、マリーカさんのお金を賭博に使うおつもりですか!? 見損ないましたよ玉城さんッ! あなたはッ! あなたは凄いお人だとばかり思っていたのに!」

 マリーベル殿下を倒せる凄い人だと思っていたのに、こんなにもお金にだらしがないなんて。

「い、いやいや、俺本業ニートなんですけど。国会議員に成る予定の議員とも言う」

「誤魔化さないでくださいッ! 友達に地上とのやり取りをしている女性がいらっしゃって、その方が仰るには、その方の父と姉妹の方にお金を借りて返していないと先ほどお聞きしましたよ!!」

「いやいや、だーかーらーッ、その金を返すためにグリンダ騎士団に仮入団させられたわけ。俺頑張って日々返し取るのよ、給料全額さっ引かれて」

「え? そ、そうだったのですか」

 僕はてっきり地上の借金取りから逃げてきたとかばかり考えて。そ、そうじゃないのですね。

 う、うん。で、でも、マリーカさんから更に金を借りていたら意味が無い。

「ところでレオンハルトくん」

「は、はいッ」

「一端の男ってなあな、競馬もパチンコもやっちゃってなあ、煙草もビールもやっちゃってなあ、女はまあ君の場合不味いが女もやっちゃってだなあ。そうやって漢って奴になっていくんだぜ」

「え? え?」

「ちょうどここに札束があるんだなあ〜っ」


 ※


「き、来ましたよ玉城さん大穴ですッ」

「俺も来たぜーッ!! 今日は乗りに乗ってるぜ!!」

 玉城真一郎の部屋。と書いた看板を下げた部屋の中。酒臭い匂いと、ネットラジオを聞きながら二人の男が身を寄せあって、競馬を楽しんでいた。

 二人とも泥酔状態である。

「世の中ネットで馬券買えるなんざ楽になったもんだぜ」

「玉城さん、次ッ、なんば――」

 と、その時だった。すーっと玉城の部屋の自動ドアが開いたのは。ロックをしていたはずなのにロックが解除されているのはマスターキーで開けられたから。

「……」

「……」

 固まる二人。なにせ二人の前には茶髪のショートカットの神の少女と、薄紅色の髪を腰下まで伸ばした、ピンクを基調としたドレス姿の美女が立っていたのだから。

 にっこりと、笑顔で。

「兄さま〜、賭け事は禁止ですとあれほどに言い置いていたはずなのですが〜」

 マリーベル・メル・ブリタニア。彼女は事実上の婚約者である愛おしい兄さまがこれ以上借金を増やすことを望まない。借金が増えればライバルであるクララ・ランフランクを利するだけなのだから。

 あるいはこれもクララの想定内の出来事なのかも知れませんわねと、優しい笑顔で愛する兄さまに迫る。

「ま、マリーしゃん、これラジオ聞いてただけ――」

 言い訳をしようとした玉城の右頬を、ひゅっと音を立てて振り抜かれる美脚。ヒールの先が頬を掠めて血が滲み出てきた。

「レオ〜ン、どういうことなのでしょうか? 私が玉城さんにお貸ししたお金で玉城さんと一緒に賭博を為さっているとは“私のお金で”レオン、御説明を」

 マリーカ・ソレイシィ。婚約者たる辺境伯令嬢は目を離すことを許さずレオンを詰問する。


 この日、レオンハルトは一つ勉強した。玉城真一郎さんはやっぱり一本抜けている。以上彼についてわかったことがまた一つ増えた日だった。マリーカさん痛い。レオンの左頬にはモミジの後。

 しかし玉城に比べればましだろう。だって彼は今、こわ〜い笑顔の皇女様から折檻を受けているのだから。隠していたエロ本までも見つけられて……。

286休日:2023/05/13(土) 19:32:12 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
ラキカノ様ありがとうございました。

287休日:2023/05/13(土) 19:37:36 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
しかしハーメルンで1,000お気に入り行こうと思ったら9%無いらしいです。
きびしいせかいですね。

288二二三:2023/05/13(土) 21:45:37 HOST:KD106155012172.au-net.ne.jp
二つとも乙です。

良太郎に殺された暗殺者は、シンクと良太郎を狙っていたのか?
マリーたちを狙っていたんか? ビショップからマリーベルと玉城を殺せと勅命が下りてるからあるいは、か
シンクや良太郎が狙われた可能性もあるけれど

二つ目乙です。ラキカノさんリクエスト乙です!

甘いお話かと思ったら玉城が純真なレオン君を騙す話だった。
レオン君勝ってるみたいだけどギャンブルはね、胴元が勝つようにでるの。
レオン君みたいな純真な子ほど嵌っていくのよ。
マリーに見つかってラジオ聞いてただけは通用せんわ。
マリーの怒り相当なものですけど、これは大切な隊員を禄でもない道に誘おうとしたからなのか?
未だに博打を止めない玉城に対してなのかどっちなんだろう。
レオンはびんただけで済んでるけど、玉城はマリーからの折檻でそれどころではないという。

良作面白かったです一話目の「馬鹿と薔薇と皇女と魔弾」の改訂部もシンクと良太郎の愛を感じられて。
二作目の「玉城真一郎は一本抜けている」はタイトル通り一本抜けていた玉城にレオン君が巻き込まれた。
マリーの折檻凄かったでしょうね。博打を止めさせること、借金を返させることが目的なのに借金増やしてどうするねんて。

289ハニワ一号:2023/05/14(日) 00:04:09 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
休日さん、乙です。

290トゥ!ヘァ!:2023/05/14(日) 00:12:33 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

レオンに悪いことを教える玉城…
まあグリンダは元々いいところの子ばかりなのでこういった悪い大人が一人くらいいた方が逆に健全…健全?まあ多分健全…と言えるはず…

しかしシュヴァルツァー将軍ならず本気マリーにすら勝てるとは休日玉城の腕前は確実に原作以上ですね。

291二二三:2023/05/14(日) 01:35:13 HOST:KD106155013247.au-net.ne.jp
ヴィンセント・グリンダ・カスタムことエナジーウイング機を乗り回す実力を持ってるからね玉城

292休日:2023/05/14(日) 23:05:35 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
かなりギリなR15-R16表現が入っています。
投稿します。

293休日:2023/05/14(日) 23:07:19 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
リクエスト作品で影響を受ける人さまから許可を貰いました

294休日:2023/05/14(日) 23:08:34 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp



 会合の日



「大変です皆様方!」

 息せき切らせて会議室に入り込んできたのは、枢木政権ナンバーワン現大日本帝国宰相の枢木ゲンブであった。

 枢木ゲンブ、澤崎敦の二人はとにかくこの部屋に入りたくない。皆様方の圧が物凄くて息もまともに出来ないからだ。澤崎敦に至ってはこれが原因で家庭不和を引き起こし、離婚までしてしまった。昔日交際していた井上直美という女性と結婚し、今は新婚夫婦となったのだが。

 まあとにかく端的に言えば怖い。何か得体の知れない怪物の中に入るようで。事実として彼らは得体が知れない。昔彼らの内定調査を行った際。

 自身の目の前で報告書をくしゃりと潰し、火を付けて燃やした辻に『早死にしたくはないでしょう』と告げられて以来、彼らは恐怖の対象なのだ。

 しかし何の因果か自分が彼ら“夢幻会会合”との連絡係を引き受けることとなってしまったのだ。同様に澤崎敦も。

 澤崎の時間が空いていれば全部あいつに丸投げして逃げ出すところなのだが、あいつのとこは新婚家庭なので迷惑をかけづらく、あいつはいない上に、緊急事態とも成れば、話しは変わってくる。

「何です騒々しい」

 阿部が不機嫌そうに言う。この方一人でも機嫌を損ねてしまえば自分の首など物理的に飛んでしまう。

「まあまあ、ここは話を聞こうじゃないか。でどうしたのだね枢木君」

 普段いかめしい雰囲気の杉山が珍しくも助けをブネを出してくれた。これは好機とみた枢木は一枚のビラを見せるそこには――



 急に海に行きたくなったので少し休みを貰いたい。有休なので頼む。



「……」

「……」

「……あの剥げーッ! 何が有休だざっけんな剥げーッ!」

「お、おち、おちついてッくださッ、杉山閣下ッ、富永閣下助けてくださいッ」

「蛇眼が開いてないから助けられん」

「そ、そんなッ」

「落ち着いてください杉山さん」

「あ、阿部閣下!」

「丁稚にあたっても意味がありません」

「で、丁稚……、た、確かに小官は丁稚でありますな、は、ははは、」

 ぶんぶん揺すられる枢木、はっきり言って彼には微塵も責任はない。ただ事実だけ伝えただけであって何も無いのだ。哀れ枢木。表では名宰相、実態は丁稚である。それは澤崎も変わらない。彼らは足るを知り、分を弁えているのだ。

295休日:2023/05/14(日) 23:09:14 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「まあまあ皆さん落ち着いて。何も有休を取ってはいけないという規則は御座いませんし、山本さんはブリタニアの貴族でもあります。言うなれば半分我々の手から離れている立場とも言えます。有休を取られたといってもそれはそれで致し方の無い事かと。当然ヴェルガモン家のお仕事もある事ですし、我々が口出しできる範囲を逸脱しております」

 ヴェルガモン伯爵家。神聖ブリタニア帝国の上位伯爵家、五大湖経済圏に強い影響力を持つ大貴族。日本の夢幻会とは言えおいそれとは手を出せ無い相手だ。無論五大湖経済圏との仲は非常に良好。

 手を出す出さないといった物騒な話になるはずも無し。では山本は何処に消えたのか? あの酔狂な山本のこと。普通なら好奇心の赴くままに何処かへと飛んでいきそうなもの。だが、彼の場合は考えられる範囲が限られてくる。

 近衛公が口を出す。

「山本くんが行きそうで好きな場所…………あった。ベガスだ」

 村中大佐が僭越ながらと手を上げる。

「ヴェルガモン伯爵令嬢も伴っているという先方寄りのお話でしたのでそれは無いかと」

「ヴェルガモン卿もか。夫婦揃ってのアヴァンチュールか」

 杉山が嫌みを言ったとき。辻が行き先について分かったと声を上げた。

「海に行きたくなった。それをそのまま受け取ればよろしいのです」

 阿部が考え込む。

「海に」

 近衛が考える。

「行きたく」

 嶋田があッと声を上げた。

「シーランドだ。あいつそろそろシーランドのカジノの解禁時期だろう」

 永久禁止にでもされてなければ何処かで必ず解禁はされる。

「なるほどカジノか、そりゃ行きたくて行きたくてうずうずしとっただろうな」

 近衛公が続いた。山本のカジノ好きは有名だからだ。

「だが奥さんが良く許したな。リーライナ嬢は賭け事について余りいい感情はもっとらんだろうに」

 阿部が続く、彼も山本とリーライナの仲の良さをよく知っているからだ。

「其処は口八丁手八丁で誤魔化したのでしょう。リーライナ、キミと海に囲まれた部屋で一晩を過ごしたかったのだ。行けなかったかな(カジノも行きたかったのだ)――とか。ヴェルガモン卿はあれで山本さんにベタ惚れですからねえ」

 最後に辻が締めくくる。

「まあ、得てしてこういった邪な試みは失敗に終わると決まっているのです。特に山本さんのような嘘が苦手な方がこの手の計画を思いつくと碌な目に合いません、まあ、上手くいきませんよ」

296休日:2023/05/14(日) 23:10:37 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
 

 シーランドカジノ解禁






「しかし、以前訪れた頃よりも軍事区画が充実しているな。いや充実しているという規模じゃ無いぞこれは」

 軍事区画を通り越して、もはや海軍基地である。

 坊主頭に灰色のスーツ姿、これで度の入った眼鏡でも掛けていればヤの突く自由業である見かけの男は、軍事区画の更なる拡張工事を眺めていた。大きな発着スポットが四つある。そこへ。

「五十六様お待たせしまして」

 白一色のタイトなドレスに身を包んだ令嬢が一人立っていた。腰下へ流れる長い金色に輝く髪が、ざあ、と風に靡き。唇には薄い色のリップを塗り両手には袖まで届く手袋、高級そうなバックを片手に佇む姿は一目で貴族のご令嬢だということが分かってしまうもの。

 事実貴族の上位貴族の御令嬢だ。軍事の軍区にこれ程見合わないご令嬢もいないだろう。本来このご令嬢は社交界を席巻すべきところを山本にお付き合いをしてくれているのだ。

「リーライナ、おまえ言葉遣いもアレだが、その貴族貴族した服はどうにかならんのか……まあ、その、綺麗だし、似合ってはおるが。本来社交界か何かで着る服だろうに」

「社交界以外ではこの様な機会でしかお召しになれないものですから。それにお外での言葉遣いは大切ですのよ? それよりも何をご覧になっておりましたの?」

「ん、ああ、あれだ」

 かなりの大拡張をしている軍需区画。隣の島と合わせてみても4倍を超える広さだ。もうこれは区画と言った容積を超えている。基地のレベルだ。海軍基地の。

 確かシーランドには主力水上艦艇として巡洋艦が6隻、駆逐艦が16隻ある。後は異常進化した水中用KGEとKMF。陸上用KMFが多数。ユーロユニバースという敵がいなくなった今、軍拡の必要は無いのだが。

 その時、ふっと日に影が差す。見上げると其処には大きな船が一隻滞空していた。リーライナも共に驚いている。

「!?あれは、カールレオン級か! 」

 大きな空飛ぶ軍艦が通り過ぎていった。いや、一隻ではない、二、三、四隻。ハドロン砲まで搭載しているのが見て取れた。すべて最新型だ。

「一隻はアヴァロン級ですわ」

 四隻の内一隻はサイズが二回り大きい。アヴァロン級だ。ハドロン重砲4門搭載した最新型。何れ劣らぬ最新型の浮遊航空艦を四隻、このシーランドに必要なのだろうか。

 シーランドは確かに持たざる国だ。食料、資源、軍事力、全て他国に頼ってきた。だが、その周辺環境は現在悪いとは言えない。大軍拡とまでは行かぬまでも、シーランドのリソースを考えると無茶をしているような。

 それにこれだけの基地。浮遊航空艦だけでは終わらないだろう。

297休日:2023/05/14(日) 23:11:17 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
 


 そんな事を考えていると。ポロシャツに短パン麦わら帽といった妙なスタイルの男が声を掛けてきた。

「シーランド王国は何でこんな軍拡を始めたのか。って顔・表情に出てますぜ英雄提督山本五十六閣下」

 シーランド王国国王ルイ・ヴェーツその人であった。彼は乗りの軽い様子で拡張されていく軍事区画の様子を見ていた。

「分かっていらっしゃるのなら何故、少々無茶な軍備拡張系画を? あれは軍事区画の拡張を超えております。明らかに基地のレベルだ。海軍基地の」

 山本の詰問に少し置いて、ヴェーツ国王は答え始めた。

「一応計画は2022達成の予定でさぁ、力こそ正義なブリタニア政府も後押ししてくださってる。丁度グレートブリテンとアイルランドがブリタニアに戻ってきたところだしお祝いも兼ねてってことでしてね」

 ガンガンガン、ゴンゴン、軍事区画の、いや海軍基地の工事の音が響く。

「山本閣下……俺ぁさ、凡人だ。あんたみてえなすげえ采配は出来ねえ。今のこの国があるのはみんなで守ってきたからだ。日本の、ブリタニアの、ユーロ・ブリタニアの支援があったからこそだ。……だから、ユーロピア解放戦争の時悔しかったのさ。ただそこにいて何も出来ないのが。多少の空軍フロート付きKMF、浮遊航空艦があればわずながらにでも力になれた。ほんと微力ながらだがよ、それで救えた命もあったかも知れない。空に関しちゃ無力だったのさ。そう考えるとどうしても悔しくて」

「それで遅かれとなる正式なる海軍・空軍の創設をとお考えに」

「ま、な、背伸びしたさ。平和になった今要らないだろって議会の古株にも問題視されたよ。だが忘れちゃいませんかねえ。南の海には北側諸国の不倶戴天の敵、南天って巨大な敵がいることを。いつやつらが襲いかかって来るかも分からねえ。そんなとき、このシーランドの海を空を守るのは軍艦であり、戦闘機であり、8.5世代機、9世代機、浮遊航空艦で構成される空軍だ。基地の方ももう少し拡張だな。一応予定としては皇歴2022年までにカールレオン級をもう4隻、88,000t級の戦艦を2隻、80,000級空母1隻、7,000級ミサイル駆逐艦14隻、8,800級ミサイル巡洋艦4隻、6,800級攻撃型潜水艦4隻、揃える予定だブリタニアの工業力を以てすれば余裕だろ。先方も簡単な事だと仰ってたしな」

「うちやブリタニアなら余裕だな一年も要らん」

「だろう? この計画にクラサキ・スメラギも乗ってくれりゃ三ヶ月で終わるんだがな。山本閣下から口利き出来ねえかな」

「俺がせんでも乗るだろう商人の基本は商売だ。枢木くんも許可するだろう。対南天条約機構を見据えた防衛力の増加と言えば」

「おおっ! そりゃ助かるっ! あとは物が先に出来るか基地が先に出来るか」

「物が先だな。日本とブリタニアを舐めん方が良いですぞ」

「そいつぁ、基地区画の整備を急がにゃ成りませんな」

 あ、あと、『技術の日本』『力のブリタニア』あんたらの背中をオレ等は追ってるってこと忘れんでくださいよ。というと、ヴェーツ国王は現場監督よろしく工事現場の中へと入っていった。

298休日:2023/05/14(日) 23:12:04 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
 

「わたくしたちは先頭を走っているから見えないだけで、多くの国々がわたくしたちを追い掛けてきているのですわね。シーランド王国もまたその一つ」

「先を走るものには後ろは見えない、か」

「何を申しておりますの」

 パンッ、リーライナが山本の肩を叩く。

「その最も先頭を走っているのはあなた方大日本帝国なのですわよ!!」



 それからは気を取り直してショッピングモールなどで物品を買いあさった。

 荷物は全て山本持ち。

 結構な量と結構な重さだったが。

『女性の荷物は男性が持つのは当たり前ではなくて』

 リーライナの非情な声が響く。


 映画館では丁度ホラー映画を上映しており、驚いたリーライナが山本に飛びつく姿も見られた。

 この瞬間山本はリーライナの大きな胸が腕にあたり、ガチガチになっており映画処では無くなっていた。基本彼はまじめ君なのだ。

(や、柔らかい、な……い、いかんいかん、なにを破廉恥なことを考えておるのだ俺は!!)

 なおこの瞬間はバッチリ家宰に撮られており、お嬢様の驚く姿として暫くの間ヴェルガモン伯爵家で闇取引されていたとか。


 ※

299休日:2023/05/14(日) 23:12:56 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
 

 そして時は夜。シャワーを浴び、ワインを程々に呑む山本とリーライナの二人。

「月並みだが、君の瞳になんて言葉しか出んくらいに美しい。そのエメラルドグリーンの碧い碧い透き通った美しい瞳に」

 事実嘘偽りでは無い。どこまでも透き通った翡翠色の碧い瞳に底は見えず、水底よりもまだ綺麗な色を湛えているのだから。これ以外に形容のしようが無いのだ。

「君の明るく美しい長い髪に」

 腰下まで届く美しい髪は指を入れて梳き通しても引っかかりを覚えること無く、毛先へさらりと抜けていく。本当に言葉に出来ないほどの美しい髪。

 金色の眉は細く長く、瞳は大きく深い、くびれた腰に大きな張りのある胸部。柔らかそうなその胸部の頂点には桜色の何かが覗いており、それもまたリーライナという女性の美しさを一段階引き上げていた。

 山本の周りには何故か美しい女性が多い、リーライナ・ヴェルガモンを始めマリーカ・ソレイシィ、モニカ・クルシェフスキー、ユーフェミア・リ・ブリタニア皇女、コーネリア・リ・ブリタニア皇女、クララ・ランフランク嬢、マリーベル・メル・ブリタニア皇女、オルドリン・ジヴォン卿、ドロテア・エルンスト卿、ヴィレッタ・ヌゥ卿数え挙げればきりが無い。

 もっともっと探せばまだまだ出てくるだろう。しかしその中で唯一光り輝くのは誰か? たった一人の特別は誰? そう問われれば、彼は、俺は間違いなく一人を上げる。


 リーライナ・ヴェルガモン――俺の愛しき光り輝く翡翠よ。


「ん――…………」

 山本は光り輝く金色の長い髪を触る。この世で俺だけが触れて良い髪を、もちろん比喩的な表現に過ぎないが、今この時だけは。

「五十六様の……いっくんの指が私の髪の中を通り抜けていくのが気持ちいい」

「やっと言葉を崩してくれたな。俺としてはそちらの方がいいのだが?」

「だって私は貴族ですもの。そうあれと教育を受けてきたものはそう簡単には変えられないわ」

「俺は普通の言葉遣いの方が好きなのだがな。嚮導学校の平民生徒とは普通だったのだろう?」

「社交界でボロが出ないように猫を被ってますの」

「俺の前でまで猫を被らんでも良いだろうに。しかし、君の髪はさらさらして本当に手触りが良いな」

「私は、わたくしは五十六様のざらざらとした坊主頭が好きですわ」

 髪を触られながら山本とじゃれ合うリーライナも、己が思うところを告げた。

「ざらざらして男らしく短くて、現代のなよなよした男性には無い風体ですもの」

「そんな事を言ったら現代の男性を全否定しているようなものだがな。現代にも現代で、気骨のある男は居る。グリンダ騎士団のティンク君や、君が一時期親衛隊を務めていたルキアーノ君。ラウンズの男性陣に我が国にも枢木君、藤堂鏡四郎くんに朝比奈君。探せば幾らでもいる」

 だが、そんな中で君の、リーライナ・ヴェルガモンの目に止まったのは俺だった。

「数いる魅力的な男の中より君に見初められた事を喜ばしく、また運命とも思う。俺が君という翡翠と巡り会えたのは正しく運命だ」

 ワインに甘く酔った二人は。バスローブを脱いでいく。

 四方を海に囲まれたコテージの上、海のよく見える景色の中、二人のじゃれ愛は収束していく。

 山本の五指がリーライナの髪を捉え撫で梳きながら、彼女の胸の間へと手を差し入れ。

「んあッ――」

300休日:2023/05/14(日) 23:14:04 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
 
 ベッドの上で繰り広げられ攻防の声を誰かに聞かれることは無い。

 此処は海上なのだから、リーライナも返す様に彼の大切なところを握り、さする。

「う、くッ、慣れてるなッ」

「うふふふッ、だって、いっくんさまと毎日しておりますもの。毎日毎日、幾日も幾日も、わたくしの奥までいっくんが入って」

「こういう時にいっくんさまは変だから止めてくれ」

「じゃあいっくん……」

「それがいい。言葉遣いもお嬢様なのは」

 いっくんなのに言葉遣いだけお嬢様言葉なのはおかしいという山本だが、敢えて此処はおかしなままでいくことにしたリーライナは。

 溢れ出す物を掻き分け、彼自身を自身の大切なところへと導いた。

「んんッ……ッふ、あ……っう……」

 痛みは無い。当たり前だ。日々を山本と愛し合っているのだから。山本の側も同じで違和感は無い。むしろ此処こそが俺自身の帰るべき場所であるとの確証さえある。

 リーライナ・ヴェルガモンの中とは山本五十六の帰るべき場所。正しき在処はこの場所なのだ。

「あ、ぁッ、ん……はあ、は……ッん、い、いっくんのッ……大きく、なってますわ」

「くッ、……リーラがッ、ッ高めてく、くれているから、な、俺、を、リーラ、君が愛おしい」

「わたくしも、わたくし、も、……、いっくん、が……、いとお、しい」

 限界はまだ先だろうお互いに。だが、逸る気持ちと、特別な場所にいるという高揚感が二人をその時を待たずして、ひとつへ導いた。

「う、くうう――ッ」

「んあ――――ッッ!!」

 リーライナの下腹部に走る衝撃。宙にふわりと広がる金色の長い髪。エメラルドグリーンの瞳からは涙が零れ、一つになった嬉しさに頬を濡らす。

 髪の房は山本の顔にも掛かり、その芳香を鼻がしらに残していく。対面で抱き合う二人。対面で座ってが多いのは、お互いの顔と身体を良く見つめ合い認識することが出来るから。お互いを強く抱き締め合うことが出来るから。最も触れ合える形こそが向き合う形であるだけだ。

 もちろんそれ以外の形で行う事も普通にある。愛とはけして一つの形ではないのだから。

301休日:2023/05/14(日) 23:19:33 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「苦しくないか?」

「気持ちいいに、決まっているでしょう」

 愛おしい人と一つになれて苦しい人間なんていない。そう涙に笑顔を浮かべるリーライナは誰よりも何よりも美しかった。

「いっくんは大丈夫です、の?」

「俺はまだまだ60過ぎたばかりの青年だぞ?」

 60は青年。史実基準ではおかしな話しなれどこの世界の日本人、ブリタニア人、南天人は平均寿命が200年ほどある。故に60とはまだ青年の域なのだ。

 青年で有りながら5年後には年金が貰える。社会福祉システムの完成度の高さ。国の圧倒的豊かさを指し示す指標でもあった。

「あッ……。ああっ……っあ、は、んっ……」

 60の青年は有り余る元気をリーライナ・ヴェルガモンへと託し、リーライナ・ヴェルガモンはその有り余る全てを全身で受け止める。二人だけが許される愛。二人にだけ許される愛。時が移ろっても変わらない、それは、約束の二人なのだから。

 抱き締め合いながら何度リーライナの髪をさらさらと撫で梳いたろう。どれだけ触っても飽き足りずいつまでもこの金色の絹糸の束をこの手にしていたい。

 抱き締め合いながら何度山本の坊主頭をざらざらと触り尽くしただろう。ざらざらとした触感には飽きが来ず、何処までも触り続けていたい。

 山本五十六、リーライナ・ヴェルガモン、二人の考えることは同じで、同じだからこそこうして何処までもいつまでも求め合って。終わりというものを望まないでいる。


 だが、終わりとは必ずややってくるもの。

 熱ければ熱いほどに。

 強ければ強いほどに終わりは必ずやってくるのだ。

 そして、この終わりは次へのプロローグでもある。次という始まりはもう既に。

「い、いっ、っいっくん!、きて、来てくださいましっっ、っわたくしの中に、っすべて!!」

 結局最後のこの瞬間まで、お貴族様言葉なんだな、と、苦笑いした山本は、リーライナの中に全てを埋め込むと。

 熱くたぎるマグマを。リーライナに全て余さず受け取って貰った。

「リーラっっ!! リーライナぁぁぁぁっっ!!愛しているッッ!!お前をッ、お前だけをッッ!!いつまでもっっ!!」

 お前以外の誰を愛するものか。俺の山本五十六の愛はリーライナ・ヴェルガモンに帰結するのだ。

「あああっっ!!い、いっく、んっっっ!!!愛してるいっくんッ!! 愛しております五十六さまッッ、永久に!!」

 あなた以外の誰を愛するというの。リーライナは、リーライナ・ヴェルガモンの愛は山本五十六へと必ずや回帰するのです。回帰するの。ね、そうよね、いっくん。


 共に果てた二人は、共にベッドへと横たわり、カジノの明かりだろう夜景を窓に見遣りながら息を継ぎ。

「いっくん、愛しておりますわ」

「俺も、愛しているよリーライナ」

 互いに愛を口にし熱い口付けというベーゼを以てこの日の愛の時間を終えるのだった。

302休日:2023/05/14(日) 23:20:11 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 ――深夜――


 カジノ街はまだ明るい。何処も一件も閉まっていない。これからがフィーバーナイトの時間なのだから。

 ふふ、出入り禁止になって一年と少し。もうほとぼりも冷めただろう。

 此処に孤高のギャンブラーが一人。名をイソロク・ヤマモト。ラスベガスの全てのカジノを出入り禁止になった男は。もう大丈夫だろうと新興国であるシーランド王国のカジノに目を付けたのだ。

 彼、シーランドでも全てのカジノに出入り禁止措置を食らっていたのだが、新興国だから大丈夫だろう解禁日だ、と昼間にリーライナとデートをしながら、目星を付けていたのである。

 が、「当店の入店は」「申し訳ありませんが」「またのご来店、永遠にご来店しなくて結構です」

 見事なまでの全店舗拒否。これには二人の人物が動いていた。まず第一に、山本五十六にカジノに居座られては財政が破綻するから永久追放で。

 「なぜだあああああああああああッッッ、解禁日だろ?!おかしいだろう?!」

 ヴェルガモン伯爵家次期当主の夫が賭博師では世間体的にも良くないと言うことで、リーライナがヴェーツ国王に申し立てていたのである。

 相手は超大国ブリタニアの上位伯爵家五大湖経済圏有する次期当主。リーライナ・ヴェルガモン小国の国王が勝てる相手ではない。ましてや今回の件、こちらを立ててくださる形での問題提起とその解決。

 ヴェーツ国王はこれに乗った。シーランドカジノ議連も不倶戴天の敵山本五十六を追い出せるならと乗った。ここの勝敗は決していたのである。


 翌朝。ベッドの上でバスローブ姿の二人。お風呂に入ってリラックスしていたのである。

 リーライナはヤマモトの方に顎を置く。彼女の長い髪の束がさらり山本の肩を跨いで彼の背に流れた。

 ローブ越しでも分かるリーライナの髪の感触に心地良さを感じていると、当のリーライナから一言告げられた。

「駄目だったでしょう?」

「?!」

 何をかとは聞かないしリーライナもそれ以上なにも言ってこない。彼女はただヤマモトの頬に頬刷りをして気持ち良さそうにしていた。



 ※



 シーランド軍2020空軍


 アヴァロン級浮遊航空艦:1艦

 カールレオン級浮遊航空艦:3艦

 巡洋艦:6艦

 駆逐艦:16艦

 第9世代KMF:8騎

 第8.5世代KMF68騎



 シーランド軍2022空・海軍

 アヴァロン級浮遊航空艦:1

 カールレオン級浮遊航空艦:7

 88,000t級戦艦:2

 80,000t級空母:1

 8,800級t巡洋艦:10

 7,000t級駆逐艦:30

 第9世代KMF:8騎紅蓮聖天八極式量産型4騎、ランスロット・アルビオン量産型4騎

 第8.5世代KMF:68騎ヴィンセント・カスタム68騎

 第7世代KMF:200騎ウィンダム100騎、ヴィンセント100騎

 第5世代KMF:500騎グロースター200騎、サザーランド300騎

303休日:2023/05/14(日) 23:23:38 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
次のお話です。
異世界編です。

304休日:2023/05/14(日) 23:24:36 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 七三分けの刈り上げにちょびひげ。眼光鋭い男は歓喜の声を上げた。

「ついにだ!ついに我が盟邦がその軍を完成させた!」

 日本でもない、ブリタニアでもない、AEU宰相アドルフ・ヒトラーが盟邦と呼ぶのはただ一国。

 AEU内の国家連合ではもちろんない。国家連合AEUはその形で完結しているからだ。それぞれが独立国家でありながらも、連合としては一つの国。だからこそ超大国を名乗れる。

 ネームドの超大国ほどでは無い物の、十二分に超大国と名乗れるのだ。そんな彼の国の宰相が盟邦と呼ぶ相手など一つしか無い。

 シーランド王国だ。大日本帝国、神聖ブリタニア帝国の二大超大国から最恵国待遇を与えられ、AEUもまた続く形で最恵国待遇を与えていた国が、ここ暫くの間軍拡に走っていたのは記憶に新しい。

 しかもその理由が、我々の戦いに参戦できなかったことを悔やんでの物だというから、ヒトラーは感激した。

 これこそまさに友邦としての、盟邦としての在り方では無いか。そうは思わんかねヴェランスよ。親友ヴェランスにも同意を求め、またヴェランスもその通りだと同意。盟邦の軍の完成を祝った。

 その内訳は生憎と日本、ブリタニア色の強い物だが、そこはAEUも日本、ブリタニア色が強い物だから仕方が無い。

 内訳は


 シーランド軍2022空・海軍


 アヴァロン級浮遊航空艦:1

 カールレオン級浮遊航空艦:7

 88,000t級戦艦:2

 80,000t級空母:1

 8,800級t巡洋艦:10

 7,000t級駆逐艦:30

 第9世代KMF:8騎紅蓮聖天八極式量産型4騎、ランスロット・アルビオン量産型4騎

 第8.5世代KMF:68騎ヴィンセント・カスタム68騎

 第7世代KMF:200騎ウィンダム100騎、ヴィンセント100騎

 第5世代KMF:500騎グロースター200騎、サザーランド300騎

 水中用KMF:ポートマンⅡ300騎

 水中用KGFヴァル・ヴァロ、シャンブロ多数

305休日:2023/05/14(日) 23:25:36 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「けして大国並みとは言わぬが、充分に中規模国家だ。これを予定では三か月で揃える予定だったという日本、ブリタニアは相変わらず恐ろしい。しかしゲッベルスくん何故軍拡に消極的だった日本が動いたと思う。ファルネーゼくんも意見があれば答えてくれたまえ」

 するとファルネーゼが答えた。

「南天をだしに使ったのでは無いかと思われます」

「南天をかね」

「は、シーランドが軍拡をする。力こそ正義のブリタニアは賛成。しかし技術の研鑽こそ優先すべき日本は消極的。では日本を味方に引き入れるには北側諸国共通の大敵である南天条約機構を引き合いに出し、南天に備えるためにもシーランドの軍拡は必要だったと説得成されたのでは無いかと愚考致します」

 ヒトラーはふむ。と世界地図を見る。今やもう意味を成さない世界地図。大転移災害によって南天とも地球とも引き離されてしまったために。

 ファルネーゼの言葉を引き継ぎゲッベルスが答えた。

「ただ、いずれにせよこの状況。この未知の惑星に転移してしまった以上は軍拡ありきで事を進めるべきでしょう。このあたりも日本、ブリタニアとのすりあわせが必要です」

 未知の惑星。どのような脅威があるか分からない。この状況で軍縮は無い。

 一年と少し前、ロウリア王国と接触した際、次に来たら殺すとまで言われた。力こそ正義の世界かも知れない。

 これを考慮し、次に地域の覇権国家だというパーパルディア皇国と接触した際は砲艦外交で接触した。パーパルディア皇国が特別だったのかも知れないが、若干の小競り合いが発生し、皇帝の代替わりが起きたが、結果としては上手くいった。

 以後、第三文明圏と、文明圏外諸国と呼ばれる他国から相手にされていない地域との国交開設にあたり、宥和政策と、砲艦外交を交えた政策をとってきたのだ。

 危険だといわれる国には最初から砲艦外交で。優しい国だ、融和的だと言われる国にはこちらも友好的に接してきた。

 そんな中突如日本の神根島近海に、海の中まで入り込む不思議な雲が現れた。この雲は何なのだろうか?日本は万一を考え、自爆装置付きの無人偵察機を20機も雲の中に送り込んで調査を始めたのだが、調査を始めて分かったのは雲の向こう側は荒廃した日本が広がる世界だったと言うことだ。

 荒廃が何処まで進んでいるか分からない。ファルネーゼは知らないことだが、ヒトラーとゲッベルスは、この世界には平行世界と呼ばれる世界が存在していることを知っている

 この荒廃した日本も何処かの平行世界なのだろうと考えたヒトラーは、更なる調査を行うべきだと主張、仮に放射能まみれの世界で雲を通じて放射能が漏れてきたらたまらない。

 調査結果として分かったのは、平行世界の日本は、平行世界のブリタニアとの戦争に敗れ、全土が荒廃し、エリア11という植民地とされてしまった世界だったのだ。

 これに珍しくヒトラーが怒った。ヒトラーにとって前世の日本は黄色い悪魔だった。出来れば倒したいとさえ考えた事もある。だが、この世界ではヒトラーは日本に助けられた。それこそあらゆる面で助けてくれた朋友なのだ。その朋友が平行世界とは言え植民地にされ苦しめられている。

 またブリタニアも自国の恥ずべき行いに恥じ入り、何よりも日本国民のブリタニアを倒せ!平行世界のブリタニアに誅伐を!の声に推され、北側諸国会議の総意の元、北側諸国同盟軍が送り込まれたのである。

 各国から集められたその総戦力は膨大な物で。

306休日:2023/05/14(日) 23:26:17 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 原作世界エリア11派遣艦隊


 大和級戦艦2

 戦艦ペンドラゴン級4

 グロイスドイッチェラント級戦艦4

 巡洋艦150

 駆逐艦320

 130,000t改大鳳型航空母艦8

 浮遊航空艦120

 紀伊型強襲揚陸艦10

 通常型揚陸艦230

 VTOL1,200

 第6世代統合打撃戦闘機630機

 第7世代KMFウィンダム670騎

 第8.5世代KMFヴィンセント・カスタム250騎

 第9世代KMFラウンズ機8騎

 同じく第9世代KMF蜃気楼弍式20騎

 紅蓮聖天八極式量産型57騎

 現在最強のKMF第9.5世代機フリーダム・フローレンスの出撃こそ見送られたが、グレートブリタニアの中で待機状態に置かれた。デヴァイサーのモニカ・クルシェフスキーは夫である嶋田繁太郎の守護として戦艦大和の甲板に乗っている。

 フレイヤ搭載の戦略潜水艦100隻

307休日:2023/05/14(日) 23:27:19 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 砲艦外交の前にシーランド軍完成





 どう考えてもやり過ぎ感が否めない物であったのだが、あのヒトラーが「日本救出に!ブリタニアが話を聞かなければ本土を消し飛ばせ!!」とF号兵器を満載した戦略フレイヤ潜水艦を100隻単位で送り出すという無茶振りをやらかしたおかげで。

 平行世界のシュナイゼルとの会談に取り付け、一応の戦争は回避されたのだ、が、平行世界のシュナイゼルには分かっていた。戦えばブリタニアは滅ぼされると。理論上で研究されている空を飛ぶ翼を持ったKMFの群れ。エナジーウィング機だ。あんな物を大量生産しているような国家勢力にブリタニアが勝てるわけが無いと。

 だからこそ宥和政策をとった。こちらの世界の代表たる嶋田、シュナイゼル、ヒトラー、は戦争も辞さずのつもりだったのだが、向こうのシュナイゼルが戦争回避に動いていると知るや態度を軟化させた。

 また、ユフィユフィ会談の結果も上手くいき、平行世界のユーフェミアは今現在荒廃し、植民地となっているエリアを自治国にまで引き上げ、ブリタニア帝国を、帝国のまま連邦制国家に移行させて見せます、将来的に必ずと誓い。この言葉を信じ、暫く軍を駐留させた後エリア11から撤退したのだ。

 この異世界よりの大軍の出現で平行世界の澤崎敦が命拾いをしたのは余談である。


 そして時は平行世界ユーフェミアがこちらの世界へとやって来た頃に。シュナイゼルも共に来たが、大日本帝国の圧倒的な発展度を見て自身の選択(不用意なる交戦)を選ばなかったことが正解だったと思い知らされた。

 空を貫く摩天楼という言葉があるが、あれは200m、300mクラスのビルディングを指すのであって、よもや900m、1,000mのビルディング、2,000mを超える高さの展望タワーが存在していようとは思わなかった。

 強化耐震ブロック性の建築物はブリタニアと同じだが、全体の層がかなり高く、延べ床面積はどれ程の都市圏なのだろうか? 

 何処を見回しても700m、800m、900、1,000、のビルばかりが林立し、それ以下の摩天楼群を押し隠してしまっている。それも併せれば、これはもう都市という枠を超えた何かとしか思えなかった。

 偶然書店で手に取った別札宝大陸2023小国シーランドのシーパワー。少ししゃれているのだろうその読み出しにクスリと笑った平行世界シュナイゼルは中身を見て驚愕した。

「バカな……ッ!!」

 海に浮かぶ人工島国家。ここまではまだいい。その軍事基地にアヴァロン一隻、カールレオン七隻が停泊しているのだ。

 それだけではない。例のエナジーウィング機が何十機と8.5世代機。9世代機。頭がどうか成りそうだった。小国でこれだと大国や超大国はどうなるのだ。

 そうだ。そういえば此処日本は『技術の日本』と呼ばれる超大国だった軍事力は。



 別冊宝大陸本気を出した『技術の日本』の実力は2020〜2023の軍事力の推移


 大日本帝国


 2019年

 帝国陸海空三軍の戦闘機・爆撃機等総作戦機数:11,649機(第5世代及び一部6世代戦闘攻撃機8,267機。その他戦略爆撃機・哨戒機・輸送機・給油機・電子戦機等作戦支援機3,382機)

 戦闘・輸送・汎用VTOL:5,983機。

 計画中の物も含めた浮遊航空艦艇40隻。現在14隻建造中。予定月産30隻。倉崎重工・スメラギ重工フル稼働・必要に迫られ大増産中。

 KMF12,537騎(第5世代+第7世代。順次第7世代機へ更新中。
 他第8世代技術実証機,第8.5世代,第9世代,第9.5世代量産中)

 90式改、10式、10式改戦車13,835両(第4世代〜第4.5世代)、

 自走砲・野戦砲23,367門。

 装甲戦闘車両35,276両。

 戦艦2隻(世界最大の128800t51㎝三連装電磁砲三基九門。一番艦大和、二番艦武蔵、三番艦、四番艦、同時建造中。半年後就役ネーム信濃、長門)

 鳳凰級〜改鳳凰級後期クラスの航空母艦16隻(空母戦闘群16個群)

 戦艦含む主力水上艦艇287隻

 揚陸艦艇504隻

 潜水艦155隻

 他補給艦・支援艦・ミサイル艇・哨戒艇・掃海艦艇等352隻。

(戦車・装甲戦闘車両・予備役の無頼改まで含めたKMFの合計で約71,000。哨戒艇等の小型船舶まで含めた海軍艦艇1,300。8,000機以上の戦闘機・攻撃機を含めた主要作戦機11,000)

 対南天政策シフトにより全戦力を大増産中。予備役の無頼改も現役復帰。

 常に世界の数歩先を行く技術力を誇り、対ブリタニアを相手にしても常に半歩先を行く。
 ブリタニアからの発注でラウンズ機を開発したり改造したりすることもある。
 世界最大の技術先進国、三大超大国の一つで通称『技術の日本』艦艇の技術能力ではブリタニアの一歩先を進んでいる。

308休日:2023/05/14(日) 23:29:44 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 上が2019年のもの。この時点で我がブリタニアは負けているが。で皇歴2023年のものを。




 大和型戦艦満載排水量168,000t。60cm三連装超電磁砲の威力は?! 射程1,000kmで試射!? 射程20,000kmどこを狙うのか新型弾道ミサイルの実力!?

 市民団体抗議、超重斑鳩級浮遊航空艦『平安』の名称変更を。

『キュウシュウを丸ごと吹き飛ばすハドロン超重砲を備えた船名に平安は見合わない!!』

「見出しを見ているだけでもゾッとするな。本編は」

 極超音速ミサイル搭載の統合打撃戦闘機18,000機

 作戦機10,000機

 戦車・装甲車113,000両

 作戦車両120,000両

 第9.5世代KMF5騎

 第9世代KMF760騎

 第8.5KMF4,200騎

 第7世代KMF12,000騎

 第5世代KMF21,000騎

 第4世代KMF20,000騎

 戦闘用輸送用VTOL8,800機

 主力水上艦艇1,000艦体制。

 大和型戦艦4艦

 浮遊航空艦650艦

 小型可翔艦750艦

 100,000t超航空母艦24艦

 戦略潜水艦300艦

 攻撃型潜水艦500艦

 日本海・太平洋・東シナ海・南シナ海に幾つもの人工島基地や通常基地を作ると共に本土にも大量配備、千島、樺太、神坂、千琴、アリューシャン全島、各衛星国にに配備。

 各F号兵器総数100,000発配備。


 思わず立ち読みをしながら立ちくらみをしてしまう。たった4年で何という技術革新と戦力の増強をしてしまえるのか。

 これと相対していた敵がいるというのもまた恐ろしい、こんな怪物と相対できてしまうのだから。

「冗談では無いッ!このような国と戦争になってしまえば我がブリタニアは灰になる……ッッ。はッ! ということはこの世界のブリタニアは技術面では日本に劣るも、生産力、工業力では更に。AEUですら我が国を上回る能力があるようだ。戦争回避は完全な良判断だったな。それに、無用な犠牲を産みたく無いのも本心だ」

309休日:2023/05/14(日) 23:31:08 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ※


「まあつまり、我々は平行世界にかかりきりとならずにはいられなかった。そこでこの世界の治安を守るのはこの世界の者。パーパルディア皇国となる。丁度あのロウリアなる無礼千万な国が、パーパルディア皇国が戦列艦を処分し、竜騎士団を解散し始めたのを見て、何をどう考えたのか、凋落したと見て取ったようだ。そして70,000,000人のパーパルディア皇国民を奴隷としようと動き出した。私に言わせれば馬鹿としか言えんが、38,000,000の国がどうやって70,000,000の奴隷を養っていくのか。まあ、パーパルディア皇国には、我らと日本とブリタニアが援助したあれらのおもちゃで負けることはなくなった。が、落としどころが面倒だ。ロウリアを完全に潰すのか?それともここで手打ちとするか? ゲッベルスくん、レミール代表からは何か聞いておるかね?」

「いえ、レミール代表から日本やブリタニア、我が国に今回の戦争に関することはまだ。もしくは現地勢力にあのおもちゃの説明をした上で、我々と現地勢力との仲立ちをと考えておられるのでは。確かムーの観戦武官がロウリア艦隊消滅の瞬間を見ておる筈ですので」

「ふむ。友好的な相手が多くなるのは良いことだ。レミール代表が日本に戻り次第、事のあらましを尋ね。ロウリアをさっさと潰して貰うか。あの阿呆の国を放置しておくとまた変な野心を抱きかねんからな。今の残存戦力でもクワ・トイネ公国やクイラ王国には驚異だ。馬鹿に付ける薬は無いというが、はてさて」

 ヒトラーはあきれ顔で新しく作った第三文明圏、第二、第一文明圏、南方世界、更にムーより離れた場所にある、大陸よりも少し小さな陸地の映った地図を眺めていた。

「この地図すらこの星の一部に過ぎん。地球の6.3倍とは何と広い表面積か。まだまだ他にも陸地はあるからな」

「慎重に行かなければなりませんね」

「その通りだよファルネーゼくん。ゲートの向こうのこともある。とくに腐れたユーロユニバースだ。あれをどうにかしたい。我が友ヴェランスも苦い顔をしているらしいぞ」

「それはまあ、平行世界とはいえ腐った欧州を見過ごせないと思われますので」

「とりあえずはまあ。モニターを繋いでくれたまえ。相手はシーランドの首脳だ」

 
 ぷちゅん


 映し出された瞬間。シーランド国王ヴェーツは食事の最中だった。内容は日本のカレー。

『こ、これはヒトラー宰相、ファルネーゼ卿に、ゲッベルス閣下も」

 ヴェーツにとってヒトラーたち旧ユーロ・ブリタニアの面々は自分のピンチを何度も救い、決戦の日には国その物を救ってくれた恩人達である。

 その恩人達の前でこれは少しばかり格好が付かない。せめてリラックスモードの時の通信なら余裕を持って応じられるのだが。

「ああ、かまわんかまわん、自然にしてくれていたら良い。国家元首という立場上私と君は対等だ」

『じゃあそうさせてもらうぜヒトラーさん』

「はは、それくらい砕けてくれた方が良い。どうも私の周りは鯱張っていかん」

『そりゃヒトラー閣下の立場ならそうも成るぜ』

「カレーは美味しいかね。一説にはカレーは飲み物とも言うが飲めるのか」

『まじで呑もうとしたら咳き込みますよ……妻は今出かけでしてちょっと格好が付かねえけど。どうしたんだい急に」

「いやなに。シーランド軍の完成をおめでとうと。日本やブリタニア、北側諸国からも入っとるだろう。私だけ遅れてはと思ってな」

『パーパルディア皇国のレミール皇女と朝田泰司外交官からも入りましたよ。あのお二人結婚を前提として子作りも前提としたお付き合いをされてるってんで、祝電送っておきましたよ。いや世界を超えてのロマンスいいじゃないですか』

「超弱小国にも負けたのか。これはいかんな。それはともかくレミール皇女と朝田外交官が結婚するなら祝電を送らんとな。立派な演説を送ってやろう。しかし挨拶関係で超小国に後れを取るとは重ね重ね失態だ」

『いやいや、いまやもうパーパルディア皇国も立派な北側の一国だよ。デュロとかクーズとかこの間見てきたけど立派な近代都市になってた。流石は三大超大国様々」

「褒めてもお小遣いは出ないぞ……まあ、正式な軍発足の式典でもやるなら呼んでくれ。式典をやらんでもカジノ目当てで行くかもしれんが」

『はは、うちのカジノ人気ですねほんとこの間も山本閣下が来てましたぜ』

「アドミラル山本が? しかしあの男は」

『入店禁止継続です。あの人が来たらカジノ街が潰れますからね』

「まあ確かに懸命だ……それではここらで」

『また気軽に連絡くださいよ』


 ぷちゅん


「あの男、国家元首なのに気さくで気持ちのいい男だ。私の周りには少ないタイプだな」

310休日:2023/05/14(日) 23:32:54 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
なんだか私ばかり投稿して申し訳ないです。

311トゥ!ヘァ!:2023/05/14(日) 23:41:11 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

シーランドも着々と増強していますね。
問題は人手ですが、ここら辺は無人化を進めるか、他所から人を募るかでしょうかね?

投稿に関しては投稿できる人がやっているだけなので気にしなくていいかと。

312二二三:2023/05/15(月) 00:23:07 HOST:KD106154151079.au-net.ne.jp
日本の人口4億くらいブリタニアの人口10億。AEUの人口も10億超でしょうしジルクスタン中華転移してくるから移民募れば新天地ってことであつまりそう

313二二三:2023/05/15(月) 00:26:05 HOST:KD106154151079.au-net.ne.jp
つか見落としてない?日本の軍事力バグってるの

314休日:2023/05/15(月) 06:18:34 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp



『3番熱い!3番!来るこれは確実だーーっ!!』

「よっしゃーーイケイケ抜けー…………やったーっっ!! 200,000万馬券っっっ!! いよっしょああああああああっっ!!」

 額にはバンダナを巻き、威勢良く茶の髪を逆立てた男は誰もいない自動運行モードのネッサローズのブリッジで、ガッツポーズの勝利宣言をしていた。

 ネットで買った馬券が大当たりしたのだ。ここなら、夜の此処なら多少騒いでも大丈夫そうと考えての大声だったのだが、大声以前にある仕掛けを施されていた男は、何処に居ようが、とある人物には丸見えだったのだ。

「はいっ、没収」

「うげェ、ままままマリーしゃん」

「毎度毎度同じ事を為さいますわね。本当に懲りない方。兄さまの脳みそには2Bitの容量すらも無いのではありませんか?」

 髪を逆立て紫のシャツ、ジーパンの代わりに短パンを穿いている男、玉城真一郎は。マントの羽を広げた聖女のようにも見える、薄紅色の腰下まで伸ばされた長い髪と、桃色のロングスカートを纏った女性。神聖ブリタニア帝国第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニア皇女に、端末を取り上げられた。

「どうして俺がここにいるって分かったよ」

 目の覚めるような美女を前に、面白くなさそーな顔をしてごちる玉城に、マリーベルは。

「兄さまの為さる事などお見通しですもの。ですので発信器をポケットに入れておきました」

「は?え、まじ?げえっ?! まじで入ってんじゃねーか!!」

 玉城のポケットには四ミリ四方の薄いカード式の発信器が一枚入っていたのだ。マリーベルの言うその通りに。

 この様な物を忍ばせるあたり、マリーベルもなかなかの策士である。

「マリー、お前なあ。プライバシーって言葉知らねーの」

 プライバシーだ。玉城真一郎にも当然あるプライバシーを。

「知りません」

 ガン。

 ひっくり返る玉城。まさか真正面から否定してくるとはなんつー女だ。

315休日:2023/05/15(月) 06:19:18 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「少なくともわたくしと兄さまの間にプライベートは存在しないものとわたくしは考えます。この心。この気持ち。この身体。全て兄さまのものだと考えますわ。当然ながら、兄さまの身も心もお気持ちもわたくしだけの、このマリーベル・メル・ブリタニアだけのもの」

 誇らしげに宣言するマリーベル。私の全ては貴方の物。でも当然貴方の全ては私の物。愛の告白だ。こんな処誰かに聞かれたら大騒ぎになる。神聖ブリタニア帝国第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニアがただ一人の、三流校卒のアホに懸想をしているなど彼女の弱点以外の何物でも無い。だが彼女は常々言うのだ口にするのだ、玉城真一郎を愛していると。

「お前ね。冗談でもんなこと誰かのいるところで言うなよ? 絶対に変な誤解を受けてさらし者にされるから」

「うふふふ、どうせならばさらし者になりましょう。いっそ兄さまがわたくしを抱いたと言う噂を流すのもありかもしれませんわね」

 そうすれば既成事実も出来て、晴れて兄さまはわたくしに婿入りをと平気で宣う皇女様。

「ねーよッ、ねーッ、ねーッ!」

 玉城はマリーベルの口を塞ぎ、彼女を脇に抱えると、見られたら困るからと言う理由で、自分の部屋へとダッシュ。態となのか、マリーベルは大きめの声で話をしていたので質が悪い。

 まるで巡回中の衛士にでも聞こえるかのように大声で。コイツは狙ってやっているのだろうか。コイツは自分が宝石なのだと気付いていやがらねーのか?コイツは俺が道端の石ころだと気付いていやがらねーのかよ。

「まあっ、兄さまったら、わたくしをお部屋へ連れ込んで。ああわたくしはこれから抱かれるのですわね……初めて、なので……どうか、優しく……して、ください、まし」

 どうせするつもりもない挑発だと分かっていても、こんな美女からの挑発だ。アホの俺でも理性くらい揺らいだりする。もしもだってあり得る。だから止めてくれ。

「アホ、馬鹿、だからそういうことを言うんじゃねーの、お前ただでさえ美人なのにそういうこといわれたら――」

「え!え!なんと仰いましたの?! もう一度、今一度お聞かせくださいましっ?!」

 ついつい出てしまった本音。そうだマリーベル・メル・ブリタニア皇女は美しい。掛け値無しに美女だ。こいつと匹敵する俺を好いてる美“少女”はあいつだけ。この二人をブスだという奴がいたらそいつは目がおかしいか頭がイカレてる。断言しても良い。コイツらは絶世のを頭に付けても申し分ないくらいの、美女美少女だ。惜しむらくは好く相手を完全に間違えているところか。コイツらなら貴族・皇子そんなんを好きになり結婚すべきだ。三流校卒の夢崩れのアホのニートに熱上げてんじゃねーよ。

「…………美人だよ。ああもうマリーベル・メル・ブリタニア皇女はぁ美人だよッ!! これでいいんだろ!」

 だが、本音は本音だ。本音を言われろ嘘を突くなと言われたらコイツは、掛け値無しの美人だよとしか言えない。これだけの美人は人生で三度あった、俺が恋して恋い破れたネリー、コーネリア・リ・ブリタニアと、俺に引っ付いて回ってくる糞チビ、桜色で俺の事は絶対に裏切らない女の子、クララ・ランフランクこと最強の暗殺者クララ・ジ・ブリタニア。そしてコイツが子供の頃に「一緒に夢を叶えましょう」と誓い合った、誓いを交わした神聖ブリタニア帝国第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニア皇女。この三人だ。

 一人は、本命は脈無しなのに、本命じゃねー二人が好きと言って離れねー。俺みたいなクズヤローを好きなんて言って離れねーんだ。

「…………本当に、本音ですの」

316休日:2023/05/15(月) 06:20:08 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 月夜のネッサローズ



「んあ……?」

「答えなさい玉城真一郎!今の言葉、一遍の嘘偽りも無く本音ですのね? あなたはマリーベル・メル・ブリタニアを美人だと、本心からのお言葉として見て下さっているのですわね?」

 コイツは何を焦っているのか。何処を見ればコイツのことをブスだなんて言う奴がいるか。同じベンチでやかましく泣いてただけの糞ガキが、よくもまあここまで立派に育ちやがったもんだよ。

 一種の感慨深ささえ覚える。俺はコイツと家族でも何でもねえ。再会したときゃそりゃ偉い目に合っちまった。死ぬ瀬戸際まで行ってコイツもアイツも壊れかけた。

 ほんの何か一つの歯車が狂っていたら、今の平和な俺たちは無かったんだろうな。コイツもアイツも無謀な復讐に臨んで死んで、多くの人間が悲しんで北南世界大戦ってか。

 コイツら分かってんのかよ。自分たちが北側諸国の重要人物だってこと。ちょっと考えりゃアホの俺でも分かるぜ、それが、俺なんかに、俺みたいな屑にかかりきりになっちまって、北南大戦まで起こしかけやがって、馬鹿じゃねーの?

 いや、俺なんか其処までの大物じゃ無い。俺が死んだところでコイツとアイツが泣いてくれるくらいさ。でもな。俺みたいな奴でも泣いてくれる奴くらいいるんだよな。なんでかわかんねーけどさ。俺のために泣く美女と美少女がいるんだよな。

 男冥利に尽きるっつか、勿体ないわ。

 マリーベル・メル・ブリタニアも、クララ・ランフランクも、俺みたいな糞男の傍にいようとすんじゃなくって、社交界ですげーの捕まえるのが普通なんだろ。

 こいつらは自分を無駄遣いしてる。自分の価値が分かってねー。お前等が見てるのは、注目してるのは道端の石ころなんだぜ? そんなもんを必死になって奪い合ってる。なんつー滑稽な姿だよ

 なーマリーベル・メル・ブリタニア。シャルル皇帝の手伝いを、対テロ部隊の創設を試みて夢を叶えたその先で見つけた石ころに、お前は何を望んでるんだよ。

 クララ・ランフランク、シークレットエージェントとして暗殺者を極めた皇兄女殿下。お前も同じだよ。石ころ相手に殺すだのなんだの、何必死になっちゃってんの。

 お前等みたいな金と石ころじゃ土台価値が違うんだよ。石ころはどんなに磨いたって石ころなんだよ。

「…………本音だよ、お前は美人でキレーだよマリーベル・メル・ブリタニア。俺なんかを好いてる奴でおまえレベルのやつはアイツだけだ。大体お前等頭おかしいんだよ金塊が揃って石ころ好きになって、追っかけまわしてる。言っとくがな。石ころはどこまでいっても石ころだぜ金塊には金にはなれない、お前等は必死になってそんな糞の価値もねー石ころを――」

 パンッ

 ベッドの上俺がマリーベルにのし掛かられる体制。乾いた音が一つ響き渡る。

 左頬が痛かった。この激痛はあの時以来かも知れねえ。あの再会の時の銃撃と。

「見くびらないで下さいませ。誰が石を好きにならない金がお有りと申したのです、あなたは確かに金には成れないでしょう。でも、その石と添い遂げたいと願う金が此処に確かにあるのです」

 ああ、じんじんする。なんだこりゃ。痛みが浸透してきてるみたいだ。いてーや。

「いいえ、ここだけではありません。悔しいですがあなたという石ころを愛している方は地上にもいらっしゃいます。その方もまた金です。あなたは二つの金に愛される特別な石ころなのです」

 痛え、痛えわ。軽くぶたれただけなのに。心の痛み、ほんの数年前味わったばかりなのに。また俺は忘れてたのか。忘れて、コイツに味わわせてたのか。

 アイツだったら泣いてんのかな。とんでもねーツエーくせに、心の奥底はもろいアイツなら。

 マリーが俺に覆い被さる急な展開に予測不可能。なにをしたいんだろうかこの金は。凄い真顔。真剣な顔。ああ、美人だわほんとに。

「地上の金は悔しいことにあなたと先に口付けを交わしたそうですね」

317休日:2023/05/15(月) 06:20:48 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 地上の金、クララ・ランフランクとのディープな口付け。交したな。こんな俺なんかにキスしたら唇が汚れるってのに。アイツは俺なんかの唇を。

 は? 顔を寄せてくるマリーベル。肩口から薄紅色の長い髪が流れ落ちて、俺の顔や頬を滑り落ちて、肌に張り付く。オイ、お前何しようってんだ!

 羽のマントがふわりと広がって、俺とマリーベルを包み込む。もう離さないとでも言うかのように。離れないとでも伝えてくるかの様に。

 クララの時もそうだったけどさ、女の髪ってすげー良い匂いがするんだよ。肌触りも最高でずっとこうしていたいって。マリーベルの長い髪の毛に指を入れて梳き通した瞬間だった。触り心地のいい髪の毛だなって──

 て、思って――

「んうう」

 あ、もう、遅かったこの馬鹿な金も石ころに引っ付きやがった。

 ああ、馬鹿だ、本当にバカヤローだ。なんの価値も無い。無価値の石ころにこの金はくっついってきやがったよ。アイツと同じように。いや、アイツ以上に。

「んっ……んッ――」

 俺は何もしてない。ただ唇を重ねられているだけ。してるのはせいぜいマリーベルの長い髪を何度も何度も梳き通して、髪の毛の手触りを楽しんでいるだけ。

 ただし、マリーベルはそんなんじゃすまない。マリーベルの方は俺の唇を押し割って舌を口内に侵入させてくんの。逆レイプみたいなの。これなんてーの? 逆キッス? 馬鹿だわコイツも。無価値の物になんでどうしてそんなに積極的になるんだよ。

 ああ、でもこの馬鹿のキスは気持ちいい、ぶよぶよとしていて、滑らかで、濡れた舌の感触が、俺の口の中を這い回るのが分かる。歯茎を優しく丁寧になぞり、口内の粘膜をなぞりながら、舌の裏をつつーっとなぞっていく。

 エクスタシーっていうのか。身体が勝手に反応してマリーベルを押し倒そうとするも、強力な格闘技術を持つマリーベルには適わず、ひっくり返り掛けた体制を再び元に戻された。

 舌が少し離れた瞬間耳元で。

「おいたはダメよ?」

 そう言われてまた口付けられた。

 今度は手を拘束されて片手で腰を引き寄せられての、脚を絡ませ合いながらの、口付け。これもう口付けを通り越してるんじゃねーの。

 丁度続き、俺がマリーベルに覆い被さろうとした瞬間からの。終わりは近い。

 裏筋を舌全体で舐め上げていき、頂点まで辿り着くと、予想したとおり、舌を巻き付かされた。

 限りなく優しく全体を揉み込むようにして、ちゅるちゅると音まで出るほどの激しさで。

 官能だけが刺激されて、このままもう、マリーベルを抱きたくなってしまう。この勘違いした馬鹿な金に、石ころの硬さを教えてやりたいって。

 俺はどうしても身体を反転させたくてもがくも、マリーベルはそうさせてはくれず、ベッドの上でびくんびくんと痙攣する俺をマリーベルが余裕を持って押し倒している構図が出来上がっていた。

 影で見ると、達する俺をマリーベルが受け止めても見えるだろうこの構図。アイツや筆頭騎士に見られたら殺されちまう。

「ちゅる――……ああ、兄さま。わたくしと兄さまはいま一つになったのですね」

 マリーベルが俺を抱き締める。大きなお胸が俺のなんの取り柄も無い胸部に当たって潰れて、まりまりぷにょぷにょ、気持ち良すぎ。当然彼処にも血液が行くわけで。

「兄さまと、このまま伽へと参りたいですわ。伽へと参り、夜を超え、このネッサローズの兄さまの部屋で朝を迎えるの」

 と、伽って、え、え、えっち、だろ?

 俺もどーでもいいわってえっちしようとしたけどよー、流石にそれは不味いだろどう考えても。

 お姫様と平民なんだぜ。

「それはまずい、その、そういうので始めたんじゃねえだろ」

「うふふふ流石はわたくしの兄さま。今もし致そうなどという行為を見せましたら首の骨を折っていたところですわ」

 し、シャレにならん。コイツ怖すぎる。

「じ、じゃあ、あらためまして、してェっ!て言ったらどうする?」

 ちょっと時間を空けての再度の試みって奴は。投げやりな質問にコイツは。

「兄さまが、その、本気でわたくしをお抱きになりたいと申されるのならば……金は、石ころと一つになろうかと」

「不味いだろ、お前皇女で俺平民なんだぜ国は違えども」

「平民と契りを交し婚姻に至った皇族も居りますわ」

318休日:2023/05/15(月) 06:21:20 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「誰だよそれ、言えるのかよ」

「わたくしのお父様です。平民からの奥方を数人娶っております」

「よりによって現皇帝かよ」

 態勢変わらず、マリーベルの髪が俺の顔に掛かっているが、彼女の表情は見えず。

 俺の腰は相変わらずマリーベルに抱かれている。腕を掴む手の力は緩んでいる。

 本当にOKなんだろうが、俺は抱き締めた、抱き締め合う形で留めた。

 そのまま頬を擦り寄せ合って。俺はマリーベルの髪を優しく優し撫でてみてさ。指の間を髪の毛が透き通っていくのよ。しっかり手入れされてるんだな。本当に言い触り心地なんだぜ。

「なあ、もう寝ようぜ。あと端末返せな」

「はい、寝ましょう。端末は返しませんが」

 石ころを好きになる奇特な金もある。それも二つも。マリーベル。クララ。二人とも俺の大切な――



 月が出ていた。

 ネッサローズを照らす月が。

 その金色の光は。

 石ころに恋をする宝石のように輝いていた。

319ハニワ一号:2023/05/15(月) 09:55:55 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
休日さん、一連の作品乙です。
しかしカールレオン級浮遊航空艦4隻、88,000t級戦艦2隻、80,000級空母1隻、7,000級ミサイル駆逐艦14隻、8,800級ミサイル巡洋艦4隻、6,800級攻撃型潜水艦4隻という史実世界から見たら大戦力を日本やブリタニアなら余裕で1年もかからずにクラサキ・スメラギも参加したら三ヶ月で揃えられるとか改めて休日日本、休日ブリタニアの国力とてもヤバいですなあ。

320トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/15(月) 11:57:09 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

ああ…折角当たった馬券が…w

321二二三:2023/05/15(月) 21:48:03 HOST:KD106154149226.au-net.ne.jp
マリーにとっては一日でも早く借金返済させたいからしゃーないね

322トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/15(月) 21:49:20 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
ロススト。
一周年記念で限定仕様モニカさんのガチャとモニカさんキャラストーリーが来るようですね。

323二二三:2023/05/15(月) 21:53:58 HOST:KD106154149226.au-net.ne.jp
今アルコールで最高にハイって奴になってて書きたい意欲が高まってるけどこういう時に書く文はやっぱし滅茶苦茶になるんでしょうか?

324トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/15(月) 21:54:11 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
あと一周年ルルの機体が見たことないやつ…
ロスストオリジナル機かな?

325トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/15(月) 21:54:49 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>323
書いた後で一日寝かせて後日改めて自分で見聞して手直しするという手もありますね。

326二二三:2023/05/15(月) 21:59:48 HOST:KD106154149226.au-net.ne.jp
>>319
伊達にネームドの超大国って訳じゃないってところですね
同じ超大国でもAEUは一段落ちますし
でも数の南天も北側三大超大国そろい踏みになると劣勢でしょうね

327二二三:2023/05/15(月) 22:03:42 HOST:KD106154149226.au-net.ne.jp
>>322
モニカさんガチャとキャラストーリー見たいけどお金ない
クレカパンクする

328トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/15(月) 22:11:00 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>327
一周年記念で10連分のガチャジュエルが配られるので、それでワンチャン…

あとはモニカさんのガチャだけ天井100連とか書いてありましたね(通常は200連での確定交換)

329休日:2023/05/16(火) 06:31:01 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
日本国召喚:朝田泰司×レミール
なので初頭の濡れ場シーン嫌いな方は読み飛ばしてください。

330休日:2023/05/16(火) 06:31:34 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 黒を基調とした高級そうなドレス。高級かそうでないかは外交官などという職業上ある程度分かってしまう。

 して、彼女レミールのドレスは、最上級だろう。彼女自身も仰っていたように宮廷服飾職人が仕立てた最上質の物。余程良い腕の職人だと思われる。

 黒を基調にした美しいドレスは、ここが宮廷の舞踏会場ならば、さぞ、映えたこと間違い無しの服装だ。朝田自身もそう思う。美しい綺麗な衣服だと。高級別荘地であるこの別荘、レミール皇女の別荘にもみ合う衣装だ。

 ただ、そのドレスの美しさは、今はなんの意味も成さない。それ以上に美しい女性の身体が、ドレスの美しさを霞ませてしまっているからだ。

「あツ、ああツ……ツあ、たい、じ、たい、じツツ」

 パーパルディア皇国皇族レミール皇女。彼女の美しさの前ではドレスの美しさなど何の意味も成さない。

 膝下まで届く真っ直ぐな銀色の髪は滑らかにして煌びやか、艶やかで触り心地が良く。頭に戴く金のサークレットと調和を図っている。

「あッ……、ああっ……あ、ッんあ、たい、じ……ッ」

 鼓膜を震わせるソプラノボイスはどこまでも高く美しく。美しいと言えば月並みな話だがその容姿、体つき、美貌、正しく絶世の美女と言った風体。これで絶世の美女で無いならば
、誰を以てして絶世の美女と計れば良いのか。

 ドレスの美しさに意味は無いと言ったのは二つの意味がある。それはレミールという女の美しさの前では意味が無いということと、今現在、ドレスの裾がまくり上げられていて、ドレスの体を成していないからというふたつの意味だ。

 ドレスがまくり上げられている理由。態々言う必要があるだろうか。レミールの別荘の建物。そのベッドがある部屋で朝田と深く愛し合っているからに過ぎない。朝田の雄々しい男をレミールがレミールの中へと収められているから。

 愛し合う二人が愛に溺れている、ただそれだけなのだ。レミールは二十代後半と若く、また大日本帝国への赴任への影響から長命種となりつつある。そして朝田泰司は三十前後と若く、長命種である大日本帝国人としては若きも若き年齢にあった。

「レミール皇女ッ……あ、ああッ……レミール、皇女ッ……レミール皇女、愛し合うというのはッ、素晴らしいッッ、行為ッ、なのですねッッ……ただ、気持ちいいだけでは無い、心と心で一つになる行為ッ、レミール皇女の心を感じますッ」

「う、うむッ、そう、だなッ、泰司に愛されるこの瞬間がッ、わ、私にはッ、なによりもッ、なにッ、よりッ、もッ……愛おしい……ああッ、もっと、愛して欲しいッ、泰司ッッ、私の、このレミールの最奥までもをッッ」

 どうしてこうなるか。どうして二人は愛し合い体を一つに繋げているのか。それは他でもない、二人が朝田泰司とレミールが心の底より愛し合う恋人。各国首脳の間では婚姻関係にあるとみられているからだ。

 無論事実としては違う、大日本帝国外交官朝田泰司とパーパルディア皇国皇族レミール皇女は。今はまだ恋人同士の関係。共に住まい、同じ職場で共に仕事をし、共に寝、共に食べる。凡そ全ての婚姻関係は整っているのだが。二人の間は飽くまでも恋人関係なのだ。

 ただパーパルディア皇国皇帝が動き、皇族レミールに限り平民との婚姻を許すとまでお触れをだし、各国首脳はこれを受け、朝田泰司は大日本帝国外務省に勤めながら、パーパルディア皇国皇室にも籍置くという二重の職務体制となってしまった。

 基本は大日本帝国外務省パーパルディア皇国担当出向という形で、仕事は今までと何ら変わらず。レミールの方もパーパルディア皇国駐日大使ながら、大使の仕事が無いときは外交官として朝田と共に浮遊航空艦デュロで第三文明圏と文明圏外、北側諸国を飛び回るという仕事をしている。

 その為、現在の二人は各国からも北側諸国からも婚姻関係にあると認められていた。レミールも朝田も、あのAEU宰相アドルフ・ヒトラーから祝電が届いた日には震え上がっていたという。
  
「レミール皇女……ッ、私とレミール皇女は――」

 ぐっと入る朝田。奥へとすり入ってくる朝田を受け入れるレミール。

「ッんああ、ッあ、たいじッ、私、たちは……なん、だッ?」

「世間ではッ、何故かッ、婚姻関係にあるようですッ……結婚した覚えも無いのにッ、ですよッ」

331休日:2023/05/16(火) 06:32:19 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 その世間とはパーパルディア皇国と北側諸国、最近では大東洋諸国圏でも噂が出だしているらしい。シーランド王国が関係しているとか。なにせシーランド王国は本土が大東洋に有り、多種族も訪れるようになった結果。パーパルディア皇国皇族レミール皇女が日本の平民と結婚したと話が流れてしまっているのだ。

「泰司はッ、嬉しくッ……ッない、のか」

 平民とパーパルディア皇国皇族の婚姻。本来あり得ざるこの婚姻を、自身の恋人は嬉しくないのだろうかと考えてしまうレミール。レミールとて不安なのだ。初めて抱かれたあの日から今日まで何度も繰り返し抱かれた、子供を生んで欲しいと言われ、レミール自身も三人は生むと宣言した。

 あの時の気持ちに嘘偽りは無い。今でももう一度同じことを言えと言われたなら一言一句違わずに言える。私は、レミールは、泰司の子を産むと。

 だが泰司はどうなのだろう? 私に無理をさせて付き合わせてはいないだろうか? 時々考えるのだ。泰司に嫌われていたらとこれを伝えると。

「レミール皇女ッッ、嫌いな女にこんなことは致しませんよッ」

 ずっ、と、限界まで泰司が入って来る。膝下まで届く長い真っすぐなレミールの美しい銀色の髪が流れる。

「あああああああ〜〜〜〜〜〜んふううううう」

 限界まで泰司が入ったところで、レミールは泰司の全てを受けながら。深く深く口付けを交わされた。行為の最中での口付け。初めてかも知れない。

 一年物間付き合い続けてきて、この様に直接的に愛だけを伝えられる行為、もしかしたら初めてかも。泰司はレミールの長い銀色の髪を何度も何度も撫でながら、その初めてかもしれない口付けと、達するという愛の二大行為を同時に行い続けるのだ。それを思うとレミールの両の瞳から涙がこぼれ落ちる。ただただ嬉しい。嬉しい涙が。

 終わりが無いくらいに泰司は出す、幾度も、幾度も。レミールの奥へと。この女は私の物。私だけの女だ。口付けと共に、パーパルディア皇国皇族レミール皇女は私だけの、この、朝田泰司だけの女なのだと、刻みつけた。

 口付けは唇を無理矢理こじ開けて、口内に舌を入れてきて粘膜同士を触れ合わせるように口の中を舐め回される。

 歯茎からなぞられ、口内側部を舐め上げられ、舌の裏筋を優しく優しく何度も舐め挙げられ。

 そうして最後は舌を絡め取られる愛の口付けを私は味わわされた。

「ん゛んッ……ッちゅるちゅく」

 まだ粘りを帯びたそれは私の奥に出ている。口付けは続く。

 ああ、彼は泰司は怒っているのだ。私が泰司の私への愛を疑うような言動をしたから。すまぬ泰司。私はお前の愛を、お前の愛だけを信じる。

332休日:2023/05/16(火) 06:33:49 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ※


「はあ、はあ、泰司、分かったぞ、お前の……私への、愛が。私はこれほどまでに泰司に愛されているのだな。こんなにも思われているのだな」

「そういう、ことです、ですから、お疑いに成らないで下さい……悲しいですから。もし、今度お疑いになったときは、一日中愛します。腰が抜けても愛します。先に宣言しておきますよパーパルディア皇国皇族レミール皇女は朝田泰司だけの物なのです」

 言うと泰司は私から出て行く。

「んんッ」

 泰司の愛はどれだけ深いのか私の彼処はぐしょぐしょだ。泰司も。

 泰司はハンカチを取り出すと、私の大切なところを拭いてくれた、ハンカチとはそういう使い方をする物では無かろうに。

「ん……んんッ、だが、泰司が宣言するのならば私も宣言しておかなければな。大日本帝国朝田泰司外交官はパーパルディア皇国皇族レミール皇女だけの物だと」

 こすこすっと私の大切なところを拭いてくれる泰司の手が一瞬止まり、笑顔を浮かべたのが分かった。互いの所有権は互いにこそある。私と泰司はそういう間柄なのだ。
 
 綺麗になりましたよと笑う泰司。やはり笑顔に少し変化が見て取れる。眼鏡の端から涙が。男の涙を指摘するほどに私も無粋では無い。見なかった事にしよう。その眼鏡をゆっくりと外す。ああ、私の大切なところを拭いたハンカチで眼鏡を拭くなど、曇るし、その良くないぞ?

 だが気にすることなく、そのハンカチで眼鏡を拭きながら、彼は眼鏡を外した。気のせいか眼鏡を外しているといつもよりかっこよくみえるな。いつもみているはずなのに。

 泰司の方は私のが付着したハンカチで自分を拭いていった。気持ち悪かろう。それとも気持ちいいと感じてくれているのだろうか。そうなら嬉しい。

 そうして一通り処理を終えると、私のドレスの裾を泰司が降ろし皺を取ってくれる。こういうところにも泰司の優しさや気遣いを感じて嬉しい。泰司は私にとても優しい。間違いは間違いと正してくれ、良きは良きと褒めてくれる。私の周りには私の身分を恐れて私に口出しをする者がいなかった。

 せいぜいが前皇帝愚帝ルディアスのみ。故にいつの間にか私の考えもおかしくなっていった。そんなおかしくなっていった私の目を覚まさせてくれたのが、この土下座外交すらいとわずに私に接近してきた泰司だった。

 そうして、あらゆる品々、珍しき物を、レミール皇女殿下のためにと差し出しプレゼントをしてくれた。それが私を引き留めるおべっかであったとしても当時の私には嬉しかった。

 そして、北側諸国の真実を私にだけ教えてくれ、信じられないでしょうが現実です。レミール皇女の出方一つでこの国には繁栄か破滅がもたらされます。と迫った。

 悩みに悩んだが、私の心は既に泰司に奪われていたため、泰司を信じた。泰司は肯く私に、肯定の肯きを以て返してくれ。結果として我がパーパルディア皇国には繁栄がもたらされた。

 バサバサと私のドレスの小皺を丁寧に取る泰司。

「泰司……」

 そんな泰司に私は声を掛ける。

「愛して居るぞ」

 スカートの中、泰司の動きが止まる。なんとも締まらない形だが。これが私たち夫婦の在り方やもしれぬな。

「私も、愛しておりますよ……レミール皇女」

 ばさッ、ばさりッ、泰司が私のスカートから顔を出す。

「終わったのか?」

「はい、終わりました。流石に宮廷服飾職人さんの仕立てたドレスをくしゃくしゃにしたままなのは、気分が悪いですからね」

「くしゃくしゃにしたのは泰司がしたのではないか。衣服を脱いで愛し合おうという私の意見を不意にしたのはそなたぞ」

「まあ、それ言われてしまうと、返す言葉も御座いませんが。その、報道陣が待っている中ではあまりお時間を取るのもと考え」

「ふう、報道陣と。ムー国の観戦武官か。最早誤魔化しも効かぬか」

 ここで誤魔化せば余計な不信を招く。それに北側諸国は積極的に国交開設を望んでいる国とは積極的に行く方針であったな。我が国も今や北側諸国の一国。それなりの態度を取るべきか。

 しかし――。

 私は浮遊航空艦の周囲、悲惨なことになった別荘の草地を眺めた。

「見事なまでに剥げてしまったな」

「まあ、植え替えるか、新芽が映えてくるのを待つことにしましょう」

「はーッ、とりあえず報道陣と言っても世界のニュースだが、ムー国大使ムーゲ殿、ムー国観戦武官マイラス殿、同じくムー国観戦武官ラッサン殿を第一外務局へあないしてくれ」

333休日:2023/05/16(火) 06:34:34 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 砲艦外交の前に別荘で








 皇都エストシラント 第一外務局


 対ロウリア戦争の顛末。

 その説明を今よりレミール皇女と共にしなくてはならない。誰も信じない馬鹿げた情報群の開示に、胃に穴が空きそうだった。

「レミール様、はっきり答えて信じるでしょうか?」

「私が聞く側なら信じぬな。泰司は?」

「全てを疑って掛かることはしませんね。世の中何が起こるや分かりませんから」

「確かにな。それに少なくとも一人はすべてを知っている。ムーゲ大使はな」

 すると警備の衛兵が部屋の中を窺ってきた。

「どうした?」

「ムー国大使ムーゲ殿、ムー国観戦武官マイラス殿、ムー国観戦武官ラッサン殿、それと世界のニュースの報道官がご到着致しました」

「入って貰え」

「はッ」


 まず、レミールも良く顔を見知っているムーゲが入って来た。ムーゲは一礼すると席に座らず席の前に立つので、皇女である私に気を遣っているのだなと思い。

「座って下さいと」と進める。続いて入って来たマイラスやラッサンにも座るようすすめ、不気味な仮面を被り表情を隠している世界のニュース報道官にも席を勧めた。

 レミールが切り出す。

「まず皆さんと我が国の認識の違いのすりあわせを先にさせて頂く。ムー国、ムーゲ大使、貴国は本国より。また自らの目より見て我が国が武装解除していたというご認識か?」

「我が国としての認識は、まず、昨年、と少し前になりますか? 貴国パーパルディア皇国で起きた血の革命以来、貴国は温和で融和的な国へと変わられたという認識が御座います。軍事力につきましても1,000隻もの戦列艦を次々と『爆発解体処分し』あまりにも多すぎる竜騎士団も順次解体なされ、植民地についても自由都市として自治都市という裁量権をお与えになった。これだけの大改革を僅か一年と少しの間で成し遂げるとは真に以て、素晴らしきこと、感銘の念に堪えません」

「では貴国ムー国の総意は我が国が武装解除していたという認識でよろしいですね?」

「はい」

「ではまず一点、この総意見解を解いておきましょう。我が国は武装解除などしておりません。こちらについては既にムーゲ大使は御存じのはずですね? すべてをお見せしたはずですから。その確認の為にそちらの観戦武官殿をお寄越しになられた」

「……」

 ムーゲは何も言わない。ムーゲとて知っているからだ。実際にこの目で見、聞き、体験した事を嘘だと論ずることなど無意味な事だと。故にレミール皇女か朝田氏に失礼ながら本国まで来ていただき、ノートPCの一つでも見せていただけないかと提案したのだが却下されてしまった。

 この折衷案として、丁度ロウリア王国が無謀にもパーパルディア皇国に攻め込むという情報を訊き、技官に武官を観戦武官として寄越させたのだ。どうせ信じないなら自分たちの目で見て信じろと。

 そして世界のニュース。こちらは神聖ミリシアル帝国の報道機関だが、諸外国の報道機関でもある。曰くパーパルディア皇国が強大な戦力を手に入れたと聞き取材に訪れたのだ。

 そして、見た、聞いた、体感した、パーパルディア皇国が手に入れた圧倒的な軍事力を。パーパルディア皇国が軍備を放棄した? 誰がつかんできたがせねただ。

 特に技官であるマイラスとラッサンは乗艦での主砲の一斉掃射の際、反動で壁に激突しながらもその眼を開き、ロウリア海軍6,000余隻が消し飛ぶ瞬間を見たのだ。あれは無理だ。ラ・カサミがどうとかではない。あんなものには勝てるはずがない。例のグラ・バルカス帝国の巨大戦艦でも無理だろう。聞けば射程300㎞でその間にあるものすべてを薙ぎ払うらしい。あの超砲弾を止められる何かが現れるまで。

 世界のニュースの報道官も、今までこれまで触れてきた物こそが世界最高の物であると信じて疑わなかったが、今日この日、認識が変わった。何せ彼は此処に第一外務局の待合室に居ながらにして“色つきの鮮明な映像で”戦場を見たのだ。それは無人機や他の戦場カメラマンが持ち込んだ機材の電波を拾った物なのだが、それを見せ付けられて、今更ミリシアル世界一とは叫べなくなってしまった。


「レミール皇女。世界のニュースの報道官さんもいることですしお見せしましょう資料」

「良いのか」

「かまいません。貴国にとっては機密でも北側諸国にとっては機密でも何でも無いので。それに我が国の書店でも普通に売られているでしょう」

「確かに、な」


 言うと同時にレミールは自国の兵器の詳細資料をテーブルの上にばらまいた。

「なッ?!」

「こ、これが貴国の兵器ッッ!?」

334休日:2023/05/16(火) 06:35:34 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 駆逐艦ミシュラ型:16艦

 基準排水量:2,200t

 全長:117.5m

 全幅:10.8m

 吃水:3.80m

 機関:ユグドラシルドライブ旧型×3、エナジフィラー×3、65,000馬力

 速力:36.0ノット

 航続距離:7,000海里

 乗員:250名

 兵装:12.7㎝連装砲×3基

    25㎜連装機銃×2期

    61㎝四連装魚雷発射機×3基

    爆雷18

 同型艦:レシーン、クション、パーズ等

 

 

 重巡洋艦パール型:4艦

 使用国:パーパルディア皇国

 排水量:14,500t

 全長:208.5m

 全幅:21.5m

 吃水:6.8m

 機関:ユグドラシルドライブ旧式×4、エナジーフィラー×4 130,000馬力

 速力:34ノット

 航続距離:11,000海里

 乗員:1,800名

 兵装:15.5連装砲×3基6門

    12.7㎝連装砲×6基

    7.6㎝連装砲×12基

    20㎜連装機関砲×12基

 同型艦:二番艦フィシャヌス、三番艦ディオス、四番艦ムーライト

 
 ゼロ式艦上戦闘機52型改×360機

 ゼロ式陸上攻撃機52型改×240機

335休日:2023/05/16(火) 06:36:13 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 パールネウス型戦艦:4艦

 基準排水量:70180t

 満載排水量:76800t

 全長:275m

 全幅:39m

 吃水:11.2m

 フレイヤ炉搭載

 推進器:スクリュープロペラ4軸

 出力:180000馬力

 速力:32ノット

 航続距離:∞

 乗員:2800名

 主砲:50口径46㎝三連装超電磁砲3基9門

 副砲:60口径15㎝三連装砲4基12門

 対空砲:40口径12.5㎝連装高角砲6基

 20㎜バルカンファランクス4基

 装甲

 舷側:510㎜

 甲板:300㎜

 主砲防盾:750㎜

 二番艦クーズ、三番艦アルーク、四番艦カース

 

 001式コルベット:12艦

 基準排水量:1100t

 満載排水量:1315t

 全長:87.14m

 全幅:12.00m

 吃水:3.20m

 機関:ユグドラシルドライブ旧型

 可変ピッチ・プロペラ:2軸

 速力:36ノット

 航続距離:4000海里

 乗員:65名

 兵装:ファランクス20㎜CIWS1基

   :短SAM4基

   :SSM4連装発射筒4基

   :4連装短魚雷発射管2基

   :艦載機90式VTOL1機

   :戦術情報処理装置

   :3次元式レーダー1基

   :対空捜索用レーダー1基

   :対水上捜索用レーダー1基

   :射撃指揮用レーダー1基

   :電波探知装置

   :電波妨害装置

   :通信情報装置

   :72連装デコイ発射機3基

   :32連装発煙弾発射機2基

   :対魚雷デコイ1組

336休日:2023/05/16(火) 06:37:34 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 軽斑鳩級浮遊航空艦デュロ:1艦

 全長:191m

 時速巡航:450㎞

 最高速度:1000㎞

 ブースター装着時:マッハ2〜3

 乗員:230名

 充足時:340名

 フレイヤ炉搭載

 航続距離:∞

 兵装:単装砲(リニア砲)5問

   :ミサイル発射機2基搭載

   :スラッシュハーケン(近接用武装)

   :ブレイズルミナス

   :KMF無頼初期型最大14騎搭載可能

   :VTOL14機搭載可能


 カールレオン級浮遊航空艦パラディス:2艦

 全長:190m

 最高時速:960㎞

 乗員:210名

 充足時:315名

 フレイヤ炉搭載

 航続距離:∞

 兵装:単装砲×5門

   :ミサイル発射管:2基

   :ブレイズルミナス

   :KMFグラスゴー最大14騎搭載可能

   :VTOL最大14機搭載可能

337休日:2023/05/16(火) 06:38:14 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 001式戦車揚陸艦・ドック型輸送揚陸艦:4艦

 基準排水量:10500t

 満載排水量:17000t

 全長:188m

 最大幅:27.8m

 吃水:7.0m

 主機:001式戦車揚陸艦・ドック型輸送揚陸艦エナジーフィラー×2基

 推進器:可変ピッチ・プロペラ×2軸

 出力:35000馬力

 最大速力:30ノット

 乗員:195名

 兵装:20㎜バルカンファランクス機関砲(CIWS)×2基

 搭載艇:エアクッション型揚陸艇(LCAC)×2隻

 レーダー対空捜索用×1基

 対水上捜索用×1基

 航海用×1基

 電子戦および対抗手段8連装デコイ発射機×4基

 揚陸能力陸軍部隊:520名

 民間人輸送:1400名

 収容能力陸軍部隊:520名

 60式戦車:35輌

 VTOL:3機

 

 60式主力戦車:1000両

 全長:8.31m

 車体長:6.40m

 全幅:3.0m

 全高:2.50m(砲塔上の重機関銃を含む高さ3.17m)

 重量:35.5t

 速度時速:50㎞

 行動距離:500㎞

 主砲:60式55口径90㎜ライフル砲

 副武装:7.62㎜機関銃

 12.8㎜重機関銃

 エンジン:60式エナジーフィラーエンジン

 乗員:4名

 

 震電改×500機

 BF109改×500機

 P51マスタング×500機

 旧式無頼・旧式グラスゴー×500機

 90式VTOL輸送用×500機

338休日:2023/05/16(火) 06:38:56 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ヴェロニア級40,000t空母

 使用国:パーパルディア皇国

 船体 基準排水量:40,000 t/46,000 t

 満載排水量:56,000t

 全長:285.05 m

 水線幅 / 最大幅:32.54 m / 47.78 m

 深さ:25.6 m

 吃水:10,2 m

 機関:倉崎重工製エナジーフィラー

 出力 200,000馬力

 推進器:スクリュープロペラ×4軸

 速力:35 kt

 兵装:5インチ単装砲×16基

    ファランクスCIWS2基

    40mm4連装機銃×21基

    20mm単装機銃×68基

    ミサイル:シースパロー8連装発射機×2基

    航空運用機能:搭載機数:136 - 145機

    燃料:倉崎重工製エナジーフィラー4基

    カタパルト:電磁式×2基 電磁式×3基

    制動索:4索

    エレベーター:3基

 一番艦ヴェロニア、二番艦セイレーン、三番艦アビス、四番艦ワーグナー

339休日:2023/05/16(火) 06:39:40 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 供与された航空機、五機種の中より一機種。一番強いと思われる。

 
 制式名称:震電改

 使用国:パーパルディア皇国

 機体略号:J7W1

 乗員:1名

 全幅:11.914m

 全長:10.76m

 全高:3.65m、3.92m

 主翼面積:22.50m²

 翼面荷重:261.5kg/㎡

 自重:3,625kg、3,465kg

 正規全備重量 5,050kg

 発動機:倉崎重工製ハ43-42(MK9D改)エナジーフィラー

 出力:2530HP

   :1790kW

 最高速度:875km(計画値)/h 925㎞(計測値)

 高度:9,700m時

 巡航速度:625km/h

 航続距離:3000㎞〜4000km

 (装備で変動)

 実用上昇限度:13000m

 上昇率:850m/min

 最大離陸:5,882kg

 離陸滑走距離:530m

 着陸滑走距離:550m

 武装:六式 30mm 固定機銃一型乙(機銃一門あたり弾丸120発携行、発射速度は毎秒7発から11発) ×4

 訓練用:7.9mm 固定機銃×2 写真銃×1

 爆装:60kg×4

   :30kg×4

 動力:ユグドラシルドライブ最初期型スメラギ重工製

 プロペラ:スメラギ社の定速6翅(量産型では4翅に簡略化予定)

 プロペラ直径:3.40m

 主翼:低翼、単葉

 動翼:前翼型式

 構造:全金属製、応力外皮構造、主翼・層流翼型、前翼・開閉式スロット翼

 降着装置:引き込み脚、前輪式

340休日:2023/05/16(火) 06:40:29 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 既に見て知っているマイラスとラッサンも、詳細資料を見せられて目の色を変えている。

「こん、なッ、ばか、なッ、あり得ない、そんな、あり得てはならないツツ」

 最もショックを受けていたのはミリシアルこそ世界一を信じて疑わなかったニュースの報道官だった。特に、説明は受けていても資料という形で満載排水量76,800tの戦艦パールネウス型は、明らかにミリシアルの魔導戦艦を超えている。

 ただただ悔しい。第四列強と見下していたパーパルディア皇国が、たった一年で自国の及ばぬ戦力を手に入れていることが。そして同時に恐ろしい。これらをおもちゃと言ってぽんと渡せる国家連合の存在が。聞く分には手を出されさえしなければ何もしないらしいが、一度手を出す国あらば烈火の如く怒り狂うとか。

 どうニュースで報じたら良いか悩むところだ。こんな戦艦報じても誰も信じない。空飛ぶ戦艦なんてどうやって信じさせろと? やはり我が国も北側諸国とやらに一度取材を。いや、外交官を送るようこの資料と撮影した分の魔写を持って説得に行くべきか。この北側諸国を放置しておくのはあまりに危険すぎる。

 一年だぞ? たった一年でパーパルディアをここまで強大な国にしてしまえる国家連合。世界の均衡を崩す怖れがある。いや、あるいは先進国会議に招待してその実態を見極めるとか。

 ああ、ダメだ、一介の報道官にはどうするべきなのか分からなすぎる。

 せめてここに、ムーのような技官や武官といった専門知識があるものが派遣されていればどうにかなったのかもしれないが、なんの知識もない私ではできることは何もない。

 せいぜいパーパルディア皇国には排水量70,000tを超える戦艦が4隻もあって、その4隻の戦艦の最大射程距離は300km、時速7200㎞以上の超電圧の弾丸を24発一斉に放ち、敵軍を一撃のもとに粉砕することができるだなんて荒唐無稽に過ぎるバカ記事しか書けない。

 空には最高速度900㎞を超える速度を持つ戦闘機が舞い、30mm機関砲を雨あられのように撃ち出しては、ワイバーンを片っ端から撃ち落とし。最低でも600Kmの時速を誇るゼロ戦と呼ばれる機体が長距離からロケット弾を放ち、やはりワイバーンを打ち落としていく。

 最も信用されない記事はパーパルディアが古の魔帝のような空飛ぶ戦艦を持ち、それを与えたのが北側諸国だという事実だ。古の魔帝のような技術をぽんとくれてやる国家連合だぞ。ミリシアルなんかがかなうわけない。

 いや、だからこその外交であり報道だ。冷静になれ冷静に。外交をもって友好関係を築き共に反映していく道を見出す。大事なのは優劣じゃない。驚かされるだろう。悔しいだろう。だが大切なのは平和的接触なのだ。やはり外交官の派遣を打診してみるべきだろう。

 見たこと。聞いたことを正確に伝えて。

341休日:2023/05/16(火) 06:41:56 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
それでは。

342トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/16(火) 10:47:44 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

ミ帝の報道官さん可哀想に(哀)

頑張ってこの情報を上層部に信じさせなきゃならんのですから。

343二二三:2023/05/16(火) 17:08:48 HOST:KD106154148218.au-net.ne.jp
乙です。ミリシアルのマスコミが「70000tの超巨大戦艦をパーパルディアが4隻も保有しています。900キロの速度で飛び回る戦闘機に空飛ぶ戦艦が居ます」とかいったって誰も信じんからな。いつも通りの甘い始まりも乙でした。

344ハニワ一号:2023/05/16(火) 19:50:42 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
乙です。
空飛ぶ戦艦とか「お前何言ってんだ!!」と普通は信じませんからな・・・。

345二二三:2023/05/16(火) 20:07:23 HOST:KD106155008153.au-net.ne.jp

支援SS

ブオーン。そらを見る世界のニュース報道官。

こんな極東の地であり得ないだろうと心がざわめく。

あんなものが仮にあったとして、そのあるべき場所は中央世界であって、こんな極東の第三文明圏などではない。

「時速900キロだと? 舐めてるのか此方の最新鋭の機体で天の浮船ジグラント2の410キロなんだぞ。その倍とか、極東の地にあっていいものではない」

とくに戦艦だ満載排水量76800tの戦艦など見たことも聞いたことも無い。

それに射程300キロの主砲だと。初速7200キロ越えだとどちらもあり得ない。あり得てはならない。

方針は決まっている。まず上司に報告をする魔写を見せれば信じてくれるだろう。パーパルディアはいま戦争中。

無為な支援はできないとそこまで何かを持たせてはくれなかったが、早晩蹴りは就く。

いまのパーパルディア相手にロウリア如きが勝てる勝ち筋が見当たらないからだ。

なにをどうやってもロウリアではパーパルディアに勝てない。

あの空を飛ぶ戦艦。何やら兵器を強襲上陸できるようで。

更に応援として13隻のこちらは最新型の対テロ部隊がロデニウス大陸に向かっているという。

空飛ぶ戦艦が16隻、その戦艦には当然ながら砲も積まれており、応援で駆け付ける方は超強力な砲を持っていると聞く。

恐らくはその応援で駆け付ける方こそが北側諸国と呼ばれる連合諸国の直系の艦艇。この目で見て観たい。魔写にとってみたい。だが私には極東に、大東洋に未知の巨大勢力出現の報を持ち帰る義務がある

せいぜいロウリアは情けない最期を世界のニュースで流させてくれたらそれでお役御免だから、それもでは生きててくれよ。

346二二三:2023/05/16(火) 20:23:06 HOST:KD106155008153.au-net.ne.jp
この報道官は朝田さんかレミールから直接情報を仕入れてるのかなあと書きながら思いました

347二二三:2023/05/16(火) 20:31:27 HOST:KD106155008153.au-net.ne.jp
異世界転移トラブルがなかたら2021年には完成してたでしょうねシーランド軍

 シーランド軍 空・海軍


 アヴァロン級浮遊航空艦:1

 カールレオン級浮遊航空艦:7

 88,000t級戦艦:2

 80,000t級空母:1

 8,800級t巡洋艦:10

 7,000t級駆逐艦:30

 第9世代KMF:8騎紅蓮聖天八極式量産型4騎、ランスロット・アルビオン量産型4騎

 第8.5世代KMF:68騎ヴィンセント・カスタム68騎

 第7世代KMF:200騎ウィンダム100騎、ヴィンセント100騎

 第5世代KMF:500騎グロースター200騎、サザーランド300騎

 水中用KMF:ポートマンⅡ300騎

 水中用KGFヴァル・ヴァロ、シャンブロ多数

348二二三:2023/05/16(火) 20:33:40 HOST:KD106155008153.au-net.ne.jp
誰もおらんの?
このスレほんとに人おらんくなったよなあ
昔はあんなに栄えていたのに

349トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/16(火) 20:52:36 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

性能知ってしまうとパ皇とロウリアの戦争は大人と子供以上の差ですものね。

350二二三:2023/05/16(火) 21:09:40 HOST:KD106155008153.au-net.ne.jp
おまけにグリンダ騎士団まで出動してますから
マリーはこんな馬鹿らしい戦争の為に栄誉あるグリンダ騎士団を呼ぶなと怒ってますが
玉城が一緒ならご機嫌なのでシュヴァルツァー将軍も安心でしょう
玉城もグリンダのエースの一人。ロウリア軍ごときには負けませんし

351二二三:2023/05/16(火) 21:10:24 HOST:KD106155008153.au-net.ne.jp
しかし本当に人が居なくなったなあ

352トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/16(火) 21:44:40 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
グリンダは実質パ皇のお目付け役としての出動なのかもしれませんね。

353二二三:2023/05/16(火) 21:47:54 HOST:KD106155008153.au-net.ne.jp
モニカさんの専用ストーリー「弔いの花に囲まれて」のイラストを見たけど不吉すぎる
モニカさんの死を暗示しているとしか思えないようで
モニカさん絶体生存派の俺からしたら不吉すぎて駄目だわ

354二二三:2023/05/16(火) 21:58:45 HOST:KD106155008153.au-net.ne.jp
北側諸国以外が分かってない事の一つ
グリンダ騎士団だけでパ皇を滅ぼせるんだよね。
グリンダ地上部隊30000と少し。浮遊航空艦部隊は最新鋭。ハドロン重砲の乱れ撃ちが可能
地上部隊は頑強な第7世代以上のKMFヴィンセント・グリンダ。指揮官機はランスロット・ハイグレイルを始めとした精鋭玉城含む揃い
そしてマリーベルのKGFエルファバ。強化パ皇でも勝てる要素はありません

355トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/16(火) 22:02:23 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
北側諸国は来たばかりで現地の国々は詳しい情報知りませんからなぁ。

356二二三:2023/05/16(火) 22:08:56 HOST:KD106155008153.au-net.ne.jp
俺はそれより「弔いの花に囲まれて」がモニカさんの葬式ストーリーの様な気がしてならん
もしそうなら今後ロスストはプレイするの辞めるわ
実は人気だったモニカにお葬式を上げてあげようというのが公式の答えならもう公式には幻滅。俺の表返せ

357二二三:2023/05/16(火) 23:11:23 HOST:KD106155008153.au-net.ne.jp
どうせ明日中にはモニカのお葬式に暮れて終わる人続出になりそうな気がする
明日か明後日にはクリアする人居てネタバレもするだろうから

358名無しさん:2023/05/16(火) 23:14:13 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
いや、見返したい父親が実は死んでたとかそういうのじゃない?

359二二三:2023/05/16(火) 23:45:19 HOST:KD106155008153.au-net.ne.jp


ここは、何処……。

白い白い花の咲く何処か。

ここは墓標です。

何処かから聞こえてきた声。

その声は懐かしくも、近く、近くて懐かしいそんな声。

貴方の為に作られた、生前、たくさんの人の正義のために戦い、強くあり続けた、貴方だけの為に。

ふと見る。

誰かが来る。

黒い仮面の男。全身を黒で纏った男、ゼロ。

いえ、ゼロではありません。かつて同僚であり、何かときにかけていた相手だからすぐに分かりました。

枢木スザク。私が最後まで気にかけていた相手なのに、私を殺した男。

憎しみはありません。全ての人に平等なる正義を。この信念が形は違えど彼はかなえてくれたのだから。


「すまないッ、すまないッ、本当に済まないモニカ・クルシェフスキー卿。僕に何か時を使って下さり、正義は全ての人の為に平等にという貴女の崇高なる信念を、僕は貴女を殺すことで消してしまった、ジノの様に生かして撃退する事も出来たのに、僕はそれを選ばなかった……ッ。罵ってくれていい、傷つけてくれていいッ、でも。もう亡くなってしまった、死んでしまった貴女にはそれさえもできない」


枢木スザクは語り続けた。


「あの後。僕も枢木スザクと言う人間としては死んだんだ。貴女との違いは本当に生きているか本当に死んでいるかの違い。でも、これだえも逃げだ。死んだ貴女はもう何も感じることも、何も触る事も出来ない。僕には出来る。本当に僕は卑怯だ。本心から正義を掲げて戦っていた貴女を手にかけ、生きながらえているんだから」


枢木スザクの悔恨。私を殺した事への贖罪。二度とは叶わない贖罪。だから私はそんなスザクに言いました。


『これからは、私の代わりにあなたが全ての人に平等なる正義を』


私の姿は彼には見えていないでしょう。

私の言葉は彼には聴こえていないでしょう。

でも、伝えずにはいられなかった。この時を逃せば伝える機会は永久に喪われてしまうから。


さあ、モニカさん。未練は無くなりましたか?


またあの声が聴こえる。聞いたことがあるようで聞いたことの無い声。


はい、無くなりました、私の正義は今、枢木卿に託されたのですから。


では、参りましょう。


黒い服を着た私は墓標より立ち上がる。

何時も髪に巻き付けている髪も黒いリボン。喪服。

白い花畑と墓標。私の為だけに作られた墓地。

そこから私の身体はふわりと浮かび上がる。

願わくば次生まれるときには平和な世界に。

そう、望みながら枢木卿にお別れの手を振り。

私はその世界から消え去っていった。


モニカ・クルシェフスキー享年19歳。

平和と正義を愛し散った一人の少女騎士の物語はここで終わりを迎えた。

360二二三:2023/05/16(火) 23:57:18 HOST:KD106155008153.au-net.ne.jp
いかんな。こんな短文でも誤字が



ここは、何処……。

白い白い花の咲く何処か。

ここは墓標です。

何処かから聞こえてきた声。

その声は懐かしくも、近く、近くて懐かしいそんな声。

貴方の為に作られた、生前、たくさんの人の正義のために戦い、強くあり続けた、貴方だけの為に。

ふと見る。

誰かが来る。

黒い仮面の男。全身を黒で纏った男、ゼロ。

いえ、ゼロではありません。かつて同僚であり、何かときにかけていた相手だからすぐに分かりました。

枢木スザク。私が最後まで気にかけていた相手なのに、私を殺した男。

憎しみはありません。全ての人に平等なる正義を。この信念が形は違えど彼はかなえてくれたのだから。


「すまないッ、すまないッ、本当に済まないモニカ・クルシェフスキー卿。僕に何かと気を使って下さり、正義は全ての人の為に平等にという貴女の崇高なる信念を、僕は貴女を殺すことで消してしまった、ジノの様に生かして撃退する事も出来たのに、僕はそれを選ばなかった……ッ。罵ってくれていい、傷つけてくれていいッ、でも。もう亡くなってしまった、死んでしまった貴女にはそれさえもできない」


枢木スザクは語り続けた。


「あの後。僕も枢木スザクと言う人間としては死んだんだ。貴女との違いは本当に生きているか本当に死んでいるかの違い。でも、これさえも逃げだ。死んだ貴女はもう何も感じることも、何も触る事も出来ない。僕には出来る。本当には……僕は卑怯だ。本心から正義を掲げて戦っていた貴女を手にかけ、生きながらえているんだから」


枢木スザクの悔恨。私を殺した事への贖罪。二度とは叶わない贖罪。だから私はそんなスザクに言いました。


『これからは、私の代わりにあなたが全ての人に平等なる正義を』


私の姿は彼には見えていないでしょう。

私の言葉は彼には聴こえていないでしょう。

でも、伝えずにはいられなかった。この時を逃せば伝える機会は永久に喪われてしまうから。


さあ、モニカさん。未練は無くなりましたか?


またあの声が聴こえる。聞いたことがあるようで聞いたことの無い声。


はい、無くなりました、私の正義は今、枢木卿に託されたのですから。


では、参りましょう。


黒い服を着た私は墓標より立ち上がる。

何時も髪に巻き付けているリボンも黒いリボン。衣服は騎士服ではなく真っ黒な喪服。

白い花畑と墓標。私の為だけに作られた墓地。

そこから私の身体はふわりと浮かび上がる。

願わくば次生まれるときには平和な世界に。

そう、望みながら枢木卿にお別れの手を振り。

私はその世界から消え去っていった。


モニカ・クルシェフスキー享年19歳。

平和と正義を愛し散った一人の少女騎士の物語はここで終わりを迎えた。

361名無しさん:2023/05/17(水) 00:28:22 HOST:sp49-96-15-34.mse.spmode.ne.jp
乙、とりまスザクはどこぞの小物界の大物と阿鼻地獄で一緒に焼かれてろ(憤怒)

362名無しさん:2023/05/17(水) 05:41:26 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
まだ、はやいぞと

363二二三:2023/05/17(水) 07:01:41 HOST:KD106155008197.au-net.ne.jp
悲しまない、平気だからね、ああこの続きを歌で描けない書いたらジャスラック案件
今さっき聞いて小学生の頃をお思い出し、モニカを想い泣いていたよ
懐かしい曲だけど名曲は色あせないね微笑みの爆弾といい
また小学生の頃に戻りたくなったよ

364二二三:2023/05/17(水) 08:03:31 HOST:KD106155008197.au-net.ne.jp





「もつもつもつ」

お声を食べているモニカさん。

長い金色の髪を押さえ、ずずーと味噌汁を飲んでいるモニカさん。

この四年ですっかり日本人化したなモニカさん。

何気ない朝だけど、その何気ない朝が愛おしい。

ふと昔聞いた歌詞の一説が頭の中に流れてきた。

めちゃめっちゃ、厳しい人たちが不意に見せた、優しさのせいだったりするんだろうね。

少し口ずさんでみた。

「え、ど、どうしたのですか嶋田さん、歌なんか歌い出して」

「いや、君の知らない歌なんだけどね。いや‟我々”意外誰も知らない歌なんだけど、ふと、今朝のニュースを見ていたら思い出してね」


シーランド軍。批判と荒らしに負けず大軍拡。国王演説。

「これを以て我がシーランド王国軍の完成とする。この先これ以上の軍拡はあるかもしれないが縮小は無い。俺たちはたくさんの厳しい人たちからの激励を受けここまで来た。予算に都合のつかない事もあった、反対にもあったユーロピア解放戦争の終わった今この様な強大な軍が必要なのかと。だが諸君、君たちは意図的に忘れようとしている。ユーロピアなどただの塵に等しき強大なる敵が南半球の支配者として君臨している事を。中東諸国がわずか二週間で呑み込まれたのも記憶に新しい。教化か浄化の二択を迫り、教化を拒否した者には無慈悲なる浄化=処刑を行うかの巨大国家勢力南天条約機構と北側諸国は絶対に相容れない。今度は我々も共に北側を守る番だ。恩を忘れるな。厳しい人たちが厳しき中に見せた優しさを決して忘れるなッッ!!」

 シーランド軍 空・海軍


 アヴァロン級浮遊航空艦:1

 カールレオン級浮遊航空艦:7

 88,000t級戦艦:2

 80,000t級空母:1

 8,800級t巡洋艦:10

 7,000t級駆逐艦:30

 第9世代KMF:8騎紅蓮聖天八極式量産型4騎、ランスロット・アルビオン量産型4騎

 第8.5世代KMF:68騎ヴィンセント・カスタム68騎

 第7世代KMF:200騎ウィンダム100騎、ヴィンセント100騎

 第5世代KMF:500騎グロースター200騎、サザーランド300騎

 水中用KMF:ポートマンⅡ300騎

 水中用KGFヴァル・ヴァロ、シャンブロ多数


「南天を敵とするなら本当に微々たる戦力に過ぎないかもしれない。簡単に蹴散らされるだろう戦力に過ぎない。だが、彼らは厳しさを教えてくれた人たちの優しさを忘れてはいないんだよ。まだまだ若いちょっぴり大人なのさ。我々老人と違ってね」

 南天との戦端が開かれるようなことがあれば、北側諸国にとって、この世界にとって、最大の戦争となるだろう、彼らはそれに立ち向かう勇気を見せた。

「モニカさん」

「もつもつもっ……こくん、はい」

「我々も負けてはいられないね」

「はい。全ては強きも弱きも関係ない、あまねく人の為に平等なる正義を。南天には正義など在りません。私の信念とは真逆の教義だがあるだけです。負けるわけにはまいりません」

 黄緑色のマントに白米を付けていても滑稽に見えないのは、彼女の意志の強さゆえだろう。

365二二三:2023/05/17(水) 08:04:25 HOST:KD106155008197.au-net.ne.jp

「モニカさん、マントにお米が付いてるよ」

俺が取ってあげると、モニカさんは顔を赤くして恥ずかしがっていた。

序に長い金色の髪にも白米の粒が付いていたので取ってあげた。

やっぱりモニカさんは顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。

「なにも恥ずかしがることないでしょう」

微笑む俺にモニカさんは知らないはずの言葉を口にした。

「し、嶋田さん、微笑んだ爆弾みたいで恥ずかしいです」

「は、ははは、微笑みの爆弾ときたか」

「い、如何致しましたか?」

「いや、昔聞いた歌のメインがその言葉なんだよ。今でもよく覚えている」

「聞いてみたいですね」

「残念ながらこのせか──この場所じゃ聞けないんだよ」

「絶望の爆弾なら聴けるけれどね」


なお、式典には日本・ヴェルガモン伯爵家双方を代表してイソロク・ヤマモトが参加しておりますが、全てのカジノに出入り禁止となっており。


「あれは泣いてるだろうなあ

「山本閣下ってそんなにギャンブルがお強いのですか」

「あいつはギャンブルで生計を立てられるレベルなんだよ。何件賭博場をつぶして来た事か。ギャンブルとはさよならバイバイしたほうが良いんだがな」

366トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/17(水) 09:32:44 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

シーランドのみならず中東諸国の惨事を見て軍拡決めた国は多そうですよね。

367二二三:2023/05/17(水) 11:00:46 HOST:KD106155008197.au-net.ne.jp
今のシーランド蓬莱島クラスかそれ以上の大きさがあるなら人口100万人は超えてることになる
蓬莱島は一辺が約20キロある三角形の人工島だから
現在拡張に拡張を重ねた人工島であるシーランド王国が蓬莱島より大きくなってる可能性もある
だから人口も各国からの移民で200万人くらいいても不思議じゃない

368二二三:2023/05/17(水) 11:04:21 HOST:KD106155008197.au-net.ne.jp
となるとシーランド軍の常備軍は5万人くらいかな

369トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/17(水) 11:12:04 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
人が増えたらまた施設の増設する手もありますしね

370二二三:2023/05/17(水) 11:17:57 HOST:KD106155008197.au-net.ne.jp
北海の方向に広がっていきそう
ドーヴァー海峡の方にも広がるでしょうけど

371二二三:2023/05/17(水) 11:19:23 HOST:KD106155008197.au-net.ne.jp
異世界編はシーランドにとって無限の可能性でもあるな

372トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/17(水) 11:21:28 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
なんなら縦にも広げられますぞ。

フロートシステム使えばダモクレスみたいな感じで理論上空中都市も作れますし。

373二二三:2023/05/17(水) 11:25:02 HOST:KD106155008197.au-net.ne.jp
シーランド人も長寿の種族なのだろうか
そうだとしたらルイ・ヴェーツ初代国王の代にシーランド王国滅茶苦茶大きくなる可能性が

374名無しさん:2023/05/17(水) 18:12:29 HOST:101-142-42-75f1.wky1.eonet.ne.jp
エルフ見たいな感じで2000歳が標準年齢だったりして。

375ハニワ一号:2023/05/17(水) 19:06:19 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
今回実装されたモニカのキャラクターストーリーでモニカの実の父親が判明。
ネタバレになるのでくわしくは言えないが休日さんがモニカの父親の設定を変更すること確実のブリタニアでとてもとても偉いお人だったわ。

376トゥ!ヘァ!:2023/05/17(水) 19:22:38 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
キャラの限界突破育成アイテムも来ましたね。

これで仙波さんを更に強くできる。

377名無しさん:2023/05/17(水) 19:54:30 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
ところで、やってないが、R2本編後の未来?そのイベントは

378二二三:2023/05/17(水) 20:05:36 HOST:KD106155009010.au-net.ne.jp
金がないから無理だねモニカストーリー
ネットのネタバレを待つしかないわ

379二二三:2023/05/17(水) 20:06:26 HOST:KD106155009010.au-net.ne.jp
公爵か大公だな親父

380トゥ!ヘァ!:2023/05/17(水) 20:07:10 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
イベントの方は一期の頃。モニカさん幕間は一期と二期の間っぽい。

381アイサガP:2023/05/17(水) 20:25:53 HOST:125-8-153-75.rev.home.ne.jp
割と今が初め時かもしれんなぁってぐらいにイベント多いね
ゴーネリア様の強化ひでえよ…w 弱点の耐久大幅強化
専用グロースターも実質ステータス上限解放みたいなものだし(攻防+70)
攻撃力285、防御255 コスト4
(比較参照 三種フル改造ランスロット)
攻撃245 防御235 コスト6

制作陣、もしかしなくともコーネリアファン居るか?w

382トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/17(水) 20:28:16 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>381
これはパーフェクトゴーネリア(確信)

限界突破素材集まったら育ててみるか。

383アイサガP:2023/05/17(水) 20:37:23 HOST:125-8-153-75.rev.home.ne.jp
ちょっと気になって計算、上方修正前
HP3000で防御300%で防御力185だからざっと見実防御力555ぐらい
上方修正後
HP4000で防御400%で防御力255だからざっと見実防御力1020ぐらい

…防御力実質2倍やないかい!?

384トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/17(水) 20:41:39 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
強い(確信)

385名無しさん:2023/05/17(水) 21:04:29 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
いま、ロスストってキャラクターとKMF組み合わせ投票やってるのか

例えば、モニカとランスロット選べば、モニカ専用ランスロットがゲームにでるみたいな

386トゥ!ヘァ!:2023/05/17(水) 21:11:48 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
KMFの教化鉱石が足りない…
困った…

仕方ないから地道に各種メダル貯めて交換していくか。

387トゥ!ヘァ!:2023/05/17(水) 21:16:04 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
何か武装追加されたKMFがちょくちょくいるような…

トリスタンの射撃武器モードとかモルドレッドの近接武器モードとか。

前からあったかなこれ?

388アイサガP:2023/05/17(水) 21:16:23 HOST:125-8-153-75.rev.home.ne.jp
一周年イベントストーリー感想
恐らくロススト史上最大限に頭悪いな!w(誉めてます)

389ハニワ一号:2023/05/17(水) 21:16:33 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
あとモニカさんがナイトオブラウンズになった戦いが判明。
フォークランド海戦でナイトオブラウンズになれるほどの大戦果を上げた模様。
フォークランド海戦の詳細は不明だけどフォークランドが南米の最南端にあるフォークランドの事なら史実的に見てフォークランド諸島を領有するEUのイギリス州の海軍とブリタニア海軍がフォークランド諸島を巡って激突したんでしょうかね。

>>379
それよりも偉い人。
原作でのモニカの扱いを見るにモニカの実の父はモニカの正体を知っていてパパなりに信頼して愛していたみたい何だよな。

390アイサガP:2023/05/17(水) 21:17:24 HOST:125-8-153-75.rev.home.ne.jp
>>387
一周年記念で強化されたっぽいですねー
自分はゴーネリア様強化で鉱石とエネルギーがからっけつなんで様子見します

391名無しさん:2023/05/17(水) 21:23:00 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
>>389
思い浮かべるのは奴一人しかいないんだが、

392トゥ!ヘァ!:2023/05/17(水) 21:24:36 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>390
私も取りあえず交換したチェス盤の分で出来る限りコーネリア殿下強化しましたが…

確かにこれはゴーネリア(確信)


各種武装形態の追加は今回のやつでの追加でしたか。

何気なく見ていたらフローレンスの射撃兵装版がハドロンブラスターで、物凄い範囲になっているので

>>388
零陽炎や紅蓮は火炎系フレームというの話題と言い中々興味深い内容も入っている話でしたわ。

393名無しさん:2023/05/17(水) 21:28:59 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
ハドロンブラスター使えるようになったんか

394トゥ!ヘァ!:2023/05/17(水) 21:40:55 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
今回大きく変わったなと思うのはパーシヴァル、フローレンス、神虎の三機。

神虎は射撃形態で胸の荷電粒子砲が解禁。フローレンスはハドロンブラスター。パーシヴァルは盾ミサイルとハドロン砲。

特にかつて配布機体であった神虎とパーシヴァル、比較的手に入りやすいフローレンスに射撃形態来たのは強いですね。
どれもが廉価版ガウェインみたいな性能になっています。

395トゥ!ヘァ!:2023/05/17(水) 21:43:45 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
今回の一周年で配布されたマリマヤもグッド。

強い守護属性は幾らいても足りない。


同じく配布機体のアロンダイトも優秀。配布版ランスロットみたいな性能してますね。

396ハニワ一号:2023/05/17(水) 22:29:28 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
>>391
その思い浮かべる人物で合っているはず。

397トゥ!ヘァ!:2023/05/17(水) 22:40:47 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
失礼。

>>380でのモニカさんの幕間ですが、改めて読んでみたらラウンズに任命されたばかりの時期だったようで、
一期より前の時期の話かもしれません(汗

398名無しさん:2023/05/17(水) 22:48:16 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
【組み合わせ投票結果発表!】
見事1位に輝いたのは
主人公×ガウェイン
でした!

主人公専用ガウェインが今後実装予定となります。
お楽しみに!


恐ろしや。

399トゥ!ヘァ!:2023/05/17(水) 22:49:43 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
ガウェインそんなに人気あったのか。意外ですね。

ゲーム的にはガウェイン強い機体なので配布してくれるなら嬉しいですが…

400アイサガP:2023/05/17(水) 23:01:17 HOST:125-8-153-75.rev.home.ne.jp
個人的にはランスロットのが見たかったなぁ…

401休日:2023/05/18(木) 00:43:16 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
ゲームネタのところで空気読まずすみません。
ただの苦い話です。

402休日:2023/05/18(木) 00:44:25 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 昼。昼食を早く終わらせた俺は駐日ブリタニア大使館に予定があって足を向けていた。

 この大使館、とにかく他国の大使館と比べて無駄に豪勢で広い。

 このあたり、ブリタニアの権威主義的なところが露骨に現れていると言えなくも無いが。他国は他国。うちはうちってって奴かな。

 ずらりと並ぶ豪勢な部屋達。

 その部屋の一つ一つの前を通っていくと、昼食時だからなのかメシの匂いがしてくる。

 本来なら彼らは貴族。外の一等地に建てられた貴族専門、金持ち専用のお店へと向かうべきだろう。

 いや、実際にそういう所で昼食を食べている者も居るし、日によってはそういう店で昼食を食べたりするだろう。

 ただ一人を除いて。

 ※

 そろそろ出来ましたね。


 立ち止まった部屋の中より聞こえる声。


 カップヌードルチリトマトソース味。一時は消えていたこのラーメンを食す機会を貰えたことを天に感謝し、本日も一日平等なる平和を目指して。


 君の平等なる平和とは変わったカップラーメンと交換に出来る物なのか。

 もちろんそれが冗談だと知ってはいても突っ込まずにはいられない。

 これ以上ナイトオブトゥエルブの失態を見るのも悪いと思った俺は、モニカさんに声を掛けた。

「失礼、こちら、ナイトオブトゥエルブ、モニカ・クルシェフスキー様のお部屋でしょうか?」

「はッ!?ひゃひゃ、ひゃい少しお待ち下さいね。」

 カップラーメンを見えないところへと片付け始めるモニカさん。無駄だって音も匂いも消せないんだから。俺、部屋の前にいたのだから。

「あー、モニカ・クルシェフスキー殿。遺憾ではありますが、わたくし全て見ていたのと。匂いの方も良く匂っておりましたよカップヌードルチリトマトソース味」

「はううううッ! し、嶋田さんに見られたのでしょうか」

「いや、俺、今日昼に大使館来るって行ってたよね君に会いに」

 そういうと。彼女はチリトマトの様に頬を赤くして俺を見た。

 黄緑のマントが風もないのに靡くのは彼女がぶんぶん手を振るっているから。タイトなスカートの白い騎士服。彼女がお仕事をしている時の姿。

 家でも時々見る姿で、騎士はいつでも強く有り平穏と平等なる正義の為にあらねばならないのですと呟いている。その心の在り方は素晴らしい。でも、少しくらい肩の力を抜いても良いと俺は思うよ。

 肩肘張った生き方は疲れるからね。

「はい、そうでした。新作の復活についつい忘れてしまっておりました。騎士として失格です…………」

「君ほど騎士らしい騎士もいないよ。少なくとも俺に取って騎士と言えば――」

 俺は歩いてモニカさんの執務机による。立とうとして失敗したのか彼女は尻餅をついていた。

「モニカ・クルシェフスキーキミ以外に居ない。なんてこと言ったら他の騎士さんに怒られちゃうね」

 俺はそんなモニカさんの頭を撫でて。頭から髪へと五指を入れて撫で梳いていく。ついでにマントの背中部位も撫でてあげて、すっかり慣れたなこういうの。二人で居る時のこういった行為。本当は良くないのだろう。お嫁に行く前の女性の身体を舐め回すように触るだなんて。

 それがたとえ、俺の所であったとしても。俺が入り婿として向江は居るとしても。俺はモニカさんの手を引いて立たせると。彼女を真正面に見据えて。

「し、しまださ――」

403休日:2023/05/18(木) 00:45:16 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ガバッと抱き締めた。彼女は最強の騎士だ。俺の腕の中から脱することなんて簡単なはず。でも彼女、モニカ・クルシェフスキーはそうしない。

 ただ、自分を抱き締める手にすりすりと頬擦りをするのだ。その頬擦りはやがて俺の頬にまで及び、俺たちは二人静かにこの部屋で頬擦りをする。

 お互いが大切だから。彼女の言う平等なる正義の中に存在する唯一の不平等たる俺に、彼女は愛撫という極上の返答を以て返してくれるのだ。

 家にいるときでも、外に居る時でも、任務の最中でも、この執務室でも、宮廷の舞踏会でも。何処に於いても彼女の、モニカ・クルシェフスキーの特別は、俺、嶋田繁太郎らしい。

 モニカさんの腕が俺の首に伸びる。これはそれの合図。あの行為の合図だ。書類が何枚か落ちたようだけれども、彼女は気にしない。

 眼前に迫るのは金髪の白人の顔。美麗で美しい女性の顔。今年二十歳を迎える女性の顔。金の眉は細く長く、金の前髪は眉が隠れるくらいで切り揃えられ。金の横髪は左右共に赤いリボンで縛り、くるくると髪の房に巻き付けている長い金の髪の房に。

 後ろ髪は腰よりも長くこちらも癖の無い真っ直ぐな金色に輝く髪の毛。両の瞳はスカイブルー? マリンブルー? 美しき蒼天の空の色、深き深海の蒼。その二つに例えられる美しさ。

 身体の線は恥ずかしながら胸はそこそこ大きく、腰はくびれ、無駄な肉の付いていない、騎士らしい鍛えられた身体をしている。この身体に抱き締められたこと。何度あったろう。

 艦所は俺の事をよく抱き締めてくる。そしていつも言うのだ「嶋田さん分が足らない」と。俺分ってなにと聞くと、嶋田さんのエネルギーですと帰される。

 嬉しくて、幸せだ。俺なんかから幸せのエネルギーを補充してくれるなんて・

 その時に感じる幸せは、他の全ての幸せと引き換えにしても良い物。だが、いつも思うんだ。あまねくひとに平等ある正義をと唱える彼女を前にしているから思うんだ。億の人間と動植物を殺し、血にまみれたこの手で、この美しい女性に触れてしまってもいいのかと、いつも悩む。

 彼女の知らない俺。神崎博之の犯した大罪。知られては成らない。知られたら軽蔑の眼差しと、恐怖の視線を受ける。

 ナイトオブテン、ルキアーノ・ブラッドリー氏はいつも言う。あなた方は一体どれだけ殺せば、一体どれだけの人間を闇に送れば、そこまでの匂いをさせることが出来るんですか?

 そんなルキアーノ氏の前で屈み目線を合わせた辻さんがただ一言「知りたいですか?」と質問しただけで、ルキアーノ氏は震え上がったとナイトオブワン、ヴァルトシュタイン卿は言っていた。そして貴方たちは一体何者なのだとも。

 俺たちは一体。その答えは簡単だよ。大量殺戮者だ、歴史と世界を超えてやって来た稀人だよ。

 雑念に支配されていた俺は、せまるモニカさんの唇を、敢えて拒絶した。

「嶋田、さ――」

 いまのオレにモニカさんの美しい唇を受け入れる資格は無いと思ったから。

 ただそれだけ。

「モニカさん、カップヌードル冷めちゃうよ」

「あ…………」

 俺は誤魔化し、モニカさんに書類を押し付けて、彼女の執務室から逃げるように立ち去った。

 マントの裏生地の紫の色が、やけに悲しげに見えた。


「モニカさん。モニカ・クルシェフスキー……俺のこの両手は、億の人間の血で汚れているんだ。そして状況が合致すればまた億の人間を殺すだろう。そんな、殺戮マシーンなんだよ。君の手に、触れては成らない人間なんだよ……」

 いつも触れているけど今日は触れられない。それを思い出してしまったから。だから、今日はダメなんだ。聖女の如き在り方を持つ君に、大魔王が触れては成らない。君の光が損なわれてしまうから。

 雨が降ってきた。丁度良い気分だ。このまま雨に濡れて返ろう。

404休日:2023/05/18(木) 00:46:56 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 あなたの秘密



 本日正午。嶋田さんが駐日ブリタニア大使館を訪ねてこられました。

 お約束していた書類の受け渡しにです。すっかり忘れていた私は売れ行き不振なのか消えていた、でも今はレギュラー化したようなカップヌードルチリトマトソース味を昼食として食べようと用意していました。

 そこを声を掛けられてしまったのです。急いで隠しましたが見つかってはいないでしょうか?

 ですが無情にも。

「あー、モニカ・クルシェフスキー殿。遺憾ではありますが、わたくし全て見ていたのと。匂いの方も良く匂っておりましたよカップヌードルチリトマトソース味」

 見られていたのとしられていました。

「はううううッ! し、嶋田さんに見られたのでしょうか」

「いや、俺、今日昼に大使館来るって行ってたよね君に会いに」

 そういわれると、顔が充血して真っ赤になってしまいました。肌が白いので赤みが差すと良く分かってしまうのです。


 嶋田さんの視線は私のマント。騎士服。へと自然と巡り、私を品定めしているかのようです。ああ私は騎士失格なのでしょうか。

 しかしでも、嶋田さんは時には肩の力を抜いて仕事をした方が良いよと言うに留めました。騎士失格では無いのでしょうか。

「はい、そうでした。新作の復活についつい忘れてしまっておりました。騎士として失格です…………」

「君ほど騎士らしい騎士もいないよ。少なくとも俺に取って騎士と言えば――」

 モニカだという彼。私はドキンと心臓が鳴ってその場に崩れ落ちました。

 そんな私のところへと嶋田さんは歩いてきて執務机に寄りかかって参ります。立とうとして失敗した私は完全に尻餅をついておりました。

 そんな私の頭を嶋田さんは撫でてこられて。頭から髪へと五指を入れられ、私は髪を撫で梳かれました。髪を撫で梳かれることはこれが初めての事ではありません。もう、家でも、部屋でも、縁側でも、外でだとて、何処ででも髪を撫で梳かれます。マント越しに背中も撫でて下さって、私はこの瞬間が好きです。嶋田さんが私に触れて下さる一瞬一瞬が。

 私と嶋田さんは今年に入り、婚約をしました。何れ嶋田さんはクルシェフスキー家に入り婿という形で入ることとなります。急に嶋田さんは私を立たせ、私を真正面から見据えます。いつ見ても精悍なお顔。

「し、しまださ――」

 そのままガバッと抱き締められました。こ、このようなところで、困惑する私。如何に最強の騎士を名乗ってはいても私も一人の女です。こうして急なる行為に出られてしまえば。この腕から脱すること、出来なくもありませんが、私は呪縛が掛かったかのように身体が硬くなってしまっておりました。

 ただ、一つ、出来た事。それは、私を抱き締める彼への手への頬擦り。頬擦りだけは身体が動かずとも出来ました。私はその頬擦りを次第に彼の頬にまで及ばせ、彼もまた私が擦り付ける頬に合わせるように頬擦りを成されて、私たちは二人静かにこの部屋で頬擦りをする。

405休日:2023/05/18(木) 00:47:29 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「ん、ん、っんん」

 お互いが大切だから。でも、ですが、彼は時折彼を見せてくれなくなります。彼の心がいつも見えるのに、彼の心が闇に閉ざされ見えなくなることがあるのです。私にはそれがとても不安。彼がいつの日か何処かへと消えてしまいそうで。彼はいつも極上の愛撫をくださいます。

 家にいるときでも、外に居る時でも、任務の最中でも、この執務室でも、宮廷の舞踏会でも。何処に於いても私の、モニカ・クルシェフスキーの特別は、嶋田繁太郎なのです。

 私は腕を伸ばします。彼の首へと。これはそれの合図。あの行為の合図なのです。彼もお分かりくださっているはず。書類が何枚か落ちたようだけれども、私はは気にしない。

 眼前に迫るのは平たい日本人特有の顔。でも生還で勇ましい海軍軍人だった彼の顔が其処にあります。今年還暦を一つ超えるのでしょうか。そんな男性の勇敢でたくましく見える様。太く黒い眉、髪は短く刈り上げられ。髭を蓄えているお姿が格好いい、今は普通のスーツながら、海軍の制服なら、沢山の勲章で彩られ、彼の戦歴のすごさを物語る何よりの証明となっております。

 短く刈り上げられた髪はくせっ毛の無い直毛、彼が私の髪を触る時、私も彼の髪を触ります。お互いに触っていないところなどないでしょう。両の瞳は深い深い黒? どこまでも深く闇の其処深淵へと続いているかのような。この瞳が私を不安にさせるのです。嶋田さんを連れ去ってしまう深淵なのでは無いかと。

 たくましい胸板に、腰は太く、骨格筋が鍛えられてきた証。無駄な肉の付いていない、鍛えられた身体をしている。この身体に抱き締められたこと。何度あったろう。

 その時に感じる幸せは、他の全ての幸せと引き換えにしても良い物。でも、いつもこの手が私を抱くとき彼は必ず躊躇する。まるで触れてはいけない物に触れようとしているかのように……。どうして……?

 私の知らない彼。私の知らない彼の闇。知られては成らないのかも知れない。知ってはいけないのかもしれない、知られたら私と彼の関係が終わってしまうほどの秘密、恐怖の視線を受ける。

 ナイトオブテン、ルキアーノ・ブラッドリーはいつも言う。あなた方は一体どれだけ殺せば、一体どれだけの人間を闇に送れば、そこまでの匂いをさせることが出来るんですか?

 そんなルキアーノの前で屈み目線を合わせた辻卿が、ただ一言「知りたいですか?」と聞いただけで、ルキアーノは震え上がったとナイトオブワン、ヴァルトシュタイン卿は語っていた。そして貴方たちは一体とも。

 彼らの秘密、彼の秘密。その答えは簡単だよ。君とは決して相容れない、逆位置の存在なんだよ。本当はね。

 その言葉を思いだしていた私。せまる私の唇を、彼は、拒絶した。

「嶋田、さ――」

 君とは決して相容れない、逆位置の存在なんだよ。本当はね。

「モニカさん、カップヌードル冷めちゃうよ」

「あ…………」

 その言葉が頭にこびりつき、心に纏わり付いて離れない。

 嶋田繁太郎――私の愛するお人――貴方は一体、何者なのですか?

406休日:2023/05/18(木) 00:52:39 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
正義のためなら悪にでもなれる嶋田さん。
正義とはあまねく正義であらねばならない。
嶋田さんの在り方はモニカの在り方の逆位置。
真実を知ってしまったら二度とは交わらない。
そんな気がしました。

407二二三:2023/05/18(木) 02:04:56 HOST:KD106155008100.au-net.ne.jp
乙です。状況が状況なら悪属性になれる嶋田さんと、どんな時でも聖属性なモニカじゃ実は愛詳最悪なんよな
このままモニカとは秘密をかかえたまま結婚生活を送ってくしかない

その点ユフィにはすべての秘密を打ち明けても共に背負う強さがある。あなたが悪となるなら私も悪となりましょうができる圧倒的強さが
実は自分のハメのアンケートでもモニカ人気でモニカ押しが圧倒的に多いけど(相手は嶋田さんちゃうよ)嶋田さんとの相性で言えばユフィなんだよな

408二二三:2023/05/18(木) 02:38:01 HOST:KD106155008100.au-net.ne.jp
モニカのキャラストーリー下手したら10万円以上金掛かるんだろ?
金持ち凄いわ。貧乏人には真似できん最初の10回外した時点で諦めたわ。

409二二三:2023/05/18(木) 02:40:24 HOST:KD106155008100.au-net.ne.jp
ユフィは実際に嶋田さんの血と闇を飲み込んでみせたからな
あれがユフィの強さよ

410二二三:2023/05/18(木) 02:43:48 HOST:KD106155008100.au-net.ne.jp
嶋田さんとモニカは無理筋ルートだってことがロスストで示された
むしろモニカにとって嶋田さんは討伐対象

411二二三:2023/05/18(木) 02:44:32 HOST:KD106155008100.au-net.ne.jp
一人だと好き勝手書けてええわ

412二二三:2023/05/18(木) 03:11:23 HOST:KD106155008100.au-net.ne.jp
あと休日氏のハメページもアンケートではモニカ圧倒的に強いのに実際はレミールものがよく読まれてる
やっぱりエロスなんかね

413トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/18(木) 08:10:40 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>408

ただで読めますよ。

414トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/18(木) 08:24:07 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
アナザーストーリーは基本的にただで見れます。

ただ開放条件がストーリー1章クリアなのでどちらかといえば時間と根気が必要ですね。

415名無しさん:2023/05/18(木) 08:26:26 HOST:sp49-96-17-137.mse.spmode.ne.jp
よなあ。基本無料ゲームにストーリーとかクリアしないといけんけどな
ガチャとかアイテムとかは課金だけど、無料ガチャとか無料アイテムでなんとかなるし。

別のゲームとか間違えてね?

416トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/18(木) 08:44:16 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
休日さん乙です

カップヌードルチリトマトソース味…
また珍しいものをw

今だとネットで普通に注文できるんでしたっけね。

417ハニワ一号:2023/05/18(木) 09:55:09 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
乙です。
嶋田さんたちは前世で憂鬱日本を守るために「衝号作戦」を行い大勢の人々が死亡することになりましたからね・・・。
果たしてモニカさんが前世で嶋田たちが行った事を知ってしまった時どうなってしまうのか・・・。

418700:2023/05/18(木) 10:55:03 HOST:KD119105029058.ppp-bb.dion.ne.jp
乙です

>>チリトマト
昭和も60年頃だと普通に自販機に入っていたんですけどね。
最後まで売れ残っていることが多かったけど
古いラノベで見たよなぁと思って引っ張り出したら笹本祐一のハレーション・ゴーストだった。
#自称「現役最古のラノベ作家」の第2作目!

419二二三:2023/05/18(木) 12:02:38 HOST:KD106155009129.au-net.ne.jp
>>414
ただで見るためにキャラを当てないとダメでしょ?
その金がないんです

420二二三:2023/05/18(木) 12:05:01 HOST:KD106155009129.au-net.ne.jp
>>415
キャラを当てないとダメでしょその金がないんです

421トゥ!ヘァ!:2023/05/18(木) 12:09:47 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>419
確かキャラなくてもアナザーストーリーの方は見れますぞ。

422トゥ!ヘァ!:2023/05/18(木) 12:17:24 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
あと基本このゲームは時間と根気の方が重要で課金しなくてもそれなりにやっていけますね。
私も1年近くやってますけど課金額はまだ1万円くらいですし。

423アイサガP:2023/05/18(木) 12:17:47 HOST:125-8-153-75.rev.home.ne.jp
ストーリーはクリアが必要なだけで基本無課金プレイ可能ですぜ
クリアに課金が要る?って言われたらクリアだけなら別にそこまで難易度は高くない…はず…?
アナザーストーリー系は特に難易度は低め
配布ジェレミアと半年記念の主人公でコスト稼ぎと火力担当は出来るようになったから、
難易度自体は大分下がってると思う

424名無しさん:2023/05/18(木) 12:22:39 HOST:sp49-96-17-137.mse.spmode.ne.jp
キャラを当てるだけでも、毎日一回だけの無料ガチャもあるし
ためれば無料ガチャアイテムもあるし。

そりゃ、急ぐ人とかは課金するけと
時間とかあったら無料でいけら

425トゥ!ヘァ!:2023/05/18(木) 12:25:17 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
毎日のデイリーミッションやストーリーをクリアしてもらえる無償ジュエルでもガチャ回せますしね。

426二二三:2023/05/18(木) 12:32:59 HOST:KD106155009129.au-net.ne.jp
なんか自分に攻撃的になってない皆さん

427トゥ!ヘァ!:2023/05/18(木) 12:35:56 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
説明しているだけなのですが(汗

428二二三:2023/05/18(木) 12:36:20 HOST:KD106155009129.au-net.ne.jp
この手のゲームやるのこれが初めてだから何がなんだかさっぱりわからんのよ

429トゥ!ヘァ!:2023/05/18(木) 12:38:53 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
わからない点は質問してもらえばできる限りは答えますが…(汗

430二二三:2023/05/18(木) 12:48:33 HOST:KD106155009129.au-net.ne.jp
中級クリアできなくてもストーリークリアできるんですか?
自分初級しかクリアできません

431トゥ!ヘァ!:2023/05/18(木) 12:53:10 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>430
みんな最初はそんなものですから大丈夫ですよ。

初級の素材とコイン集めてキャラのレベル上げていけばおのずと中級もクリアできるようになっていきます。

初級クリアできるのなら一部一章の半分くらいまで進められると思いますね。


あとはゲームの戦闘システムへの慣れ次第ですが、こちらはやっていって慣れるしかないですね(汗

432名無しさん:2023/05/18(木) 12:58:11 HOST:sp49-96-17-137.mse.spmode.ne.jp
中級はかなりムズいよ。
初級がええよ。

というか、失敗してもスタミナ(だったけ?)減らないから
トライアンドエラーやな。

あとは、ヘリコプターやな。

433アイサガP:2023/05/18(木) 12:59:57 HOST:125-8-153-75.rev.home.ne.jp
基本はジェレミア出してコスト稼いで、主人公(マリマヤ)で殴り倒すって感じっすなぁ(序盤)

434トゥ!ヘァ!:2023/05/18(木) 13:03:12 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
まあアナザーストーリーは期間限定というわけでもないので、数か月くらいの長い目でゆっくり育成とストーリー進めていくくらいでいいと思いますね。
焦ることもないですから。

436名無しさん:2023/05/18(木) 22:24:52 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
モニカのキャラストーリー視聴‥‥‥(白目)

437名無しさん:2023/05/18(木) 22:26:22 HOST:sp49-96-15-34.mse.spmode.ne.jp
公式からの踏み絵かな?

438二二三:2023/05/19(金) 04:36:47 HOST:KD106154146060.au-net.ne.jp
ハッピーエンド的ストーリーではないみたいですね

439名無しさん:2023/05/19(金) 07:15:57 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
>>438
いや、モニカの誕生秘密に関わってるのよ。
‥‥うん、そりゃ、ネタバラシできんわ

440ハニワ一号:2023/05/19(金) 09:55:34 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
>>439
まさかモニカの実の父親があの人とか予想できませんでしたわ・・・。
キャラストーリーで明かされた時、とても驚愕しましたわ。

441トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/19(金) 11:48:22 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>438
モニカさんの出生の真実が明かされたって感じですね。

ニニ三さんの望みに合う話かは正直わからないです(汗)

442名無しさん:2023/05/19(金) 12:11:57 HOST:sp49-96-18-12.mse.spmode.ne.jp
出た人物の名前ってロシア系ぽそうでしたな

443休日:2023/05/19(金) 20:11:07 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
投稿します。
モニカ公式決定的設定ネタばれアリです。
ネタバレがお嫌な方は読まないようにお願いします。

444休日:2023/05/19(金) 20:12:59 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 大凡見当がついておりましたよ。彼女が彼の娘かどうかなんてのは。



 楽隠居?と円卓の少女 第2話



辻がトレードマークの丸眼鏡をくいっと上げて答えた

「さすがは嶋田さんですね鋭さでは中々です慧眼です」

「なに言うんですか、鋭さで我々一なのはあなたでしょうに」

「いつ気付きました彼女が彼の子だと?」

「およそ最初からです。でなければ態々ブリタニア皇帝が日本の宰相とは言え、一政治家の下を訪ねて預かって欲しいと頭まで下げますか。あちらの方は育ての親でしょう。本人から伺いましたが厳しい教育を受けていたそうで。それこそ皇室の様な。そりゃそうでしょう。本来ならば皇室に入る方なのですから」

「ご本人は」

「気付いています幼い頃に家で血液検査をした時、良親とも違ったそうですから。母親はすでに亡くなっておりました。元は栄えていた貴族だそうですが、皇室に弓引いた上に南天と繋がっていた貴族グループの主犯格とされてしまった貴族の娘だったそうで、一族郎党処刑されたそうです……彼も苛まれたでしょう。自らの手で産みの親を殺すのですから。今の彼女が何を目的として動いているのかは分かりません。しかしその忠義は本物です。もしかすると自分と言う存在を知らしめたいのかも」

 阿部が言う。

「勘が鋭いのも危険ですね、大凡当たってますよ嶋田さんのそれ。まるで見て来たかのように。実際は観てたんじゃないんですかコードギアス」

「だから見てませんて。実際に皆さんの言った登場人物のほとんどを知らなかったでしょう

 山本が

「コードギアスコードギアスと皆は言うがそのコードギアスを俺は全く知らんのだが?」

【そのコードギアスの美少女キャラの一人と恋人になっとるいっくんは発言せんでよろしい!!!】

 このあたりは皆の意見が合う。それもそうだ。リーライナ・ヴェルガモンを恋人にして婚約まで交わしている山本五十六に発言権はないのだ。理不尽だがそういうことである。皆恋に飢えているのだ非リア充は。

 とまあ感がする同と言う阿部の告白に嶋田は自嘲気味に返した。

「変なところで感が良いんですよ。彼が三年も彼女を俺のところに放置している意味。これは恐らく恐怖でしょうね。家族の争いに万が一巻き込ませたくない。南天の魔手より逃れさせたい。ギンツブルグ家の生き残りの人間だと知られる訳には行かないという。ですが南天の魔手から逃れさせたいというのならば我々に預けるのは悪手です。推測ですが南天が狙っているのは」

 これを継ぐ伏見宮王。話の流れを聞いていて合いの手を入れたのだ。本来これは嶋田と彼女の話なのだが。南天が絡むのならば話も変わる。

445休日:2023/05/19(金) 20:14:04 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「我々だろうな。一連の動きの中で我々だけが意図的に外されてきた今日までは。明日がそうであるという保証はどこにもない彼が彼女を逃がす最も適切な場所は、彼の侯爵家の地に帰してあげる事だ」

 ここで嶋田が口を挟む。

「本人が嫌がっているんですよ。厳しい貴族、本人は知らずのうちに皇室の訓練を受けさせられてきた場所だから、辛い思い出が多いのでしょう。まあ、最近は実家に顔を出したりしてご両親との蟠りも解消されてきたようですが」

 富永が面白くなさそうに続いた。彼もまたコードギアスを知っている一人だ、その後の話ももちろん知っている。

「最初に嶋田さんに伝えておくべきだったな。コードギアスのあらましを。彼女にとっちゃ父親であると同時に、母の仇でもあるんだよ。あのおやじはな。行っちゃなんだが原作では死んでも会えるから生き死ににに特に意味は内的な考え方持ってるクソの一人だ。この世界じゃまあ大分とましになってうけどなあ。ただ原作にしろこっちの世界に城認知していなかったがためにな」

「いえ富永さん。知らない作品についてを聞かされてもたぶん覚えられません。精々が主要人物の名前くらいで。そのお気持ちだけ受け取っておきます。ありがとうございます」

 杉山が続いた。

「何にしろ、彼女がやんごとない身の上であるのは確か。扱いを間違えれば戦争に発展しかねんほどの。全く彼もまた厄介な人物をお押し付けてくれたものだ。辻、万が一の時は」

「ま、我々は連合国家的な形を目指しています二国二制度性の日本ブリタニア連合帝国的なですから本来戦争になる相手ではないんですが、万が一の可能性を考えるなら勝てるように対策は練っています。万全の準備を整えて。その場合、彼女には永遠に故郷を失わせる事となり、その憎しみは我々に向くでしょう。嶋田さんには愛憎入り混じった感情が」

 そんなに簡単なのかねと近衛が言うと。

「簡単ですよイエローストーンに穴を開けてやるだけでブリタニアは滅びます。その後のことは知りませんがね」

 おいおい世界が滅びるぞそれ。

「まあまあ皆さん大袈裟なんですよ。私は彼女の下宿先の大家に過ぎません。また彼女は我々の正体も知らない。辿り着く方法は無きに等しい。ま、孤独の中でずっと喘いでいた彼女に手を差し伸べるのが精々私にできる事でしょう。私は彼女の事を厄介者だともややこしいとも思ったことはありません。子は親を選べません、そして親も子を選べません。彼女ら親子は偶然にも分かたれてしまい、父自身によって引き起こされた悲劇によって父であることも子であることも言い出せない環境に置かれた。私がお聴きした原作の話よりかはずっと救いがあると思うんですけど、それもまた錯覚かもしれません」

 倉崎翁が締めにかかる。

「まあみんな、何もこんな日に、こんな議題で寂しく悲しく暗い気分になる事も無いではないか。今日は聖夜。何かが起きるかもしれんメリークリスマスという事で締めましょう」

『メリークリスマス』

「一杯飲みに行くか?」

「俺はリーライナと予定が」

『リア充死ね』

 がた、がたがた。

 一人また一人と席を立て行きやがて円卓には誰も居なくなっていた。一人枢木ゲンブが皆に威圧感に充てられ心臓発作を起こしかけていた以外は。

446休日:2023/05/19(金) 20:14:56 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


『みんな〜、今日は何の日か知ってる〜?』

『は〜いっ!』

『じゃあ何の日かな〜?』

『クリスマス〜! サンタさ〜ん!』

 テレビから聞こえる無邪気な子ども達の声。私には、子供の頃に楽しい記憶はない。

 みんな笑顔でサンタクロースの話をしている。

 夕方に放送されている子ども向けの教育番組の一コマだ。

「サンタさん……か」

 自分以外誰もいない居間でぽつりと呟いたのは長い金色の髪の女性。

 目の上辺りで切り揃えられた前髪のせいか少し幼げな印象も受けるしとやかな風貌。

 テレビの画面に向けられた空の色を思わせる碧く澄んだ瞳。

 真っ直ぐに腰の下まで伸びた髪の一部は顔の両側から身体の前に流されて赤いリボンで束ねられていた。

 彼女はその髪の房を指で弄びながら愁いを帯びた表情を浮かべている。

 一見すると深窓の令嬢を思わせる彼女。いや、深窓の令嬢である事に違いはない。

 但し、それでいて鋭い切れ味を持った剣でもあるのだが。

 神聖ブリタニア帝国皇帝シャルル・ジ・ブリタニア直属の騎士にして最強の12騎士の末席に座する貴族の少女ナイトオブトゥエルブ モニカ・クルシェフスキー。そう、あの人の騎士。

 それが彼女だった。

 モニカは現在ブリタニアと並ぶ大国であり同盟国でもある大日本帝国に駐在武官、正確には駐日大使館附き駐在官として滞在している。

 下宿先としてシャルルの友人であり日本の元総理、嶋田繁太郎宅に住んでいる彼女だったがいまその大家たる嶋田の姿はない。

 なんでも急な用事で遅くなるとのことで先に寝ててと電話があったのだ。

「あの人の居ないクリスマス……」

 彼女は今日という日を嶋田と共に過ごしたかった。

 由緒正しい厳格な貴族の家に生まれたモニカは幼少期を除いて厳しく育てられてきた。

 その為、物心ついた頃からクリスマスの祝い事などしていない。

 パーティーなどは幾度となく行われていたが、それは所詮貴族の社交パーティーでしかなく心から楽しんだ記憶が殆ど無いのだ。

 かといって両親が彼女に愛情を抱いていないという訳ではない。

 一般的な家庭と同じように娘を愛していたし大事に思っている。

 しかし一人娘であり、いずれはクルシェフスキー侯爵家の当主となる娘を甘やかせる事はできない。

 自分でも分かっているのだが理解することと納得することは違う。

(お父様もお母様も私のことが嫌いなんだ)

 幾度となくそう考えたし今でもたまに思うことがある。

 ただ、ある時知った。血液検査で。父と母、二人ともに合わない血液をしていた事を。

 では、私は誰か? 調べて行った、出生を辿っていったすると行き着いた先はギンツブルグ家と彼だった。母を殺した彼憎むべき存在のはずなのに、私は現状を受け入れている。母の仇である彼、でも彼をそうさせたのはギンツブルグ家に他ならない。何が悪くて、どうすればよかったのか。きっとあの当時誰にも答えは分からなかったのだろう。だから私の復讐は、いつか、いつの日か彼に私が彼の子であることを明かす事。ラウンズとなったいま彼の中で私の存在は大きくなっている、だから、故にいつ打ち明けるか。そのときどうするのか。私は決めなければならない。

 ただ、それとは別で、彼が紹介してくれた人には私は暖かさと優しさをいつも頂いている。彼が居るだけで楽しいと思える、彼が居るだけで優しい気持ちになれる、彼が居るだけで温かい。そんな彼女に惜しみない優しさと思いやりを与えてくれ、貴族の令嬢ではなく彼の子でもなくただの一人の少女としてこの三年間を接してくれた──嶋田繁太郎。彼だけが、きっと、彼だけが本当の意味での私の特別。私に惜しみない愛を注いでくださる方。

 彼のいないクリスマスは寂しかった。ろうそくの火のついていないケーキを私はただ一人見つめる、特別な彼とのクリスマス。別に彼とクリスマスを祝う約束をしていた訳ではない。

 ただこの日を共にして欲しかった。それだけだ。

 こうして一人で居ると思いだすから。両親が本当の両親ではない事。

447休日:2023/05/19(金) 20:15:48 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ※

 世界は争いに満ちている、それは私が生まれた時より変わらない。

 大日本帝国と神聖ブリタニア帝国が率いる北側諸国。

 合衆国オセアニアが率いる南側諸国通称南天。

 ユーロピア共和国連合は南天に媚を売り、中華連邦は100年前の日中戦争から旧敵国扱いのまま。

 世界は多岐に分かれながらも大きく北側南側へと集束し遂には世界を滅ぼすF号兵器まで生み出し、およそ世界で300,000発のF号兵器が生み出され北と南はにらみ合いを続けてきた。

 それは現皇帝シャルル・ジ・ブリタニアの体制となっても変わらなかった。彼が皇帝となった直後反乱がおき空白の三十分事件の時に何かがあった。彼自身も覚えていないなにか「さあ、選択の時だあ」と響いた声だけが頭にこびりついているという。

 絶妙なバランスで保たれていた世界情勢にも次第に南天の影がちらつくようになり、国内でも南天に通じる貴族や派閥が出始めた。

 南天はその勢力を東アフリカ、中東の一部から、中央アフリカ以南や南アフリカにまで広げ勢力を拡大し、世界のパワーバランスは大きく崩れようとしていた。

 不平等こそが悪である、平等もまた悪である、創造主に帰依し世界を新たに創造する事こそが正義であるのだ。

 唯一神を信じ、唯一神に心奪われるものは世界中で続出していく。その波はやがてブリタニアにも訪れる。

 だから私は欲したその唯一神にあらがえる力を。そして同時に全てはあの人への……。

「クルシェフスキー卿、着きました」

「ありがとうエレーナ、ではまた明朝ここに迎えに来てもらえる?」

「それはかまわないのですが……お一人で大丈夫なのですか?」

「ふふっ、副官のあなたにはお見通しなのね。でも大丈夫。ただ、報告に行くだけだから。しんぱいしてくれてありがとう」

「なにかあったら連絡をください飛んで来ますので。あなたになにかがあってはシマダ様がご心配なさいます」

「わかった。頼りにしているわ……嶋田さんには、彼にだけは心配をかけたくない」

 私はエレーナと別れ歩いた。人気のない道を。

「ここは変わらない。まるで時が止まっているかのよう……」

 すると老紳士が声をかけてきた。

「珍しい。こんなところに人がいるなんて」

「こんにちは。なんでも有名な貴族の屋敷があるとききましてね」

「有名かそれは悪い方に違いないな」

「ご老人は御存じで?」

「ああ、儂はこの屋敷の主……ギンツブルグ家に仕える使用人だったのさ」

「ギンツブルグ家」

「この辺り一帯を治める貴族だったんだ。領民に好かれるご一家だったんだ。十数年前まではな」

「十数年前まで……なにかあったのですか?」

「領主さまがな、皇族への反乱を企てたらしいんだ。かねてより皇族に対する不満があったらしい」

「その反乱が失敗し、お取りつぶしにあったのですね。皇族に立てついたばかりに……」

「なんとも愚かなことをされたものだ。娘さんが身籠られていたというのに……」

「そう……ですか」

「ああ。娘さんちょうどあんたくらいの歳の……うん?そういえば、あんた似ておるな」

「似ている?私が誰に?」

「ギンツブルグ家の御令嬢にだ」

「ふふっ、御冗談を。私はモニカ・クルシェフスキーと申します」

「モニカ・クルシェフスキー……どこかで聞いたような……」

「私の名など知らないまま過ごす方が良いのですよ」

448休日:2023/05/19(金) 20:16:39 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「それは、どういう……」

「ふふっ。言葉のままの意味です。それよりもご老人、こんな小娘のお相手をしていただいてありがとうございました。予定がありますので、そろそろ失礼させていただいます」

「そうだな。ここはあんたのような娘さんが一人で来るような場所じゃない。気を付けていきなされ」

「ありがとうざいます、では……」

 一人残った老人は呟く。

「モニカ・クルシェフスキーか、不思議な娘さんじゃったな……モニカ?確か、この間あらたにナイトオブラウンズに選ばれた騎士様もそんな名前だったような……」

 渡すは老人との話を終え、墓地へとたどり着く。誰も参ることの無い墓地へ。

「お母様、報告に来ました 私、モニカ・クルシェフスキーが……ナイトオブラウンズと認められたことを」

 かつてこの辺り一帯はギンツブルグ家が治める領地だった。

 商才に恵まれた領主は、交易にも意欲的で港は良く栄えていたと聞く。

 十数年前までの話です。

「ノンナ……あなたも来たのね」

「はい。あなたさまが戻られたと街の者から聞いたもので……」

「耳が早いのね」

「今となっては小さな街ですから……」

「よそ者は目立つ、ということかしら。それもそうよね。この街には人がいないもの。それも、この街が人々から忌避されるようになったから。裏切者が治めていた土地だと……」

「すべては、あの反乱が原因です。領主さまが皇族に対して起こした反乱が……」

「イコニリストの乱ね。皇帝専制打破を訴えた……」

「そうです。その旗頭となったのがギンツブルグ家のご当主様だったのです……」

「どうしてそんな……ギンツブルグ家古くからブリタニア皇族に仕える名家だったのに」

「時代の風にあてられたとも。南天にそそのかされたとも言われております」

「あの頃は大貴族連合が皇族批判を強めていた時期、それを南天が操っていたとも言われていた時期です」

「もとよりご当主さまは、皇帝専制を疑問視されておられましたから……」

「そうして時代の風を読み違えてしまったのね」

「自分の愛娘がシャルル・ジ・ブリタニアの子を孕んでいたにも関わらず」

「……」

「ナターリャ様のことは不運でしたまさかシャルル様の子を身籠られようとは……」

「二人はどこで?」

「さあ。私たちにはわかりかねます。高貴な方々の集まりなのか、偶然出会ったからなのか。ナターリャ様はそれほど社交的な方ではなかったので、不思議に思った物です」

「では、ふたりが本当に愛し合っていたのかもわからないのですね」

「……はい、ナターリャ様の侍女であった私でさえ、おふたりが出会ったことを知りませんでした。しかしある日。ナターリャ様の体調がすぐれないことがあり、医者にかかりました。そこで妊娠していることがわかったのです。ナターリャ様はひどく動揺されていました。でも、それはすぐにご当主様の知るところとなります。医者がギンツブルグ家のかかりつけだったので、隠しようもありません。ご当主様は一人娘のナターリャ様の懐妊をひどく悲しんでおられました」

「……そう、悲しんでいたのね」

「今となって思えば、ご当主様が反乱を起こしたのは、ナターリャ様の懐妊が関係していたのかもしれません」

「ひどい話ね」

「ええ、本当にひどい話です。誰も授かった新しい命のことを想ってはいないのですから。そこからの凋落ぶりは話に聞く物語のようでした。仲間の貴族たちと共に反乱を起こしたご当主様でしたが、すぐにその動きを察知され……派遣されたナイトオブラウンズによって制圧されました」

「………」

「頼りにしていた大貴族連合にも早々に見切りつけられて、関係性を絶たれ、梯子を外されてしまいます。ここにも南天の意思が介在していたという噂が後を絶ちません。ギンツブルグ家に待っていたのは、爵位はく奪だけではなく、一族郎党の処刑」

「血を根絶やしにする……。ブリタニアらしいわね。力を持つ者は、富も、名声も、地位も手に入れることが出来る。その逆もまた然り。力が無ければすべてを奪われる」

「はい。そこにきて、ようやくご当主様はナターリャ様のことを顧みられたのです。イコニストの乱が治められた頃には、すでにご出産され、ナターリャ様の腕には女の子が抱かれていたのですから。ご当主様は悔いました自分のとった行動が多くの人間の命を奪うことになる。せめて救える命はとできる限りの関係性を持ち、使用人たちを逃がしました。私もその内のひとりでした。他の者と違ったのはナターリャ様の御息女を預かったこと」

「………」

「私はご息女とともに、ギンツブルグ家と交友関係にあったクルシェフスキー家に引き受けていただきました。そう。モニカお嬢様、あなたとともに」


 ※

449休日:2023/05/19(金) 20:17:25 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 嫌な記憶であり思い出。良き思い出であり真実の記憶。知りたいこと。知りたくない事。あの場所にはたくさんの逃げだしたいが埋まっている。泣きたい気持ち悲しい気持ちが、そんなとき、嶋田さんは言う。

「泣きたければ泣けばいい。泣きたいときにはわんわん泣いて。涙をだしつくせばまた元気がやってくるから。女の子ってのはそんなもんだ。それに君みたいな子供が涙を我慢するものじゃないよ」

 そう言ってその胸で泣かせてくれたギンツブルグ家の悲劇の事もお母様のお墓の事も、ノンナのことも、彼の事も全部全部、泣きたい気持ちをその胸に受け止めさせてくれるのだ。嶋田さんあなたは、あなたはどうしてそんなにもやさしいのですか。

 やがて夕食時を過ぎ時計の針が次の日に移行する時間になっても、優しい彼は帰ってこなかった。

 彼女にはそれでも待つという選択肢があったし、そうしたかった。しかし明日もまた公務が待っている以上それはできない。

 人の上に立つべき自分が周囲に迷惑を掛けるようなことがあってはならないのだ。

「………………寝よう」

 心にぽっかりと穴が開いたような錯覚を覚えながら、突っ伏していたこたつを出ると、そのまま寝室へ向かいパジャマへと着替える。

『今日は何の日か知ってる〜?』

『クリスマス〜! サンタさ〜ん!』

「……」

 パジャマに着替えたモニカが、そのまま畳に敷いた布団に入って寝ようとしたとき、ふと夕方に流れていた教育番組の内容が思い出された。

『みんな良く聞いてね〜? 今日はサンタさんがみんなにプレゼントを持ってきてくれるから、寝るときには窓のところに靴下をぶら下げておかなきゃダメだぞ〜?』

『は〜いっ!!』

 実に子供だましの馬鹿馬鹿しい内容ではあったが、あの子ども達はみんな信じているのだろう。サンタさんがやってくることを

 笑顔で、あれが欲しい、これが欲しい、と、自分が欲しい物を叫んでいた。

 そのときの子ども達の笑顔を思い出したモニカは自分でも(何をしているのでしょうね)と思いつつ自分の靴下を部屋の窓にぶら下げていた。そして一言呟いた「……嶋田さんが、嶋田繁太郎さんが欲しい」なんて願いを願うのだろうか。ただ本当に欲しいものは、それだけだから。優しいあの人だけだから

 黒い靴下は夜の闇よりも尚暗く見える為、もしサンタさんが来てもそこに靴下があるとは気付かないかも知れない。でもいいの。あの人がこの部屋に来てくれるだけで私は何もいらないから。

 入ってなかったら見えなかったのだと思えばちょっぴりクリスマス気分を味わえるだろう。それでも、凄く寂しい。今は、彼の温もりが欲しい、彼に泣きつきたい。

 そんなことを考えながら今度こそ寝ようと布団に入って目を瞑った。

「おやすみなさい……」

450休日:2023/05/19(金) 20:18:16 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ※


 眠りについてからどれくらい経っただろうか?

 部屋に人の気配を感じたモニカは、深い眠りから一気に覚め、布団から飛び起きて身構えた。

「何者ですか!」

 伊達に円卓の騎士の末席に名を連ねてはいない。周囲で気配があればすぐに分かるし対処も出来る。

 剣術は勿論のこと、体術その他の格闘技でも常人では計り知れない実力を持つのが彼女達、ナイトオブラウンズなのだから。

「あ、あわわ……」

 そんな超人の域に達している騎士の殺気を浴びせられる方は堪ったものではない。単なる泥棒や不審者には対処のしようがないのだ。

 そしてこの時、モニカの部屋に居た人物もまた、戦闘的な部分に於いては普通の人。たとえその両手は溢れてもなお余りある鮮血に濡れていても……。

 モニカは相手がそれなりの訓練を積んでいた人間であると判断した物の、純粋な戦闘能力では自身よりも遥かに劣ることが分かった。

 彼女はそれが分かっても構えを解かないし油断もしない。どんな相手であれ一瞬の油断が命取りになることを知っているから。

(え…? この、感じ……)

 だが感じ取った相手の気配と目が慣れてくるにつれ見え始めたその姿に、彼女は自然と構えを解いた。

「や、やあメリークリスマス、」

「……」

 それは赤い服と赤いズボン、更に赤い帽子をかぶって口の周りに真っ白なヒゲを蓄えた老人――サンタクロースだったのだ。

「よ、よい子のモニカちゃんにプレゼントを持ってきたんだけど……おじさん驚かせちゃったかな?」

 無論それがサンタクロースなどではないことなど彼女にはハッキリ分かっている。どんなプレゼントよりも最も欲しかったプレゼントなのだと。

 何せよぉ〜く知っている気配と声なのだから、多少の変装など簡単に見破れるというものだ。

 それに変装が完璧であって、気配も違ったとしても心優しい彼の相手を、誰かと間違えたりなどしない。

「こ、こんばんはサンタさん、」

 嬉しいと同時にプレゼントと言われた瞬間モニカの最強の騎士の仮面はあっさりと剥がれ落ち、変わって年頃の乙女の姿になってしまった。

 姿形は違っても、恋慕い待ち望んでいたあの人が自分へのプレゼント片手に目の前にいるのだから。

 彼女は高鳴る鼓動を抑えながらちらりと時計に目を遣る。時刻は午前二時。完全なる遅刻であった。

「ほら、これが君へのプレゼントだ」

 差し出されたのは赤い包装用紙に包まれた二つの箱。

 それほど大きな物ではない。

「あ、ありがとうございます……あの、靴下を用意したのでそちらに入れてくださると……」

「おお、そうだったそうだった! いや、まさか君が目を開けちゃうとは思わなかったもので」

 おどけたように言うサンタにモニカは「くすり」と笑った。

「さあさあプレゼントは入れたし、よい子は寝る時間だよ」

「貴方とお話していられるのなら悪い子でもいいですよ」

「困ったなぁ〜」

「それに……」

451休日:2023/05/19(金) 20:19:19 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 モニカはサンタの胸に抱き着いた。今だけは、そういう彼女の頭をサンタは優しく撫でる。

「いいよ、いくらでも泣いていいんだ。女の子はそうやってつらいこと悲しいことがあった時はいくらでも、いつまでも、泣いていいんだよ。俺なんかの胸でよければね。また思い出していたんだね。毎年お墓参りに行くから思い出すんだろうね大切なお母さんのこと。俺はさ、モニカさんのお母さんの変わりにはなれない。でもこの胸で泣かせてあげることくらいはできるよ」

 何が厄介な女の子だ、何が厄介者だ。この子は産まれが特殊なだけの普通の女の子なんだ

 内に秘めたものが何かは分からない、何をやろうとしているのかは分からない。でも、それでも、この子は普通の女の子だ。厄介ものなんかじゃない。

「モニカさん、今日はクリスマスだ、少し遅れたけれど神様はきっと一つくらい奇跡を起こしてくれるよ」

「俺が優しく語り掛けると同時に一枚の便せんが懐から落ちる」

「名前は足長おじさん。モニカさんへ名も語れぬ臆病な足長おじさんだ。キミのことはいつも見ている。キミの活躍も、キミの強さも、キミが上り詰めた根源も、いつかキミと二人でお話がしたい。いつの日かキミが告白してくれる日を待っている。卑怯で臆病な足長おじさんより」

「うわ〜〜〜〜〜〜〜っうう、うううう」

 モニカさんはまた泣いた俺の胸で泣いて、泣いて、泣いて、泣き続けた。三十分近く泣いたのではないだろうか。やがてひっくひっくとしたしゃっくりに変わり彼女は静かに眠りに落ちた。

 泣きつかれた彼女を。サンタの胸で眠った少女をサンタはベッドへと寝かせる。

 いい子は寝るもの。ゆっくりお休み続きは夢の中で、優しい夢をね。

 無服のリボンは黒いリボン。なら君にはスカイブルーの瞳に合わせた青いリボンと。

 そして黒い喪服とは正反対の、白いリボンを贈ったよ。

 君に似合うか分からないけど、俺なりに選んだものだ。長さはいつものリボンと同じ長さだから丁度似合うと思う。

 良ければ使ってほしい。それとこんな真っ赤な血で汚れた腕でよければいつでも抱いてあげるから泣きつてくれたらいいよ。

 だが、だけどなあ。

「シャルル・ジ・ブリタニアよ。こういうのはなあもう引き返せない血まみれの俺なんかじゃなく、まだ引き返せる位置に居るお前がする事なんだぞ。自称臆病な足長おじさん」

452トゥ!ヘァ!:2023/05/19(金) 20:34:51 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です
ここでは南天と繋がっていた罪まで追加ですか。そりゃ元の実家は原作以上に許されないわけですわ…

思えばこれルルやユフィとも姉弟、姉妹ってことになるんですよね。

453休日:2023/05/19(金) 20:38:03 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。

>>407二二三さま
嶋田さんは衝号を考えるなら魔神の属性に入るでしょう。
聖属性のモニカとは相性最悪です。それでもモニカが嶋田さんの闇を受け止めきれたら道は開かれるでしょう。
ユフィは悪性をも吸収してしまう善性の持ち主です嶋田さんが闇落ちしない理由ですね。

>>416トゥ!ヘァ!スマホさま
チリトマトソース味ピリ辛ですが結構おいしいですよ。

>>417ハニワ一号さま
ユフィは受け止めきりましたが。ある意味ユフィ以上に潔癖なモニカに受け止めきれるかですね。

>>418700さま
ポット出てポット消えた感じでしたよね。

454休日:2023/05/19(金) 20:47:28 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
こんばんわ。休日です。一遍三十キロの五稜郭もいいですね

間とって一遍三十キロの五稜郭型で行きますか
高さはイズモのとって2キロくらいで

シーランド王国の形はこんな感じになりそうです。

3,000,000〜4,000,000人は住めそうですねうまくいけば5,000,000くらい住めそうですね。

455トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/19(金) 20:49:23 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
シーランドは良くも悪くもその人工の土地ですからね。

海域さえ問題にならないなら幾らでも生活域を広げられる利点があります。

456名無しさん:2023/05/19(金) 21:02:50 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
乙です。
あのシナリオびっくりしましたねえ

457休日:2023/05/19(金) 22:31:55 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
誤字がひどいので修正投稿します。

458休日:2023/05/19(金) 22:33:39 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 大凡見当がついておりましたよ。彼女が彼の娘かどうかなんてのは。

 楽隠居?と円卓の少女 第2話



 辻がトレードマークの丸眼鏡をくいっと上げて答えた

「さすがは嶋田さんですね鋭さでは中々です慧眼です」

「なに言うんですか、鋭さで我々一なのはあなたでしょうに」

「いつ気付きました彼女が彼の子だと?」

「およそ最初からです。でなければ態々ブリタニア皇帝が日本の宰相とは言え、一政治家の下を訪ねて預かって欲しいと頭まで下げますか。あちらの方は育ての親でしょう。本人から伺いましたが厳しい教育を受けていたそうで。それこそ皇室の様な。そりゃそうでしょう。本来ならば皇室に入る方なのですから」

「ご本人は」

「気付いています幼い頃に家で血液検査をした時、両親とも違ったそうですから。母親はすでに亡くなっておりました。元は栄えていた貴族だそうですが、皇室に弓引いた上に南天と繋がっていた貴族グループの主犯格とされてしまった貴族の娘だったそうで、一族郎党処刑されたそうです……彼も苛まれたでしょう。自らの手で産みの親を殺すのですから。今の彼女が何を目的として動いているのかは分かりません。しかしその忠義は本物です。もしかすると自分と言う存在を知らしめたいのかも」

 阿部が言う。

「勘が鋭いのも危険ですね、大凡当たってますよ嶋田さんのそれ。まるで見て来たかのように。実際は観てたんじゃないんですかコードギアス」

「だから見てませんて。実際に皆さんの言った登場人物のほとんどを知らなかったでしょう

 山本が

「コードギアスコードギアスと皆は言うがそのコードギアスを俺は全く知らんのだが?」

【そのコードギアスの美少女キャラの一人と恋人になっとるいっくんは発言せんでよろしい!!!】

 このあたりは皆の意見が合う。それもそうだ。リーライナ・ヴェルガモンを恋人にして婚約まで交わしている山本五十六に発言権はないのだ。理不尽だがそういうことである。皆恋に飢えているのだ非リア充は。

 とまあ感がするどうと言う阿部の告白に嶋田は自嘲気味に返した。

「変なところで感が良いんですよ。彼が三年も彼女を俺のところに放置している意味。これは恐らく恐怖でしょうね。家族の争いに万が一巻き込ませたくない。南天の魔手より逃れさせたい。ギンツブルグ家の生き残りの人間だと知られる訳には行かないという。ですが南天の魔手から逃れさせたいというのならば我々に預けるのは悪手です。推測ですが南天が狙っているのは」

 これを継ぐ伏見宮王。話の流れを聞いていて合いの手を入れたのだ。本来これは嶋田と彼女の話なのだが。南天が絡むのならば話も変わる。

「我々だろうな。一連の動きの中で我々だけが意図的に外されてきた今日までは。明日がそうであるという保証はどこにもない。彼が彼女を逃がす最も適切な場所は、彼の侯爵家の地に帰してあげる事だ」

459休日:2023/05/19(金) 22:34:36 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ここで嶋田が口を挟む。

「本人が嫌がっているんですよ。厳しい貴族、本人は知らずのうちに皇室の訓練を受けさせられてきた場所だから、辛い思い出が多いのでしょう。まあ、最近は実家に顔を出したりしてご両親との蟠りも解消されてきたようですが」

 富永が面白くなさそうに続いた。彼もまたコードギアスを知っている一人だ、その後の話ももちろん知っている。

「最初に嶋田さんに伝えておくべきだったな。コードギアスのあらましを。彼女にとっちゃ父親であると同時に、母の仇でもあるんだよ。あのおやじはな。言っちゃなんだが原作では死んでも会えるから生き死にに特に意味は無い的な考え方持ってるクソの一人だ。この世界じゃまあ大分とましになってるどなあ。ただ原作にしろこっちの世界にしろ認知していなかったがためにな。こういった不幸が起きちまってやがるんだよ」

「いえ富永さん。知らない作品についてを聞かされてもたぶん覚えられません。精々が主要人物の名前くらいで。そのお気持ちだけ受け取っておきます。ありがとうございます」

 杉山が続いた。

「何にしろ、彼女がやんごとない身の上であるのは確か。扱いを間違えれば戦争に発展しかねんほどの。全く彼もまた厄介な人物をお押し付けてくれたものだ。辻、万が一の時は」

「ま、我々は連合国家的な形を目指しています。二国二制度性の日本ブリタニア連合帝国的な。ですから本来戦争になる相手ではないんですが、万が一の可能性を考えるなら勝てるように対策は練っています。万全の準備を整えて。その場合、彼女には永遠に故郷を失わせる事となり、その憎しみは我々に向くでしょう。嶋田さんには愛憎入り混じった感情が」

 そんなに簡単なのかねと近衛が言うと。

 嶋田がなんで俺が愛憎?というと、みんなが鈍いんだよあんたはと突っ込みを入れる。

「簡単ですよイエローストーンに穴を開けてやるだけでブリタニアは滅びます。その後のことは知りませんがね」

 おいおい世界が滅びるぞそれ。

「まあまあ皆さん大袈裟なんですよ。私は彼女の下宿先の大家に過ぎません。また彼女は我々の正体も知らない。辿り着く方法は無きに等しい。ま、孤独の中でずっと喘いでいた彼女に手を差し伸べるのが精々私にできる事でしょう。私は彼女の事を厄介者だともややこしいとも思ったことはありません。子は親を選べません、そして親も子を選べません。彼女ら親子は偶然にも分かたれてしまい、父自身によって引き起こされた悲劇によって父であることも子であることも言い出せない環境に置かれた。私がお聴きした原作の話よりかはずっと救いがあると思うんですけど、それもまた錯覚かもしれません」

 倉崎翁が締めにかかる。

「まあみんな、何もこんな日に、こんな議題で寂しく悲しく暗い気分になる事も無いではないか。今日は聖夜。何かが起きるかもしれんメリークリスマスという事で締めましょう」

『メリークリスマス』

「一杯飲みに行くか?」

「俺はリーライナと予定が」

『リア充死ね』

 がた、がたがた。

 一人また一人と席を立ち行きやがて円卓には誰も居なくなっていた。一人枢木ゲンブが皆に威圧感に充てられ心臓発作を起こしかけていた以外は。

460休日:2023/05/19(金) 22:35:26 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

『みんな〜、今日は何の日か知ってる〜?』

『は〜いっ!』

『じゃあ何の日かな〜?』

『クリスマス〜! サンタさ〜ん!』

 テレビから聞こえる無邪気な子ども達の声。私には、子供の頃に楽しい記憶はない。

 みんな笑顔でサンタクロースの話をしている。

 夕方に放送されている子ども向けの教育番組の一コマだ。

「サンタさん……か」

 自分以外誰もいない居間でぽつりと呟いたのは長い金色の髪の女性。

 目の上辺りで切り揃えられた前髪のせいか少し幼げな印象も受けるしとやかな風貌。

 テレビの画面に向けられた空の色を思わせる碧く澄んだ瞳。

 真っ直ぐに腰の下まで伸びた髪の一部は顔の両側から身体の前に流されて赤いリボンで束ねられていた。

 彼女はその髪の房を指で弄びながら愁いを帯びた表情を浮かべている。

 一見すると深窓の令嬢を思わせる彼女。いや、深窓の令嬢である事に違いはない。

 但し、それでいて鋭い切れ味を持った剣でもあるのだが。

 神聖ブリタニア帝国皇帝シャルル・ジ・ブリタニア直属の騎士にして最強の12騎士の末席に座する貴族の少女ナイトオブトゥエルブ モニカ・クルシェフスキー。そう、あの人の騎士。

 それが彼女だった。

 モニカは現在ブリタニアと並ぶ大国であり同盟国でもある大日本帝国に駐在武官、正確には駐日大使館附き駐在官として滞在している。

 下宿先としてシャルルの友人であり日本の元総理、嶋田繁太郎宅に住んでいる彼女だったがいまその大家たる嶋田の姿はない。

 なんでも急な用事で遅くなるとのことで先に寝ててと電話があったのだ。

「あの人の居ないクリスマス……」

 彼女は今日という日を嶋田と共に過ごしたかった。

 由緒正しい厳格な貴族の家に生まれたモニカは幼少期を除いて厳しく育てられてきた。

 その為、物心ついた頃からクリスマスの祝い事などしていない。

 パーティーなどは幾度となく行われていたが、それは所詮貴族の社交パーティーでしかなく心から楽しんだ記憶が殆ど無いのだ。

 かといって両親が彼女に愛情を抱いていないという訳ではない。

 一般的な家庭と同じように娘を愛していたし大事に思っている。

 しかし一人娘であり、いずれはクルシェフスキー侯爵家の当主となる娘を甘やかせる事はできない。

 自分でも分かっているのだが理解することと納得することは違う。

(お父様もお母様も私のことが嫌いなんだ)

 幾度となくそう考えたし今でもたまに思うことがある。

 ただ、ある時知った。血液検査で。父と母、二人ともに合わない血液をしていた事を。

 では、私は誰か? 調べて行った、出生を辿っていったすると行き着いた先はギンツブルグ家と彼だった。母を殺した彼憎むべき存在のはずなのに、私は現状を受け入れている。母の仇である彼、でも彼をそうさせたのはギンツブルグ家に他ならない。何が悪くて、どうすればよかったのか。きっとあの当時誰にも答えは分からなかったのだろう。だから私の復讐は、いつか、いつの日か彼に私が彼の子であることを明かす事。ラウンズとなったいま彼の中で私の存在は大きくなっている、だから、故にいつ打ち明けるか。そのときどうするのか。私は決めなければならない。

 ただ、それとは別で、彼が紹介してくれた人には私は暖かさと優しさをいつも頂いている。彼が居るだけで楽しいと思える、彼が居るだけで優しい気持ちになれる、彼が居るだけで温かい。そんな彼女に惜しみない優しさと思いやりを与えてくれ、貴族の令嬢ではなく彼の子でもなくただの一人の少女としてこの三年間を接してくれた──嶋田繁太郎。彼だけが、きっと、彼だけが本当の意味での私の特別。私に惜しみない愛を注いでくださる方。

 彼のいないクリスマスは寂しかった。ろうそくの火のついていないケーキを私はただ一人見つめる、特別な彼とのクリスマス。別に彼とクリスマスを祝う約束をしていた訳ではない。

 ただこの日を共にして欲しかった。それだけだ。

 こうして一人で居ると思いだすから。両親が本当の両親ではない事。

461休日:2023/05/19(金) 22:36:05 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ※

 世界は争いに満ちている、それは私が生まれた時より変わらない。

 大日本帝国と神聖ブリタニア帝国が率いる北側諸国。

 合衆国オセアニアが率いる南側諸国通称南天。

 ユーロピア共和国連合は南天に媚を売り、中華連邦は100年前の日中戦争から旧敵国扱いのまま。

 世界は多岐に分かれながらも大きく北側南側へと集束し遂には世界を滅ぼすF号兵器まで生み出し、およそ世界で300,000発のF号兵器が生み出され北と南はにらみ合いを続けてきた。

 それは現皇帝シャルル・ジ・ブリタニアの体制となっても変わらなかった。彼が皇帝となった直後反乱がおき空白の三十分事件の時に何かがあった。彼自身も覚えていないなにか「さあ、選択の時だあ」と響いた声だけが頭にこびりついているという。

 絶妙なバランスで保たれていた世界情勢にも次第に南天の影がちらつくようになり、国内でも南天に通じる貴族や派閥が出始めた。

 南天はその勢力を東アフリカ、中東の一部から、中央アフリカ以南や南アフリカにまで広げ勢力を拡大し、世界のパワーバランスは大きく崩れようとしていた。

 不平等こそが悪である、平等もまた悪である、創造主に帰依し世界を新たに創造する事こそが正義であるのだ。

 唯一神を信じ、唯一神に心奪われるものは世界中で続出していく。その波はやがてブリタニアにも訪れる。

 だから私は欲したその唯一神にあらがえる力を。そして同時に全てはあの人への……。

「クルシェフスキー卿、着きました」

「ありがとうエレーナ、ではまた明朝ここに迎えに来てもらえる?」

「それはかまわないのですが……お一人で大丈夫なのですか?」

「ふふっ、副官のあなたにはお見通しなのね。でも大丈夫。ただ、報告に行くだけだから。しんぱいしてくれてありがとう」

「なにかあったら連絡をください飛んで来ますので。あなたになにかがあってはシマダ様がご心配なさいます」

「わかった。頼りにしているわ……嶋田さんには、彼にだけは心配をかけたくない」

 私はエレーナと別れ歩いた。人気のない道を。

「ここは変わらない。まるで時が止まっているかのよう……」

 すると老紳士が声をかけてきた。

「珍しい。こんなところに人がいるなんて」

「こんにちは。なんでも有名な貴族の屋敷があるとききましてね」

「有名かそれは悪い方に違いないな」

「ご老人は御存じで?」

「ああ、儂はこの屋敷の主……ギンツブルグ家に仕える使用人だったのさ」

「ギンツブルグ家」

「この辺り一帯を治める貴族だったんだ。領民に好かれるご一家だったんだ。十数年前まではな」

「十数年前まで……なにかあったのですか?」

「領主さまがな、皇族への反乱を企てたらしいんだ。かねてより皇族に対する不満があったらしい」

「その反乱が失敗し、お取りつぶしにあったのですね。皇族に立てついたばかりに……」

「なんとも愚かなことをされたものだ。娘さんが身籠られていたというのに……」

「そう……ですか」

「ああ。娘さんちょうどあんたくらいの歳の……うん?そういえば、あんた似ておるな」

「似ている?私が誰に?」

「ギンツブルグ家の御令嬢にだ」

「ふふっ、御冗談を。私はモニカ・クルシェフスキーと申します」

「モニカ・クルシェフスキー……どこかで聞いたような……」

「私の名など知らないまま過ごす方が良いのですよ」

「それは、どういう……」

「ふふっ。言葉のままの意味です。それよりもご老人、こんな小娘のお相手をしていただいてありがとうございました。予定がありますので、そろそろ失礼させていただいます」

「そうだな。ここはあんたのような娘さんが一人で来るような場所じゃない。気を付けていきなされ」

「ありがとうざいます、では……」

462休日:2023/05/19(金) 22:36:53 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 一人残った老人は呟く。

「モニカ・クルシェフスキーか、不思議な娘さんじゃったな……モニカ?確か、この間あらたにナイトオブラウンズに選ばれた騎士様もそんな名前だったような……」

 渡すは老人との話を終え、墓地へとたどり着く。誰も参ることの無い墓地へ。

「お母様、報告に来ました 私、モニカ・クルシェフスキーが……ナイトオブラウンズと認められたことを」

 かつてこの辺り一帯はギンツブルグ家が治める領地だった。

 商才に恵まれた領主は、交易にも意欲的で港は良く栄えていたと聞く。

 十数年前までの話です。

「ノンナ……あなたも来たのね」

「はい。あなたさまが戻られたと街の者から聞いたもので……」

「耳が早いのね」

「今となっては小さな街ですから……」

「よそ者は目立つ、ということかしら。それもそうよね。この街には人がいないもの。それも、この街が人々から忌避されるようになったから。裏切者が治めていた土地だと……」

「すべては、あの反乱が原因です。領主さまが皇族に対して起こした反乱が……」

「イコニリストの乱ね。皇帝専制打破を訴えた……」

「そうです。その旗頭となったのがギンツブルグ家のご当主様だったのです……」

「どうしてそんな……ギンツブルグ家古くからブリタニア皇族に仕える名家だったのに」

「時代の風にあてられたとも。南天にそそのかされたとも言われております」

「あの頃は大貴族連合が皇族批判を強めていた時期、それを南天が操っていたとも言われていた時期です」

「もとよりご当主さまは、皇帝専制を疑問視されておられましたから……」

「そうして時代の風を読み違えてしまったのね」

「自分の愛娘がシャルル・ジ・ブリタニアの子を孕んでいたにも関わらず」

「……」

「ナターリャ様のことは不運でしたまさかシャルル様の子を身籠られようとは……」

「二人はどこで?」

「さあ。私たちにはわかりかねます。高貴な方々の集まりなのか、偶然出会ったからなのか。ナターリャ様はそれほど社交的な方ではなかったので、不思議に思った物です」

「では、ふたりが本当に愛し合っていたのかもわからないのですね」

「……はい、ナターリャ様の侍女であった私でさえ、おふたりが出会ったことを知りませんでした。しかしある日。ナターリャ様の体調がすぐれないことがあり、医者にかかりました。そこで妊娠していることがわかったのです。ナターリャ様はひどく動揺されていました。でも、それはすぐにご当主様の知るところとなります。医者がギンツブルグ家のかかりつけだったので、隠しようもありません。ご当主様は一人娘のナターリャ様の懐妊をひどく悲しんでおられました」

「……そう、悲しんでいたのね」

「今となって思えば、ご当主様が反乱を起こしたのは、ナターリャ様の懐妊が関係していたのかもしれません」

「ひどい話ね」

「ええ、本当にひどい話です。誰も授かった新しい命のことを想ってはいないのですから。そこからの凋落ぶりは話に聞く物語のようでした。仲間の貴族たちと共に反乱を起こしたご当主様でしたが、すぐにその動きを察知され……派遣されたナイトオブラウンズによって制圧されました」

「………」

「頼りにしていた大貴族連合にも早々に見切りつけられて、関係性を絶たれ、梯子を外されてしまいます。ここにも南天の意思が介在していたという噂が後を絶ちません。ギンツブルグ家に待っていたのは、爵位はく奪だけではなく、一族郎党の処刑」

「血を根絶やしにする……。ブリタニアらしいわね。力を持つ者は、富も、名声も、地位も手に入れることが出来る。その逆もまた然り。力が無ければすべてを奪われる」

「はい。そこにきて、ようやくご当主様はナターリャ様のことを顧みられたのです。イコニストの乱が治められた頃には、すでにご出産され、ナターリャ様の腕には女の子が抱かれていたのですから。ご当主様は悔いました自分のとった行動が多くの人間の命を奪うことになる。せめて救える命はとできる限りの関係性を持ち、使用人たちを逃がしました。私もその内のひとりでした。他の者と違ったのはナターリャ様の御息女を預かったこと」

「………」

「私はご息女とともに、ギンツブルグ家と交友関係にあったクルシェフスキー家に引き受けていただきました。そう。モニカお嬢様、あなたとともに」

463休日:2023/05/19(金) 22:37:34 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ※


 嫌な記憶であり思い出。良き思い出であり真実の記憶。知りたいこと。知りたくない事。あの場所にはたくさんの逃げだしたいが埋まっている。泣きたい気持ち悲しい気持ちが、そんなとき、嶋田さんは言う。

「泣きたければ泣けばいい。泣きたいときにはわんわん泣いて。涙をだしつくせばまた元気がやってくるから。女の子ってのはそんなもんだ。それに君みたいな子供が涙を我慢するものじゃないよ」

 そう言ってその胸で泣かせてくれたギンツブルグ家の悲劇の事もお母様のお墓の事も、ノンナのことも、彼の事も全部全部、泣きたい気持ちをその胸に受け止めさせてくれるのだ。嶋田さんあなたは、あなたはどうしてそんなにもやさしいのですか。

 やがて夕食時を過ぎ時計の針が次の日に移行する時間になっても、優しい彼は帰ってこなかった。

 彼女にはそれでも待つという選択肢があったし、そうしたかった。しかし明日もまた公務が待っている以上それはできない。

 人の上に立つべき自分が周囲に迷惑を掛けるようなことがあってはならないのだ。

「………………寝よう」

 心にぽっかりと穴が開いたような錯覚を覚えながら、突っ伏していたこたつを出ると、そのまま寝室へ向かいパジャマへと着替える。

『今日は何の日か知ってる〜?』

『クリスマス〜! サンタさ〜ん!』

「……」

 パジャマに着替えたモニカが、そのまま畳に敷いた布団に入って寝ようとしたとき、ふと夕方に流れていた教育番組の内容が思い出された。

『みんな良く聞いてね〜? 今日はサンタさんがみんなにプレゼントを持ってきてくれるから、寝るときには窓のところに靴下をぶら下げておかなきゃダメだぞ〜?』

『は〜いっ!!』

 実に子供だましの馬鹿馬鹿しい内容ではあったが、あの子ども達はみんな信じているのだろう。サンタさんがやってくることを

 笑顔で、あれが欲しい、これが欲しい、と、自分が欲しい物を叫んでいた。

 そのときの子ども達の笑顔を思い出したモニカは自分でも(何をしているのでしょうね)と思いつつ自分の靴下を部屋の窓にぶら下げていた。そして一言呟いた「……嶋田さんが、嶋田繁太郎さんが欲しい」なんて願いを願うのだろうか。ただ本当に欲しいものは、それだけだから。優しいあの人だけだから

 黒い靴下は夜の闇よりも尚暗く見える為、もしサンタさんが来てもそこに靴下があるとは気付かないかも知れない。でもいいの。あの人がこの部屋に来てくれるだけで私は何もいらないから。

 入ってなかったら見えなかったのだと思えばちょっぴりクリスマス気分を味わえるだろう。それでも、凄く寂しい。今は、彼の温もりが欲しい、彼に泣きつきたい。

 そんなことを考えながら今度こそ寝ようと布団に入って目を瞑った。

「おやすみなさい……」

464休日:2023/05/19(金) 22:39:04 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 ※


 眠りについてからどれくらい経っただろうか?

 部屋に人の気配を感じたモニカは、深い眠りから一気に覚め、布団から飛び起きて身構えた。

「何者ですか!」

 伊達に円卓の騎士の末席に名を連ねてはいない。周囲で気配があればすぐに分かるし対処も出来る。

 剣術は勿論のこと、体術その他の格闘技でも常人では計り知れない実力を持つのが彼女達、ナイトオブラウンズなのだから。

「あ、あわわ……」

 そんな超人の域に達している騎士の殺気を浴びせられる方は堪ったものではない。単なる泥棒や不審者には対処のしようがないのだ。

 そしてこの時、モニカの部屋に居た人物もまた、戦闘的な部分に於いては普通の人。たとえその両手は溢れてもなお余りある鮮血に濡れていても……。

 モニカは相手がそれなりの訓練を積んでいた人間であると判断した物の、純粋な戦闘能力では自身よりも遥かに劣ることが分かった。

 彼女はそれが分かっても構えを解かないし油断もしない。どんな相手であれ一瞬の油断が命取りになることを知っているから。

(え…? この、感じ……)

 だが感じ取った相手の気配と目が慣れてくるにつれ見え始めたその姿に、彼女は自然と構えを解いた。

「や、やあメリークリスマス、」

「……」

 それは赤い服と赤いズボン、更に赤い帽子をかぶって口の周りに真っ白なヒゲを蓄えた老人――サンタクロースだったのだ。

「よ、よい子のモニカちゃんにプレゼントを持ってきたんだけど……おじさん驚かせちゃったかな?」

 無論それがサンタクロースなどではないことなど彼女にはハッキリ分かっている。どんなプレゼントよりも最も欲しかったプレゼントなのだと。

 何せよぉ〜く知っている気配と声なのだから、多少の変装など簡単に見破れるというものだ。

 それに変装が完璧であって、気配も違ったとしても心優しい彼の相手を、誰かと間違えたりなどしない。

「こ、こんばんはサンタさん、」

 嬉しいと同時にプレゼントと言われた瞬間モニカの最強の騎士の仮面はあっさりと剥がれ落ち、変わって年頃の乙女の姿になってしまった。

 姿形は違っても、恋慕い待ち望んでいたあの人が自分へのプレゼント片手に目の前にいるのだから。

 彼女は高鳴る鼓動を抑えながらちらりと時計に目を遣る。時刻は午前二時。完全なる遅刻であった。

「ほら、これが君へのプレゼントだ」

 差し出されたのは赤い包装用紙に包まれた二つの箱。

 それほど大きな物ではない。

465休日:2023/05/19(金) 22:39:34 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「あ、ありがとうございます……あの、靴下を用意したのでそちらに入れてくださると……」

「おお、そうだったそうだった! いや、まさか君が目を開けちゃうとは思わなかったもので」

 おどけたように言うサンタにモニカは「くすり」と笑った。

「さあさあプレゼントは入れたし、よい子は寝る時間だよ」

「貴方とお話していられるのなら悪い子でもいいですよ」

「困ったなぁ〜」

「それに……」

 モニカはサンタの胸に抱き着いた。今だけは、そういう彼女の頭をサンタは優しく撫でる。

「いいよ、いくらでも泣いていいんだ。女の子はそうやってつらいこと悲しいことがあった時はいくらでも、いつまでも、泣いていいんだよ。俺なんかの胸でよければね。また思い出していたんだね。毎年お墓参りに行くから思い出すんだろうね大切なお母さんのこと。俺はさ、モニカさんのお母さんの変わりにはなれない。でもこの胸で泣かせてあげることくらいはできるよ」

 何が厄介な女の子だ、何が厄介者だ。この子は産まれが特殊なだけの普通の女の子なんだ

 内に秘めたものが何かは分からない、何をやろうとしているのかは分からない。でも、それでも、この子は普通の女の子だ。厄介ものなんかじゃない。

「モニカさん、今日はクリスマスだ、少し遅れたけれど神様はきっと一つくらい奇跡を起こしてくれるよ」

「俺が優しく語り掛けると同時に一枚の便せんが懐から落ちる」

「名前は足長おじさん。モニカさんへ名も語れぬ臆病な足長おじさんだ。キミのことはいつも見ている。キミの活躍も、キミの強さも、キミが上り詰めた根源も、いつかキミと二人でお話がしたい。いつの日かキミが告白してくれる日を待っている。卑怯で臆病な足長おじさんより」

「うわ〜〜〜〜〜〜〜っうう、うううう」

 モニカさんはまた泣いた俺の胸で泣いて、泣いて、泣いて、泣き続けた。三十分近く泣いたのではないだろうか。やがてひっくひっくとしたしゃっくりに変わり彼女は静かに眠りに落ちた。

 泣きつかれた彼女を。サンタの胸で眠った少女をサンタはベッドへと寝かせる。

 いい子は寝るもの。ゆっくりお休み続きは夢の中で、優しい夢をね。

 無服のリボンは黒いリボン。なら君にはスカイブルーの瞳に合わせた青いリボンと。

 そして黒い喪服とは正反対の、白いリボンを贈ったよ。

 君に似合うか分からないけど、俺なりに選んだものだ。長さはいつものリボンと同じ長さだから丁度似合うと思う。

 良ければ使ってほしい。それとこんな真っ赤な血で汚れた腕でよければいつでも抱いてあげるから泣きつてくれたらいいよ。

 だが、だけどなあ。

「シャルル・ジ・ブリタニアよ。こういうのはなあもう引き返せない血まみれの俺なんかじゃなく、まだ引き返せる位置に居るお前がする事なんだぞ。自称臆病な足長おじさん」

466トゥ!ヘァ!:2023/05/19(金) 22:59:18 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
修正乙です

467ハニワ一号:2023/05/19(金) 23:55:17 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
乙です。
休日ギアスのモニカの実の父親設定は原作ギアスの設定に合わせましたか。
原作モニカの父親が誰なのか判明したときはとても驚きましたね。
しかしブリタニアの貴族にも南天の手が入っているとかヤバいですね・・・。

468二二三:2023/05/20(土) 11:16:12 HOST:KD106154149055.au-net.ne.jp
創造主クリエイター=Lの言っていたこの手は世界中のどこまでも届くってのはこういう意味だったのか
そりゃ17億以上の駒やユーロピアって使えん駒があれば世界に影響を及ぼせるよ

469ハニワ一号:2023/05/20(土) 13:56:58 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
コードギアス霧京のアーサーの小説版を読みました。
石油文明ではなくサクラダイト文明に移行する前はギアス世界でも史実同様に蒸気文明だったみたい。
また小説版霧京のアーサーは革命歴98年、皇歴1887年の夏が舞台で主役のアーサー・ホームズとコナン・ワトソンの出会いと最初の事件を描いたゲームゲーム版の前日譚。

小説版霧京のアーサーの時代から20数年前にクレア・リ・ブリタニアが即位とあるので漆黒の連夜の時代は革命歴70年代、皇歴1860年代ごろみたい。
クレアの皇帝即位時の年齢や霧京のアーサーでブリタニアが発展し続けているとの記述から霧京のアーサーの時代でもブリタニアの皇帝はクレアである可能性が高いね。
10年前には純血派によるクーデター未遂が発生してナイトオブラウンズ率いる部隊によって鎮圧されるという事件が起きていた模様。

あと日本に関してはアーサーが「菊」という言葉から皇室の紋章に用いられているとの言及がありその際に日本の皇室は断絶したとかは語られてないので霧京のアーサーの時代ではギアス日本の皇室は存在していたみたい。

470名無しさん:2023/05/20(土) 19:04:43 HOST:101-142-42-75f1.wky1.eonet.ne.jp
やっぱ神聖ブリタニア帝国は血生臭いなクレアが外国(日本)育ち嫌ってクーデター起こすとか鎌倉殿の13人の御家人と同レベルじゃん。

徳川幕府倒れて明治に移行したばかりだろうけどどんな幕末史だったんだろう?中華は元気そうだし神聖ブリタニア帝国はバリバリの封建制国家だから参考にせず欧州諸国が軒並み共和政だからその政治体制を導入することに決めたんかな明治維新政府は夏目銀助君(モデルは諸夏目漱石)は留学生ぽいしイギリス共和国は護国卿か大統領制でヴィクトリア女王の代わりに女性護国卿が就任してんのかね?

471名無しさん:2023/05/20(土) 19:46:32 HOST:sp49-98-61-173.mse.spmode.ne.jp
モニカの年齢からして、ルルーシュのすぐだもんな

472名無しさん:2023/05/20(土) 21:39:31 HOST:pdcd3a5bc.kngwnt01.ap.so-net.ne.jp
純血派ってそんなに古いのか。
ヴィレッタやドロテアみたいな欧州系以外の排斥が初期の目的だったのか?

本国にも純血派居るならオレンジの前にもっと支援が来てもよさそうだが。

473名無しさん:2023/05/20(土) 21:51:37 HOST:101-142-42-75f1.wky1.eonet.ne.jp
クレアの時代に徹底的に弱体化されたんでしょうだから重要鉱物獲れるとは言えテロが頻発する危険な極東のエリア11で活動するしかなかったんじゃね?

474ハニワ一号:2023/05/20(土) 23:20:41 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
>>470
違います。
単純にクレアの皇帝即位によって純血派に属する貴族が政権から遠ざけられたんで純血派が復権するためのクーデターだぞ。
なお神輿に担ぐ純血派の皇族はクレア即位時に粛清されるかもと懸念から周りの者によって少年の身で日本に亡命されたという経歴持ちで素性を隠すための日本人としての名前を持っています。
ちなみに日本で純血派の皇族の少年が保護される予定地はクレアが保護されていた隠れ里だった模様。

Wikiの漆黒の連夜の頁によれば史実と異なり京都は壊滅状態になってるぽいですね。


>>472
原作本編の純血派と漆黒の連夜の純血派は名前が同じなだけの別もんなので連続性は無いよ。

475休日:2023/05/21(日) 02:59:46 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
CP:玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア

 :オデュッセウス・ウ・ブリタニア×皇神楽耶

 :朝田泰司×レミール

 微エロ

476休日:2023/05/21(日) 03:01:31 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 玉城はその暇を持て余していた。いや、ここに(グリンダ騎士団)に放り込まれてからずっと暇なのだ。

 ネット競馬をしようとすれば誰かに端末を取り上げられ。

 持ち込んだエロ本(年上巨乳本)を見ようとしたら団長権限で取り上げられ。

 パチンコも無ければスロも無い、競技KMFも地上に行かなければどうしようもない。端末取り上げられてるから。女はいるが年下ばっかで好みが合わず。一切手を出さないため、これでも一応男ながら玉城は変態の目で見られたことが無いのだ。意外にも。

 故にこれは意外だが第8.5世代機を乗りこなし、顎髭を蓄えて髪を逆立てバンダナで決めた、総団長やナイトオブナイツにすら引かずに物を言う彼は、リドールナイツの女性の一部にモテたりしている。年下には一切興味が無い本人は全く気付いてないが。

 そこがさらにクールに映り、リドールナイツにはひっそり玉城信一郎ファンクラブがあったりするほど。

 更にそういったリドールナイツの隊員は大方が総団長に呼び出され『兄さまに手を付けたら』と脅迫、もとい、教育されるので玉城に色恋の話は持ち上がっていない。

 そこには年下に興味が無いという女性の好みが関係しているのだが、それはそれで困るのが今や13艦37,000人体制となった対テロ即応部隊と言うよりも、限りなく軍に近い規模を誇るグリンダ騎士団。

 それというのも第7世代改良型のヴィンセント・グリンダを地上部隊に1,000騎も配備され30,000弱の兵士まで配備され。上空には13艦という浮遊航空艦うち2艦はアヴァロン級(総旗艦二代目ネッサローズと副旗艦二代目グランベリー)と第8世代旧ラウンズ機クラスの機体が200騎、一部は8.5世代機ことエナジーウィング機も配備されるという大規模な軍。最早一即応テロ部隊が持つにしては余りある戦力。

 この為、対テロ即応部隊から対テロ軍部隊へと昇格しようとしているグリンダ騎士団だが、リドールナイツという総団長の親衛隊は全て女なのだが、これまた全て年下。

 と言うわけで、玉城は女にも遊びにもエッチにも飢えていた。そんななか、ネッサローズのブリッジで適当に椅子に座り、足を組んでいたところ。通信が入ったのだ。もちろん映像通信。

 玉城は「ふぁ〜あ」とあくびをしながらその通信画面を無視していたのだが。

『相変わらずの不貞不貞しさ振りですねタマキ・シンイチロウ』

 声を聞いた瞬間ビクンと反応して画面を見る。肩下までの銀髪。全体的に紫色の衣服を身に纏い、大きな羽根飾りを髪に結った女性、神聖ブリタニア帝国第二皇女ギネヴィア・ド・ブリタニアが映し出されていた。

「お、お姉様ぁ〜!」

 黄色い声を出す玉城真一郎。コーネリア同様、玉城の好みにド直球な女性のいきなりな出現に、気分は上げ上げである。だが。

『わたくしを好いてくれるのは嬉しからぬこともありませんが、私は婚約が決まっております。やがてブリテン島へと嫁入りとなる為にあなたの思いには生涯答えられないと申し上げておきましょう』

 ギネヴィアは別に玉城を好きでは無い。だが嫌ってもいない。自分の事を好いてくれる人間を嫌いになるような冷たい女性では無いのだ。だが、残念ながら彼女には既に婚約者が居り、新しく、正式には返ってきたというべきだろう、ブリタニアの領土となったブリテン島を治めなければならない。自身が治めるためにブリテンの王を王配として迎えることが決定している。

 これは政治的な話しで有り個人の意思は尊重されないため、致し方の無い部分があった。ギネヴィア個人の玉城への評価としては身分を気にしない態度を取る、無礼ながらも、芯の強い人間だ。けして悪印象は持っていない。

 これはコーネリアもそうだが別にコーネリアも玉城を嫌ってはいないのだ。寧ろ無骨者な自分を好いてくれる男と評価し、好感を持っている。ただし、それは玉城という人間に対してであって、恋愛感情は自身の騎士であるギルフォードに向いている。相思相愛なのだから玉城如きがつけいる隙など無いのだ。

「なあ、ギネヴィア皇女よお、その結婚って政略結婚なんだろ? 今時ブリタニアも日本も政略結婚はほとんどねーのになんでそんなことやってんだよ。別に良いじゃん自由恋愛でさぁ」

477休日:2023/05/21(日) 03:02:06 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 そうすりゃ自分にも芽が生まれるとでも考えているのだろうとギネヴィアにはお見通しだったが。

『そういう訳にも参らないのです。ブリテンの地は我がブリタニアの父祖の地。特別なる土地なのです。故に私自身が女王となり皇帝である父を仰ぎ治めなければならない。ユーロ・ブリタニアがAEUという一つの形を取っていても、それぞれに国を治めていることと同義です』

 AEUには数多くの王制国家が存在する。それぞれが父祖の地としてその地を治め、それでありつつ、皇帝及び宰相のハイランドとヒトラーを仰いでいることと同じなのだ。

「ちッ、結局はあんたら地位に縛られてるって訳かよ」

 ふてくされる玉城に、ギネヴィアはやんわりとかえす。

『そういう部分がなきにしもあらずということです。我々皇族や貴族に自由恋愛は認められておりませんので。もちろん、一部例外もありますが。それでも第11皇子ルルーシュはアッシュフォード公爵家と縁を深めんが為に幼き頃よりご息女ミレイ殿と婚約が決まっていたように、それぞれ政治的な意味を持つ婚姻が多いのです。近く認められた婚姻で言えば、ナナリーと、日本の枢木家のスザク殿との婚姻は自由恋愛でしたが、やはり政的意味が無くは無いのです。シマダ卿とユフィ、クルシェフスキー卿も自由恋愛の末に婚姻となりました、ヤマモト卿、ヴェルガモン卿も自由恋愛、ナグモ卿とエルンスト卿も自由恋愛、ですがやはり全てに政治的意味があるのです』

「じゃあ結局平民の俺にゃチャンスねーじゃん」

『タマキ、あなたは皇族や貴族と結婚したいのですか? 皇族や貴族になればそれは大きな責任が発生します。今のように自由には生きられなくなるのですよ? 本来はクララ皇兄女との婚姻でさえ責任が発生するのですジ家の人間としての。クララ皇兄女があなたに自由な暮らしを約束している意味をお分かりですか? 全ての責任は自分が負うと言っているのです』

「あのガキ……生意気な奴だぜ高校生のガキの癖して、ガキはガキらしく遊んでろっての」

『タマキはクララ皇兄女のことがお嫌いなのですか』

「別に嫌いじゃねーよ。ただ今まで妹分としてみてきたから今更女として視るのは抵抗感があるって言うか」

『そうですか。ではあなたの後ろでずっと怖い顔を為さっている我が妹にもまだチャンスはあると言うことなのですね』

 クスクス笑うギネヴィア。逆に凍り付く玉城。後ろを見てはいけない。今後ろには鬼がいる。たぶんニコニコしているがあれは笑顔の鬼だ。

 そう思いふとネッサローズのガラス窓を見た瞬間玉城は悲鳴を上げた。「ひいッ!!」いた。鬼が見ている。背中越しに振り返ってはいけない。振り返らなければ攻撃はされないからだ。

478休日:2023/05/21(日) 03:02:57 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

『我が妹にも当然ながら大きな責任が付きまといますが、その責任を平民であるあなたに押し付けようと為してはいないのです。つまりタマキあなたにはクララ皇兄女と我が妹の二人からの求愛を既に受けている。これを不意にするのはそれだけでもある意味で大罪です。あなたの頭の中には一般人の年上の女性でもいいやと浮かび始めていることでしょうけれど、この状況下でその選択肢を選ぶのは悪手としか言えません』

「あ、あ、あのよ、用はそんなんじゃねーだろ。要件はよ要件は」

 背中に感じる冷たい視線に耐えられなくなった玉城は、用件を聞き出す。

『ふふ、そうですね我が可愛い妹が本物の鬼となってしまう前に要件を伝えましょう。マリー、シュバルツァー将軍』

「はい、ギネヴィアお姉様、オールハイルブリタニア。お久しぶりです」

「オールハイルブリタニア、ギネヴィア皇女殿下お久しゅう御座います」

 お前なんでずっと黙ってやがったんだよと背後のシュバルツァー将軍に対して、筋違いな怒りを向ける玉城は席を立つと、静かに静かに移動を始めた。目的の場所はブリッジの出入り口のドア。

 アイツらが話しに夢中になっている間にブリッジから出て隣を飛行中のグランベリーに避難しようという寸法だ。我ながら名案と席を立った瞬間。

 カツンッッ!!

 ビクッ、ヒールが床を付く音。

「三回までです♪」

『如何したのですかマリー』

「無作法者が逃げようとしている様子なので警告音を少々」

『クスクス、無作法者ですか。それはいけませんね。皇族に対する礼儀に欠けているというよりは、女性に対するなんたるかに欠けている男性には困りものですからね』

「姫様から逃げようなど困った婿殿です」

 何で勝手に婿にしてやがんだコイツッッ。く、くそ、あと二回。全速力でダッシュすれば二回以内には扉まで行ける。扉まで行ったら後は俺の愛機に乗って逃げてソキアのところに雲隠れを。

 ダッ、走り出した瞬間。カツカツンッ。連続で二回ヒールの音が鳴ったつまり。

「ゼロ……、よほどわたくしを鬼にさせたいご様子ですわね兄さまぁぁぁぁ〜〜ッ」

 口裂け女みたいになったマリーの美人顔。ギネヴィアは画面の向こうから止めること無く見ている。

 シュバルツァー将軍は「婿殿お諦め下さい」と念仏を唱え始めた。お前その念仏何処で覚えたんだよ!!

 こ、こうなったら取りたくない手段だが肩の骨を折られるよりマシだ。

479休日:2023/05/21(日) 03:03:43 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 くるっと振り返った玉城は何をとち狂ったのか、マリーベルの身体を抱き締めた。

「え!? えッ兄さま!?」

 当然混乱するマリーベル。逃げようとしても足の速さで逃がさない。そう思いかぎ爪を用意していたところ、逆に振り向かれて抱き締められたのだから、彼女の混乱に歯止めがきくはずも無い。

「いつか(競馬の予想の)返事はする。必ず(競艇の予想の)返事もする。何なら二人の(競技KMF)のことを考えてもいい。一緒にこれから(パチ打つかスロ打つか)を考えようぜ」

 ぼそぼそっと高速で言葉と言葉の間にギャンブルの単語を入れていく。その間、背に回した手でマリーベルの髪を五指で梳き、掬い撫で。彼女の髪と背中を愛撫する。

 嘘は一切言ってない。ただ言葉と言葉の間に高速でぼそぼそ呟いた。それをマリーが聞き取れなかっただけであって、悪いとしたら、勘違いしたマリーベルが悪いだけだ。

 はたして――。

「は、い兄さま、こ、これからのこと、兄さまとのこれから…………わ、わたくしは、わたくしは…………」

 マリーベルの手の形がかぎ爪から元に戻って、こちらを抱き締め返してくれた。

「マリーベル俺はキミを(ギャンブルを)愛している」

「に、にい、さま」

「だから、そう怒らないでくれ」

「は、い、に、にいさま」

 マリーベルは顔を真っ赤にしてもじもじと指をいじる。玉城は止めに彼女の頬のキスまでして舐め上げた。

 この間、シュバルツァー将軍はひ、ひ、ひ、姫様、む、む、婿殿、このような場所で、は、はしたないですぞ。と注意しながらも祝福し。

 ブリッジ員の女性スタッフは顔を真っ赤にしていた。リドールナイツの数人の玉城を崇拝している女性達は気落ちし。他の女性達は皆頬を真っ赤にさせて二人の様子を見ていた。

「に、兄さま、わたくしは、わたくしは兄さまを愛しております」

「嬉しいぜ(お前もギャンブルを)愛しているなんて」

 この高速ぼそぼそ話術。玉城の得意技だった。彼には誤魔化さなければならない場面が多くあるため身に付けた、誤魔化しの特技なのだ。

 ギネヴィアはスピーカーを通しているため音を拾っていたので聞こえていたが敢えて黙っていた。

(マリーベルが気付いたとき、地獄を見るのはあの男自身ですものね、ふふ、タマキ、一時の誤魔化しなんてするものではなくてよ)

480休日:2023/05/21(日) 03:04:28 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 砲艦外交の前にVIP方




 その後、タマキは逃げた8.5世代機ヴィンセント・カスタム・グリンダ玉城専用機で。直後に気づかれたからだ。何故気付かれたかというと、どうにもいつもの玉城と違うおかしい、態度が決定的におかしいと気付いたマリーベルが、室内スピーカーをヘッドセットで何度も何度も再生してようやく音声データが出てきたのだ。玉城は愛の囁きの合間合間にギャンブルの話しを入れて誤魔化していた。これにはさしものマリーベルもキレた。愛しておりますと告白した分余計にキレた。

 兄さま――ッッッ!!!の怒声はネッサローズ中に響き、ことを察した玉城は逃げた。

『流石は我が妹です。一瞬で気付こうとは。しかしこれでは重要事項が伝えられません。それでは代わりにシュバルツァー将軍』

「はッ!」

『貴殿にお伝えしておきましょう』

「イエスユアハイネス!」


「逃げたら殺しますからッッッ!!」

 逃げなくても殺すだろと逃げたわけである。ネッサローズからヴィンセント・カスタム・グリンダ玉城専用機が出てきて何事とみていたオズは、続いてエルファバが出撃したのを見て、「ああ、玉城がまた何かやらかしたのね」と、事態の推移を見ていた。

 が、最終的に捕まったのはヴィンセント・カスタム・グリンダ玉城専用機だった、悪運は強いが普通の運は無い、このとき、脱出装置も働かなかった。軍学校オールSパイロットであるマリーベルに近距離で適うわけが無いのだ

 そして連れ戻されたネッサローズで、玉城はマリーに抱き締められた。

「兄さま、わたくしは兄さまを愛しておりますの」

「そ、そ、っか、いや、俺も嬉しいわマリー」

「愛して、おりますの」

 ぎゅううう。強くなる抱き締め。玉城もマリーを抱き締めてあげる。

「あ、いや、ちょっと、痛い、かなぁ、なんて」

「愛しておりますの兄さま」

 ぎゅうううううう

 嚮導学校でトップだったオールSの屈強な力が個人に対して発揮されたのだ。愛している、心から愛している。故にあの様な裏切り行為は許せない。

「愛して、愛して、愛しておりますの、ねえ兄さまわたくしのお気持ちがお分かりですか。騙されたわたくしのこの気持ちが、だから、ですから、わたくしは精一杯の愛を兄さまに伝えとうございます」

 精一杯の愛。このまま抱き締めて骨を折ってしまうほどの愛を。

「いだいいだいいだいッ、マリーしゃん分かりましたもうしませんから許して下さい」

「本当に?」

「ほ、本当本当今度こそ本当に」

「ではわたくしも止めて差し上げます」

 抱き締める力が緩んでいく。

 ほっとなってマリーを思わず抱き締める玉城。

「ご、ごめんな」

「よろしいのです。きちんと謝って頂けましたら。兄さま、兄さまはわたくしを裏切りませんわね?」

 玉城を抱き締める優しいマリーベル。力が入っていなければ絶世の美女なのだ。ただそれでも玉城の恋愛対象外。本人はだからこそ努力をしている。玉城に振り向いて貰うために。

 だからこそ玉城が他の女にうつつを抜かすのがどうしても許せないのだ。それが雑誌であったり、Blu-rayや映像機であったりしても。他の女を観て欲しくないのだ。

 玉城はマリーベルを見る。真剣な顔で瞳を潤ませている彼女を。…………俺がコイツ泣かしてどーすんだよバカ。

 玉城は思い、そっとマリーベルを抱き締めた。羽マントのままで急いでエルファバに乗り込んだから衣服がくしゃくしゃだ。

「マリー、ちょっと待ってろ」

 言うと桃色のロングスカートの皺を取っていき、衣服に付いた皺や埃を綺麗に取っていく。

「兄さま……」

481休日:2023/05/21(日) 03:05:18 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 最後に羽のマントの埃を取るも、純白の羽マントは完全には綺麗にならない。

「ごめんな俺のせいで服汚しちまって」

「いいえ、そのお気持ちだけで、わたくしは……」

 目をつむるマリーベル。何も言わないで何かを待つように。

 これはあれか。あれ、だよな。どうみてもあれしかない。マリーベルとは何度もしてきたからわかる。辺りを見回して。誰もいないのを確認。玉城はそっと静かにマリーベルの唇に自分の唇を重ねた。

 静かな口付けは、啄み合う程度の唇の擦れ合いに移行。

「ん――んん――」

 それ以上はしない。それ以上の口付けは夜、眠る前だ。マリーベルは本心では身体を重ね交わりたい。二人何処までも交わりあって最後の時を共に。

 それで子供が出来ても良いと思っている。クララには悪いが自分にも兄さまとの御子を作る権利があると思うのだ、どれ程の間兄さまとお会いする日を夢見てきたことか。どれほどに兄さまを想っているか、彼女も同じだからこそ分かるはず。そしていつかは決着を付けなくては成らない。

 静かに離れる唇。本当はもっとキスをしていたいいつまででも、だが、誰が来るか分からない場所でいつまでも口付け合ってはいられない。

 KMF射出口は開口したまま。風が入ってきて私の髪が風に踊る。すると兄さまは私の身体を抱き締めて下さり、踊る髪の毛へと指を差し入れ優しく優しく撫で梳いて下さいます。

「あいつもそうだけど、女の長い髪って綺麗だよな」

 兄さまが言うアイツとは彼女の事でしょう。我が生涯のライバル。クララ・ランフランクこと、クララ・ジ・ブリタニア。伯父様の娘、ブリタニア帝国皇兄女。

「御髪が傷ついていると言われたことがあるので、極力綺麗にしておりますの」

「別に無理せんでも普通に綺麗だけどな」

「う、嬉しゅう御座います」

 こういうことなら幾らでも開口口を開けておいても二人で此処に立っていても――!?

 その開口口の前に船が立ち塞がりました。こんな近くに危険です。オペレーター達は何をしているのです!

「慮外者! ここを神聖ブリタニア帝国第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニア殿下の御座艦と識っての狼藉かッ!!」

 隠れていたリドールナイツの数名が飛び出します。ああ、今の兄さまとのひとときを見られていたのですね。少し恥ずかしいです。

482休日:2023/05/21(日) 03:05:59 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 相手方の浮遊航空艦は、日本の艦随分古い型の。軽斑鳩級の初期の初期型でしょうか。

「ひょっとして、お邪魔しちゃったかなッ!」

 え、その声は。口ひげが一杯、とても平凡的な空気の、まるで皇族とは思えぬ背の高い男性。お、オデュッセウス兄さま!?

「これはこれは無粋な真似をしてしまいましたわねオデュッセウス様!」

 風で声が乱れるけど。これもまた知ってる声。艶のある腰下までで切り揃えられた長い黒髪。大きな目に緑の瞳。神聖さを醸し出す装い。

「え? その声ッ! 神楽耶ちゃんかっ!?」

「どうもお久しぶりです真一郎兄様」

「す、皇神楽耶様あッ!?」

 日本の皇室の御方まで。こちらに来るなら来ると。あ、もしかして先ほどのギネヴィア姉様の通信は。

「とりあえずこちらでは何だからそちらへ参りますね。あとお客人が二人付いて参りますがそちらの方々もよろしくお願い致します。

 神楽耶様はそこまで仰ると一度艦を放し。

 エナジーウィング機で飛び立たれたのです。抱きかかえるように一機の古いKMFを持ちながら。

 と言いましょうか、神楽耶様エナジーウィング機を操縦できたのですね?! 流石は日本の皇族でありオデュッセウス兄さまのご婚約者。

 こちらもグランベリーから、両肩マントの装着された赤い機体――ランスロット・ハイグレイル、真っ赤な機体――シェフィールド・アイ、橙色の機体――ブラッドフォード・ブレイブ。

 黒い無骨な角張った機体――ゼットランド・ハート、そしてシン兄さまの蒼と銀色に輝く、銀光の翼を持つエナジーウィング機ヴィンセント・カスタム・グリンダ玉城専用機が勢揃いでお出迎え。それ程の賓客なのだから当然です。

 本来ならばわたくしもエルファバでお出迎えすべきなのですがアレは威圧感とサイズの問題で歓迎用には向いていないのです。

 そうして歓迎の整列の中をゆっくり入ってくる、おそらく紅蓮聖天八極式量産機と思われる機体。ソレイシィ卿やリドールナイツも歓迎の整列に加えるべきなのですが。あまり仰々しいのはお兄様も神楽耶様もお好みではありませんからね。ソレイシィ卿は夜番でお疲れのようですし。

 しかし恐るべきは日本の生産力と開発陣です。南天との軍拡競争の過激化があったとは言え、紅蓮聖天八極式量産型、蜃気楼弍式、ランスロット・アルビオン量産型、ごちゃ混ぜで第9世代機を次々と開発し送り出し、8.5号機蜃気楼・改、斬月・改、ヴィンセント・カスタムと恐ろしい速度で量産していき。

 9・5世代機フリーダム=フローレンス含む5騎をデヴァイサーもいないままに創り上げた。唯一フリーダム=フローレンスだけはクルシェフスキー卿がデヴァイサーを務めておりますが。とにかく日本は異常な国です。何故其処まで技術を先取りし開発することが可能なのか? 完全に謎に包まれております……。

 とにかく今は歓迎です。お兄様と神楽耶様を。

 コックピットが開き降りてくるお二人。神聖ブリタニア帝国第一皇子にして皇太子オデュッセウス・ウ・ブリタニアお兄様、大日本帝国皇神楽耶皇女殿下。

「お久しぶりです。オデュッセウスお兄様、神楽耶皇女殿下」

「やあ久しぶりだねえマリーベル。ずっと前線でテロリスト掃討の任に就いていたんだろう大変だっただろう」

「わたくしもマリーベル様とグリンダ騎士団のご活躍は随所にて語り聞いております。お役目ご苦労様です」

「勿体ないお言葉、団員一同歓喜の念に堪えません」

 ランスロット・ハイグレイル、シェフィールド・アイ、ブラッドフォード・ブレイブ、ゼットランド・ハート、そしてヴィンセント・カスタム・グリンダ。次々と開口口から入って来て閉じる。

 同時に降りてくる皆は膝を突いて来訪の歓迎の挨拶をする中。

「よっとっとっと、はいはい前ご免よお」

 兄さまだけはまったく違う行動を取った。

「オデュッセウスの兄ちゃん久しぶりだな」

「ちょっとあんた不敬」

483休日:2023/05/21(日) 03:06:39 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 オルドリンが止めるけれどお兄様は。

「いいんだよ。彼とはタマキくんとはタマキくんがまだ高校卒業したばかりの頃からの付き合いでね、よくお小遣いを上げたものだ」

「ちっす、世話んなりました」

「真一郎兄さま、わたくしへのご挨拶は?」

 玉城は神楽耶の腰を持ち上げて、皆がぽかーんとする中。

「おっきくなったなあ。伏見宮のおじさんがよく連れてきてくれてた頃はこーんなちっちゃかったんだぜ」

 伏見宮の“おじさん”?! まさか兄さま、誰も皇族・王族・貴族・大物政治家だとお気づきで無かった?

「あんたらがすげー人だって知ったのは最近だから、なんかしっくりこねえんだよなあ」

「いいんだよ。タマキくんはタマキくんのままでね。まあギャンブルのやり過ぎと、風俗の嵌まりすぎはちょっといけないところだけれどね」

 風……俗……?

「風……俗……、兄さま、風俗に行かれているのですか」

「いやー年上ねーちゃんと付き合える場所はもう風俗しかねーなと思って軽ーく行って――はっ!?」

「あ、あれ、言っちゃまずかったかい?」

「うわ、玉城最低っ」

 お兄様の言葉を受けてオルドリンが最低というと。

 ソキアが。

「行くところまで行っちゃってるにゃー」

 と批判的意見を述べる。神楽耶様も真一郎お兄様最低ですと明らかに批判的。

 なれど男性陣はと言えば。

「た、玉城さんそういうとこいける勇気があって凄いです」

 ソレイシィ卿に言いつけますから覚悟しておいてくださいねレオンハルト。

「玉城さんの行動も理解できる。持てない男はもてなしてくれる場所で一夜を明かすのだ」

 レオンに続きティンクまでが肯定的。

 これだから男はっっ!!

 ですが神楽耶様は。

「オデュッセウス様。万に一つもその様な場所には」

 と詰め寄ります。それこそが当たり前の反応なのです。皆さんがそろいもそろって兄さまに甘すぎるだけですわ。

484休日:2023/05/21(日) 03:07:34 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「に〜い〜さ〜ま〜あ」

「ひっ!?」

「わたくしだけを愛すると言ってすぐお破りになるのですかあっ!」

「お、オルドリン助けてっ」

「あんたの自業自得でしょうが!っていうかよるなさわるなバッチイ!」

「そ、ソキアぁ〜〜っ」

「今回ばかりは擁護できないさーキモい」

「オデュッセウス兄ちゃんあんただけが頼りだぁ!」

「あっはっはっは、神楽耶ちゃんがね、君の味方するなって」

 その時の玉城は見落としていた背後から忍び寄る人影を。

「に〜い〜さ〜ま〜♪」

 優しく優しく、恋人を掻き抱くそれ。後ろからの抱き締めである。

「思えばヒールの三回分の罰をまだ与えておりませんでした♪」

 黒いオーラが吹き出しているマリーベルには、誰も怖くて声を掛けられない。あのにこやかなオデュッセウスすらにこやかなまま冷や汗を浮かべていた。

「兄さま〜わたくし信じておりましたのよ?」

 可愛く言いながら、玉城の左耳たぶを優しく甘噛みするマリーベル。

 左を噛めば優しく舐めて、次は右の耳たぶを優しくかぷりと甘噛みをする。あなたは誰のものなのかというマーキング。

 地上にいるクララが知れば怒髪天だが此処は空の上で、この艦はマリーの艦。玉城はマリーの体内にいるのと同じ状況なのだ。

「わたくしはあ〜兄さまのもの」

 玉城の胸元に手を入れるマリーベル。率直に言ってエロいのだが、今はただ怖い。

「兄さまはあ〜わたくしのもの」

 玉城の胸元をまさぐりながら優しく優しく彼を撫でる。

 アホは考える。無い頭で考える。マリーベルは玉城真一郎を愛しているこれは事実。そしてマリーベルは独占欲が強い。物凄く強い。これも事実。

 要はマリーベルの独占欲を満たしてやれば怒りのメーターは下がる。ここは最低でもやるしか無い。

「ま、マリー、お、俺は、俺はなにも年上目指して風俗行ってた訳じゃねーんだ」

 後ろを振り向いたとき。予想通りの爽やかな笑顔があった。マリーベルは怒ると微笑むタイプだこれは相当怒っている証拠でもある。

「では、どの様な目的で風俗へ?」

 答えを間違えたら一発アウトだ。此処はもう決まってる。

「ま、マリーに、マリーベル・メル・ブリタニア皇女に似た女性を探して風俗に通っていたんだ」

「え……?」

 よし。表情に変化が出た。

「わたくしに、似た? なぜ、そのような?」

 食いついた。

「そりゃ簡単だ俺は平民、マリーベル・メル・ブリタニア皇女って女は皇族だ。そんな簡単に抱けるわけもねえ。だから、さ、悲しいけどよ、風俗でそっくりなの探して、寂しく耽るしかねえんだ」

 しんみりした顔して、早業で涙を出して、この辺は大学の面接で落ちまくってお涙頂戴演技で身に付けた特技だ。そう簡単には見破れんぞ? 何せ本物の涙だからな。

「そんな理由が」

 みんなも絆され始めた。ほけっとした顔で見てるのはソキアだけ。奴は勘が良い。だから時間が経てば見破る。見破っても納税しときゃ黙っといてくれる。

485休日:2023/05/21(日) 03:08:19 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「は、話は聞いた。平民と皇族でも抱き合えるぞ。私と泰司が毎日のように抱き合っておる」

 はえ? いきなり声が聞こえた方を向くと、そこには黒風のドレスを着たボンキュボンの膝下まで届く長く真っ直ぐな銀髪の女が立ってこちらをみていた、若干ぷるぷる震えていてもう一人立っている隣の男、スーツ着た省庁の官僚様みてえなのが女を支えてた。

「うおおおおお! 年上銀髪美女来たコレェェェェェェェェ」

「やっぱ玉城だわ少しでも感動した私がバカだった!」

 オルドリンの声が聞こえた瞬間。

「兄さま〜」

 はっ?!

「いいわけはなにかおありですか〜」

「ま、マリーしゃん、許して」

「ゆ・る・し・ま・せ・ん」

 優しーく腕の関節を撫でてくれたと思うと、瞬間無表情になって。

 ごきんっっ

 いやーな音がして両腕に激痛が走った。

「本当は全身の骨を折って差し上げようと考えましたが、戦力の低下を考慮して腕の関節を外すだけに留めました。後で誰かに戻して頂きなさい。誰もいなければ……わ・た・く・し・が優し〜く戻して差し上げますわあ」

 コレは絶対誰も構ってくれんなと玉城は両腕の激痛に本気の涙を流しながら思った。

486休日:2023/05/21(日) 03:09:15 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ※



 結局オデュッセウスと神楽耶の目的は前線視察もあったが、この二人を送り届けてくる名目もあった。一人は大日本帝国外務省外交官、朝田泰司黒髪を七三分けにして黒縁眼鏡を掛けた、出来る男と言った感じの男だった。

 もう一人の黒いドレスの玉城より少し年上だろうか二十代後半の膝下まで届く長い真っ直ぐな銀髪と、周りが美女ばかりなので霞んでしまうが充分絶世を付けてもいい部類に入る美女、その正体はパーパルディア皇国皇族レミール皇女であり、駐日パーパルディア皇国大使館大使にして自らも一外交官として自分の脚で文明圏内外を飛び回っている女性でもあった。

 因みに年上銀髪美女と玉城が反応したことからレミールを警戒していたマリーベルだが、レミールが朝田と事実上の婚姻関係にあると聞いて、警戒は解いた。ただなぜグリンダ騎士団を訪れたのかを聞き出し興味をなくす。

「つまり貴国は今与えられたおもちゃ、失礼兵器の力の海上戦力航空戦力には圧倒的優位性がある事を認めたが、KMFが初期の初期の初期型と聞いて不安が出た。この際、側面支援を要請されている我がグリンダ騎士団にも参戦頂きたいと?」

「う、うむ、貴国と我がパーパルディア皇国は同盟関係にある故に貴国には」

「無価値、無駄、無意味、この戦争その物に意味を見出しませんね私としては。確かに地域の安定に不確定要素であるロウリア王国を始末する方針に舵を切った貴国の在り方は認めましょう。それで? 貰ったおもちゃに自信が無いから助けて欲しい? 折角戴いた力を使わないのは無関心主義に近いのでは無くて? これ、貴女が言い出したことでは無いでしょう」

「お、仰るように我が従妹にして現皇帝陛下が不安を抱かれて」

「民の上に立つ者が不安を見せては成らない。絶対的に強くあらねばならない。我が国の皇帝陛下や大日本帝国の御帝、上帝陛下も同様の事を仰るでしょうね。この際ですからはっきりと申し上げましょう。貴国の現有兵力と戦力だけでロウリア王国を全面制圧可能です60式戦車は60年以上昔の兵器、貴国のKMFは25年以上昔の兵器。ですがこの第三文明圏。いいえ第二第一文明圏を含めても最強に近いでしょう。少なくとも我が国が調べた範囲では西の果てに現れたというグラ・バルカス帝国とも戦える戦力です数の面では劣勢でしょうけれど。その時は我々北側諸国が出て行きます。間もなく北側諸国にはパーパルディア皇国を含めゲート向こうあなた方には分からないでしょうがそこのブリタニア帝国が加盟します。向こうは向こうで問題があり一朝一夕に事が運ぶわけではありませんが。いずれにせよ貴国の皇帝陛下は戦争に怯えがあるようにみえますね。上に立つ者がそれでは幾ら強力な兵器を手に入れたところで力を発揮できません」

「はい、真に仰られるとおり。戦争とは縁遠い性格をしているので」

「ならばこの戦争に限りご貴殿が指揮官代行として戦い、勝利を勝ち取ってみては?」

「わ、私が、か?だが私は一外交官に過ぎぬ。……そのような」

「しかし外交官であってもレミール殿も皇族は皇族。皇族である以上は民を守り導く義務があるはずですが」

「しかし、私は失敗しかけた人間なのだっ! 皇国を滅亡へと導いていた自覚すら無かった操られるがままに、甘い言葉に誘われて……」

「失敗しかけたからこそ過去の汚辱を注ぐのです。滅亡へと導きかけたのは貴女でしょう。しかし、滅亡の淵より救ったのもまた貴女の筈。だからこそ此度は貴女が動き、皇帝とはなんたるかを現皇帝に教えて差し上げるのです。その為に必要とあらば我がグリンダ騎士団は力をお貸し致しましょう」


 ネッサローズの案内としてKMF射出口たる開口部までレミールを案内するマリーベル。

 いかに格下の国と言えど皇女の案内は同じく皇女がすべきだろうと、そうマリーベルは考え自ら艦内の案内を買って出たのである。

 因みに同時刻、ネッサローズ艦内に設けられている和室では、オデュッセウスと神楽耶がお茶を飲んでいた。両腕の関節を外されだらんと腕を下げた玉城を見ながら。

「オデュッセウス兄ちゃんさあ、妹のことしつけてくんね?」

「あはは、申し訳ない、でも今回のはキミが悪いよ。マリーがキミの事を好きなの知ってるのにあんな事するから」

「真一郎兄様腕だけで済んでよかったではありませんか? 女を怒らせると最悪殺されてしまいますのよ♪」

「じょ、冗談キツイぜ神楽耶ちゃんいででで、くっそーマリーのやつめー」

487休日:2023/05/21(日) 03:09:50 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 そのころ、レミールを案内しながら、マリーベルは一つ、気になることを、尋ねていた。

「ところでレミール殿、此処だけの話、子作りとはどの様なものなのです」

「なっ?!」

 面食らった武を重んじるだろうマリーベルがそんな事を聞いてきたことに。そう言えば、自分たちが着いたときに兄さまと呼ばれる人物がいたが、平民と皇族がどうとも言っていたから口を出したが。

「一言で申せば、……その……気持ちが、良い……と言うところ……だろうか」

「き、気持ちがいい」

 マリーベルは生唾を飲み込む。

「い、入り口より、身体の深部までを貫かれ、幾度も、幾度も、擦らせ合うのだ。心地良く、気持ち良く、切なく、愛おしく、やがて互いぐしょぐしょに濡れてくる。水気を帯びて潤滑油となり、より深くお互いを擦らせ合うのだ……。そうして行為を繰り返している間に思うのだ。この行為に、愛し合うという時に終わりが来て欲しくないことに、幾度も出され、幾度も受け、子を育む行為を行っている自覚を持ちながらも、ただの男ただの女として互いを求め合う、その様な感じだろうか……泰司はそう、言っている、レミール皇女を求めている間に、だんだんとレミール皇女以外の何もいらなくなるのです。言葉通り、泰司は最後の方は、レミール皇女、レミール皇女っ、レミール皇女っっ、そう、私の名だけを呼び、深く深く私を求めてくれる。私も同じような感じだろうか……」

 マリーベルの顔は真っ赤になっている。初心な処女のように。実際に処女なのだから仕方が無い。初めての相手は決めているが。

「キスは、キスはどうなのですっ」

「何度も、幾度も行う。口付けを交わし、舌を絡ませ合わせながら互いの唾液を相手へ送り合い、嚥下しては、また唇を吸い合うのだ。それとご貴殿、平民と皇族の差の話しを為されておられたようだが、愛に平民も皇族も無いと相手の男に申しつけておいた方が良い。私に欲情するような男だ。タイプは年上と見た」

「当たっておりますね年上がタイプで階級差を持ち出しました」

「恐らくだがそれは逃げだと思う」

「レミール殿もそう思われますか。何だかんだと逃げるのです。わたくしというものがありながら」

「私は反対に泰司に抱かれた方故に参考になることは申せぬが。とにかく逃がさないようにすることが先決だろう。他を見て欲情する男は究極的にはタイプの女について行く。それをさせぬようにすべきかと」

488休日:2023/05/21(日) 03:10:53 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ※

「しかしネッサローズは広いな」

「ふ、アヴァロン級ですからね艦その物がカールレオン級より二回りほど大きいのです。この上に重アヴァロン級があり、現在超重アヴァロン級を開発中です。日本は既に超重級を保有しています」

「別冊宝大陸2023で読んだ。やはりとてつもないな北側諸国は。我がパーパルディア皇国が如何に弱小国かを思い知らされる」

「自助努力あるのみでしょうね努力無き者は高みには登れない。今与えられているおもちゃで満足せずそのおもちゃをどのように作り出すか? どのように改良していくか頑張れば小国くらいにはなれるやもしれません」

「厳しいな。それでも小国か」

「シーランドと戦えば分かりますよ貴国はおもちゃを与えられただけの極弱小だということが。別冊宝大陸には北側諸国同盟軍事事情が載った本もあるのでお勧めです」

「幾度もお聞きしたが、シーランドでもそれほどに強いのか」

「パーパルディア皇国より遙かに」

「はあ、尚更に列強という基準が無駄だと言うことが分かった」

489休日:2023/05/21(日) 03:23:30 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
>>452トゥ!ヘァ!様
実家は完全に終わってます。
>思えばこれルルやユフィとも姉弟、姉妹ってことになるんですよね。
ルル・ユフィの姉ですねモニカは

ですから絶対に生きていてほしいと思います。
こんな悲劇的な終わり方かわいそうすぎます。

>>456
モニカには絶対に生きていてもらいたいですね。
死んでいたら報われなさすぎます。

>>467ハニワ一号
極力家族関係は原作に合わせたいほうですので。
まあオリジナルで色々やっちゃってますけど。
これでさらにモニカには絶対に生きていてもらいたいという感情がわいてきました。
死んでいたら報われなさすぎます。

490ハニワ一号:2023/05/21(日) 10:23:04 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
乙です。
玉城はよくもまあ口先からその場しのぎの言葉がポンポンと出せますねw

>>489
原作モニカには是非とも生きてほしいですよね。
当分先になるでしょうけどロストストーリーズで生きていると描写してもらいたいですね。
原作でシャルルが死亡したと知った時の原作モニカの心情とか気になりますよね・・・。

491名無しさん:2023/05/21(日) 10:36:56 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
しかし、これ隠し子が大量にいても可笑しくなさそうだな。

492名無しさん:2023/05/21(日) 11:49:10 HOST:101-142-42-75f1.wky1.eonet.ne.jp
474
益々鎌倉殿の13人状況だブリタニア貴族って意識としては自分の家の強大化重視で神聖ブリタニア帝国皇帝なんて神輿としか見てなさそう。

493トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/21(日) 13:43:30 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

玉城本当にVIPな知り合いばかりだなぁw

494二二三:2023/05/21(日) 14:42:30 HOST:KD106155011204.au-net.ne.jp
リドールナイツ内に玉城のファンクラブがあるとかすごいな玉城さすが年下キラー
そのうちオルドリンも落としそう
本命はマリーとクララだけど肝心の年上にはモテナイくん
今回判明した玉城のVIP知り合い
オデュッセウス
ギネヴィア
神楽耶
伏見宮博恭王


モニカには生きていてもらいたいよね

495二二三:2023/05/21(日) 15:10:44 HOST:KD106155011204.au-net.ne.jp
休日世界の
日本
ブリタニア
AEU
南天
シーランド

これらの国々は長命種だから四十代くらいでも見た目若そうだから、玉城の年上好き守備範囲かなり広いよね
マリー、クララ、リドールナイツはどうしても年下だからどうするんだろうとふと思う。何らかの玉城攻略法があるのか
一時全員で手を組む──はないな主人と部下、ライバル同士の関係だし
しかしオデュッセウス兄ちゃんとんでもない暴露しちゃったなそれもマリーの前で。玉城が風俗行ってるという
万年金欠なのはパチンコスロット競馬競輪協定競技KMF、と風俗もあったのか

496休日:2023/05/21(日) 20:18:15 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
投稿します

497休日:2023/05/21(日) 20:18:47 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 夜の横須賀は三笠公園。

 たくさんの噴水はイルミネーションに彩られ、カップル達が集う中、一人おっさんが黄昏れている。奇妙な光景に移るだろう。

 絵にならん。実に絵にならんなあ。映画の一場面でこんな場面があっても良いかもしれないけれど。

 現実にしてみると本当に絵にならない。すれ違うカップル達の視線が痛い。

 あの人一人で何してるの? さあ、ただの酔っ払いだろうなんて声が聞こえるくらいだ。別に酔っても無ければ素面だ。ただ、彼女と落ち合う約束をした場所がここだっただけ。そう、偶然にもこの場所だったんだよ。

 この場所は、俺の二回目の始まりの地と言っても過言では無い場所。

 現代戦艦と比べればそのサイズは精々駆逐艦程度にしか成らない戦艦。がここにはある。これが稼働していたあの時に俺の二回目は始まったのさ。


 常備排水量:15,140t

 全長131.7m

 最大幅23.2m

 吃水8.3m

 期間15,000馬力

 航続距離10ノットで7000海里

 乗員860名

 兵装主砲40口径30.5㎝連装砲2基4門

 副砲40口径15.2㎝単装砲14門

 対水雷艇砲40口径7.6㎝単装砲20門

 47㎜単装砲16基

 魚雷発射管45㎝発射管4門

498休日:2023/05/21(日) 20:19:43 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp



 聖女



 日露戦争。あの巡洋艦和泉で目が覚めたんだったよな。戦艦三笠。この艦もまた俺の運命の艦の一つなんだろうと思う。同じ日露戦争を戦っていたのだからな。

「運命の艦、か」

 俺の運命の始まり。

 この手を真っ赤にする運命の。

 今でもあの『衝号』は必要だったと思うしやるべきだったと思う。日本を、大日本帝国を完全勝利に導くために。

 ただ、それでも、もう一人の俺が人殺しと叫ぶのさ。現代社会をただのサラリーマンとして生きてきた一回目の俺には関係の無い戦争に口を出して大勢を殺し。

 最終的に億の人間を殺して見せた殺人鬼だと。覚悟した。覚悟を持って嶋田繁太郎はそれに望んだ。

 だが、神崎博之はどうか?サラリーマン神崎博之にその覚悟はあったのか? それを問われると無かったとしか言えないのかも知れない。

 だって仕方が無いだろう。現代で戦争とも人殺しとも無縁で生きてきた神崎博之に、その覚悟を求めるなんて、土台無理な話なんだ。

 だから俺は見える。神崎博之の方には見えてしまう。億の生命の真っ赤な鮮血が、この両手からドクドクと溢れ出てくる様が。

 何時いかなる時でも見えてしまう。戦いの中でも、政治の中でも、普通の生活の中でも、会合の中でも、そして彼女と居る時でも。

 だから俺は思うのさ、全ての人に平等なる正義をを信念とし、正義とは人種種族問わず全ての人に降り注ぐべきもの。

 そんな心情を持つ彼女といるのが辛いと思うときが俺にはあるんだ。彼女と俺は逆位置の人間。俺は必要であらば人種種族問わず全てを殺す人間。

 彼女は救う者、俺は壊す者、本来交わり逢えないものが交わり合っているこの異常な状態。ふと、嘔吐するような感じがして吐瀉物も出ないのに俺は嘔吐。

 出てくるのは、胃液ばかり、英霊達の眠る三笠記念公園でなんてことをしているのだろうか。

 億の血で穢し、嘔吐でも穢すのか。神崎博之、お前は嶋田繁太郎になりきれ。そうすれば軍人として行うべきを行ったという名目が立つ。

 それが逃げだとしても、覚悟をしたのは嶋田繁太郎なのだから。


 ――嶋田さん!!――


 ああ、来てしまったじゃ無いか彼女が。神崎博之のままな俺の前に彼女が。

 神崎博之とは、嶋田繁太郎とは逆位置に住む彼女が。

「大丈夫ですか嶋田さんっ!!」

 具合を悪くしうずくまっていた俺の目に、長い真っ直ぐな金色の髪と、白いリボンが見えた……白い、リボン、俺がプレゼントをしたリボンを、結んでくれているのか。

 いつものように、両の横髪を身体の前に流し、髪にリボンを結び、余ったリボンをくるくると髪に巻き付けて。俺と同じで辛い過去を持つ優しい彼女は其処にいた。

「あ、ああ、なんでもないんだ。ちょっと、嘔吐感がしてね」

 両手から溢れ出してきた血を見て。

「気にする必要は無いよ」

 そう、キミには関係の無いことだ。これは過去の俺の事、嶋田繁太郎の犯した大罪で有り、神崎博之の犯した大罪だから。キミには。

499休日:2023/05/21(日) 20:20:42 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ふと見上げたとき。俺の目は奪われた。真っ白い服を着た彼女が、モニカ・クルシェフスキーがそこにいたからだ。

 嘔吐感が消えていく……。その美しき彼女に触れられる……、それだけで。まるで何もなかったかのように胸のつかえも消えていった。

 いつもと同じで、いつもと違う彼女。髪はいつも通り背中に流され、白のファーのコートに身を包んだ天使が、噴水のイルミネーションを背後にして立っていた。

 聖女――一瞬そんな言葉が口から漏れていた。聖女はそこに佇み、俺の心配をしている。美しい白と金色にはとても似合わない暗い顔だ。ダメじゃ無いかそんな顔をしちゃ。キミの美しさが台無しになってしまう。

 ああ、違う。俺が、他でもないこの俺が聖女モニカの顔を曇らせているんだ。

 俺はその場に立ち上がる。

「大丈夫だよモニカさん」

「本当に、大丈夫なのですか。ご気分が優れないのでしたらお出かけはまた明日にでも」

「いや、本当に大丈夫だ」

 サラリーマン神崎博之、軍人嶋田繁太郎、モニカ・クルシェフスキー。せめて君の前では強い俺でいさせてくれ。衝号の覚悟を決め、実行したあの強き自分の時の俺で。

「モニカさん、リボンしてくれたんだね。白いリボンを」

「彼処へ行くときいつも喪服で行きます。ですから今日は白い自分であろうと思いました。似合って居るでしょうか?」

 キラキラ光る白い衣服。リボンも光っていて、髪は当然キラキラ。俺はついその美しく犯しがたい聖女の如き彼女に手を出していた。

「モニカさん……」

 綺麗な白い彼女。悲しい黒では無い、いつもの黄緑でも無い、汚れ無き白一色。

「し、しまだ、さ、」

 頭から触り。長い髪を五指に絡めて撫で梳く。滑らかな髪はするりと滑り抜けていき、指に髪の感触を残す。

 白い衣服、白いヘッドドレスから触れ、柔らかな手触りを楽しみながら。肩の衣服を止める白いリボンの胸元を触る。

 もちろんリボンを外したりはしない。そこから、白いドレスを身体の線に沿って触れていき。最後に身体の前に流されている金色の長い髪を何度も何度も撫でてて。彼女の両頬に手を当てた、

「冷たいね」

「ふ、冬、ですから、わ、たし、その、」

 両頬に触れたまま俺は何も言わず、何も聞かず、白い聖女の唇を奪っていた。

「ん、う……」

 聖女は抵抗をしなかった。ただただ、俺の唇を受け入れてくれた。聖女様、俺には罪があるのです。誰にも言えない大罪が。シャルル・ジ・ブリタニアの罪がかすれてしまうほどの、貴女と逆位置にあるほどの罪が。

 俺は唇を通じて彼女に告げた。もちろん彼女には言葉も思いも伝わらない。ただ口付けを交わしたという事実だけがある。

「ん、んん……」

 でも、そこからの口付けは普通で、俺はどうしてだろう。モニカ・クルシェフスキーを求めてしまった。美しくも儚く、儚くて悲しい。望まれて生まれてきたはずなのに、誰にも祝福されない彼女を。

 なら、俺が、嶋田繁太郎が祝福してあげよう。祝福させて欲しい。だって。

「ん……俺は、君と出会えて幸せだよモニカさん」

 そういって白い聖女を抱き締めた。

「し、まだ、さ、」

「生まれてきてくれて、ありがとう」

「ッッ……!!」

 俺は見なかった事にした。イルミネーションと噴水が照らし出した聖女の瞳から、一筋の涙が落ちたことを。

 
 しばらく、そのまま抱き締め合っていた。十分だろうか二十分だろうか。

 聖女が。

「買い物、行きましょう」

 嬉しくも恥ずかしく、はにかみながら言うまでの間。

500休日:2023/05/21(日) 20:33:15 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
>>490ハニワ一号様
良くも悪くもクララやV.V.に適当なことばかり言ってきてるのできたえられてるんですね。


モニカ、絶対生きてほしいですよね。望まれずに生まれてきてただ死ぬなんてかわいそうすぎます。

>>493トゥ!ヘァ!スマホ様
玉城の友人知人はVIP率がかなり高いです。本人が気づいていないだけで御帝とすらお会いしております。

>>494二二三様
選ばなければ美女美少女だらけなんですが、本人が年上美女にこだわってますから。
でもモテるんですよ。

モニカには絶対に生きていてもらいたいです

501トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/21(日) 20:35:37 HOST:sp1-75-152-145.msc.spmode.ne.jp
乙です

三笠のスペックは休日世界でも史実通りなのは意外ですね。

502休日:2023/05/21(日) 20:46:21 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
>>501
モニカSSを描きたくてそのあたり頭から抜けてました。後日訂正版を書きます。
即興ですが三笠のスペックは日欧戦争時のものとなりますので下手をすると大和級になるかもしれません。

503トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/21(日) 20:47:34 HOST:sp1-75-152-145.msc.spmode.ne.jp
>>502
おお。となると大分デカい船になりそうですな。

504名無しさん:2023/05/21(日) 20:50:55 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
乙です。
モニモニしてましたや

505ハニワ一号:2023/05/21(日) 21:23:41 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
乙です。
休日ギアスでも三笠は建造されていましたか。休日世界だと三笠は大和級相当の艦になるのかw
記念艦となっているからには日欧戦争で大活躍したんでしょうね。

506休日:2023/05/21(日) 21:36:05 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
いきます。
かなりいかれてます。

507休日:2023/05/21(日) 21:37:03 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 夜の横須賀は三笠公園。

 たくさんの噴水はイルミネーションに彩られ、カップル達が集う中、一人おっさんが黄昏れている。奇妙な光景に移るだろう。

 絵にならん。実に絵にならんなあ。映画の一場面でこんな場面があっても良いかもしれないけれど。

 現実にしてみると本当に絵にならない。すれ違うカップル達の視線が痛い。

 あの人一人で何してるの? さあ、ただの酔っ払いだろうなんて声が聞こえるくらいだ。別に酔っても無ければ素面だ。ただ、彼女と落ち合う約束をした場所がここだっただけ。そう、偶然にもこの場所だったんだよ。

 この場所は、俺の二回目の始まりの地と言っても過言では無い場所。

 現代戦艦と比べればそのサイズは300mを優に切る小型戦艦がここにはある。これの一回目が稼働していたあの時に俺の二回目は始まったのさ。

 一回目のこれはもっともっと小さかった。こいつと比べると駆逐艦に感じてしまうくらいに。それくらいこいつがデカすぎるんだがそれでも100年前の日欧戦争時の戦艦だ。現代艦からしてみれば古臭い。

 コイツが古臭いとか、どれだけ異常な技術水準の世界なんだろうかここは。

508休日:2023/05/21(日) 21:38:03 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 戦艦三笠

 排水量:74,000トン(基準)

    :79,000トン(公試)

    :84,809トン(満載)

 全長 :285.0m

 水線長:276.0m

 幅 :40.9m

 吃水 :11.3m

 倉崎式ブレイズルミナス:8基

 主機 スメラギ式エナジーフィラー:4本

 出力 183,553馬力

 最大速力 30.76ノット

 航続距離 16ノットで10,200海里

 乗員 竣工時:2,800名

 最終時:3,772名

 兵装

 新造時

 50口径00年式46cm3連装砲塔:3基9門

 60口径01年式15.5cm3連装砲塔:4基12門

 45口径12.7cm連装高角砲:12基

    25mm3連装機銃:10基

    13mm連装機銃:4基

 最終時

 50口径46cm3連超電磁砲塔:3基9門

 60口径15.5cm3連装砲塔:4基

 45口径12.7cm連装高角砲:12基
 
    25mm3連装機銃:60基

     25mm単装機銃:12基

     13mm連装機銃:4基

 装甲 舷側 450mm+15mm(傾斜20度)

 対水雷防御隔壁 245mm〜105mm

 最上甲板 55mm〜80mm

 主甲板 270mm〜300mm

 合計甲板装甲 300mm

 バルクヘッド 390mm〜350mm

 主砲防盾 700mm

 主砲側面 300mm

 主砲後面 240mm

 主砲天板 320mm

 主砲バーベット 600mm〜420mm

 司令塔 550mm〜440mm

 搭載機 8機(カタパルト2基)

509休日:2023/05/21(日) 21:39:04 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 聖女



 日露戦争。あの一回目の転生の時、巡洋艦和泉で俺は目が覚めたんだったよな。戦艦三笠。この艦もまた俺の運命の艦の一つなんだろうと思う。同じ日露戦争を戦っていたのだからな。こっちの世界じゃ日欧戦争で俺は関わっちゃいないが。

「運命の艦、か」

 俺の運命の始まり。

 この手を真っ赤にする運命の。

 今でもあの『衝号』は必要だったと思うしやるべきだったと思う。日本を、大日本帝国を完全勝利に導くために。

 ただ、それでも、もう一人の俺が人殺しと叫ぶのさ。現代社会をただのサラリーマンとして生きてきた一回目の俺には関係の無い戦争に口を出して大勢を殺し。

 最終的に億の人間を殺して見せた殺人鬼だと。覚悟した。覚悟を持って嶋田繁太郎はそれに望んだ。

 だが、神崎博之はどうか?サラリーマン神崎博之にその覚悟はあったのか? それを問われると無かったとしか言えないのかも知れない。

 だって仕方が無いだろう。現代で戦争とも人殺しとも無縁で生きてきた神崎博之に、その覚悟を求めるなんて、土台無理な話なんだ。

 だから俺は見える。神崎博之の方には見えてしまう。億の生命の真っ赤な鮮血が、この両手からドクドクと溢れ出てくる様が。

 何時いかなる時でも見えてしまう。戦いの中でも、政治の中でも、普通の生活の中でも、会合の中でも、そして彼女と居る時でも。

 だから俺は思うのさ、全ての人に平等なる正義をを信念とし、正義とは人種種族問わず全ての人に降り注ぐべきもの。

 そんな心情を持つ彼女といるのが辛いと思うときが俺にはあるんだ。彼女と俺は逆位置の人間。俺は必要であらば人種種族問わず全てを殺す人間。

 彼女は救う者、俺は壊す者、本来交わり逢えないものが交わり合っているこの異常な状態。ふと、嘔吐するような感じがして吐瀉物も出ないのに俺は嘔吐。

 出てくるのは、胃液ばかり、英霊達の眠る三笠記念公園でなんてことをしているのだろうか。

 億の血で穢し、嘔吐でも穢すのか。神崎博之、お前は嶋田繁太郎になりきれ。そうすれば軍人として行うべきを行ったという名目が立つ。

 それが逃げだとしても、覚悟をしたのは嶋田繁太郎なのだから。


 ――嶋田さん!!――


 ああ、来てしまったじゃ無いか彼女が。神崎博之のままな俺の前に彼女が。

 神崎博之とは、嶋田繁太郎とは逆位置に住む彼女が。

「大丈夫ですか嶋田さんっ!!」

 具合を悪くしうずくまっていた俺の目に、長い真っ直ぐな金色の髪と、白いリボンが見えた……白い、リボン、俺がプレゼントをしたリボンを、結んでくれているのか。

 いつものように、両の横髪を身体の前に流し、髪にリボンを結び、余ったリボンをくるくると髪に巻き付けて。俺と同じで辛い過去を持つ優しい彼女は其処にいた。

「あ、ああ、なんでもないんだ。ちょっと、嘔吐感がしてね」

 両手から溢れ出してきた血を見て。

「気にする必要は無いよ」

 そう、キミには関係の無いことだ。これは過去の俺の事、嶋田繁太郎の犯した大罪で有り、神崎博之の犯した大罪だから。キミには。

510休日:2023/05/21(日) 21:39:51 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ふと見上げたとき。俺の目は奪われた。真っ白い服を着た彼女が、モニカ・クルシェフスキーがそこにいたからだ。

 嘔吐感が消えていく……。その美しき彼女に触れられる……、それだけで。まるで何もなかったかのように胸のつかえも消えていった。

 いつもと同じで、いつもと違う彼女。髪はいつも通り背中に流され、白のファーのコートに身を包んだ天使が、噴水のイルミネーションを背後にして立っていた。

 聖女――一瞬そんな言葉が口から漏れていた。聖女はそこに佇み、俺の心配をしている。美しい白と金色にはとても似合わない暗い顔だ。ダメじゃ無いかそんな顔をしちゃ。キミの美しさが台無しになってしまう。

 ああ、違う。俺が、他でもないこの俺が聖女モニカの顔を曇らせているんだ。

 俺はその場に立ち上がる。

「大丈夫だよモニカさん」

「本当に、大丈夫なのですか。ご気分が優れないのでしたらお出かけはまた明日にでも」

「いや、本当に大丈夫だ」

 サラリーマン神崎博之、軍人嶋田繁太郎、モニカ・クルシェフスキー。せめて君の前では強い俺でいさせてくれ。衝号の覚悟を決め、実行したあの強き自分の時の俺で。

「モニカさん、リボンしてくれたんだね。白いリボンを」

「彼処へ行くときいつも喪服で行きます。ですから今日は白い自分であろうと思いました。似合って居るでしょうか?」

 キラキラ光る白い衣服。リボンも光っていて、髪は当然キラキラ。俺はついその美しく犯しがたい聖女の如き彼女に手を出していた。

「モニカさん……」

 綺麗な白い彼女。悲しい黒では無い、いつもの黄緑でも無い、汚れ無き白一色。

「し、しまだ、さ、」

 頭から触り。長い髪を五指に絡めて撫で梳く。滑らかな髪はするりと滑り抜けていき、指に髪の感触を残す。

 白い衣服、白いヘッドドレスから触れ、柔らかな手触りを楽しみながら。肩の衣服を止める白いリボンの胸元を触る。

 もちろんリボンを外したりはしない。そこから、白いドレスを身体の線に沿って触れていき。最後に身体の前に流されている金色の長い髪を何度も何度も撫でてて。彼女の両頬に手を当てた、

「冷たいね」

「ふ、冬、ですから、わ、たし、その、」

 両頬に触れたまま俺は何も言わず、何も聞かず、白い聖女の唇を奪っていた。

「ん、う……」

 聖女は抵抗をしなかった。ただただ、俺の唇を受け入れてくれた。聖女様、俺には罪があるのです。誰にも言えない大罪が。シャルル・ジ・ブリタニアの罪がかすれてしまうほどの、貴女と逆位置にあるほどの罪が。

 俺は唇を通じて彼女に告げた。もちろん彼女には言葉も思いも伝わらない。ただ口付けを交わしたという事実だけがある。

「ん、んん……」

 でも、そこからの口付けは普通で、俺はどうしてだろう。モニカ・クルシェフスキーを求めてしまった。美しくも儚く、儚くて悲しい。望まれて生まれてきたはずなのに、誰にも祝福されない彼女を。

 なら、俺が、嶋田繁太郎が祝福してあげよう。祝福させて欲しい。だって。

「ん……俺は、君と出会えて幸せだよモニカさん」

 そういって白い聖女を抱き締めた。

「し、まだ、さ、」

「生まれてきてくれて、ありがとう」

「ッッ……!!」

 俺は見なかった事にした。イルミネーションと噴水が照らし出した聖女の瞳から、一筋の涙が落ちたことを。

 
 しばらく、そのまま抱き締め合っていた。十分だろうか二十分だろうか。

 聖女が。

「買い物、行きましょう」

 嬉しくも恥ずかしく、はにかみながら言うまでの間。

511トゥ!ヘァ!:2023/05/21(日) 21:47:10 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
修正乙です

100年前の時点で大和型もそうですが、この時期で既にブレイズルミナスも搭載しているのか…
となると休日世界でのブレイズルミナスって大分古くからの技術なんですな。

512休日:2023/05/21(日) 21:47:28 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上ですユーロユニバースはこんな化け物を続々と送り出してくる国といつまでも戦争はしてられないと停戦講和しましたが。
世界的にはユーロユニバースの無条件降伏とみられております。

この二十年後には基準八万トン空母、基準八万トン戦艦が続々と送り出され激戦が繰り広げられる皇歴1940年8月日ブ太平洋戦争が勃発します。

513ハニワ一号:2023/05/21(日) 22:01:01 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
修正乙です。
日欧戦争時代にブレイズルミナス搭載の大和型相当の三笠を建造とかEUは停戦講和するまでにどんだけの艦隊を溶かしまくったんでしょうね・・・。

514休日:2023/05/21(日) 22:01:23 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
 シーランドの最新がこのような形のようです


 シーランド王国設定

 五稜郭のような形をした一辺が30㎞、高さ2㎞の巨大な人工島国家。国土自体はまだまだ広がり中で人口はおよそ4,000,000〜5,000,000人



 シーランド軍2022空・海軍


 アヴァロン級浮遊航空艦:1

 カールレオン級浮遊航空艦:7

 88,000t級戦艦:2

 80,000t級空母:1

 8,800級t巡洋艦:10

 7,000t級駆逐艦:30

 第9世代KMF:8騎紅蓮聖天八極式量産型4騎、ランスロット・アルビオン量産型4騎

 第8.5世代KMF:68騎ヴィンセント・カスタム68騎

 第7世代KMF:200騎ウィンダム100騎、ヴィンセント100騎

 第5世代KMF:500騎グロースター200騎、サザーランド300騎

 水中用KMF:ポートマンⅡ300騎

 水中用KGFヴァル・ヴァロ、シャンブロ多数

515トゥ!ヘァ!:2023/05/21(日) 22:06:38 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>514
シャンブロや量産型のアルビオンや八極式もいますから、原作EUくらいなら簡単に蹴散らせそうな戦力ですな。

超巨大五稜郭…まさに国土全てが要塞なんでしょうね。

516休日:2023/05/21(日) 22:25:41 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
>>511
技術加速が始まったのが実は皇歴1500年からなんです。ですから日本だけがとてつもない速度で技術開発をしていったので世界から驚嘆の目で見られていました。
南天の技術加速は200年ほど前からですね。ブリタニアは技術加速という意味では日本、南天に遅れてました。
やがてポテンシャルを発揮し始めたブリタニアは自力で日・南に並ぶほどの技術加速力を身に着け、南天を追い越し日本に迫ったところで日本には常に半歩追いつけないというのが現状です。

>>513
欧州人は基本傲慢でしたので極東全土日本海南島台湾外南内南まで全部取ろうと当初は考えておりました。
しかしふたを開いたら日本の圧倒的科学技術力、工業生産力に驚き、戦争を続けていれば負けるのはユーロピアだと悟ったグループが。
「今のうちなら停戦講和で済ませてやろう」と日本に対して上から目線で言ったため、日本は「なら続けましょうか戦争を」で欧州本土爆撃。
極東シベリア一帯の制圧までやってしまったんですね。で、ユーロピアは「停戦講和してください」と二度目の交渉でついに頭を下げたんです。
因みにこのころすでに日本は四発の重爆である連山と連山・改を開発20,000機即時投入の段階に入っており、バルチック艦隊10ダース程度の軍事力しか持っていなかったユーロピアを灰にまでする予定でした。

停戦講和後、日本は占領していた極東の返還に応じ「次手を出して来たらユーロピア共和国連合を地図の上から消す」と絶滅宣言までしました。
それくらい当時の日本には下等なユーロピア人の生意気な極東侵略に対して国全体が怒りに満ちていました。

517トゥ!ヘァ!:2023/05/21(日) 22:28:07 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
そらブリタニアでも早々追いつけないわけですわ(汗
逆に半歩くらいまで追いつけたブリタニアが凄いのか…

518二二三:2023/05/21(日) 22:59:57 HOST:KD106155012212.au-net.ne.jp
確か超古代文明継承国が日本、ブリタニア、オセアニアで日本が1500年頃から転生者の手が入りだしたと前々から言われてた10とか9年前の議論でそれがあった
オセアニアも200から150年前くらいからおかしな動きをしていた
ブリタニアは正史と違いクレアの権勢が強かったことやリカルドの遺訓の影響、年代不明のライ皇帝の介入で大分変わった。それでも中央ブリタニア太平洋南ブリタニアの一部までは侵略してる

519二二三:2023/05/21(日) 23:23:21 HOST:KD106155012212.au-net.ne.jp
>>515
これだけの艦船があるなら空母あと3隻くらい作ってもいいのでは?

520トゥ!ヘァ!:2023/05/21(日) 23:27:59 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>519
船よりも運用する人材の方が問題ですからなぁ。

空母となれば艦載機やその運用整備員も含めると結構な数必要ですし。

521二二三:2023/05/21(日) 23:30:38 HOST:KD106155012212.au-net.ne.jp
人口500万人もいれば解決しそうだけど。どうです

522トゥ!ヘァ!:2023/05/21(日) 23:34:43 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>521
全然足らんですの。
国民全員兵士てわけじゃないでしょうし。
船乗りは特に専門職ですからね。


健全な経済活動考えれば500万の人口比から見ると今の艦隊規模でも割と頑張っている方なので。

増やすなら運用人数少ないだろうシャンブロとかKGF戦力の方が楽かもしれません。

523二二三:2023/05/21(日) 23:52:26 HOST:KD106155012212.au-net.ne.jp
なるほろ。しかし嶋田さん優しいねモニカさんに「生まれてきてくれてありがとう」ちょっと涙腺崩壊しました

524二二三:2023/05/22(月) 00:07:14 HOST:KD106155012212.au-net.ne.jp
結局ロウリアは始末する流れ何でしょうか?

525トゥ!ヘァ!:2023/05/22(月) 00:28:10 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
休日さんの今後の流れ次第でしょうね。

まあ少なくともロウリアの現政権はなくなるのでは?

526二二三:2023/05/22(月) 00:37:59 HOST:KD106155012212.au-net.ne.jp
ここで最悪のパターン予想。停戦講和。ロウリアの現政権王政の崩壊、民主主義意向で手打ち予定が
パーパルディア侵攻軍のわずかに残った残党が食料を求めてシーランドの漁民を襲う。漁民は命は助かるも重症
ブチ切れたヴェーツ国王甘い措置を取ったパーパルディアにも責任はあるがそっちは戦争当事者で攻め込まれた方だから不問にする
だがロウリアは許さねえ!でシーランド軍をロウリアに展開蹂躙戦が始まる( ^ω^)・・・

527ハニワ一号:2023/05/23(火) 09:36:03 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
>>514
超巨大五稜郭な国土に人口約500万人と休日シーランド史実と比べてはるかに大きくなり申したね・・・。
しかも国土は拡大中という。

528ハニワ一号:2023/05/23(火) 10:16:35 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
ロストストーリーズ、強化に必要なアイテムは十分にあるんだが今度は強化に必要なコインがあまりにも足りねえわ・・・。

529トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/23(火) 10:33:50 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
わかる。気づけばコインなくなってますよね…

530二二三:2023/05/23(火) 15:54:29 HOST:KD106155010164.au-net.ne.jp
シーランド王国軍が普通にヤバいレヴェルな件
国防軍の範囲を超えている

531トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/23(火) 17:09:30 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
普通に外に攻め込める艦隊ですからの。

532二二三:2023/05/23(火) 17:36:54 HOST:KD106154150130.au-net.ne.jp
最新型の浮遊航空艦隊まで持ったのは大きいですね。迅速な外部展開ができる。8万トンの空母と戦艦も

533トゥ!ヘァ!:2023/05/23(火) 18:38:02 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
本土の防衛は極論シャンブロに任せることも可能ですしね

534二二三:2023/05/23(火) 20:16:42 HOST:KD106154150130.au-net.ne.jp
仮に本土内部に
侵入されたとしても、これだけの戦力が待ち構えていますからね
 第9世代KMF:8騎紅蓮聖天八極式量産型4騎、ランスロット・アルビオン量産型4騎

 第8.5世代KMF:68騎ヴィンセント・カスタム68騎

 第7世代KMF:200騎ウィンダム100騎、ヴィンセント100騎

 第5世代KMF:500騎グロースター200騎、サザーランド300騎

535トゥ!ヘァ!:2023/05/23(火) 20:41:20 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
基地の防衛施設もあるでしょうから、余程の相手に攻め込まれない限りは問題なく防衛できそうですからな。

536二二三:2023/05/23(火) 22:08:55 HOST:KD106154150130.au-net.ne.jp
山本さんとリーライナが泊まった施設はどのあたりなんだろう
一辺30キロということは星型の30キロ五角形中心部を通るとしたら一番近い場所で端から端まで15キロ
一番遠くで端から端まで50キロオーバー
相当な広さだから上流階級専用の別荘地やホテル街なんかもありそうなんだけど
五稜郭の形ならタワー部の国土もあるから実際はもう少し広い
しかも高さ2キロと来てるから面に退席の広さ持たされて相当な広さになってる

537二二三:2023/05/24(水) 09:12:39 HOST:KD106154150171.au-net.ne.jp
いまルルーシュの話を読んでいたんですけど大洋州連合は永世中立を掲げていたんですね
なんでスイスみたいになれなかったんだろ

538名無しさん:2023/05/25(木) 12:26:10 HOST:sp49-96-21-185.mse.spmode.ne.jp
>>537
地形的な問題では?

539トゥ!ヘァ!:2023/05/25(木) 17:20:32 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
立地でしょうね。

山だらけのスイスと比べてオーストラリア大陸は四方から攻め込みやすいですから。

もっというと永世中立掲げようとするなら結構な軍事力が必要ですから。

540休日:2023/05/26(金) 17:49:04 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
旧大洋州連合に永世中立は不可能です。
生き残りを図るには日本かブリタニアの庇護下に入るしかありませんでした。
結果オセアニアに飲み込まれて南天と化しました。

541休日:2023/05/26(金) 17:50:49 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
投稿します。
長いです。
濡れ場があるので回避したい方は回避してください。
R15-R16。

542休日:2023/05/26(金) 17:51:33 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 異世界編

 休日世界編

 両世界で通用するお話です。





 南天条約機構。

 それは日本・ブリタニア太平洋戦争の際に、東南アジアの一部、南太平洋のほぼ全域と、自国の領域を拡大していった合衆国オセアニアが作り出した集団安全保障体制にして、集団攻勢保証体制。

 日ブ太平洋戦争に着いていける唯一の国と考えられていた合衆国オセアニアは、戦争その物には直接介入はせず、裏口から戦争への介入を図り、見事日本勢力圏、ブリタニア勢力圏より領土を掠め取っていった。

 正確には、当時の東南アジアは日本の裏庭に数えられ、当時の大洋州連合はブリタニアの裏庭の一つとみられていた。これらの一部と全域を掠め取ったオセアニアの策謀は上手くいったが。

 その危険性を熟知し始めた日ブ両国は、戦争終結後、悪化した国民感情を鎮めていき、対オセアニアで一致した行動を取ろうと、日ブ相互安全保障条約を早々に締結。後に北側と呼ばれる諸国を率いるオセアニアとの冷戦が始まった。

 一方のオセアニアは太平洋戦争へ裏口参加し、唯一の戦勝国となったものの、予想以上の早い太平洋戦争の終結(一年戦争)に、いらだちを隠せないでいた。本来ならば東南アジア全域、南ブリタニア全域への侵攻を予定し、あまつさえ疲弊した日本・ブリタニア両国の併呑をまでをももくろんでいたところ、宛てが外れたからだ。

 大日本帝国と神聖ブリタニア帝国は、見事手の平の上で転がってくれた。誤算だったのは転がっていたボールの止まりが予想以上に早いこと。

 いずれにせよ計画は頓挫。両国が余力を残した状態で北側へと攻め入るのはリスクが高すぎた。当時はまだ手足となる兵の数も武装勢力も、コングロマリットも無く手詰まりの状態だったのだ。

 この状況下で日ブは同盟を絡め、オセアニアにとり脅威となるもの『F号兵器』と呼ばれる、広範囲消滅兵器を作り出し、その実験に成功した。

 太平洋を赤桃色へと染めあげた巨大な光源はオセアニアからも見えており、オセアニア自身理論上、いや盟主が知識として識っていた兵器の70年もの早きに渡る誕生に、盟主本人の嗤いも止まったとさえ噂されている。

 無論、オセアニア人や、当時のオセアニアの衛星国の人間は、誰一人として盟主の顔など見たことは無いが為、噂の域を出なければ、そんな怪人がいることさえも懐疑的だったが。

 しかしこの日ブのF号兵器の開発実験成功は、事実上日本主導で行われていたため、オセアニアの世論は日本憎しで固まっていき、翌年には最悪の結果を生み出すことに。

 出力は日ブが生み出したそれよりも低かったものの、盟主主導の元、国家一丸となり動き出した、一体化したオセアニアの脅威が白日の下にさらけ出された。

 それはある晴れた日のこと、南天の空を赤桃色の光が包み込んだのだ。場所は南太平洋の無人地帯。宙よりコレを捉えた日ブはある事態の始まりを確信した。

 北南冷戦である。お互いが究極兵器F号を開発してしまったために、お互いに手を出せなくなった。容易なる手出しは即ち破滅を意味し、何もかもが消滅する憂き目に遭ってしまう。

 そして、オセアニアは予てより計画していた体制の構築に動き出すことになる。集団安全保障体制にして集団攻勢保証体制。一国が攻撃を受けたなら、同時に全ての国が攻撃を受けたと見なし、総反撃に出、一国が戦争を始めたならば同時に全ての国が参戦する異色の集団行動体制の構築を急いだ。

 まずは、旧大洋州連合を入れ、本土を入れ、日本との間の盾とした衛星国南ニューギニアを組み込む。次いで自治州と化していたマダガスカル(旧メリナ)を組み込み、アフリカ大陸に入り、高度に成長していた合衆国東アフリカを組み込んだ。

 この後、東アフリカの属国。国家間としては平等である中東のイエメンを組み込み、初期の体制は確立された。南太平洋からインド洋にかけてぐるりと取り囲むこの広大なる安全保障地域は南の天を支配するもの――南天条約機構と名付けられ日ブ同盟との対立を深めていった。 

 やがてこの安全保障機構にイラク社会主義共和国が、民主共和制原理主義に帰依するのではなく、共産主義のままオブザーバーとして加わり、中東戦争を引き起こす。戦争は激化を極め、イラクは独力で北サウジ、ヨルダン西部をもぎ取ったことで南天諸国に認められることに。

 この間の各国の動きとして、日ブ同盟もまた自国の勢力圏を広げようとする動きを見せた。地域的に、日本は東南アジア諸国とその近辺。ブリタニアは南ブリタニア諸国とその島嶼群。

 両国共に警戒された。日本は異常なる成長を遂げ、過去に大規模戦争を繰り返し、敵国を過度に壊滅させてきた恐ろしき国として。

543休日:2023/05/26(金) 17:52:40 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ブリタニアは過去二度に渡る大規模な侵略戦争と、北南戦争という内戦まで起こした国として。

 基本、平和的に生きてきた中小国家群から見れば、日本もブリタニアも危険な大国、今やオセアニア同様世界を支配せんとする危険な超大国としてみられていたのだ。

 そして、ことは動いた。まず、先を読み取ったかのように中東の小国クウェート、ヨーロッパの小国シーランド王国が待遇的なものもあり日ブ同盟の傘下に加わった。

 以前より日本の傘下に加わっていたナウルはわかる。太平洋戦争の激戦の中生き残りをかけた戦略だったのだろう。事実大洋州連合はオセアニアに呑み込まれた。

 当時世界はこの動きに懐疑的だった。独立したばかりの国と、独立国。態々その二つが属国として歩み出したのだから。シーランドは分からないでも無い。周りが敵国であるE.U.ユーロピア共和国連合なのだからいつ圧殺されるかわからない。

 だがクウェートは意味不明だった。共産イラクという危険な覇権国家が存在するにせよ、たかが石油如きのために日本が助けに来るとでも本気で考えているのか? そう周囲の中東諸国に馬鹿にされた。

 しかし、1995年3月、事態は一変し出す。合衆国オセアニアの属国にして南天条約機構構成国の一国、ニューギニア民主共和国が突如として北進を始めたのだ。南ニューギニアによるニューギニアの原理主義的統一を掲げて。

 猛反発したパプアニューギニアは南ニューギニアとの国境線に大量の兵を送り、両国は衝突。遂にはオセアニア本国までが動き出しソロモンに駐留していたメタトロン級空母戦闘群2個群まで送り出してきたのだ。

 当然こうなるとパプアニューギニアには勝ち目はない。以前からオセアニアは地域大国インドネシアや小国ティモールを小突き回し、日本の反応を伺っていたが、日本動く事なしの確証を得て此度は軍を動かしたのだ。

 ブーゲンヴィル島とニュー・ブリテン島をオセアニアに占領され、マダン・ウェワクといった都市部への空爆まで受けたパプアニューギニア政府は、所詮小国が列強国と戦っても勝てないのだという事を悟る。列強には列強をぶつけるしかない。この意思で予てより『技術の日本』の二つ名を持つ超大国であり、列強でもあった日本に対して助けを求めるメッセージを送ったのだ。

 この動きに、当時、中立を保っていた東南アジア諸国は荒れた。勝手に列強の、ましてや日中戦争、日欧戦争、太平洋戦争と大きな戦争ばかり繰り返してきた日本を呼び込むとは、植民地化されると。

 だがパプアニューギニア政府は、ならば貴様らがオセアニアと戦ってみよ! オセアニアの空母戦闘群1個群だけでも国を滅ぼされるぞ。と返されては、どの国も何も言えなかった。

 今回の戦争でオセアニアは動いたが、南天は動いていない。南天条約機構無しのオセアニアが相手ならば日本も動いてくれるかもしれない。一縷の望みをかけたパプアニューギニア政府は──賭けに勝った。

544休日:2023/05/26(金) 17:53:21 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 日本はトラック諸島に駐留させていた鳳凰空母戦闘群を始めとした空母戦闘群4個群を動かして、オセアニアの占領下にあったブーゲンヴィル島とニュー・ブリテン島を急襲解放、続きビスマルク海戦では、オセアニア空母メタトロンとサディケルを半身不随にまで追い込み、護衛艦艇のおよそ6割を撃沈・撤退に追い込んでいる。

 これに対して、日本側はイージス巡洋艦六甲と生駒が大破し、駆逐艦1隻が撃沈された以外は、小中破に留まり目立った被害はなく、鳳凰級空母4艦全艦無傷という、完勝に近い勝利を得た。これは、艦艇や航空機の性能は勿論、采配を採った司令官、山本五十六海軍大将の指揮能力の高さを物語っていた。山本は後年この時の戦争を振り返り、格下相手に負けておっては帝国海軍軍人の名折れであると言明し、奥方の神聖ブリタニア帝国リーライナ・ヴェルガモン伯爵と共によくこの話を強要されていたという。

 オセアニア海軍の敗退を目にしたパプアニューギニア政府は、日本が完全にわが国の味方に付いた!と、勢いづき、軍の士気は大いに向上。一時期は完全にニューギニア島全土は白化すると考えられていたところから、一気に国境線まで南ニューギニア軍を押し返し、膠着状態へと戻すことに成功。

 オセアニアの当時の国防長官は、全空母戦闘群を以てすれば東南アジア全土など容易く抑えられると豪語したが、その様なことを実行に移せば日本との本格的な戦争は避けられなくなり、F号兵器の撃ち合いを招くと総代行主に却下されている。

 この時も神は、盟主は嗤っていたと伝えられているが、誰が神か、神の姿を知る者はいない為に分からずじまい。だが、この敗戦を機に、南天条約機構は次第にその形を作り始めていく。神への絶対なる忠誠。全天に美しき世界の実現の為に。教化と浄化。この三本柱を持ち。国民皆兵制度を取り入れて行く事となるその始まりの戦争でもあった。

 守られた側のパプアニューギニア政府だったが、国土は荒廃し、各都市をがれきにされ、復興には時間がかかるとされたが、ここでも日本の先進技術および強大な工業・建築が役に立ち、早期復興、奇跡の復興を成し遂げた。同時にパプアニューギニア政府は自らひざを折った。日本の衛星国としてこの先を生き抜いていく覚悟を決めたのである。

 この戦争を見守っていたティモール、インドネシア、フィリピン、インドシナなど、東南アジアの国々が、日本は必ず助けてくれる、圧制を敷いたりおかしな思想を持ち込むことも無いと確信。次々と日本の庇護下に入っていったのもこの時期の事だった。

 これにより大日本帝国は大量の衛星国を手に入れるが、同時にオセアニアと言う国を正式に南天へと変質させるきっかけを作ったとも言えよう。

 次に大きな話としてブリタニア五・六事変が挙げられる。世間的にはよくある皇族や貴族の反乱とみられているが、この事件、南天の神が関わっている可能性も指摘されていた。

 何故かと言えば、誰も何も覚えていない『空白の三十分事件』と言う謎の怪事件が発生し、当時最強を誇ったラウンズマリアンヌが何者かに重傷を負わされ、多くのロイヤルガードが死んでいるからだ。皇帝シャルルも多くを語ることは無く『さあ、選択の時だ』とだけ声が聴こえたと語る。

 大勢の死傷者を出し、ブリタニア最高の頭脳の一人、悪魔伯爵と呼ばれる男の脱獄もあって大混乱に陥ったクーデター事件。しかし、それを、その戦いを陰より支えていた日本の仲間たちがシャルルには居たとされ。彼は孤独に戦っていたのではなく、多くの皇族・貴族、日本の仲間たちに支えられながら、事件を戦い抜き、皇帝の座をつかんだと言われている。

 次に歴史の針が大きく動いたのは、皇歴2010年のこと。南ブリタニアはユーロユニバースの友好国であったラプラタ東方共和国を、民主共和性原理主義者ジェファーソン・デイビスが、ラプラタ民主連合共和国へと白化させようとした事件。

 これは南ブリタニアに大きな戦乱を呼び込むこととなる。当時すでに中央アフリカ以南が次々に白化されており、秘密裏に民主共和性原理主義国家が増えていく中。遂にその足音は南ブリタニアにまで迫ってきたのだ。

 新たなる、唯一神を仰ぎしラプラタを作ろうとしたデイビスは、白化の危険性を熟知していた南ブリタニア五ヵ国よりの経済制裁を受ける。

 この返答として返したのは、アラウカニア=パタゴニアの都市ブエノスアイレスへの空爆だった。この凶行に南ブリタニア諸国は連名でラプラタとデイビスを討つことを宣言するも。

 ラプラタの凶行は止まず、各国に送り込んでいた原理主義者による自爆テロを敢行してきたのだ。まさか自爆テロにまで及ぶような凶行までに走るとも思って居なかった各国軍は、全力を挙げてラプラタを攻撃した。最早この国を残しておくわけには行かないと。

545休日:2023/05/26(金) 17:54:13 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 だが、これをこそ待っていたのだ。デイビスはここまでの動きをすれば、盟主が何らかのアクションを起こして下さると信じていた。盟主を、唯一神を妄信するデイビスにとって、死は救済である。怖くはない。だが足跡を残し神と共に聖戦=ラグナロクを戦い抜きたいとも考える彼は。

 神の動きを待った。はたして神は動いた。空母5隻からなる戦闘群を、南ブリタニア両岸に張り付けたのだ。南天条約機構こそ動かされなかったが充分だった。南ブリタニア諸国をどうにかするには。そう、神聖ブリタニア帝国、大日本帝国が動かなければ。

 このタイミングで彼の国々もまた動いたのだ。当時を振り返りシュナイゼル宰相は語る。我々が介入しなければ、南ブリタニア諸国は白化されていた、神を妄信し、神の為に死を選ぶ恐ろしき民に思考を改造されていたでしょう。

 この時すでに南天条約機構は動員可能だった2010年当時の最大戦力は50,000,000人とみられている。七天もまだ存在していなかったとも。確かな事は分かっていないが、皇歴2015年以降の完全なる全にして個と化した強大なる南天条約機構軍はまだ完成していなかったとみるべきだろう。

 そうして難を逃れた南ブリタニア諸国は、長年のわだかまりを捨て、ブリタニアの手を取るに至った。その後、衛星国となった国々を、日ブはそれぞれに集団安全保障体制へと組み込んでいき、2020年より数年後には欧州解放戦争によって消滅したユーロユニバースに変わって出来上がったAEU諸国も組み込み、北側諸国同盟を完成させるに至る。

 同じころ、南側も中央アフリカ以南を正式に民主共和性原理主義国家として南側に組み込んでいき、最大動員80,000,000人、戦車200,000両以上、作戦機20,000機以上、主力水上艦艇千数百隻以上、KMF23,000騎以上、浮遊航空艦艇500艦以上、更に2年後には空母戦闘群30個群体制にまで膨れ上がった南天条約機構は一応の完成を見る。

 北側と南側は表裏一体。一方が動けば一方が動く、ここに『技術の日本』『力のブリタニア』『数の南天』(最早南天はこの時点で一つの国家としてみられている)が揃ったのだ。

 以降も三勢力は軍拡を強行していき2022年度段階で三勢力合わせ300,000発のF号兵器の保有にいたり、世界を10回以上に渡り消滅させられるほどの力を持つに至る。

 南天の危険性を識るのは、かつてのユーロユニバース、大日本帝国・神聖ブリタニア帝国率いる北側諸国のみ。AEUですらその本当の危険性については気付いていない。

 世界中に1,700,000,000の信徒を持ち、勢力としては1,000,000,000ほどの人口を持ち、テロ組織・コングロマリットとしては100,000,000の構成員を持ち、宗教としては1,200,000,000の人数を持つ。その全てが全天に美しき世界の実現の為にという一つの目的のために蠢く集合体なのだ。

 とくに80,000,000の南天軍や、民主共和制原理主義者の一部は死兵と呼ばれる感情無きキリングマシーンともなれる。教化か浄化の二択を強要し教化を選ばなければ浄化=処刑する。それは国家単位ですら行われる為、ジェノサイドすらも容易に行うのだ。

 また死に対する一切の恐怖を持たず、神に帰依するという幸せなる未来のみを見て生きている。根本的に民主主義とは相容れない民主主義教の勢力。それが南天なのだ。ユーロユニバースはその恐ろしさを知りながらも同じ民主主義の人間として、いつも笑顔な彼らの顔を信じている。

 中華連邦やジルクスタンはその危険性に気付きながらも、自分たちが侵略される事は無いだろうと半分の人間は考えている。中東はそも侵略されていたというのに気付いていなかった。相手がイラクだったと言うこともあって。

 しかし彼らは根本的なところで勘違いをしている。南天に与する人間は皆口を揃えて言う。笑顔の仮面を張り付けて。





 ―――“全天”に美しき世界の実現のために―――

546休日:2023/05/26(金) 17:55:06 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 南天という世界の闇





「なに読んでんの?」

「うわおッ!」

 怖い本を読んでいた。そんなときに肩越しから声を掛けられたら誰でもびっくりする。この時の玉城真一郎もそうであった。

 右肩越しを振り向くと、其処には長いウェーブがかった金髪を、二つ結びにした女性の姿。オルドリン・ジヴォン。間もなく23歳とならん女性でその胸は大きく成長――こほん。その身体は大人らしく成長してきていた。

 肩越しに甘い香りが漂ってくる。彼女は性格はがさつだが、女性としてみれば相当な美女である。彼女クラスとなればこのグリンダ騎士団には『麗しの姫君しかいない』無論、こんなことをそこらで話せばひんしゅくモノだが。

 リドールナイツの中にも美女・美少女は多い、ソキアも充分美女だ、というかグリンダ騎士団以前に、玉城真一郎の周囲は男女問わず顔面偏差値が高すぎる。唯一玉城一人が落第点なのだから、彼が誰をどうこうとは言っては成らないのである。

「なによ。そんなお化けでも見たみたいな反応して」

「いや、お前、普通に美女なんだからいきなり声かけてくんなよ」

「び、びじょッ!?」

 オルドリンの顔が赤くなる。オルドリンの家の爵位は低いが、長年ブリタニアの闇を司ってきた一家としてそれなりの名家なのだ。そのお嬢様に気軽に声を掛ける男も少なく、オルドリン自身家に決められた婚約者はまだいない。そんな中、歯に衣着せぬ、オルドリンにさえ平然と接する年上の男からの、美女宣言。

 普段言われ慣れていないせいもあってか胸が無駄に高鳴ってしまった。

「どしたよ?」

「あ、あうううう」

「だからどしたよ」

「た、玉城のくせに生意気なのよ!」

 照れ隠しで玉城の肩を叩くも、いつものように思うように力が入らず、へちょ〜っとしたような叩き具合となってしまい、余計に玉城に心地良さを与えるだけだった。

「と、とにかく本よ本。漫画じゃ無くて図書室できちんとした歴史関係の本を読むなんて、あんたにしちゃ殊勝じゃない。ちょっと肩揉んだげる」

 気分の良いオルドリン。美女と正面切って言われたら女性ならそれは気分が良いだろう。

「おお、お前の肩揉み上手いんだよなあ。誰かがやると肩折れるんだが」

「それ、本人の前で言わない方が良いわよ? 確実に肩砕かれるから、まあ砕かれても、いまの日本やブリタニアの医療なら簡単に治せるのがまた怖いところなんだけれどねー。発展しすぎって言うか、私らの国って何処を目指してるんだろうってさ」

「そりゃおめー宇宙じゃねえの?未発達、未開発、どこまでも続く果てしない空間。そこにロマンを感じるもんだよ。せせこましい一つの星の上でぎゃーぎゃーやってんのなんざ、本来バカらしいことなんだがな」

「…………き、今日のあんた無駄に格好いい」

「お? イケてるか俺? イケちゃってます?」

「すぐ調子に乗る。そういうところがマイナス点なのよ。っていうかあんたグリンダの艦隊勤務の女の子や女性に結構モテてるんだから、多少は自覚持ってしゃんとしなさいしゃんと。私だって時々格好いいなって思うことあるんだから」

「おお、嬉しいことを言ってくれるねえ。今日はどしたよ」

「だからあ、殊勝にも勉学の為の本を読んでること」

 玉城はそこで黙った。冷や汗を流していた。

547休日:2023/05/26(金) 17:56:35 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「そりゃ、テメェの命が狙われたら調べたくも成るだろうぜ」

 そうだ。命が掛かっているのだ。冗談では無い、遊びでも無い、真剣な話しだ。グリンダへ来たのだってこれと無関係では無い。グリンダの艦隊勤務は基本空を回る。地上に降りたりもするが世界中を飛び回っている為に一か所に留まることが少ない。そこに玉城の安全性が担保されていると言えよう。最も、玉城をこよなく愛している皇女様の好意を何処かに向けなければ根本的解決には至らない。といって玉城は自分を、自分みたいなダメニートを好いてくれる彼女を無碍にはできない。で堂々巡りが続いているのだ。

「そう言えばあんた」

「思い出したくないから止めてくれ。どっちが死んでも後悔しか残らねえ最悪な状況だったんだ。あんな警戒網すり抜けてくるとか誰が考えるよ」

「あんた狙ってたの北側諸国で“無貌”って呼ばれてる南天の大物でしょ? 無理も無いわよそんなのに狙われたら」

 オルドリンは肩越しに彼を抱き締めた。楽天家でバカでアホで間抜け、でも幼いマリーに道を与え、クララ皇兄女、クララさんを完全なる闇に落とさせず。いつも光を用意し、日本とブリタニアの高官達に時に笑いをもたらしてきた男。

 V.V.皇兄殿下もなにかと認めているところもある、色んな意味で変な奴が狙われたのはそう、マリーとの再会の日。最も重要で、最も優しくて、最も祝われるべき日に、“四人”は狙われた。無貌の差し向けた刺客の凶弾によって。アレは間違いなく真正面からの宣戦布告だった。

 あの時のシマダ卿の顔を忘れられない、無言で純粋な怒りに満ち、それでいて凪のように静か。ツナミが来る前のように。誰かが言った、シマダ卿は怒らせてはならない方だと。

 オルドリンはあの現場に居合わせ、無貌よりも凶弾よりも、母や伯父よりも恐ろしい方の存在を識ったのだ。シマダシゲタロウ卿。ツジマサノブ卿あの方々をこそ真に恐ろしい存在というのでは無いだろうか。

 あの静かな怒りの中、確かに感じた数百数千、数万、数十万、数百万数千万、億の血の臭い。どこであの臭いは身に付けられてきたモノなのだろうか。あの方々はあの臭いを持ちながら何故平然としていられるのか。

 猛烈な吐き気に襲われた。以前、ブラッドリー卿に窺っていたのはコレだったのだと理解した。初めて見たとき、まだ小さな頃だったが恐怖を感じた。見た目は普通なのにとてつもなく巨大な存在に見えたと。

 いずれにせよ、それはまた、いつか語るべき時が来よう。今は玉城のことだ。オルドリンは優しく抱き締めて、その恐怖を癒やしてあげることに専念し、肩越しに彼の読んでいた本のタイトルを見た。

548休日:2023/05/26(金) 17:57:05 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

『南天という世界の闇』

 その本の内容、確かかなり不正確だったはずだ。南天が完全なる形を為したのはかなり古く、1960年代にはもう完成を見ていた。当時既にユーロユニバースは南天に怖れを成して土下座外交をしていたはず。

 中東はイラクと南天を警戒し、ジルクと中華も南天を警戒していたはずだ。南天の国力は既にこれら全ての国を足しても尚余りあるほど強大のものになっていたから。

 ではなぜ、オセアニアは日本に負け、南ブリタニアには手を出せなかったのか? それは日ブの持つ最終兵器F号兵器が関係している。

 一度発動すれば世界を消滅させ尽くすとも言われる恐ろしい兵器。これを日ブもオセアニアも共に実践配備していたから、一度火が付けばどちらかが滅びるまで終わらなくなる。そして、この時。南天条約機構の発動体制が整っていなかったのも幸いした。この当時で50,000,000と言われていた南天条約機構軍は、その巨大さ故に動くのに時間が掛かる。

 少なくともラプラタ戦争、南ブリタニア紛争の時点ではそうだったのだろう。これが近年は改善され、更に強大に膨れ上がり、最早日本、ブリタニア一国とならば互角に戦えるだけの力を身に付けてきた。故に北側諸国も集団安全保障体制を構築した。

 日本とブリタニアの衛星国をそれぞれ北側諸国同盟として再編していったのだ。南天と同じく一国への攻撃を全ての国への攻撃と見なす体制の構築を。既に始まっていた北南冷戦はもう60年以上続いているが、終わる気配が無い。南天の戦力は加速度的に増大の一途を辿り、日本・ブリタニアの戦力も対抗して増大の一途を辿っている。

 どこまでいくのか分からない。そして北側諸国の大方の予想通り、南天は北側南側何処の勢力にも属さずの空白地帯だった中東へと攻め込み、僅か二週間で併呑すると、矢継ぎ早にジルクスタンと中華連邦へ同時侵攻した。兵力数は30,000,000。更に追加派兵で20,000,000が待機状態にあったため、50,000,000という史上最大の軍隊が動き出したのだ。動かす気ならば更に30,000,000、計80,000,000という信じられないほど膨大な軍を動かせる南天、この進軍を二国は止められまい。

 ならば二国を助けるか? ここで脚を縛っていたのが日本の旧敵国条項。中華連邦およびユーロユニバースに適応されており、この二国に一定以上の被害のあるであろう紛争に対し助力しないとする条項だ。

 最早100年以上も昔の寂れた条項ながら、約束や契約を重んじる国、日本では現在でも守られ続けていた。なにより国民感情がなぜ中華のために日本人が血を流さなければならないとなっていたのも大きい。

 しかし、これを動かしたのは意外にも我が国だった。日本と中華連邦との間の仲介に立ち、両国間の仲を皇帝シャルル・ジ・ブリタニアの名で繋いだのだ。南天の脅威の前に過去のわだかまりに拘っている時などでは無いと。日本の上帝陛下もこれに加わった。古びた条約と南天の脅威、優先すべきはどちらでしょうか、と。

 相手は50,000,000という史上最大の蠢く死兵の群れ、これをはじき返すために必要ならば日本と我が神聖ブリタニア帝国は中華連邦の側に立とう。と。

 そして南天の走狗となっていた大清連邦と高麗共和国を大日本帝国の当時で24個あった空母戦闘群、同じく24個の遠征打撃群のうち12個群ずつを出撃させ僅か3日で清国と高麗を踏み潰し、失地回復のためにと極東の地にまで遠征に来ていたAEU軍6,000,000とシベリアの地で握手をし。

 返す刀で、24・24巨大空母。巨大揚陸艦。600艦からなる浮遊航空艦隊12,000,000の軍を大陸へと派遣、中華連邦を縦走しながら南天侵攻域までの強行軍を果たし、大日本帝国軍と南天軍は激突、追ってブリタニア軍も16,000,000の軍とそれに付随する戦力をジルクスタン・中華連邦の南天侵攻域に送り込み南天軍と衝突した。陸で、海で、空で、宙で、熾烈を極めた戦いは続いた。

「まあ、これが大凡の真実って処ね。私も全てを識っているわけじゃ無いから分からないけれど。でも凄いのは、日本もブリタニアも南天も、戦争の途上にありながら戦力が増え続けていることなのよ」

「ま、マジか」

549休日:2023/05/26(金) 17:57:53 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「ええ、ブリタニア名、第一次ラグナロク作戦と命名されたこの作戦、世間的には大ユーラシア大戦、第一次北南戦争とした方が通ってるかしら? で日本もブリタニアも南天も本土では兵器の大増産を図っていてね、戦後の方が戦力増えちゃってんの」

「い、イカレテやがるな。戦時増産した分の方が消耗分を上回っているとか」

「各国のKMFの世代も一気に進んだわ。戦争がテクノロジーを上昇させるってのは昔の話しだと思っていたんだけれどね。空母戦闘群だけで言えば日本は改大鳳型130,000t強空母戦闘群30個群になっちゃってるし、うちは100,000t級〜130,000t弱級空母と戦闘群で56個群、オセアニアがごちゃ混ぜで40個群にまで膨らんで維持可能だからそのままの体制に。中華連邦やジルクスタン、AEU、北側諸国は皆この三国に着いていくのは不可能って言ってさじを投げてるわ。まあそうよね、異常だもの」

「そりゃ無理だろ。脳みその容量が2Bitしかないと自称してる俺でさえ分かるわ。おかしいんじゃねえのか?」

「ねー、これが通常運転だからなおおかしいのよ。当然だけど、次というか、決着を付けるべき第二次北南大戦は互いの全戦力をぶつけ合うわけだからコレよりもっと酷いことになるわよ?」

 背後から玉城を抱き締めたまま、オルドリンは語り続ける。

「おかしいと言えば。うちの騎士団もおかしいのよ。分かる?」

「お、分かる分かる。この騎士団って確か、立ち上げた頃は300人ちょっとだったんだよな?」

「へー、よく識ってんじゃない。それ僅かな期間だったからほとんどの人が知らないのに」

「いや、俺も自分の所属する騎士団のことくらいは調べるっての。で、確か初代グランベリーの1艦体制だったんだよな」

「そうそう、懐かしいわー初代グランベリー。愛着があったから変えるのは嫌だったんだけど。それで立ち上げ後すぐに半個師団に増やされて地上部隊が創設されたのよね-」

 6,000人体制。正確には7,200人体制となったのだ。これは浮遊航空艦が個から艦隊となったことでそうなった。

 グランベリーだけだったところへローズベリーとブラッドベリー、後にネッサローズ初代が追加されたのだ。もうこの時点で対テロ即応部隊の規模を超えていた。

「い、いきなし半個師団だもんな。地上部隊なんかも作られて訳分かんねーだろうな。なんての。お、大所帯になりすぎ」

 姿勢を崩したままで立っているのも疲れてきたオルドリンは、玉城の右肩に顎を乗せた。依然背後から彼を抱き締めたまま。さすがの玉城もここまで接近されると来る物がある。

 なにせ、暖かくて柔らかいものが二つくっついてくるからだ。この椅子の背もたれは低い。低いからこそ柔らかいものはむにゅむにゅと押し付けられる。

 おまけに二つ結びにしているオルドリンの髪の一房が、玉城の頬を撫でていて、さらさら擦れる髪の毛の感触、香しいその香りにどぎまぎとさせられていたのだ。

 幾ら年下は守備範囲外といったところで、大人の女性にここまで接近されて無反応でいられるほどに玉城も男として終わってはいない。

「な、なによあんたいきなり声を上擦らせたりなんかして、」

「い、いや、なんでも、」

「あ、わかった! またギャンブルしてるんでしょう? マリーに言いつけてあげようかしら?」

「い、いや、だから違ッ」

550休日:2023/05/26(金) 17:59:13 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 おめーの柔らかくて大きなおっぱいが二つとも背中に当たってるんだよ。あと、さらさらの髪が頬に擦れて香しさもあって、き、気持ちいいんだよッ!

 と、言ったらぶっ飛ばされそうなので、玉城はこの気持ちの良い時間を自ら受け入れることにした。そう自らの意思で受け入れることにしたのだ。

 “彼女”というものがありながら、というのが一般説的には唱えられるだろう言葉。だが、何度も論っているように彼女は玉城の守備範囲外。正確にはオルドリンも。ここで要約してみると、オルドリンは玉城のことを好きでも嫌いでもない。

 だからこそオルドリンは安心して玉城に引っ付いたのだ。年下の自分に対してエロいことを考えない男として。もちろんそこはオルドリンも女。恥ずかしいし羞恥心もある。

 ただ、怖がっているというか、びびっている玉城を放っておくのも、それはそれで違う気がしたのだ。故に抱き締めて安心させてあげた。不思議なことに、男の人というのは、女性から抱き締められると安心し落ち着く物であるらしい。

 今更な話しだが玉城も随分と落ち着いてきたようだし。こちらはこちらで途中から姿勢的に疲れてきたので、そのまま彼の肩の上に顎まで載せてしまったのはやり過ぎのような気がしないでも無かったが、どうせここまで来たら今更だと、そのままにしたのだ。

「ねえねえ、いいから話しの続きをしようよ。それでグリンダ騎士団は4艦半個師団体制に成りながら、南ブリタニア大陸を縦横無尽に走り回るのよね。テロ掃討要請が多く出ていたのが当時南ブリタニア大陸諸国からだったから」

「そ、そうらしいな、グリンダ騎士団がジェファーソン・デイビス以外の主要な国際テロ組織ペンタゴンの幹部陣を討ち取ったのは、この頃だったとか聞いたぜ? 確かオルドリンが№2を討ち取ったんだろ? おめーすげーな!」

「ふふん、もっと褒めなさい。褒めても何も出ないけれど私の気分が良くなって、これからは玉城に優しくしてあげることも増えるかもだから。そのときなのよねー私のグレイルが活躍したの。でもあの時一番活躍したのって実は私じゃ無いのよ?」

 ぐっと、また強く胸が押し付けられる(あ〜っ、おっぱいや〜らけ〜っ)余りエッチな方では無い玉城。どちらかといえば出世街道を目指すただのアホといった方が正しい。そんな彼でも女の色香に全く無反応でいられるかといえば、前述のようにNOだ。

 玉城だって男だ。口ではちびっ子だの。ちっせーんだよなにもかもといいながらも、きっちりとクララの女としての色香に反応していたように。別に年下の女だから何も反応しないなんてことは無い。反応しなかったらしなかったで今度は病気である。

 今のオルドリンのように、クララもよくぺたぺたと玉城にくっついていたが、玉城は男としてきっちり反応していた。男が女に反応する。極々自然なありふれたこと。

551休日:2023/05/26(金) 17:59:54 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

(あ、横顔結構かっこいい、かも。は、え? わ、私何考えてんのよっ! 相手は玉城じゃない、玉城なのよ玉城っ、そ、そんな感情を抱くはずが無いでしょーが!クララさん――クララ皇兄女殿下やマリーじゃあるまいし)

 女であるオルドリンが男である玉城に反応する。こちらも自然なことだ。ともあれ、異性同士が過度にくっつくと無感情ではいられない。何らかの感情なり、情動なりが働いたりする。今の二人はそんな状況下にあった。

「で、で? 一番活躍したのって誰だ?」

「え、あ、ああ、マリーよ」

 マリーと聞いてドキンとする玉城。悪いことはしていないはずなのに何か悪いことをしているような気分。いわゆる旦那が妻に内緒で他の女と会っている的な気分だ。

 別にマリーは妻では無い。マリーベル・メル・ブリタニア皇女は神聖ブリタニア帝国の皇女様であって、日本の一平民如きがお付き合いできある相手でもない。ので、今のこのオルドリンとの接触はノーカウントである。

 そんな発想を抱きつつも、マリーとはそれこそよくキスをしている。夜はマリーの部屋にて同じ布団で寝ながらディープなキッスまで交してしまっている。もちろん恋人ではない。

 玉城とマリーの関係は、お兄様と妹分的関係と玉城は今でも考えている。

 皇歴2012年のくそ暑い初夏。共に座っていたベンチの端と端。びーびー煩い糞ガキが泣いていたあの頃から何も変わってはいないものと。

(あの頃、あのガキは12歳だった。俺は19大人手前だった。そんなあのガキが今ではあの頃の俺よりも年上だ。だが、俺ン中じゃガキのままなんだよ。夢を語り合って金平糖握らせて別れたガキだ、今更どうしようってんだ)

 気が付けば彼女ももう大人。皇室の人間ならそろそろお相手探しを始める時期だ。長寿の種族の日本人とブリタニア人の結婚適齢期はかなり長い。とくにいまの世代だと外見年齢も相当遅く進行していくため、諸外国の二十代後半の外見年齢で六十〜八十も普通にいる。

 なにせ平均寿命が二百年もあるのだ。当然だが外見年齢の進みも遅くなろう。この長寿種族化、医療、バイオ、サイバネティクスの三分野の異常進化がもたらした副産物で、主に日本人、ブリタニア人、南天人、シーランド人にその長寿化傾向は見られる。

552休日:2023/05/26(金) 18:00:41 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「なあ、オルドリン、おまえさあ、何歳くらいに結婚とか考えてる訳よ?」

「な、なによ急に、」

「いいから、貴族様ってのは何歳くらいまでで結婚するんだ」

「と、とくに結婚年齢は決まってないけれど、婚約者候補が見つかったら、余程のことが無い限りほぼ内定みたいなもの。貴族ってね血を大事にするから家格の高い相手や、名家と結婚したりするのよ。私も何れはそうなるかな。うちは婿を取る側だけれどね」

「ほえー、あのよぉ、口出ししてわりーけどさあ、そんなんでいいわけ? 惚れた腫れたのとか、恋愛結婚とかは?」

「ああ、ほぼ無理よそれ。レオンとこみたいな例は珍しいの。まあ、あんたの周囲もそういう意味では珍しい方達ばかりだけれど、みんな恋愛結婚なんだもん」

「そいやレオンとこってどうなってんだ? レオンはシュタイナー家の嫡男で跡継ぎなのにマリーカんとこに婿入りしちまってるし。どうなってんだ?」

 レオンハルト・シュタイナー。シュタイナー家の嫡男で当然にして貴族。だが、彼は家を継ぎながらも、ソレイシィ辺境伯家へ入り婿として入っている。

 そんな形が不思議に感じた玉城は、同じく貴族であるオルドリンに聞いてみた。

「マリーカさんていうか、ソレイシィ卿の方が家格が大分上だからね、当然レオンの方が入り婿となる訳。日本でもそうでしょう?例えば普通の華族伯爵家であるヤマモト卿が、上位伯爵家であるウィスコンシンの領主ヴェルガモン卿の家へ婿入り為された。同じ伯爵家の中でも家格が別れてるのよ。そういうのと同じ。で、シュタイナー家としてはきちんとレオンが当主として収まってる。当主不在という形でね。だから代わりに当主代行の家宰が全てを取り仕切ることになる訳なの」

「現代日本とブリタニアの貴族事情ってわけか、じゃあ皇室は?」

 気になっていたことを聞いてみた玉城。クララは皇室の籍を抜かれているから民間人という。だが、ジ家に跡取りが生まれないときはクララの皇籍が復帰される。

 マリーベルは言うに及ばず皇女様だ。思いっきり皇族の人間だ。玉城のことを好きと言い、本当にアプローチまでしてくる女性がそうなのだから、玉城としては頭が痛い。

「皇室はもっと厳格。ブリタニアの皇室の場合日本から婚姻相手を貰う場合、日本の皇室の人間か、華族伯爵位を持つ人間以上となる。ブリタニア人からなら伯爵位を持つ人間以上の家格の相手としか婚姻は認められないわね基本的に。例外的に名家の場合は爵位が低くとも皇室へと上がれることもあるって感じかしら」

「因みに聞くけどよ、平民は?」

「ほぼ無い。たまに認められるケースがあるんだけれどよほどのことがないと……って、玉城、あんたマリーからあれだけ逃げておいて今更その気になったの?」

「ねーよねーよ、なんであんな泣き虫のガキゴリラを嫁にせにゃならんのだってーのよ。あの手で肩握られたらごきって骨折れたんだけど」

「あ、あんたねーそのうち皇族侮辱罪か不敬罪で処刑されるわ――?!」

 貴族への不敬ならオルドリンにしまくりの玉城。もしオルドリンが不敬罪に処すと決めた場合、その場で処罰することも可能なのだ。

 もちろんオルドリンがその様なことをするはずもない。彼女の性格上蹴りかパンチ一発で終わりにするだろう。

 時に、こうして玉城を優しく抱き締めて、その胸を当てたり、顎を彼の肩に置いたり、髪の毛で頬を擦らせたりと男女を気にしながらも、優しくそして気安く接するのだ。

「ウフフフ、仲よさそうですわね兄さま、オルドリン? ねえ、オルドリン。あなたはいつから兄さまのお身体を気安く抱き締めたり為さるような関係となったのでしょうか?」

553休日:2023/05/26(金) 18:01:31 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 だが、それが時に悪いものを引き寄せてしまう。図書室に静か―に入ってきた、嫉妬に狂った鬼である。

 その鬼、薄い紅色の腰下まで届く長い髪をし、深い青色の瞳を持ち、桃色を基調としたロングスカートを穿き、背中には天使の翼のような真っ白な羽マントを広げた美女、神聖ブリタニア帝国第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニア皇女は怒り狂っていた。

 よりによって信じている親友に兄さまを奪われんとしていた、愛の行為をしていた、肌を擦らせ遭っていた、それが許せなかった。

「ねえ、兄さま。兄さまはわたくしが抱き着こうと致しましてもあんなにも嫌がりますのに、オルドリンに抱き着かれて、あまつさえその肩に顎をおかれて……頬を擦られてっっ!!!」

「ま、ままま、マリー違うわッ! 誤解ッ、誤解よッッ、玉城を抱き締めてたのは彼がちょっと不安そうにしていたからッ! そ、それと、きちんと正直に言うけれど殊勝にも玉城が歴史の本を読んでたから付き合ってあげていただけよ」

 オルドリンは鬼に淡々と事実のみを説明する。果たして鬼は。

「ほっ、なんだそうですの。それならば罰しません。兄さまを盗ろうとなさっていたのなら処罰していたところですが」

 平然とそう言う鬼に背筋が寒くなるオルドリンは、誤魔化しもあってその場に膝を突く。

「神聖ブリタニア帝国第八十八皇女マリーベル・メル・ブリタニア殿下、ようこそグランベリーへお越しくださいました。艦を代表し歓迎致します」

 実際、グランベリーの責任者はオルドリン・ジヴォンなのだ。艦を代表するのは当たり前、親友であっても主従関係なのだから。

「歓迎の儀ご苦労」

 リドールナイツが10人ほど出てきてマリーベルの両側に道を作るように並ぶ。

「艦員はそれぞれ休暇のためどうかご理解のほどを」

 本来は艦員総出で出迎えなければならないのだが、急な来訪のためと、本日グランベリーが休暇のために致し方の無い部分もあったのだ。

「差し許す。私も急な来訪のために多くを求めては居りません。普段のお勤めの分だけ、皆英気を養うように」

「勿体ないお言葉を頂戴し恐悦至極に存じ上げます」

 そんな感動的な主従のやり取りの中、すたすたと堂々と逃げようとしているバカ一人。

 リドールナイツの隊員の中には「あのマリーベル殿下を前にしても引かない強さが格好いいのよね♪」と惚気ているものが数名。

 そんなリドールナイツの隊員は主人の冷たい視線を浴びて直ぐさま凍り付くことになるが。

「兄さま〜♪ 何処へ行こうと為さるのですか〜」

 怒れば怒るほどに微笑む、マリーベルの本気の微笑みが炸裂していた。

「い、いやあ、君たちの感動の主従の挨拶に水を差すのは無粋だと思ってね、お邪魔虫は退散することにしたのだよ。ゆっくりと語り合ってくれたまえ」

「ウフフフ、そう仰らずに兄さまもこちらへいらしてもう一度お座りくださいな、今度はわたくしが丁寧に教えて差し上げますので。まさかっっ! オルドリンの教えはお受けになって、わたくしの教えはお受けにならないなんてこと……仰りませんわよね?」

554休日:2023/05/26(金) 18:02:15 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 バカは逃げ場を喪った。最初からマリーベルが来訪した時点で逃げ場など無いのだ。なにせ、要所要所にリドールナイツが配置され『シン兄さまを絶対にこの艦より逃がさないように』と厳命を受けていたから。

 ぐいっと手を引っ張られて強制的に椅子に座らされるバカ。

 そのままオルドリンがしていたようにマリーベルは後ろから抱き着く。肩にも顎を乗せて頬擦りをするのだ。

 気持ちいい。良い香り。マリーベルの長い紅髪は、彼女の肩を跨いで玉城の肩を滑り落ちる。良い匂いに良い感触の筈なのにそれを楽しめないのは何故だろうか?

 なんだこの気持ち。浮気がバレた夫みたいな…………。

 マリーベルは自らの豊かな胸を玉城の背中に当てる、いや押し付ける。ふにゅんと感じるおっぱいの感触、実に気持ちが良い。頬ずりをされる。ああ実に気持ちいい。

 だが、やはり純粋にその空気を楽しめない。

「ウフフフ、先ほどオルドリンとこの様なことを為されていたのですねェ兄さまは」

 びくんっ!! 身体が震える、これはあれだ恐怖って奴だ。

「わたくしという者がありながらなぜオルドリンなのですか? 兄さまは年下には御興味が無いのでは? いつもわたくしに仰ってますわよねえ。どうですの?」

「な、ない、ないっ、ありませんっ」

 マリーベルを見る玉城。

「ひえっ!」

 深く蒼い綺麗な瞳はぐるぐると渦を巻いていた。

 こういうときの脱出方法を玉城ももちろん身に付けていた。少々罪悪感も感じるし、マリーベルを弄んでいるようで嫌なのだが、この方法が一番なのだ。

「マリーっちゅ!」

「んうっ?!」

 玉城命名キス一発である。神聖ブリタニア帝国皇女マリーベル・メル・ブリタニアに、このような行為。本来なら処刑物である。しかしそうはならないのは、マリーベルが玉城をこよなく愛しているが為。

 マリーベルが作り続けている玉城くん人形は、2048体に達してネッサローズの広い彼女の部屋を埋め尽くしている。

 そんな彼女が彼を罰しない理由など決まりきっている。将来彼を婿に取ろうと考えている為なのだ。こんなことが地上にいる最強の暗殺者であるヤンデレラにバレたら『お兄ちゃんを盗られるくらいなら殺す』と追い掛けられること必然なのだが。

 とにかく玉城を愛する女性筆頭のマリーベル皇女とクララはヤンデレ気質で、クララに至ってはヤンデレラなので玉城も気が滅入って仕方が無い。俺に普通の年上の女との甘酸っぱい恋愛はと考えることはあるが。

 そんなことをしたら本当に殺されるのは玉城自身であると気付いていないあたり、やはり真性のアホなのである。

 玉城からの突然のキスを受けたマリーベルは目を見開いている。とにかく彼女、玉城からに限ってだが唐突な行動に弱い。

555休日:2023/05/26(金) 18:03:00 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「んんっ、んちゅっ」

 玉城は玉城でマリーベルとキスしている内に、かなりキスが上手くなった。人間何事も続けていれば上達していくものである。キスその物は甘酸っぱくて気持ちが良い。マリーベルの瑞々しい唇の味は、多分どんな料理よりも美味い。七歳も年下とは思えない大人の味がするのだ。もちろん今現在マリーベルは大人なのだが。

 唇を啄み、鼻息の掛かる距離で顔を寄せ合う二人、幾度も、幾度も、口付けを繰り返す。コレを見ていたオルドリンはひゃあと恥ずかしくなると共に、胸にチクッと痛みを感じた。

 リドールナイツの女性数名も胸に痛みを感じているが、主人と玉城の関係には誰も踏み込めないのだ。

 そうして数分、玉城はマリーベルにキスをしていたわけだが。彼女の瞳を見ると、あのぐるぐると渦を巻いていた瞳では無く、普段の深い蒼に戻っていた。とろんとしているが。

 そして、ゆっくりと唇を離す。

「ん――……にい、さまぁ」

 マリーベルは椅子に座る玉城の背後から抱き着いて、全身を以てくっつきながら、すりすりと頬擦りを始めた。さすがのオルドリンもここまではしていなかった。

「お、おま、こら、勉強を教えてくれるんじゃねーのかよ」

 これは勘弁だった。周りにいる女性陣の目が痛いのだ。マリーベルは知ったことかと頬擦りを続けながら、話す。

「階級のことでしたらこれですわあ」

 彼女は端末を取り出してみせる。頬擦りは続けたまま。オルドリンもリドールナイツも何も言えずのままだった。なにせ皇女殿下が自らの意思でしていることなのだ。誰が何を言えようか?

 第1階位:Commoner:平民

 第2階位:Knight of honor:武勲侯

 第3階位:Knight:騎士

 第4階位:Baron:男爵

 第5階位:Viscount:子爵

 第6階位:Earl:伯爵

 第7階位:Margrave:辺境伯

 第8階位:Marqess:侯爵

 第9階位:Duke:公爵

 第10階位:Grand Duke:大公爵

 第11階位:Knight of Rounds:ナイトオブラウンズ

 第12階位:Imperial family:皇族

 第13階位:Emperor:皇帝

「下へ行くほど階級が上であり、我が神聖ブリタニア帝国は絶対的階級制国家。大きく分けて全13階級から構成されております。本来ならば平民が男爵などに不敬を働いた場合、その場で処刑も出来てしまいますのよ?」

556休日:2023/05/26(金) 18:03:48 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「…………俺何処?」

 表情筋を引き攣らせながら平民は決まり切ったことを態々問う。

「一番上ですわあ」

 嬉々として答える皇族。

「お前何処?」

「上から12番目ですわ。兄さまの普段からの不敬の数々。わたくしはこの場で兄さまを処刑してしまえるのですよ?ウフフフ」

 笑う美しい皇族は、表情筋の引き攣る平民に、何度も優しーく頬擦りをする、飽くまでも優しーくだ。良い香りと良い感触なのだが、何故かとてつもなく怖く感じたのは、たぶん気のせいでは無いのだろう。何か猛獣に頬擦りされているような気が……。

「あ、あは、あは、あっはっはっは、冗談きついぜマリーちゃん」

 皇族を相手にキスで誤魔化すという許されない罪業を犯してまで機嫌を直せた訳だが、背中から汗が噴き出る。そして、絶対的階級差と言っても段階があることを皇族は教えてくれた。

「平民から騎士で一つの括りですわ。もちろん、平民が騎士爵に不敬を働いても無礼打ちは許されます。そして騎士までは一代限りの貴族です。ですが男爵からは基本的に永代貴族となります。また騎士爵と男爵では大きな力の差がありますの。次に子爵と伯爵です。子爵から下の貴族が下位貴族となり、伯爵より上が上位貴族となります。ここにまた一つの壁が存在することとなりますわね。またそれぞれの爵位の内部でも細かく分かれております、下位の男爵もいれば上位の男爵もおりますように。そして上位の伯爵からがいわゆる大諸侯と呼ばれる爵位と成り、領地持ちの上位伯爵以上ならば経済圏を抱えていたりも致します。このあたりでまた一段階壁が出来ておりますわね。伯爵・辺境伯・侯爵・公爵・大公と順に上位貴族は続いていきますがこの中で細かく分かれておりますの。そして一代限りの騎士の頂点、ナイトオブラウンズがここで入って参ります。その上に皇族が入る……わたくしはここに入りますの」

 皇族と上位貴族ヤヴァイ……この話が続くとヤバいことになりそうだと危機感を覚えた平民玉城は、ここで強引に話を打ち切った。

「アーッあーっ、そうそう、南ブリタニアでのペンタゴン掃討作戦で一番活躍したのはマリーなんだってなーっ、あーっ、やっぱすげーわマリーはっ、よっ、さっすがグリンダ騎士団総団長!! 戦姫マリーベル格好いいっ!」

 玉城のべた褒め。あからさまな逃げだが。

「そ、そんなこと、あ、ありませんわ、皆の力があってこそですもの、そ、それに総団長と呼ばれる前です」

 マリーベル皇女は簡単に引っ掛かった。玉城、シン兄さまからの手放しのお褒めは今の話題に勝り、彼女に取っては歓喜となるのだ。

 心が温かくなり、身の内より嬉しさが湧いてくる。それが玉城真一郎のマリーベルへの言葉の魔力。

 話しついでだからこのまま話そうと考えた玉城は、総団長と呼ばれる前だという処に注目、そこを突いた。序でに勉強勉強。

「なんだその総団長と呼ばれる前ってのは?」

「総団長と呼ばれるようになったのは、単純に騎士団の規模の巨大化です」

「あーそういやそんな話ししてたわ。最初は1艦320人体制だったけど創立直ぐに3艦半個師団体制になって、次に4艦半個師団体制に、そんでもって今は」

 13艦37,000人体制3個師団状態。

「お父様はまだ増勢させるおつもりのご様子で。次の増勢では30艦100,000人体制に為さるのだとか」

「お、おいおいマジか?! それもう対テロ即応部隊じゃねーぞ。対テロ即応軍だぞっ」

557休日:2023/05/26(金) 18:04:29 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「わたくしとオルドリンの身を案じてのことでしょう。昔なにをしても生きて帰ってくれと“例えどのような状況下であろうとも命を捨てるな! 泥水を啜り這いつくばってでも生き延びろ! いいな二人ともっ、死ぬことだけは絶対に許さんぞっ!”と仰ってお出ででしたので、その為の増勢と、対テロでまだまだ手が足りないからという意味合いもあるものかと」

「あ、懐かしい。陛下に抱き着かれて仰られたのよね。あの時の陛下の温もり、今でも覚えているわ」

 マリーの昔を思い出す言葉に、ぼーっと立っていたオルドリンが反応した。懐かしいシャルルからの願いであった。

「そりゃ親父さんの気持ちも分からんでもねーけどどんだけ増やすんだよ」

「兄さまもそうお思いですわよね? 浮遊航空艦30艦、地上部隊100,000人体制。近くそうなるそうですが、きちんと指揮できるか不安ですわ」

「大グリンダ騎士団だなこりゃ。今でも充分大グリンダ騎士団だけどよお」

「ねー。今でも充分大グリンダ騎士団よねー。浮遊航空艦隊が30艦なら浮遊航空艦隊員だけで10,000人になっちゃうから、地上部隊と併せて110,000人なのよね」

「ヤベーなその人数。でもそんだけいりゃ年上美女――」

「兄さま?」

 マリーベルは笑顔で玉城を抱き締めると、再び玉城に頬を擦り寄せる。マリーベルの長い髪が一房、玉城の肩を跨ぎ流れ落ち、彼の頬を擦り付ける。

「兄さまはわたくしを裏切りませんわよね? たとえどの様な女性が勤務されることになろうとも、ね?」

 そのままの体勢でぎゅうううっと玉城を抱き締める手に力を入れ始めるマリーベル。

「ま、ま、マリーしゃん、裏切らない裏切らないっっ!! 裏切りませんっっ!!」

「本当に?」

 ニコニコ笑顔のマリーベル。この状態が一番怖い。オルドリンにヘルプの視線を送る玉城だが、私まで巻き込まないでと無視された。

「またオルドリンを見て……兄さまあっっ!!」

 軍学校オールSの握力が玉城を抱き締めるその身体に加わり始めた。

「いだいっ! いだいいだいっ!! 良い匂いもするけど、おっぱいやーらけーけどいだいっ!!」

 この瞬間玉城は助かった。良い匂いというワードと、おっぱいやーらかいというワード。この二つの嫌らしく汚らわしく、平凡なワードに羞恥を覚えたマリーベルが力を緩めたのだ。

「兄さま、エッチ……」

558休日:2023/05/26(金) 18:05:35 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 異世界編の場合。


「た、対テロ部隊で浮遊航空艦30艦、100,000人の軍、ま、マリーベル殿の仰っておられたように、ぶ、ブリタニア帝国とはその様なことが平気で可能なのか……。神聖ミリシアル帝国と規模が違いすぎる……改めて列強の意味とはを突きつけられている感じだ。最早列強に意味は無いな」

 膝下へと流れる真っ直ぐな銀色の髪が、黒を基調としたドレスの上を流れている。パーパルディア皇国皇族レミール皇女だった。彼女はブリタニアが簡単にやってのけるという“作業”を耳にして、マリーベルが去った後に、ひっくり返りそうになっていた。

 当然、彼女の傍に控えていた大日本帝国外務省外交官、朝田泰司によって抱きかかえられて転倒は防がれるものの、その驚異的なブリタニアの国力に目を剥く。

「なにを仰るのですかレミール皇女――…………んん」

「んっ――」

 レミールの唇を塞ぐ朝田。二人はパーパルディア皇国皇族と大日本帝国平民という立場ながら婚約者でもある。皇族と平民という身分の差をその愛情で周囲を変えさせ。

 レミール皇女と朝田泰司に限りパーパルディア皇国は身分の差の区別無く婚姻を認めるとさせ、また、日本側も17番目の北側諸国であるパーパルディア皇国の皇女との婚姻を平民である朝田に認めたのだ。

 日本もまた階級制国家。ブリタニア帝国や、パーパルディア皇国ほど厳格では無いが、平民が他国の皇女と婚姻関係を結ぶことに一部で問題ありという擬議があがっていたのだ。

 相手は吹けば飛ぶような小国に過ぎない。ながらも、この世界では列強として認められている弱国ながら大国でもある国。そして厳格なる階級制度がある。その様な相手に平民を婚姻相手として送るのは非礼では無いのかというものであった。

 けしてパーパルディア皇国を蔑んだものではなく、日パ両国のこれからの未来的関係などを考えるからこその真剣な擬議であった。

 これについて、パーパルディア皇国皇族レミール皇女は、『寧ろ朝田泰司とこそ私は婚姻を結びたい。朝田泰司以外の男性は考えられない』と主張したのだ。その上で大スキャンダルをぶちまけた。

『私とレミール皇女はそういう仲に既にあります』

『朝田泰司は優しく私を抱いてくれた』

 いつも嘘ばかり書く週刊誌が掴んだマジネタに、日パ双方の国民からはお祝いの言葉が上がった。

 日本と、あの大日本帝国と共にやっていけるチャンスだ。

 さすがはレミール皇女殿下。平民とはいえど日本の外交官の心を射止めるとは。

 パーパルディア皇国皇族レミール皇女と朝田泰司の婚姻は双方に益がある。

 新惑星の列強国の皇族と日本人が結婚した意味は大きい。

 平民と皇女様、身分を乗り越えた恋って素敵よね〜。

 あんな美しい皇女様と婚姻とは、朝田のくせに生意気だぞ。

 パーパルディア皇国側は主に日本とお近づきになれたというお祭りモード。

 日本側は主に政治的な意味でこの婚姻には大きな益があると判断され、パーパルディア皇国皇族レミール皇女と朝田泰司の婚姻は、世間的に評価も良く、歓迎もされた。まあ結局の所、本人達が幸せならばそれでいいのだが。

 日本政府としては人口70,000,000人の市場に優先権を得られるといった下心も多少あった。この新惑星に転移して一年と少し、ようやく大きな市場が手に入るチャンスが巡ってきたのだ。

 それも外務省の一外交官がパーパルディア皇国皇女の心を射止めるという素晴らしい形で。この際、日本側も階級制を件の外交官に限り凍結して、件の朝田外交官とパーパルディア皇国皇族レミール皇女の恋の応援に回った。

559休日:2023/05/26(金) 18:06:30 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 しかして二人の恋は上手く実り花を咲かせ、愛し合う日々へと至らせたらしい。らしいというのは個々人のプライバシーに両国政府が介入すべきでは無いという日パ両国の決め事が関係していた。

 恋人関係を通り越し、婚姻(現在は婚約だが世間的にも本人たちも婚姻関係にあると考えている)関係を結んだレミール皇女と朝田泰司。恋の行き先は二人に任せるものとしたのである。その方が上手くいくとも。

 ※

「あっ、泰司、いかぬ、このようなところで」

 朝田は口付け後、レミールの黒を基調とした、宮廷の服飾職人が作り上げた美しいドレスの中をまさぐり、大切なところを探り当てると、自らの腰を近づけレミールのドレスの中で己を解放。そのままレミールの中へと。

「っあああ! こ、こら泰司、ば、場所を、考えよ、ここはマリーベル殿の御座艦なるぞ?!」

 中を進み来て最奥まで届かせられたレミールは、びくびくと震えながら夫、泰司に抗議をする。マリーベル殿の御座艦でこの様なことをと。

「考えていますよさすがに、ここは食堂の外の廊下の端っこ、ただの一外交官なんて、誰にも目立ちませんし気にしません」

「そっ、そういう問題では、――っああ、あ、な、ない、……お、お前はよくて、も、っああ、わ、私、は、パーパルディアこうこ、くの、皇女、なのだぞっ、あっ……っあああ、あっ、あっ、はあ、っあ、っああ、た、たい、じっ、」

 本格的に始められた行為。レミール皇女は甘い声を上げながら抗議に至ることしか出来ない。パーパルディア皇国の皇族であり、代表としてここを訪れているレミールには失態は許されない。

 コレが失態かと言えば、どうにも悩む処ながら、失態と言えなくもないだろう。そのようなことは朝田も理解している。だが、レミールを愛する朝田の激情的愛情が止まることを許さなかったのだ。

「です、から、目立つレミール皇女をっ、壁際に、押し付けさせてっ、頂いてっ、いるのですっっ、こうすればっ、反対側からはっ、レミール皇女が見えませんっ」

「そ、そうではっ、な、いっ、す、こしっ、おさえ、ぬ、か、っあああ、あ、はああっ、……っあ」

「おさえ、られたら、苦労はっ、致しませんよっっ、レミール、皇女っ、くっ、」

 レミール皇女と朝田は日に五回は行う。日本で働き始めたレミール皇女は長寿化の始まりらしき兆候が見られた。このまま日本で大使として働いて生活を送っていれば、記念すべきパーパルディア皇国人初めての長寿化人となるだろう。

 レミールは別に永遠の命や長寿に興味は無い。以前のアホのルディアスに心酔していた頃ならばいざ知らず、ルディアスへの洗脳じみた思いのなくなった今の彼女は正常であり、人は普通に生き普通に死んでいくものだと考えている。

 だが、朝田と共に、愛する泰司と永き時、共に生きることを目指せるのならば、目指したい。だからこそ長寿化を目指しており、その影響は着々と現れ始めていた。まず、髪と肌の艶がよくなった、化粧品の影響でも、入浴剤の影響でも無い。

 刺激ある運動をしているでも無いというのに、体力があからさまに付いた。特別な勉学に励んでいるわけでもなく、思考速度が以前よりも速くなった。外見年齢こそ二十代後半のままのレミールだが、体力、思考力、髪や肌の艶、様々なものが十代後半の頃に戻ったかのようになったのだ。

『それ、長寿化の始まり、長寿化してきている証ですよ。おめでとうございます』

 レミール自身は日本では皇族として振る舞い、生きるのではなく。一般人として生きてみたいと、一般的な生活をしていたのだが、そのかかりつけ医はやんごとなき身分の者を見る医者で、医者はさすがに良い医者でとパーパルディア皇国皇族として通っていた。その医師から長寿化していることを告げられたのだ。

 一年日本で勤務しただけでこれだけ身体的に変わるものなのかと元気いっぱいのレミールは、だからこそ元気いっぱいで、激情家で、愛妻家な部分もある泰司からの愛の行為を受けたのである。

「あっ、っああ、に、にほん、も、可能っ、なの、かっっ……30、か、ん、じゅう、まん、にんの、対テロ、ぶたいの、そう、せつっ、わ、わずかなっ、き、かんっ、で、っああ!」

 擦れ合う中、聞こえる愛の水音。抱き合いながらも続く会話は、やはり恐るべき内容について。

560休日:2023/05/26(金) 18:07:31 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「かのう、ですよ、……っ我が国、も、それくら、い、っ、はっ……ぞうさもっ、ありま、せん」

 自国、大日本帝国のことを話題に出されて嬉しくなった朝田は、奥まったところでレミールを愛する。それが彼女にはたまらない刺激となって全身を痺れが駆け抜けていく。

「はあっ、っああ、きもちっ、いいっ、あまり、っ、き、きもちっ、よくっ、しないでっく、くれっ、あっ、ああっ、声がっ、こえが、でて、っしま、う、っあああ」

 本心で言えば気持ち良くして貰いたい。だが場所が場所。ここであまり大きな声は出せない。本当に誰かに見つかってしまう。泰司は死角だというが本当に死角なのだろうか。

「わかり、ましたっ、少しっ、足りませんがっ、終わらせまっ、すッ、」

 朝田は大きく腰を動かし突き上げる。ドレスの下がどうなっているかは言うまい。正直に言って足りない。もっとレミール皇女を愛したい。レミール皇女と愛し合いたい。

 互いを蕩け合わさせ、レミール皇女を蕩けさせて気持ち良さを植え付けながら、自分自身も気持ち良くなる。愛し合う事の幸せは他の全てに勝るもの。代えがたいものであり。替えの効かないものだ。

 ここがパーパルディア皇国大使館ならば、いっそ大使の執務室に鍵でも掛けて愛し合う。事実そうして行っているし、日本で勤務中は大使館さえ愛の巣の一つとなっているといえるだろう。

 別にレミール皇女は特別声が大きいわけでも無いので、場所が大使執務室であっても普通に抱き合えるというものだ。家なら帝都内の300階のマンションの100階にある自分とレミール皇女の部屋でならば、それこそ好きなだけ抱き合い、誰も何も気にせず二人だけの時間を過ごせるのだが。

 家での場合は、夜を跨いで愛し合い抱き合うことも多く、レミール皇女も自分も、共に互いを愛する愛しさを募らせる続けるものだが。

 ここはグリンダ騎士団の総団長、グリンダ艦隊旗艦ネッサローズの食堂外の廊下の端っこ。完全な死角となっている場所だが、行為をし続けるには適さない場所ではあるだろう。

 自分の顔など誰も知らないが、レミール皇女の顔ならば知っている者が多い。この一年と少し、日本で駐日パーパルディア皇国大使を務めながらも、皇族ということで皇族外交も行ってきたからだ。

 パーパルディア皇国の他の皇族方も、皇室外交を初めて日本やブリタニアを訪れているが、やはり一番知名度があるのはレミール皇女殿下だろう。そりゃまあ平民と結婚する皇女様なんて珍しいから。

 と、色々な思いを乗せながら、朝田泰司はレミール皇女に全てを解き放った。解き放たれた熱を感じ取って達するレミール皇女。

「っん、っんんっ、ッんああ―――ふぐうッ?!」

561休日:2023/05/26(金) 18:08:20 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 達したレミールの口が朝田の口に塞がれた。声を出させないためだ。朝田はレミールに全てを解き放つと彼女を解放、自分自身を彼女から出て行かせた。

「はあッ、はあッ、泰司ッ、や、やはりッ、このようなッ、場所でッ、いた、すッ、のはッ、リスクがッ、おお、きいッ」

「はあ、ふう、たし、かに、リスクが大きい、ですね、ですが、それがまた、ぞくぞくしてッ、良いのではっ、ないですかっ」

「おま、え、おかしな、しゅみ、に、目覚めてはっ、いっ、いないっ、だろう、なっ?」

 少し心配だ、泰司は激情家なところがあるから勢いで何かして、おかしな趣味に目覚めていないか? 妻として心配だ。レミール皇女は朝田の趣味嗜好について口出しをするつもりなど無いが、妻としてはやはり夫のおかしな趣味について気になるもの。

 これまで健全にやってきた、行為も至極健全に。大使館の執務室で行うことには場所柄、多少の抵抗感はあれども、したいときには泰司は鍵を閉めて多少強引に私を抱く。私を抱きたいという気持ちを受けて、私もそのまま抱かれる。

 家でもそう、泰司の思いのままにこの身体を泰司に預け抱かれるのだ。私は泰司を愛している。心から愛している。故に愛されるときは大凡泰司の行為に合わせて愛されるよう心掛けている。

 しかし、そんな私の放任主義的抱き合い、抱かれ合いが、結果として、泰司におかしな趣味を目覚めさせてしまったのならば問題だ。同じ皇族とはいえマリーベル殿は超大国ブリタニアの姫君。弱小国パーパルディア皇国の皇女でしかない私とは立場そのものが異なる。

 そんなマリーベル皇女のお膝元でこの様に普段通りに抱き合うなど、泰司はおかしな趣味に目覚めたのか? 妻として止めるべきだろうか。泰司は策略的ながら激情型の人間でもある。なにか泰司の琴線に触れるものがこのネッサローズにあったのだろうか。

「た、泰司、ドレスを元に戻してくれ、な、中も……歩きにくくてかなわぬ」

「ええ、承知しておりますともレミール皇女」

 う、む、泰司の様子はいつもとかわらぬ、な。後で少し、聞き取り調査でもしてみよう。


 結局はこの件はレミール皇女の考えすぎで、泰司はただレミール皇女が愛おしく、手を出してしまっただけだったことが判明。二人の愛が深まっただけという。

 ◇

「ふう、しかし、同じ浮遊航空艦でも我がデュロとは違い過ぎるな何もかも」

 レミールはただただネッサローズに驚かされるばかりだ。

「とくにあのハドロン重砲という4門の強力な砲。あれの一斉射でデュロなど消し飛びかねない。パールネウス型戦艦とて撃沈されるだろう」

「それはまあこのネッサローズは軽斑鳩級より一ランク上の艦。それも最新型の艦ですからね。デュロは最旧型の艦ですから、そもそもレベルが違うのですよ」

 居住まいを正した二人はネッサローズ艦内を見学していた。レミールは先に一度マリーベルより一通り案内されていたが、後学のために艦内探索をしていたのだ。

562休日:2023/05/26(金) 18:09:21 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「このネッサローズと同級のアヴァロン級の浮遊航空艦グランベリーも似たような感じですね」

 レベルは落ちるが他の護衛艦カールレオン級も全て最新型。

「そうか。グリンダ艦隊13艦は全て最新型の艦なのか。ではこの艦隊の艦1艦が相手でも」

「パーパルディア皇国の3艦の浮遊航空艦は負けます。戦力差がありすぎますから比較になりません」

「ふ、辻卿におもちゃと言われる訳だな」

 レミールは悲観する。グリンダ騎士団の艦隊の1艦にすらパーパルディア浮遊航空艦隊は勝てないのだ。それどころか海軍や航空隊もかなわない。

「まあ、悲観することはありませんよ。デュロ他の艦も最旧型とは言え真っ新ですし、この星の文明圏の戦力としてはかなり高い方ですから。それにグリンダ騎士団は対テロ即応部隊の名を名乗っておりますが13艦37,000名の軍隊ですからね。それも最精鋭の。レミール皇女も既に質の何たるかはご存知でしょうが、その質が最上位の部隊の一つなのです。パーパルディアの質とは比べ物になりません」

「最精鋭の対テロ部隊、否、軍か、大日本帝国にせよ神聖ブリタニア帝国にせよ、やはり恐るべき国だな」

「パーパルディア皇国もすでにその恐るべき国々に仲間入りしている事をお忘れなきように」

「そ、そうであった、我が国も北側諸国17番目の加盟国であった、う、うむ、自覚を持つようにせねばな」

 朝田泰司とレミール皇女のネッサローズ見学は続く。





 ネッサローズ、マリーベルの部屋。


「ね、ねえ、兄さま、あ、朝田さんと、レミール皇女の、あ、あのお姿、ご、ご覧になりまして?」

 モニターには死角となっている場所のカメラ映像が映し出されていた。

 部屋の周りや枕元には、2048体の玉城くん人形が散りばめられている。いま2049体目をマリーベルは作りながら、ネッサローズの死角カメラを除いていたのだ。

 すると、なにやら朝田外交官がレミール皇女を廊下の端の端、隅っこに連れていき、なにかしていた。彼女たちは身分を超えた恋愛関係にある。なにかしているのではとカメラを拡大したのだ。すると。……そういうことだった。別にああいう目立たない場所で鳴らしても許すが、よくあんな場所で出来るものだ。

 どうせ豪胆な朝田外交官が無理矢理始めたのだろうと考えられるが。しかし、男女の馴れ初めを見慣れていないマリーベルには刺激が強すぎた。

「わ、わたく、し、殿方と、女性が、あ、あの様に、愛を交わし合う姿を、ち、直接には、は、初めて照覧致しましたの……、に、兄さまは、レミール皇女と朝田さんのように、階級差、み、身分差の恋について、ど、どうお考えでしょうか? わ、わたくしは、それも一つの愛の在り方と――」

 愛する兄さまを振り向くマリーベル。

「んがーっ、んがーっ」

 バカは寝ていた。

「…………兄さま、兄さまにはまず先に教育の方が大切なご様子ですわね…………」

 皇女の手がごきんと鳴り、バカの両肩へと優しく置かれたのはバカが年上美女の夢を見ているその時であった。

563休日:2023/05/26(金) 18:11:07 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
28,000字、内容も薄いのに異様に長くなりました。

564トゥ!ヘァ!:2023/05/26(金) 19:49:31 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

玉城とオズさぁ…距離近い…近くない?

南ブリタニアの一件に関してはまぁそりゃオセアニアが動けば日ブも動くわなと。
ブリタニアの裏庭荒らされているですから。

565二二三:2023/05/26(金) 21:32:02 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
長編乙です。マリーの部屋の玉城くん人形がホラーすぎる2048体って……
南ブリタニアの白化はブリタニアが絶対させんだろうし、東南アジアの白化は日本が絶対させん
両地域ともに両国の裏庭ですからね
微妙に近い玉城とオズの距離。これリドールナイツが皇女様に報告したりするんじゃね?
ちょっとネタバレが出てますね。玉城がグリンダにいるのって、玉城の命が狙われてるみたいな?
嶋田さんが切れたのはモニカさんの命も狙われてた?
これ、玉城の事は私が守るからってクララちゃんぐずっただろうな
嶋田さんについては帝国陸海空ぐ運海兵隊四軍を動かすとかい出したのを周りが必至で止めたとか

朝田さんとレミールも相変わらずラブラブな事で
レミールもグリンダ騎士団の戦力に改めて驚いただろう
そしてこれが全グリンダの一部であって全てではない事も大いに理解したようで
オデュッセウス殿下と神楽耶皇女まだネッサローズにお泊り中かな?
朝田さんとレミールが居るって事はそうなんだろうけど
オデュッセウス殿下と神楽耶皇女なら案外グリンダの他の艦にも慰問に訪れて、地上部隊の方にも足を運んでるかも
そういや玉城肩治ってるけどリドールの誰かに治してもらったのかな

566名無しさん:2023/05/26(金) 21:54:44 HOST:sp49-98-52-206.mse.spmode.ne.jp
乙です ・・・おや!? オズのようすが・・・!

567二二三:2023/05/26(金) 22:13:37 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
ていうか新たな事実。日本軍1200万の兵力を動かせるとかマジか
清と高麗が三日で踏み潰されたとかとんでもないな

568二二三:2023/05/26(金) 22:15:40 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
これ、結局中華連邦とジルクスタンが日本とブリタニアに助けてーって要請出したわけなのかな?

569トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/26(金) 22:17:59 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
まあ多分そうかなと。

570二二三:2023/05/26(金) 22:27:17 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
>>568
中華とジルクがジルクは分かりますが中華が頭下げたか……
それも驚きなんですが自分は日本が1200万の軍を動かせるというのに驚きです
しかも清と高麗を3日で踏み潰すてどんだけ強力なんですか日本軍……

571トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/26(金) 22:36:29 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>570
まあ滅びるよりマシと判断したのかと。

572二二三:2023/05/26(金) 22:45:54 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
なるほど

しかしどんなに頑張っても日本軍とブリタニア軍合わせて2800万
南天の8000万という数には遠く及ばずか。その分質は上だけど

っていうかさ、こんな恐竜どもの戦争にどこもついていけるわきゃないんだが

573ハニワ一号:2023/05/26(金) 22:47:20 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
乙です。
清と高麗はたった3日で踏みつぶされましたか。
高麗が手にした例の兵器は使う前に日本軍によって使用不能にされたんでしょうな。

574二二三:2023/05/26(金) 22:52:54 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
何気にこのときの戦争では北側諸国同盟は発動されてなかったんですね
あー、攻撃されたのが中立国の中華連邦とジルクスタンだからか

575トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/26(金) 22:54:07 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
他の国々も動員するならその時は全面戦争の合図でしょうからなぁ。

576二二三:2023/05/26(金) 23:08:54 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
ひょっとして清&高麗3日持ったのって頑張れた方なのかな?

577二二三:2023/05/26(金) 23:14:13 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
高亥だけは国民優先を唱えて戦後恩赦を願われてそう
逆に他の宦官どもはあいつが悪い。南天に与しようと提案したのは奴ぞ!
って責任のなすりつけ合いしてそうな

高麗の李承朝大統領は私には切り札があると余裕を噛ましてそう
戦後は普通に北京攻撃のジェノサイドの罪で死刑かね

578トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/26(金) 23:22:34 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
日武相手に3日は奇跡的かと。

579二二三:2023/05/26(金) 23:41:13 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
奇跡の三日で高官たちは我先に逃げ出そうとしたんだろうな
しかしでは戦後清と高麗の領土は戦勝国である日ブのものになると
どんな分け方をするのかな?

580トゥ!ヘァ!:2023/05/27(土) 00:00:45 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
周りに逃げ道ないからまともに逃げられないんじゃないかなぁ。

一々南天もエージェント派遣してまで逃がそうとしてくれないでしょうし。


大陸に領土なんて持っていても仕方ないんで全部中華連邦に投げつけるんじゃないでしょうかね。

581二二三:2023/05/27(土) 15:59:51 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
太平洋戦争前後に切り離した高麗が戻ってくるとか中華連邦も嫌がりそうなんでまた独立させるのかな?
例の高麗軍大佐辺りに軍事クーデター起こさせて。その場合、結局日本主導になりそうですが

582二二三:2023/05/27(土) 16:01:05 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
高麗最高指導者に大佐が就くと

583二二三:2023/05/27(土) 16:03:06 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
第一次北南大戦後ジルクスタンと中華連邦も北側諸国同盟に加盟するのかな?

584二二三:2023/05/27(土) 16:24:37 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
>>540
永世中立を掲げてた時点で大洋州連合の命運は決していたんですね……日本の衛星国の一つとして生き残れる可能性もあったと思うと悲惨や
ナウルだけぎりぎり間に合ったんですなあ。しかもナウルは今や北側諸国同盟の一員として、小国ながら1票を持っているという

585トゥ!ヘァ!:2023/05/27(土) 16:50:51 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
まあ中華連邦やジルクスタンは実質一度攻め込まれた経験ができるので北側に庇護求めるしかなくなる可能性高いかなと。

586二二三:2023/05/27(土) 17:17:07 HOST:KD106154151120.au-net.ne.jp
でもトゥ!ヘァ!氏の予想通り南天の中華・ジルクへの侵略戦争に日本が大規模介入したようですな
どの時点でかまでは明記されてませんが

587トゥ!ヘァ!:2023/05/27(土) 17:40:54 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
日本からしても中華連邦が落ちると目の前に南天の巨大拠点が出来上がってしまいますからね。
介入しないという選択肢はなかったかと。

588二二三:2023/05/27(土) 17:55:13 HOST:KD106154150253.au-net.ne.jp
いや、正直、南天の目的はジルクと中華の遺跡にあって国土には興味が無いと思ってたんで
でもそういえば教化するよなあと思い出しましたよ。結局国土も取るつもりだったんでしょうねえ

589トゥ!ヘァ!:2023/05/27(土) 18:19:39 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
中華連邦に関しては取れれば立地的に戦略上日本に対して優位に立てますからね。

中国と豪州という西と南から日本を挟めますから。

590二二三:2023/05/28(日) 01:25:34 HOST:KD106154150253.au-net.ne.jp
レミール、駐日大使を一年勤めている割には北側諸国の細かい部分について、知らないところが多いですね
朝田さんから教わってるでしょうに。まあ朝田さんもずっと日本にいるわけじゃないからなんともですが(パーパルディア・アルタラス・周辺諸国へ行ったり来たり)

591二二三:2023/05/28(日) 01:39:07 HOST:KD106154150253.au-net.ne.jp
次の北側諸国会議がなにをテーマに開かれるのか分かりませんが、もしヒトラーが来てたら「レミール君きみは勉強が足らんのではないかね」とお小言もらいそうな

592名無しさん:2023/05/28(日) 02:51:40 HOST:sp49-98-52-206.mse.spmode.ne.jp
あれだけ盛りあってりゃ、勉強が足りてないのは仕方あるまい…

593二二三:2023/05/28(日) 03:21:21 HOST:KD106154150253.au-net.ne.jp
そのうち辻さんに「愛し合う事は素晴らしい事です。私の友人たちも愛し合っておりますから。ですが、節度もまた大事な事ですよ?」って二人そろってお言葉を頂いてそうやねー
まあ、真面目な話では、やっぱりたった一年で巨大な北側諸国の事を全部知れってのが無茶なんやろか?

594ハニワ一号:2023/05/28(日) 10:35:39 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
判明してから時間が経ったのでもうネタバレして大丈夫なのでモニカさんが実はシャルルの子供だと判明したがロストストーリーズ本編でモニカが父であるシャルルに対して自分の出自を告げるイベがあって欲しいね。
それに原作では出番が少なかったからロストストーリーズでは出番を増やすためにモニカが主人公の上司になるとかのモニカが主人公に関わる立場にしてほしい。
そしてスザク対ナイトオブラウンズの戦いで実はモニカは主人公に助けられて生存していましたとかやってくれたらそれだけでも大評価しますね。

595二二三:2023/05/28(日) 10:48:24 HOST:KD106154150253.au-net.ne.jp
>>594
同意します。主人公がモニカさんを助けるとか、今回判明したモニカさんの副官さんが実は助けていたを公式というか正規の歴史としてほしいです

596ハニワ一号:2023/05/28(日) 11:03:55 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
原作ギアスでナイトオブラウンズであるモニカが実はシャルルの子供で本来ならシャルルが認めたら皇女にもなれる立場だと周囲にばれたら影響が物凄い事になりそうだね。
謀反人の孫である出自は皇帝に対して剣を抜いた過去があるマリーベルが皇女に復帰できたという例があるから問題ないし。

597アイサガP:2023/05/28(日) 23:24:11 HOST:125-8-153-75.rev.home.ne.jp
円卓で特別な席は王の隣の序列1位と末席という話を思い出しましたなぁ
何処で見たか忘れましたが、感づいててロイヤルガードの指揮任せれる程に信頼持ってたから
シャルルからも察されてても不思議じゃないですしね

598ハニワ一号:2023/05/29(月) 06:11:09 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
休日ギアスで嶋田さんを巡るライバルヒロインのユフィ、モニカが実はシャルルの子でユフィと同じ皇女にもなれる立場となったからユフィの「皇女」というモニカに勝る地位のアドバンテージが消滅しているんだよな。
「皇女」という地位の優位点をなくしたユフィがモニカに勝っている点って何があったかな(酷い)
モニカの方がほとんどの様々な分野でユフィを上回っているだろうしな。

599二二三:2023/05/29(月) 06:32:45 HOST:KD106154146222.au-net.ne.jp
>>598
ユフィとモニカではモニカに軍配が上がってしまいそうな。休日ユフィだと信念はモニカ同様実現可能で優しい世界を築くための似たようなものを持ってるんですが、モニカの様な戦闘力はない・現役で仕事をしてるか?(ユフィはまだ仕事体験中に近い)頼りになる部下もまだいない…。現役の貴族でもあるモニカは政治も知ってるでしょうけど、ちょっと前まで学生だったユフィはまだ中途半端な政治知識の可能性もある。だから勉強してるわけでしょうが
こうしてみると何もかもモニカが勝っている。そしてここでモニカが皇族である事実発覚

でも、嶋田さんを想うその気持ちはモニカもユフィも同じくらい強いから、そこは互角
唯一上げるならモニカは皇帝陛下直々に嶋田さんに預けられた。…これは何を意味するのか?

600二二三:2023/05/29(月) 06:38:43 HOST:KD106154146222.au-net.ne.jp
嶋田さん、シャルルからモニカを預かるときに複雑な事情を聞いたのかな
なんかシャルル温厚な嶋田さんから一発くらい殴られてそうな気もする

601二二三:2023/05/29(月) 06:46:04 HOST:KD106154146222.au-net.ne.jp
モニカとユフィ。初顔合わせの日。お互いに何かを感じ取ったのかもしれない
モニカはユフィの腹違いのお姉さんだから

602二二三:2023/05/29(月) 06:56:35 HOST:KD106154146222.au-net.ne.jp
あとモニカって誰にでも優しい。ロススト内でもスザクの事をとても気に書けていたり、主人公の事を思いやってくれたり
モニカって普段から誰をも思いやる優しさまで身についてるからこの点はユフィと互角

603二二三:2023/05/29(月) 08:24:50 HOST:KD106154149225.au-net.ne.jp
モニカがシャルルの隠し子で実はブリタニア帝国の皇女だと知ったら、夢幻会のギアス既知派以外、大騒動になりそう
日本の政財界はもちろん、ブリタニアの政財界も、社交界も大騒ぎに
不安がるモニカを嶋田さんはその包容力で抱き締めて落ち着かせてあげるんだろうね

小ネタ

突然のモニカ・クルシェフスキーの神聖ブリタニア帝国による皇女発表。

帝国の皇室よりの発表ではなく、皇帝シャルル・ジ・ブリタニアの名による発表は。

モニカ・クルシェフスキーが駐在武官として滞在中の大日本帝国はもちろんのこと。

神聖ブリタニア帝国、両国が盟主を務める北側諸国各国。

中立国の中東諸国・ジルクスタン・中華連邦。

果てはEUユーロピア共和国連合にまでその影響は広がった。

沈黙を保っていた南天だが、確実にモニカ・クルシェフスキーは抹殺対象として布告されたことだろう。

世界中の政財界が大いに揺れた。ナイトオブトゥエルブが実はシャルル皇帝の隠し子であり、皇女殿下だったという事実に。

株価や相場は乱高下し、国際世論も大きく揺れた。何故認知していなかったのか? 何故このタイミングでの発表なのか?

駐日大使補佐官を務める神聖ブリタニア帝国第三皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアもその心境は穏やかではなかった。

クルシェフスキー卿がわたくしのお姉様? いったいどうなっておりますの? これまでの接触や交わした言葉から、ご本人もまたこの事実を知らなかったはず。

一体どうなってしまうのか。誰にも分からない情勢の中、本人こそが一番混乱していた。




テレビでは大騒ぎになっている街角の様子。政界、財界、社交界の大物が、この突然の発表に慌てふためいている。

「皇女殿下をそうとはしらず不敬を働き続けていたのではないでしょうか?」

インタビュアーが聞くと、澤崎官房長官が冷や汗を流しながら答える。

「そのようなことは御座いません。我が大日本帝国はクルシェフスキー卿、モニカ殿下に対し非礼を働いたことは一度として」

国会も大混乱に。

「総理、総理っ、総理っ、モニカ様を知らずとは言え本来の地位として遇していなかったのは、総理の御責任ではないでしょうか」

「枢木総理」

「えー、ご質問に対してお答えします。我々もクルシェフスキー卿、いやモニカ殿下がブリタニア帝国の御皇族であるという事実は先日知りえたばかり、そのような状況下においてどういった対応が取れたというのでしょうか。辻本議員お答え願います」

「辻本君」

「はい、私はモニカ様がブリタニア皇族であるという事実を独自調査すべきであったと申し上げているのです。日本の情報収集力は世界一。ギンツブルグ家についても調べ上げることは」

604二二三:2023/05/29(月) 08:25:37 HOST:KD106154149225.au-net.ne.jp


「いやぁぁぁぁっ」

モニカはギンツブルグ家の名が出た瞬間に叫び声をあげた。黒い喪服、誰もいない街、裏切りの貴族、南天と通じていた貴族。

数々の罪の列挙とフラッシュバック。毎年訪れている。心はもう大人。身体ももう大人。なのに全ての苦痛が津波となって押し寄せるかのように。

白い騎士服、黄緑色のマント、騎士としての正装。本日も仕事だったから着ていた。しかし、ブリタニア大使館から本日はお休みになられる様に‟モニカ殿下”

周りの何もかもが変わっていく。自身がシャルル陛下の娘だと知れると同時に、裏切りの貴族ギンツブルグ家の血を引いていることまで白日の下にさらされた。

皆が皆、私を腫れものを触るような目で見ている。皆が皆、裏切りの貴族として見ている。そして皆が皆ブリタニア帝国皇女殿下として私を見ている。

心が壊れそうだった。現実に押し潰されそうだった、私は誰? ギンツブルグ? ナターリャの子? お母様は死んだ。あの人が殺した。私はあの人の何? あの人を守る騎士。何故お母様を殺したあの人を守っているの? 何故 何故 何故……

どうして? 何故?なぜあのお方はこのタイミングこの様な発表を? 分からない。どうしてか分からない。私は要らない子のはず。あの人にとって私は忌み嫌う存在のはず。それなのに、どうしてなの?

「混乱、しているみたいだね、モニカさん」

私の背後から近づく気配。誰かは分かっています、こんなとき、いつもこの方は、私の傍に居て、私を慰めてくださいますから、いつも、いつ……も。

いつでも、私が悲しいとき、涙を流しているとき、混乱しているとき、いつもこの優しいお方は私の傍に……。

「何も、何もね、関係ないんだよ」

「関係、ない……?」

「そうだ。何も関係ないんだよ。ギンツブルグも、ナターリャさんのことも、あの人の事も、皇女である事実と発表も、何も関係ないのさ、モニカさん。キミはここに居るモニカ・クルシェフスキーが俺の知るモニカさんの全て。だから、世間がどう言おうと、どんな目で見られようと、この嶋田の家にいる間、君は今までと何一つ変わらないナイトオブトゥエルブ、モニカ・クルシェフスキーなんだよ。何も気にしないで」

それだけ言い切ると、嶋田さんは私の前に回り込んで、優しく抱きしめてくれた。

「泣きたいときには泣けばいい。キミにはそれが許されている。世間の喧騒の中にいきなり放り出されたキミには泣く権利があるんだ。こんな俺の胸でよければ、……泣きなさい」

その優しい言葉に引かれるかのように、私の両目からは水滴が落ちていました。自然と縋り付いてしまいました、優しい彼の胸に。私が守ると決めた人の胸に。

「うう、うううううっ」

「キミの代わりと言っては何だが、あの人には二、三発いかせてもらおうかな?」

そんなことができるお方を、私は数人しか知りません。嶋田さんもその一人。私にできないことを、私の代わりに。そう仰ってくださる嶋田さんの胸で、私は押し寄せてくる感情の波に泣き続けた。

(しかし、明日からが大変だ。第何皇女になるのか知らんがモニカ皇女殿下の誕生だ。世界中に回りきってるだろうこのニュース。止めることも出来ない。認知してもらう事が復讐なのかどうか……いいや、優しいこの子は復讐だなんて考えていないだろう。ただ、お父さんと、あの人の事を呼びたかっただけなのかもしれない……本当に、こんな優しい子を泣かせるなんてシャルルさん、これはああなたなりの娘への褒美なのかもしれないがやってることが頓珍漢すぎるんだよ。二、三発彼女に変わって必ずいかせてもらうからな)

605ハニワ一号:2023/05/29(月) 14:11:23 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
乙ですが二二三さんこれは無いですね。無茶苦茶です。
休日シャルルは日本や北側諸国などの同盟国や皇族たちなどに事前に根回しや調整、そしてモニカ本人に意思を確認せずにいきなりモニカは皇女であると公表して大迷惑をかけるような非常識な人ではありませんよ・・・。
仮にモニカが皇女であると公表するならば事前にモニカと皇帝が親子の名乗りをすませて世間にモニカは皇女であると明らかにしたいかモニカの意思を確認して、慎重に日本や北側諸国などの同盟国やオデュッセウスやシュナイゼルら皇族たちなどに事前に根回しや調整をすませて、しかるべきタイミングで公表という手順を踏むことになると思いますよ。

606二二三:2023/05/29(月) 14:55:58 HOST:KD106154149225.au-net.ne.jp
確かにおっしゃる通り無茶苦茶ですね。休日シャルルはギャグキャラ的に描かれる事はあっても聡明な人物
日本の政財界や皇族・華族・或いは既知ならば夢幻会にも、国内ならば皇族貴族に政界財界に根回しをしてるはずですね
もちろん同盟諸国である北側諸国首脳にも事情を話して、その上で本人にも意思を確認したうえで正式に発表と言う形に持っていくでしょうね

607二二三:2023/05/29(月) 15:00:23 HOST:KD106154149225.au-net.ne.jp
ただギンズブルグ家が南側諸国と通じていて族滅された話はかなりの衝撃が走るんじゃないでしょうか?
言わば北側から見ても裏切り者ですから。

608名無しさん:2023/05/29(月) 20:42:51 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
乙です。フェミな女はいらないのよなあ。
というかブリタニアをみるに実力でのし上がるのに
女というだけで甘えるお前は何様だと

609ハニワ一号:2023/05/29(月) 23:43:16 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
明日のロストストーリーズのメンテナンス後に実装されるガチャでレドとシュネーが来るがお知らせの画像のレドが女の子にしか見えないなw

610名無しさん:2023/05/30(火) 00:05:13 HOST:sp49-104-16-228.msf.spmode.ne.jp
彼、陰間的なことさせられてましたから…

611二二三:2023/05/30(火) 00:10:22 HOST:KD106154149225.au-net.ne.jp
辻本はもちろんフェミッてるお方の事ですが。
良く見てくださいね下の漢字が違うのでリアルのとは別人ですよ?
言っとかないと突ってきそうですからね奴は。

612休日:2023/05/30(火) 07:07:52 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
おはようございます。レス返し。

>>564トゥ!ヘァ!様
少し玉城とオズの距離が近くなりました。

南ブリタニアはただでさえ内部で戦争起こされてる上に、空母戦闘群5個群も出されて本格的な侵略が始まり掛けておりましたからね。
ましてオセアニア本国が動いているのですから日ブが動かないはずもありません。
同じ意味で東南アジアに手を出したオセアニアは日本に返り討ちを食らわされました。

>>565二二三様
マリーの部屋のタマキくん人形は徐々に増えていきました8,16,32,64,128,256,512,1024,2048
南ブリタニアと東南アジアの白化は日ブがさせません。
玉城とオズ、リドールナイツの女性にも玉城のファンがいるので抜け駆けはさせないかと。
それ以前にマリーが怒ってみんなを蹴散らします。

玉城がグリンダにいること。
嶋田さんがキレたことはまたいずれ書けたら。

朝田さんとレミールは年がら年中愛し合っております。
好きな者同士愛が強い者同士で一緒になるとこうなることもあるかと。
グリンダの戦力には驚いたでしょう対テロ遊撃騎士団としか聞いていないでしょうから。
オデュッセウス殿下と神楽耶皇女はネッサローズにお泊まりです。紳士なというか子供っぽく純真なオデュッセウス殿下が神楽耶皇女に手を出すことも無いので一緒に寝ております。
玉城の肩はリドールナイツの玉城ファンが治してくれました。

>>566
オズ接近中です。

>>567
日本も二つなの超大国をはってません。
12,000,000くらいならすぐにでも招集可能です。
日本人の愛国心を舐めてはいけません。

清と高麗三日は本当はあり得ないんです。一日で潰されてました。
N号兵器を警戒してというのもあります。

>>568
中華とジルクが日本に頭を下げました。日本と南天が戦うなら我々も行かねばとブリタニアも参戦しました。

>>572
南天はその数です日ブは結構数も揃えておりますが質です。ブリタニアは質・量ともにとてつもないです。

>>573ハニワ一号様
清と高麗はたった三日、ではなく三日も持ったですね。本気の日本軍の12+12空母戦闘群・遠征打撃群+10,000機以上の戦闘機、爆撃機などからによる大空爆。1,000艦からの浮遊航空艦による猛攻&7,000騎以上のKMFによる蹂躙、更に日本本土からの更なる増援が僅かな時間で入って来ます。三日なんて持ちません。三日持ったのは高麗の御守りのおかげですね。

>>574
それは北南全面戦争のときだけですね。

>>590
たった一年で魔改造された日本を全てしるなんて無理です。北側諸国についても。
戦力なんかレミールが最初に読んだ本は倉崎・スメラギ・ランペルージが情報公開をし始める前のものですし。
空部戦闘群24・遠征打撃群24が実は30・30体制にまで増勢していたのを識るのは後々ですから。現在は識っています。
日ブは月間空母並に早いんです。

>>594
モニカさん生存が公式で生存となって欲しいですね…………。

>>603
乙です。ですがシャルルはここまで無計画にはやりませんね。
モニカを皇女として公表する前には、本人と親子の再会を果たし、これまでのことを語り合って、そして、何よりも第一にモニカ本人の意思を確認し公表へと移るでしょう。
モニカの了承を得てから北側諸国の首脳や政財界や社交界に根回しをして。しっかりと準備をしてから発表します。

613休日:2023/05/30(火) 07:12:43 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
投稿しますが、このお話には整合性が取れるかも怪しい未来ネタが含まれております。
時期は皇歴2022〜2023度後半にあたります。
少し未来のネタバレが入っておりますのでそういうのがお嫌な方は読まないようにしてください。
ただ駄弁っているだけのお話です。

614休日:2023/05/30(火) 07:13:44 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 南天条約機構軍をジルクスタン、中華連邦の二国より退けた北側諸国。正確には大日本帝国と神聖ブリタニア帝国の国民、皇族、華族・貴族、政治家は沸きに沸いた。

 皆それぞれが、南天の一部とは言え、南天軍との衝突に初勝利したことを祝っていた。『数の南天』南天諸国を個としてみたときの呼び名。

 それは‟二つ名の超大国”を表わす意味で、激突すれば相応の被害は覚悟しなければならない。『技術の日本』『力のブリタニア』であってもだ。それだけ南天とは強大なのだ。

 そして、大方の予想通り、相応の被害が出た。日本は死者行方不明者合わせ500,000人以上。ブリタニアは死者行方不明者合わせ700,000人以上。膨大な被害数だ。

 だが、日本は全体の4%の損耗率に収まり、ブリタニアは5%ほどの被害に押し止めることが出来たともいえるだろう。

 これは、二つ名の超大国を相手に全面激突した割には、まだマシな被害である。

 引き換え、戦地となったジルクスタンおよび中華連邦では無視できない被害が出た。

 ジルクスタンは国土のほぼ全土が南天による空爆などを受け荒廃しきり、中華連邦も西部全域が壊滅状態にまで陥り20%近い兵力の消耗を出してしまった。

 南天の30個という途方もない数の戦闘群が抱える航空機により、インド軍区、中華本土にも多数の空爆による被害が出た。政府高官にも死者を出す痛恨事。

 二国とも日本・ブリタニアの力を借りてとは言え確かな戦勝国。戦勝国の筈なのに、まるで敗戦国のような有様なのだ。




 苦悩する大陸国と要らないものは要らない夢幻会




 中華連邦議会


 議会はお通夜状態だった。いや、まだしも通夜が開けるだけマシな方なのだろうか。下手を打てば通夜さえ開くことかなわずの可能性すらあった。

 日本に・ブリタニアに助けを求めなければ終わっていた。全て何もかもが終わっていた。オセアニアの、南天の属国へと転落していたのだ。

 それをおもわば、通夜が開けるだけマシであると考えなければならないのだ。

「で、全体の兵力の消耗は約27%というのは、きちんと統計を取った上での数値なのだね?」

 ある高官が言った。たったの一会戦、陸、海、空による被害統計だ。

「20,000,000と数だけは多い陸軍だが、奴らには全く歯が立たず、6,000,000の被害を出した。壊滅的と言って良い。海は9個の空母戦闘群の内、5個を喪い半壊した。それに対して南天は今や40個の空母戦闘群にまで増大している」

 化け物だ。40個群とは何をどうすれば。10倍の戦力差が生まれてしまったのか?

615休日:2023/05/30(火) 07:14:52 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「空も酷い、我が方の戦闘機は、南天の統合打撃戦闘機相手に全く戦いになっていなかった。キルレシオは1対100だ。我が中華連邦軍は南天に対しかすり傷を負わせるのでやっとだったというわけだ。地上戦艦竜胆、大竜胆も何艦擱座させられたやら」

 さあ、被害統計の話しは終わりだ。いつまでもこんな話をしていても何の生産性も無い。まずは荒廃した西部域の国土の回復。ジルクスタンの復興支援。

 ジルクスタンと言えば彼の国はもっと酷いことになって居るそうだ。国全土が戦場になったからな。日本軍が間に合わなければジルクスタンは白化していた。

「最早一刻の猶予も無い。日本式の土下座をしてでも良い。大日本帝国に旧敵国条項を削除して貰うよう請願し、北側諸国同盟への加盟を果たすべきだ」

 発言したのは黎星刻。黒く長い髪は膝にまで伸び、端整な顔立ちをしたその青年、中華連邦の武官にして、若くして高位の政治家に上り詰めた天才であった。

 その星刻が、一刻の猶予も無いと発言したのには理由がある。南天は現在中東にまで撤退。日本ブリタニア連合軍とにらみ合いを続けているが、いつこの均衡が崩れるか分からない。

 まず日本ブリタニア連合軍がいる間は南天も動かないだろう、南天も大きな被害を出している。分析では4,000,000前後の兵を喪ったとみられている。だが、その補填は南天に限り幾らでも可能だ。兵を数としか見ていない頭のおかしな国なのだ。

 日本もブリタニアも今回の戦争ではそれなりに被害を出しているが、まだ十二分に戦える。それどころか、戦前よりも戦力数が増えている。日本は24個の空母戦闘群が30個に、ブリタニアは42個が56個に、浮遊航空艦艇・KMF・戦車装甲車・作戦車両・戦闘機数軒並み増えている。このあたりは南天と同じだ。南天は現時点で80,000,000の兵力と喪失した戦力の補填は済んだとみて良い。

 日本、ブリタニアも喪失した兵力の補填は済んでいるだろう。本当に化け物共だ。中華連邦はその化け物の一国に敵国条項を適応されている。日中戦争以来百と数十年。

「プライドに固執しているときでは無い、日本軍も、ブリタニア軍も、いつまでもジルク・中華と中東の国境に戦力を張り付けてくれているわけでは無い。彼らにも彼らの役目や日常があるのだ。故に我らより、大日本帝国へ請願しなければならない。旧敵国条項の削除を。仲介には、引き続きブリタニアを頼ろうと思う。現在我が中華連邦と日本との仲介が可能な国はブリタニアのみだからだ」

 まだできたばかりで超大国への枠組みへと駆け上がったAEUを頼るのも手だ。だがAEUと日本では“格”が違う。格の同じ超大国はブリタニアと南天だけ。この内南天は明確なる現敵国。中華連邦は列強だが、今回の戦争ではっきりした。日本がその気ならば中華連邦など簡単に踏み潰せる程度の中小国と何ら変わらないのだと。それは南天、南側諸国から見ても同じだろう。

 故に今、くだらないプライドに固執して、頭を下げる瞬間を見誤っては、中華連邦は再び南天からの侵略を受ける。だが、天子様に頭を下げさせるわけにはいかない。それだけは絶対に出来ない。

「ブリタニア帝国を仲介者として日中会談を開きたい。その場で日本に対し中華連邦に掛けられている対中敵国条項削除の請願をする」

「し、しかし星刻よ、そんな都合のいい話を家族とも言える間柄のブリタニアや、懐に入っている北側諸国以外に日本が……、日本は内側には優しく寛容な国だが、外側に対しては厳しく恐ろしい国なのだぞ?」

「だからこその請願だ。こちらから頭を下げ、必要とあらば土下座でも何でもするのだ。必要だと思われることは全てし、過去の贖罪を申し出る」

 もし、その場で腹を切れと言われたならば、腹を切りもしよう。それで中華連邦が助かるのなら安いものだ。

「そこまでの覚悟を……、分かった、星刻。私は貴殿の意見に賛成する。どうだね諸君。星刻の意見に掛けてみないかね?」

「私は賛成だ。なに、超大国『技術の日本』長命種といっても同じ人間だ。話せば、こちらが請願すれば分かってくれる」

616休日:2023/05/30(火) 07:15:26 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「そうだな。その気が無ければ態々我が国の救助要請を受けてくれたりはしない。あの恐るべき南天と戦うリスクまで負って、我が国を助けてくれるものか」

 星刻は議場の椅子から立ち、賛成してくれた同志たちに頭を下げた。

「みんな、済まない。ありがとう」

「しかし、こうなるとジルクスタンの高官も共に連れて行くべきだな」

「先ほど言われた北側諸国への加盟を目指すと?」

「我が国やジルクスタンのような小国がこの化け物共がにらみ合う世界で生き延びるには、その懐に入り込むしか無い。北側諸国という国家連合があるのだ。そこに属さなければ我らは中東の二の舞になる事が今回の戦争で良く分かったろう? どうかね諸君」

「だが、北側加盟にまで辿り着けるかどうか……」

「それこそ政治家の政治力が試されるときではないかね」

 中華連邦の高官達は、それぞれの思いを胸に、ブリタニアへと連絡を取り。

 ブリタニアより連絡を受けた大日本帝国は日中会談を快諾。

 実に百数十年ぶりとなる日中会談はピリピリすること無く進んでいき。本題へと入っていった。

 対中敵国条項の削除。星刻は頼み込む。星刻以外の中華連邦側の議員たちは皆一斉に過去の謝罪を始めた。

 日本側は慌てるでも無く冷静にこれを聞いていた。この会談でこの話を出されること、大凡見当が付いていたからだ。

 そして中華側の請願と、謝罪に次ぐ謝罪を聞き終えたところで枢木宰相は言った。

「100年以上も昔のことに拘るのは、愚かなことです」

 日本側はそれ以上の謝罪も請願も必要ないと、中華連邦側を止めさせた。

「そのお気持ちが本気である。それが分かれば充分です」

 そうして枢木は立ち。

「大日本帝国、宰相枢木ゲンブの名の下、ここに対中敵国条項を破棄します。これで両国の間には何のわだかまりもありません。共に世界平和のために歩んで参りましょう」

「枢木総理……」

617休日:2023/05/30(火) 07:16:11 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 ※


「そう、それでいいのですよ。最早カビの生えた対中敵国条項は国家100年の大系にとって邪魔以外の何ものでもありません」

 この会談を遠くから見ていた夢幻会は、それぞれの意見を出していく。

「さて、中華連邦とのくだらないわだかまりは消えました。一部の国民は天子に土下座させろと言っていますが。分かってるんですかねそれ。上皇陛下や御帝に土下座しろと言ってることと同じだと」

 阿部が呆れて言うと。

「僕に土下座しろと言われたら僕は土下座くらいするけれど」

 上下とも白を基調に、青と金で彩られた宗教指導者が着るような豪奢な司祭服。表地が漆黒、裏地が薄い紫のマントを着た。踵まで届く長すぎる淡い金髪を、黒い金縁の髪留めで抑えた、紫の瞳の少年。

 この場でただ一人異色の姿の少年、容貌もブリタニア人の少年の姿をした、実年齢はこの場にいるメンバー達と同年代の少年、V.V.が微笑みながら言う。因みに会議用の椅子に座っているのだが足が床に着いていなく、ぷらんぷらんしている。

 長い髪の毛は椅子の上でぐるぐると渦を舞いて散らばっていた。年齢の割には子供にしか見えないのは、彼の年齢が10歳くらいで止まっているからだ。その理由をこの場にいる大体が識っている。嶋田や山本は後から識った。

 ついでに、この種の服装は大凡のブリタニア人の階級の高い者の正装な為、誰も何も言わない。飲み会ならばどんな衣服でも構わないが、この場では正装で来るのが普通である。

「V.V.よ、貴様の土下座には意味があるまい。貴様色々手広くやっとるようだが一般人だろう」

 杉山が至極当然の事を告げる。

 V.V.がなぜここにいるか? それは一応V.V.も夢幻会関係者だからだ。会合顧問という立場でこの場にいる。

 彼は、彼が辿るはずだった運命を聞かされ、彼が我々と共に歩むというなら手を取りませんかと誘われ、夢幻会という組織に入った。

 ただ、彼は会合関係者の昭和時代を識らないため、教えられない秘密もあるんだなと考え、納得しながらこの場で会議に参加しているのだった。

 正直言ってびっくりした。日本の政財界の大物や、影の支配者と言われている者ばかり。さらには伏見宮博恭王殿下が姿を現したときは、ジ家の皇子だった頃と同じ応対をしたくらいだ。

「まあ、一般人かと問われたら一般人。でもま、ギアス嚮団の嚮主でもあるけれど」

 頬杖を突き、笑みを深くし、この瞬間だけは凄みを出すV.V.。さすがは夢幻会会合の補欠要員になるくらいだと警備員は感心する。

「ギアス嚮団の運営は次席責任者に丸投げにしているとお聞きしますが」

「マサノブ、せっかく大物感出してた処なのに台無しにするの止めてくれない? あとまあ、ランペルージグループの会長でもあるね。実権は社長のシャルルにあるけれどさ」

 杉山が気になっていたことを聞いてみた。

「V.V.よ、貴様ジークフリートには乗れるのか」

 KGFジークフリート。原作での彼の愛機である。その質問にあっさり答えるV.V.。

「乗れるよ? ただしジークフリートⅢだけどね。全高も全長も50m前後の球形で、戦闘力はジークフリートの10倍以上はあるかな。ジークフリート10騎同時に相手をしても僕の腕なら勝てるよ。超小型フレイヤ炉を搭載した永久可動式さ。ギアス嚮団含めたブリタニアでも最新鋭機KGFの一つだよ」

「ほお、夢幻会の個人最強戦力だな。身体能力は10歳児だが」

「うるさいよっ、人が気にしていることをっ!」

618休日:2023/05/30(火) 07:17:21 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 辻が少し驚き交じりに呟く。

「KGF用と小型艦艇や小型可翔艦用にうちでも超小型フレイヤ炉は作りましたが、また一気に技術が進んでますね」

 その言葉を受けて怒鳴るV.V.。君らに言われたくないっ!と。そうだ。ブリタニアはどんなに頑張っても日本に追いつけないのだ。その原因こそ日本であり夢幻会でもある。V.V.も夢幻会の一員な為、日本の為に頑張らないといけないわけで、そも国籍も日本に変えて日本永住者になっているから、日本の為に頑張ることに異論はないのだが、それでも引っ掛かるところはある。誰が異常技術を作り出しているんだと。

「君たちが技術を加速度的に進めてるんじゃないか!! おかげで世界のパワーバランスが滅茶苦茶になって、日ブ南天で十回以上世界を消滅させられるようになっちゃったんだぞ?!」

 そうなのだ。夢幻会が技術加速を行う関係上、世界全体が技術加速され、とくにブリタニアと、南天が、異常な速度で技術加速して行っているのだ。それでも日本に追いつかない。

「皆さんだんらんはそのくらいで。主題は中華をどうするか。ジルクをどうするか。あと、大陸で得た我々の権益についてです」

 阿部がもう一度言う。すると倉崎翁が。

「我々としては今回大いに儲けさせて貰った。スメラギとの軋轢も無いことだし、これ以上は何も要らんな。少々作りすぎたくらいだ」

 艦艇のことである。主力水上艦艇、航空母艦、強襲揚陸艦、30艦・30艦体制という前代未聞の艦艇数になったことで、倉崎重工は大儲けだ。この儲けはスメラギにも出ていた。浮遊航空艦艇の共同開発で小型可翔艦を含め千数百艦の浮遊航空艦艇を建造し、ウハウハなのだ。大日本帝国の予算ならばこれくらいならばまだ充分維持範疇なため、戦後は対南天でこの膨大な戦力を維持することが決まっている。

「僕のところのランペルージグループも大いに儲けさせて貰ったよ。まさか100,000t超えの航空母艦56艦体制になっちゃうとは、いやはや、我が祖国ながら恐ろしい工業生産力だ。質で日本には負けてるけどね」

「V.V.さん、あなたもう日本人でしょうに」

「あ、そうだった」

 杉山、東条。

「陸軍としては喪った兵が痛いな。補填が効くとはいえ、南天のように兵を数では見ておらんからな我々は。よく頑張ってくれたと弔意を送りたい。見舞金もだ。恩給もな。本当に彼らには頑張ってもらった」

 暫し全員が黙とうする。

 そして、山本が続く。

「海軍としては増えすぎた艦艇の扱いだな。訓練に使うにしろ、親善訪問にしろ、ここまで膨大な数になるとは思わなかったので少々困惑しておる。といったところで、俺自身は今はもうブリタニア人なのだがな」

 この場はある種、おかしなことになっていた。日本・ブリタニア両属の者が何人かいるのだ。山本はブリタニア国籍の元日本人ながら、日本の夢幻会会合に日本海軍責任者として出席している。

 V.V.は既に元ブリタニア人の日本国籍ながら、ブリタニア帝国のランペルージグループの会長でもある為、ブリタニアの利益も考えないとならない立場にあった。

 南雲忠一もまたブリタニア人でありつつ、会合に出席していた。

 大日本帝国と神聖ブリタニア帝国が共に歩み来て160年以上。リカルド大帝の頃以前より日本とは親しき仲にあった為に、実際はそれ以上の年月を共に歩んできた。超古代文明の時代にまで遡ればもう何年の時を家族国として過ごして来たのやら。

 そんな長き時を共に生きてきた日本と・ブリタニアは、夢幻会という枠組みにおいても、変質し始めているのだろう。昭和の人間は昭和の秘密を抱えたまま、それより昔となる平成の人間は平成の秘密を抱えたまま、V.V.の様な新世代の人間も取り入れて。その多様さを増していくのだろう。やがて来る日本・ブリタニア連合帝国の時代を目指して。

 それぞれがそれぞれ、その様な思いを胸に抱えながら、これからを思い描いていたところに。

 嶋田が挟み込んだ。

619休日:2023/05/30(火) 07:21:04 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「あとだれも言い出しませんけど、大陸どうします? 高麗と清国の領土合わせて結構な領土が手に入っちゃったんですけど」

 この話は正直に言って面倒だった。第二次シベリア戦争の強制終結後、ヒトラーとも話したが、AEUとしては第一次シベリア戦争時に清と高麗に奪われた土地を取り戻せれば、後は興味が無いと言う話しで。

 権益は日本とブリタニアで分配することになったのだ。

 辻は。

「要りませんよ大陸の土地なんて」

 と、言うが、これに続いてV.V.までもが。

「一応ブリタニア代表としもこの場に立つ立場にある者として発言させて頂くと、まず飛び地となる時点で管理がややこしい。中華大陸に領土なんて要らない。飛び地として得る領土としては広すぎるこの三点を以てブリタニアとしては辞退させて頂きたい。日本が全部貰っちゃえば?」

 V.V.の意思で決めているのでは無い。ブリタニアの総意として決めている。昔々に侵略戦争をやっていた頃なら経営の難しさも考えずに飛びついていたかも知れないが、現代ブリタニアはそのややこしさを識っている為、要らないものは、要らないのだ。

 振られた嶋田が伏見宮に投げた。

「要らんな我が帝国も。大陸に領土など持っても経営が一々面倒だ。だが、戦勝国がわれわれだけだからややこしい。といって放置しておく訳にもいかん。こちらとしては正直ブリタニアが嬉々として受け取ってくれるものと思っていたのだが」

 V.V.に再度、ブリタニア側に大陸の領土的な権益を進めてみたが、彼は拒否。彼の拒否は即ちブリタニアが拒否したことに他ならない。

「要〜ら〜な〜い〜よ〜。とくに高麗半島なんて絶対に要りません。お断り。そもそもあそこの人民と日本人・ブリタニア人は根本的に合わないんだから……、そういえば例の北京を超兵器でふきとばした李承朝って大統領閣下の身柄は?」

 高麗人を嫌うV.V.。別にV.V.だけに限らない。この場にいる面子全員が高麗人が嫌いだった。高麗人の全てを嫌っている訳ではないのだが、日本嫌い、ブリタニア嫌いで嘘つきな高麗人を、当然二国共に信用しておらずとなるのは仕方のないことであった、V.V.の問いには阿部が答えた。

「我々が抑えておりますが、中華連邦に引き渡す予定です」

 東条が言った。

「死刑確定だな」

 再びV.V.が皆に聞く、大体は決まり切った質問だが北側の一員として質問はしておかなければならない。

「で? 中華とジルクが北側諸国同盟への加盟を申請してきた場合は?」

 す、すすっ、一人二人三人手が上がっていく、V.V.も手を挙げる。

「夢幻会としては賛成と」

「断る理由もありませんし、南側の北側に対する封じ込めにも一役買います。まあ、もう既に一部中東という地域に侵入を許してしまっているのですがね」

 辻は油断成らない。油断しては成らないと警戒の意思を露わにし、告げる。

「これ以上の民主共和制原理主義の浸透を阻止すべきです。どの地域であっても」

 大体の議題が出そろい、さあこれからが本格的な会議だとなったとき。

 嶋田が全員を一巡りして、V.V.を見ると、V.V.はふいっと目をそらした。どーせ話題が戻るだろうという予感がしたからだ。

 伏見宮・嶋田・辻・富永・杉山・山本・南雲・阿部・倉崎翁・V.V.etc(中華大陸に領土なんか要らないんだよ・とくに高麗なんか要らん)

「で、どうします? 大陸の権益」

 結局日本・ブリタニアの得た大陸の権益については一時保留ということになった。

 枢木ゲンブや澤崎敦、シュナイゼルとも相談しないといけないということを面目に。

620休日:2023/05/30(火) 07:23:04 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 ※


 嶋田とV.V.の帰り道。二人は手を繋いでいた。黒マントの少年と、スーツ姿の男性という変わった組み合わせ。

 下手をすると誘拐犯とでも疑われそうな様相だが、二人がにこやかに、楽しそうに歩いているのを見ては、そういう気分も失せるだろう。あの後恒例の飲み会になったのだ。

 嶋田もV.V.も大いに飲んだ。普段控えめなだけに多少は羽目を外しても良いのでは? そんな気分だったのである。

「ねえ、シゲタロウ」

「なんですかV.V.さん」

「もうすっかり君に背を追い越されちゃったんだねえ。僕は未だに10歳児のまま。昔僕よりも背の低かった君が、今では僕より背が高い。不思議でちょっと寂しいかな」

「でも、子供のままには子供のままの利点も数多くありますよ例えば」

『全部子供料金!』

 手を繋ぎ合ったまま、お互いを指さす。

「でも、飲み屋じゃ疑われるよ? まあ行きつけの居酒屋も増えたから、昔みたいに困ることもなくなったけどさ」

 少し寂しげに言うV.V.。そう言えば今飲み友達でもある玉城くんは、と思い出した嶋田は。

「ちょっといいですか」

 一言告げて、V.V.の前にしゃがみ込むと、彼の小さな身体を抱き締めた。

「ん、どうしたんだいシゲタロウ」

「いえ、俺も、私も昔を思い出していたんですよ、お兄さん」

 お兄さんと呼ばれたV.V.。幼い頃、シゲタロウはいつも自分のことをお兄さんと呼んでくれていた。兄弟でもないのに、兄弟の様に遊び過ごした。

 そんな彼の頭へと手を伸ばすV.V.は、嶋田の頭を撫でる。子供の頃の様に。

 嶋田もまたV.V.の髪を撫でた、踵まで届く淡い金色の髪。昔はもっと短かった。時の流れを感じる

「お兄さん、髪の毛伸びましたね……、すっごーく、長いですよぉ」

「ふふ、酔ってるねェ、出来上がっちゃってるねぇシゲタロウ。もう何年僕が髪切って無いか、自分でも分からなくなっちゃったよ。切ろうとしたら家族に怒られるし」

「ここまで長くなってしまっては、切る方がもったいないと思いますよ? まあ昔のお兄さんの髪型もかっこよかったですけど。今は今で可愛らしいです」

 嶋田は長すぎるほどに長いV.V.の髪の毛を指に絡めて幾度も梳くように救い上げる。段々慣れてくると頭の上から髪の毛の先まで、髪を梳き下ろようになった。何度も、何度も。昔語りに花を咲かせながら。

「男に可愛らしいって言われて嬉しい気持ちになるだなんて不思議だねェ。幼馴染だからかなあ。ふふ、僕の髪の毛で遊ぶだなんて、シゲタロウもいつまでも子供だねェ」

「おじさん同士でなにやってんですかね俺ら」

621休日:2023/05/30(火) 07:23:48 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「酔いが回っちゃってるんだよ。だから変なことしちゃうのさあー。ほら、お空に伸びるスカイツリーがくるくる回ってる」

「ああー、ホントですねえ」

 自分で始めたV.V.をちょっと励まそうとした、ほんのお遊び程度の気持ち。それが二人の酔いをこれ程はない程に回していく。

 でも、気分が良い、シャルルさんがいなかったときに、V.V.さんと二人で遊んだ小さなころを思い出せて。

「蝉取りしましたねー」

「したねー」

 ぐっとV.V.が強めに肩を掴むと嶋田のスーツに皺が入る。

「川で遊んだよねー」

「遊びましたね。魚獲ろうとして獲れませんでした」

 同じようにぐっと強めにV.V.の背中で嶋田の指が立てられる。黒いマントに皺が入る。

 お互いに昔はこんな大人の衣服は着ていなかった。

「ずっと、子供のままで居られたらよかったのにね」

「そうですね」

 姿は少年でも既に六十代の大人。背は高く姿もそれなりの六十代の大人。

 二人共、何も考えずに遊びまわっていた子供の頃が懐かしい。

「そーれっ。俺はお兄さんよりもでっかくなったんだぞお!!」

 叫び嶋田は小さなV.V.の身体を持ち上げて、その場でぐるぐると回り始めた。ぐるぐるぐるぐるぐーるぐる。場所も時間も考えずに騒ぐ二人。V.V.は不死身だからという理由で普段からSPを付けていない。

 もちろん、周りからは付けろと言われている。ロロからもクララからも。最もそのクララが実質的なSPと言えなくも無いが。

 一方の嶋田にはSPが付いている。俄かに護衛対象が騒ぎ出したものだからSPたちは慌てた後、呆れた。おっさん二人で何をやっているのかと。

 勢いよくV.V.を回す嶋田の動きに合わせて、V.V.の長い髪がふわふわと宙を漂い、金色の線を空中に描いていく。

「わははははっ、こら、シゲタロウっ、僕は君より年上なんだぞおっ、あははははーっ」

 くるくる回されながら、楽しく懐かしく、そして嬉しい気分になるV.V.も大声で笑った。

 昔だったらこんなことは出来なかった。昔は自分の方が背は高かったが、今ほどの体格差があったわけじゃ無い。

 あの頃のシゲタロウに出来なかったことが、今の大きくなったシゲタロウには軽く出来てしまう、これが…………時の、流れ。

 やがて静かに回転は収まり、さらりと大きくV.V.の髪は流れ、彼の背中に足下に戻っていく。嶋田はその場にしゃがみ込む。降ろされたV.V.は嶋田と向き合うようにして立つ。

「俺たち、大人になっちゃったんですね。なんだか、寂しい気持ちです」

622休日:2023/05/30(火) 07:24:51 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「ははっ、今度はシゲタロウが寂しい気持ちか……、やっぱり僕も寂しい気持ちだよ。別に飲み友達でもあるバカが居ないからって訳じゃあ無いぞ? 大人になっちゃったことの寂しささ……」

 自分もシゲタロウも大人になってしまった。もう昔のように虫取りも川遊びも、気軽には出来ない。草原を走ったり、野山を駆け巡ったり。楽しかった思い出たち。

 所詮はあの頃は良かったなあっていう昔を懐かしんでいるだけで、今だってきっと楽しいはずなんだけれどね。子供達が出来た。仲間達が出来た、その人達との新しい関係性が始まった。昔を楽しんでばかりいちゃいけないのは分かってるさ。

 でも、今夜くらい良いだろう? シゲタロウといっぱい、時間も忘れて遊びたいのさーっ。

「もう一軒いくかあ!!」

「……そうですね……もう一軒行きましょうっっ!!」

「飲むぞおおっ、シゲタロウーっ!!」

「飲みますよお、朝まででもV.V.さんには付き合ってもらいますからねェー!!」

 スーツの上を脱ぎ叫ぶシゲタロウ。

「シゲタロウこそ、朝まで僕に付き合わせるからなあ!!」

 髪とマントを大きく風になびかせながら叫ぶ僕。

 あーこんな夜中に迷惑な酔っぱらいどもだよ。クララがいたら言われそうだね。うるさいんだよまったくもーってさー。


 そんな二人は、ふらふら、ふらふら、とまっすぐに歩けないまま、夜の居酒屋へと消えていった。

623休日:2023/05/30(火) 07:25:56 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。それでは。

624休日:2023/05/30(火) 07:30:41 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
誤字報告。
 結局日本・ブリタニアの得た大陸の権益については一時保留ということになった。

 枢木ゲンブや澤崎敦、シュナイゼルとも相談しないといけないということを「面目」にを「名目」にして。

625二二三:2023/05/30(火) 08:32:33 HOST:KD106155012018.au-net.ne.jp
乙です。恐ろしい死者数。全部で1000万超えてるやん。ジルクスタンの死者数が明かされてないからもっと行きそう。
南天危険すぎますね自国の死者数が400万に達しても簡単に補充とか……なんかおかしい
さすがに日本もブリタニアも数十万の死者を出しましたか。南天は侮れなんなあ
この黙とうは日本人の死者だけにではなくブリタニア軍の死者に黙とうしているんでしょうな
なんたって日本とブリタニアは家族的つながりの国家同士ですからね
しかし現代戦でこれだけの死者数が出るなんて、南天の危険性を物語っていますね

何気にVVの乗機がジークフリートからジークフリートⅢになってるし。

626二二三:2023/05/30(火) 08:57:39 HOST:KD106155012018.au-net.ne.jp
嶋田さんとVVが飲み歩きしているのも楽しそうですね。そういやこの二人は幼なじみなんですよね

627名無しさん:2023/05/30(火) 09:21:14 HOST:sp49-96-22-37.mse.spmode.ne.jp
ほのかに、かおる薔薇の香り

628二二三:2023/05/30(火) 09:29:25 HOST:KD106155012018.au-net.ne.jp
日本とブリタニアが戦勝国というのは当然として、南天にボコボコにされただけの中華連邦とジルクスタンは実質敗戦国……。

629二二三:2023/05/30(火) 09:46:48 HOST:KD106155012018.au-net.ne.jp
>>598
ユフィがモニカさんに勝る点として慈愛的優しさがあるんですけど、ロスストでモニカさんもかなりの慈愛的優しさを持つ人物だと判明しましたし。
美人度は互角、剣術はモニカさんのが上、指揮能力もモニカさんのが上……。ユフィ劣勢ですな。
あ、でも嶋田さんへの積極性はモニカさんよりユフィの方が勝ってる。愛情表現も。

630ハニワ一号:2023/05/30(火) 10:14:12 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
乙です。
日本50万、ブリタニア70万の死者行方不明者合わせて合計120万人の被害ですか・・・。
中華連邦は陸軍だけでも600万の被害でこれに海軍や空軍、中華西部地域の民間人の犠牲者を合わせるとどれだけの数の損害が出たんだろうな・・・。
ジルクスタンに至ってはどんだけ死亡した事やら・・・。ジルクスタンは日本・ブリタニアの復興援助なしでは国そのものが立ち行かぬ状態でしょうな。
対する南天は400万前後の兵力を失ったもの南天にとっては回復可能な損害ですか。意外と南天の損害数が少ないですね。数の南天を相手にするのですから南天には日本・ブリタニアの損害の5倍以上の約600万の損害くらいは与えたかったですね。

631ハニワ一号:2023/05/30(火) 10:17:36 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
>>612
清・高麗は高麗の御守りが無かったら本当はたった1日で終了していましたか。

632二二三:2023/05/30(火) 10:52:26 HOST:KD106155012018.au-net.ne.jp
>>630
これ数値化されておりませんが中華西部の民間人死者、南天のインド軍区空爆や中華本土空爆による死者数足したら北京爆発超えてるんじゃないかと思いました
ましてやジルクスタンの損害は計り知れない。南天というかオセアニアは巧みと言う話を昔このスレで分析している人が居まして
日ブ介入の情報が南天側に入ってきたときに不利と考え、ある程度そのある程度の数がおかしい。ある程度の被害が出るまで及び出すまで攻勢に出て、完全不利とみて撤退に追い込まれたのでは
そのせいで南天に大打撃を与えられなかったとか。400万でもかなりの大打撃ですが

633二二三:2023/05/30(火) 11:03:28 HOST:KD106155012018.au-net.ne.jp
南天側は攻勢兵力3000万の待機兵力2000万だったのかな?
当然日ブの空母戦闘群予想50個群以上もインド洋に展開して中華の壁の役目を負っていたでしょうし
南天は30個群の戦闘群をインド洋に展開
陸で、海で、空で展開される、物凄い戦争だったのでしょうな
第一次北南戦争の名が付けられるのも分かる気がする

634休日:2023/05/30(火) 12:45:23 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
>>630
ハニワ一号様のご指摘を受けたときに。この大ユーラシア戦争こと第一次北南戦争の南天側の動員兵力が50,000,000だったことを思い出し改訂いたしました。
そんなに大きくではありませんが加筆もしておりますのでよろしければご一読ください。

635休日:2023/05/30(火) 12:47:16 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

苦悩する大陸国と要らないものは要らない夢幻会



少し未来のネタバレが入っておりますのでそういうのがお嫌な方は読まないようにしてください。

このお話には整合性が取れるかも怪しい未来ネタが含まれております。
時期は皇歴2022〜2023度後半にあたります。

ただ駄弁っているだけのお話です。

636休日:2023/05/30(火) 12:47:56 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp



 南天条約機構軍をジルクスタン、中華連邦の二国より退けた北側諸国。正確には大日本帝国と神聖ブリタニア帝国の国民、皇族、華族・貴族、政治家は沸きに沸いた。

 皆それぞれが、南天の一部とは言え、南天軍との衝突に初勝利したことを祝っていた。『数の南天』南天諸国を個としてみたときの呼び名。

 それは『二つ名の超大国』を表わす意味で、激突すれば相応の被害は覚悟しなければならない。『技術の日本』『力のブリタニア』であってもだ。それだけ南天とは強大なのだ。

 そして、大方の予想通り、相応の被害が出た。日本は死者行方不明者合わせ500,000人以上。ブリタニアは死者行方不明者合わせ700,000人以上。膨大な被害数だ。

 だが、日本は全体の4%の損耗率に収まり、ブリタニアは5%ほどの被害に押し止めることが出来たともいえるだろう。

 これは、『二つ名の超大国』を相手に全面激突した割には、まだマシな被害である。

 引き換え、戦地となったジルクスタンおよび中華連邦では無視できない被害が出た。

 ジルクスタンは国土のほぼ全土が南天による空爆などを受け荒廃しきり、中華連邦も西部全域が壊滅状態にまで陥り中華連邦軍全体の20%強の兵力の消耗を出してしまった。

 南天の30個という途方もない数の戦闘群が抱える航空機により、インド軍区、中華本土にも多数の空爆による被害が出た。首都洛陽も空爆され、政府高官にも死者を出す痛恨事。

 二国とも日本・ブリタニアの力を借りてとは言え確かな戦勝国となった。戦勝国の筈なのに、まるで敗戦国のような有様なのだ。

 そうして三か月が経とうとしていた。




 苦悩する大陸国と要らないものは要らない夢幻会




 首都洛陽 中華連邦議会


 議会はお通夜状態だった。いや、まだしも通夜が開けるだけマシな方なのだろうか。下手を打てば通夜さえ開くことかなわずの可能性すらあった。

 日本に・ブリタニアに助けを求めなければ終わっていた。全て何もかもが終わっていた。オセアニアの、南天の属国へと転落していたのだ。今頃全国民は『全天に美しき世界の実現の為に』そう唱和させられていたかも知れない。

 それをおもわば、通夜が開けるだけマシであると考えなければならないのだ。

「で、全体の兵力の消耗は約27%というのは、きちんと統計を取った上での数値なのだね?」

「確かな話だ。南天の死兵どもに約三割の兵を食い殺された……痛恨事だ」

 ある高官が言った。たったの一会戦、陸、海、空による被害統計だ。

「20,000,000と数だけは多い陸軍だが、奴らには全く歯が立たず、6,000,000の被害を出した。壊滅的と言って良い。海は9個の空母戦闘群の内、5個を喪い半壊した。それに対して南天は今や40個の空母戦闘群にまで増大している」

 化け物だ。40個群とは何をどうすれば。10倍の戦力差が生まれてしまったのか? こちらの損害をものともしない工業生産力。超大国とかどうとか、そんなレベルの話ではない。

637休日:2023/05/30(火) 12:49:02 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「空も酷い、我が方の戦闘機は、南天の統合打撃戦闘機相手に全く戦いになっていなかった。キルレシオは1対100だ。我が中華連邦軍は南天に対しかすり傷を負わせるのでやっとだったというわけだ。地上戦艦竜胆、大竜胆も何艦擱座させられたやら。連邦軍は事実上の壊滅状態だよ。こうしてここで息をしていることが不思議なくらいだ」

「正直な話こんな強大極まる国だとは思ってもみなかった。我が中華連邦は列強の一つだぞ? それがこんな、弱小国の様に食いつぶされるなんて」

 嘆く高官。誰もが嘆く。洪古も、周香凛も、皆嘆いていた。己の力のなさを。力がないゆえに南天に食いつぶされた自国の惨状を。

「嘆いてばかりいても仕方がない。先を見て物事を考えていこうではないか」

 さあ、被害統計の話しは終わりだ。いつまでもこんな話をしていても何の生産性も無い。まずは荒廃した西部域の国土の回復。ジルクスタンの復興支援。

「ジルクスタンは大丈夫なのか?」

 ジルクスタンと言えば彼の国はもっと酷いことになって居るそうだ。国全土が戦場になったからな。日本軍が間に合わなければジルクスタンは確実に白化していた。

「最早一刻の猶予も無い。日本式の土下座をしてでも良い。大日本帝国に旧敵国条項を削除して貰うよう請願し、北側諸国同盟への加盟を果たすべきだ。中立でいられるほど、中立を許してくれるほど南天は甘い国ではなかったということだ」

 発言したのは黎星刻。黒く長い髪は膝にまで伸び、端整な顔立ちをしたその青年、中華連邦の武官にして、若くして高位の政治家に上り詰めた天才であった。

 その星刻が、一刻の猶予も無いと発言したのには理由がある。南天は現在中東にまで撤退。日本ブリタニア連合軍とにらみ合いを続けているが、いつこの均衡が崩れるか分からない。何せかの国には80,000,000の殺戮マシーンが存在するのだ。本気で来るならば日本・ブリタニアが相手でも早々引かないだろう。そして本気ならば北側諸国全土に動員令が発令され、世界は一気に北南世界大戦に突入する。

 だが、まずとりあえずのところ、日本ブリタニア連合軍がいる間は南天も動かない、南天も大きな被害を出している。分析では7,000,000前後の兵を喪ったとみられている。だが、その補填は南天に限り幾らでも可能だ。所詮今回動いている兵の50,000,000の内の7,000,000。12%の損害だ。

 大日本帝国・神聖ブリタニア帝国連合軍28,000,000名の介入で達成された数値だが、これだけの損害を与えてさえまだ本気ではない。本気なら80,000,000という途方もない数を動かして来ただろう。

 全所属国が国民皆兵制度を取り、神のために死ぬことを悦びとし、兵を数としか見ていない頭のおかしな国ばかりなのだ。数の補充なら幾らでも効いてしまう。中華連邦如きがどうこう出来る相手ではない。

638休日:2023/05/30(火) 12:49:35 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 ましてやジルクスタンなど白化こそ防げたものの壊滅的打撃を受けている。日本・ブリタニアは今回の戦争でクウェートと合わせて、我が中華西部とジルクスタンを対南天の最前線の一つと位置付けるかもしれない。

 そして我が国はもしもその方針打ち出されたところで、文句の一つすらいえないのだ。事実上の敗戦国たる我が国には。

 実際のところ、日本もブリタニアも南天も、本気ではなかったからこそこれくらいの被害で済んだと言える。

 日本もブリタニアも今回の戦争ではそれなりに被害を出しているが、まだ十二分に戦える。それどころか、戦前よりも戦力数が増えている。日本は24個の空母戦闘群が30個に、ブリタニアは42個が56個に、浮遊航空艦艇・KMF・戦車装甲車・作戦車両・戦闘機数軒並み増えている。このあたりは南天と同じだ。南天はこの三か月で80,000,000の兵力と喪失した戦力の補填は済んだとみて良い。

 日本、ブリタニアも喪失した兵力の補填は済んでいるだろう。本当に化け物共だ。中華連邦はその化け物の一国に敵国条項を適応されている。日中戦争以来百と数十年。

「プライドに固執しているときでは無い、日本軍も、ブリタニア軍も、いつまでもジルク・中華と中東の国境に戦力を張り付けてくれているわけでは無い。彼らにも彼らの役目や日常があるのだ。故に我らより、大日本帝国へ請願しなければならない。旧敵国条項の削除を。仲介には、引き続きブリタニアを頼ろうと思う。現在我が中華連邦と日本との仲介が可能な国はブリタニアのみだからだ」

 まだできたばかりで超大国への枠組みへと駆け上がったAEUを頼るのも手だ。だがAEUと日本では“格”が違う。格の同じ超大国はブリタニアと南天だけ。この内南天は明確なる現敵国。中華連邦は列強だが、今回の戦争ではっきりした。日本がその気ならば中華連邦など簡単に踏み潰せる程度の中小国と何ら変わらないのだと。それは南天、南側諸国から見ても同じだろう。

 故に今、くだらないプライドに固執して、頭を下げる瞬間を見誤っては、中華連邦は再び南天からの侵略を受ける。だが、天子様に頭を下げさせるわけにはいかない。それだけは絶対に出来ない。

「ブリタニア帝国を仲介者として日中会談を開きたい。その場で日本に対し中華連邦に掛けられている対中敵国条項削除の請願をする」

「し、しかし星刻よ、そんな都合のいい話を家族とも言える間柄のブリタニアや、懐に入っている北側諸国以外に日本が……、日本は内側には優しく寛容な国だが、外側に対しては厳しく恐ろしい国なのだぞ?」

「だからこその請願だ。こちらから頭を下げ、必要とあらば土下座でも何でもするのだ。必要だと思われることは全てし、過去の贖罪を申し出る」

 もし、その場で腹を切れと言われたならば、腹を切りもしよう。それで中華連邦が助かるのなら安いものだ。

639休日:2023/05/30(火) 12:50:12 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

「そこまでの覚悟を……、分かった、星刻。私は貴殿の意見に賛成する。どうだね諸君。星刻の意見に掛けてみないかね?」

「私は賛成だ。なに、超大国『技術の日本』長命種といっても同じ人間だ。話せば、こちらが請願すれば分かってくれる」

「そうだな。その気が無ければ態々我が国の救助要請を受けてくれたりはしない。あの恐るべき南天と戦うリスクまで負って、我が国を助けてくれるものか」

 星刻は議場の椅子から立ち、賛成してくれた同志たちに頭を下げた。

「みんな、済まない。ありがとう」

「しかし、こうなるとジルクスタンの高官も共に連れて行くべきだな」

「先ほど言われた北側諸国への加盟を目指すと?」

「我が国やジルクスタンのような小国がこの化け物共がにらみ合う世界で生き延びるには、その懐に入り込むしか無い。北側諸国という国家連合があるのだ。そこに属さなければ我らは中東の二の舞になる事が今回の戦争で良く分かったろう? どうかね諸君」

「だが、北側加盟にまで辿り着けるかどうか……」

「それこそ政治家の政治力が試されるときではないかね」

 中華連邦の高官達は、それぞれの思いを胸に、ブリタニアへと連絡を取り。

 ブリタニアより連絡を受けた大日本帝国は日中会談を快諾。

 実に百数十年ぶりとなる日中会談はピリピリすること無く進んでいき。本題へと入っていった。

 ※

 対中敵国条項の削除。星刻は頼み込む。星刻以外の中華連邦側の議員たちは皆一斉に過去の謝罪を始めた。

「もしも貴国が我が国西部を南天への壁としたいとお考えなのならば、我が中華連邦は貴国に対し、過去の件も含め連邦西部を割譲しても良いと考えている。その程度で済むのならば安きもの。どうか。我が国に掛けられている条項を削除願いたい。どうか、どうか」

 日本側は慌てるでも無く冷静にこれを聞いていた。この会談でこの話を出されること、大凡見当が付いていたからだ。

 そして中華側の請願と、謝罪に次ぐ謝罪を聞き終えたところで枢木宰相は言った。

「黎星刻殿、100年以上も昔のことに拘るのは、愚かなことだと思われませんか」

 日本側はそれ以上の謝罪も請願も必要ないと、中華連邦側を止めさせた。

「そのお気持ちが本気である。それが分かれば充分です」

 そうして枢木は立ち。

「大日本帝国、宰相枢木ゲンブの名の下、ここに対中敵国条項を破棄することを宣言いたします。これは上帝陛下、御帝ご快諾の上での発言とお受け取り下さい。これで両国の間には何のわだかまりもありません。共に世界平和のために歩んで参りましょう」

 澤崎も間に入った。

「貴国の西部割譲も必要ありません。我々は貴国の北側諸国同盟への加盟を無条件で支持いたしましょう。もちろんジルクスタンの加盟についてもです。加盟に関する会議でも恐らく全会一致で両国の加盟は認められるでしょう」

 皆それぞれ南天には痛い目に遭わされておりますからなと笑う枢木。

「枢木総理……」

「澤崎殿……」

640休日:2023/05/30(火) 12:50:51 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 ※


「そう、それでいいのですよ。最早カビの生えた対中敵国条項は国家100年の大系にとって邪魔以外の何ものでもありません」

 この会談を遠くから見ていた夢幻会は、それぞれの意見を出していく。

「さて、中華連邦とのくだらないわだかまりは消えました。一部の国民は天子に土下座させろと言っていますが。分かってるんですかねそれ。上皇陛下や御帝に土下座しろと言ってることと同じだと」

 阿部が呆れて言うと。

「僕に土下座しろと言われたら僕は土下座くらいするけれど」

 上下とも白を基調に、青と金で彩られた宗教指導者が着るような豪奢な司祭服。表地が漆黒、裏地が薄い紫のマントを着た。踵まで届く長すぎる淡い金髪を、黒い金縁の髪留めで抑えた、紫の瞳の少年。

 この場でただ一人異色の姿の少年、容貌もブリタニア人の少年の姿をした、実年齢はこの場にいるメンバー達と同年代の少年、V.V.が微笑みながら言う。因みに会議用の椅子に座っているのだが足が床に着いていなく、ぷらんぷらんしている。

 長い髪の毛は椅子の上でぐるぐると渦を舞いて散らばっていた。年齢の割には子供にしか見えないのは、彼の年齢が10歳くらいで止まっているからだ。その理由をこの場にいる大体が識っている。嶋田や山本は後から識った。

 ついでに、この種の服装は大凡のブリタニア人の階級の高い者の正装な為、誰も何も言わない。飲み会ならばどんな衣服でも構わないが、この場では正装で来るのが普通である。

「V.V.よ、貴様の土下座には意味があるまい。貴様色々手広くやっとるようだが一般人だろう」

 杉山が至極当然の事を告げる。

 V.V.がなぜここにいるか? それは一応V.V.も夢幻会関係者だからだ。会合顧問という立場でこの場にいる。

 彼は、彼が辿るはずだった運命を聞かされ、彼が我々と共に歩むというなら手を取りませんかと誘われ、夢幻会という組織に入った。

 ただ、彼は会合関係者の昭和時代を識らないため、教えられない秘密もあるんだなと考え、納得しながらこの場で会議に参加しているのだった。

 正直言ってびっくりした。日本の政財界の大物や、影の支配者と言われている者ばかり。さらには伏見宮博恭王殿下が姿を現したときは、ジ家の皇子だった頃と同じ応対をしたくらいだ。

「まあ、一般人かと問われたら一般人。でもま、ギアス嚮団の嚮主でもあるけれど」

 頬杖を突き、笑みを深くし、この瞬間だけは凄みを出すV.V.。さすがは夢幻会会合の補欠要員になるくらいだと警備員は感心する。

「ギアス嚮団の運営は次席責任者に丸投げにしているとお聞きしますが」

「マサノブ、せっかく大物感出してた処なのに台無しにするの止めてくれない? あとまあ、ランペルージグループの会長でもあるね。実権は社長のシャルルにあるけれどさ」

 杉山が気になっていたことを聞いてみた。

「V.V.よ、貴様ジークフリートには乗れるのか」

 KGFジークフリート。原作での彼の愛機である。その質問にあっさり答えるV.V.。

「乗れるよ? ただしジークフリートⅢだけどね。全高も全長も50m前後の球形で、戦闘力はジークフリートの10倍以上はあるかな。ジークフリート10騎同時に相手をしても僕の腕なら勝てるよ。超小型フレイヤ炉を搭載した永久可動式さ。ギアス嚮団含めたブリタニアでも最新鋭機KGFの一つだよ」

「ほお、夢幻会の個人最強戦力だな。身体能力は10歳児だが」

「うるさいよっ、人が気にしていることをっ!」

641休日:2023/05/30(火) 12:51:30 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 辻が少し驚き交じりに呟く。

「KGF用と小型艦艇や小型可翔艦用にうちでも超小型フレイヤ炉は作りましたが、また一気に技術が進んでますね」

 その言葉を受けて怒鳴るV.V.。君らに言われたくないっ!と。そうだ。ブリタニアはどんなに頑張っても日本に追いつけないのだ。その原因こそ日本であり夢幻会でもある。V.V.も夢幻会の一員な為、日本の為に頑張らないといけないわけで、そも国籍も日本に変えて日本永住者になっているから、日本の為に頑張ることに異論はないのだが、それでも引っ掛かるところはある。誰が異常技術を作り出しているんだと。

「君たちが技術を加速度的に進めてるんじゃないか!! おかげで世界のパワーバランスが滅茶苦茶になって、日ブ南天で十回以上世界を消滅させられるようになっちゃったんだぞ?!」

 そうなのだ。夢幻会が技術加速を行う関係上、世界全体が技術加速され、とくにブリタニアと、南天が、異常な速度で技術加速して行っているのだ。それでも日本に追いつかない。

「皆さんだんらんはそのくらいで。主題は中華をどうするか。ジルクをどうするか。あと、大陸で得た我々の権益についてです」

 阿部がもう一度言う。すると倉崎翁が。

「我々としては今回大いに儲けさせて貰った。スメラギとの軋轢も無いことだし、これ以上は何も要らんな。少々作りすぎたくらいだ」

 艦艇のことである。主力水上艦艇、航空母艦、強襲揚陸艦、30艦・30艦体制という前代未聞の艦艇数になったことで、倉崎重工は大儲けだ。この儲けはスメラギにも出ていた。浮遊航空艦艇の共同開発で小型可翔艦を含め千数百艦の浮遊航空艦艇を建造し、ウハウハなのだ。大日本帝国の予算ならばこれくらいならばまだ充分維持範疇なため、戦後は対南天でこの膨大な戦力を維持することが決まっている。

「僕のところのランペルージグループも大いに儲けさせて貰ったよ。まさか100,000t超えの航空母艦56艦体制になっちゃうとは、いやはや、我が祖国ながら恐ろしい工業生産力だ。質で日本には負けてるけどね」

「V.V.さん、あなたもう日本人でしょうに」

「あ、そうだった」

 杉山、東条。

「日本もブリタニアも喪った兵が痛いな。補填が効くとはいえ、南天のように兵を数では見ておらんからな我々は。よく頑張ってくれたと弔意を送りたい。見舞金もだ。恩給もな。本当に彼らには頑張ってもらった」

 暫し全員が黙とうする。

 そして、山本が続く。

「海軍としては増えすぎた艦艇の扱いだな。訓練に使うにしろ、親善訪問にしろ、ここまで膨大な数になるとは思わなかったので少々困惑しておる。といったところで、俺自身は今はもうブリタニア人なのだがな」

 この場はある種、おかしなことになっていた。日本・ブリタニア両属の者が何人かいるのだ。山本はブリタニア国籍の元日本人ながら、日本の夢幻会会合に日本海軍責任者として出席している。

 V.V.は既に元ブリタニア人の日本国籍ながら、ブリタニア帝国のランペルージグループの会長でもある為、ブリタニアの利益も考えないとならない立場にあった。

 南雲忠一もまたブリタニア人でありつつ、会合に出席していた。

 大日本帝国と神聖ブリタニア帝国が共に歩み来て160年以上。リカルド大帝の頃以前より日本とは親しき仲にあった為に、実際はそれ以上の年月を共に歩んできた。超古代文明の時代にまで遡ればもう何年の時を家族国として過ごして来たのやら。

 そんな長き時を共に生きてきた日本と・ブリタニアは、夢幻会という枠組みにおいても、変質し始めているのだろう。昭和の人間は昭和の秘密を抱えたまま、それより昔となる平成の人間は平成の秘密を抱えたまま、V.V.の様な新世代の人間も取り入れて。その多様さを増していくのだろう。やがて来る日本・ブリタニア連合帝国の時代を目指して。

 それぞれがそれぞれ、その様な思いを胸に抱えながら、これからを思い描いていたところに。

 嶋田が挟み込んだ。

「あとだれも言い出しませんけど、大陸どうします? 高麗と清国の領土合わせて結構な領土が手に入っちゃったんですけど」

 この話は正直に言って面倒だった。第二次シベリア戦争の強制終結後、ヒトラーとも話したが、AEUとしては第一次シベリア戦争時に清と高麗に奪われた土地を取り戻せれば、後は興味が無いと言う話しで。

 権益は日本とブリタニアで分配することになったのだ。

 辻は。

「要りませんよ大陸の土地なんて」

642休日:2023/05/30(火) 12:52:18 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 と、言うが、これに続いてV.V.までもが。

「一応ブリタニア代表としもこの場に立つ立場にある者として発言させて頂くと、まず飛び地となる時点で管理がややこしい。中華大陸に領土なんて要らない。飛び地として得る領土としては広すぎるこの三点を以てブリタニアとしては辞退させて頂きたい。日本が全部貰っちゃえば?」

 V.V.の意思で決めているのでは無い。ブリタニアの総意として決めている。昔々に侵略戦争をやっていた頃なら経営の難しさも考えずに飛びついていたかも知れないが、現代ブリタニアはそのややこしさを識っている為、要らないものは、要らないのだ。

 振られた嶋田が伏見宮に投げた。

「要らんな我が帝国も。大陸に領土など持っても経営が一々面倒だ。だが、戦勝国がわれわれだけだからややこしい。といって放置しておく訳にもいかん。こちらとしては正直ブリタニアが嬉々として受け取ってくれるものと思っていたのだが」

 V.V.に再度、ブリタニア側に大陸の領土的な権益を進めてみたが、彼は拒否。彼の拒否は即ちブリタニアが拒否したことに他ならない。

「要〜ら〜な〜い〜よ〜。とくに高麗半島なんて絶対に要りません。お断り。そもそもあそこの人民と日本人・ブリタニア人は根本的に合わないんだから……、そういえば例の北京を超兵器でふきとばした李承朝って大統領閣下の身柄は?」

 高麗人を嫌うV.V.。別にV.V.だけに限らない。この場にいる面子全員が高麗人が嫌いだった。高麗人の全てを嫌っている訳ではないのだが、日本嫌い、ブリタニア嫌いで嘘つきな高麗人を、当然二国共に信用しておらずとなるのは仕方のないことであった、V.V.の問いには阿部が答えた。

「我々が抑えておりますが、中華連邦に引き渡す予定です」

 東条が言った。

「死刑確定だな」

 再びV.V.が皆に聞く、大体は決まり切った質問だが北側の一員として質問はしておかなければならない。

「で? 中華とジルクが北側諸国同盟への加盟を申請してきた場合は?」

 す、すすっ、一人二人三人手が上がっていく、V.V.も手を挙げる。

「夢幻会としては賛成と」

「断る理由もありませんし、南側の北側に対する封じ込めにも一役買います。まあ、もう既に一部中東という地域に侵入を許してしまっているのですがね」

 辻は油断成らない。油断しては成らないと警戒の意思を露わにし、告げる。

「これ以上の民主共和制原理主義の浸透を阻止すべきです。どの地域であっても」

 大体の議題が出そろい、さあこれからが本格的な会議だとなったとき。

 嶋田が全員を一巡りして、V.V.を見ると、V.V.はふいっと目をそらした。どーせ話題が戻るだろうという予感がしたからだ。

 伏見宮・嶋田・辻・富永・杉山・山本・南雲・阿部・倉崎翁・V.V.etc(中華大陸に領土なんか要らないんだよ・とくに高麗なんか要らん)

「で、どうします? 大陸の権益」


 結局日本・ブリタニアの得た大陸の権益については一時保留ということになった。

 枢木ゲンブや澤崎敦、シュナイゼルとも相談しないといけないということを名目にして。

643休日:2023/05/30(火) 12:52:55 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 ※


 嶋田とV.V.の帰り道。二人は手を繋いでいた。黒マントの少年と、スーツ姿の男性という変わった組み合わせ。

 下手をすると誘拐犯とでも疑われそうな様相だが、二人がにこやかに、楽しそうに歩いているのを見ては、そういう気分も失せるだろう。あの後恒例の飲み会になったのだ。

 嶋田もV.V.も大いに飲んだ。普段控えめなだけに多少は羽目を外しても良いのでは? そんな気分だったのである。

「ねえ、シゲタロウ」

「なんですかV.V.さん」

「もうすっかり君に背を追い越されちゃったんだねえ。僕は未だに10歳児のまま。昔僕よりも背の低かった君が、今では僕より背が高い。不思議でちょっと寂しいかな」

「でも、子供のままには子供のままの利点も数多くありますよ例えば」

『全部子供料金!』

 手を繋ぎ合ったまま、お互いを指さす。

「でも、飲み屋じゃ疑われるよ? まあ行きつけの居酒屋も増えたから、昔みたいに困ることもなくなったけどさ」

 少し寂しげに言うV.V.。そう言えば今飲み友達でもある玉城くんは、と思い出した嶋田は。

「ちょっといいですか」

 一言告げて、V.V.の前にしゃがみ込むと、彼の小さな身体を抱き締めた。

「ん、どうしたんだいシゲタロウ」

「いえ、俺も、私も昔を思い出していたんですよ、お兄さん」

 お兄さんと呼ばれたV.V.。幼い頃、シゲタロウはいつも自分のことをお兄さんと呼んでくれていた。兄弟でもないのに、兄弟の様に遊び過ごした。

 そんな彼の頭へと手を伸ばすV.V.は、嶋田の頭を撫でる。子供の頃の様に。

 嶋田もまたV.V.の髪を撫でた、踵まで届く淡い金色の髪。昔はもっと短かった。時の流れを感じる

「お兄さん、髪の毛伸びましたね……、すっごーく、長いですよぉ」

「ふふ、酔ってるねェ、出来上がっちゃってるねぇシゲタロウ。もう何年僕が髪切って無いか、自分でも分からなくなっちゃったよ。切ろうとしたら家族に怒られるし」

「ここまで長くなってしまっては、切る方がもったいないと思いますよ? まあ昔のお兄さんの髪型もかっこよかったですけど。今は今で可愛らしいです」

 嶋田は長すぎるほどに長いV.V.の髪の毛を指に絡めて幾度も梳くように救い上げる。段々慣れてくると頭の上から髪の毛の先まで、髪を梳き下ろようになった。何度も、何度も。昔語りに花を咲かせながら。

「男に可愛らしいって言われて嬉しい気持ちになるだなんて不思議だねェ。幼馴染だからかなあ。ふふ、僕の髪の毛で遊ぶだなんて、シゲタロウもいつまでも子供だねェ」

「おじさん同士でなにやってんですかね俺ら」

「酔いが回っちゃってるんだよ。だから変なことしちゃうのさあー。ほら、お空に伸びるスカイツリーがくるくる回ってる」

「ああー、ホントですねえ」

644休日:2023/05/30(火) 12:53:40 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 自分で始めたV.V.をちょっと励まそうとした、ほんのお遊び程度の気持ち。それが二人の酔いをこれ程はない程に回していく。

 でも、気分が良い、シャルルさんがいなかったときに、V.V.さんと二人で遊んだ小さなころを思い出せて。

「蝉取りしましたねー」

「したねー」

 ぐっとV.V.が強めに肩を掴むと嶋田のスーツに皺が入る。

「川で遊んだよねー」

「遊びましたね。魚獲ろうとして獲れませんでした」

 同じようにぐっと強めにV.V.の背中で嶋田の指が立てられる。黒いマントに皺が入る。

 お互いに昔はこんな大人の衣服は着ていなかった。

「ずっと、子供のままで居られたらよかったのにね」

「そうですね」

 姿は少年でも既に六十代の大人。背は高く姿もそれなりの六十代の大人。

 二人共、何も考えずに遊びまわっていた子供の頃が懐かしい。

「そーれっ。俺はお兄さんよりもでっかくなったんだぞお!!」

 叫び嶋田は小さなV.V.の身体を持ち上げて、その場でぐるぐると回り始めた。ぐるぐるぐるぐるぐーるぐる。場所も時間も考えずに騒ぐ二人。V.V.は不死身だからという理由で普段からSPを付けていない。

 もちろん、周りからは付けろと言われている。ロロからもクララからも。最もそのクララが実質的なSPと言えなくも無いが。

 一方の嶋田にはSPが付いている。俄かに護衛対象が騒ぎ出したものだからSPたちは慌てた後、呆れた。おっさん二人で何をやっているのかと。

 勢いよくV.V.を回す嶋田の動きに合わせて、V.V.の長い髪がふわふわと宙を漂い、金色の線を空中に描いていく。

「わははははっ、こら、シゲタロウっ、僕は君より年上なんだぞおっ、あははははーっ」

 くるくる回されながら、楽しく懐かしく、そして嬉しい気分になるV.V.も大声で笑った。

 昔だったらこんなことは出来なかった。昔は自分の方が背は高かったが、今ほどの体格差があったわけじゃ無い。

 あの頃のシゲタロウに出来なかったことが、今の大きくなったシゲタロウには軽く出来てしまう、これが…………時の、流れ。

 やがて静かに回転は収まり、さらりと大きくV.V.の髪は流れ、彼の背中に足下に戻っていく。嶋田はその場にしゃがみ込む。降ろされたV.V.は嶋田と向き合うようにして立つ。

「俺たち、大人になっちゃったんですね。なんだか、寂しい気持ちです」

「ははっ、今度はシゲタロウが寂しい気持ちか……、やっぱり僕も寂しい気持ちだよ。別に飲み友達でもあるバカが居ないからって訳じゃあ無いぞ? 大人になっちゃったことの寂しささ……」

 自分もシゲタロウも大人になってしまった。もう昔のように虫取りも川遊びも、気軽には出来ない。草原を走ったり、野山を駆け巡ったり。楽しかった思い出たち。

 所詮はあの頃は良かったなあっていう昔を懐かしんでいるだけで、今だってきっと楽しいはずなんだけれどね。子供達が出来た。仲間達が出来た、その人達との新しい関係性が始まった。昔を楽しんでばかりいちゃいけないのは分かってるさ。

 でも、今夜くらい良いだろう? シゲタロウといっぱい、時間も忘れて遊びたいのさーっ。

「もう一軒いくかあ!!」

「……そうですね……もう一軒行きましょうっっ!!」

「飲むぞおおっ、シゲタロウーっ!!」

「飲みますよお、朝まででもV.V.さんには付き合ってもらいますからねェー!!」

 スーツの上を脱ぎ叫ぶシゲタロウ。

「シゲタロウこそ、朝まで僕に付き合わせるからなあ!!」

 髪とマントを大きく風になびかせながら叫ぶ僕。

 あーこんな夜中に迷惑な酔っぱらいどもだよ。クララがいたら言われそうだね。うるさいんだよまったくもーってさー。


 そんな二人は、ふらふら、ふらふら、とまっすぐに歩けないまま、夜の居酒屋へと消えていった。

645休日:2023/05/30(火) 12:56:55 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
ハニワ一号様、ご指摘いただきありがとうございました。
ご指摘がなければ南天の中華連邦・ジルクスタン侵攻戦力が50,000,000だったことを思い出せませんでした。

646二二三:2023/05/30(火) 14:08:58 HOST:KD106155013253.au-net.ne.jp
乙です。南天の中華連邦・ジルクスタン侵攻軍は5000万でしたか……ははは、乾いた笑いが止まらんな5000万て700万削ってもまだ4300万しかも補充はすぐ可能
ジルクスタン壊滅状態じゃないのこれ? 中華連邦も洛陽空爆までされていたのか

647トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/30(火) 17:44:38 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

まさに戦力も犠牲者も桁違いって感じですね(汗)
日武の方も結構な犠牲が出たんですな。

648ハニワ一号:2023/05/30(火) 20:43:42 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
乙です。
日本ブリタニア連合軍2800万人、南天軍5000万人の軍隊が各地で激突とかまさに怪獣大決戦ですね。
そして南天軍の損害は700万前後になりましたか。
休日さん数字の後に「万人」とかの単位をつけた方が読者にとっても数がわかりやすく把握でき読みやすくなると思います。

649二二三:2023/05/30(火) 21:20:02 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
これって当然歩兵だけじゃなく陸軍全体・海軍・空軍・海兵隊まであわせた全軍での損害ですよね?

なら日ブ連合軍2800万中120万で抑えられたのは頑張った方じゃないですか?
逆に5000万の南天軍に700万の損害を与えたのは完全に勝ちですよね?
反面南天は日ブ連合でさえ100万以上の損害を覚悟しなければならない相手でもありますね

650二二三:2023/05/30(火) 21:32:09 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
>>647
日ブと南天がぶつからないようにしてきた理由でもあるんでしょうね
双方犠牲が大きすぎる。南天が怖いのはこれを神への帰依・聖戦と考えている事でしょうが

651二二三:2023/05/30(火) 21:40:11 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
この規模の激突って太平洋戦争以来じゃないんですかね
欧州解放戦争でもここまでは行ってないでしょう
少なくとも日本にとっては太平洋戦争以来でしょうね

652二二三:2023/05/30(火) 21:54:35 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
中華連邦軍の損耗率がとんでもないな
全体の27%越えって……しかもインド軍区は分かるとして洛陽まで空爆されているとは

653ハニワ一号:2023/05/30(火) 21:55:40 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
原作でのEU中央政府の面々が出てこないこともありますがロストストーリーズなどでの大宦官の描写を見ていると原作の大宦官は腐敗はしているがEU政府と比べて色々とちゃんと仕事はしている印象がありますね。

654二二三:2023/05/30(火) 21:56:46 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
この規模、ナイトオブラウンズも投入されてるかな?
何かすみません自分ばかり連投して

655名無しさん:2023/05/30(火) 21:57:33 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
まあ、平和のためにはナイトラウンズ投入はあるかと

656二二三:2023/05/30(火) 21:59:48 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
>>653
なるほど。意外ですね。腐敗の象徴だとばかり思って居たあの大宦官が……

657二二三:2023/05/30(火) 22:11:08 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
ラウンズもロイヤルガードも恐怖を抱くものがいてもおかしくないですね
死体を乗り越えて次から次へと山の様に出てくる死兵の数を見て。アンデッドを見ているみたいで
浄化、浄化、全天に、全天に、ってやられながらも殺戮機械の様に敵を屠るマシーンなんでしょ?

658二二三:2023/05/30(火) 22:14:18 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
普段は笑顔と天使の仮面を張り付けている南天人
では戦いのときは無表情?

659名無しさん:2023/05/30(火) 23:32:45 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
しかし地図を見るとイラクが天下取ったようにも見えるこの不思議

660二二三:2023/05/30(火) 23:36:09 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
すぐコテ抜ける南天も気前よくリヤド南部までくれてやったんだなまあイラクも南天なんだが領土としてね

661トゥ!ヘァ!:2023/05/30(火) 23:50:57 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
しかし今回の互いの被害考えると割と日ブ側が不味いですね。

ダメージレース的にこの比率だと南天の戦力に押し切られる可能性出てきますし。

662二二三:2023/05/31(水) 00:10:17 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
ただ日ブも南天も本気じゃないというのが味噌なのでは?
本気を出した日ブの国力は南天を超えておりますし、その技術力は当然南天越え
ブリタニアの国力なんかは本気で回転し始めれば空母戦闘群の数に現れているように恐ろしい物があります
日本は超技術で、ブリタニアは生産力・工業力で、対南天の壁を作っていくでしょう

663二二三:2023/05/31(水) 00:12:39 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
しかし、日本4%、ブリタニア5%、南天12%越えでダメージ比率が良くないと

664二二三:2023/05/31(水) 00:15:54 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
ああ、そういえば南天は最悪17億の兵がいることも考えないといけないのでした

665トゥ!ヘァ!:2023/05/31(水) 00:18:38 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>663
双方の総戦力と補充能力を天秤にかけると最低でも今の三倍の被害を南天相手に出せなきゃ割に合わんですねぇ。

せめて日ブの被害は100万以下に抑えたいところです。

666二二三:2023/05/31(水) 00:19:42 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
作中でも出てるけど第一次北南戦争かユーラシア大戦で戦争名は決まりかな
シベリア、極東から中東までの広範囲な戦争である事と、北側南側の初めての部分的全力激突だから

667二二三:2023/05/31(水) 00:22:12 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
>>665
日ブ連合の被害120万、ギリギリのラインですか

668二二三:2023/05/31(水) 00:23:21 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
南天も数に振り切った意味はあったのですな

669トゥ!ヘァ!:2023/05/31(水) 00:26:27 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>667
ここら辺は休日さんの設定次第ではありますが、現代的に考えると日ブ側が赤字かと。
まあ戦争行為なんて基本赤字なのですが(汗

なにせ日ブ側で死んだのは金と時間かけてきっちと鍛えて、更には消費者にもなれる優良兵士。
おまけにブリタニアだと貴族階級も大勢いるでしょうから、実際の被害率は日ブ南の間じゃ一番デカイかもですね。

対して南天側はトップの思想が思想なので文字通り駒を消費しているようなものですし…
あんまり良いレート差じゃないかなと。


大体日ブ兵一人倒すのに南天兵が5〜6なので損害比率が1/5〜6。

向こうは命の価値低いの狂信者ぶつけるだけなのに、こっちは金かけた兵士が殺されるので、欲言えば損害比率は10倍以上にしたいところですね。

670二二三:2023/05/31(水) 00:42:04 HOST:KD106155012002.au-net.ne.jp
なるほど、今回の大戦では費用対効果があって無かったと。その辺りは死ぬ兵と書いて死兵の怖さなのではと推測します
最後は自爆するアンデッドみたいなものだと。死に恐怖を感じない兵士は厄介ですよ、アメリカ軍もアフガン撤退に追いやられましたし
それが今回は5000万人もいたわけですから、700万以上削っただけでも大したものかと

671トゥ!ヘァ!:2023/05/31(水) 00:48:13 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
>>670
一応ダメージレース的にはこの被害差でも日ブは勝てますけど、その際の被害が結構嬉しくないレベルですね(汗
まあ同格国家相手にこの被害差なので、十分圧倒している方なのですが…


九州消滅砲が開発されたのも頷けますね。
毎回100万以上も被害出していては経済的にやってられるもんじゃありませんから(汗

672ハニワ一号:2023/05/31(水) 01:44:19 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
>>665
最低でも今の三倍の被害を南天相手に与えるって今回の戦いだと南天に約700万ではなく約2100万の損害を与えるようにしなきゃいけなかったって事か。

673二二三:2023/05/31(水) 02:15:45 HOST:KD106155012125.au-net.ne.jp
こんな時間に誰も見てない&もう忘れかけられてる馬鹿男爵ネタにローゼンメイデンの真紅ちゃんを絡めてみた

674二二三:2023/05/31(水) 02:16:35 HOST:KD106155012125.au-net.ne.jp


一夜のアリスゲーム



俺の名はフランク・ロズベルト。押しも押されぬ大貴族だ。五大湖諸侯の中心上位伯爵ヴェルガモン伯爵家への不敬?

西海岸諸侯の盟主クルシェフスキー侯爵家への不敬だ? ふん、識らぬ輪その様なもの。何処かの誰かが勝手に吹聴しておるに過ぎぬ。

まずブリタニアの絶対的階級制度というのは。


 第1階位:Commoner:平民

 第2階位:Knight of honor:武勲侯

 第3階位:Knight:騎士

 第4階位:Baron:男爵

 第5階位:Viscount:子爵

 第6階位:Imperial family:皇族

 第7階位:Emperor:皇帝


こういったものだ。伯爵や侯爵などという貴族階級は元より存在せんのだ。それをあのヴェルガモンめにクルシェフスキーめ、この私の目を謀りおって。

オマケになんだ、父上からの帰還命令だと! 老いぼれめ、未だ自分が当主である事に固執するか。当主はこの私フランク・ロズベルトなのだ。

中位貴族の当主、フランク・ロズベルトこそが栄光あるロズベルト男爵家の当主。兄上がお亡くなりになったのは事故なのだからな…………ふふふふ、はっはっはっは。

私はヨナイ卿を頼り、東京は麻布を歩いていた。SPたちからはしきりにアシュフォード公爵家へ御出頭くださいとうるさく言われたが、そも公爵などという爵位など存在せんというのに、愚か者どもめ。コレだから平民は困るのだ。

そんな私が歩いていると、何やら黒いバンに乗った人物が降りてくる場面に出会した。

私は掛けよりお手を取る。何やら高貴な匂いがしたからだ。すると高級車の中から顔を出したのは、身の丈よりも美しい長い髪をツインテールに纏めた。赤いヘッドドレスに、真っ赤なドレスに身を包んだ小柄な女性が顔を覗かせた。

おお、美しい。白磁の肌は陶器のようで、蒼く深い瞳は何処までも深い青色を湛えている。目鼻立ちの整ったブリタニア人の女性。これほどの美しい女性はそうそういない。お近づきになれて最高だ。

しかし、爵位はどうなのだろうか? もしも大貴族である子爵様ならば私は残念ながら身を引かなければならない。同じ男爵家の令嬢ならばこの後レストランで食事でも、騎士侯以下の下級貴族ならば無理矢理引き立ててやろう。

すると、私のお付きの侍従が顔を真っ青にしてその方はダメですと言ったメッセージを送ってくる。何がダメなのか? 中位貴族とはいえ限りなく上位貴族に近い私にダメな者など無いに決まっておる。

私は改めてその淑女の名を問うてみた。

「失礼ですが、お名前は」

「あら、あなた躾が成っていないわね。名とは自らが先に名乗るものでしてよ?」

675二二三:2023/05/31(水) 02:18:58 HOST:KD106155012125.au-net.ne.jp

高貴な令嬢特有の流し目で私を見つめる小柄な令嬢、この私に対し失礼なと思うも、もしも私より上位の子爵家の人間であったらと思うと、下手に強気には出られない。

私は仕方なしに自らの名を先に告げる。

「我が名はロズベルト。フランク・ロズベルト男爵でございますミ・レイディ。神聖ブリタニア帝国より日本旅行へとやって参りました。貴女のような美しき女性と知り合えて恐悦至極に存じ上げます。貴女のお名前を是非ともお聞かせ願いたいものです」

私が名乗りを上げる最中にあっても私の侍従は、お止めくださいお止めください、と止めに入っている。すると黒服の男達が突如私の周りを囲んだ。

「シンク様にお近づきになろうとは無礼な男。フランク。ロズベルトと言ったな?男爵風情がシンク様のお肌に触れようなどと!!」

「いいのよ」

正直小便ちびりそうなほど強面の黒服に睨まれた私は、私には大日本帝国ヨナイ・ミツマサ卿との友誼があるのだ、下手な手出しは身を滅ぼすと知れ!と一喝すると黒服たちは怖れを成したのか黙った。

「申し遅れましたわねわたくし、神聖ブリタニア帝国ローゼンクロイツ伯爵家(上位)第五女、シンク・ローゼンクロイツと申します、Mr.ロズベルト。一夜のアリスゲーム。お相手くださります?」

そこからは夢のような一夜だった。シンク嬢からの手づからつがれる酒を飲み、シンク嬢と踊り歌い、シンク嬢と共に夜景を見た。実に楽しい一時だった。気が付いたときには財布の中身が空になっていたが、私は大貴族フランク・ロズベルト直ぐにも補充し新たな夜の一時に。

「あの男、社交界で大問題になっている男ね」

「シンク様は御存じの上で」

「物を知らずノブレス・オブリージュのなんたるかも心得ていない貴族が何を考え、どの様な生き方をしているかに少し興味があったの」

夜風に身の丈を超える長い髪をツインテールに結んだ少女に見える女性。シンク。ローゼンクロイツは、拭き来る海風に金色に輝く美しい髪を大きく靡かせながら、答えた。

「だけど本当に0点ね。あの男、何度私の髪や身体を触ろうとしたことか。少し踊れるスペースのある店で踊ってみたけれど、まるで踊りをマスターしていない。おまけに私が伯爵令嬢と名乗ったときの下卑た目。あれは格下の階級を見下げるノブレス・オブリージュを理解していない貴族の目だった」

「シンク様はそのとうなゲスな輩と貴重な夜を共にして楽しかったのですか?」

 ふふ、笑いシンクは答える。

「楽しくは無いわ。楽しくないけれどあの手のゲスは時に勉強となるのよ」

「お勉強、ですか」

勉強というお歳でも無いでしょうにと思ったがSPの一人は言うのをやめておいた。1000倍になって返ってくることを十分承知しているからだ。

「ノブレス・オブリージュ、貴族として最もあらねばならない在り方を、あの手のうつけ者は再認識させてくれるのよ」

「なるほど」

「それに、あのロズベルトとか言う愚か者の従者は私がローゼンクロイツ伯爵家の第五女である事をきちんと理解していた。あの男には実に勿体なすぎる従者ね。そうは思わなくて?」

道の端々で何度も何度もシンクに向かい土下座していた。シンクが本物の上位貴族だと知っているからこその行動だ。

「はっ、シンク様の仰せの通り、あのバカな貴族の従者にするのは勿体なすぎるかと」

「すでにあの男はヴェルガモン伯爵家と、クルシェフスキー侯爵家に手出しをして不敬を働いている。あの男の罪が許されようとも、あの男に帰る場所なんて無いわ」

優雅であり、冷たくも笑うシンク。彼女もまたノブレス・オブリージュの在り方を忘れ否定してしまった貴族には厳しいのだ。

「ヴェルガモン経済圏、クルシェフスキー経済圏、そして私がお父様に今夜のことを告げればローゼンクロイツ経済圏からもにらまれることとなる。行き場を喪った人間はどこへ身を隠すのでしょうね」

楽しみだわ。と冷たく笑うシンクは。

「あ、リョウタロウの紅茶の時間ね、急いで帰宅しないと。車を回してくださる」

「はっ、(良太郎さまのことになると周りが見えなくなってしまうのはシンク様も変わらないな)」

676二二三:2023/05/31(水) 02:20:30 HOST:KD106155012125.au-net.ne.jp
終わりです。階級表は休日氏のをコピペしました申訳ありません

677名無しさん:2023/05/31(水) 07:49:12 HOST:sp49-96-23-150.mse.spmode.ne.jp
乙です。

678二二三:2023/05/31(水) 08:17:48 HOST:KD106154151198.au-net.ne.jp
ありがとう。ローゼン知らない若い世代が多いのと酔った勢いで書いた作品だから、コメントなんかもらえんからね

679名無しさん:2023/05/31(水) 08:19:25 HOST:sp49-96-23-150.mse.spmode.ne.jp
ローゼンとか、時々キャラがやる夫でやるくらい?
特に水銀

680二二三:2023/05/31(水) 08:35:24 HOST:KD106154151198.au-net.ne.jp
休日氏が42歳と年齢を明かしておりましたが、だいたいその前後がローゼン直撃層なんですよね
自分も40代に入ってるおじさんですし

681二二三:2023/05/31(水) 08:36:40 HOST:KD106154151198.au-net.ne.jp
他のスレでは50代とかもいらっしゃるようですからまだこのスレは若い方なのかな?

682二二三:2023/05/31(水) 08:44:52 HOST:KD106154151198.au-net.ne.jp
馬鹿男爵ネタもお覚えている人ほとんどいないだろうし
最近休日氏から明かされた設定で馬鹿男爵が知ってるブリタニアの貴族階級は子爵までと出たけど
伯爵・辺境伯・侯爵・公爵・大公爵・ラウンズは知らないという真正の馬鹿だったと

お陰でヴェルガモン経済圏とクルシェフスキー経済圏からにらまれることになったカンザスの端の端領民1500人ほどの男爵家
ヴェルガモン伯爵家とクルシェフスキー侯爵家に喧嘩売るなんて馬鹿の所業

683二二三:2023/05/31(水) 08:53:57 HOST:KD106154151198.au-net.ne.jp
>>634
大ユーラシア戦争こと第一次北南戦争。北南戦争はブリタニア大陸で起きた欧州貴族と皇帝派の戦争のはずですから
大ユーラシア戦争か第一次北南大戦、または第一次世界大戦が相応しい名ですね

684ハニワ一号:2023/05/31(水) 09:08:58 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
乙です。
その西海岸諸侯の盟主クルシェフスキー侯爵家の息女、実は皇帝の隠し子で皇女にもなれる存在だからモニカが皇女と公式に明かされると馬鹿男爵と男爵家の不敬の罪が更に重くなっちゃうんですよね。
なのでどこの貴族の家も馬鹿男爵家の家臣の経歴を持つ人は絶対に雇わないでしょうね。
当然、馬鹿男爵の従者だった人も命を懸けて馬鹿男爵の行動を諫めたり馬鹿男爵の行動を制止する事もしてませんし馬鹿男爵の馬鹿行為をいつも許してますから当然他の貴族の家での再雇用は無理でしょうね。

685ハニワ一号:2023/05/31(水) 09:14:07 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
ロストストーリーズで実装された玉城の紅蓮丙式の色がピンク色だったが休日ギアスの玉城の乗るナイトメアの色もピンク色になりそうだな。

686二二三:2023/05/31(水) 09:28:18 HOST:KD106154151198.au-net.ne.jp
戦地はジルクスタン及び中華連邦西部と中華全土に空爆、シベリア、清国、高麗
一番ひどいジルクスタンと中華連邦西部の復興だけでも大変だな
戦争結果として清国・高麗は消滅。シベリアはAEUに返還
ジルクスタンと中華連邦西部は壊滅的打撃
中華連邦全土は空爆され、首都洛陽も空爆に合う

中華連邦軍の全体被害全軍の役30%

日本軍1200万
ブリタニア軍1600万
ジルクスタン・中華連邦からの救援要請を受けて参戦

南天の影響圏となっていた清国と高麗を三日で撃破占領。
追って中華連邦を縦走し戦闘区域へ

日本・ブリタニア連合軍2800万
南天条約機構軍5000万
激突

陸・海・空で大激戦の果てに南天軍を中華・ジルクと中東の国境線の向こう側まで押し戻すことに成功

結果

北側と中華連邦およびジルクスタン被害

中華連邦軍全体の約30%を喪失半壊

ジルクスタン不明ながらも全滅に近いと思われる

大日本帝国1200万の派遣軍の内役50万名の死者行方不明者

神聖ブリタニア帝国軍1600万の派遣軍のうち約70万名の死者行方不明者

南側諸国

南天条約機構軍5000万の侵攻軍のうち約700万人前後の損害を出し撤退

結果
戦勝国

中華連邦
ジルクスタン
大日本帝国
神聖ブリタニア帝国

敗戦国

大清連邦
高麗共和国
合衆国オセアニア
マダガスカル自治州
合衆国東アフリカ
イエメン民主共和国
旧大洋州連合
ニューギニア民主共和国
イラク社会主義共和国
カメルーン民主共和国
民主主義中央アフリカ
民主主義ガボン
コンゴ原理主義共和国
ルワンダ民主共和国
ブルンジ民主共和国
アンゴラ原始民主制共和国
民主原理性ザンビア
ジンバブエ民主共和国
原理主義人民ナミビア国
ボツワナ原理主義人民共和国
南アフリカ原理主義人民共和国
レソト原理性共和国
エスワティニ原理性共和国

687二二三:2023/05/31(水) 09:29:05 HOST:KD106154151198.au-net.ne.jp
戦地はジルクスタン及び中華連邦西部と中華全土に空爆、シベリア、清国、高麗
一番ひどいジルクスタンと中華連邦西部の復興だけでも大変だな
戦争結果として清国・高麗は消滅。シベリアはAEUに返還
ジルクスタンと中華連邦西部は壊滅的打撃
中華連邦全土は空爆され、首都洛陽も空爆に合う

中華連邦軍の全体被害全軍の役30%

日本軍1200万
ブリタニア軍1600万
ジルクスタン・中華連邦からの救援要請を受けて参戦

南天の影響圏となっていた清国と高麗を三日で撃破占領。
追って中華連邦を縦走し戦闘区域へ

日本・ブリタニア連合軍2800万
南天条約機構軍5000万
激突

陸・海・空で大激戦の果てに南天軍を中華・ジルクと中東の国境線の向こう側まで押し戻すことに成功

結果

北側と中華連邦およびジルクスタン被害

中華連邦軍全体の約30%を喪失半壊

ジルクスタン不明ながらも全滅に近いと思われる

大日本帝国1200万の派遣軍の内役50万名の死者行方不明者

神聖ブリタニア帝国軍1600万の派遣軍のうち約70万名の死者行方不明者

南側諸国

南天条約機構軍5000万の侵攻軍のうち約700万人前後の損害を出し撤退

結果
戦勝国

AEU
中華連邦
ジルクスタン
大日本帝国
神聖ブリタニア帝国

敗戦国

大清連邦
高麗共和国
合衆国オセアニア
マダガスカル自治州
合衆国東アフリカ
イエメン民主共和国
旧大洋州連合
ニューギニア民主共和国
イラク社会主義共和国
カメルーン民主共和国
民主主義中央アフリカ
民主主義ガボン
コンゴ原理主義共和国
ルワンダ民主共和国
ブルンジ民主共和国
アンゴラ原始民主制共和国
民主原理性ザンビア
ジンバブエ民主共和国
原理主義人民ナミビア国
ボツワナ原理主義人民共和国
南アフリカ原理主義人民共和国
レソト原理性共和国
エスワティニ原理性共和国

688二二三:2023/05/31(水) 09:30:11 HOST:KD106154151198.au-net.ne.jp
戦勝国にAEUを書き忘れたから後ろのがホント
こんな感じなのかな?

689二二三:2023/05/31(水) 09:41:36 HOST:KD106154151198.au-net.ne.jp
>>684
家臣にも問題ありとされてしまうのですか?
リーライナへの不敬の罪、モニカへの不敬の罪、最悪モニカ皇女への不敬の罪
お家お取りつぶしは確実?
この事件って一応リーライナもモニカも許してはいるのですが

>>685
第8.5世代エナジーウィング機ヴィンセント・グリンダ・カスタム玉城専用機、玉城専用機となってるからピンクかもしれませんね
惜しいのはヴィンセント・カスタムはエナジーウィング機ではあるのですが第9世代機とは違い刃状粒子弾が打ち出せないんですよね。

690ハニワ一号:2023/05/31(水) 10:09:02 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
>>689
モニカが実はシャルルの娘である設定が公式で出てしまった以上はモニカ本人が許してもモニカが実は皇帝の子である事を知っている養父であるクルシェフスキー侯爵が絶対に許さないですよ。
誰も知らないこととはいえ実はこの国の皇帝であるシャルルの子であるモニカに不敬を働いたわけですからクルシェフスキー侯爵としてはモニカが将来に皇女認定される可能性を考えるとここで甘く見られるような対応は絶対にできないんですよ。

691休日:2023/05/31(水) 15:22:18 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
馬鹿男爵が次々問題起こしてますね次はシンク嬢ですか?従者はローゼンクロイツ伯爵家のご令嬢だと気づいて何度も土下座しているようですが……果たして

692休日:2023/05/31(水) 15:24:01 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
投稿します。短いです。短編集みたいな感じで流し読みしてくださるといいかもです。

693休日:2023/05/31(水) 15:25:24 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 戦争:第一次世界大戦:概要

 年月日:2022年6月16-2023年8月25日

 場所:主戦場はユーラシア。中東域からジルクスタン、中華連邦、インド軍区、ペルシャ軍区、極東にかけて。

 結果:日本・ブリタニア連合側の勝利。日ブ・南。北側諸国・南側諸国による第二次冷戦がはじまる。

        交戦勢力

 中華連邦側      合衆国オセアニア

 中華連邦       マダガスカル自治州

 ジルクスタン     合衆国東アフリカ

 大日本帝国      イエメン民主共和国

 神聖ブリタニア帝国  旧大洋州連合

 場合によりAEU    ニューギニア民主共和国

            イラク社会主義共和国

            ノイエユーロピア

            カメルーン民主共和国

            民主主義中央アフリカ

            民主主義ガボン

            コンゴ原理主義共和国

            ルワンダ民主共和国

            ブルンジ民主共和国

            アンゴラ原始民主制共和国

            民主原理性ザンビア

            ジンバブエ民主共和国

            原理主義人民ナミビア国

            ボツワナ原理主義人民共和国

            南アフリカ原理主義人民共和国

            レソト原理性共和国

            エスワティニ原理性共和国

            大清連邦

            高麗共和国



            指導者

 大日本帝国:上帝陛下。御帝           南天条約機構:創造主クリエイター=L

 神聖ブリタニア帝国:シャルル・ジ・ブリタニア

 中華連邦:天子:蒋麗華        合衆国オセアニア総代行主:マクシミリアン・シュナイダー

 ジルクスタン:シャリオ、シャムナ     イラク社会主義共和国:ユスフ・サルマン・ユスフ

 AEU:アドルフ・ヒトラー          大清連邦:大宦官
                   
                      高麗共和国:李承朝

694休日:2023/05/31(水) 15:27:08 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

            戦力


 大日本帝国:12,000,000万人      南天条約機構:50,000,000万人

 神聖ブリタニア帝国:16,000,000万人  大清連邦:3,200,000万人

 中華連邦:20,000,000万人       高麗共和国:1,200,000万人

 ジルクスタン:1,200,000万人

 AEU:6,500,000万人

            損害


 大日本帝国:500,000万人       南天条約機構軍:7,600,000万人

 神聖ブリタニア帝国:700,000万人   大清連邦:2,950,000万人

 中華連邦:6,300,000万人       高麗共和国:1,000,000万人

 ジルクスタン:970,000万人

 AEU22,000人(シベリア戦線のみで中華戦線に直接参戦していない為)

 計:8,492,000万人                計:11,550,000万人


 第一次世界大戦は南天条約機構軍による北進東進。その切っ掛けは中華連邦およびジルクスタン内に存在する超古代遺跡と国土を取得するため、両国へと軍事侵攻を開始した事でおきた戦争。

 合衆国オセアニア・合衆国東アフリカなど南天条約機構各国。大日本帝国・神聖ブリタニア帝国等、北側諸国の盟主国が中心となり参戦した史上最大規模の戦争の一つ。

 近年人類史上最大の死傷者・行方不明者を産んだ。


 概略

 2022年6月2日。最後通牒としてイラク社会主義共和国は中華連邦に対し、ペルシャ軍区の割譲を要求。元々ペルシャ軍区はイラクの土地であるというのが言い分。

 この世迷言を中華連邦が一蹴した事で、南天の一国であるイラクのユスフ・サルマン・ユスフ書記長は盟主へと連絡を取る。

 盟主はただ一言『浄化したまえ』とだけ答え、協定書も何も書かなかったという。協議はイラク側から一方的に打ち切られ。

 イラクに展開していた30,000,000万人の南天条約機構軍はイラク・ペルシャ国境に集結6月16日、無茶苦茶な要求を蹴った事を理由に中華連邦ペルシャ軍区国境を突破。

 第一次世界大戦は始まった。同刻AEUも失地回復の為、極東を目指し6,500,000万人の軍を動かしシベリア戦線が勃発。

 中華連邦はペルシャ軍区を奪われ南天軍はジルクスタンにまで侵攻。20,000,000万人の南天軍が後詰めとしてくるという情報に、45,000,000万人の国民数を超える軍隊を前に、1,200,000の盛況なる国軍で戦うも、南天軍の圧倒的物量と最新兵器の数々を前に一時国土全域を占領される。

 国王シャリオ、聖神官シャムナは最後まで国民と共に戦うと宣言するも、精神的支柱のお二人まで戦死されては我がジルクスタンは亡国と化すと説得され、中華連邦中央、中華帝国へと逃れていく。

 後詰めの20,000,000万人が合流し計50,000,000の史上最大の軍隊となった南天軍はインド洋に30個空母戦闘群を並べ、インド軍区を集中攻撃。中華連邦もこれに対応するため、中華全土より9個の空母戦闘群をかき集めてくるも。

 各艦艇の性能差、兵器の性能差により敗退が続き、決死の思い出2個群を食い破るも5個群が壊滅させられ4個群が半壊。連邦海軍は事実上の全滅に近い損害を出して撤退。

 中華連邦海軍の撤退もあり、インド軍区各地の都市を攻撃し終えたオセアニア軍は西部より、アフガン、パキスタンと侵攻占領していきインド軍区にまで到達。この間、民間人にも相当数の被害が出たと推測され推定人数60,000,000万人近い民間人が南天の言う『浄化』という名の死に追いやられている。

 これは南天が平気でジェノサイドをする精神性にあることを示しており、民主共和性原理主義の危険性が世界中にさらされた瞬間でもあった。

 また南天軍は、インド軍区を壊滅状態に追い込んだ後は、中華連邦首都洛陽まで空爆し連邦高官に多数の死者を出している。

 事ここに居たりもはや過去の遺恨にこだわっている場合ではないと悟った連邦政府は、隣国にして『二つ名』の超大国、大日本帝国へと救援要請を出す。

 当初予想通り、この救援要請に、旧敵国である中華人の為になぜ我々が血を流さなければならないんだと反発が起きるも。

695休日:2023/05/31(水) 15:32:12 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 同胞たる神聖ブリタニア帝国皇帝シャルル・ジ・ブリタニアの──

『日本の同胞たちよ。南天の脅威の前に過去のわだかまりに拘っている時などでは無
 い。今武器を取らずしていつ武器を取るのだ。南天は来るぞ?この日本までも、我が国までも」

 と。日本の上帝陛下もこれに加わった──。

『古びた条約と南天の脅威、優先すべきはどちらでしょうか? 今この瞬間にも罪もないおよびブリタニアには、彼らを解放する力があります。皆さん、どうか我々と共に中中華連邦の民や、占領されている地域では圧制が敷かれていると伺います。我々日本華連邦・ジルクスタン解放の為の戦いにお力をお貸しいただけないでしょうか?』

 国民に頭を下げるブリタニア帝国皇帝・上帝陛下。御帝。

 陛下方に頭を下げさせるな。我々は陛下と共に戦うぞ。

 大日本帝国万歳!!

 上帝陛下万歳!!

 御帝万歳!!

 オール・ハイル・ブリタニア!!

 各地で響く怒号と共に、大日本帝国陸海空海兵隊四軍は全軍を出撃させ、まず南天に与した者への制裁と言わんばかりに、三日で大清連邦。高麗共和国を滅ぼした。

 この時投入された戦力は第7世代KMFウィンダム7,000騎、第8.5世代エナジーウィング機400機、第9世代KMF紅蓮聖天八極式80騎、ランスロット・アルビオン100騎、フリーダム120騎。

 作戦機10,000機、戦艦4艦、主力水上艦艇750艦、潜水艦160艦、12個空母戦闘群・12個遠征打撃群、戦車50,000両(南天との軍拡で大幅に増勢されている)装甲車70,000両、戦闘用VTOL3,500機、浮遊航空艦600艦、各種支援車両120,000両を一気に展開(北側の大陸沿いにも)

 このままの勢いで12,000,000万人の兵を派遣した日本軍は、後続として派遣されてきたブリタニア軍とインド軍区で合流。インド洋に50個空母戦闘群を展開しこれ以上の南天軍の攻撃を防ぐためと、南天海軍と激突。

 南天軍の七天こそ取り逃すも13艦撃沈。3艦隊大破の大ダメージを与えて南天海軍を撤退に追い込む。

 ただし、日ブ連合軍も被害は少なく無く、50個の内8個群を撃沈ないし大破させられた。これは痛手だったが本国では増産に次ぐ増産が為されているとか。

 同じことは南天にも言えるため痛み分けと言えよう。空はほぼ同世代、一部は日ブが一世代先の戦闘機だったため、南天軍に後れを取ること無く圧勝。

 KMFは8.5世代騎と9世代騎の数と質にものを言わせた日ブ軍が優位に進めたが、さしもの南天軍もやられてばかりでは無く、逆に日ブ軍が危ない局面も何度かあった。

 そこへ颯爽と現れた一騎のKMF緑と白と青のカラーリングが施された第9.5世代機という異色の機体が全方面刃状粒子弾や、二丁のスーパーヴァリスを振り回し。巨大なSMVSを振り回し敵を真っ二つにしていく様が幾つもの戦場で見られ。

 その美しさと圧倒的強さから、ブリタニアの戦女神と呼ばれる。その速度は戦闘機以上に速く、普通のKMFの二倍以上の大きさ。スーパーヴァリスの威力も通常のものとは段違い。

 とてつもなく強力なシュタルクハドロン・レイ。オマケに燃料切れが無いのかずっと戦場を飛び回り、戦車、KMF、戦闘機、浮遊航空艦に軍艦さえも刈り続けている。

 誰が騎乗しているかは不明なものの、その圧倒的強さは大いに士気を高めさせ、絶望の淵にいた中華連邦軍を立ち直らせていった。

 

 終局


 28,000,000人の日本ブリタニア連合軍のとてつもない強さに勇気づけられた中華連邦軍は共に、進軍を開始、インド軍区西部を完全解放。

 追って、アフガニスタン地方パキスタン、同盟国ジルクスタンを次々と解放していく。この間、南天軍との大きな激突が何度となくあり、犠牲者は増大の一途を辿ったが、最後に南天軍をペルシャ軍区から押し返したとき、戦場は歓喜に包まれた。

『数の南天』に我々は勝ったのだと。もちろんそこには大日本帝国と神聖ブリタニア帝国の協力と、そして大きな犠牲があったことは言うまでもなかった。その犠牲を胸に生き残った彼らは明日を、生きていかなければならないのだ。

 史上最大の戦争第一次世界大戦はこうして幕を閉じた。北側・南側、双方まだまだ余力を残したまま。


 戦後


 第一次世界大戦は謎のKMFの活躍もあり、終結を向かえたが、各国軍の被害も無視できない物となった。日本やブリタニアでさえも500,000万人以上の死者行方不明者を出したのだ。

 それだけ『二つ名』の超大国と戦う事はリスクを負うと言うことを教えられ、戦後は間もなくブリタニア帝国の仲介により大日本帝国の対中敵国条項は削除され、ジルクスタンと中華連邦は復興の道へつく。同時に両国の北側諸国同盟への加盟に繋がっていく。

696休日:2023/05/31(水) 15:33:58 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
以上です。
レス返しです。

>>646二二三様
答えになるか分かりませんが、概要を投稿します。

>>647トゥ!ヘァ!スマホ様
桁違いの数値をお見せできるか分かりませんが投稿します。

>>648ハニワ一号様
正直慣れないですがアドバイスを頑張って取り入れてみました。

>>649
全軍の損害です各国軍合わせて出します。

>>654
ラウンズは投入されておりますね。

>>676
馬鹿男爵がシンクちゃんがローゼンクロイツ伯爵家(私の設定では上位伯爵家です)の令嬢とは知らずに楽しんだ一夜でしたか
従者はこの不敬を謝り倒しているようですが
これで馬鹿男爵はモニカを託されているクルシェフスキー侯爵家への不敬罪(モニカ皇女への不敬罪)、リーライナ次期上位伯爵家ヴェルガモン家当主に舐め腐った不敬罪、ローゼンクロイツ上位伯爵家令嬢シンクへの不敬罪、三つの不敬罪が生まれたわけですね。
それも最悪な事に全員上位貴族、一人は本当は皇族。普通に考えたらお取りつぶし程度ではすみません。

>>689
リーライナ、モニカに今回ローゼンクロイツ伯爵家のシンク嬢が足されたようですけれど。
まずお三方は許して、ご実家の方が許しても、その子の貴族から許される事は無いので経済制裁を受けます。
たかが不敬くらいでと言いますがブリタニアは絶対的階級制度の国です。男爵如きが上位伯爵以上の貴族に不敬を働いてお咎めなしで済むほどに優しくはありません。
とくにハニワ氏の仰るようにモニカの場合確かに本人が許しておりますが、クルシェフスキー侯爵は絶対に許しません。
なぜならクルシェフスキー侯爵は信頼されてモニカ‟皇女”を託されているからです。
そのモニカ皇女に不敬を働かれて黙っているほど優しい侯爵ではないのは、幼少期の教育に出ているのです。皇室教育と同じ程度の教育をしていたというところにモニカへの愛情とモニカ皇女への敬意が隠されている訳です。
結果的にそのような形となりましたが、ことはモニカが許すと言いましたでは済まないんです。同様にリーライナが許すと言いました、シンクに不敬は働いていませんですむほど、ブリタニアの階級制度は甘くありません。
確かに皇帝陛下は「本人が許すと言っているのだから良い」とお許しになっておりますが、繰り返しになりますがクルシェフスキー侯爵にしろ、他の二家にしろそう簡単に許されるほど階級差による不敬の罪は甘くありません。

>>690
ですね。「皇帝陛下も許すと言いました」がつうようするはずがないんです。モニカの養父であるクルシェフスキー侯爵は絶対にロズベルト男爵家をゆるしません。
ヴェルガモン伯爵は許しましたがあれもどうせ私が何かをするまでも無いという意味が隠されております。クルシェフスキー侯爵の場合は絶対に許しませんが。
ついでに今回シンク嬢へ働いた不敬もローゼンメイデンの原作通りなら娘を愛するお父様が娘への不敬を許すはずがないんです。
そでに三人の上位貴族一人は皇族に不敬を働いて馬鹿男爵がこのままで居られるわけがありません。本国の出頭要請を無視している辺りから日本亡命を考えているかもしれませんが。
日本にはアッシュフォード公爵や他の皇族方が多数おります。そう簡単に日本に逃亡も出来ないでしょう。
上位の貴族が下位の貴族を無礼討ちにするのは普通なので、馬鹿男爵は本国に連れ戻されたらクルシェフスキー・ヴェルガモン・ローゼンクロイツの三家から無礼討ちに合うかも知れませんね。
三家とも男爵家とはあまりにも階級差がありすぎますしここでなあなあで済ませる訳にも参りません。

697トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/31(水) 15:59:22 HOST:dw49-106-174-233.m-zone.jp
乙です

双方合わせて2400万ほどの犠牲者でしょうか。
一度の衝突で出る被害としては余りにも大きいですね(汗)

あとジルクスタンは被害数見ると七割方消えてますね…

698二二三:2023/05/31(水) 16:43:06 HOST:KD106154150184.au-net.ne.jp
2000万くらいですよ……なんにしろとんでもない人数ですが。冷戦構造になってる理由がわかりますね
北南が激突したときの他の列強や中小国の被害が恐ろしいことになりますわ

699二二三:2023/05/31(水) 16:54:04 HOST:KD106154150184.au-net.ne.jp
これよく見るとジェノサイドが起きてる6000万人が浄化されてますわ。恐ろしいな

700トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/31(水) 16:57:22 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
あ、ほんとだ。2000万くらいだ。
失礼。見間違えてました(汗)

701二二三:2023/05/31(水) 17:01:39 HOST:KD106154150184.au-net.ne.jp
いえいえそれより6000万人の民間人が『浄化』されてる方がヤバいですよ

702二二三:2023/05/31(水) 17:05:22 HOST:KD106154150184.au-net.ne.jp
これホロコーストや共産主義の大虐殺以上じゃないですか?
クリエイター=Lの言う人形って本当の意味で人形なんですね遊んで壊してもう滅茶苦茶だ
使途になった者には優しい様子ですけど

703トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/31(水) 17:07:25 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
まあ既に中東で同じこと起こってましたし、これまで征服された地域でも同様のこと起こっていたでしょうから…

むしろこの短時間で6000万殺せのが凄いですね。
民族浄化専門部署でもあるのかな?

704二二三:2023/05/31(水) 17:09:45 HOST:KD106154150184.au-net.ne.jp
あるいは殺戮のギアス、破壊のギアス

705二二三:2023/05/31(水) 17:13:59 HOST:KD106154150184.au-net.ne.jp
外伝でオリキャラが南天召喚してクリエイター=Lの使徒になって発現させたギアスが強力なギアスだとクリエイター自身嗤っていたあのギアスとか

706トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/31(水) 17:16:02 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
人口分府的に余程馬鹿範囲のギアスでもないとこの数は難しいでしょうね。

6000万人が一箇所に集まっていたわけではないでしょうし。

707二二三:2023/05/31(水) 17:16:55 HOST:KD106154150184.au-net.ne.jp
殺戮のギアス部隊とか処刑用の部隊もあるかも

708トゥ!ヘァ!スマホ:2023/05/31(水) 17:18:31 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
手際が良すぎるのでその手の浄化専門部隊が大量にいたか、九州破壊砲みたいので地域ごと消滅させたかあたりなのかもしれませんね。

709二二三:2023/05/31(水) 17:28:45 HOST:KD106154150184.au-net.ne.jp
そう言えば開戦前に言ってますね「浄化しろ」と

710二二三:2023/05/31(水) 21:46:36 HOST:KD106154150184.au-net.ne.jp
今更ながら。
戦場にあられれた謎の機体はこれでしょう

名称:フリーダム=フローレンス、またはフリーダム・フローレンス。

所属:ブリタニア

開発:大日本帝国先進技術研究所

世代:第9.5世代(性能は余裕で10世代でもいいが、これを10世代の基準にしてしまうとKMF騎乗手がいなくなる)

パイロット:モニカ・クルシェフスキー

全高:11.25

重量:20.17

最高速度:マッハ3.75

武装:次世代型エナジーウィング(実験用)、スラッシュハーケン×4、MVS×2、スーパーヴァリス・レイ×2、シュタルクハドロン・レイ

機関:インフィニットドライブ(ユグドラシルドライブとは根本的に異なる、F兵器の莫大なエネルギーを元に研究された永続稼働を可能とする機関、ただし人間が騎乗するため永続稼働は不可能)

航続距離:事実上の無限。

実用上昇限度:20,000m以上は確実ながらそれ以上も可能。

圧倒的機動力・速力に対応するため、パイロットは人間の限界を超える訓練を。

大日本帝国先進技術研究所にて受けている。

パイロットはモニカ・クルシェフスキー。彼女以外にこの期待は乗りこなすことは現時点で不可能。

等々、先進技術研究所はお化けを作ってしまいました。

711名無しさん:2023/05/31(水) 22:35:29 HOST:opt-133-123-183-143.client.pikara.ne.jp
乙です。
こんなことありそうですねえ。

712ハニワ一号:2023/06/01(木) 00:18:05 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
乙です。
休日ギアスの第一次世界大戦が2022年6月16-2023年8月25日という事は約1年2ヵ月に渡って戦いが展開されたのか。
そして約6000万人の民間人が南天によって虐殺ですか・・・。(戦慄)

>>696
休日さん、数字は細かく入れる必要はありませんよ。
自分やトゥ!ヘア!さん、二二三さんのレスを見ればわかりますが例えば「1千万人」を表記する時は「1000万人」と表記すれば十分ですよ。

そして馬鹿男爵は無礼討ちという事実上の死刑ですか。当然の罰ですね。
馬鹿男爵の事ですから見苦しく騒ぎそうなのが目に見えますね。

713二二三:2023/06/01(木) 02:27:23 HOST:KD106154150184.au-net.ne.jp
でも危険だからと全面戦争に踏み切れないもどかしさ南天て最低ラインでF号兵器5万発以上保有してるんでしょ?
多弾頭ミサイルも保有してるし飽和攻撃も可能
南天だけでも世界を7回以上消し飛ばせるてとんでもない

714二二三:2023/06/01(木) 02:35:41 HOST:KD106154150184.au-net.ne.jp
こんな状況じゃジェノサイドの罪も問えないしどうせ南天勢は負けてないから賠償もなにもする義務は無いと突っぱねてくるだろうし
実際前線ラインが戦前まで戻っただけですからね

救いといえばジルクスタンと中華連邦が北側諸国同盟に加盟することになったこと、南天の使い走りになっていた清と高麗を滅ぼせたこと

ただ日本ブリタニアがその清国と高麗の現役を手に入れたことをどう扱うか

715二二三:2023/06/01(木) 02:37:27 HOST:KD106154150184.au-net.ne.jp
馬鹿男爵は米内頼って日本に亡命が唯一逃げられる選択じゃなかろうか?

716二二三:2023/06/01(木) 04:43:33 HOST:KD106154150184.au-net.ne.jp
第一次世界大戦の交戦戦力の南天側にノイエユーロピアってあるんだけど何なんでしょうね

717二二三:2023/06/01(木) 10:33:35 HOST:KD106154148040.au-net.ne.jp
しっかし激突した勢力数がヤバいね。三大『二つ名』超大国とその勢力圏の多く
南側は全部参戦してるんじゃない?北側は日ブ参戦だし
一応列強の中華連邦がまるでついて行けてない

718二二三:2023/06/01(木) 10:36:22 HOST:KD106154148040.au-net.ne.jp
これよく南側はF号兵器の使用を自重したね
本心では使いたかったろうに

719二二三:2023/06/01(木) 10:37:15 HOST:KD106154148040.au-net.ne.jp
自分ばっかし書き込んでるけど大丈夫なん?

720休日:2023/06/01(木) 23:59:17 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
>>699二二三様
6000万人が浄化されています。教化か浄化で中華連邦の人たちもジルクスタンの人たちもNOを突きつけました結果起きた悲劇です。

>>700トゥ!ヘァ!スマホ様
約2000万ですね

>>703
自分たちから調伏されていった地域以外ではジェノサイドが起きています。

未登場のギアスの力と無理矢理神に帰属させる調伏部隊の力ですね。

>>709
開戦前の浄化しろは酷い話皆殺しにしろですから。

>>710
金髪の美女(正体は皇女)なのでしょうかすっとぼけ。

>>711
南天の欲している物が中華連邦とジルクスタンに存在している以上は避けられませんね。

>>712ハニワ一号様
1年2ヵ月で済んでまだよかった方です。南天が徹底してやるなら3年とか長引いていた可能性もありますし国境線で攻防を繰り返したり一進一退
この手の虐殺は中等でも、古くは麩菓子アフリカや、イエメン、大洋州連合でも起きています、マダガスカルでも。
逆に中央アフリカ以南の諸国は自ら調伏されていったので虐殺は起きていません。
まず創造主クリエイター=Lは自らの意思で使徒とならんとするものにはとても優しいです。

数字を細かく入れなれてますから難しいですが挑戦してみます。

まず馬鹿男爵が不敬を働いたのは現時点でクルシェフスキーを筆頭にヴェルガモン、ローゼンクロイツです。そしてすべてにおいて許されております
シンクは怪しいですが。モニカは本人が、リーライナも本人が許すと言いました。ヴェルガモン伯爵は無慈悲ですがどうせこうなるとわかっていて許しました。
ローゼンクロイツ伯爵は娘と息子ジュンを猫かわいがりしており狼藉を働くものを許しません。
シンクは父に伝えるそぶりを見せておりますが彼女の性格上麻生外務大臣の方に伝えるかもしれません。
いずれにせよ不敬罪が成立します。そしてクルシェフスキー侯爵が許す事100%ありません。
皇帝陛下の筋より信頼して預けられた養女(実は皇女)をペンドラゴンの大通りで侮辱されたなどと言う許されざる行為に怒り心頭です。
子の貴族たちも殺気立っており、クルシェフスキー経済圏に入るだけでも命がけです。
仮にクルシェフスキー、ヴェルガモン、ローゼンクロイツの三家が皇帝陛下の言通り「本人が許すと言っているのならそれでいい」をそのまま受け取ったとしましょう。
その場合三家の経済圏から経済制裁を受けてカンザスの田舎のさらに田舎に約1000人ほどの領民を持つ超小貴族男爵家では太刀打ちできません。
一応モデルアリのオリキャラとして出したローゼンクロイツ上位伯爵家は領民約630万人の大貴族です。三家の中では一番格下ですが第五女のシンクは日本の外務大臣と結婚しております。それでこれです。
クルシェフスキー侯爵家、ヴェルガモン伯爵、ローゼンクロイツ伯爵家、各家には当然‟子”の貴族がたくさん存在します‟子”の貴族が‟親”の貴族家の次期当主やお嬢様に不敬を働かれて黙っていると思いますか?
ロズベルト家はこの三家に不敬を働きました。本来は無礼討ちのところを皇帝が木っ端貴族のやることに目くじらを立ててもと場を収めました。それで助かっただけです。
そして最悪な事に馬鹿男爵の馬鹿を決定づけた学力のなさ「子爵から上の貴族を知らない」これが拍車をかけてブリタニアからの期間命令に応じません。本心から自分こそ上位貴族の大貴族だと信じているのです。

そして今日ここでさらなる敵を増やします。

>>713
南天はF号兵器を5万発以上保有しておりその気があれば世界を消滅させられます。

>>714
清国と高麗の領土は本音のところ日本もブリタニアもいりません。ブリタニアは日本に投げる気で日本はブリタニアに投げる気です

>>715
できません。シンクに手を出した以上日本の外務大臣を敵に回しましたから。ただでさえアッシュフォード公爵のおひざ元です。おまけに日本の大使や大使補佐官、学生の中にもブリタニアの皇族が居ます。

721休日:2023/06/02(金) 00:00:46 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
息抜きに何の意味もないバカネタを投稿。
本当は島田さんとモニカの甘いお話を書く予定でした。

722休日:2023/06/02(金) 00:01:48 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 勘違いした田舎者 ある家の下女




 私の名はフランク・ロズベルト。カンザス州の端の方に領地を持つ大貴族だ。私には1500人もの領民が居るのだぞ? しかも階級は高貴なる男爵位。

 一人称を私にしたのは貴族としての品位を保つため。どうだ似合っているだろう? 私は平民どもではどうあがいても到達する事の叶わぬ身の上なのだ。

 そんな私は我が盟友ヨナイ卿の誘いで日本を訪れている。日本にも華族なる貴族階級が居ると聞いたがとんと出逢わんな。


 ──お、おい、カレン、お前買い過ぎだって──


 ──ショッピングしてるんだから買い過ぎは当たり前よ──


 ふと前方のショッピングモールで立ち往生している男女二人組を見かけた。

 ここは天下の往来、邪魔ではないか。

 私はその二人に近づいて行った。

「おい! そこな下男、下女!」

「へ? 下男って俺の事?」

「げ、下女って私の事なの?」

 肩までで切りそろえられた赤い髪の下女。彼女は明らかに私よりも年下だ。もう一人の下男らしき男は私と同年代なのだろうか。

 二人そろってこの様な天下の往来ではた迷惑な。私はもう二、三言ってやろうと、下女の胸ぐらをつかみ上げた、む、大きな乳をしておるではないか。

 ふむ、顔立ちも美女の部類に入る。これは先物買いとしておこうか。

「おい下女、貴様名は」

 私が下女に話かけた瞬間、左右からサングラスをかけ、ビジネススーツを着た平民が近寄ってきて。

「貴様、先ほどより聞いていれば無礼千万な。こちらに居られるか方をどなたと心得ておるか」

「ただの平民であろうが」

 普通の衣服を着て、ショッピングモールで買い物をするただの、うむ、顔は似ておるから兄弟と言ったところか、その程度だろう。

 そこへ。

723休日:2023/06/02(金) 00:02:23 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp


 ──ナオトさーん大丈夫ですかー荷物ー──


 髪全体が後ろへと流された好青年といった雰囲気の男が、短い茶髪の女を連れて歩いてきた。

「ま、マリーカさん、これ、買い過ぎですよ、勘弁してくださいよ、ちょっと女の子見ただけじゃないですか」

「ちょっとー?ちょっとですって!? レオンだいたいあなたは私と言う者がありながら目移りしすぎなのです!!」

「はあああ、まーたレオンの浮気性の始まりかァ」

「兄さん彼女いないものね。そういう意味では気楽でいいじゃない」

「気楽じゃないよ。母さんが次々婚約者候補を選定しているんだ。近々見合いだよ」

 むううう、向こうからやってきた下女も容姿はかなり整って居るな。唾を付けておこう。

「そこな下女、我が家に仕えぬか? それなりの給金も出そう。一家食べていけるだけは稼げるぞ? 無論、私の夜の相手もして貰うがな」

 そこまで言うと。私の従者が止めに入った。何やら方々に頭を下げ、特に下女共と下男共には土下座を始める。

 そして私にまで謝罪を強要してきたのだ。何を謝罪する必要があるというのだ。

 なに、カレン・シュタットフェルト様に、ナオト・シュタットフェルト様。

 マリーカ・ソレイシィ様に、レオンハルト・シュタイナー様だと?なぜこんな下々の者にこの私が、男爵たる私が頭を下げなければならない。

「無礼な。下女呼ばわりされるいわれはありません」

「マリーカマリーカ、そんなアホ相手にするだけ無駄よ」

「でもカレンさん、私たち下女って呼ばれているんですよ。無礼千万にもほどがあるでしょう」

「無駄なんだって、コイツ、シュタットフェルトの名前にもソレイシィの名前にもシュタイナーの名前にも反応してない。ブリタニアの貴族だとしたらただのバカだ」

「な、ナオトさん、それは言い過ぎでは」

「レオン、荷物崩れるぞ」

 私の従者が『シュタットフェルト辺境伯家、ソレイシィ辺境伯家、シュタイナーコンツェルンの御方々です!絶対に非礼を働いては!!』うるさいこの下女はつれていく。

「来い下女」

 赤い髪の下女の腕をひっぱった処で、次々とサングラススーツの男と女が出てきた。

「貴様! カレン様、ナオト様、マリーカ様、レオンハルト様に対し先ほどより不敬にもほどがあるぞ!!」

 私が引っ張った赤い髪の女に私は。

「さっきっから人の手を気安く触ってんじゃ無いわよっっ!!」

 思い切り空中に放り上げられて蹴りを入れられた。

 ずざざざーっ。

 四、五メートルほど引きずられたところで止まった私。

724休日:2023/06/02(金) 00:03:05 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp

 なんと、なんと無礼なっ!! ここが日本で無くブリタニアであったならば、その場で無礼討ちにしてやるものを! 己、覚えたぞ!その顔と名カレン・シュタットフェルトぉぉっっ!!

「申し訳御座いませんっ、申し訳御座いませんっ、我が主人は物を知らなすぎて――」

「知らないで済まされないこともあるんだけど。どーすんの? あんたんとこうちらと戦争でもしたいわけ」

「戦争するなら容赦しませんよ」

「うちのじゃじゃ馬怒らしたら怖いぞ」

「ソレイシィ辺境伯家の敵はシュタイナー家の敵です」

「申し訳御座いませんっ、本当に申し訳御座いませんっっ!!」

 土下座を繰り返す従者に呆れて、彼らはその場を去って行った。



「貴様はっ、貴様はッ!! あのような下々の者どもに土下座を繰り返しおってッ!ロズベルト男爵家の品位を穢すつもりかあああッッ!!」

 私はホテルの一室で従者を蹴り上げる。従者は鼻血を出しながら奴らにしていたように土下座をしてくるので私は毒気を抜かれた。

 それにしてもシュタットフェルト辺境伯家、ソレイシィ辺境伯家、シュタイナーコンツェルンの跡取りと階って居ったな、あの下々民共め。

 奴らの素性を調べ上げることなどこのブリタニアの大貴族、ロズベルト男爵家の当主フランク・ロズベルトに容易いことなのだ。覚えておれ。

725休日:2023/06/02(金) 00:06:29 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
一人称や言葉遣いを変えようと性根は変わりません。

まして相手はシュタットフェルト辺境伯にソレイシィ辺境伯家、シュタイナー家の方々。さあどうなるやら。

726トゥ!ヘァ!スマホ:2023/06/02(金) 00:17:03 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
乙です

なんというか無知っては怖いものですねぇ

727休日:2023/06/02(金) 00:23:49 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
ましてやこの度公式にモニカが皇女であることが判明しておりますしこのお馬鹿で傲慢極まりない貴族はどうなるやら

考えられるパターン。
1.お家のおとりつぶしのみ。
2.シャルルの気が変わって族滅。
3.馬鹿男爵の逮捕と無礼討ちのみという極めて穏当なケース。
4.シャルルの言葉通りおとがめなし。しかし各大諸侯からの経済制裁と下位貴族の社交界から白い目で見られる。いずれにせよクルシェフスキー・ヴェルガモン・ローゼンクロイツ・シュタットフェルト・ソレイシィ・シュタイナーからの締め出しにあい早晩お家はつぶれます。

728休日:2023/06/02(金) 00:26:56 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
>>726
貴族社会でましてや絶対的階級社会のブリタニアで誰もが知っているほど有名な貴族を知らないなんて許されませんからね。

729ハニワ一号:2023/06/02(金) 00:31:55 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
乙です。
馬鹿男爵はさらに有力貴族たちを怒らせてますね。
先代の男爵が知ったら絶望のあまりショック死するんじゃ・・・。
馬鹿男爵がここまでやらかしているからに孫娘は名前を変えてもブリタニアじゃ生きづらそうだから外国に養子に出した方が良くね。

730休日:2023/06/02(金) 00:31:59 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
モニカのやさしさを考えるなら自分への不敬や悪口は何度だって許すでしょう。
しかし民への暴力は間に合わなければその場で、間に合えば一度だけ制裁を許してくれるでしょう。
それだけ慈悲深いモニカを一度は怒らせてますからね。

731ハニワ一号:2023/06/02(金) 00:35:56 HOST:124-144-118-224.rev.home.ne.jp
>>727
馬鹿男爵の馬鹿ぶりと無知さは族滅されても当然としか。

732トゥ!ヘァ!:2023/06/02(金) 00:49:41 HOST:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp
まあ一般貴族からすれば関わり合いたくないでしょうしねぇ… >>男爵のところ

733休日:2023/06/02(金) 00:56:24 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
>>729ハニワ一号様
クルシェフスキー・ヴェルガモン・ローゼンクロイツ・シュタットフェルト・ソレイシィ・シュタイナーそうそうたるメンツです。
しかもシュタイナー以外はすべて領地持ちの経済圏持ちの上位貴族ばかり。
孫娘は一族の仇討か。外国で暮らす道しかありませんね。厄介なのは大元の親の貴族が許しても子の貴族が許さないケースなんですね。
これ最悪なことに名前が挙がってるのシュタイナー家を除いてみんな大諸侯ばかりなんですよ子の貴族の数も比例してとんでもない人数になる。
馬鹿男爵が日本に逃げたまま第一次世界大戦に参戦、大将首でも挙げたのならあるいは……

734休日:2023/06/02(金) 01:00:33 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
モニカ皇女に不敬を働いた、大諸侯たちに不敬を働き続けた、普通死罪ですよこんなの。
族滅対象に指定しなかったシャルルの穏当な処置。(なお問題は当事者間で解決せよ)

735休日:2023/06/02(金) 01:05:17 HOST:115x125x17x146.ap115.ftth.ucom.ne.jp
今度時間があれば馬鹿男爵が敵に回している貴族の勢力図でも作ってきます。
それではお先に失礼します。
ハニワ一号様のアドバイスを取り入れて数の形を少し変更しましたが中々慣れないですね。
慣らしていくしかありませんが。

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