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レディミスト

1名無しさん:2006/01/10(火) 01:52:12
*注意点
このスレは基本的に『レディミスト』を書き込むだけの
スレです。
感想等は感想スレにお願いします。

21レディミストMC版:2006/04/03(月) 22:14:01

今日もレディミスト、鹿島瑞希は戦っていた。
――偉大なる『首領様』のために…。


ドゴンッ!!

鈍い爆発音が響き、ヘルサタン中部支部の外壁に横穴が開く。

「今だ! みんな逃げろっ! 北部地区にはまだヘルサタンは手を出せない。
 みんなバラバラになって、逃げ込め!!急げ!!」

「きゃーー!!」

ブルージャスティスの市民の開放作戦が発動したのだ。ヘルサタンの支部ビルに
奴隷として囚われていた人々が、先を争うように逃亡を始める。

「さぁ、早く!!」

開放作戦のメンバーが、てきぱきと手分けをして市民の誘導をしていく。
中には長期の肉体労働で足元の覚束ないものもいた。だが、ブルージャスティスの
メンバーは一人の脱落者も出すまいと、懸命の救出作戦を敢行していく。


そのときだった。

「そうはさせないわ!」

凛とした声が当たりに響く。
振り返るとそこには、戦闘スーツに身を包んだ一人の女性の姿があった。

「…レディミスト!!」

風に流れる艶のある黒髪に、知性溢れる端麗な美貌。
レオタード様のコスチュームが、形のよい豊かなバストから括れたウェスト、
肉付きのよい臀部から筋肉ののった太股へと流れるようなボディラインを
浮き上がらせ、完成された女性美とともに男性を魅了する熟れた官能美をも
感じさせる。

それで彼女を甘く見るものがいれば、その者は自分の浅はかさを手酷く
思い知らされることになろう。

――ブルージャスティスの『元』リーダー、レディミスト。

かつては対ヘルサタン戦の最前線で戦っていた正義の女神が、今はその
最強の尖兵としてブルージャスティスのメンバーの前に立ちはだかっていた。

「首領様に刃向かう者は、この私が許さないわ! これでも食らいなさい!
 ブルー・ギャラクティカ・クラッシュ!!」

瑞希は背筋を伸ばし弓を射るポーズをとる。その姿は戦女神と称えられた
アテナの姿にも似た美しさである。その右手に青い光が輝き、次第に
その光度を増していく。


悪を滅する必殺の正義の雷、ブルー・ギャラクティカ・クラッシュ。

圧倒的な破壊力を有するレディミストの必殺技である。

しかしその矛先は、囚われた市民の開放を先導したかつての仲間、ブルージャスティス
工作班の一団に向けられていた。

「みんな伏せろーー!!!」

悲鳴にもにた叫びがあがる。

「ファイアー!!」

ズガーーーン!!!

巨大な閃光と爆発の轟音が辺りに轟く。
濛々とした土煙があがり、周囲の視界を塞ぐ。
この攻撃を受けて生きている人間がいるとは思われなかった。しかし…。

「ゲホゲホッ…。 助かった…のか?」

信じられない、という面持ちで工作班の班員が顔をあげる。
その脇の地面は20mほども大きく抉られ、跡形もなく吹き飛ばされていた。

狙いを外すことのないレディミストの一撃必殺の攻撃が、その目測を誤るなんて―。
その理由を確かめようと彼らが彼女の姿を確かめると、そこには苦しげに手首を
押さえてうずくまる彼女の姿があった。

22レディミストMC版:2006/04/03(月) 22:15:10

よく見ればその手の甲には、一輪の青い薔薇が突き刺さっている。
瑞希の傷口から鮮血が滲む。

「やってくれたわね…、レディローズ!」

レディミストはそれを引き抜くと開放工作員たちには目もくれず、くるりと背を向け
彼女に不意打ちを食らわせた相手を鋭く見つめる。

その視線の先には、薄水色を基調としたコスチュームに身を包む一人の少女。

ハーフなのだろうか。色白で整った顔立ちの、西洋の陶器人形をイメージさせる
可憐な美少女である。

身長は150cmあまりであろうか。上背があり肉感的なレディミストと比べると、
小柄で華奢な印象である。栗色の髪に同じく栗色の瞳。大きな二重の瞳に潤んだ
睫毛が、見るものにとって彼女の可憐な印象を際立たせている。すらりと伸びたその
右手には、瑞希の手に投げつけられたのと同じ青い薔薇が数本。

彼女こそブルージャスティスの5人のヒロインの一人、レディローズである。


「瑞希さん、もう止めて! 何をしようとしたか、分かっているの?」

無駄と分かっていても、悲しげに少女は敬愛するかつてのリーダーに呼びかける。

「分かっているわ…。偉大なる首領様を邪魔する悪を打ち倒すのが、私の使命!」

瑞希は少女に向かって宣言する。

今の瑞希にはヘルサタンこそが正義であり、それを阻むものは全て悪である。
ヘルサタンの執拗な洗脳攻撃により制御のおぼつかない瑞希の正義の怒りは、
かつての同胞である彼らブルージャスティスに向けられていた。


「そんなの、違うわ!! お願い、目を覚まして!」
「あなたも同じね…。降伏するならよし、刃向かうなら容赦はしないわ!
 いくわよ! 覚悟なさい!」

そういうや否やレディミストは、土を蹴って少女に向かって駆け出す。

「ごめんなさいっ! はっっ!!」

シュッシュッシュ!!!

繊細な少女の指先から青い薔薇が閃光のように、迫りくるレディミスト目がけて
矢継ぎ早に繰り出される。銃弾より早いその青い矢を、卓越した運動能力を
もつレディミストは流れるような体捌きでかわしつつ少女に突撃する。

ズガガガッ!!!

目的を外したレディローズの放った青薔薇が、瑞希の背後にあるコンクリートの壁を
粉々に打ち抜く。レディローズが放つ青い薔薇は、一見ただの瑞々しい青い花卉の
ようにも見えるが、その威力は厚さ5cmの鉄板をも打ち抜く威力をもつのだ。

しかし、その攻撃は一つとしてレディミストの躰を捕らえることはできない。
瑞希は華麗なステップでレディローズの攻撃を次々とかわしていく。

23レディミストMC版:2006/04/03(月) 22:16:03

「そんなっ…当たらない!」
「甘いわね! 投擲の際の肩の動きが丸見えよ!!」

肉弾戦に持ち込める距離まで間合いを詰めると、レディイストは渾身の回し蹴りを
放つ。まともに食らえば、戦車も吹き飛ばすレディミストの蹴りである。

「おイタはここまでよっ! ハァッ!!」

ブンッ!!

空気を切り裂くような旋風が巻き起こる。
が、その瞬間レディローズの姿はかき消え、瑞希の回し蹴りは虚しく空を切る。
と、同時に瑞希は体勢を崩すことなく、その頭上へと飛び上がる。

「そうくると思っていたわ!」
「しまった!!」

蹴りは誘いであったのだ。
レディミストの蹴りを間一髪、空中へ華麗に舞い上がりかわしたレディローズの動きは、
まさに瑞希の予想通りであった。レディローズの新体操で磨かれたあまりに完璧なその
回避運動は、逆にその先を予測するのは容易かった。


「きゃぁぁぁ!!」

ガスンッ!!

空中に華麗に舞い上がったレディローズは、獲物を狙う鷹のようなレディミストの
追撃によって空中で羽交い絞めにされ、甲高い悲鳴をあげながら無様に地面に叩き
つけられる。少女が気づいたときには既に瑞希に押さえ込まれ、逃げられぬよう
腕の関節をしっかりと決められてしまっていた。

「だから言ったでしょう、深雪ちゃん? 不用意に空中に逃れてはだめだって」

勝利を確信した瑞希が、形のよい口の端を歪めてニヤリと笑う。

かつてブルージャスティスの組み手でも、少女はしばしば同じ失敗を瑞希に指摘されていた。
その癖は直したつもりではいた。だが、手加減のないレディミストのスピードとパワーを
伴った攻撃に気をとられるあまり同じ失敗を繰り返してしまったのだ。

しかも今、彼女を押さえ込んでいるのは彼女のよく知っている、あの強くも優しかった
ブルージャスティスのリーダー、鹿島瑞希ではない…。


「私を…どうするんですか?」
「そうね。まずはその悪戯ができないように、腕の関節を抜かせて貰うわ」

残酷な笑みを口元に浮かべたまま、瑞希はまだあどけなさの残る自らの教え子の
左腕に手をかける。が、そのときだった。

「スワニー・ウィング!!」

二人を目がけて不可視の衝撃波が叩きつけられる。
その勢いで二人とも地面へ投げ出される。

「きゃぁぁ!」
「今よ!! こっちへ!!」

レディローズは瑞希の拘束を逃れた少女は、新たな救出者の下へと駆け出す。
そこにはもう一人、白と淡い水色と基調としたコスチュームに身を包む、
少女のよく知ったもう一人の女性がいた。

24レディミストMC版:2006/04/03(月) 22:17:25

「ごめんね。大丈夫だった? パワーは加減したのだけれど、私の技では
 あなたを確実に助け出す術がなくて…」

少女を労わるように、その女性は彼女を抱きしめる。

「いいえ、ありがとうございます…。 あっ、痛っ!」

心配させまいと気丈に応える少女であったが、レディミストに押さえ込まれた
際の左肩の負傷は隠せなかった。

「肩の筋を痛めたようね、無理はしないで後は私に任せて」


「あなたまで現れるとは、今日は随分と大掛かりな作戦なのね、和希」

レディミストは二人の勝負に割って入った、彼女もよく知るその女性に問いかけた。

「そうね。姉さん」

和希と呼ばれたその女性が、少女を庇うように二人の間に立ちはばかる。
20代後半であろうか。身長は瑞希とほぼ同じだが肉感的なレディミストと違い、
全体的に均整の取れた肉体はギリシャの彫像のような印象を感じさせる。


――現れたのはレディスワン。
ブルージャスティスの『現在』のリーダーである。

コスチュームはレディミストとほぼ同じ。
レオタード様の戦闘衣の淡い水色の柄がレディミストとは逆に描かれている。
二人は遠目には、まるで双子のように見えないこともない。

彼女の名は鹿島和希。
鹿島瑞希の実の妹でもあった。


「姉さん、今日こそはあなたを倒す!」

「あなたにそれができるかしら?」

不敵な口調で応えながらも、瑞希は戦いに備え慎重に足場を確かめる。

レディスワンこと鹿島和希の実力はブルージャスティスで唯一、自分に
匹敵することを実の姉である瑞希はよく知っていた。


「できるわ。それが……、あの子のためだから。」

「あの子…?」

「――勇哉くんよ。」

応えるレディスワンの声音に、複雑な悲しみの色が混じる。
一方、あらゆることに動じない精神力を持つレデイミストの表情にも、初めて
動揺するような感情らしいものが現れる。

「勇哉…。…笑わせないで頂戴。あの子は私の子なのよ。で、あの子は今、
 どうしているの?」

「まだそのことは忘れないでくれてはいるのね。勇哉くんは私が預かっているわ。
 あの子は周りには何も言わないけれど…、今の姉さんの姿を勇哉くんが一番
 悲しんでいるのよ。」

「あの子の名を使わないでっ!」

叫ぶように和希の言葉を遮る。
瑞希の最愛の一人息子、勇哉―――。

25レディミストMC版:2006/04/03(月) 22:18:13

「私はもう、全てを首領様に捧げたのよ。この体も命も…。かつての間違った自分は、
 もう全て捨ててしまったのだから」

「勇哉くんも間違いだったと言うの?! あの子はどうするつもりだったの、姉さん?」

「黙りなさいっ!!」

整った柳眉を吊り上げ、その両目には真実の怒りの焔が灯る。
端正な美貌が憎しみで歪む。しかし、その一方で忘れがたい恋慕の情が瑞希の
心の内からこみ上げてくる。首領様に全てを捧げた瑞希にとって、こんなことは
あってはならない、許されないことなのだ。百戦錬磨の瑞希の心を深い葛藤が
締めつける。

「私は…私は…、レディミスト。ヘルサタンのレディミスト。首領様の命令と
 あらば、何人であろうとも容赦はしない!」

自らに言い聞かせるように瑞希は応える。
――そう、私は首領様の忠実な番犬、雌犬なのだから。


「まさか、あの子にまで手をかけるというの?! あなたの息子なのよ?
 それすら捨ててしまえると言うの、姉さん?」

――私があの子を…?

そんな! そんなこと…あるわけ。でも…、私は…!!
勇哉は私の息子で、あの鹿島修平の息子で、あの男は首領様の敵で……。
私は……私は…、首領様の雌犬で……!!!

瑞希の思考が混乱する。
かけがえのない大事なことと、かけがえのない『はず』のことが瑞希の心の
中でせめぎあう。

「――お願い、黙って…」

「いいえ、黙らないわ。今のままでは姉さんを勇哉くんに会わせるわけには
 いかない。あの子の心を、もうこれ以上、傷つけさせたくはないから――。」

「黙れ黙れ黙れーーーっ!!」

瑞希の叫びは、もはや悲鳴にも近かった。
かぶりを振りながら両耳を押さえ、その場にうずくまる。


聞きたくない!。
このままでは心が…、心が二つに張り裂けてしまう!

「私は…、私はぁ…!!  敵! そう、あなたは敵!!
 消えてしまえ!! ブルー・ギャラクティカ・クラッシュ!!!」

この敵さえ、この女さえ消えてしまえば…!
瑞希は全霊を込めて必殺のエネルギーを充填する。

「スワン・ウォール!」
「ファイアー!!」

ズガーーン!!!

青い閃光と爆裂音。
瑞希が放った陽電子プラズマの高エネルギーにより辺りは破壊の焔に包まれる。

だが…。

両手を広げた和希の前には空気から素粒子レベルで再構築された、透明な
壁が立ちはだかり、瑞希が放った高エネルギー弾の炸裂から二人を守る。
そのバリアーには、傷ひとつついていなかった。

26レディミストMC版:2006/04/03(月) 22:19:10

「無駄よ、姉さん。そんなタイミングでは、私のバリアーは打ち破れないわ」

最強の攻撃力をもつレディミストと、最強の防御力をもつレディスワン。

本来、瑞希の攻撃と和希の防御は互角であり、ともに打ち合えばともに消滅
する。しかし和希の言葉に心を乱した瑞希は、エネルギー同期も待たずに
発射したため、充分な破壊力が得られなかったのだ。しかも、

「くそっ!! うっ!」

瑞希がガクリとその場に膝を突く。

必殺技の連射とタイミングを逸した攻撃で、レディミストのエネルギーは大幅に
消耗していた。一方の和希には傷ひとつなく、無傷のバリヤーの向こう側から一方的に
攻撃ができるのだ。しかも負傷したとはいえ、まだ戦闘力をもったレディローズが
サポートに廻るとなると…。

――これでは、勝てない。
瑞希は冷静に状況を判断し、敗北を認めざるを得なかった。


「仕方ないわね…。今回は見逃してあげるわ」

瑞希は不敵に笑いながら、間合いをとり後ずさる。
いつの間にかその右手の傷口は、レディミストの自己修復能力で
ほぼ塞がりつつある。

「私は見逃さないわ。今なら姉さんを取り戻し、元の姉さんに戻せるのよ」

「それはどうかしら。…甘いわね、和希。」

瑞希がチラリと横目で確認する先には、逃げ遅れた市民の一団がいた。

「いけない!! 深雪ちゃん、後、お願い!!」

瑞希の意図を悟った和希が脱兎のごとく、その間合いに入り込む。

「ブルー・ファイアー!」

レディミストの右腕から、青い稲妻のような光が煌く。
必殺技ほどではないが、一般人相手ならば数十人を撃ち斃すエネルギー弾が
市民の一団に向けて発射される。


バシュ!!

間一髪回り込んだレディスワンのバリアーで、硬質な甲高い音とともに光線は
白煙となって消えうせる。しかし、瑞希が土を蹴ってその場から離脱するのも
同時であった。

レディローズは負傷し、レディスワンもまたバリヤーを解除しないと高速には
動けない。無防備な市民への攻撃で無傷のレディスワンとの距離を確保し、
その絶妙なタイミングでレディミストは脱出に成功したのだった。

「逃げられたわね…」

ポツリと和希が口にする。
しかし、意外と残念がる風でもない。

「私だって、姉さんを倒したいわけではないのよ……」

27レディミストMC版:2006/04/03(月) 22:20:13

――ここはヘルサタン秘密地下本部。

「なんとかやつらを追い払えたようだが…、瑞希よ。またやつらを
 取り逃がしたな」

跪くレディミストを前に首領様は言葉をとぎる。

「はっ…申し訳ございません」

うなだれたまま、瑞希は顔をあげることすらできない。

「…やはり気になるのか?」
「えっ?」
「息子のことが、だ」

瑞希は首領様の言葉に衝撃を受ける。

「そ、そんな…。そんなことはございません。瑞希は首領様のご命令とあらば、
 なんでもいたします!!」

「そうかな。お前には勇哉を殺すことはできまい?」

「そ…、それは……っ」

偉大なる首領様の命令は絶対である。その言葉に従うことのみが真実であり、
瑞希の存在意義である。しかし…。


ヘルサタンはは片膝を突いたまま言葉を失い苦悩に煩悶する瑞希のもとへ
歩みよると、ぽんとその肩に手を置く。

「分かっておる。ワタシはお前を試したいわけではない。お前はワタシの
 かわいい部下ではないか。その忠誠を私が疑うとでも思うのか?」

「しゅ、首領様…」

瑞希が首領様の姿を見上げると、その両目が感涙で潤む。

やはり首領様は分かっておられた。
私の苦悩など完全にお見通しであられたのだ。
私などが案ずることは、何一つなかったのだ。

「しかし、今のままではお前も充分には戦えまい。そうだな…」

ヘルサタンはしばし何かを考え込み、そして思いついたように口にした。

「支部の再建はさておき、先ずはお前の息子を取り戻すことを考えようではないか」

「!!! 勇哉を、ですか」

首領様の予想外の言葉に、瑞希の脳裏に驚きと困惑が広がる。

私は全てを首領様に捧げた身。憎いあの男との間に生まれたあの子など必要ない。
それに立派に成長したあの子にも、もう私は必要ではない。
瑞希はそう自分に言い聞かせてきたのだ。

28レディミストMC版:2006/04/03(月) 22:20:59

「し、しかし! あの子はあの鹿島修平の息子です! 偉大なる首領様の
 元へ連れてくるわけには…」
「構わんよ。お前たちは親子ではないか」
「!!!!」

なんという寛大さ!!
あぁぁ、首領様はなんと偉大なのだろう!!!
絶対に両立しないはずの幸せの可能性を前に、瑞希の思考は完全に停止していた。

「そうだ。勇哉くんをここへ連れてくるのだ。そして、たっぷりと『可愛がって』
 やるといい。そう、たっぷりとな…。くっ。くくくっ。はっはっはっは!!」

ヘルサタンはそう言いながら笑いだす。
その意を瑞希は測りかねたが、彼女はまるで心配はしていなかった。
なぜなら偉大なる首領様の考えに間違いなどないのだから。

「はっはっ…。まぁ、よし。瑞希よ。今日はよくやった。下がってゆっくり
 休むがよい」
「ははぁ!」

瑞希は肩膝を突いたまま一礼すると、ヘルサタンの玉座を後にした。

一人残された部屋で、ヘルサタンはなおも笑いが止まらなかった。

「くくくくっ。見ものではないか…。あの瑞希がどんな風に息子を可愛がるのか。
 修平よ。お前の地獄はまだほんの入り口なのだぞ…」

29レディミストMC版:2006/04/03(月) 22:21:42

自室に戻った瑞希はほっと安堵のため息をつく。

首領様の圧倒的な存在感の前では、瑞希も自分を保っているために多大な緊張を
強いられる。ともすれば何も考えることなく、首領様の言葉にただ従っていたい、
そんな欲求さえこみ上げてくる。

――しかし…。

先ほどの予想もしなかった首領様の提案に、瑞希の混乱は今も続いていた。

我が子ではあるが首領様の宿敵の息子でもある、あの子と共に暮らす……。
そんなことが、わたしに許されるのか。

あの子を前にしたとき、自分はどうなってしまうのだろうか…。
憎しみ? 愛しさ? 
敵? 我が子――?

「…分からない」

思考が混乱するばかりで、何も考えたくはなかった。
ただ今は、熱いシャワーだけが欲せられた。


バスルームの更衣室で、瑞希は左手の薬指に嵌めたリングを回す。

シュッ!っという鋭い音と共に、瑞希の全身を覆っていた超硬化スーツが
解かれる。その仕組みは瑞希にも分からない。

レオタードにも似たスーツが解除されると、瑞々しい裸体が露となる。
戦闘でほんのりと汗ばんだ肌は、まだ微かに薄桜色に紅潮している。
日々のトレーニングで鍛えられ均整のとれた体には無駄な肉はついていない。

引き締まった後背筋、大臀筋から太股へのラインは健康的な肉体美そのもの
である。唯一の例外は大ぶりなそのバストであるが、その母性の象徴たる乳房は
型崩れもせず誇らしげに理想的な房錘形を描いている。

肉体美だけではない。スポーツ万能の瑞希はこの肉体を駆使する術を
知っており、その戦う姿はまさに戦女神とも言えるだろう。

ただ今の瑞希は、その肉体も精神もヘルサタンの意のままである。

ヘルサタンの命令さえあれば類まれなる運動神経と鍛え上げられた戦闘技術で
敵を打ち破り、同時にその非の打ち所のない完全な肉体を駆使して、目を覆う
ような堕落した淫行に惜しげもなく供するのだ。

30レディミストMC版:2006/04/03(月) 22:22:32

留めていた髪を解きバスルームに入ると、瑞希は熱いシャワーを全身に浴びる。

シャァァァーーッ!

肌を叩く水滴の律動が心地よい。
張りのある白い肌の上を、湯滴が玉のように滑り落ちる。

全身を満遍なく濡らしながら、瑞希は先ほどのヘルサタンの言葉を思い出していた。

『――まずは、お前の息子を取り戻すことを考えよう』
『――構わんよ。お前たちは親子ではないか。』


「勇哉と一緒に暮らすことができる…」

瑞希の心理には夫である修平を敵として認識し、憎むようにヘルサタンの洗脳が
徹底的に施されてはいる。だが息子の勇哉については、変わらぬ愛しさを今でも
瑞希は感じているのだった。

首領様の敵である憎いあの男との間に生まれた子ではあるが、あの子には罪はない。
私にとってかけがえのない、たった一人の息子…。

今の瑞希にとって、勇哉はそう認識されていた。

そう―。
本来の鹿島瑞希は強くもあるが、母性豊かな優しい女性でもあるのだ。


「勇哉……」

目を瞑ると懐かしい我が子の面影が脳裏をよぎる。

――今頃はもう、背も伸びたのであろうか。

幼い声でお母さん、と呼ばれたのはいつの事だったろうか。
小学校の運動会で一等賞の旗を持ち、嬉しそうに駆けてくる息子の姿が昨日の
ことのように思い出される。

シャワーを浴びながら、瑞希は愛しい我が子を胸元に抱きしめる光景を
イメージする。

だが…。

全身を抱きしめるようにしたその手が、そのまま豊かな己の乳房に伸ばされる。
それを鷲づかみにすると、手のひらに収まりきらないその柔らかな白い乳肉を
2度3度と捏ねるように揉み回し始める。指から零れ落ちる肉塊がひしゃげ、
歪められる。

「勇哉…勇哉…。私の勇哉…」

瑞希の端正な唇から、熱い吐息と共に我が子の名が紡ぎ出されていく。


――欲情。
瑞希は明らかに、欲情の吐息を漏らし始めていた。

31レディミストMC版:2006/04/10(月) 15:34:44

ヘルサタンはレディミスト、鹿島瑞希をその手に入れて以来、徹底的に彼女の
それまでの倫理観、価値感を破壊し改造し尽くしていた。

これにより今の瑞希にとって、愛とは情欲のことであり、肉体による快楽の交歓に
刷り替えられていたのだった。


それは瑞希の内から溢れ出す、我が子に対する母性ですら例外ではなかった。

「あっ…」

艶めいた声を漏らしつつ瑞希は我が子の面影を思い出しながら、ただ無心に己の
乳房を弄る。右に左に豊満な乳房を揉みしだくと、その手のひらの下で擦れ
押しつぶされた、かつて我が子の口に含ませた肉芽が次第に硬さを増していく。

抱きたい…、あの子を抱きしめたい…。

――母親ならば誰しも感じる当たり前の愛情。

それが瑞希の中で歪み捻じ曲げられ、その想いとはうらはらに肉欲という形で
彼女の熟れた躰を急速に熱くしていく。

抱きたい…。あの子を抱きたい…。
胸元にあの子を抱きしめ、この胸にその顔を埋めてあげたい。

――あの子にこの乳房を押し付け、こすりつけたい……。

シャーーー。

「あ、……ん。はぁ…。く……っ」
バスルームに響くシャワーの水音に、瑞希の淫声が幽かに混じる。


思えば勇哉と最後に一緒にお風呂に入ったのは、いつの頃だったろうか。

いつも勇哉と一緒にいた瑞希は全く気にしたことすらなかったが、いつの間にか
我が子はそれを恥ずかしがる年頃になっていた。瑞希が体を洗ってやろうとすると、
勇哉は、“いいよ、自分でするから”、と恥ずかしげに背を向けたものだった。

そんな一人息子の成長を微笑ましく思いながらも、一抹の寂しさを感じたのは
そう遠い昔のことではない。

(でも、今の私は違う…)

首領様に真の『愛』のあり方を教えて頂いたのだ。

年頃の男の子が女の躰に興味をもち興奮するのは当然ではないか。まして愛する
我が子が、母親である自分の裸体に女性を感じてくれるなど喜ぶべきこと。

瑞希は自分の肉体が男性の劣情を呼び起こすことを自覚しており、それをどう使えば
いいのかも充分理解していた。

32レディミストMC版:2006/04/10(月) 15:35:43

――そう。

息子勇哉のためならば、瑞希は己の肉体を駆使して彼を悦ばせてあげることが
できるのだ。瑞希は勇哉があのとき何を恥ずかしがっていたのかも理解していた。

だって男の子なんだもの…。当たり前じゃないの。

「勇哉…。母さんの……触っていいのよ…。」

照れて恥ずかしがる勇哉の、まだ小さな両手を己の乳房へと導く。
そんなあられもない空想に浸りながら、瑞希は両手で己の乳房をつかむ。
柔らかな白い肉に繊細な指が埋もれていく。

ね、大きいでしょ。母さん、胸には自信あるんだから。
勇哉の好きにしていいのよ……。

「はぁ…。勇哉、揉んで…。母さんの…」

むにゅ、ぐにゅ。

恍惚とした表情で両目を瞑り、瑞希はたわわに実った自らの果実を両手で思う存分に
揉みしだく。時にこね回し時に鷲掴みにし、時折、その溢れ出る乳肉を押しつめるように
して両の乳首同士を擦り合わせる。そのたびに張りのある形のよい乳房がひしゃげ、
深い谷間をつくる。その谷間に向かって、水滴が次々と滴り落ち姿を消してゆく

「…ん、はぁ、…そう」

両の乳房を擦り合わせるように瑞希は揉みしだく。
両手で己の乳房を揉みながら、親指と人差し指でその先端の蕾を摘み上げる。

「あっ…!!」

乳首を摘みあげると痺れるような快感が瑞希の脊髄を走り、電流に打たれたように
ビクッと全身が硬直する。

まだ胸しか弄っていないのに、勇哉のことを想うだけでこんなに感じるなんて。
なんて気持ちいい…。

瑞希はシャワーの浴びるのを止め、その先を自らの股間に向ける。

シャァァァーーッ!

程よい湯加減の微細な水流が瑞希の肉襞を掻き分け、その奥にある小さな肉芽を
刺激する。程よく感度の高まった淫芽に微細な水流が叩きつけられ、待ち焦がれた
その刺激に熟れきった瑞希の“女”の部分が悦びの声をあげる。

33レディミストMC版:2006/04/25(火) 12:35:10

「あぁ……! いい!!」

股間を焦らす熱いシャワーの刺激にたまらず身をよじりながら、無意識のうちに
片手で掴んだゴム製のシャワーのコードをたわわな乳房へグイと押し付ける。
上下同時の肉芽への刺激がたまらない。

叩きつけるようなその水流を己の秘所へあてがいながら、瑞希は夢中でシャワーの
ゴムホースを左右の乳房に擦りつけていく。より深く鋭い刺激を求めて、瑞希が
ホースを乳首を擦りつけようとするたび、その先にあるシャワーは微妙にその向きを
意地悪く変える。

「あっ! ん…、もぅ! 大人しくして」

瑞希は立ったままシャワーを肉付きのよい太股で押さえつけるように挟み込むと、
そのホースを柔らかな胸の谷間に挟み込む。湯の通った生温かいシャワーのゴム
ホースは、熱く滾った男根を乳房で挟んだときの感触を思い起こさせた。

(勇哉のも、これくらいにはなったのかしら…)

あの子のを挟んであげたら、こんな感じなのだろうか。
親指よりやや太いそのホースを見ながら瑞希は考える。

こんな風にしてあげたら、あの子は喜んでくれるだろうか?

――いえ、絶対に悦ばせてみせる。

瑞希は顔を斜めに傾けると、乳房に挟み込んだホースに舌先をのばす。

クチュ、ヌチュ…。ニチュ…。

端正な唇でさも愛しげにときにホースを咥え、ときに舌先を筋に沿って這わせていく。
口元から涎が滴り落ちるのも構わず、まるで愛する異性の男根にするのと同じように
舌先を搦めては舐め回し、丹念に口唇による愛撫を施していく。

それに併せて瑞希はホースを挟み込む乳肉を掴み上下に擦りあげる。
擦りながら指先で屹立したその先端を、たわわな柔肉に指先が埋もれるほど
押しつぶすように捏ね回す。手から零れ落ちそうなほどの、薄く静脈の透ける
乳肉が歪み、人工的な熱い管を締め上げていく。

それと同時に瑞希が股座に挟み込んだシャワーの金属表面は、その敏感な肉襞を
めくりあげ、剥き出しとなった肉芽に不規則なビートで温水を叩きつけていく。
感度の高まった瑞希の卑肉が悦びに戦慄き、獣じみた臭いの粘性の高い液が
瑞希の膣口からとめどもなく溢れ出す。


「あぁぁ、すご……いい。堪らない…。もう母さん、我慢できない。入れて、勇哉。
 母さんの中に入れていいのよ」

肉体のもたらる快楽に耐え切れずに、瑞希はそのままへたりこむようにしゃがみ
こむと、己の秘所へ乱暴に指を捻じ込んでいく。左手の中指と薬指がその根元まで
肉襞の間にずぶずぶと差し入れられる。

あぁぁ…、堪らない。
これよ、これが欲しいの。

「いい! 勇哉、いいのよ。愛してる、愛してるのっ!」

女体の快楽のツボを全てを知り尽くした白い指先が、瑞希の肉襞を掻き分けながら
その法悦の場所を容赦なくこすりあげる。ぐちゅ、くちゅり。湿った音を立てながら、
勇哉を産み落としたその女の聖なる産道を、より深い肉の快楽を求めて玩ぶ。

「あ、い、いぃ! そこ、そ、いや。もっと!」

痺れるような快感に、時折、ビクリと全身が仰け反るように痙攣する。その度に形の
良い豊かな乳房がブルンと弾むように揺れる。日頃から鍛えられ、体力のある
三十路前半の女の肉体のもたらす獣欲は、まるでとどまるところを知らなかった。

瑞希には分かっていた。
どうすればもっとこの快楽を愉しむことができるのかを。

そう。この肉体は既に首領様によって、開発されつくしているのだ。
もちろん、その愉しみに対して今の瑞希は羞恥も躊躇も感じることはない。
その肉体の求めるまま、秘所を掻き回しては痴女のように愛液を垂れ流していく。

それこそが瑞希にとって、『愛』なのだから…。

34レディミストMC版:2006/05/02(火) 14:41:04

シャァァァーー。

湯煙に霞むバスルームの中、放り出されたシャワーからは途切れる
ことなく温水が噴き出し続けている。湯はほんのりと湯気をたてながら
排水溝へと流れ、消えていく。

その湯煙の中、桜色に染まった女の裸体が蠢く。

形の良いたわわな乳房と引き締まったウエスト、程よく脂ののった臀と
筋肉質な太股の肉感さ。艶のある黒髪を軽く纏め上げている。

男性なら誰もが欲情を覚えずにはいられないであろう熟れた肉体を持つ
美しいその女は、羞恥の欠片もなく獣のような喘ぎ声を漏らしながら、
ただひたすら自慰に耽る痴態を晒していた。

――鹿島瑞希。

かつては正義の女神と謳われた彼女ではあるが、今やその瞳には
妖しげな光が宿り、女として非の打ち所のない完成された肉体を駆使して、
繊細な己の指先のもたらす快楽に溺れきっていた。

「あぁぁ…、いい…。気持ちいい……。勇哉、勇哉ぁ。……母さん、勇哉を
 愛してるの……。勇哉……んふぅ…、見ていいのよ。母さん、勇哉のためなら
 何でもしてあげるんだからっ…。」

――あの子に見せてあげたい。

あなたのために、こんなになってる母さんを見て欲しい。
こんなにも母さんは、あなたのことを愛しているのだから……。

「ん、あはぁ…。見て……見ていいんだから……。ン…あ…。」

瑞希は片手で自らの秘所を巧みに弄りながら、片手で形のよい乳房を下から
掬い上げるように持ち上げ揉んでは捏ね回す。重量感溢れる半球が手から
はみだし盛り上がる。右の乳房を充分に揉みしだくとそのまま左の乳房へ。
時にたっぷりと、時に荒々しく緩急をつけて自分の乳房を揉みしだきながら、
体全体を使ってブルンッと空いた乳房を揺する。

まるで見せ付けるかのような執拗なまでの乳房への愛撫。

「そう…、おっきい…でしょ、母さんのおっぱい…。ん…、あはぁ……。
 んふふふっ。見てたんでしょ…。たっぷり見せてあげるから」

そう。
母さんは知ってるんだから。

あなたが風邪を引いたとき、おでこでお熱を測って上げると恥ずかしそうに
母さんの胸元から目をそらしていたのを…。

いいのよ。見て。
もう恥ずかしがって遠慮することも、隠すこともないの。

(見て、勇哉。母さんのおっぱい見て。触って。吸って…)

35レディミストMC版:2006/05/02(火) 14:42:31

グジュグジュと左手の人差し指と中指で自らの女壷を指で掻き回しながら、瑞希は
その重い乳房を下から持ち上げるとその先端を口元へと運ぶ。

疼痛すら感じるその蕾に舌先を伸ばして、焦らすかのように己の乳首をゆっくりと
舐めまわしてゆく。

「はぁぁ。見て、勇哉…。勇哉が吸ってくれないから、母さん、自分で自分のおっぱい
 舐めているの。あぁぁ……勇哉……勇哉。 舐めて…吸って…!」

ジュブ…、ジュル。ヂュ…、クチュ。

はぁはぁと荒い息をつきながら、瑞希はまるで飢えた獣のように己の乳房に貪りつく。
片手は休むことなく膣肉を陵辱しながら、ぬらりとした舌先を伸ばして片手でぐいと
持ち上げたままの乳房の先端をチロチロと舐め回す。乳輪が自身の唾液でぬらぬらと
滑る。

「あふぅ。…うふふっ、見て。母さんのおっぱい、凄いでしょ? こんなことできるの、
 …ん…、母さんだけなんだから…。 あはぁ…、うふふふっ。一緒になったら勇哉にも、
 母さんが自分でおっぱい舐めるところ、いっぱい、お手本で見せてあげるからね。
 あン…。こ、こうするのがいいの…。ん……」
 
恍惚とした表情で己の乳首を軽く甘噛みする。火照った躰に甘美な痛覚が心地よい。
二度三度と繰り返し噛んでその痛みを悦しんでは、今度は舌を使って痛みの残る
その先端を労わるように丹念に舐めていく。

「ん…、はぁ…。ニチュ……、は…あひぃ……いい…」

もはや瑞希には周囲のことなど、どうでもよかった。
より深い己の快楽を求めて瑞希は立ち膝の姿勢のまま、女の部分と母親の部分を
熟れた女躰の求めるまま、思うがままに同時に味わっていく。

シャーーーーーッ。

くちゅ、にちゅ…。
あっ…、んふぅ…。もっと…いや…そこっ…!。
ぐちゅ…、ぶじゅぐちゅっ。

単調な水音に淫靡な喘ぎ声が混じりあう。
湿度の高い密閉された室内に、獣じみた濃密な雌の匂いが立ち込める。

「あひっ…ひぃ…。いい……。いくっ…!」

彼女は片手で休むことなく己の秘所を弄りながら、艶のある嬌声をあげながら自ら
その豊かな乳房を夢中で舐め回している。端正な美しい美貌は淫欲に歪み、口元
から涎が滴り落ちるのもまるで気にしない。いや、むしろ涎を乳房に垂らしては
舐めまわしてるというべきか。

かつて我が子を育てあげたそのたわわな乳房は、今の瑞希にとって己の快楽を
引き出し、満たすための道具でしかない。欲望の赴くまま思うがまま揉みしだき、
自ら口に咥える。愛する異性を思い浮かべながら…。

しかしそんなもので、三十路を過ぎた火のついた女の躰が満足するわけがない。

一方で乳房を愉しみながらも、己の女壷には白くほっそりとした人差し指と中指が
深々と捩じ込まれ、絶え間なくぐちゅぐちゅと淫靡な湿った音を立てている。
慣れた指使いで自らの肉壁をなぞり、淫肉を掻き分けていく。その度に瑞希の
女肉は悦びに震え、赤黒い肉襞の間を白い指が出入りするたびに溢れ出る
愛蜜が白濁した糸を引きながら滴り落ちる。

「あひぃぃ! 勇哉…早く…早く来てぇ…。母さんを喜ばせて。勇哉ぁ!
 早く勇哉を一緒になりたい。あっ…ん…ひとつになりたいのっ。
 母さんが勇哉を喜ばせてあげる。早く、母さんの中へ……勇哉ぁ…!」

もはや瑞希は己の快楽のことしか考えられない。

愛する異性、私の快楽、私のもの。
早く手に入れたい、早く悦しみたい。


だってあの子は私のものなんだから――!!

36レディミストMC版:2006/05/04(木) 09:28:55

「あ゛ぁぁ、だめ。もう、ダメ! い゛ぃぃ…あひぃ!」

ついに獣のように四つん這いになり、絶頂に向かって獣のような声を上げながら
激しく自慰を続ける瑞希。重い乳房は垂れ下がり、瑞希が夢中で股間を弄るたびに
ブルンブルンとぶつかり合っては揺れる。

「いい! いいのぉ! 母さん、勇哉ので気持ちよくなっちゃうんだからぁ。
 勇哉も、ね、一緒に気持ちよくなろう…。」

恍惚に身を委ねる瑞希の視線は、既に焦点もまともにあっていない。
熱病にうなされたように独語しながら臀部に力を入れ、自らの女壷を弄る己の指を
ぎゅっと締めつける。粘液に濡れそぼった生暖かい肉壁が、瑞希の白い指を包み込む。
これだけ長時間の挿入の後にこんな締め上げをされたら、耐えられる男は
いないであろう。

瑞希が膣肉を締め上げたことで感度の高まった淫肉が指で強く擦れ上げられ、
子宮に宿る女の本能が貪欲に更なる刺激を求めては疼く。

―――犯してあげる。

母さんが、勇哉を犯してあげる。

母さんのこの躰で毎日毎晩、何回でも何十回でも。
おっぱいでも子宮でも、好きな場所で好きなだけイカせてあげる。
勇哉が他の女とはセックスできなくなるくらい、気持ちよくて失神しちゃうくらい…。

だって母さん、こんなにも勇哉のこと、愛しているんだから―――。

「あぁぁぁ、もっと! もっと一杯、欲しいのぉ!」

無意識のうちに瑞希の膣肉を弄る指は2本から、更に人差し指を加えて3本。
捻り込むようにしながら思う存分に膣内をかき回しては女の欲望を貪る。
瑞希の女壷からは止め処もなく淫匂漂う愛蜜が糸を引きながら滴り落ち、赤く
充血した肉襞は貪欲な両生類のように瑞希の白い指を根元まで飲み込んでは、
ヌルヌルと粘液質の分泌物で絖らせてゆく。

「あっ、うぐ、いい! 気持ちいぃ! あっ、あひぃ、あふぅ、あ゛ぁ…。
 もっと、もっと!! 勇哉と一つになれるのなら、母さん、目茶目茶に
 なっちゃうんだからぁ!!」

瑞希は髪を振り乱しながら夢中で己の女を擦り上げては掻き回す。
欲情に溺れながらその視点は焦点も定まらず、口元からは涎が零れ垂れている
ことにも気づいていない。

狂気にも似た恍惚の笑みを浮かべながら、だひたすら絶頂に向かい己の大切な
“女”の部分を、快楽のツボを全て知り尽くした指先で責め立てる。

「あひぃぃ!! いぐ、いっちゃう!! 勇哉! 出して!! 母さんの
 中に出して!! 勇哉のが欲しいのぉぉ!!!」

愛する息子を犯し、ひとつになり、その精を子宮に受ける。
そんな…、たまらない……!!

「だめぇ、いぐ、母さん、いっちゃう。 勇哉のおチンチンでいっちゃう!!
 来てぇ!! 私の勇哉ぁ、来てぇぇぇぇ!! あ゛ぁぁぁぁぁ、いぃぃ!
 いぐぅっ!!」
ぶしゅぅぅっっっ!!

37レディミストMC版:2006/05/04(木) 09:29:49

電撃のような絶頂に躰を仰け反らせながら、瑞希の全身が硬直する。
その女壷からは噴水のように悦楽の愛蜜が勢いよく噴き出す。

ぶしゅ、じゅぶ、じゅ、じゅ、、じゅじゅうぅ。

ビクビクッと瑞希の全身が痙攣するたび、その肉襞の間から熱い淫汁が
断続的に溢れ出す。

「はぁはぁ……。ん……」

荒い息をついたまま瑞希はぐったりと心地よい脱力感に身を委ねる。

こんなにも燃え上がる自慰は久しぶりだった。
名残を惜しむかのように、愛液でべとつく割れ目を撫で回しながら、
快楽に燃え、先ほどまで思い切り掴み上げていた乳房を労わるように何度もさする。

1分ほど体を休めた後、のろのろと瑞希はその身を起こす。
火照った全身に温度を下げたシャワーを浴び、先ほどまでの粘液を洗い落とす。

バスルームを出た瑞希は、鏡の前で乱れた髪を整え直していた。
全身の汗を拭いながら、鏡に写る自分自身を見つめる。

ほんのり桜色に染まった白い肌に、肉付きのよい均整のとれた肢体。
型崩れのないバストとヒップ。そして流線型を描くくびれたウェスト。
形の良い柳眉にウイキョウのような唇の端正な美貌。長い睫毛、潤んだ瞳の
目元には、まだ皺と呼べるようなものはない。

瑞希は無言で鏡の中の自分を評価する。

――大丈夫。
この躰なら、あの子を心ゆくまで悦ばせることができる。

「早く来てね…、勇哉……。」

30分以上も激しい自慰に身を焦がし続けた瑞希だったが、その体力にはまだ余裕が
あった。それに指以外にも、ナイトデスクの引き出しには、首領様から頂いた瑞希の
お気に入りの玩具も揃っている。

まだ夜は長い。
愉しむ時間はたっぷりとある。

瑞希の部屋からは、むせび泣くような悦びの喘ぎ声が、それから深夜まで
更に2時間以上も漏れ続けていた。

38レディミストMC版:2006/08/14(月) 16:03:07

「…以上が今月のレポートです」
「ふむ、ご苦労」

報告を受けたヘルサタンは鷹揚に頷いてみせる。

ここはヘルサタン地下研究所。

ヘルサタンの開発する悪の科学技術はここから生み出されている。
対ブルージャスティスとの戦いは、ある意味、新たな新兵器開発の
戦いでもある。ヘルサタンにとって長期的に見ると基地攻略よりも、
より重要度の高い関心事である。

しかしヘルサタンの研究力はブルージャスティスに、かなり劣ると
言わざるを得ない。優秀な研究員の育成と囲い込みは、緊急性の
高い課題でもある。


ぱらぱらぱら…。

レポートをめくっていたヘルサタンの眼が留まる。

「…新規人格制御薬の開発。これは、お前か? アルケミストよ。」

ヘルサタンはまだ若い研究者に声をかける。彼はヘルサタンをチラリと
見るが、何も応えずただ片膝をつきかしこまっている。

その様子にヘルサタンは苦笑を浮かべてみせる。

「まだこだわっているのか? お互い、昔の名前は捨てたはずであろう。」


彼の名はアルケミスト。

その本当の名前を知るものは、ヘルサタン自身と鹿島瑞希しかいない。
なぜなら彼もまた、かつてはブルージャスティスの研究員であったからだ。

彼は極めて優秀な医薬研究部員であり、ヘルサタンの研究員の中でも
貴重な人材である。時折、つまらないこだわりを見せるところが癪に
触るが、その研究成果はヘルサタンのマインドコントロールと相乗的に
働く素晴らしいものである。

今もまた、彼はアルケミストと呼ばれることに抵抗を感じているらしい。
つまらないことだ、とヘルサタンは思う。

「よく出来ているではないか…。人間の性格を一時的に変貌させる
 医薬か。攻撃性、嗜虐性に被虐性。母性などもコントロールできるのか
 ふむ…。面白い。」

ヘルサタンの施すマインドコントロールは芸術的とも言えるが、なにぶん
時間と手間がかかる。一時的であればこの新薬と組み合わせて使うのも
悪くはない。下級兵士や彼らへの報奨となる“慰問奴隷”のコントロールには
これで充分であろう。

「よし、よくやった。アルケミストに褒美をとらす。レディミストよ!」
「はっ!」

赤と黒の羅紗のマントを翻しながらヘルサタンは立ち上がると、玉座近くに
控える瑞希に声をかける。ヘルサタンは口の端に笑みを浮かべながら
アルケミストに一瞥をくれると、そのまま瑞希に向かって言葉を続けた。

「今晩、アルケミストに褒美をとらす。よいな?」
「…ご命令とあらば」
「そうだ。これはお前しか出来ない仕事なのだ。彼はおまえ自身を望んで
 いるのだからな。そうであろう?」

皮肉な笑みをを口元に浮かべたまま、アルケミストに問いかける。
彼は俯いたまま応えようとはしなかったが、その耳元は真っ赤に紅潮している。
その事実が全てを物語っていた。

39レディミストMC版:2006/08/14(月) 16:04:19

「ふふふふ。分かっておる。お前はこのためにブルージャスティスを
 裏切ったのだからな。よい。私が愛するのは結果だけだ。個人的なことに
 干渉する気はない。」

そう。
この男は瑞希の体目当てに、ヘルサタンに身を寄せたのだ。

全く下らないことだ。
しかし、ヘルサタンにとってこれほど扱いやすい男もいない。

なんと言っても、今のレディミスト、鹿島瑞希はヘルサタンの命令であれば
なんでもするのだから。こんなことで貴重な研究成果が得られるのならば
安いものである。

「よし、レディミストよ。今晩はこのアルケミストを一晩中、時間をかけて
 たっぷりと愉しませてやるがよい。手早く終わらそうなどと考えるのでは
 ないぞ。私からの褒美なのだ。そこのところをよく考え、彼に奉仕する
 がよいぞ。」

分かったな?と云うように、ヘルサタンがレディミストに命じる。
それにレディミストも大きく頷く。

頭の回転の速い瑞希は、首領様の云わんとしていることを正確に
読み取っていた。

そう――。
首領様の代理として、わたくし自身が褒美となるのですね。
分かっております。 この男は私の躰が目当てなのですから。

彼はヘルサタンにとって貴重な人材。
首領様のために死ぬ気で働くよう、わたくしもこの男を徹底的に
悦ばせこの躰の虜にしてご覧にみせます。

それに、あと一点。

首領様の深遠な配慮に応えるため、すべきことがあった。

「はぃ。首領様のご命令とあらばこのレディミスト、おっぱいでも
 オマンコでも、アルケミストを悦ばせるためにこの肉体を存分に
 駆使してご覧にいれます。うふふふ、今から夜が楽しみですわ。
 アルケミスト、夜は長いのですから。わたくしは簡単にはイカせて
 あげませんことよ?」

妖艶な笑みを浮かべながら、潤んだ瞳で上目遣いにアルケミストを
見つめる。

瑞希が挑発的に躰をくねらせると、その均整のとれたボディラインの
はっきり浮き出る黒銀のレオタード様のコスチュームが男の劣情を
かきたてる。

その大きく開いた胸元からは零れんばかりの乳房が白く深い谷間を
作っているが、瑞希はその上から乳房をアルケミストに向かって
これ見よがしに数回、ゆっくりと揉んでみせつつ舌先で深紅の艶の
ある唇を舐め濡らして見せる。


「おぉ!」
「…ごくり」

居並ぶヘルサタンの研究員たちから好色そうな溜息が漏れる。
一方でアルケミストに向かって羨望とも妬みとも分からない、複雑な
視線を投げかけるものもいる。

(…ふふふふっ。瑞希よ、分かっているではないか)

そう。
こうやってヘルサタン研究所での競争を煽っていくのだ。

もちろん煽るだけではない。正当な成果には正当な報奨を。
研究者でもあるヘルサタンは、間違ったことをしているつもりはない。

それにしても私の意図を正確に読み、それを実行に移す瑞希の
頭の回転の速さはどうであろう。配下どもの前であえてその褒美を
口にした目的を正確に読み取り、なすべきことをしてのける。

我ながらよい飼い犬をもったものだ。
―この雌犬(ビッチ)が――。


「そうそう、ダークバイオよ。今月は惜しかったな。あの遺伝子
 兵器の培養に成功していれば、レディミストを抱けたのは
 お前だったかもしれなかったのだがな」

「はっ!ははぁーーー!!」

ダークバイオと呼ばれた、初老の小太りの研究員が悔しそうに平伏する。


ふふふふふ。
単純なやつらめ。これでよい。

これで来月は生物部門の成果が楽しみだ。

アルケミストへの嫉妬と熟れた瑞希の肉体への欲望に駆られ、寝食を
惜しんで研究に勤しむ部下たちを想像すると、ヘルサタンは軽蔑にも
似た満足げな笑みを口元に浮かべるのであった。


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