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避難用作品投下スレ2

50深淵に秘めたる想い:2007/04/25(水) 22:45:39 ID:.QizSAos0
「オオオオオオオッッ!!」
柳川が喉の奥底から、凄まじい戦叫を上げる。
その間にも引き千切れそうな腕で、爆撃の如き斬撃を幾度と無く繰り出す。
戦槌によるものかと聞き間違えんばかりの炸裂音が、何度も何度も工場の中に響き渡る。
意識は朦朧としている――もう、技術も何も無い。より速く、より強く、刀を振るっているだけだ。
度重なる衝撃で損傷した肺が酷く痛み、限界を報せる。
気を抜けば一瞬で意識が飛ぶだろう。
壊れかけたテレビのように、視界が時折白で覆い尽くされそうになる。
理屈や復讐心などでは、この満身創痍の体を支える事など出来ぬ。
身を任せるのは鬼の本能、心の奥底より沸き上がる破壊衝動を躊躇いも無く吐き出してゆく。
この肉体は鬼の血を引いてる以上、それは当然の事だ。
しかしいかに鬼の力が強力であろうとも、それだけでは耐えれない。
自分は別の――もっと大事な物を支えとして、この身を動かし続けている。
狩猟者としての誇りも、主催者への復讐心も、既に心の中では大した比重を占めていない。
この身に秘められているのは鬼の力だが、それを根底で支えてるのはただ一つの想い。
――何よりも強き想いを胸の内に秘めて、柳川は刀を振るい続けた。

「Shit!」
リサが舌打ちしながら刀を受け止めた。
度重なる猛攻を受け、リサもとうとう息を切らしていた。
対する柳川の攻撃は、ここに来て更に勢いを増している。
「――――フッ!」
リサは頭上で刀を受けながら、素早くローキックを放った。
それは間違いなく柳川の脛のあたりを捉えていた。
威力よりも疾さを重視した一撃とはいえ、完全に不意を突いたのだ。
あわよくば転倒、最低でも動きは大きく鈍るに違いない。
しかしリサのそんな思惑とはまったく別の方向へ、事態は移り変わる。


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