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番外企画スレ

3486名無しさん:2025/03/25(火) 12:11:03
>>3477
獲物がかかった場所へと飛んだ太歳星君を見送ったシロッコは当初の予定通り戦場となっている霊地と陣地を繋ぐ地脈を途切れさせないよう十二神将たちに指示を出す
その過程で京都市内で騒ぎとなった事柄について把握していく
それと同時に一部の式神にはランサー陣営の動向も追わせていく
ピトフーイ達を監視する必要はないと考えているが、彼女達が遭遇する陣営に興味があった

そして遠目に見張る式神からは戦闘が起きた様子はないとのこと
出来るだけ多くの陣営を見ておきたいシロッコは護衛の式神に乗ってその場所へと向かうのであった

3487名無しさん:2025/03/26(水) 21:28:22
>>3485
太牙「ああ。ありがとう、舞衣……」

舞衣の令呪により、闇のキバが更に強化される
それを感じ取った太牙は舞衣のため。そして――夢のため。弟である渡にとって誇らしい兄であるために――

太牙「お前が何者かわからないが――王の判決を言い渡す。死だ」

瞬間、闇のキバが太歳星君を殴り飛ばす。ただでさえ高スペックを誇るダークキバ+令呪によるブーストで底上げされた超スペックによる一撃は、それだけでもかなりの威力を誇る
そして太歳星君の背後にキングの紋章を出現。もしもこのまま太歳星君が何もしなければ、反射した太歳星君の肉体を再び殴ることになるだろう

3488名無しさん:2025/03/26(水) 21:29:36
>>3473>>3474
キリトが疑問を挟んでワンテンポ遅れたが、カズマ、影山、矢車さんが口を開く

カズマ「ユウキは重度の病気なんだろ?それを聖杯で治そうと思わないのか?」

影山「重度の病気、か……。それが本当なら、どうして治そうとしないのさ」

自身が人外になり、死んだ結末を迎えた影山には、ユウキの苦しみが痛いほどわかる。もしもカズマの言う通り重度な病気なら、聖杯に頼っても誰も彼女を咎めないだろう

矢車さん「俺もキリトや相棒と同じ疑問を思ったな。お前は地獄を見てきた目をしている……。だが、何故か光を秘めている。どういうことだ?」

ユウキ「うん。たしかにボクは、地獄も見たよ。でも今はもう悔いがないし、この京都で生身の体を漫喫したいかな!」

一護「とまあ、こんな感じなんだ。だから俺はそんなユウキの意志を無駄にしたくないと思ってる。……俺はユウキとは逆で、もう後悔したくねぇからな」

矢車さん「後悔か……。たしかにお前も地獄を見てきた目をしてるな……」

キリト(ユウキ。今の俺には……今のキミが眩しく見えるぜ……)

屈託のない笑みを浮かべるユウキを、キリトは眩いと思った。
自分は世界のためとはいえ、聖杯を手に入れようとしてる。
だがこれはエゴかもしれない。少なくとも大切な相棒――ユージオがこの話を聞いたらどう思うだろうか

アリス『キリトの友人が聖杯戦争に居ましたか……』

キリト『ああ。でもユウキはマスターだ。……聖杯戦争は無理にマスターを狙う必要はない。もし戦うことになっても、俺はユウキとは戦いたくない。だからその時はセイバーの相手を、アリスに任せたいんだけど……』

アリス『キリトの気持ちはわかりました。無理に友人と斬り合う必要もないでしょう。――だからその時は、私がセイバーと戦います』

キリト『ああ。……だがこの聖杯戦争、もしかしたら裏に潜んでるかもしれない。ユウキは頼りになる仲間だし、とりあえず聖杯戦争の謎を暴くまでは協力関係になっておきたい。……黒幕が居ないか、黒幕を倒したらあのセイバーやカズマのアサシン達とも戦わなきゃならないけどな』

――自分の彼女がサーヴァントとして参加していることを。彼女(アスナ)を倒さねば前に進めないことを、キリトはまだ知らない。
心が通じ合った大切な親友が自分のために聖杯を狙っていることを、ユウキはまだ知らない

そしてカズマと影山は、ユウキの姿を眩いと思うと同時に、本当に自分が聖杯を求めて良いのか迷っていた。

カズマ(出来ればユウキもこの京都から脱出させてやりたいな)

影山『カズマ、兄貴……。俺、この娘のことが少し心配になってきた』

矢車さん『甘いな、相棒。だがこいつらの目は嫌いじゃない。……どのみち、最終的には戦うけどな』

カズマ(やっぱり矢車の性格が厄介だな……)

3489名無しさん:2025/03/27(木) 06:20:50
>>3478
『ふざけているのか、ライダー!そんな瀕死の相手に油断して死にかけるとか、本末転倒だろ!』

少し離れた場所から戦闘を観ていたアズラエルが怒りと焦りを帯びた感情を念話に乗せてぶつけてきた
明らかにこちらが優位な状況にいたはずなのにこの為体(ていたらく)、あれ程の自信を見せつけていたディエゴは実はほら吹きの役立たずではないかと疑わずにはいられなかった

『うるさいッ!!外野にいるマスターは黙ってろ!』

そんな身内からの叱責をディエゴは念話にて怒鳴り返す。確かに油断していた自分も悪いのだが、その態度に腹を立てずにはいられなかった

「イヤーッ!」
「何ッ」

次の瞬間、インターラプターは己のニンジャ脚力をもって思い切り地を蹴り抜いた。砕かれた孤児院のコンクリート片が音速を超えた死の弾丸としてディエゴ達に襲いかかる!
令呪による補助を受けたインターラプターは、今この瞬間のみ全盛期と遜色ないカラテを取り戻していた。かつてザイバツきってのカラテの猛者サラマンダーと互角に戦った彼からすれば、ディエゴの操る『世界(THE WORLD)』は身体能力こそ高いものの動きは拙く十分打倒し得る!

「アバーッ!」

かろうじてスタンドによる防御が成功したディエゴだったが、偽装マスターとして連れてきた黒服は全員破片に貫かれて即死した。サツバツ!

「やったぁ!そのままやっちゃえバーサーカー!」
「ライダー!貴様はここできっちりと葬ってやる!」

バーサーカーの勇姿にメアリーは無邪気に喜ぶ、度重なる連戦により魔力を消耗して多少疲弊しているものの彼を応援せずにはいられなかった
そしてインターラプターは相手のマスターの排除に成功したと思い、邪悪なるライダーを野放しにするのは危険だと判断してさらに攻勢に出た

無理なガードで体制が崩れたディエゴにインターラプターが迫る。『世界』に迎撃させようとするディエゴだが中断した。中断せざるを得なかった

(さっきの妙な技か!)

インターラプターは再び奇妙な中腰の姿勢――カラダチの体制をとったからだ
しかし、これはインターラプターの作戦通り。カラダチを見せ札として使うことで隙を誘発しもう一つのヒサツ・ワザ、タタミ・ケンに繋げるためのフェイクである!

「これで終わりだ!」

ディエゴが見せた隙は僅かだがコンマ一秒を争うニンジャにとっては致命の隙!
体を捻り生半なガードごと叩き潰す一撃が叩き込まれる――


「『THE WORLD』! 俺だけの時間だぜ!」


――寸前に、『世界』はディエゴのものになった
インターラプターも、メアリーも、その他の全ても、時流が止まってしまったことに気付くことがなく
そんな万物が静止してしまった世界の中を、唯一の支配者たるディエゴだけ動く事が許されていた


「如何に強力な武術の使い手だろうとも、俺のスタンドの前では無意味!そしてたっぷりお返しをしてやらないとなぁ……」


「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーッ!!!」


「時は動き出す」


「グワーッ!」


ディエゴがスタンドによるラッシュによる連続殴打をインターラプターに見舞い、計ったように口ずさむと同時にインターラプターは別の建物まで吹っ飛ばされてしまった
意識外の攻撃を受けたインターラプターは状況を把握する刹那すらも与えられず、全身に響く強打の激痛に苛まれる

『ラ、ライダー…一体、何が起きたんだ…?』

この間、ライダーと契約していたアズラエルのみは時の止まった世界での出来事を観測していた
ディエゴがサーヴァント化した影響によりマスターにもその恩恵がおよび、時間停止中は動くことはできなくとも思考できるようになっていた
しかし始めて見たライダーの宝具開帳、そしてその後に起きた事象に対して理解が追いつくには少し時間が必要であり、身体に想い疲労感を覚えつつも今はただ驚くしかなかった

『これが俺の渇望の具現、絶対なる宝具の力だ。説明は後だ、マスターはそこで観ているがいい』

一方、自分の力を誇示したディエゴは念話で返答しつつ、虫の息な状態であるインターラプターの元へと悠々と向かい始めていた

3490名無しさん:2025/03/27(木) 06:21:20




(い、一体、なにが……もしや、ヘイスト・ジツか……!?)

意識が混濁する最中、インターラプターはこの事象に似た状況に思い当たる
かつてソウカイヤとザイバツの間で起こった大規模な抗争、通称『マルノウチ抗争』
かつてインターラプターもソウカイヤ側の戦士として参戦したこの抗争だが、ザイバツ側の指揮官スローハンドは自身を超加速する恐るべきヘイスト・ジツの使い手であった
インターラプターが直接カラテを交える事はなかったものの、その脅威はソウカイヤ内で共有されており今起こった現象はその時の様子と酷似していた

確かにその答えは近くまで辿り着いたものの、もはや満身創痍のインターラプターではどうすることもできない
先の鎧の男との戦いで負ったダメージに加え、今回死力を尽くした上での思わぬカウンターによって挫かれてしまった
今は立ち上がるどころか動く事すら不可能な状態、トドメを刺しに向かってくる敵を止める手段もない、“詰み”というやつだ
だからインターラプターは念話を使って、メアリーに逃げるように伝えようとしたが――



――それよりも先に、メアリーが動いていた
瀕死のインターラプターを目前に控えたディエゴの前に割って入り、両手両足を拡げてとおせんぼの格好を取った

「もうやめて!これ以上バーサーカーをいじめないでっ!」
「メアリーッ!!」
「ほぉぅ」

メアリーの目尻には水滴が浮かび、立ち塞がろうとするその四肢は小さく震えている
当然だ。不気味な美術館の中で生まれ育った少女とて、未知にして濃厚な神秘の重圧と恐怖に押し潰されそうになっているのだ
その上勝利の願いを込めた祈りすら打ち砕かれている、絶望に支配されているのかもしれない

「なんでも言うことを聞くから、バーサーカーを殺さないで!」
「やめ、ろ、メアリー……!」

それでも、バーサーカーを喪いたくないという想いが彼女奮い立たせていた
無謀な状況にもかかわらず、彼女は己が覚悟を示さんとする

「…くくく、あははははっ!殊勝なマスターに恵まれたな、バーサーカー!」
「いいだろう、諸共殺すつもりでいたが、この小さきマスターの覚悟に免じて一旦許してやろう」
「だが、ここまで手を焼かせたんだ。そうだな…慰謝料代わりに令呪でオレ達への攻撃を禁止してもらおうか」

「ラ、イダー…!」

「おっと、下手に動くなよ。小娘もな。その瞬間、お前達の命は潰える」
「なんであれ、お前達が下らない意地をはったからこんなことになったんだ。これは公正かつ寛大な『取引(ディール)』だぜ」

「……わかったわ……ごめんね、バーサーカー……」

インターラプターの鋭い眼光もディエゴを止めるには及ばず、失意のままにメアリーは最後の令呪を消費した




――ディエゴがメアリーをあえて殺さなかった理由は二つ
一つはディエゴ自身が語った通り、自分達以外の戦力が必要だったこと
マスターのアズラエルはこの聖杯戦争において優れた社会的地位を有しているが、その分目立ちやすい立ち位置でもある。先ほどバーサーカー達と戦闘していた鎧のアサシンもそうだが、自分達の行動を妨害する連中はこれからも出てくるだろう
アズラエルは魔術の心得がなく、如何に『世界』が強力無比と言えども宝具を使用した連戦は困難、まして複数の主従から集中攻撃を受ければ非常に厳しい展開になる。そういった邪魔者どもの相手をする『番犬』がほしいと考えたのがまず一つ

――そして、もう一つの理由はアズラエルにも話していないディエゴ自身の企みによるもの――いざという時の"替え"になるマスターを確保することが二つ目の理由である
弱いマスターがサーヴァントのアキレス腱になるのはこの戦いで証明された通りだが、ディエゴにもそれは当てはまる
万が一アズラエルが死亡ないし再起不能な状態に陥ればそのままではディエゴもまた道連れになってしまう
当然、それを是とするディエゴではなく密かに対策を考えていた
そんな中、この戦闘中バーサーカーのマスターであるメアリーという少女が少しだけの疲弊で済んでいることを見逃さなかった

普通魔術回路に乏しいマスターが全力でサーヴァントを戦闘させれば、その反動が重く伸し掛かる。それこそ今のアズラエルのように疲労困憊になるのが常である
しかし、メアリーは令呪を使ったとはいえ魔力喰らいで知られるバーサーカーを、連戦させたにも関わらず大きく疲弊をしていない様子であった
即ちあの少女は優れた魔術回路を有しているとディエゴは推測し、故にいざという時に再契約をする『保険』のマスターとして手元に置いておくことにしたのだ
無論アズラエルの立場が非常に有益であるのは理解しており、易々と手放すつもりはないが万が一の際には躊躇うことなく切り捨てるつもりである

「そうしょげるなよ、バーサーカー…ま、大人しく言うことを聞いていれば悪いようにはしないさ」

結局の所、大統領だろうがマスターだろうがディエゴにとって他者は全て自らの踏み台に過ぎないのだから


※インターラプターに令呪で『アズラエルとそのサーヴァントであるライダーへの一切の攻撃を禁止する』という命令が下され、メアリーは令呪を喪失しました

※以前ディエゴが宝具を使用した際には距離が離れていた影響もあって、その時はアズラエルは時間停止を認識できずに魔力だけを消費していました

※今回ディエゴが時を止めた際、5秒間で移動できる距離にメアリーがいなかったためインターラプターを全力で潰しに掛かりました

※この後ディエゴは瀕死状態のインターラプターを回復させるために魂喰いをさせるかもしれません

3491名無しさん:2025/03/27(木) 15:41:41
>>3483
ザンキ「どうやらお前達は積極的に戦うような陣営ではなさそうだな」
カブキ「その様子だと、あんたも何処かで戦ったようだな」

そしてマヤ組とカブキ組はこれまでにあった出来事を話す流れになった
最初にザンキがバーサーカー陣営に襲われたこと、バーサーカーに迷いがあり退けたことを伝えた

アタランテ「城の霊地に陣取るキャスターがいた。このまま放置すると手のつけようがなくなる、早めに対処したいところだが…」

続いてアタランテが二条城での出来事について語った
マスターのように子供を気遣うサーヴァント(ザンキ)に幾らか好印象を持ち、彼と共闘できるなら対キャスターに備えられるとも考えた
ただ同時にそのマスターである少女マヤにも危険が及んでしまいそうであり、子供の安寧を想うアタランテとしては共闘を持ち掛ける事には悩ましく感じていた

カブキ「それと夏油という男とそのサーヴァントとも出会ったんだが…」
マヤ「えっ、もしかして夏油先生?」
カブキ「なんだ、あの僧侶もどきを知っているのか?」
マヤ「うん、特別教師として色々と教えてもらったよ!」
カブキ「そうか…」
ザンキ「…その夏油と、何かあったのか?」

アタランテ「ああ、最初は話し合うために対面したのだが、相容れず決裂した」
カブキ「あいつは呪術師とやらで、只の人間を忌み嫌っていた。そんな奴に聖杯を渡すわけにはいかねぇ!と思って敵対したんだが…」
マヤ「えっ」

カブキ「戦いの最中に変身音叉を奪われて、俺は鬼の力を失っちまった…」
アタランテ「加えて夏油は鬼の姿に変身してしまった。戦況が不利になってしまい、なんとか逃げて来たのだが」
ザンキ「……」

3492名無しさん:2025/03/27(木) 20:30:19
「それで、この後はどうする?」
「特に手掛かりはないし、せっかくならコレ関連について調べてみましょうか」
「…?なにそれ?」

ソリテールは懐から取り出したのは変な人形であった
先程の崖下にて出会った式神と霊地について、そして解析して幾らか分かった事について己がマスターに説明をする

「たぶん、キャスター陣営がこの使い魔を京都各地送り出して霊地を押さえているようね」
「霊地、って魔力が豊富な場所って事?」
「そう、龍脈に点在する魔力の吹き溜まり。術理に長けたキャスターがそれらを利用して自陣の強化に使っているかもしれない」
「…なんだかそれ、ちょっとヤバい気がするけど」
「そのとおり、だから他の霊地も調べてみましょう。上手くいけば同じ様な使い魔と出会えるかもしれないし、そうでなくても霊地を調べれば聖杯戦争について何か分かるかもしれないし」
「…わかった、でも霊地ってどこにあるか分かるの?」
「ええ、なんとなく。地図を出せる」
「スマホのアプリでなら出せるけど」
「見せて…たぶんここね」
「…霊園?」

二人が向かった先は京都でも大きめな霊園であった
至って普通な墓地であり、お参りに来た人とも何人か見かけたりもした
(ちなみにだが、噂によるとここはそこそこ有名な心霊スポットらしい事もネット上で紹介されているようだ)
二人は人気のない場所にある霊地の中心に向かい、陰陽師姿で顔を隠した使い魔(式神)を見つけたが――

「おや、こんなところで他の主従と、それに式神?と出会えるとはね」
「妙な気配を感じて見に来たら、これは予想外。気配は消しているからアサシンだと思いますが、こうものこのこと姿を現しているとは」

同じタイミングで、夏油傑とキャスター・玉藻の前の現場に現われた
この二人、カブキ組との戦闘にて消費した呪霊を補填すべく霊園に赴いたのだが、ある程度回収したところで式神と霊地の気配を感じて確認しに来たようだ
ちなみに玉藻の前は式神を見たときに物凄く見覚えがあるように感じていたが、取るに足らない雑魚とみなしてアサシンへの警戒を強めていた

3493名無しさん:2025/03/28(金) 00:02:19
>>3490
その後、ディエゴはインターラプターに魂喰いを提案する

インターラプター「ふざけるな!俺にヒョットコ・クランのような真似を――」

そう叫ぶインターラプターの前で、ディエゴはメアリーにナイフを軽く押し当てた。メアリーの首筋から血が流れ出る。
もちろん殺すつもりはない。本当に軽くなのだが、それでも相応の痛みと恐怖を受けてメアリーは苦悶に顔を歪ませる

ディエゴ「俺の気分一つでお前のマスターは死ぬが、それでもいいのか?」
インターラプター「ぐっ……!わかった……!」

ディエゴ「そうだなぁ、場所は町中にしよう。他の主従が居たら容赦なく襲え」

それはインターラプターの気持ちに反するあまりにも卑劣な行動。しかしメアリーのために、仕方なく頷くしかなかった。

そしてインターラプターは魂喰いを始める。
大声をあげて逃げ惑う人々。
そんな中、イリヤとヤマトタケルがインターラプターを発見
彼の凶行を見過ごせない二人はインターラプターと戦闘になる

なおこの頃にはインターラプターはそれなりに回復していた。戦闘に支障はないだろう

ちなみにディエゴはメアリーを引き連れて、近くで待機。いつでも加勢出来る状況を作っている。相手は自分のスタンドと互角に戦えるサーヴァントだ。ここらで脱落してもらいたいとディエゴは考える

3494名無しさん:2025/03/28(金) 00:03:10
>>3491
マヤ「そんな……。あの夏油先生が……」

マヤは夏油に対して悪印象がない。むしろ忠告してくれたり、真偽はわからないが過去の事件も教えてくれた。
ゆえに夏油が人間を忌み嫌っているというのは、ショックな内容だ。だが人々を守りたいという自分の意見に〝もっと疑うべきだ〟と返したのは、たしかに〝ただの人間〟に対して何か思ってる節があるともマヤは考えた。過去の事件が本当で、そういうのを何度か見てきたら……歪んだ考えが出てくるかもしれない。

カブキ「マヤ。お前が夏油にどんな印象を持ってるかはわかんねえが、大人には汚え奴もいるんだ。俺も大人から何度も迫害を受けた。……鬼っていうだけでなぁ!」

3495名無しさん:2025/03/28(金) 13:05:05
>>3493
ちなみにディエゴの元にはアズラエルと数人の部下もいる
ディエゴが戦闘に出る際には彼らに人質たるメアリーを任せる手筈となっている
いつ自分に危害が及ぶのか分からない状況に、メアリーはただ怯えるしかなかった

3496名無しさん:2025/03/28(金) 13:09:20
(今更ながら>>3482の行間シーンを加えてみる)

ピトフーイの言葉に名護さんが臨戦態勢に入る
サーヴァントが臨戦態勢に入ったということは只事ではないと察した伊織もまたいつでも抜刀出来るような体勢に入る

名護さん「自分で認めるということは、本当に凶悪犯のようだな」
ピトフーイ「あぁ言っとくけど、襲われたのは私達の方よ。弱いのに群れてやってきたから返り討ちにしただけ。無闇矢鱈に人を襲う狂人ではないからそこだけは誤解ないように」
伊織「火の粉を振り払った、という割にはその語り様、些か嬉々としている様子と見受けられるが」
ピトフーイ「えぇ、まさかお尋ね者になるとは思ってもいなかったけど、それはそれで好都合。そのおかげで別の陣営が接触して一戦交えたし、さらに面白い戦いを味わえそうだし!」

ピトフーイとの会話で彼女とランサーが戦いを望む危険人物ではないかとより警戒を強める名護さんであったが、やはり街中であることと相手からの戦意や敵意がないためにこの場を見守るしかなかった
一方、伊織にしてみればピトフーイらに一定の共感を持っていた
なにせ江戸の街中にて浪人をしていた彼にしてみれば、そのようなゴロツキ達と戦う事が日常茶飯事であり、徒党を組んでこちらに襲いかかってくる輩がいれば全てを斬り伏せてきたのだ
それに、自らの剣技を研ぎ澄ませるためと戦闘狂として戦いを楽しむとで異なる部分はあるが、それでも強者との戦おうとする姿勢にも思うところがあった

(以下、>>3482のレン&ピトのパートに移る)

※伊織に関する記述にて「全てを斬り伏せてきた」と記しましたが、さすがに雑魚敵を全て殺していたわけではないと思います

3497名無しさん:2025/03/28(金) 22:50:24
>>3486
同時刻――

アルトリア、美遊兄、アスナはレン達に合流する
そして軽くマスター同士で自己紹介をしていた。この時、アスナとレンが同じ世界出身であることを知り互いに多少打ち解ける。もちろん、アスナは真名を伝えないが〝GGOを知ってる〟ということだこは教えた

レン(よかった。この人達も伊織さんと同じでイカれた人じゃなさそうだ)
美遊兄「……とりあえず一通り自己紹介は終わったけど、1つだけ伝えたいことがあるんだ。いいか?」
名護さん「良いだろう。教えなさい」

美遊兄「俺にはどうしても救いたい妹がいる。だから……悪いな。聖杯が汚染されてなければ、俺達はみんなと敵対関係になる」

アスナ「……ごめんね、レンちゃん。私も……どうしても救いたい、重度な病気の子がいるの」

レン「そんな……」

わかり合えると思っていただけに、レンはショックを受けた
いや……たしかにわかり合えたのかもしれない。これで特別、仲が悪くなるわけじゃない
だがそれでも――最終的に戦わなければいけないというのがキツかった。二人の聖杯に対する願いが利己的ではなく、他人のためだと知ったから余計に、だ。

名護さん「レンくん……これが聖杯戦争だ。俺達もレンくんを元の世界に帰すために、戦う必要がある」

レン「で、でも何か聖杯以外の方法で脱出できるかもしれないし……」

名護さん「そんな都合の良い方法が、あればいいけどな……」

アルトリア「だが聖杯が汚染されて、歪な形で願いを叶える可能性もある。それを忘れたらいけませんよ、アーチャー」

名護さん「ああ。わかってる。その時はその時だ」

3498名無しさん:2025/03/28(金) 22:51:28
>>3493
魂喰いをしてる最中のインターラプターの心中は、罪悪感に塗れていた

インターラプター(すまない……すまない……)

一人、また一人と罪のない人々を殺す度に心の中でそう呟き、ディエゴへの怒りを募らせる。だが、彼は逆らえない。

〝お前はニンジャに戻ったのだ。無慈悲な殺人鬼に〟

かつてニンジャスレイヤーに言われたことが、頭を過ぎる。
逃げ惑う人々を魂喰いし、その場をマッポーの地獄絵図と化す。これではヒョットコとやってることが同じだ。

インターラプター(俺は罪深い亡霊だが……更に罪を重ねなければいけないのか……。誰かカイシャクを……だが俺がカイシャクされたらメアリーは……)

そんな時にイリヤとヤマトタケルが現れた。
インターラプターは自らの死を願うと同時に、生きなければならないとも思う。自分が死ねばメアリーはどうなるかわからないからだ。
更に彼はディエゴからメアリーを人質に、自分の素性を吐かされた。もちろんオハギの件についてもだ。
それを聞いたディエゴは無慈悲にもインターラプターからオハギを奪っている

そして皮肉なことに血に塗れた皇子であるヤマトタケルはインターラプターが出す死の匂いに敏感に反応している。
それはデッカーとして働く一方、夜な夜なそのカラテでツジギリしていた報いか――。

インターラプターはその人格も相手に知られぬままに、バーサーカーとしてヤマトタケルと戦う。
オハギさえあればまともな男が。まともになろうとした男が――狂戦士として暴れる。なんと皮肉なことだろうか

ヤマトタケルはディエゴ戦で大ダメージを受けている。幾らか回復しているが、だからといって万全という状態には程遠いし、戦闘にある程度の支障が出るかもしれない。
一方、インターラプターは魂喰いでダメージがある程度は回復している。
卑劣なやり方がインターラプターに有利な状況を生み出したが、インターラプターの心は晴れない。しかし彼は相手が誰であれ戦うしかないのだ。メアリーのために

3499名無しさん:2025/03/29(土) 05:38:49
>>3487
いきなり全力を出してきた相手になされるがままの太歳星君は、そのままダークキバの必殺技まで受けて爆発に巻き込まれてしまう
一連の太牙の猛攻に体力を消耗しながらも勝利を期待した舞衣であったが、直接手を下した太牙は違和感を感じずにはいられなかった
突如現われた敵を即座に排除すべく動いたのはいいのだが、あまりにも手応えなくキャスターを倒してしまった……何か、嫌な予感がする

「…ははは、おもしろい。その全力に免じて、こちらも全力で応じよう」
「くそっ!こいつは不死身なのか!?」

明らかに死に体だったはずの太歳星君が無数の目玉と肉塊に包まれ、一瞬にして元通りに戻ってしまった
これだけでも死力を尽くした太牙と舞衣の行為を徒労に終わらせてしまったが、太牙は相手の言葉に危機感を覚えて即座に攻撃に移った

3500名無しさん:2025/03/29(土) 11:15:18
>>3497

ピトフーイ「へぇ、レンちゃんとは違って貴方達には戦う目的があるのね」

美遊兄「…そういうあんたは聖杯に何を求めているんだ」

ピトフーイ「私?私はねぇ…ずっと待ち焦がれていたのよ、命懸けのデスゲームってやつを!それに参加すること自体が私の願い、だから既に望みは叶っているわ!」
ピトフーイ「あとは紙一重の戦いを存分に楽しむだけ!聖杯は、まぁ優勝のトロフィー、ってところかしら」

李書文「我とて同じ。願望など、この肉があれば事足りる。なれば我が槍術、我が拳がどこまで通ずるか、実戦で確かめるのみ」

伊織(…やはり俺の知っている李書文と同じか…いや、若さ故かより荒々しさが表われているようだな)

アスナ「戦うこと自体が、目的…?」

アルトリア「そのような英霊がいることはおかしくはありません。聖杯に招かれた英雄豪傑であれば、生涯に悔いがなくとも戦いを求めて馳せ参じることもありえますから」



レン「やっぱりピトさんおかしいよ!SJ2が終わって改心したんじゃないの!?」

ピトフーイ「…レンちゃん、それってどういうこと」

レン「だから“ゲームに命を賭ける”なんてことはしなくなったのに、なんで!」

ピトフーイ「…私、心待ちにしていたSJ2の前にこの京都に喚ばれたんだけど」

レン「…えっ?」

ピトフーイ「道理で、なんだか話が噛み合わないと思ったら…レンちゃん、とりあえず教えて。あなたの知っているSJ2は、どいう結果になったの」

突如真剣な顔になったピトフーイの眼差しに虚を突かれ、レンは困惑しながらもSJ2のあらましについて簡潔に語り始めた
ピトフーイがSJ2を命懸けのデスゲームに見立て、敗北したらリアルでも死ぬ覚悟で挑んでいることを知ったこと
それを阻止するためにレンも参戦し、激闘の末にピトフーイを打ち破ったが満身創痍の状態で別のチームにやられたこと
そして約束通りにリアルで対面し、考えを改めてくれたところまでを語り尽くした

ピトフーイ「…ずるい」

レン「ん?」

ピトフーイ「ずるいずるいずるい!なんで私はSJ2に参戦できなくて、レンちゃんが私を倒しているなんて、そんなのずるい!!」

レン「ピトさん?」

ピトフーイ「いいわ、その分この聖杯戦争で思いっきり暴れてやる!そしてレンちゃん、私の知らない私を倒したようだけど、ぜぇぇぇったいに、この私と勝負しなさい!嫌でも付け狙って、私が殺してやるから!覚悟しといてね!」

レン「なにその暴論!!」

自分の知らない未来を知り、自分が思い描いていなかった結末を知らされ、なによりライバルに負けてしまったことにピトフーイは柄にもなく癇癪を起こし、その鬱憤を聖杯戦争で晴らすべくレンに宣言した
そしてもっと大きな悩みの種を抱え込んでしまったレンが頭を抱える最中、ピトフーイを利用して多くの陣営と接触を試みていたシロッコもその場に姿を現した

シロッコ「…一体何をやっているだ、ピトフーイ」

ピトフーイ「おっ、いいタイミングで来たわねキザ野郎。あんた達が企てている催しに、レンちゃんやここにいる皆を招待しましょう!」

3501名無しさん:2025/03/29(土) 17:00:09
>>3494
マヤ「鬼っていうだけで迫害を……!?鬼は人を守るのが使命なのに!?」

ザンキ「……残念だがこの京都に限ったらカブキの言ってることは正解だな。俺もこの京都で人助けをした時に、石を投げられたことがある」

カブキ「京都だけじゃねぇ。俺は元々の世界から、何度も迫害されてきたんだからなぁ」

ザンキ「……それはおかしいな。俺の居た世界では鬼は迫害されていなかった。それにお前は服装といい、何故か時代錯誤だ。鬼ということは本当らしいがな」

マヤ「もしかして、カブキはタイムトラベルしてきた鬼!?」

マヤが突拍子もないことを言うが、ザンキは少し考えた後に口を開く

ザンキ「……その可能性も否定出来ないな。時代錯誤の服装も、鬼の境遇が俺の時代と違うことも……それなら納得がいく」

3502名無しさん:2025/03/30(日) 06:14:25
>>3495
(…どうしてこんなことになっちゃったんだろう…ただ、美術館の外に出たかっただけなのに…)

ライダーにがっしりと掴まれ逃げることもできないメアリーは己が不幸な状況に浸るしかなかった

ゲルテナの作品が蠢く不思議な美術館で生まれ育った彼女は、それまで自分に危害を加える存在を知らずに外の世界に憧れているばかりであった
全てはお父さん、作者であるゲルテナに出会うために…彼女は、美術館に迷い込んだ人間を身代わりにして外に出ようとした
それゆえにイヴやギャリーと対立してしまい、最終的に自身の本体である絵画を燃やされ消滅してしまったが……
どういうわけか彼女は見知らぬ地に立っていて、聖杯戦争というよく分からない儀式に囚われていた

原因は分からないが、とにかく彼女は喜んだ。なにせ美術館の外に出れたのだから
その代わり、この世界はイヴ達がいた現実、お父さんがいる世界とは違うということを直感的に理解した
だから彼女は召喚されたバーサーカーと共に聖杯を獲ることを目論んでいたのだが……その様がこれだ

メアリーは自分が犯した罪を、咎人であることを自覚していない――利己的に行動によってイヴ達を危険に晒したことを、美術館から抜け出すことが禁忌であることを
それほどまでに純真で外に関心を持ち夢見ていたために――人の世にある悪意のことなど知るよしもなかった


その後、アズラエルが複数人の黒服を引き連れて姿を現した
その時点でディエゴは拘束していたメアリーを解放したが、その代わりに黒服達に取り囲まれてしまった
そしてアズラエルがしゃがみ込み、メアリーに目線を合わせるように口を開く

「やぁ、さっきぶりだね。まさか、君みたな娘がマスターだったとはね」
「……」
「とりあえず、バーサーカーがいい仕事をしてくれるまで僕たちと一緒にいてもらおうか」
「……あなた達、きらい」

今はただ状況に流されるがまま、怯えながらインターラプターの無事を祈るしかなかった

3503名無しさん:2025/03/30(日) 18:44:43
>>3493>>3495>>3498>>3502
――インターラプターの魂喰いによる騒動より少し前
喫茶店にて蓮子達と遭遇してすれ違ったイリヤとヤマトタケルは、気まずい雰囲気で店に迷惑を掛けるわけにはいかないと思い注文した団子をお持ち帰りすることにした
歩きながら団子を食べるヤマトタケルと一緒に歩くイリヤ、端から見ると普通に街中を歩く二人組にしか見えないが、一応彼女達なりに街に異変がないかと散策している最中であった
特に手掛かりもないままに最後の一本が綺麗になくなったところでイリヤ達は悲鳴を挙げる数々の声を聞き、即座にその現場へと向かっていった

「なに、これ……」
「……近くに気配がする、多分その者の仕業に違いないだろう」

そして逃げ惑う人や泣き叫ぶ人、発狂している人など様々な姿を目の当たりにする
加えて、意識を失っている者、苦しそうにしている者、血塗れになった者、などもあちこちに横たわっている
その惨状たるや、まさにアビ・インフェルノ・ジゴク!
酷い光景に少し衝撃を受けるイリヤをタケルが気に掛けつつ、さらに喧噪が強くなっている場所へと急行する

「やめろ!お前の相手は、この私だ!」
「……」

丁度一人の男の魂を奪い取り、さらなる得物に手を伸ばそうとする狂人の注意を引くべくタケルは大きな声を発する
それに対してインターラプターは鬼のような形相でタケルを睨むが、すぐには言葉に応じる事はなかった
最初は魂喰いを忌避感を覚えていた彼であったが、他者の魂を捕食して人格的な破綻が加速したことにより、殺人嗜好者としての側面が強く表われようとしている
今はまだ残された理性を動員して己が大罪に苛まれながらもメアリーの身を案じてはいるが、そこへオハギ禁断症状まで発症すればただの殺人マシーンに変貌するだろう





「おや、昨日戦ったセイバーが対戦相手として現われたか」
「お前が最初に宝具を使った相手があれですか。それに一緒にいる少女がそのマスター、っと」

剣士と狂戦士が対峙する場面を、近くで観察していたディエゴとアズラエルも目撃していた
ちなみに人質たるメアリーは縄で縛られた状態であり、アズラエルの部下達によって監視・拘束されている

「正直言えば、セイバーはとても強い。俺とて宝具の真髄なしに真正面から戦ったら、確実に押し負けていただろう」
「それほどの強敵なのか……けど、昨日の戦いで半殺しにしたんだろ?手負いのならバーサーカーでも倒せるんじゃないか?」
「いや、昨日から今までの時間で多少なりとも回復はしているだろう。たとえそうでなかったとしても侮れるような相手ではない。バーサーカーも幾らか回復したとはいえ、油断は禁物だ」
「だが、お前がいれば勝てるのでしょう?」
「あぁ、俺も機を見て加勢する。少し離れるから、その小娘のことは任せるぜ」

3504名無しさん:2025/03/30(日) 18:48:11
>>3488
一護「それで、あんた達はどうするつもりなんだ?ここで戦うつもりはなさそうだが、これから何をするつもりなんだ?」

キリト「……ひとまず、この聖杯戦争に何か裏がないか調べようと思っている。裏で糸を引いている何者かがいるかどうかを確かめたい」
キリト「その後は状況次第だが……聖杯とやらが本物であればそれを巡って争うことになるだろう。ここにいない他の陣営や、ここにいるアサシン達、セイバーとも決着をつけるようになる」
アリス「その時は正々堂々と勝負しましょう、セイバー。それにアサシン達も」

ユウキ「うーん、秘密を曝く探検については賛成だけど…僕は、キリトやカズマと戦いたくないな」
一護「だがそうとばかり言っていられないぞ、ユウキ。自分の願いを叶えるために襲ってくる連中もいるはずだ」
一護「今はカズマやキリトと話し合えたとしても、いずれ戦うことになるかもしれない。聖杯戦争のマスターになってしまったからには、それだけの覚悟は持っておいた方がいい」

カズマ「ま、まぁ俺達だって無闇に争うよりは黒幕とやらをぶちのめす方がいいさ。俺だってユウキとは戦いたくないし」
矢車「だが、最終的には戦う事になるだろう。再び光を掴むために、これだけは譲れないな」
影山「…その時は、サーヴァント同士で決着をつけたいところだけどな」
矢車(…この地獄から抜け出すためなら、俺は構わずマスターを狙いたいところだがな)

アリス「…ともあれ、今のところは協力して聖杯戦争にあたりたいと思う。今ここで、我々が戦う必要はないでしょう」
キリト「その通りだ。だからユウキ、そしてセイバー。条件付きにはなるが、一緒に協力して戦える仲間になってくれないか?」

3505名無しさん:2025/03/31(月) 20:01:33
>>2178
太歳星君は消滅の凶星を使用。掌に凶星を配置する。
その様子はまるで自分達に死を齎す存在のように太牙と舞衣には映った
このままでは殺されると思った舞衣は令呪を2画使用して太牙をブースト。
更にこの化け物からは逃げられないと悟り、自身も迅移と八幡力で突撃。太牙との同時攻撃を狙う

太牙(この力は……。渡、俺に力を貸してくれ――!)

『ウェイクアップ2』

必殺のキングスバーストエンドを太歳星君に叩き込み、太歳星君の掌打と激突する
その間、舞衣の攻撃が太歳星君に攻撃を加えるがまるで意味を成さない。
しかし彼女の勇気ある行動が太牙を奮い立たせ、遂には太歳星君を打ち倒した

しかし無理が祟り、太牙は変身解除して片膝をついてしまう。

だが太歳星君は視肉で蘇生する。強力な攻撃を受けたがゆえに複数使用することになったが、それでも彼は蘇った

そして太牙にトドメを刺そうとした時……

舞衣「アサシンさん!」

太牙は舞衣に突き飛ばされ、代わりに舞依が攻撃を受けた
写シでなんとかなると計算していたが、サーヴァントの神秘を伴った攻撃を前に写シなど無意味。舞衣は土手っ腹に風穴を開けられた

太牙「舞衣ーっ!」
舞衣「アサシンさん……。逃げて……」

息絶え絶えの中、それを言うのが舞衣には精一杯だった。その後、魔力の供給がなくなったことで舞衣の死を察する
太牙は怒りに任せてキャスターを倒したいと思うが、自分一人では到底無理だ。

太牙「くっ!変身!」

太牙はなんとか立ち上がり、サガに変身してマザーサガークを召喚。マザーサガークにて時間を稼ぎ、必死に逃げた。

全てはあの悪辣なキャスターを倒して舞衣の仇を取るため。
単独行動Eのおかげでまだ数時間は残されてるが、やがて消滅するだろう。その前にキャスターの悪評や情報を広め、討伐するためのメンバーを急いで集めなければならない。

【柳瀬舞衣@刀使ノ巫女 死亡】

※登太牙は単独行動スキルでまだ消滅していませんがEランクなので何もしなくても残り数時間で消滅します。今の状態でダークキバに変身したら数分で消滅することでしょう

3506名無しさん:2025/03/31(月) 23:13:46
>>3504
ユウキ「ボクはもちろんいいよ!セイバーはどう?」

一護「ああ、俺もそれで構わねぇぜ。最後は戦うにしても、それまで手を組める奴が居るのはユウキのことを考えたらその方がいいし、それがユウキと友人のキリトと仲良く話してたカズマなら尚更だ」

一護にとってはユウキを護ることが最優先事項であり、仲間が増える分にはむしろありがたい。
仲間という存在の力強さを、一護はよく知っている。だから手を組める相手がいるなら頼る。これから先、自分だけでは倒せない敵――キリトが口にした〝裏で糸を引いている何者か〟のことを考慮すると、それが当て嵌まるだろうか。
そういう敵と戦う時、仲間は多い方が良い

キリト「ありがとう、協力助かるよ。じゃあとりあえずユウキは俺やカズマと連絡先を交換してくれないか?」

ユウキ「うん、いいよ!」

カズマ「こういう時、スマホって便利だよな」

3507名無しさん:2025/04/02(水) 15:00:13
シロッコ、太歳星君が太牙に『消滅の凶星』を使ってるからそれでシロッコに大きな負担は掛かってるんだよね
太歳星君が宝具を発動する際に念話を送ってるからこれが強力無比なサーヴァントを使役する代償だとシロッコは実感するのだった
ただし同時にアサシン(太牙)のマスターを殺せて、アサシンも時間の問題だろうという報せを聞いて己がサーヴァントの強さを改めて思い知るのだった
ついでにこの場にいる者達にアサシンのマスターを殺したことを伝える。そうすることでキャスターがどれほどの脅威か教えるためだ

3508名無しさん:2025/04/02(水) 16:00:47
>>3500
ピトフーイに促されながら当初の予定通りキャスターとの戦いを3陣営に打診するシロッコ
突如現れた存在であり何か裏がないかと警戒する面々に李書文はそれこそがキャスターの目的であると保証する
その中でシロッコの要求に士郎は自分たちが受けるメリットはあるのかと尋ねる
それに対してシロッコはキャスターが敗北した後は聖杯の調査について協力することを約束しようと宣言する
そのままシロッコは答えをすぐ出す必要はないとしてその気があるならば他にも仲間がいるならば募って深夜に二条城に来るといいと言い残し彼は去っていく

そしてシロッコはその中で気になる者を見つけた
自身の能力で垣間見た剣鬼の本質、宮本伊織という人間に彼は興味をそそられたのであった

3509名無しさん:2025/04/02(水) 16:05:45
>>3505
(写シなら…って思った、けど…消耗しすぎたのも、あるのかな…。
…でも、単独行動のスキルが在る太牙さんが…少しでも生きた方がいいはずで……それに、いや…だったから…たとえ、サーヴァントだったと…しても…。……きっとそう…するよね…可奈美、ちゃん…。
……ああ、でも……みんなのところにはもう、かえれないんだな、って……ごめんね……それと、たいがさん、どうか…わたしのぶん、まで────)

未練はある
元の世界に置いて逝く形になった家族や仲間達、特にいつか帰って来る筈だった可奈美や姫和への申し訳なさもあったが…されどアサシンを…太牙を庇った事自体への後悔は、柳瀬舞衣には微塵も無かった

一方太歳星君は舞衣の事は彼女の勇気を以た行動と判断もあって視肉を複数使わせられる形になった為、一定の評価はしつつその死体は敢えて放置
他主従が見つけた場合善性等の情によるものか打算的なものか、どちらにせよ調べようとする可能性は低くはなく、そこをまた襲撃してみようかと目論んでいた
太牙については長くはないだろうとしつつ、自身の目的的に都合が良くついでに霊地から立ち去ったのもあり放って置くことに決めた

3510名無しさん:2025/04/02(水) 16:06:07
>>3500>>3508
伊織「…して、貴殿は何者だ?」
シロッコ「おっと、これは失礼。私はパプテマス・シロッコ。歴史の立会人として、この聖杯戦争を見定めようとしている」

ピトフーイとレンによる一悶着に面を喰らっていた一同だが、突如として現われた男に一拍後れて気付き始める
同じくピトフーイの奇行に呆れていたシロッコは、応じるように自己紹介を済ませる

アルトリア「ということは、貴方も聖杯戦争の参加者ですか」
シロッコ「ああ。今は超然たるキャスターの使者、と言ったところか。彼女と同じくこの場で戦うつもりはない。この式神もただの護衛に過ぎない」

名護さん「それで、ここに来た目的は?それに、先程その女が語っていた企てとやらも気になる。それらが何なのか、教えなさい」
シロッコ(上から目線の物言い…この男は英霊か?だからといってこの私に指図するなど、気に入らないな)
シロッコ「それはだな、闘争を求める我がキャスターが二条城にて陣取っている。その対戦相手として、君達を招きたいだけだよ」

ピトフーイ「ちなみに私達もキャスターとは一戦交えたけど、もっと多くの主従が入り乱れた乱戦パーティーがあるって言うから、そっちの方が楽しそうだしお供させてもらっているわ」
李書文「それにキャスターは強者との死闘を望んでいる、そこに他意はないだろう。ゆえに儂も狂乱に興じ、最後にはキャスターと再び技を比べるつもりだ」

美遊兄「…ちょっとまて、その誘い、俺達が乗る意味はあるのか?こっちが何の目的もなくただ戦うだけで、何のメリットも感じられない」
シロッコ「そうだな…君達にも二つ、戦う意味はある」

シロッコ「一つ目は、君達がキャスターに勝利した暁にはこちらがこれまでに知り得た情報の提供と聖杯の調査を協力することを約束しよう」
シロッコ「今、キャスターの式神たちが京都各所の霊地を確保している。これによりキャスターの霊力増強に役立てているが、同時にこの儀式に関する情報をかいつまんでいるそうだ」

アスナ「…いいんですか、一部とはいえ自分達の手の内を晒すように語っていますけど」
シロッコ「構わない。私のキャスターは尊大だからな、それぐらいの情報など介さない。それに、二つ目の理由を語る上での前提でもあるからな」

美遊兄「それで、二つ目はなんだ?」
シロッコ「キャスターは複数の霊地を利用して大規模術式を編んでいる。この後の深夜頃には完成し、京都を覆う新たな大結界を作り出す」

シロッコ「そうなれば、京都全域に住まう人々に例外なく呪詛が降りかかるだろう」
「「「「「「「「!」」」」」」」」

――京都はかつて、陰陽師が都を囲う結界を張っていた
その歴史と土地柄に肖り、祟りの五芒星の陣を敷くことで街一つを覆うレベルの祟りの大結界を作り出す
これはかつて太歳星君を討ち破った少女が考案した神攻略の作戦『弑逆桔梗』、それに類似する計画が水面下で進んでいた
相違点としては、『弑逆桔梗』では人々に襲いかかる祟りを神のみに一点集中させる工夫を凝らしていたが、祟り神たる太歳星君はそのような人的被害を考慮することはないこと
また霊地を奪われたとしても効力が少し弱まるだけで大規模術式を問題なく発動させられるよう、太歳星君が陰陽術に長けているがゆえの工夫が凝らされていた

名護さん「貴様、それがどういうことなのかわかって言っているのか!」
シロッコ「当然、大量虐殺に近い地獄が訪れるだろう。ただ言っておく、キャスターとて無為に悪意だけで動いているわけではないと」
シロッコ「これほどまでの術式があることが分かれば他の陣営も否応なしに挑んで来ると踏んでのこと、キャスターの戦いを愉しみたいという御心がそのようにさせたのだ」

アスナ「自分の目的のために他者に犠牲を強いるだなんて、そんなの間違っている!」
シロッコ「そのような凶行を止めたいと思うのならば、今夜二条城に来るがいい。キャスターが満たされる間は術式の発動も遅らせるかもしれないしな」

ちなみにだが、太歳星君とシロッコには呪詛結界によって黒幕の動向を炙り出すことも考えているのだが、そのことまでは語るつもりはなかった
もう一つ余談だが、この呪詛が聖杯戦争の参加者に対してどこまで通用するかも分からないの。だがどの道どの陣営も窮地と感じて元凶である太歳星君にヘイトが向くと予想している

アルトリア「…それが真実であれば捨て置けません。ですが、本当にそのような事が可能なのか、疑う余地があります」
シロッコ「答えをすぐに出す必要はないさ、結果は自ずと分かるだろう」
シロッコ「だが、その気があるならば気を引き締めて挑んでくれたまえ。他にも心当たりのある主従がいるならば声を掛けてくれ、キャスターはより一層喜ぶであろう」

ピトフーイ「…ねぇ、私達そんな大それた事聞いてないんだけど」
シロッコ「君は戦いの場があれば良いのだろう。このような趣向がある方が緊迫感があっていいと思うのだが」
ピトフーイ「うーん…まぁいいでしょう。もしもの時にはランサー、あんたに任せる」
李書文「委細承知」
シロッコ「さて、我々はそろそろ戻ろう。今宵、二条城で待っている」

3511名無しさん:2025/04/02(水) 16:07:28
『少しおさらい』
・ソリテールは崖下の霊地にいた式神を倒して形代を持ち帰りました
・喫茶店にて蓮子組はイリヤ組と遭遇し、一触即発ながらも別れました
・霊園にて蓮子組は霊地にいる式神と夏油組に遭遇しました(>>3492

・太歳星君は神社に現われた舞衣組と戦うべく霊脈を通じて転移しました
・その間にソリテールが式神を倒して形代を奪いましたが、そちらには対応できませんでした
・太歳星君は舞衣組を撃退後、手が空いています


――さて、不本意ではあるもののマスターである舞衣を殺害し、逃げ出したアサシン(登太牙)を見逃した太歳星君は現在の状況を整理する
ひとまず神社の霊地は自陣として保持したままであり、他の陣営が現われた時の鳴子として再び式神の一体に在駐させることにする
一方、太歳星君がアサシン陣営と戦っている間に式神一体との連絡が途絶え、霊地の一つが奪われた感覚を得ていた
すでに時間が経過しているので今から現場に行っても式神を倒した犯人は居残っていないだろうと推測する

ちなみにだが、霊地を奪われたとしても太歳星君は特に気にも留めていなかった
今やっている霊地争奪戦も余興の一つ、数多くの主従に自身の存在を認知させて挑んでくるように仕込むことが目的の一つである
霊地を確保して自身の霊力を強化する一面もあるが、霊地全てを確保するつもりはない
全ては神に挑む強者との死闘を楽しむために、式神すらも情報の一つとして活用されることを期待していた

その後、シロッコから念話で連絡が入る
ピトフーイを監視していた式神からの報せで複数の陣営を発見し、それらに接触して神の宴に招待する旨を伝えるという
この京都における宿主の働きに感心しつつそれを承諾する、まだ見ぬ英傑との到来を待ち侘びる間に新たな情報をキャッチした

「霊園の式神が別の陣営を発見したか、それも2騎!どれ、少し顔合わせしてみるか」

そして再び霊脈を通じて太歳星君は跳躍する
神社から遠く離れた霊園へと一足飛び、蓮子組と夏油組が相対した直後の場面に突如としてその姿を現した

「はじめまして、聖杯戦争に喚ばれた者達よ。お前達は、この儀式を愉しんでいるか?」


※仮投下から修正、この後戦闘になるでしょう。
※太歳星君の視肉は残り6〜7回です。

3512名無しさん:2025/04/03(木) 19:59:58
>>3503
イリヤが周囲にいる人々を逃がそうと奮闘する最中、2騎の英霊が衝突する
傷により万全とは言えずともその剣技が衰えぬヤマトタケル、瀕死の状態からある程度回復して強力なカラテを振るうインターラプター
慈悲鳴き戦闘装置としてただ敵を殲滅してきた皇子と殺人に溺れ組織の狗として狂気に呑まれたニンジャの激闘は壮絶なものであり、互角の闘いをしつつ周囲に衝撃をもたらしつづけていた
ゆえに宝具によって雌雄を決することを考える双方であったが、これに関しては相違する状況下にあった
ヤマトタケルの宝具は三つ、その内の一つは必殺技として多用するが破壊力が有り余り街を破壊する恐れがあるためこの場での使用を躊躇ってしまう
己が真髄とも言える神剣もこの場では不適切と判断し、刀身を隠蔽する宝具『水神』とそれにより強化された魔力放出(水)でこの場を乗り切ろうとする
一方、インターラプターの『絶対防御(カラダチ)』は敵対者のみを拘束する秘技であり、続けざまに放つ「タタミ・ケン」による衝撃はあれど広域破壊の心配は存在しない
ゆえに、ジェット水流で剣を突こうとするタケルの攻撃を無効化し、拘束した上で相手を仕留めようとする!

ヤマトタケル「させぬ!」

だが寸前、敵の術中に嵌まったかと思われたタケルは絶技「滾つ瀬」を使い、剣先から大量の水流を放出する!
結果、押し流されるインターラプターと反動で離れるヤマトタケルの間に距離が生まれ、彼を穿つはずだった凶拳は紙一重で外れてしまった

インターラプター「それは、スイトン・ジツか…!?」

己が必殺技を防がれてしまい驚愕するインターラプターは相手の戦闘技能により一層の警戒心を抱く
そしてタケルは戦術を変更し、水を操り遠距離攻撃を交えつつ変幻自在な攻撃で相手を翻弄し始める
これには歴戦のニンジャたるインターラプターとて防戦一方となり、カラテ主体の攻撃では決定打に欠ける状況になってしまった

さらに追い討ちをかけるように、この生死を分かつ重大な局面にてオハギ禁断症状まで発症してしまう

インターラプター「グワ――――ッ!」
ヤマトタケル「なんだ、動きが止まった…いいや、この機を逃す術はない!」

小刻みに身体を震わせてうずくまる巨漢の姿に驚かされるが、この暴君を止めるには今がチャンスと思いタケルが仕掛けようとした
だがその直後に急速接近する気配をタケルは感じ取り、さらに高速で飛翔してくる物体が向かってきたためにそれを剣で弾いたが、代わりにインターラプターにトドメを刺す機会を失ってしまった
そして、愛馬シルバー・バレットに跨がったディエゴが騒乱の戦場にエントリーする!

ディエゴ「とっとと決着をつけよう、セイバー!」
ヤマトタケル「くそ、あいつか!間に合え!」

ディエゴがタケルに接近する僅かな合間に、タケルは己が剣を地面に突き刺す
そしてディエゴが宝具により時間を停止させ、その勢いのままタケルを討ち取ろうとする

ディエゴ「…なに!?俺の、いやシルバー・バレットも、動きが遅くなっている!?」

ディエゴが宝具を使う寸前、タケルは絶技「水拘」を使い自身の周囲十数mに水溜りを張っていた
その範疇にいたディエゴと愛馬は時が止まった状態でもその効果を受けてしまい、移動速度を鈍らせてしまったのだ
ゆっくりとしか動けないディエゴはそれでも静止したタケルにできるだけ接近し、時間停止が終わる寸前にスタンドによる攻撃を仕掛けた

ヤマトタケル「!」
ディエゴ「なんだと!?」

そして時が動き出す刹那、敵の攻撃を察知したタケルが反射的に剣を振るい自身を穿とうとした凶拳を紙一重で防ぎきった
ただし直撃を回避しただけであり、豪腕による殴打を無理な体勢で受け止めたため、その衝撃を上手く流しきれずにタケルは後方へと飛ばされる

3513名無しさん:2025/04/05(土) 05:27:15
>>3512
宝具『水神』と絶技を2回使ったことで魔力も割と消耗したんだよね
それに唐突な豪腕を無理矢理な態勢で受け止めたから力を上手く流しきれずたたらを踏みながら後方に飛び退いてもいて、その時の衝撃により傷跡にも響いているようだった
だがそれ以上に魔力を消耗したのはディエゴ。EXランクで途轍もない性能だから魔力の消耗量も相応に大きい

そして大量の魔力を消耗したということは、アズラエルに対する負担も大きい
アズラエルはヤマトタケルを仕留めきれなかったディエゴに怒り気味に念話を飛ばした
ディエゴはそれに腹を立てながらも、目の前のセイバーは今度こそバーサーカーと共に倒すと決意
攻めあぐねているインターラプターに無慈悲な言葉を告げる

ディエゴ「どうした、バーサーカー!お前の力はそんなものじゃないはずだ!お前のマスターの命は俺が預かってるんだぜ。あのセイバーを倒せなければ、ここでお前のマスターを殺すぞ」

もちろんこれはただの脅しで、メアリーを殺すつもりはない。アズラエルは地位こそあるがやかましくて、度重なる宝具の使用によりもうあまり使い物にならない
メアリーという代替品は、必ず必要になる
だがそんな事情をインターラプターが知るはずもなく、ディエゴの脅しは効果覿面だった

この時の彼は魂喰いによる人格への影響に加えてオハギ禁断症状の峠を越えてしまった結果、殺人マシーンとして研ぎ澄まされた最盛期に近い状態へと変貌していた
それまでうずくまっていた状態から徐ろに立ち上がり清々しく青空を見上げた後に

「イヤーッ!」

後方へ吹っ飛ばされたヤマトタケルに向かって、渾身の飛び蹴りを放つ!

3514名無しさん:2025/04/05(土) 20:09:19
>>3512>>3513
(さっきは上手く捌けたが、正直言ってマズいな…)

2騎相手になんとか奮闘しているヤマトタケルだが流石に限界が近付きつつあった
先程は狂戦士の宝具に対して直感的に滾つ瀬を使って躱し、騎兵の方は昨日の戦いでの経験を基に対抗策として水拘を選択したのが功を奏した
だが敵の攻勢を一時的に凌いだだけに過ぎない、特に騎兵の宝具に対しては抜本的な解決方法がなく、発動のタイミングを読むのも難しい上に今後は警戒されるだろうから同じ手は通用しづらいだろう

3515名無しさん:2025/04/07(月) 20:06:49
>>3512
実はインターラプターが魂喰いを始める前にアズラエルとディエゴは色々と準備を進めていた
騒動が起きれば他の主従が釣れる可能性がある一方、この地の治安維持組織がやってきて面倒な状況になる可能性も考慮していた
そのため、魂食いの騒動が開始すると同時にアズラエルは当局に連絡、街中で魔物が暴れ始めたのを確認し自社の討伐部隊で対処する、というカバーストーリーを伝える
ついでに事後処理は彼らに任せる旨を伝えつつ増援は不要であると圧力を掛けておいた
そして騒動が始まりセイバー組との戦闘が始まる前に新たな部下達が合流し、次のような指示を出していた

「お前達、見張り役は彼らに任せてあの剣士と一緒にいた少女を捕獲しなさい。一緒に来た兵士にも同じ様な指令を伝達するように。抵抗した場合、もしくは緊急事態の場合は殺害も許可します」

今まで見張りについていた部下達はセイバーとマスターと目される少女の姿を目撃している
であるならば、組織力のあるアズラエルは人海戦術を駆使して少女マスターの無力化を試みていた
ちなみにだがアズラエル本人はディエゴの宝具使用の影響で不調に陥る可能性があるのでその場で待機し、人質のメアリーを逃がさないためにも新しい部下達にその監視を引き継がせていた

――そして狂戦士と戦士による戦闘が始まりディエゴも加勢に向かい、幾許か刻が経過して

(あのライダー…!好き勝手やらせてる、ばかりでは、この僕の身が、保たない…!)

ディエゴの宝具使用によって体力をごっそり奪われた感覚に陥るアズラエル
しかもそれだけの代償を払い2対1でありながらセイバーを仕留められなかったディエゴ達には苛立つしか覚えなかった
それと同時に少女の確保に向かった部下達から未だ連絡がないことにも怒りを向け始めた、その時

『ポイント○×、少女発見!これから確保する、近場の人員も包囲・確保に駆けつけてくれ!』

その吉報を聞いて、アズラエルの引き攣った顔が幾らか緩んだ

3516名無しさん:2025/04/07(月) 21:41:22
>>3511
突如として出現した新手のキャスター
彼の問いかけに答えるものはいない。否、答えられない
見た目は白髪の少年だが、その圧倒的な気配は魔術の心得を持たない蓮子にすら伝わった

――コイツはヤバい

各々の思惑を巡らせていた彼らの思考が合致した瞬間である
そんな夏油たちの心情を知ってか知らずか、少年のキャスターは不満げに鼻を鳴らした

「どうした? 神の問いに答えないとは不敬な奴ら」
「語る口を持たないのなら疾く失せろ」

その瞬間、夏油たちは少年の力の一端を垣間見る
一瞬少年の頭上に巨大な眼球の集合体が浮かび上がったかと思うと瞬く間にそれが小さな光球に圧縮されていく
優れた術師である玉藻やソリテールらにはその光球に凄まじい力が込められていることが分かった
そしてちょうど二つの光球が少年の周囲に浮かび上がり旋回、凄まじい速度でソリテールと玉藻の二人に放たれた!

「みこーん!?」
「おっと」 

しかし、彼女らとて一筋縄ではいかない
玉藻は術で、ソリテールは自身に纏わせた魔力の障壁で光球を危なげなく防ぐ

「ふむ、さすがにこの程度で斃れる軟弱者はいないか」

攻撃が防がれたにも関わらず少年の顔に怒りや悔しさはない
少年のキャスターこと、太歳星君から放たれたのは力の象徴である『消滅の凶星』――ただし、魔力消費も考慮して圧縮率を最低まで落としたもの
この程度でサーヴァントを屠れるとは太歳星君も思っておらず、あくまで自らが招く宴に招待する資格があるか試しただけなのだ
しかし、僅かな交錯だけでもその脅威は十分に二組に伝わった

『どう思う、キャスター』
『そりゃあ、あんな目ん玉小僧ごとき私とご主人様の愛の力でチョチョイのチョイ!…と言いたいところですが』

夏油の問いにいつものおどけた調子で答える玉藻だが、その表情は渋い

『あれはヤバいです、激ヤバです。僭称ではなく間違いなく神に列せられる英霊、しかも高位のそれ。サーヴァントの規格に収まっている以上、当然その力は大きく減じているでしょうが、それはこちら側とて同じこと。即時撤退が上策かと』
『まあ、そうだろうね。今の僕達には荷が勝つ相手だ。隙を見て離脱する』

キャスターの意見に夏油もまた同調する
呪術師の視点から見れば、間違いなくあの存在は"特級"、それも上澄みの部類である。万全の準備を期して事に当たるべきであり、不意の遭遇戦に臨んでいい敵ではない。自身のサーヴァントがキャスターならなおさらである
あのような存在と真っ向勝負を挑めるのは彼が知る限り"一人"しかいない
…或いはアサシンとこの場で協力すれば打倒し得るかもしれないが、出会ったばかりの主従、なにより一方的に利用するならいざ知らず非術師と協力し合うなど断じて出来ない

一方、蓮子たちもまた念話でこの状況の収拾に努めていた

『大丈夫!?アサシン!』
『この程度なら。最も君の魔力量だと長時間の戦闘は無理だろうけどね』

相変わらずあっけらかんとしているソリテールだが余裕のない状況であることは戦闘者ではない蓮子にも理解できた

『長期戦は無理ってわけね…正直乏しくても私に魔力があるって事実自体が驚きなんだけど』
『さてね。魔術回路って遺伝することもあるし、君の先祖に魔術師でもいたんじゃない?』

先祖からの遺伝といっても今一つ蓮子に実感は沸かない。自らも一応とはいえ特殊な眼をもっているし案外超能力でも先祖にいたのだろうか

『とにかくあのキャスター…私にもとんでもない存在だって分かるわ。自分のことを神って言ってたけど…』
『実際どうなのかは分からないけど言うだけの力はあるわね。最も神と云うより"魔王"の方が似合ってるかしら。さて君はどうするつもり?』

ソリテールは玉藻と違って事実だけ述べ、献策することはない
彼女の目的は『人間の観察』であり、蓮子のサーヴァントとして契約を結んでいるのもその一環に過ぎないからだ
少し悩んだ蓮子は念話のままソリテールに返答した

『あの推定神様…何だか私達と話したがってるみたいだし情報を引き出せないか試してみる。無理そうなら最悪令呪を使って離脱するわ』

ここで、二組のスタンスによる方針の違いが現れた
純粋に聖杯を目指す夏油たちは自分たちの安全のために力の温存を、聖杯戦争の謎を解き明かすことを目的とする蓮子たちはリスクを犯してでも太歳星君から情報を引き出すことを目指すことにしたのだ

「さあ、どうした。もっと僕を満足させろ。そうすれば、神の宴へ招待してやらんでもないぞ?」

3517名無しさん:2025/04/08(火) 01:23:45
>>3514
そうこう考えてるうちに、ヤマトタケルの飛び蹴りが届いてしまった
普段ならば何か策を思いついたかもしれないがインターラプターが全盛期に近いこと、状況が困窮を、極めていることから咄嗟に対応策が思い浮かばず、腹にクリーンヒットを受けてしまう。その衝撃は凄まじく満身創痍になってしまうが、逃げられる状況ではない。イリヤを抱いて逃げる体力もない
そしてこのままだと被害は更に悪化するだろう。街1つでは、収まりきらない

「刮目せよ。其は命、其は開闢の雫にして、星を成す物――」

「――絶技・八岐怒濤!」

それは一瞬の出来事だった
何かを察したディエゴがスタンドで時を止める前に、インターラプターの肉体が次々と抉られた。間違いなく、致命傷だ

そしてインターラプターが消滅する間際、ディエゴがようやく時を止められた
そこでディエゴが見たのは、凄まじい絶技だ。
もしほんの少しでも対応が遅れていたら――なんて考えてるうちに、ディエゴの口から血が溢れ出していた。
どうやら時間を止められたのはギリギリのようで、ディエゴにもその絶技は効いていた
殺人マシーンと化したインターラプターは一言も発することなく、絶命していた

ディエゴ(なかなかの威力だ。だがこの好機、逃すわけにはいかん!)

ディエゴは満身創痍で、魔力もかなり消耗したヤマトタケルにスタンドで無駄無駄ラッシュを仕掛ける
念の為、悪足掻きされないように時を止めて

【インターラプター@ニンジャスレイヤー 消滅】

3518名無しさん:2025/04/08(火) 05:53:32
>>3517
――ディエゴの思惑に反して、時は止まらなかった
スタンドによるラッシュ攻撃と同時に展開しようとした宝具の開帳は、魔力切れを起こしたアズラエルが気絶したことにより不発に終わってしまった
この事実にディエゴは衝撃を受け、仕掛けようとした猛攻撃は少しだけ緩み、満身創痍ながらも防御態勢になったタケルを何発か殴ったもののトドメを刺すには至らなかった
一方、さらに負傷が増えたヤマトタケルはより戦うのが困難な状況になっていたが、最後に残った気力を駆使して死に物狂いで反撃を仕掛ける
これには如何に強力な近距離パワー型のスタンドとはいえ防ぎきるにはいたらず、遂には押し負けてしまいディエゴの首筋に剣先が突きつけられた

ヤマトタケル「(息を荒げながら)これにてしまいだ、ライダー!」

ディエゴ「…いや、そいつはどうだろうなぁ?」

危機的状況だというのに、ディエゴは剣士の後ろに視線を向けている
視線を合わせない相手に訝しむタケルは、直後に少女の悲鳴を耳にする

イリヤ「いやっ!ちょっと、離して!!」
ヤマトタケル「ッ!イリヤ!?」
モブ部下「動くな!変な動きを見せたら、こいつを殺すぞ!」
ヤマトタケル「くっ…貴様、よくもこんな卑怯な手を」
ディエゴ「いいや、聖杯戦争であればマスターを狙うのも常套手段だろう?」

――この時、周辺にいた人々の避難誘導を終えたイリヤはヤマトタケルが戦っている近くに戻り、物陰からその様子を窺っていた
しかし、アズラエルの指示を受けてイリヤの事を探していた部下達が彼女を発見して即座に身柄を拘束してしまった
ちなみにこの時の光景を追い詰められたディエゴは目撃しており、逆に背を向けていたヤマトタケルはイリヤが大声を発するまで気付けなかった

この状況にタケルは為す術もなく、ディエゴに剣先を向けたまま動けなくなってしまった
まだまだ斬り伏せられる危険性があるためディエゴも予断を許せなかったが、ひとまず人質ができたことで余裕が生まれ始めていた
そして捕まってしまったイリヤはタケルが勝利する機会を奪ってしまったことに罪悪感を抱いたが
腹を据えた表情で前を向き、己が従者を見定めて片手を伸ばした

イリヤ「令呪をもって命ずる――」

令呪を1画、いや2画を使ってでも状況を打開しようと言葉を続けようと口を動かして、

イリヤ「セイバー!わた」

それを遮るように飛翔したナイフがか細き首元へと突き刺ささり、その後が紡がれることはなかった

人質として捕らえられた己が喚び人が令呪で何かしようとしているところを注視していたヤマトタケルと、捕らえた人質が勝手な行動を起こしどう対応するか判断が遅れたアズラエルの部下は、喉から血を流す少女の姿に釘付けとなり唖然とするしかなかった
一方、ディエゴは自分への注意が逸れている間に何かしらの覚悟を決めて令呪を使おうとしていた少女に危機感を覚えて即座にナイフを投げ飛ばしていたのだ
マスターが保有する3回だけの絶対命令権、己がサーヴァントに強力な効果や超常現象をもたらすそれによってせっかく得られたチャンスをふいにされたくなかったがゆえに

ヤマトタケル「イリヤーーーッッ!!!」

自分への呼び掛けに反応し、喉に強烈な痛みを感じながらもイリヤは声を発しようとしたが、いくら頑張れども空気が抜けるような音しか出てこなかった
急激に遠のく意識の中で、この地で共に戦ってきたセイバーのことや、一番大切な親友の姿を頭の中によぎらせながら
幾許の間もなく、息途絶えてしまった


【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/Kaleid liner プリズマ☆イリヤ 死亡】


ヤマトタケル「ッ、ライダーーーーーッッッ!!!!!」

魔力供給のパスが閉ざされ、己が喚び人の命が尽きた事実を突きつけられたタケルは慟哭しながらディエゴを斬りつけようとした
しかし、要石を失い現世に留まる術を失ったタケルでは十全な力を発揮すること叶わず、あまりに大雑把な剣捌きは背後霊によっていとも簡単に止められてしまった

ディエゴ「もうお前は只の亡霊に過ぎない、とっとと消えな!」

そしてスタンドによるラッシュ攻撃、無駄無駄無駄と口ずさむディエゴに為す術もなくヤマトタケルは嬲られる
攻撃が終わり吹き飛ばされた後は本当に立ち上がるだけの体力も気力も残っておらず、無念を抱いたまま悲劇の皇子の幕は閉じてしまった


【ヤマトタケル@Fate/Samurai Remnant 消滅】

3519名無しさん:2025/04/08(火) 12:12:11
>>3515
あのような存在と真っ向勝負を挑めるのは彼が知る限り"一人"しかいないってまあ当然五条悟なんだけど、そっちはそっちで参加してたら困るが。
とりあえず夏油組は撤退したいも、太歳星君はそう簡単に逃してくれそうな気がしている
ここに五条悟が居ればもしかしたら彼ならば、一時的に共闘やこの化け物の相手をしてくれたかもしれない。夏油自身、五条の最期の言葉に多少は救われている。
しかしここに〝最強〟はいない。

夏油(神の宴とやらに、興味はないんだけどね……)

流石の夏油も思わず冷や汗が流れる。
おそらくこのキャスターは理不尽で身勝手な存在だ。神の宴なんて望んでもない。だがある程度は満足させなければ、危ない予感がした

3520名無しさん:2025/04/09(水) 22:16:25
魔力の消耗を少しでも抑えるために変身解除して、満身創痍の生身で歩き続ける太牙
目的は当然、舞衣を殺したキャスターを打倒すること。その仲間集めだ
その途中でカブキ、アタランテ、マヤ、ザンキを発見する

太牙(これは……サーヴァントの気配か)

サーヴァントの気配を感じ取った太牙は彼らに見つからないように気配遮断しつつ、聞き耳をたてる
どうやら普通に情報交換したり、交流しているだけ。なんならカブキのことは以前の一件で面識があり、彼が人助けしていたことを知っている。まさか彼がマスターだとは思わなかったが、人助けした功績から善良な部類だと判断する

もっとも幼い少女(マヤ)を巻き込むのはあまり気が進まないが、今は時間がない。まあ最悪、少女の方の主従は連れて行かないという手もある。三騎で挑んでも勝てるかわからないと先程の戦闘で思い知らされたがゆえに。

太牙「お前は、あの時の鬼か。まさか聖杯戦争のサーヴァントだったとはな」

カブキに声をかけていた太牙にアタランテとザンキは警戒する。しかし太牙は満身創痍で、こちらはサーヴァントが2体。負ける気はしなかった

カブキ「ああ。今は夏油とかいうマスターに変身音叉を取られて鬼じゃないこどなあ」

太牙「そうか。今からその夏油というマスターを倒してもいいが……時間がない。俺の話を聞いてくれないか?もちろんそこの子供は巻き込むつもりはない」

カブキ「マヤを巻き込まないなら、その話を聞いてやろうじゃねえか」

マヤ「え?どうして私は蚊帳の外なの?」

ザンキ「お前はまだ子供だからな。こういう話は、大人の役目だ」

マヤ「むぅ〜。私も人を守る師匠みたいな立派な鬼になりたいんだけどな〜」

そして太牙はインターラプターや太歳星君との激闘と、自身のマスターが死んで辛うじて単独行動で動けてること。太歳星君を倒して仇を取りたいこと、太歳星君の太牙が知り得る情報を話した

3521名無しさん:2025/04/09(水) 22:17:17
>>3506
とりあえず連絡先を交換したキリト組、ユウキ組、カズマ組。
ちなみにアリス以外はケータイやスマホを持ってるからサーヴァントも連絡先を交換した。アリスもスマホは所持していないものの、利便性は知っていたので近所のスマホショップで契約して連絡先を交換した

カズマ「なあ、とりあえず俺達で固まって行動しないか?」

ユウキ「ボクはそれでもいいよ!冒険は多い方が楽しいからね!」

一護「だからこれは冒険じゃないって……」

矢車さん「……お気楽だな。これは聖杯戦争だぞ」

ユウキと一護のやり取りに皮肉を飛ばす矢車さん。やはりというか、何か浮いてる

キリト「まあ……カズマの言う通り固まって行動するメリットはある。この聖杯戦争の裏で潜んでるやつはよほど手練れだろうし、一組では太刀打ち出来ない可能性がある。デメリットは単純に情報収集が遅れることだな……」

影山「どうするのか、難しい問題だな」

3522名無しさん:2025/04/09(水) 22:18:32
>>3519
夏油「要するに君を満足させれば、それでいいんだね」

夏油の言葉に太歳星君は頷いた
その態度はどこか五条悟に似ている。

夏油『このサーヴァントを倒す必要はないらしい。何か彼を満足させることが出来たらいいが……この態度からして戦いは避けられないか』

夏油は玉藻に念話を送った
とはいえ、相手は強力無比なサーヴァントだ。どうしたら満足するのか……

夏油「君はどうしたら満足するのかな」
太歳星君「足掻いて、僕を満足させろ。そうしたら生かしてやる」

夏油(まるで話が通じてないな……)

3523名無しさん:2025/04/14(月) 17:03:30
夏油「仕方ない。ここはどうやら君を満足させるしかないようだ。変身」

夏油は仮面ライダー歌舞鬼に変身。鳴刀 音叉剣を構えて抵抗の意志を見せる。そして玉藻も宝具の水天日光天照八野鎮石を発動してサポートし、呪霊を駆使しつつ太歳星君に攻勢を仕掛けるが呆気なく返り討ちにされてしまった
まず玉藻の発動した最大限の呪術が一掃返しにより、数倍返しで玉藻に跳ね返される
そして玉藻は倒れ伏し、残るは夏油だがあろうことか夏油はただの肉弾戦で追い詰められてしまった。

これが仮面ライダー歌舞鬼に変身したカブキならば肉弾戦に限れば多少は善戦出来たかもしれないが、夏油はかなり特殊な状況で歌舞鬼に変身した上に、歌舞鬼としての戦闘経験がまるでない。

そもそも仮面ライダー響鬼世界の〝鬼〟とは鬼として鍛え上げた者だ。
呪術の才能があろうとも、普通に鍛えていようとも〝鬼として鍛えた鬼〟には劣る。
呪術を除いた鬼としての要素では、今の夏油ではマヤにすら劣るだろう。

これはマヤがザンキの宝具を用いて変身しているのもあるだろうが、それ以上に鬼として鍛えてきたのが大きい
夏油は仮面ライダー響鬼世界の〝鬼〟をよく理解していなかったがゆえに、このような状況に陥ってしまった。

太歳星君は倒れて変身解除された夏油から変身音叉を取り上げる。

「これ、お前のじゃないよね」

夏油の不慣れな動きを見ればわかる。夏油は明らかに歌舞鬼として戦い慣れてない。他のマスターから奪ったか、何らかの方法で入手したのか。もし前者なら、本来の持ち主に渡った方が価値があるし、楽しめる。

(悟……。私はここまでなのか?)

「――――」

夏油を葬る時まで呪術師らしくない言葉を吐いた〝最強〟を思い出す
このまま自分は、再び終わってしまうのか……それはあまりにも残念で、悔いが残る。

五条悟のおかげで、彼の心は多少マシになったが猿の殲滅は諦めていない。
しかしそんな願いも叶わぬまま、自分らしからぬ戦い方で敗退する。……これではあまらにも、滑稽だ。

しかし太歳星君はそれ以上、何もしなかった。

「よく足掻いてみせた」

太歳星君は夏油と玉藻を激励すると、今夜に二条城で数騎のサーヴァントが仕掛けに来ることを伝えた
自分は楽しむために、ただそこで待つと。
自分を倒したくば夜に二条城に来いと。どの道、これを機に自分を倒せなければ次々と主従を狩ると。
ちなみに変身音叉は返さない。正しい使い手に渡した方が楽しいからだ。

ちなみに太歳星君が夏油組を認めたのは、玉藻が視肉を使わせたからだ。
宝具を使った上での最大火力。視肉を使わなければ一掃返しでもどうなっていたかわからない。つまり自分に視肉を使わせたから合格としたのだ

それを聞いた夏油組はボロボロになりながらも去っていった

五条『――――――』

五条悟の最期の言葉を思い返す

夏油(悟、私は――)

そして夏油組が去った後、ソリテールは太歳星君に『お話』したいと声を掛けるのだった

3524名無しさん:2025/04/14(月) 17:15:33
>>3508>>3510
シロッコ達が立ち去った後、今後の方針について話し合う三組の主従達
キャスターやピトフーイ達が二条城で戦いを待ち望んでいること、街全体に関わる厄災を用意していること、戦いに勝利すれば何かしらの情報を得られること、アサシンのマスターを殺めたこと、等々
嘘や誇張があまり感じられない話しぶりからしてキャスターが本当に危険な存在であると想定し、その凶行を止めるために動く事で概ね方針を定めていた
なお、伊織組やレン組を襲ったであろうアサシンが横槍を入れてくる可能性も考慮して美遊兄組にも伝えているが、キャスターの方が大事ということもあり継続して警戒に留めておくことにした
もう一つ、二条城に向かえばピトフーイがレンを狙ってくるのは明らかであるため、「またピトさんと戦わなくちゃいけないのー……」と若干トラウマ気味なレンは落ち込み気味であった

3525名無しさん:2025/04/14(月) 19:36:42
>>3507>>3508>>3510
伊織組・レン組・美遊兄組の一団から離れた後、シロッコはタクシーを拾って京都の街中を移動する
ちなみにピトフーイと李書文も一緒に同乗している、彼女らも二条城に戻ろうとしていたので特に断る理由もなく一緒に行動している
その最中に太歳星君から「新たな得物が釣れた」という念話が入り、その少し後にシロッコの身体に疲労感が襲いかかった

「くっ、仕方がないとはいえこれは慣れないな」
「なんか具合が悪そうね、どうかしたの?」
「…どうやら、私の盟友が今宵の宴に新たな招待客を招こうとしているようだ」

この時、タクシーの運転手に変に勘ぐられないように言い回しを変えてピトフーイに伝える

「ってことは、私達の知らない所で愉しんでいるってわけ?」
「まぁそういうことだ」
「えーーいいなぁ、私も他の参加者を見つけて早く一戦交えたいーー」
「君達は先程の一団と出会っていただろう?」
「そりゃあパーティーに招待はしたけど、あんな衆目の前で騒ぐわけにもいかないし」

ピトフーイもシロッコの意図を察してか、直接的な言葉を上手く躱しながら言いたいことを言ってみる
ちなみにだが戦闘狂の彼女とて一応の常識や社会性は持ち合わせている、さすがに無関係な人々がいる前でレン達と戦うつもりはなかった

「…ところで話を変えるが、君はその相方と一緒にいて疲労感とか覚えたりはしないのか?」
「ん?いいや、ちょっとは疲れやすいかもしれないけど充分に動けるわね」
「――貴殿の従者とは違い、儂はただの武術家。一種の境地には至れども大それた芸は身につけておらん。ゆえに、無駄に浪費することもないがな」

シロッコの意図を察したのか、李書文が少しだけ口を開いた
つまるところ、強大な術を使う太歳星君とは違って派手さはないが魔力の消費が少ない、といったところか
それが彼女達の利点であるとシロッコは理解しつつ、魔力の消耗による影響をただ耐え抜くしかなかった

3526名無しさん:2025/04/14(月) 19:46:56
>>3521
ユウキ「あっ、そうだ!セイバー、蓮子に連絡してみない?」

一護「あぁ、あいつらか。色々調べるとは言っていたが…さっきの今じゃあ碌に情報が集まっていないんじゃねぇか?」

カズマ「ん?その蓮子って一体誰なんだ?」

連絡手段を手に入れて団体行動をとるか別れて情報収集を行うか考えた時、ユウキは蓮子達を思い出してセイバーに尋ねてみた
その後にキリト達に蓮子とアサシンの主従に遭遇したこと、京都を覆う結界を調べていたことや魔物の凶暴化など聖杯戦争に関連していそうな出来事について調べていることを説明した

キリト「俺達とは違う視点から色々と調べているんだな。もしその人達が何かを掴んでいるなら是非とも聞きたいところだが」

アリス「ひとまず連絡をしてみるのはいいかもしれませんね。新しい情報がないとしても、相手方の状況を把握したり協力関係を継続することには繋がります」

ユウキ「そうだね、じゃあ電話してみる」

そしてユウキは蓮子の電話番号へと繋いでみるが、何度コール音が続いても通話する気配が訪れなかった
この時、蓮子達は霊園にて別の陣営やキャスターと遭遇しており電話を取る余裕がなかったのだが、ユウキ達にその事情を知る術はない

ユウキ「おっかしいなぁ、全然出てくれないや」

一護「しょうがねぇ、また後で連絡してみればいいだろう」

ユウキ「そうだね、一応メッセージだけは送っておこうか」

3527名無しさん:2025/04/14(月) 21:54:45
>>3520
太牙は自分に残された時間が残り僅かで、丸1日は保たないだろうことも話した
つまり太牙込みで攻め入るために、深夜くらいには見つけ出さなければならないことを話す
そしてアタランテはキャスターと二条城で戦い、彼がそこを陣地しているであろうことを話した

3528名無しさん:2025/04/15(火) 10:10:48
太歳星君に敗北した夏油、響鬼世界の鬼である歌舞鬼に変身し、敗けたからまあ当然全裸になり、服を失ったんだよね

そして服を新調するんだけど、五条悟のことを思い出してたこともあって高専時代の制服のような真っ黒な服を選んだ

夏油(悟。私と君が並べばいつでも〝最強〟だった……)

それは過去に捨てた感傷だったかもしれない
だが五条に呪いらしくない言葉を吐かれてほんの少し救われて、笑えて。
そして伏黒甚爾を彷彿させるような圧倒的な力を持つキャスターに出会い。だからこそ、こんな感傷に浸ったのかもしれない

合理的に考えれば、再戦しないほうがいい。

だが――

だが――

夏油(私の思想としては猿に手を貸すつもりはない。だが悟ならこういう時――)

3529名無しさん:2025/04/15(火) 10:11:36
>>3527
カブキ「俺とキャスターとアサシンはそいつを倒しに行く。マヤみたいな子供がマスターって理由で狙われかねないからなあ。だからマヤ、お前達はここで待ってろ」

マヤ「やだ。私と師匠は鬼だから。私は未熟だけど、鬼だから!戦えない人達を守りたいよ!」

ザンキ「マヤ……」

カブキ「……やっぱり子供は汚くねえ。純粋だな。……ついてこい、マヤ。止めてもどうせ来るんだけどなァ」

カブキはマヤの決意を聞いて、あえてそれを汲み取った

3530名無しさん:2025/04/15(火) 10:16:46
>>3358のカブキのセリフにミスがあることが判明したので修正します)

>>3527
カブキ「俺とアーチャーとアサシンはそいつを倒しに行く。マヤみたいな子供がマスターって理由で狙われかねないからなあ。だからマヤ、お前達はここで待ってろ」

マヤ「やだ。私と師匠は鬼だから。私は未熟だけど、鬼だから!戦えない人達を守りたいよ!」

ザンキ「マヤ……」

カブキ「……やっぱり子供は汚くねえ。純粋だな。……ついてこい、マヤ。止めてもどうせ来るんだけどなァ」

カブキはマヤの決意を聞いて、あえてそれを汲み取った

3531名無しさん:2025/04/15(火) 15:08:50
>>3523
ソリテールは一応夏油組を警戒しつつも大量の剣を出現させて太歳星君に攻撃していたけど、まぁそれでも太歳星君にあしらわれてたり消滅の凶星の対処に追われてたようで
そうこうしている内に夏油組が太歳星君に仕掛けたけど返り討ちにあい、しかし満足げな様子の太歳星君にトドメを刺されずに彼らが立ち去るのを見送った
一段落ついたと判断したソリテールは太歳星君に『お話』したいと声を掛け、手に入れた式神の形代を返却しつつ幾らかの情報交換に応じてくれた

ソリテール側は京都を覆う結界について分かった事や魔物の凶暴化には何かしらの裏があること、あとは何組かの主従と遭遇したことを語った(なお伊織組やレン組を襲った事については語っていない)
太歳星君は霊脈を調べて何か分かった事を匂わせつつも具体的には語らず、今宵二条城にて大規模な戦いを起こすことを語る
また霊脈を通じて大規模術式を敷設し京都全体を祟ることも告げ、なるべく多くの陣営が集まることを望んでいることも伝えた

そして気が済んだ太歳星君は霊脈を通じてその場から消え去った
さすがにこれ以上の戦闘を行えばシロッコの体調に障ることも理解していたし、喧伝は充分にできた
あとは二条城にて座して待つのみ、様々な英霊が織り成す狂騒を愉しむのみとなった

3532名無しさん:2025/04/15(火) 17:26:14
夏油は二条城に行くことに決めた。
憎き伏黒甚爾を彷彿させるようなサーヴァントにやられっぱなしでは気に入らないし、こんな有り様を五条に見られたらきっと彼に笑われる。〝最強〟の片割れとしてそれはあんまりだ。

もちろん聖杯戦争には生き残るつもりだが、あのサーヴァントを討伐しなければおそらく勝ち目がない
そのためには癪だが、猿達と共闘も視野に入れなければならない。それほどまでに強かった。
それにこの世界には呪術師もいる。あんな危険なサーヴァントが野放しにされて、魂喰らいのために呪術師達が犠牲になる自体も防ぎたい。それは夏油が呪術師に見せる〝優しさ〟と親友の五条悟に祓われて死亡前ほど野望に燃えていないことが大きいか。
全く呪いらしくない言葉を吐かず、自分を祓った五条悟。やはり彼は憎めないし、どうしようもなく親友なのだ。
強敵を前に逃げ出してそんな彼に笑われたくない。夏油傑は〝最強〟の片割れであるがゆえに

3533名無しさん:2025/04/15(火) 18:05:03
>>3525
「ところで今そんな状態で深夜の決戦は持つの?  マスターの魔力切れで消滅とか萎える奴でしょ?」

「その点については問題ない。確かに陣地の外なら厳しいが、陣地の中であれば魔力は十分賄える」

「そして万全を期すための備えとして各地の霊地を掌握したのだからな」

地脈の流れに精通するキャスターにとって京都という土地は魂喰いよりも効率のいい魔力供給源となる。
決戦の最中に魔力切れによる消滅などキャスターからすれば唾棄すべき結末。
シロッコもまた果たされるべき決着を見ずに終わるつもりはなかった。
そんな両者の考えが一致したことが此度の決戦における備えに繋がったのである。

最も元々破格である太歳星君の現界維持と儀式にて使用する魔力を残す都合上、自身の強化などには当てられずあくまでシロッコの負担を減らす程度の魔力となるだろう。

3534名無しさん:2025/04/16(水) 00:37:54
太歳星君の強さを懸念する声があるのでちょっと>>3531の補完を兼ねて攻略の糸口を作ってみる

>>3531

「さて、そろそろ終いだ。これから盛大な宴があるからな。お前たちは来るも来ないも自由だ。最も――」

――どう選択しようが降りかかる"死"に怯え続けることになるだろうがな

凶悪な笑みを浮かべこの場を去ろうとするキャスターに蓮子は必死に頭を働かせる。この恐るべき神霊を打倒しなければ自分達に未来はないのだ。もう少し何か情報を引き出せないか……

ふとある考えが蓮子に閃いた
普通に考えれば成功するはずがない策とも言えない策。だが、目の前のキャスターは大量殺戮を意に介さない凶悪さと同時にある種の律儀さを有していることがこれまでのやり取りで分かっている
試してみる価値はあるかもしれないと蓮子は思った

「……ねえ神様。最後に一つだけ聞いていいかしら」
「なんだ?何を聞きたい?」
「――貴方の名前よ。ここまで大それた事をするんだもの、さぞかし名のある神様だと思ってね。貴方は一体何者なの?」
「くくく…ははは!随分大胆なことを聞くな小娘。それが何を意味するか分かっているだろうに」
「ええ勿論。でも宴とやらを催すのに客人に対して名乗らないのは失礼でしょう?それとも最後まで『名無しの神様(キャスター)』で通すつもりかしら」

蓮子の考え…それはキャスター本人へ単刀直入に真名を問うこと
我ながら馬鹿な事を聞いていると蓮子は思う。何しろ自分の弱点を自分で口にしろと言っているに等しいのだから
しかし、元々このキャスターは各地の霊地を掌握して大量殺戮を引き起こすことを喧伝して回り多数の主従を敵に回すという甚だ狂った行為をしでかしている
ならば同じくらい滅茶苦茶なことを聞いても案外プライドから答えてくれるのではないかという打算があった
実際蓮子は知らないことだが、かつてキャスターは己に挑戦してきた少女に名を問われた際に堂々と名乗った過去がある

「ふん…術師ですらない分際でよく吠えたものだ。いいだろうお前の愚かさに免じて教えてやる…と言いたい所だが、今は仮にもサーヴァントとして契約を結んでいる身だ。易々と契約者でない者に真名を教えてやる訳にはいかんな」

キャスターの返答にさすがに駄目かと内心で蓮子は溜息をつく。挑発に逆上されなかっただけでも御の字かと考え直すが…

「――だが、条件次第では教えてやらんこともない」
「本当…!?でも条件って…?」

キャスターの思わぬ一言に目を剥く蓮子。そんな彼女の反応を楽しそうに見やりながらキャスターは言葉を続けた

「相応の貢物を寄越せ。人が神に供物を捧げ、対価として神が祈りに応える。古来から続く人と神の関係だ」

キャスターの突きつけた条件はある種古典的な等価交換
ならば蓮子にも考えがある。念の為ソリテールに念話で考えを話し確認をとった。ソリテールからは何とも愉快そうなOKとの返答
意を決してキャスターに蓮子は向き直る

「分かったわ。神様の言う通り"相応の貢物"を出してあげる」

「私の名前は『宇佐見蓮子』。召喚したアサシンの真名は『ソリテール』。名には名で応えるわ!貢物として不足はないでしょう?」

威勢の良い言葉とは裏腹に蓮子は緊張していた。自分の名はともかくソリテールの名は他のサーヴァントの真名と等価とはとても言えないのだから
――『無名の大魔族』。ソリテールの生き様が昇華したこの宝具の効果によって、ソリテールという名を知っても何ら有益な情報を相手は得ることが出来ない。蓮子は宝具の名前もそれに纏わる血に塗れた逸話も未だ知らないが、とにかく真名を知られても問題にならないということだけは把握している
果たして目の前のキャスターはこの事実をどう捉えるか…

「くくっ…よくよく小賢しく頭が回る小娘だが…まあいいだろう、お前たちが自分の名を明かしたことに代わりはない。対価として僕の名を教えてやる。心して聞け」

「――『太歳星君』。お前たちを終わらせる者の名だ。その時が来るまで噛み締めておけ」

そう言い残すとキャスターは――『星神』太歳星君は去っていった

「やれやれ、とんでもない存在を敵に回してしまったみたいだねぇ」
「さすがにビッグネーム過ぎて驚きだけど…どの道立ち向かわなければ祟りで一方的に殺されるんだから今更よ。相手が何だろうと倒すしかないでしょ!」

『星神』『冥府の惑星』『木星の鏡像』『族滅の化身』…無数の異名を持つ凶神が敵の正体。知識があるからこそその恐ろしさを実感する蓮子
しかし相手がどれ程強大だろうが蓮子は自分の無力を嘆くような遠慮がちな人間ではない。必ずやキャスター改め『太歳星君』を打倒し、この京都に封じられた秘密を暴くと誓うのであった

3535名無しさん:2025/04/16(水) 00:40:10
>>3534
すいません、仮投下スレと間違えました
改めてそちらに投下します

3536名無しさん:2025/04/16(水) 08:08:26
>>3534
仮投下スレで許可を頂いたので改めて本投下扱いにします

3537名無しさん:2025/04/16(水) 22:06:57
レン(ピトさんは絶対に私と戦いたいがるだろうなぁ)

また狂気的で強い相手と戦うことにうんざりと落ち込みつつ、レンは気合を入れる

レン(まあピトさんとそのサーヴァントをなんとか出来そうなのは私くらいなんだ。がんばらなきゃね!)

そしてレンはこの場に居るみんなにピトフーイの説明を始めた
それは性格など大雑把なものでなく、戦闘スタイルやレンに拘ってることなど様々だ

レン「――と、ピトさんについての情報はこんな感じかな。アーチャーさんも私と一緒に戦うことになると思うから、がんばろうね!」

名護さん「ああ。そして俺が戦うサーヴァントは李書文か。まあ名高い英雄だが、俺もこれまでファンガイアという化け物と戦ってきた戦士だ。安心して任せなさい。……もっとも、ファンガイアも全員が悪いというわけじゃないがな。たとえば俺の弟子(渡のことを勝手にそう呼んでるだけ)の兄、登太牙は心を入れ替えて人間との共存を目指してる」

3538名無しさん:2025/04/16(水) 22:08:21
>>3532
夏油「クックックッ。まさか私にもまだこんな心が残ってたとはな」

自分の決断に、夏油は思わず笑ってしまう。それはまるで五条に殺される前の、あのやり取りの時のような笑い方だった。
夏油は若い術師を理由なく殺さない。殺させるつもりもない。そういう所はやはりなんなかんだ、優しかった頃と同じなのだろう。
高専時代と――
夏油傑は誰がなんと言おうが非術師(さるども)は嫌いだ。だが高専の連中は恨んでいなかった。
色々と世界の過酷さを知って、ただ心の底から笑えなくなっていただけなのだ。

そんな夏油が五条に殺される前、彼の言葉で再び心から笑えた。
思えばその時から夏油傑という人間は、少し心変わりしていたのかもしれない

夏油「私は非術師がいない世界を作る。その願いは変わらない。でも術師を虐殺しかねない相手は、放置出来ない」

――マヤや真衣が通っていた中学に訪れた時を思い出す。
真衣はあまりわからなかったが、マヤのあの昔の自分にも似た信念はよく覚えてる。
他にも、色々な若い術師が居た。彼女達を守りたいという気持ちは紛れもなく夏油の〝本心〟だ

夏油(私がこんな決断を下したのは――悟。君があの時、私を心の底から笑わせてくれたかもしれないな)

3539名無しさん:2025/04/16(水) 22:09:17
>>3526
矢車さん「もしかして殺されたんじゃないのか?」
影山「兄貴、流石にその発言は……」
カズマ「そうだぞ。アサシン兄、お前はちょっと黙ってろ」

キリト「いや……兄のアサシンが言うように、既に殺された可能性は考慮してもいいかもしれない。俺も無害な人が死ぬのは残念だけどこれは聖杯戦争だし、黒幕を探っていたなら消された可能性もある」

一護「マスターの蓮子はともかく、アサシンの方は胡散臭い奴だった。だからまだ生きてるとは思うけど、あまり頼りには出来ねぇな。俺はどうにもあいつがきな臭く感じる」

ユウキ「相変わらずセイバーは蓮子のアサシンに厳しいな〜」

カズマ「……とりあえず信用出来るかどうかは、まだわからない感じってことか」

3540名無しさん:2025/04/16(水) 22:10:11
蓮子とソリテールは帰り道、気絶から復帰したアズラエル、ディエゴと遭遇。ソリテールがアサシンで気配遮断してたからディエゴは相手がサーヴァントだと気付かなかったがソリテール自らサーヴァントだと明かした上で『お話』して太歳星君から聞いた情報を教えてたっけ
京都全体を祟るのはサーヴァントじゃないアズラエルやメアリーを危険な目に合わせるリスクがある
まあアズラエルについては内心あまりよく思ってないディエゴだが、メアリーの損失は厄介だ
必然的に二条城に向かうしかない
ついでにいつでもマスターの替えが効くようにメアリーも連れて行く。ヤマトタケルの一件で痛い目を見ているので、慢心はしない

3541名無しさん:2025/04/16(水) 22:10:48
今回の聖杯戦争、聖杯が汚染されると疑ってる組もいるけど実は汚染されてないんだよね
これが知れ渡ったらスタンスが変わる組も居そうだ
まあまずは太歳星君をどうにかしなきゃマスター達の全滅は免れないが

3542名無しさん:2025/04/16(水) 22:13:00
>>3531
京都全体を祟るという情報に蓮子は恐怖に駆られた
そこでスマホからメッセージ音が鳴り、ユウキからメッセージが届いたことを知る
蓮子はユウキに情報を伝え、一護やキリト組とカズマ組もそれを知った

カズマ「マジかよ、これ……」

影山「カズマ、兄貴。……どうする?」

矢車さん「これが本当なら聖杯戦争どころじゃないな……」

一護「もう聖杯戦争なんて関係ねぇ!この京都も、巻き込まれたマスター達も、ユウキも――俺が護る!」

ユウキ「ボクもこんな計画は阻止したいかな」

アリス「私もです。キリトはどうですか?」

キリト「もちろん、俺もだ。これが本当ならほとんどのマスターや京都の住人が殺される可能性がある」

三組の意見は一致していた
そしてそれは蓮子とソリテールとて同じだ。
蓮子はまだ死にたくないし、ソリテールとしても『お話』が愉しめなくなるのは不都合。そもそも蓮子が死ねば、自分も連動して消滅するだろう

ゆえに蓮子組も二条城に攻め入ることになった

3543名無しさん:2025/04/17(木) 04:02:18
>>3537
ファンガイアや登太牙に近い人物、という情報を聞いてアルトリアやアスナはアーチャーの素性をだいぶ絞り込めることができたんだよな
ただこれまで真名を明かさずに協力関係を築いてきたこと、キャスター討伐という大事が迫っていることから、これ以上詮索することなく共に戦う仲間として考えているようだ

3544名無しさん:2025/04/17(木) 19:59:51
夏油が二条城に向かう途中、マヤやカブキと遭遇する
そしてザンキ、アタランテ、太牙などサーヴァントがいることからマヤもマスターである可能性が高いと察した

夏油「や、マヤちゃん。君もマスターだったのか」
カブキ「夏油、てめえ!」
マヤ「夏油先生……カブキが言ってた通り、本当にマスターだったんだ。……私達を倒しに来たの?」

こちらを警戒する二人とサーヴァント達に夏油は「まあそう思われても仕方ないか」と口にして

夏油「私は呪術師は襲わないし、今はちょっと急ぎの用事があるんだ」
マヤ「急ぎの用事……?」

夏油「私は一度、やたら強いキャスターに倒されたんだけど、彼はかなりの危険人物でね。魂喰いで呪術師を殺されたくないし、旧友と過ごしてた時を思い出したから――そのキャスターにリベンジしたいと思ってる」

マヤ「えっ!?夏油先生も噂のサーヴァントを倒そうとしてたの!?」
カブキ「まさかこんな奴と同じ目的だとはなァ」

夏油「そうか。君達もキャスターを……」
マヤ「じゃあ一緒に協力しようよ!仲間は多い方がいいでしょ?」

夏油「いいよ。非術師にはあまり協力したくないけど、君達は呪術師の卵と鬼だからな」

カブキ「……複雑な心境だけどよ、たしかに仲間は多い方はいいよなァ、マヤ。でも1つ条件があるぜ。俺の音叉、返せよ」

夏油「残念だけどそれはキャスターに奪われた。まあ彼の性格上、君に返しそうだけど」

カブキ「ちっ、そうかよ」

3545名無しさん:2025/04/17(木) 20:18:47
二条城の決戦の前にシロッコと太歳星君もまた色々と準備していた
喧伝によって多くの主従に自分達の存在を知りそれらが押し寄せてくるだろう、そこから生じる経験したことのない死力の闘いになることを期待する太歳星君であったが
しかし懸念点として強者たる自分を無視して契約者であるシロッコを狙う輩が現われる事も予想、そうなればせっかく用意した狂乱の宴も不本意な幕引きで終わるという萎える展開も考えられた
そこで太歳星君は自身の下僕たる十二神将をシロッコに授けることにし、自身が戦っている間は彼には別の場所にいてもらい式神達に護衛してもらうことにした

ちなみにだが、太歳星君は霊脈を解析して術式を仕込んだため各霊地に送り込んだ式神たちをすでに呼び戻しており、ソリテールから返却された形代から式神(>>3531参照)を蘇らせているので全員が揃っている状態である
なにせサーヴァント相手に力不足な式神に霊地の防衛を任せても仕方がない、12体の総力ならば英霊相手でもある程度は対抗できるだろうと思い王将を守る駒として活用することにした

それと、太歳星君は霊地を他の主従に奪われることを問題視していなかった
霊地争奪戦は「自身の存在を認知させること」と「霊脈を調査して儀式や黒幕の情報を得つつ揺さぶりをかけること」が主目的であり、自身の霊力を強化することは二の次であった
たとえ霊地を奪われ弱体化したとしても、本気になって自分を潰そうとする英傑どもを圧倒的な力でねじ伏せることを愉しみにするような凶神なのだから、全く気にしていなかった

3546名無しさん:2025/04/17(木) 21:47:20
>>3542
あれから蓮子達はスマホでやり取りしつつユウキ達と合流した。そこで簡単な自己紹介の後、真名など蓮子達が得た太歳星君の情報を共有し、作戦を練ることにした

・太歳星君は各地の霊地を掌握して力を増している。そのまま全員で向かっても魔力の差で押し切られる可能性が高い
・よって直接二条城に乗り込んで戦闘する組と各地の太歳星君が掌握した霊地を奪還する組に分かれることにする(太歳星君は霊脈の流れによって転移できるので即霊地を奪い返されないように本拠地で太歳星君を足止めする必要がある)
・霊地攻略組は事が済んだら二条城に駆けつけ足止め組と合流。弱体化した太歳星君を撃破する

以上が大まかな作戦の流れである
真名から情報を得た蓮子達はかつて太歳星君を破った寶月夜宵という少女達がとった作戦を参考にしたのだ
最も各地の霊地を攻撃する側と守る側が今回は逆ではあるが

3547名無しさん:2025/04/18(金) 05:47:48
夜になって最初に二条城に入ったのは伊織組・レン組・美遊兄組の三組だったね
二条城前駅を降りて数分の東大手門から元離宮に入り、まずは二の丸御殿を索敵したがシロッコやピトフーイの姿はなく
続けて本丸御殿に向かうべく本丸櫓門の橋を渡る直前に、ピトフーイが弾幕を張って牽制、銃撃がすぐ止んでピトフーイが本丸の奥へ引いたところでレンと名護さんが先行して橋を駆け抜ける
その後に伊織組と美遊兄組も続いたが橋を爆破されしまいレン組と分断され、さらに膨大な霊力を重圧を露わにした太歳星君が背後から迫るのに気付いて対処せざるおえなくなった
そのためレン組はピトフーイ達を追って本丸に向かい、残りの二組は二の丸付近で太歳星君と戦う事になる

【念のため情報を付記】
・元離宮二条城には外堀と内堀があり、敷地内に入るには駅から近い東大手門の橋を渡るか、北大手門の橋を渡る必要があります
・敷地の東側には二の丸があり、西側には内堀に囲まれた本丸があります。本丸に向かうには東西にある橋を渡る必要がありますが、東側の本丸櫓門は破壊されたので出入りするに残された西門のみとなります
・ちなみにこれらは軽く調べて得た情報であり、自分でも知らない情報があるかもしれません

・なお外堀と内堀はサーヴァントでも跳躍して渡ることはできないものとする(キャスターの陣地化による影響、ということにしときましょう)
・また二条城周辺には大祭星君によって人払いの結界が張られています(※仮投下で書き忘れたので追加の記述しときます)

3548名無しさん:2025/04/18(金) 06:08:43
太牙なんだけど、本人に聖杯獲得する気はないし連携しやすくするように自分の真名やスキルや宝具をマヤやカブキに明かしてるんだよね。その後、合流して共闘が決まった夏油にも明かしてる

ザンキ「自分から性能を明かすサーヴァントなんて珍しいな」
太牙「俺の願いはマスターの舞衣を無事に帰すことだったが、彼女はもう殺された。だから俺の望みは、あの危険なキャスターを倒すことだけだ」

マヤ「太牙も師匠やカブキ――要するに鬼みたいに正義感が強いんだね!」
太牙「そんなことはない。……ただこのまま何も成し遂げられずに消滅したら舞衣や俺の弟に顔向け出来ないだけだ」

3549名無しさん:2025/04/18(金) 06:09:36
サーヴァントを失って自身に戦う力もないメアリーはディエゴどころかアズラエルにすら逆らえないの可哀想…
ただなんとかしてディエゴとアズラエルに復讐したいと怨みを募らせてたね

3550名無しさん:2025/04/18(金) 06:10:23
>>3546
太歳星君の知識があり、ある程度は戦法がわかる蓮子組は二条城に乗り込む組に真っ先に決定した
他の三組をどう割り振るか決めるわけだけど…カズマと地獄兄弟に視線が集まる

矢車さん「……今、誰か俺を笑ったか?」
カズマ「いや、この視線はそういう意味じゃないと思うぞ」

一護「なぁ、カズマは2体のサーヴァントを召喚したんだよな」

カズマ「うん」

キリト「それなら霊地を奪還する組はとりあえずカズマ達に任せたいんだけど……」

カズマ「あ、やっぱり?」

ユウキ「二人もサーヴァントがいるなら手分けして霊地を奪還出来そうだよね」

カズマ「しょうがねぇなあ。まあいきなりラスボスみたいな奴に挑むよりマシだし、俺達は霊地奪還組になってやるよ」

影山「俺達の特性が役立つ時だな、カズマ!兄貴!」

アリス「四組いるからもう一組くらいわけませんか?」

一護「じゃあ俺とユウキも霊地奪還組になるか?生身のキリトよりアバターのステータスも反映されてるユウキの方がきっと速いだろうし」

ユウキ「たしかにキリトは生身だもんね」

キリト「わかった、じゃあ俺とライダーは蓮子達と一緒にボス戦だな。霊地奪還は任せたぜ。カズマ、アサシン兄弟、ユウキ、セイバー」

3551名無しさん:2025/04/18(金) 23:48:01

他の三人が築いてくれ僅かな隙を狙って、アスナは大切な人から授かった絶剣を解き放った
十字を描くように神速の十連続突きを放ち、フィニッシュとして十字の交差点に一番強烈な十一撃目の突きを放つ
タイミングも良かったのだろう、猛威を奮う太歳星君も回避する余裕はなく11連撃全てを全身で受け止めてしまい、明らかな致命傷を受けて倒れ伏してしまった

アスナ「はぁ、はぁ…やった、のよね」

美遊兄「ッ!?危ない、避けろ!!」

アスナ「えっ」

辛くも勝利したと思ったアスナと他三人であったが、直後に背後から飛翔してきた消滅の凶星によってアスナの身体は貫かれてしまった
風穴が開き致命傷を受けてしまったアスナはその場で倒れてしまう

太歳星君「中々の剣技であった、褒美に死をくれてやろう」

アスナ「がはっ…!どう、して…!?」

身体に力が入らず、もはや消滅の運命に抗えない状況で、先程倒したはずのキャスターが肉塊に包まれつつも復活する様を目撃してしまう
この時ばかりはアスナも絶望を覚えるしかなかった


【アスナ@ソードアート・オンライン 消滅】
※この表記はアスナの脱落を確定させるものですが、実際には消滅までに少しだけ猶予がありますので、もう少しだけイベントを起こせるでしょう

※太歳星君の視肉は残り4回、という風にしときます

3552名無しさん:2025/04/19(土) 00:04:43
>>3551
(仮投下の途中からになってるよ)

3553名無しさん:2025/04/19(土) 00:11:13
(すみません、スマホからのコピペミスなので再投下します)+

>>3547
太歳星君を相手に四人は総掛かりで戦う
サーヴァントであるアルトリアやアスナは無論、対英霊やそれに近いものに心得のある宮本伊織・美遊兄も攻撃に加わっていた

太歳星君「くくっ、面白い。契約者自らも僕に挑みかかってくるなんて、これは想定外だ」

対して太歳星君は彼らの奮闘を前菜程度に捉えつつ、今までとは違い相手を殺す気で応戦する
さすがにマスターを殺すと本懐である英霊との死闘が損なわれてしまうので幾らか手心を加えているが、せっかくの宴なのだから状況次第ではマスターを殺めるだろう
よって太歳星君は常人にとって即死級となる攻撃を躊躇わずに行うが、それらを伊織と美遊兄は紙一重で躱し・防ぎつつ、さらには危険をものともせ果敢に攻め入っていた
そして彼らの従者も彼らをサポートしつつ彼らよりも前に出て太歳星君に猛攻を仕掛ける
しかし、4人に襲われても縦横無尽に動き回り、厄介な消滅の凶星による攻撃もあって太歳星君に大きな一撃を与えるには至らず、逆に彼ら彼女らの方が徐々に消耗し始めていた

アスナ(強さの次元が違いすぎる!このまま戦い続けるのもキツい!早く、なんとかしなくちゃ!)

戦闘に集中しながらも中、アスナは焦燥に駆られる
圧倒的な強さ、重圧、神威は今までに経験したどれよりも凄まじく、足が竦む感覚に襲われそうになる
なにせ彼女の本質はごく普通の高校生なのだ、VRMMOにて数々の事件に巻き込まれつつも戦ってきた数々の強敵とは何もかも違う、架空の存在ではなく現実に目の前にいる神を相手にしているのだから

――何故自分がサーヴァントとして召喚されたのか、この聖杯戦争中に何度も考えたことがある
英霊や偉人として讃えられた過去の人物が仮初めの肉体を得て召喚者に応じて現界するというが、アスナ自身はそれに足り得る存在という風に考えたことはなかった
仮にUWの世界に入る際に使用したアバター・創世神ステイシアを基にした霊基であれば、UWの騎士たちや人民からの信仰心もあり英雄として相応しかったかもしれない
しかし此度の聖杯戦争では英雄たる逸話など殆どないALO時におけるウンディーネ姿で召喚されてしまった。しかもクラスがバーサーカーというのも微妙に納得しがたい
それでいて人を傷付けてまで何かを為すことを考えない性格な彼女が分不相応にも闘争と欲望の殺し合いに参加させられているという齟齬もあり、この不可思議な状況に馴染めないアスナは常に悩み苛まされていた



それでも

キャスターという脅威を野放しにしては京都に厄災が降り注ぐ

それだけは阻止しなければという想いを胸に己を奮い立たせて剣を握り締めていた



アスナ(今の私にできること……それを、全力でやってみせる!)


アスナ「たあぁぁ!! 『継承せし十字架(マザーズ・ロザリオ)』!」


他の三人が築いてくれ僅かな隙を狙って、アスナは大切な人から授かった絶剣を解き放った
十字を描くように神速の十連続突きを放ち、フィニッシュとして十字の交差点に一番強烈な十一撃目の突きを放つ
タイミングも良かったのだろう、猛威を奮う太歳星君も回避する余裕はなく11連撃全てを全身で受け止めてしまい、明らかな致命傷を受けて倒れ伏してしまった

アスナ「はぁ、はぁ…やった、のよね」

美遊兄「ッ!?危ない、避けろ!!」

アスナ「えっ」

辛くも勝利したと思ったアスナと他三人であったが、直後に背後から飛翔してきた消滅の凶星によってアスナの身体は貫かれてしまった
風穴が開き致命傷を受けてしまったアスナはその場で倒れてしまう

太歳星君「中々の剣技であった、褒美に死をくれてやろう」

アスナ「がはっ…!どう、して…!?」

身体に力が入らず、もはや消滅の運命に抗えない状況で、先程倒したはずのキャスターが肉塊に包まれつつも復活する様を目撃してしまう
この時ばかりはアスナも絶望を覚えるしかなかった


【アスナ@ソードアート・オンライン 消滅】
※この表記はアスナの脱落を確定させるものですが、実際には消滅までに少しだけ猶予がありますので、もう少しだけイベントを起こせるでしょう

※太歳星君の視肉は残り4回、という風にしときます

3554名無しさん:2025/04/19(土) 01:20:17
>>3550
蓮子「オッケー、話がまとまったわね。それじゃあ霊地攻略班はこの場所に向かって待機してほしいの。私達が戦闘に入ったらスマホで合図を出すから霊地の奪還をお願いするわ」

役割分担が済んだことを確認した蓮子は、ユウキとカズマに二条城を中心に五芒星が描かれた地図を手渡した
秘封倶楽部の活動で京都の主要な霊地を知っていた蓮子(蓮子の時代においても霊地の場所は大して変わらなかった)は魔力探知で霊脈の流れを読めるソリテールと協力して太歳星君が支配下においているであろう霊地の大まかな位置を割り出しておいたのだ

ユウキ「ありがとう蓮子!」

カズマ「サンキュー!…今更なんだけどこんな回りくどいことをせず、皆でその太歳星君とかいう奴を袋叩きにするんじゃだめなのか?神話には詳しくないけどこんなにサーヴァントがいるし、小学生の女の子に負けた奴なんだろ?」

ユウキ「ボクも今一ピンとこないけどそんなにヤバい神様なの?ボク達以外の参加者も敵に回してるみたいだし全員で戦えば何とかならないかな」

神話に疎いカズマやユウキから今回の作戦について疑問が上がる。いかに神霊相手とはいえ、戦力分散のリスクを犯してまで弱体化を狙う必要がある程の強さなのだろうか?

蓮子「はっきり言って滅茶苦茶ヤバいわ。古くから信仰されてて道教や陰陽道における祟り神だったり守護神だったり色んな面があるけど、『太歳頭上動土』……みだりに関わることが身の程知らずを意味するくらいには危険な神格よ」

ソリテール「逸話からその太歳星君を負かした少女とやらも万全の準備に加えて強力な霊を複数使役した上でも紙一重の勝利だったみたいね。いやあ、ぜひ直接会ってお話したかった所だけど残念残念」

ユウキ「へぇ〜、オカルトサークルやってるだけあって詳しいね」

カズマ「アクアより厄介な神っているんだな…」

蓮子達から太歳星君の脅威を教えられ、改めて気を引き締めるユウキとカズマ
さらに今の状況についてソリテールが軽く補足する

ソリテール「付け加えて言うなら集まった主従が全員味方とは限らないわよ?私達があった狐耳のキャスターのマスターは好戦的だったし、途中で遭遇したライダー達も実に貪欲な素晴らしい眼をしてたわ。ふふっ、彼らも集まるなら後ろから刺されないように注意しないとね」

一護「一番怪しいお前が言うなっての。…まあ他の連中を当てにするのは止めたほうがいいと思うぜ。共通の敵がいなくなればこっちが狙われてもおかしくねえ」

蓮子「強力な陰陽術も使えるみたいだし、弱体化させてもアサシンとライダーだけで撃破するのは難しいと思うの。こっちも頑張るけど出来るだけ早く戻ってきてね」

ユウキ「勿論!」

カズマ「任せとけって!」

キリト「なあ、ちょっといいか?」

作戦の流れと現状について納得したユウキとカズマ
二人を見たキリトは、今度は自身の疑問を口にした

キリト「思ったんだが、仮に俺達が太歳星君に勝てそうでも奴が自棄を起こして祟りを発動したら為す術がないんじゃないのか?」

蓮子「あー、その心配はないと思うわ。あの神様と話したのはちょっとの間だけどそんなことするような感じじゃなかったし」

アリス「真名から得た情報ですが、太歳星君――厳密には分霊ですが、どうやら敗北寸前の状態でも最後まで真っ向勝負に臨んでいたようです。仮に呪いを発動させるとすれば目に見えて立ち向かう者がいなくなった時かと」

キリト「成る程な…」

最後の懸念点――太歳星君が形振り構わなくなるという可能性がほぼないことを確認できたキリトはメンバーを一通り見回し、話をまとめた

キリト「よし、少しの間休息して全員体調を万全に整えたら各自作戦の場所に出発しよう!」

3555名無しさん:2025/04/19(土) 04:52:43
>>3553
美遊兄「バーサーカー……!大丈夫……じゃないよな」

美遊兄はアスナが致命傷を受けた瞬間を目撃して、彼女の先が長くないことを悟った
アスナは自分と同じく、大切な相手を幸せにするために聖杯戦争を勝ち抜くと決意した仲間だ。
根が善良な美遊兄は、この時ばかりはサーヴァントを失うという事実より似たような願いを持ち、共に戦い抜いてきた仲間が死ぬことが辛かった

それはまるで桜を殺された時のように――

アスナ「ごめんね……士郎くん……。ユウキ……」

アスナの頬を涙が伝う。
絶望感と同時に去来したのは悔しさだった。

ユウキの病気を治してあげたかったから。
ユウキを長生きさせたかったから。
ユウキを幸せにしたかったから。

だというのに、自分が脱落することで願いは叶わなくなる。
大切なユウキを、救えなくなる。

それが悔しくて、辛くて、アスナは涙を流しながら歯噛みした

美遊兄「謝らなくていい!それよりお前とユウキが……!」

同じ願いを持つからこそ美遊兄には辛さがよくわかる、アスナの悔し涙。
しかしマスターである彼でも、もはやアスナはどうしようも出来る

美遊兄「令呪をもって命じる!バーサーカーを治療してくれ!」

そんなこと無意味だとわかってるのに、令呪を消費して。
しかしそのおかげでアスナの寿命はほんの僅かに延びた

アスナにとって大切な男が。
黒の剣士が辿り着くまで、アスナを存命させた。

3556名無しさん:2025/04/19(土) 04:54:04
アスナを消える瞬間を、二人は看取った。

キリト「アスナ……。アスナぁぁぁああ!!」

アスナのために今まで我慢していた涙が、キリトから溢れ出す
美遊兄は太歳星君に対して怒りがわくが抑え込み――

美遊兄「なぁ。お前、たぶんアスナの友達なんだろ?それなら今するべきことは――」
キリト「ああ、わかってる――」

キリト「――太歳星君!お前を倒す!」

嘆いた時間はもう要らない
限界の壁を今すぐ壊して――


ちなみにアスナが消滅し、キリトと美遊兄が対話してる間、アルトリアと伊織、ソリテール、アリスが太歳星君の相手を引き受けていた

3557名無しさん:2025/04/19(土) 04:58:39
>>3556
(コピペミスしたから貼り直し)

>>3555
キリト組と蓮子組が太歳星君と、彼と戦う他の主従。そして死にかけのサーヴァントを発見
瞬間――キリトは駆け出した

キリト「アスナ!?」
アスナ「あ……キリトくん。キリトくんも、参加してたんだね……」

キリト「アスナ、その傷はどうしたんだ!?」

美遊兄「アスナは……あいつの致命傷を受けた。この傷は、令呪でも治らない!」

美遊兄が悔しそうな表情でキリトに告げる。

キリト「そんな……アスナが……」
アスナ「士郎くんの言う通りだよ。私はサーヴァントとして召喚されて士郎くんやユウキのために戦ったけど……力不足だった……」

美遊兄「アスナは、ユウキっていう女の子を守るために聖杯を手に入れようとしてたんだ。たった一人の女の子を救うために……!」

キリト「!」

その言葉を聞いた瞬間、キリトに考えが過ぎる。
アスナはもう消滅を逃れられない。それはキリトにとってすごく辛くて、悔しくて、悲しくて、今すぐにでも嘆きたくなって――でも、そんなことより伝えなきゃならないことがある。

キリト「ユウキは生き返ったよ、アスナ。そしてこの聖杯戦争にマスターとして呼ばれてる」
アスナ「え!?ユウキが……!?」

目を見開き、驚くアスナ。
キリトが嘘を吐くとは思えず――瞳から悔し涙とは別の雫が零れ落ちた

アスナ「良かった……。ユウキは、私が願いを叶えなくても生きてるんだね……」

それは嬉し涙。
アスナの願いはある意味、今この瞬間に叶った

アスナ「ねえ、キリトくん――」
キリト「……なんだ?アスナ」
アスナ「ユウキを託しても、いいかな――?」

キリト「ああ。当たり前だ!」

キリトの力強い言葉にアスナは安堵して。

美遊兄「アスナ。俺も出来る限り、ユウキを守ってみせるよ」

この聖杯戦争は孤独じゃなかった。
いつも常にアスナが居た。共に戦う仲間が居た。
だからいつの間にか――美遊兄はアスナを大切な仲間だと思っていた。

ゆえに美遊兄は。衛宮士郎は、アスナの願いを引き継いでユウキを守ると決意する

アスナ「士郎くんまで……。ありがとう……」

アスナの身体が光に包まれてゆく。
衛宮士郎と桐ヶ谷和人はただそれを見守るしか出来なかったが――

アスナ「私……幸せだなぁ……」

アスナを消える瞬間を、二人は看取った。

キリト「アスナ……。アスナぁぁぁああ!!」

アスナのために今まで我慢していた涙が、キリトから溢れ出す
美遊兄は太歳星君に対して怒りがわくが抑え込み――

美遊兄「なぁ。お前、たぶんアスナの友達なんだろ?それなら今するべきことは――」
キリト「ああ、わかってる――」

キリト「――太歳星君!お前を倒す!」

嘆いた時間はもう要らない
限界の壁を今すぐ壊して――


ちなみにアスナが消滅し、キリトと美遊兄が対話してる間、アルトリアと伊織、ソリテール、アリスが太歳星君の相手を引き受けていた

3558名無しさん:2025/04/19(土) 22:45:26
何気なくメアリーを引き連れてるディエゴだけどアズラエルからしたらサーヴァントを失い戦力として期待出来るような技能もないメアリーはもう無価値なんだよね
だからなんでこんなのをいつまでも引き連れてるのか不審に思ってる
アズラエルはディエゴを信用してない。スキルの内容的にも明らかにヤバいサーヴァントだからだ。念のためにメアリーを処分するべきか?と思考する

3559名無しさん:2025/04/19(土) 22:46:24
>>3547
レン「ピトさん、こんな争いやめようよ!これはGGOじゃなくてリアルなんだよ!?」

ピトフーイ「何言ってるの?レンちゃん。レンちゃんなら私がこんなお祭りやめないこと知ってるでしょ!?」

レン「あー、もう!やっぱり前のピトさんだ!」

ピトフーイ「私を止めたいなら殺すしかないよ?殺さなきゃ暴れるのやめてあげないからね!」

レン「やっぱり前のピトさんはめんどくさいなぁ、もう!」

レン(でもピトさん相手に手を抜いたら絶対殺されるし、本気でいくしかないよね!)

聖杯戦争だというのにサーヴァント挟まずマスター同士でガチンコ勝負を始める二人
まあこの二人だもんなぁ

一方、名護さんと李書文も対峙する

『レ・ジ・ィ』

名護さん「変身!」

『フィ・ス・ト・オ・ン』

即座にイクサ バーストモードに変身する名護さん

名護さん「李書文!何故あんな危険なキャスターと手を組んでるのかはわからないが――その命、神に返しなさい!」

名護さんのスキル、イクサ、爆現が李書文に畏怖や警戒心を呼ぶ起こされるが――だからこそ李書文は名護さんを強者だと感じ取って笑った
そして名護さんと李書文がぶつかり合う

レン(名護さんやみんなもがんばってるんだ!私も負けられない!)

3560名無しさん:2025/04/19(土) 23:25:36
>>3355>>3357の最中の話

アルトリア「バーサーカー!シロウ!!」

アスナが致命傷を受け、彼女に駆け寄る美遊兄――衛宮士郎。
それを見たアルトリアは、たとえ自分の知る衛宮士郎でなくとも彼の根底はやはり〝衛宮士郎〟なのだと理解すると同時に、心配して叫び声をあげる

しかしその隙を逃す太歳星君ではなく、容赦ない攻撃がアルトリアを襲い、アルトリアが吹っ飛ぶ

アルトリア「ぐっ……!なんという威力だ……!」

ただの一撃。
しかしそれはとても重い一撃だった

しかしアルトリアは。
セイバーは即座に体勢を立て直し、剣を構えた

チラリと士郎の方を見ると、なにやら会話しているようだ。
過去に冬木の聖杯戦争に参加したことがあり、サーヴァントであるにも関わらず人間のように士郎から扱われたセイバーは、戦場で会話する彼を叱咤はしない。

その優しさが衛宮士郎の長所だと知っているからだ。

アルトリア(今、シロウを狙われたら危険だ。ここは私が注意を引き付けるしかない!それに蘇生も無限に出来るわけじゃないはず――)

ゆえにセイバーは、太歳星君に目掛けて宝具を使う

アルトリア「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

3561名無しさん:2025/04/19(土) 23:26:24
一護「行くぜ、ユウキ!」
ユウキ「え?なんで急に抱えるの!?」

一護はいきなりユウキを抱える

一護「この方が――速いからだよ!」

他の主従と居る時は少しでも技術を秘匿するために〝ユウキがアバターだから〟と口にした一護だが実はもっと別の理由がある

ユウキ「わわ!?」

急に凄まじい速度で移動する一護。
――瞬歩。死神ならば基本中の基本な技術だ。

一護「振り落とされないようにしっかり捕まってろよ、ユウキ!」
ユウキ「うん!やっぱりセイバーってすごいや!」

3562名無しさん:2025/04/19(土) 23:27:14
地獄兄弟は手分けして霊地を奪取することになった

矢車さん「どっちがカズマに同行する?相棒」
影山「そこはマスターのカズマに任せないか?兄貴」
矢車さん「たしかにそれでいいな」

ということでカズマは矢車さんか影山、どっちに同行するか決めることになった

カズマ「弟で」

即決だった

影山「随分と速い回答だな、カズマ。兄貴じゃなくて俺を選んだ理由でもあるのか?」

カズマ「いやだって兄の方はネガティブだし俺に悪影響だろ。逆に弟は意外と正義感とかあるし頼りになる」

矢車さん「……そうか」
影山「大丈夫だよ、兄貴!兄貴の良さは俺がよく知ってるからさ!」

ちょっとガッカリする矢車さんとそれをフォローする影山であった

3563名無しさん:2025/04/19(土) 23:27:52
ちなみに手分けして霊地奪取することになった地獄兄弟だけど、適当なタイミングで合流するらしい
二人揃ってこそ真価を発揮するスキルもあるから二条城に向かう際はちゃんとカズマと地獄兄弟の三人で向かうことにしたのだ

3564名無しさん:2025/04/20(日) 03:09:09
>>3547

幾つもの熱線が交差する、様々な物体が弾け飛ぶ
相手の命を削る弾丸が身体を掠める度にレンはヒヤヒヤしながら己を奮い立たせ、ピトフーイはゾクゾクしながら高揚する
銃撃戦を繰り広げる二人は物陰に隠れつつ相手を狙おうとするが、互いに熟練のGGOプレイヤーであるためそう易々と仕留められなかった

レン「ピトさん攻撃えげつなさ過ぎ!どんだけ火力持ってんの!?」

ピトフーイ「それはこっちの台詞!それも回避して突然奇襲してくる狂人に言われたくないわね!」

とにかく撃ち合い、撃ち合い、撃ち合い……どれだけの時間が経っただろうか
激しい銃撃戦の末に弾を撃ち尽くした上に不意に接近してしまった二人は、ナイフを手に取り近接戦で相手を仕留めようとする
何度も刃で切り結ぶ最中、双方が一旦距離を開けた後にレンが最大スピードかつフェイントを交えてピトフーイに急接近し、相手の懐に入ってナイフを突き刺そうする
だが、レンが間合いに入る前にピトフーイが自分の得物をレンに向けて放り投げてきた、それも投擲ではなく放物線を描くように緩やかな動作で
意表を突かれたレンは一瞬だけ逡巡し、投げられたナイフを軽く切り払い

ピトフーイ「こうだ!」

レン「がっ!!?」

その直後、レンは強い衝撃を受けて後ろに吹っ飛んでしまった
この時、ピトフーイは八極拳による強烈な一撃をレンの小さな身体に放っていたのだ
数日前から李書文の教えを少し受けつつ鍛錬し続けたピトフーイは、まだ拙さが残るものの八極拳の基礎を習得しこの実戦にて活用してみたのだった
これによりレンは呼吸困難に陥り、身体へのダメージもあってすぐに動く事ができなかった
ただしピトフーイも無事ではなかった、あの一瞬の交差にてレンはピトフーイの身体にナイフを突き刺していたのだった
VRMMOでは感じることがない激痛にピトフーイは顔を顰めつつ、刺さったナイフを抜き取ってゆっくりとレンに近付く

ピトフーイ「やっぱりレンちゃんは侮れないね……だから、これで終わりにしてあげる」

レン「ピト、さ」

そしてピトフーイは手に持ったナイフを振り下ろし、身動きできずに口を開いたレンの中へ刃を突き立てたのであった


――余談だが、雌雄を決したのは双方の意識の差にあったのかもしれない
レンはほぼリアルに近いこの京都において殺人を忌避し、ピトフーイを無力化するために傷つけることはしても命を奪うつもりはなかった
加えて環境の違いもあり戦闘中において発露する攻撃性も薄らいでいたのだろう
対してピトフーイは聖杯戦争というデスゲームを肯定し、戦いの末に聖杯戦争の参加者を殺すことも厭わなかった
人を殺める覚悟の違いがあるがゆえに、GGOとは違った結末を迎えるのであった

【レン@ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン(アニメ版) 死亡】

3565名無しさん:2025/04/20(日) 04:18:47
>>3560
眩い光が夜の闇を引き裂く
太歳星君に向けて放たれた膨大な魔力は対象物の背後にあった二の丸本殿すら飲み込み、射線上にあった全てを消滅させた
オーバーキルされてしまった太歳星君は視肉を全て消費して更地の中から復活を遂げるが、もうこれで後がなくなった

「…くくく、あはははは!星の内海にて鍛えられた神造兵装!その輝きをこの身で受けようとは!」

「面白い…!もっと僕を楽しませろ、アーサー・ペンドラゴン!それにソリテールや神に挑もうとする英傑達よ!」

「まとめてかかってこい!ここからは一撃も食らわん、技術戦を見せてやろう……!」

※視肉を全て消費しました。ここからは陰陽術を解放し、さらに『族滅の化身』となって戦う可能性があります

3566名無しさん:2025/04/20(日) 04:19:54
>>3564
名護さん「レンくん!!」

レンの死に、名護さんが叫び声をあげる
彼女は自分が元の世界に戻そうとしてたマスターだ。
そしてピトフーイと仲が良いとも聞いていた

レン『名護さん。私、絶対にピトさんを止めるよ。こんな殺し合いは絶対に間違ってるから!』

――ピトフーイに挑む前にレンはそう口にしていた。
彼女はピトフーイのことを想っていたし、聖杯戦争に否定的だった。
そんな少女が、命を落とした。

ピトフーイとレンは仲が良いと聞いていたのに――ピトフーイは容赦なくレンを殺した。

そして名護さんは正義感が非常に強い。それゆえに父親を自殺に追い込んだこともある(キバ本編でそういう描写はないが、そういう設定がある)

今の名護さんは音也から遊び心を教わり、そういう危険思想ではなくなったが――ピトフーイがレンを殺したという事実が。
殺人鬼が善良な少女を殺したということが――名護さんの正義感を熱く滾らせる

名護さん「ピトフーイ、李書文!貴様らだけは、許さん!」

――瞬間、名護さんはライジングイクサになった。
いきなり目の前のサーヴァントの姿が変わり、李書文は笑い――ライジングイクサはイクサカリバーで猛攻を仕掛ける。

こういう時の名護さんは、異様に強い。それこそ格上の敵――ビショップを殺したように。

凄まじい覇気で攻撃を仕掛ける名護さんに李書文は押され気味になり――しかし眼前の強者に口角を上げると同時にその勢いに吹っ飛ばされる。
すぐに起き上がる李書文。

――だが次の瞬間、ライジングイクサは急にバックステップした

名護さん「ピトフーイ!」

レンによってナイフが刺さり、出血多量で意識が朦朧とするピトフーイ。
そんな彼女の眼前にライジングイクサがやってきた。

ピトフーイ「レンちゃんが死んだ後はサーヴァントか!そういうのもいいわね!本当は私がやり合いたいところだけど――」

――いきなりサーヴァントが自分を狙ってきた。絶体絶命の状況だ。
されどもピトフーイは笑う。彼女は狂人であるがゆえに。
ここで死ぬならば、本望。
しかし残念ながらサーヴァントには現代兵器が通用しない。
眼前の相手と全力でやり合えないことに落胆しつつ、この状況を打開する策は既に思い付く。

名護さん「魑魅魍魎跋扈するこの地獄変……俺がここにいる。――ピトフーイ!その命、神に返しなさい!」

名護さんがマスター狙いだと理解した李書文が走る。おそらく間に合わないが。
しかし令呪を使えば瞬時にワープ出来るだろう。きっとそれをピトフーイも理解してるはずだ。

ピトフーイ「令呪をもって――」
名護さん「――天魔覆滅!」

――イクサカリバーがピトフーイの身体を斬り裂いた。
ピトフーイは令呪で李書文を呼び寄せる算段だったが、至近距離の名護さんが令呪で命令を言い終えるよりも早く行動したのだ

ピトフーイ「か、は!流石は……レンちゃんのサーヴァントね……」

その言葉を最期にピトフーイは命を落とし、マスターを失い単独行動スキルも持たない李書文も消滅する。

ピトフーイは最期の瞬間まで満足気だったが、李書文は決着をつけられなかったことを惜しむような表情で。

名護さん「……すまない、レンくん。だがピトフーイという殺人鬼を止めるには、これしか手段がなかった」

――この決着は、ピトフーイと名護さんの性格が招いた結果だ。
名護さんは悪人を決して許さない。殺人鬼ならば尚更だ。
レンがピトフーイを止めていたら。ピトフーイが止まっていたら結果はまた違っただろう。
しかしレンが殺害された瞬間、名護さんの正義感と怒りが爆発。
正々堂々とした戦いから、殺人鬼を断罪するための戦に変化した。

――相手が殺人鬼ならば、マスターだろうと容赦なく殺す。
レンが止められなかった分まで。
レンはきっとこの結果を不満に思うだろうが……名護さんはピトフーイを許せなかった。

ゆえにマスター狙いという戦法を行ったのだ
しかしピトフーイに悔いはない。むしろこういう戦いを望んでいたのだから。

……ピトフーイという狂人に召喚された李書文はある意味、運が悪かったのかもしれない。
気の合う相手ではあったが、彼女の性格がこんな結果を招いたのだから。

【ピトフーイ@ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン(アニメ版) 死亡】
【李書文@Fate/Grand Order 消滅】

3567名無しさん:2025/04/20(日) 04:24:37
>>3558
自己利益と保身のために今の契約者を蔑ろにしてイニシアチブとり続けたディエゴにツケが回ってきた
本来であればマスターと交流し相互理解を深めることで意識の違いから生まれる齟齬を埋めるべきところをこの主従は行わなかったがゆえに、アズラエルの不信感を募らせてしまった
だから二条城を目前にした段階で戦いの気配を感じて様子見し始めたディエゴの背後にいて、アズラエルは片手を掲げて呪言を発した

アズラエル「令呪で命じる、嘘偽りなく僕の質問に答えその真意を教えろ、ライダー」

ディエゴ「なにっ!!」

不意打ちを食らってしまったディエゴは一瞬固まってしまい、すかさずメアリーをここまで連れてきた理由をアズラエルに問われてしまい、令呪の強制力もあり今まで隠してきた本心を語ってしまった

3568名無しさん:2025/04/20(日) 09:39:29
>>3567
ちなみにこの時、アズラエルはもう片方の手に銃を構えてたんだよね
ディエゴの回答次第ではメアリーの処分を考慮していたから
そしてディエゴの本心を知ったアズラエルはぶちギレてメアリーへ発砲
メアリーは最後の力を振り絞り、憎悪を爆発させて隠し持っていたパレットナイフでアズラエルを突き刺すが、それが限界でこの世を去った……

しかしアズラエルはまだ生きている。
息絶え絶えだったメアリーが正確に彼の胸や心臓、頭を狙えるはずもなく……パレットナイフによる一撃は彼の左脚に刺さったからだ。
激痛が走り絶叫するアズラエルだが、ただそれだけ。
今後の行動に支障をきたす可能性はあるがディエゴの肩を借りれば歩けるし、そもそもアズラエルは別に彼自身が強いというわけでもない。

……結局、この段階ではメアリーの復讐は失敗に終わったのだ。もしかしたら今後それが原因でアズラエルが痛い目を見るかもしれないが、それは現段階ではわからず。
しかし突き刺した時には既に意識が朦朧としていたメアリーは彼を殺せたと錯覚して多少は復讐心を満たせたのが、ある意味救いである。

そしてアズラエルの行動に苛立つディエゴだが、令呪がまだあり、メアリーという替えのマスターを失った以上、彼を裏切ることは出来ない
そしてディエゴがどれだけ危険なサーヴァントか改めて知ったアズラエルはディエゴ同様、彼に対して苛立ちを募らせるが……サーヴァントを失いたくないので自害はさせず我慢する

そしてディエゴに不審感を募らせたアズラエルは更に令呪を使用して、ディエゴに自分に従うように命令した
これでディエゴはもう何があっても、彼に従う他ない

アズラエルはディエゴに肩を借りながらも、二条城へ入った

【メアリー@Ib 死亡】

※アズラエルが令呪を使用しました。残り1画です

3569名無しさん:2025/04/20(日) 09:43:16
(伊織がどういう対応をしたかどうかは他の人に任せます)

>>3565
アルトリア「おそらくキャスターはこれから本気を出してきます!イオリとシロウは後ろに下がってください!」

美遊兄「俺にアスナの仇を討たせるなっていうことか!?セイバー!」

アルトリア「冷静になってください、シロウ!あなたはマスターの中では確かに強いかもしれませんが、キャスターはサーヴァントの中でも特別強い相手だ!それが本気を出したら、もうサーヴァント以外が戦うのは危険です!」

美遊兄「だが……!」

アルトリア「先程の話、少し聞こえましたよ。ユウキという存在を守るとあなたは言ったはずです!ならば無謀なことはやめてください!」

美遊兄「くっ……!わかった……!」

美遊兄は悔しそうな声を出しながらも戦闘をやめて、下がった。
そんな美遊兄にキリトが声を掛ける

キリト「お前の悔しさは、俺にもわかる。俺も戦って、アスナの仇を取りたい……!でもあそこはもう、サーヴァント以外が介入出来る戦場じゃないんだ!」

キリトは美遊兄同様、悔しさで拳を握り締める。
SAOの英雄といえども、今は戦いを見ていることしか出来ない。
大切な存在であるアスナを失ったのにアリス達に託すしか出来ない。

3570名無しさん:2025/04/20(日) 11:27:08
太歳星君はソリテールに呪縛呪を使い、彼女の動きを封じる
数多のメンバーから彼女を選んだことには理由がある。

まず、マスター達は論外だ。彼らが戦うのは面白いが当然サーヴァント達には劣るし、優先順位は落ちる
ゆえに必然的にサーヴァントの中から選ぶことになるが、呪縛呪の対象は対魔力を持たない相手が好ましい
そしてこの中で対魔力を持たないのはアサシンであるソリテールのみ

ソリテールのことは以前会話した時点で興味があったし、彼女を試す意味でも使った

ソリテール「え……?」

いきなり肉体が動かなくなったことに流石のソリテールも動揺する

そして動けなくなったソリテールに消滅の凶星を使い、掌に凶星を配置して掌打と一緒に凶星も叩き込む

致命傷という程じゃないが、いきなり大きなダメージを受けたソリテールに蓮子は動揺した

3571代理投下:2025/04/20(日) 12:09:07
>>3569
アズラエルの発砲音を近くにいたカブキ達がきいていたんだよね

3572名無しさん:2025/04/20(日) 12:24:03
>>3570
「ん? ああそうか、霊地の奪取か。力が少し落ちてしまっていたな」

魔力の防壁により致命傷を避けたソリテールの様子を見て自身の弱体化に気付き、同時に各地の霊地が奪われ始めてるのを感じた太歳星君
おそらく別行動で動いていた主従だろう、自身の真名からあの戦いを参考にしたとでもいったところだろうか。
そんなことを考えながら彼は令呪の存在を思い出した。

(このままでも構わないが、せっかくあるものを使わんのも癪だ。一つ切らせるか)

『シロッコ、令呪一画で凶星の精度を上げろ。ここからさらに縛りを外すぞ』

視界共有で戦いを見ていたシロッコは太歳星君から指示を受ける
興が乗り始めた太歳星君がここからさらにギアを上げ、更に戦いが激しくなることをシロッコは察する

『第3の宝具はまだ使わないのかね?』

『アレは僕の身体が削られてからだ、まだ早い』

『よかろう、令呪を以て命ずる。神の御業、存分に見せるがいい』

令呪により太歳星君の消滅の凶星が先ほどより圧縮速度が増していく。
さらに縛っていた陰陽術を解放し、存思と手印で自身にバフをかける。

「どうやら霊地が取られたらしいな、まあこの程度は織り込み済みだ。気張れよ、ここからはタダでは済まんからな」

3573名無しさん:2025/04/20(日) 16:59:22
>>3572

「ふうん、令呪まで使ったのね。もう"これ"で防ぐのは無理かしら」 

自身の身体を――正確には身に纏う魔力の防壁を撫でながら呟くソリテール。衣類はズタズタになり出血しながらも、貼り付けたような笑みは変わらない

「真っ先に狙われるなんて何か恨みを買うようなことでもしたかしら?」

わざとらしく肩を竦めながら苦笑するソリテールに太歳星君も嗤いながら返した

「何、霊地の礼をしてやったまでだ。お前達の入れ知恵だろう?」

「さて何のことやら」

「それにお前も騎士王と同じく楽しめそうだ。この地に集ったサーヴァントの中で最も血の匂いが濃いしな」

「あら、それは見込み違いね。私は人間の研究が好きなだけの『平和主義者』なのに」

「ならもう少し上手く魂に染み付いた血の匂いを隠すことだな。分かる奴にはすぐ分かるぞ!」

言うや否や再びソリテールに襲いかかる太歳星君。周囲には令呪により輝きを強めた消滅の凶星を星座の如く展開している

「『流星群』」

太歳星君の号令とともに無数の凶星が弾幕となり、ソリテールに襲いかかった。ソリテールもまた剣の弾幕で対抗するが、尽く打ち負け砕け散る。高速で飛行し弾幕を回避するが避けきれなかった一発がソリテールの顔面に迫った

「ふふっ、危ない危ない」

衝突音が響くが、ソリテールは手から血を流しながらも無事。彼女の身を護ったのは手に纏わせた超高密度の魔力の盾だ。普段戦闘時に全身に纏っている魔力の防壁と異なりその都度手動で防御する必要があるが、その防御力は折り紙付き。かつて戦ったフリーレン達ですらこの護りの上からソリテールにダメージを与えることが出来なかった
ソリテールとて魔王軍最強の一角と同格の実力者。凶神相手とて易々と斃されるつもりはない

「やるものだなソリテール!だがこれでも己を護りきれるか?」

如何に強力な防護であろうと"手動"による防御、ソリテール自身の身動きが取れなければ発動できない
太歳星君は再び『呪縛呪』をソリテールにかけ動きを封じ、同時に接近。先のように凶星を叩き込まんとする

「させるかッ!」

しかし、間一髪の所でソリテールは呪縛から脱した。アルトリアが跳躍し横合いから太歳星君を切りつけたのである
陰陽術が誇る護身法『六壬神課』による予知で斬撃で回避する太歳星君だが、護身法は一度に使える術は一つのみ。故にソリテールの束縛を解除せざるを得なかった

「我々がいる事を忘れるな!」

アルトリアとアリス、二人の女騎士が並び立つ
何とか消滅の危機を免れたソリテールに小声でアルトリアが耳打ちした

「……アサシン、あの時の狼藉について敢えて今は問うまい。だが、あの凶神を滅ぼしたら覚悟しておけ」

「これまた何のことやらさっぱりだけど、どうぞご自由に。最もお互い生きてたらだけどね」

アルトリアはソリテールの攻撃方法からこの聖杯戦争の序盤に不意打ちで攻撃を仕掛けてきたサーヴァントの正体が彼女であることを看破していた
本音を言えばそんな者と肩を並べて共闘などしたくはないが、今は四の五の言ってられない
太歳星君を前に内輪揉めなどしていたら瞬く間に全滅するからだ

一方でマスター達もまた、己がすべきことを模索する。戦う力を持ったものもいるが既に戦闘は自分達が直接介入できる領域を超えている
――ならば、マスターとしてサーヴァントにしてやれることは一つだけ

お互いの顔を見合わせ、マスター達は頷き合った

「「「令呪を持って命ずる」」」

3574名無しさん:2025/04/20(日) 17:02:48
>>3573(途中で切れてしまったので残りを投下)

「勝利しろ、セイバー!!」
「太歳星君を討て、ライダー!!」
「全力で神様を倒して、アサシン!!」

伊織、キリト、蓮子三者の令呪が一斉に輝き、各々のサーヴァントに活力を与える。太歳星君は霊地を失い、互いに令呪を一画使用。これでサーヴァントの条件は五分である
さらに激しさを増す死合いに太歳星君は口が裂けんばかりの笑みを浮かべた

「さあ来い!僕を失望させてくれるなよ!!」

3575名無しさん:2025/04/20(日) 20:13:58
(ちょっとした補完)
>>3520、>3527
ここで太牙の話から舞衣が14歳だった事を知るカブキ
(たしか…明日夢もそれくらいの年頃だったな。……その舞衣ってマスターも…まだ子どもだったじゃねえか……!)
とキャスター・太歳星君へ憤りを抱いてたね
聞かされたアタランテも
「…そうか。あの神を名乗るキャスターは……子供を……!!」
と怒りを隠さず、それもあって討伐へのモチベは高かった
アタランテについては元々神話の時代の英霊だが、聖杯から得た現代知識もあって舞衣がまだ子供と分類出来る年だと判断している

3576名無しさん:2025/04/20(日) 20:14:32
(こちらもちょっとした補完)
>>3544後、>>3548の時に太牙に舞衣について聞いたりもしてるんだよね夏油は
>>3411の時に会い少し話はしたものの、少しだけなのもあり>>3538で触れた通りよくわからなかった、強いて言うなら聡明さを持った少女だというくらい…という認識だったけど、諸々の話を聞いて
「…もし彼女が生きていれば、きっと対立する事になっていただろうね」
的に称しながらも、だとしても術師やそれに類する存在だったと思われる彼女を殺した太歳星君は倒さなければと、そうリベンジの決意を更に固めていた

玉藻(念話)『ご主人様、心なしかあの激ヤバキャスターへのリベンジを志してからの方が…なんと言いますかこう、イケメン度が上がっているように思えるのですが…元からイケメン魂ではありますが』
夏油『そうかな。…合理的に考えればだ、リベンジなどせず視に回った方がいいんだろうけど…失望したかい?キャスター』
玉藻(念話)『いえいえ全く!この良妻玉藻、ご主人さまの選択にとやかく言うつもりはありませんとも』
夏油『だから私は君を妻にした覚えはないんだが…』

3577名無しさん:2025/04/21(月) 04:24:26
>>3571
マヤ「何か銃音みたいなものが聞こえたけど、聞き間違いかな?」

ザンキ「いや、聞き間違いじゃないな。俺にも確かに聞こえた」

カブキ「俺にも聞こえたぜ。何があったんだ……?」

夏油「私にも理由はわからないが、誰かが誰かを襲ったのは確実だろうな」

マヤ「それ、かなりヤバい状況じゃん!みんな、なんでそんなに冷静なの!?」

ザンキ「マヤ。残酷だが聖杯戦争とはそういうものだ」

カブキ「子供のマヤにはわかんねえかもしれねぇが、これは他人が他人を蹴落とす戦いだからなァ。マスターが他のマスターを狙った可能性もあるぜ」

夏油(やれやれ。本当にマヤちゃんは、昔の私と少し重なるな――)

夏油「マヤちゃん。授業でも言った通り、世界は意外と残酷なんだ。まあでも――急いだ方がいいのかな」

マヤ「そうだよ、夏油先生!誰かが襲われてるなら助けなきゃ!それが鬼の使命だよね、師匠!カブキ!」

ザンキ「フッ……。そうだな、マヤ。お前の言う通りだ」

カブキ「そうだなァ。誰かが襲われてるなら――鬼として守らなきゃなァ!」

マヤとザンキは純粋な正義感で。
カブキとアタランテは子供が襲われた可能性を考慮して、守るために。
夏油はもしも術師が襲われているならば、保護して相手を倒すために。玉藻は夏油が好きだから。

そして太牙は――

太牙「マヤ。お前はまだ子供なのに、立派だな」

マヤの言動に、彼女に渡を重ねる。
渡もきっとこの状況なら急ぐはずだ。

それぞれの想いを胸に走り出すが、彼らが見たのは残酷な光景だった。

マヤ「そん、な……」

ザンキ「……間に合わなかったか」

カブキ「くそっ!」

そこにあったのはメアリーの死体。
血溜まりの中に、彼女の死体が放置されていた。

あまりにも残酷な光景にマヤは言葉を失い。
鬼としての使命を果たせず、間に合わなかったザンキは悔しさを滲ませ。
子供が殺されたことにカブキは心の底から怒り、やり場のないその気持ちを地面を殴ることでぶつけ。アタランテも子供の死に怒りがこみ上げる。

太牙「また俺は、守れなかったのか……」

真衣に次いで、またもや守れなかった。
もっとも今回は見知らぬ子供だが――渡の影響を受け、多少は正義感が強くなっている太牙は目の前の死体に何も思わないでもない。

マヤ「で、でもまだ生きてるかもしれないよ!」

動揺しながらもマヤはメアリーの死体を揺さぶる
死体に近寄るために血溜まりの中に入り、嫌な感触がしたが――グッと我慢する。

しかしメアリーの死体は揺らせば揺らすほど、血を流すばかり。
当然だ。彼女は死んでいるのだから。

ザンキ「マヤ、残念だがこいつは死んでる……」

マヤ「じゃあ私達はこの子を守れなかったの……?そんなの、嫌だよ!」

夏油「……私達は最善を尽くしたが、間に合わなかった。この世界は残酷で、聖杯戦争の過酷だ。……だからこれが現実さ、マヤちゃん」

マヤ「みんな……。私、悔しいよ!せっかく鬼として修行したり、呪術師になるために頑張ったのに……この子を守れなかった!それがすごく、悔しいよ!!」

自分の無力さを嘆くマヤ。
その悔しさはザンキにも、カブキにも、アタランテにも、太牙にもよく伝わってきた。

そして――誰よりもその悔しさを理解出来たのは、皮肉にも非術師の殲滅のために行動してきた夏油だった。
彼も元々はマヤのように善良な性格だった。呪術師として、人々を守るために活動していた時期もあった。
ゆえに夏油こそが一番マヤの気持ちがわかる

3578名無しさん:2025/04/21(月) 04:25:14
>>3577
夏油「マヤちゃんの悔しさは、よくわかるよ。私もマヤちゃんのような思想の時期があったからね。だからその悲しさを知る者としてあえて言わせてもらう。
――マヤちゃんは、その苦しみに負けないでくれ」

――マヤが非術師を憎めば、おそらく自分と似たような思想になるだろう。そうしたら仲間が増える。そのメリットを理解しながらも、されども――マヤには自分のようになってほしくない。
それは生前の夏油ならばあまりにも〝らしくない〟考え方だ。
しかし五条が最期に心の底から笑わせてくれたから。
そして紆余曲折の末に、何故だか昔の正義感でも多少は取り戻したというのだろうか?

その理由は定かではない。
しかし夏油は、マヤに昔の自分を重ねて、今の自分のようになってほしくないと思った

夏油(まったく……私も焼きが回ったかな)

マヤ「……うん。夏油先生が言ってた通り、この世界が残酷なことはよくわかった。でも私は、その苦しみに負けない。負けたくないよ……!」

世界の残酷さを知った。聖杯戦争の過酷さをよく理解した。
それでも負けたくないと。人々を守り続けたいとマヤは改めて決意するが――溢れ出る悔し涙は止まらず。
マヤのことをそっとアタランテは抱き寄せた。

アタランテ「……強いな、マヤ。私にはこれくらいしか出来ないが……無理して気丈に振る舞う必要はないからな……」

マヤ「……ありがとう、アーチャー」

そしてマヤはアタランテの胸で、いっぱい泣いた。
鬼の修行をしたと言えども、まだ中学生の子供だ。それにずっと日常を生き抜いてきたマヤにはこの光景はショッキングだし、鬼として強くなったからこそ守れなかったことが悔しいし、辛い。
そんな色々な感情がごちゃ混ぜになって、それでも気丈に振る舞おうとしたけど、やっぱりキツいのだ。

だからアタランテが抱き寄せてくれたことは、マヤには素直に嬉しかった。その優しい言葉も。
だからマヤはいっぱい泣いた

マヤ「私……絶対にもっと強くなるから。立派な鬼になるから……!でも……助けられなくて、ごめん。ごめん……!」

ザンキ「……マヤ。お前はもう立派な鬼だ。……鬼でも泣くことはある」

カブキ「ああ、そうだなぁ。鬼でも泣く時は泣くもんだ」

夏油「……マヤちゃん。君は君のまま、強くなればいいよ」

3579名無しさん:2025/04/21(月) 04:38:28
>>3574
アリス(キリト。私はあなたに救われた身です。だからあなたが望むならば――このキャスターを倒してみせます!)

アリス「武装完全支配術(エンハンス・アーマメント)!」

それはアリスの宝具、金木犀の剣を用いて使う必殺技だ。
宝具由来の必殺技ゆえに魔力もかなり消耗する。
だからこれまで使用は控えていたのだが――キリトが令呪を使った今こそがチャンスであり、なによりキリトとアリスは聖杯戦争になる前からの友人ゆえに。そして共に戦い抜き、UWを救ってくれたキリトに恩義があるゆえに。
彼女はこの瞬間、全力を出す

金木犀の剣の刀身が黄金色の幾千もの花びらに変わり、太歳星君へぶつける!

アルトリア(宝具の連発は危険ですが、状況が状況だ。それにこのキャスターを倒すなら、今この瞬間しかない!)

そう決意した彼女に――よく知った声が聞こえていた

美遊兄「がんばれ、セイバー!」

アルトリア「フッ……。やはりシロウはシロウですね」

彼の行動が自分のよく知る衛宮士郎と重なり、僅かに笑う。
伊織と士郎。この二人を守るためにも。そして危険なキャスターを討伐するためにも、宝具を使う
先程使ったばかりゆえ、伊織にはかなりの負担を強いるだろうが――彼は令呪を使ってまで勝利を望んだ。

ならば――遠慮する必要はないだろう

アルトリア「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!」

そして攻撃的な宝具を持たないソリテールだが、かなりの魔力を消耗することを理解した上で高密度の魔力を太歳星君へぶつけた!
全力と令呪で命令されたら全力を出さざるを得ないからこそ、必然的に大量の魔力を消耗することを知ってもなお全力を出す。隠し球だって使う。

そしてちょうどこの頃アズラエル組が到着。
凄まじい光景にアズラエルは僅かに動揺するも、勝利を確信した
アズラエルもディエゴも決して善人ではないが、この勝負には勝ってもらわなければ困る。勝たなければ困る。

ゆえに全員が宝具を放ち終えた瞬間――アズラエルは確実に仕留めるために令呪を使う。

アズラエル「令呪を以て命ずる。あのキャスターにトドメを刺せ、ライダー!」

令呪を全て使い果たすことになるが、2つ目の令呪によりディエゴはもうアズラエルに従うしかなくなった。
ゆえに裏切られるリスクも無くなり、死にたくないがゆえにこのチャンスを逃さないアズラエルではない

ディエゴ(より確実な『勝利』を欲するか、アズラエル。だがそれは俺も同じ気持ちだ。まさかお前と気が合う時が来るとはな)

凄まじい猛攻により、煙が発生してキャスターの姿こそ見えないが――そこにキャスターが居るのはわかっている。

ゆえにディエゴは宝具を使って時を止め、キャスターが余計なことをする前に確実にトドメを刺すことを選ぶ!この瞬間ばかりはアズラエルとディエゴ、奇遇にもどちらも同じ考えだった

ディエゴ「無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」

時の止まった世界で、大量にスタンドの拳をぶつける。いわゆる無駄無駄ラッシュ。
当然、全て命中したという感触はあった。ディエゴはこの瞬間、確実な勝利を確信して――時は再び動き出す

3580名無しさん:2025/04/21(月) 06:33:34
>>3573>>3574
ちょうどこの辺りでカズマ組とユウキ組が五箇所の霊地の奪還に成功したんだよね
お互いに連絡をとりあって作戦の成功を確認できたからそれぞれ二条城に向かうことにした
カズマ組は地獄兄弟が合流してから二条城に向かうから先にユウキ組が到着しそうだ

3581名無しさん:2025/04/21(月) 08:13:03
>>3579
一斉攻撃の寸前に太歳星君は「六壬神課」を使い、各騎の攻撃を予言視しつつアルトリアの『約束された勝利の剣』を回避する
数々の脅威を薙ぎ払ってきた聖剣の必殺技は先に受けている、視肉なしに受け止めるのはさすがの神霊でもひとたまりもないのでこれだけは確実に躱す
「六壬神課」を使い切ったところで、続いてはソリテールの高密度による魔力の攻撃を「一掃返し」で跳ね返した
本来は敵の呪いを数倍返しで跳ね返す呪い返しの法なのだが、聖杯戦争においては魔術的な攻撃にも適応していた(その代わり倍率は下がっている)
アリスの『金木犀の剣』による花吹雪は「披甲護身」で対処。神聖術という魔術に類するものであるため、霊的エネルギーでその身を守った
ただし呪いとは違うため完全防御とはいかず、多少は被弾して軽傷くらいは負っていた
そして遅れて放たれたディエゴの『THE・WORLD』に対しては「存思」による身体と回復を強化するバフを機能させて、スタンドによる無駄無駄ラッシュをその身で受けていた
先の「六壬神課」にてディエゴが時を止めて連続殴打をしてくるところまでは読んでいた、ゆえに太歳星君は肉体強化で耐えることを選択する
また時が動き出した後に備えて、ディエゴや他の英霊に追従するように設定した消滅の凶星を既に解き放っていた
そのため、時止めを連続して放つことができず時止め後の隙を突かれたディエゴは複数の凶星によってズタボロにされてしまう

3582名無しさん:2025/04/21(月) 09:29:15
>>3580
カズマ『ユウキ、アサシン兄、何個くらい終わった?』

ユウキ『ボク達は2つだよ!』

矢車さん『俺も2つだ……」

カズマ『俺達は1つだから……これで全部終わったのか?』

ユウキ『そうだね!じゃあボク達もお城を目指さなきゃ!』

カズマ『俺達はアサシン兄と合流するけど、ユウキはどうする?一緒に行った方が安全だと思うんだけど』

ユウキ『うーん。カズマの言いたいことはわかるんだけど、キリトや蓮子だけに無理させるわけには行かないし、ボク達は先に行くよ』

カズマ『お前ならそういうと思った。まあ俺達も出来る限り急いで行くから無理はするなよ?』

ユウキ『うん、わかったよ!』

そんなやり取りをスマホでしたんだよね
そしてカズマ組は念話で会話する

カズマ『影山、矢車。とりあえず俺達もなるべく急いだ方が良さそうだな』

影山『そうだな。他のみんなが心配だ』

矢車さん(他のサーヴァントが脱落したら有利になるが……今は相棒とカズマに合わせるか……)

矢車さん『ああ。俺も出来る限り急ぐとする……』

3583名無しさん:2025/04/21(月) 17:54:47
>>3581
ディエゴ「グハァアアア!ば、バカなァアアア……!」

複数の凶星をその身に受け、一瞬にして満身創痍になったディエゴ。
あまりにもわけのわからない展開と激痛に絶叫すると同時に、目を見開く。

キャスターはサーヴァント達による一斉攻撃を受けたし、その後に時を止めて安全に、確実に始末したはずだった。
なのに何故か相手は生きてる上に、ディエゴが致命傷を受けた。

あまりにも唐突にやってきた攻撃に対処するのが無理難題という話だし、そもそも時を止めれば相手は何も出来ないと思うのが必然だ。
ディエゴには何の非もない。ただ相手が規格外過ぎた、それだけだ。

しかし運の良いことにディエゴは吹っ飛ばされた場所は扉の付近だった。
『THE・WORLD』が通用しない規格外の存在など、勝ち目がない。
この場で取れる手段は逃走あるのみ。

ディエゴは急いで逃走するためにシルバー・バレットを呼び出し――乗ろうとするが、何故か急に動けなくなった

ディエゴ「これは、どういう――」

ディエゴが言い切る前に猛スピードで迫ってきた太歳星君が掌に凶星を配置して掌打と一緒にディエゴへ凶星を叩き込む。
せっかく楽しい状況なのだ。逃がす気はない。
だから逃走なんてつまらない行為をしようとしたディエゴの動きを呪縛呪で止め、存思で身体能力を上げて猛スピードで迫り、『消滅の凶星』を即座にぶつけた

それがトドメの一撃となり、ディエゴは驚愕しながらも消滅する

他のアリス、アルトリア、ソリテールも消滅の凶星の直撃を受け、ダメージを受けたがゆえに誰も咄嗟に動けなかった間の惨劇である

ディエゴを失ったアズラエルの絶叫が響く……

【ディエゴ・ブランドー(並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティール・ボール・ラン 消滅】

3584名無しさん:2025/04/21(月) 18:34:02
>>3583
サーヴァントを失ったアズラエルは半ば錯乱しながらその場から逃げ出した
それに太歳星君は追撃をかけずに放って置く。サーヴァントならいざ知らず力無きマスター一人どうでもよいからだ
だがアズラエルは諦めた訳では無い。そもそも逃げた所で京都にいる限り太歳星君による祟りからは逃れられない

彼の狙いはキャスターのマスターの殺害。あわよくばキャスターとの再契約である。マスターさえ殺せれば如何に強力なサーヴァントも長時間の現界は不可能、首尾よく強力なキャスターの力が手に入れば聖杯の獲得も確実だと見込んでの行動だった
皮肉にもアズラエルは先程までディエゴが企んでいたことと同様の策に縋ろうとしていた

3585名無しさん:2025/04/21(月) 18:53:34
>>3584
アズラエル、メアリーから左脚を刺されたこともあって走ることに支障があるんだけど脱走する時は生への執着心と恐怖心がアズラエルの身体を突き動かしたんだよね
だからその道中でコケたりするけどそれでもなんとかその場から逃げ出すことには成功した
ただやっぱり左脚の負傷のせいで動きは普段より鈍いからここにきてメアリーの復讐が効いてきている
アズラエルはメアリーと彼女を早急に処分しなかったディエゴを怨むのだった

3586名無しさん:2025/04/21(月) 21:53:16
アズラエルを見逃した太歳星君だけど念のために一人マスターが逃げ出したことをシロッコに念話で伝える
そのマスター(アズラエル)が既にサーヴァントを失い大して脅威にならないことも同時に教えた

そして必死にキャスターのマスターを探すアズラエルだが、そんな彼は偶然シロッコは見付ける
なにやら謎の存在(十二神将)を従わせているから何らかのサーヴァントのマスターであることを察し、銃を構えるとシロッコにキャスターのサーヴァントか問い掛ける

するとシロッコは何ら銃に臆することなく、アズラエルのことを彼が太歳星君の話していた相手だと察すると自分こそがキャスターのマスターだと答えた

3587名無しさん:2025/04/21(月) 21:56:12
>>3583

「今のは効いたぞ…有言実行を阻止されたのはこれで二度目だな」

サーヴァント四騎もの総攻撃を凌がれたことに驚愕するアルトリア達。だが、太歳星君とて無傷ではない。その身にはディエゴによる無数の拳痕をはじめとした大小様々な傷が刻まれ、陰陽術の構えの動作が目に見えて遅くなっている。決して少なくないダメージを負っているのだ

「褒美に痛みなく消してやろう。誰から逝きたい?」

しかし、アルトリア達の消耗はそれ以上。各々の最大の攻撃による魔力消費に加えて太歳星君の反撃によるダメージ。万全であれば負傷により弱体化した陰陽術の間隙を突くことが出来ただろうが今のアルトリア達の体力ではそれも困難。迫る太歳星君にもはやこれまでかと思われたその時――

「真打ち遅れて参上!有象無象はそこのけそこのけ良妻狐が通る!選手交代の時間ですよ!!」
「やあ、まだまだ元気そうで安心したよキャスター。危うくリベンジの機会がなくなるかと冷や冷やしていた所さ」

「何時ぞやの呪術師と女狐か。それにあの女狩人に鎧のアサシンまで…どうやらまだまだ楽しめそうだな?」

――新たな一団、夏油達をはじめとした主従が戦場に馳せ参じた
太歳星君が気を取られた隙にアルトリア達は僅かでも体力の回復に努めるため一端マスター達の所まで退く
役者を入れ替え凶神との戦いは新たな局面を迎えようとしていた

3588名無しさん:2025/04/21(月) 23:56:39
>>3587
夏油「ところでキャスター、以前君に奪われた音叉をそこの彼に返してくれないかな」

夏油はカブキを指さしながら、太歳星君にそう言った。
太歳星君の性格を考慮して、彼なら元の持ち主を知れば返してくれると判断しての行動だ

そして夏油の読み通り、太歳星君はカブキに音叉を返した
本気を出した太歳星君の前ではマスターは戦力外だが、それでも何らかの理由でマスターが死亡してそのサーヴァントまで脱落するのは萎える。それを防ぐためにもマスター達には万全の状態でいてくれねばならない

カブキ「よっしゃ!これで鬼に変身出来るぜ!」
マヤ「良かったね、カブキ!」

ザンキ「だが先にあいつと戦ってた奴らの話では、もうマスターでどうにかなる強さじゃないらしい。……お前達は下がってろ」

マヤ「そんな……やっと私、一人前の鬼になれたのに!」

ザンキ「マヤ。たしかにお前は一人前の鬼になったけどな、これは俺達サーヴァントの戦いだ。――とりあえず俺の戦いを見て〝鬼の戦い方〟を学べ」

カブキ「俺も一流の鬼って自信はあるが……ここは下がるぞ、マヤ。俺達マスターが死ねばサーヴァントも消滅する。死なないことも、マスターとしての立派な仕事だァ」

マヤ「……わかったよ。師匠、カブキ」

そしてカブキとマヤは下がる。

夏油『相手のキャスターは魔法を使うと逆に危ないらしい。さて、どうするかな……』

警告ついでに玉藻に念話を送りながら、夏油は思考する。
自分も戦うべきか否か。当初は自分も戦う予定だったが、相手はあまりにも規格外。玉藻達サーヴァントに一任するという手もあるが、とりあえずキャスターを見付けたら言っておきたいことがあったので先に口に出しておく。

夏油「待たせたね、キャスター。ここからは私達の――リベンジだ」

3589名無しさん:2025/04/22(火) 06:41:25
>>3587
一旦身を引いた3騎の内、ソリテールが一番ボロボロな状態であった
様々な魔法を学んだ探求の果てに編み出した魔力をぶつけるだけの単純な魔法、最上位の魔法使いであるフリーレンすら防げない自己最強の魔法を「一掃返し」によって跳ね返されてしまい傷を負ってしまったのだ
その上で消滅の凶星による追撃もあり、幾らかは防いだものの全身至る処が赤く染み出ていた
唯一幸いなことは、その攻撃が呪いではなかったため「一掃返し」が数倍返しではなかったこと。もし本来の効力であったならばソリテールは脱落していたのかもしれない

「ソリテール、大丈夫!?」
「えぇ、これくらいならまだ戦えるわ。以前に魔法使いのエルフと殺し合いをした時にも負傷を気にする暇もないくらいに戦い続けたこともあるし」
「でも、さすがに見ていられない…今、令呪を使って回復してあげるから」

蓮子はさらに令呪一画を消費してソリテールの傷を癒やすように願い、一番深手だったソリテールはある程度回復することができた

「ありがとう、マスター。もう少し様子見してから、彼らと共闘して太歳星君に挑んでみる」
「…ねぇ、ソリテール」

「さっきセイバーが言っていた狼藉、ってなんのこと?」

3590名無しさん:2025/04/22(火) 08:30:15
>>3523をベースにしつつ、太歳星君が縛りによって「一掃返し」を使わず、単純に力比べで玉藻の前が押し負けた、という展開に修正した内容です)

選手交代とばかりにザンキ達が前に出てアルトリア達が後退する最中、ソリテールが玉藻の前に向けて声を掛けてきた

「いいことを教えてあげる。相手は太歳星君、私の魔法を跳ね返す術を使ってきたから、貴方も気を付けることね、獣耳のキャスター」

「…はい?太歳星君、ですって!それはマジヤバな情報なんですけど!」

これを機にキャスターの真名を知らなかったカブキ達にも伝わり、これから挑もうとするザンキ・太牙・アタランテも戦慄する
特に玉藻の前にとっては衝撃的だ。祟りの凶神にして陰陽術の祖、あの暗黒イケモンこと安倍晴明すら小僧扱いできるほどの大物である
英霊化して本来よりは弱体化しているとはいえその身に纏う膨大な霊力は本物であることを示している
ソリテールの情報からして自分との相性は最悪、馬鹿正直に正面から殴り合っても勝ち目がない
だから玉藻の前はサポートに徹することを決める

「ええい、見知らぬ英霊ばかりですが今回ばかりの大出血サービス!貴方達が全力で戦えるように、私の宝具をお見せします!だから、死に物狂いで星神に勝ちなさい!」


 ここは我が国、神の国、水は潤い、実り豊かな中津国

 国がうつほに水注ぎ、高天巡り、黄泉巡り、巡り巡りて水天日光

 我が照らす。豊葦原瑞穂国、八尋の輪に輪をかけて、これぞ九重、天照らす……!

 『水天日光天照八野鎮石』


開帳された宝具より常世の理を遮断する結界を展開し、呪力行使コストをなくし、あるいは無限の魔力供給を行う
魂と生命力を活性化させる力でもって、数ターンの間だけ太歳星君に立ち向かう英霊達に効力をもたらした


※今回は『水天日光天照八野鎮石』の効果を「数ターン継続のHP回復&魔力回復(ただし宝具連発を補えるほどの魔力回復はない)」という風にしてみます

※それと『水天日光天照八野鎮石』には「戦闘では飛ばして相手に叩き付ける事で攻撃する」「あらゆる宝具による攻撃や魔術をも軽減する障壁を発生させる事も出来る」という効果もあるそうです。(自分はEXTRA未プレイなのでそれらの効果は未把握です、場合によってはこの部分はなしにします)

3591名無しさん:2025/04/22(火) 15:07:54
>>3586
サーヴァントを失ったマスターなど取るに足らない存在だ。ゆえにシロッコは不遜な態度を隠さない
それがアズラエルを苛つかせる。相手は謎の存在を従えているが、ここで殺すしか自分の生きる道がないことも自覚している。
仮に誰かがキャスターを討伐したとしても、サーヴァントを持たないマスターなど聖杯戦争では勝ち目がないからだ。それに幸いにも相手は謎の存在こそ従えているが、アズラエルには武器はない。対してアズラエルには銃がある

妙に決断力のあるアズラエルは迷うことなく銃を発砲する――が皮肉にもここで才能の差が出てくる

アズラエルの行動をニュータイプ能力で先読みしていたシロッコは余裕の態度を崩すことなく、十二神将の一人を用いて銃弾を防ぎ同時に他の十二神将達にはアズラエルを襲わせた

これが戦闘能力のあるマスターならともかく、アズラエルには拳銃しかない。当然だが拳銃なんかで十二神将に対抗出来るはずもなく、アズラエルはシロッコの見下すような視線を感じて苛立ち、憎悪しながらも、ひとまず逃げ出そうとする

しかしここで不幸にもメアリーの一撃で片脚を負傷していることが災いして情けなく転んでしまう
そんなアズラエルを十二神将達は容赦なく襲い、ディエゴとメアリーとシロッコを怨みながら呆気なく命を落とした

何の因果か、コーディネイターを憎悪するアズラエルがニュータイプ能力者のシロッコに殺されるという皮肉的な構図だった

こうして間接的にもメアリーの復讐は果たされたことになる

【ムルタ・アズラエル@機動戦士ガンダムSEED 死亡】

3592名無しさん:2025/04/22(火) 15:08:25
>>3589
ソリテールの真名は太歳星君が普通に真名で呼んでたせいでもう周囲にバレてるから蓮子も普通に真名で呼ぶようになったんだよね
更に畳み掛けるように蓮子はソリテールに問い詰める

蓮子「キャスターが言ってた最も血の匂いが濃いっていう言葉も気になる」

3593名無しさん:2025/04/22(火) 15:09:05
>>3566
名護さん(レンくんを殺されたが……この魔力尽きるまで、俺の聖杯戦争は終わらない)

ピトフーイを殺した名護さんは、少しの間、感傷に浸った後――走り出していた。

レンを殺されたことは名護さんにとって悲しいことだ。彼女を殺したピトフーイに対する怒りは今でも消えない。
だがそれ以上に正義感が昂る。今の名護さんを突き動かすのは、レンが残してくれた魔力と己が正義感。
そして――

レン『名護さん。私、絶対にピトさんを止めるよ。こんな殺し合いは絶対に間違ってるから!』

(レンくんはピトフーイを止めることこそ失敗したが、その信念は本物だった。ならば俺がするべきことは、レンくんの死を無駄にしないために――キャスターの野望を止めることだ。そうだろ?レンくん、渡くん――)

脳裏に浮かべるのはこの聖杯戦争で散った少女――レンと共に協力してファンガイアと戦ってきた心優しい男――紅渡だ。
レンは最期まで聖杯戦争に否定的だったし、渡ならば必ずキャスターの野望を止めてみせるだろう。

ゆえに身体中の全細胞を正義が焚き付け、名護啓介は走り出す

3594名無しさん:2025/04/22(火) 15:09:45
霊地を5つ奪えたこと
そして今、ユウキ組が向かっていること。カズマ組は地獄兄弟が合流した後に向かうことをキリトと蓮子はカズマとユウキの連絡で知った

キリト(ユウキ――)

キリトはアスナが消滅した時のことを思い出す。
アスナにとって大切な存在、ユウキ。アスナとユウキはとても仲が良かった。
……だからこそキリトは悩む。

キリト(俺はユウキに、アスナの死をなんて伝えたら良いんだ……!)

ユウキにはアスナがサーヴァントとして参加していたこと、そしてアスナはユウキのために戦っていたこと。
そしてアスナが消滅したことを……伝えねばならない。

だがなんて伝える?
自分が遅れなければ、アスナは死ぬことはなかったかもしれないのに。
それにユウキがアスナとすごく仲良くなったことを知ってるからこそ、キリトはユウキにアスナの死をなんて伝えたら良いのか悩んでいた

3595名無しさん:2025/04/23(水) 16:35:34
ザンキなんだけどマヤと絆が生まれた結果、固有スキルである師弟の絆の条件を満たして筋力、耐久、敏捷がワンランクアップしてるんだよね

3596名無しさん:2025/04/23(水) 16:36:47
>>3593
そうして太歳星君と他のサーヴァント達が居る場所に名護さんは辿り着いた
しかしレンが同行してないことに美遊兄は疑問を抱いた
……過去に聖杯戦争に参加した経験のあるアルトリアはその意味を察していたが。

アルトリア「レンはどうしたんだ?アーチャー。たしかお前のマスターだろ?」

名護さん「……レンくんは、ピトフーイに殺された。だがレンくんの想いは、正義は――俺が引き継ぐ」

美遊兄「アスナだけじゃなくてレンまで死んだのか……」

美遊兄はレンと関わりこそ薄い。
なんなら聖杯戦争の当初はマスター狙いを検討していたくらいだが、実際に面識ある善良な少女が命を散らしたと知ると表情が曇る。

本来、衛宮士郎とは心優しい男だ。
しかし妹の美遊を幸せにするためだけに自分の世界で聖杯戦争に参加し、様々なサーヴァントと戦ってきた。
悪になってもいいと、心を鬼にして。

だがいきなりルールの違う此度の聖杯戦争に巻き込まれた。
とりあえず此度の聖杯戦争でも心を鬼にして願いを叶えるつもりだった。
だからマスター狙いも視野に入れていたが……いざ元の世界に帰りたがっていて、それでもなお自分の友人を止めようとした勇敢な少女――レンの死には心を痛める。
ピトフーイのことはレンの話でだいたいわかってる。……だからこそ狂人のせいでレンが犠牲になったと思うと流石の美遊兄でもキツい。

美遊兄(もうレンは元の世界に帰ることすら出来ないんだな……。あいつはただ元の世界に帰りたがってただけなのに……それでも勇気を振り絞ってピトフーイに挑んだ。……俺みたいな悪人とは大違いだ)

アスナを失い、レンを殺された。

(アスナもレンも……最期までいい奴だったな)

アスナは最期までマスター狙いには否定的なまま、消滅した。
レンも正義感を胸に戦って命を散らしたことは名護さんの様子を見ればわかる。

(正義、か――)

その言葉は、衛宮士郎にとって特別なもので。
しかし美遊を幸せにするためならと――切り捨てたはずのものだ。

美遊兄「アーチャー、俺にはどうしても叶えたい願いがある。……そのためならマスターを狙うことも厭わないつもりだったけど、考えが少し変わったよ。
レンみたいな善良なマスターは襲わない。だから――身勝手な頼みだと思うけどさ。俺と契約してくれないか?」

名護さん「その言葉から察するに、キミもバーサーカーを失ったのか……」

美遊兄「ああ。バーサーカーは……アスナは、最期まで自分の正義を貫いて死んだ」

名護さん「そうか……。たしかに俺が全力を出すためにもキミと契約してもいいが、キミの願いだけ聞いておきたい。答えはそれ次第だ」

美遊兄「俺の願いは妹を幸せにすることだ。……でも最悪、マスター達を元の世界に帰すだけでもいい」

元の世界に帰り、聖杯戦争に参加することで願いは叶えられる。
だから最悪、マスター達を元の世界に帰すだけでもいい。そこら辺は妥協しなければ契約してもらえない気もした。

名護さん「……わかった。キミと契約しよう、士郎くん」

美遊兄の瞳を見れば、彼の真剣さが伝わりその願いが嘘じゃないこともわかる。そして彼が邪悪な人間じゃないこともなんとなく理解した。

美遊兄「ありがとう、アーチャー。俺もお前がレンの意志を継いで〝正義〟を貫けるように出来る限りサポートするよ」

――そして名護啓介は衛宮士郎と契約を果たした。
一度は正義を捨て去った男が、正義を胸に戦う青空の戦士と共闘することを決意したのだ

3597名無しさん:2025/04/24(木) 01:39:11
>>3589>>3592
ソリテール「ああ、その件ね。それは彼女達が聖杯を狙ってたみたいだから先手を打ったまでよ。あれ程の実力者と正面から戦いたくはない」
「血の匂いがするというのも、元々同じように自衛のために長い生の中で何人か手に掛けてきたわ。私だって死にたくはないもの」

蓮子「嘘。本当に自衛のためならマスターに報告しないはずがない。そうね直接話したくないのなら、ここからは――」

『――念話であなたの大好きな"お話"をしましょう』

ソリテール『……ええ、そうさせてもらうわ』

念話による対話、即ち蓮子にこの場でソリテールのことを直ぐには晒し上げる意図がないことを悟ったソリテールは意外にも素直に自身や魔族について語りだした
そこに合理的理由があった訳では無い。ただ目の前のマスターに自分の本性を話せばどんな反応をするのか見てみたかっただけである

3598名無しさん:2025/04/24(木) 05:32:12
>>3582
一護「ほんとに良かったのか?ユウキ。カズマ達と一緒に二条城を目指した方が安全だったんじゃねぇか?」

ユウキ「それはそうだね。でもカズマにも言った通り、キリト達が心配だからさ。キリトが死んだらボクにとって大切な存在――アスナが悲しむし、そんなのは嫌だからね!」

一護「なるほどな。まあお前もキリトも、この京都も――俺が護ってやるよ。だからちょっと急ぐぜ、ユウキ。振り落とされんなよ!」

ユウキ「うん!ありがとう、セイバー!」

一護はユウキを抱えながら瞬歩で二条城へ急ぐ

3599名無しさん:2025/04/24(木) 05:32:52
>>3588
ザンキ「俺は特にリベンジとかそういうのはないけどな。鬼の使命は人々を守ることだ。キャスター、お前が京都の人々を祟るというなら、見過ごしておけないな」

そしてザンキは鬼に――斬鬼に変身する

アタランテ「京都を祟られたら、マヤを始めとした愛すべき子供達が大量に命を落とす。それを阻止するためにもキャスター、汝はここで仕留める……!」

太牙「キャスター、お前は真衣の仇だ。それに放っておけば大量の被害が出る。そして俺の弟なら――間違いなくお前を放置しない。だから俺は戦う」

太牙はサガの鎧を纏った

3600名無しさん:2025/04/24(木) 05:33:33
>>3590
太歳星君と戦うザンキ、太牙、アタランテだがその中で最も弱いのはマスター不在で負傷も大きな太牙だった

サガのスペック自体は決して低くない。しかし前回の戦闘の負傷が癒えてないので全力を出し切れない

太歳星君「どうした、以前よりも弱くなったか?鎧のアサシン」
太牙「くっ……!」

太歳星君の攻撃を受け、片膝をつくサガ。
宝具ですらないただの一撃がここまで重く感じるのは、やはり太牙が既に重傷というのが大きい

太牙(俺は――このまま何も出来ないというのか!?)

現状が悔しくて、太牙はサガの鎧――マスクの下で歯噛みする
しかしそんな太牙に不思議と力が湧き上がる。
それに重傷だったはずの肉体が、不思議と回復していく

太牙(これは――)

玉藻の宝具による効果だ。
だが太牙は、そこで渡と真衣を思い浮かべる。

太牙(渡……。お前なら、こんな時も諦めないはずだ。弟のお前のおかげで……俺は変われた)

ゆえにサガは立ち上がり、ジャコーダーで太歳星君へ猛攻を仕掛ける
急に動きが良くなった太牙に、太歳星君はまだまだ楽しめそうだと喜ぶのだった

3601名無しさん:2025/04/24(木) 05:34:37
太歳星君戦が始まって真っ先に攻撃を繰り出した
太歳星君だがアタランテが追い込みの美学により天穹の弓(タウロポロス)で彼をも上回る速度で攻撃する
耐久の低い太歳星君は存思で身体能力を上げようとするが、先程の戦闘の負傷で動きが鈍っていた影響でアタランテの一撃が先に命中した

もっともあまり引き絞ってない攻撃ゆえにそこまで大したダメージは無かったがその一撃に攻撃を阻まれ、集団戦ではアタランテも十分に厄介だと太歳星君は認識するのだった
なにより自分の攻撃速度を上回ったのが面白い

3602名無しさん:2025/04/24(木) 06:26:27
>>3600
ただし、マスターという要石があってこそサーヴァントは十全に戦えるので、単独行動スキルでギリギリ留まっている太牙は舞衣がいた時より本来のスペックを出せずにいる
玉藻の前の宝具が加わって魔力事情が多少緩和されてもやはりマスター不在では厳しい事には代わりない
それでも、仇討ちのために無理やり奮い起たせて己が霊基を燃やし尽くそうとも太歳星君に追い縋ってみせる太牙であった

3603名無しさん:2025/04/24(木) 06:54:16
>>3596
(念のための確認ですが、一番最初の台詞はアルトリアではなく美遊兄ですよね?)

3604名無しさん:2025/04/24(木) 07:48:17
>>3603
(すいません、当初はアルトリアに何か言わせるつもりでアルトリアのままになってたけど美遊兄です)

3605名無しさん:2025/04/24(木) 20:01:05
一護がユウキを抱えて瞬歩で二条城へ向かってる最中、カズマ組も急いで走り、なんとか合流を果たした

矢車さん「待たせたな。相棒、カズマ」

影山「おかえり、兄貴!よし、俺達も急いで二条城へ向かおうぜ!」

カズマ「おーおー、弟は随分とやる気に溢れてるなぁ。どこぞの兄と違って」

矢車さん「……今、俺のことを笑ったか?」

カズマ「はいはい。笑ってない、笑ってない。とりあえず弟の言う通り城に急ごうぜ」

矢車さん「ああ、わかってる……」

カズマ「珍しくやけにものわかりがいいな。何か変なもんでも食ったのか?」

矢車さん「マスターのカズマが死んだら、俺も困るからな……」

こうしてカズマ組も二条城へ向かうのだった

3606名無しさん:2025/04/26(土) 12:06:27
名護さんは美遊兄達から太歳星君の性能を知ってる限り教えられた
これは太歳星君に挑む前のザンキ、太牙、アタランテ、玉藻の前も同じだ

太歳星君がそれを妨害せず、許容したのは彼の性格ゆえである

3607名無しさん:2025/04/26(土) 12:07:06
名護さん、サガに変身して戦ってる太牙を目撃して軽く驚いたんだよね

名護さん(アレは、登太牙か?まさか彼も聖杯戦争に召喚されたというのか!)

もっとも名護さんと太牙はお互い最終回後というのもあり、もう敵同士ではない
ゆえに名護さんは太牙の存在が頼もしくすら思えた

3608名無しさん:2025/04/26(土) 12:08:18
>>3602
まあそれもあって、本調子じゃないからやっぱり太牙が一番弱くはあるんだよね
しかし扉が勢いよく開いた音を聞き、チラリとそちらを見れば自分の知る青空の戦士――名護啓介がサーヴァントとして駆け付けてきたことを知った

太牙(名護も参加していたのか。それなら何があってもあいつに託せる。渡の信じる男、名護啓介に――!)

そして太牙はここで更なる覚悟を決める。
魔力の消耗だとか、そんなことを気にしている暇はない。
それに魔力が玉藻の前の宝具で回復する今だからこそ、本気を出すしかない

太牙「キャスター――いや、太歳星君!王の判決を言い渡す。――死だ」

ジャコーダービュートが太歳星君へ迫る。
物理的な技を回避したり、防御する技は太歳星君になく、当然ながら避けようとする

ザンキ「アサシンはもう先が短い。そんなやつが全力で戦ってるんだ。俺も気合いを入れなきゃな」

――ザンキが攻撃を加えた。
更に弓をかなり引き絞っていたアタランテが太歳星君へ追撃。2つの攻撃を受けた太歳星君は存思で身体能力と回復力を強化しようとしたが、先程の戦闘によるダメージで動きが鈍り――ゆえに直後に迫るジャコーダービュートを躱しきれず、胸に突き刺さった。

そしてサガはそのまま太歳星君を吊るし上げる。
上空には紋章が出現、太牙は自身の魔皇力を直接送り込む。

魔皇力とは呪術でも魔力でもない。
ゆえに太歳星君は対策出来ず、サガの必殺技――スネーキングデスブレイクを受けたのだ

しかしそれでもなお、太歳星君は消滅しない。耐久が低いゆえにスネーキングデスブレイクが直撃したことで多大なダメージを受けたが、それだけのこと。

太牙「これでもダメか。それなら――」

太牙が一瞬だけ変身を解除し、その直後に闇のキバに変身する。
出し惜しみして勝てる相手じゃないことを理解しているが、スネーキングデスブレイクまで耐えられるとは思わなかった。

ならばこそ、消滅が早まるリスクがあろうとも最大限の力を発揮出来る闇のキバに変身するのみだ。
運の良いことに玉藻の前の宝具で魔力は回復してゆく。おかげで魔力による消滅という意味では、多少は寿命が延びた。

もっとも今、戦っているメンバーで一番傷を負ってるのは太牙だし闇のキバに変身したことでかなり魔力を消耗したのには変わりないのだが。

3609名無しさん:2025/04/27(日) 04:01:21
>>3608
マヤ(太牙が闇のキバになっちゃった……)

マヤ達は太牙から性能を聞いた際、闇のキバに変身したら消滅が早まることを聞いていた
ゆえに太牙がダークキバに変身した途端、マヤの表情が曇る。
たとえサーヴァントといえども、異能が存在せず平和に暮らしてきたマヤにとっては人間とほとんど変わらない。

そんなマヤの表情の変化に真っ先に気付いたのは子供に優しいカブキだ。

カブキ「マヤ。そんな表情してどうしたんだァ?」

マヤ「どうしたって……このままじゃアサシンが死んじゃうよ!」

カブキ「そうだなァ。でもあいつにはこの戦いで死ぬ覚悟がある。だから俺達に真名を教えたんだ」

マヤ「それは、そうかもしれないけど……!」

カブキ「わかってるなら、応援して、アサシンの覚悟を見届けてやることだなぁ。俺達にはそれくらいしか出来ねぇ」

マヤ「……わかったよ」

自分が戦えないことを悔しく思い、自分の無力さを痛感しながらも――太牙の覚悟を無駄にしないためにマヤは叫ぶ

マヤ「アサシン〜!がんばれ〜!」

3610名無しさん:2025/04/27(日) 06:18:52
>>3597

ソリテールの告白を蓮子は驚き半分、納得半分で受け入れた。周囲の反応から正統な英雄ではないことを薄々予感していたが、これ程までに危険な存在とは予想外であった。蓮子が召喚したサーヴァントは文字通りの人でなしであったのだ。

『私のお話はこれでお終い』
『……それで、これからどうするつもりかしら。私を令呪で服従させる?それとも――自害でも命じてみる?』

――断頭台のアウラのようにね

念話を飛ばすソリテールの表情は一切変わらないが、心なしか威圧感が増したように思える。
だが、臆してはいけない。ここからが大事だと蓮子は自分に言い聞かせた。

『生憎と私が求めるのはどちらでもないわ。私が求めるのはあなたとの交渉よ』

『ソリテール。幸いこの聖杯戦争であなたはまだ人を手にかけていない。サーヴァントだけを攻撃対象に限定して今後も私達に協力することを約束するなら、私も令呪であなたを切り捨てるつもりはないわ。勿論、約束を違えるなら容赦しない』

3611名無しさん:2025/04/27(日) 15:45:35
>>3610

蓮子の提案にソリテールは首を傾げた。
一人でも戦力が欠ければ全滅しかねないこの土壇場で自害の命令を出されない公算はあったが、服従の令呪を使われないのは意外だった。

『へえ、今の話を聞いても随分余裕なのね。魔族が怖くないのかしら』

『あなたはとても恐ろしいし、私が見てない所で随分とんでもないことを仕出かしてくれたとも思ってる。……それでも今は可能な限り一人でも多くの戦力が必要なの。あの神様や私達をこの聖杯戦争に招いた仕掛け人を相手にするにはね』

『それでも服従くらいは令呪でさせるべきじゃないかしら。例えばそう、"悪意を持つな"とか』 

『冗談きついわ。最初から無い物に持つなも何もないでしょ……それにやれるならやってるわよ。私覚えているのよ、あなたがした令呪の説明。マスターの能力で令呪の効力は変わるってね』

令呪はサーヴァントへの絶対命令権であるが、その効力はマスターによって上下し、長期間の命令や曖昧な命令では効力が下がる。対魔力などの抵抗を可能にするスキルをサーヴァントが有しているなら尚更である。

ソリテールは対魔力こそ持たないが卓越した術理解明スキルを有している。七崩賢のように絶対性を持つ魔法を有していない彼女を彼らと同格足らしめる最大の要因。短時間で術式を理解し対応、時にはその術式を己のものにしてしまう。

元来魔族は個人主義。束縛を嫌うソリテールが令呪の仕組みを解析していないはずがない。対魔力を持たないが故に短期間なら効果を発揮するだろうが、魔術師ですらない蓮子が絶対服従のような長期にわたる命令をした所でいつかは必ず解除されることを蓮子は理解していた。
令呪を重ねがけすれば話は別だろうが生憎と残り令呪は一画のみ。それを理解しているからこそ先程からソリテールは蓮子に令呪の使用を勧めているのだろう。全ては自身が自由を得るために。

『少しお話し過ぎたかしら。やっぱり面白いね君。でも魔族が強制力を持たない約束を守ると本気で思ってる?
――それにいざという時、自害させる隙を与えるとでも?』

『思ってないわ。でも、あなたは約束を守らざるを得ない。もし先んじて私を殺したらあなたは消えるしか無い。利己的な理由でマスターを殺す奴なんて危険すぎて乗り換えたいと思うマスターはまずいないもの』

『令呪の宿った腕を奪おうとしても同じよ。マスターに牙を向いた危険人物としてこの場に集ったサーヴァントから集中攻撃を受けることになる。ただでさえ色んなサーヴァントから警戒されてるしね』

『少なくとも利害が一致してる間は、そんなリスクを犯してまで裏切るメリットはない。話を聞く限り魔族はすぐに嘘を付くし善悪も存在しない人喰いの怪物だけど自分の欲望に対しては実に素直みたいね。ソリテールだってこの宝の山みたいな世界に一秒でも長く留まりたいでしょ?』

一気に捲し立てる蓮子にソリテールは苦笑する。
個人主義の魔族が他者に協力するケースは原則二つのみ。一つは絶対的な力による恐怖。かつて魔王はその圧倒的な力により魔族を軍として束ね統率した。
もう一つは利害の一致。七崩賢の一人、黄金郷のマハトはとある目的から一都市の領主に長年協力していた。
ソリテールといえども自殺志願者ではない。長く愉しむためにもある程度の妥協は必要だった。

『そうね、蓮子が言う通り私もこの場で他のサーヴァントを敵に回して生き残れると思える程自惚れていないわ。
それに他の世界から集められた人間達を観察できる機会を棒に振りたくはないもの』

『それにしてもこの世界を宝の山と称するなんて素敵ね。やっぱり君の"好奇心"が縁になって私が喚ばれたのは間違いないみたい』

『物凄く遺憾なことだけど…ね』

あまり認めたくないが、ソリテールは自身に充てがわれただけあって共通する点が少なくないことを蓮子は認めていた。
飽くなき探究心とそれを満たす為の行動力。
――そして危険を承知の上で好奇心を満たそうとする性(サガ)。

『私にとってこの聖杯戦争は恐ろしくもあったけど魅力的でもあった。非科学的な幻想の産物として存在を否定された者達と直接触れ合うことができる貴重な機会だったから』

蓮子はユウキ達と異なり純粋な正義感だけで聖杯戦争の秘密を暴こうとしているのではない。
未知という名の花を求め、封じられた秘密を暴き、幻想を真実に、夢を現に変える秘封倶楽部の延長線上の活動といえた。

『ふーん、じゃあ太歳星君の討伐に積極的に志願したのは…』

『そうよ、察しの通りこの眼で見たかったの。幻想に消えた英雄や神様が織り成す神秘を。勿論、戦力的にベストな戦力配分であることが大前提だったけど』

『…ふふ、私も魔族の中では変わり者の自覚があるけど、君も中々どうして…流石は私を召喚したマスターといった所かしら?』

『狙って召喚した訳じゃないし、あなたに褒められてもちっとも嬉しくないけどね』

蓮子の告白にソリテールもまた得心がいった。当初は魔術の心得もない平凡な人間だと思っていたが、考えてみれば自分を召喚できてしまうような人間がまともであるはずがない。
かつて太歳星君に挑んだとある男女が"恐怖愛好家"であったように蓮子もまた重度の"神秘愛好家"とでも言うべき本質を持っていたのだ。
十分お話したことでそろそろ乗り換えを考えていたが、もうしばらくは観察を楽しめそうだとソリテールは思った。

『分かったわ、取り敢えずはあなたに協力してあげる。まさかこの私がマハトの真似事をするなんてね』

『でもサーヴァントだけが攻撃対象ね…"アサシンらしい"運用はしないのかしら。その方が効率的だと思うけど?』

『…何を言われようが、その一線を越えるつもりはないわ』

蓮子は暗に敵マスターの暗殺を勧めるソリテールにきっぱりとNOを突きつけた。
蓮子とて殺人は心の底から忌避している。例え相手のマスターが悪人であったとしても、自分が直接手にかける訳ではなくとも。実際太歳星君討伐の作戦会議中もマスター暗殺の案は決して出そうとしなかったのだから。

倫理観。それが人並み程度にはある蓮子と最初から存在しないソリテールを隔てる最大の一線。或いはこの一線を容易に踏み越えた人間を昔の人は"妖怪"と呼んだのだろうか…。

『頭の回る君がそこまで非効率に拘るなんて興味深いわ。まあ私にとってはどちらでもいいけど。それじゃあ改めてよろしく』

『…ええ、よろしく』

ソリテールから差し出された手を一瞬躊躇いながらも蓮子は握り返した。恐ろしく冷たい手を。
何にせよ利害の一致で協力関係を築くことが出来たが、油断はできない。魔族は本質的に人間と共存不可能な種族。頼れる相棒には決してなり得ないのだから。

『この最後の令呪があなたの命を絶つことに使われないことを祈るわソリテール』
『私も君の死に顔を見届けるのはそれなりに後にしたいと思っているよ蓮子』

3612名無しさん:2025/04/27(日) 15:58:30
夏油(私のキャスターでは他のサーヴァントを支援するのが精一杯か)

他のサーヴァント達を支援するという選択をした玉藻の前を見て夏油はそう判断する。
もっとも今回の相手は玉藻の前にとっては天敵のような存在だ。下手に呪術で攻撃したら逆に危ういし、その判断が間違ってるとは思わない

夏油(彼女の判断は正しいが……支援するだけなら私がここにいる必要もないかな)

マスターは状況に応じて令呪でサーヴァントをサポート出来るが、支援に徹するなら特に支援する必要もない
ゆえに夏油は歩き出すが、そこをマヤに呼び止められる。

マヤ「夏油先生、どうしたの?」

夏油「私には私のやるべきことがあるだけさ、マヤちゃん」

マヤ「夏油先生のやるべきこと……?」

夏油「さっきの死体からしてこの城には危険なマスターが潜んでる可能性がある。そいつを倒すだけだよ」

マヤ「それなら、私も……!」

夏油「マヤちゃんには自分のサーヴァントのサポートをしながら、彼が言ったように〝鬼の戦い〟を学んでほしい。私のサーヴァントは支援に徹するはずだから、フリーになった私が動く」

マヤ「でも、夏油先生一人じゃ危ないよ……!」

夏油「私はこれでも元々〝最強〟だったんだ。それでもマヤちゃんは信じられないかな?」

カブキ「……行かせてやれ、マヤ。俺達は俺達に出来ることを、夏油は夏油がやるべきことをするべきだ」

マヤ「……わかったよ。でも絶対に戻ってきてね、夏油先生!」

夏油「大丈夫だよ。私は〝最強〟だからね」

そう言って夏油だけ別行動に出る
その理由をマヤ以外のマスターは察していた。

夏油の目的。
それは太歳星君のマスターを見つけ出し、倒すことだ。
そうすることで太歳星君は消滅するだろうし、リベンジを果たしたことになる。

そしてこういう役割は自分こそ向いてるだろうと理解しているからこそ、夏油は動き出したのだ

3613名無しさん:2025/04/27(日) 17:36:10
>>3608
太歳星君「ははは…いいぞ!これ以上なく追い詰められている…!」
太歳星君「滾らせるじゃないか…!」

スネーキングデスブレイクを受けて大ダメージを受けたはずなのだが未だ余裕を崩さず、むしろ愉しんでいる太歳星君は一旦下げていたギアを再び上げ始める

一方で太牙・ザンキ・アタランテは相手の態度に警戒しつつも攻勢を掛けるべく再度攻撃を仕掛ける
再び複数の矢が目にも留まらぬ速さでその身体を射止めようとし、太牙はさらに強力な必殺技・キングスバーストエンドを放ち、ザンキも音撃技『音撃斬 雷電斬震』を太歳星君に打ち込もうとする

だが太歳星君は再び陰陽術を使用、「六壬神課」でアタランテの攻撃を躱し、自身の姿を霊から知覚できなくさせる「護身隠行法」で太牙の必殺技を不発に終わらせ、「呪縛呪」で烈斬を突き刺そうとしたザンキの動きを止めてしまった

ザンキ「なに…っ!」
太歳星君「悪くはなかった、がまだ足りないな!」

そして太歳星君は多数の消滅の凶星を纏わせて体術を繰り出し、目の前にいたザンキに致命傷を与えた

3614名無しさん:2025/04/29(火) 06:19:28
>>3613
多数の消滅の凶星を喰らったザンキは、アスナやディエゴのように間もなく消滅するはずだ
そう確信した太歳星君は他のサーヴァントを狙おうと考える

マヤ「師匠!!」
カブキ「落ち着け、マヤ!」
マヤ「落ち着いてなんていられないよ!だって師匠が、師匠が……!」

今にも走り出そうとするマヤをカブキは力づくで抑える
同じ鬼でありながら、マヤのサーヴァントと共闘出来なかった悔しさに歯噛みしながら。

そしてマヤの声はアタランテにも届いていた。

アタランテ「マヤのことは任せたぞ、カブキ!」

サーヴァントが全滅したら京都の子供達やマヤが死ぬ。
ゆえにこの戦をなんとしても勝たなければならないアタランテは、確実に宝具を当てられそうな策を思い付きあろうことか弓を引き絞りながら、前線に出る。
そんなアタランテの動きを呪縛呪で止めるが――その時には既にアタランテが『訴状の矢文(ポイボス・カタストロフェ)』を発動していた
太牙やザンキに当たらないようにアタランテ自身の意志で範囲を狭めた光の矢が太歳星君のみに降り注ぎ、命中する

更にダメージが蓄積する太歳星君だが、ソレすらも愉悦
そして弓矢を自在に扱うアタランテの存在を厄介でありながらも愉しく感じた太歳星君は光の矢を食らいながらも、消滅の凶星を複数アタランテに放つ
アタランテはその凄まじい威力に、吹っ飛んでしまう

残るサーヴァントは太牙のみ。
呪縛呪を使い、動きを止める。

太牙「くっ……!」

アルトリア「このままではまずい!イオリ、私も――」

――しかしその瞬間、誰もが驚いた
致命傷を負ったはずのザンキが走り出したからだ。
ザンキは戦闘続行スキルにより、未だに息があった

咄嗟に対応しようとする太歳星君だが、美遊兄達から相手の能力の説明を受け終えた名護さんがイクサに変身して駆け付け、イクサカリバーによる猛攻で太歳星君に隙を与えない
そして斬鬼は烈斬を太歳星君を突き刺し、音撃斬 雷電斬震を発動。今度こそ必殺技が決まったのであった

それでもなお太歳星君は倒せず、再び消滅の凶星をザンキに放つが――勢い良く扉が開かれる音が聞こえ

「月牙天衝!!」

月牙天衝により、消滅の凶星が相殺される

一護「わりぃ、待たせたな」
ユウキ「すごい!いろんなサーヴァントが勢揃いしてる!」

――ユウキ組、参戦

カブキ「良かったな、マヤ!まだお前のサーヴァントは無事だ!とりあえず令呪を使えば少しくらい回復するんじゃねぇか?」
マヤ「わ、わかった!令呪で命ずる!師匠の……オニの傷を回復させて!」

ソリテールの時のように、ザンキもまたマヤの令呪で致命傷から回復する

ザンキ『ありがとうな、マヤ。どんな逆境でも諦めない。――それもまた鬼として大事なことだ』
マヤ『うん!わかったよ、師匠!』

3615名無しさん:2025/04/29(火) 07:28:29
>>3614
太歳星君「さすがは名だたる英雄たち、そう簡単に仕留められないか…そろそろ頃合いだな」

太歳星君は闘志尽くさず一護達と戦闘を続けるが、さすがにダメージの蓄積もあり身体の鈍りを感じていた
これでは満足できる死闘も難しいと判断し、シロッコに念じて神言を送る

太歳星君『シロッコ、令呪二画だ。その魔力源を神の霊力として焚べろ、その上で最後の宝具を解放する』

シロッコ『御意、御心のままに』

この時、シロッコもまた身体の辛さを感じ始めていたところであった
二条城という霊地を陣地かしたことで幾らかは魔力供給の負担は減ったものの、ここまでの激戦を続ければ消耗するのは必須であった
だが神の依り代として己が身体の変調を口にすることはしなかった

シロッコ『令呪をもって命ずる。令呪の秘めた力、それをキャスターに捧げよう』

シロッコ『重ねて令呪をもって命ずる。真なる御業を示したまえ』

シロッコは躊躇いなく令呪二画を使用し、契約の証である痣が消えると同時にその身にのし掛かる重荷が軽くなる感覚を得ていた
令呪の効果で太歳星君に膨大な魔力が巡ったためシロッコからの魔力供給も和らいだのだろう
そして太歳星君は『族滅の化身』を解放し、全てを滅する超高密度な光を纏っていた

3616名無しさん:2025/04/29(火) 14:59:01
>>3615
アルトリア「キャスターの様子が変わった!?」
アリス「これは……何かありそうですね……」

太歳星君の様子の変化に控えていたアルトリアとアリスすらも危機感を覚えた

アルトリア「イオリ、私はもう十分に回復しました。前線に復帰します!」

アリス(相手は圧倒的に強いですが、このキャスターを倒さなければキリトは殺される。ならば……!)

アリス「キリト、私も戦線に復帰します!今のキャスターは全力で迎え撃った方が良さそうです!」

そしてアルトリアとアリス、二人の女騎士が戦線に戻る
マスターが死ねば困るのはソリテールも同じで、彼女もまた戦線に戻った

3617名無しさん:2025/04/30(水) 01:12:58
族滅の化身を解放した太歳星君が真っ先に狙ったのは、意外にも玉藻の前だった

太歳星君「お前だけあまり何もしてないな。英霊になったからには強いはずだ。その強さを試してやろう」

そして玉藻の前に凄まじい勢いで接近する太歳星君

しかし一本の弓矢がそれを妨害した
限界まで弓を引き絞っていたアタランテが追い込みの美学により相手を上回る速度で弓矢を放ったのだ
ちなみに彼女が立ち上がり、弓矢を引き絞れたのはカブキが令呪で回復させていたからだ


太歳星君「はははは!面白いな、お前!」

アタランテの強さを認め、愉しい相手だと考えた太歳星君はアタランテに迫り、光のオーラが触れるとアタランテが昏倒して地に伏した
そのままトドメの一撃を受け、アタランテが消滅間際になる

3618名無しさん:2025/04/30(水) 01:37:00
複数の消滅の凶星が直撃したアタランテは致命傷を負ってしまった
アスナがそうだったように、こうなったらもう助からない。
肉体が消滅しかける中、それでもアタランテは最後まで弓を引き絞って太歳星君へ向けて放った

その一撃は見事なもので太歳星君に炸裂したのを見届けてからアタランテはこの世を去った

【アタランテ@Fateシリーズ 消滅】

3619名無しさん:2025/04/30(水) 04:14:42
>>3617
この太歳星君の襲撃は玉藻の前の宝具『水天日光天照八野鎮石』の効果が切れていたタイミングと重なっていたんだよね
玉藻の前は再度宝具を使おうか考える暇もなく襲われたからしばらくHP回復と魔力供給の効果を展開できない状態に
というか生前にはないキャスターの特性「陣地作成」の恩恵で玉藻の傍に転移するとか太歳星君容赦ねー

3620名無しさん:2025/04/30(水) 08:05:37
太牙(きっとこの攻撃が最後になるが……それでも俺は――)

脳裏に浮かべるのは自分が守れなかった少女、舞衣。
そして自分に大切なことを教えてくれた弟――渡。

太牙「キャスター!これが俺の全身全霊を込めた、最後の攻撃だ!お前に受け切れるか……!」

太牙の言葉を聞き、太歳星君は心底楽しそうに笑う

『ウェイクアップ2』

名護さん「アサシン、君はまさか……!」

太牙「あいつがどれだけ強化されたのか、俺が確認する。みんなはそれを見届けてくれ」

ザンキ「……わかった。アサシン、お前の最期は無駄にはしない」

ザンキも名護さんも、アルトリアやアリスでさえも太牙の決意を見届ける
太歳星君相手に不発に終わった必殺技だが今度こそ当てるという決死の覚悟を胸に――キングスバーストエンドを使う

自分に向けて繰り出された跳び蹴りを、太歳星君はあえて避けない
サーヴァントの死に際の一撃だ。期待せずにはいられず、族滅の化身状態の太歳星君と僅かに拮抗

カズマ「遅れたけど俺達もきたぞ。……ってすごい状況だな」

影山「これがサーヴァント同士の本気の戦いか……!」

矢車さん(俺達が来るまでにサーヴァントの数は減ってそうだが……あのキャスターを倒さなければいけないのが厄介だな)

そして光のオーラに触れた瞬間、太牙に激痛が走る

太牙「う、ぉおおおお――!」

それでも気合いを入れて乗り切ろうとする太牙だが、気が付けば血にひれ伏して戦闘不能になっていた

太牙「みんな……光のオーラに気を付けろ。これは、かなり危険だ……」

その言葉を最期に太牙の消滅は始まっていた

太牙(名護、後は託した。渡、俺は――)

最期に思い浮かべるのはやはり弟、渡の顔。
太歳星君という巨悪こそ倒せなかったが、どこかやり切ったような表情で太牙は逝く

【登太牙@仮面ライダーキバ 消滅】

3621名無しさん:2025/05/02(金) 11:32:56
単独行動していた夏油は遂にシロッコを発見する

夏油「や。君がキャスターのマスターかな」

皮肉にも十二神将の存在がシロッコが一般人ではないことを物語っていた

3622名無しさん:2025/05/02(金) 20:01:49
>>3620

太歳星君「見事な一撃だったぞアーチャー、アサシン。だが僕を落とすには至らなかったな」

アタランテと太牙の最期の一撃は確かに太歳星君に届いていた
その証拠に太歳星君の左腕はアタランテに射抜かれ千切れ飛び、右腕は太牙により無残に拉がれていた。最早手で印を結ぶことは叶わないだろう。これで披甲護身(無敵)、呪縛呪(金縛り)、護身隠行法(透ける)は封じられた
未来視による回避も陰陽術による透過も許さない速度だからこそ成し得た結果である

ソリテール「外傷はないけどアサシンが光に触れた瞬間、霊基が致命的な損傷を受けた…」

「本質は消滅の凶星とやらと同じね。超高密度のそれを全身に纏うことで生半な攻撃は打ち消され、触れれば致命の攻防一体の技と化した」

アルトリア「だが、無敵ではない。アーチャーとアサシンの一撃は確かに届いた」

「それにあれ程の魔力の放出、令呪を使用したとしても長期間の維持は不可能なはずだ」

淡々と『族滅の化身』について分析するソリテール
高密度の消滅の凶星は素粒子大の消滅効果を齎す。外傷こそないが霊体であれば霊基を、生身であれば遺伝子を破壊し尽くし次代に生命を繋ぐ力すら無慈悲に奪い去る。これこそが太歳星君が司る"族滅の祟り"の正体である

無敵の矛と盾を体現したような技だがアルトリアが看破したように決して完全無欠ではない
アタランテと太牙の一撃が通ったように消滅波を突き破る破壊力があればダメージを与えることが出来る。さらに、神威の象徴とでも言うべきこの形態はサーヴァントまで霊格が落とされている以上あらゆる手段を用いても長時間の維持は不可能
アルトリアは長期戦に活路を見出していた

太歳星君「くくく…その通りだ。この状態を維持するのは中々骨が折れる…」

「もう少し遊んでいたいが、一気に決めさせてもらおう」

太歳星君の言葉とともに極光が渦を巻く。宛ら広大な銀河を思わせる様相を見せ――


「棒旋星系…族滅の化身…重なり交じり合え…」


『螺旋星雲』


――この場の者全てを飲み込む規模の銀河の渦が放たれた

3623名無しさん:2025/05/03(土) 01:10:52
>>3622
この大規模な攻撃に対応出来る者は限られてくる

アルトリア『イオリ、このままでは全滅を免れません。令呪を使用して宝具を強化してください!』

アルトリアの念話を聞き、伊織は令呪でアルトリアの宝具にブーストをかける

そしてアルトリアは他のサーヴァント達より一歩前に出る

アルトリア(これで対処出来るかわかりませんが……やるしかない!)

意を決したアルトリアは3度目の宝具を使用する

「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

螺旋星雲とエクスカリバーが激突する……が、まだ少し威力が足りない

アルトリア『仕方ありません。イオリ、3つ目の令呪で更に宝具を強化してください!このままでは誰もキャスターに勝てない!』

アルトリアの言葉を聞き、伊織は重ねて令呪で宝具の強化をする
するとエクスカリバーが螺旋星雲を呑み込み、太歳星君の攻撃は失敗に終わる
振り向けばサーヴァントもマスターも全員無事で、アルトリアは胸を撫で下ろした

前に出たことで螺旋星雲に少しでも触れたアルトリアはかなりのダメージを受けたが、ひとまず危機を乗り越えたことは確かだ

3624名無しさん:2025/05/03(土) 03:20:32
>>3621
「やれやれまいったな……」

遭遇後に互いを敵と認識して戦闘になった夏油とシロッコ
追い込まれているのは夏油の方であった
十二神将は夏油でも一対一であれば十分撃破可能なレベルの力しか持たないが如何せん数が数。十二対一では流石に天秤はシロッコ側に傾く

「たった一人で来るとは甘く見られたものだ。マスターが狙われる想定をしていないとでも?せめて他のマスターでも連れてくればここまでの無様を晒さずに済んだだろうに」

嘲笑するシロッコに夏油も苦笑で答えた

「まさか。困ったことに他のマスターは甘ちゃんばかりでね。残念ながらこんな事が出来るのは私だけだったのさ」

「だから一人で立ち向かうと…尚更愚かだな。一時の感傷で判断を誤り命を落とす。貴様のような俗人に相応しい最期だ!」

「ほざけ、私の運命を猿が勝手に決めるなよ!」

3625名無しさん:2025/05/03(土) 13:51:21
>>3623

「まさか、これを凌ぎ切るとはな…!」

勝負を決するつもりの大技を凌がれたことでさしもの太歳星君も驚愕する。さらに螺旋星雲による消耗で全身に纏う光の波が弱まった
全滅の危機は一転して反撃の起点となったのだ

「今だ!!」

「くっ…!」

太歳星君の機先を制し、集ったサーヴァント達の一斉攻撃が襲いかかる。負けじと太歳星君も反撃に移るが想定を越えた過度の魔力の消費によりその動きは鈍い

そして過度の魔力の消耗は自らの眷属――即ちマスターであるシロッコと十二神将のコンディションにも影響が出ていた

3626名無しさん:2025/05/03(土) 18:27:49
>>3625

「あいつらが今回の聖杯戦争の参加者達か。茅場はあのキャスターを倒さなければ京都に祟りが起きて、マスター共々皆殺しになると言ってたな」

エクスカリバーと螺旋星雲の激突により城の一箇所に穴が空き、そこから一人のサーヴァントが戦場を眺めていた
彼の名は、秋月信彦。クラスはアヴェンジャーだ

3627 ◆QUsdteUiKY:2025/05/04(日) 14:00:08
『マイキー。目的のキャスターは発見出来たが、どうする?』

『どうするも、こうするもねぇだろ。俺達は優勝するって決めたんだ。それを邪魔する奴には――わりィけど退場してもらう』

『そうか。お前ならそう言うと思っていた』

そして信彦とマイキーは合流を果たし、太歳星君や多数のサーヴァント・マスターのいる城内に入る

コツ、コツ、コツ――と。
足音を隠すこともなく、威風堂々と

3628名無しさん:2025/05/04(日) 17:15:58
>>3624
シロッコ「何!?体が……!」

十二神将に追い詰められた夏油。とどめを刺されかけた瞬間にそれは起こった
突如シロッコは凄まじい疲労感と虚脱感を覚え動くこともままならなくなる。シロッコのみならず十二神将もまるでブリキ人形のような鈍重な動きになってしまった

シロッコ「おのれ…魔力か……!」

直ぐにそれが太歳星君による魔力の消費により齎された現象だとシロッコは気づくが令呪を使い切ってしまった以上、シロッコに出来ることは何もなかった

――今しかない!

自身に纏わりついた十二神将の群れを游雲で打ち払い駆け出す夏油
太歳星君との初戦でこの世界で得た呪霊のストックも殆ど使い切ってしまった以上、決着を着けるには游雲による近接戦が最も確実。全力疾走でシロッコとの距離を一気に詰めていく

シロッコ「くっ…!動け十二神将!私を守れ!」

シロッコの号令にぎこちない動きながらも十二神将が彼を庇うように立ち塞がる。しかし、夏油は足を止めない。ここで足を止めれば犬死にするしかない故に

游雲を振り回し1体、2体、3体と十二神将を弾き飛ばし距離を詰める夏油だが、当然無傷とはいかず反撃により大小様々な傷を負う。さらにシロッコも護身用に隠し持っていた拳銃で援護射撃を行うが、呪力によるガードで必要最小限の傷に抑えた夏油は尚止まらない
全身傷だらけになろうが致命傷さえ負わなければ問題ないのだから

夏油「お前の言う通り、確かに今の私は愚かだ」

夏油「…でも不思議と今だけは心の底から笑える気がするのさ」
 
最後の十二神将を打ち倒し、シロッコを射程内に収めた夏油は憑き物が落ちたような〝笑顔〟とともに游雲を一気に振り抜いた!

シロッコ「うおあああ……!!」

腹部を打擲され凄まじい形相で断末魔の叫びを上げるシロッコ
ニュータイプといえども肉体的には常人と何ら変わりなく、全力で特級呪具である游雲に打ち据えられて耐えられる訳がない。明らかに致命傷だった

ガクリとその場に崩れ落ちるシロッコだったがその目はまだ死んでおらずある一点を――サーヴァント達と太歳星君の戦場を憎悪の籠もった目で睨みつけていた

シロッコ「私だけが死ぬわけがない…貴様らも一緒に連れて逝く…!」

シロッコ『太歳星君…!木星の鏡像よ!私の最期の願い(のろい)を叶え給え!』

シロッコ『全力の神威を以て…敵対者を全て滅ぼせ!』

既にシロッコに令呪はない。しかし、ニュータイプとして全力の祈り(のろい)を念話という形で太歳星君に飛ばすのであった

3629名無しさん:2025/05/04(日) 21:08:12
「いいのかしら、こんな所でのんべんだらりとしていて。あなたのお気に入りの子たちが皆消されてしまうかもしれないわよ?」

太歳星君と戦う主従を神妙に見つめる茅場に道士服を着た不気味な雰囲気を漂わせる女が興味深そうに話しかける
女の正体はかつての聖杯戦争で彼が召喚し自身を優勝に導いたキャスター、八雲紫。人が大人になる過程で捨てる幻想を未だに抱き続ける茅場が"幻想郷"の創設者である彼女を召喚したのは果たして偶然か必然か

彼らは二条城から離れた場所から紫のスキマを使って刻一刻と変わる戦況を見守っていた
否、実際は二条城の戦いだけではなく今回の聖杯戦争が始まってから京都に忍ばせた式神たちやスキマを使って今に至るまでの参加者たちを監視していたのだ

「ここで潰えるのであれば所詮それまでの存在だっただけのこと…最も君の指摘は杞憂に終わるだろうが」

「ふーん、随分彼らを買っているのねえ」

「そういう君はどうなんだ、幻想郷の賢者よ。君にとって見所のある存在はいるのか?」

「うふふ…どう思う?」

彼らはもう一組の黒幕であるアベンジャーたちと違って太歳星君との戦いに介入するつもりはない。あくまで戦いの結末を見届けるスタンスである

3630名無しさん:2025/05/05(月) 04:31:24
茅場はシステムを上回る人間の意志の力を知らしめ、未来の可能性を悟らせたあの聖戦をもう一度、この聖杯戦争という舞台で行いたいと考えてるんだよね

だから自分はヒースクリフのアバターなのにキリトにはリアルの肉体という〝理不尽〟を押し付けた
アスナやユウキ、アリスといったキリトの仲間や自分の知らないGGOのプレイヤー――レンやピトフーイを呼び寄せたのは、興味本位とこの〝聖戦〟を盛り上げるためだ。

残念ながらアスナとGGOのプレイヤー達はロストしてしまったが――

(〝聖戦〟への準備は順調に進んでいる。またあの時のような〝人間の意志の力〟を見せてくれ、キリト君。いや――他のプレイヤーや聖杯戦争でも良いが……楽しみだ)

3631名無しさん:2025/05/05(月) 15:52:07
>>3628
その念話は確かに太歳星君に届いた
もっともかなり深傷を負い、弱体化しているが……それでも太歳星君は最期まで楽しもうと決めた、その瞬間

勢い良く扉が開かれ、マイキーと信彦がやってきた

「頼んだぜ、アヴェンジャー」
「ああ。もうお前の闘いは終わりだ、キャスター」

信彦は冷酷にそう告げると変身ポーズを取る

「変身……!」

必然的に新たな乱入者に視線が集まった

3632名無しさん:2025/05/05(月) 21:11:07
>>3628

「……そうか、僕の負けか。見事だ」

遠方より放たれたシロッコの断末魔の思念を感じ取った太歳星君は素直に敗北を認める
マスターの殺害、それも引っくるめての聖杯戦争だ。見事にそれを成し得た呪術師を称賛こそすれど祟るつもりはない
この戦場では太歳星君本体の横槍も入らない以上この場の分霊・太歳星君の消滅は確定した。最も本体の勝ちに手段を選ばない姿勢を唾棄する分霊にとっては望ましいことであるが

「お前達がコソコソと動いていた輩か。死力を尽した戦いの漁夫の利を狙いに来るとは程度が知れるな」

突如として現れたアヴェンジャー主従に吐き捨てる太歳星君。太歳星君は各地の霊地を制圧する過程で朧気ながらその気配を感じ取っていた
もしもこの戦いに勝利し、祟りを完遂した暁には手ずから葬ってやろうと考えていたのだ

「ほざいてな、テメェの役割はもう終わりだ。オレ達の願いのためにとっとと消えな」

侮蔑する万次郎に太歳星君は静かに返す

「確かに終わりだが、ただで消えてやるつもりはない…自身への祈り(のろい)に応えずして何が神か…」

そう、まだ終わりではない。光の波動が弱々しくも輝きを見せ集束する
シロッコは最期の執念で未だ生を繋いでいる。自分が応えなければ神の名折れ。ましてや自身に打ち勝った者達ならいざ知らず、最後にしゃしゃり出てきた姑息な輩に討たれるつもりはなかった

力を振り絞り最期の一撃を見舞わんとする太歳星君の前にずいと信彦が立ちはだかる。おもむろに肩のパーツをぶちりと力任せに引き抜き、剣状に誂えたそれを大きく振りかぶり――


――一瞬の交錯の後、太歳星君は両断され消滅した。同時にシロッコの命も燃え尽きる
月と太歳。星と星のぶつかり合いを制したのは影に浮かぶ月であった

信彦が振るったのは世紀王シャドーブレード。自身の一部にしてこの世に二振りしかない最強の剣である
血を拭わないまま生き残った主従達に信彦は剣を向けた。彼がこの剣を抜いたということはこの場の者を皆殺しにするという意思表明に他ならない

【太歳星君@ダークギャザリング 消滅】
【パプテマス・シロッコ@機動戦士Ζガンダム 死亡】

3633名無しさん:2025/05/05(月) 21:24:34
(代理投下です)
>>3632
突然の乱入者が太歳星君を倒す場面を目撃した面々は、強大な脅威が消え去ったことに安堵を抱く暇もなく警戒心を解かずにはいられなかった

カブキ「なんだぁ、お前らも聖杯戦争の参加者かぁ?」

伊織「…いや、あのキャスターの口振りでは、違うようだな」

キリト「…まさか、お前達がこの聖杯戦争の黒幕なのか?」

3634名無しさん:2025/05/06(火) 06:40:44
>>3633
この時大半のサーヴァントもアヴェンジャー陣営の次なる言動に対応すべく戦闘態勢を解いていなかったな
ただ消耗し過ぎたアルトリアは戦意を保ちつつも戦闘が発生した場合はすぐには動かず少し様子を見るつもりであり
また玉藻の前は夏油との合流を優先してしれっと戦線から離れていたな

余談だが消耗が少ない順で並べると地獄兄弟、一護、名護さん、ザンキ、アリス、ソリテール、アルトリア、ってところかな

3635名無しさん:2025/05/06(火) 17:16:54
余談だが太歳星君とシロッコが脱落したことによって彼らが掴んでいた聖杯戦争に関する情報は喪失したね
最もマイキー組や茅場組が干渉し始めたからそこから色々情報を得られるかもしれないけど、まぁ何処まで喋るかな?

3636名無しさん:2025/05/07(水) 10:36:24
>>3633
マイキー「違うな。俺達はこの聖杯戦争で〝シード権〟を得ただけだ」

ユウキ「シード権って……そんなのあったの!?」

カズマ「俺もユウキと同じで初耳だな。他の奴らはどうだ?」

マヤ「私も知らないよ。でもアヴェンジャーとそのマスターは何かヤバい気がする……!」

マスター達は皆、シード権なるものを知らないと口にする。それはサーヴァントも同様だった

マイキー「とりあえず黒幕はキリトって奴とその仲間には特に期待してるみたいだぜ。それがヒントだ。あいつは正体を隠すつもりがねェらしい」

キリト「……まさか、茅場か!?」
ユウキ「えっ!?でも茅場晶彦は死んだはずだよね!?」

キリト「ああ。だけど俺に特に期待してて、こんな舞台を用意出来るのは茅場くらいだと思う」

信彦「とりあえず黒幕に辿り着きたいなら俺とマイキーを倒すことだな。俺が優勝したら――怪人がありのままの姿で生きていける世界を創る」

マイキー「俺もダチや妹を生き返らせるために負けられねぇ」

美遊兄「妹のため、か……。皮肉にもお前の願いは俺と同じだな」

マイキー「ああ。でも俺は甘くないぜ。本気でお前達を殺す」

――マイキーがそう口にすると、バイクに乗った不良達と異形達がやってきた。
マイキーには不良としてのカリスマと、なにより圧倒的な強さが。
そして信彦には異形の士気を上げるカリスマと、マイキーと同じくサーヴァント以外の異形の中では圧倒的な強さを持つ。

もちろん不良や異形でサーヴァントをどうにか出来るとは思っていないが、多人数のマスターが相手では流石のマイキーでも殺されかねない。ゆえにこの世界で出来た仲間を引き連れてきたのだ

3637名無しさん:2025/05/07(水) 10:37:00
(補完)

>>3617 >>3618
アタランテ『すまぬ、マスター……。私は直に消える……』

カブキ『……しょうがねェよ。あのキャスターの野望が叶ったら京都中の子供やマヤが死ぬ。だからアーチャーも本気で戦ったんだろ?

アタランテ『ああ。だが死ぬ間際に……あのキャスターに全力の一撃をぶつけたい』

カブキ『わかった。アタランテ、お前の意志は無駄にはしねェ!』

カブキ「令呪で命ずるぜ!少しでもいい、アーチャーを回復させてくれ!」

カブキが令呪を使うまでにこんなやり取りがあったね

そして全てをやり遂げたアタランテは、消滅間際にカブキに託す

アタランテ『マスター……。マヤや京都の子供たちのことは託したぞ』

カブキ『ああ、任せろ!』

3638名無しさん:2025/05/07(水) 19:15:18
>>3634
「ご主人様!?ご無事ですか!!」

「やあ、キャスター。ごらんの通りの様だけど、まだ問題なく動けるよ」

「っ…申し訳ございません、マスター」

「謝らなくていいさ、これは僕自身が行動したことによる結果だから、気にしなくていい」

アヴェンジャーによって太歳星君が撃破された後に戦線から離脱した玉藻の前は魔力供給のパスを頼りに夏油の元へと向かい、傷だらけになった彼の姿を目撃する
己がマスターを危険な目にあわせてしまい良妻として寄り添えなかったことを悔やむが、当の本人が無事であり平気そうな表情を浮かべているのである程度の安堵も覚えていた

「とりあえず僕の方でマスターを仕留めたけど、そっちも決着はついたようだね」

「ええ、確かに太歳星君は倒されました。ただし、ですが途中から乱入したぱっと出の黒幕の小間使いみたいなのに、ですが」

「へぇ、このタイミングで姿を現し直接干渉してくるとは…何か意図があっての行動なのかな?」

「して、この後は如何様に動きましょうか」

3639名無しさん:2025/05/07(水) 20:39:17
不良と異形の群れがマスター達を襲い、必然的にマスター達もそれぞれの技術で対処する形となる
中には蓮子のような非戦闘員や魔力を大きく消耗する宝具を使った負担で動きが鈍くなってる伊織もいる

更にマイキーの凄まじい威力の蹴りがこの場で最も弱い連子に炸裂。命こそ落とさなかったが、大ダメージを受けてしまう
ソリテールは咄嗟にマイキーを狙って攻撃するが、持ち前の運動神経の良さと茅場から事前に知らされていた此度の聖杯戦争に参加するマスター、サーヴァントの情報も相俟って避けることに成功する

カズマ「蓮子!くそっ、狙撃!」
マイキー「遅いな、そんなんじゃ俺を仕留められないぜ」

マイキーはカズマに攻撃を加えようとするが、キリトが咄嗟に剣で攻撃して妨害。
しかしキリトがそういう〝剣士〟だと知っていたマイキーはそれすらも躱してキリトにカウンターの如き蹴りを放つ

キリト「ぐっ……!」

それはあまりにも重い一撃だったが、幸いにも意識は保てている。戦意も衰えていない

キリト「みんな、気を付けろ!こいつの蹴りはかなりヤバい!」

そしてこの戦況を黙って見過ごせるアルトリアではなく、彼女も他のサーヴァントと同様にシャドームーンに変身した信彦と戦う決意をする

3640名無しさん:2025/05/07(水) 20:39:52
カズマ『そういえばあのアヴェンジャー、変身って言ってから姿が変わったけどお前らの仲間なのか?』

矢車さん『俺は知らないな……』

影山『俺も知らないよ。そもそもゼクター無しで変身出来る奴なんて初めて見たくらいさ』

名護さん(変身だと……?後からやってきたアサシン兄弟といい、どうなってるんだ?』)

信彦の発した変身という言葉に疑問をいだく仮面ライダー勢
それは奇しくも仮面ライダーを仮面ライダーと呼ぶ作品のキャラがいないからこそであった

3641名無しさん:2025/05/08(木) 11:23:43
伊織(くっ、身体が思うように動かない。無頼漢や異形相手ならまだしも、あの頭目を相手には防戦一方にならざるおえない)

盈月の儀では破格の性能を持つヤマトタケルの魔力消費にものともしなかった伊織であったが、同等レベルのアルトリアが3回も宝具を放ったことによる負担が重くのし掛かっていた
その状態でも雑魚相手に無双することはできるが、合間に攻め込んでくるマイキー相手にはその攻撃に対応するぐらいで反撃するほどの余裕を得ることはできなかった
そこをカバーするかのようにカブキが攻撃を仕掛けるが、マイキーはそれをうまくいなして不良たちと入れ替わるように後退する

カブキ「くそっ、ちょこまかと動きやがって。そこの浪人、大丈夫か」
伊織「ああ、なんとかな。助太刀感謝する」
カブキ「そりゃどうも。しかしこのまんまじゃ埒があかねぇ、早くあの野郎をぶっ飛ばしたいところだが」
伊織「その通りだが、この暴徒たちがいる状況では苦戦は必須。他の契約者もあまりよろしくないようだ、ひとまず彼らと合流して態勢を整えた方がいいだろう」
カブキ「仕方がねぇ、仲間を守るのも鬼の務めだ。こいつらを蹴散らしていこうぜ!」

3642名無しさん:2025/05/08(木) 11:25:06
集団戦となり混迷を極める中、ユウキの剣技は些か鈍っていた
元々生死を賭けた争いなんてものを好んでいない彼女にとって、生身のままに襲いかかってくる暴徒や学校で交流してきた魔物・怪人に似ている存在を斬り捨てることに迷いが生じていた
なるべく傷付けないように手加減をして攻撃を加えるものの、その度に相手は血を流し自分の行為に対する嫌気が蓄積していく
戦場にありながらその士気の低さと付け入る隙を見せたがゆえに、死角から放たれたマイキーの強烈な蹴りを受けてしまう

ユウキ「ぐはっ!?」
マイキー「願いを賭けた殺し合いに相手を気遣う余裕を見せるだなんて、とんだ甘ちゃんだな」

一護「ユウキ!!」
信彦「させん!」

ユウキが吹っ飛ぶ様を目撃した一護が彼女の元に駆け寄ろうとするが、その前にシャドームーンが立ち塞がる
他のサーヴァントやマスターは不良や怪人の対応におわれて殆どが救助に向かえない

3643名無しさん:2025/05/08(木) 13:23:17
>>3639>>3642

蓮子「げほっ…がはっ……!」

キリト「クソッ…ライダー頼む!」

万次郎の強烈な蹴りを腹部に受けた蓮子は吐血しながら倒れ込む。このままでは危険な状態なのは明らかだ
見かねたキリトはアリスに処置を任せた

アリス「傷を見せて!」

アリス「システムコール・ジェネレート・ルミナス・エレメント・リコンストラクト・ロスト・オーガン!」

アリスが手をかざした先から暖かな光が溢れ、同時に蓮子の呼吸が落ち着いていく。アリスは神聖術による治癒を行ったのだ

治療が成功したことに胸を撫で下ろすアリスだったがその表情は明るくない。神聖術は力の根源が異なるため、魔力の消費こそないがそのリソースは無限ではない
只でさえ強敵太歳星君からの連戦、何度も味方を回復し続けるのは難しいとアリスは思った

蓮子「はあはあ…死ぬかと思った……」

蓮子「ありがとう…今回ばかりは自分の無力さが恨めしいわ…」

キリト「気にするな。何もできていないのは俺も同じだ」

思うように戦えずに悔しい思いをしているのはキリトも同じである。アバターではなく現実世界の肉体ではこの大集団を相手にするのは困難だ
サーヴァントであるアリスや他の仲間たちに命がけの戦闘を任せきりになっている現状にキリトは不甲斐なさを感じていた

蓮子「それでもやれることを探さないと…ソリテール!」

ソリテール「やあ、危ない所だったね。君の苦しむ顔は初めてみたよ」

蓮子「危なかったのは貴方もなんだからちょっとは焦りなさいっての!」

マスターが消えれば自分も道連れになるというのに相変わらずの調子なソリテールに蓮子は突っ込む。ひょっとして魔族は生存欲求も人間に比べて薄いのだろうか?

蓮子「それはともかく防御魔法って私達を覆えるくらい広く展開はできる?」

突っ込みも程々に蓮子はソリテールに魔法で戦闘力のない自分や傷付いたマスターを保護できないか提案をした
現状で危惧すべきなのはマスターの死亡とそれに伴うサーヴァントの消失による戦力低下。仮に死ななかったとしても怪我人は戦場では足手まといになるし、最悪人質にされる可能性すらある
逆に言えばそういったリスクさえ解消できれば戦況は大分マシになるのだ

ソリテール「出来ないことはないけど防御魔法はそれなりに消費が重いしマスター全員を保護するのは無理ね」

ソリテール「カバーできるのは2人か3人まで。それですら雑魚はともかく防御魔法を展開しながらのアヴェンジャーの相手は無理だけど」

蓮子「そっか…そんなに上手くいかないか…」 

キリト「いや、それで十分だ。蓮子はアサシンに護られててくれ」

落胆する蓮子だが、キリトは焦らず指示を出す。裏を返せば数人のマスターの身を護ることはできるのだ

蓮子「キリト君は?」

キリト「俺はまだ大丈夫だ。俺より他のマスター達を………ユウキ!?」

キリトの目に窮地に陥るユウキの姿が見えた。他の仲間達はアヴェンジャーに阻まれ助けに行けそうもない。キリトの脳裏に目の前で息絶えたユージオの姿がよぎった

キリト「令呪を以て命じる!『ユウキを助けてくれ』!」

貴重な二画目の令呪だが躊躇わず使用に踏み切るキリト。大切な人の命が目の前で失われるのは二度とご免だった

キリト「アサシンと蓮子はここで防御を固めててくれ!俺とライダーはユウキを助けて連れて来る!」

蓮子の返事を待たずにライダーとともにユウキのもとへ向かうキリト
残された蓮子も今の自分に何が出来るか考える。力のない自分に出来ることは――

蓮子「ソリテール、あの集団の何人かを気絶させずに無力化できる?…もしかしたら何かあの主従の情報を聞き出せるかもしれない」

ソリテール「大した情報は持っていないと思うけど。まあ私もそろそろ『お話』を楽しみたかった所だしいいけどね」

戦いが彼らの役割なら自分の役目は太歳星君相手にそうしたように情報を集めることだと蓮子は思う
無論ソリテールの言う通りサーヴァントの真名に繋がるような重要な情報を持っているとは思えないが、僅かでもあのアヴェンジャーの情報を得られれば今も戦っている仲間たちの助けになるかもしれない

各々の決意を胸に戦場はさらなる局面を迎えようとしていた

3644名無しさん:2025/05/08(木) 13:43:12
マヤは轟鬼に変身して異形や不良達を相手にしてたね

マヤ(すごい数だけど……師匠と修行してたおかげで戦える!)

モブ達を倒しながらも、ようやく鬼として人々を守れることを実感するマヤだった
今まで色々な死を見てきたが、マスターのマヤはせっかく鬼の修行をしていたのに無力だったり、メアリーの時のように遅れたりして間に合わなかった

だからこそ仲間たちと共に戦えることが嬉しい

3645名無しさん:2025/05/08(木) 15:18:14
信彦なんだけど、サーヴァント化した影響で生前より強くなってるね
多人数のサーヴァントによる攻撃をスキル化した超感覚器(アラームポイント)や即応触角(センサーアンテナ)で躱し、防御しながらしっかりとカウンターを決める

なにより〝あの頃に戻れるかもしれない〟という聖杯により起こる奇跡に縋っているから覇気が凄まじい

信彦(光太郎。俺はあの頃に戻って、また皆と過ごす。もちろんお前ともだ……!)

3646名無しさん:2025/05/08(木) 15:19:09
>>3642
一護「退けよ!俺はもう誰も失いたくねぇんだ!」

信彦「俺にもお前のような退けない理由があるんだ!」

一護「……やっぱりただじゃ退いてくれねぇか。そうだろうと思ったぜ。――卍解」

卍解をして、斬月が天鎖斬月へと変化する。
黒衣を纏う衣装へ姿も変わった一護を信彦は〝変身のようなもの〟だと認識した

信彦「それがお前の変身した姿か。だが俺や光太郎、怪人達とはまた違う見た目だな」

一護「変身?それは違うぜ」

一護が凄まじい速度で斬撃を加える
これには流石の信彦も回避が間に合わないと考え、シャドーブレードをぶつけて防御することにした

天鎖斬月とシャドーブレードがぶつかり合い、鍔迫り合いする

そこへ戦線復帰したアルトリアが駆け付け、信彦に一撃を食らわせようとしたことで信彦は回避するために僅かにバックステップした

アルトリア(宝具をあれだけ使ったから仕方ないが……やはり動きが鈍くなっているか)

アルトリアは自分の体調が万全じゃないことを改めて実感するのだった
もっとも万全だったとしてもシャドームーンは攻撃を回避するのに成功していただろうが、スキルなどを知らないアルトリアにはそんなことわからない

3647名無しさん:2025/05/08(木) 17:52:35
雨縁に乗り、戦場を駆け抜けるキリトとアリス
令呪を使用したことによりユウキの居る場所まで瞬時に辿り着き、キリトがユウキに手を差し伸べる

キリト「捕まれ、ユウキ!」

ユウキ「わかったよ、キリト!」

ユウキは駆け付けたキリトの手を取り、キリトがユウキを持ち上げることで雨縁に乗せると蓮子が居る場所まで戻る。

キリト「蓮子、ソリテール。ユウキのことを頼む」

蓮子とソリテールは断る理由もなく、了承した

ユウキ「え?でもボクはまだ戦えるよ」

キリト「それはわかってる。……でも俺はもう誰も大切な人を失いたくないし、ユウキが生きることはアスナの願いでもあるんだ」

ユウキ「アスナの願い?それってどういうこと?」

キリト「……それについては、こいつらを倒した後に教えるよ。ユウキにとってもかなり大切なことだと思うから。
それにユウキがこの不良や化け物達に手加減してたのは、わかる。君は俺に勝ったくらいの剣士だからな。……だからこの勝負はユウキにはあまりにも向いてない」

3648名無しさん:2025/05/08(木) 17:53:06
衛宮士郎として優しさを取り戻した美遊兄だけど、不良や異形達のことは容赦なく殺す
異形はともかく、生身の人間を殺すことに多少の嫌悪感はあったが京都聖杯に巻き込まれる前から元の世界で聖杯戦争を生き抜いてきた
その参加者の中には桜の兄すらも居たが、それでも殺した。

ゆえに美遊兄は命を狙ってくる彼らには殺人を厭わない。

美遊兄(見たところ洗脳とかじゃない。こいつらは明確な意思をもって殺しに来てる。……それなら、殺してでも止めるしかない!)

3649名無しさん:2025/05/08(木) 17:55:34
カズマ「『クリエイト・ウォーター』!そんでもって『フリーズ』!」

暴徒達に追いかけられて必死に逃げながら初級魔法の組み合わせでなんとか凌ぎつつ戦況を確認するカズマ
(ちなみに彼の傍に近寄ろうとするヤバそうな異形たちは地獄兄弟が大体対応していた)
そこでマイキーから重い一撃を受けるユウキの姿を目撃して焦るが、直後にキリトとライダーが彼女を救出する場面も確認していた

カズマ「よし、ナイスだキリト!」

彼らが少し離れたのを見届けた後、大きく鳴り響く剣戟の音に誘われて振り向いてみる
するとセイバー達がアヴェンジャーと戦っているのを目撃するのだが、二騎がかりで攻撃しているのに復讐者に有効打を与えられずにいた

カズマ(相当強いのか、あのサーヴァントは!…それじゃあ)
カズマ「アサシン一号二号!セイバー達に加勢してあの銀色鎧を倒してくれ!」
影山「おいカズマ、なんだよその呼び方は」
矢車「俺も気になるところだが、確かにずっと雑魚を相手している場合ではないな。行くぞ、相棒」

この時カズマの周囲にいた敵はあらかた片付いたため、地獄兄弟はクロックアップしてシャドームーンを一気に仕留めようとする

3650名無しさん:2025/05/08(木) 19:48:59
>>3644
鬼として成長しザンキやカブキ程ではなくとも戦えるようになったマヤは不良達を殺めぬように攻撃したりザンキと共に異形の存在を連携して倒したり仲間を助けるために独自に動いたりしていた
しかしマイキーと信彦の元に集結した不良達や異形達は続々と姿を現し、マヤとザンキは各々対応に追われて徐々に離散していく
そんな最中、不良達に取り囲まれたマヤは臆することなく対抗するものの、さすがに物量相手に手数が追いつかず少し押され気味な状況になっていた
ザンキは他のサーヴァント同様に脅威となる異形を退治して助けにこられない中、見かねた美遊兄が不良達を蹴散らしてくれた

美遊兄「大丈夫か?」

美遊兄にしてみれば妹とそう大差がなさそうな少女が苦戦していると思い助けるべく不良たちを斬り倒したのだろう
しかし、目の前で人の命が散りゆく様を目撃したマヤにはどのように映っていたのだろうか

3651名無しさん:2025/05/08(木) 23:16:28
>>3650
マヤ「助けてくれたことは嬉しいけど……殺す必要まであったのかな……?」 

美遊兄「……こいつらは殺さなきゃ止まらない。だから殺したんだけど……子供に見せるような光景じゃなかったな……。悪い……」

マヤ「私はさ、人を守るために鬼になったんだよ!それなのに、こんなのって……こんなのって……!」

美遊兄「……人を守るため、か。お前は優しいんだな……。でも俺はそんな正義の味方になれないんだ。俺の行動が悪だと思われるなら、悪でもいい……」

マヤ「……でも悪人は私を助けようとしないと思うんだ」

美遊兄「……俺には、まだ子供の妹が居てさ。だからお前のことが妹とちょっと被ったのかもしれない」

マヤ「そうなんだ……。まあ人を殺すのは良くないことだと思うけど……悪人じゃないと思うよ。そういえば名前はなんていうの?」

美遊兄「衛宮士郎だ。お前の名前も教えてくれるか?」

マヤ「私はマヤ。条河麻耶だよ!」

3652名無しさん:2025/05/10(土) 16:23:29
>>3649
クロックアップには流石のシャドームーンも抵抗出来ず、地獄兄弟からの猛攻を受けた
そして最後にそれぞれの必殺技を決めるつもりの地獄兄弟だが、矢車さんが待ったを掛ける

矢車さん「待て、相棒。今、あいつに攻め込むのは危険だ。ひとまず距離を開けろ」
影山「じゃあこのセイバー達も……っと!」

影山がアルトリアと一護を両手に抱え、矢車さんと共に後ろに下がる
そしてクロックアップが終わった時、地獄兄弟やアルトリア、一護が居たであろう位置へ信彦はシャドーブレードで勢い良く一閃していた

地獄兄弟の姿は目視出来なかったが超感覚器(アラームポイント)で身に迫る危機を察知して、自分を攻撃するであろう敵にシャドーブレードを一閃していたのだ

ベテランの戦士である矢車さんだから慢心せず信彦がシャドーブレードを真横に動かそうとしているのに気付けたが、もしも気付けなければ二人の必殺技で仕留めきれなければ危うかっただろう
そして矢車さんは未だに優勝狙いだから、用心深く行動したのだ

信彦「少し痛いが、そのくらいだな。そんな半端な覚悟じゃ俺は倒せんぞ」

矢車さん(あのキャスターを倒せば優勝が近付くと思ったが……こいつもかなり出来る。面倒なことになったな……)

そしてクロックアップの多用は出来ない。
矢車さんはそれを〝カズマに負担が掛かる〟と影山に言い聞かせているが、実際は優勝するためにまだ魔力を温存しておきたいというのが矢車さんの本心だ
もっともマスターのカズマの死は自分達の消滅を意味するので、カズマに負担を掛けたくないというのもまた本心ではあるのだが

3653名無しさん:2025/05/11(日) 19:41:22
シャドームーン相手に一護、アルトリア、地獄兄弟が戦っている間、ザンキや名護さんはマスターでは対処しづらい異形の存在達を掃討していて加勢できる状況ではなかったね
ソリテールは蓮子やユウキの護衛に当たっているし、アリスもユウキ救出後はキリトと共に不良や異形の討伐しているようだ

3654名無しさん:2025/05/12(月) 08:14:22
「ちっ、逃げられたか」

現代京都に似つかわしくない飛竜に騎乗し離れていく少年少女の姿を見届けながらマイキーは悪態をつく
剣士みたいな姿の少女ユウキに強烈な一撃を加えてトドメを刺そうとしていたのだが、流石に高速で飛翔してくる巨体の幻想種に対抗する術はなく折角の機会を取り逃したことに苛立ちを覚えるしかなかった

(茅場達がいればもっと楽に戦えるんだが、あの野郎。どうにかして引きずり出せないか)

さらにはこの終局に際しても姿を現さずに傍観を決め込んでいる男とキャスターにも怒りの矛先が向く
如何に軍勢を率いて足止めには成功しても、相手は一騎当千のサーヴァント、そして手練れたマスターを複数相手にしているのだ
マイキーとアベェンジャーが奮闘してもどうにかしてカバーされてしまう程の戦力差がある、せめてこちら側にももう一組味方がいれば戦いやすくなり敵を仕留めやすいと考えずにはいられなかった
しかしないものねだりしても仕方がないと割り切り、マイキーは一度乱戦を俯瞰しつつ己が従者と念話をし始めた

『アベェンジャー、そっちの状況はどうだ』
『少し面倒な奴らを相手している。二人一組のアサシンだ。超高速か時流操作で目にも留まらぬ攻撃を仕掛けてくる。一発一発は対したことのない攻撃だが、その間に必殺技や回避の行動をされると目障りだな』
『そっちも手こずっているんだな。分かった、今から令呪を使う。だから俺たちの願いを邪魔する奴らを仕留めろ!』

「令呪をもって命ずる!感覚を研ぎ澄ませ!敵対者に起こる異常事象に対抗し、その首を討ち取れ!」

念話で戦況を確認した後にマイキーは躊躇いなく令呪を切ると、契約の縁によって伝達する絶対命令がシャドームーンに力を与えた
その効力により超感覚器(アラームポイント)や即応触角(センサーアンテナ)がより強化され、さらにはタキオン粒子が全身を駆け巡るようになる
つまり一時的にだがシャドームーンもクロックアップができるようになり、地獄兄弟の独壇場を崩して攻勢に出ることも可能となった

そして、その光景と自分の手の甲から痣の一部が消えるのを確認したマイキーは再び自分の戦いに戻る
今度はアサシンのマスターであり、何かと支援してこちらの行動を乱し、なおかつ孤立しているカズマを狙いを定めていた

※令呪の効力は地獄兄弟との勝負がつくまで持続しますが、その後は効力が切れる感じ。クロックアップできない相手に一方的な戦いにならないような塩梅です。

3655名無しさん:2025/05/12(月) 14:52:53
>>3654
カズマ「お前なら俺に来るだろうと信用してたぜ!」

カズマは敵感知スキルでマイキーが自分に向かってくることを察知した。しかしこれは想定の範囲内だ。
相手は着実に潰せる奴から潰すだろうと考えていた
カズマはこれでも歴戦の冒険者であり、経験値が豊富なのだ

カズマ「狙撃!」

カズマは狙撃スキルでマイキーの右脚を狙った。まさか右脚を狙われるとは思わずマイキー躱し切れず右脚を少し負傷してしまう

マイキー「……てぇっ!このォ――」

それでもカズマを狙おうとするマイキーだが

カズマ「逃走!」

カズマは逃走スキルを使ってマイキーから逃げ出した

マイキー「おい!お前、それでも聖杯戦争の参加者かよ!」

カズマ「生憎と俺は生きて元の世界に帰りたいだけだからな!それに接近戦は苦手だ!だから――」

カズマが逃走する方角――それは伊織とカブキが居る地点だ。
カズマはずっと突っ立っていたわけじゃない。戦局を把握し、個々の強さを確認していた。
そして接近戦のスペシャリストは彼らだと思ったのだ

カズマ「今、アヴェンジャーのマスターに追われてる!接近戦はお前ら得意だろ?頼んだぜ」

カブキ「とんだヘタレだなァ。まあでも人間を守るのが鬼の仕事だ。わかったぜ!」

また伊織も断る理由がなく、受け入れた

そしてマイキーは動きがカブキより鈍い伊織に蹴りを放つ

カズマ「クリエイト・ウォーター!そしてフリーズだ!」

マイキーは蹴りを放つために片足立ちに一瞬なる。
その瞬間を逃さず、カズマが地面を凍らせることでマイキーは転び、攻撃が不発に終わってしまう

カブキ「やるじゃねえか!」
カズマ「まあ伊達に異世界で経験を積んできたわけじゃないからな」

これがカズマ流の戦い方だ。団体戦でこそ、カズマは真価を発揮する

3656名無しさん:2025/05/13(火) 11:25:31
>>3655
カズマの小賢しいスキルに翻弄されてマイキーは隙を晒してしまい、その好機を逃さず伊織とカブキがすかさず剣を振るう
躱せぬ状況、動かぬ身体、刃がゆっくりと迫る光景を見つめながら、己がしくじりを後悔し――マイキーは死を覚悟した



しかし、マイキーの身体は切り裂かれることはなく
金属同士が激しくぶつかる音が大きく鳴り響いた
瞑っていた眼をゆっくりと見開いたマイキーは、憎たらしげに目の前にいる男に言葉を放った

マイキー「茅場、どういうつもりだ」
茅場「なに、頑張っている君の手助けさ。そう簡単に倒されてしまってはこれまで便宜を図った意味もなくなってしまうからな」
マイキー「だったら、最初から俺達と一緒に戦っていればいいだろう!」
茅場「私としては傍観するつもりだったが、少し気が変わってね」

突如マイキーの前に現われた茅場は構えた盾で剣士と鬼の刀を防ぎ、虚を突かれた二人に向かって剣を振るった
しかして歴戦の猛者たる伊織とカブキは攻撃を防がれた時点で思考を切り替えており、無理に力押しせずに後退することで彼の攻撃を躱した
一旦距離を置いてから前衛を担う二人は手練れの盾使いに警戒する。この時、後方支援に徹していたカズマも増援の登場には驚きを隠せなかった

カブキ「なんだコイツは!一体どこから現われた!イリュージョンってやつか!?」
伊織「茅場…先程の問答で出てきた、黒幕とやらか」

???「黒幕、ねぇ。確かにこの異変の中核にはいるけど、果たしてどうなのかしら」

不意に背後から声が聞こえ、背筋がぞくりとする伊織とカブキ
警戒を怠っていなかった二人は突如として現われた妖しき気配を感じ取り、反射的に刀を振るっていた
しかしその攻撃も結界らしき障壁により防がれてしまい、同時に正体不明な存在の姿を目撃する

紫「まったく、武士(もののふ)というものは容赦がないわね」
伊織「…貴様は、何者だ」
カブキ「どうにも妖しげな雰囲気がプンプンしているな」
紫「キャスター、とだけ言っておきましょう。とりあえず、貴方達には別の場所にいってもらおうかしら」

妖怪の賢者がそう口にするやいなや、伊織とカブキは宙から落ちる感覚に陥ってしまう
それはキャスター・八雲紫が彼らの足元に展開したスキマが原因であり、二人は為す術なく別の空間へと呑み込まれてしまった
そして別の場所、あるいは異空間へと引き離されてしまった伊織とカブキ、すぐ近くには巨体を有するあやかしが彼らを標的として狙い定めていた
カブキにしてみれば魔化魍のような存在、伊織にしてみれば大怪異のような存在であるため、ひとまず二人はそれを対峙することに専念する


※紫のスキマ送りで伊織とカブキは強敵との戦闘する羽目になりました。
 人々を襲う怪異と戦ってきた二人なら倒すことはできますが時間がかかるでしょう。
 ちなみにスキマ空間を維持する魔力消費を抑えるため紫はこの強敵を要石にしています。つまり強敵を倒せばまた元の場所に戻れるでしょう。

※ちなみにカズマをスキマ送りする・しないについてはご自由にどうぞ。

3657名無しさん:2025/05/13(火) 18:05:36
>>3656
紫は小細工が面倒なカズマもスキマ送りにしたんだよね

カズマ「……なんだ、ここ?まさかまた違う異世界に転移されたのか?」

カブキ「わからねェ。とりあえず目の前の魔化魍を倒すしかなさそうだなァ」

カズマ「まあ、そうだな。俺はサポートするから前衛はお前らに任せたぞ」

カブキ「ああ、任せろ!」

一方、京都の方では――

キリト「カズマ!!茅場……お前のサーヴァントはカズマに何をした!?」

ユウキ「カズマ……!どこに行ったの!?」

カズマがスキマ送りにされたことでキリトやユウキは困惑していた

マヤ「あれ?カブキが消えた!?」

またカブキのスキマ送りにもマヤが反応していた

3658名無しさん:2025/05/13(火) 21:09:16
シロッコを倒した夏油も玉藻と共に黒幕戦に参戦したね
辿り着いた時にちょうどカブキがスキマ送りにされて鬼は術師に近しい存在だと思ってる夏油は静かに怒りを燃やす

3659名無しさん:2025/05/14(水) 00:05:44
茅場「やはりここまで生き残ったか、キリト君。それと私の死後、ALOで〝絶剣〟として名を馳せていた天才剣士、ユウキ君。よくここまで頑張った」

キリトとユウキを眺め、茅場――いや、ヒースクリフは二人に惜しみない賛辞を送る

茅場「他のプレイヤー達も、よくここまで辿り着いたよ」

まるでゲームであるかのように聖杯戦争の参加者やサーヴァントを〝プレイヤー〟呼ばわりする茅場

茅場「さぁ、これからがラスボス戦だ。私とマイキーくん、そしてそのサーヴァント達を乗り越えて――願いを叶えたまえ。私達に負けるようでは、残念ながら君達の願いは叶えられない」

マイキー「茅場、お前どっちの味方だよ!」

茅場「もちろん私はマイキー君達の味方だ。――だがGGOのプレイヤー達やアスナ君が脱落したのは残念だな」

3660名無しさん:2025/05/14(水) 19:16:17
>>3659
「え?」

――アスナが脱落?
茅場晶彦の言葉を聞いた瞬間、ボクは思わず動揺してしまった。

「アスナが脱落したって……どういう、こと……?」

ボクがキリトにそう聞くと――キリトは悔しそうに歯噛みしながら、俯いていた。

そういえばキリトはボクが生きることがアスナの〝願い〟って言ってた。
それに茅場の言葉を合わせると――キリトの言葉の真意が読み取れた気がする。

「もしかしてアスナはこの聖杯戦争に参加して、死んじゃったの……?」

ボクの言葉に、キリトは首を縦に振る。

キリト「……ごめん、ユウキ。アスナはサーヴァントとして召喚されて、キャスターのヤツに殺されたんだ……。俺が、もっと早く間に合ってれば……!」

ユウキ「そん、な――」

まさかアスナがサーヴァントとして召喚されてたなんて。
その願いが〝ボクが生きること〟だなんて。

茅場「アスナ君はキリト君とユウキ君の真価を発揮するために重要な存在だ。だからサーヴァントとして召喚されるように、私が仕組んだ。……だが安心するといい。アスナ君はあくまでサーヴァントだ。君達の世界のアスナ君には何にも関係ない」

ユウキ「そうだね……。サーヴァントならたしかにボク達の世界のアスナは無関係かもしれないよ。でも――」

サーヴァントのアスナと実際のアスナは無関係。そんなことはわかってるよ。
でも、だからって――サーヴァントだって生きてる。アスナはこの世界で精一杯生きた。一護もこの世界で必死に生きてる。

そんなみんなを――〝サーヴァントだから〟の一言で済ませたくない。
だからボクは――理屈じゃなくて心に従うよ!

「サーヴァントだって生きてる!それなのに、まるでサーヴァント達を道具みたいに言うことは絶対に許さない!茅場晶彦――お前はボクが倒す!」

――この相手には手加減しない。
アスナやキリト――みんなを巻き込んだこの元凶だけはボクが倒す!

キリト「俺も一緒に茅場と戦うよ、ユウキ。あいつのやってることは――俺も許せないんだ」

茅場「それでいい。これこそが私の望んだ〝聖戦〟だ」

3661名無しさん:2025/05/14(水) 19:17:27
(ごめん>>3660は仮投下スレに仮投下するつもりが誤爆した)

3662名無しさん:2025/05/15(木) 11:46:39
>>3645
令呪によりクロックアップができるようになったシャドームーンは、早速体内のタキオン粒子を励起して2人1組のアサシン達へと向かって行った
このあり得ざる神秘の力が一時的なものでありいつまで保つのか分からないため、地獄兄弟に余計な行動をされる前に仕留める必要があったのだ
一方、シャドームーンのクロックアップに呼応してキックホッパーとパンチホッパーもクロックアップするが、装着者たる矢車と影山は驚きを隠せなかった

影山「あいつ、なんでクロックアップできるんだ!」
矢車「令呪の力で一時的にできるようになったのか!クソ、厄介だな」
信彦「まずは目障りなお前達から消し去ってやる」

こうなっては優勝を狙うために力を温存する訳にもいかず、矢車は影山と連携して攻めてくるシャドームーンに対応する
一護やアルトリアが感知できぬ時流の流れにて一進一退の攻防を繰り広げる三者であるが、地獄兄弟の手数の多さを研ぎ澄まされた知覚で捌ききり的確に反撃するシャドームーンの方が徐々に押し始めていた
やがて攻撃を見切ったシャドームーンがシャドーブレードで切り裂き、それをもろに受けてしまった矢車と影山は盛大に火花を散らしながら吹っ飛ばされてしまう
だがそれで矛を収めることなく、シャドームーンは即座に追撃となるシャドーキックを放ち矢車を亡き者にしようとした

影山「兄貴は、やらせない!」
矢車「影山!?」

だが、同じく負傷していたはずの影山が深い絆で繋がっている大切な兄貴を守るべく、力を振り絞って立ち上がっり矢車の前へと割って入りこんだ
そしてシャドームーンの必殺技を矢車の代わりに喰らってしまい、間もなく爆発四散してしまった

矢車「影山ぁぁぁーーーーー!!!!!」

【影山瞬@仮面ライダーカブト 消滅】

3663名無しさん:2025/05/15(木) 12:41:53
>>3660は許可出たので通しということにしてください)

3664名無しさん:2025/05/17(土) 09:31:28
>>3658
(あの耳に尻尾、藍と同じ狐の妖怪のようね。それにしては尾の数が少ないけれども、九尾の状態ではサーヴァントという枠には収まらないから本数を減らされた状態で現界しているのかしら?)
(それに、あの鏡と雰囲気。狐の妖怪以外の要素がありそうだけど…ふふふ、一体なにかしらね?)

茅場達が登場後に遅れて参じた玉藻の前を見て、妖怪の賢者たる紫はその容姿に注目してその素性と謎に興味を抱いていた
なにせ使役している式神・八雲藍と同じ妖獣とそっくりなのだから、九尾の狐に思い至るのは自然なことであった
ただし、「人間に興味を持った日本神話に主神である太陽神・天照大神が、記憶を消して人間に転生した存在」という独自設定を引っ提げている玉藻の前であるため、そこら辺までの事情を一発で見抜くには至っていなかった

余談だが、本来の八雲紫であれば強力な式神である「八雲藍」を使役できる
しかし今の彼女はサーヴァントの身であり、強大な力を持つ九尾の狐を引き連れられる程のスペックを与えられなかったがために此度の聖杯戦争では式神の八雲藍を召喚できなかったようだ

3665名無しさん:2025/05/17(土) 23:01:28
>>3660
ユウキ「やぁあああ――!」
茅場「なるほど、これが〝絶剣〟の攻撃か。噂に違わぬ実力だ」

ユウキの怒涛の攻めを、ヒースクリフは盾で防ぐ
ユニークスキル〝神聖剣〟は健在であり、流石の〝絶剣〟でもこの守りを崩すことは難しい
加えて茅場は血盟騎士団の団長として戦ってきた経験がある。もっともシステムの保護で敵からの攻撃でHPが0にならないように小細工していたが、その実力は非常に高い。

そしてユウキと同時に攻撃を仕掛けてくるキリトに少々、茅場は驚いた

茅場「噂には聞いていたが本当にソードアート・オンラインのスキルを身体が覚えてるようだね、キリト君」

3666名無しさん:2025/05/17(土) 23:02:12
ソリテールはモブの不良や異形達と『お話』した結果、アヴェンジャーがかつて『護流五無(ゴルゴム)の一員だと判明した
それを蓮子に伝えると、蓮子はアヴェンジャーの攻略のヒントを他の主従に伝えるためにその情報を叫んだ

しかし新たに乱入してきたキャスター達のことをモブ達は全く知らず、そちらの情報は得られなかった
そしてカブキ達がスキマ送りにされたのを見てソリテールの知的好奇心が刺激され紫と『お話』したくなるように思う

3667名無しさん:2025/05/17(土) 23:02:53
>>3662
ここに来て影山を失った矢車さんはシャドームーンに憎しみを募らせる
ちなみに影山が死亡したことで令呪の効果は切れ、シャドームーンはクロックアップが不可能になった

しかし矢車さんは手負いであり、魔力の消耗を考えるとクロックアップは多用出来ないとマイキー及びシャドームーンは判断。しかも何やら虚空に向かってブツクサと呟いている

そこでこの中で一番弱ってるアルトリアをまずは排除しようと考えたシャドームーンは一護の攻撃を回避しつつ、遅れてやってきたアルトリアの攻撃を必要最低限の動きで躱し、シャドーブレードでアルトリアを切り裂き、大ダメージを与える

一護「――ッ!避けろ、セイバー!」
アルトリア「私は大丈夫で――」

大ダメージを受けたことで反応が遅れたが、眼前にはシャドーキックを放つシャドームーンの姿
それをモロに受けたアルトリアは爆発四散してしまった

一護「アヴェンジャー……テメェ、どこまで殺したら気が済むんだ」

信彦「俺には叶えたい願いがある。そのために戦うのが聖杯戦争だろ?」

一護「ふ、ざけんな!」

またここに来て玉藻の前は夏油と共に紫と戦うことに決めた
夏油としては呪術師に近いであろうカブキがスキマ送り(=夏油視点から見ると死亡したようにも見える)にされたことで紫に対して静かに怒りを燃やしているのと、放置すると危険なサーヴァントという合理的な判断の結果だ。
幸いなことに今回は呪術が効く相手だ。玉藻の前の本領発揮が出来るだろう

【アルトリア・ペンドラゴン@Fateシリーズ 消滅】

3668名無しさん:2025/05/18(日) 08:26:20
ソリテールも紫戦に参加して弾幕ごっこならぬガチの弾幕戦になってたね

3669名無しさん:2025/05/18(日) 08:58:06
異形の集団の大部分を片付けたザンキさんも紫討伐に動き出したな
見た目は人間そのものだけど魔化魍に近い気配を感じ取ったらしい

3670名無しさん:2025/05/18(日) 11:35:27
茅場達が割り込んだ頃には、モブ達はマスター達だけでも対処出来るくらいの数までだいぶ減ってたんだよね

3671名無しさん:2025/05/18(日) 16:40:42
>>3669
同じ鬼であり、マヤと仲が良かったカブキに危害を加えられたのも理由だったね

マヤ『師匠……。カブキが、あのキャスターに何かされちゃった!』

ザンキ『落ち着け、マヤ。何人かのマスターが行方不明になったがサーヴァントは無事だ。きっとあのキャスターのスキルか、宝具だろ。あのキャスターを倒せば戻って来ると、俺は思ってる』

それは熟練の戦士としての〝勘〟だった

3672名無しさん:2025/05/18(日) 16:42:11
>>3666
名護さん「何?ゴルゴムだと!?ならばアヴェンジャーは、シャドームーンだというのか!」

名護さんはゴルゴムや護流五無(ゴルゴム)の知識を聖杯から与えられてる。
ゆえにシャドームーンの情報も齎されており、アヴェンジャーの特徴はシャドームーンと見事に合致していた

しかしシャドームーンは並行世界に複数存在しており、どのシャドームーンかまでは特定出来ていない
流石に護流五無(ゴルゴム)のシャドームーン――秋月信彦が〝変身〟するシャドームーンという情報までは聖杯から与えられてなかったのだ

矢車さん「シャドームーン。お前が俺の相棒を……!」

そして矢車さんもシャドームーンに怒りと憎しみを募らせるが、彼の実力を知っているがゆえにそう簡単に倒せないことも理解してしまっている

そして茅場が現れるまで、キリトの傍で戦いを見守っていたアリスが口を開く

アリス「シャドームーンはまるで相手の行動を先読みしているかのように戦っていました!そこに勝ち目があるのかもしれません!」

矢車さん「先読みか……。だが俺のスキルや宝具にそれを対処する術はない……」

悔しそうにやさぐれた態度で矢車さんが零す

一護「たしかにあいつは天鎖斬月の軌道を読んでるみたいだった。なかなか厄介だな……」

アリス「そこで私に秘技があります。――武装完全支配術(エンハンス・アーマメント)!」

瞬間、金木犀の剣の刀身が黄金色の花びらになる。
攻撃を先読みされるなら、それでも対処出来ない広範囲攻撃を。それこそがアリスの願いだった

事実、超感覚器(アラームポイント)や即応触角(センサーアンテナ)は反応したが信彦に出来たことは、少しでもダメージを減らすための防御のみ。

しかし武装完全支配術(エンハンス・アーマメント)はアリスの必殺技ともいえる技術であり、あまり連発するとマスターであるキリトへの負担が大きいのがネックだ

3673名無しさん:2025/05/18(日) 18:12:27

「さて、そろそろ動かなきゃねえ。茅場が色々とうるさいし」

周囲を俯瞰しながら宙に浮いていた紫がゆっくりと戦場に降り立つ
アヴェンジャー達が率いていた集団は既に半壊状態。茅場晶彦は因縁のある者達と戦闘に入った
ここでいよいよ最後のサーヴァントが戦いに介入しようとしていた

近くに降り立った新手のキャスターの顔を見て蓮子は驚愕した
今までは遠目でよく見えなかったが、その顔が見覚えのあるものだったからだ

「……メリー……?」

呆然と呟く蓮子。新手のキャスターの顔は彼女の相方にして親友であるメリーことマエリベリー・ハーンにあまりにもよく似ていた

「あらあら、私の顔に何かついてるかしら?」

「蓮子、あのキャスターに見覚えでも?」

まじまじとキャスターを凝視する蓮子にソリテールが声を掛けた
聡明な彼女らしくもない反応に興味深く思うソリテールだが、流石に戦場で呆けていられては困る
ソリテールの呼びかけに蓮子もはっとした

「ご、ごめん…ちょっと知り合いに似てただけ…私の勘違いだったみたい」

頭を振りながら意識を切り替える蓮子
確かにキャスターの顔はメリーに似ているが髪の長さなどは異なるし、何より漂う雰囲気が違いすぎる
妖しげで胡散臭いキャスターのそれとのんびり屋で少し抜けている所があるメリーでは似ても似つかない。偶然顔が似ていただけだろうと蓮子は結論づけた

「そうそう、駄目よ気を逸らしてたら。せっかくのラスボス戦なのに」

「ふん、随分と余裕ですねえあれだけのことをやっておいて…!」

紫の飄々とした態度にこの場のもう一人のキャスターである玉藻の前が怒りを見せた
自身のマスターである夏油ははっきりと言葉に出さずとも目をかけていたカブキが奪われたことに怒りを抱いている。マスターの怒りは玉藻自身の怒りである

「ああ、私がスキマ送りにしたマスター達ならご心配なく。あの子達はまだ生きているわよ。彼らのサーヴァントが消滅していないのが何よりの証拠」

――最も帰って来られるかは彼らの努力次第だけど

不穏な一言を入れつつ事実を述べた紫はさらに続ける

「それに余裕も何も私は茅場の酔狂に付き合ってあげてるだけだもの」

「酔狂ね。茅場とやらは結局何が目的なのかしら」

紫の発言にソリテールは疑問を呈する
茅場晶彦なる人物の行動ははっきり言って支離滅裂だ
状況からいってアヴェンジャー達を差し向けたのは茅場だろう。しかし、アヴェンジャーを勝利者にしたいのであれば最初から共闘すればよいのにそれをせず、
共倒れを狙って聖杯を独占するにしても中途半端な戦況で介入するという非効率的なことをしている
その上、先程見せたキャスターの能力からしてマスターを容易に暗殺することが可能だろうに、態々何人かを拉致して分断などというこれまた回りくどいことをさせている

マスターの何人かは茅場晶彦を知っていたそうだが既に戦闘に入って事情を聞けそうもないため何がしたいのか全くソリテールには見えてこなかった

「そうね…せっかくの機会だしここでネタばらししておきましょうか。"ラスボス戦"を前に何も分からないままじゃ締まりが悪いでしょうし」

へえ、と目を細めるソリテール。思いの外、目の前のキャスターは話したがりらしい。お話を楽しみたいソリテールにとっては願ったり叶ったりである
臨戦態勢に入っていた玉藻の前やザンキ達も重要な情報に耳を傾けざるを得なかった

「一部のマスターや茅場の姿を見て察している者もいるかも知れないけれどここは現実世界ではない。そして地球上ですらない」

「ここは地球から約38万km離れた天体――月に座す古代遺物(アーティファクト)、ムーンセル・オートマトンが創り出した仮想空間の中よ」

3674名無しさん:2025/05/18(日) 18:59:36
>>3662>>3667
スキマ空間で強敵と戦っている3人は前衛と後衛に分かれて上手く戦っていたが、やはり一筋縄で倒せる相手ではなく少しダメージを負っていても未だ健在であった
そんな最中、伊織とカブキをサポートしようとしていたカズマが疲労感に襲われ膝を突く

カズマ「ぐっ…あいつら、派手に宝具を連発してるのか…っ!」

急激に生命力を奪われる感覚に襲われ前後不覚に陥るカズマ
彼のサポートが失われた事により魔物が勢いを増し、同じく疲労状態の伊織を撥ね除けてカズマに襲いかかろうとする

が、寸前にカブキが割って入り化物の攻撃を受け止め、未だ不調のカズマに声を掛ける

カブキ「おいお前、大丈夫か!?」
カズマ「た、助かったぁー…ありがとうな、えーっと…緑と赤の変な奴」
カブキ「カ・ブ・キ、だ!てめぇはとっととどっかに退きやがれ!」
カズマ「あぁ、ちょっと気怠いけどそうするぜ。ちなみに俺はカズマ、覚えといてくれよな」
カブキ「なんでこんな状況で自己紹介してるんだよ!」

カブキが変身音叉を用いて敵と戦う合間にカズマは少し苦しげながらも彼の邪魔にならないように退避し、一旦様子見をする
地獄兄弟の状況が分からず、念話での情報共有を試みても何故か交信ができない、これはこの異空間による影響なのだろうか?
一方アサシンとの繋がりは残っているように感じ、一時は激しかった魔力消耗も今では小康状態に落ち着いている
しかし、また彼らが宝具を使うようならば自身が再びガス欠状態に陥るかもしれないという心配もあり、目の前の戦いにおいて安易に魔法を使うわけにはいかなくなった
せめて暴れている怪物が大人しくなった時にドレインタッチで魔力を奪えればこの欠乏状態を解消できるのだが……


一方、怪異に吹き飛ばされた伊織は何とか立ち上がり二本の刀を構え直す
幸いにして追撃されることはなかったが、やはりこの状況の不味さを痛感せざるおえなかった
とにかくあの強敵を倒さなければこの状況を打開できない、ゆえに足を踏み出そうとしたその直前に伊織は感じ取ってしまった

自身と契約しているサーヴァントとの縁が消えてしまったことを

伊織(そうか、セイバーは…)

この数日間を共にした異国の少女にして高潔なる騎士道を体現した剣士、この京都聖杯戦争にて共に戦った相棒の姿を見ることなく喪った感覚だけを得たことにもの悲しさを感じていた
かの者が振るうは華麗にして他を圧倒する剣技であり、己が師匠や盈月の儀のセイバーと時と同様に剣を極めようとする身としては見とれてしまい、同時に超えてみたいとも思っていた

伊織(すまない、セイバー…貴殿の分まで、後は俺が戦い抜こう!)

己が力不足ゆえに彼女に負担を負わせてしまったのではという責任感を抱きつつも、サーヴァントを喪い聖杯戦争の勝者になりえなくなったとしても、宮本伊織は生き抜くために戦うことを選び取った
未だ身体が鈍っている感覚が抜けきらないものの、セイバーへの魔力供給がなくなったことにより幾らか楽になり、標的に向かって素早く駆け抜ける

伊織「カブキ殿、遅れてすまない。一気に片を付ける、一旦離れてくれ」
カブキ「なんだ、とっておきでも見せてくれるのか?」
伊織「あぁ」
カブキ「よし分かった、なんだか知らないが任せた!」

先の不良集団との戦いで共闘した際に名前を把握していた伊織はカブキに合図を送り、カブキも見物とばかりに化物から一旦距離を置く
代わりに伊織が二、三撃ほど打ち込み敵の注意を引きつけたところで、伊織は日本の刀を手にした両腕を交差させて必殺奥義を放つ

伊織「秘剣・燕返し 比翼の段」

それは、全く同時に繰り出される六つ斬撃による絶巧絶技
これにより堅牢な外殻を貫き・破壊し、強烈な一撃を受けた怪異は一時的に気絶してしまった

伊織「ぐっ…後は、たのんだ」

そして秘剣を放つのに気力を使った伊織もまた、これまでの疲労やダメージが祟って気を失い倒れてしまった

3675名無しさん:2025/05/18(日) 19:00:09
>>3674
カズマ「えっ、えっ…?一体何が…?」

伊織が奥義を放つ一瞬を見ていたカズマは何が起こったのか理解が追いつかずに驚くしかなかった
一方鬼として闘い続けていたカブキも全ては理解できているわけではないものの、それがとてつもない絶技であることを感じ取っていた

カブキ(あれが、伊織の秘剣…はは、俺が鬼ならば、あいつは剣の鬼、ってか)

もしマスター同士で戦う際にあの秘剣を使われていたら…躱すことは不可能であり、防ぐのも困難であっただろうとカブキは内心思っていた
そもそも一時的に共闘していた際にも魔化魍を倒す鬼と遜色ない武士であり、そこはかとなく異様さみたいな気配と感じてはいたのだが
ともあれ、今は味方として強敵をノックダウンさせてくれたのだ、この好機を逃すわけにはいかなかった

カブキ「行くぞ、カズマ!ここでケリを付けるぜ!」

3676名無しさん:2025/05/18(日) 19:55:53
呪詛師の類縁であり自身と同じような気配を隠し持つカブキをスキマ送りにした黒幕のキャスター(八雲紫)、そのマスターである茅場を許すわけにもいかず
黒幕のキャスターの相手を玉藻の前に任せて、夏油はそのマスターを討ち取ろるべく動き出したが

マイキー「おっと、そうはさせない!」
夏油「くそっ、只の猿が邪魔をするな!」

マイキーが夏油を蹴り飛ばそうとしてきたため、やむなく夏油は游雲で受け止め彼と交戦することになってしまった
この時マイキーといては不本意ながらも一応は助けられた義理もあるため、茅場が因縁の相手と戦うのを邪魔させないように夏油を妨害したのだ
ついでにいえばシロッコ戦の負傷を残したままなの夏油ならば倒しやすいのではとマイキーは考えていたが、やはりそう易々と事が運ぶことはなかった
この程度の手負いであれば数々の呪霊と戦ってきた夏油にしてみれば少しハンデであるという認識であり、呪霊なしでも体術と游雲でマイキーと互角に戦っているのであった

余談だが、>>3670のようにモブ不良達の相手をマヤと美遊兄が担っているため彼女彼らはまだしばらく黒幕戦に参加できないようだ

3677名無しさん:2025/05/18(日) 22:04:28
>>3673

ここで紫の口から今回の聖杯戦争が行われた理由が明らかになるんだよね

茅場はSAO事件後に電脳世界に自身のデータを写した際に、偶然異なる世界まで観測領域を広げたムーンセル・オートマトンによって拾われ聖杯戦争の舞台に招かれてしまう(茅場晶彦候補話より)
キャスターである八雲紫を召喚した茅場はあらゆる手を尽くして聖杯戦争に優勝。願いを叶える権利を得る

元の世界に戻ることも可能だったが、元々異世界に恋い焦がれていた茅場は様々な異世界を観測しつつ人間の可能性を試すためにムーンセルと契約して聖杯戦争の運営と観測に携わることになった

茅場は次の聖杯戦争として自分自身で参加者を選定、紫の境界操作を利用することで霊子ハッカーの素養がない人間もムーンセルに招き入れることが可能になった(夢の世界を通して各マスターの精神だけをムーンセルに招いた…らしい)

茅場は目をつけたマスター候補の中で最も願いへの渇望が強かったマイキーこと万次郎に接触。彼と秘密裏に交渉を行って『シード枠』として参加させた

また、太歳星君のような強大な神霊を召喚させたのは各々願いを持つ主従が強敵を前に協力し合えるのか『中ボス』としての役割を充てがったというのが真相。そして『中ボス』が倒されるまで万次郎はシード枠として身を潜めることを許すという契約を茅場と交わした

また万次郎が他の参加者に先んじて召喚したアヴェンジャーの希望により茅場は聖杯戦争の舞台は人間と人外が住まう世界として設定した
アヴェンジャー曰く手駒を増やして聖杯戦争を有利にするためとのことなんだけど本音としては人と異種族は本当に相容れないのかムーンセルにシミュレートさせたかったかららしい
……結果は見るも無残、人とそれ以外で対立し合う環境になってしまい信彦は優勝する決意をさらに固めることになった

以上が紫の口から語られた聖杯戦争の実態である

3678名無しさん:2025/05/19(月) 09:44:43
>3675
カズマ「あー、もう!なにがなんだかわからないけど、しょうがねぇなあ!」

気絶した怪物に対してカズマが近付いていく。念の為にカブキという護衛をつけて。
そして気絶した怪物の眼前まで来ると、カズマは容赦なくドレインタッチして魔力を吸収。必然的に気絶している怪物は弱る

カズマ「これで弱くなったはずだ!カブキ、後は任せた!」

カブキ「任せろ!」

そしてカブキは音撃打 業火絢爛により怪物を撃破、三人は元居た場所に戻った

カズマ「アサシン兄弟、ユウキ、キリト、蓮子〜。戻ったぞ――って何かすごいことになってんな!」

ユウキ「ごめん、カズマ!今は話してる余裕がないんだ!」

カズマ「そりゃ見ればわかるって……」

3679名無しさん:2025/05/20(火) 09:45:32
カブキ達が戻って来るまでの間の話

>>3676
夏油は焦る気持ちでマイキーを早急に排除しようとした
しかし夏油は知らないことだが運の悪いことに相手は〝無敵のマイキー〟だ
精神的に焦り、シロッコ戦の負傷がある夏油の動きは本来より鈍い
そして優勝という確固たる目標と、そのために夏油を仕留めようと殺意を剥き出しにするマイキーでは必然的に差が出てくる

夏油の認識不足、負傷、焦りなど様々な要因により精彩を欠いた夏油の腹に核弾頭のようなマイキーの蹴りが見舞われ、夏油の口から胃酸が溢れ落ちる

夏油「ただの猿だと思ったら、なかなかやるようだな……」

マイキー「当たり前だろ。俺は〝無敵のマイキー〟だ。ダチや妹を生き返らせる願いを持つ俺とお前じゃ背負ってるもんが違うんだよ」

夏油「背負ってるもの、か……。今の私も多少は背負ってるつもりなんだけどね……!」

3680名無しさん:2025/05/24(土) 18:59:26
>>3677
「これが今回の聖杯戦争の実態よ。理解できたかしら?」

扇子で口元を隠しながら語り終えた紫を前に暫し沈黙する蓮子達。あまりの突飛な情報を受け入れるのに彼女達も時間を要した

「……正直色々と言いたいことがあるけどここが仮想空間ならまさか京都の結界って…」

「察しの通りムーンセルが設定した世界の境界線ね。この京都の外なんて最初から存在していない。違和感のないようにNPCとして造られた住民には記憶にロックがかかっているけど」

「成る程、私達(サーヴァント)にまでムーンセルについての知識にロックがかけてあったのはマスターのより自然な反応を茅場が見たかったからかしら」

「そして、増加した"凶暴な魔物"の正体。これは例のアヴェンジャーの手勢のことね」

「うふふ、御名答」

蓮子とソリテールの推察に満足そうに頷く紫。さらに"聖杯"の核心について紫は語り出した

「疑っていた子もいるからもう一つだけ言っておくけど聖杯の機能は本物よ。聖杯の正体はムーンセルの使用権。人間が想像する範疇の願いであればいくらでも万能の願望機として機能させられますわ」

「待て」

やる気が出てきたでしょ、と胡散臭い笑みを浮かべながら話す紫にザンキが待ったをかけた。表情こそ変身しているため見えないがその声には静かな怒りが籠もっている

「マヤは…俺のマスターには他人を犠牲にしてまで叶えたい願いなどない。なぜ彼女を聖杯戦争に巻き込んだ」

「あら? うーん、茅場は強い渇望や願いを持つ人物を集めたと言っていたけど……」

ザンキの問い掛けに暫し考え込む紫。その素振りから本当に理由は知らないらしい。僅かな沈黙の後、目を細めながらザンキに答えを返した

「私は参加者の選定には関わっていないから想像になるけど、その子が内に願いを隠しているのでなければ或いは―――」


「―――巻き込まれただけの人間を自分の願いのために犠牲にするのかどうか茅場は知りたかったのかもねえ」

「何だと……!」

紫の回答に激怒するザンキ。真意はどうあれ茅場晶彦は筋金入りの狂人には違いないとザンキは判断した
百歩譲って願いのために戦う意志を持った者同士で争わせるならまだしも、平穏に生きていた無垢の人間を巻き込むなど断じて許すことはできない

「あらあら、そんなに怒らないで頂戴。マスター想いの貴方に朗報もあるのよ」

「私達とアヴェンジャー主従を倒した後、本心から願えばこの聖杯戦争からログアウト…つまり生きて離脱することが出来る。その場合は願いを諦めることになるけどね。何でも茅場曰く自分達に勝った者には等しく然るべき"報酬"が渡されるべき何ですって。彼、基本的に理不尽だけど変な所でゲームを律儀な設定にするのよ」

「最も……脱出にせよ優勝にせよ私達を倒すことが出来ればの話だけど」

薄気味悪い笑みをうかべていた紫だがパチンと扇子を閉じ、腰掛けていたスキマから立ち上がる
その瞬間、夜の闇が一層深まった錯覚を蓮子達は覚えた。話はここまでということだろう

「ふん、言われなくてもやってやりますよ。優勝するのは私の御主人様。ラスボスっぽく振る舞ってるけどお前達なんてただの通過点に過ぎません!」

玉藻の前の目的はマスターを支え、優勝に導くこと。聖杯戦争の真実を知ってもその意志に一点の曇りもない。むしろ聖杯が"本物"であることを知ったことでさらにやる気に満ち溢れている

「必ず俺はマヤを生かして帰す。そのために茅場晶彦は止めてみせる!」

ザンキには最初から願いはない。悔いのない最期を迎えたが故に。今の彼は新たな弟子となった少女を生かして帰す、ただそれだけを考える

「もう少し楽しみたかったけど、仕方がないわね。せっかくだから君の死に際の言葉でも聞かせてもらおうかな」

ソリテールは一切ぶれない。聖杯戦争が始まってから今に至るまでその胸にあるのは利己心のみ。魔族とはそういう生き物である

戦意に満ちた三騎のサーヴァントを前にしても紫の不敵な態度は変わらずその笑みを深めた

「果たして貴方達はこの夜を乗り越えることが出来るかしら―――さあ、本気で愉しみましょう」

3681名無しさん:2025/05/24(土) 21:47:41
>>3680 
紫との戦いではキャス狐とソリテールが後衛、ザンキさんが前衛で戦っていたな
太歳星君戦である程度互いの戦闘スタイルが分かっていたから自然とそうなっていた
一方で紫は…

紫「まずは小手調べね。幻巣『飛光虫ネスト』」

紫の背後に生じた大量のスキマから無数の弾幕が3人に襲い掛かった

3682名無しさん:2025/05/25(日) 01:14:11
『カズマ!』

スキマから戻ってきたカズマに、矢車さんが念話で声を掛ける。
そこには悲哀やアヴェンジャーに対する憎しみが込められており、瞬時に周りを見渡したカズマは1つのことに気が付く

『矢車……影山は、まさか――』

『ああ。相棒は逝った。こんな俺を庇ってな……』

矢車さんは虚空を見上げ、哀しく呟いた

3683名無しさん:2025/05/25(日) 13:40:59
>>3681
「おっとぉ!?」
「チィッ……!」

無数の弾幕を前に玉藻は呪層・黒天洞による防御に徹し、ザンキは弾幕を烈斬で切り払う。しかし、防げど防げど弾幕の雨は止まず反撃に移れない

「あらあらもうギブアップかしら?」

これ程の魔力の放出を続けながらも紫には疲労一つ見えない。このままでは圧倒的な物量に押し潰されてしまうだろう

「これが君の戦い方? 随分と無駄が多いのね」

だがソリテールのみこの場のサーヴァントで余裕を保てていた
紫が放った光弾は数こそ圧倒的に多いが太歳星君の消滅の凶星と異なり一発一発の威力は然程でもない。ソリテールが戦闘時身に纏う魔力の防壁で十分防ぎきれるものであった

「それじゃあ、今度は私のやり方を見せようかしら」

ソリテールの手に小さな光球が浮かび上がる。紫の弾幕に比べれば弱々しく見えるが、その光球には恐ろしい程の魔力が籠められていることに見る者が見れば気付くだろう。自身の魔力を極限まで圧縮したそれをソリテールは紫にかざし──


──一筋の閃光が弾幕を突き破った


轟音とともに土煙が舞い上がり、紫の姿が見えなくなる。同時に弾幕の雨も止んでいた
今の一撃は大魔族が持ちうる魔力を可能な限り圧縮して敵に放つシンプルだが強力なソリテールの切り札。さしもの紫も大きなダメージは避けられないと思われたが………

「あらあら何とも単純な突破方法ねえ」

………土埃から現れた紫には傷一つついていなかった。前方に編まれた四重の結界がソリテールの一撃を防いでいたのだ。自身の誇る最強の魔法を事もなく受け止められたことにさすがのソリテールも僅かに顔を顰める

「様々な魔法を学んだけど結局これが私にとっての最強の魔法だったのよ。皮肉でしょう?」
「強力なのは認めるけど美しさでは落第点ね──おっと」

他の二騎も黙って成り行きを見ている訳では無い。玉藻は呪術による炎や氷の嵐を、ザンキは紫の死角に回り込みに音撃斬を叩き込もうとする
しかし、玉藻の攻撃はソリテールと同様に防がれザンキは結界そのものに強烈に弾かれ吹き飛ばされる。紫の代名詞でもある『四重結界』は攻防一体の技なのだ

「むう…思ったより手強いですねぇ……!」

三騎がかりで予想以上の苦闘を迎えていることに歯噛みする玉藻
太歳星君のような分かりやすい圧倒的な暴力はないが、紫の変幻自在の戦い方に太歳星君とはベクトルの異なる厄介さを感じていた。残念ながら後先考えて勝てる相手ではないらしい

「仕方がない、掟破りの出血大サービス第二弾!もう一回私の宝具を披露してやりますから、私の御主人様のためにも死ぬ気で頑張りなさい!」


出雲に神在り、是自在にして禊の証、神宝宇迦之鏡也――『水天日光天照八野鎮石 』!

3684名無しさん:2025/05/25(日) 18:32:17
>>3683
キャス狐の援護を受けてザンキさんとソリテールもさっきより紫の動きに対応できるようになっていたな
さすがの紫も宝具バフを受けたサーヴァントの全力の攻撃を結界で受け止め続けるのは難しいから回避を中心に立ち回るようになっていた

そんな中ザンキさんは紫が自分の攻撃、特に音撃武器である烈斬によるものはかなり慎重な回避を行っていることに気づいた
敵はやはり魔化魍と同じ"魔"に属するサーヴァントであると確信したザンキさんは、未だ有効打をあたえられていないが元々脆弱な肉体で召喚されるキャスター、必殺の音撃斬を直撃さえさせれば勝機はあると判断していた

紫「貴方が一番厄介かもしれないしそろそろ座に帰ってもらおうかしら」

一方で紫もザンキさんをこの場で最も厄介なサーヴァントとして優先的にターゲッティングしていた

3685名無しさん:2025/05/28(水) 00:09:20
>>3682
『カズマ……。俺の最期の願いだ――』

矢車さんはこれまで利己的な理由。というよりも影山のために戦ってきた。
だが影山は最期まで自分やカズマを想って死んだ。

『兄貴……俺をまた人間に戻してくれてありがとう。カズマのことは――兄貴に頼んだよ』

影山は死ぬ間際、そんな念話を矢車さんに送っていた
ゆえに矢車さんは願いを変える必要かあった。
たしかに影山は生き返らせたいが、聖杯で生き返らせたところで――彼は本当に喜ぶだろうか?

影山の秘めた〝燃えカスのような正義感〟がほんの僅かに矢車さんの背中を押した

『あぁ。なんだ?矢車』

〝最期の願い〟と聞いて彼が何か覚悟を固めたことをカズマは悟る。
それでも矢車をサーヴァントのマスターとして止めず、彼の願いを聞こうとするのはカズマが根はお人好しだからだろう

『俺はアヴェンジャーを――シャドームーンを倒したい。そのために令呪を2つ使ってくれ。……残り1つは俺を怪しんでるだろうから無理しなくても良い』

3686名無しさん:2025/05/28(水) 00:10:13
>>3684
ザンキ『マヤ。これは同じ鬼のカブキや他のマスターに共有した方が良い情報だからお前に託すけどな……このキャスターは魔化魍と似たような〝魔〟の気配を感じる。それをみんなに伝えてくれ』

マヤ『わかったよ、師匠!』

そしてザンキは紫に対して挑発する

「俺が厄介というのは、俺がお前にとっての弱点だと言ってるようなものだぞ。かつて〝魔〟を相手にしたサーヴァントは苦手か?」

3687名無しさん:2025/05/28(水) 00:12:01
>>3660
キリトとユウキ
もちろんキリトは生身ゆえに身体能力が大幅に劣るが、それでも一流の剣士
そんな二人に茅場――ヒースクリフは一歩も引かずに戦っていた
戦況は茅場が有利というわけではないし、当然ヒースクリフにも傷が付く
しかしそれすらも今の茅場は望んでいる展開だ

〝絶剣〟と呼ばれた未知の剣士――ユウキ
そして黒の剣士、キリト
この二人を相手にラスボスとして立ちはだかることのなんと愉快なことか

カズマ達が帰還したのも見えた。彼らが加勢するかもしれない
だが楽しい。何故なら茅場はこの一戦をするためだけに、色々と仕組んできたのだから

ユウキ「どうしてそんなに楽しそうなの!?人を殺すことの何が楽しいのさ!」

キリト「違うんだ、ユウキ。こいつは多分、誰かを殺すことを楽しんでるわけじゃない」

茅場「そうだとも。ラスボスとして君たちと剣を交えてる時間が、なにより楽しい。この〝聖戦〟こそが私の願いだ」

ユウキ「なに、言ってるの!?頭がおかしいよ!」

キリト「ユウキが驚くのも仕方ないけど……茅場はそういうやつだ。だからこいつだけは倒さなきゃいけない!」

ユウキ「……! わかったよ、キリト!」

3688名無しさん:2025/05/28(水) 18:18:05
>>3686
 ザンキの挑発に紫は言葉を返さず手招きをした。来るなら来いと言うつもりだろうか。

「おい、話がある」

 一旦ザンキは紫から距離を取り、玉藻とソリテールに話を持ち掛けた。当然この間も紫からの弾幕による攻撃は続いているが宝具による支援を受けた玉藻達は然程苦も無く捌けている。

「このままでは埒が明かない。俺があのキャスターを仕留めるから奴の足止めを頼めるか」

 今でこそある程度優勢に戦えているが、玉藻の宝具は長時間維持できないことは先の太歳星君戦で実証済み。宝具の効果が切れれば再びジリ貧に陥るだろう。

 故にザンキは短期決戦を仕掛けることにした。紫が逃げられないように他の二騎が足止めをしつつ、ザンキが接近して必殺技『音撃斬 雷電斬震』を叩き込む。危険だが宝具による支援を受けている今の三騎ならそれを成せるとザンキは判断した。
 もしも紫が宝具の効果が切れるまで完全に逃げに徹したり、蓮子らマスター狙いに動かれればそうもいかないが、幸いそのような行動をとる素振りはない。茅場の意向か紫自身の矜持かは不明だが。

「ふむ……御主人様以外の者が指図するのは気に入りませんがいいでしょう。やるからには必ずあのいけ好かないあの目玉女をギッタギタにしてやりなさい!」
「へえ、もしかして相打ち覚悟かしら。 たまにいるのよね貴方みたいな人間」

 優勝を狙う玉藻にとっては危険な役目をザンキが負い、力をある程度温存しつつ敵のキャスターを倒すことができる悪くない作戦だ。聖杯に然程執着のないソリテールも特に断る理由はない。

「奴は奇妙な空間を通り自在に転移する。俺が合図をしたら奴の周囲を取り囲むように攻撃して退路を断て」

 段取りは決まった。後は機会を待つのみ。そうこうしている内に魔力消費の影響か紫の弾幕が途切れだす。一際弾幕の密度が薄くなった瞬間、ザンキは叫んだ。

「いくぞ…!」

 ザンキの号令とともにソリテールが無数の剣で紫を取り囲み、玉藻が呪相・密天で周囲に嵐を巻き起こす。さらにザンキが一直線に駆け出し距離を詰める。二騎の包囲を紫が破る前に勝負を決めなければならない。

 一方で取り囲まれた紫は狼狽するでもなくただ微笑むのみ。戦いを見守ることしかできない蓮子はその様子に一抹の不安を覚えるのであった。

3689名無しさん:2025/05/30(金) 17:08:18
>>3683にて玉藻の前が宝具を使用したことによる紫の反応

(…あぁ、そういうことだったのね)

玉藻の前の宝具開帳時における口上を聞いたことで紫は相手の素性を把握した
宝具の基点となっているあの鏡は十中八九八咫鏡であり、出雲大社に祀られる神宝にして、天照大神の御神体であるならば――紫の博識たる頭脳と高精度な推察により、それを扱う彼女の由縁へと結びつけていく

あれなるは、絶世の美女にして白面金毛九尾の狐が化けたものであるとも言われた日本三大化生の一角“玉藻の前”であり、どういうわけか神霊“アマテラス”の御魂を宿した転生体である、と

何故神の一面が人間へと転生し大妖怪に至ったのかまでは憶測しかできないものの、英霊の座から与えられた知識により“神性を宿した玉藻の前”が存在していること把握したために確証を得るに至っていた

3690名無しさん:2025/05/31(土) 10:25:50
>>3688

無数の剣と嵐に囲まれた紫は時に結界や傘で凌ぐがその場から身動きが取れない。だが紫は動じず静かに宣言する。

──『弾幕結界』

 紫に接近していたザンキを包囲するように無数の弾幕が出現し一斉に殺到した。その数は今までの攻撃の比ではない。

──やはり罠か

 だが、ザンキもこの程度の妨害は想定内。そもそも先程紫に出来た隙は少々不自然であった。最初からザンキが他の二騎から離れるのを狙って意図的に作った隙なのだろう。

『頼めるかマヤ』
『うん!令呪で師匠を応援するよ!』

 マヤの令呪が一画消失すると同時にザンキの全身に活力が満ちる。そのまま上昇した身体能力で強引に弾幕結界の突破を図った。
 時に妖力弾を撃ち落とし、時に僅かな隙間に体を滑り込ませすり抜ける。全てを躱しきることは出来ずいくつか被弾するが足は止めない。止めれば圧倒的な物量による圧殺が待つのみである。
 
 そうして、最後の一陣を突破したザンキは紫に肉薄した。紫は丁度結界で玉藻らの攻撃を打ちはらった直後。サーヴァントになったことで紫は長時間結界を維持することが出来ず、ザンキはこれまでの戦いで既にその弱点を見切っている。またとない好機だった。

「終わりだ!」

 結界が解除され無防備になった紫の胴に烈斬を突き立てる。服を裂き肉を断つ感触。勝負あった──

「ガハッ……!?」
「何……!?」

 烈斬を突いた瞬間、苦悶の声が上がる──紫ではなく後方の玉藻から。見れば裂けた紫の服の下には不気味な空間──スキマが顔を覗かせていた。そして、そのスキマは玉藻の背後に繋げられ烈斬の剣先は玉藻の背中を穿っていた。

「うふふ……惜しかったわねぇ」

 紫は最初からこれを狙っていた。紫は玉藻の正体についてほぼ確信を持っている。即ち日本最大の妖狐“玉藻の前”。音撃武器である烈斬は確かに紫のような魔に属する者に対して有効であるが、それは玉藻も同様である。寸の所で清めの音を送り込まなかったため消滅こそ免れたが重症を負い玉藻は膝を突く。

 そして衝撃に一瞬硬直したザンキを逃す程紫は甘くない。玉藻が欠けたことで包囲から脱した紫から光の線が放たれ、それに触れたザンキの身動きが取れなくなった。その様は蜘蛛の巣に絡め取られた哀れな虫の様。

 紫が使ったのはスペルカードルールにおいて『八雲の巣』と名付けられた技。妖力の糸に触れた者の動きを封じる魔の糸である。平時であれば直ぐにザンキも抜け出せただろうが弾幕結界による負傷と無理を通したことによる膝の古傷が脱出を阻んだ。身動きの取れない獲物を前に紫は空中で手を上げて──


───カンカンカンカンカンカン


 突如戦場に響き渡る場違いな音。ある筈のない踏切の音がけたたましく鳴り響く。音源は上空。ザンキが見上げればそこには一際巨大なスキマが開いていた。

「ぶらり廃駅下車の旅、終点は英霊の座になります。ごゆるりとお楽しみくださいませ」

 紫の言葉とともにスキマから巨大な鉄塊──廃電車が飛び出す!
 身動きの取れないザンキを押し潰した後、紫はパチンと指を鳴らし──大爆発が起きた。

───『無人廃線車両爆弾』

「そんな…師匠ーーー!!」
「少しばかり派手な葬送になったけど楽しんで頂けたかしら」

 師が無慈悲に押し潰される瞬間を目にしたマヤが絶叫をあげる。もうもうと煙が上がる爆心地にはザンキの姿は影も形もなかった……だが、マヤも紫もこの場の誰もが気づかなかった。電車に押し潰される瞬間、ザンキの腕に"奇妙な痣"が刻まれたことを。

3691名無しさん:2025/05/31(土) 16:25:17
(ソリテールの台詞が一部途切れていたのでそこだけ修正)
>>3690

「どうやらゲームセットみたいね」

 ザンキの消滅を見届けた紫は悠然と蓮子の前まで降りてくる。もう勝った気かと蓮子は思ったが三騎いたサーヴァントは一人は消え、一人は重症、唯一戦えるソリテールも太歳星君から続く消耗は無視できず一人では到底抗えない。

 他のサーヴァント達はアヴェンジャーの相手で手一杯で援軍は見込めそうもない。こちらのサーヴァント達を全滅させたら紫はアヴェンジャーに加勢するだろう。そうすれば、均衡は破られ何もかも終わりだ。

──敗北。その2文字が蓮子の脳裏を掠めた。

「うふふ、そんな顔をしないで頂戴。私は貴方と交渉しに来たのだから」
「……どういうつもり?」

 敵の意外な提案に疑問を覚える蓮子だが、意図は分からずとも少しでも時間が稼げるかもしれないと先を促した。

「──最後の令呪でアサシンを自害させ、ムーンセルに残りなさい。そうすれば茅場に頼んで貴女は生かしておいてあげる」

 紫の発言とともに、ソリテールの周囲を弾幕が取り囲み包囲する。蓮子の選択を邪魔させないとでも言うように。

「別に迷うことはないでしょう? 貴女がこの局面で最後の令呪を使わなかったのは恐らくそのアサシンが信用できなかったから。ならばいっそ、そんなサーヴァントは切り捨てても問題ないでしょうに」

「それに私は知っているのよ"蓮子"。貴女が誰よりも神秘を──封じられた幻想を追い求めていることを。そんな貴女のことが私は気に入ったの」

「元の世界に帰れないとはいえそれの何が問題かしら。このムーンセルには貴女が求めるものが全てある。遍く世界の謎を解き明かすことができるのよ」

──さあ、どうする?

 紫の問いに沈黙する蓮子。僅かな、しかし永遠にも思える静寂が訪れる。やがて意を決したように蓮子は口を開いた。

「──これが私の答えよ、『アサシン、
全力でキャスターを倒しなさい』!」

 蓮子の腕から最後の令呪が消える。同時にソリテールからかつてない勢いの魔力が放出され、弾幕の包囲はぶち破られた。反応が遅れた紫は結界で防ぐことも出来ず吹き飛ばされる。

「ははっ、随分大胆なことをするね。良かったのかしら私を自由にして」
「……覚悟の上よ。でもせめてあのキャスターを倒すまではしっかりと協力してもらうわ」
「そうね、どうもあのキャスターは私のことが気に入らないみたいだし今回ばかりは積極的に戦おうかしら」

 無論ソリテールの令呪という箍を外すことに迷いはあった。だがマスターすら命がけで戦っている中で、自分だけ無力を理由にやれることをやらない訳にはいかない。蓮子も腹を括ることにしたのだ。……それに何より紫の一方的な交渉という名の強制が気に入らない。

「正直いってかなり迷ったけど──私は帰ることにしたわ。世界の秘密は自力で解き明かすものよ、秘封倶楽部を舐めないで頂戴!」

「それに私には大事な相方がいるの。メリーを放り出して勝手に解散することなんて出来ない!」

3692名無しさん:2025/05/31(土) 21:22:11
>>3691
吹き飛んだ紫が復帰する前に何とか玉藻も体制を立て直していた
烈斬を刺されたことで大ダメージを受け、宝具の効果も時間経過で切れてしまっていた。このままでは令呪を使ったとはいえアサシン一人では勝ち目が殆どないだろう

玉藻「ぐぬぬ…この私一生の不覚……」

勝利を前にした油断を呪う玉藻。優勝を見据えて後先考えていたことが祟ったか。ともかく玉藻は自身に不甲斐なさを覚えていた

玉藻『…ご主人様、申し訳ありません。どうか不甲斐ない私の我儘を一つ聞いて頂けないでしょうか。あのキャスターを仕留めるために令呪が必要なのです』

夏油『いいだろう、君には今まで無茶に付き合わせてきた借りがある。出来る範囲で援護するよ』

玉藻『ああこの玉藻なんという果報者か!ご主人様のためにも全力全霊を持ってあのいけ好かないキャスターを座に叩き返してやります!』

マイキーと戦いながらも夏油は念話に応え、玉藻に令呪を使う。内容は『宝具を再び使い維持せよ』。

玉藻「目にもの見せてやりますよ……!」

再度発動する玉藻の宝具。令呪の補助を受けても相当な無茶をしている自覚はあるが構わない
何故なら"重症を負った"今だからこそ使える切り札があることを玉藻は知っているからだ

3693名無しさん:2025/06/01(日) 05:30:43
>>3690
マヤ「師匠……」

師匠の死を目にしたマヤはショックで項垂れる。これまで自分を支え道を示してくれた師が居なくなった自分は一体どうすればよいのか
粗方敵集団を片付けた士郎はそんなマヤの様子を見かねて声を掛けた

士郎「お前はここで隠れているんだ……俺は奴を殺しに行く」

鋭い顔でキリトたちの戦場を睨みながら士郎はマヤに告げる。奴とは言うまでもなく元凶である茅場晶彦のことだ

マヤ「こ、殺すって…」

士郎「言葉通りだ。あのキャスターには俺たちでは勝てない。だがサーヴァントである以上マスターを失えば消滅する」

士郎の考えはキャスターを討つのに最も確実な方法だ
しかし黒幕といえども人の命を奪うという行為は、理屈では理解できても平和な世界で生きたマヤにとって心情的に到底受け入れられないものであった

マヤ「そんなこと私できないよ……」

士郎「そうだ、それでいい。お前が手を汚す必要なんてない。そんなことをするのは俺みたいな人間だけで十分だ」

そう言い残すとマヤが止める間もなく士郎はキリトたちに加勢すべく彼女を残して駆けていった
一人取り残されたマヤはどうすることもできず蹲る

マヤ(師匠…私どうしよう…)

考えても考えてもその答えは出そうになかった――

3694名無しさん:2025/06/01(日) 15:12:42
>>3691
「やれやれ、振られてしまいましたわ…」

 ソリテールの攻撃で吹き飛ばされた紫が復帰する。体はボロボロだがその歩みは淀みない。精神に依る生命体である妖怪は謂れのある武器以外には強い耐性があるため、少なからずダメージを負ったが致命傷には遠かった。

「悪いけど全力でと言われたから手加減抜きで殺らせてもらうわ」

 再び発動した玉藻の宝具と令呪の支援を受けたソリテールはともすれば生前以上の力で猛攻撃を開始した。無数の剣と魔力の放出が容赦なく紫に向けられるが、紫も千年以上生きた大妖怪。結界術や境界操作で攻撃を凌ぎ互角に渡り合う。

「ねえ、聞きたいことがあるのだけれど」
「何かしら?話せることは話したはずだけど」

 互いに撃ち合いを続けながらもまるで世間話をするかのようにソリテールが話しかける。紫もそれに対して日常会話のような調子で続きを促す。

「この聖杯戦争の舞台を選んだのってもしかして茅場ではなく君かしら」
「…ええそうよ、それが何か?」
「どうして"京都"とやらを舞台に選んだの?」

 ソリテールの疑問、それは何故京都を舞台に選んだのか。紫は聖杯戦争が始まるまでの経緯や参加者の選定については話したが舞台選びについては一切触れていなかったのだ。

「私が知る限り最も発展した都市と霊地の豊富さを併せ持っていた場所だったからよ。実際茅場が選定したマスターは日本人が多かったし召喚された太歳星君の分霊も京都に根差していたから悪くないチョイスだと思ったけど」
「そうね、実際蓮子は京都の霊地に詳しかったから大いに助かった──残念ね、せっかく彼女のためにこの舞台を用意したのに拒絶されちゃって」
「…………」

 ソリテールは紫の舞台選びの真意に確信をもっていた訳ではない。だが言葉を弄び他者を餌食にするのは魔族の最も得意とする所。紫に生じた僅かな動揺と隙を幾人もの人間の観察を続けてきたソリテールは見逃さなかった。
 一気に紫に接近し至近距離で魔力の放出を行うソリテール。紫も咄嗟に結界で弾こうとするが急場凌ぎの結界は硝子のように破壊され魔力の放出は紫の腹部を大きく抉った。

「────ッ!!」
「へえ、どうやら私より君の方がずっと"人"に近い感情を持ってるみたい」

 だが紫の反撃は速かった。接近したソリテールの周囲に突如妖力の糸が出現し、その体を縫い止める。そのまま紫はお返しと言わんばかりに大きく手を振りかぶりソリテールに振り下ろした。その顔に笑みはなく、ゾッとする程冷たい視線をソリテールに向けている。

 身の危険を感じたソリテールは前方に強固な魔力の盾を出現させ、攻撃に備えるが──

「──疾く去ね」

 ──魔力の盾ごと体を横一直線に両断された。上半身と下半身が泣き別れになり飛行魔法を維持できず、落下するソリテール。明らかに致命傷だった。

 これも紫の境界操作の一端、スペルカードルールでは『知能と脚の境界』と名付けられた技である。直線状に境界を走らせそこに存在する物を分断したのだ。全てに境界を引けると言う事は二つに分けられぬ物は無いと言う事である。
 これ程の技、当然魔力の消費が少なくないため今まで使用を控えていたがソリテールへの怒りが戦術的判断を上回ったのだ。

3695名無しさん:2025/06/01(日) 15:36:10
>>3693
一人で無為な時間を過ごすマヤ。一人で考えても答えはでない。ならばいっそ沸々と湧き上がる昏い情動――憎しみに身を任せてキャスターと戦えばいいのではないか
無謀だとは分かっていてもこの感情を止めるのは難しい。キャスターの方へ向かおうとしたその時――

マヤ「えっ、し、師匠!?」

サンキ「言ったはずだぞ、マヤ。鬼にとって最も大事なのは自分の中の鬼を殺すことだと」

――その手を消滅したはずのザンキが掴んだ。幻かと思ったがその姿も声も確かに彼女が尊敬した師匠その者だ
歓喜に涙を浮かべたマヤ。声を掛けようとしたがふと違和感を覚えた。ザンキの手が酷く冷たい。まるで死人のように――

マヤ「師匠…その、手が……」

ザンキ「説明していなくて悪かった。二度と使うまいと思っていたからな…」

ザンキは自身の再起を可能とした鬼に伝わる禁呪――返魂の術についてマヤに説明する。一時的な蘇生を果たすが、やがて意識を失い最終的に永遠の闇に魂が囚われる禁断の術である
サーヴァントと化したザンキにとっては術のデメリットも気にする必要はないが、術師としての才能があるマヤがまかり間違って使うことのないように今までこの術について黙っていたのだ

ザンキ「どの道俺はただの死人、気にするな。消えるのが多少早くなっただけのことだ」

マヤ「師匠……」

師が生き返ったわけではないと知って悲しむマヤだが感傷に浸っている時間はない。ザンキは戦場に行かなくてはならないのだ

ザンキ「マヤ、お前はあの男が言ったようにここで隠れていろ。俺がキャスターと決着をつける」

マヤ「でも…!」

ザンキ「あのキャスターはお前の手に余る相手だ。かといってマスターの命を奪うことも出来ないだろう。何より俺もそんなことは望んでない」

先の士郎と同様のことを話すザンキに悔しさに震えるマヤ。だがザンキは弟子と共に戦ってこそ真価が発揮されるサーヴァントだ。このまま戦っても再度返り討ちになる可能性だってある。果たしてこのまま師匠を見送るだけでよいのか?

――意を決してマヤは初めて師匠に反抗した

マヤ「…やっぱりやだ!師匠『私と一緒に戦って!』」

マヤは最後の令呪を切りザンキに共闘を命じた。対魔力のないザンキはこの命令に抗うことは出来ない。そして令呪を失ったマヤはこの命令を取り消すことも出来ない

ザンキ「馬鹿な…!お前自分が何をやったか理解しているのか…!?」

マヤ「分かってる…!私足手まといにならないように頑張るよ!」

マヤの決意は固い。なにより令呪を使われては問答も無意味だ。観念したザンキはため息をつき最後の確認を行った

ザンキ「……お前に令呪はもうない。後戻りはできないぞ」

マヤ「うん…!」

ザンキ「ならばついてこい…!キャスターを必ず倒すぞ!」

マヤ「分かったよ師匠!」

二人の鬼は最初で最後の師弟揃い踏みの戦いに臨もうとしていた

3696名無しさん:2025/06/01(日) 22:14:59
>>3694

「はは…油断、した訳じゃなかったけど…ま、しょうがないか……」

 紫によって両断されたソリテールは地に落下した。
いかに魔族とて上半身だけで生存することは不可能、もう間もなく彼女は消滅する。

「ソリ…テール……」

 無残な姿になって転がったソリテールに蓮子の胸も苦しくなる。
本質は人心を持たぬ怪物であったとしても、自身の令呪による戦いの結果でこのような姿になってしまったことに蓮子は罪悪感を抱いていた。

『ねえ、蓮子…最期にお願いがあるの…』
『何かしら……』
『君に私自身の口で伝えたい言葉があるわ…私はもう動けないから近くに来てくれる?』

 ソリテールの念話に一瞬逡巡する蓮子だが、ソリテールの方へ歩みを進めた。
蓮子もまた、曲がりなりにも相棒として戦ってきたサーヴァントを看取りたい気持ちはあったからだ。

『そうそう、もっとこっちへ…後一歩…』

 言われるまま蓮子はソリテールに近付き最後の一歩を踏み出す──


「……残念、最後に外しちゃったわ」


──フリをして足を止めていた。蓮子の目の前にはソリテールが飛ばした剣が突き刺さっている。
もしも蓮子がソリテールの言う通り足を踏み出していたら、間違い無く剣に刺し貫かれ命を落としていただろう。

「やっぱり何も変わっていないのね貴方は……」

 失意と哀しみを滲ませた声で蓮子はソリテールに語りかけた。既に二人は念話抜きで話せる距離にいる。

 蓮子は生前のソリテールの所業を忘れてはいなかった。
ソリテールが関わった人間は最終的にほぼ全員彼女自身の手によって殺されている。決して人が心を許してはならない悪魔。

 それでも、それでも結果としてソリテールはこの聖杯戦争で誰も殺めず、蓮子という人間と共に戦い抜いた。
だから蓮子はこの経験によってソリテールに何らかの心境の変化があったのではないかと微かな期待を抱いた。──抱いてしまった。

 故に蓮子はソリテールを試したのだ。結果は見ての通り、魔族という種の業の深さを証明するだけに終わってしまったが。

「『君に会えて良かった』、『人と魔族は分かり合える』、『掛け替えの無い親友』──そう言ってほしかった?」

 果たしてこの戦いを通してソリテールに何か変化があったのか──否、何一つ変わらない。
結局彼女は最期まで己の好奇心の赴くままに戦っただけなのだ。生前から今に至るまで、人の心を持てないモノ。それが魔族。

「………………うん。さよなら、ソリテール」

 気付けば蓮子は涙を流していた。頭の中では本当にどうしようもない存在だと理解しているのに、ソリテールの死に悲しみを覚えている自分がいる。
或いはこれも並外れた探求心という共通点を持つ蓮子とソリテールを隔てる人間性の一つなのだろうか。

 そんな蓮子の泣き顔を見たソリテールは満足そうに微笑みながら目を閉じた。
蓮子に初めて出会った時と何一つ変わらない張り付けたような笑顔で。

「素敵。君の末期の言葉が聞けなかったのは残念だけど…ま、その顔が見られただけ良しとしようか…な」

その言葉を最後にソリテールの姿はこの世界から消失した。


【ソリテール@葬送のフリーレン 消滅】

3697名無しさん:2025/06/01(日) 23:49:48
>>3694

ソリテールを仕留めた紫であったが、ふと不気味な呪言を耳にした。

──いざや散れ、常世咲き裂く怨天の花……

 声の方へ顔を向ければ玉藻の前が両手を紫の方へと突き出していた。手中には紫色の禍々しい気。そのまま力の塊を
──

「──常世咲き裂く、大殺界(ヒガンバナ セッショウセキ)!」

──紫に向かって思い切り投げつけた。
玉藻とて宝具を発動した後、ただ黙ってソリテールと紫の戦いを見ていた訳ではない。
呪層界・怨天祝奉で魔力を練り上げつつ、機をうかがっていたのだ。
瀕死の時のみ発動できる己が持ちうる最強の呪術、『常世咲き裂く大殺界』を放つ機会を。
そしてついに機会はやってきた。
紫がソリテールに手傷を負わされたことで玉藻への注意が逸れたのだ。

 そうして放たれ迫る呪毒の塊に対し、紫はいくつもの対処法を恐ろしい速さで頭の中で選び吟味する。

──スキマによる退避
否、退避するより先に攻撃が命中する。
──敵の飛び道具を吸収し撃ち返す技『枕石漱流』
否、それで防げる規模の攻撃ではない。
──『四重結界』による防御
己の最も信頼する防御。目前の魔力塊相手でも十分防ぎきれる見込みあり。
それに敵は瀕死、この一撃に耐えさえすれば次の攻撃を仕掛けることは最早出来ないだろう。

──答えは決まった。
瞬時に紫の周囲に結界が張られ、呪毒と衝突する。その瞬間、忽ち毒気が周りに溢れ出した。

「ぐっ……!瀕死の状態でここまでやるとは見上げた根性ね…!」
「当たり前でしょう、愛の力こそ最強!そして逆境でこそ愛は激しく燃え上がるってもんですよ!」

 想定以上の毒気の強さに紫も舌を巻く。
瀕死のサーヴァントに根比べで負けるつもりはなかったがこれでは暫く動けそうにもない。

「愛ね。傾国の妖狐の発言とは思えないわ」
「ふん、あれだけ宝具を使えばさすがに真名はバレてますか。ですがいつまでも古い認識でいるからそんな目に遭うのですよ、ざまぁみさらせ年増女!」
「いや、どう考えても貴女の本体の方が私より年う」
「あーあー聞こえない!聞こえない!」
 
 どこか緊張感のないやり取りを繰り広げながらも内心玉藻は焦っていた。
毒気の侵攻が止まっている。
結界すら浸食した呪毒により紫の体の一部が爛れ始めるが、そこまでだ。致命傷には至らない。
玉藻自身強がってこそいるが相当な無茶を押し通している自覚がある。
このままでは先にこちらが力尽きると玉藻が絶望を感じ始めた矢先──

「待たせたな。さっきは済まなかった」

──紫を倒すための最後のピース、ザンキ師弟が戦場に馳せ参じた。
驚く玉藻だが今は理由を聞いている場合ではない。

「どんな手品を使って切り抜けたかは知りませんが、まあいいでしょう。見ての通り奴は今身動きが取れない状態。倒すなら今しかないです。それでこの背中の傷は今回だけ特別大サービスでチャラにしてやりますよ!」

「そうか感謝する。行くぞマヤ!」

「うん、一緒に戦おう師匠!」

 これが正真正銘のラストチャンス。
二人の鬼は決着をつけるべく全速力で駆け出した。

3698名無しさん:2025/06/02(月) 09:49:56
>>3697

紫が玉藻の呪毒に手こずっている隙に距離を詰めるザンキたち。
その姿を確認した紫もまた全力で迎撃することを決意する。
 

『深弾幕結界 ─夢幻泡影─』
 

 師弟の周囲にこれまでの比ではない規模の弾幕が出現する。
その威容は間違いなくこれがキャスターの切り札だとザンキに確信させる程。
だが、ザンキは怯まない。先の戦いで対処法は学んでいる。
凄まじい物量の攻撃だからといって足を止めるのは逆効果、むしろ恐怖を克服して進み続けるからこそ活路が見出だせるのだ。

「俺の後ろに着いてこい!足を止めるな!」
「はい、師匠!」

 ザンキはマヤに貸し出していた分も含めてディスクアニマルを総動員し、弾幕の突破を図った。
前方に展開したディスクアニマルたちは時に妖弾を叩き落とし、時に頑強な体を盾代わりとしてザンキたちの道を作る。
だが圧倒的な物量を前に一体、また一体と傷付き破壊されていく。
そんな彼らの姿に内心謝罪しながらも足は止めないザンキたち。気が付けば全てのディスクアニマルは破壊されていた。

──後は自力で突破するしかない!

 今度はザンキがマヤのために道を切り開く番だ。
一瞬で弾幕の抜け道を見抜き、時には己の体を盾として差し出し、決してマヤへ累を及ばせない。

 本来であれば、ここまで強引な突破を仕掛けるのは無謀な切り札(ラストワード)であったが度重なるダメージと消耗により紫の弾幕操作にも乱れが生じている。
ソリテールと玉藻の奮戦は決して無駄にならなかった。

 ボロボロになりながらも最後の一波を突破したザンキたちの目の前には丁度玉藻の毒気を振り払った紫がいた。

──今こそ決着をつける時!

「くっ……!」

 ザンキたちの動きを封じようとする妖力の糸を切り払い、紫に肉薄したザンキは烈斬を突き立て──ずに止めた。
紫の前にはスキマが口を開けていた。
さらにもう一つのスキマがザンキの後ろに出現している。
そのまま烈斬を突いていれば自分で自分を刺し貫いていただろう。

「同じ戦法が二度通じると思うな!」

 ザンキは刺突ではなく、斬撃で攻撃。
紫は傘で受けようとするが身体能力で劣り、消耗し切った状態では受けきれず傘ごと腕を切断された。

「今だマヤ、合わせろ!」
「うん、行くよ師匠!」

 致命的な隙を晒した紫にザンキとマヤ、二人の鬼は同時に音撃弦を突き立てる。そして──


「音撃斬・雷電激震!」
「音撃斬・雷電斬震!」


──同時に清めの音を送り込んだ。

「かっ……は……!」

 摩多羅神に比肩するとされた大妖怪も絆を最大限まで高めた師弟の同時攻撃には耐えられず、吐血しながらゆっくりと崩れ落ちる。
紫に致命傷を与えたことを確認したザンキは静かにマヤに語りかけた。

「……マヤ、帰ったらこの聖杯戦争のことは全て忘れろ。鬼にしろ、呪術師にしろ本来お前のような平穏に生きる者が身を置いていい世界じゃない」

「ううん、私ぜったいに忘れないよ。鬼のこと、呪術師のこと、師匠のこと!この聖杯戦争で経験した全部のことを!!」

「そうか」

 ──強くなったなマヤ。一言そう言い遺した瞬間、ザンキの姿は消えていた。
返魂の術で黄泉帰りを果たした者は、意識が永遠の闇に堕ちる前に悔いがなくなれば成仏することが出来る。
成長したマヤの姿を見届けたザンキは、最早この世界に未練はなかった。

「ありがとう師匠……」

 今度こそ師匠との永遠の別れになったマヤ。
だが今度は泣かない。遺された烈雷を師への葬送曲としてただ静かに鳴らすのであった。


【ザンキ@仮面ライダー響鬼 消滅】

3699名無しさん:2025/06/02(月) 22:43:05
>>3699

「これで終わり、ですね……」

 ザンキたちの勝利を見届けた玉藻は重い足取りでその場を立ち去った。
行き先は当然夏油の元。ご主人様(マスター)に最後までが尽くすのが良妻賢狐の努めである。

 魔力をほぼ使い果たし煙一つ出せない程の消耗で、夏油を援護どころか彼の元に行くまでに消滅しかねない有り様だったが確固たる意志で歩みは止めない。

 一方で倒れ伏した紫の前には蓮子が立っていた。
紫が倒されたことを確認した蓮子は、彼女が消滅する前にどうしても聞きたいことがあったのだ。

「うふふ…私を笑いに来たのかしら…見ての通り…間もなく消えるわ…」

「その前に聞きたいことがある。貴方は一体何者で何がしたかったの?私のことを知っていた…?」

 蓮子の質問に何が可笑しいのか薄く笑いながらポツリポツリと紫は答えた。

「私の真名は『八雲紫』、しがない土地の管理人に過ぎない」
 
 息も絶え絶えになりながらも紫の笑顔は消えない。
今際においても真意を悟らせないつもりだろうかと蓮子は思った。

「正直目的なんてなかった。茅場と一緒に他の世界を観測するのが楽しかっただけ。
幻想郷はとっくに賢者たちの手を離れても機能するようになってたから、態々ムーンセルに頼るまでもなかったし、月の技術で幻想郷に介入するのも気に入らなかったもの」

 でも、と紫はそこで言葉を区切る。
その顔に笑みはなく感情の読み取れない神妙な顔をしていた。

「茅場が聖杯戦争の参加者に貴女を選定した時、何となく気に入った。ただそれだけのことよ。
京都を舞台に選んだのも霊地が多くて色々と都合が良かっただけ。他意はないわ」

「……本当に?そもそも気に入ったって言うけど私と貴方は初対面じゃない」

「さて…正直に言って私自身も貴方への感情はよく分からないわ。
所詮サーヴァント(わたしたち)は英霊の座という分厚い書から一部のページを切り取った存在に過ぎない。私も厳密には『八雲紫』その人ではないの」

 八雲紫の正体は依然として明らかになってはいない。
ムーンセルといえども観測していない事象を再現することは出来ないのだ。
だが"有力な説"をベースに情報を抽出することならできる。それは即ち──

「私に話せるのはここまで……それに世の中には語られない方が良いこともありますのよ」

「ならそれを解き明かすのが私たち秘封倶楽部よ。ムーンセルの力を借りなくたっていつか暴いてやるわ」

「ふふっ…それは楽しみね……」

 一時の対話を終えた紫の姿が薄れていく。
そろそろ時間切れねと紫は静かに目を閉じた。

「さようなら蓮子。いつかの夜にまた逢いましょう」

「あっ……」

 紫は最期にもう一度笑った。胡散臭い笑みではなく穏やかな表情で──
蓮子には不思議とその表情が親友であるマエリベリー・ハーンと重なって見えた。

 不意に朝日が差し込む。夜が明けのだ。
ムーンセルにより再現された偽りの日の出とはいえ、その美しさは本物と何ら変わりない。
眩しさに蓮子が一瞬目を閉じ、次に目を開けた時には既に紫は消えていた。夜の闇が朝日に掻き消されるように。
その光景に蓮子から一筋の涙が零れる。
涙の理由は蓮子自身にも分からなかった。


【八雲紫@東方project 消滅】


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