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避難用作品投下スレ

43黒白:2006/12/07(木) 20:11:10 ID:gW6263Ic
『おば……春夏さん、どう……するの?』
「……」

カミュの問いかけにも、春夏さんは答えない。
リスクと心情、これまでの言動。色々なことが頭をよぎっているに違いなかった。

「ちょ、待たんかい! 何を勝手にほざいとんじゃ! 観鈴! どういうこっちゃ、答ぇえ!」

置き去りにされた母の怒声を、わたしは内心で耳を塞いでやり過ごす。
これは、わたしと春夏さんの間で取り交わされようとしている商談だった。商材は、母の命。

しばらくの間、春夏さんは沈黙を守っていた。
母の悪態だけが、際限なく続いていた。

「―――私たちが、約束を守ってお母さんを助けるという保証はないわ」

ようやくにして春夏さんの口から出たのは、そんな言葉だった。
間髪をいれず、わたしは答える。

『にはは……きっと大丈夫です』
「……では、私たちの危険に対する保障は、どうなるのかしら」

痛いところを、突かれた。
上手く切り返したつもりが、考えが甘かったらしい。

「あなたのお母さんは、随分とやる気みたいだけど。お母さんを解放したら、私の娘の安全はどうなるのかしら。
 ずっと連れて歩くにしても、四六時中監視しておかなければ何をしでかすか分からないわ。
 私の席に入れるわけにはいかないし、かと言ってカミュが手に持って飛んだら、お母さんは潰れてしまうかもしれない。
 そういうことを、きちんと考えて言っている?」
『……』


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