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SS投下スレ

1管理人:2022/06/22(水) 22:22:27
SSを投下するためのスレです。
内容に不安のある話の仮投下や、修正後の作品を投下するためにお使いください。

44 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:34:56
【バリー・ザ・チョッパー@鋼の錬金術師】
[身体]:トニートニー・チョッパー@ONE PIECE
[状態]:疲労(大)、全身に切り傷、頭脳強化(ブレーンポイント)、微妙に精神折れかけてる
[装備]:八命切・轟天@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品、神楽の番傘(残弾100%)@銀魂、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]
基本方針:存分に殺しを楽しむ、はずなのになぁ〜〜〜うまくいかねぇ。
1:存分に殺しを楽しみたいが、何か段々詰んできてねえか? 俺。
2:あの鎧野郎(メタモン)をどうにかしたいので今は集団に紛れ込んでおく。
3:武器を確保するまでは暫くなりを潜めた方がよさげか。
4:いい女だが、姐さんほどじゃねえんだよな。後もう少し信用されておきたい。
5:使い慣れた得物が欲しい。
6:アルフォンス、相変わらず甘い奴だな。
7:キャメ子の嬢ちゃん、乗っ取られてるー!?
8:産屋敷(無惨)まじかよ……
9:最悪生きること優先したほうがいいんじゃねえのか? これ。

[備考]
※参戦時期は、自分の肉体に血印を破壊された後。
※城プロ、Fate/stay nightの世界観および聖杯戦争について知りました。

遠坂の考察
①:一部参加者しか目指しそうにない場所=一部参加者のみに伝える何かを用意している
  主催の中の誰かが此方(対主催)にとって有利になるように託した、と言う可能性を考慮。
②:施設の後出しで地図に表記は、主催者もすべての施設の場所を把握してないかもしれない。
  或いは主催の誰かが置いた何かの施設が彼らにとって都合の悪い何かなのではないか。
③:小野寺キョウヤを名乗ったことから、小野寺キョウヤを知る参加者に何か大切なものがある可能性。
④:①に備えて自分に関係してそうな施設(聖堂教会等)などの記載
これらと今まで得た情報や遠坂の考えをメモにして纏めてます。
より具体的な内容は後続の書き手にお任せします

※D-6はぐれメタルの剣@ドラゴンクエストⅣは砕けました
 石化が戻ってますがまともな運用は望めません
※D-6周辺にアルトリアの腕が落ちてます。
※ドグーのギガ・ジョーモン・カノンが放たれました。
 近くのエリアにいた参加者は見えるかもしれません。

【ワープだま@ポケモン不思議のダンジョン 赤の救助隊/青の救助隊】
鬼舞辻無惨に支給。ゲーム上ではたまに分類される水晶玉の類。
使うと使用者が自身が認識してる敵と認識した参加者全員をワープさせる。
ワープ先は同じエリア内ではあるが転移先は完全にランダム。消耗品。

【召喚石『ドグー』@グランブルーファンタジー】
遠坂凛に支給。覇空戦争時代、星の民が用いた星晶獣『ドグー』が込められた召喚石。
本来ならばグラン(またはジータ)とルリアがいなければ召喚できないが、此処では誰でも使用可能。
無機質なその顔は、ある時は怒りを湛える恐ろしい表情に、
またある時は慈愛に満ちた表情にと、見る者の心の在り方によって見え方が異なるという。
召喚すると胸元から発射されるビーム『ギガ・ジョーモン・カノン』で一回だけ攻撃する。
使用者に土属性の攻撃の強化と荒土の刻印を付与するが、後半の使い道が多分このロワにはない。
また被弾した相手に短時間の間だけ相手を石化させる効果もある(本ロワでは被弾した部分のみ)。
前者は土属性、後者は水属性に関する力を持つ人物にしか原作では通用しないが、
本ロワにおいてこれらがそれらの属性に該当しなくても発生するかどうかは現時点では不明。
召喚後は再度召喚までのインターバルが必要。壁にもなるが短時間しか召喚できないので気休め程度。

【いのちのたま@ポケットモンスターシリーズ】
鬼舞辻無惨に支給。DP以降に登場した所持してるだけで効果が発揮する。
攻撃技の威力が1.3倍になるが、攻撃技を使うごとに最大HPの1/10のダメージを受ける。
本体が攻撃する類以外のもの(召喚石等)は威力は強化されないがダメージも同時に受けない。

【エレンの家@進撃の巨人】
シガンシナ区にて少年時代のエレン・イェーガーが住んでいた家。
進撃世界における建築技術の為大分古いものではある。
少なくとも二階建て以上で地下室が存在しており、
地下室には原作では重要なものがあったが、
この舞台における地下室に何があるかは不明。
現在無惨が出た都合玄関が少し破壊されてる。

45 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:35:31
以上で修正版投下終了です
此方の修正で駄目なようでしたら、
短期間での修正労力と長期間のキャラ拘束に繋がり、
企画の大きな障害になる為破棄(予約もなし)と言う形でお願いします

46 ◆2fTKbH9/12:2022/10/02(日) 21:58:35
一旦仮投下します。

47ディケイドリベンジャー-cry baby- ◆2fTKbH9/12:2022/10/02(日) 22:05:23
放送が始まる数分前、橋の近くの物陰にてJUDOは目を覚ました。
JUDOは気絶する前の戦闘や風都タワーでの戦いのことを思い返していた。

「我は何をやっていた」

風都タワーでの戦いで人間の肉体を使っているとはいえ、全員を仕留めることが出来なかったが、これからは人間は餌ではなく敵と認識し、参加者を殺す決意をした。

しかし、問題は赤い痣の男との戦いがディケイドライバーを破壊され、屈辱や侮辱を味わうことになってしまった。
冷静に考えてみれば人間の肉体が脆いのが分かっているのになぜ赤い痣の男と会った瞬間に撤退を選ばなかったことを悔やんだ。
JUDOは撤退を選ぶのは癪であるが、ここまで戦える状態でないのなら闘争心を自制して撤退を選択してファイズアクセルで逃走に使うことは容易だったのに意固地なプライドのせいで、それをせずにこのような結果を生んでしまった。
このようなことで我慢ができなければ優勝など夢の夢だ。

悔やんでいても仕方ない、今は葛飾署に置いてきた荷物を回収しに向かわなければならない。
それに赤い痣の男には荷物を持っていなかった、もしかしたら葛飾署付近にそのままにしているかもしれない、それも回収する。
道具がないと戦いが出来ず、渇きも満たせない。
これもなぜ荷物を置き去りにするようなことをしてしまったのか、赤い痣の男との戦いでは反省すべき点が多い。

破壊されたディケイドライバーの残骸の回収もしなければいけない。
ディケイドの力がまだ三つも取り戻せないまま、破壊されてしまったが、JUDOの目は死んでいなかった。
置いていった赤い痣の男の荷物にディケイドライバーを直す道具があるのかもしれない。
本来、壊れた物の回収はしないが、ディケイドライバーは諦めるなというのがあるからだ。
そうでなくても他の仮面ライダーの変身道具があるのかもしれない。
元の肉体とは違って、今は道具がないと戦いの愉しみができない。

JUDOは起き上がり、荷物や道具を回収するために火災が起きている街に向かう。
本当なら街に行くたくないのが本音だ、自分の蒔いた種とはいえ、鬼火や烈火弾を撒き散らし、葛飾署周辺が燃えてしまっている。
幸い葛飾署には被害は受けなかったが、いつ葛飾署も燃え移るのも時間の問題だ。
急いで自分と赤い痣の男の荷物を取りに行かないといけない。





街には自分のしたこととはいえ、いくつかの建物が激しく燃えていた。
葛飾署も含めて、まだ燃えていない建物もあるがそれも時間の問題だろう。
荷物を取ったら即急に離れる、ここは休憩すら出来ない、この街に留まる気はない。
少し進んでいたらJUDOにとって見慣れた物を見つけた。

(あったな)

その途中で赤い痣の男に破壊されたディケイドライバーの残骸を拾った後に定時放送が始まった。

(この場所にはないか)

放送の内容に興味があったのはモノモノマシーンの存在だが、JUDOは条件満たしているが、この中心部にはないことが明確となり、他の仮面ライダーの変身道具を入手出来なくなった。
死者については仮面ライダーWの片割れ以外は目を引くことはなかった。
体制を立て直したら再戦するつもりだったが、あの後、何があったのかは知らないが死んだらしい。
再度遭遇したら自らの手で殺すつもりだったが片割れが死者として呼ばれた以上は興味がなくなった。

そんなことを考えていたら葛飾署にたどり着いた。
本来なら赤い痣の男が来なければ放送後も風都タワーでの戦いの疲労を取るはずの施設で離れる予定だったが、午後一時頃には雨が降り、火事も収まり、葛飾署も燃え移らなくなるので安心している。

48ディケイドリベンジャー-cry baby- ◆2fTKbH9/12:2022/10/02(日) 22:08:35
戦いに夢中で放置してしまった自身の荷物を取り、次に赤い痣の男が放置した荷物を回収しに行く。
本当なら葛飾署で待機して雨で火事が納まるまで待つのだが、火事で道具が燃えて取り返しがつかない、そうでなくても悠長しすぎたら他の参加者に取られかねない。
恐らく、葛飾署の近くに置いてあるのだろう。

行動に移したものの地面にも火が点いている中、火を避けながらくまなく探したが、どれも民家が燃えていて近づくことができないでいた。
仕方なく諦めて立ち去ろうとした時だった。
まだ燃えていない民家を見つけ、移動をする。
来てみたら赤い痣の男の荷物が燃えていない民家の近くに放置していたのだ。

(奇跡と捉えるべきか)

偶然ではあるがこの民家に火が燃えていないことは幸運であろう。
一歩間違えれば赤い痣の男の荷物共々、燃え尽きていただろう。

(この場にはもう用はない)

今のこの様で他の参加者と会わなかったのはこれまた運が良かったかもしれない。
赤い痣の男の荷物を回収したJUDOは速やかに葛飾署へと戻って行った。





葛飾署の中に入ったJUDOは休息をとる前に使える道具がないか探索した。
結局、どこを探しても武器らしいものがなく、半明きになっている所があったが誰かが既に武器を取ったのだと推測できる。
収穫があるとすれば更衣室のロッカーでレインコートを見つけたことだけ。
次の放送までしばらくの間、雨が降り続けるから傘やレインコートがないと風邪を引いたり、熱があったら戦いに支障が出る。
移動の時はこれを着ていこう

探索を終えたJUDOは署長室に入り、腰を下ろした。
早速、赤い痣の男が放置した荷物の確認をすることにした。
最初にデイバックから発見したのはJUDOが驚愕せざるを得ない物だった。

「これは大当たりなのか?」

取り出したのは時計の模様をした赤色と青色の風呂敷だった。
ハズレの支給品かと思ったが、説明書によると風呂敷を被せると赤が表なら物や人が古くなり、逆に青が表なら新しくすることができるらしい。
これが本当ならディケイドライバーを修復できるかもしれない。
ディケイドライバーを直す道具が見つかるまで他のライダーの道具を使わざるを得ないと思っていたが、こんなにも早く見つかるとは。

「試してみるか」

騙されたと思ってディケイドライバーの残骸に赤色を表に被せ、包み込むと秒針音が響いていた。
一分もしない内にチクタクする音が鳴りやんで、風呂敷を広げてみるとディケイドライバーが破壊される前の状態に修復されていた。
タイムふろしきの効果が本物だと確信したJUDOは刀部分が折れていたライドブッカーを風呂敷にディケイドライバーと同様のことをして、刀部分が折れる前の状態に戻った。

「これで我の戦いの楽しみを取り戻すことはできた」

ディケイドライバーを破壊されたときは絶望感が襲ったが、プライドの高さとディケイドライバーを切り捨てず修復できる可能性を賭け、諦めなかったことが奇跡に繋がる事ができた。
しかし、タイムふろしきの使用は3回に制限されており、残りの1回はまたディケイドライバーを破壊されたときに取っておこう。
勿論、二度も同じ轍を踏まないよう、今まで以上に警戒はするが、万が一のためだ。

49ディケイドリベンジャー-cry baby- ◆2fTKbH9/12:2022/10/02(日) 22:11:08
ディケイドライバーも元に戻り戦う力を取り戻せたのはよかったが、問題は未だに疲労が回復しきっておらず、戦う体力が少なすぎることだ。
よって、しばらくの間は休憩しながら他に使える道具がないか調べる。

今後はディケイドの力を一辺倒にせず、いざというときに他の道具を使う。
参加者の道具も回収することも決めた、敵に戦力を与えないために。
最初に出会ったリオン・マグナスの道具の回収をせず放置したのは勿体なかったと今更ながら思う。
デイバックから色々と取り出すと警棒は使えるか怪しいがトビウオという乗り物はJUDOの現在地を考えると移動手段として使えるが雨が降ることやいつまでも飛んでいたら目立って不意打ちが待っているから余り使用は控えるべきだ、アクションストーンは使う度に体力を消耗するらしいのでトビウオと同様、控えるべきだろう。
最後の一つは賢者の石で説明書を見たら体力を回復したいJUDOが望んでいた物で何度目になる奇跡が起きていた。
すぐさま賢者の石を使用し、身体の傷が治り、疲労もかなり取れた。
賢者の石は放送毎に一回しか回復できないらしい、次の放送後になるまでは回復は不可能だ。

「ここまで何度も奇跡が起こるとは偶然か?」

二回目の放送が始まってから誰とも会わず、痣の男の荷物を取ったおかげで修復できる物と回復できる物をあっさりと手に入れた。
これまでの運を、奇跡を立て続けに起こっていた。
少々、都合が良すぎるかもしれないが、出来すぎていると。
そんなことはもう考えないでおこう。

支給品の確認と試しが終え、今後の行き先を選択する。
風都タワーにもう一度行くが、自分が来る頃には仕留められなかった連中は既にいないだろうが、誰かが入れ違いでくるかもしれない。
参加者がいてもいなくても西か東のどちらかに行くことは変わらない。

今すぐにでも戦いを愉しみたいが、もう少し、休憩しながら雨で火があちこちに消えるのを待つのと特に赤い痣の男との戦いでの頭を冷やさなければならない。
JUDOは疲れているにも関わらず、撤退を選択せずに戦いたい本能やプライドの高さが相まってこのような顔末になってしまった。
二度とこんなことにならないよう疲れているときは、癪ではあるが撤退を必ず選び、きちんと自制することを決めた。
これくらいできないとすべての参加者を始末するのは夢の夢になる、両面宿儺も放送で呼ばれなかった所をみると小学生の体でも上手く立ち回っているだろう。
今のJUDOの身体は異形ではない、人間だ。
人間の身体とはいえ、JUDOはどん底まで落ちて、井の中の蛙で世界は広いことを知った。

「痣の男に人間共、餌ではなく、敵として殺す。貴様らに負けない。これが我のリベンジだ。」

改めて、人間を敵と認識し、もう油断も隙も作らない。
特に屈辱と侮辱をした痣の男だけは絶対に自分の手で殺す、奴との戦いに負けて、屈辱を受けただけでなく、ディケイドライバーを壊し、逃走した行為は侮辱以外にない。
奴と再び遭遇次第、仮に命乞いしたとしても二度と許さない、完膚泣きまで勝利する。
そうこうしている内に雨はとっくに降っていた。

JUDOはデイバックからコンビニ弁当を出して食事にする。
そういえば何も食べていなかった、とJUDOはゲームが始まって初めての食事を取る。



【E‐4 葛飾署/日中】

【大首領JUDO@仮面ライダーSPIRITS】
[身体]門矢士@仮面ライダーディケイド
[状態]負傷(小)、疲労(小)
[装備]ディケイドライバー+ライドブッカー+アタックライド@仮面ライダーディケイド
[道具]基本支給品×5、賢者の石@ドラゴンクエストシリーズ、警棒@現実、アクションストーン@クレヨンしんちゃん、トビウオ@ONE PIECE、タイムふろしき(残り使用回数:1回)@ドラえもん、精神と身体の組み合わせ名簿×2@オリジナル、レインコート@現実
[思考・状況]
基本方針:優勝を目指す。
1:闘争を楽しむが、今はまだ休息を取りながら火が収まるのを待つ。
2:その後、風都タワー行き、誰かがいれば闘争を楽しむ。
3:2がいてもいなくても西か東どちらかに向かう。
4:改めて人間どもは『敵』として殺す。
5:屈辱と侮辱をした痣の男(ギニュー)は絶対に絶対に絶対に絶対に殺す。
6:宿儺とは次に出会ったら、力が戻った・戻ってないどちらにせよ殺しあう。
7:疲れが出た場合は癪だが、自制し、撤退を選択する。
8:優勝後は我もこの催しを開いてみるか。
[備考]
*参戦時期は、第1部終了時点。
*現在クウガ〜響鬼のカードが使用可能です。



【タイムふろしき@ドラえもん】
元は鳥束零太に支給
時計のトレードマークのふろしきで、赤色を表に被せると古い人・物の時間を巻き戻すことができるが、青色を表に被せると新しい物の時間を進行することができる。
本ロワでは制限により、使用回数は3回までとする。

50ディケイドリベンジャー-cry baby- ◆2fTKbH9/12:2022/10/02(日) 22:16:04
仮投下を終了します。
不安があるので意見をお願いします。

51名無しさん:2022/10/05(水) 00:54:10
お久しぶりですPlsです。
今回、私が執筆した『不殺の刃』について炭治郎の記述が少し足りなかった、かつ文章に矛盾があるのではと思い、予約される前に描写を追加しに参りました

それではどうぞ

貴方の剣を…ヒノカミ神楽として受け継いでおきながらこの過ちは許されない

の後から追加します


俺はもう鬼殺隊を名乗る資格はもうありません。貴方は追放されてしまったけれども、十分資格があるというのに
貴方の記憶はギニューがヒノカミ神楽を知る為に大きな力になりました
ですが、この記憶は、見たくはなかったというのが正直な想いです。
先祖から受け継いだ想いを裏切ってしまった事に自責の想いに押しつぶされそうになってしまうから
そして、生きるのをあきらめないで欲しいって想いが…伝わってきてしまったから

…そう、実を言うとこの記憶は炭治郎の想定していた物ではなかったのだ
当然である。この記憶は本来元々いた世界で炭治郎だけで知る事になるはずだった記憶だったからだ
ならばなぜこの記憶はあのタイミングで現れたのか?
…もしかすると、炭吉は、炭治郎の先祖達は願ったのかもしれない、どんなに罪の意識に苦しんでいたとしても
この戦いで死なないで欲しい、と
果たして見せられた記憶が日輪の耳飾りをしている男…縁壱が自らの罪で苦しんでいた時に竈門家の出会いで再び希望を取り戻せた時の物であったのは偶然だろうか?

…炭治郎は死にたがっていた、それは事実だ。
だが炭治郎は託された想いを無視する事など彼にはできない
そう、本来はあの時、響鬼の音撃によって気絶した時にそのまま剣で殺されていれば死んでいたはずなのである。
…だがその先祖からの想いを受けて、彼は目を覚ます事を、現実と戦う事を決めたのである

それに、炭治郎はもう一つやりたい事があった
それは、仲間への今の自分の状況を知ってもらう事である
もしこのまま自分がギニュー事死んだとする
そうなった時に…俺の身体がどのように会場で動いていたのかもし自分の仲間である善逸や悲鳴嶼さんやしのぶさんが知ったらどう思うだろうか
刀の様子や生き残った人…タワーにいた3人から自分が殺人者である事は把握されると思う
それでも良い、紛れもない事実だから
問題は俺の身体がなぜ人を殺したのか考察される時間を使わせてしまう事だ。
俺の肉体をそこまで気にかけてもらっては欲しくない、そのような時間があったら少しでも人を護る為に剣を振ってほしい

だから、少しでも接触して今の状況を知ってもらって…その後に
出来るのならば、今の俺を断罪してもらいたいな…善逸は嫌がるかもしれないけど、
悲鳴嶼さんやしのぶさんならやってくれる
そしてそれが鬼滅隊の誇りを守る事にもつながるはずだ

後、あの茶色い女の子も俺を断罪する資格がある人だ
俺を殺して仇を早く討ってほしい、あの結城さんという人の仇を

だが問題はこの男がこれからどう動くかだ
相手を殺せないと分かった以上、コイツはボディーチェンジをする事でまた別の人の身体に乗り移って殺しを再開する気だ
そうなる事で俺の身体は人を殺さないようになるかもしれないけどそうなると今度は他の人の身体が…!!
他の人には俺のように罪を背負う苦しみは味わって欲しくない…!!絶対に止めたい、けど…感覚で分かる、今の俺ではそれに干渉する事は無理だ…!!
だから、それについては相手が避けてくれる事を信じるしかない…
でももしいい人に乗り移られたら記憶を伝えてサポートしたいな
もし殺しに乗ってる人だった場合は…また干渉して封じ込めるしかないな
…今ボディーチェンジされたの時の事考えてどうするんだ!!今大事なのはコイツを封じ込めるように努力する事だろ!!しっかりしろ炭治郎!!

次に考えたのは…先程倒したあの男である。
正直本当に強すぎたと彼は思った
万全の状態だったら響鬼にならずとも俺の事を殺せたと思う
…一応変身アイテムを壊しておいたとは言え、あのまま放置して逃げて良かったのか、もう少し粉々にしておくべきだったのか…
もし万が一修復された上、万全で襲われたら次は…!!仲間に会うまでは死ぬわけにはいかない以上ギニューに干渉して逃げさせるしかないかもしれないと考えた


ここで突然だが今のギニューの状態について補足させてもらおう
もし今のギニューが誰かに襲われた場合、頭痛がないままで戦える、〇か、Xか?
答えは〇だ
いくら何でも敵を迎え撃つことまで干渉するつもりはないし、そこまで緩んでいるわけではない、勿論、その中で相手に殺意を向けたら別だが、自己防衛の為にぶちのめして気絶するまでは普通に可能である。

52 ◆P1sRRS5sNs:2022/10/05(水) 00:55:24
続きです。



改めて炭治郎の思考に話を戻そう

もう一人考えなくちゃいけない奴もいる、鬼舞辻無惨だ

奴は今どんな身体を使っている…?場合によっては最大の脅威にもなるし、罪のない人の身体を使っていたのならば最悪だ…殺す事なんて出来ない…!!
その時炭治郎は思いついた事がある。
それは、あえてギニューにボディーチェンジをさせて、自分の身体を無惨に明け渡したうえで即座に斬る
…駄目だな、そうなると今度はギニューが野放しだ、でも無惨の方が脅威度は高いか…?
とりあえず無惨の状態は早めに知っておきたいな


…ここまで炭治郎は考えていて
ふと思ったことがある
今のこの俺の状況を…ボンボルトとクウスケという奴等はどう思ってるんだ?と
殺し合いという邪悪な催しを開いている奴等の事なんて考えたくもないけど…ここまで俺がギニューに干渉しているのを黙って指をくわえて見ているのか?
…そして、もしそれに対して対処してくるとしたら
















奴等はどうやってこの身体に干渉してくるんだ?

…今それを考えるのはやめよう!!とりあえずギニューを止める為に全力を尽くすんだ!!
例え身体を取り戻す事は無理だとしても…

いや

さっきから断罪してもらう事しか考えてなかったけど

もし自分の仲間に会えて

皆の応援があったら…もしかしたら…




そんな奇跡、起こりえるのだろうか?
そしてその奇跡は許される物だろうか?
もし許されない場合炭治郎はどう思うだろうか?

…彼はどこまでも善人であった(もちろん人間だから全く悪い所が無いわけではないが)
そんな彼は悪人に身体を支配された結果
阿鼻地獄に等しい苦しみを受ける事になった。
この苦しみは炭治郎を死にたいと思わせるには充分であった
だが先祖の想いを受けて、最善を尽くすまで生きる事を決めたのだ。罪悪感の炎に焼かれ続きながら

果たして彼の想いが報われる時は来るのだろうか?




また、状況表にも追記します。

6:これ以上お前(ギニュー)の願いの為に人は殺させない!!
7:何とか仲間(善逸、しのぶ、悲鳴嶼)に出会って…罪を裁いてもらう
8:主催の奴等は今の俺をどう対処してくるのか…!!
9:身体を取り戻す事は難しくても絶対にあきらめない!!
10:あの茶髪の人がベルトを直して回復してやってきたら…逃げた方が良いかもしれないな
11:茶色の女の子さん…結城さん…本当に申し訳ございません。
12:無惨を警戒、どんな状態か早く知る必要がある!!
13:禰豆子…本当にごめんな…もう俺はお前の兄を名乗れない…鬼殺隊の皆さんにも…俺は泥を塗ってしまった…
[備考]
※参戦時期はナメック星編終了後。
※ボディーチェンジにより炭治郎の体に入れ替わりました。
※全集中・水の呼吸、ヒノカミ神楽をほとんど意識して使えるようになりました。
※隙の糸、透き通る世界が見れるようになりました。
※竈門炭治郎の精神がボディーチェンジを受けた時に目覚めていました。
※現在、ギニューは炭治郎の干渉により人を殺すことが出来ません。これは精神が人の場合も同じであり、精神と肉体が人間ではない無惨、貨物船、デビハムくん、ホイミン、メタモン以外と戦う時は炭治郎の声が頭に響くと同時に頭痛がしてしまい、碌に戦えません
他にも、肉体が人外で、精神が人の場合でも、精神が人外に浸食されている時は頭痛が止む可能性があります。
この今の状態でも普通に戦える相手がいる事をギニューは気が付いてません。
※ボディーチェンジは普通に使用が可能です。ただし失敗すると炭治郎の干渉が強くなり、上記の干渉の内容が変化する可能性があります。ですが、完全に身体を奪え返す事は出来ないようです
※現在相手が襲い掛かってきた場合、迎撃をする事は可能です。ただ、殺意を向けた場合は頭が痛くなります。


以上の文を追加して、よろしいでしょうか?

53 ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 09:53:10
仮投下します

54消失と再誕の若おかみ ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 09:54:44
「仗助君の身体に入ってるのは犬飼ミチル…名前からして女の子かな?」

広瀬康一は、名簿を見ながら呟く。
今彼が見ているのは、精神と肉体の組み合わせが記された特別な名簿。
両面宿儺…いや、関織子から提供されたものだ。
ちなみに宿儺に奪われたウォッチについては、織子さん経由なら少しは聞きやすいと思ってそれとなく尋ねたところ、なんと宿儺が襲撃者―その特徴からおそらくメタモンーに、渡してしまったらしい。
抗議したかったものの、それで宿儺の機嫌を損ねて織子に危険が及んではたまらないので、押し黙った。

(ゲンガー君が言ってた、『精神と肉体はなにかしら共通点がある』ってのをふまえると…仗助君のスタンド能力みたいに、回復能力を持ってるとかかな?)

康一の脳裏にはRPGによくいるローブに身を包んだ僧侶の姿が浮かんだ。

(あるいは…見た目がヤンキーっぽい人だったりして)

ヤンキーっぽい見た目の女性を想像して康一の脳裏に浮かんだのは、どういうわけか由花子だった。
いや、付き合う前のあれこれを考えるとね?
恋人への失礼な想像を頭を振ってすぐに振り払う。

(承太郎さんの肉体は燃堂力…知らないなあ。メタモンの肉体は神代剣)

燃堂力…名前的に念動力を使えたりするエスパー少年だったりするのだろうか。
スタンドもある意味エスパーみたいなもんだしなあ。
そしてメタモン。
ゲンガーの話によれば、この個体のポケモンは、『へんしん』を唯一の特徴とするらしい。
ゲンガーがそうであるように、ポケモンの頃の能力は使えなくなっているのだろうが…自分たちが出会ったメタモンは死人に化けてみせた。
あれは、この神代剣の能力だったのだろうか。

(そして何より気になるのは…DIOの肉体。ジョナサン・ジョースター)

康一はDIOについてそこまで詳しく知っているわけではない。
ただ、その存在は承太郎やジョセフ…ジョースター一族にとって深い因縁のある相手だということくらいは聞いている。
そのDIOに、ジョースター家の…承太郎さんたちの一族の身体が奪われている。
漠然とした不安を感じずにはいられない。

「ありがとう、織子ちゃん、これ返すね」

組み合わせ名簿を見終えた康一は、名簿を返そうとする。

「待って、一応グレーテさんにも見せてきたらどうかしら。言葉は通じなくても、知り合いの名前があったら何かしら反応があるかもしれないし」
「それもそうか、じゃあ…」

康一は立ち上がってグレーテのもとへ向かおうとして…

放送を告げるチャイムが鳴ったのは、その直後だった。

55消失と再誕の若おかみ ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 09:55:22
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「そ、そんな…カイジさん、ロビンさん、エーリカさん…!」

放送を聞いた康一は、その場でガクリと膝を折った。
この殺し合いが始まってすぐに出会い、別れた5人の仲間。
その内の3人が、放送で呼ばれた。
つい数時間前まで一緒にいた仲間の半分以上が、死んだ。
特に、カイジの死は康一に強くのしかかる。
メタモンの襲撃後、別行動を取ると言って別れたカイジ。
あの時、無理やりにでも止めていれば、少なくともカイジは死ぬことはなかったのではないか。
そんな後悔に、とらわれる。

「康一さん…」

そばにいた織子は、どう声をかけたらよいものかと逡巡する。
しかし、すぐに心を決めた彼女は、自分の心のうちに潜む住人へと呼びかけた。

(…宿儺さん)
(それがこの男の笑顔に繋がるというのなら、好きにしろ)
(ありがとう)

宿儺の了承をもらった織子は、康一に声をかけた。

「…康一さん、行きましょう」
「織子ちゃん…?」
「まだ、仲間がいるんですよね。だったら、手遅れになる前に動かないと!」

織子の言葉にハッとする。
そうだ、確かにカイジも、ロビンも、エーリカも死んだ。
だけど、病院へ行くために別行動を取った神楽や、ロビンやエーリカと一緒にいたゲンガーはまだ生きている。
特にゲンガーは、ロビンやエーリカを死に至らしめた事件の渦中にまだいる可能性もある。
急いで、合流しないと。

「織子ちゃん、僕、名簿を見せるついでにグレーテさんに出発すること伝えてくるよ!」

気を取り直して立ち上がった康一は、そういって部屋を出た。

「あっ…私も一緒に行ったほうがいいかしら」

グレーテはひとまず落ち着いたとはいえ、まだその精神は不安定なはずだ。
自分には心を許してくれていると思うが、康一に対してもそうかは分からない。
そう考えた織子は、康一の後を追おうとして、


「え?」


突然、視界が暗転した。

「え?なにこれ?」

辺りは真っ暗闇で、何もない。
何も見えない、聞こえない。

「宿儺さん!?」

両面宿儺に呼びかけるも、反応がない。
突然の事態に織子が困惑していると、

「申し訳ありませんが、関織子。あなたはここまでです」

そんな言葉と共に、彼女の意識は急速に薄れていき、やがて完全に消えた。

「さようなら、織子。そして、『また会いましょう』」

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「おい、小娘!?おい、返事をしろ!」

両面宿儺は、自分の中に眠っているはずの少女に呼びかける。
先刻、周囲が暗転してボンドルドが姿を現し「申し訳ありませんがここまでです」と言ったかと思うと、こちらの意図とは関係なく強制的に肉体の主導権が宿儺に移った。
そして、裏に引っ込んだはずの関織子の意識が…完全に消失していた。
呼びかけるも、応答はない。

「ボンドルド…あの男…!この俺を虚仮に…!やってくれたなあ…!」

56消失と再誕の若おかみ ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 09:56:53
【C-5 村(春の屋)/日中】

【両面宿儺 @呪術廻戦】
[身体]:関織子@若おかみは小学生(映画版)
[状態]:満腹、ボンドルドへの怒り
[装備]:カブトゼクターとライダーベルト@仮面ライダーカブト 特級呪具『天逆鉾』@呪術廻戦
[道具]:基本支給品x3(メタモンx2)、魔法の箒@東方project 魔法の箒@東方project 桃白白@ドラゴンボール(身体:リンク@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド)の死体、ケロボール@ケロロ軍曹 精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル、撮ったものが消えるカメラ(残り使用回数:1回)@なんか小さくてかわいいやつ 魔神の斧@ドラゴンクエストシリーズ
[思考・状況]基本方針:主催は鏖殺。その他は状況による
1:厄介なことになった…どうする…?
2:JUDOと次出会ったら力が戻った・戻ってないどちらにせよ殺し合う
3:脹相……あの下奴か。どうでもいい
4:縛りにより虫けら(グレーテ)はとりあえず生かす。下奴(康一)はどうでもいい
5:コイツ(天逆鉾)の未確認の効果を試してみたい。(首輪など)
6:はー、めんど
[備考]
※渋谷事変終了直後から参戦です。
※能力が大幅に制限されているのと、疲労が激しくなります。
※参加者の笑顔に繋がる行動をとると、能力の制限が解除していきます。
※関織子の精神を下手に封じ込めると呪力が使えなくなるかもしれないと推察しています。
※関織子の精神が消失しました。呪力がどうなったのかは次の投下にお任せします。
※デイパックに桃白白@ドラゴンボール(身体:リンク@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド)の死体が詰められています。
※組み合わせ名簿から脹相がいるのを知りましたが、特に関心はありません。
※天逆鉾の効果で仮面ライダーへの変身ツールに故障を与えられることを確認できました。
※参加者の肉体に呪霊やそれに類する存在がいる可能性を考えています。またその場合、首輪に肉体の力を弱める術式が編まれていると推測しています。

57消失と再誕の若おかみ ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 09:58:09
【広瀬康一@ジョジョの奇妙な冒険】
[身体]:エレン・イェーガー@進撃の巨人
[状態]:吉良吉影の死に対する複雑な感情、背中に複数の打撲痕及びそれによる痛み、両面宿儺に対する戦慄
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、タケコプター@ドラえもん、精神と肉体の組み合わせ名簿@チェンジロワ
[思考・状況]基本方針:こんな殺し合い認めない
1:グレーテを呼んでくる
2:両面宿儺を強く警戒。でも下手に逆らって織子ちゃんに危害を加えられたら…
3:神楽さん……無事を祈っています。
4:まさか吉良吉影が死ぬなんて…しかも女の子の身体で…
5:仮面ライダーの力が無くなった分も、スタンドの力で戦う
6:いざとなったら巨人化する必要があるかもしれない。
7:メタモンにまた会ったら絶対に倒さなくては!
8:メタモンが僕らの味方に化けて近づいてくる可能性も考えておかなきゃ
9:皆とどうか無事に合流出来ますように…そして承太郎さん、早く貴方とも合流したいです!
10:DIOも警戒しなくちゃいけない…ジョースター家の人間の肉体を使ってるなんて
11:この身体凄く動きやすいです…!背も高いし!
12:仗助君の身体を使ってる犬飼ミチルちゃん…良い人だと良いんだけど…
13:吉良吉影を殺せるほどの力を持つ者に警戒
[備考]
※時系列は第4部完結後です。故にスタンドエコーズはAct1、2、3、全て自由に切り替え出来ます。
※巨人化は現在制御は出来ません。参加者に進撃の巨人に関する人物も身体もない以上制御する方法は分かりません。ただしもし精神力が高まったら…?その代わり制御したら3分しか変化していられません。そう首輪に仕込まれている。
※戦力の都合で超硬質ブレード@進撃の巨人は開司に譲りました
※仮面ライダーブレイズへの変身資格は神楽に譲りました。
※放送の内容は後半部分をほとんど聞き逃しています。具体的には組み合わせ名簿の入手条件についての話から先を聞き逃しています。
※元の身体の精神である関織子が活動をできることを知りました。
※アナザーウィッチカブトは宿儺に無理やり奪われました。

【グレーテ・ザムザ@変身】
[身体]:スカラベキング@ドラゴンクエストシリーズ
[状態]:睡眠中、満腹、スカラベキングの精神復活
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本方針:生きて帰れたら、兄に謝罪したい
1:……ZZZ
2:オリコ……ワカオカミ……この小さなjapanischMadchenが私を助けてくれた…
3:オリコの血…とても美味しくて……何だか良い気分だったわ…
4:私はグレーテ・ザムザ。心まで怪物になったわけではないわ
5:グレゴール兄さん……私、兄さんに謝らなくてはいけない…
5:キュイイイイイイ!!!(ニンゲン!!!)
[備考]
※しっぽ爆弾は体力を減少させます。切り離した腹部は数時間ほどで再度生えてきます。
※デイパックの破れた傷が広がっています。このまま移動し続ければ他にも中身を落とすかもしれません。
※血の味を覚えました。
※吉良吉影を殺したのは軍服姿の大男(犬飼ミチル)だと思い込んでいます。
※放送の内容は後半部分をほとんど聞き逃しています。
※広瀬康一を絵美理と同種の危険な存在と認識しています。
※織子により、ひとまず落ち着きました。(体が毒虫でもグレーテであると自信を持ちました)
※スカラベキングの精神が復活しました。
※脳内にスカラベキングの声が時折響きます。ただし、グレーテはまだ、それがこの身体の持ち主の声とは思っていません。
※織子の血を吸った際、宿儺の持つ呪力が身体に混ざりこんだ可能性があります。

58消失と再誕の若おかみ ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 09:58:49
「両面宿儺に宿る精神…関織子の封印ですか?」

時間を少し遡って、場面はこの殺し合いの主催者たちが集う場所。
放送が終わった後、斉木空助はボンドルドにそのような提案をした。

「ああ、他はともかく、彼女については早急に対処した方がいいと思うよ。『ボス』にも進言して、許可をもらってる」
「確かに彼女は、宿儺によって自分の意思で身体を動かせるようになっている…厄介ではあると思いますが…」
「別にそれだけなら俺も放置しておいていいと思うよ。でもさ…彼女、それ以上に厄介かもしれないんだよね」
「ほう?どういうことでしょうか?」

空助の言葉に、ボンドルドは興味を示す。
空助は、話を続ける。

「これまでに起こった精神の復活…想定外なことはあったけど、原因自体ははっきりしてるものがほとんどだ。宿儺やエボルトは固有の能力で、ギニューもボディチェンジの綻びといった感じでね。だけど、いくら調べても原因が見つけ出せない存在がいる。…ン・ダグバ・ゼバの肉体の櫻木真乃、グレーテ・ザムザの肉体のスカラベキングだ」

ダグバにもグレーテにも、肉体の精神を復活させるような能力などない。
肉体側の真乃やスカラベキングにも。
それなら何が原因なのかと空助は考え…視点を内ではなく、外に向けた。
原因が内側ではなく外側にあるのではないかと。
そうして目をつけたのが…関織子だった。

「ダグバは、織子ちゃんの精神が復活した後の両面宿儺と接触した後、唐突に肉体の精神を復活させた。グレーテさんも同様だ」
「つまり、織子の精神の復活が、感染するように周囲の参加者に精神の復活を促していると?」
「推測とはいえ、状況的にはそう考えざるをえない」
「…ふむ、あなたの考えはよく分かりましたが、しかしそれならば、彼女を宿儺ごとこちらに転送して調査するべきではないですか?」

ボンドルドとしても、もし本当に関織子がそんな特殊な体質を持っているというのなら、手元において調べたいところだった。
故に、封印するよりは調査をするべきではないかと意見を出す。

「おいおい、まだこの殺し合いは中盤に入ったばかりだ。そんな状況で、殺し合いを円滑に進めてくれそうな強力な駒を舞台から追い出すのは、あまりいい手とはいえないんじゃないかな」
「…分かりました、彼女については今から出向き、手を打ちましょう。その代わり、こちらも一つ頼みごとをしてよろしいでしょうか」
「なんだい?」
「あなたの知り合い…鳥束零太の肉体を、使わせてほしいのです」

59消失と再誕の若おかみ ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 10:00:14
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「ほ、本当なんですか、ウリ坊や美陽ちゃんと会えなくなるって!」

紫の髪に、白いバンダナの男は、涙目で言った。
その姿はこの殺し合いにも精神側で参加し死亡した鳥束零太のものである。
しかしそこに潜む精神は、これまでの例にもれず別人のものだ。

「はい、『関織子』さん…あなたの霊界通信力は非常に不安定で、このままではあなたが小学校を卒業する前にその力は失われ、お友達のユーレイとは永遠に会えなくなってしまうでしょう」

鳥束零太…いや、その中に入っている関織子に声をかけるのは、穏やかな語り口で話す仮面の男。
ボンドルドである。

「そんな…なんとかならないんですか!?」
「今あなたが入っている肉体の男性は、霊能力者…あなたの霊界通信力とよく似た力を、あなたより安定した状態で使うことができています。私の研究が実れば、あるいはなんとかすることができるかもしれません」
「ウリ坊や美陽ちゃんと…お別れしなくていい?」
「はい、あなたが私の研究に協力してくれれば。お願いできませんか?」

穏やかに研究への協力を求めてくるボンドルドに、織子は俯く。
そして、顔をあげると言った。

「…約束してください、私や私が今入っている男の人を、ちゃんと無事に帰すって」
「…ええ、それはもちろん」
「それなら…協力します」

織子はそういうと、「よろしくお願いします」とぺこりと頭を下げる。

「ありがとうございます」

ボンドルドは、変わらない穏やかな口調で、礼を言った。

(『完全な霊能力の肉体』と『不完全な霊能力の精神』…異なる世界の、似て非なる力が混じりあった時、どんな可能性が生まれるのか…見せてもらいましょうか)

仮面の下の瞳に、怪しい輝きを隠しながら。


【追加主催陣営】

【関織子@若おかみは小学生(原作版)】
[身体]:鳥束零太@斉木楠雄のΨ難
[備考]
※殺し合いについて説明を受けていません。
※参戦時期は少なくともウリ坊や美陽に会えなくなることを聞かされる前です

60 ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 10:02:29
投下終了です
宿儺側のおっこ精神消失だったり、主催側に動きがあったりと色々あるのでこちらに投下させていただきました
問題がないようなら本スレに投下します

61(仮)蓋の名前がマンホールだって最近まで誤解してた ◆HAiYMV5uZE:2022/11/08(火) 22:24:05
タイトル以外はまとまったので仮投下させて頂きます。本投下時は改題予定です。
先日の本スレと議論スレの書き込みにつき、13日(日)まで御意見を募集した後で仮投下するように読めてしまってますね。このことを踏まえ、本投下は14日以降の予定です。

62(仮)蓋の名前がマンホールだって最近まで誤解してた ◆HAiYMV5uZE:2022/11/08(火) 22:25:04
下水道の床は、ごくごく緩やかな下り勾配となっていた。南西側が上で、北東側が下になる形の勾配だ。
少なくとも、E-6でミチルたちが魔王に襲われた辺りから、D-6の境界辺りまでは。

「…………………は?」

衝動に突き動かされた耀哉は、地上までの距離がより長くなる深い場所へと無意識に突き進み、ミチルと共に、T字路の|と―が交わる箇所に行き当たる。
左右には果ての見えない下水路が続く。後方は今まで北上してきた下水路があり、前方は壁だが、地上に出るための整備用のハシゴだけがある。
耀哉が正気を取り戻した場所は、そのような構造をしていた。



「…え?」

身体が震える。寒気ではない、あまりのおぞましさと己の不甲斐なさに。

「ここは……どこだ…?君は…?
 私は……何をした……?何を、したんだ……?」

見知らぬ場所、見知らぬ人。分かっている。分かるしかない。認めたくないが、人として絶対に許せざることをやったとしか思えない。

(この身体が御しれなくなり、シロのように誰かを襲った……!)

悪臭に満ち満ちた、ここはおそらく廃水用の水路。足元には支給されていた乗り物。
目の前には、片目が潰れた上に傷だらけの青年、変わった髪型の、知らない青年。刀を持っている。呆然とした様子で、こちらを見ている。

「何を、って……!! ――覚えていないんですか……? ッ!」

何か勘付いたらしい青年は、まるで女性のように腰を抜かして数歩下がり、背後の壁、ハシゴの真横にもたれ込んだ。持っていた刀が床に転がる。
続ける言葉は、極めて限りない正解。

「もしかして、……ときどき記憶と正気を無くして、襲い掛かってくるような、……そんな能力者なのですか、あなたはっ……!?」

目の前のこの彼は鬼ではない。今の耀哉にはそれが感じ取れる。
髪型は奇妙だが、善良で勘が強いだけのヒトだろう。この反応から考えて、おそらく耀哉が襲ってボロボロにしたと思われる。

「……。ああ。鬼を増やす衝動が抑えられない、……らしい。……本当にすまない、私の心が弱かったからだ……!!」

耀哉はその場で勢いよく土下座した。横倒しのマシンディケイダーにも、路面の汚水に一切構わず、身体を伏せ続けたまま尋ねる。

「どうか教えてほしい。ここはどこで、私は、……この身体で、どれほどのことをやってしまったんだい……!?」

63(仮)蓋の名前がマンホールだって最近まで誤解してた ◆HAiYMV5uZE:2022/11/08(火) 22:25:54



「ええっと、……頭を上げて下さい。えっと……」

へたり込んだ青年は明らかに口ごもっていた。気を使われているのか、疲れているのか、酷く切り出し方に迷っている風で。
長い思考の末に出た言葉は、「ここは地下の下水道で」という台詞。
座した耀哉が、それだけ聞いた段階で。

――『初めまして、殺し合いに参加している皆さん』

放送が始まった。



地下の下水道では、島の中央のモニターを見ようがなかった。画像を映し出す機器類も全くない訳で、青年と耀哉は座ったまま音声だけを聴いた。
姿の見えない主催の自己紹介を経て、想定外の事態のこと、死亡者の発表。
……途中、目の前の青年は「エルドルしゃん……」と呟いた。明らかに知り合いが襲われて死んだらしい口調だ。
各々の参加者の反応に構わず、ボーナスについて、モノモノマシーンについて、と、放送が進んでいく。
その次の内容は、耀哉にとってはあまりにも重大すぎた。

――『後は、天気の話をしておこう』
  『空をよく見れば分かるだろうが、雲が多く出始めている』

「!?」

――『今から一時間もすれば、雲はこの島全体を覆うことになる』
  『やがては、雨が降ることになるだろう。それもかなりの大雨だ』
  『雨に濡れて風邪を引かないよう、傘なりレインコートなりを探してみたら良いだろう』
  『だがもしかしたら、この雨で火事の勢いも弱まり…やがて鎮火することがありえるかも、しれないな』



「何だと……」

雲が出始めている。雨が降り出す。いずれにせよ極めて重大な情報だった。
いずれ陽光が射さなくなる、あるいはもう射さなくなっている、ということ。自殺を志向する耀哉にとって、最悪の事態でしかない。

――『最後に、私個人の夢を話す』

前を見る、傷だらけの奇妙な髪形の青年が座っている、その真横にハシゴ、ここは地下で、ハシゴを上れば、ひょっとしたら、そうすれば、外は、きっと、空模様次第で、もしかしたら。

――『私の夢は、人とポケモンが本当の意味で共に寄り添った暮らしをする世界だ』

衝動を抑えられない己、この彼と自分は距離を取るべきで、ここは殺し合いの場、手ぶらでは目の前の彼は残せまい、己の物を全て全て託し、この鞄を、いや、鞄以外の全ての物を……!!

「そうだ……!!」

とっさの機転。
支給品を出す時の仕組みが人知を超える物であったなら、支給品を仕舞うときでも同様のはずではないのか、というひらめき。

――『ポケモンというのはとても高貴な生き物だ…』

厳密には2回目の発想ではあった。正確に言えば、この下水道へ逃げ込むときも同じ行動を取っていたのだから。
もっともその頃の記憶は今の耀哉には無く、主観としては初めて気が付いた着想。
それは果たして想像通りだったようで、人を載せて走行できる大きな支給品は、バックパックの中にどうしてか綺麗に収まったのだ。

「この荷物、君に譲ろう。今入れた物のほかに、飲み物と特殊な地図が入っていた、はずだ……!!」

脚を投げ出している青年の膝の上に、バックパックを落とす。

「えっ!?」

――『そんなポケモンと人類の未来を、私はより良いものに変えていきたい』

驚く声が出た俯き顔をまともに見ず、よく分からない内容に突き進む放送を無視して、耀哉は強くハシゴを掴んだ。

64(仮)蓋の名前がマンホールだって最近まで誤解してた ◆HAiYMV5uZE:2022/11/08(火) 22:26:45


元々ミチルと耀哉が立っていた下水道の天井、その一部をくり抜いて、ギュッと狭くなった丸いだけの空間が伸びている。
蓋と下水道本体を繋げるだけの、整備用のハシゴが壁にあるだけの細長い空間こそを、人(man)が作業に行き来する縦の穴(hole)、すなわちマンホール(=man+hole)と呼ぶ。



――『それを実現するために、私はこの殺し合いの運営に参加することを決めた』

耀哉の個別支給品は3つだった。
1つ目はマシンディケイダー。2つ目は、とても甘いらしい上に飲めば体力を大量回復するかもしれない、おまけに飲みかけにできない飲み物。3つ目が、2回目の放送後から使い物になるという参加者の身体の配置図、……それが全てだったと思う。
飲み物は、今までどう使ってきたか自分でも分からない。記憶の限り極度に疲労する機会もなく、使う時は1本全部飲み干すしかないという仕様からして、試飲さえしなかった。正気を失っていた頃はどうだろう。人ならざるこの身体で必要だとは思えないけれども。
配置図の方は、おそらくはそのままのはずだ。同梱の説明書通りの代物なら、今まで白紙のはずだろうから。……いや、ひょっとしたら、今までに誰かから支給品を奪ったりしている恐れは、無いとは言い切れないか。

(だが、確かめる時間があるはずもない、時間を浪費して空が曇ってしまったら……)

正直なところ、さっき荷物を渡した青年にとって、本当に役立つ物品なのかどうかも全く不明瞭。
しかし少なくとも耀哉には必要のない物のはずだ。
外が死ねる環境ならば、当たり前だが、余計な物は持たなくともいい。
仮に死ねない環境であったとしても、やはり不要のはずだ。余計な移動手段は周囲に害だし、回復の道具も不要、余計な位置情報を目にした時の反応も、今は考えるだけで恐ろしい。……それを手掛かりに他人を探し回るだろうから。

――『だからこそ、君たちには引き続き頑張ってもらいたい』
  『健闘を祈っている』

ちょうど放送が終わった頃合いに、マンホールを登り切った。
片腕でハシゴを持ったまま、もう片腕で力を込めて頭上の蓋を持ち上げる。おそらく正規の手順とは違う形で、不自然にミシミシと蓋がズレていき、……あっけなく腕先が炙れた。

(……よかった)

この蓋の一枚上が屋外であること。とりあえずこの瞬間は陽光があること。どちらにも安堵を感じた。
今まさにこの瞬間において、死ねる程度の日差しはあると信じたい。即死できない弱さであったとしても。
片腕が少しずつ灼ける苦痛は当然に無視して、蓋を横方向にずらすように力の向きを変えた。ただ顔は下を向く。最期の一瞬まで喋れるように。

「ひどく迷惑をかけて心苦しいが、……遺言を聞いてはもらえないかい。……言い訳がましいが、私が制御しきれなかった、この身体の、本来の主のことを話したい」

傷だらけの青年は、不甲斐ないこちらを見上げてくれている。そのまま、上から言葉を続けた。

「鬼舞辻無惨、という名の、許し難い鬼だ。……奴もまた、殺し合いに巻き込まれている。精神の方は、誰の身体に居るのか分からない。……どんな身体であれ、ここでもまたロクなことはしていないだろう。……千年前から大正の今に至るまで、大勢を鬼に変えて……、凶行を重ねた……、そんな性質の、やつだか、ラ……」

喋るほどに擦れゆく声でここまで話せた頃、ゆるやかに壊れゆく四肢がハシゴを保持し切れなくなった。
落下する。目を見開く青年の顔が、白くかすれるように溶けていく――。



ちいさな落下物がひとつだけ地面ではねて、ちょうどミチルの太ももに飛び込むように転がり込んできた。

(あの人の首輪、ですか……)

壁にもたれ掛かって座ったままのミチルは、譲られたデイパックを左手で抱えたまま、指先だけで首輪を摘み上げて、また真上を見上げる。
蓋がズレきって丸く見える穴の、遥か上。雲が、空を全て覆いつつあった。
ミチルには鬼の消え方について知識がある訳では決してないけれど、もうこんな風に曇ってしまったなら、もう十分に日光を浴びることはできないような気がする。……変な言い方だが、滑り込みで何とか自死を選び取った瞬間だったように思えて。

(シロちゃん、エルドルしゃん……)

決して好き好んで彼等を鬼にする人格ではなかったのだ。あの人物は。
思えば、本来話すべき事を、ミチルからは何一つまともに話せなかった気がする。しんのすけが、謝りたがっていた事も、自分が、精神と身体の組み合わせ名簿を持っていることも。
お互いに名乗りもしなかったが、身体の方が「きぶつじむざん」だ、と、最期に言っていた。ならば精神の方の名前は、組み合わせ名簿から分かるだろう。
整備用のハシゴを見上げても、あの人の姿はもう見当たらない。

【産屋敷耀哉@鬼滅の刃(身体:鬼舞辻無惨@鬼滅の刃) 死亡】

65(仮)蓋の名前がマンホールだって最近まで誤解してた ◆HAiYMV5uZE:2022/11/08(火) 22:27:28
【D-6とE-6の境界 下水道(蓋が外れたマンホールの真下)/日中】

【犬飼ミチル@無能なナナ】
[身体]:東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険
[状態]:ダメージ(大)、疲労(極大)、右目失明、左背面爆傷、右肩に裂傷、深い悲しみ(極大)、無力感(極大)
[装備]:
[道具]:ミチルのデイパック(基本支給品×3、ラーの鏡@ドラゴンクエストシリーズ、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル、ランダム支給品0〜1)、耀哉のデイパック(基本支給品、マシンディケイダー@仮面ライダーディケイド、ミックスオレ(残り?本)@ポケットモンスターシリーズ、2つ前の放送時点の参加者配置図(身体)@オリジナル)、耀哉の首輪
[思考・状況]基本方針:殺し合いはしたくない。
1:……
2:どうしてキョウヤさんが…
[備考]
※参戦時期は少なくともレンタロウに呼び出されるより前
※自身のヒーリング能力を失いましたが、クレイジーダイヤモンドは発動できます。ただし傷の治療は普段よりも完治に時間が掛かり、本体に負担が発生するようです。
※名簿を確認しました。
※第2回放送は音声のみ聴きましたが、最終盤(ハワードが個人の夢を話す辺り)の把握がいまいちです。

※【ミックスオレ(残り?本)@ポケットモンスターシリーズ】は、1本開封して消費し始めると飲みかけにはできない仕様です。残数・回復効果の有無は、後続の書き手に任せます。(鬼化した耀哉が全て飲み切っていた可能性もゼロではないものとします)
※【2つ前の放送時点の参加者配置図(身体)@オリジナル】は、現時点で第1回放送時点の参加者配置図(身体)となっています。第3回放送開始終了時には一旦表示が消失し、改めて、第2回放送時点の参加者配置図(身体)が表示されます。
※【物干し竿@Fate/stay night】が手元から離れました。現時点でミチルがすぐに拾い上げられる場所に転がっているものの、本人が落としたことに気付いていません。

※下水道の壁のハシゴを登ると、地上に出られます。少なくともこのマンホール穴の真上には、日差しや降雨を遮る物は存在しません。


【2つ前の放送時点の参加者配置図(身体)@オリジナル】
当該放送時点での全生存者の配置図(身体)が表示されている地図。参加者の写真のみが掲載されており、氏名の記述は無い。(マップの書式は、当企画wiki資料コーナーの現在位置ページの図面に準拠)
第2回放送終了以前は、当アイテムの説明書および白紙が支給されている状態となっていた。
第2回放送終了時に、白紙上に初めて第1回放送時点の参加者配置図(身体)が表示される。次回の放送終了時には従前の配置図が消失し、改めて新しい配置図が表示される仕組み。


【ミックスオレ@ポケットモンスターシリーズ】
ポケモンの体力を回復するとても甘いジュース。おおよその場合、350円で購入可能で、HPのみを70〜80回復する。毒・麻痺・やけど等の状態異常に対しては効果がない。
当ロワにおいては、飲みかけにはできない制限付き。かつ、参加者が飲んだ場合の効果は不明瞭。
つまり、使用する場合、丸ごと1本飲み干すしかない。飲んだ結果、単に美味しいだけの飲料ということが分かるだけかもしれないし、実際に体力を回復するのかも分からない。

66 ◆HAiYMV5uZE:2022/11/08(火) 22:31:42
>>62->>65までで仮投下完了です。御意見頂けますと幸いに存じます。

67 ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:40:56
仮投下します。

68Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:43:53
赤いコートを羽織っている少年、ギニューは川を沿って移動していた。
JUDOとの戦いの後、フリーザの宇宙船に向かうか、放置してしまった荷物を取りに街の中心部に戻るか深刻に悩んでいた。
選んだのは前者で予定通りフリーザの宇宙船に向かうことだ。
後者は戻ったとしても茶髪の男の戦力がなくなったのはいいが問題はその後に妙に聞こえてくる声のせいで止めを刺せず放置してしまったことで今頃、再起している可能性を考え、ギニューの今の状態では諦めざるを得なかった。
それ以外にも一回目の放送以降、街の中心部にいる参加者を狙い続けた結果、余りにも留まりすぎた。
余程のことがない限り、道草している暇はない。

「どうして、どうしてこうなった」

ギニューは苛立っていた。
JUDOの戦いの中で聞こえてくる声のせいで他の参加者を殺すことができないことに。
その挙句、優勝するとか考えると頭痛が出てしまう、これのせいで冷静さを奪われ荷物を放置してしまうミスを犯した。
トビウオや賢者の石という便利な支給品があったのに失う羽目になった。
一体どこで間違えてしまったのか。
言うまでなく妙な声が聞こえた時点で違和感に気付いて、戦闘を中断すべきだった。
そこに気付かなかった時点で泥沼にはまった。

「一刻も早くチェンジしなければ」

干渉されたことでこの身体も使い物にならない。
他の参加者と会うまでそれまでは辛抱するしかない。
重要なのは言葉を喋ることと聞こえてくる声に干渉しないことだ。

またしても背水の陣になったと思っていたら、チャイムが鳴り響いた。

上空に巨大な映像が浮かんだ瞬間、ギニューは頭が真っ白になった。
そこに映っているのは自分が仕えている主の身体なのだから。

「なぜ、フリーザ様の身体が」

見間違えるはずがない、白い肌に紫の光沢をする短い円錐型の黒い二本の角が特徴の容姿。
紛れもなくフリーザ本人の身体だ。
死んだと思っていた主人が生き返っていたのだ、主催者の願いを叶える力はあるのだと再確認できた。
そこはいいが、また新たな問題が発生したと頭を抱えるしかない。

(フリーザ様に何があった?)

当初はナメック星で超サイヤ人に殺されたフリーザを生き返らせるために迷いなくゲームに乗った。
しかし、たった今、状況が変わってしまった。
フリーザの身体が主催者の一人によって奪われていた。
フリーザの精神は無事なのかどうか気になって仕方ない。

(今は放送に集中しよう)

今も動揺は抑えられないが、今は放送を聞くことを優先し、冷静さを取り戻した。
死亡者発表、禁止エリア、組み合わせ名簿、モノモノマシーンなど一回目の放送と同じく重要な情報量が多かった。
荷物を放置してしまったが故、組み合わせ名簿に孫悟空やベジータの身体が誰なのか、そもそもあるかないかの確認が取れなくなった。
モノモノマシーンだってそうだ一応、設置された二ヶ所の施設の名前の把握はできたけど肝心な地図がないと分からない。
妙な声のせいでおじゃんになった。

全ての伝達事項を語った後、フリーザの身体を利用しているハワードという男の映像が消えた。
フリーザの身体を勝手に使っているハワードには怒りがあるが殺気を出してしまったらまた頭痛がするので我慢した。

69Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:45:57
フリーザの精神がハワード達に何されているのか分からないのにギニューはこのゲームが始まってから自分の不甲斐無さに恥じていた。
ギニューは振り返っていた。
ケロロの身体だった頃は他よりスペックの差があったとはいえ、変体天使(姉畑)になすすべなく屈辱を受けた。
それでもフリーザのために諦めなかったことで炭治郎の身体を入れ替えることに成功した。
この身体でやっと参加者を一人殺害に成功し、これからだと思っていたのに干渉されたせいで誰も殺せず余計なことを考えたら頭痛がする始末でボディチェンジ以外は八方塞がりだ。
でも、今はフリーザの宇宙船に行かねばならない。

「そろそろ出発するか」

重い腰を上げ、急いで目的地に辿り着かないといけない。
その時だった、
視界が黒く暗転し出したのは。


「これは何だ?」


ギニューは突然のことで困惑していた。





放送が始まった時刻にて。
ボディチェンジの綻びにより、復活した炭治郎の精神は放送を聞いていた。
鬼殺隊の人達が呼ばれなかったことに安心したが、無惨が健在で油断できないことや改めて結城という男の子の罪悪感がある。

(本当にごめんなさい、結城さん)

放送を聞いてまた胸を締め付けられた。
一刻も早く鬼殺隊の人達や茶髪の女の子に断罪してもらうことを強く心に決めた。
自分の身体でこれ以上罪を重ねないために。

(とりあえず今はギニューの行動を妨害するしかない)

ギニューはフリーザのことで動揺していたけど炭治郎には関係ない。
ハワードの伝達でものものましーんという明らかに殺し合いを加速させるものが導入された。
ギニューはその条件を満たしている。
ものものましーんを使わせないよう干渉するしかないと考えた。

その後、ギニューはあれこれ考え込んでいたが、炭治郎は邪魔をしまくって殺し合いに反対する参加者を守る形にする。
逆に乗っている参加者に会ったら無力化する。
そのために記憶の遺伝を通してギニューに透き通る世界を習得させ、意図していなかったが、ヒノカミ神楽も不完全ながら完成させた。
自分がギニューを封じ込め続けるしかない、誰かが討ってくれるまで。

ギニューが動き出そうとした瞬間だった。


(何だこれは?まさか)


視界が暗黒に染まったのは。
炭治郎は困惑した、唐突すぎる事態に。
何もかも周りが真っ黒になったと同時に嫌な予感がした。

70Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:47:15
「申し訳ありませんが、竈門炭治郎。あなたはここまでです。そして、修正しましょう。」

黒い仮面被った男ボンドルドが現れ、そう言った。
意識が急激に薄れていく中、炭治郎はギニューに干渉したことが間違いで、主催が対策を立てないはずがない。
透き通る世界と不完全だが、ヒノカミ神楽を習得させたのが裏目に出てしまった。
これらが今後、悪行に使われるとなると自分を責めていた。
ギニューに干渉すれば何とかなると思っていたけど、やはり甘かった。
せめて誰かが討ってくれるのを願おう。

(みんな、ごめんなさい。ごめ・・・・)

炭治郎は謝罪をしながら彼の意識は完全に消失した。





「何なんだ、今のは?」

急に視界が暗転したと思ったらボンドルドが現れ、一言だけ告げて一瞬で消えた。
しかも言ったのは自分ではない。
今の身体の竈戸炭治郎に向けられたことだ、答えは一つしかない。

「俺の知らない内に炭治郎の精神が目覚めたというのか。」

放送で最初の伝達で身体側の精神が復活したとか言われていた。
そうなら全部納得できる。
いつから目覚めたのかギニューには思い当たる節はない。
炭治郎の精神が干渉したせいで荷物を放置する原因になったと思うとやるせない。

「ギニューですね。」

聞き覚えのある声が聞こえた。
後ろを振り向くとボンドルドが立っていた。
日輪刀を構えて警戒するが、定時放送と同じホログラムだと察した。
炭治郎の精神が消失したことで厄介な枷は外されていたことに安心した。

「もう知っていると思いますが、初めましてギニュー。私はボンドルド。以後お見知りおきを。」
「貴様、俺に何の用だ」
「警戒なさないでください。私はあなたを始末するために来たわけではないのです。」

ギニューが警戒するもの無理はない。
何しろ仕えている主人の身体を勝手に使用しているのだから。

「ギニュー、私はハワードから伝言があります。」
「伝言だと?」

主催側からギニューに伝えたいことはフリーザのことだろうか。
ハワードからの伝言ならフリーザの精神の安否を知ることができる機会だ。

「単刀直入にお伝えします。『ギニュー、我々と契約したい、主催側のジョーカーとなって役割を果たしつつ、優勝を目指してくれればいい』とのことです。」
「なん、だと・・・・」

ハワードからの伝言はギニューの斜め上を行く驚愕せざるを得ない内容だ。
なぜ自分にスカウトを持ちかけたのか訳が分からないが、心当たりが1つあるある可能性を。

71Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:48:59
「その前に一つ聞きたい」
「はい。何でしょう」
「フリーザ様も言っていたことなのか?」

炭治郎の身体の精神あったのならフリーザの精神だってある可能性が高いじゃないか。
フリーザの意思なら勿論、喜びたかったが、現在、これといった根拠はない。

「さあ、どうでしょう。あなたが役目を果たして生き残れば自ずと真実は見えてきます。」
「あくまであやふやか。」
「ギニューどうしますか?契約して我々の仲間になりますか?」

正直、胡散臭いとしか言えない。
フリーザの身体を勝手に使っているハワード達に怒りがあるが、今でも堪えている。
だが、主催側に移ればフリーザの精神の安否がいずれ分かる日が来る。
ここで断ってしまったらフリーザの完全復活が永遠になくなるかもしれない、どっちにしろ賢い選択をするしかない。

「いいだろう。契約を結ぼう。」
「契約成立ですね。では、優勝を目指して頑張ってください。」
「質問がいくつかあるがいいか?」
「それは構いません。」

契約したのはいいが、ボンドルドに聞きたいことがたくさんある。
まず真っ先に聞くべき疑問がある。

「炭治郎の精神はいつ復活していた?」
「あなたがボディチェンジでケロロ軍曹の身体から竈門炭治郎の身体に入れ替わり、精神復活の綻びが起きてしまってからです。」
「そんな前から」

ギニューは驚愕していた、ボディチェンジした瞬間から既に狂いだしていたことに。
そうなるとケロロの精神も復活していたということになるが既に死亡しており、どうでもいいと直ぐに興味をなくした。
いろは達との戦いまでは干渉して来なかったことが奇跡だ。

「本来なら精神の復活はごく一部の参加者のみのはずでしたが、我々もギニューのボディチェンジのような想定外が発生してしまったのです。」
「俺は今後もボディチェンジを使っていくが、また精神が復活するのでは不安要素だな。」

炭治郎より、強い身体を見つけたと判断できたら入れ替える。
その方針は今も変わらない。
だが、ボディチェンジをしてもまた同じ悪循環に陥るのではと不安でしかない。

「ボディチェンジは修正をさせていただきました。二度と精神が復活できないよう一回発動したら二時間の間発動しない制限をかけました。」
「そうか、なるほどな」

ボディチェンジに制限をかけたのは癪だが、また精神が復活して厄介になるよりはまだいいほうだ。
一度使うと二時間使えないデメリットはあるが炭治郎より強い身体なのか今以上に見極めて判断しよう。

「次に俺がハンターに選んだ理由は?」

ギニューはなぜボンドルド達にスカウトされたのか意味が分からなかった。
実は優勝したら主催を出し抜いて、フリーザの身体を奪還し、完全に復活させるのを考えているのに。
彼らはその事を分かっているかは不明だ。

「理由はハワードから聞かされていないです。私の推測ではフリーザの身体なのかもしれません」
「同情なのか」
「本来なら竈門炭治郎の精神を封印せずに放置するはずだったのです。ところがハワードがある人物に説得して許可を貰うことができました」
「ある人物だと?」

72Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:50:20
「ギニューが我々側のジョーカーにさせるのを条件に決定しました。」

ギニューは初めて知る、やはりまだ姿を現していない主催メンバーがいる。
ボンドルドの口振りからすると主導者だろう。
しかしだ、ハワードが救済されなかったら自分はこのまま詰んだ状況で一歩間違えたら終わっていたかもしれないことを。
同時にハワードの気紛れだと推測する。
どの道、契約を結べばフリーザを完全復活できるチャンスを待つしかない。

「それよりある人物とは誰だ?」
「お答えできません。我々側の質問は禁止事項です。」
「またあやふやか」

主導者辺りの人物を知りたかったけど、ボンドルドは一切、口を開くつもりはないと判断した。
どうにも自分に主催者の情報を共有させる気はないようだ。

「では、お喋りはこれまでにしましょう。今の所、この辺りに誰もいませんが、念には念を入れましょう。」
「俺もフリーザ様の宇宙船に早く向かいたのでな」
「ギニューさんには横にあるデイバッグと首輪をサービスします。」

ギニューは横を見るといつの間にかデイバッグと首輪が置いてあった。
横にあるデイバッグと首輪を拾い上げた。

「このデイバッグはある参加者が荷物と一緒に海に沈んだ時に、首輪も禁止エリアに指定されたD-8にある死体から首輪を取り出し、それぞれ回収した物です。」

首輪はともかく海に沈んだと聞いて一体どうやって荷物を回収出来たのだと引っ掛かっていた。
何はともあれ放置してしまった荷物をボンドルドにリサイクルみたいな形で用意してくれたことは悔しいが感謝だ。

「私はこれで失礼します。今から他の仲間に用がありますので。それではご健闘を祈ります。」

そう言うとボンドルドは消えるようにフェードアウトした。
この場にはギニューしかいなかった。

ボンドルドの言う他の仲間とは関織子で霊能力の実験の件で用があるとのことだが、主催の情報を一切得ていないギニューは知る由もない。


(考えをまとめないとな)

主催側の契約により、ジョーカーになったギニューはこれからの方針や情報を整理する。

すべての参加者を始末して優勝する方針はジョーカーになる以前から変わらない。
そもそも主催側と契約したのはボンドルド達には秘密だが、本心は連中を出し抜いてハワードからフリーザの身体を奪還し、フリーザを完全に復活させることだ。
契約の話を持ちかけた時、運が回ってきたと考えたのだ。
主人の身体を勝手に悪用する時点で返すつもりないと理解しているつもりだ。
他の乗っている奴らが仮に優勝しても真っ正面から歯向かうのは馬鹿のすることだ。
ならば主催側の仲間になる振りをして、隙を伺い、チャンスを待った方が効率的だ。
この殺し合いの最中に炭治郎より強力な身体があればボディチェンジして主催を出し抜く準備をする。

(最も奴らは穴がある。が、油断はしない)

ハワードとボンドルドは身体側の精神の復活は想定外と告白した。後者は一部を除いてと言っていたが。
つまり、主催側は管理が杜撰していることを露呈したようなものだ。
実際、今更ボディチェンジに制限をかけたことがその証拠。
穴がある候補は今の所はそれだけだ、生き残り続けば候補は増えるかもしれない。
勿論、ギニュー自身も慢心をせずに本心を悟られずに上手く立ち回ることだ。

73Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:51:25
次はモノモノマシーンの件だが施設名は記憶したが、当初は地図もなく、場所の把握は出来ないはずだった。
ボンドルドが荷物をおまけで貰ったために場所の特定はできた。

「フリーザ様の宇宙船の近くにあるのか」

地下通路のほうは入り口がわざわざ南東まで行くのは論外。
もう片方の入り口らしき場所は地図にすら載っておらず当然、断念する。
なら、フリーザの宇宙船の近くにある網走監獄に行くほうが手っ取り早い。
フリーザの宇宙船を調べ終わった後にそこに行ってモノモノマシーンを利用しよう。
ギニューは一人殺害していることとおまけで貰った首輪で最低でも二回はできる。

フリーザの宇宙船のルートだが問題が発生した。
Dー2が禁止エリアに指定されてかなり遠回りをする羽目になった。
トビウオがあれば今頃、禁止エリアに指定される前には素通りできたが炭治郎の精神のせいで放置してしまい、面倒なことになった。

ボンドルドが渡された荷物だがリサイクルされたような物なので支給品は一つしかない。
でも、トビウオの代わりとなる物があった。

「トビウオ程性能は少し劣るがないよりはマシだ」

ギニューが出したのはバギブソンというバイクで推定最高時速は400kmを叩き出すほどの高性能だ。
性能の高いバイクなら三回目の放送が始まるまでには宇宙船に辿り着くだろう。

「組み合わせ名簿はおまけで追加してくれないか」

首輪をデイバッグに仕舞い、組み合わせ名簿を探したが代わりのデイバッグにはないみたいだ。
当初から渡されたデイバッグでないと意味がない。
これで孫悟空やベジータの身体があるかどうか知る機会を失った。
誰かから組み合わせ名簿を奪うしか手はない。

(もう軽率な行動や誤った判断は二度としない)

ギニューは反省すべき点がある。
いろは達の戦いの後に直ぐに街の中心部から離れなかったことだ。
あの連中に執着しすぎたせいで炭治郎の精神が邪魔をするようになってしまい、無様な失態を晒した。
いろは達にこだわらなくても宇宙船に行っている間に他と潰し合えば問題なかったのに。
ここはバトルロワイアルその事を再度理解しないと最終的にハワード達に制裁を下して、フリーザの身体の奪還は叶わなくなってしまう。
もし、フリーザの精神が自分の失態を見たら憤慨して、最悪処刑は免れないかもしれない。
そうだとしても最後まで忠誠を貫いて完全復活を成し遂げる。

「これだけ、礼を言う炭治郎。貴様が無駄な行動をしたお陰で透き通る世界は習得して、ヒノカミ神楽という技の存在を知ることができた」

炭治郎の精神が邪魔をし続けたのは腹が立つが嬉しい誤算もある。
透き通る世界を意図しない方向で使えるようになり、ヒノカミ神楽もこんな形でこの技の存在を知った。ついでに超スピードも。
後はヒノカミ神楽を完全に使いこなせるようにする。
記憶で見た限り、別の痣の男はあれが完成された技を披露していた、つまり、今のギニューのヒノカミ神楽はまだ不完全だ。
次に遭遇する参加者と戦闘になる際、可能ならヒノカミ神楽を完成させる楔になってもらおう。

(ハワード達よ。俺は掌の上を承知の上で従おう。忘れるな、優勝したらフリーザ様の身体を勝手に悪用したのを後悔させてやる)

自分をどこかで見ているだろうボンドルド達にギニューは心の中で言い聞かせた。
今はジョーカーとしてゲームを続けよう。

「今度こそ出発しよう」

74Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:53:47

バギブソンがあるとはいえ宇宙船まで長く感じそうなのは変わらない。
宇宙船に辿り着くまでの間は参加者の戦闘は余程のことがない限り、控えよう。
今まで寄り道をした分、遅れを取り戻さないと。
ギニューはバギブソンに乗り、走って行った。





ギニューの現在地はD-2とD-3の境目の川の橋である。
高性能でスピードが速いのはいいが、一度転倒しかけたのだ。
バギブソンを走らせた後に雨が降ってきたようで、雨は地面が滑りやすく乗り物も例外ではないのにバギブソンのスピードが速すぎる故に曲がり角に右折する際、危なく転びかけた。
こんなんで怪我をしたら洒落にならない、ギニューは直ぐに反省して気を引き締めていた。

今度は慎重に川の橋から右折してD-3の反対側の位置に行くことができた。
バギブソンの扱いも段々と慣れてきた。

次に北上に進行するはずがこの場所に奇妙な建物を発見した。

(地図に載っていない建物か)

D-3に建物がないことは確認している。
だが、発見したとなれば武器が置いてあるのを考えると調べないわけにもいかない。
バギブソンを新たに発見したに建物に進路を変えた。
ギニューは仕方ないとはいえ、また寄り道することに溜息を吐いた。

目の前にある大きな屋敷=みかづき荘に着いたギニューはバギブソンをデイバッグに仕舞った。
みかづき荘に入る前に隣には奇妙な公衆電話が設置していた。
看板に何が書いてあるのか見ると運要素のギミックであった。


公衆電話:
『会場内の出入り口をそれぞれ一か所に設置されており、電話をかけると出口のほうへと転移できます。ただし、最初に使った人が転移すると十分の間だけ可能であるが、それを過ぎると出入り口の公衆電話は会場内のいずれかにそれぞれ転移され、五時間の間は利用できなくなります。再稼働後は再び利用できます。』


ギニューは知る術もないが、この公衆電話はプリキュアの敵対勢力の一つノワール一味がアジト側のモノクロな異世界と現実世界を行き来する転移装置。
今回は主催者の手によりただのワープになっている。

(賭けだけど、利用しない手はない)

ギニューはこのギミックを使用したいと思っている。
他の参加者なら疑問を抱くだろうが、ジョーカーとしての役割が与えられている自分なら言えるが嘘は言うとは考えにくい。
モノモノマシーンもそうだが、このゲームを加速させるために多少のギミックは用意している。
我々はこの殺し合いを円滑に盛り上がりを見せるため。
公衆電話を使わざるを得ないのは散々道草をしまくっているのが原因。
今だって大きな屋敷にあるかもしれない武器を参加者に取られないよう探索せざるを得ない。
出口が宇宙船のC-1なら楽だが、下手すると遠い場所に転移してしまう諸刃の剣でもある。
一分一秒宇宙船に着くには思い切って使おう。

(公衆電話は一旦置いておこう。この屋敷を調べるのが先だ)

75Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:55:03

念のため警戒しつつ、中に入り、まずは一階を探索する。
目に入ったのはテーブルに椅子とソファー。
向かいにカウンターバーにいくつかの椅子がある。
探索してみたがここには武器らしい物はなかった。
だが、冷蔵庫にはプリンアラモードが保存していた。
無論、ここで食事をするわけにはいかずラップをしてデイバッグに仕舞った。
宇宙船を調べ終わったらそこで休憩して食べるのも悪くない。

続いて二階の探索を始める。
階段を昇るといくつか部屋があり、その一つの扉を開けた。
見渡すと机にベッドなどが置かれてある普通の空間だ。
この部屋は数時間前に二度も交戦した環いろはの部屋だ、当然、ギニュー本人は知らぬことだが。
隅々まで調べたが、この部屋にはないようだ。

「結局、収穫はなしか」

二階の他の部屋も調べたが目ぼしい物はなかった。
武器がないのは残念でもあり、ないのは朗報でもあり、複雑だ、それ以上に時間を無駄にした。
甘いものだけはゲット出来たのでそれだけはよしとする。
この屋敷は見る限り宿泊施設のような空間だとギニュー本人の感想だった。

ギニューは屋敷の玄関から出た後、屋敷の隣にある公衆電話の前に立っていた。
公衆電話を使う決意は揺らぎがない。
トビウオがない状況では途中で会った参加者と交戦する事態は避けられない。
宇宙船に到着するまではリスクを減らしておきたい。
特にあそこには回復ポットがある。使用されていないのか確認もするが自分が使うかは状況による。

「さて、吉と出るか凶と出るか」

ギニューは迷いなく公衆電話に入り、受話器を取り、耳に近づけた。
出口が宇宙船の近くにあるのを願いながら。

「もしもし、ギニューだ。」

そう言うと急に扉が閉まり、ギニューは消えていった。
残っているのはブランブランとなった受話器と閉まった筈の扉はギニューが転移した瞬間に開いた事だった。





転移を果たしたギニューは出口の公衆電話から出た瞬間、この一帯は正方形のような大きな壁がある。
見渡すと多くの舎房があることで思い当たる施設は一つ網走監獄にワープ出来たのを知る。

「思ったより短縮できたな」

出口として利用できた公衆電話も入り口と一緒に転移されるのを惜しいと思いつつ宇宙船までの距離まで短縮した。
あの屋敷に立ち寄ったのは無駄ではなかった。
ここなら参加者と会うことはないだろう。
そう思った瞬間、網走監獄に転移して、ある物がここにあるのを意味していた。

「そうだ。モノモノマシーンがあったのだ」

76Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:56:32
この場所にはモノモノマシーンがある。つまり、新しい武器を増やすチャンスだ。
同時にギニューは致命的な問題があるのを気づく。

「また寄り道をしないといけないのか俺は」

網走監獄内にどこにあるか不明なモノモノマシーンを死にもの狂いで時間を掛けて見つけなければならない。
また宇宙船に到着する時間が長くなった。
だからといって網走監獄から行ったり来たりするのは面倒臭い。
予定を変更してモノモノマシーンで武器の調達後に今度こそ本当に道草せずに宇宙船に行こう。
ここに留まり続けたらモノモノマシーン目当てで他の参加者と鉢合わせになりかねない。
急いで見つけてこの場から去ろう。

「監獄内を探すか」

ギニューはボーナス装置を見つけるためだけに捜索を開始する。


【B-1 網走監獄/日中】

【ギニュー@ドラゴンボール】
[身体]:竈門炭治郎@鬼滅の刃
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、上半身に火傷、右腕に切り傷、全身に音によるダメージ、姉畑への怒りと屈辱(暴走しない程度にはキープ)
[装備]:竈門炭治郎の日輪刀@鬼滅の刃、エドワードのコート@鋼の錬金術師
[道具]:基本支給品、バギブソン@仮面ライダークウガ、プリンアラモード@現実、刃衛の首輪
[思考・状況]
基本方針:ジョーカーの役割を果たしつつ、優勝し、主催を出し抜き制裁を下して、フリーザを完全に復活させる。
0:何で寄り道ばかりしている俺は
1:網走監獄のどこかにあるモノモノマシーンを見つけ出す。
2:その後、フリーザの宇宙船に向かう。
3:もしベジータの体があったら優先して奪う。一応孫悟空の体を奪うことも視野に入れている。
4:ヒノカミ神楽を完全に使いこなせるようにする。
5:変態天使(姉畑)は次に会ったら必ず殺す。但し奴の殺害のみに拘る気は無い。
6:炎を操る女(杉元)、エネルギー波を放つ女(いろは)、二刀流の女(ジューダス)にも警戒しておく。ロクでもない女しかいないのかここには。
[備考]
※参戦時期はナメック星編終了後。
※ボディチェンジにより炭治郎の体に入れ替わりました。
※全集中・水の呼吸、ヒノカミ神楽をほとんど意識して使えるようになりました。
※隙の糸、透き通る世界が見れるようになりました。
※竈門炭治郎の精神が消失しました。
※主催側のジョーカーとしての参戦になりました。但し、主催側の情報は何も受け取っていません。
※ボディチェンジは普通に使用が可能ですが、主催によって一度使用すると二時間発動できない制限をかけました。


【バギブソン@仮面ライダークウガ】
元は木曾に支給
グロンギ族のゴ集団に所属するゴ・バダー・バの愛用のバイク。
通常のオートバイだが、バダーの棘状の装備品を差し込み口に差し込んで専用バイクになった物。
トライチェイサー2000を圧倒する高性能でもある


[公衆電話@キラキラ☆プリキュアアラモードについて]
元々はノワール一味のアジト側の異世界と現実世界を繋ぐ転移装置。
本ロワでは主催者の手によりワープするのみになっている。
本ロワ会場内においては出口と入り口それぞれ1か所に設置されており、電話をかけると出口のほうへと転移できます。
但し、制限により、最初に使った人が転移すると十分の間だけ可能であるが、それを過ぎると出入り口の公衆電話は会場内のいずれかにそれぞれ転移され、五時間の間は利用できなくなります。
再稼働後は再び利用できます。
公衆電話の出入り口は次にそれぞれどこに転移されたかは後続の書き手に任せます。


【みかづき荘@魔法少女まどか☆マギカ外伝 マギアレコード】
D-3の北の方角に設置された施設
環いろは達が下宿している屋敷。
元は七海やちよの祖母が宿泊施設として使っていた。

77Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:58:23
仮投下を完了しました。

78Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 21:26:51
修正します。
みかづき荘の位置は正しくはE-3です。

79 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:29:55
修正箇所を投下します

本スレ140を以下のように修正します

組み合わせ名簿を仕舞い、今度は輝哉に譲渡されたデイパックを開け中身に手を付ける。
彼の言った通りなら支給品はどれも有用なものばかり。
内の一つである生存者の肉体の配置図を手に取った。
記されているのは一回目の定時放送が終わった直後、今より6時間も前の情報な為現在地の確認には余り役に立たない。
それでも知りたかった情報を一つ手に入れられた。

「ナナしゃんは…あっ!病院の近くにいるんですね」

島の西側に位置する街、そこから北東の聖都大学附属病院近くにナナの体である斉木楠雄の名が載っている。
更に周りには四名の肉体の名もあり、そこからナナが集団で行動しているのが分かった。
向こうも殺し合いを止める仲間を作り、彼らと行動を共にしているのなら一安心だ。
距離がかなりある上に今も病院付近にいるかは不明なので、早急な合流は難しい。
それでも知るだけの価値はあった。



組み合わせ名簿を仕舞い、今度は耀哉に譲渡されたデイパックを開け中身に手を付ける。
彼の言った通りなら支給品はどれも有用なものばかり。
内の一つである生存者の肉体の配置図を手に取った。
記されているのは一回目の定時放送が終わった直後、今より6時間も前の情報な為現在地の確認には余り役に立たない。
それでも何か役に立つ情報が無いかと確認するが、思わぬ障害が立ち塞がった。

「写真だけ、ですね……」

配置図には肉体側の写真のみが表示されており、名前は載っていない。
これではナナの精神が入っている斉木楠雄が誰なのかも分からず、当然ナナが何処にいたのかも不明。
せめて自分の横に斉木楠雄を知る人物がいたらと思うも、そう都合の良い展開は無い。
東側の市街地に仗助の写真はあるので、二つ放送前の現在地を示すというのは本当だろう。
託してくれた耀哉に申し訳ないとは思うも、肩透かしを食らい微妙な顔になった。

80 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:32:04
本スレ182を以下のように修正します

メタモンには最早自分が何を言っているのかも分からない。
ただ己の存在を確かめるかのように思い付いた言葉を片っ端から吐き出し、姿を変えていく。
銀色の怪物、緑の帽子を被った青年、特徴的なリーゼントヘアーの少年。
そして最後に、正気を失った笑みを浮かべる神代剣へと。



メタモンには最早自分が何を言っているのかも分からない。
ただ己の存在を確かめるかのように思い付いた言葉を片っ端から吐き出し、姿を変えていく。
銀色の怪物、金髪の青年、特徴的なリーゼントヘアーの少年。
そして最後に、正気を失った笑みを浮かべる神代剣へと。

81 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:34:40
本スレ226を以下のように修正します

逃走中の無惨の頭からは既にミチルへの怒りはどうでもいいものと失せ、代わりに彼女が口にしていた名が浮かんでいる。
ナナしゃん。何かの用紙を見ながら確かにそう言っていた。
間違いなく柊ナナの事だろう。
しかもあの時ミチルはナナが病院の近くにいると分かったようだった。
これらの情報から推測するに、あの用紙には参加者の位置情報が記されていた可能性が高い。
会場に設置された病院と言えば、ここから西にある聖都大学附属病院のみ。
ならば急ぎそちらへ向かい、周辺にいると思われるナナを確保。
主催者と関係のあるだろう肉体を持つナナを利用し、自分の肉体を取り戻す為の足掛かりとして使う。



逃走中の無惨の頭からは既にミチルへの怒りはどうでもいいものと失せ、別の参加者の名が浮かんでいる。
柊ナナ。
精神・肉体共に主催者の一人である斉木空助と関りを持つ少女。
ゲンガーからの又聞きで知った情報だが、今の所最も主催者に近いのは彼女だ。
ナナが会場のどこにいるのか知る術はなく、肉体である斉木楠雄の容姿も無惨は知らない。
僅かな手掛かりも無しで当てずっぽうに探すしかないが、街に留まって無駄な戦闘を続けるよりは遥かに建設的だと自分に言い聞かせる。
手遅れになる前に早急に確保せねばなるまい。
主催者と関係のあるだろうナナを利用し、自分の肉体を取り戻す為の足掛かりとして使う。

82 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:39:06
本スレ228からの無惨死亡の流れを以下の文章に変更します

『FINAL VENT』

が、むざむざ敵の抵抗を許すようなプレイをする気は、ベルデには無かった

バイオグリーザが伸ばした舌がベルデの足首に巻き付き、振り子のにも似た動きで無惨へと急接近。
足をガッチリと固定し、空中へと移動したタイミングでバイオグリーザが舌を離す。
急な勢いで掴まれ宙に投げ飛ばされた衝撃で、召喚石が口から零れ落ちた。
呆然と見つめる無惨に構わず、ベルデは技の総仕上げに入る。

「!!!?!」

無惨の頭部を真下に固定した体勢で、垂直に落下。
結果どうなるかは考えるまでも無い。
藻掻き暴れようにも、最早無惨には拘束を脱するだけの力は残されていなかった。
ただ自ら冷たい地面に近付いて行くのを、見開いた両目で凝視するだけ。

(ふざけるな貴様あああああああああ!!!)

己の血肉で地面に赤い花を咲かせた。
熟れた果実を潰したようにアスファルトへ染みが生まれ、すぐに雨でこそぎ落ちていく。
動物系の能力者だとて、頭部を粉砕されれば待ち受けるのは死以外に有り得ない。
しかし此度は、その有り得ない事が起きた。

「なに?」

驚きの声を発したのは、無惨を地に叩きつけたベルデ本人から。
参加者を一匹仕留めた筈が、予想外の光景が広がっているではないか。
潰れた豹の頭部が元の形を取り戻そうと蠢いている。

無惨の肉体であるミーティは歪な外見に反し、生命力は異様なまでに高い。
全身を磨り潰され、あらゆる毒を注入されて尚も苦しむだけで終わり、死に至る事は無かった。
但しこの不死と言っても過言ではない生命力は、ミーティにとっての祝福ではない。
アビスが彼女に齎したのは、死ぬ事を許されない呪いなのだから。

死なない生物。
興味が皆無という訳ではないが、今は死んでもらわねば困る。
さてどうするかとベルデは思案し、十秒と掛らず殺害方法を思い付いた。
斬り刻んだり、延々と潰すよりもずっと楽なやり方があるではないか。
自身に付き従うモンスターへ振り返ると、簡潔に告げた。

「食え」

83 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:40:42



主を待たせては悪いとの判断、若しくはその命令をずっと心待ちにしていたからか。
理由がどちらにせよ、バイオグリーザの動きには迷いがない。
舌を伸ばし絡め取った無惨を引き寄せ、菓子の包み紙を持つ感覚で持ち上げる。
片目の再生が済んだ無惨が初めに見たのは、大きく開かれた化物の口。

鬼となった者は人間の寿命から解放され、長き時を生きられる。
しかしどんな生物も必ず終わりを迎えるように、鬼も永遠の時は生きられない。

ある鬼は、何度生まれ変わっても断ち切れない兄妹の絆を信じ共に逝った。
ある鬼は、自らが芸術と信じてやまない歪さを捨てられないまま完全敗北を喫した。
ある鬼は、嘘にまみれた己の半生を思い返し焼き尽くされた。
ある鬼は、守りたかった者と守れなかった己を自覚し、自らの拳で終わらせた。
ある鬼は、生まれて初めての感情に頬を染め、愛を囁きながら地獄に落ちた。
ある鬼は、何もかもを捨てた果ての虚無に絶望し、されど届かぬ日輪への執着だけは捨てられず消え去った。

そして無惨は、全ての鬼の始祖である男は――

「▂▂▅▆▆▆▇▇▇▇▇▇▇▇ッ!!!!!」

神罰をも恐れぬ鬼に下ったのは、神の才能を欲しいがままにする男からの、慈悲も宿らぬ終焉。
噛み千切られ、、爪の一本まで残さず飲み込まれ、腹の中で溶かされる。
千年という途方もない時の中で己が人間に行ったのと同じ、「餌」という末路。

ペッと吐き出された異物。
首輪が転がる乾いた音が、誰よりも生を渇望した男の終わりを告げた。

84 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:42:45
修正内容に伴い、黎斗の状態表の備考欄に以下の一文を追加します

※バイオグリーザがミーティの肉体と、体内にあったいのちのたまをを捕食しました。何らかの影響があるかどうかは後続の書き手に任せます。

85 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:43:48
以上でご指摘があった部分の修正を終了します
何かあれば連絡をお願いします

86エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:14:31
世界は無数に枝分かれしている。

いつもとは違う道を通った。
家を出る時刻を少し遅らせた。
ふと目にした小石を蹴った。

些細な切っ掛けが一つが起これば、その度に新たな可能性の物語が生まれる。

であるなら、これもまた一つの可能性。

87エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:15:23
CASE1【エドワード・エルリック(ラース@鋼の錬金術師 2003年版)、尾形百之助(霧雨魔理沙@東方project)】

「首輪を外すアテならある」

そう告げた少年の言葉に、尾形は一先ず耳を傾ける事にした。
但し銃は向けたままだ。
怪しげな術を使える肉体だろうと、信用を置くつもりは無い。
引き金を引き、弾を吐き出すコレの方がよっぽど命を預けられる。

「殺し合いを仕組んだ奴をぶん殴って、それで終いだ。誰かが死ぬ必要はねぇ」

幅広の帽子に隠れた尾形の目元が僅かに動いたのを気付かず、エドワードは断言する。
誰かを殺す事無く、誰の手も汚させずに殺し合いを終わらせると。
命の尊さを誰よりも知っている、錬金術師の信念。
たとえ本来の体で無くとも、師の犯した罪が器であろうと彼のやる事は変わらない。

決意を固める錬金術師を、狙撃手は空洞の瞳で見つめていた。

88エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:17:03
CASE2【甘露寺蜜璃(マーニャ@ドラゴンクエストⅣ)、エンリコ・プッチ(DIO@ジョジョの奇妙な冒険)】

「という訳で、この体は私の大切な…友の肉体なんだ。故に…」
「分かりました!いつもの体じゃないけど、私頑張っちゃいますから!」
「宜しく頼むよ、蜜璃」

褐色の肌をした煽情的な格好の女が意気込む。
しなやかながら女性的な豊満さも兼ね備えた踊り子の肉体。
他人の体を酷使するには抵抗があり、普段のように戦えるかも不安。
されど彼女は鬼殺隊の恋柱。
どんな状況だろうと命を守るために剣を振るう。

元気いっぱいな女を尻目に、金髪の男は考える。
この肉体で自分が何をすべきか、友の肉体となった事の意味を。

(DIO、これもまた君が私を導こうとしているのか?)

89エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:18:03
CASE3【土方十四郎(ロロノア・ゾロ@ONE PIECE)、フランキー(キーボ@ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期)】

「アウ!オメェ本当にゾロじゃねェってのか?」
「だから何度もそう言ってんだろうが!万屋の下で働いてる女ならともかく、お前みたいなロボット知らねぇっつってんだろ!」

一体何度言えば分かるのか。
未だ疑わし気な目を向けて来るロボットに土方は頭が痛くなりそうだった。
気が付いたらマリモみたいな髪の男の体にされた挙句、殺しあえと命令された。
犬猿の仲である万屋の天パならまだしも、何故自分が巻き込まれるのか。
全く災難である。

「ンン!スーパー調子が出ねェ!ポーズもイマイチ決まらねェぞ!?」

珍妙なポーズを取り出すロボットの姿に益々頭を抱えたくなる。
何にしても無性にタバコが吸いたい。

90エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:19:22
CASE4【野原みさえ(プレシア・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは)、間桐慎二(風間トオル@クレヨンしんちゃん)】

どうしてこうなるんだと、慎二は苛立ちが抑えられない。
いきなり拉致され殺し合いを命じられたのは勿論だが、何より気に入らないのはこの体だ。
何故よりにもよって子供、それも幼稚園児の体なのか。
魔術の才以外は持ち合わせていた元の体をこれ程に恋しく思うのは初めてだろう。
こんな体で殺し合いをさせる気が本当にあるのか問い詰めたい。
それにもう一つ、慎二を苛つかせているのは、

「こら!一人で勝手に歩かないの!」

怒った声が背へ届き、億劫に振り向く。
美人ではあるが魔女のような格好の、されど精神の影響か家庭的な雰囲気を感じさせる女がいた。
何でも慎二の体の少年は、この女の知っている人物とのこと。
それで会った時からこうして目を離せないと付き纏われている。

「あのさぁ、いい加減しつこいよおばさん。余計なお節介焼かなくても、こんな体じゃ馬鹿な真似なんて…」

出来やしないと、言葉は続かず慎二の頭部に両指が添えられる。
自らの失言を悟った時にはもう遅い。

「だ・れ・が、おばさんじゃああああああ!!」
「いたっ!?ちょ、やめ!?ぎにゃあああああ!!?!」

91エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:20:39
CASE5【黒死牟(継国縁壱@鬼滅の刃)、大崎甘奈(大崎甜歌@アイドルマスター シャイニーカラーズ)】

「いつまで……続ける気だ……」

言葉に籠められたのは、心底理解出来ない呆れ。
奇怪な道具を使ったとはいえ、鬼殺隊でもない小娘にしては十分健闘した方だろう。
だがその程度で殺される程度の力しか持たないなら、己は上弦の壱になどなっていない。
見下ろす先には傷だらけになり、怯えを瞳に宿しながらもこちらを睨む小娘の姿。

「お前の抵抗など……児戯にすらならん……」
「それでも、諦めないよ」

そう言って再度腰に巻き付けた道具を操作する娘を前に、黒死牟の視線が鋭さを増す。
気に入らない、本当に気に入らない。
同じ顔の家族の為に死ぬわけにはいかないと戦う小娘が。
追い求めた日輪の肉体を手に入れたと言うのに、あの焼き付くような強さの半分も引き出せない自分自身が。

「変身…!」

憎悪に沸き立つ侍に少女は立ち向かう。
ちっぽけな勇気と、アーマードライダーの力を武器にして。

92エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:21:59
CASE6【近藤勲(海パン刑事@こちら葛飾区亀有公園前派出所)、窪谷須亜蓮(向井拓海@アイドルマスター シンデレラガールズ)、校長(エリオ・モンディアル@魔法少女リリカルなのはstrikers)】

どうすればいいのか分からない。
10年以上生きて来て、不良だからかそれなりに面倒ごとも経験して来た。
PK学園に転校してからも、トラブルに見舞われる事は珍しくない。
だけどこんな状況は初めてだ。
窪谷須は死んだ魚のような目で悩みの種の男達を見る。

「むっひょ〜〜〜〜!!そのようなボインをサラシで隠しただけとはけしからんですぞ〜!こ、これはもう辛抱堪りません!」
「おい少年!同じ男として気持ちは分からんでもないが、そういうのはもっと大人になってから…ちょ待って!脱ぐな脱ぐな!な、何か着るもの…海パンしかねぇ!ッてか何でこの体服着てないの!?何でネクタイだけはしてんの!?」

涎を垂らし鼻息を荒くしながら全裸で今にも飛び掛かろうとする少年。
少年を何とか止めようとするガタイの良い海パン男。
現代日本では通報確実の変態が二名。
一体どうすれば良いのか暫し考えた後、現実逃避気味に答えを弾き出した。

(とりあえず二人ともぶん殴れば良いか)

93エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:23:31
CASE7【竈門炭治郎(レグ@メイドインアビス)、七海やちよ(フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはstrikers)、キルバス(七草はづき@アイドルマスター シャイニーカラーズ)】

「炭治郎、くん……」

血を吐き倒れる少年の姿を映すやちよの瞳に宿るのは絶望。
殺し合いに抗う決意、魔法少女として人々を守る使命、どんな状況だろうと諦めない意思。
そんなものがこの場で何の役に立つ。
圧倒的な暴力の前には、自分を動かすものなど何一つとして無意味だと思い知らされた。

ハルバードを支えに傷だらけで立ち上がろうとするやちよは、ただ後悔していた。
やはり自分の願いが皆を殺す。
同行を申し出た少年の押しに負け、あくまで協力者であって仲間じゃないと言い訳した結果がこれだ。
少年も、自分に与えられた体も死んでしまう。
自分の願いのせいで。

「アァ…ウォーミングアップにもならねェな。まだ仮面ライダーどもの方がマシだ」

人間達の絶望を、地球外生命体はつまらなそうに切って捨てる。
成程、褐色肌の少年も金髪の女も戦う力はあった。
少年はやたらとしぶとく、女の方は素早い。
しかし足りない、それだけではまるで足りない。
同族や実の弟からも恐れられたブラッド族の王には届かないのだ。

(エボルトの奴も適当な事言いやがって…)

人間だから負けた、自身に滅びを与えた弟の言葉は鮮明に思い出せる。
おちょくられたのかと仮面の下で顔を顰める彼の意識を呼び戻したのは、顔を上げた少年の声。

「お前、は…そんな力を持っているのに…どうして…!殺し合う道を、選んだんだ…!?」
「勘違いするなよ。俺が殺すのはお前らだけじゃなく、このゲームを仕組んだ連中もだ。そうやって全部殺して、最終的には俺諸共全部吹き飛ばして後には何も残らない。そういう光景を想像するだけで胸が躍るだろ?」
「ふざ…けるな……!!」

血反吐を零しながらも少年は叫び、立ち上がる。
残された手は少ない、だがここで負ける訳にはいかない。
掌を向ける彼に迷いは無かった。

「お前は、ここで倒す…!やちよさんも、誰もお前には殺させない…!」

94エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:24:18



これは一つの可能性。
とある世界で、誰かが始めた物語。

CHANGE BATTLE ROYALE -ALTERNATIVE-

95 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:37:15
先にこちらへ仮投下します

96 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:38:37
うん?急にどうした?
人を殺して罪悪感は無いのかって?
いきなりな質問だなおい。
そういう突っ込んだ話はもっと親交を深めてからのが普通じゃねぇのか?
ああ分かった分かった、答えてやるからそんな怒るなよ。

お前らは鼻をかんで使い終わったティッシュに愛着を持つか?
用が済んだらゴミ箱に捨てるだろ?
そういうこった。

まだ聞きたいことがあるのか?
俺も暇じゃ無いんだがねぇ…
ああ、はいはい。
答えてやるからそう怒鳴るなって。
ったく、そんな掴んだらシャツが皺になっちまうだろ。

皆を騙して何も感じないのか?
おいおい俺だってそこまで冷血漢じゃあねぇぞ?
嘘ついたのは本当でも、たまに感動してウルッとしたり?騙して悪いなぁなんて思ったりもしたよ。

どうせそれも嘘だろだぁ?
ははっ、お前さんも酷ぇこと言うねぇ。

まぁ、その通りなんだけどな。

97 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:39:46



振り返ると、これまで歩いて来た道が私の足元まで続いているのが見える。
凸凹で転びそうな所もあれば、舗装されてすいすい行ける所だってある。

ずうっと遠くの方に見えるのは子供の頃の自分。
色んな事をしたいと未知への好奇心に溢れていた、何にでもなれると無邪気に信じた私。
絵本に登場するヒロインにだってなれる、そんな風に笑っていた私。

でも純真無垢なままでは先に進めない。
成長していくと同時に、憧れ幾つも忘れていった。
前へ進むにつれて、沢山の夢を諦めた。
大人になるというのは現実を知るということ。
私もその例に漏れず、仕方ないと言い訳を重ねて自分を無理矢理納得させる。
良く言えば物事を現実的に考えられる、悪く言えば冷めてつまらない。
そういう大人の道に足を踏み入れていた。

だから、あの日起こったのは私にとって運命だったんだと思う。
あの時間にあの場所を歩いていなければ。
あの人を見つけていなかったら。
袖のボタンを直してあげようと思わなかったら。
きっと私は今も、何かが欠けている道を歩き続けていたのだろう。

前を見ると、遥か向こうまで続く道があった。
どこまで続いているのかは分からない。
進んで行けばきっと多くの難題が立ち塞がり、泣きたくなるような辛い目に遭ってしまう。
そんな予感がする程に、長い道。

ああだけど、辛くて苦しいだけでないとも分かる。
彼が私の手を引いて、新しい世界へと連れ出してくれたから。
好きな事をただ全力でやるのは間違っていないと、彼が教えてくれたから。
満天の星空のように輝く舞台からの景色を、大好きな人達と一緒に見れたから。
心の底からアイドルが楽しいって言える。
だからこの先も、もっと楽しい未来が待っていると信じられる。

98 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:40:31
忘れていた好奇心と、ちょっぴりの不安に背中を押され一歩踏み出し、





空に大きな穴が開いた。





飲み込まれていく。
私が歩いて来た過去も、歩く筈だった未来も。
創るのは途方も無い時間と努力が必要だけど、壊すのはあっという間。

いつかの夢が消える。
いつかの諦めが消える。
いずれ来る苦労が消える。
いずれ来る幸福が消える。

私という人間を創り上げた道が無くなって、私という人間を創り上げる道が無くなっていく。

引き返す道も進む道も失って、残されたのは今に留まるだけの心許ない足場だけ。
底なんて見えない穴の真ん中にポツンと佇むしか出来ない。

そんな私を、赤い大蛇が鎌首を擡げ見下ろしていた。

99 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:41:14



雨を憂鬱に感じたのは久しぶりかもしれない。
屋根を叩き地面で弾ける雨粒の音に、千雪はふとそんな風に思った。

鉛色のどんよりした雲に覆われた空は見ているだけで気が滅入る。
お気に入りの服が濡れて重みを増し喜ぶような趣味は持ち合わせていない。
雨の日が好きか嫌いかと聞かれたら、大声で後者を叫んだりはしないけれど。
歓迎できる日で無いと言うのは本当のこと。

だけど雨と聞いて思い出すのは、ここ最近の胸が弾む思い出ばかり。

二人きりの事務所で、雑誌のアンケートに何を書くか悩んだ時。
彼との会話の中で新しい自分を見付けられた。

偶然見つけた、何かを大事そうに抱えながら走っていた彼。
それが自分へのホワイトデーのお返しと知った時の喜び。

雨宿りの場所で選んだ観覧車の中。
滴る水すら彩りの一つに変えた夜景を、彼とふたり占めした高揚感。

急な土砂降りに見舞われたとある日。
猫と犬のようにはしゃぎながら、事務所まで駆け出した光景だって忘れてはいない。

あれだけ憂鬱な雨の日でさえ、今はこんなにも楽しいと感じられる。
アイドルの世界へ飛び込んだのは、決して間違いなんかじゃないと胸を張って言える。

なのにこの場所ではどうだ。
悪意に溢れた者達が平然と人の命を奪い取る。
自分よりも年下の少年少女が惨たらしく殺される様をむざむざと見せつけられた。
まるで今の自身の心情をこれ以上ないくらいに表す、そんな空模様。
殺し殺されなんて世界、ニュース番組やフィクションの世界でしか知らなかった千雪でも分かる。
天候が悪化するのと同じように、この先もっと沢山の悲劇が降り掛かるのだと。

100 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:42:02
それを巻き起こすのは殺し合いを仕組んだ主催者か。
優勝という餌に食いついた危険人物達か。

「アイドルにしちゃ、随分と辛気臭い顔だな」

或いは、己の肉体に巣食う蛇か。

文具店の奥にある従業員用のトイレ。
手洗い場に設置された鏡に映るのはこの世で最も見慣れた顔。
誰よりも知っているその顔が、見た事の無い軽薄な笑みを浮かべている。
気味の悪い感覚だ。
自分の体を動かしているのが自分では無いなんて。
千雪の内心を知った上で、エボルトはあくまで自分のペースを崩さずに言う。

「そんな顔してると折角の綺麗な顔が台無しだぞ?」
(……こんな状況で笑顔になれる訳が無いでしょう)
「ああ、そりゃ正論だ」

リップクリームを使わずとも瑞々しい唇から出た、飄々とした声。
鏡が映し出すのは憂鬱とは程遠い、へらへらした表情。
辛気臭いと言われても千雪に見えるのは、自分であって自分ではないその顔だけ。
それともこの男には、意識のみとなったこちらの姿が見えているとでも言うのか。
聞いたところでマトモな答えが返って来るとは期待していないので、疑問には蓋をしておく。

「落ち込んでる女に気の利いた言葉くらいは掛けてやりたかったんだがねぇ。中々上手くいかねぇもんだ。娘にも呆れられちまうなこりゃ」
(娘さんがいるんですか?あなたに?)
「今はおっかねぇ女の残り滓が精神(なか)に入っちまってる、可愛くて手のかかる娘がな。悪い男に騙されないかこっちはいつもひやひやしてるよ」

今頃どうしてんのかねと呟いた声色に、本心からの不安は全く感じられない。
娘がいるのが事実だとしても、真っ当な親子関係で無いのは察せられる。
件の娘の話を続ける気は無いようで、あっさりと別の話へ切り替えた。

101 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:42:56
「ま、このままお喋りに興じるのも良いが、長々やってると相棒が起きちまうんでね」

相棒、誰を指して呼んでいるのかは千雪も知っている。
雨宮蓮、エボルトとはバトルロワイアルで最も長く行動を共にする少年。
現在は事務室まで運び、ソファーの上に寝かせてある。
ペルソナと仮面ライダーの力を駆使して、殺し合いを止めるべく奔走しているのはエボルトの視界を通して千雪も見て来た。
先程の戦いで、怒りのままに仲間の仇を討った光景も。

(蓮君は…大丈夫なのかしら……)
「さぁな。自分で持ち直せりゃ何よりだが、傷心期間が長引くようならフォローしてやるさ」

肝心のフォローが善意によるものではないのが大いに不安である。
蓮が所謂『非日常』の世界に生きる人間だとは分かる。
しかし肉体こそ成人した青年だが、精神はまだ10代の高校生。
大崎姉妹を始めとして、283プロに在籍する少女達と同年代だ。
そんな少年が心身共に幾度となく傷付けられ、仲間を失い、殺しに手を染めた。
一番近くで見ていた千雪は何度ハラハラしたことか。
一人の大人として蓮を支えてあげたいと思う反面、自分の言葉が蓮の助けになれるのか確かな自信がある訳でも無い。
何より蓮と話そうにも、肉体の主導権を握るエボルトが許可しない限りは不可能。
つくづく見ているだけで何も出来ない自分が嫌になる。

(プロデューサーさんなら……)

どんな時だって283プロのアイドル達を支えてくれた彼なら。
蓮が相手でも、彼の心の傷を癒せたのだろうか。
ここにいない人間の力をアテにしたって無意味であり、そもそもプロデューサーが殺し合いに巻き込まれていないなら喜ぶべきだろうに。
身勝手な期待をした自分への嫌悪で苦い思いが広がる。

「相棒に関しちゃ一旦置いといてだ、そろそろお前の話を聞かせて貰いたいんだがねぇ」

千雪の内心を知ってか知らずか、少しばかり急かすような言葉を掛ける。
感傷に浸らせてくれる時間は与えてもらえないようだ。

(街に着く前にも言いましたけど、あなたが望んでるような話は多分出来ませんよ…?)
「そいつは聞いてから判断する。とにかくお前が話さなきゃ始まらねぇ」

前置きは良いから早く話すよう要求された。
千雪自身は自分の話が何かの役に立つとは到底思えないが、エボルトの言うように具体的な内容を口にせねば始まらない。
暫しの躊躇を見せるもややあって知っている限りの事を話し始める。

102 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:43:48
殺し合い以前に覚えている最後の光景は普段通りの、本当に普段と変わらない一日だった。
寮の自室で目を覚まし、近所の公園まで軽く走って。
事務所でプロデューサーと軽い雑談に花を咲かせ、雑誌の撮影の仕事が入っていたので現場に向かったのが昼過ぎ。
大きな問題も起こらず、周りの人間が不審な様子を見せたとかも一切無い。
プロデューサーも、顔を合わせた283プロの少女達も至っていつもと同じ。

その筈だったのに気が付いた時にはもう、体の主導権を奪われていた。
何がどうしてそのようになったのか、前後の記憶はあやふや。
千雪が意識を取り戻したタイミングは最初の定時放送が流れる少し前、シロがルブランを襲撃した辺り。
切っ掛けと呼べるものが何か正確には不明だが、確かあの時は地図をチェックしたんだったかとエボルトは思い出す。
追加された複数の施設の中には千雪とも縁の深い283プロの名が記されており、もしやそれが原因なのだろうか。
だとしたら随分軽い理由である。

とはいえその時は意識こそ目覚めたものの、明確にエボルトが千雪の存在に気付いたのはもう少し後。
アーマージャックを始末しようとした時だ。
千雪自身の意思で無くとも、自分の体で参加者を殺害しそうになり動揺が一際大きく鳴ったあの瞬間にエボルトは千雪の意識が覚醒していると分かった。

(私から話せるのはこれくらいですけど…)

説明を聞き終わりエボルトは一言も発さない。
役に立つ情報が得られず落胆しているか、そうだとしても千雪には本当にこれが話せる全て。
いつもと変わらない日常を過ごし、何の前触れも無しに突然体を奪われた。
短く纏めるとこれだけ。

「…なァ千雪」

しかしエボルトには、そう単純な話とは思えなかったらしい。

「今の話、自分で言ってておかしいとは思わなかったのか?」
(え…?いえ、特には……。何が言いたいんですか?)
「一つだけ引っ掛かってるんだけどな?どうしてお前は、自分がボンドルド達に攫われた時の記憶が無いんだ?」
(それは……)

聞き返され言葉に詰まる。
何でと聞かれても覚えていないから答えようが無い。
口を噤んだ千雪へ言い聞かせる為に、或いは自分で言って考えを纏める為にか一つの仮説を語り始めた。

103 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:44:38
まず大前提としてボンドルド達がバトルロワイアルの正式な参加者として登録したのは、精神側の者達のみである。
仮の肉体を動かし自分以外の者を殺して優勝を目指すのは、名簿に記載された精神側の参加者しか認められていない。
言ってしまえば肉体の持ち主の意識は殺し合いにおいて邪魔な存在。
ではそのような邪魔な意識はどうすれば良いか。
一番手っ取り早いのは、準備段階の時点で肉体側の意識を消す事だろう。
余計な真似を防ぐために予め始末しておく。
最も効率的であり、仮にエボルトが主催者側にいてもそうする。

と、このように主催者達は最初から肉体側の意識を必要としていない。
精神側の参加者が殺し合いに連れて来られた時や、肉体を入れ替えられた時の記憶を覚えていないのは、余計な情報を与えない為と考えれば納得がいく。
だが肉体側の意識まで覚えていないのは何故だ?
主催者達の情報を知られるにしても、正式な参加者と違い肉体だけ奪って殺すとしか見ていない連中である。
わざわざ精神側の参加者と同じく記憶を消した上で殺すというのは、念を入れての行動にしても余計な手間ではないか。

そこでエボルトが立てた仮説。
今現在自分と会話をしている千雪は、元から千雪の肉体に宿っていた精神ではない。
殺し合いの最中に新しく生まれた桑山千雪という精神である。
エボルトに体を奪われていると言っても、肉体の構造は殺し合いの前と同じ。
脳が無事であるなら、新たに千雪の人格が生み出される可能性も否定はできない。
主催者に関する記憶を覚えていないのも当然だ。
何せその記憶を持っているのは、今ここに存在する千雪では無いのだから。
肉体の精神を消したのに後になって新しく生まれるなど、主催者にとって想定外の事態というのも納得がいった。

「とまぁ、俺が思い付いたのはこんなとこだな。これだと残念ながらお前の元々の精神はとっくに消されちまってるがね」

偶然にも斉木楠雄が柊ナナに語った三つの仮説、内の一つと同じ内容をそんな言葉で締めくくる。
あっさりと告げられた仮説に、当たり前だが冷静ではいられない。

(なん、ですかそれ……そんなの…そんなのって……!)

自分の体がちゃんと動かせたら、きっと真っ青な顔になった。
それくらいに動揺し声も震えを抑えられない。
ここにいる自分は実は後から生まれていて、本物の桑山千雪は既に死んでいる。
なら今の自分は何なんだ、覚えている記憶は全て消された方の精神が体験したものに過ぎないと言うのか。
自分という存在が曖昧に感じられてならない。
それに肉体側の精神が殺されているというのも到底受け入れ難い。
だってそれは千雪のみならず他の参加者も、甘奈や真乃もこの世にはいないと言っているようなものじゃないか。
それらしい理由を付けた所で、理解を拒み納得を拒否する内容だ。

104 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:45:33
「まぁ落ち着けよ。あくまでそういう可能性もあるってこった」
(……っ)

人の心を掻き乱しておいてどの口が言うのか。
反射的に返そうとするも言葉が実際に出はしない。
分かっているからだ、この男に正論をぶつけても意味は無い。
エボルトという男は余りにも異常過ぎる、体の主導権を奪われ今に至るまでにそう理解しているから。

アイドルをやっていればファンからの羨望や好意の目を強く感じるのは多々ある。
だが肯定的な目もあれば、同じくらい否定的な目もあるのが世の常。
同業者からの嫉妬や、アンチと呼ばれる者からの悪意を向けられる事も少なくはない。
表面上は気遣いを見せても邪な感情が見え隠れする者、素っ気無い態度を取りつつこちらを心配してくれる者。
良くも悪くも注目を集めてしまうのがアイドルという職業。
自分で選んだ道に後悔は無くとも、この世界にいて自然と感情の察知へ敏感になった。

では千雪がエボルトの言葉や態度から感じ取ったのは何か。
軽口で弄び愉悦に浸る悪意?
或いは他人への気遣いが抜け落ちた無神経?

どちらも違う。
千雪がエボルトから感じ取ったものは「無」である。

言葉だけ聞けば人間らしいのに、そこに宿る感情は何も無い。
飄々とした言葉を、まるで台本を読み演技しているかに感じられる。
いや、実際にはもっと無機質だ。
千雪も仕事でドラマの出演経験があるから分かるが、役者だって演技をする時には自分の感情を震わせて役をこなす。
エボルトにはそういったものが一切存在しない、まるで機械から音声が流れているかのよう。

この男は生きている、生きて言葉を交わしている、なのに生きているという熱を微塵も持ち合わせていない。
故に千雪はエボルトに戦慄を抱く。
自分の体を乗っ取った存在の得体の知れなさに、じわじわと侵食されるかの如き恐怖を抱くのだ。

105 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:46:33
「俺が言っておいて何だが、本当にそうだって決まった訳じゃあねぇぜ?」

嘘は言っていない。
エボルト自身も今のはあくまで仮説の一つして語っただけ。
殺し合い開始当初から考えていた、千雪の肉体にはブラッド族の能力を利用される形で憑依している可能性も捨てきれない。
千雪の体でブラッド族の能力を使える事実からも、どちらかと言えばそっちの方が可能性は高いとは思う。
が、それだって断定出来る程に明確な根拠は見つけられていない。
結局のところ、何が正しいのかはボンドルド達主催者にしか現段階では知り様が無かった。

「だからお前が心配する連中もまだ死んだと決まってはいねぇ。実際どうなってるかはともかくな」
(…余計な一言を付け加えないでください)

一方的にこちらを動揺させておいて、本当かどうかは分からないとは。
言ってやりたい山程の文句を飲み込み、苦々しく一言だけ返す。
甘奈と真乃がまだ無事でいる可能性を信じたいが、どうしたって悪い想像も思い浮かべてしまう。
本当に、どうして自分達が巻き込まれたのだろうか。
恨みを買うような真似をしていないアイドルを巻き込んでボンドルド達は何がしたいのか。
皆目見当も付かない。

「ああ、それに関しちゃ少しは思い付くぜ?」
(……他人の思考を勝手に読まないで欲しいんですが)
「おっと、そいつは悪かったな」

明らかに悪いとは思っていない返事もそこそこに、再び仮説の説明に入った。

「ボンドルドは殺し合いに勝ち抜けば新しい未来を切り開く鍵を手に入れられる、お前が起きる前の放送でアイツはそう言ったよ」
(人が殺されるような場所で、新しい未来も何も無いと思いますけど……)
「疑問は最もだが重要なのはそこじゃねぇ。その鍵ってのは、本当に俺達全員が手に入れられるものだと思うか?」

これまた言葉に詰まる質問だ。
鍵と言われても具体的にどんなものなか分かない。
だが疑問を含んだ言葉から、エボルトはボンドルドの言う鍵を参加者が手に入れるかは怪しいと思っているのだろうか。

106 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:47:32
「ボンドルドは鍵を手に入れる資格は参加者一人一人が持ってると言った。つまりは俺達全員平等に優勝の可能性があるって話かもしれねぇが、そうとは限らないかもな」
(嘘を吐かれたって言いたいんですか?)
「いや?資格自体は持ってるんだろうよ。ただ奴さん方が望んでいる鍵を手に入れる参加者ってのは、最初(ハナ)から絞られてるんじゃねぇかって話だ」

参加者全員に優勝の可能性はあると仄めかした。
しかし実際には限られた者のみが勝ち残れる、と言うよりはボンドルド達の望み通りの結末になるよう仕込まれている。

(それって…出来レース、みたいな感じですか…?)
「大雑把に言っちまえばそうだな。参加者の中には連中にとっての『本命』がいて、他はそいつの引き立て役か、それか『本命』程じゃねえが丁度良いサンプルか何かだろうよ」

参加している側は自分達にもチャンスがあると思い込み、実際には最初から優勝者は決まっている。
大多数の人間にネビュラガスを注入したが、計画の要と見ているのは二人だけ。
ビルドとしての力を順調に強化する戦兎と、胎児だった頃からエボルトの遺伝子を持つ万丈のみ。
エボルトにとっての本命があの二人であるように、ボンドルド達にもそういった者が参加者に紛れている筈。
千雪にも覚えがある話だ。
アプリコットのオーディションで、運営側が甘奈を選ぶと最初から決定していた時のように。
一時期アルストロメリアの間で険悪とまではいかずとも、気まずい空気が流れたのは覚えている。

「で、本命の可能性が今のところ一番高いのが……柊ナナだ」

直接の面識は無い、ミチルから信頼できる相手として聞かされた程度。
しかし精神と肉体の両方が主催者と関係しているのは、現在得ている情報だけでもナナ一人しかいない。
エボルトの仮説が正しいなら、これまた酷い話だ。
ナナの精神と斉木の身体を使った実験の巻き添えを食らったようなものではないか。
ボンドルド達の被害者という点ではナナと斉木も確実にその枠に入るが。

「俺の仮説が合ってるにしろ違うにしろ、柊ナナと接触して損はねぇ」

主催者に関する情報を得られる可能性は高く、会っておきたい所と改めて方針の一つに付け加える。
ミチルの名前を出せば多少はスムーズに情報を引き出せるだろう。

まさかナナが既に戦兎と接触しており、自分の抹殺を決めているとはエボルトにも知る由が無かった。

「取り敢えず聞きたい事は大体聞けたんで、相棒の所に戻るとしますかね。ああ、話し相手が欲しいってんならもうちょいお喋りでも続けるか?」
(…結構です)
「冷たいねぇ」

自分では愛しのプロデューサーの代わりにはなれないらしい。
けらけらと形だけの笑みを作りながら、蓮の眠る事務室へと向かった。

107 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:48:18
○○○


これは夢だとすぐに分かった。
同じような体験を数時間前にもしているから。
きっとこれも自分の視点ではない。
あの時と同じ、仮の肉体となった探偵の見ている景色。

左翔太郎の過去の記憶を再び見ているのだろう。

『あの子を……あの子を頼んだぜ…』

目の前に男が倒れている。
白いスーツを赤く染め、命の灯りが今にも消え掛かっている男が。

男の手がこちらへと伸び、ポスンと頭に何かを被せられた。
それは帽子だ。
スーツと同じ色で、切れ目の入った帽子が何故か宝物のように感じる。
知らない男なのに、彼が帽子を託してくれたのが嬉しくて。
でもそれ以上に自分がこの帽子を被るのが重く、どうしようもなく悲しい。

『……よしてくれ…俺に帽子は早い…!』

こんな形で託されたくなかった。
男が生きて、この先も成長をその目で見続けてくれて。
いつか本当に認められた時に、帽子をかぶせて欲しい。
自分が体験したのではないのに、そう強く思わずにはいられない。

『……似合う男になれ』

まるでこちらの不安を察したような言葉。
それっきり男は一言も発さない、指先一本も動かない。
命の終わりを目の当たりにするのは初めてでないのに、知らない相手なのに。
胸が締め付けられる。
自分の中から大切なものが欠け落ちた、そんな喪失感が襲って来た。

『おやっさあああああああああああああああん!!!』

涙が止まらない。
喉が枯れるくらいに叫んでも尚、この身を苛む悲しみは消えそうも無かった。

108 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:51:14



「――っ!!」

目を覚ますとやけに寒く感じた。
空気が冷たいと言うのだろうか、でもこの感じは妙に懐かしさがあるような。

不思議な感覚を疑問に思う前に、あれからどうなったのかを考える。
エボルトとゲンガーと共に白い仮面ライダーと戦い、光に包まれてから記憶が無い。
二人は無事なのか、承太郎達は今も戦っているのか。
目を覚ましたなら急いで彼らの無事を確認しなくては。
逸る気持ちに逆らわず体を起こし、ふと鏡を見た。

「なっ…」

驚きの声を思わず出してしまったのは仕方ないだろうと、誰に対してか分からない言い訳を浮かべた。
いやしかし、これは本当に驚いて当然だ。
何せ鏡に映っているのは、正真正銘自分の顔なのだから。
翔太郎さんではない、雨宮蓮の顔がぽかんと口を開けこちらを見つめている。
眼鏡こそ見当たらないが、あれは間違いなく自分の顔。

一体何がどうなっているのか分からない。
まさか自分は白い仮面ライダーとの戦いで死んでしまい、ここはあの世だから元の体に戻ったのか?
それともあの殺し合いは全て夢の中の出来事だったとでも言うのか?

「いいや、お前はまだ生きている。そして残念ながらあれは夢などではない」

答えをくれたのは自分ではない、聞き覚えのある声。
そちらへ振り向くと、まず最初に目に飛び込んだのは鉄格子。
高校生には縁の無いだろうソレも、自分にとっては馴染み深い。
鉄格子を挟んだ先にいる「彼ら」を見て、ようやく自分がどこにいるのか分かった。

109 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:52:29
「間抜け面を晒して主を待たせるな囚人!」
「少しは自分の立場を自覚してください」

片や激昂し、片や淡々と自分を責めるのは双子の看守。
髪型、帽子、眼帯の位置こそ違えど顔は瓜二つの少女。
そして彼女達の更に奥へは、長い鼻を持った老人の姿。

間違いない、ここはベルベットルームだ。
殺し合いが始まってからは一度も来れなかったが、今になってまた訪れられるとは。

「お前が驚くのも無理はない。我らがお前に干渉するのを、あの者達は強く制限していたのだからな」

やはりと言うべきか、ベルベットルームへ来れなかったのもボンドルドの仕業だったようだ。
色々と謎の多いここの住人達にも何らかの細工をするとは、改めて主催者は得体が知れない。
それでも彼らが無事なのを知れたのは良かったと思う。

→【無事でほっとした】
【生きてるならもっと早く言え】
【暫くここで寝かせて】

「……ふん、お前が心配なんて百年早い」
「あなたに心配される程、私達は軟ではありませんよ?囚人」

片方は何故か不機嫌そうにそっぽを向き、もう片方は少しだけ笑いながらそう言った。
友好的とは言えないが、自分の知っている通りの彼女達の反応に逆に安心する。

「我らが安易に干渉出来ぬよう策を弄したのは事実だが、我らの存在が消えた訳ではない。とはいえ制限自体は未だ継続している。これまでのようにお前の支援はまず不可能だろう」

支援が出来ない。
思わず双子を見ると苛立ちと憂いを含んだ声で、自分達の主の言葉を肯定した。

「主が仰った通りです。記録した囚人名簿からのペルソナ召喚が不可能になっています。原因については現在調査中ですが…」
「同じく、処刑道具もどういう訳か機能しない。全くあいつら…!我らにふざけた真似を…!!」

怪盗団として活動する際、ベルベットルームからの支援は度々助けになった。
パレスを攻略し、パレスの主を撃破し、時にはメメントスを探索する。
彼女達の協力でペルソナの力を強化したお陰で、ピンチを潜り抜けた場面も少なくない。
しかし殺し合いではそれらを受ける事は不可能。
巻き込まれた当初から分かってはいたが、これまでよりも厳しい戦いになるようだ。

110 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:53:17
「確かにこれは予期せぬ事態だが、お前の更生はまだ続いている。現にお前は既に新たな絆を手に入れたようだ」

共犯者と嵐を呼ぶ園児。
この地で得た絆はそのまま自分の力になった。
新たに得た二つのペルソナの存在は、ワイルドの能力が健在である証拠。
戦う為の力なら、今も変わらず宿っている。
弱い自分に、理不尽を押し付ける世界へ反逆する意思は変わっていない。

それなのに自分はまた守れなかった。
ミチルが殺されるのを防げず、やったのは殺害者を怒りのままに袋叩きにして命を奪った事のみ。
悪党を改心させる怪盗団でも、風の都を守る正義のヒーローでもない。
自分勝手に暴力を振るう悪人と同じではないのか。

こんな自分にまだ出来る事は……

【ない】
→【ある】
【分からない】

…………ある。
殺し合いはまだ終わっていない。
なのに戦う力が、誰かを守れる力がある自分が全てを投げ出すなど許されない。
ペルソナ使いになった忘れられない運命の日。
アルセーヌの問いかけに抗うと答え、仮面を引き剥がした自分自身の選択を誰が裏切るものか。

何より、仲間達だって皆生きている。
自分が支えになると決めた少年、しんのすけはミチルのお陰で生き延び、今もどこかで戦っている筈だ。
アーマージャックと戦った時もそう。
ミチルの勇気が自分達の助けになってくれた。

完全に吹っ切れてはいない。
でも言い訳を重ねて戦いから目を逸らすのは。
今を生きている者達を見ない振りするのは違う。

111 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:54:14
「ミチル……」

助けてやれなくて済まない。
だけどしんのすけを逃がしてくれた事は絶対に無駄にはしない。
遅くなってしまったけど、もう届かないかもしれないけど言わせて欲しい。

「しんのすけを守ってくれて、ありがとう…」





―――我は汝……汝は我……

―――汝、ここに新たなる契りを得たり

―――契りは即ち、 囚われを破らんとする反逆の翼なり

―――我、「信念」のペルソナの生誕に祝福の風を得たり

―――自由へと至る、更なる力とならん……



|信念のペルソナ「ホウオウ」を獲得しました|





「どうやらまた一歩、更生を進めたようだな」

言われて頷く。
自分の内にまた一つ、新たな力が宿ったのを感じた。
犬飼ミチルという少女を表すのにこれ以上ないくらい相応しいアルカナ。
彼女とはもう二度と会えない、育んだ絆までは失われていない。
自分の勝手な想像かもしれないけど、ミチルが背中を押してくれたから新たなペルソナを得られたように思う。

ステータスを確認すると、攻撃以外に回復スキルも兼ね備えている。
それもまたミチルの優しさが表れているようで、彼女らしい力だ。

112 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:55:46
「…っ」

散って逝った仲間へ思いを馳せていると、急に視界が安定しなくなった。
この感覚には覚えがある。
現実世界へと戻る時間が近付いている合図だ。

「そろそろ時間か…。次はここに来れるとは限らん。だが忘れるな、お前の更生はまだ終わっていない。囚われである己の運命を変えたくば、足掻く他ない」

彼なりの激励だろうか。
ベルベットルームから再び殺し合いの舞台へ戻る自分に、そんな言葉が向けられる。
そうだ、まだ何も終わっていないなら戦うしかない。
戦って、馬鹿げた殺し合いの幕を下ろすしかないんだ。
今一度決意を固め、目覚めの瞬間を静かに受け入れようとする。

「……■■の分際で我を阻むとは…」

その寸前、ふと聞こえた長鼻の主の言葉。
聞き違いだろうか、自分が知る彼とは思えない苛立ちが含まれていた気がしたのは。





「よっ、起きたか?」

目を覚ますと至近距離で顔を覗き込まれていた。
吐息が当たる程に近い。
長い睫毛も、薄桃色の唇も、シミの一つも見当たらない白い肌もよく見える。

「…………!!!!??!!」

言葉になっていない叫びを上げ後退ろうとし、落ちる感覚がしたのは直後である。
どすんと尻から床に落ち、痛みがじーんと浸透。
思わず腰のあたりを擦りながらよろよろ立ち上がると、何が面白いのか共犯者がけらけら笑っていた。

「その青い反応はまだ抜けねぇなァ。いい加減慣れて欲しいもんだ」

肩を竦めて言うが、そっちこそいい加減女の人の体になっている自覚を持って欲しい。
恨めし気に見ても涼しい顔で受け流される。
まぁ分かってはいたけど素直に文句を聞き入れる奴ではない。
自分がいる場所を見回すと、見覚えの無い部屋だった。
エボルトがここまで運んでくれたのだろうか。

「白いのに二人揃って吹っ飛ばされてな、お前は気を失ってたから起きるのを待ってたのさ。流石に気絶したまま放置も出来ないからな」

どうやらまた眠っている間、エボルトの世話になったらしい。
素直に礼を告げるとひらひらと手を振りながら、「相棒なんだから当然だろ?」と返された。
胡散臭い仕草だが口には出さず、代わりにあの場で戦っていた皆はどうなったかを聞く。
返って来たのは分からないの一言。
同じ場所へ吹き飛ばされた自分以外はどうなったのか不明。
ならば一刻も早くゲンガー達と合流しなくてはならない。
体はまだダルいけど、少しの間だけでも寝ていたお陰か動けない程の疲れでも無い。

113 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:56:43
それに今の自分にはミチルとの絆で得た力もある。
重傷を負っている仲間がいれば、この力で助けられる筈だ。
こうしてはいられないと外へ出ようとすると、エボルトから傘を手渡された。

「ずぶ濡れになりたいんならいらねぇだろうがな」

自分の意識がベルベットルームを訪れている間、既に準備は済ませていたのか。
もう一度礼を言うと肩を竦められた。
そのまま揃って部屋を出て、文具が散乱しているスペースを抜け外へと向かう。
雨はまだ止んでいない。
傘をさし仲間達との合流へと出発する時、何気なく共犯者へ問い掛ける。

「寝ている間に何か起きたりしたか?」

聞かれた当人は特に顔色も変えず、さらりと答えた。

「いや?なーんにも無かったよ」


【D-6とD-7の境界 街/午後】

【雨宮蓮@ペルソナ5】
[身体]:左翔太郎@仮面ライダーW
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、SP消費(大)、体力消耗(中)、怒りと悲しみ、ぶつけ所の無い悔しさ、メタモンを殺した事への複雑な感情
[装備]:煙幕@ペルソナ5、T2ジョーカーメモリ+ロストドライバー@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品×3、ダブルドライバー@仮面ライダーW、ハードボイルダー@仮面ライダーW、、スパイダーショック@仮面ライダーW、ランダム支給品0〜2(煉獄の分、刀剣類はなし)、T2サイクロンメモリ@仮面ライダーW、新八のメガネ@銀魂、両津勘吉の肉体、ジューダスのメモ
[思考・状況]基本方針:主催を打倒し、この催しを終わらせる。
1:ゲンガー達と合流に向かう。
2:仲間を集めたい。
3:エボルトは信用した訳ではないが、共闘を受け入れる。
4:今は別行動だが、しんのすけの力になってやりたい。今どこにいるんだ?
5:体の持ち主に対して少し申し訳なさを感じている。元の体に戻れたら無茶をした事を謝りたい。
6:逃げた怪物(絵美理)やシロを鬼にした男(耀哉)を警戒。
7:ディケイド(JUDO)はまだ倒せていない気がする…。
8:新たなペルソナと仮面ライダー。この力で今度こそ巻き込まれた人を守りたい。
9:推定殺害人数というのは気になるが、ミチルは無害だと思う
[備考]
※参戦時期については少なくとも心の怪盗団を結成し、既に何人か改心させた後です。フタバパレスまでは攻略済み。
※スキルカード@ペルソナ5を使用した事で、アルセーヌがラクンダを習得しました。
※参加者がそれぞれ並行世界から参加していると気付きました。
※翔太郎の記憶から仮面ライダーダブル、仮面ライダージョーカーの知識を得ました。
※エボルトとのコープ発生により「道化師」のペルソナ「マガツイザナギ」を獲得しました。燃費は劣悪です。
※しんのすけとのコープ発生により「太陽」のペルソナ「ケツアルカトル」を獲得しました。
※ミチルとのコープ発生により「信念」のペルソナ「ホウオウ」を獲得しました。スキルは以下の通りです。
・フレイラ
・ディアラマ
・リカーム(死亡した参加者の蘇生は不可能)
・マハフレイラ
※ベルベットルームを訪れましたが、再び行けるかは不明です。また悪魔合体や囚人名簿などの利用は一切不可能となっています。

114 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:57:41
【エボルト@仮面ライダービルド】
[身体]:桑山千雪@アイドルマスター シャイニーカラーズ
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、千雪の意識が復活
[装備]:トランスチームガン+コブラロストフルボトル+ロケットフルボトル@仮面ライダービルド、エターナルソード@テイルズオブファンタジア、???????
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜2(シロの分)、累の母の首輪、アーマージャックの首輪、煉獄の死体、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル
[思考・状況]
基本方針:主催者の持つ力を奪い、完全復活を果たす。
1:■■からの連絡を待つ。
2:ゲンガー達と合流に向かう。
3:蓮や承太郎を戦力として利用。
4:首輪を外す為に戦兎を探す。会えたら首輪を渡してやる。
5:有益な情報を持つ参加者と接触する。戦力になる者は引き入れたい。
6:自身の状態に疑問。
7:出来れば煉獄の首輪も欲しい。どうしようかねぇ。
8:ほとんど期待はしていないが、エボルドライバーがあったら取り戻す。
9:柊ナナにも接触しておきたい。
10:今の所殺し合いに乗る気は無いが、他に手段が無いなら優勝狙いに切り替える。
11:推定殺害人数が何かは分からないが…まあ多分ミチルはシロだろうな(シャレじゃねえぜ?)
12:ジューダスの作戦には協力せず、主催者の持つ時空に干渉する力はできれば排除しておきたい。
13:千雪を利用すりゃ主催者をおびき寄せれるんじゃねぇか?
[備考]
※参戦時期は33話以前のどこか。
※他者の顔を変える、エネルギー波の放射などの能力は使えますが、他者への憑依は不可能となっています。
またブラッドスタークに変身できるだけのハザードレベルはありますが、エボルドライバーを使っての変身はできません。
※自身の状態を、精神だけを千雪の身体に移されたのではなく、千雪の身体にブラッド族の能力で憑依させられたまま固定されていると考えています。
また理由については主催者のミスか、何か目的があってのものと推測しています。
エボルトの考えが正しいか否かは後続の書き手にお任せします。
※ブラッドスタークに変身時は変声機能(若しくは自前の能力)により声を変えるかもしれません。(CV:芝崎典子→CV:金尾哲夫)
※参加者がそれぞれ並行世界から参加していると気付きました。
※主催者は最初から柊ナナが「未来を切り開く鍵」を手に入れられるよう仕組んだと推測しています。















(蓮君には言わないんですか…?)
(今はまだ、な)

115 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:58:40



時は蓮が目を覚ます数分前に遡る。

「戻ったぜ…っと、まだ寝てるか」

事務室へ戻ったエボルトだったが蓮は意識を落としたまま。
もう少し余裕を持って千雪と話しても問題は無かったかもしれない。
適当な椅子に腰を下ろし天井を見つめる。
考えなければならない事は山ほどあるのだ、座って体を休めている間にも頭は動かしておくに限る。

(千雪の精神が消される気配は相変わらず無しと…。となりゃあ主催者が腰を上げる何かを引き起こせるチャンスはまだあるか)

先程も考えたが、主催者が体の意識を消しに来るとはつまり向こうから参加者に接触するということ。
問題は主催者を動かす為の具体的な方法。
身体側の参加者が精神側の参加者に取って代わるなど、過度の干渉が起こるのをボンドルド達は歓迎していない。
となると、シンプルながら効果を期待できそうな方法が一つある。

肉体の主導権を千雪本人に返す。
エボルト自身は一度意識を引っ込めて、千雪が自由に元の体を動かせるようにする。
アーマージャックを始末した直後、エボルトは千雪が自分の口で会話が可能な状態にした。
ということはエボルトの意思一つで更に千雪を解放してやれる。
そうなればボンドルド達には宜しくない状況の完成だ。
精神側の参加者を差し置いて、不要と見なした身体側の意識が平然と行動しているのだから。
試しに蓮が眠っている今、千雪に体の主導権を一時的に返却しようかと考え、

116 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:59:35
「……やめとくか」

却下との判断を下した。
何せ自分はまだ首輪を解除していない。
そのような状況で意図的に主催者との接触を図った結果、肉体のみならず精神も不要として首輪を爆破される可能性も十分考えられる。
仮に実行するにしても、もう少し検討する必要があるだろう。

加えて千雪へ肉体を本当に明け渡せるかも、今となっては正直分からない。
主催者は身体側の精神の復活を良しとしない。
それなら、その気になれば千雪を自由に動かせる自分の能力を放置しておくだろうか。
ひょっとしてエボルトが気付いていないだけで、千雪に体の主導権を返せないような制限を課せられているんじゃないか。
実際に試さない事には確信を持てないが、否定出来るだけの材料も持ち合わせていない。
何にしても、今すぐに行動を起こすのは控えておく。

「いずれは勝負に出なきゃならねぇかもしれんが、今はもうちょい慎重に行かせてもらうぜ」

焦って腹の括り時を見誤れば全てがおじゃんだ。
慎重になり過ぎてチャンスを逃すのも以ての外。
とにかく柔軟かつ冷静に考え、ここぞという場面での最適解を弾き出す。
元の地球での計画も同じだ。
最上が開発したエニグマなど想定外の事態もあったが、どうにか乗り切って来た。
思考停止だけは避けねばなるまい。

一度頭をリセットしようと水を取り出そうとする。
残念ながらルブランのコーヒーは無く、作れる者は未だ夢の中。
苦みは強いが酸味とコクは癖になる、喫茶店のマスターをやっていた自分からしても文句の付けようがない上手さ。
あれをもう一度味わえる機会は果たして今後あるのやら。
仕方なしに味気ない水分補給を行うべく、デイパックの口に手を突っ込み、

「…………」

手に何かが当たった。
水の入ったペットボトルではない。
コンビニで売っている弁当の容器ではない。
地図や名簿などの紙でもない。
デイパックに入っている物のどれにも当て嵌まらないソレを掴み、ゆっくりと手を引き抜く。

117 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 22:00:35
外に出した右手が握っているのはエボルトが初めて見る物、ではない。
むしろ地球に来てからは毎日目にしているし、常に使用している。
長方形の薄い、掌に乗っかる程度の大きさの板。
スマートフォンである。
現代人にはほぼ必要不可欠の電子機器、どこにいても使える他者との通信手段。
そんな日常のツールが自身の手元にある事実が、エボルトには不可解でならない。

何故ならエボルトのデイパックにスマートフォンは入っていなかった。
後から手に入れたシロのデイパックにもである。
しかし現実としてスマートフォンは確かにエボルトのデイパックの中にあった。
見落としたつもりは無い。
それまで無かった道具が突然デイパック内に出現する現象、それはバトルロワイアルの参加者なら既に一度体験している。
名簿とコンパスをデイパックに転送した、主催者の技術。

「……」

起動させると早速気付いた。
SNSにメッセージが一件届いている。
戸惑っていても時間の無駄だ、一切の躊躇なしで確認の為に開く。

『届いてるか?』

画面に表示されたのはその一言だけ。
届いているとはスマートフォンがデイパックの中に届いたことか。
このメッセージを見ているかの確認か。
それとも両方か。

『ああ、届いてるよ。一応聞いておくが、まさか送り主を間違えたなんて言わないよな?』

スラスラと文字を打ち込み送信。
10年も暮らしていれば地球産の電子機器だって余裕で使いこなせる。
時間を置かずに返事が返って来た。

118 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 22:01:15
『そんなヘマはしない。エボルトだろ?私はお前に頼みたいことがあるからスマホを送った』
『使い走りに選んで頂き光栄だな。だが何故30人は残ってるだろう参加者の中で俺なんだ?』

当然の疑問をぶつける。
まさかとは思うがランダムに選んだのでは無い筈だ。
生き残っている中でエボルトを選んだのには、相応の理由があるに違いない。

『私だって本当は他に頼れるならそっちに頼みたかった。けど大っぴらに頼むとボンドルド達に私が参加者と接触したってバレるだろ。お前は秘密裏に動いてくれそうだし、一応殺し合いには乗ってない』

返信を一文字も見逃さず読み、思考を高速で動かす。
頼れるならそっちに頼みたかったという文面、それにエボルトの方針を把握しているような内容。
ボンドルドの名前を出し、奴に自分の行動がバレるのを恐れている。
つまりこの人物は参加者達の動向を把握可能な立場、主催者側の人間。
何らかの理由でボンドルドの意に反する何かを行おうと、独自にエボルトに連絡を取った。

『色々と知っているようだが、こっちはお前の事を何も知らないんだがな。ボンドルドに逆らう理由はなんだ?贔屓してた奴が脱落してヤケクソにでもなったか?』

あえて神経を逆撫でする内容で返信を行う。
冷静沈着な奴ならともかく、そうでないなら…

『そうじゃない!!!私だって本当は協力なんてしたくなかった!!!!殺し合いだって知ってたら、それにあいつまで巻き込まれてるって分かってたら誰が手を貸すか!!!』

口で直接言えない怒りを文章でぶつけているのだろう。
わざわざ「!」マークを複数付けているのがその証拠。
相手がどんな体でどんな怒り顔をしているか、文章だけでは想像も付かない。
しかし読み取れる情報ならばある。
この人物は主催者側にいると言っても、殺し合いには全く乗り気ではない。
ボンドルド達が殺し合いを起こすと知らないまま協力させられ、気付いた時には引き返せなくなった。
更に「あいつまで巻き込まれていたら」という部分、親しい者が参加しているのを後から知ったのだろうか。

何もかもがこの人物には想定外。
このまま最後までボンドルドに協力する気にはなれず、反抗する道を選びその第一段階としてエボルトに連絡を取った。
動機は何であれ主催側の人間とのパイプを得られたのは間違いない。

119 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 22:02:07
『そいつは悪かったよ。お詫びと言っちゃあ何だが、出来る限り協力はしてやるさ。ただこっちの質問にも色々と答えてもらうぜ?』

主催者側にいるなら、有している情報の量も相応の筈。
聞かない理由は無い。

『私の知ってる範囲の事は答えるけど今はあんまり余裕が無い。だから次の連絡を待て』

返答は少しばかり肩透かしを食らうもの。
すぐにでも情報を開示してはくれないということか。
焦らされて良い気分はしない。

『協力を漕ぎつけといてこっちの聞きたい事には答えないってか?ちょいとセコいんじゃねぇのか?』
『しょうがないだろ、私だって危ない立場でお前に連絡してるんだ。とにかく次に連絡したらちゃんと見ろよ。それから、一緒にいるあいつの助けになってくれ』

あいつが誰を指しているのか。
名前は出さずともエボルトと今一緒にいる参加者は一人だけ。
ソファーの上で目を閉じた青年にチラリと目をやる。
却って謎が増えた気がしてならない、それでも今後使えそうな手札(カード)を入手できた。
向こうの詳細な状況は知る由も無いが、いつボンドルド達にバレてもおかしくはないリスクを背負っている。
ここでしつこく食い下がって相手から更に余裕を奪っては、折角の情報源を失ってしまう。

一先ずは相手の言う通り次の連絡を待つ。
その前に一つだけ質問があった。

『なら最後に教えてくれ。お前さんのことは何で呼べば良い?』
『私のことは……――』

120 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 22:03:04



メッセージでのやり取りを終え、スマートフォンを仕舞う。
あの人物に関する情報を他者に明かすつもりは今のところ皆無。
大っぴらに蓮や他の参加者に情報を伝えて、あの人物の裏切り行為がボンドルド達にもバレては一大事だ。
別に心配はしていないが貴重な情報源を失うのは痛い。
それに万が一を考えれば、主催者とのパイプというアドバンテージを独占しておくのも悪い手ではない。

(さて…どうするかねぇ……)

やるべきことは多い。
ゲンガーや承太郎、黎斗との合流。
自分達より街で先に戦っていた連中とも情報交換が必要。
しんのすけが行方不明なら探す必要があり、特に蓮は絶対に捜索に行くだろう。
ホイミンを探しに行ったいろはとジューダスの動向も気になる。
未だどこにいるのか分からない戦兎や、殺し合いで重要な役目を背負わされていると推測するナナとも会っておきたい。

それといい加減煉獄を始めとして、死体から首輪を入手したいところだ。
首輪解除のサンプルは一つでも多い方が良いし、モノモノマシーンで装備を増やす為にも首輪は欲しい。
今後もディケイドや櫻木真乃の体の参加者が変身したライダーを相手にするなら、戦力増加の機会を見逃せない。
とはいえ蓮は死者の首を刎ねるのを良しとするような性格でないのが厄介だ。
承太郎にしたって新八の首輪が欲しいと言っても、素直に承諾はしないだろう。

今後の方針の多さに反して動かせる体はアイドルの体一つ。
全く骨が折れる所の話ではない。
何にしても、主催者側からのコンタクトはバトルロワイアルをボンドルド達も予期せぬ方へと転がす起爆剤だ。
ポケットに仕舞ったスマートフォンをチラと見やり、薄ら笑いを浮かべ呟く。

「精々仲良くやろうぜ?『ナビ』」

その名前が雨宮蓮に、怪盗団のリーダーにとってどんな意味を齎すか。
今はまだ、誰も知らない。

121 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 22:03:49
【D-6とD-7の境界 街/午後】

【エボルト@仮面ライダービルド】
[身体]:桑山千雪@アイドルマスター シャイニーカラーズ
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、千雪の意識が復活
[装備]:トランスチームガン+コブラロストフルボトル+ロケットフルボトル@仮面ライダービルド、エターナルソード@テイルズオブファンタジア、スマートフォン@オリジナル
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜2(シロの分)、累の母の首輪、アーマージャックの首輪、煉獄の死体、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル
[思考・状況]
基本方針:主催者の持つ力を奪い、完全復活を果たす。
1:ナビからの連絡を待つ。
2:ゲンガー達と合流に向かう。
3:蓮や承太郎を戦力として利用。
4:首輪を外す為に戦兎を探す。会えたら首輪を渡してやる。
5:有益な情報を持つ参加者と接触する。戦力になる者は引き入れたい。
6:自身の状態に疑問。
7:出来れば煉獄の首輪も欲しい。どうしようかねぇ。
8:ほとんど期待はしていないが、エボルドライバーがあったら取り戻す。
9:柊ナナにも接触しておきたい。
10:今の所殺し合いに乗る気は無いが、他に手段が無いなら優勝狙いに切り替える。
11:推定殺害人数が何かは分からないが…まあ多分ミチルはシロだろうな(シャレじゃねえぜ?)
12:ジューダスの作戦には協力せず、主催者の持つ時空に干渉する力はできれば排除しておきたい。
13:千雪を利用すりゃ主催者をおびき寄せれるんじゃねぇか?
[備考]
※参戦時期は33話以前のどこか。
※他者の顔を変える、エネルギー波の放射などの能力は使えますが、他者への憑依は不可能となっています。
またブラッドスタークに変身できるだけのハザードレベルはありますが、エボルドライバーを使っての変身はできません。
※自身の状態を、精神だけを千雪の身体に移されたのではなく、千雪の身体にブラッド族の能力で憑依させられたまま固定されていると考えています。
また理由については主催者のミスか、何か目的があってのものと推測しています。
エボルトの考えが正しいか否かは後続の書き手にお任せします。
※ブラッドスタークに変身時は変声機能(若しくは自前の能力)により声を変えるかもしれません。(CV:芝崎典子→CV:金尾哲夫)
※参加者がそれぞれ並行世界から参加していると気付きました。
※主催者は最初から柊ナナが「未来を切り開く鍵」を手に入れられるよう仕組んだと推測しています。
※制限で千雪に身体の主導権を明け渡せなくなっている可能性を考えています。

【スマートフォン@オリジナル】
主催者側の『ナビ』がエボルトのデイパックに転送した携帯電話。
外見は普通のスマートフォンと変わらない。
通話機能などがどうなっているかは現在不明。

122 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 22:04:43
仮投下終了です
問題があれば連絡をお願いします

123修正版 ◆ytUSxp038U:2023/04/23(日) 01:23:55
シンチェンジ本スレ62を以下のように変更します

鞄を漁り中の道具を確認し、使い方も理解した。
彼は他の同胞を見下すだけあって、知能も非常に高い。
支給された道具は複数のモンスターを使役し、特殊な鎧を纏う効果を持つ。



鞄を漁り中の道具を確認し、使い方も理解した。
彼は他の同胞を見下すだけあって、知能も非常に高い。
支給された道具は特殊な鎧を纏い、更には武器も同時に出現する。

124修正版 ◆ytUSxp038U:2023/04/23(日) 01:28:44
本スレ63と死亡表記、並びに支給品説明を以下のように変更します

起きた事を説明すれば、別の参加者に襲われたで片付く。
呼び出したモンスターが一瞬で殲滅に追いやられ、彼自身も重傷を負った。
そう付け加える必要があるが。



起きた事を説明すれば、別の参加者に襲われたで片付く。
振るった槍を逆に両断され、鎧の上からでも耐え難い痛みを味合わされた。
そう付け加える必要があるが。


○死亡表記
【ゴブリンロード@ゴブリンスレイヤー(身体:佐野満@仮面ライダー龍騎) 死亡】



【ゴブリンロード@ゴブリンスレイヤー(身体:初瀬亮二@仮面ライダー鎧武) 死亡】


○支給品
【インペラーのデッキ@仮面ライダー龍騎】
仮面ライダーインペラーに変身するカードデッキ。
レイヨウ型モンスターのギガゼールと契約している。
ギガゼールは集団で行動する習性を持ち、他のゼール系モンスターと意思疎通する能力を有している。
その為インペラーはゼール系モンスターを種族ごと支配下に置いている。




【戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武】
戦極凌馬が開発設計した変身ベルト。
ロックシードを装填しアーマードライダーに変身する。
イニシャライズ機能が搭載されており、最初に使った人間以外は変身出来ない。

【マツボックリロックシード@仮面ライダー鎧武】
アーマードライダー黒影の変身に用いるロックシード。
量産型の戦極ドライバーに装填した際は黒影トルーパーに変身する。

125 ◆ytUSxp038U:2023/04/23(日) 01:29:57
以上で修正を終了します
何かありましたら連絡をお願い致します

126 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/14(金) 20:47:05
「この体の元の持ち主の名前はクトリちゃんっていう女の子なんだ……」

彼女の名前は衛藤可奈美。元の世界では刀使として荒魂という存在から人々を守っていた。

そして現在彼女は青空の髪で凪の海ような眼を持つ少女クトリ・ノタ・セニオリスの体になっていた。

127 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/14(金) 20:54:40
「私は誰を犠牲にして叶えたい願いはないから……だから私はこの戦いを止める! クトリの体を少し借りるね!」

刀使の少女は戦いを止めるために戦うことを決意する。

128 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/14(金) 21:06:48
【衛藤可奈美・刀使ノ巫女】
【身体】クトリ・ノタ・セニオリス
【状態】健康
【装備】御刀 千鳥
【恩考・状態】この戦いを止める。誰も死なせない。
1 絶対に誰も死なせない。全てを守る。
・参戦時期 アニメ完結後
投稿終了です。

129 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 10:35:07
再びこちらに投稿します。タイトルは【運命】です。

130 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 10:47:31
「またとんでもないことに巻き込まれましたね……」

手鏡で自分の姿を見てそう呟く黒髪の少女井ノ上たきな。

「とりあえず……この体について調べないとですね」

たきなはタブレットで自分の体の本来の持ち主の情報を確認する。

今のたきなは銀髪で赤いドレスのような服装をした少女の体になっていた。

131 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 10:58:13
「名前は運命……ムジカートとして大切な人のために戦い抜いた少女……」

たきなは自分の体の持ち主の情報を確認すると、少し黙ってからこう呟く。

「運命……少しだけあなたの体を借ります。この戦いを止めるために!」

たきなはこの戦いを止めるために戦うことを決意する。

132 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 11:10:29
【井ノ上たきな・リコリス・リコイル】
『身体』運命『コゼット・シュナイダー』・タクトオーパス
『状態』健康
『装備』拳銃
『恩考・状態』基本方針・このふざけた戦いを止める。
1 戦いを止めて、誰も死なせない。
2 黒幕を捕まえる。

投稿終了です。

133 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 11:11:42
ちなみにたきなの参戦時期はアニメ1期完結後です。

134 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 21:36:49
再びこちらに投稿します。タイトルは【リコリスの少女】です。

135 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 21:41:49
「他人の体で殺し合いさせるとか……ありえないんだけど……」

そう呟く少女の名前は錦木千束。

136 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 21:55:51
「とにかく今はこの体の持ち主の情報を確認にしないと」

千束はそう言いながらタブレットで情報を確認する。現在の彼女は赤髪の少女の姿になっていた。

「佐藤麗華……それがこの体の持ち主の名前なんだね。それでアイドルなんだ……すごいね!」

佐藤麗華という少女はどうやらアイドルらしい。

「この体を持ち主に返すためにもこの戦いを止める!絶対に誰も死なせない!」

戦いを止めることを決意する千束。

137 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 21:59:48
【錦木千束・リコリス・リコイル】
『身体』佐藤麗華・22/7

138 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 22:09:14
『状態』健康
『装備』拳銃
『恩考・状況』基本方針・この戦いを止める、絶対に誰も死なせないし、殺させない。
1 この戦いを止めて、体を持ち主に無事に返す。
2 絶対に誰も死なせない。
参戦時期
アニメ1期完結後。

139 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 22:10:06
投稿終了です。

140 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/16(日) 20:21:20
再びこちらに投稿させていただきます。
タイトルは【太陽の少女と自称イケメン】

141 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/16(日) 20:34:01
「殺し合いなんて絶対にだめだよ……止めないと!」

彼女の名前は川咲さくら。元の世界ではサニーピースというグループに所属するアイドルである。

「まずは私が借りてる体の持ち主さんのことを確認にしないと……」

さくらはタブレットで体の元の持ち主について確認する。現在の彼女は金髪の少女になっていた。

「名前は藤間桜ちゃん……私と同じ名前なんだね! それにアイドルなんだ! すごいな……!」

どうやら彼女が借りてる体の持ち主は偶然にも同じ名前でアイドルだったらしい。

142 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/16(日) 20:42:52
さくらがタブレットで情報を確認にしていると誰が近付いて来た。

「あなたも参加者ですが……?」

そこに現れたのは黒髪の少女。その少女がさくらに参加者か聞いてくる。

「琴乃ちゃん!?」

さくらはその少女を見て驚いていた。どうやらその少女はさくらの知り合いだったらしい。

「私は琴乃ちゃんではありません!! 劉備軍一のイケメン!! 趙雲です!!」

「琴乃ちゃんがおかしくなった!?」

これからどうなるのか……。

143 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/16(日) 21:04:18
【川咲さくら・アイドリープライド】
『身体』藤間桜・22/7
『状態』健康
『装備』なし
『恩考・状況』・基本方針・この戦いを止める。
1 誰も死なせたくない。
2趙雲さんと協力する
3 体を持ち主に返す。


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