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避難用作品投下スレ6

10名無しさん:2010/08/27(金) 21:52:08 ID:w1hhOi020
「どうすれば倒せますか」

 それでいて、やはり渚は冷静だった。目の前の敵を倒すために自分ができることを求めている目がリサと宗一に向けられていた。
 まるで俺みたいだ、と宗一は今の渚を自分に重ね合わせた。
 感情に任せて進むのではなく、自らを把握した上で目的を達成するために最大限やれることを探ろうとしている。
 案外エージェントにも向いているのかもしれないと思ったが、すぐにそうではないと思い直した。
 俺を取り込んだんだ、と宗一は感想を結んだ。ほんの数日にも満たない間で、渚は宗一の本質を理解し、その身に強さとして宿した……
 いや自分だけではない。渚の結った髪の根元で揺れる銀の十字架を眺めて、彼女が得たものの大きさを認識し直す。
 様々な出会いと別れを経て、渚は変わった。変わった上で自分自身を見失わない強さを身につけた。
 羨ましいと感じる一方で、だからこそもっと渚を近くで見ていたいという思いが強くなるのも宗一は感じていた。
 こんなに素敵で、興味深くて、愛しいものを手放せるはずがない。
 どうやらエージェント駆け出しの頃に持っていた貪欲さはまだ健在だったらしいと確認して、宗一はこれから起こる全てを受け入れてみせようと覚悟を決めた。
 俺も渚に精一杯ついていかなくてはならない。そのために、これからぶつかる困難、絶望、理不尽、そして今ある現実を受け止めてみせる。
 その上で選び取れる最善の道を、自分が望む道を進んでみせよう。
 今はまだ後ろ暗い道でしかなくても、自分を導いてくれる暖かな光はすぐそこにあるのだから。

 ‘All right, then, I'll go to hell’
 わかった、それなら俺は地獄へ行こう。

「やりようはある。ただ、あれを足止めできるかが問題だ」

 そうだろ、リサ? 自分と同じ推測を立てていると信じて見やると、リサはしっかりと、大きく頷いた。
 やはりリサも同じ結論を出していたようだ。なら問題はない。
 世界最高峰のエージェント二人が立てた作戦だ。これ以上の何がある。

「『シオマネキ』のレールキャノンが使えれば、勝てる」
「となれば……何分かは足止めが必要だな。やれるか、渚」
「はい。やってみせます」


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