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中編以上のネタの書き込み【架空戦記版】 その12

961yukikaze:2014/10/13(月) 14:54:07
台風で暇を持て余したんで投下。

暗く細長い通路を、男は無言で歩いていた。
以前は無愛想なMPが両脇にいて、彼を罪人よろしく扱おうとしたのだが、
男の冷ややかな視線に耐えきれず、今では男の後ろを歩いているに過ぎない。
それが男にとっては実に噴飯ものであった。
全く情けないものだと。所詮、連中は抵抗できない人間にしか強い態度は取れないのだろう。
あの戦争で負け続け馬脚を現した連中に相応しい精神ではある。

もっとも、男にとって現状が不快なのは間違いなかった。
今日もまた男にとってバカげた一日が始まろうとしているのだから。

  戦後夢幻会ネタSS――「たった一人の戦場」

所謂戦争犯罪人の処罰に対して、アメリカ側の日本への態度はドイツの時のそれと比べると
極めて消極的なものであった。
無論それは日本の戦争が正義の戦争であったと認めたからではない。
アメリカ側は日本の行動を侵略戦争であると断じており、当時の国際的枠組みを自らの手で
破壊したことについては徹底的に糾弾をしていた。
しかしながら、それはあくまで国家に対する糾弾であり、個人に対する糾弾であっては
ならないとウォーレスは考えていた。
仮にそれが認められるとしても、それは事後法としてではなく、国際条約で認められて以降
に行わなければ意味がないと考えていた。
ウォーレスにとって裁判とは、法に基づいた罪を裁く場であり、間違っても国家による
復讐劇に使われてはならないと考えたのである。
そうでなければ裁判そのものの価値が地に落ちるからである。

だが、このウォーレスの考えは、連合国内では全く賛同を得られなかった。
彼らにすればドイツを事後法で裁く以上、日本に対して例外を認める必要性がないと返した
のである。特に中華民国は「日本の侵略はナチスのホロコーストに匹敵する歴史的な罪である」
と厳しく糾弾し、オーストラリアやオランダもそれに同調した。
勿論彼らが、裁判の名のもとに報復を行おうとするのは明らかであった。
ウォーレスは彼らに対して「我々は日本の国家的罪を許した訳ではないし、彼らが国際条約に
反して行った行為に対しても許すつもりもない」と説得したが、彼らは聞く耳を持とうとは
しなかった。彼らの後ろにはそれぞれの国の「世論」というものがあったからである。




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