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黄昏の三戦姫

1名無しさん:2006/10/20(金) 23:06:06
*注意点
このスレは基本的に『黄昏の三戦姫』を書き込むだけの
スレです。
感想等は感想スレにお願いします。

2黄昏の三戦姫:2006/10/20(金) 23:07:32



ライスローレン──
この星の陸地の約95%を占める大陸である。
ここ以外の陸地は、海洋に点在するほぼ無人と言ってもよい島のみ。
つまり“ライスローレン”が、この星の唯一無二の大陸であり、人々の生活の拠点なのである。

ライスローレンはウェルス王国と、アルネイヌ王国という二つの大国、そしてその二国の属国とも言える、
二十数国にもおよぶ小国家により構成されていた。
属国とは言え、所謂植民地というわけではない。
すべての国は独立国家であったし、二つの大国に対して、貢物を送るというようなこともない。
それどころか、各小国家はウェルス、アルネイヌ両国の庇護──経済的支援──を受けているくらいだった。


今より二十年前、この平和な大地に危機が訪れた。
何処から現れたのか──その者は自らを“戦乱と情欲を支配するモノ”と名乗り、ここライスローレンを戦乱と淫欲、
さらには恐怖とで支配しようとしたのである。見も知らぬ魔物たちが地上を闊歩し、男は女と
女は男との姦淫にうつつを抜かし、貞節や貞操といった言葉とは無縁の世界が広がろうとしていたのだ。

そんな時、五人の若者が立ち上がった。
ウェルス国王子ライネスとアルネイヌ国王子キース、そして彼らに従う三人の美少女たちだ。
彼らは勇敢に戦い、この大地に平和を取り戻した。

五人は英雄として崇められた。王子たちはもちろん、三人の少女たちも……
彼女たちのことを人々はこう呼んだ。
輝ける三戦姫(かがやけるさんせんき)と──

それから今日まで大陸は平和だった。だが……


辺境の小国ダスミアが周辺の国々を次々と支配下に治め、『ダスミア帝国』となったのは今から一年ほど前のことだ。
ダスミアの王ケルニスは、思慮深く、慈愛に満ちた領主として評判だった。
しかし、ある時を境に彼は残忍で、野望に満ちた好戦的な男となってしまったのだ。

彼を諌めようとした家臣たちは次々と投獄され、処刑されていった。
軍部に力を注ぎ、自ら指揮官として戦地に赴く事すら珍しいことではなくなっていた。
かつての慈愛に満ちた王は、血と戦乱を愛する殺戮者と化していた。

全ての小国家を支配したダスミアは、ついにその侵攻の矛先を大国の一つウェルス王国へと向けたのだ。

──戦乱が再びこの地を支配しようとしていた。

3黄昏の三戦姫:2006/10/20(金) 23:08:06

【精霊使い オーディリア編】



大地を割り、炎の壁が現れた。
突然のことに、進撃していたダスミア軍は右往左往し、統制がとれないでいる。
炎の壁はおそらく500メートルほどの高さはあろう。 横幅となるとどこまで続いているのかわからないほどだった。

ダスミア帝国将軍ザハスは、驚愕の表情でその信じられない光景を見つめていた。
六万にもおよぶ自慢の騎馬軍団は、前進することも叶わずその場であたふたとしている。
「え〜い!! こけおどしだ。進撃だ! 進撃しろぉぉぉぉ!!」
そう指令を飛ばすが、騎馬兵たちはどうすることもできず、立ちすくむばかりだった。

ようやく国境を越え、最初にして最大の関門とも言うべき“マカスの城壁”を目前にしたのである。
ここで退却などできようはずもなかった。
逆に言えばここさえ突破できれば、ウェルスの首都は陥落したも同然である。なんとしても落とさねばならない。
「ひるむなぁぁぁ!!」
ザハスは自らをも鼓舞するように軍勢にそう檄を飛ばした。

その時、炎の壁の向こうから、ドラゴンが現れた。いや、正確にはそうではない、それは“ドラゴンを模った炎”だった。
その頭部とおぼしきところには、一人の人間が乗り、こちらを目指してやってくる。

(女か? しかし、なんという美しさだ……)
ザハスは戦の最中であるにもかかわらず、しばし呆然としてその女の姿に見惚れていた。
細く刈り込んだ眉。艶やかに潤んだ瞳。スッキリと伸びた鼻梁の先には、艶めかしい唇が真一文字に閉じられている。
ノースリーブの純白のロングドレスから突き出た二の腕。襟元から覗く鎖骨の妖艶なまでの色気。
そこから続くドレスの上からでもわかる、量感たっぷりの胸のふくらみ。どれもこれも超一級品だった。

見た目は二十代半ばといったところだろうか? だが、全身から醸しだす雰囲気は、十代や二十代では出すことのできない、
まさに大人の女のそれだった。

女は堅く閉じられたその肉感的な唇を開き言った。
「わが名はオーディリア。このウェルスをわが夫ライネス王の領地と知っての侵攻か!?」
凛とした透き通るような美声。広大な大地に響き渡る張りのある声だ。

「オ、オーディリア……だとぅ!?」
ザハスはその名を聞いたとたんに、全身から血の気が引くのを感じた。
おそらくこの大陸に暮らす者で彼女の名を知らぬ者はいないはずだ。
「くっ……『輝ける三戦姫』のひとり“精霊使い”オーディリア……」
ウェルス王国王妃にして、あの二十年前の災厄からこの地を救った英雄のひとりオーディリア。
確かにあの英雄たちの力は凄まじいものがあるとは聞いていた。だが、これほどまでの力を持つとは……
そしてここまで美しい女だとは……

二十年前の英雄たち五人の活躍は、すでに伝説となっていた。
特にオーディリアたち“輝ける三戦姫”は、その活躍もさることながら、三人が三人とも絶世の美少女だと語り草になっている。
ザハスとしては、所詮かなり誇張されて伝わったものだろう、と思っていたが、今こうしてオーディリアの姿を目の当たりにすると、
残るふたり──大賢者ミリアーナ、神に愛でられし聖女セリス──の美しさも、おそらく本当なのだろうと思えてくる。

そんなことを考えているザハスに、オーディリアはその長く艶のある黒髪を風になびかせながら、鋭いまなざしを向けた。
「貴公が総大将か? 速やかに軍勢を撤退させよ。さもなくば……」
オーディリアはその美貌に僅かに笑みを浮かべると、右手を高くかざした。

──シャリン。

右手首に嵌められた五本の腕輪が重なりながら音を立てる。おそらく別の精霊を呼び出そうとしているのだ。
次に繰り出すのは雷の精霊か? はたまた風の精霊か? それとも……
いずれにしても、このままでは全滅を待つだけだ。そう判断したザハスは全軍に退却命令を出した。

「くっ! 退け! 退却だ!!」
あれほど統制のとれていなかった騎馬軍団だったが、退却の声を聞いたとたん、一目散に逃げ始めた。
「くそ〜っ!! お、おのれ! 今に見ておれよ!!」
ザハスの罵倒が乾燥した大地にむなしく響くのだった。

4黄昏の三戦姫:2006/10/20(金) 23:10:40



「ダスミア軍は退却しました。安心して下さい。今後、攻め入って来ることがあろうと、マカスの城壁を彼らが越えてくることは、
わたくしがいる限り有り得ないでしょう!!」
風の精霊に乗り、マカスより首都ラナスへと瞬時に戻ったオーデリィアは、城のバルコニーから民衆に向かってそう高らかに宣言した。

「オーディリア様! バンザ〜イ!!」「ウェルス王国、バンザ〜イ!!」

バルコニーから見える広場には、ラナス中の民衆が集まり、心強い自国の王妃に喝采を浴びせていた。
もとより、二十年前の災厄からこの大地を救った英雄のひとりである。人々の人望も信頼も厚い。
さらに、今回悪名高いダスミアの騎馬軍団を追い払ったのである、人気も高まろうと言うものだった。

「お疲れ様でございました」
民衆の歓声に手を振りながら、バルコニーから城の中へ入ったオーディリアに、ひとりの家臣が声を掛けた。
「見事でございました。両国ともにほとんど被害らしい被害も与えず、敵軍を退却させるとは……」
「いえいえ。レオン、わたしは貴方の策の通りに事を運んだに過ぎません。軍師としての貴方の才覚は、
ミリアーナにも引けをとりませんわ」
慈愛のこもった微笑みを向けながら、オーディリアはその家臣──レオンに答える。
「わが師、大賢者ミリアーナ様と比較されるとは、光栄至極でございます。しかし、私の策だけでは
ここまで被害を抑えられてはおりませんでしたでしょう。やはりオーディリア様のお力かと……」

ふたりがそんな会話をしている時、突然割り込んでくる声があった。
「ほほう、勇敢なる王妃様と名軍師様ではありませんか? お疲れ様でございましたな」
オーディリアの視線の先には、でっぷりと肥え太った中年男が、品のない笑みを浮かべながら立っていた。

5黄昏の三戦姫:2006/10/20(金) 23:11:19

「ランベール卿……」
亡くなった先王ラーゼスの弟ランベールだった。れっきとした王族であり、王位継承順位は第二位の位置にある。
爵位は公爵だ。オーディリアから見れば夫ライネスの、実の叔父にあたることになる。
オーディリアはこの男が苦手だった。というよりも忌み嫌っている、といった方がより正確かもしれない。

十九年前。彼女がまだ十七の頃──ライネスに連れられ初めてこの城に赴いた。
ふたりの婚約を王であるラーゼスに報告するためだった。
次代の王であるライネスの婚約を喜ぶ王、王妃そして家臣たち。
その中にあってただひとり、舐めるような視線をオーディリアに向けている者がいた。
それが、ランベールだった。

オーディリアを見つめる視線。それは視姦といっても過言ではないほどだった。
ライネスと婚姻をなし、妃となってから、いや、ラーゼス王の崩御後、ライネスが王に即位し、オーディリア王妃となった後も、
それは止むことはなかった。
意識しすぎだと思ったこともあるが、ランベールの視線を感じると、背筋に寒気を覚えるのも確かだった。

「しかし、聞くところによると、敵は無傷で退却したようですな。王妃のお力であれば全滅させることも簡単でしたでしょうに」
「無闇に殺生をすることが良いとは考えておりません。敵味方関係なく、人命は尊いものだと思います」
オーディリアの言葉に続けてレオンが言う。
「ダスミア兵の中には、元々は侵略された他の国々の民も混じっているはず。陛下はできるだけ被害のないようにと……」

「ふん、成り上がりの分際で、余に意見をするのか?」
「そ、そのようなことは……」
「公爵。レオンはよくやってくれております。成り上がりとはいくらなんでも言葉が過ぎると思いますが」
オーディリアの意見を、ふん、と鼻で笑いながら、ランベールはいう。

「これは申し訳ありませんでしたな。オーディリア陛下のお気に入りを侮辱してしまったようだ。
しかし、ライネスも可哀想なことだ。叔父として同情する──病に伏している間に愛する妃が、若い男と風に乗りランデブーとは……」
「ランベール様! 少しお言葉が過ぎますぞ!!」
レオンがそう声を荒げたとき、「あっ! こんなところにいた!!」と、可愛らしい声が響き渡った。

「姫様」
オーディリアの長女アイリーン。今年十六になる彼女は、まだ幼さは有るものの母に負けず劣らずの美貌である。
二十年前のオーディリアに瓜二つだと、もっぱらの評判だった。

「レオン、お勉強でわからないところがあるのよ。帰ったならすぐわたしのお部屋に報告に来るべきでしょ。
あなたはわたしの家庭教師なんだから! さあ早く!!」
アイリーンはそう言って、レオンの手を引っ張る。
「わ、わかりました。すぐに参ります。陛下それでは失礼いたします」
レオンは苦笑いを浮かべながら、アイリーンに連れられていった。

「陛下」
ふたりが退出するのと入れ替わるように、ひとりの家臣がやって来た。
「アルネイヌ国キース王、ミリアーナ王妃両陛下とセリス大司教がご到着です」
ダスミア帝国への今後の対応を協議するためと、ライネスの病状を見舞うために、こちらに来ると昨日連絡を受けていた。

「すぐに参ります」
オーディリアはそう返事をすると、では、とランベールに会釈をしてその場を離れる。
あとに残ったランベールは、出て行く彼女の後ろ姿を見つめながら、ペロリと唇を舐め淫猥な笑みを浮かべた。

6黄昏の三戦姫:2006/10/20(金) 23:11:59



ようやく陣地へと帰ったザハスは、今後の対策を講じようと部隊長たちを集め、作戦会議の真っ最中だった。
とはいえ妙案など浮かんでくるはずがなかった。
なんといっても相手は、あのオーディリアである。まともにぶつかっては今回の二の舞になるのは目に見えていた。
陽動作戦をとることも検討したが、オーディリアがいなくても、ウェルス軍自体かなり手強いのだ。
戦力を分散させて勝てるような相手ではない。

「本国より援軍を要請しては……」
ひとりの部隊長がそう進言する。ザハスは腕をくみながら、うむと頷いた。

援軍を要請し、戦力の増強を図る。そして、主戦部隊を囮にして、マカスへと攻め込む。
当然、オーディリアが出てくるはずだ。その隙に別働隊が手薄な箇所に攻め入る。
全滅の危険性もあるが、うまくいけば一気に首都ラナスへ侵攻することも不可能ではない。
おそらくそれしか手はないだろう。

「よし! 本国へ伝令を送る。早急に援軍を……」
そこまでいったとき、ザハスはふと人の気配を感じた。

「あらあら、いかつい殿方たちがしかめっ面をしてなんの相談かしら?」
その声に他の部隊長たちも一斉にそちらの方に顔を向ける。そこには妖艶な美女が笑みを浮かべながら立っていた。
「ダニエラ! いつ到着した!?」
ザハスは驚いたようにそう叫んだ。
ダニエラは、ケルニス皇帝の腹心の部下だ。
彼女がここにいるということは、皇帝陛下もこちらに到着しているのか?

「たった今到着したばかりですわ。誰も出迎えて下さらなくて寂しかったわぁ〜」
ダニエラはおどけた風に答える。
「陛下もお越しなのか?」
ザハスの問いに彼女はニヤリと笑みを浮かべ、軽く首を横に振る。

「陛下はそろそろ本国を出発される頃じゃないかしら? 到着する頃には、ウェルスはわが領地になっているだろう、
とおっしゃってましたけど」
くっ……つくづく厭味な女だ、とザハスは思った。
おそらく、この女は今回の侵攻が失敗に終わったことを知った上で、こんなことを言っているのだ。

元々このダニエラという女は、ダスミアの人間ではない。
ある時突然ダスミア領に現れ、いつの間にかケルニスの腹心の部下になっていたのだ。

思えば、陛下の変質はその頃からだった──
ザハスは皇帝陛下が今のように好戦的な人間になったのは、この女のせいではないのか? と思ってしまう。
とはいえ、軍人として母国に使えてきたザハスとしては、今の状況は好ましいものでもあった。
変質前のケルニスは、徹底した平和主義者で、軍部の解体さえ考えていたほどだったのだ。

(おそらく、陛下があのままだったなら今頃俺は、田舎で百姓でもしていただろうな……)
そんなことを考えているザハスに、ダニエラは話しかけた。
「チラリと聞きましたが、援軍をどうとか……」
「そうだ。本国に援軍を要請して、陽動作戦で一気にマカスを落とすつもりだ」

ザハスの答えにダニエラはふう、とため息を吐く。
「賛成できませんわ。将軍、ウェルスの後ろにはアルネイヌ国があることをお忘れなく」
確かにその通りだ。仮にマカスを落とせたとしても、首都ラナスに着くころにはアルネイヌ軍が援軍として、
到着している可能性が高い。

そう、敵はオーディリアだけではないのだ。大賢者ミリアーナ、そしてその夫“閃光の勇者”と呼ばれた
キース王とも戦わねばならない──八方塞がりではないか!
「ではどうしろといのだ!? まともに戦って勝てる相手ではないぞ!!」
「その通りですわ。正攻法で勝てるわけがありません」
声を荒げるザハスにダニエラは妖しい笑みを浮かべながら答える。
「将軍。安心して下さい。すでに手は打ってあります。うふふ、陛下がお越しになる頃には、ウェルスの王宮へ
無血入城していることでしょう」

無血入城だとぅ……そんな馬鹿なことが──

だが、かつてこの女が言ったことはすべて実現していた。それがどんなに不可能と思えることでも……
「本当にそんなことができるなら、それは……」
そう言いかけてザハスはつづく言葉を飲み込んだ。
(それは、神か悪魔の仕業としか思えない……)
ザハスはそう思いながら、不敵な笑みを浮かべるダニエラの顔を見つめていた。

7黄昏の三戦姫:2006/10/20(金) 23:12:45



「まったく、いまいましい……」
屋敷に戻ったランベールは自室にこもり、そう呟いた。ぐびりと、浴びるように酒を喰らう。
「折角、ライネスの馬鹿が病で倒れたというのに……オーディリアめ……」
苦虫を噛み潰したような表情をしながら、ぶつぶつと独り言を唱える。
二年前、ライネス王が病に倒れてからというもの、彼は常に願っていた。

早く死んでしまえ───と。

王が崩御した後の世継ぎは、王位継承順位のままに決められる。
直系の長子──つまり長女のアイリーンが女王として、ウェルスを治めることになるのだ。
だが、例外があった。継承順位一位の者が、成人に達していなかった場合だ。
その場合、貴族会議が開かれ継承者を決める事となるのである。

アイリーンが成人するまでにライネスが崩御した場合、先王の弟であるランベールが王になる可能性は十分にあった。
だが、ライネスが病に倒れてから、王妃であるオーディリアは内外の政を完璧以上にこなしている。
人民からの人気も高い上に、政治的手腕もあり隣国アルネイヌとも太いパイプを持つ王妃。
重臣たちは当然、アイリーンを女王にまつった上で、摂政として実質的にこの国をまとめる役目をオーディリアに求めるだろう。
今回のダスミア軍を追い払った活躍から、さらにその可能性が高まったといっていい。

「くそっ!!」
ランベールははき捨てるように言った。
彼が王に固執するのは単に権力に座に座りたいということなのではない。
彼が欲しているもの、それはオーディリアであった。

ライネスの婚約者として王宮に来たときから、ランベールはオーディリアを欲望の対象として見ていた。
かつて見たことも無いほどの美少女だった。
当時まだ二十五歳になったばかりのランベールには、様々なところから婚姻の話が来ていた。
なんと言っても大国ウェルスの王の弟、王位継承順位二位のれっきとした王族である。
自国の貴族の娘はもちろん、他国の姫君との婚姻の話が来るのはしごく当然のことだった。

だが、そんな女たちがすべて色褪せて見えてしまうほど、オーディリアの美しさは突出していたのである。
以来、ランベールは結婚することなく、独身を貫き通すことになる。
むろん女を抱くことはあったが、それはいつもオーディリアを思い描いての行為だった。
そして、十九年の間に彼のオーディリアに対する想いは、徐々に捻じ曲がっていった。

当初、オーディリアを抱きたい、肌を合わせたい──との想いは、やがて美しい王妃を貶めたい、性奴隷として
好きなように扱ってやりたい、そんな想いに変質していったのである。

少女の頃の彼女もよかったが、アイリーンを産んでからますます女に磨きがかかった。
ただ美しかったあの頃に比べ、熟れた大人の女の魅力が加わり、ますますランベールの嗜好を満たす存在となっていたのだ。

あの取り澄ました女は、ベッドではどんな声で鳴くのだろう。
あの艶っぽい唇の感触はどんなものなのだろう。
ドレスの上から夢想するしかない、あの豊満な胸は……尻の形は……そして女のあの部分は……

嫌がるオーディリアを無理やり犯すのも悪くない。
乱暴にドレスを引きちぎり、たっぷりとした量感の胸を弄んでやるのだ。
そして自慢のイチモツで串刺しにしてやる。
もう許して、と泣き叫ぼうが、止めてやらない。
ライネスのような淡白な野郎とは違う、本当のセックスというものを教えてやる。
そう、清楚な王妃がこのペニスの虜になるまで、犯して犯して犯し抜くのだ。

王にさえなれれば……そう思っていた。
王の権力で、オーディリアを妾にしてやろう、と思っていたのだ。

だが、現状ではそんなことは夢のまた夢だ。
おそらくはこれからも、虚しい妄想を思い描きながら、他の女を抱くことになるのだろう。

その時、ドアがノックされ「お酒のおかわりをお持ちしました」という声が聞こえた。
ランベールの入れ、という言葉に促され、侍女が酒を持って入ってきた。

「見慣れぬ顔だな?」
ランベールは侍女にそう問いかけた。
「三日前からご奉公させて頂いております」
「そうか……名はなんという?」
「アネットと申します」

ふ〜ん、十七、八というところか? まだあどけなさは残るが、なかなかの美少女である。
おそらく生娘だろう。今日はこいつにするか。
かなわぬオーディリアへの欲望を吐き出そうと、ランベールはアネットという侍女を淫猥な目つきで見つめた。

8黄昏の三戦姫:2006/10/23(月) 23:30:49



「待て」
酒をテーブルに置き、部屋を出ようとするアネットをランベールは呼び止めた。
はい、と言って振り向く彼女に、「酌をしろ」と言って、グラスを突き出す。

クリッとしたまなこに、僅かに怯えたような色が見て取れた。
「どうした? 怖いか?」
「い、いえ……そのようなことは……」
アネットは、先ほどテーブルに置いたばかりの酒瓶を手に取り、ランベールが差し出したグラスへ酒を注いだ。

「歳はいくつになる?」
「十八になります」
ランベールは、「ほう、そうか」と言いながら、酒を注ぐ少女をじっくりと観察した。

侍女が身につける濃紺の衣服は、ほとんど肌を露出しない色気のないものだ。
スカート丈も長い上に、膝まで隠れるハイソックスを履いているため、ふくらはぎさえ見えない。
全体的にダボッとした服なので、体の線もよくわからないことが多かった。

だが、そんな服を纏っているにもかかわらず、はっきりと胸の隆起が見て取れた。
(これは……なかなかのものだな)
特に気に入ったのはその肌のキメの細かさだった。

頬から首筋、そして酒を注いでいる手ぐらいしか目にできる箇所はないが、おそらく隠れている場所は、
さらに美しい肌であるに違いなかった。
ここまで肌の美しい女は、オーディリアとその娘のアイリーンを除けば、生まれて初めて目にすると言っても過言ではない。

ランベールはごくりと唾を飲んだ。
オーディリア以外でその女自身を抱きたいと思ったのは、他にはない。いや、アイリーンもだったか……
ランベールは酒の注がれたグラスをテーブルに置き言った。
「アネットといったな……?」
「はい」

アネットがそう返事をしたのと同時だった。ランベールは彼女の手首を掴むと、勢いよく立ち上がり強引に自分の方へと引き寄せた。
「ひっ!」
突然のことに驚き、息を飲むアネット。手に持った酒瓶が床に落ち、砕け散る。
「こ、公爵さま……」
アネットは抵抗しようともがくが、力強く抱きしめられ、ベッドへと押し倒されてしまう。

「ゆ、許して……」
そんな彼女の懇願など、聞く耳を持たず、ランベールはアネットの上に馬乗りになり言った。
「この私を誰だと思っておる。先王ラーゼスの弟、公爵ランベールだぞ!!」
「た、助けて! 助けてぇぇぇぇ!!」
怯えた様子を見せるアネットに嗜虐心が刺激され、ランベールは乱暴に彼女の衣服を引き裂いていった。

ビリビリィィィ!!

下着ごと衣服は剥ぎ取られ、ランベールの眼前にアネットの上半身が露わとなった。

「ほう……これは」
思っていた以上だった。
肌のキメ細かさも、ふくらみの量感も。さらにはその頂にある薄桃色の乳首の美しさはどうだ。
ランベールは無意識の内に、それを口に含んでいた。

「ひっ……やめ、やめて下さい……」
アネットの言葉などまるで意に介さず、ランベールは彼女の右胸を吸い、乳首を舌で転がしていく。
右手では、彼女の左胸をこねくり回し、その柔らかさを楽しんでいる。
手のひらに吸い付くその感触はランベールを有頂天にさせ、アネットはしつこいまでの愛撫を受けることとなった。

「う、あふっ……や、やめ……はあぁん」
やがて、アネットから甘い吐息が漏れ始めた。感じているのは間違いない。
「どうした? 気持ちいいのか?」
「ち、違う……違います……」
「どうかな?」

ランベールはスカートの中へと手を差し入れ、股間をまさぐる。
下着の上からでもわかる十分な湿り気を感じ、ニヤリと笑みを浮かべた。
「じっとりと濡れているではないか? 欲しいのだろう?」
「いや、いや……」

口では抗う言葉を吐きながらも、最初のような激しい抵抗はない。
自分自身もこらえられなくなったランベールは、彼女の股間を被う下着を剥ぎ取ると、自らも下半身を露出させ、
反り返ったイチモツを取り出した。

9黄昏の三戦姫:2006/10/23(月) 23:32:55



ランベールはハァハァと荒い息をしながら、彼女の花弁へ向け己の分身をめり込ませていった。
入り口は少々きつめだったが、十分に潤っていたそれは、ランベールの肉柱をしっかりと飲み込んでいく。

「ほうっ……」
挿入した瞬間、声を漏らしたのはランベールの方だった。驚いた表情でアネットを見つめる。
(な、なんだ、これは……絡み付いてくる)
まさしくその表現が適切だった。彼女の肉壁の襞々はランベールのペニスに、まとわり絡み付いてくる。
まるで、膣内に無数の手が、指があるかのように、やさしく、ときには激しく刺激を与えてくるのだ。

幾人もの女と肌を合わせたランベールだったが、これほどの快感を得たのは初めてのことだ。
いわゆる“名器”というのか、腰の律動を加えずとも射精してしまいそうな勢いだった。

「い、いい具合だぞ……アネット……」
「ああん……」
そう喘ぎを漏らすと、アネットは自ら腰をグラインドさせ始めた。
いつまでたっても抽迭を開始しないランベールがもどかしくなったのだろう、右へ左へ、上へ下へと
微妙なひねりを加えながら動かしていく。

「はひぃ」
さらなる刺激が加わり、ランベールは情けない声を上げた。長年の経験の中で、こんな声を発したのは初めてだ。
ある意味屈辱とも言える。
(き、生娘かと思ったが……この女……)
入り口こそきつかったものの、自分の巨根を咥え込んでもまるで痛がらず、それどころか自ら腰を動かし快感を屠ろうなど、
処女が行う行為とはとても思えない。

「く、くそ」
そうは言っても二十歳にも満たない小娘に、成す術なく射精までもっていかれては、名折れというものである。
せめて、この女にも絶頂を極めさせなくては、己のプライドが許さない。
ランベールは絡みつく肉襞の快感を堪えながら、ようやく律動を開始した。

「ど、どうだ? 感じるか? 感じるか? アネット!!」
「はあぁん! 感じます!! 感じます、公爵さま〜〜〜」
少女の悲鳴に近いよがり声を聞き、さらに腰の動きを早めていくランベール。
だが、抽迭を早めれば早めるほど、射精が近づいていく。
なんとかアネットをイかした後──いや、せめて同時に終わらせたかったが、このままではこちらが先にイかされそうだ。

ランベールは腰の送りを少し緩めようとした。その瞬間、アネットの膣のしまりが急激に強まった。
「うおっぉおお!!」
その刺激に耐え切れず、ランベールの肉棒は鈴口から大量の白濁を射出していくのだった。

10黄昏の三戦姫:2006/10/23(月) 23:33:39



ぐったりと仰向けに横たわるランベール。
女がイクより先に射精してしまったのも、こんな短時間にイってしまったのも初めてのことだった。
しかもこんな小娘に……

だが、ここまでの快感を得たのも初めての経験だ。まだ体がふわふわしている気がする。
射精の量も半端ではなかった。一回の射精でここまで吐き出せるのか? と思うほどの量を出したのではないか?
おそらく、しばらくは勃起もしまい。運動量はたいしたことはないが、この女に精気をすべて吸い取られたような感じだった。
と、下半身でもぞもぞと動く気配を感じた。首を持ち上げそちらを見る。
アネットがランベールのものを、こねくりまわしていた。

「な、なにを……」
「うふふ、いっぱい出ましたね、公爵さま」
そう言ってアネットは笑みを浮かべる。ランベールはその顔を見たとたんに、ぎょっとなった。
これが、先ほどの女か? その表情は自分が処女と見間違った、清純そうな少女のそれではなかった。
真っ赤な舌でいやらしく唇を舐めるそのしぐさ、くりっとしていたまなこは淫猥に細められ、誘うような視線をこちらに向けている。
──まさしく娼婦のそれだった。

「きさま……何者だ……」
「うふっ、アネットですわ」
彼女は微笑むと、だらりと唾液をランベールのペニスへと垂らし、萎えていたそれを扱き始める。

「や、やめろ! あんなに出した後ではもう……」
「あら? そうかしら」
アネットが扱くその手さばきに、見る見るランベールの肉棒はそそり立っていく。
「うふふ、どうしたの? 気持ちいいの?」
「ち、違う。馬鹿なことを言うな」
「あら、やせ我慢しちゃって。欲しいんでしょ?」
アネットは仰向けになっているランベールに跨ると、屹立したそれへ向かって腰を沈めていった。

「ああ〜〜ん」
アネットは甘い吐息を漏らしつつ、騎乗位の体勢で腰を上下させていく。
(くっ……こんな、こんな馬鹿な)
体を起こそうとするランベールだったが、まるで蛇に睨まれた蛙のように、身動きひとつできない。
しかも、与えられる快感は先ほどの比ではない。まさに全身が蕩けそうになる至高の快楽が、波のように襲ってくるのだ。
「はぁ、ひぃ、ひぃ」
無様な表情をしながら、その快感に身をまかすランベール。とそのとき、アネットが言った。

「公爵さま。王様になりたい?」
「……???」
「オーディリアを抱きたい?」
「な、なにを言っている……」
「答えて! 王妃を辱しめて、むちゃくちゃに犯したいんでしょ?」

この女はなにを言っているのだ。まるで自分の心の中を見透かしているかのように……
「わたしに協力したら、その夢かなうわよ」
「な、なんだ……と……」
「公爵さまは、この屋敷にある人を連れてくるだけでいいの。簡単でしょ?」
「だ、誰を連れてこいと……」
ランベールの問いに、アネットは薄笑いを浮かべ答えた。

「レオンよ」
「レオン? あのレオンか?」
「そうよ。公爵さまはお酒でも飲んでてくれればいいの。後はすべてわたしがするから」

いったいなにをしようというのか? だが、本当にそれだけで王になれるなら……オーディリアを我が物にできるなら……

ランベールが「わ、わかった」と呟くように答えると、アネットは満足そうに頷き、
「賢いわ、公爵さま。うふふ、じゃあ、今夜は楽しみましょうね」
と言って腰の動きをさらに激しくしていくのだった。

11黄昏の三戦姫:2006/10/28(土) 23:23:09



ウェルスを訪れたキースたち三人は、オーディリアに連れられライネスを見舞った。
「思ったより元気そうだな。安心したよ」
ベッドで半身を起こし、笑顔を見せるライネスに向かってキースは言う。
かつて“疾風の騎士”と、異名をとった英雄とは思えないほどのやつれ方ではあるが、三ヶ月前に見舞ったときからすれば、
これでもかなり回復した印象である。

「先生のおかげさ」
と言うライネスの言葉を引く継ぐように、オーディリアが続けた。
「三ヶ月でここまで回復できたのも、エリーヌ先生のおかげですわ。感謝しております」
愛する夫の傍らにたたずむ白衣を身に着けた女性に、美しい王妃は笑みを浮かべ軽く会釈をした。

エリーヌはウェルス王国一と謳われる今をときめく第一級の医師である。
なかなか回復の兆しをみせないライネスに、一部の王宮医からの推薦で三ヶ月前から王専属の医師となった。
医師としての実力は確かなのだが、まだ二十八歳という若さゆえに、当初エリーヌの出現を忌々しく思っていた一部の古参医たちも、
確実に回復していくライネスを見せ付けられ、彼女の実力を認めざるを得なくなってしまった。
今では、「十年前に今の彼女がいれば、先王ラーゼスもまだ存命していたのではないか?」とさえ言い出す者もいるほどだった。

また医師としてもさることながら、憎いことに美女と謳われる三戦姫を前にしても見劣りしないほどの美貌を併せ持つのだ。
肩まで届く美しいブロンドの髪を頭上に束ねた姿と、黒縁の眼鏡を掛けた目元は活動的で理知的な印象を見る者に持たせる。
オーディリアに比べると線は細いが、ガリガリというのではなく、いわゆるスレンダーという言葉がぴったりな、
まさに知的美人だった。

エリーヌは王妃の感謝の言葉に、軽く微笑みながら答えた。
「わたくしこそ救国の英雄、ライネス陛下を診ることができるなんて、医者冥利に尽きるというものですわ」
彼女はライネスの顔を見ながらつづけた。
「でもさすがに陛下の生命力は凄いです。このまま順調に回復すれば、あと半年もすれば復帰できるのではないかと思います」

エリーヌのその言葉に一同は一様に安堵の表情を見せる。
特にオーディリアの喜びようは半端ではなく、涙ぐみながらエリーヌの手を取りお願いします、と頭を下げるほどだった。
「ご期待に応えられるように頑張りますわ。では、わたくしはこれで……陛下、お薬の方は忘れずお飲み下さいね」
エリーヌはにこりと笑みを浮かべ、それではと言いながら部屋を後にした。

12黄昏の三戦姫:2006/10/28(土) 23:23:51

彼女が退出するのを見届けると、ミリアーナがところで、と口を開いた。
「オーディリア、ダスミアの騎馬軍団を追い払ったようだが……」
「ええ、なんとかあまり被害を出さずに退却させられたわ。もちろん、レオンの作戦あってのことだけど。
さすがに大賢者ミリアーナの愛弟子だわ」

オーディリアの言葉に表情を変えず、ミリアーナは答えた。
「うむ、あの男は確かに素晴らしい才能があると思う。経験を積めば大陸一の軍師となれるだろうな」
“大賢者”と異名を取ったミリアーナは二十年前の戦いにおいても、その冷静な洞察力と判断力で、他の四人に正確無比な策を与えた。
ともすれば単独行動をして突っ走ってしまう、強い個性を持った彼らがひとつにまとまれたのは、
彼女の軍師としての力量があったればこそである。

常にポーカーフェイスでクールな彼女だが、人一倍寂しがり屋であることをここにいる誰もが知っている。
むろんそんなことを口に出そうものなら、彼女の最大魔法を浴びることになるのも周知のことなのだが。

「名軍師さまとしては次にやつらはどうすると思う?」
キースがそう問いかける。ミリアーナはそうだな、と言いながらその問いに答えた。
「もし、やつらにまともな参謀がいれば、正面から当たってくることはないと思う。わたしなら……」
そう言ってオーディリアを見る。
「わたしなら、オーディリア、お前をなんとかしようと思うだろうな」

「レオンもそう言っていたわ」
「身辺には気をつけた方がいい。家臣たちの中に暗殺者がまぎれていないとも限らないからな」
ミリアーナの言葉にオーディリアは真剣な面持ちで頷く。

「ところでオーディリア。みんなが集まったのもよい機会だ。あのことを話しておいてはどうかな」
ライネスに促され、そうですね、と口を開く。
「実はレオンをアイリーンの婿にと考えています」
「まあ、それは素晴らしいわ」
今までみんなの会話を聞くだけだったセリスが声を上げた。

「うむ、セリスはレオンの母親代わりだからな。わたし以上に喜ばしいだろう」
ミリアーナの言葉にセリスは慈愛溢れる笑顔を見せた。
“神に愛でられし聖女”セリス──今はライスローレンの約九割の民が信仰するモルディアット教の大本殿、
アルミエル大教会の司教を務めている。

二十年前の戦いのあと、彼女は戦災で親を亡くした孤児たちを引き取り、母親代わりとして育ててきた。
レオンはその中のひとりなのである。
当時から頭の良かった彼を、十五歳になったときミリアーナに預けたのも彼女だ。

「レオンなら間違いはなかろう。わたしとセリスが保証する」
「俺も保証するぜ」
「キース、君はあまりレオンと接触はなかろう」
「なんだよ、俺だって可愛がったじゃないか」
「まあまあ、ミリアーナとセリスのお墨付きを貰ったら間違いないわ。ねぇあなた」
「そうだな、オーディリア、この話進めてくれ」
「なんだよ。俺のお墨付きも入れておけよ!」

アイリーンの結婚話に笑顔が溢れていく。
その後、五人は時間も忘れむかし話に花を咲かせた。

だがまさかこの日が、救国の英雄である五人がこうして集う最後の日になるとは、誰ひとりとして思っていなかった。

13黄昏の三戦姫:2006/10/28(土) 23:26:32



「さあ、遠慮せずどんどん飲み食いしてくれたまえ」
豪勢な食事を前に、ランベールはレオンにそう話しかけた。強い酒をぐいぐいと飲み干し、げらげらと下品に笑う。
王族らしからぬその姿にレオンは思わず苦笑した。

ランベールから夕食の招きを受けたのは、今日の昼のことだった。
昼食を終え、アイリーンの午後からの授業へと向かうレオンに、彼が話しかけてきたのだ。
「レオンくん、昨日はすまなかったな」
ランベールは昨日の暴言、非礼をわび、今夜屋敷で食事でもどうか? と言ってきた。
真意は計りかねたが、仮にも王族からの招きである。無下に断るわけにもいかず、その招待を受けた。

ランベールがダスミアと内通しているというようなことは考えにくかったが、なにかしらの策略があることも踏まえ、
オーディリアにはその旨報告してある。
細心の注意は払うが、自分にもしものことがあってもオーディリアにまで累が及ばないようにしなくてはならない。
口に入る食事、酒の類にも気をつけていたが、毒物、薬物のようなものは混入されていなかった。

自分を亡き者に……というわけでもなさそうだ。
(考えすぎたか?)
レオンがそう思いかけたとき、ランベールがこう言った。
「ところで、ライネスの……いや、陛下のご容態だが、なんでももう半年もすれば全快されるらしいな」
なるほど、そういうことか。
ライネスの容態についてはレオンも今朝オーディリアから聞かされていた。
全快とまでは聞いていないが、半年後公務には復帰できそうだ、と。
おそらくこの男もどこかでその情報を仕入れたのだろう。

ライネスが回復し、公務に復帰するということは、取りも直さずランベールの王位継承がほぼ無くなったと考えてよい。
アイリーンが成人するまでにはあと三年と少し。ライネスが復帰するという半年後となると、三年を切る状況である。
彼女が成人してしまえば、仮にライネスの病状がぶり返し、崩御ということになったとしても王位はアイリーンで決まりだ。
ランベールが王位を継承することは、よほどのことが無い限り有り得ないのである。

14黄昏の三戦姫:2006/10/28(土) 23:27:25

おそらく、とレオンは思った。ランベールとしては今後のことを考え、オーディリアとの関係を修復しておきたいと考えたのだろう。
そのためにも、王妃と近しい人間に口を利いてもらおうとでも思ったのではないか? 
自分は王妃の側近でもなんでもないが、信頼されているという自負はあった。
そうでなければ、今朝ライネス王の容態を聞かされたあと、あのようなことを王妃がおっしゃるわけはないだろうと。

果たして、ランベールは思ったとおりの言葉を口にした。
「レオンくんの方から、王妃さまに口添えしてもらえるかな」
やはりな──
ランベールは先王の弟ということもあって、さまざまなところで影響力がある。
証拠はないが、かなりの賄賂を受け取っているという噂もあった。

しかし、王位継承の可能性が限りなく0に近くなり、現王妃と関係がうまくいっていないとすれば、その影響力はかなり落ちるに違いない。
そういったことも含め、オーディリアとの関係修復にやっきなのだろう、と思った。

「しかし、私など一介の家庭教師にすぎません。口添えといわれましても……」
「ははは、次期女王陛下の婿になろうという人間がなにをおっしゃる」
「えっ……」
突然、そのようなことを言われ、レオンは動揺を隠せないでいた。

アイリーンの婿に──
そうオーディリアに言われたのは今朝の話だ。
内密の話だと言われていたし、このことを知っているのは、王宮内では王とアイリーン本人だけだとも言われていた。
オーディリアがランベールなどに話をするわけがないとすれば、知らぬうちに間者が潜んでいたのだろうか……

「い、いや……それはまだ決まった話ではなく……」
普段のレオンならまず口にするはずのないことを口走っていた。かなり動揺していたのだろう。
「ははは、図星か」
しまった。カマをかけられた。
ミリアーナにもよく言われていたことだった。『常に冷静であれ』と。
(まだまだ、ミリアーナさまには及ばないということだ。修行が足りんな)

「アイリーンもまだまだ子供だ。君のようにしっかりした者が、婿に入ってくれればウェルス王国も安泰というものだ」
ランベールは、まあ、とにかく王妃さまへの口添えの方はよろしく頼むよ、と言いながら、この日何杯目かの酒をぐいっと飲み干した。
そのときドアがノックされ、ひとりの侍女が入ってきた。

「公爵さま。デリッド伯爵さまがおみえですが」
「おう、そうだった。すまんな、レオンくん。少し席を外させてもらう。すぐ戻ってくるから」
「いえ、お客さまでしたら、私はこれで……」
「なにを言っている。君は本日の主賓だ。もう少し話もあるし……そうだ、私が戻るまで彼女に相手をさせよう。
アネットくれぐれも粗相のないようにな」
ランベールはそう言い残してその場をあとにした。

(ふ〜、席を立ついいチャンスだったが、ここで私が帰ってしまうと、この少女がランベールに責められるのだろうな。
仕方がない。もう少しだけ……)
レオンはそう思い、立ちかけた体を席に戻した。

もし、ここでレオンが立ち去っていれば、その後の悲劇は避けられていたかもしれない。
だが──
彼は残ってしまった。
それが、ウェルス、ひいてはライスローレン全土の運命を左右することになるとも知らずに……

15黄昏の三戦姫:2006/10/30(月) 23:20:18



「お注ぎします」
アネットはレオンの傍へ行き、置いてある酒の瓶を手に取ると彼のグラスに酒を注いだ。
まだ、二十歳にもならないような少女である。アイリーンと雰囲気はまるで違うが、美少女であるのは間違いない。
「ああ、あまりお構いなく。きみも忙しいだろう。私はひとりで公爵を待っているから、持ち場へ戻っても結構だよ」
「いえ、お客さまをひとりにしては、あとで公爵さまからお叱りを受けますから……」

そう言って笑顔を見せる侍女に、レオンも笑みを浮かべながら話しかけた。
「では、こちらに座って話し相手にでもなってもらおうかな。正直、横で立っていられると飲みにくいので」
「あっ、すいません」
アネットは軽く肩をすぼめながら、近くにある椅子を持ってくる。
そして、その椅子に腰掛けようとしたとき、「そうだ!」と言って部屋の隅の方でなにやらごそごそとし始めた。

レオンがなんだ? と思っていると、やがて部屋中に芳香が漂い始めた。
「これは……お香か?」
なんの香りだろう? 今まで嗅いだことのない香りだ。だが、悪い匂いではない。
「わたしの故郷のお香なんです。気分が落ち着くでしょう? 疲れたときこれを焚くと、すぐに元気になれますよ」
そう言いながらアネットはレオンの横に座った。

なるほど確かに落ち着く感じだ。全身の筋肉がゆっくりと弛緩していく。精神安定と疲労回復効果というところか。
ダスミア軍の侵攻などで、このところ精神的にも肉体的にも疲労がたまっていたから、正直こういう心遣いはうれしい。

「ああ、すごくリラックスできるよ」
本当はランベールの屋敷などではなく、自分の部屋で香りを楽しみたいところだった。
「どうぞ、召し上がってください」
アネットに促され、酒の注がれたグラスを手に取る。少し口をつけると、レオンは横で微笑む少女に話しかけた。

「えっと、アネット……でよかったのかな?」
「はい」
「年はいくつになる?」
「十八です」
そうか、アイリーンよりもふたつ上か。
長身の彼女に比べると、アネットはそんなに背が高いわけではない。まあ、女性としては標準だろうか。
しかし、結構胸はありそうだ。服の上からでもそのふくらみが見て取れる──
おっと、なにを考えているんだ、俺は……あれくらいの酒で酔っ払ったか。

「アイリーンさまの家庭教師をされているそうですね?」
「あ、ああ。そうだよ」
「わたし、まだこの街に来て日が浅いので拝見していなのですが、アイリーンさまってすごくお美しいって聞いたんですが?」
「そうだな。お美しい方だよ」
「そうなんですか」
アネットは屈託のない笑みを浮かべ、一度、お会いしたいです、と言った。

確かにアイリーンは美しい。このところ特に母、オーディリアに似てきた。若い頃の王妃に瓜二つだ、といわれるのも納得できる。
母との違いと言えば、ライネス譲りの美しいブロンドの髪くらいだろうか?
(その女と俺は結婚できるわけか……)
今朝、王妃には少し考えさせて欲しい、と返事を保留してある。
理由はただひとつ“身分の違い”である。

元々戦災孤児だった自分が、大国ウェルスの次期女王の婿に……そう考えると責任の重大さに軽々しく返答ができなかったのだ。
もし……もしもアイリーンが次期女王でなければ。自分が生まれながらの貴族だったなら。二つ返事で了解していたはずだ。
(ライネスさまも、オーディリアさまも望んでくれている。もちろん、アイリーンも)
自分さえ了承すれば、次期女王の……いや、アイリーンの夫となれるのだ。アイリーンの……

16黄昏の三戦姫:2006/10/30(月) 23:21:09

レオンの脳裏に微笑むアイリーンの顔が浮かぶ。
抜けるように白い肌。澄み切った瞳。形よく通った鼻筋。薄く濡れたように輝くピンク色の唇。
そして──
レオンの脳裏の中の彼女は全裸だった。もちろん、現実にはまだ見たことなどない。
だが、おそらく本物は想像をはるかに超えるはずだ。

豊満とまではいかないまでも、形よく年相応にふくらんだ胸。その頂きにある薄桃色の乳首。
なだらかな曲線を描く腰のくびれ。その下にある……金色の翳り。
『レオン』
アイリーンが呼びかける。
『抱いて……』
レオンはしっかりと彼女を抱きしめる。ゆっくりと唇を合わせ、濃厚にキスをする。舌を絡ませお互いの口腔を味わう。

『あふっ……ん』
アイリーンが甘い吐息を漏らす。レオンは彼女のふくらみに手を這わせ、やさしく揉みあげていく。
いつの間にかレオン自身も裸になっていた。
アイリーンの細い指先が、彼の股間へと向かう。
『もう、こんなに……』
硬く屹立したそれに手を添え、恥ずかしそうにつぶやく王女。
やがて、彼女はレオンの前に屈みこむと、これ以上ないほどに反り返った彼のイチモツを、その可愛らしい口に含んでいった。


はっとレオンは我に返った。
いったいどうしたというのだ? よりにもよってこんな淫らな妄想が頭をよぎるなんて。
──どうかしている。本当に、酔っているのか?

レオンの思考力は徐々に低下していた。
頭の中に靄がかかっている。言うなればそんな状態になりつつあった。

「レオンさま」
アネットの呼びかけにそちらに顔を向ける。彼女の顔がつい鼻先にまで近づいていた。
「あっ……」
いつの間にこんなに接近していたのか。
アネットはレオンのすぐ傍、体が触れる距離まで──それこそ寄り添うように──移動して来ていた。

右腕に何か柔らかい感触がある。どうやら彼女の胸のようだ。
(し、下着を着けていないのか?)
そう思うほど柔らかい感触なのだ。
(まさか……俺を誘っているのか?)
アネットの行為はそうとしか考えられないほどだった。偶然とは到底思えないほどぐいぐいと胸を押し付けてくる。

レオンは彼女の顔を見つめた。魅惑的な唇はまるで吸い付いてくれと言っているようだ。
キスくらいなら……。彼の頭の中で悪魔が囁く。それくらいなランベールが帰ってくるまでに事を終える事ができる。
いや、あの胸に触れる事だって可能だ。
待て……違う、何を考えている。そうじゃない……
いったいどうしたというのだ。今日の俺は……
先ほどの淫らな妄想のせいか、股間のモノも痛いほどいきりたっている。
冷静に、冷静になれ。

レオンはかぶりを振った。落ち着こうと目の前にある酒ではなく、その横の水が入ったグラスを手に取り一気に飲み干す。

「どうされました?」
蠱惑的な笑みを見せながらアネットが問いかける。
「い、いや、なんでもない。少し酔ったようだ。用を足して来る」

レオンはそう言って立ち上がろうとした。
床が揺れた──違う、足がもつれたのだ。
バランスを崩し、倒れそうになるレオンをアネットが抱きとめた。

「大丈夫ですか?」
間の悪いことに再び彼の目の前にあの魅惑的な唇が現れた。
「ア、アネット……」
もう我慢の限界だった。レオンは彼女のそれへと唇を重ねていった。

「あふっん」
アネットが甘い吐息を漏らす。
レオンは彼女の胸を揉みしだいていたが、服の上からでは面倒になり、背中のファスナーへと手を伸ばした。

「レオンさま」唇を外しアネットが言った。「わたしの故郷ってどこだと思います」
正直そんなことはどうでもよかった。レオンの頭にあったのは『はやくこの女を丸裸にしたい』それだけだった。
だが、アネットはどうしてもそれを尋ねて欲しいようだ。
体をよじりファスナーを下ろそうとするレオンの手から逃れようとしている。
レオンは仕方なく「きみの故郷ってどこだい」と尋ねた。

「わたしの故郷は……」
アネットは妖しく笑った。
「ダスミアです」
「えっ……?」
そのときレオンの全身から力が抜けた。体が動かない。これは……!!?

ばたんと倒れこむレオン。起き上がろうにも力が入らない。
「あ……おあえあ……」
ろれつが回らない。まともにしゃべることすらできなくなっている。
しまった。そう思ったときはすでに遅かった。
アネットは嘲るような笑みを浮かべ、レオンを見つめていた。

17黄昏の三戦姫:2006/11/10(金) 00:03:34

10

(俺としたことが……なんという失態だ)
おそらく体の自由がきかなくなった原因はあの“香”だ。
気が落ち着くと感じたのは、思考力が低下していたからだろうし、筋肉が緩みリラックスしたと思ったのは、
全身が麻痺しかけていたからに違いない。

すべては自分の才覚に自惚れ、ランベールを甘く見ていたからである。
驕りと油断。
ミリアーナからも常々言われていた事だった。敵を甘く見るな。己の力を過信するな、と
(ミ、ミリアーナさま……申し訳ありません……)

レオンは己の馬鹿さ加減を悔いたが、すでにそれはあとの祭りだった。
先ほどに比べると、頭の中はすっきりした感じだが、かわりに身動きがとれなくなっている。
しゃべることすら困難な状況なのだ。
殺されるのか? 
むろん、死ぬのは怖くない。だが、もし自分の死によってオーディリアやこのウェルス王国になんらかの影響を与えるとしたら、
死んでも死にきれない。

「淫邪香」
アネットは呟くように言った。
「うふふ、このお香の名前よ。どう? 気持ちいいでしょ」
見下したようにレオンを見つめ、唇の端を吊り上げ笑う。
そこには美少女然とした先ほどまでの面影は微塵もない。悪女としかいいようのない表情だった。

「今は第三段階ってところかしら。最初は単に気持ちいいだけなの。でもしばらくすると、今度はいやらしい妄想が浮かんじゃう。
頭の中がそのことでいっぱいになっちゃうの。で、体の自由が利かなくなる。でも安心して、そろそろ体も動くようになるし、
ちゃんとしゃべれるようになるから」
そういえば、少し体の自由が利くようになってきた気がする。香の効き目が切れるということなのか?

「そして、最終段階に入るのよ」
アネットが言ったのとほぼ同時にそれは起こった。下半身が、男のあの部分が燃えるように熱くたぎりだしたのだ。
「あがぁっぁぁ!! ひっ……ひぃぃぃぃぃぃ!!!」
レオンは叫びを上げた。体をよじり身悶える。

「あらあら、もう始まっちゃった。じゃあ」
どこに隠し持っていたのか、彼女は縄を取り出すと、レオンの両手を後ろ手に縛りだした。
そして、ズボンを下着ごと剥ぎ取っていく。
「な、なにを……」
「うふ、おしゃべりのほうもそろそろ普通にできるようになってきたわね」
確かにろれつもまともに回るようになった、体も動く。しかし、股間のイチモツは恥ずかしいほど硬く勃起している。

「くくく、顔に似合わずりっぱなモノを持ってるのね。うふふ、アイリーンとはもうヤッたの?」
「ば、馬鹿なことをいうな」
「あら? まだなの。早くヤッちゃえばいいのに。きっと王女さまもこのオチ○チンの虜になっちゃうわよ」
「だまれ! きさまと一緒にするな。姫さまがそのような淫らな……ハウッ!!」

アネットがヒールのまま、レオンのペニスを踏みつける。激烈な痛みとともに得もいわれぬ快感が襲ってきた。
「チ○ポギンギンにおっ立てて、なに生意気な口利いてんの? それに、こうして踏みつけられてヨガってる癖して……
このヘ・ン・タ・イ」
侮蔑の言葉を吐くと足先にさらに力を込め踏みつける。

瞬間──レオンのモノが爆ぜた。
総身がぶるっと震えたかと思うと、いきりたった肉棒の先端より大量の白濁が放出されたのである。
「はぁあう!!」
情けない悲鳴を発し果てるレオン。ミリアーナにひけをとらぬ名軍師とオーディリアに言わしめた男の姿はそこには無かった。

「あら、もうイッちゃったの? こんなに早くちゃアイリーンさまを満足させられないわよ。うふふ、いいおまじないをしてあげるわね」
アネットが萎えたレオンのペニスを扱きあげると、一瞬にして元気を取り戻し、天を突くようにそそり立った。
「すぐに発射できない魔法を掛けてあげたからね。今度はじっくり楽しめるわよ」
アネットは残酷な笑みを浮かべると、自らの服を脱ぎ始めた。

18黄昏の三戦姫:2006/11/10(金) 00:06:30

ついさっき、あれほどの量の白濁を吐き出したところだというのに、レオンのイチモツは先ほど以上の反り返りようである。
加えて、眼前ではアネットが彼の欲情を煽るように、妖しく舞うように一枚一枚衣服を脱いでいる。
レオンは身内から湧き起こる興奮に耐え切れず、自ら慰めたくなった。
しかし、両腕を後ろ手に縛られていては、それすらも叶わない。
それでもレオンは、少しでも刺激を得ようと、無様に腰をくねらせるのだ。

「どうしたの? 苦しそうね」
皮肉に笑いながら、アネットはそう問いかける。すでに服は脱ぎ終わり、下着を残すのみとなっていた。
元々上半身には下着の類は着けていなかったようなので、豊満な胸は丸見えの状態だ。
アップにしていた髪を下ろし、軽く梳くと肩甲骨のあたりにまで髪が流れ落ちていく。
そんなしぐさが更にレオンの欲情を煽っていくのだ。

「ハアハア……た、頼む……両手を……いや、右手だけでも解いてくれ」
どうしようもなく、レオンはアネットにそう懇願した。
「いいわよ。でも、右手を解いてどうしたいの?」
「そ、それは……」
混濁した意識の中でも、まだ自尊心というものは残っている。オナニーをしたいなどということを軽々しく口にできるはずがなかった。

「言えないの? なら、だめね」
「た、頼む……お願いだ……」
少しでもいい、直接的な刺激が欲しい。そう先ほどのように踏みつけてもらうだけでもいいのだ。
もう矜持もなにもなかった。とにかくこの波のように襲ってくる隠微な快感を鎮めなければ、気が狂いそうだった。

「ペ、ペニスを……」
「ペニス? オチ○チンでしょ」
「はふぅ……そうだ。オチ○チンを……し、扱きたいんだ……」
「あらぁ〜、よくいえたわね。じゃあ、ご褒美にわたしがシテあ・げ・る」

アネットは甘く囁くと、その豊満な胸でレオンのイチモツを挟み扱き上げ始めた。
いわゆる“パイズリ”というやつである。柔らかい感触が彼のペニスを包み、言いようの無い快感を与える。
背中から脳天を電撃のような快美感が走りぬける。脳みそが蕩けてしまうのではないかと思うほどだ。
「ぐはぁ〜っ……き、気持ちいい……ハァハァ……」

だらしなく涎を垂らし、涙を流さんばかりに身悶えるレオン。
アネットのいう“ 魔法”のせいか、先ほどのように簡単に発射されない。
もうほとんどイきかけているのだが、どうしても放出にまでは至らないのだ。
断続的に襲ってくる快感の波。しかし、放出という最後にして最大の快感を得ることができない。
まさに甘美な拷問地獄をさまよっているようなものだった。

「もう、もう……イカせてくれ……出させてくれ……」
アネットはレオンの上目遣いに見ると、今度は口唇奉仕を開始した。
「はぐぁぁぁぁぁぁ」
ぐちゅ、ぐちゅ、じゅぶ、じゅぶ、といやらしい音を鳴らしながら、レオンのペニスを喉の奥まで咥えこむ。
この世のものとは思えない快感。レオンの頭の中はもう“その事”だけしか考えられなくなっていた。
もう少しで、もう少しで達しそうだ……

と───

突然、アネットが口唇奉仕を中断した。
驚いたような表情で彼女を見つめるレオン。そして、狂ったように叫び始めた。
「何故だ!! 何故途中でやめる!! 続けろ! 続けてくれぇぇ!!」
「続けてあげてもいいけど」
アネットは立ち上がると、下半身を露出しペニスを勃起させたままわめき散らす、かつての“名軍師”を蔑むように見つめ言った。
「レオン答えなさい。あなたの主はだれ?」

主……だと。
突然の質問に戸惑うレオン。
主……誰だ? 思い出せない。確かに誰かに仕えていた気がする。
だが、そんなことより……とにかく続きを……

19黄昏の三戦姫:2006/11/10(金) 00:07:32

ふと目の前の少女に目がいく。
自分を見つめる蔑むような目。女神のごとき美しい裸身。
圧倒的な存在感だった。
逆らえない……そう思った。
ああそうか、俺はこの少女に仕えていたのか。いや、仕えなくてはならないのだ。
レオンの頭の中で、そんな言葉がぐるぐると駆け巡る。

主──マスター……彼女こそが……
「アネットさま……」
なんの抵抗も無くその言葉が出た。
この方のためなら自分は命を賭けられる。そんな絶対的存在。
「私の主はアネットさま……あなたです」

「そう……じゃあ、ライネスは?」
「ライネス?」
「オーディリアは?」
「オーディリア?」
「アイリーンは?」
「アイリーン?」
名は聞いたことがある。顔も思い出せる。だが、その人物たちが自分にとってどんな存在だったのかが思い出せない。

「わ、わかりません……」
「じゃあ、教えてあげる。ライネスは悪魔。ウェルス王国を支配する魔王よ」
「ラ、ライネスは悪魔……」
「オーディリアは魔女。あやかしの術を使い人心を惑わす魔女よ」
「オーディリアは魔女……」
「そして、アイリーン。ふたりの間にできた悪魔の申し子」
「悪魔の申し子……」

それは刷り込み……偽りの記憶。
だが、レオンの中ではまぎれも無い真実となっていた。

「レオン、あなたは悪魔たちを退治して、ウェルスの民を救わなければならないわ。わたしに協力してくれるわね?」
「もちろんです。アネットさま……この身を賭しても悪魔どもを」
空ろな目をしながらレオンは言う。すでに彼は完全に魔に魅入られていた。

「よく言ったわ、レオン。じゃあ、この戒めを解いてあげる」
アネットはそう言うと、後ろ手に縛っていた彼の両手の戒めを解く。
「さあ、好きなだけ自分を慰めなさい!」
その言葉が終わるか終わらないうちに、レオンは狂ったように己のモノを扱き始めた。

「はひぃ、はひぃ、はひぃぃぃぃ!!!」
喜悦の表情で一心不乱に自慰を行うレオン。
そんな彼の姿を見ながらアネットは満足そうに微笑んだ。


それから半時後。戻ってきたランベールが見たのは、自らの肛門に酒瓶を突き入れそれを抜き差ししつつ、
白痴のように自分のイチモツを扱いている変わり果てたレオンの姿だった。

20黄昏の三戦姫:2006/11/11(土) 23:45:58

11

「先生」
午後の回診が終わり自宅へ引き上げようとするエリーヌを、背中から呼び止める声がした。澄み切った男の声だ。
振り向くとそこにはさわやかに微笑むレオンの姿があった。
「あら、レオンくん」
声の主がレオンとわかり、エリーヌの顔がほころんだ。

王宮内で彼女が気安く話せる人物はほとんどいない。
貴族たちはエリーヌの医師としての実力が、抜きん出たものだということが知れた後も、所詮は平民ということで、
そういう風な目で見ることが多かったし、逆に王宮内で働く者たちは、王の主治医ということで、
気安く話しかけてくるようなことはなかった。
また、ライネスやオーディリアなどは感謝の意を持って話しかけてはくれるが、相手は王と王妃である、
逆にこちらから気安く話すということもできない。

そんな中、このレオンだけは違った。
年齢が近い──とは言え彼女の方が五つばかり上だったが──ということと、お互いに二十年前の戦災孤児だったということもあり、
王宮に来たときから、唯一気楽に話せる人間だったのだ。

「おっと、未来の女王陛下のお婿さんに対して、“くん”付けはまずかったかしら?」
午後の回診の際、ライネスから聞いた情報だった。どうやらアイリーンとの婚姻をレオンは了承したらしい。
「先生、だめですよ。まだ内緒ですから」
人指し指を唇にあてがい、シッというようなしぐさをする。そんな姿もレオンがすると可愛らしく思えてしまう。
エリーヌにとって彼は弟のような存在だった。

「うふっ、そうね。ごめんなさい……それで、なにか用かしら? どこか具合でも悪いのかな?」
「いえ、おかげさまでいたって元気です。ちょっとライネス陛下の病状についてお尋ねしたいことがあって」
ライネス王は順調に回復しており、あと半年もすれば公務に復帰できるだろう。
このことはオーディリアにも話したし、すでに王宮内でも噂になっている。
王妃の側近といってもいい彼がこのことを知らないはずはないのだが……
「実はダスミアの侵攻に対しての作戦を立てるのに、陛下のご病状をもっと詳しく知りたいもので……
ここではあれですから、よければ私の部屋に行きませんか?」

レオンにそう言われ、エリーヌはなんの疑いもなく彼の後に付いていく。
無論前を歩くレオンが、悪魔のような笑みを浮かべていたことなど知る由もなかった。

:::::::::::::::

レオンの部屋に入ったとたん嗅いだことのない芳香が彼女の鼻腔をついた。
「あら? この香り……」
「ああ、いい香りでしょう。疲労回復、精神安定にいいお香なんですよ。先生も少しお疲れのようだし」
確かにレオンの言うとおり、王宮に来てからの三ヶ月間、ライネスの病状回復のために身も心も休まる日はなかった。
ようやく最近順調な回復を見せるようになり、少し気は楽になったが、逆に今までの疲れが一気に襲って来ており、
疲労が溜まっているのは間違いのないことだった。

「ほんとね。なんだか落ち着くわ」
「どうぞ、こちらにお座りください」
レオンに促され椅子に座るエリーヌ。
気分が落ち着くだけでなく、溜まっていた疲れが溶けていくような感覚に、エリーヌはうっとりとした表情を見せた。

当然のことながら、このお香は例の“淫邪香”である。
さまざまな薬草にも造詣の深いエリーヌだったが、どうやらこれについての知識はなかったようだ。
「それで、どういったことが知りたいの?」
エリーヌの問いにレオンは「ええ、実は……」と質問を始める。
しかし、それらはどれもこれも、すでにオーディリアに話したことであり、レオンが知らぬはずのない内容のものばかりだった。
特にエリーヌに尋ねなければならないことでもなさそうだ。
わざわざ自室にまで誘い、そんなことを聞くレオンの真意を量りかねたが、戦略に必要なことだと言われると、
そんなものかと納得せざるを得なかった。

21黄昏の三戦姫:2006/11/11(土) 23:46:40

それよりも彼女には気になっていることがあった。自身の身体の変調である。
なんとなく熱っぽい。いや、実際に熱があるというわけではなさそうだが、身体中が火照った感じがするのだ。
じんわりとだが、汗ばんできている気もする。

「どうしました?」
突然、レオンにそう問われ、「えっ……ええ」と慌てて返事をする。
「なんだか、暑くなってきた感じがして……」

なあんだ、そんなことか、という風に、レオンは笑いながら応えた。
「それはお香のせいですよ。血行が良くなるから、暑く感じるんでしょう」
なるほど、そうなのか。
確かに暑いのは間違いないが気分は良い。血の巡りがよくなれば、暑く感じることはままあることだ。

レオンは続けて話をし始めた。
しかし、気のせいか先ほどと同じことを繰り返しているだけのような気がする。
質問の仕方を変えているだけで、内容はほとんど同じなのだ。
エリーヌはだんだんとレオンの話などどうでもよくなってきた。
しだいに目の焦点があわなくなり、レオンの顔が歪んでいくような気がした。
(なに……どうしたの? おかしいわ)
だが、それ以上は頭が回らず、おかしいとは思いつつも思考はそこでストップしてしまう。

やがて、レオンだった顔がまるで別の男の顔となって、エリーヌの眼前に現れた。
誰? 一瞬そう思ったが、それが見覚えのある男だということに気づく。
(ガスタン……?)
学生時代、ともに医学を学んでいた同級生である。だが、エリーヌにはこの男に対して嫌悪感しかない。

常に無精髭を生やし髪の毛はボサボサ。何日も服を変えず、遠くに離れていても異臭が漂ってくるほどだった。
おそらく、シャワーすら浴びていなかったに違いない。
性格も暗く、ほとんど話しかけてくることはなかったのだが、常に自分に対していやらしい視線を送り続けられ、
その度に鳥肌が立ったものだった。

そんな男がなぜ目の前に……
普通なら、すぐにこれは幻覚だ、とわかるはずだが、“淫邪香”によって麻痺させられた頭では、そんなことすら思いつかない。
(なに? どういうこと……ここはいったい?)
エリーヌは自分が今どこにいるのかさえ、理解できていなかった。

目の前の男、ガスタンが淫猥な目つきでこちらを見つめている。
かつてのようにそれだけで怖気を感じ、鳥肌が立ってくる。
『エリーヌゥゥ、ひさしぶりぃぃ』
ガスタンは茶色い歯を見せつつ、ニヤリと笑いながらエリーヌの方へ近寄ってくる。

『い、いや! 近寄らないで!!』
逃げようとするエリーヌだったが、自身に愛玩動物用の首輪が嵌められていることに気づいた。
(ど、どういうこと?)
わけもわからぬまま首輪から伸びる鎖を見ると、その先端をガスタンが握っているではないか。
しかもいつの間にか自分は全裸になっており、四つん這いの状態で彼を見上げていた。

(こ、これはなに? わけがわからない)
『うふふ、エリーヌ。いつものようにご奉仕の時間だよ』
ガスタンはそう言うとズボンを下ろし、反り返った己の肉棒を彼女の目の前に突き出した。
(ああ……なんて臭いなの……)
汚らしい──なんて不潔な……
だが、一方でこの不潔なもので穢して欲しいと思う自分がいるのも事実だった。

『ガ、ガスタンさま……ご奉仕したします……』
エリーヌはそう言って突き出された肉の凶器へ、舌を差し出していった……

22名無しさん:2006/11/13(月) 21:55:17


「先生……先生」
自分を呼ぶ声に現実に引き戻され、エリーヌははっとなって顔を上げた。
目の前では心配そうにレオンがこちらを覗き込んでいた。
「ご、ごめんなさい。なんだかぼーっとしちゃって」
慌ててそう答える。どうかしている。いったいあれはなんだったのか?

「ああ、初めてこのお香を嗅いだ人にはたまにあるんですよ。気持ちよくなりすぎて眠気が襲ってきたりね」
眠気──そうなのか? 軽い睡眠状態に入り、夢を見たとでもいうのだろうか。
「夢を見たりするらしいですよ。普段心の中に押さえ込んでいる欲求とかが、現れたりするそうです」
押さえ込んでいる欲求……あの夢が?
まさか──あんな夢がわたしの欲求? そんな馬鹿な! 

「なにか夢でも見たんですか?」
「えっ……? 残念ながら何も見ていないわ。少し寝ていたかもしれないけど……」
かぶりを振って否定する。あんな夢の内容を語れるはずもない。
嫌悪感を抱いていた男に愛玩動物よろしく首輪を嵌められ、丸裸で四つん這いになり、あろうことか
その男のイチモツに舌を這わしていたなどと。

(はっ!……)
エリーヌは自分の股ぐらがべっとり濡れていることに気づいた。どう考えても愛液であるのは間違いない。
(うそ。まさかあんな夢を見て濡らしてしまうなんて……)
これではまるで欲求不満の淫婦ではないか。いったい自分の身体はどうしてしまったというのだろう? 
このままではいけない。とにかく、ここを出て自宅に帰った方がよさそうだ。シャワーでも浴びてスッキリすれば
元の自分に戻れるはずだ。

「レオンくん、ごめんなさい。そろそろお暇させていただくわ」
「そうですか、もう少しお伺いしたいこともあったんですけど……ああ、そうだ。先生に飲んでもらおうと思って、
いいお茶を仕入れてるんですよ。それだけでも飲んでいって下さい」
「えっ? あ、でも……」
エリーヌが断ろうとしたときには、すでにレオンは立ち上がりお茶を淹れ始めていた。
相手がレオンでなければ強引に席を立っていたのだろうが、彼が自分のために用意してくれたというものを断るのは、
あまりにも不粋かと思いエリーヌは椅子に座りなおした。

「さあ、どうぞ」
レオンは彼女の左後ろに立ちカップを差し出した。
お香の香りが強いためお茶の香りを楽しめないのは残念だが、立ち上る湯気からはかすかに甘い匂いが漂ってきた。
「頂くわ」
エリーヌがそう言ってカップを取ろうとしたとき、レオンが耳元で囁いた。

「先生、ガスタンて誰ですか?」
エリーヌはえっ? となって身体が硬直していく。
「えっ……あっ、どうしてその名前を……?」
「いやだなぁ。さっき呟いてましたよ。覚えてないんですか?」
どうやら夢の中だけでなく、実際に口に出してしまっていたようだ。

「さ、さあ……そうだったかしら? ガスタンっていうのは学生時代の同級生の名前だけど……」
「ふ〜ん、同級生ですか……」
レオンは意味ありげに呟く。同時に彼のしなやかな指がエリーヌのブロンドの髪を撫で始めていた。
普通ならそんなことをされたら、いかにレオンといえど一喝するところなのだが、今のエリーヌは違った。
髪の毛をやさしく撫でられる度に、股間から熱いものが溢れてくるのである。

23名無しさん:2006/11/13(月) 21:57:40

「同級生かぁ……でもおかしいですねぇ」
レオンはそう言いながら頭の上で束ねられた髪の毛をゆっくりと解いていく。
美しいブロンドの髪ははらりと彼女の肩甲骨のあたりにまで流れ落ちる。
そして、その髪を両手でやさしく漉きながら、彼女の耳元に囁きかけた。
「同級生にどうして“さま”付けなんです?」
「ああ……そ、それは……」
尚もレオンは責めるように囁く。
「ご奉仕しますって、なにをするんです?」

レオンはエリーヌの耳たぶに舌を這わせる。
「あっ……ああ〜ん……」
脊髄から脳天へかけて電流が流れるような快感が襲い、エリーヌは甘いあえぎを漏らした。
「さあ、教えてください。“ご奉仕”ってどんなことをするんです」

レオンは耳元で囁きながら彼女の後ろに回りこむと、白衣を脱がしていく。
「ああ……やめて……」
だが、強い抵抗ではない。淫邪香の効果で身体の自由が利かなくなりつつあるのだ。

すでにエリーヌの顔は真っ赤に紅潮し、目元はトロンとしていた。
理知的なイメージを形作っている黒縁の眼鏡との対比が、さらに淫猥さに拍車をかけている。
口は半開きになり涎さえだらだらと流れ出す。
いつもの知的な彼女からは想像もできないほどの馬鹿面だった。

「細いわりには大きなおっぱいじゃないですか。揉みがいがありますよ」
レオンは彼女の肩の上から手を回し、服の上から乳房を揉み弄り始めた。
「あふあああん……ハァハァ……だ、だめぇぇん」
甘えるように鼻を鳴らしあえぐエリーヌ。
服の上からでは刺激が足りないのか、自らの手をレオンの手に添え、もっと激しくと催促までする始末だ。

「直接揉んで欲しいですか?」
「お、お願い……直に、直に揉んでちょうだい」
「ふふふ、ではご要望にお答えして……」
焦らすようにボタンを外し、打ち合わせを大きく開く。胸を隠す真っ白な下着が露出した。

24名無しさん:2006/11/13(月) 21:58:11

「おやおや、このおっぱいの大きさに比べると少し小さいんじゃないですか? この下着」
学生時代から大きめだったバストは、男たちの好奇の目にさらされていた。
胸が大きい女は知性が感じられないとか、きっと男に揉まれてあんなに大きくなったのだろうとか、
果ては澄ました顔をして男とやりまくっている、などと謂れのない陰口まで叩かれた。
それが嫌だったエリーヌはできるだけ目立たないようにと、常にワンサイズ小さめの下着を着けていた。

「だめですよ。ちゃんと自分にあった大きさのを着けないと」
訳知り顔で言いながら、レオンは窮屈そうに締め上げられた極上のバストを、下着から開放していく。
ゆさり、という音がしそうなほど量感を持った乳房が、零れ落ちていった。
先ほどからこってりと揉み解されたせいか、興奮しているためなのかはわからないが、乳房は薄いピンク色に染まり、
乳首は硬く尖っている。
乳輪はやや大きめだが、ほとんど色素の沈着を見せないそれは、ピンクに染まった乳房との境目がわからないほど淡い色だった。

「さあ、答えてください。ご奉仕ってどんなことをするんです? 言わないと揉んであげませんよ」
「ああ……お願い、言います。言いますから……」
「さあ!!」
レオンに促され、エリーヌはおずおずといった調子で答え始めた。

「ア、アレを……舌で……」
「アレではわかりませんよ、先生」
「男性生殖器を……ぎひぃいい!!」
突然、レオンが思い切り乳首をひねり上げた。痛みとも快感ともとれる刺激がエリーヌを襲う。
「なにをお上品に言ってんだ。この白豚が!! チ○ポだろうが!! なにが男性生殖器だ! 言ってみろ、チ・ン・○ってよ!」

普段の彼からは想像できない乱暴な言いように、一瞬言葉を詰まらせたエリーヌだったが、これくらいで正気に戻るはずもない。
それどころか、口汚く罵られることによって却って官能が増すくらいだった。
「あひぃ、チ、チ○ポです」
「どんなチン○がいいんだ? インラン先生」
「ああ……大きくて……」
「大きくて?」
「く、臭いのがいいのぉ」


エリーヌの言葉にくくく、と含み笑いをすると、レオンは「ご褒美だ」と言って胸を揉みしだき始めた。
くぅ〜ん、はぅ〜んと甘く鼻を鳴らすエリーヌに彼は尚も続けて質問を浴びせる。
「ウェルス一の美人女医さんは、臭いチ○ポがお好みか。ガスタンのも臭かったのか?」
「わ、わかんない……ふぅ〜ん……でも、身体中臭かったから……」
「そんな臭いものをどうするんだ?」
「はぁ〜ん……舐めるのぉ〜。お口に含んで舐め回すのぉ〜」

エリーヌは自分がなぜこんなことをしゃべっているのか理解できなかった。

25名無しさん:2006/11/13(月) 21:58:46

ガスタンなど、嫌悪感以外に感じたことなどない。不潔でいやらしくて、吐き気をもよおすほどの体臭で……
「ガスタンが好きだったんだ」
好き? そんなことはない。嫌いだ。大嫌い。傍に寄られるのも嫌! 
「ち、違うわ……嫌いよ……大嫌い。虫唾が走るわ」
「ほぉ、ではそんなに嫌いな男にどうされたいんだ

……どうされたい? それは決まっている。口汚く罵って欲しいのだ。
忌み嫌う男、自分よりも馬鹿で軽蔑する、まさに唾棄すべき男にねじ伏せられ、罵詈雑言を浴びせられ、
身体中を弄ばれたいのだ。
唾を吐きつけられ糞尿にまみれ、動物のように……いや、物として扱って欲しいのだ。
そう……つまり……

「穢して、穢して欲しいの……」
「ふふふ、変態だな。エリーヌは」
「そう、わたしは変態よ……」
そうだ、変態なのだ。屈辱を感じ欲情する変態……マゾヒスト。
思い出せば、学生時代ガスタンのいやらしい視線を浴びたとき感じた怖気は、襲いくる官能を理性が
抑えようとしていたからなのではないのか? きっとそうなのだ。

「では、誰がいい。王宮内に理想の男はいるか?」
レオンはそう尋ねる。エリーヌはぼんやりとした頭で思考をめぐらせていく。
理想の男……
そう最も忌み嫌う男。虫唾が走る男。軽蔑する男。唾棄すべき男。

「ラ、ランベール」
「ほう、公爵がお気に入りか。どうして欲しい?」
「蔑んで欲しい。罵って欲しい。乱暴に犯して……ムチャクチャにして欲しいのぉ〜」
もうわけがわからなった。口をついて出てくる淫猥で、破廉恥な欲望の数々。
これは本当に自分の口から出ている言葉なのか? 

「では、エリーヌの欲望を叶えてくれる人物にご登場願おうか」
ドアが開く音がして、隣の部屋──おそらく寝室──から誰かが入ってくる気配がした。
へっ? と気配を感じた方を見やる。そこには、下卑た笑いを満面に浮かべたランベールが立ってこちらを見つめていた。

「ひ、ひぃぃぃぃ!!」
エリーヌは悲鳴を上げた。なぜランベールがここに……どうして……
パニックに陥った彼女は慌てて椅子から立ち上がり逃げ出そうとする。
だが、すでに淫邪香の威力は全身をほぼ麻痺状態にしていた。

立ち上がりかけた拍子に、足がもつれバタンとその場に尻餅をついて倒れこんでしまう。
起き上がろうともがくが、今度は完全に身体が動かなくなっていた。
まるで、見えない拘束具を付けられたように。

26名無しさん:2006/11/17(金) 21:30:12
(ほう、これは昨夜と同じ匂いだな)
ランベールは、ドアを開けると同時に匂ってくる香りを嗅ぎそう思った。
(なんとかいうお香だったな……確かに凄い効き目のようだ。アネットから貰った薬を飲んでいなければ、
わしもレオンやこの女医のようになっていたということか……くわばらくわばら)

目の前では自分の登場に驚き、椅子から立ち上がろうとした美人女医が、無様に尻餅をついて倒れこんでいる。
どうやら身体の自由がまったく利かなくなっているようだ。アネットから聞いていたとおりである。
するとそろそろ最終段階に入るということか。

「ガハハハハ。いつも冷静な女医先生がなにを慌てていらっしゃるんですかな? ぐふふ、みごとなおっぱいを丸出しにして」
痩せっぽちだと思っていたが、なかなかどうしていい乳をしている。そこそこに弾力もあり肌の張りも申し分ない。
元来肉感的な女の方が好みのランベールだったが、細い身体にでかい胸というのもアンバランスさがあってよい。

それにこの女は違う意味でヒィーヒィー言わせてみたいひとりなのだ。
ライネス専属の医師として王宮に来たときから、自分を見る目に軽蔑感というより、なにかおぞましい物を見るような色が見て取れた。
いつの日にか、そんな目で見たことを後悔するほどの恥辱を味あわせてやろうと思っていたのだが、
まさかこんなに早くそのチャンスが巡ってくるとは。

(ふふふ、オーディリア、アイリーンをものにする前哨戦だ。たっぷりと可愛がってやる)
ふと見ると、いつも掛けているはずの黒縁眼鏡がない。どうやら、倒れたはずみで落としたようだ。
あれはこの女の知性の称号のようなものだ。眼鏡を掛けているほうが、インテリ女を弄っている風情があるし、
この女が味わう屈辱感も増すだろう。

「レオンくん、先生は大事な眼鏡を落とされたようだ。拾って掛けてお上げなさい」
「はい、公爵さま」
レオンはそう言うと、自分の足元に落ちているエリーヌの眼鏡を拾い上げ、彼女に掛けた。
「やはり、先生は眼鏡を掛けているほうがいいですね。知性が感じられて」

エリーヌは蔑むように自分を見つめるレオンに向かって口を開く。
「ヘホンふん……こへはひっはいほうひう……」
おそらく、『レオンくん、これはいったいどういうこと』と言いたかったのだろうが、淫邪香の影響でまともにしゃべれないようだ。

そんなエリーヌを見ながら、ランベールは言った。
「レオンくんそろそろ、先生を寝室へお連れしようか。おっと、先生などと呼ばれるよりは、インラン白豚とでもお呼びした方が、
お好みでしたかな?」
皮肉を言いつつランベールはレオンにエリーヌを寝室へ連れていくように命じる。

レオンはよっこらしょ、とばかりに彼女を抱き上げると、薄笑いをしながら語りかけた。
「よかったですねぇ、先生。いよいよ念願が叶いますよ」
レオンの言葉に驚愕の表情を見せるエリーヌ。
しかし、身動きのできない身体では抵抗のしようもなく、易々と寝室へと連れていかれてしまうのだった。

27名無しさん:2006/11/17(金) 21:30:58

エリーヌは乱暴にベッドへと投げ捨てられた。
クッションがよかったせいで痛みは感じなかったが、これから行われるであろうことを考えると、恐怖で身が震える。
「くっ……いまならまだまにあふわ……こんなころはやめれちょうらい」
少しはましになったようだが、まだまともにしゃべれてはいない。身体の方も指先は動き出したが、完全に動き始めるには
もう少し時間がかかりそうだ。

「くくく、しかし意外でしたな。いつも聡明なエリーヌ先生が、実は被虐趣味のある変態マゾヒストとはね」
「公爵、是非先生の夢を叶えてさしあげてください」
「ふふふ、そうだな。先生にもう一度はっきりお願いしてもらえればな」
「なにを……ばはな……」
確かに馬鹿な台詞を吐いたが、それはなんらかの──おそらくあの香だ──影響で、催眠状態になり
心にもないことをしゃべってしまったのだ。あれが、自分の本心からでた言葉だとは到底信じられない。

「そろそろ、普通にしゃべれるようになってきたんじゃありませんか? お願いしてみたらどうです」
「あれは、わらしの本心じゃない! あのお香で無理やり……」
「ふふふ、まだそんなことを言ってるんですか。確かにあのお香には催淫効果はありますが、心にも無いことを
しゃべることはありませんよ。あの言葉は先生の意識下に隠れている本当の心ですよ」

そんなことは有り得ない。あるはずが無い。そんなはずは……
「冗談はやめてちょうだい。そんな馬鹿なことあるわけ無いでしょう!」
「そう思い込みたい気持ちはわかりますがね……」
レオンはやれやれといった調子で呟いていると、ランベールが割って入った。
すでに衣服は脱ぎ去っており全裸である。ギンギンに勃起したイチモツを握りしめ、エリーヌの眼前へと近づいていく。

「昨夜はいろいろあってシャワーも浴びておりませんが、さてさて先生のお好みの“臭いチ○ポ”かどうかひとつ嗅いで頂けますかな?」
そう言って反り返った肉棒を彼女の鼻先へと突きつける。
「ひぃ! や、やめて!!」
吐き気をもよおすほどの異臭がエリーヌの鼻腔を刺激する。
いやいや、とかぶりを振り逃れようとするエリーヌだが、信じられないことに身体が疼いてくるのである。

(うそ……これはどういうこと……)
しかも、目の前に突き出されたランベールのイチモツから、視線を外そうと理性が押さえ込もうとするのだが、
本能がどうしても外させないのだ。
(ああ……大きい……)

エリーヌはほとんど無意識のうちに、眼前にある醜悪な肉の塊へと舌を伸ばしていた。

28名無しさん:2006/11/24(金) 15:06:52

舌を突き出し、ランベールのモノを舐めしゃぶろうとするエリーヌ。ようやく自由になった右手を差し出し、イチモツを握ろうとする。
と、ランベールはひょいとばかりに、掴んでこようとする彼女の右手をさけ、身体を遠ざける。

「ああ〜ん」
しゃぶろうとしていた標的が遠くに逃げ、エリーヌは思わずそう声を発した。

「どうやら、先生は私のチ○ポを気に入ってくれたようですな」
ランベールはフフフ、と笑いながら屹立したそれを見せ付ける。
「あっ……ち、違う、違うわ……あのお香で……」
「なんでもかんでも香のせいにしてるんじゃねぇよ! ちゃんとしゃべれるようになったし、
身体も動くだろうが! 
おつむの方もはっきりしてきてるんじゃねぇのか? 香の効き目が切れてきてるんだよ」

もちろん、このレオンの台詞は嘘である。効き目は切れるどころか、いよいよ最終段階へと移ろうとしているのだ。
だが、そんなことを知らないエリーヌは、疑心暗鬼に陥ってしまう。あの行動は本当に自分の意思なのかもと。
実際、ろれつも回るようになっているし身体も動く、頭の中にかかっていた靄のようなものは晴れ、ちゃんと思考もできる状態だ。
レオンの言うように香の効き目が切れてきている、と言われればそうなのかもしれない。

(違う……違うわ)
わたしに被虐趣味などない。そんなことは有り得ない。
では何故身体が疼く? 好きでもない、いや嫌悪感さえ持っている男のペニスを見て、どうして身体が反応するの?
いえ違うわ、やはりお香のせいよ。そうでなければ……でも、確かに効き目は切れ掛かっているようにも感じる……
エリーヌの思考は乱れ、出口のない迷路へと迷い込んでいく。




「どうです。そろそろ、正直になられては如何ですかな?」
ランベールは再びエリーヌの傍に近づくと、自身の肉棒を彼女の鼻先で、見せ付けるように振り立てる。
鈴口から先走り汁が溢れ、ポトリとエリーヌの唇へと落ちていった。
「ああ〜、も、もう……はうぅぅぅぅ!!」

突然、性感が高まった。身内から湧き上がる信じられないほどの官能の波。
下半身の疼きは最高潮に達し、いやらしい蜜が女の部分からこれでもか、というほどに溢れかえっていく。
眼鏡の奥には、普段の涼しげな瞳はもう存在しない。淫欲に冒されたそれは焦点が定まらないかのように、宙を彷徨っている。

「どうやら、最終段階に入ったようだな」
「ええ」
すでにそんな男たちの声も聞こえない。
ああ、なんとかして……
目を泳がせ、この高ぶった官能を鎮めてくれる相手を探す。

ああ、いた……目の前に──こんな近くに……
自分を淫猥な目つきで見つめる男。忌み嫌うあの男が……醜悪で不潔なイチモツを振り立てているではないか。

「オチ○チン──」
エリーヌはまったく無意識の内にそう口走った。唇に落ちたランベールの先走り汁をぺろりと舐め、ハァハァと荒い息を吐くのだ。
「どうした? エリーヌ。苦しそうだな。なにか欲しいものでもあるのか?」
ランベールは“先生”と呼ばず、“エリーヌ”と呼び捨てる。慇懃だった話し方も命令口調へと変わっていた。



「ほ、欲しいの……オチ○チン……舐めたいの……」
「まったく、礼儀というものを知らん女だな。お願いするならするで、それなりの格好になれ」
「……ああ……どうすれば……」
「やっぱり胸がでかい女は馬鹿だな! まずは着ているものを全部脱げ! 素っ裸になってお願いしてみろ!」

エリーヌは、は、はい、と言ってベッドから身体を起こし、着ているものを脱ぎ始めた。
ほとんど用をなしていなかった白衣を含む上着を脱ぎ去り、下半身を隠していた衣服もすべて脱ぎ、
生まれたままの姿になっていく。
股間にけぶる金色の恥毛は、たっぷりと溢れかえった淫液により、きらきらと濡れ光っている。
男たちはじっくりと、堕ちたインテリ女の裸体を観察しようと、椅子に腰掛けいやらしい視線を投げつけている。

「ほら、ぼーっと突っ立ってても仕方ないぞ。欲しいものがあるならちゃんとお願いしろ!」
「ああ……ください。オチ○チンを……」
かすれた声で言うインテリ女医に、ランベールは怒号を浴びせる。
「それがお願いする態度か!! 土下座だ! 跪け!」
放心状態で跪き土下座をするエリーヌに、レオンは「こら! 黙ってる奴があるか!!」と言いながら
彼女の耳元になにやら囁き掛ける。

「ラ、ランベールさま……どうぞ、このインラン牝豚のエリーヌに、ご立派なおチ○ポを……しゃ、しゃぶらせてくださいませ」
床に額を擦りつけるようにして、屈辱の台詞を吐くエリーヌ。しかし、惨めになればなるほど股間から淫蜜が噴出してくるのだ。

29名無しさん:2006/11/24(金) 15:07:35

「くくく、いいだろう。存分に舐めろ」
ランベールの言葉に嬉々として反り返った怒張へと舌を這わせていくエリーヌ。
ジュボ、ジュボ、といやらしい音を立てながら、喉の奥まで咥え込んでいくのだ。

「はふぅ……美味しいでふぅ……」
涎を垂らしうっとりした表情で、ランベールの顔を見上げる。そこにはいつもの理知的な美人女医の姿は微塵も感じられなかった。
「下の口にも入れて欲しいか?」
そんなランベールの問いに、エリーヌは目元を潤ませ「は、はい……」と頷く。
「では、その前にひとつ聞いておこう」ランベールは言った。「お前の主は誰だ?」

それは、昨夜アネットがレオンに対して問いかけたものと同じだった。
エリーヌは呆けた顔をしながらその問いに答える。
「わたしのご主人様はランベールさま……です」
「ほう、そうか……」
満足そうに頷きながら、畳み掛けるように問いかけていく。
「ライネスは? オーディリアは? アイリーンは?」
昨夜のレオンと同じように、「わかりません」と答える美貌の女医に、「やつらは悪魔だ」と偽りの記憶を植え付けていく。

「エリーヌ。お前はこのウェルスを支配している悪魔を、我々と共に退治するのだ。できるな!?」
「はあ〜ん……ラ、ランベールさまの仰せのままに……」
「よし! では褒美をとらそう。四つん這いになって尻をこっちに向けろ!」
ランベールの言葉に、蕩けるような恍惚の表情をしながら四つん這いになるエリーヌ。
いやらしく尻を振り立て、媚びるような台詞を吐くのだ。

「ラ、ランベールさま……くださいませ……いやらしいマゾ牝エリーヌのオマ○コに、お情けを……」
「ぐふふふふ……」
白磁のようなエリーヌの尻を掴むと、ランベールはいきりたった肉の凶器を、ぬらつく淫穴へと突き入れていった。


「はふぅ……あ、あ〜ん」
挿入されたと同時に甘い吐息を吐くエリーヌ。口は半開きになり、だらだらと涎をたらしている。
「お、大きいですぅ……たまんない……」
「くくく、お前のマ○コもなかなか良い締りだ。具合がいいぞ」
「あン……う、うれしい……あ、ありがとうございますぅぅぅ」
エリーヌは喜悦の声を発しながら、くねくねと腰をくねらせる。負けじとランベールの方も、ピストンを開始した。

「はあン、ああン……す、すごい……はふああふあああぁん」
ランベールの律動に合わせるように、腰を動かしブロンドを振り立てながら喘ぐ。
「すごい乱れようだな、エリーヌ」
そう言ってレオンが近づいてくる。
「偉そうに言っていたが、やはりお前はチ○ポ好きの変態だな。どうだ、そう認めるか?」
「はひ、み、認めますぅ……エリーヌはチ○ポが大好きで、淫乱で変態のマゾですぅぅ」

「ふふふ、ようやく認めましたよ、公爵さま」
「では、これからも、私のチ○ポが欲しいか?」
「はい……欲しいです。も、もうエリーヌはこれ無しでは生きていけません……はあン、も、もうだめぇ」
「ふふふ、もうイキそうなのか? まったくいやらしい牝豚だ。いいか、イクときはちゃんと“イク”と言うんだぞ」
ランベールはそう言うと、さらに律動を激しくしていく。

「ひぃい、も、もうだめぇ……イク……イキますぅうう」
エリーヌは嬌声を発すると、ガクガクと身体を痙攣させながら果てていった。


「ほら! こっちはまだまだイッてないぞ。しっかりしろ!!」
ランベールは、ペシィィとばかりぐったりしたエリーヌの尻たぶを叩く。
「ほら、口元がお留守のようだ。レオン、この女の口を使え」

ランベールに促され、レオンは勃起した怒張を取り出す。ランベールほどではないにしろ、レオンのそれも標準以上の大きさである。
エリーヌは、目の前に現れたもう一本のごちそうへ、恍惚の表情を浮かべながら舌を伸ばしていった。
「ほんとにお前はチ○ポ好きだな。今度は犬とでも交わらせてやろうか?」
そんなレオンの言葉も耳に入らないかのように、一心不乱にジュボ、ジュボといやらしい音を立てながら、しゃぶりついている。

「ふふふ、ところでレオン。アイリーンの方はどうなっている」
エリーヌの尻に腰を打ちつけながら、ランベールはそう問いかける。
「ええ、抜かりはありません。例の物も今夜か遅くとも明日の夜には手に入れてくるはずです」
「そうか、では遅くとも明後日には……」
「本丸の攻略ですよ」

ふたりはエリーヌを間に挟み、にやりと笑みを浮かべる。
「よし! 今夜は前祝だ。エリーヌ、一晩中可愛がってやるぞ!!」
ランベールの言葉を聞き、エリーヌは蕩けきった笑みを見せるのだった。

30名無しさん:2006/11/28(火) 20:30:11
15

翌朝、レオンは眠い目をこすりながら、アイリーンの部屋へと向かった。午前中の授業のためである。
結局あれからランベールとふたりして、明け方近くまでエリーヌを徹底的に犯しぬいた。
特にランベールの精力は尋常ではなく、おそらく十数回はエリーヌの膣内へ放出したはずである。
負けじとレオンも励んではみたものの、結局は五発目を発射したところでダウンしてしまった。

エリーヌは数十回はイカされまくり、足腰が立たない状況で、ランベールにスペルマだけでなく小便まで身体中に浴びせられ、
その度にうっとりした表情をし、もっと穢して……エリーヌを汚して下さい、と懇願までする始末だった。
ここまで堕ちるものなのか、と思うほどの堕落っぷりに、彼女を罠に嵌めた張本人ともいうべき、レオンも苦笑するしかなかった。

今日の計略のため一足先に部屋を出てきたレオンだったが、おそらく淫臭と小便臭いあの豚小屋のような寝室で、
ふたりは眠っているのだろう。いや、もしかするとあの性豪のランベールのことである、今頃は目が覚めて、
起き抜けの一発とばかりにエリーヌの中に吐き出しているかもしれない。

(まあ、こっちはこっちでやることはしておかねばな……)
とにかく本丸攻略の成否は、アイリーンが昨夜例のものを手に入れたかどうかに掛かっている。
言ってみれば、それさえ手に入れることができれば、オーディリア攻略は90%以上完了したといってもいいだろう。
(さてさて、首尾はどんなものかな?)
レオンはアイリーンの部屋の前に立つと、努めて明るく「おはようございます」と言ってドアを開けた。

======

「レオン……」
部屋に入るなりそう言ってアイリーンが抱きついてきた。
女としては長身な彼女だが、レオンよりは十センチ近く低い。細い腕を彼の背中に回し、厚い胸板へ顔を埋める。
「おやおや、どうされました。姫様」
優しく呟き抱き返すと、王女は埋めた顔を上げレオンを見つめた。

「そんな他人行儀な言い方はやめて。もうわたしたち婚約してるみたいなものなんだから……ふたちっきりのときは……」
レオンは微笑むとそうだったね、と言って彼女を更に強く抱きしめた。
「じゃあ、言い直すよ。アイリーン、どうしたんだい?」
「会いたかった……」
「ははは、昨日から一日も経っていないよ」
「だっあってぇ〜」

甘えた声を出し、上目使いでレオンを見るアイリーン。瞳は潤み頬をポワァっと上気したようにピンク色に染めている。
そんな彼女の耳元へ口を近づけ、息を吹きかけるようにレオンは囁く。
「昨日の続きをして欲しいのかい?」
ピンクに染まった頬を尚も真っ赤にしてアイリーンは恥ずかしそうにコクリと首を縦に振った。

****

それは昨日の午後の授業のときだった。
午前中にオーディリアにアイリーンとの結婚を了承した旨を伝えたことを、彼女は昼食時にでも聞いたのだろう。
明らかに午前中とはレオンへの対応が変わっていた。顔を見るなり頬を朱に染め、もじもじしながら視線を外す。
普段なら、
「レオン、この問題がわからないの」「家庭教師なんだから、もっとわかりやすく教えてよ」
と命令口調で話す彼女が、ほとんどしゃべらず黙々と問題を解いている。

彼は内心ほくそえみながら、平常と変わらぬ態度で授業をしていた。
ただ、普段と違っていたのは、必要以上に彼女の身体に触れたということだろうか。
優しく肩を抱いたり、触れるほど近くに顔を近づけたり──
結婚したい──いや、将来的に結婚することが決まっている、好きな男性に身体に触れられ、
息がかかるほど顔を近づけられて嫌な気がするはずもない。
それどころか、身体の奥から経験したことのない快美感が、湧き起こってくるのだ。

やがて、どちらからともなく唇を重ね合い始める。それはしごく当然の成り行きだった。
初めてのキス──アイリーンにとってのファーストキスだった。
口腔を舐めまわし、舌を絡ませるというようなディープキスではない。ごく浅い、唇が触れる程度の可愛らしいものだった。
だが、アイリーンはそれだけで、今まで感じたことの無い快感を得た。下半身からジュンと熱いものが湧き出すのを感じたのだ。

レオンの授業中、アイリーンの部屋へはよほどのことが無い限り誰も入室できない。
それは授業に集中したいというアイリーンの希望だった。
むろん、レオンとのふたりっきりの時間を誰にも邪魔されたくない、というのが本当のところだったのだが。
その上今日に関しては、レオンがあらかじめドアの鍵を閉めていた。誰かが急に部屋に入ってくる恐れは万にひとつも無かったのである。

31名無しさん:2006/11/28(火) 20:30:45
レオンは一度唇を離し、アイリーンの顔を見つめると、再び唇を重ねた。
今度は先ほどとは違い、もっと濃厚なものだった。舌を入れるということはなかったが、触れるという程度のものでもなかった。

彼はキスをしたままアイリーンを抱きかかえ、机からベッドへと移動した。
永遠とも思える長いキスを受け、アイリーンは「ふう〜ん」と甘い吐息を洩らした。
やがて、レオンの手が彼女の胸へと伸びてくる。
優しくゆっくりと揉みほぐされるうち、アイリーンは桃源郷を彷徨っているかのような錯覚におちいった。
愛しい男性から受ける情熱的な口づけ、身も心も蕩けてしまいそうな優しい愛撫。
初心な彼女の官能を燃え上がらせるには十分すぎるほどだった。

レオンはここで胸への愛撫をやめ、ズボンのポケットから小瓶を取り出した。
蓋を開けジェル状のそれを指に取ると、アイリーンのドレスの裾から手を入れ、彼女の股間へと塗りたくった。

「あン……」
アイリーンが可愛らしく鼻を鳴らす。それはいわゆる媚薬だった。淫邪香のような強力なものではないが、十分な効果を示した。
蜜壷からは大量の愛液が溢れ返り、堪えられないほどのむず痒さが、彼女の下半身を襲う。

初めて経験するおぞましいほどの快感に、アイリーンは恐れおののき、レオンに救いを求めるように哀願する。
「レオン……おかしい……あたし、おかしい……」
「どうしたの?」
「わかんない……でも、おかしいの……怖いの……」
レオンはぎゅっと彼女を抱きしめ囁く。
「大丈夫、僕がついているよ。どこがおかしいんだい?」
「こ、ここが……ここが……」
そう言ってアイリーンは自分の股間へ手を当てる。すでにそこはドレスの上からでもわかるほどの濡れそぼりようだった。

「ここかい……?」
レオンは再びドレスの裾から手を差し入れ、少女の女の部分をまさぐる。
「そこ……そこなの……」
「凄い濡れようだよ、大洪水だ。アイリーンはいやらしい娘だったんだね」
「……そ、そんな……」

「なんとかして欲しいかい?」
「う、うん……」
レオンはニヤリと笑うと、彼女の耳元でこう囁いた。
「じゃあ、こう言ってごらん。『レオンさま。アイリーンのオマ○コをぐちゃぐちゃに掻き回して』って」
「……そんな……そんなこと……恥ずかし……ああ〜ン」
堪えられない痛痒感にアイリーンは喘ぎ、悲しげにレオンを見つめる。
「い、いじわるしないで……お願い……」
しかし、レオンはいじわるそうな顔をして、「じゃあ、言ってごらん」と言う。
さすがに耐えられなったアイリーンは、ついにその台詞を口にした。

「レ、レオンさま……お願いです。アイリーンのオマ○コをぐちゃぐちゃに掻き回してぇぇぇぇ!!」
狂ったように叫ぶ清純な王女を満足そうに見つめ、レオンは彼女の膣穴へと指を突き入れ、掻き回すように刺激を与えたのだ。

****

「そんなに気持ちよかったのかい?」
レオンのそんないやらしい言葉に、恥ずかしそうにしながらもコクンと頷くアイリーン。
そして、再びレオンの胸へ顔を埋めていく。もう耳朶まで真っ赤だった。
結局挿入までは至らなかったが──というより無理に挿入までしなかったのだが──指だけで三回も気をやったのである。
しかも、最後は潮を吹くというおまけ付きで……

(まるでサカリのついた牝猿だな……)
レオンは心の中でそう呟いた。
もしこのとき、アイリーンが埋めた顔を上げレオンを見たなら、その醜悪な表情に悲鳴を上げたに違いない。
それほど悪魔的な顔だったのだ。

「じゃあ、約束どおりシテあげるよ。でも、アイリーンも約束は守ってくれたかな?」
アイリーンはうん、と言ってレオンから離れると、机の引き出しから“ソレ”を取り出し彼へと手渡した。
「ああ、これだよ。ありがとう──」
それは五本の腕輪だった。そう、オーディリアが右腕に嵌めているあの腕輪だ。
「レプリカは置いてきてくれた?」

「え、ええ……でもそれお母様の大事なものらしいから、すぐに返して欲しいんだけど……」
「あたりまえさ、今日中に返すよ。今夜僕の部屋に忍んで来れるかい? そのときに。もちろん──」
と言いながら、アイリーンの耳元へ口を近づける。
「いやらしいアイリーンにいっぱいエッチなこともしてあげるよ」

アイリーンはばかぁ、と言いながらレオンに抱きつく。そんな彼女のブロンドを撫で上げながらレオンは言うのだ。
「じゃあ、とりあえず今から昨日よりもっと刺激的なことをしてあげるよ。ドレスを脱いでごらん」

可憐な王女はまるで催眠術にでもかかったように、ドレスを脱ぎ始めるのだった。

32名無しさん:2006/12/01(金) 20:20:07
16

「──それで、婚約の発表をいつにしようかと考えているのですが……」
オーディリアは愛する夫のベッドの傍らに座りそう尋ねた。
「そうだな、できるだけ早い方がいいだろう」
ライネスはベッドの上で身を起こし、にこやかに微笑みながら返した。

「でも、あなた──陛下がその場に同席していただかないと……」
王国内ではすでにライネスの回復が順調で、半年後には公務に復帰できる、という情報は流れていた。
それだけに、次期女王アイリーンの婚約発表の場に王が同席することは、国民たちとしても二重の喜びであるし、
逆にライネスが顔を見せないとなると、せっかくのめでたい席の喜びも半減というものである。

「うむ、確かにそうかもしれないな……公務は無理でも、それくらくいなら半年も待たずとも出席できるだろう。
エリーヌ先生に一度尋ねてみるか」
エリーヌの名が出たことで思い出したのか、オーディリアは、そういえば……、と言って口を開いた。

「今日は結局午前中は回診にお越しにならなかったようですね」
「ああ、しかし、先生もお忙しい身だ。急患が出来たのかもしれないしな」
そうだろうか? 確かに過去数度だけだが急患のため来れなかったことはあったが、必ず連絡があった。
すでに昼もすぎ、普段なら午後の回診時間である。未だになんの連絡もないというのは解せない。

(なにもなければいいのだけど……)
オーディリアはエリーヌの身を案じながらも、そうですね、と夫の言葉に頷いた。
「まあ、私もずいぶん回復してきたから、毎日来なくてもいいと思われたのかもしれない。実際、今日は特に調子がいいんだ」
「よかった……」


少し涙目になるオーディリアの手に自分の手を重ね、
「慣れない政も完璧にこなしてくれて、オーディリアには本当に感謝している。言葉では言い尽くせないほどに……」
「あなた……」
ふたりは見つめあうと、唇を合わせていく。ライネスが病に倒れて以来、初めての口付けであった。

「こうして元気になってくるとお前を久しぶりに抱きたくて仕方がないよ」
ライネスはそう言うと、オーディリアの手を取り、自分の股間へと導いた。
「いやだわ……あなたったら……」
頬を朱に染め恥ずかしそうにしながらも、硬くなっている夫のモノを愛しげに撫でさする。
「……お身体にさわるといけませんから、今日のところはお口でシテさしあげますわ」

オーデイリアは、ライネスの穿いているパジャマのズボンを下着ごと脱がせ、勃起したそれをうっとりとした表情で見つめた。
彼のモノははっきり言って大きくはない。標準よりも小さいといっていいだろう。
勃起しても亀頭部分は皮につつまれ完全には露出していない。
しかし、夫以外の男性性器を見たことのない彼女にとってはこの大きさが普通だった。

実に二年間性的行為をしていなかったオーディリアだったが、その間特に不満になるということはなかった。
元来、セックスに関しては淡白な方だったし、我を忘れてそういった行為にのめり込むということもない。
愛を確かめ合うという意味で肌を重ねてはいたが、痺れるような快感といったものを得たことはなく、
冷めていたというと語弊があるが、常に冷静であったことは確かであった。

しかし、いまこうして愛する夫のモノを間近で見ると、身体の奥が疼いているのがわかる。
オーディリアは口を開き、それを咥えようと顔を近づけていった。

とそのとき、トントンとドアがノックされ、「遅くなりました、回診に参りました」というエリーヌの声が聞こえた。

33名無しさん:2006/12/01(金) 20:21:21
=====

ドアを開けた瞬間、エリーヌの目に飛び込んできたのは、ライネスの股間のあたりから顔を遠ざけるオーディリアの姿と、
下半身に布団を被せるライネスの姿だった。
(あらあら、わたしがいないと思って、エッチなことしてたのかしら? 少し来るのが早かったみたいね)
エリーヌはふたりにわからない程度の笑みを一瞬浮かべたが、何食わぬ顔をして近づいていった。

「遅くなりまして申し訳ありません。昨夜徹夜で調べ物をしていたもので、朝方寝入ってしまったようです。
気が付くと昼前で、連絡もできませんでした」
無論、これは嘘なわけで、実際は昼前までランベールに突かれまくっていたというのが真相だ。
ようやく開放された後、豚小屋のような異臭を放つレオンの寝室を綺麗に掃除させられ、
シャワーで小便とスペルマを浴びせられた身体を洗い、なんとかこうして回診にやってきたのである。

「あ、せ、先生……ご連絡がなかったので心配してました……」
焦った様子で話すオーディリアに、エリーヌは微笑みながら答えた。
「ご心配かけて申し訳ありませんでした。それに──なにかご夫婦で大事なお話があったのでは?」

えっ……というような顔をして王と王妃はバツが悪そうに顔を見合わせる。
「ああ、あの……昨日お話したアイリーンとレオンの婚約発表のことを話していてね……大丈夫、もう済んだから」
「そうですか」
「では、陛下、わたくしはこれで……」
エリーヌに見られたかも、ということから、オーディリアは早くこの場を逃げ出したいようだ。

エリーヌとしては願ったりだった。とにかく、計画を実行するにはライネスとふたりっきりの方がなにかとやりやすい。
彼女はオーディリアが退出したのを見届けると、ライネスの方に顔を向けた。
「お加減はいかがですか?」
「ああ、今日は特に調子がいいようです。それで先ほども話をしていたのですが、婚約発表の場に出席するのはいつ頃なら大丈夫でしょうね?」

ライネスの問いにエリーヌは「そのことなんですが……」と前置きして続けた。
「実は昨夜徹夜したのもその婚約のことを伺ったからなんです」
そう言ってカバンの中から小瓶を取り出す。
「少し強いお薬なんですが、回復が早まるようにと思いまして……」
差し出された小瓶を受け取ると、ライネスは「では、公務への復帰も早まるということですか?」と聞いた。

34名無しさん:2006/12/01(金) 20:21:53
「そうですね。うまくいけば三ヶ月で復帰できるかと……」
半年と言われていた復帰の時期が、三ヶ月も縮まりライネスはうれしそうに答えた。
「わかりました。では今日からこの薬に変えます。ありがとうございます」
返事を聞きエリーヌはうまくいったと笑みを浮かべる。そして、「ところで──」と言ってライネスの顔をじっと見つめた。
「お身体が回復すると、こちらも元気になってきているのではありませんか?」
そう言って布団の中に手を伸ばし、彼の股間を探り始めた。

「あっ! せ、先生……なにを……」
「あら、やっぱり……」
エリーヌはライネスの下半身がむき出しになっていることを確認し、そう言ってにやりと笑った。
「オーディリア陛下に性処理をしていただいていたのですね。お邪魔してしまったようですいません」

図星をさされた格好の王は「いや……これは……」と口ごもる。イチモツを丸出しにしている状況を、
うまく説明する言い訳など思いつくはずもなかった。
「いいんですよ。男性ですから性処理も必要です。今まで気が付かなかったわたしも悪いんです」
エリーヌは、すでに半勃起ち状態になっているライネスのモノを弄びながら言った。
結局オーディリアの口唇奉仕を受けられず、溜まったままだった彼のソレは、見る見る硬くなっていくのだった。

(まあ! ちっちゃいオチ○チンだこと……まさか、これで完全に勃起してるんじゃないでしょうね。
これならランベールさまの普通の状態のときの方がよほど大きいわ)
エリーヌは湧き起こってくる、嘲笑ともとれる笑みを噛み殺しながら刺激を与え続けた。
「せ、先生……待ってください……このままでは……」
このままでは射精してしまうと、焦るライネスだったが、美貌の女医はかまわず扱きたてるのだ。



「陛下、こうしたことも健康管理には必要なことですわ。医者のわたしにお任せください」
言うとエリーヌはその色っぽい口を開き、王の勃起したイチモツを咥え込んでいった。
その瞬間──
ううっ……とうめき声をあげ、ライネスはエリーヌの口腔へと白濁を放出した。

さすがにここまで早く射精に至るとは思っていなかったエリーヌは、少しびっくりした表情をしたが、
吐き出された王のザーメンをごくり嚥下していった。
「たくさん出ましたわね」
「も、申し訳ない……溜まっていたようで……」
量が多かったことを謝っているのか、口内に射精してしまったことを謝っているのか、それともあまりにも早かったことの言い訳なのか、
まるで十代の若者のように恥ずかしそうに答えるのだった。

「いえいえ、これからも溜まられたらわたしに言ってください。医者としてきちんと処理させていただきますわ」
(それにしても短小、包茎その上早漏なんて最悪のオチ○チンね……こっちが欲求不満になっちゃったわ。
早くランベールさまにお情けをいただかないと)
つい数時間前まで腰が抜けるほど突かれていたというのに、早くも身体が疼いている。
聡明な女医はたった一晩で、ニンフォマニアへの道を転がり落ちていた。

「では、今までのお薬は廃棄しておきます。新しいお薬も同じように飲んでくださいね」
総身の疼きを押さえつつ、エリーヌはそう言い残して部屋を出ると、愛しい“ご主人さま”の元へ急いだ。

35名無しさん:2006/12/05(火) 21:44:28
17

深夜の王宮をそろりそろりと歩く女の姿があった。音をたてないように慎重に歩みを進めている。
窓から差し込む月明かりに照らし出されたその顔──王女アイリーンであった。

彼女は今、自室を抜け出しレオンの部屋へと向かっている。
目的は今朝渡したオーディリアの腕輪を返してもらうため……というのは二次的な目的でしかない。

──レオンに抱いてもらう。

それが一番の目的だった。

(今夜はどんなことをしてくれるんだろう……?)
昨日は女のあの部分を撫でさすられ、意識が飛んでしまうほどの快感を得た。三回も……
今朝はお互い裸になって抱き合い、身体中を愛撫された。
乳房と乳首を徹底的に弄ばれ、さらにはあの部分をレオンに舐めしゃぶられた。
昨日以上の快感で、何度意識が飛んだかわからないほどだった。

午後は──
思い出すだけでも赤面してしまう。あんな大胆なことがわたしにできるなんて思ってもいなかった。
レオンに言われ、彼の大きくなったモノを口に含んだのだ。
舌を使って、と指示され、どうしていいかわからなかったが、懸命に舐め上げた。
最初こそ戸惑っていたアイリーンだったが、舐めているうちにだんだんと気持ちがよくなっていった。
レオンの、「いいよ、気持ちいい……」と言う言葉を聞き、ああ、わたしが舐めることで感じてくれているんだと思い、
彼のモノが愛おしく余計に官能が高ぶったというのもあった。


(でも、一番恥ずかしかったのは……)
レオンに夫婦になる以上、隠し事はいけないよね、と言われ、彼の目の前で放尿をしたことだった。
彼はアイリーンに目の前におまるを差し出し、「この中に出して」と言った。
さすがに驚き、拒絶しようとした彼女だったが、「アイリーンのすべてが見たいんだ」という彼の言葉に静かに頷き、
おまるにしゃがみこみ放尿したのである。
恥ずかしくて死にそうだったが、同時に今まで感じたことのない妖しい快感が全身を襲ったのも事実だった。

午後の授業が終わり帰ろうとするレオンは、ドアの前で振り返るとアイリーンにこう言って出て行った。
「今夜はもっとすごいことをしてあげるよ。楽しみにしておいてね」
ただし、誰にも見つかっちゃ駄目だよ、と。

それからアイリーンはみんなが寝静まるこの刻まで、悶々とした時間を過ごしていたのだ。
十六歳になって初めて知った性の快感は、清純な王女をわずかな時間で快楽に抗うことの出来ない
下僕へと変容させてしまった。


ようやくレオンの部屋の前まで来た。なんとか見回りの兵たちにも見つからなかったようだ。
すでに彼女の股間は熱い疼きを覚え、期待と不安で顔はピンクに上気している。
ふうっ、とひとつ大きく呼吸をすると、アイリーンはレオンの部屋のドアノブに手を掛けた。

ドアが開く。明かりが点いていない。まさかもう眠ってしまったのか?
「レオン……」
中へ入り小声で愛しい男の名前を囁く。

ガチャ……

静かにドアが閉まった。
えっ!? 誰かがドアを閉めた? レオン?

ドガッ!! 
「うっ!……」

その瞬間──気が遠くなった。後頭部をなにかで殴りつけられたのだ。

(だ……誰……?)
自分を殴りつけた者の顔を見ようと振り向こうとするアイリーン。
だが──そこで彼女の意識は途絶えた……







36名無しさん:2006/12/05(火) 21:45:00


翌朝──
オーディリアは自室の窓から、清々しいばかりに晴れ渡った空を見上げ深呼吸をした。
近来まれに見る晴天である。彼女の心の中もこの空と同じように晴れ渡っていた。
(このところいいことばかり続くわね。アイリーンの婚姻も決まったし、陛下の回復も早まりそうだし……
あとはダスミアさえなんとかなれば……)
オーディリアは今日もいいことがありますようにと、空に向かって神に祈りを捧げた。

だが、好事魔多し。
すでに暗躍する悪魔たちが、外堀どころか内堀さえ埋め尽くし、いよいよ本丸である彼女自身に、
その魔の手を伸ばそうとしているということなぞ、神ならぬ身のオーディリアが知るはずもなかった。



「オーディリアさま!」
そう言ってレオンがノックもせず飛び込んできた。顔面は蒼白で頬は引きつっている。
小脇になにやら包みを抱え、額に汗をかいている。かなり慌てて走ってきたのだろう、ハアハアと肩で息をしていた。
いつも冷静沈着なレオンのあまりの慌てぶりに、オーディリアはもちろんその場にいる侍女たちも、
びっくりした表情をして彼を見つめた。

「どうしたの? 落ち着いて! いったいなにがあったの?」
とりあえず落ち着かせようと、できるだけ冷静に話しかける。
レオンはハッと我に返ったように、心配そうに見つめる王妃に返事を返した。
「す、すいません……少し取り乱してしまいました……もう大丈夫です」
気を利かした侍女のひとりが、どうぞと言ってレオンに水を差し出す。

水を飲み少し落ち着いたレオンに、オーディリアは尋ねた。
「いつものレオンらしくありませんね。どうしたのです?」
「実は……」と周りを見渡し言った。「申し訳ありませんが、お人払いを……」
オーディリアは部屋にいた侍女たちを退出させると、さあ、なにがあったの? と再度尋ねた。

「はい……実はアイリーンさまが……」
「えっ?」
レオンは王妃の前に一通の手紙を差し出す。なんの変哲もないどこにでもあるような封筒だ。
宛名には【オーディリア陛下へ】とだけ書かれており、他には差出人もなにも書かれていなかった。
封が開けられているということは、先にレオンが中身を見たのであろう。

「陛下宛の手紙でしたが、先に開けて見てしまいました。申し訳ありません」
「いえ、それはいいのです。でも、いったいなにが書かれているのですか?」
「……午前の授業のためアイリーンさまのお部屋に行ったところ、中にお姿がなく代わりにこの手紙とこの包みが……」
レオンは小脇に抱えていた包みを傍にあった机の上に置いた。どうやらこれも手紙の差出人の置き土産のようだ。
それにしても娘の姿が見えないとはどういうことなのだろうか?

オーディリアは封筒から手紙を取り出し、中身を読み始めた。
「……なっ……そんな……」オーディリアは思わず絶句した。「ゆ、誘拐……」
手紙にはこう書かれていた。


親愛なるオーディリア陛下、ご機嫌麗しくお喜び申し上げます。
さて、この度アイリーン殿下を我が手中におさめましたことをご報告させていただきます。
俗な言葉ではいわゆる“誘拐”と申すものです。
とはいえ、別に金品をいただこうというような下衆な考えはございません、ご安心を。
もちろん、アイリーン殿下のお命も“今のところは”無事でございます。
目的はひとつオーディリア陛下あなたです。

今宵旧迎賓館にて舞踏の宴を催させていただきます。是非ご出席賜りたく存じます。
アイリーン殿下もそのときお返しいたしましょう。
ご招待券も同封しておきました。もちろん舞踏会でございますから、おひとりで、などという不粋なことは申しません。
パートナーをおひとりお連れくださっても結構ですよ。

むろんこのことはパートナー以外には他言無用でお願いいたします。
アイリーン殿下のお命は私が握っておりますことを、ゆめゆめお忘れなきように。
それと包みは私からのプレゼントです。舞踏会には是非それを着けてお越しになられますように。

では、今宵の楽しい宴を心待ちにしております。


慇懃無礼ともとれる文章である。
目的はオーディリアである、と書かれているところから見て、犯人はおそらくダスミアの手の者に違いない。
しかし、警戒厳重な王宮内でどうやって人ひとりさらったというのだろうか? しかも、王女なのである。

そんなことを考えながら、ふと手紙の最後に書かれている差出人の名を見る。
「こ、これは……」
そこにはこう書かれていた。

“戦乱と情欲を支配するモノ”と──

37名無しさん:2006/12/06(水) 21:14:49
18

そんなはずはない! そんな馬鹿なことは……
オーディリアはその忌まわしい悪魔の名を懸命に否定しようとした。
確かにこの王宮から王女であるアイリーンを連れ去るなど、人間業とは思えない話である。
しかし、奴は……あの忌まわしい悪魔は二十年前に自分たちが倒した──いや、正確には倒したわけではない。
あまりの強大な力の前に、さしものオーディリアたちも完全に息の根を止められず、五人の力を合わせ
なんとか封印をしたのだ。
とは言え二十年やそこらで解ける封印ではない。何らかの外的要因がなければそう易々と破ることはできない
強力なものだ。

第一封印した場所は、セリスが大司教を務めるアルミエル大教会の地下深くで、仮に何らかの
不測の事態が起こったとすれば、セリスが真っ先に自分たちに知らせるはずである。
先般ライネスを見舞いに来たときも、そのような話は一切なかったし、もしそれ以後何かがあったとしても、
現時点で何の連絡もないはずがない。
おそらく自分の動揺を誘うために、差出人にそんな名を用いたのだろう。

「とにかく」とオーディリアは言った。「この卑劣な奴の言うとおり、今夜の舞踏会とやらには行かないといけないでしょうね」
レオンははい、と言って頷き、真剣な眼差しで王妃を見つめた。
「パートナーとして私も連れて行って頂けますか?」
「そうね……」
敵がどんな奴なのかわからない以上、かなり危険であるのは間違いない。
彼をそんな場所に連れていくのは忍びない。だが、レオンの知略が必要であることも否めなかった。




「わかったわ……行きましょう」
「では、私はもう一度アイリーンさまのお部屋を調べて参ります。もしかすると何か犯人を特定できるものが
あるかもしれませんし」
「お願いするわ」
レオンはでは、と言ってその場を離れた。


ひとりになったオーディリアは、倒れこむように椅子に座り、ふうっと深いため息を吐いた。
「まさか、アイリーンが狙われるなんて……迂闊だったわ」
自分の身辺には嫌と言うほど気を使ってきたが、まさか娘を狙われるとは思ってもいなかった。
だが、よく考えれば直接自分に手を出すより、アイリーンを人質に捕った方が手っ取り早いのは確かである。
もちろんアイリーンの身辺にも注意は払っていたが、城内から連れ去られるなどということは、想定の外の話だった。

考え込むオーディリアだったが、ふと机の上に置かれた包みに目が行く。
(そう言えば、この包みの中のものを身に着けて来いと書いてあったわね)
いったい何を着て来いと言っているのだろう? そう思いながらオーディリアは包みを広げた。

「 何? これ……」
それは金属で出来ていた。どおりで妙に重いと思ったのだ。
しかし、これは何だ? どうやってこんなものを身に着けて行けというのだろうか。
オーディリアが思案していると、ふとこの形状に似たものを思い出した。
「貞操帯……?」

確かにそれに似ていた。一度だけ博物館のようなところで見たことがある。
戦場に赴く兵士が自分の妻にこれを着けさせ、浮気を予防するためのものだと聞いた。
実際これが、本当に貞操帯なのかどうかはわからないが、形状は確かにそうだ。
鍵はないが、鍵穴らしきものは付いている。
もしこれが鍵穴だとすれば、鍵がない以上一度着けてしまうと外すことができなくなるわけだ。
もちろん最悪鍵がなくても破壊することはできるだろうが、さすがに試しに今すぐ装着しようとは思わなかった。
包みにはその貞操帯のようなものの他に、手紙も添えられてあった。



親愛なるオーディリア陛下、プレゼントはお気に召されましたでしょうか?
これは陛下の股間をお守りするものです。
下着は一切着けず、“必ず直接素肌の上から”お着けくださいますよう。
お約束いたしましたぞ。

やはり想像どおり、下半身に装着するもので間違いなさそうだ。
どんな敵が待ち受けるのか……だが、アイリーンは必ず救わねばならない。
「大丈夫。必ず助けるわ……精霊たち、お願いよ」
オーディリアはそう呟いて、右手首に嵌めた五本の腕輪を見つめた。

38名無しさん:2006/12/06(水) 21:16:05

=====

旧迎賓館は五百年以上の歴史を持つ由緒ある建物である。
かつては他国の要人が宿泊したり、貴族たちの舞踏会などが催されたりしていた。
しかし、さすがに老朽化が進み、新たな迎賓館が建てられた。
一時は取り壊しも検討されたが、歴史ある建物を取り壊すのは忍びないと、歴史的文化財として、
残されることになったのだ。

その地下。松明の明かりが揺らめくその場所にランベールたちはいた。
ランベールとアネットのふたりは下半身を丸出しにして、ソファのようなふかふかした椅子に浅く腰掛けている。
両者の股間のあたりには、全裸の男女が四つん這いになりながら、舌を突き出し懸命に彼らの秘部を
舐めしゃぶっていた。

男女とはもちろんレオンとエリーヌである。
レオンはアネットの、エリーヌはランエールの、それぞれの股間のモノへ自らの舌を這わせているのだ。



「はふ〜ぅうン……公爵さまぁ〜ん……」
「ハァハァ……アネットさま……アネットさまぁ〜」

「ふふ、いいわよレオン。そのまま続けなさい」
「ほら! エリーヌもっと舌を使わんか!!」
ベチャベチャ、ぐちゅぐちゅ、ジュルジュル……
淫猥な音が響き渡る。ふたりは一心不乱に己の主のモノを舐め、ときおり媚びるような目線で、
ランベールたちを見上げていた。

「しかし、公爵さま──」とアネットは話しかけた。「旧迎賓館の地下にこんな場所があったとは。まったく驚きですわ」
ランベールはふふふ、と笑みをこぼしながら答える。
「ここは謂わばウェルスの闇の歴史跡のようなものでな。ここの存在を知っているのは、おそらくもう私だけだろう」

闇の歴史──まさしくその言葉がここにはふさわしい。
かび臭い石造りの部屋──そこにはどう見ても拷問を行うために使用するとしか思えない器具が
溢れかえっていた。
さらにドアを開けた向こうには、おびただしい数の牢屋が並んでいる。
そう、かつて地下牢だったのだ。
とはいえ、ここは迎賓館だったのである。何故そんなところに牢があるのだろうか?

39名無しさん:2006/12/06(水) 21:16:51
「普通の罪人を放り込む牢じゃない。ここは、魔女を閉じ込めるために造られた地下牢だ」
いわゆる魔女狩りである。
その当時、悪性の流行り病がウェルスを席巻したらしい。国中の人間がバタバタと倒れ、その病は王宮にまで及んだ。
困り果てた当時の王は、教会に救いを求めた。大司教は魔女のしわざであると結論づけ、怪しい女どもを
次々と捕らえ、拷問にかけたそうである。

魔女狩りは平民はもちろん、貴族の女たちにまで及んでいた。
魔女であると教会が認定したものは、たとえそれがどんなに高貴な立場の者であっても例外なく捕らえられたのだ。
そして、想像を絶するほどの拷問にかけられ、かなりの人間が死に到ることとなった。

だが、その中でも美しい女、位の高い女は生き残っていた。
何のことはない、貴族たちや教会の一部の者たちの慰み者としてここで飼われていたのである。
その中には当時の王妃もいた。
若く美しかった王妃は、常日頃から男たちの憧れの的で、中には情欲の対象として見る輩も少なくはなかった。

教会の大司教もまた、そんな不埒な男のひとりだった。
大司教はさまざまに言いつくろい、王妃を取り調べた。証拠を捏造し、ありとあらゆる手管を使い、
美しい憧れの王妃を我がものにしようと企んだのである。
企みはまんまと成功し、王妃を魔女に仕立てあげることができた。自らの手で王妃を拷問し、責めたてたのである。
痛みを伴う拷問だけではない。色責め──性的恥辱を与える拷問は、特に念入りに行ったらしい。


そしてついに美しき王妃は大司教の前に屈し、自ら尻を振りたて彼の肉棒をねだるまでに堕ちたのである。
その後、王妃の身体を飽きるまで弄んだ大司教は、最後には下の者や貴族たちに彼女を下げ渡した。
そして迎賓館の中では、捕えた女たちを弄ぶ教会と貴族たちによる、性の狂宴が夜な夜な催されたという。

もちろん、そんなことは長くは続かない。
心ある貴族の申し立てによって、大司教の悪事は暴かれ、教会は破滅へと追い込まれた。
女を弄んでいた貴族たちも多くは処刑され、その他の者も爵位を剥奪された上で、厳罰に処せられたのである。

そして地下牢は封鎖された。闇の歴史として封印され、ここの存在を知るものは、一部の王族だけとなったのだ。

「ライネスの奴も知らんはずだ」
前王の死去が早すぎたからな、と言いながら、右手でエリーヌのブロンドをかき回す。
「ふふふ、どうだアネット。オーディリアを余のものにするには、最高の舞台だとは思わんか?」
「うふふ、確かに最高にふさわしい場所ですね」

「それにな……」ランベールは少し声をひそめて言った。「ここは、今ライネスが臥しておる部屋と繋がっておるのだ」
ランベールの思惑を感づいたのか、アネットはくくく、と含み笑いをしながら言った。
「公爵さまも良い趣味をしていらっしゃいますわね」
「余のオーディリアを二十年間も、自分のものにしていた罪の深さを思い知らせてやるわ! ワッハッハッハ!!」
「フフフフフフ」


ふたりは散々笑いあった後、自分たちの股間に顔を埋める下僕たちを見下ろした。
「さあ、エリーヌ。そろそろ入れてやろう。四つん這いになって尻をこちらに向けろ!」
「レオンもご褒美よ。入れさせてあげる。そこへ仰向けになりなさい」
レオンたちは、その言葉を待っていたように身を震わせ、言われたとおりの姿勢をとりご褒美を待つ。

「ああ〜ンンンン……」
「はひぃぃぃぃ」
片方は膣内に片方は男根に、これ以上はないというほどの快感を得、それぞれが腰をくねらせ
いやらしく喘ぎまくるのだ。

(待っておれよ、オーディリア。今にこのエリーヌのように、自分から余のモノをおねだりする女に堕としてくれるわ。
それと……)
ランベールは石壁の方に目を移す。
(お前の娘もな……)

ランベールの視線の先──そこには王女アイリーンが鎖で繋がれ、Ⅹ字型に吊り下げられていた。

40名無しさん:2006/12/17(日) 22:34:35
19

オーディリアとレオンを乗せた馬車は、旧迎賓館へと向かっていた。
城からは目と鼻の先にあるが、さすがに歩いていくわけにもいかない。
こんな夜更けに王妃が着飾って出かけるというのは尋常な話しではないからだ。
誰にも知られずに城を出るのも大変なことだろうと思っていたのだが、そこはレオンがうまくやってくれたようで、
侍女や見回りの兵にも気づかれず、城を抜け出すことができた。
馬車の手配もしてあり、御者にも着飾った女が王妃であることがばれずに乗り込むことができた。
素性がわからないようにとレオンに言われ、前もって仮面を付けていたからだ。

馬車の中でふたりは終始無言だった。これから向かう場所でどんな敵が待っているのかと思うと、
緊張からか口を開くことすらできなかった。
いつになく顔をこわばらせたレオンの表情を見、彼も相当に緊張しているのだとオーディリアは思った。
もちろんその表情とは裏腹に、今夜この美しき王妃が恥辱の限りを尽くされ、堕ちていくさまを想像して
内心ほくそ笑んでいることなど、彼女の知るところではなかった。

そうこうしている内に、馬車は目的地に到着した。
ふたりは馬車を降りると、異様な雰囲気を醸し出している、その建物を見上げた。
旧迎賓館──五階建てのこの建物が使われなくなって、すでに五十年以上が経っている。
三階から上が客室、一階に厨房や少人数が会食したりできる広間が数室ある。
そして、おそらく今夜舞踏会が行われるのは、二階の大広間であろう。
すでにその窓からは煌々と明かりが漏れ出していた。
「行きましょう」
オーディリアはレオンに向けそう言うと、仮面を外し玄関へと向かった。

41名無しさん:2006/12/17(日) 22:35:19
「お待ちしておりました」
豪奢な造りの玄関ドアが開き、中からフォーマルな装いをした黒ずくめの男が現れた。
仮面を被っており顔は判別できない。招待状を、と言われ持っていたそれを差し出す。
「オーディリアさまと……」
「本日のパートナーとしてお供させていただいております。レオンと申します」
黒ずくめの男はレオンの方を一瞥すると、では、どうぞと言ってふたりを招き入れた。

広いエントランスホール──
目の前には二階へつづく豪華な階段がある。天井は二階まで吹き抜けで、そこにはシャンデリアが、
燦然とあたりを照らしていた。

「会場は二階の大広間です。皆様お待ちでございます」
皆様……? オーディリアは男の言葉を聞き、少しいぶかしげな表情を浮かべた。
“皆様”ということは、当然複数の人間がいるということである。それもひとりやふたりということではないのだろう。
実際目の前にいる男も、犯人グループのひとりに違いないわけである。いったいいつの間に、それだけの人間が、
この王国に侵入していたのだろうか? 
いや、犯人はダスミアの手の者と勝手に決め付けていたが、もしかすると王国内の反乱分子が起こした
誘拐劇なのかもしれない……

オーディリアはその可能性も考慮しないといけないと考えつつ、二階への階段へ足を向け歩き始めた。
すると──
「お待ちください」
背中から、先ほどの男が声を掛けてきた。

「何か?」
オーディリアの問いに男は答える。
「主催者様から、お渡ししたものを身に着けていらっしゃるかどうかを、確認しておくよう仰せつかっております。
申し訳ございませんが、検分させていただきます。ドレスの裾を捲っていただけますか?」

「な、何を無礼な!」
レオンが男に食ってかかった。
無論これも打ち合わせどおりの行動なのだが、そんなことは微塵も思っていないオーディリアは、
ここで下手なことをしてアイリーンの身になにかあってはと、レオンの忠義に感謝しつつ彼を諌めた。

「レオン、お待ちなさい。──構いません、どうぞご確認ください」
そう言ってドレスの裾へ手を掛けた。
「オーディリアさま……」
「レオン……あなたは少し目を閉じていてください」
見ず知らずの者に見られるのと違い、顔見知りの異性に、あのような恥辱的なモノを着けた姿を見られるのには
さすがに抵抗があった。しかし──

「いえ、パートナーの方にも確認していただくよう仰せつかっております。レオンさまでしたね、あなたも
よ〜くその目でご覧くださいますよう」
黒ずくめの男はニヤリと笑って言った。
レオンにもオーディリアのその姿を見せ、彼女の恥辱を煽ろうとしていることは容易に想像できた。
だが、逆らうわけにはいかない。
「わ、わかりました……レオン、あなたもよく見てください……」
恥ずかしさに頬を染め、消え入るような声で囁くオーディリア。レオンははい、わかりましたと言って、
黒ずくめの男と共に彼女の前に跪き、下半身を凝視した。

42名無しさん:2006/12/17(日) 22:35:53
ドレスのスカートがゆっくりと持ち上がる。形のよいふくらはぎ、白く艶めかしい太腿が男たちの眼前に露わになっていく。
そして、股間を覆う鉄帯が、その姿を現した。
「こ、これは……」
レオンは今初めてそれを見たかのような白々しい声を発した。

「ああ……」
当然レオンが敵と通じているなどということを、夢想だにもしていないオーディリアは、愛娘の許婚である男に
このような恥かしい姿を晒さなくてはならない自分が情けなくて、この場から逃げ出したい心境だった。
しかし、アイリーンを救うためだと、唇を噛みしめながら辱めに耐えるのだった。

「確かに着けていただいているようですね。ウエスト部分もきっちり固定されているようですが……
ここが少し緩いようですね」
黒ずくめの男は、股当てのところを見ながらそう言った。
確かにその部分は、少し緩めですきまが開いていた。横から覗くと恥毛が見え隠れしている。
つまり完全には女性器に密着していないというわけだ。

「もう少しきつくしましょう。完全に密着していないと、ここをお通ししてはいけないと仰せつかっておしますので」
そう言って男はその鉄帯に手を伸ばした。
股間を覆う部分は金属だが、その上部には丈夫そうな革でできた、ベルトのようなものが付いていた。
それが、ウエストにがっちり喰い込んでいる金属の帯に繋がっている。革の部分を引き絞れば、いくらでも
締め上げることができるというわけである。

男はその革のベルト部分の端を持つと、ぎゅっと引っ張った。
「ひっ……くぅ……」
ひんやりとした金属の股当てが、オーディリアの女の部分に当たる。同時に後ろ側の金属部分も締め上がっていくのだ。

お尻の方の鉄帯は、股当ての部分やウエスト部分よりかなり細く、締め上げられる度に尻の割れ目へと
どんどん喰い込んでいく。
柔らかい当て布のようなものなど一切付いていない金属が、直接敏感な部分に当たり、ぐいぐいと喰い込んでいく感触は、
おぞましさだけでなく激痛をもともなうものだった。

「ふふふ、どうですか? このベルトはこうすればいくらでも締まるんですよ。ただし、鍵を使ってこの物自体を
取り外さねば緩められませんがね……」
そう言いながらも男は尚もぎゅうぎゅうとベルトを締め上げる。
「はうっ……も、もう……これ以上は……」
あまりの痛さに、オーディリアがこれ以上の締め付けを止めようとしたとき、ようやくレオンが言った。
「もう充分だろう。やめろ!」

男は口元に笑みを浮かべたまま、「ふふふ、そうですね。ではこれくらいにしておきましょう」と言って、
ベルトを締め上げるのをやめ、あまった端っこの部分をウエストの鉄帯へと挟み込んだ。
「オーディリアさま、大丈夫ですか?」
心配そうな顔をするレオンに、オーディリアは無理やり笑顔を見せた。
「だ、大丈夫よ」

「ふふふ、では今宵の舞踏会、存分にお楽しみください。ああ、それと会場では主催者さまからのご指示に従っていただきます。
指示があればそちらのパートナーの方にお伝えいたしますので……むろん、従わない場合は……」
もちろん最後まで聞かなくてもわかっている。従わない場合アイリーンの命はない、ということなのだろう。
どこまでも卑劣なやつである。

「わかりましたわ。ではその主催者の方にもお伝え願いますか? 必ずアイリーンは救い出しますと。
そして、わたしを怒らせたことを必ず後悔させてさしあげますとね」
オーディリアは鋭い目を黒ずくめの男に向け、きっぱりと言った。
「ふふふ、よろしいでしょう。必ずお伝えいたしますよ。オーディリアさまもその言葉、舞踏会が終わったあとも
覚えておかれるとよろしいでしょう。くくくく」

オーディリアは男の言葉を聞き流し、レオンの方へ顔を向けると「さあ、行きましょう」と言って二階への階段を上り始める。
足を出す度にあの部分を擦る鉄の股当てのために、ぎこちない足取りになりながらもようやく大広間のドアの前に着いた。

「では……」
レオンがノブへと手を掛けドアを開いていく。
──その扉はオーディリアを待つ恥辱の宴の入り口でもあった。

43名無しさん:2007/01/05(金) 20:32:33
20

扉が開かれた大広間から、盛大な拍手と歓声が沸き起こった。
「こ、これは……?」
オーディリアは驚きのあまりそう呟いた。
そこには国中の貴族たちが集まっているのではないか、と思うほどの人間がいたのである。

「これはこれは……ようやく今夜の主役のご到着だ」
そう言って近づいてきたのは、誰あろうあのランベールだった。
「こ、公爵……」
「オーディリア王妃、今宵はお招きいただきありがとうございます」
お招き……? それはいったいどういうこと……?

「わたくしのような者までお招きいただけるとは、感謝に耐えませんわ」
ランベールの傍らに寄り添うように立ち、話しかけてくる女はなんとエリーヌではないか。
「せ、先生……」
誘拐犯がなんらかの目的で、貴族たちにもこの舞踏会への招待状を送ったのであろうことは、想像に難くない。
それもおそらくオーディリアからの招待という形で、だ。
しかし、それはそうとして、何故エリーヌがランベールと……それも身体を密着させ寄り添うようにして……

「ハハハ、私と先生がこうしているのが不思議というお顔ですな。まあ、ふたりともパートナーがおりませんでしてな。
私の方から今夜のパートナーにとお願いしたのですよ」
「わたしもこのような晴れやかな席は、あまり経験がありませんでしたので、公爵さまに色々と教えていただきました。
ダンスの方も大変お上手で……」
今夜だけのパートナーというならわからないわけではないが、ふたりの様子はパートナーというより、
恋人同士という雰囲気である。──いや、自分のうがった見方なのか?


『弱りましたね……』
レオンが小声でそう囁いた。
『たぶん奴らの狙いは、ここに集まった貴族たちを人質として使うことなのでしょう。
これだけの人間がいては、下手な動きができません』

確かにそのとおりだ。仮にアイリーンを助け出すことができたとしても、これだけの数の人間を
同時に脱出させるのは至難の業である。
『それに……』レオンはさらに続けた。『この貴族たちの中にも犯人の仲間が潜んでいる可能性もあります』
『公爵……とか……?』
『否定はしませんが、確証もありません。例えばエリーヌ先生だって可能性だけならありますよ』
『まさか……』
『オーディリアさま、とにかく今はすべての可能性を考えて、行動した方がよろしいかと思います。
この場にいる者は、私以外はすべて敵ぐらいに思っていて丁度いいくらいです』

まさか、エリーヌが敵に寝返っているというようなことは考えにくかったが、絶対に有り得ないという話でもない。
可能性だけを考えれば有り得る話ではある。
油断禁物──要するにレオンはこういいたかったにちがいない。

『わかったわ、とにかく何があっても油断しないことね』
『そうです。とりあえずこの場は私の指示どおりに行動してください』
オーディリアはレオンの言葉にゆっくりと頷いた。

44名無しさん:2007/01/05(金) 20:33:31
::::::::

(ふふふ、さすがはレオンだな。これでオーディリアは自分の行動を判断しにくくなっただろう)
油断をしない──いうのは簡単だが、実際はなかなか難しい。特に疑心暗鬼を持っていては、冷静な判断はできないだろう。
おそらく行動はすべてレオンの判断に委ねることになるはずだ。
その一番信頼している人間が、こちら側に寝返っているとも知らずに……
ランベールはふたりのやりとりを聞きながら心の中でそう思った。

実はレオンの着ているフォーマルスーツの襟元には、高性能の集音装置が取り付けられており、
囁くような声で話していてもすべて筒抜けなのである。
この装置もアネットが持っていたもので、ランベールもレオンもこのような器械は見たこともなかった。
当然オーディリアも、このようなものがこの世に存在するとは、夢にも思っていないだろう。
しかし、とランベールは思った。
(こんな魔法のような器械を持っておるとは、いったいあの女、ほんとうに何者なのだ?)
ダスミアの手の者であろうことはランベールも薄々思っていた。
だが、あの女はそれだけでは説明のつかない不思議な力を持っている。

(まさか、ほんとうの魔女か?)
──まあいい。魔女だろうが悪魔であろうが、自分の欲望、オーディリアを自分の物にするという
かねてからの夢さえ達せられればかまわない。利用できるものは何でも利用するまでである。

ランベールがそんなことを考えていると、レオンがこちらに目配せをして合図を送ってきた。
打ち合わせ通り少しの間、離れていろということだろう。
(ふふふ、そろそろショーの開演か。しばらくはオーディリアの痴態の鑑賞会というわけだな)
ランベールは口元にいやらしい笑みを浮かべながら、横にいるエリーヌに向かって言った。

「先生、一曲お相手願いましょうか?」
ランベールは彼女の細い腰に手を回すと、二人してその場を離れた。

(さてさて、レオンうまくやれよ)


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