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SS投下スレ

97 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:39:46



振り返ると、これまで歩いて来た道が私の足元まで続いているのが見える。
凸凹で転びそうな所もあれば、舗装されてすいすい行ける所だってある。

ずうっと遠くの方に見えるのは子供の頃の自分。
色んな事をしたいと未知への好奇心に溢れていた、何にでもなれると無邪気に信じた私。
絵本に登場するヒロインにだってなれる、そんな風に笑っていた私。

でも純真無垢なままでは先に進めない。
成長していくと同時に、憧れ幾つも忘れていった。
前へ進むにつれて、沢山の夢を諦めた。
大人になるというのは現実を知るということ。
私もその例に漏れず、仕方ないと言い訳を重ねて自分を無理矢理納得させる。
良く言えば物事を現実的に考えられる、悪く言えば冷めてつまらない。
そういう大人の道に足を踏み入れていた。

だから、あの日起こったのは私にとって運命だったんだと思う。
あの時間にあの場所を歩いていなければ。
あの人を見つけていなかったら。
袖のボタンを直してあげようと思わなかったら。
きっと私は今も、何かが欠けている道を歩き続けていたのだろう。

前を見ると、遥か向こうまで続く道があった。
どこまで続いているのかは分からない。
進んで行けばきっと多くの難題が立ち塞がり、泣きたくなるような辛い目に遭ってしまう。
そんな予感がする程に、長い道。

ああだけど、辛くて苦しいだけでないとも分かる。
彼が私の手を引いて、新しい世界へと連れ出してくれたから。
好きな事をただ全力でやるのは間違っていないと、彼が教えてくれたから。
満天の星空のように輝く舞台からの景色を、大好きな人達と一緒に見れたから。
心の底からアイドルが楽しいって言える。
だからこの先も、もっと楽しい未来が待っていると信じられる。


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