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避難用作品投下スレ2

11募る不安、見えない恐怖:2007/04/25(水) 18:35:52 ID:oBzskNlg0
「まーりゃん先輩、完全に見失っちゃったな」
鎌石村の入り口で河野貴明は白み始めた空を見上げながらポツリと呟いた。
「なに他人事みたいに言ってんのよバカ」
ツッコミ代わりに観月マナの放ったスネ蹴りが見事に直撃する。筆舌に尽し難い痛みが貴明の身体を駆け巡り、ウサギのようにぴょんぴょん飛び回る。
「さんざんカッコ良さげな事を言ってたくせに…ハア、こんなので大丈夫なのかしら」
麻亜子を追って学校を出たはいいものの時既に遅し、ものの見事に見失っていた。
麻亜子の足が速いのもあるが、武器の分配に手間取ってしまったというのもある(ちなみに麻亜子の捨てていったSIG P232と鉄扇はまともな武器がないささらに渡った)。
腕組みするマナにささらがフォローを入れた。
「仕方がないと思います、まーりゃん先輩は逃げ足だけは早い人ですから」
「確かに、あんなヘンな格好してるのにすごい早さで走ってったわよね…」
マナの脳裏に麻亜子の姿が思い出される。電光石火とはこの事かと言えるくらいの俊足。あんな感じでチョコマカ動き回られたら探すのは困難を極める。
とすれば目撃者を探すのが一番手っ取り早いのだが、麻亜子が『乗って』いる人物である以上出会い頭に攻撃されて死んでいる人間も何人かいるはずだった。
つまり、他の参加者からの情報は期待できないということである。
少し考えたマナは、二人に意見を求める。
「聞きたいんだけど、もし、もしもよ? 久寿川さんや河野さんがそのまーりゃんの立場だったとして、効率良く殺して…いくためにはどういう行動を取るのが最も有効だと思う?」
マナの質問に、うーん…と二人はしばらく考えこんでからまず貴明が意見する。
「俺なら…やっぱり人が集まりそうな、それでいて目立つ場所へ行くと思う。だから鎌石村にいるんじゃないかって思ったんだけど」
「そうですね。まーりゃん先輩は何て言うか…目立ちたがり屋で自信家で…けどそれでいて意外とずる賢いというか、機転は利く人です。だから、派手に騒ぎを起こしては美味しいところを持っていく、そんな戦い方をなさると思います」
「頭は悪くないのね?」
「成績は最悪だけどね。お情けで卒業させてもらってたくらいだし」
ふうん、とマナが唸る。学校での貴明との会話や自分との戦闘から窺う限りではやかましくて運動能力がやや高いとだけ思っていたが油断しない方が良さそうだ。
「じゃあまずは人の集まってる場所に向かってみるのはどうかしら? 鎌石村でも人の集まる場所、集まらない場所もあるでしょうし」
マナの提案にささらも頷く。だが貴明は「それはいいんだけど…」と言って言葉を濁した。その態度に少しムッとしたのかマナが強い口調で言う。
「何よ、何か意見があるんだったら早く言って」
「じゃあ言うけど…行った場所で戦闘が起こり得る、ってのは承知してるよね?」


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