したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

中・長編SS投稿スレ その2

1名無しさん:2011/02/24(木) 02:44:38
中編、長編のSSを書くスレです。
オリジナル、二次創作どちらでもどうぞ。

前スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1296553892/

403New ◆QTlJyklQpI:2011/02/27(日) 00:05:16
おまけに京都放棄とか挫折がない故に融通のきかなさも大きい。

404名無しさん:2011/02/27(日) 00:09:21
お疲れ様です

烈士()から烈士(アホ)になってきたな〜www
日本だけを支援してくれる便利な存在だとでも思ってるのか
ハッキリと「お前ら絶滅危惧種だから、出来る限り平等に保存と保護を行う」
って言った方が良さそうですね。

将軍が毒見したのに無礼な! ってアンタ、4億いるサルの内の日本の将軍が気を使ったというのに!
と言われても『………だから何?』 って感じですよね〜w

405名無しさん:2011/02/27(日) 00:09:25
軍は優先的に飯とか配給されるからねえ
平民なら家族が苦しいから理解できるが、近衛みたいにお偉い家系だとあんま飢えてないんだろう
身分が違うんだよ、身分が

406名無しさん:2011/02/27(日) 00:10:59
>>399
偉そうじゃなくて偉いんだよ!!
俺たちは偉大な皇帝から信任を受けた将軍の名の下に(ここ重要)生まれたときから偉いんだYO!
おれの言葉は将軍の意思だぞ!!

…という風に育てられてるんだから。つまりスネオ君ですね。
しかもスネオ君みたいに立場を弁えてないから自分がジャイアンのように振舞えるわけです
本音では皇帝も将軍も自分より下としてみています

407名無しさん:2011/02/27(日) 00:11:14
仮にクーデターが起きた場合は国民が立ち上がって解決すれば
「一部の暴走」で黒旗軍からも愛想尽かされないと思う
もちろん武ちゃんのような未来に燃える若者が先頭に立ってですね
黒旗軍ありがとう!というのを前面に押し出して

408名無しさん:2011/02/27(日) 00:11:40
沙霧ですら奥さんが病気になったら=身内が酷い状況に追い込まれたら、現実見て自重したからな。

409名無しさん:2011/02/27(日) 00:14:10
>>405
でも黒旗軍の配給品は合成品じゃないから
乾パンでも「すげえ小麦の味がする!」てな感じで
お偉い家系でも衝撃的なんじゃなイカ?

410名無しさん:2011/02/27(日) 00:15:27
沙霧さん、実はあれでかなり有能だとしか思えないんだけどな
大尉風情であれだけ大きく、かつ不正規に軍を動かしたんだから

411名無しさん:2011/02/27(日) 00:18:27
>>408
まるで駄目なおっさんから、
守るモノがあるから、駄目な状況でも頑張るおっさん
略してマダオにレベルアップ出来るかもだ

412名無しさん:2011/02/27(日) 00:19:09
漫画だと沙霧は鎧衣課長にCIAが裏でなんかやってるのも教えた上で「あなたがやれば被害を抑えられる」って感じのことを言われてクーデターを主導する
立場になったみたいだったな。
どちらにしろ、半端じゃないくらい迷惑な存在ではあるが。

413名無しさん:2011/02/27(日) 00:20:00
沙霧さんはBETAに絶望してリーダーとしてあおっただけに過ぎないからな
クーデター自体キチガイ思想だという事は理解してたけど
「やるなら徹底的にやってしまえ」ということだしね。

414名無しさん:2011/02/27(日) 00:21:20
この状況で自重しないと、むしろ将軍が酷い目に逢いそうなんですが

415名無しさん:2011/02/27(日) 00:22:52
折角毒味でアピールしたのに部下も制御できない無能の烙印が…!

416名無しさん:2011/02/27(日) 00:23:32
まぁ、この情勢下でバカ共がなにかやらかしたら、責任取るのに将軍の首だけで解決しないでしょうね

417名無しさん:2011/02/27(日) 00:23:49
センセのなぜなに黒旗軍心理分析講座(深読みしすぎ・勘違い編)はまだですかw

418名無しさん:2011/02/27(日) 00:25:24
他の人も言ってるが、国家の概念のない個人で成立してる生き物のはずの相手に、
将軍の権威がどーとかこーとか通じる訳ないじゃないか。わかれよ烈士達

419名無しさん:2011/02/27(日) 00:29:05
それがわからないから烈士なんですよ

420名無しさん:2011/02/27(日) 00:30:07
地球の一国家の人間が、自国の宗教が唯一無二で別の惑星でも通じると思ってるようなモンだぞ。

421名無しさん:2011/02/27(日) 00:34:47
実はちゃんと、試食によって黒旗軍(長門・朝倉)内の悠陽様への評価は上がってるってのが救いがない

422名無しさん:2011/02/27(日) 00:35:46
ここの感想幾つか流し読みしたけど、ヘイト・アンチSSの感想掲示板見てる気分になったよ。
少し自重したほうがいいんじゃないか。

423名無しさん:2011/02/27(日) 00:35:51
作中の日本帝国の烈士(笑)を見て朝倉が一言、
「こんな偉そうな乞食は見たことが無い」
と言ったら、とても面白いことになるに違いない。

烈士(笑)の論理
「日本のオルタ7成功で異星人を呼び出したぞ、援助が欲しかったら日本に従え!」
長門・朝倉「米国の方が効率的に援助できそう・・・米国にも拠点を作ろう」
「ファビョーン!日本が呼んだのに、何で勝手に米国に援助するんだ!なめてんのか!」
だもんなぁ・・・烈士(笑)

424名無しさん:2011/02/27(日) 00:36:22
もしかして烈士()様達には黒旗軍が個人だという情報が伝わってないとか?
それか簡単にして説明されておらず「軍」と言う名に長門達が人間らしいから「個」って事を忘れてるとか


まあそれでも異星人相手なんだから価値観の違いがあるだろうに

425名無しさん:2011/02/27(日) 00:38:07
>>417
烈士様()の活躍でせんせーの影が少し薄くなっているように感じているのはきのせいだろうか。
黒旗軍がアメリカに拠点を建設する事が決まってしまったせいで、
帝国から「どうにかならねーのか」とかいう無茶振りされていて大変なんじゃw

426名無しさん:2011/02/27(日) 00:38:18
どこかの半島国家化してるなw
よく考えたら歴史が平安時代ぐらいから違うから儒教の悪い部分だけ影響受けたんじゃね?

427名無しさん:2011/02/27(日) 00:40:26
>>422
深読みして分析したがる人と、感情で物を書いている人が同居しているからな。

428名無しさん:2011/02/27(日) 00:43:31
戦前から成長していないらしいし、こんなものでしょ。
調べれば調べるほど、戦前日本の民度の低さには頭が痛くなるし。

もちろん、戦争に突入したのは、それだけが原因じゃないけどね。

429名無しさん:2011/02/27(日) 00:43:54
そりゃ感情で物事かくの好きな人が流入してるみたいだし
元からいる人もこいつらうぜえとか思ってワザと無茶苦茶正論を書きまくるという
当然便乗するバカも…オレだけど

430名無しさん:2011/02/27(日) 00:44:36
烈士様の存在は、帝国の不安定要素として結構面白い
アメリカのG弾派が完璧に駄目になっちゃったんで彼らに賭けるしか!

431名無しさん:2011/02/27(日) 00:48:15
殺伐としたスレに、恋愛原子核の救援を求めてみる。
主人公殿、ちょっと思いついてみませんか?

「そういえば、恋愛原子核の力って、ウォーゲームユニットのアンドロイドにも通用するのか?」

朝倉「『通達。横浜在住の白銀武という人物が存在した場合、長門中将自らこれに接触すべし。名目は黒旗軍高官による現地視察活動とせよ』……なにこれ?」
長門「ユニーク」

432名無しさん:2011/02/27(日) 00:53:00
恋愛原子核ってエロゲ主人公なら誰でも持ってるスキルだよ
エロゲでも主人公でもなくなった武ちゃんではスキル失効してんじゃね

433名無しさん:2011/02/27(日) 00:56:36
>>432
あれ初代マブラブからの因果情報が原因かもしれない…とゆーこ先生が考察してたなあ

434名無しさん:2011/02/27(日) 00:58:03
上の続き
というわけで因果導体でもなんでも無い武くんには心置きなく幼馴染といちゃついてください

435名無しさん:2011/02/27(日) 01:01:12
というか、むしろスミカと結婚して平穏無事な生活を送って欲しい。
恋愛原子核なんて実際にあったら呪いみたいなもんだろw

436名無しさん:2011/02/27(日) 01:03:22
そうだな…最早BETAの脅威は無いんだから若人たちには明るい未来を邁進してもらいたいものだ

437名無しさん:2011/02/27(日) 01:07:13
つーかこのスレみて思ったんだけどさ、ここってSS投稿スレだよな?
雑談で容量食いつぶす気なん?
作品への感想だけにしろなんて言わないけれど、もうちょっとなんとかならんものか

438名無しさん:2011/02/27(日) 01:10:41
そしてバーナード星系から
「昔、お爺ちゃんが地球に居た頃の話だが」
と孫に黒旗軍という素晴らしい異星の友が居たんだよ、とか語るんだな

439名無しさん:2011/02/27(日) 01:15:56
>>437
>雑談で容量食いつぶす気なん?

そういわれてみれば、その通りだ。
だれか「未来人の多元世界見聞録 感想スレ」立ててくれないかな?
勝手に立てたら怒られるよね?そもそも、立てられるのかも判らないんだけれども。

440名無しさん:2011/02/27(日) 01:16:38
そしてその横で
「その話題は恥ずかしいからやめてほしい」
と無表情で若干頬を染める若いままの長門の姿が

441名無しさん:2011/02/27(日) 01:21:14
立てるならearth氏に許可を貰ってから、の方がいいんじゃね?
一応申し立てをしておいて

>>440
純夏武ちゃんNTRられてんじゃねーかww

442名無しさん:2011/02/27(日) 01:29:23
>>441
娘的なポジションだよきっと!!

そう!いうなればレールガンとくっついたそげぶさんにイン何とかさんが付いてくるように

443名無しさん:2011/02/27(日) 01:43:46
>>437
まぁ諦めれ。自分ももうここは駄目かも?とか思いつつある。
作者がアニメ2次創作談義総解禁を肯定するような作品を連載し出したから、あまりに何でもありになりすぎた。
作者さんも根幹のはずな本編の連載を苦痛に感じ始めてる節があるしねぇ。

444名無しさん:2011/02/27(日) 03:35:06
暫らく経てば元道理になると思います(そう願いたい)。

445名無しさん:2011/02/27(日) 03:52:09
マブラヴの二次SSは人気あるし
世界観がオリジナルと違って想像しやすいから
感想や意見など書きやすいくある意味当然の流れだよ

446名無しさん:2011/02/27(日) 05:57:59
earthさんの代弁者きどりの自治厨もうっとおしい。

447名無しさん:2011/02/27(日) 11:03:01
青の軌跡時代から見てるから二次創作の方が個人的な関心度は高いんで仲良くしといてくれると助かる

448名無しさん:2011/02/27(日) 11:07:54
酷使さまイミフすぎるw
>折角、帝国が世界のリーダーとなるチャンスを手に入れたというのに、日本帝国政府は国内を纏めきれず
>その好機をいかしきれていない。
なんて言ってるくせに
>このままでは諸外国の追い上げによって日本帝国の影響力が低下してしまう……そう憂慮した人間達は
>現体制を打破し、将軍を頂点とした新体制を構築するべきではないのかと考え始めた。 
>今の体制に不満を持つ者はそう言って現体制そのものをひっくり返して、強力な挙国一致体制を構築
>しようと目論んだ。
この有様w
お前らが現政権に協力すれば良い話じゃねぇか、JK

449名無しさん:2011/02/27(日) 11:24:02
うん、それ無理。

連中のは、あくまで将軍が主で、現政権は従。
現政権に協力すると、現政権が主、将軍が従になると思い込んでるから。

450名無しさん:2011/02/27(日) 11:25:50
将軍様主体に政権交代すればなにもかもうまくいくと思ってるから。ガチで。

451辺境人:2011/02/27(日) 11:29:20
いっそ将軍を担ぎ上げて榊首相がそれを補佐するような形式にした方が
まとまるかも。まぁ実質的な指導を榊首相がするんじゃ大して変わらないか
……20歳にもならない女の子に何が期待できるというのか。結局のところ
二二六事件の青年将校と一緒で将軍を名目に自分たちが権力を握りたいだけ
にしか見えないんですよねぇ

452名無しさん:2011/02/27(日) 11:33:46
近衛は特にそうだが、腕に自信があるのに安全な場所にいるからつまらん事を考える余裕がある
まりもちゃんみたいに北海道の泥沼で心身を消耗する戦いしてればそんなこと考える暇もないだろうに

453earth:2011/02/27(日) 13:47:38
スレの消費が早いようなので『未来人の多元世界見聞録』の感想、意見投稿用
のスレを立てます。
こちらでは引き続き皆様からのSSのご投稿をお待ちしております。

454earth:2011/03/01(火) 22:48:15
相変わらず短いですが第22話ができました。
ノリと勢いと妄想で突っ走ります。
それでは、どうぞ。

455earth:2011/03/01(火) 22:48:53
 未来人の多元世界見聞録 第22話


 西暦2005年7月31日、フロリダに新拠点を建設し終わった黒旗軍は地球全土に環境用ナノマシンの
散布を開始した。健康へ害がないと太鼓判を押されているとは言え、得体の知れないものをばら撒かれる事を
危惧する者たちは少なくなかった。
 だがその危惧も汚染された海や土壌が浄化され、空を覆っていた雲が薄れていき、次第に気温が上昇して
いくようになると払拭されていった。
 
「武ちゃん、青空だよ!」
「そうだな。久しぶりだな」

 病院の病室から見える久しぶりの青空を見てはしゃぐ純夏を見て、武は思わず笑った。

(純夏も、皆も黒旗軍の薬で治った。それに自然環境も元通りになっている。数ヶ月前とは大違いだ!)

 黒旗軍から無尽蔵に供給される物資によって日本を始め、各国は息を吹き返しつつあった。
 病気や怪我に苦しんでいた人間達は、現代の科学力では到底作れない高度な医薬品の数々によって
次々に回復していった。
 食糧不足に苦しんでいた人間も、天然食品並の食材や、その食材を用いた加工食品によって栄養状態
が改善されつつある。地域によってはBETA大戦の時よりも栄養状態が改善しており、黒旗軍がどれだけ
の物資をばら撒いているかがよく判る。
 
「あと少ししたら、外でも歩けるようになるってお医者さんも言ってたし、元気になったら……」
「ああ、外で羽を伸ばそう。運動もしないとな。何しろこのままだと」
 
 武の視線の先が、どこを向いているかを悟った純夏は不機嫌になる。
 
「武ちゃん!!」

 明るい声がこだまする病室。黒旗軍が来る前までは想像すらできなかった光景が、日本の、いや
世界各地で広がりつつあった。
 特に世界の危機を招き、さらに自国にハイヴを築かれたアメリカでは、修復されていく自然環境や
改善していく生活、そして僅かながらも復活しつつある自国の国際的地位に国民が歓喜していた。

「新しい大統領はやり手だな」
「ああ。前任のバカとは大違いだな」
「あの連中の名前なんて言うなよ。忌々しい」

 市民達は口々に、新政権を支持し、オルタネイティブ6派だった大統領を貶した。
 彼らにとってオルタネイティブ6を推進した人間達など、偉大な合衆国を破滅寸前に追いやった悪魔も
同然だった。
 オルタネイティブ6推進派で、この大崩壊から生き残った者たちは大半が収監されている。
それはこれ以上G弾派の暗躍を防ぐためと同時に、市民によるリンチから彼らを守るためでもあった。
 尤も今後の外交によっては彼らの身柄は外国、或いは黒旗軍に引き渡される可能性もあったが。

「まぁG弾なんてコリゴリだよ。あんなの宇宙人に差し出して正解だよ」

 人類は黒旗軍の強力な支援の下、ようやく復興へ向けて歩み始めたと言える。尤もその復興を後押し
した黒旗軍のTOPはそんな様子に大した関心を持ってはいなかったが。

456earth:2011/03/01(火) 22:49:26
「暇だな」

 アンドロメダの艦長席で耕平はそう呟いた。
 まぁ『○●星のBETAを駆逐しました』『×△星のBETAを駆逐しました』という報告をばかり聞いて
いれば退屈にもなるだろう。
 
「まるで戦略シミュレーションゲーム後半の塗り絵作業だな。いや、ここまでなると保健所の害虫駆除?」
 
 BETAはハイヴから質量弾を発射してミサイルの軌道を逸らすという戦術を取ったが、それもジャマーや
飽和攻撃という方法で押し潰せる。宙対地爆撃によってそれぞれの星のBETAは消し炭と化していった。
 BETAが新たに何らかの対応をとるかと耕平は思っていたが、そんな気配はなかった。
 このため念のために用意したジオイド弾の出番は皆無と言ってよく、倉庫の隅で埃を被っている状態だ。

「所詮は資源回収ユニットか。まぁ戦闘用BETAが何百億もでてきたら面倒だから丁度いいのか?
 まぁ異星人の船の解析結果がでればもっと面白いことになるかも知れないし、それまで待つか」

 そんな耕平に、朝倉は嫌味を言う。

『そんなに暇でしたら、こちらで復興の指揮を取られては? 上位存在のお出ましとなれば地球の
 皆さんも張り切って歓待しますよ?』
「面倒だから嫌」
『……そこまで面倒なら介入しなければよかったのでは?』
「それだと夢見が悪い。あと報告は聞いているし、そっちが要求している支援物資も出しているだろう?
 何が問題なんだ?」

 「必要なことはやっているだろう?」と言わんばかりの態度で尋ねる耕平に朝倉は何も言えなかった。

『………いえ、何でもありません』
「あと報告にあったけど、地上で煩い連中がでたら、宙対地爆撃で殲滅しても構わない。
 さすがに波動砲を撃ち込むのはダメだけど、波動カードリッジ弾で釣瓶撃ちにするくらいなOKだから。
 それと電子戦、超能力戦闘も許可」
『つまり、波動砲クラスの大量破壊兵器以外なら何を使っても問題ないと?』 
「あと汚染を残すようなのはNG。威嚇に使うなら、宇宙空間で波動砲を撃っても構わないよ。
 《長門》艦隊で兵力が足りないようなら、火星の予備部隊を使っても良いよ。ただしその際は各艦隊の
 指揮官と協議してくれ。それじゃ、こっちはもうそろそろログアウトの時間だから。後はよろしく」

457earth:2011/03/01(火) 22:50:00
 戦艦長門の艦橋では、通信回線が切られ真っ黒になったメインモニターに向いたままわなわなと
震えている朝倉の姿があった。

「ふ、ふふふ。聞いた? あの大将、ほぼ全兵装の使用を許可したわよ」
「……」
「なら存分にやらせてもらうわ。幸い、軍閥とか武装勢力の掃討とかをやるから、ついでにストレスの
 発散をさせてもらうわ。うふふふふ」

 黒旗軍の上位存在とアンドロイド達の間で、そんな脱力感満点のやり取りがされていることなど
露も知らない人類は、黒旗軍から供給される無尽蔵といってもよい物資、資源を使って国力の回復に必死
だった。
 国土を朝鮮半島、シベリアに蔓延る軍閥群によって脅かされていた日本帝国は、一気に攻勢に出て
これを撃滅し、周辺の安全を確保しようと考えていた。

「地球復興の障害となる勢力を掃討する」

 東京に再建された国連本部で開かれた安全保障理事会では各地で治安を悪化させる武装勢力の掃討が
決議された。
 強引な掃討に危惧を表明する国家もあったが、黒旗軍が「地球再建のために速やかな治安回復」を要求
しているという事実が公表されてからは、強硬派が一気に主流となった。
 これまでの調査の結果、黒旗軍の評価基準は『地球再建にどの程度貢献できるか』ということが明らか
になってきていた。故に多くの国は多少無茶をしても打って出ることを選んだのだ。
 そんな中、カナーバを通じて黒旗軍が武装勢力の掃討に参加することが表明された。

「人類の負担を軽減するために、黒旗軍も武装勢力の掃討に参加する」

 黒旗軍自身が打って出ると事態に、各国代表は驚愕した。これまで地上の戦いに介入してこなかった
はずの黒旗軍が遂に動いたのだ。

「黒旗軍は何を考えている?」

 黒旗軍の真意を誰もが探ると同時に、誰もが黒旗軍の軍事技術を探る良い機会だと考えた。
 ハイヴを8分間で潰し、月を直し、自然環境を修復したことから、人類の常識を遥かに超える技術を
黒旗軍が持っていることは判っているが、黒旗軍の兵器がどれほどのものかは殆ど見たことが無いのだ。
 故に誰もがこれを機に、黒旗軍の兵器の情報を合法的に収集しようと目論んだ。
 
「武装勢力には気の毒だが、黒旗軍の標的となって貰おう」

 かくして各地の武装勢力は絶体絶命の危機を迎えることになる。

458earth:2011/03/01(火) 22:52:04
あとがき
拙作ですが最後まで読んでくださりありがとうございました。
アメリカ国内の様子も少しだけ書きました。今後も少しずつですが
書いていこうと思います。
次回以降、黒旗軍と国連軍が各地の治安悪化の原因となる勢力の掃討を
開始します。尤も主体は黒旗軍になりそうですが。
下手すれば各国の軍人のSAN値がゴリゴリ削られるかも(笑)。

459名無しさん:2011/03/01(火) 22:53:29


これは……楽しみだww

460名無しさん:2011/03/01(火) 22:55:39
乙でヤンス

敵対勢力、カワイソスw

461夜天雪兎:2011/03/01(火) 22:59:14
更新お疲れさまでした。
いつものようにとても面白かったです。
軍閥の面々と各国の軍人が哀れなことになりそうだということが確定して居ますが、これだけ技術の差があると仕方ないのかもしれません。
ちなみに、今回の投稿ではじめてリアルタイムで投稿している現場に遭遇しました。

462名無しさん:2011/03/01(火) 23:06:23
乙乙

アンドロイドもストレスを溜める程度に面倒なんすか、地球復興w
軍事技術を探る良い機会とか、そんな心構えで大丈夫か?
武装勢力より各国の精神が虐殺されるのでは…w

463New ◆QTlJyklQpI:2011/03/01(火) 23:09:07
武装勢力が長門艦隊のフラストレーションの標的にw。
火星にいるのはもしかしてナデシコ?

464名無しさん:2011/03/01(火) 23:11:33
乙です
さらば武装勢力、朝倉さんのストレス解消のため、散るが良い。

465名無しさん:2011/03/01(火) 23:12:37
更新お疲れ様です。

武装勢力さんには、お気の毒としか言いようが無いが、盗賊紛いの真似やってるんだから仕方ないか。
しかし、この掃討作戦がどんな余波を地球上に広げるやら。
次回にも期待です。

466sage:2011/03/02(水) 02:49:29
黒旗軍は何を投入するんでしょうね?wktk
破壊力が強いものだと環境汚染はなくても復興を遅らせることになるからやっぱり機動兵器が出てくると期待していますが、
そうなると何が出てくるやらww
確かコスモタイガーⅡとMSの名前が出てましたが、他にもヴァルキリーやエステバリスなんかもよさそうですし
MSならどこら辺が出てくるか妄想したくなります。

467466:2011/03/02(水) 02:50:24
名前間違えてかいちゃいましたorz

468名無しさん:2011/03/02(水) 06:37:26
ソ連系武装勢力の中にクリスカ達が居た場合は・・・。

469名無しさん:2011/03/02(水) 09:23:29
超能力OK・・・
ラフノールの鏡で身を守って高速飛行するESPコマンドとか
ジャマーの無いオルタワールドならえらいことに

470名無しさん:2011/03/02(水) 11:08:23
こっちは投稿スレだから感想以外はあっちでやろうよ

471earth:2011/03/02(水) 23:51:49
第23話は長くなりそうなので、分けました。
多少短めですが、ノリと勢いと妄想で突っ走る前編です。
機動兵器大暴れを期待していた人はごめんなさい。
さて、黒旗軍が何をやったかわかる人はいるだろうか?

472earth:2011/03/02(水) 23:52:30
 未来人の多元世界見聞録 第23話

 黒旗軍は地球各地に点在する武装勢力を一気に掃討するために火星から戦闘空母1隻、そして電子戦用に
主力戦艦を改造した電子作戦艦《撫子》を持ってきた。
 《撫子》は、ヤマト世界の主力戦艦をベースにした艦であり、波動砲や主砲を全て撤去した換わりに
超高性能コンピュータ(ゲーム世界基準)を搭載している。
 耕平としては電子作戦艦の名前を某火葬戦記に習って金剛にするか、それとも某電子の妖精が操って
多大な戦果を挙げた戦艦に習ってナデシコにするかで悩んだ結果、最終的にナデシコではなく《撫子》
にした。
 何故かパチモンくさい名前であったが、その能力はオリジナルを遥かに超える凶悪なものであり、その
電子制圧能力はゲーム世界でも指折りだった。
 少なくとも他のゲームプレイヤーは《撫子》型がいると判れば、真っ先にこの船を沈めに掛かるほどだ。
 ある意味、虎の子の船なのだが、耕平はBETAの創造主との戦いに備えてこの世界にも配備していた。

「……オーバーキル」
「いいのよ。この位しないと。まぁ戦術機に使われているようなアナログを制圧するのに使うなんて
 勿体無いにも程があるけど、このまま火星宙域で浮かべておくよりかはマシでしょう」

 マブラヴ世界でこの撫子に対抗できるコンピュータは存在しない。00ユニットでも成す術は無い。
 この《撫子》で近代兵器を無力化されれば、それだけで主な軍閥はその戦力の過半を失う。

「電子制圧の後は、宙対地爆撃ね。もっともあまり死人を出すわけにはいかないから特殊兵器を使うけど」

 さすがの朝倉もストレス発散のためとはいえ、ただでさえ数少ない人類を減らす真似はしない。 
 ほぼ全兵装が使用可能なため、普段は滅多に使わない特殊兵器をここぞとばかり使う気だ。
 機動兵器を使って掃討するのも良いが、やはりこういう機会を活かさない手は無い。

「《アレ》を使ったら人類もびっくりするでしょうね。何しろこの世界にはなじみ無い人道(笑)的兵器だし」
「……個人携帯の武器でさえ容易に無力化できることを教えられる。彼らの戦意を挫くには使える」
「それでも抵抗するなら、あとは催眠ガスでも投下。逃げたらESP部隊を投下して捕縛。問題ないわね」
「各地の武装勢力を同時に攻撃しても、所要時間は20分以下になると思われる」
「ふふふ。じゃあ、準備が整い次第、始めるとしましょうか」

473earth:2011/03/02(水) 23:53:15
 西暦2005年11月3日、黒旗軍はユーラシア、アラスカ等に蔓延る軍閥、武装勢力群の掃討の開始を宣言する。
 国連軍は黒旗軍の後詰めという形で各地に展開するものの、黒旗軍から「要請までは手出し不要」と念押しされて
戦場の外で待機する形となっていた。 

「我々を馬鹿にしているのか!」

 朝鮮半島の軍閥群を掃討するために送り込まれた帝国軍将兵の中には、目の前に敵地があるというのにお預けを
喰らったことに腹を立てる。
 これまで北海道で散々苦労してきたまりもは、そんな将兵たちを冷ややかな目で見ると同時に、黒旗軍がどのような
手で目の前の軍閥を掃討するか興味津々だった。 
 
(BETAを8分で駆逐し、月と地球を直してみせる技術力を持った存在が、どんな攻撃を繰り出すのだろう?)

 不知火の中で、まりもは色々と黒旗軍の出方に思考をめぐらせた。
 自分達が乗る戦術機を遥かに越える機動兵器を出すのか、それとも宇宙戦艦を使った攻撃を行うのか、それとも
BETAを駆逐したように一瞬で軍閥を消滅させてしまうのか……興味は尽きない。
 彼女は別に活躍の場が得られないからと言って、黒旗軍に敵意を抱くつもりは無い。むしろ、自分達の負担を
軽くするために態々出撃してくれる黒旗軍に感謝したいと思っているほどだ。そして同時に黒旗軍に悪態をつく
馬鹿軍人(特に戦場を知らない人間)にため息を漏らす。

(日本の、いえ、地球の恩人に向けて、それはないでしょうに……)

 黒旗軍の出方に興味津々なのはまりものような良識的な、或いは常識的な軍人だけではなかった。 
 各国から派遣されている武官達も同様だ。 
 彼らは黒旗軍の優れた兵器を観察し、そこから何かしらの情報を得て本国に持ち帰るという大任を担っている。

(彼らの技術を少しでも解析することができれば、今後の国際競争で有利に立てる!)

 誰もがそんな考えを持っていた。
 そんな期待が溢れる司令部に、黒旗軍から攻撃開始を告げる通信が入る。

「黒旗軍から入電。『攻撃を開始する』とのことです」
「そうか。さて、一体、どんな攻撃が行われるのやら……」

 大陸派遣軍司令官である帝国陸軍中将は、モニターを見据えた。
 だがその直後に奇妙なことに音楽が流れていることに気付く。

「なんだ、これは?」

 キリスト教圏の武官がすぐに正体に気付く。

「これは賛美歌?」

 この言葉に、他の武官達が頷く。

「間違いない」
「だが、どういうことだ?」

474earth:2011/03/02(水) 23:53:47
 陸軍中将はオペレータに問い詰める。

「どこから流れている?!」
「黒旗軍が全チャンネルを通じて流しています!。い、いえ外でも大音響で流れています!」
「何を考えている?」

 黒旗軍の意味不明な行動に誰もが絶句する。しかしそんな中、さらに驚愕する報告が入る。

「偵察部隊より報告。前方の敵部隊の戦術機がすべて停止しました」
「何?!」
「飛行中の戦術機も次々に地面に着陸中とのことです」
「……黒旗軍の仕業か?」
「恐らくは……」
「だが戦術機の動きを止めるだけでは何にもならんぞ。それに旧式のヘリは元気に飛び回っているし、戦車も
 動いている」

 しかしこの後、遥か上空から高速で落下する物体を国連軍のレーダーが捕捉する。

「ハイヴを潰したときと同様のやり方か? 拙い、対ショック防御急げ!」

 戦場に近い部隊が巻き込まれる恐れを感じた中将は慌てて対処を命じる。何しろハイヴを潰した
兵器だ。これが炸裂したなら、トンでもない影響が出る。
 しかしそれはすぐに杞憂に終る。

「目標、敵基地の西2キロに落下」
「不発か?」

 中将がそう呟いた直後、異変は始まった。
 
「て、偵察部隊より報告。敵部隊が……」
「どうした? 何があった? 正確に報告しろ!!」
「敵部隊の兵器が次々に分解しています。まるで接合部から順番に崩れるかのように……」
「何?!」
「敵基地の建築物も次々に倒壊しています」

 攻撃開始から3分も経っていない。そして目立った攻撃も行われていない。
 それなのに、目の前の敵軍は成す術も無く消えてなくなりつつある。
 賛美歌が鳴り響く中、そのあまりに非現実的な状況に、司令部、いや前線部隊の誰もが呆然としていた。

475earth:2011/03/02(水) 23:54:53
あとがき
拙作ですがお付き合いしていただきありがとうございます。
朝倉さんは特殊兵器を存分に使ってストレス解消としていただきました。
特殊兵器の正体に気付いた人、いるかな……。
それでは短いですが、失礼します。

476名無しさん:2011/03/02(水) 23:55:25
乙乙

分からう……分からぬ……ッ次回更新期待!

477名無しさん:2011/03/02(水) 23:58:55
えーとマイクサンダース13世さんのソリタリーウェブですか?

478New ◆QTlJyklQpI:2011/03/03(木) 00:09:08
武官らの感想「こりゃ勝てんわ・・・・」

479名無しさん:2011/03/03(木) 00:09:22
ナノマシン、月光蝶かな?

480名無しさん:2011/03/03(木) 00:30:21
応力を逆転させてるのかな?
もしそうだとしたら自然物には作用しないんだろうか?

481名無しさん:2011/03/03(木) 01:17:40
乙でヤンス

ヒデェw 武官たちの報告書が滅茶苦茶になりますなw(特にキリスト教圏)

482名無しさん:2011/03/03(木) 10:10:24
earthがレスの消費が早いからと態々別スレ作ったのに何で此処に感想書き込むかな

それに最新話が投稿されていてもレスが消費されてて分りにくいから別スレやれよ

483earth:2011/03/05(土) 00:14:00
前回、前編といったのに、タイトルに前編の文字がなかったことに
今更ながら気付きました(汗)。というわけで後編なんですが24話と
いうことにします。
それではノリと勢いと妄想で突っ走る第24話をどうぞ。

484earth:2011/03/05(土) 00:14:38
 未来人の多元世界見聞録 第24話

 賛美歌が鳴り響く中、次々に勝手に崩壊していく武装勢力の基地とその兵器群。常識を足蹴りにする光景に
誰もが絶句し身動きが取れない。
 
「おお、神よ……」

 神の御業とでも思ったのか、キリスト教徒の武官が思わず十字を切る。
 一方、非キリスト教徒の帝国陸軍中将は、慌てて我に帰ってオペレータに尋ねる。

「じょ、状況は?! 黒旗軍は何か言っていないか?」
「は、はい。あ、黒旗軍から入電です。『引き続き作戦を継続する。逃げ出した部隊の掃討を頼む』」
「……連中、最初から最後まで殆ど一人で片付ける気か?」

 目の前の敵には戦う力どころか、逃げる力さえ残されていない。いや力どころかそんな気力すらあるか怪しい。

「これでは道化ではないか……」

 彼らにできるのは、指をくわえて黒旗軍が残敵(?)を叩くのを見るだけだった。 
 司令部の人間が呆然としているのと同様に、前線部隊の将兵も想像を絶する光景に、瞬き一つできなかった。

「な、な……何が?」

 神に対して信仰心など持ち合わせていない人間であっても、『神の奇跡』と言われれば納得してしまいそうな
光景を見て、まりもは声がまともに出ない。
 先ほどまで元気に黒旗軍を罵っていた軍人も目を見開き、口を半開きにして茫然自失といった様相だ。

「……こ、これが黒旗軍の戦争だっていうの? いえ、もはや戦争ですらない」

 まりもは自分達地球人類と黒旗軍の間にある絶対的と言っても良い差を理解した。

(人類なんて黒旗軍のさじ加減一つで簡単に絶滅させられるちっぽけな存在でしかない。黒旗軍に毒づく軍人達
 など嘲笑の対象にすらならない。路傍の石、いやそれ以下……) 

 そんなまりも達にさらなる精神的追い討ちがかけられる。

「あれは……天使?」 

 まりもの視線の先には、かつて基地があった土地の上空で飛び交う多数の天使の姿があった。

485earth:2011/03/05(土) 00:15:13
 地上の様子を衛星軌道の戦艦《長門》の艦橋のメインモニターで見ていた長門と朝倉の2人は戦果に満足した。

「77の目標は完全に無力化。地球復興の妨げとなるような勢力は消滅したと言って良い」

 長門の言葉に朝倉は頷いて同意する。

「そうね。逃げ出すような人間もいないようだし、あとは救助活動ね。ESP部隊は無駄足になりそう」

 彼女の視線の先には、多数の天使が乱舞する光景があった。

「さて、賛美歌の中で武器が解けてなくなり、続けて天使の登場。人類のSAN値はどこまでもつかしら?」

 くすくす笑いつつモニターを見る朝倉。
 そこでは天使たちが落下していくヘリコプターのパイロットを救助したり、地上に降り立ち怪我人に近寄る
光景が見える。さらによくみれば天使に近づかれた人間は怪我が治っていくのが判る。
 治療された人間達は信じられないような顔をし、周囲の人間達は涙を流して天使たちに跪くか、祈りを
捧げるような姿勢をとる。

「かの香月博士なら、アレが質量のある立体映像と見破れるかも知れないけど、マグネトロンウェーブを
 使ったとは判らないでしょうね」

 今回の彼女のシナリオを時系列順に説明すると以下のようになる。

①《撫子》による強制ハッキング。並びに戦場周辺の全通信回線に賛美歌(30世紀に作曲されたもので、かつ
 21世紀の人間でも賛美歌と判るもの)を流す。
②戦闘空母《日向》《伊勢》及び地上基地から発進したステルス機を使って戦場周辺にも賛美歌を流す。
 ESP部隊もスタンバイ。
③戦術機など電子機器の塊のような兵器を無力化後、マグネトロンウェーブ発生装置を組み込んだ突入カプセルを
 投下。
④マグネトロンウェーブによって敵兵器の完全無力化を実施。
⑤突入カプセル内にある立体映像投影装置(質量再生システム付き)によって天使を投影。
⑥突入カプセル内のAIの判断に基づいて天使による救助活動、デモンストレーション開始。
⑦突入カプセルに仕込まれた医療用ナノマシン散布。ナノマシンの作動タイミングはAIが判断。

 マグネトロンウェーブとは、ヤマト第1期に出てきたガミラスの兵器で、機械を分解してしまう能力をもって
いる。これを彼女達は利用したのだ。

486earth:2011/03/05(土) 00:15:46
 最初からナノマシンを使うってのも朝倉は考えたが、ナノマシンを多用するのは芸がない上、ストレス解消にならない
こと、そしてばら撒いていたのが万が一、他の地域に流れたら面倒なことになることから、その考えを断念した。
 賛美歌と天使については、単に演出兼上位存在への嫌がらせの一環だった。

(今度、ログインしたときにはドン引きさせてやるわ。多少はこっちの苦労も思い知ればいいのよ)

 尤も彼女は単に嫌がらせのためだけに、こんな演出をやったわけではない。

(あの大将がストレスを感じればそれで良し。仮にこの世界が嫌になったら、最低限の援助をやっておいて速やかな
 撤退を提言すれば良い。うまくすれば、こんな面倒な仕事から離れられる。
 特に変化がなくても、人類が勝手にこちらを神格化してくれるから、今より仕事がやりやすくなる。
 どちらに転んでも損は無いわね)

 「計画通り」とばかりにニヤリと笑う朝倉。
 耕平がここに居て、彼女の目論見を知ったら「朝倉、恐ろしい娘!」とどこぞの昔の少女漫画風の作画でいうこと
は請負だ。

「それじゃあ、さっさと武装勢力の人員を収容しましょうか。瓦礫の山に埋もれた連中も、早めに救助しないと
 死んじゃうでしょうし」

 かくして各地に輸送艦やら輸送機が送りつけられ、生き残った人員はすべて黒旗軍が捕虜とした。
 2005年11月3日、日本時間午前10時に始まった武装勢力掃討はわずか18分で完了した。これによって
各国に脅威を与えていた武装勢力は事実上消滅し、残されたのは規模が小さく、地球復興においてさして脅威にならない
と判断された勢力のみとなった。
 捕縛された人間の取り扱いについては、黒旗軍と各国の間で色々な議論がなされた。
 黒旗軍は当時の情勢を踏まえて当初は軽い処罰で済まそうとしていた。
 だが日本帝国を筆頭に被害を受けた国々は厳罰か、速やかな引渡しを要請した。彼らからすれば武装勢力の人間は
相応の処罰を受けなければならなかった。
 黒旗軍は当初はこれに首を縦に振らなかったが、国連事務総長に就任した珠瀬玄丞斎が忍耐強く、そして執念深く
交渉した。

「確かに人類の頭数を減らしたくないという黒旗軍の意思は理解できます。ですが、法律の問題があります。
 ここで彼らを減刑してしまえば、後に悪しき禍根を残します。それは将来において人類社会に暗い影を与えることに
 つながります。最悪の場合、黒旗軍の手を煩わせる事態が起きるかも知れません」

 珠瀬総長は黒旗軍が掲げる人類社会の再建を確実にするためにも、適切な処罰を行わせて欲しいとカナーバに懇願した。

487earth:2011/03/05(土) 00:16:16
 さしものカナーバも珠瀬の主張を否定することはできなかった。
 長門と朝倉も捕虜の引渡しもやむなしとの結論に至る。だが同時に切れるカードがないにも関わらず、自分達の
政策を変更させるだけの力と意思を持った人間がいることに感心した。

「筋は通っている。ここで我々が筋を曲げるわけにはいかない」
「ええ。それにしてもなかなかに度胸のある人間ね。私達がその気になれば人類なんていつでも殲滅できると
 判っているのに」
「彼らにも譲れないものがあると思われる」
「そうね。でも武装勢力人員皆殺しというのは拙いわね。一応、捕虜にしたのはこっちだし。
 首領や組織の中核を担っていた者、特に悪質だった者を犯罪者として処刑して、残りは黒旗軍と国連軍の監視下で
 ユーラシア復興のための強制労働ってところかしら」
「ユーラシア復興がダメな場合は、多少危険で効率が悪いが、宇宙空間での資源採掘作業に振り分ける」
「まぁそれが妥当かしら」
 
 かくして捕虜の一部は国連に引き渡され、裁判の後に処刑されることになる。当初は何かしら抵抗をすると思われて
いた罪人達はみな穏やかな顔で処刑に臨んだ。彼らは「神の御業で生かされたのは、人類の未来のため、罪人として
処刑されるためだった」と言って死んでいった。
 残された末端の人間達は危険を承知で宇宙での作業の従事を志願した。特に祖国が滅び、自身の民族も殆ど散り散り
になって消滅した者たちはその傾向が強かった。
 かくして少なからざる者たちが宇宙に上がることになる。
 黒旗軍に正論が通用したことに各国は安堵したが、同時に今回の件から黒旗軍と自分達との実力差を嫌と言うほど
理解した。地球の戦力など苦も無く無力化(それも殆ど死者を出すことなく)できるという事実が、多くの軍人、政治家に
対黒旗軍へ対抗しようという考えを持つことの無意味さ、そして危うさを悟らせたのだ。
 プライドの塊のような日本帝国の斯衛軍でさえ「黒旗軍と戦うのは自殺行為であり、彼らに全面的に従うことで
将軍を守護するしかない」と考えを完全に改めたほどだ。色々と世間知らずの集団ではあったが、さすがの彼らも
戦うことすらできず敗北を強いられるという事態だけは避けたかった。
 現体制をひっくり返すことで将軍を復権させ、強固な挙国一致体制を構築することを目論む人間が残っていたが
下手な手を打てば今回のように黒旗軍が介入しかねないという懸念が出てきたことで、その動きは鈍っていった。
 少なくとも早急な武力の行使による現政権の転覆については慎重な意見が広まりつつあった。 
 だがそれと反比例するように、動きを活発化させた者たちがいた。そう宗教団体と科学者達だ。 
 勿論、朝倉は《それ》を狙っていたのだが、その動きは次第に彼女の予想以上に大きな盛り上がりを見せることになる。

488earth:2011/03/05(土) 00:18:41
あとがき
拙作ですが最後までお付き合いしていただきありがとうございました。
原作キャラの一人、珠瀬さん登場です。
ヒロインが殆ど登場していないのに、何故かおっさんキャラばっかり出て
来てしまうのは何故だろう(笑)。
皆様期待の烈士様は少しトーンダウンします。でも上位存在が自ら地球に
やってきたら、暴走するかも(爆)。
それでは失礼します。

489New ◆QTlJyklQpI:2011/03/05(土) 00:22:28
こんなことやらかしたら宗教団体黒旗教の誕生ですねw。天使は立体映像ですか、
Wガンダムゼロが乱舞する光景しか見えないw。

490New ◆QTlJyklQpI:2011/03/05(土) 00:53:18
>>489書くとこ間違えた。

491名無しさん:2011/03/05(土) 01:05:49
投下乙ですお待ちしていました
とうとう宗教方面に突入か……まあそうなるだろうとは思っていましたがw

492名無しさん:2011/03/05(土) 01:10:57
こちらにも誘導

未来人の多元世界見聞録について  (ナンバリング忘れ、実質2スレ目)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1299254720/

感想、雑談はこちらに〜

493earth:2011/03/06(日) 00:43:44
実験SSにも関わらず、色々と意見や感想が投稿されて光栄の限りです。
それではプロットなしで相変わらず勢いとノリで突っ走ります。
短めですが第25話です。

494earth:2011/03/06(日) 00:44:15
 未来人の多元世界見聞録 第25話

 世界各地の武装勢力がわずか18分で、しかも殆ど死人を出すことなく制圧されたとの情報は、あっという間に
世界各地に駆け巡った。
 緘口令を敷いて噂の拡散を防ごうとした各国政府だったが、多くの兵士が神の奇跡(?)を見た以上、すべての
口を塞ぐことなどできる訳が無かった。
 戦場で何が起きたかを知った一般人たちの中には、黒旗軍の上位存在が神か、神のごとき存在なのではないか
と考える者たちが増えていった。
 特にアメリカでは黒旗軍上位存在《総司令官》=神(又は救世主)という公式が少しずつであるが定着化しつつあった。 

「月を元通りにして、地球環境を回復させる……まさしく神の御業だ」
「そうだ。終末の後の救済の時が来たんだな」
「信仰心の厚かった爺さんが、主が降臨されたと聞いたら喜んだだろうな」 

 自国が推し進めたオルタネイティブ6によって世界を破滅寸前に追いやり、さらに自国にハイヴさえ築かれる
という地獄を味わった米国民にとって、その地獄から自分達を救い上げてくれた黒旗軍は救世主そのものだ。 
 この思想をさらに煽ったのは、キリスト教恭順派であった。 

「BETAによって齎された偽りの力、G弾を使ったが故に、この悲劇は起きたのだ!」 
「偽りの力を妄信した愚か者はもういない! アメリカは贖罪を経て、神の国とならなければならない!!」
「人の時代に終止符を打ち、神の時代を迎えるのだ!」

 BETAを神による試練と考え、G弾を忌み嫌ってきた恭順派はアメリカ国内で順調に影響力を拡大して
いた。
 一方、科学者の中には、黒旗軍の超技術の数々を見て人類を初め、地球の生命体を作り上げたのは黒旗軍の
上位存在、もしくはその同族ではないのかと考える者が現れた。

「生命体が生存、そして進化が可能なように惑星の環境を整備することくらい、黒旗軍の技術力なら可能だ」

 尤もそんな暢気なことを考えていられる科学者は少数だった。
 米政府によって黒旗軍の技術解析を任されていた科学者達は戦場で起こった映像を見て、頭を抱えるか半狂乱の
状態だった。

「建物や兵器の分解については、いくつか仮説は出せるが、どうやったらそれができるのか全く検討もつかない」
「というか天使は一体、どこから現れたんだ?」
「突入物体が映像を出したと言っても、出現した天使は落下するヘリパイロットを助けている。
 つまり実体を持っているといって良いだろう」
「実体を持った立体映像? 非現実的だぞ。むしろあのカプセルが重力を制御したのでは?」
「……俺達の常識が音を立てて崩れていく気がするよ。科学者を集めるよりSF作家でも集めたほうが良い気がする」
「俺もそう思う。もうハードSFの領域だ」
「いやオカルトだ。魔法の領域だ。魔法使いでも連れてくれば良いさ」

495earth:2011/03/06(日) 00:44:51
 日本の上位存在研究室では、宗教学者が大ハッスルで上位存在=神様を唱えていた。
 これに真っ向から反論するのは、天才科学者・香月夕呼だ。

「彼らは確かに超越した技術を持っています。ですが神のような高次元存在と言い切れません。
 この宇宙に実体がなくとも、別の宇宙に実体を持っている可能性はあります」
「別の宇宙? 香月博士が唱えておられた因果律量子論ですかな?」
「そうです」
「ですがその理論が正しいとも言い切れますまい。仮にその理論が正しく、別の宇宙に実体があったとしても
 世界の間を自在に行き来し、天地を創造できるような存在が神ではなくて何だというのです?」
「……確かに超越者を神と見做すのなら、上位存在を神と言っても過言ではないでしょう。
 ですがこれまでの宗教的概念と結びつけて、彼らを神と見做すのは危険すぎます。あくまでも超越した力を
 もつ異星人と考えることが必要です」

 黒旗軍=神と見做すことなど思考停止に他ならないと夕呼は考えていた。
 
「ですが彼らのやってきたことを考えれば、これまで人類が奉ってきた神としか言いようがないのでは?
 人類を脅かす悪魔を天からの雷で滅ぼし、人が自滅しそうになれば使徒を降臨させて助けを与え、罪人さえ
 武器を奪うだけで更正の機会を与える。まるで神話の神々ではないですか」  
「しかし、それも我々炭素生命体が物珍しいからなのでは?」
「物珍しさだけでこれだけの施しを与えると? 何の対価も要求することなく?」
「上位存在は我々とはかけ離れた存在です。我々とは全く異なる価値観で動いていても不思議ではありません」
 
 夕呼はそう言って宗教学者を抑える一方で、他の科学者を叱咤激励して黒旗軍の技術解析を急がせる。

(連中は環境再生用ナノマシンを持っていた。なら医療用ナノマシンを散布していても不思議じゃない。
 これに天使の立体映像まで持ってくるなんて、なんて悪辣な真似を!)

 だがさすがの夕呼も、どんな技術を使えば物を掴める立体映像を作れるのかさっぱり判らない。 

(連中は自分達を神と思わせることで、人類の思考を停止させることを目論んでいるとも考えられるわね。
 いえ、それだけでなく、人類を精神面からも支配するつもり?)
 
 夕呼はそういって深読みする。

(でも連中が神を自称すれば反発する連中も出てくる。宗教的な問題となれば面倒なことになる。
 奴らはそれを承知でこんなことを? それともまだ別の意図が?)

496earth:2011/03/06(日) 00:45:23
 一般人の多くが黒旗軍の神格化を容認しつつある中、夕呼のように黒旗軍が神を偽って人類を支配しようとしている
と考える者もいた。特に政治家たちは、黒旗軍によって物質的にも、精神的にも支配されることを恐れた。

「たとえ復興できたとしても、黒旗軍によって物心両面で支配されるかもしれない」

 今でも十分支配されているが、相手が異星人ということで最低限の警戒感は誰もが持っていた。
 しかし異星人が実は自分達が奉っていた神であったとなっては、誰もが警戒感を解いてしまう。まぁ仮に警戒して
いても相手が本気になればどうにもならないほどの実力差があるが、それでも最低限の警戒心を持ち、自立心を持ち
続けるのと、相手に物心両面で隷属してしまうのでは大きな差がある。  

「……彼らが何のために、あのようなことをしたのか、問い質す必要がある」

 榊はカナーバに直接会って黒旗軍の真意を尋ねた。
 これに対してカナーバはあっさりと答える。

「リサーチの結果です。武装勢力の抗戦意欲を根本から打ち砕き、かつ犠牲を最小限にするには今回の作戦のような
 行動をするのが望ましいとの判断がなされました」
「つまり、あくまでも武装勢力の士気を砕くためだと? ですが我がほうの通信回線にも賛美歌が流れましたが」
「それはこちらのミスです。申し訳ございません。こちらとしては可能な限り周辺に影響がないように努力したの
 ですが、このような小規模な電子戦というのは中々なかったので出力の調整がうまくいかなかったのです」

 地球各地の77箇所の拠点すべてに同時に電子戦を仕掛けることを《小規模》と言い切るカナーバに榊は
絶句する。彼女の言葉を信じるなら、黒旗軍からすれば通常の電子戦というのは複数の惑星に跨るか、それとも
恒星系そのものに対して仕掛けるものと判断できるからだ。

(宇宙での戦いというのは、それほどまでに大規模なものなのか)

 榊はスケールの違いに息を呑む。
 そんな榊を見つつ、カナーバは話を続ける。

「貴方方が言う天使は武装勢力の救助のためのユニットです。宗教的な意味はありません」
「ユニットですか?」
「はい。複数のユニットがありますが、武装勢力が安心して救助を受けれるようにするには、天使型のユニットが
 望ましいと判断されました」
「……今回の判断は上位存在が?」
「いえ。今回の作戦を主導されたのは朝倉少将です。それに上位存在は地球復興について細かく口出しはされません」
(上位存在はこの件に関しては無関係だというのか? いやそれどころか上位存在は地球そのものに対して関心を
 抱いていないということか?)

 榊はここで思い切って上位存在の正体について尋ねる。

「教えていただきたい。上位存在《総司令官》は、人類が考えてきたような神なのですか?」
「上位存在がいかなる存在か、それをお答えする権限は私にはありません。長門中将から直接お聞きください」

 かくして榊は後日、黒旗軍の大使館の通信回線を使って、戦艦《長門》にいる長門と面談することになる。

497earth:2011/03/06(日) 00:47:59
あとがき
拙作にも関わらず最後まで読んでくださりありがとうございました。
短めですが第25話をお送りしました。
次回、長門・榊会談です。下手をすれば榊さんのSAN値が……。
まぁ長門は朝倉ほど腹黒くないので酷いことにはならないと思いますが。
それではこのあたりで失礼します。

498earth:2011/03/07(月) 21:09:48
第26話が完成したので投稿します。
さてここから話が大きくなります。
風呂敷を畳むことができるか作者も判りません(爆)。
というか本当にマブラヴSSか怪しくなってきた(笑)。

499earth:2011/03/07(月) 21:10:22
 未来人の多元世界見聞録 第26話

 榊総理、そしてアドバイザーとして香月夕呼、その他3名の科学者と共に黒旗軍大使館を訪れた。
 榊を真ん中に5名の出席者が横一列に着席した。出席者達は自分達の前に用意された机に素早くメモ紙や
ノートをおき、一言も聞き逃すまいと気合を入れる。

(さて、黒旗軍が何と答えるか……)

 榊は緊張した面持ちで会談開始の時を待つ。そして予定時間になると同時に立体映像で長門の姿が彼らの
前に投影される。

『お待たせした』
「いえ、こちらこそ無理を言って申し訳ございません」

 最低限の挨拶を交わすと、両者は即座に本題に移った。

「すでにご存知だと思いますが、このたび長門中将に会談を申し入れたのは上位存在《総司令官》について
 のお話をお伺いしたいからです」
『聞いている。上位存在《総司令官》は、人類が考えてきたような神かどうかと問われたと』
「そうです。教えてください、長門中将。上位存在は人類が考えてきたような神なのですか?」

 この質問に対して、長門は熟考した末に答えた。

『……人類の《神》に対する考え方、概念が統一されていない。よって回答は不可能』

 否定も肯定もしない長門の言葉に5人は驚いた。
 だがここで怯む夕呼ではない。彼女は榊に代わって鋭く切り込んだ。

「では、質問を変えさせてください。上位存在は地球人類を創造したのですか?」
『……上位存在が地球人類を創造したという事実は無い』
「なるほど(つまり宗教上の神ではないということね)」

 とりあえず上位存在が、宗教上の神ではないことを確認して誰もがほっとする。

「上位存在はこの宇宙に本体が無いと説明を受けましたが、それではこの宇宙とは別の宇宙に本体が
 あるということですか?」
『……確かに、別の宇宙に本体は存在する』

500earth:2011/03/07(月) 21:10:53
 自身の唱えていた説が正しかったことを確信した夕呼は内心で小躍りしたが、それを敢えて表には
出されず質問を続ける。だがその質問が彼女達のSAN値を激減させることになる。

「別の宇宙にある黒旗軍の本拠に、上位存在の本体がいると理解して宜しいのでしょうか?」
『上位存在の本体がある世界と、黒旗軍の本拠がある世界は異なる』
「?!」

 予期せぬ回答に誰もが混乱する。夕呼はすぐに態勢を整えて再度質問する。

「それは一体、どういう事です?」
『言葉の通り。黒旗軍の本拠がある宇宙と上位存在本体のある宇宙は別のもの。
 より正確に言えば、黒旗軍の本拠のある宇宙は、上位存在の同族が作り上げたものに過ぎない』
「「「「「?!」」」」」

 宇宙を作ったとの言葉に、誰もが言葉を失う。

「う、宇宙を創造したと? 何のために?」
『上位存在とその同族の遊技場』
「遊技場? 遊ぶために宇宙を作ったと?」
『そう。黒旗軍の各種ユニットも本来は上位存在の遊戯のために作られた』

 その気になれば簡単に自分達を絶滅させることができるような戦力が、上位存在からすれば遊具に過ぎないと
いう言葉に誰もが言葉を失う。
 榊は何とか精神を立て直すと質問に加わる。

「黒旗軍の戦力は遊具にするようなものではないように思えますが。それにそれほどの力でどうやって遊ぶのです?」
『戦争』
「せ、戦争ですか?」
『そう。上位存在たちは自分達が作り上げた宇宙で、我々のような存在を生産し、編成し、戦い合わせている』
「「「「「………」」」」」

 あまりのスケールの差に誰もが声を失う。あの夕呼でさえ何も言えない。
 遊戯のために新たに宇宙を作り上げ、そこで人類の想像を遥かに超える兵器で戦争ゲームをしているというのだ。
 長門の言葉でなければ、到底信じることが出来ないだろう。いや今でも信じられないというのが彼らの本音だった。

501earth:2011/03/07(月) 21:11:29
 信じられないと言った表情を見せる5人を見た長門は、自身の言葉が真実であることを証明するために
録画されていた戦闘シーンの一部を表示することにした。 

『これがその証拠』

 長門がそういうと長門の姿が消え、立体映像でこれまでの戦闘シーンが映し出される。
 見たことも無い宇宙船が数光年にわたる戦陣を組み、目が眩むばかりのビームを撃ち合う。
 何も無い空間からいきなり多数の戦闘機(?)が現れ、宇宙船を次々に撃沈していく。
 宇宙船から発射されたミサイルが次々に惑星に吸い込まれるように落下していき、次の瞬間、惑星が粉々になって
消滅する。
 さらに惑星サイズの宇宙要塞が登場し、純白の光線で宇宙艦隊を一瞬でなぎ払う。光線が掠った惑星が瞬く間に
粉砕され、宇宙の塵と化す。

「……こ、これが黒旗軍の戦争ですか」

 震える声で言う榊に、長門は淡々と告げる。

『正確に言えば戦争ゲーム』
「ゲーム……」

 次元が違うとはこのことだった。
 
(彼らは確かに宗教上の神ではない。だが、持っている力は神と言っても過言ではない……)
 
 5人のSAN値は激減していた。正直、人類を作った神様と言ってくれたほうがまだ5人の精神にとっては
良かったかもしれないほどだ。
 何しろ自分達の神なら、慈悲を期待できる。だが目の前の存在は神と同格でありながら、自分達とは全く無関係の
異星人なのだ。彼らの気が変われば慈悲をかけられることもなく、一瞬で殲滅されるだろう。
 だが夕呼は別の心配もしていた。

(宇宙を自在に創造することができるような存在なら、並行世界を簡単に行き来できても不思議じゃない。
 他の上位存在が地球と周辺に展開する黒旗軍に気付いたら、大変なことになる……) 

 遊戯のために星さえ砕く連中だ。イザとなれば人類の事などお構いなしに太陽系で戦いだすだろう。
 そうなれば地球人類は滅亡へ向けてまっしぐらだ。

(人類が生き残る道は一つ。早急に地球を再建して、宇宙進出をして生存圏を拡大するしかない)

 夕呼がそんな考えに至ることを予め知っていた人物が、31世紀世界に居た。

502earth:2011/03/07(月) 21:12:02
 31世紀世界における世界政府たる銀河連邦。北米地区ニューヨークにある連邦本部ビルの一室で
一人の青年が淡々と言う。

「彼女は宇宙進出を強力に推し進めていくでしょう。既定通りに」

 青年の言葉に周囲の机に座っていた老人達、より正確に言えば銀河連邦の高官達は満足げに頷く。 

「ふむ。それは結構なことですな」
「左様。ここで躓かれたら面倒だ」
「修正は容易ではないからな。尤も、万が一の場合への備えはしてあるが」

 老人達の反応を見て青年は続ける。

「既定通り周辺世界への介入は予定通りに進めます。介入者はご覧の通りです」

 青年がそう言うと老人達の前に数名の個人情報が表示される。

「ふ、子供や暇人に世界の命運を託さなければならないとはな」
「ですが、これは決まったことです」
「《決まった》のではない。《決まっていたこと》だよ。そもそも君自身が経験者だろうに」

 青年が苦笑いしつつ頷く。

「……確かに」

 この反応に満足したのか老人は会議の閉会を宣言する。

「まぁ問題が無いなら良い。今回はこれにて終了とする。ご苦労だった、ミスターC」




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板