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ショートショート作品

60beebeetomxxx:2015/07/16(木) 00:51:46
『取り替えっこ その四』


妊娠8か月だったママが今、胎児に戻ってぼくの妹のお腹の中にいる。
あと2か月と10日もすれば大きな産声をあげてママは産まれてくるのだろう。
でもそうするととても厄介なことになる。
ぼくはママの息子にして、ママの叔父さんということになる。
そしてパパは夫でありながら娘のお腹から産まれてきた
ママのお祖父ちゃんになってしまう。
そもそも妊娠8か月の胎児だった妹と27歳だったママの
立場の取り替えっこが倫理的にしかも実践的に成り立つのか。
何の経験の知識もない妹が妊婦として家庭生活を続けて
出産や育児をちゃんとできるのか、何の保証もない。
ぼくは20歳近く年上になった妹の様子をしばらく観察することにした。
目鼻立ちはママに似てかなりの美人だった。
身長172cm、これもママからの遺伝のようだ。
胸はママより少し大きき目でウエストも・・・妊婦だから元々の3サイズは分からないが
かなりグラマラスな体型だが、
これくらいなら近所の人の目を誤魔化すのは可能のようだった。
「初めまして。私・・・・・あ!?」
名乗ろうとして自分に名前がないのに気づいた。
もちろん戸籍もない・・・当たり前のことだが。
お腹の中の赤ちゃんに『西村春那』という
ちゃんとした名前があるのとは正反対だ。
パパと相談してとりあえず彼女に『夏那』と名前を提供した。
夏那はママの知識をほとんど吸い取って蓄えたかのように
しっかり27歳の大人の知能を持っていた。
もちろん記憶や過去の体験は持っておらず
自分がつい3時間前までに妊娠8か月の胎児であったことや
今摩っているお腹の中にいるのが元々は自分を産むはずだった
ママであることも知っていた。
「優斗くん、いつ元に戻るか分からないけど
それまでは私をママと呼んでね。」
現状を考えれば夏那の意見はもっともだった。
こうして西村家の奇妙な家族生活は始まった。


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