板情報 | 同人/コミケ/二次創作 ]
葉鍵ロワイアル3避難板

関連サイト

葉鍵ロワイアル3雑談所さま

まとめサイト


行数制限はありません。
1レスあたりの最大文字数は4096字です。

現在、各所との連携により下記ホストの規制を行っております。
解除予定はありません。

air02hon32k.tokyo.ocn.ne.jp


書き込む前に読んでね2ちゃんねるガイド | チャット | FAQ
掲示板一覧

1 : 避難用作品投下スレ5(911) / 2 : 避難用作品投下スレ6(179) / 3 : 避難用作品投下スレ4(851) / 4 : 避難用作品投下スレ3(904) / 5 : 避難用作品投下スレ2(992) / 6 : 会議・相談スレ2(99) / 7 : 避難用作品投下スレ(1062) / 8 : 会議・相談スレ(104)
  (全部で8のスレッドがあります)

掲示板の使い方 / 新着をメールで受信 / 過去ログ倉庫 / スレッド一覧 / リロード




1 避難用作品投下スレ5 (Res:911)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 1
1 名前:管理人★ 投稿日: 2009/05/28(木) 12:49:59 ID:???0
葉鍵ロワイアル3の作品投下スレッドです。

905 名前:終点/《Mk43L/e》 投稿日: 2010/08/27(金) 21:34:43 ID:w1hhOi020
 とりあえず、やれることはここまでだ。後は何とかしてここから逃げ出すだけ。
 ことみは物言わぬ骸となってしまったウォプタルの遺骸を寂寥を含んだ目で眺めた。
 正体不明で、どんな動物なのかも分からなかった。最後の最後まで、人間に従って死を受け入れていった動物。
 血を流し、ぐったりとして動かないウォプタルは役割を終えて眠りについているようにも見えた。
 もしかすると、この動物はここで生み出され、殺し合いゲームのためだけに作られたのかもしれないと訳もなくことみは感じた。
 確証があったわけではないし、ただの勘でしかなかったが、あまりにも大人し過ぎた死に様がそう思わせたのだった。
 さよなら、と心の中で呟いてからことみは部屋を抜け出した。

 ここまで運んでくれてありがとう。
 後は――自分の足で、歩く。

 以外に体は軽かった。血を流して、血液が足りていないのかもしれない。
 どちらでも良かった。今はただ、自分を信じて足を動かすだけだ。
 小走りではあったが、ことみの足はしっかりと動き前を目指していた。
 途中で包帯を直していないことにも気付いたが、この動いている体を感じているとどうでもいいと思い直し、
 赤くなった包帯をはためかせながら走ることを続行した。
 そういえば、と包帯を見ながら、タスキリレーに似ているとことみはぼんやりと思った。
 何を繋ぐためのリレーなのかは、分からなかったが。

     *     *     *

906 名前:終点/《Mk43L/e》 投稿日: 2010/08/27(金) 21:35:25 ID:w1hhOi020
十四時三十二分/高天原

『クソッ、クソックソッ! 猿どもめ!』

 口汚く己を脅かす者共を罵りながら、サリンジャーは対人機甲兵器がある格納庫へと足を運んでいた。
 何故こうまで上手くいかない。こちらの勝利は完璧だったはずではないのか。
 怒りの形相を浮かび上がらせるサリンジャーの頭の中には何が失策だったのかと反省する色は見えず、役立たずと化したアハトノイン達に対する不満しかなかった。
 AIは完璧だった。搭載したシステムも同じく。ならばハードそのものが悪かったとしか考えられない。
 予算さえケチっていなければこうはならなかったものを。
 少し前までは真反対の、賞賛する言葉しかかけていなかったはずのサリンジャーは、今は機体の側に文句をつけ始めていた。

『復讐してやる……猿どもめ、今に見ていろ……』

 呪詛の言葉を吐きながら、サリンジャーはカードキーをリーダーに押し付け、続けて暗証番号を入力する。
 パワードスーツとも言うべき特殊装備が配備された格納庫。軍人でなくとも楽に扱え、
 それでいてHEAT装甲による通常兵器の殆どを無力化する防御力となだらかな動作性による運動力。
 単純な戦闘能力ではアハトノインを遥かに凌駕するあの兵器で全員抹殺してやる。
 サリンジャーは逃げることなどとうに考えず、自分を辱めた連中に対する報復しか考えていなかった。
 そうしなければ自分はこれから先、ずっと敗北者でしかいられなくなってしまう。
 理論を否定され、機体を破壊され、それどころか受け継いだ篁財閥の力すら扱えずに逃げるというのは到底許しがたいことだった。

 所詮負け犬などその程度。

 いないはずの篁総帥や醍醐にせせら笑われているような気がして、サリンジャーはふざけるなと反駁した。
 今回は違う。ここにあるアレはハード面から設計を担当しているし、機能までも完全に把握済みだ。
 下手な軍人よりも遥かに上手に使いこなせる自信がある。
 結局のところ、最後に信用できるのは自分だけか――他者に僅かでも任せた部分のあるアハトノインを信用していたことを恥じつつ、暗証番号の入力を完了する。

『ちっ、網膜照合もあるのか……急いでるんだよ私はっ!』

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

907 名前:終点/《Mk43L/e》 投稿日: 2010/08/27(金) 21:35:51 ID:w1hhOi020
 リサ=ヴィクセンだった。早過ぎる。閃光手榴弾まで放ったのにもう追いついてきたことに怖気を覚えながらも、サリンジャーは格納庫へと逃げ込む。
 ちらりと確認したが距離はまだ十分ある。そもそも距離が近ければリサが外す道理もない。
 立方体のような形状の格納庫の奥では、神殿にある石像のように安置された人型の物体があった。
 静かに佇み、暗視装置のついた緑色の眼でサリンジャーを見下ろしている。まるで来るのを待っていたかのように。
 やはり最後に信用できるのは自分だけだ。屈折した笑みを浮かべながら、サリンジャーは乗り込むべく像の足元まで走った。
 直後、リサ=ヴィクセンが格納庫に侵入してくる。扉が開いたままだったのはキーロックが破壊されたからなのだろう。
 だがもうそんなことも関係ない。パネルを動かし、コクピットを下ろす。
 股間、いや正確には胸部から降りてきたコクピットにはマニピュレーター操作用のリモコンと脚部操作用のフットペダルがある。
 試験動作は完了していた。サリンジャー自身でやっていたので今度こそ故障はない。
 一旦中に入ってしまえば外と内の分厚い二重装甲が自分を守ってくれる。
 さらにパイロットを暑さから守るための冷却装置も搭載しているため、たとえ蒸し風呂にされようがこちらは平気だ。
 再三安全を確認したところで、リサ=ヴィクセンの追い縋る声が聞こえた。

「逃げても無駄よ……! 貴方はここで終わり!」
「死ぬのは貴女達ですよ。私に逆らったことを後悔させてあげますよ! 貴女が大切にしようとしていたミサカシオリのようにね!」

 ふんと笑ってみせると、リサ=ヴィクセンの目から冷たいものが走った。完全に殺す目だ。
 関係ない。精々追い詰めた気になっているがいい。コクピットに乗り込みパネルを操作すると、一時視界が闇に閉ざされた。
 完全密閉型になっているためだ。だが機械により外部カメラで外界は捉えることはできるし、オールビューモニターという優れものだ。
 電源が入り、内部が徐々に明るくなってゆく。ぶん、と特有のエンジン起動音を響かせるのを聞きつつ、サリンジャーは操縦桿を握り初動へと入った。
 オールビューモニターが表示され、M4を構えているリサ=ヴィクセンの姿が目に入る。
 見下ろした自分と、見上げるリサ。やはりこの位置こそが相応しい。そう、自分は誰よりも優れていなければならないのだとサリンジャーは繰り返した。
 そうしなければ負け続ける。他者を常に下し、見下ろさない限りずっと惨めなままだ。

 出来損ないのお坊ちゃん野郎。サリンジャー家の面汚し。
 他のエリート達よりも格下のハイスクールに行かざるを得なくなったとき。プログラマーという職業に就くことになったとき。
 いつも周囲の目は自分を見下していた。内容に関わらず、勝負に負けた自分を慰めもしてくれなかった。
 世界はそういうものだとサリンジャーは悟った。誰かを踏み台にしなければ生きてゆくこともできない。
 長い間待った機会だった。負け続けることを強いられ、見下されることを常としてきた自分がようやく得た千載一遇の機会。
 それも、自分以外の全てを見下せるようになるという機会だ。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

908 名前:名無しさん 投稿日: 2010/08/27(金) 21:36:54 ID:w1hhOi020
ここまでが第二部となります。
少し休憩を挟みます。21:40からまた再開します

909 名前:名無しさん 投稿日: 2010/08/27(金) 21:45:30 ID:mmcxYldQ0
test

910 名前:名無しさん 投稿日: 2010/08/27(金) 21:52:20 ID:mmcxYldQ0
続きは新スレッドで!

ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7996/1282913075/

911 名前:管理人★ 投稿日: 2010/08/28(土) 00:28:50 ID:???0
容量の肥大化に伴い、新スレッドに移行いたします。
以降の作品は上記スレッドへの投下をお願いいたします。

名前: E-mail(省略可)
全部読む 最新50 1-100 メール受信 掲示板トップ リロード


2 避難用作品投下スレ6 (Res:179)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 2
1 名前:管理人★ 投稿日: 2010/08/27(金) 21:44:35 ID:???0
葉鍵ロワイアル3の作品投下スレッドです。

173 名前:ホワイトキャンバス 投稿日: 2011/07/15(金) 14:46:38 ID:LPsrDc/c0
寂しそうに視線を下げた澪が、ぎゅっと自身のスケッチブックを抱きしめる。
物言わぬ少女が物語るその動作、食卓から笑いが消えた。

「……詳しくは、お皿を片付けてからにしましょうか」

食べ終わった後の食器を集めると、秋子はそのままキッチンへと姿を消す。
準備が整えられるまで、口を開く者は誰もいなかった。





「気を落とさないでね」

改めて席に着いた秋子の第一声に、緊張が走る。
秋子は自分のデイバッグから支給品である名簿を取り出すと、席に着いた皆が見えるよう机の真ん中にそれを広げた。
自身がつけた書き込みをなぞりながら、秋子は静かに放送で伝えられたことを話し出す。
亡くなった人数は膨大で、彼等の想像をはるかに超えていただろう。

「こんな、ことって……」

かたかたと震えながら、名雪が言葉を零す。
誰もがショックを受けていた。
誰もが現実を、すぐには受け止められなかった。

「優勝したら何でも願いを叶える、か。金銭で解決できることならともかく、少々幻想的過ぎるな」
「そこまでして、僕達を焚き付けたいのかよ……っ」

打ち付けられた陽平の拳が、テーブルを大きく震わせる。
そんなことで何かが発散できるはずもなく、陽平の中の憤りも結局は燻り続けるしかなかった。

174 名前:ホワイトキャンバス 投稿日: 2011/07/15(金) 14:46:57 ID:LPsrDc/c0
「ねえ、お母さん。私、北川君を探しに行きたいよ」
「名雪……」
「だって香里が!」

椅子から立ち上がり掴みかかってきそうな勢いの名雪の目を、秋子は諭すようにじっと見つめる。
錯乱しかけた名雪の心も、それでやっと落ち着きを取り戻した。
泣き崩れそうになる自分を、名雪はぐっと堪える。
悲しいのは自分だけじゃないということ。

視線を秋子の奥に移した名雪の目に、秋子の隣に座っていた澪の姿が映りこむ。
先に秋子と共に放送を聞いていたらしい澪の目は、よく見ると真っ赤に充血していた。
きっとたくさん泣いたのだろう。
それでも彼女は、拳をぎゅっと握り締め、今は自分の感情を堪えている。

最年少の彼女が我慢をしているのだ。
他のメンバーが、弱音を吐く訳もない。

「ねえ、名雪ちゃん。香里っていう子、もしかして北川の彼女だった?」
「彼女とは、違いますけど……でも特別だったと思います」

いつも一緒にいたが、潤の好意の欠片がどうなっていたかを名雪は知らない。
美坂香里の態度からして、名雪は二人の仲が恋仲に進んでいるようには見えなかった。
その上で、何だかんだで親しい二人を見ているのが名雪も好きだった。

「北川君……絶対、つらいよ」
「そうだよな。あん時電話が繋がったってことは、香里って子もまだ生きてたってことだもんな……北川も、悔やみきれないだろうな……」
「え……?」

175 名前:ホワイトキャンバス 投稿日: 2011/07/15(金) 14:47:14 ID:LPsrDc/c0
腕を組み、一人しみじみとしている陽平の物言いに、名雪の動きが止まる。
名雪だけじゃない。
陽平の言葉の意味を理解できていたのは、この場には誰もいなかった。
疑問をぶつけるために、るーこが口を開く。

「何のことだ、うーへい」
「あいつ名雪ちゃんの電話使って、その香里って子と連絡取ってたんだよ」

固まる。
動きは止まっていた。
その上で、固定される。

まるで陽平だけ別次元に迷い込んでいるようだった。
彼にとっては、何気ない部類に入る出来事である。
思わず陽平がたじろいだと同時、降って沸いた鋭い視線の集中砲火と詰問が、彼に襲い掛かった。

「北川君と香里が?! どういうことなんですか!」
「電話は通じなかったはずですが……」
「電波が通じる場所を見つけたのか、うーへい」
『それは一体いつぐらいの時なの』
「わー! ちょっと待って、待って!! ちゃんと答えるから!」

押し寄せる女性陣を押さえつけ、陽平は潤と二人で見張りをしていた時のことを説明しだす。

「えっとだな、まず時間か? えっと……深夜!」
「もっと具体的には覚えていないのか」
「時計とか、そんなちゃんと見てなかったんだよ」

曖昧過ぎる陽平の記憶に顔をしかめながら、先を促すように皆揃って口を閉じる。

176 名前:ホワイトキャンバス 投稿日: 2011/07/15(金) 14:47:37 ID:LPsrDc/c0
「ほら、秋子さんから借りていた携帯電話……って、名雪ちゃんのなのか。とにかくな、それ、手が空いてたら調べようってことで持ってたんだけど……僕、すっかり忘れててさ」
「前置きはいらん、さっさと話せ」
「だーもう、せかさないでよ! その携帯思い出したのが、北川が自分の携帯持ってたからなんだよ」
「それは北川君が没収されずに、自分のを持ち込めていたってことですか?」

頷く陽平。
衣服以外の身包みは剥がされて当然と考えていた面々にとっては、それは驚愕の事実だった。

「ちなみに僕は、そういうのは特にない。稀なことには変わりないと思うよ」
「いや、うーへいそれは早計だ。るー達の目の前には、立派な証拠があるじゃないか」

るーこの視線の先では、澪がきょとんと瞳を瞬かせている。
その、彼女の胸元。抱えられている物。
気づいた名雪が言葉を零した。

「スケッチブック……」
「そういうことだ。うーみお、それは支給品とは別の、お前が持ち込めた物じゃないのか」

筆談するまでもない。
こくこくと、澪はすぐに肯定を表した。

「うーん、これは改めて持ち物を確認しといた方が良さそうだね」
「そうだな。でもまずは、うーへいの話の方が大事だ」
「はいはいそうですね、せかさないでってば。えーっと、それでとりあえず番号交換したんだよ。北川が通話はできないけど機能は生きてるって言ってたからさ、一応ね。そしたらメッセージが出た」
「メッセージ?」
「この電話と通話できる、みたいな。そんなの。で、実際北川の電話にかけられるようになった」

一端名雪に返した携帯電話を再び受け取り、春原は軽い動作でアドレス帳を開く。
そこには彼の登録した、北川潤という項目が映っていた。

177 名前:ホワイトキャンバス 投稿日: 2011/07/15(金) 14:47:58 ID:LPsrDc/c0
「その後この携帯を使って、北川は待ち合わせを取り付けてたんだ。多分その相手が、香里って子じゃないですかね。あの態度、明らかに女の子に対してっぽかったし。履歴は……あれ、載ってない」
「発信記録は残らないのか」
「いや、その前に試したのは残ってるんだけど。北川の家電とか。何でだろ」
「北川君が何処に行ったとかは、聞いてないかな」
「うっ……ご、ごめん、スルーしてた。夜中のテンションって怖いなぁ」
「かけてみませんか。今、電話を」

それまで黙っていた秋子がおもむろに口を開く。

「電話が通じるなら、無事も確かめられます。早い方がいいでしょう」
「うん、わたしもお母さんの言う通りだと思う」
「事実確認がすぐ取れるな」
『どきどきなの』
「せ、せかしてきますね本当に……」

追い立てられるように北川の番号を呼び出すと、春原は携帯電話に耳をつけた。
聞き覚えのあるコール音が続く。北川が出る、気配はない。

「どうだ、うーへい」
「駄目だ、留守番電話になる」

それから何回か繰り返したが、北川が電話越しに答えてくることはなかった。
不安が解消されることは無く、結局名雪がメッセージを残し、今後も定期的に連絡を試みようということで話はまとまった。

「固定電話に繋げられるかは、まだ分からないんですよね」
「そうなんですよ。ここの家、電話線は繋がっているみたいなんですけど番号が分からなかったもんで……」
「電話番号が分かりそうな建物……ここからなら、分校跡っていうのかな」

地図を取り出した名雪が指を差す。
距離もそこまで離れていないため、簡単に辿り着けるだろう。

178 名前:ホワイトキャンバス 投稿日: 2011/07/15(金) 14:48:39 ID:LPsrDc/c0
「そうだな、まずそこに行って見るのがいいだろう。食料も見つかるかもしれない」
「あ、そういえば北川が最初にいた消防署なら、電話帳あるかもしれないねって話したよ」
「おい馬鹿うーへい、それを先に言え」
「へ?」

がたっと一斉に立ち上がった面々が、すぐに荷物をまとめだす。
一人座ったままの陽平は、おろおろと素早い彼女達の動きに翻弄されるだけだった。

「うーへい。それはあいつに何かあったら、そこに向かうかもしれないってことだ」
「え?」
「勿論、絶対ではないと思います。でもわたし達が消防署に向かうかもれないと知っていたら、どうでしょう」
「え??」
『香里さんという方が亡くなったなら、一緒にいたかもしれない北川さんにも何かあったかもしれないの』
「え???」
「北川君と香里が本当に会えたかは分かりません。でも可能性は、一つだって見過ごせないんです」

一人座ったままの陽平を除き、彼女達はすぐに部屋から出て行った。
すれ違いざまに掠め取られた携帯電話、その持ち主である名雪の髪が陽平の前でさらりと舞う。

「え、え、え、えぇぇ……?」
「遅れるな、馬鹿へい。うーなゆ達を思えば、正直一分一秒でも早い方が好ましいだろう」
「だって分校跡は……」
「後回しだ」
「い、言うの忘れてたけど、消防署って電話線切れてるって北川言って……」
「電話帳というものがあればいいのだろう? グダグダするな、いいから来い」
「わ! ひ、引っ張らないでよ、る〜こ〜〜〜」

179 名前:ホワイトキャンバス 投稿日: 2011/07/15(金) 14:49:10 ID:LPsrDc/c0
これからどうするかを話し合うのは、ここまでだ。
指針ができたら後は早い。
一晩過ごした民家を背に、振り返ることなく目的地へと歩を進める。
陽平以外。

「る、るーこ! もう自分で歩けるから!!」

掴まれた首根っこが解放されるまで、陽平の視界から民家が消えることは無かった。




【時間:2日目午前8時過ぎ】
【場所:F−02】

春原陽平
【所持品:防弾性割烹着&頭巾・スタンガン・GPSレーダー&MP3再生機能付携帯電話(時限爆弾入り)・支給品一式】
【状態:鎌石村消防署に向かう】

ルーシー・マリア・ミソラ
【所持品:IMI マイクロUZI 残弾数(30/30)・予備カートリッジ(30発入×5)・支給品一式】
【状態:鎌石村消防署に向かう・疲労回復・服の着替え完了(パーカーにジーンズ)】

水瀬秋子
【所持品:IMI ジェリコ941(残弾14/14)、木彫りのヒトデ、包丁、スペツナズナイフ、殺虫剤、
 支給品一式×2】
【状態・状況:鎌石村消防署に向かう
 健康。主催者を倒す。ゲームに参加させられている子供たちを1人でも多く助けて守る。
 ゲームに乗った者を苦痛を味あわせた上で殺す】

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

名前: E-mail(省略可)
全部読む 最新50 1-100 メール受信 掲示板トップ リロード


3 避難用作品投下スレ4 (Res:851)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 3
1 名前:管理人★ 投稿日: 2008/08/01(金) 02:07:08 ID:???0
葉鍵ロワイアル3の作品投下スレッドです。

845 名前:そのころ彼は 投稿日: 2009/05/27(水) 01:58:54 ID:9tDqkDG.0
「ぷひ」

 彼が誰かご存知だろうか。ボタンである。
 降りしきる雨の中とぼとぼと彼は歩き続けていた。
 勢いもよく坂を駆け上がっていたもののすぐにバテておまけに道に迷った。

 説明をさせていただけるならばボタンは現在菅原神社へと続く道を歩いていた。
 所詮は年端もゆかぬ猪。道など分かろうはずもない。
 そういうわけで彼はホテル跡で起こってきた惨劇や凄絶な戦いを目にすることも参加することもなく、
 いわゆるボッチ状態で涙目だった。

 ぐぎゅるるるる、とボタンの腹が鳴る。言うまでもない、食欲がボタンをせっついているのだ。
 当然のことながらボタンは食料などもっているはずもないし、雑草が食べられるわけでもない。
 次第に彼の脳内はご主人様への思いよりも食欲の方に支配されていくのだった。
 所詮は獣畜生である。つぶらな瞳を輝かせながら彼は猪突猛進を続ける。やはり猪である。
 しかしそんなボタンも野生の血を引き継ぐもの。ガサガサと聞こえる不自然な音が聞こえたのを逃さなかった。

「ぷひ?」

 人間だろうか。しかし鼻を嗅いで匂いを探ってみてもそれらしき匂いや気配もない。
 いくら雨の中だとはいえ獣の嗅覚は人間とは比較にはならないのである。
 不可解な現象にぷひ、とボタンが疑問の鳴き声を上げる。

 世の中には自然現象というものがある。今ボタンの体を濡らしきっている雨もそうだし、
 台風や雪という現象があるのもボタンは知っている。
 しかしこの島に来てからというもの、雨以外のそんな現象にはとんと覚えがない。
 野生の勘が「何かある」と告げていた。

846 名前:そのころ彼は 投稿日: 2009/05/27(水) 01:59:18 ID:9tDqkDG.0
 ここで留意していただきたいのは、ボタンは獣なれども人間に慣れ親しみ、共生してきた猪であることだ。
 普通の獣ならば危険には極力近づかず、己の命を確保することに最善を尽くす。
 しかしボタンはそうではない。藤林杏にしつけられ、彼女の忠実な僕とも言える存在だ。
 山の上に向かおうとしたのだって杏ならばそうするという考えに基づいていたし、
 獣なりの倫理感らしきものも存在していた。
 もっとも今は空腹感に支配されているのだが。

 とりあえず濡れるのは嫌だったし、そちらへ向かうことにした。
 大抵の場合、何か物音がする現場には建物があるというのが相場である。
 道を外れ、草叢の中をがさがさと侵入していく。

 視界はさらに悪くなったが大体音のする方向は検討がついていた。
 視覚と異なり、聴覚で方向を判断する能力は優れている。獣の面目躍如である。
 そうしていくらか歩いたころであった。
 地を揺るがすような大音量が響き、しかる後にけたたましい音が鳴り始めた。

「ぷひ!?」

 今まで経験したことのないような音にボタンの頭が混乱の極みを迎える。
 待てまてまてあわわわあわ慌てるなニホンイノシシは慌てないッ!
 ガタガタ震えることは……流石になかったが、杏に仕込まれたボタンが七つ奥義、『ぬいぐるみ』を発動させ、
 さながら路傍の石が如く動きを止める。混乱すると命を優先する部分はやっぱり獣なのであった。
 それからしばらくしてようやく音が止まる。最後にキーンという耳鳴りがあったような感覚のあるボタンだったが、
 ぬいぐるみ中は無念無想の境地。殴られても投げられても無反応を貫く。

 ま さ に ド M 。

 なお、ボタンはSMという概念などないことをここに記しておく。
 しばらく無音が続いたのだがボタンは念を押してぬいぐるみ状態を続ける。
 この形態になればいかなる人間からも注目されたことはない。持っている人間が注目されることはあったが。

847 名前:そのころ彼は 投稿日: 2009/05/27(水) 01:59:35 ID:9tDqkDG.0
 だがこの慎重さが裏目に出た。
 収まったかと思えば今度はガサガサという音がボタン側の方に近づいてきたのである。
 何者かが近づいてきたのは明白であったが、匂いはまるでない。そう、質量を持った音だけが近づいていたのだ。
 どうすべきかとボタンは一瞬迷い、結局ぬいぐるみ状態を貫くことにする。この状態なら気配もある程度消せるのだ。
 実際音はまるでこちらに気付くこともなく一直線に進んでいく。
 まるで悩みなどないかのように、考えるべきことなどないかのように。

「……ぷひ」

 気付いていないと判断したボタンはぬいぐるみを解いてみたが、やはりガサガサとした音は依然として変わらず。
 次第に音は遠ざかっていく。一体何だったのだろう。
 まるで正体の分からぬ音の主に生物的な恐怖は感じていた。だがそこに何かがあるという直感を持ったのも事実だった。

 杏のことを頭に浮かべる。少しでも役に立つことがしたい。ここに来てからというもの、まるで主人の力になれてない。
 ボタンを撫でて心を慰撫しているような素振りはあった。しかしそれだけだ。受動的にしか行動が出来ていない。
 主人の危機には何ひとつ出来なかった。隠れているだけで、杏を助けたのはいつも他の人間だった。

 妬ましいとは思わない。無性に自分が情けなかった。いつまで経っても自分は助けられる存在でしかないという事実。
 ひいては立派な大人足り得ないということが悔しさを駆り立てる。
 いつまでも子供ではいられない。立派になって恩返しをしなければならないのだ。
 ならばボタンのするべきことはひとつしかない。その機会はまさに目の前にある。

 思いに衝き動かされ、ボタンは音の根源を追った。耳が良かったし前進速度だけは速かったので追跡することができたのである。
 それに加え、猪は元を辿れば山地に生息する動物だ。山はお手の物。空腹はいつの間にか忘れていた。
 音を追って進んだ先。……そこは何もない草叢だった。

 今までの草叢と同じく、ボタンの身長ほどもある雑草が青々と茂り、静かに揺れていた。
 しかし音はここで途絶えていた。そう、音の根源はここで突如として姿を消したのである。
 だがボタンでも知っている。突然消えるモノなどありはしない。
 他に不審な音はない。ボタンの存在に気付き、隠れているような気配もない。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

848 名前:そのころ彼は 投稿日: 2009/05/27(水) 01:59:50 ID:9tDqkDG.0
 ならば上なのだろうか。視線をずらしてみるが、そそり立つ木々の枝にも何かがぶらさがっている様子はない。
 木の上を飛んでどこかに逃げてしまったのだろうか。それはないとボタンは思った。
 迷いなく進んでいた音の主はそんな器用な思考を持ち合わせていないと思ったのだ。
 生き物なら、一定間隔で動き続けることがどれほど不自然なことかボタンには分かっていた。
 なのに忽然と消えた。ここには最初から何もなかった。そう結論付けるように草叢はただ広がっている。

「ぷひ?」

 何かがあるという直感的な思いの元とことこと草を掻き分けて進んでいたボタンの鼻にツンとした刺激臭が漂ってきた。
 それはボタンにさえ僅かに感じられる程度で、人間ならば気付きもしないレベルであっただろう。
 この匂いの正体をボタンは知っている。冷房の匂いだ。

 正確には冷房の効いた室内の匂いというべきだった。スーパーマーケット、コンビニ、デパートやオフィスに漂うそれ。
 どことなく埃っぽいその匂いをボタンは不思議に思った。冷房は、人間の家にしか存在しない。
 それともここは人間の家なのだろうか。もう一度上を見上げてみるが、黒い空が見える。雨は止んでいた。
 空が見える以上、少なくともここは人間の家ではない。だが人間の家の匂いはする。

 首を傾げてさらに進んでいくと、柔らかい地面にボタンの足が刺さった。
 今まで堅かったはずの地面が突如柔らかくなり、ボタンの体勢が崩れる。こける。
 しかもなにやらカチリという音までした。
 なにか良くない予感がするのを感じつつボタンが起き上がると、そこには違う光景が広がっていた。

 縦穴が広がっていたのだ。突然地面から現れたそれは、猛獣が口を開けて待つように開かれている。
 この奇怪な現象をボタンは理解できなかったが、匂いの根源は理解することが出来た。

 匂いは穴の中から漂っている。入り口の前まで足を進めてみると、チカチカとした赤い光の群れがボタンを迎えた。
 左右の端に警告するように光っている赤いランプ。赤は危険な色だとボタンは知っている。
 中は薄暗く、ここからでは何も確認出来なかった。確かめるには入ってみるしかない。
 おそるおそる足を進める。入り口の前まで来たとき、唐突に声が流れた。

849 名前:そのころ彼は 投稿日: 2009/05/27(水) 02:00:13 ID:9tDqkDG.0
『侵入者を確認。識別コードが違います。首輪を爆破します』

「ぷ!?」

 上の方から流れてきた声。ボタンにその正体は分からなかった。
 おろおろして周囲を見回すが誰もいるはずはない。それもそうだった。
 声の主はセンサーと連動しているスピーカーから流れたものだ。
 その言葉の意味はここの参加者であるならばすぐに理解し、絶望に顔を青褪めさせただろう。

 生体反応をキャッチし、コードが違えば即座に首輪を爆発させる防御システムは目の前のボタンに対し信号を送りつけた。
 悲鳴を上げる間もなく、信号を送られた人間は首が吹き飛ぶはずだった。
 ……しかし、ボタンは参加者ではない。首輪などあるはずがなかった。
 当然のことながら信号は意味を為さず、送るだけでそれ以外の対処など持ち得ない機械のセンサーは無言を貫くだけだった。
 参加者を即座に爆破する絶対無敵のシステムは『支給品』には何の意味もなかったのだ。
 侵入者を抹殺し、役割を果たした入り口が再び閉じ始める。それも急速に。

「ぷひ!」

 我に返ったボタンは閉じ始めた入り口と、外の世界を交互に見やり、やがて意を決したかのように中へと向けて走り始めた。
 ボタンが闇の中に消えたと同時、入り口は完全に閉鎖され、元の殺風景な草叢の風景がただ広がるばかりになる。
 猪を放り込んだ闇の在り処を、誰も知る由はなかった。

850 名前:そのころ彼は 投稿日: 2009/05/27(水) 02:00:26 ID:9tDqkDG.0
【時間:二日目午前23:50】
【場所:D-2】

ボタン
【状態:杏を探して旅に出た。謎の施設に侵入。主催者に怒りの鉄拳をぶつける】

→B-10

851 名前:管理人★ 投稿日: 2009/05/28(木) 12:54:49 ID:???0
容量の肥大化に伴い、新スレッドに移行いたします。
以降の作品は下記スレッドへの投下をお願いいたします。

避難用作品投下スレ5
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7996/1243482599/

名前: E-mail(省略可)
全部読む 最新50 1-100 メール受信 掲示板トップ リロード


4 避難用作品投下スレ3 (Res:904)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 4
1 名前:管理人★ 投稿日: 2007/10/27(土) 02:43:37 ID:???0
葉鍵ロワイアル3の作品投下スレッドです。

898 名前:十一時二十六分/天国より野蛮 投稿日: 2008/08/01(金) 00:52:47 ID:a9/hciC20
 
「サクサクいこうよ、サクサクさぁ!」

軽快な声を上げたのは長い髪を乾いた血に汚した女、天沢郁未である。
その全身を染める褐色もまた、見紛いようもない血痕だった。
ぱらぱらと赤褐色の粉を落としながら振り抜いた薙刀を構えなおすその姿は、まるで古い血の塊から
殻を破って生まれ出る雛鳥のようにも見える。

「敵はデカブツ、たったの一体! まとまってくれたんなら面倒がなくていいじゃない!
 アレをぶち殺せれば私らの勝ち、タイムオーバーで私らの負け! 単純明快、最高ッ!」

死を振り撒きながら生を謳歌するように、郁未が高らかに叫ぶ。
その背後、郁未の切り落とした巨大な少女の指がばたばたと蠢くのに手の鉈を振り下ろして止めを刺したのは、
長く美しい金髪をヘアバンドで後ろに流した、やはり妙齢の女である。

「テンション上げすぎですよ郁未さん。
 それとその想定には時間内に私たちが死亡するという可能性が抜けています」

金髪の女、鹿沼葉子が静かに告げる。
重く響く声の理知的な印象はしかし、郁未同様にその全身を汚した返り血の痕が台無しにしていた。
元は白かったであろうロングスカートを見事な血染めにしたその姿は底知れぬ恐怖だけを見る者に感じさせる。

「やられる? 私らが? このデカブツに? ……本気で言ってる?」

肩越しに振り向いた郁未が巨大な少女を顎で指す。
鉈を引き抜いた葉子が郁未と目を見交わし、静かに首を振った。

「いいえ」

不敵に笑った、その顔に修羅が宿る。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

899 名前:十一時二十六分/天国より野蛮 投稿日: 2008/08/01(金) 00:53:18 ID:a9/hciC20
 
弾かれたように暴れだした、眼前の圧倒的な質量が巻き上げる土砂も、地震のように揺れ動く大地も、
咆哮と慟哭の入り混じったような轟音も、周囲を焼く熱波さえ無視するように、坂神蝉丸は目を閉じている。

 ―――何も望まず生まれた者に、意味を与えたい。

手前勝手な願望と、来栖川綾香は断じた。
愚考と切り捨てたのは光岡悟だった。
御堂は何も答えなかった。
そして久瀬少年は、それを矛盾と受け止めた。

そのすべてが、正しい。
坂神蝉丸の願いは歪んでいる。
何も望まぬ砧夕霧は、意味を与えられることすらも、望んではいない。
それを喜ぶことも、悲しむことも、そこに何らかの情動を見てとることすら、夕霧にはできない。
与えられる意味を、だから夕霧は唯の一つも、理解はしない。
義憤があり、同情があり、慷慨があり、そうしてそのすべてが、自己満足に帰結する。
それは誰一人として希求しない、決して幸福によってはもたらされることのない、未来だった。

だがそれでも、坂神蝉丸は立っている。
立っている限り進むのが、蝉丸という男の在り様であった。
常にぎしぎしと軋む大義に戦という油を注して動く己が身体の自己矛盾を蹂躙して立ち尽くす、
蝉丸の瞳が静かに開かれた。
静謐だけを湛えたその瞳に映るのは、意味を与えるべき、意味を望まぬ、
いまや恐るべき敵と化した少女たちの成れの果て。
片手に提げた愛刀が、熱線に照り光って赤々と燃えている。

深くついた、溜息一つ。
閃いた銀弧が、轟と風を巻いて迫っていた十尺を越える掌を、真っ二つに断ち割っていた。

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

900 名前:十一時二十六分/天国より野蛮 投稿日: 2008/08/01(金) 00:53:39 ID:a9/hciC20
 
朗と吼えれば、溢れるのは悦の響き。
爪と牙とを赤黒く染め上げて、白の巨獣の咆哮が荒涼とした岩場に谺する。
人に倍する巨躯を震わせたのは全力の殺戮に値する相手を見出した歓喜か。
かつて人であった獣はその心までを獣へと変じさせたが如く牙を剥き、吼える。
川澄舞の名を以てその巨獣を呼ぶ者は、既にない。

対するは少女、深山雪見。
身に纏う黄金の壮麗な鎧を泥に汚し、手の指をそれぞれ奇妙な方向に捻じ曲げ、
しかし何よりも異様だったのはその瞳である。
片目は醜く腫れ上がり、既に視界のすべてを埋め尽くしているように見えた。
青紫色の瞼はところどころ破れ、どろどろとした血膿が流れ出している。
残った右目だけがぎらぎらと光っていたが、小刻みに揺れる白く濁りかけた瞳孔が
その機能が長くは保たないことを如実に示していた。
ひう、と漏らした吐息は細く病的で、彼岸から彷徨い出た亡者のように巨獣と向き合う少女が、
折れ砕けた五指を無理矢理に握り込んで笑んだ。
血反吐に塗れた犬歯は、さながら餓狼の牙の如く。

憎に彩られた悦へと浸る獣と少女には、互いしか見えてはいない。
気付かぬはずもない、手を伸ばせば届きそうな距離に現出した巨大な脚には、目もくれない。
ただ一つの宝珠を賭けた、それは決戦だった。



***

901 名前:十一時二十六分/天国より野蛮 投稿日: 2008/08/01(金) 00:54:01 ID:a9/hciC20
 
ぱたりと倒れた人形は、もう起き上がることもない。

―――終わったのだ、というそれだけが、国崎往人の感慨であった。
彼が、彼の母が、彼の一族がずっと追い求めてきた、白い羽の少女。
邂逅は一瞬で、交わされる言葉もなく。
だが、何かが確かに終わったのだという、その実感だけがあった。

人形はひとりでに歩き出し、白い羽の少女がそれを見て、そうして飛んでいった。
倒れて動かない人形はならば、その役割を終えたのだろう。
国崎と、彼の一族の長い旅と共に。

これは果てのない旅だと、心のどこかで考えていた。
文字通り雲を掴むような、夢物語に突き動かされる旅。
いつか子を成し、その子に受け継がれる旅だと、そう思っていた。
それこそが夢想だと、気付かされた。

喜びはなく、悲しみもなく、ただ終わりだけがあった。
それを空虚と名付けることもできず、ひどく扱いかねて、国崎はぼんやりと座り込んでいる。
座り込んでぼんやりと空を眺め、眺めた蒼穹の向こうに白い羽を見た気がして、

「うわ国崎さん、生きてたっ」

能天気な声は場違いで、しかし、だから国崎は破顔して振り返る。
そこにあるのは見知った、行きずりの少年と少女の表情。
旅は終わり、未来には当てもなく、だがそれは昨日までと変わらない。
溜息を一つ。
古びた人形を拾い上げて、

「―――やかましいわっ!」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

902 名前:十一時二十六分/天国より野蛮 投稿日: 2008/08/01(金) 01:00:43 ID:a9/hciC20
 
日輪の天頂に至るまで―――残り、千八百秒。


***

903 名前:十一時二十六分/天国より野蛮 投稿日: 2008/08/01(金) 01:01:18 ID:a9/hciC20


【時間:2日目 AM11:30】
【場所:F−5 神塚山山頂】

究極融合体・長瀬源五郎
 【状態:シルファ・ミルファ・砧夕霧中枢(6278体相当)】

天沢郁未
 【所持品:薙刀】
 【状態:不可視の力】
鹿沼葉子
 【所持品:鉈】
 【状態:光学戰試挑躰・不可視の力】

坂神蝉丸
 【所持品:刀・銘鳳凰】
 【状態:右足裂傷(重傷・仙命樹により治癒中)】

川澄舞
 【所持品:ヘタレの尻子玉】
 【状態:ムティカパ・エルクゥ・魔犬ポテト融合体、軽傷(急速治癒中)】
深山雪見
 【所持品:牡牛座の黄金聖衣】
 【状態:出血毒(左目喪失、右目失明寸前)、激痛、意識混濁、頭部強打、
       肋骨数本及び両手粉砕骨折、ムティカパLv1】


【場所:G−6 鷹野神社】

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

904 名前:管理人★ 投稿日: 2008/08/01(金) 02:08:58 ID:???0
容量の肥大化に伴い、新スレッドに移行いたします。
以降の作品は下記スレッドへの投下をお願いいたします。

避難用作品投下スレ4
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7996/1217524028/

名前: E-mail(省略可)
全部読む 最新50 1-100 メール受信 掲示板トップ リロード


5 避難用作品投下スレ2 (Res:992)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 5
1 名前:管理人★ 投稿日: 2007/04/24(火) 01:55:07 ID:???0
新スレが立たない、ホスト規制されている等の理由で
本スレに書き込めない際の避難用作品投下スレッドです。
また、予約作品の投下にもお使いください。

986 名前:岸田バスターズ! 投稿日: 2007/10/26(金) 01:15:58 ID:m.ugVWmU0
勝平は答えられなかった。何も、答えられるわけがなかった。
今までの己の行動と結果が、勝平から言葉という媒体を奪っていた。
この島で、勝平にとって仲間と呼べる人間は一人もいなかった。
勝平自身が作ろうとせず、相手を蹂躙することだけを考えていたことも原因の一つだろう。
殺される前に殺す、それがルール的にも身を守るには一番安全な指針であると勝平は疑うことなく思っていた。
生き残って欲しい。こんなことを言われるなど、勝平にとって予想だにもしない事である。
そして溶けることになるいくつかの疑問も、じわじわと勝平を苦しめた。
何故こんなにも神尾観鈴という少女が懐いていたかという理由は、今この場で明らかになる。
彼女の思いがそこにあったということ。そのなんと重いこと。
予想外の事実に混乱が隠せないのだろう、勝平はいやいやと頭を振りながら無言で観鈴の瞳を見つめていた。
与えられた一つの真実、勝平がそれを受け入れるには時間が必要となるに違いない。
しかし、時が待ってくれることもなく。
刻一刻と過ぎていった時間は、ついに観鈴を終末へと導いていく。

「にはは……最後に、お願い……聞いてもらって、いい……?」
「お、おい、何だよ最後って」

観鈴以上に覇気のない勝平の声、観鈴はにっこりと微笑みそれを流す。

「……ループを、止めてぇ」

いまだ勝平の頬に触れたままであった観鈴の右手、清らかな右手。
小刻みに揺れるそれが、彼の首へと回される。
弱々しく引き寄せてくるそれに、勝平は抗うことなく身を任せるしかない。
徐々に近づいていく双方の瞳、距離がゼロになるその手前。
自然と合わされる、唇。
滑りを覚えそれが観鈴の血だと勝平が自覚する前、彼の視界は転換させられた。
脳裏に流れた観鈴の言葉と共に。

―― 私の断片、受け取って
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

987 名前:岸田バスターズ! 投稿日: 2007/10/26(金) 01:16:27 ID:m.ugVWmU0

次の瞬間、勝平の目の前には真っ青な世界が広がっていた。
強い風に負けそうになる体を懸命に押さえつけ、勝平は辺りをゆっくり見渡そうとする。
まるで高層ビルから階下を見下したような光景が、勝平の視野を彩っていた。
いや、それ以上だ。はるか遠くに位置する地上に対し、勝平は思わず呆けそうになる。
ここがとてつもなく高い場所であるということだけは、勝平にも理解できた。
しかし一体どうなっているのかまでは皆目検討もつかないだろう、勝平が途方に暮れかけたときのことである。
彼の横を、何かが横切っていった。
予測していなかったものの登場に勝平は慌てて振り返り、それが何なのかを確認しようとした。
空を切る二枚の翼、真っ白なそれが世界の青に溶け込むことなくそこに存在していた。
鮮やかな長い黒髪も気持ち良さそうに風に舞っている、翼の生えた少女は勝平を気にすることなく自由に空を飛んでいた。

真っ白な翼を広げ、空を上っていく一人の少女。
そう。今勝平がいるのは、空だった。
勝平自身も浮いていた、空を飛んでいた。
突然の状況に混乱が隠せず、勝平は無言で少女の姿を見つめ続けていた。
微かに見て取れた少女の表情の幼さが観鈴と重なり、勝平の鼓動が一つ鳴る……と同時に、世界にまた変化が起きる。

空の青が掻き消えると、今度は随分と地味な世界が現れた。
こじんまりとした小屋、シンプルな造りの部屋の中には何かを映し続けるテレビが在る。
そして、それをじっと見つめる女の子。
小さな、小さな女の子。
勝平は無言でその風景を見つめていた、先ほどのような体感を覚えることはない。

「……?」

不意に、女の子がこちらに振り向いてくる。
目が合ったような感覚を受け、勝平は一瞬体を震わせた。
あどけないその表情、無垢なる視線にどう対処していいか分からず勝平は黙り込むしかなかった。

988 名前:岸田バスターズ! 投稿日: 2007/10/26(金) 01:16:54 ID:m.ugVWmU0
「あ」

少女の声。驚いているのか、その妙なイントネーションが勝平の印象に残る。
だがそれだけだった。勝平の視界は、急遽その場でシャットアウトされる。
世界の終わりも、また観鈴の声と同時に告げられるものだった。

―― にはは。お姫さまに、よろしくね

つい先ほどまでよく聞いていたそれが妙に懐かしく感じる勝平に、現実が舞い戻る。


※        ※        ※


呆けそうになる頭に渇を入れる、勝平は頭を振ると同時に霞みかけた意識を覚醒させた。
景色は先ほどまでと同じ学校である、職員室の中に篭っている煙がまだ晴れきっていないことから時間もそこまで経っている訳ではないだろう。
一体何が起きたのか。勝平に明確な意味は伝わっていない。
二つの不思議な光景、その余韻に浸りそうになりかける勝平はふとその世界へ彼自身を誘った少女の存在を思い出した。

「……神尾?」

温もりは残っているものの唇は既に離れている、観鈴は勝平腕の中身動きを取ることなく脱力していた。
瞬間、不安が勝平の中を駆け巡る。
気づいたら自然と呼んでいたその名前、思えば勝平が彼女の名前を口にしたのは初めてだったかもしれない。

「神尾……ちょっと、神尾!」

張り上げる。だが、勝平のそれに対し反応は返ってこない。

「どうして……どうしてだよ……っ!」

989 名前:岸田バスターズ! 投稿日: 2007/10/26(金) 01:17:26 ID:m.ugVWmU0
強く抱きしめた観鈴の体はいまだほのかな温もりを保っている、勝平はそれがせつなくて仕方なかった。
閉じられた瞳が開かれる気配はない。
にはは笑いを繰り返していた頬が、再び緩む気配もない。
清らかだった彼女の右手は、力を失い地面へと投げ出されていた。
投げ出された地面は、彼女の血液で湿っていた。
清らかだった彼女の右手も、今は左手と同じように真っ赤に染まっていた。

いくら勝平が声をかけても、観鈴がもう答えることはない。
彼女の心拍数は既にゼロ。
観鈴の世界は、終わっていた。

『あいつみたいなのが、絶対、こんな……くだらない殺し合いを、変えてくれる、はずなんだよ……。
 俺みたいな、殺すことを納得した人間じゃ……駄目、なんだ……』

染み付いた相沢祐一の言葉が、勝平の中反芻される。
戸惑い、混乱、それら全ての感情がミキサーにかけられた状態の勝平の頭の中、それだけが一際輝いていた。





「やってくれたな、あのガキが……」

一人森の中を進む男、岸田洋一が苛立たしげに一つ舌を打つ。
先ほど岸田が脱出した鎌石村小中学校の外観を見上げると、その一角からはいまだもくもくと白い煙が漏れていた。

「それにしても危なかったぜ、あのガキ何て無茶しやがる」

990 名前:岸田バスターズ! 投稿日: 2007/10/26(金) 01:17:54 ID:m.ugVWmU0
咄嗟に動いた岸田の体、勝平が放り込んできたものが手榴弾と認識できたと同時に岸田は背面に位置する窓に向かって駆けていた。
そしてごく自然に壁際の窓を開け、そこにある水道管を握り衝撃を殺しながら飛び降りた。

一拍後。

爆裂音と共に粉々になったガラスの破片が降り注いでくる、だがそれだけだ。
岸田は無傷で、あの絶体絶命になりかけた場面から逃れることができていた。

「今日の俺は冴えているな、絶好調だ。あのガキも次こそは仕留めてやる」

即退路を確保できたということ、それは自身の冴え渡る『勘』に他ならないと岸田は思い込んでいた。
実際彼が自覚していないのだから、そうと言い切ってしまってもおかしくはないだろう。

「ふー、これももういいか。クソッ、重かったぜ」

徐にベルトを緩め、腹部に仕込んでいた物を取り出す岸田。
英和辞典。それは岸田が回収した、藤林杏の荷物に入っていたものだった。
いざという時にためにと腹部をガードする意味で岸田だが、正にそれが役に立ち彼は奇襲に成功する。

「殺しちまったのが女っつーのも勿体無かったが……まあいい、代わりはいくらでもいる」

これも岸田曰く、冴え渡る『勘』により起こした策だった。
記憶にはなくとも自然と体が覚えていたという事象、岸田は正にそれに助けられただけだった。
しかもうち一つは、彼自身が煮え湯を飲まされたものである。
岸田は気づいていない、しかし気づいていないからこその。

「さあ、さっさと新しい獲物を見つけねーとな……」

最優先される欲望が、そこにはあった。

991 名前:岸田バスターズ! 投稿日: 2007/10/26(金) 01:18:24 ID:m.ugVWmU0
柊勝平
【時間:2日目午前5時半】
【場所:D−6・鎌石小中学校二階・廊下】
【所持品:手榴弾二つ・首輪・和洋中の包丁三セット・果物・カッターナイフ・アイスピック・支給品一式(食料少し消費)】
【状態:呆然、衣服に観鈴の血液が付着している】

岸田洋一
【時間:2日目午前5時半】
【場所:D−6】
【所持品:カッターナイフ、拳銃(種別未定)・包丁・辞書×3(英和、和英、国語)支給品一式(食料少し消費)】
【状態:次の獲物を探す】

神尾観鈴  死亡

電動釘打ち機5/16は廊下に放置に
観鈴の持ち物(ラッシュメモリ・支給品一式(食料少し消費))は観鈴の遺体傍に放置

(関連・446・458・904)(B−4ルート)

992 名前:管理人★ 投稿日: 2007/10/27(土) 02:45:31 ID:???0
容量の肥大化に伴い、新スレッドに移行いたします。
以降の作品は下記スレッドへの投下をお願いいたします。

避難用作品投下スレ3
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7996/1193420617/

名前: E-mail(省略可)
全部読む 最新50 1-100 メール受信 掲示板トップ リロード


6 会議・相談スレ2 (Res:99)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 6
1 名前:管理人★ 投稿日: 2007/01/04(木) 14:08:26 ID:???0
したらば仕様変更に伴い、新スレッドに移行します。
特定ルートにおける主催者や伏線等、感想スレでは話し合いにくい話題にお使いください。

93 名前:名無しさん 投稿日: 2007/06/04(月) 07:25:27 ID:maGazzMQC
移動している最中の話しで構わないから柳川で水瀬親子をなんとかしてほしいのが本音。
秋子は本々ややこしいキャラなのに、今始末しないともっとややこしくなる。
下手なキャラで殺すと後々問題になりかねんし・・・。

94 名前:名無しさん 投稿日: 2007/06/04(月) 12:10:51 ID:5iwQVECcC
別に柳川以外で殺しても問題起きないんじゃないかな

あまり絞らない方が良いと思う

95 名前:名無しさん 投稿日: 2007/06/04(月) 22:37:51 ID:z0FwLjOc0
水瀬親子は柳川と合流したか。
扱いに困ってたから助かった。

96 名前:名無しさん 投稿日: 2007/06/24(日) 18:02:14 ID:HqmT7vx.0
今更だけどこんなもん見つけた

ttp://homepage2.nifty.com/a_la_carte/okisimamap.htm

97 名前:名無しさん 投稿日: 2007/06/24(日) 18:18:32 ID:HqmT7vx.0
ファミレス服

ttp://www2u.biglobe.ne.jp/~bso/main/diary_old/pia.htm

後ろ右の子がフローラルミントタイプ
後ろ左の子がトロピカルタイプ
手前の赤い帽子とスカートの子がぱろぱろタイプ

98 名前:名無しさん 投稿日: 2007/07/18(水) 02:40:19 ID:46fKn0n20
一回聞いてみたかったんだけど、
ルートB-4,B-10,D-5ってそれぞれのルートを担当してる人以外が作品落としてもOK?
たまに作品書こうかなと思ったけれど、皆今後の物語のおおまかな流れは考えてるだろうし、
横から手出ししても平気なのか気になった。

99 名前:名無しさん 投稿日: 2007/07/18(水) 17:10:34 ID:w6mk7qc60
B-10主に書いてる人だけど俺は大歓迎
…というか既に1本落としてくれた人がいたしね
とにかく、どのルートに挑戦するにせよ書き手が増えるのは嬉しい

名前: E-mail(省略可)
全部読む 最新50 1-100 メール受信 掲示板トップ リロード


7 避難用作品投下スレ (Res:1062)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 7
1 名前:管理人 投稿日: 2006/11/11(土) 05:23:09 ID:2jCKvi0Q
新スレが立たない、ホスト規制されている等の理由で
本スレに書き込めない際の避難用作品投下スレッドです。

1056 名前:新たなる復讐鬼 投稿日: 2007/04/23(月) 21:39:03 ID:YsmB38Bo0
十分後。
誰も言葉を発せず立ち尽くす中、ようやく貴明は歩を進め、るーこの亡骸を抱きかかえた。
「るーこ……ごめんな。俺が怪我なんてしてなければ、お前が危険な役目をしなくても済んだのに……っ!」
瞳に涙を溜めながら、体温を失った少女の身体を抱き締める。
少しでも体温を分け与えてあげれるように。
少女が旅立った先で、凍えてしまわぬように。
るーこの身体を包み込んだまま、貴明は横に視線を移した。
倒れ伏せている凄惨な亡骸を観察し、口を開く。
頭部の半分近くを失った顔では判別がつかぬが、制服は自分が知っている情報と一致する。
「珊瑚ちゃん……倉田さん……。こっちの女は、瑠璃ちゃんを殺した奴か?」
「……はい。この女の人が、来栖川綾香さんです」
倉田佐祐理が、恐る恐る答えた。
貴明はるーこの亡骸に視線を戻した。
「そっか……。もしかしたらるーこは捨て身で、瑠璃ちゃんの仇を取ってくれたのかも知れないな……。
 なあるーこ、疲れただろ? もうゆっくり休んでいいぞ……後は俺が、お前の分まで戦うから」
貴明はそう言って、るーこの目を優しく閉じてやった。
それからるーこの身体をそっと地面に横たえ、周囲を観察して――発見してしまった。

1057 名前:新たなる復讐鬼 投稿日: 2007/04/23(月) 21:40:20 ID:YsmB38Bo0
「これは……まーりゃん先輩の……」
貴明は地面に落ちていた矢を拾い上げる。
先端に血のこびり付いたソレは、間違いなく麻亜子が使用していたボウガンの矢だった。
「ま、まさか……先輩が……?」
後ろで久寿川ささらが、震えた声を絞り出す。
その先は言われなくても分かった。自分だって同じ可能性に思い至ったのだから。
貴明は自身の推論を口にし始めた。
「今から話す事は、あくまで仮定だ。だけどかなり確率は高いと思う。聞いた話によれば綾香はまーりゃん先輩を物凄く憎んでいた筈だ。
 綾香の死体と先輩のボーガンが此処に転がっていて、そのすぐ傍でるーこが殺されてしまっていた。という事は――」
「や、やめて……貴明さん……。それ以上言わないで……」
ささらの懇願を無視して、背中を向けたままで、貴明は続けた。
「――るーこは綾香とまーりゃん先輩の殺し合いに巻き込まれて、死んでしまったんだと思う」
結論を口にすると、一同は例外無く息を飲んで黙り込んだ。
貴明ははちきれんばかりに拳を握り締め、怒りに肩を震わせた。
るーこは死なずに済んだ筈だ。
――先輩がゲームに乗ったりしなければ。
――先輩が綾香を挑発したりしなければ。
自分の心が、どうしようも無いくらい膨大なドス黒い感情によって塗り潰されてゆくのが分かる。

そんな時である。雨の中でもはっきりと聞き取れるくらいの銃声がしたのは。
「近いな……」
貴明は銃声の方へと顔を向けた。
今の銃声が誰が放った物なのか、断言する事は出来ない。
しかしこの場所からそう遠くない以上、麻亜子が銃声を生み出した張本人である可能性は高い。
貴明は仲間達の方へ、くるりと振り返った。
「たかあき……さん……?」
ゆめみが呆然とした顔で、掠れた声を絞り出す。
貴明の瞳から赤い涙が――怒りと悲しみの雫が、流れ落ちていたのだ。

1058 名前:新たなる復讐鬼 投稿日: 2007/04/23(月) 21:41:50 ID:YsmB38Bo0
「ごめん、俺は銃声がした方に行ってくるよ。皆は何処か安全な場所を探して、隠れてくれ」
「そ、そんな……貴明さん……」
「ゆめみさん。悪いけど今度こそ本当に皆を頼んだよ。倉田さんも、七瀬さんも、久寿川先輩も、珊瑚ちゃんも、どうか無事でいてくれ。
 俺はこれ以上自分を抑え切れないから……ここで、さよならだ」
貴明はそう告げると、銃声がした方向に向かって走り出そうとする。
だが珊瑚が行く手を遮るような位置に立って、両手を横に大きく広げた。
「アカンッ! 貴明も聞いたやろ!? リサっていう凄く強い人が、この村に来てるかも知れへんのや。
 もし今の銃声がその人のやったら、一人で行っても殺されちゃうだけやんっ!」
「どいてくれ。敵が誰であろうが――リサであろうが……まーりゃん先輩であろうが、関係無い。
 俺は罪の無い人達を踏み躙る奴らを、放っておく事なんて出来ないんだっ!」
貴明はそう言うと左腕を伸ばし、力尽くで珊瑚を押しのけた。
自分でも、間違った事をしているのは分かっている。
ゲームの脱出を最優先に考えるのなら、まずは速やかに自分達の安全を確保して、それから作戦を練るべきだ。
仲間達が何処に行ったか分からない以上、無闇に捜索を続けるべきではない。
危険過ぎる敵が何処かに潜んでいる以上、銃声のした方向に近付くべきではない。
それでももう止まれない。
この極限まで膨れ上がった怒りを、悲しみを、押し留める事など出来る筈が無い。

1059 名前:新たなる復讐鬼 投稿日: 2007/04/23(月) 21:43:39 ID:YsmB38Bo0
貴明の腰に、後ろから珊瑚が抱きついた。
「貴明……お願いや、行かんといて……。貴明まで死んじゃったら、ウチは……ウチはっ……!」
それは完全に涙声だった。背中越しにでも伝わる不安げな震え。
大切な者を次々と失った珊瑚の気持ちは、痛いほど分かる。
自分だって大切な人をもう何人も失ったのだから。
「……ごめん」
それでも貴明は、珊瑚を振り払って駆け出した。
ずきずきと痛む胸にも構わず、目から溢れる涙を拭いもせずに。
(まーりゃん先輩……るーこが死んだのは貴女の所為です。貴女が綾香を扇動した所為で、るーこは……!
 もしこの先に居るのが貴女だったのなら、俺は――)
少年は絶対の殺意と悲しみを胸に秘めて、ただひたすらに走り続ける。



「貴明ぃぃぃ!!」
珊瑚は喉が張り裂けんばかりの絶叫を上げるが、貴明の背中はどんどんと遠ざかってゆく。
貴明の覚悟を、怒りを目の当たりにした一同の殆どは、貴明を追えなかった。
だがそこで一人の少女が、すっと前に出る。
「みんな、ここは私に任せて」
「……久寿川さん?」
留美が声を掛けると、ささらは首だけ後ろに回して、言った。
「私が貴明さんを連れ戻してくるわ。だからみんなは、なるべく早くこの村の何処かに隠れてて」
「ちょ、ちょっと待って……」
留美の言葉が最後まで続く事は無かった。
ささらは留美が話し終えるのを待たずに、貴明が走り去った方向へと駆け出したのだ。

1060 名前:新たなる復讐鬼 投稿日: 2007/04/23(月) 21:45:12 ID:YsmB38Bo0
自分は大した武器も持っていない、怪我だって負っている。
それでもささらは、貴明の後を追わずにはいられなかった。
(貴明さんは分かってる筈だわ……あの銃声がした方向に、きっとまーりゃん先輩がいるって。
 だったら私も行かなきゃいけない。放っておけばきっと取り返しのつかない事になってしまう……!)
そう、今自分が行かなければきっと、この世で一番起きて欲しくない出来事が起こってしまう筈だから。


――ささらを守る為に修羅と化した、朝霧麻亜子。
――まだ麻亜子の説得を諦めていない、久寿川ささら。
――余りにも沢山の仲間を失い過ぎて憎悪に支配された、河野貴明。
――このみと自分の想いを貴明に伝えようと決意を固めた、吉岡チエ。

彼女達の想いの、戦いの、決着がつく時は、もうそう遠くないかも知れない。

【2日目・22:50】
【場所:F−2右下街道】
朝霧麻亜子
【所持品1:H&K SMG‖(24/30)、H&K SMG‖の予備マガジン(30発入り)×1、IMI マイクロUZI 残弾数(12/30)・予備カートリッジ(30発入×1】
【所持品2:防弾ファミレス制服×2(トロピカルタイプ、ぱろぱろタイプ)、ささらサイズのスクール水着、制服(上着の胸元に穴)、支給品一式(3人分)】
【所持品3:ボウガン、バタフライナイフ、サバイバルナイフ、投げナイフ、携帯型レーザー式誘導装置 弾数1・レーダー(予備電池付き、一部損傷した為近距離の光点の
みしか映せない)】
【状態 Д沺璽澄次スク水の上に防弾ファミレス制服(フローラルミントタイプ)を着ている、肋骨二本骨折、二本亀裂骨折、内臓にダメージ、全身に痛み】
【状態◆頬に掠り傷、左耳介と鼓膜消失、両腕に重度の打撲、疲労小】
【目的:目標は生徒会メンバー以外の排除。最終的な目標はささらを優勝させ、かつての日々を取り戻すこと】
吉岡チエ
 【装備:、グロック19(残弾数7/15)、投げナイフ(×2)】
 【所持品1:89式小銃の予備弾(30発)、予備弾丸(9ミリパラベラム弾)×14】
 【所持品2:ノートパソコン(バッテリー残量・まだまだ余裕)、救急箱(少し消費)、支給品一式(×2)】
 【状態:焦り、右肩重傷(腕が殆ど動かないくらい)、左腕負傷(軽い手当て済み)】
 【目的:不明】
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

1061 名前:新たなる復讐鬼 投稿日: 2007/04/23(月) 21:46:12 ID:YsmB38Bo0

【時間:二日目22:50】
【場所:G-2右上】
河野貴明
 【装備品:ステアーAUG(30/30)、フェイファー ツェリスカ(5/5)、仕込み鉄扇、良祐の黒コート】
 【所持品:ステアーの予備マガジン(30発入り)×2、フェイファー ツェリスカの予備弾(×10)】
 【状態:怒り、左脇腹、左肩、右腕、右肩を負傷・左腕刺し傷(全て応急処置および治療済み)、マーダーキラー化】
 【目的:銃声のした方向へ全速力で移動、ゲームに乗った者への復讐(麻亜子含む)、仲間が襲われていれば命懸けで救う】
久寿川ささら
 【所持品1:スイッチ(未だ詳細不明)、トンカチ、カッターナイフ、支給品一式】
 【所持品2:包丁、携帯用ガスコンロ、野菜などの食料や調味料、支給品一式】
 【状態:右肩負傷(応急処置及び治療済み)】
 【目的:貴明の後を追う。貴明を説得して連れ戻す、向かった先に麻亜子がいれば説得する】

姫百合珊瑚
 【持ち物 Д妊ぅ僖奪、コルト・ディテクティブスペシャル(2/6)、ノートパソコン】
 【持ち物◆Д灰潺僂離瓮發肇魯奪ング用CD】
 【状態:涙、動揺、工具が欲しい】
 【目的:今後の行動方針は後続任せ】
ほしのゆめみ
 【所持品:日本刀、忍者セット(忍者刀・手裏剣・他)、おたま、ほか支給品一式】
 【状態:呆然、胴体に被弾、左腕が動かない】
 【目的:今後の行動方針は後続任せ】
倉田佐祐理
 【所持品1:支給品一式×3(内一つの食料と水残り2/3)、救急箱、吹き矢セット(青×3:麻酔薬、赤×3:効能不明、黄×3:効能不明)】
 【所持品2:二連式デリンジャー(残弾0発)、暗殺用十徳ナイフ、投げナイフ(残り2本)、レジャーシート】
 【状態:呆然、軽度の疲労、左肩重症(止血処置済み)】
 【目的:今後の行動方針は後続任せ】
七瀬留美
 【所持品1:S&W M1076 残弾数(7/7)予備マガジン(7発入り×3)、消防斧、日本刀、あかりのヘアバンド、青い矢(麻酔薬)】
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

1062 名前:管理人★ 投稿日: 2007/04/24(火) 01:57:08 ID:???0
容量の肥大化に伴い、新スレッドに移行します。
以後は下記スレッドへ投下をお願いいたします。

避難用作品投下スレ2
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7996/1177347307/

名前: E-mail(省略可)
全部読む 最新50 1-100 メール受信 掲示板トップ リロード


8 会議・相談スレ (Res:104)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 8
1 名前:管理人 投稿日: 2006/11/28(火) 22:37:38 ID:2LtOIwXo
特定ルートにおける主催者や伏線等、感想スレでは話し合いにくい話題にお使いください。

97 名前:名無しさん 投稿日: 2007/01/04(木) 00:48:10 ID:Ek2lGzvk
感想スレをこのしたらばに作ってみたらどうだろう

感想スレの存在自体否定してる人もいそうだけど、
俺はこういう企画には読み手は必要不可欠だと思う

したらばだったら多分、
アクセス規制で変なの粘着してきても締め出せるっぽい?し。

98 名前:名無しさん 投稿日: 2007/01/04(木) 01:52:40 ID:mIP4chSc
>>97
作るのは賛成だが、基地外はこっちでもとことんやるみたいだぞ。
とっくに来てる。(=>>88-89

向こうは使い切ったら基本的には新スレは立てない方がいいと思う。

99 名前:名無しさん 投稿日: 2007/01/04(木) 02:34:20 ID:Ek2lGzvk
hm
了解
後はまとめさんの判断に任せます

100 名前:名無しさん 投稿日: 2007/01/04(木) 03:33:53 ID:/FkTDH1w
ロワ2を彷彿させるな…。
感想板がない場合、投稿板に荒らしが押し寄せる可能性もある。
そしたら今度は、投稿自体もしたらば中心になるだろう、ただでさえ人いないのにきついだろうな。

101 名前:名無しさん 投稿日: 2007/01/04(木) 12:09:16 ID:kXMkqoI.
人いないのは今が正月だからってだけ
その辺は問題ないだろ

102 名前:名無しさん 投稿日: 2007/01/04(木) 12:35:09 ID:VFbhLqU.
独断で立てました
規制が上手くいった場合此処使ってみてはどうでしょう
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/8314/

104 名前:管理人★ 投稿日: 2007/01/04(木) 14:13:17 ID:55XbKUUA
したらば仕様変更に伴い、新スレッドに移行させていただきます。
以降、当スレッドに書き込みはできませんのでご注意ください。

会議・相談スレ2
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7996/1167887306/

名前: E-mail(省略可)
全部読む 最新50 1-100 メール受信 掲示板トップ リロード


スレッド作成:
タイトル:
名前: E-mail(省略可)
内容: