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Awake

45Awake 3話(15/24):2013/09/20(金) 05:43:55
「父さん! 母さん!」
 遠くで見た限りだったけどフードに覆われた母の綺麗なままの顔や、口角から血が流れ
ていたとは言え安らかに息絶えていた父の遺体に取り縋ろうと俺は脇目も振らず駆け出し
ていた。
 どんな姿になっていようと最後の温もりを心に、肌に留めておきたかったから。
「止めろ、その子等を遺体に近づけさせるな。遠くで見せるだけだ」
「行け! 邪魔する奴は俺が止めてやる」
 直ぐにヒューは両手を拡げて俺の進路を確保してくれようとしたけど輔祭の命令にひときわ
屈強な二人の村人が俺の背後、ヒューの正面を羽交い絞めにした。もちろん子供だから大人の
力に勝てるはずもなく、ただただ輔祭を睨み付けながら叫び続けるしかなかった。
「放してよ! おれの父さんと母さんなんだ!」
「くっ……」
「私とて神の僕であると同時に人の子だ、人並みの感情は持ち合わせている。両親が死し
ただけでも酷であろうに、無残にも屠られた体を見せて思い出を壊す事は人の道に反する」
「父さん……母さん……起きてよ、ねぇ起きて……お願いだから!」
 しかし泣き叫ぶ俺を同情しながら見つめる村人達の中に悪魔の言葉を吐く者が現れた。
恐怖に慄いた人の心が魔女狩りなどの非道な真似を起こす事は多々ある。それが己の身に
降りかかるとは誰が予想出来るであろうか。
 まして幼い俺の目の前で両親が煉獄へ落される様など。
「輔祭様よぉ、あんたの妹もちゃんと埋葬していなかったから、あんた自身で杭を打たな
いといけなくなったんだよな?」
「そうだ、おら達はもちろん、あんただって二度とそんな事したくねぇよな!?」
「皆さん止めてください! 医者である私が必要無いと裁定を下したのです。未だにこの
村は野蛮と迷信を引きずっている。私が村を出たときから何ら文明が進歩していない」


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