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避難用作品投下スレ

989オープニングセレモニー/開場・金色真紅:2007/04/21(土) 01:31:05 ID:fRxfNhwM0

「クソったれ……! 反則も程々にしやがれ、爺さん!」

その戦いは、一方的な展開となっていた。
叫んだ秋生が飛び退いた、その場所が一瞬遅れてクレーターへと変じる。
地響きと轟音が神塚山の山頂を支配していた。

「……いつまで爺を相手にしておるつもりでいる」

陥没した岩盤から拳を引き抜きながら、源蔵が冷徹な声で告げた。
雨に濡れた髪がはらりと一筋、額に垂れたのを、丁寧に撫でつける源蔵。
その全身からは黄金の霧が寸分の隙もなく立ち昇り、時の流れに逆らう肉体を覆っていた。

「何一つ、通じねえたぁな……! どうせ若返るならガキの頃まで戻ってくれりゃあいいのによ!」
「役者の仕事を奪うのは気が引けての」
「お気遣い、どうも……! けどな、」

言いざまの抜き撃ち。

「もう役者は廃業してんだよッ! 遠慮なく戦前の自分を表現してくれや!」

秋生の銃から、赤光が三条、立て続けに飛ぶ。

「効かぬッ!」

光条を避けようともせず、源蔵は一直線に走っていた。
命中した赤光が、しかし黄金の闘気の前に阻まれ、弾かれては消えていく。
瞬く間に秋生へと肉薄した源蔵が、目にも止まらぬ速さで黄金を纏った拳を繰り出す。
咄嗟にゾリオンの赤光を刃の形へと変え、かろうじてそれを受ける秋生。
しかし先刻、闘気ごと源蔵を切り裂いたはずの真紅の大剣は、止め処なく立ち昇る黄金の光を
受け止め弾くうち、見る間にその大きさを減じていく。

「どうした小僧、貴様の信念とやらが揺らいでおるぞ」
「くっ……!」
「貴様が見えぬと吠えたわしの信念……半世紀を磨き上げた仕える者の矜持、小僧如きに易々と
 止められはせぬわ……!」

気概に満ちた言葉と同時、放たれた源蔵の拳が赤光の刃を砕く。
避ける間もあればこそ、黄金の拳が秋生の顎を捉えた。
宙を舞う秋生の身体が放物線を描き、そのまま岩盤に叩きつけられる。
人体を構成する肉と骨が衝撃を吸収しかね、鈍い音が響いた。


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