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Awake

133Awake 11話(8/8):2013/10/09(水) 23:12:52
「ドラキュラに捕まったのは幻覚だったのだろうか?」
――いや、背中は微かに痛みを感じている。それなのに傷が塞がり、体が満足に動くよう
だ。
「力を与えられたと言うのか。だが」
――フン……気のせいか。生きているのならさっさとここから出て儀式の間の鍵を奪取し
てからドラキュラと対峙しないと……?
 ふと見ると自分の目の前にもう一つカーミラが居たフロアと同じく青白い扉があった。出口
だと思い扉に触れると出口ではなく行き止まりの空間が現れた。
「鍵? これは……」
――儀式の間の鍵か? 何故こんな所に。
 ケルト文様の台座の上に鎮座していたのは、魔力が微かながらも放出している黄金色の
複雑な形をした鍵だった。ヒューはその複雑な形状と掌に収まるか収まらないほどの大きさを
見て一瞬で判断した。
 だが鍵に触れた途端、どこかで聞いた事のあるような声が自分の耳元に木魂した。
――「目覚めよ! 同情と憐憫を用いて人の心に入り込む卑劣な背徳者を消し正道を貫く
のだ。その責はお前のような貞潔な人間にしか出来ぬ仕事なのだから」
 その文言に頭を揺さぶられ一気に何かを屠りつくしたい衝動に駆られた。
「そう言えば……ネイサンはどこにいる? 真祖は俺を弄する時に奴の死を言わなかったな。
となれば奴は生きている。そうだ、聖鞭でなければ真祖は倒せない。だが奴がいる限り籠
絡された親父が奴にまた渡すのは目に見えている。ならば奴をこの世から消し去るのが俺
の望み」
 自分の妄執と催眠術によって偽りの記憶と想いを植え付けられたヒューの心は、ついに殺戮
の炎を点してしまった。


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