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避難用作品投下スレ4
369
:
青(7)
:2009/01/18(日) 22:49:09 ID:Khtiw9Rg0
「―――」
裸身が消えてからも、少女は暫くの間、じっと地面を見詰めていた。
佇む者はなく、訪れる者はなく、今度こそ本当に誰もいなくなったように思われた黄金の海の真ん中で、
『……で?』
少女は、問いかける。
『あなたは、どうするの?』
問うた声は、誰に向けられたものかも知れぬ。
見渡す限り人影はなく、見詰める視線の先にはただ黒い土壌だけがあった。
『……そう。なら……いってらっしゃい』
一人語りのように呟かれる、その言葉の消えるか否かの刹那。
ゆらり、と黄金の海に立ち昇る、陽炎の如き何かがあった。
立ち昇り、蒼穹と黄金との狭間に揺らめいたそれが、瞬く間に集まり、縒り合わさって容を成す。
それは、髪のようであった。長く美しい、女の髪。
そしてまた同時に、笑みのようでもあった。頬を吊り上げ牙を剥く、獣の笑み。
哂う女の如くにも、しなやかに美しい獣の如くにも映る影が、ほんの僅かの間を置いて、消えていく。
『―――さようなら』
言葉を最後に、世界が閉じた。
******
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