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Awake
13
:
Awake 1話(12/13)
:2013/09/20(金) 05:00:09
「俺が行く。俺の親父だ、俺が助ける。ネイサン、お前は城から出ろ。手出しするな」
と同時に彼は、ネイサンが足を挫き、それを気にしないかのように自分に対して慈しむよう
な態度を取り、なおかつ父親の安否を自分より真っ先に考えた科白を吐いたことに、彼よ
り優位に立ちたいと思う感情が、軽い嫉妬と苛立ちを湧き立たせた。
そして、ヒューは己が嫉妬している事に気付くと、居た堪れなさと恥ずかしさで、呆気に
取られているネイサンを置いて走り去っていった。
――お前の様子を見ていないと思ったか? 怪我をしているのならさっさと城から出ろ。
足手纏いだ。いつも他人の顔色ばかりを窺って。だから、余計腹が立つ!!
残されたネイサンはヒューが去った後を寂しく見つめながら、ヒューの苛立った表情と恩義ある
師匠の安否を考えて、一人残された己の状況に不安を感じた。
そして、やるせない気持を表わすかのように、爪で掌が切れるぐらい拳に力を入れ、直
立した姿勢で悲愁の表情を天に向けると声高に叫んだ。
「俺だって、師匠を助けたい気持は誰にも負けちゃいない!」
――そうだ、師匠とお前は実の親子だ。だけど俺はお前以上に師匠に養育された事に感謝
と、誇りを持っている。親友の子供とはいえ貴族でも金持ちでもない師匠が、普通の連中
みたいに人買いに売り飛ばさなかっただけでも僥倖と感じているんだ! その上、独り立
ちできるように教育を与えてくれた事も、死んだ両親より感謝するのは当然だろう!
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