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中編以上のネタの書き込み【架空戦記版】 その12

964yukikaze:2014/10/13(月) 14:55:23
まず最初に、彼らは東条の戦争責任を断罪したのだが、それに対する東条の反論は激烈だった。

・ 国家の戦争行為の責任を個人にきせるなど、今までの国際法上聞いたことがない
・ 仮に責任を問うというならば、それは自国によって裁かれるべきものである
・ 東条は、平和を祈念される天皇陛下のご意思に背き、戦争を指導し且つ日本を敗北に導き、国民に
  苦難を与えてしまった。ならば日本国民によって敗戦の責を裁かれるのが筋である
・ 仮に個人の責を問うというのであれば、中立条約を結んでおきながら、火事場泥棒をした
  スターリンの戦争行為の責任を貴国らは問うのか

舌鋒鋭く問い詰める東条の姿は、まるで戦場に立つ鬼将軍の姿であったと、当時傍聴していた新聞記者
が手記に残しているが、これ以降も東条は、日本国民に対する責任を認めながらも、執拗に戦争責任を
攻撃する連合国各国に対して一歩も引かない戦いを演じてのける。
最大の場面は『日本の計画的侵略性』として中華民国が掲げた『田中上奏文』を全くの陰謀偽書として、
合同調査団による調査で、それを立証させたことである。
これにより中華民国は国際的に大きな恥をかくことになり(一方で、計画的な侵略性ではなく、単に
日本の政治、軍事双方での戦略的無定見性による戦争であったことが明らかにされ、日本の評価も
相応に下落したが)、その他の彼らの証言のあいまいさやいい加減さも相まって、連合国からすら
「中華民国が喋れば喋る程、碌な事にはならない」と、中華民国への信頼感を最低限レベルにまで
叩き落すことになる。

裁判が中盤になると、もう検事たちも東条を「法廷の素人」などとは取り扱おうともしなかった。
論理に少しでも矛盾があれば的確にそこを突かれ、自白による証言も、結果的には巣鴨の劣悪な環境と
取り調べの違法性(誘導尋問や拷問等)がクローズアップされることになり、「公正な裁判」ではなく
「負け続けていた国の腹いせ」というイメージが国際的にも形成されつつあったのである。
カミソリ東条の面目躍如というべきものであり、ウォーレスからすれば「だから言ったろうが」
という気分であったのだが、だからと言ってウォーレスは手助けするつもりもなかった。
あくまで従来の戦争犯罪に焦点を絞って、俘虜問題や占領地行政問題で得点を重ねていたアメリカ検事
の行動は、結果的に「アメリカは比較的公平だが、他の連合国は不公平」という認識を日本国民に植え
付けさせており、ウォーレスにしてみれば彼らが醜態を晒せば晒すほど都合がよかったのである。
今なお極東軍事裁判において、アメリカ側の担当した案件については、日本人も大多数が納得して
受け入れている辺り、アメリカの法廷戦術は大成功したと言っていいだろう。

一方、それとは対照的に、加速度的に印象が悪くなっていた他の連合国は、問題発言を繰り返していた
フィリピンと中華民国の担当検事を事実上更迭させることを余儀なくされるなど、法廷でも劣勢に
たつ体たらくであった。
特に中華民国は、大陸での邦人虐殺事件、満州、支那での無差別テロが、満州事変以前や停戦協定以降も
頻発していることが一次資料を持ち出して糾弾される(資料提供については日本政府は全面的に協力
している)など、藪蛇を突いてしまうという失態を演じている。
如何に中国が「レジスタンス活動」といっても、女子供まで虐殺しているそれをレジスタンスと呼ぶのか
という東条の質問に、質問を向けられたフランス代表が、東条ではなく中華民国代表をにらみつけると
いう一幕すらあった。

東条を嫌いぬいていた日本国民も、一部の陸海軍軍人や政治家たちの責任逃れの言動とは一線を画した
東条のこの態度に大いに溜飲を下げ「東条も最初からこういう風に戦争指導していりゃよかったんだよ」
位には評価が好転し始めることになる。(そして阿部はこうした風潮に対して『現金なものだ。東条が
どんな思いで戦っていると思うんだ』と、親しい人物に不快感を示している)




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