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避難用作品投下スレ

799困惑:2007/03/29(木) 14:40:00 ID:LhiNRSkE0
「ちっ……もう謝る事すら、出来なくなっちまったな……」
抱き合う朋也達を横目で見ながら、秋生が一人小さな声で呟く。
霧島聖は死んだ。霧島佳乃を守れなかった侘びを入れるのは、もう永久に不可能となった。
秋生はやり切れない気持ちになったが、すぐに感傷に浸っている場合では無いと思い直す。
過ぎ去った事に思いを馳せても人は生き返らない以上、ここで心を痛めていても何も変わらない。
今は最年長の自分が、悲しみに支配されたこの場を纏めなくてはならないのだ。
「……落ち込んでるトコ悪いが、ちょっと聞いてくれるか」
秋生の声に、一同の視線が集中する。
「皆色々思う所はあるだろうけど、頭を悩ませるのは生きて帰ってからにしてくれ。非情なようだが、今俺達が考えるべきはこれからの事だけだ」
それは揉めるのも覚悟の上で行った、冷たい言い草の発言だ。
しかし秋生の予想に反して、誰も突っかかってこようとはしなかった。
生き残った者に課せられた義務は何か、この島で生き延びるには何が必要か、もう誰もが分かっているのだ。
北川がまた紙に文字を書いて、それから真希の手を引いて立ち上がった。
「まずは食事にしよう。腹を膨らませた方が良いアイデアも浮かぶってもんさ」
そう言い残して北川と真希は台所に消えていった。すぐに秋生達は残された紙に目を通す。
『いきなり悪いな……。でも俺達は、みちるちゃんにハンバーグを作ってやってくれと、美凪から頼まれてるんだ。
 伝えたい情報は大体鞄の中に入ってる紙に書いてあるから、それを見ながら待っててくれ』
北川の鞄を漁ると、長々と情報が書き綴られた紙が入っていた(教会での情報交換の際に使用したものである)。
それによると、首輪を解除し得る技術と装備を併せ持った――姫百合珊瑚とその仲間が平瀬村周辺の何処かにいる。
そして宮沢有紀寧こそがロワちゃんねるに偽の書き込みをした犯人であり、最も警戒すべき敵の一人だという事実だった。
(宮沢……お前まで殺し合いに乗っちまったのか……)
自分の知る有紀寧とは大きく逸脱した行動に、朋也は強い怒りを悲しみを覚えていた。
もう憎悪に身を任せはしないが、沸き上がる感情だけは自制しようも無い。
大きく深呼吸をして気を落ち着けた後、思考を纏めようとして――みちるの様子がおかしい事に気付いた。


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