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中・長編SS投稿スレ その2
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未来人の多元世界見聞録 第24話
賛美歌が鳴り響く中、次々に勝手に崩壊していく武装勢力の基地とその兵器群。常識を足蹴りにする光景に
誰もが絶句し身動きが取れない。
「おお、神よ……」
神の御業とでも思ったのか、キリスト教徒の武官が思わず十字を切る。
一方、非キリスト教徒の帝国陸軍中将は、慌てて我に帰ってオペレータに尋ねる。
「じょ、状況は?! 黒旗軍は何か言っていないか?」
「は、はい。あ、黒旗軍から入電です。『引き続き作戦を継続する。逃げ出した部隊の掃討を頼む』」
「……連中、最初から最後まで殆ど一人で片付ける気か?」
目の前の敵には戦う力どころか、逃げる力さえ残されていない。いや力どころかそんな気力すらあるか怪しい。
「これでは道化ではないか……」
彼らにできるのは、指をくわえて黒旗軍が残敵(?)を叩くのを見るだけだった。
司令部の人間が呆然としているのと同様に、前線部隊の将兵も想像を絶する光景に、瞬き一つできなかった。
「な、な……何が?」
神に対して信仰心など持ち合わせていない人間であっても、『神の奇跡』と言われれば納得してしまいそうな
光景を見て、まりもは声がまともに出ない。
先ほどまで元気に黒旗軍を罵っていた軍人も目を見開き、口を半開きにして茫然自失といった様相だ。
「……こ、これが黒旗軍の戦争だっていうの? いえ、もはや戦争ですらない」
まりもは自分達地球人類と黒旗軍の間にある絶対的と言っても良い差を理解した。
(人類なんて黒旗軍のさじ加減一つで簡単に絶滅させられるちっぽけな存在でしかない。黒旗軍に毒づく軍人達
など嘲笑の対象にすらならない。路傍の石、いやそれ以下……)
そんなまりも達にさらなる精神的追い討ちがかけられる。
「あれは……天使?」
まりもの視線の先には、かつて基地があった土地の上空で飛び交う多数の天使の姿があった。
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