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避難用作品投下スレ4

728正午零時/Feeling Heart:2009/04/29(水) 02:46:11 ID:clLGloz.0
拍手はない。
歓声もない。
安堵の溜息すら、なかった。

それは、ただの言葉である。
その声は、目の前に乾いたシーツを齎さない。
温かいスープも、誰もいない静かな部屋も、熱いシャワーも、澄んだ水の一滴さえ、齎さない。

だから、それを聞いた彼らに笑みはない。
ぱりぱりと剥がれ落ちる乾いた泥と、ざっくりと裂けた傷から止まることなく滲み出す血と、
息をするたびに疼く激痛と、土埃と脂汗とが混じり合ってべたべたと粘る黒ずんだ垢とに塗れながら、
闘争の終焉を告げる声の意味を、ただぼんやりと受け止めていた。

見上げた空には、雲の一つもない。


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